説明

多糖類微粒子およびその製造方法

【課題】安価かつ簡便に製造可能であり、更にサブミクロン以下の粒径を、任意に制御し得る多糖類微粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】酸溶媒に対して多糖類を溶解させた多糖類溶液を、この多糖類溶液100体積部に対して100体積部以上とした分散媒としての水等に滴下した後、該多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類を会合・析出させ、これにより、その粒径が2μm以下の任意の数値に制御可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、殊に医用材料およびケミカル分野の素材として有用である、例えばキトサン等の多糖類からなる微粒子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の単糖類がグリコシド結合することによって形成されている多糖類は、生体に不可欠な素材であり、また自然界に多量に存在して枯渇することがなく、更には生分解性があるため、廃棄に伴う環境汚染問題の発生もない。例えば多糖類の一例として、化学的安定性が高いキチンを脱アセチル化して得られるキトサンが挙げられる。このキトサンは、キチンが有するアセチル基が、化学的に高い活性を備え、かつプラスに帯電しているアミノ基に置換されている。このためキトサンは、マイナスに帯電した、例えばカルボキシル基等を有する物質と容易に結合する特性を備える。一方カルボキシル基は、各種細菌、ウィルスおよびバクテリアの一部を構成する物質でもある。
【0003】
このためキトサンは、前述の各種細菌、ウィルスおよびバクテリアを、アミノ基−カルボキシル基の結合によって分子内に取り込み、タンパク質化させて無害とし得る効果、すなわち抗アレルギー性や抗菌性等の効果を示す。従って、例えば医療分野では創傷被覆剤や、歯磨き粉等のオーラルケア用途剤(ミュータンス連鎖状球菌に対する抗菌効果や、口腔粘膜の細胞活性効果があり、口中炎症、歯茎浮腫および出血等に有効)等として好適に使用し得る。この他の多糖類についても、前述した高い生体適合性や廃棄容易性といった利点があるため、例えば金属部品に対する洗浄剤用途、シリコンウエハー等に対する化学物理研磨洗浄剤用途、化粧品分野での粉体特性改良剤用途並びに塗料分野での増粘・分散・被膜形成剤用途に対する応用が期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した用途、殊に化粧品の分野では、微粒子状の多糖類に対する要望が強い。多糖類として代表的なキトサンを微粒子化する場合、以下の方法でなされている。すなわちキトサンを酸に溶解させて、これに界面活性剤および有機溶媒を加えることで、所謂Water/Oilエマルジョンとし、更に加熱蒸発やアルコール等の貧溶媒の使用による水分除去や、特定溶液混合による凝固によって微粒子化する方法である。しかしこの方法の場合、(1)μmレベルを下回る微粒子の製造は困難であり、また(2)界面活性剤や有機溶媒といった、環境高負荷物質の使用が不回避であるため、環境低負荷が求められる今日の情勢にはそぐわない。
【0005】
この他、下記の[特許文献1]〜[特許文献4]にも、キトサン微粒子の製造方法が開示されているが、高価な試薬の使用や、煩雑な操作が必要とされ、安価かつ簡便な製造法とは言い難い。これに対して提案されている。しかしこれらの方法では、高価な試薬の使用や、煩雑な操作が必要とされ、製造コストの問題が解消されていなかった。
【特許文献1】特開昭60−215003号公報
【特許文献2】特開昭61−040337号公報
【特許文献3】特開昭62−062827号公報
【特許文献4】特開平1−140961号公報
【0006】
これに対して、下記の[特許文献5]に記載の発明「キトサン微粒子の製造方法」は、安価かつ単純な方法である。しかし、形成される粒子の大きさがμmレベルであり、ナノレベルの粒子径を発現するキトサンの製造は困難であった。
【特許文献5】特開昭58−057401号公報
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に内包する問題に鑑み、これらを好適に解決すべく提案されたものであって、安価かつ簡便に製造可能であり、更にサブミクロン以下の粒径を、任意に制御し得る多糖類微粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
酸溶媒に対して多糖類を溶解させた多糖類溶液を、この多糖類溶液100体積部に対して100体積部以上とした分散媒としての水に滴下した後、該多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類を会合・析出させ、
これにより、その粒径が2μm以下の任意の数値に制御可能となっていることを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、安価かつ簡便であり、かつ環境負荷を抑えると共に、多糖類粒子の微細化をなし得る。また容易にその粒径を制御し得る。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記多糖類は、該多糖類をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類であることを要旨とする。従って、請求項2に係る発明によれば、より利用性の高い多糖類微粒子が得られる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
前記酸溶媒として塩酸を用いることで、そのpHが略中性となる多糖類塩酸塩とされることを要旨とする。従って、請求項3に係る発明によれば、多糖類微粒子の利用用途をより幅広くし得る。
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、
酸溶媒に対して多糖類を溶解させた多糖類溶液を、この多糖類溶液100体積部に対して100体積部以上とした分散媒としての一価または二価以上のアニオンの金属塩水溶液に滴下した後、該多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類を会合・析出させ、
これにより、その粒径が2μm以下の任意の数値に制御可能となっていることを要旨とする。
【0013】
従って、請求項4に係る発明によれば、安価かつ簡便であり、かつ環境負荷を抑えると共に、多糖類粒子の微細化をなし得る。また容易にその粒径を制御し得る。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、
前記多糖類は、該多糖類をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類であることを要旨とする。従って、請求項5に係る発明によれば、より利用性の高い多糖類微粒子が得られる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、
前記分散媒として金属ハロゲン化物の水溶液を用いることで、そのpHが略中性となる多糖類塩酸塩とされることを要旨とする。従って、請求項6に係る発明によれば、多糖類微粒子の利用用途をより幅広くし得る。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れかに記載の発明において、
前記酸溶媒をなす酸は、乳酸であることを要旨とする。従って、請求項7に係る発明によれば、より好適に多糖類粒子を微小化し得る。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れかに記載の発明において、
前記酸溶媒中における酸の存在量は、1〜30重量%の範囲に設定されることを要旨とする。従って、請求項8に係る発明によれば、多糖類を好適に微小化し得る。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れかに記載の発明において、
前記多糖類は、キトサンであることを要旨とする。従って、請求項9に係る発明によれば、多糖類微粒子の使用用途を拡げ得る。
【0019】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項10に記載の発明は、
多糖類を酸溶媒に投入・溶解させて多糖類溶液とし、
この多糖類溶液100体積部に対して、100体積部以上とした分散媒としての水に該多糖類溶液を滴下し、
前記多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類を会合・析出させることで、
その粒径が2μm以下で、任意に制御された多糖類を製造するようにしたことを要旨とする。
【0020】
従って、請求項10に係る発明によれば、微細な多糖類粒子を安価かつ簡便であり、かつ環境負荷を抑えつつ製造し得る。また容易にその粒径を制御し得る。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10記載の発明において、
前記多糖類として、該多糖類をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類が使用されることを要旨とする。従って、請求項11に係る発明によれば、より利用性の高い多糖類微粒子を製造し得る。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11記載の発明において、
前記水に対する、前記多糖類溶液の滴下は、0.1ml/秒以下で実施されることを要旨とする。従って、請求項12に係る発明によれば、より好適に多糖類の微小化を達成し得る。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12の何れかに記載の発明において、
前記酸溶媒として塩酸が使用されることを要旨とする。従って、請求項13に係る発明によれば、より利用用途が幅広い多糖類微粒子を製造し得る。
【0024】
請求項14に記載の発明は、請求項10〜13の何れかに記載の発明において、
前記水素イオンの除去と共に、酸溶媒を構成する塩も併せて除去するようにしたことを要旨とする。従って、請求項14に係る発明によれば、多糖類微粒子の析出をより好適に実施し得る。
【0025】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項15に記載の発明は、
多糖類を酸溶媒に投入・溶解させて多糖類溶液とし、
この多糖類溶液100体積部に対して、100体積部以上とした分散媒としての一価または二価以上のアニオンの金属塩水溶液に該多糖類溶液を滴下し、
前記多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類を会合・析出させることで、
その粒径が2μm以下で、任意に制御された多糖類を製造するようにしたことを要旨とする。
【0026】
従って、請求項15に係る発明によれば、微細な多糖類粒子を安価かつ簡便であり、かつ環境負荷を抑えつつ製造し得る。また容易にその粒径を制御し得る。
【0027】
請求項16に記載の発明は、請求項15記載の発明において、
前記多糖類として、該多糖類をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類が使用されることを要旨とする。従って、請求項16に係る発明によれば、より利用性の高い多糖類微粒子を製造し得る。
【0028】
請求項17に記載の発明は、請求項15または16に記載の発明において、
前記金属塩溶液に対する、前記多糖類溶液の滴下は、0.1ml/秒以下で実施されることを要旨とする。従って、請求項17に係る発明によれば、より好適に多糖類の微小化を達成し得る。
【0029】
請求項18に記載の発明は、請求項15〜17の何れかに記載の発明において、
前記分散媒として、金属ハロゲン化物の水溶液が使用されることを要旨とする。従って、請求項18に係る発明によれば、より利用用途が幅広い多糖類微粒子を製造し得る。
【0030】
請求項19に記載の発明は、請求項15〜18の何れかに記載の発明において、
前記酸溶媒をなす酸として、乳酸が使用されることを要旨とする。従って、請求項19に係る発明によれば、多糖類微粒子をより好適に製造し得る。
【0031】
請求項20に記載の発明は、請求項15〜19の何れかに記載の発明において、
前記水素イオンの除去と共に、酸溶媒を構成する塩および分散媒を構成する塩も併せて除去されることを要旨とする。従って、請求項20に係る発明によれば、多糖類微粒子の析出をより好適に実施し得る。
【0032】
請求項21に記載の発明は、請求項10〜20の何れかに記載の発明において、
前記水素イオン等の除去には、透析膜が使用されることを要旨とする。従って、請求項21に係る発明によれば、多糖類微粒子をより好適に製造し得ると共に、その析出もより好適になし得る。
【0033】
請求項22に記載の発明は、請求項10〜21の何れかに記載の発明において、
前記多糖類の酸溶媒への溶解は、加熱によって達成され、かつ多糖類微粒子の析出は冷却によって達成されることを要旨とする。従って、請求項22に係る発明によれば、より多様な多糖類を好適に微細化し得る。
【発明の効果】
【0034】
以上に説明した如く、本発明に係る多糖類微粒子およびその製造方法によれば、安価かつ単純に、サブミクロンオーダーの微小な多糖類微粒子を、その粒径を制御しつつ製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明に係る多糖類微粒子につき、その製造方法と共に、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願発明者は、キトサンの如き多糖類を、酸溶媒によって溶解(会合が解かれた状態)させて得た多糖類溶液を、所要量以上とされた分散媒に対して、所要の速度以下となるように滴下し、更に該多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、該多糖類の溶解を達成し、系内に過剰に存在する水素イオンを除去することで、その粒径が2μm以下で、かつ任意の数値に制御可能とした多糖類微粒子が得られることを見出した。なお本発明において使用される多糖類は、その平均分子量によって会合をなした場合の粒径が、該平均分子量の増加に伴って大きくなると考えられる。そこで本発明においては、その平均分子量が20,000以下程度の多糖類を使用することで好適に実施される。
【0036】
また多糖類を溶解させる酸溶媒をなす酸および/または分散媒として、例えば塩酸や塩化ナトリウムといった一価の金属ハロゲン化物、例えば金属塩化物等を備える酸および/または水溶液を使用することで、その粒径がナノ(nm)オーダレベルとされた多糖類微粒子が得られることを併せて知見した。なお以下に説明する実施例においては、多糖類としてその有用性が高く、かつ該多糖類をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類であるキトサンを使用した例を用いて説明する。ここで多糖類としては、前述のカチオン性以外にアニオン性多糖類や、ノニオン性多糖類が存在するが、これらの電荷的性質や、これに関係なく結合し得る物質を多糖類を溶かし得る酸性溶媒由来の塩や、分散媒由来の塩として採用することで、同様の機構による、多糖類の微粒子化は可能である。また本発明において滴下とは、制御された速度によって、徐々に供給することを意味している。
【0037】
多糖類微粒子の製造工程は、図1に示す如く、該多糖類微粒子10の原料となる多糖類と特定の酸溶媒とを混合・溶解させて多糖類溶液を得る溶解工程S1と、多糖類溶液を所定の速度範囲で、所定量以上の分散媒に滴下してsea−island効果(詳細は後述[0042])を発現させ、会合状態となった際に所要粒径の多糖類微粒子を形成するだけの量となるように、会合が解かれた状態の多糖類を区分して粒子化する滴下工程S2と、該多糖類溶液と分散媒との混合溶液から、少なくとも系内に存在し、該多糖類の溶解をなしている過剰な水素イオン(カチオン性多糖類の場合、該カチオン性基に対して過剰となっている水素イオン)を除去して、該滴下工程S2で得るべき多糖類微粒子の粒径に対応して、例えば球状に区分された多糖類を会合状態する析出工程S3とから基本的に構成される。
【0038】
前記溶解工程S1は、図2に示す如く、前記多糖類Mおよび酸溶媒Aを混合して充分に攪拌することで、該多糖類Mを溶解させて多糖類微粒子10を形成する基となる多糖類溶液MAqとする工程である。この溶解工程S1の実施によって、会合状態にあったキトサン(図2(a)参照)は、該キトサンをなす分子(以下、単に分子と云う)内および分子間の水素結合による会合が解かれた状態、すなわち溶解状態(図2(b)参照)とされる。なお本工程S1については、室温での溶解が困難な場合には、適宜、キトサンが溶解する程度の温度まで加熱すればよい。またキトサンを溶解させた後、不溶解分については濾過等の任意の手段で除去してもよい。なお、図2において破線は、水素結合を表している。
【0039】
そして前記多糖類Mとして本実施例ではキトサンを使用しているが、この他、キチン、セルロースおよびプルラン(でんぶん)等の、多数の単糖類がグリコシド結合することによって生じる高分子化合物である一般的な多糖類Mが使用可能であり、従ってこれらの微粒子も製造可能である。ここでキトサンの濃度は殊に限定されないが、通常ハンドリング等の点から0.1〜30重量%程度の範囲とされている。
【0040】
前記酸溶媒Aとしては、酢酸、蟻酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸または安息香酸等の水溶性有機酸(多糖類Mがキトサンの場合には、アニン性基を分子内に一個もった有機酸)或いは塩酸または硝酸等の一価アニオンの無機酸が、単独または2種以上組み合わせて適宜使用される。これらの酸は水溶液として使用されるため、例えば乳酸等のようにその性状が固体の場合には、水等の溶媒に溶解させることで使用される。またsea−island効果(後述[0042])をより効率的に発現させるため、その溶液とした際に粘性を発現する乳酸等の使用が好ましい。また前記酸溶媒Aについては、その濃度は殊に限定されない。しかし前述([0038])の如く、混合される多糖類Mの水酸基等に由来する分子内および分子間の水素結合を阻害して、キトサンを溶解させる程度の水素イオンの供給が可能とされる、通常で0.1〜30重量%程度の範囲内とされている。また酸溶媒Aの選択は、多糖類Mの溶解および析出(会合)に大きな影響を与えるが、詳細は後述([0048])する。
【0041】
前記滴下工程S2は、図3および図4に示す如く、前記多糖類溶液MAqを制御下に分散媒DSに滴下することで、混合溶液としつつsea−island効果を発現させ、これにより該分散媒DS中に会合状態となった際に所要粒径の多糖類微粒子10を形成するだけの量とし得るように、会合が解かれた状態となっている多糖類Mを所要量毎に分散させる工程である。具体的には、分散媒DS内に多糖類溶液MAqを滴下して(図3(a)参照)、これを該分散媒DS内で微小液滴とする滴下段階S21(図3(b)参照)と、多糖類溶液MAqの全量を分散媒DSに滴下して、該分散媒DS内に存在する該多糖類溶液MAqの微小液滴の合一によって、所要の大きさとする合一段階S22とからなる(図4(a)および(b)参照)。
【0042】
ここでsea−island効果とは、一方が多量成分であり、他方が少量成分である二成分系が存在する場合、多量成分間中に存在する少量成分(図3(a)参照)は、該多量成分が連続相に移行しようとする力を駆動力として、徐々に小さな塊に分かれて小さくなろうとする(図3(b)参照)現象である。従って、充分に多量にある分散媒DSに対して、少量の多糖類溶液MAqを加えれば、該多糖類溶液MAqがこの効果によって、自律的により小さな塊へと変化し続けることになる。そして分散媒DSおよび糖類溶液MAqの夫々の総量の比率や、粘度その他諸物性によって決定される最小の大きさに至ることになる。
【0043】
このようなsea−island効果を好適になすために、前記分散媒DSへの多糖類溶液MAqの滴下は、0.1ml/秒以下とされている。この値が0.1ml/秒を超えると、前記多糖類溶液MAqが滴下される分散媒DSの局所部位において、該多糖類溶液MAqが大量に存在する状態となって、sea−island効果の好適に発現しなくなってしまう。そしてこのsea−island効果の発現によって、前記滴下段階S21が進行・完了する。そし前記分散媒DSの量は、前記多糖類溶液MAqの全量の滴下が完了するまで、前述のsea−island効果を継続的に発現させるため、該多糖類溶液MAq100体積部に対して、100体積部以上に設定されている。この数値が100体積部未満であると、前記多糖類溶液MAqの分散媒DS内での存在量が、該多糖類溶液MAqの滴下進行に伴って増大して、該多糖類溶液MAqの好適な微小液滴化が困難となり、多糖類微粒子10における2μm以下の粒径が達成困難となってしまう。なお100体積部以上であり、かつ多糖類溶液MAqの滴下速度が0.1ml/秒以下ではれば、他の酸溶媒Aの種類および使用量や、分散媒DSの種類に拘わらず、最大でも2μm以下の粒径が達成される。またこのような微小な糖類微粒子10は、乾燥等の処理によって容易に凝集してしまうため、その粒子の微小性を生かすために、一般には水分に分散させた状態で使用に供される。
【0044】
前記合一段階S22は、その全量が分散媒DS内に存在している多糖類溶液MAqの微小液滴が、互いに衝突し合って合一することにより、その大きさを増大させる段階である。この段階S22で最終的に到達する前記多糖類溶液MAqの液滴の大きさは、基本的にsea−island効果によって微小化しようとする力と、前記分散媒DS内に存在する量によって変動する衝突回数との平衡によって決定される。これは、前記分散媒DSに対して滴下する多糖類溶液MAqの量と、該多糖類溶液MAqの該分散媒DS内での液滴の大きさとは比例すること、すなわち該分散媒DSに滴下する多糖類溶液MAqの総量によって、得られる多糖類微粒子10の大きさを制御し得ることを意味する。
【0045】
この滴下工程S2で使用される分散媒DSとしては、(a)水や、(b)一価のアニオンの金属塩水溶液(金属ハロゲン化物の水溶液を含む)または(c)二価以上のアニオンの金属塩水溶液が使用される。そしてこれらは、夫々多糖類溶液MAqへ与える作用が異なるため、以下に分説する。またこの理解に資するため、先にキトサンの溶解および析出(会合)について説明する。キトサンは、基本的に単糖類であるグルコサミンが、グリコシド結合によって連続した高分子であり、最小単位である該グルコサミン中には水酸基とアミノ基とが存在している。そして(1)水酸基のO(δ−)とH(δ+)との分極による水素結合と、(2)プラスに荷電したアミノ基同士の、アニオンを介したイオン結合とによって、分子内および/または分子間の会合状態(度合い)が決定されている。そしてその会合の度合いが一定値以上(大きい)となると、水に対して不溶化して析出し、一定値未満(小さい)となると、水に対して溶解することになる。ここで複数のアミノ基を結合させるためには、少なくとも電荷が−2以上となるアニオン、例えばSO2−等の二価以上のアニオンの介在が必要となる。
【0046】
先ず、(a)水を分散媒DSとして使用した場合は、基本的に水素結合を阻害してキトサンの会合度合いを低下させた酸溶媒Aに由来する水素イオンの量が減少するため、該水素結合が回復して、その結果、該会合度合いが大きくなり、キトサンが析出する。(b)の場合、(a)の作用に加えて、前記分散媒DS中で電離することになる一価のアニオンが、水素イオンと結合するため、更にキトサンの会合度合いは大きくなると考えられる。なお一価のアニオンはアミノ基と結合するが、この場合、該アニオンの電荷は−1であるため、1つのアミノ基とだけ結合して、他のアミノ基との結合はなさないため、会合度合いが変動することはない。
【0047】
更に(c)の場合、水素イオンに対する作用は(b)と略同じと考えられる。しかしその一方で複数のアミノ基の間に存在し、該アミノ基を介して多価アニオンのコンプレックスが生成される場合があるので、よりキトサンの会合度合いが大きくなり、(b)よりも大きな会合度合いとなると考えられる。従って(a)<(b)<(c)の順で、キトサンの会合度合いは大きくなる。これは前記分散媒DSの選択によっても、多糖類微粒子10の粒径を制御し得ることを意味する。実際に前記分散媒DSとして、(a)水または(b)一価のアニオンの金属塩水溶液を使用した場合には、該分散媒DS中で白濁せず輝いて観察される極めて微細な数十nm前後の多糖類微粒子10が得られることが確認されている。
【0048】
また前述の如く、そのアニオンの価数が多糖類微粒子10の粒径に大きな影響を与えるのと同様に、先の溶解工程S1で使用される酸溶媒Aの種類も、多糖類Mの析出に殊に大きな影響を及ぼしている。すなわち酸溶媒Aとして、例えば二価のアニオンであるSO2−を備える硫酸を使用する場合、多糖類Mを混合しても全く溶解しないと考えられる。これは水素イオンによる水素結合の阻害に由来する会合状態の解除によって発現する溶解量よりも、複数のアミノ基とのコンプクレックス生成に由来して発現する会合量の方が大きいためである。このようにより微細な多糖類微粒子10の製造を考える場合、一価のアニオンの酸や金属塩の使用が好ましい。なお前述の酸におけるアニオンの価数については、その数字だけでなく、酸解離定数(pKa)も重要な指標となる。具体的に、pKaが低い硫酸の如き無機酸の場合は、前述の如く、酸溶媒Aとしての使用に向かない。これに対して、同じ無機酸であっても炭酸またはリン酸や、各種有機酸等のpKaの高い物質は採用可能である。
【0049】
前記析出工程S3は、混合溶液中に存在し、キトサンの会合を阻害する要因となっている、水素イオン或いは水素イオンおよびアニオン(以下、会合阻害物質と云う)を除去し、該キトサンを会合・析出させる工程である。本析出工程S3は、混合溶液中から会合阻害物質を除去し得る方法であれば、公知の如何なる方法でも採用可能である。しかし混合溶液中から会合阻害物質を除去するまでは、キトサンの会合、すなちわ析出は完全ではないため、その粒径が変動してしまう虞がある。
【0050】
従って、物理的な力を加える、例えば濾過またはデカンテーションや、sea−island効果に影響を及ぼす混合溶液からの水分等、特定成分だけの除去は好ましくない。そのため前記会合阻害物質だけを除去可能な、透析膜等の使用が好適である。また余りにその透析速度が大きな場合には、キトサンの会合に影響を与える各物質の移動させる駆動力となってしまうため、その速度も0.1ml/秒以下であることが好ましい。
【0051】
ここまでの説明で分かる通り、本発明に係る多糖類微粒子およびその製造方法では、(1)sea−island効果によって、原料的な観点(多糖類M)から多糖類微粒子10の微粒子化を可能とし、(2)更に多糖類溶液MAqの分散媒DSへの滴下量の調整によって、同じく原料的な観点から多糖類微粒子10の粒径制御を可能とし、(3)最終的に多糖類Mの会合状態を制御することで、方法的な観点から多糖類微粒子10の微粒子化および粒径制御を可能としている。
【0052】
また本実施例のように、多糖類Mとしてキトサンを採用する場合、その会合度合いを決定する1つの要因であるアミノ基へのアニオンの結合は、該キトサンの高い化学的活性を阻害してしまう。従って、キトサンの使用時(水の介在下([0043]参照))において前記アミノ基からアニオンが解離していることが望まれる。このため前記酸溶媒Aとしては、アニオンが塩化物イオンであると共に、pKaの高い塩酸等を使用することが好ましい。具体的には、アニオンが塩化物イオンである塩酸を酸溶媒Aとして使用したり、アニオンが塩化物イオンまたは臭化物イオンである塩化ナトリウム、塩化マグネシウム,塩化リチウム,臭化リチウム等の金属ハロゲン化物の水溶液を分散媒DSとして使用することが考えられる。
【0053】
またこのように塩素等のハロゲン化物を用いる場合、その使用時(水の介在下([0043]参照))においてはアミノ基と塩素との電離生成物であるアンモニウムイオンとハロゲン化物(塩素)イオンとが中和して,電荷的に中性になる。このため、これまで同様の使用において酸性を呈していたキトサン(溶液)に比較して、その使用用途を格段に拡げることが可能となっている。
【0054】
(実験例)
以下に本発明に係る多糖類微粒子についての実験例を示す。なお全実験とも、溶解工程S1において、多糖類溶液としては、多糖類としてキトサンを、酸溶媒として乳酸水溶液(濃度1.3重量%)を夫々採用して混合攪拌して得た、濃度1.5重量%のキトサン乳酸水溶液を使用した。また析出工程S3においては、透析膜を使用した塩析法によって過剰な混合溶液中の水素イオンおよび分散媒に係る塩を除去している。
【0055】
(実験1) 多糖類溶液の分散媒への滴下総量と、得られる多糖類微粒子の粒径との関係について
前記多糖類溶液を使用し、分散媒として濃度14重量%の硫酸ナトリウム水溶液を液温を40℃まで加熱して使用し、150mlの分散媒に対して表1に記載した実施例1〜4に係る総量の該多糖類溶液を、速度0.1ml/秒で滴下した。その後,水溶液を5℃まで急冷すると共に、前述の塩析(速度0.1ml/秒)を実施して多糖類微粒子を得た。そして得られた多糖類微粒子の粒径を、光散乱(DLS)法によって、その分布と共に測定した。
【表1】

【0056】
(使用原料)
・キトサン:和光純薬製
・乳酸:和光純薬製
・硫酸ナトリウム:和光純薬製
(使用装置)
・DSL粒度分布測定装置:商品名 ゼータサイザーナノ;JEOL製)
【0057】
(実験1の結果)
実験1の結果を、図5および表1に示す。この図および表から分かるように、実施例1に係る多糖類微粒子は、浴比すなわち,塩水溶液に対する滴下量の比の減少に伴い,粒径がサブミクロンサイズまで小さくなることと、その滴下総量と粒径とが正の相関関係を有することが確認された。
【0058】
(実験2) 分散媒の種類と、得られる多糖類微粒子の粒径との関係について
前記多糖類溶液を使用し、かつ分散媒として濃度3.125重量%となるように調整した下記([0059])の一価のアニオンの金属塩水溶液または(c)二価以上のアニオンの金属塩水溶液を夫々使用することで得た混合溶液から、実験1に準じた条件下で実施例5〜14に係る多糖類微粒子を作製した。そして得られた多糖類微粒子の状態を、目視によって確認した。また実施例8と、参考として前述の実験1の実施例1とについて、得られた多糖類微粒子の外形等を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。
【0059】
(使用原料)
・実施例5:NaCl(和光純薬製)
・実施例6:NaPH(和光純薬製)
・実施例7:MgCl(和光純薬製)
・実施例8:NaHPO(和光純薬製)
・実施例9:NaSO(和光純薬製)
・実施例10:NaSO(和光純薬製)
・実施例11:KSO(和光純薬製)
・実施例12:MgSO(和光純薬製)
・実施例13:NaHPO(和光純薬製)
・実施例14:NaPO(和光純薬製)
(使用装置)
・透過型電子顕微鏡(TEM):商品名 2000FX;JEOL製)
【0060】
(実験2の結果)
この実験2の結果、一価アニオン系では,白濁せずに輝く微小な数nmオーダーの多糖類微粒子の生成が観察された。それに対して多価アニオンの系では,白濁現象が観察された。これはキトサンのアミノ基と多価アニオンとのコンプレックスにより,糖鎖間に架橋が生じ、該キトサンの会合が大きくなっていることに起因していると考えられる。ここから分散媒の種類を適宜選択することでも、多糖類微粒子の粒径が制御可能であり、更に非常に微小な粒子の生成が可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の好適な実施例に係る多糖類微粒子の製造工程を示す工程図である。
【図2】実施例に係る溶解工程S1を示す状態図である。
【図3】実施例に係る滴下工程S2における滴下段階S21(sea−island効果)を示す状態図である。
【図4】実施例に係る滴下工程S2における合一段階S22を示す状態図である。
【図5】実験1における実施例1〜4の夫々に係る多糖類微粒子のDLS粒度分布の結果を示すグラフ図である。
【図6(a)】実験2における実施例8に係る多糖類微粒子のTEM写真である。
【図6(b)】実験1における実施例1に係る多糖類微粒子のTEM写真である。
【符号の説明】
【0062】
10 多糖類微粒子,A 酸溶媒,M 多糖類.MAq 多糖類溶液,DS 分散媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸溶媒(A)に対して多糖類(M)を溶解させた多糖類溶液(MAq)を、この多糖類溶液(MAq)100体積部に対して100体積部以上とした分散媒(DS)としての水に滴下した後、該多糖類溶液(MAq)と分散媒(DS)との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類(M)を会合・析出させ、
これにより、その粒径が2μm以下の任意の数値に制御可能となっている
ことを特徴とする多糖類微粒子。
【請求項2】
前記多糖類(M)は、該多糖類(M)をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類である請求項1記載の多糖類微粒子。
【請求項3】
前記酸溶媒(A)として塩酸を用いることで、そのpHが略中性となる多糖類塩酸塩とされる請求項1または2記載の多糖類微粒子。
【請求項4】
酸溶媒(A)に対して多糖類(M)を溶解させた多糖類溶液(MAq)を、この多糖類溶液(MAq)100体積部に対して100体積部以上とした分散媒(DS)としての一価または二価以上のアニオンの金属塩水溶液に滴下した後、該多糖類溶液(MAq)と分散媒(DS)との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類(M)を会合・析出させ、
これにより、その粒径が2μm以下の任意の数値に制御可能となっている
ことを特徴とする多糖類微粒子。
【請求項5】
前記多糖類(M)は、該多糖類(M)をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類である請求項4記載の多糖類微粒子。
【請求項6】
前記分散媒(DS)として金属ハロゲン化物の水溶液を用いることで、そのpHが略中性となる多糖類塩酸塩とされる請求項4または5記載の多糖類微粒子。
【請求項7】
前記酸溶媒(A)をなす酸は、乳酸である請求項4〜6の何れかに記載の多糖類微粒子。
【請求項8】
前記酸溶媒(A)中における酸の存在量は、1〜30重量%の範囲に設定される請求項1〜7の何れかに記載の多糖類微粒子。
【請求項9】
前記多糖類(M)は、キトサンである請求項1〜8の何れかに記載の多糖類微粒子。
【請求項10】
多糖類(M)を酸溶媒(A)に投入・溶解させて多糖類溶液(MAq)とし、
この多糖類溶液(MAq)100体積部に対して、100体積部以上とした分散媒(DS)としての水に該多糖類溶液(MAq)を滴下し、
前記多糖類溶液(MAq)と分散媒(DS)との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類(M)を会合・析出させることで、
その粒径が2μm以下で、任意に制御された多糖類を製造するようにした
ことを特徴とする多糖類微粒子の製造方法。
【請求項11】
前記多糖類(M)として、該多糖類(M)をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類が使用される請求項10記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記水に対する、前記多糖類溶液(MAq)の滴下は、0.1ml/秒以下で実施される請求項10または11記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記酸溶媒(A)として塩酸が使用される請求項10〜12の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記水素イオンの除去と共に、酸溶媒(A)を構成する塩も併せて除去するようにした請求項10〜13の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項15】
多糖類(M)を酸溶媒(A)に投入・溶解させて多糖類溶液(MAq)とし、
この多糖類溶液(MAq)100体積部に対して、100体積部以上とした分散媒(DS)としての一価または二価以上のアニオンの金属塩水溶液に該多糖類溶液(MAq)を滴下し、
前記多糖類溶液(MAq)と分散媒(DS)との混合溶液から、少なくとも過剰な水素イオンを除去することで、該多糖類(M)を会合・析出させることで、
その粒径が2μm以下で、任意に制御された多糖類を製造するようにした
ことを特徴とする多糖類微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記多糖類(M)として、該多糖類(M)をなすピラノース環の構造内にプラス電荷に帯電する官能基を備えるカチオン性多糖類が使用される請求項15記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記金属塩溶液に対する、前記多糖類溶液(MAq)の滴下は、0.1ml/秒以下で実施される請求項15または16記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記分散媒(DS)として、金属ハロゲン化物の水溶液が使用される請求項15〜17の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項19】
前記酸溶媒(A)をなす酸として、乳酸が使用される請求項15〜18の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項20】
前記水素イオンの除去と共に、酸溶媒(A)を構成する塩および分散媒(DS)を構成する塩も併せて除去される請求項15〜19の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項21】
前記水素イオン等の除去には、透析膜が使用される請求項10〜20の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。
【請求項22】
前記多糖類(M)の酸溶媒(A)への溶解は、加熱によって達成され、かつ多糖類微粒子(10)の析出は冷却によって達成される請求項10〜21の何れかに記載の多糖類微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【公開番号】特開2006−298805(P2006−298805A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121103(P2005−121103)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(505145127)
【出願人】(000117858)
【Fターム(参考)】