説明

多結晶シリコンの製造方法及び多結晶シリコンの製造装置

【解決課題】反応炉内に析出した多結晶シリコンの反応炉内からの取り出しが容易であり、製造効率が高い多結晶シリコンの製造方法を提供すること。
【解決手段】反応炉内で四塩化珪素と亜鉛を反応させて、反応炉内に多結晶シリコンを生成させる第一工程と、907〜1200℃で、該反応炉内に、四塩化珪素のみを供給するか、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、該第一工程でのモル比よりも小さくなる供給量で、四塩化珪素及び亜鉛を供給する第二工程と、該反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉内を不活性ガス雰囲気にし、次いで、多結晶シリコンを、800℃以上の反応炉内から、該反応炉に繋がる不活性ガス雰囲気の冷却空間へ移動させることにより、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へ取り出し、冷却する第三工程と、を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンの製造方法及びそれに用いられる多結晶シリコンの製造装置に関するものであり、更に詳しくは、太陽電池用多結晶シリコンの製造方法及びそれに用いられる多結晶シリコンの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の太陽電池の普及に伴い、多結晶シリコンの需要は急増している。従来、高純度の多結晶シリコンを製造する方法としてシーメンス法(Siemens Method)が挙げられる。シーメンス法はトリクロロシラン(SiHCl)を水素(H)によって還元する方法である。シーメンス法により製造される多結晶シリコンは純度がイレブン−ナイン(11−N)と非常に高く、半導体用シリコンとして使用されている。太陽電池用シリコンもこの半導体用シリコンとして製造された製品の一部を使用してきたが、11−Nほどの純度を必要としない点とシーメンス法が多くの電力を消費する点から、太陽電池用シリコンに適した安価な製造方法が求められている。
【0003】
このような中、太陽電池用シリコンの製造方法として、亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法が提案されており、その反応は下記式(1):
SiCl + 2Zn = Si + 2ZnCl (1)
により示すものである。
【0004】
亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法では、製造される多結晶シリコンの純度はシックス−ナイン(6−N)程度であり、半導体用シリコンに比べると純度は低いものの、シーメンス法と比較して5倍程度にも達する程反応効率に優れ且つ製造コストも有利な製造方法である。
【0005】
多結晶シリコンの製造方法としては、例えば、反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出し、前記混合物を分離容器に収容し、混合物中の塩化亜鉛を分離してのち、多結晶シリコンを分離容器から回収することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法(特許文献1)や、反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出してのち、前記混合物中の塩化亜鉛を分離して、多結晶シリコンを回収する多結晶シリコンの製造方法であって、分離された塩化亜鉛を電気分解して金属亜鉛と塩素を回収し、回収された金属亜鉛を再び前記四塩化珪素の還元剤として用いるとともに、回収された塩素を水素と合成させて塩化水素とし、前記四塩化珪素を生成するための金属シリコンの塩化処理に用いることを特徴とする多結晶シリコンの製造方法(特許文献2)が報告されている。
【0006】
特許文献1および2はいずれも液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元している。しかし、溶融亜鉛を用いる方法では、多結晶シリコンが粉状となり、後処理の煩雑さや不純物処理の難しさ及びキャスティングの困難さのために高コストになるという問題がある。
【0007】
そこで、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気を用いて亜鉛還元法を行うシリコンの製造方法としては、例えば、鉛直方向に立設された反応管に加熱しながら反応管の側周面に設けられた亜鉛蒸気供給口より亜鉛蒸気を供給するとともに、四塩化珪素蒸気を前記亜鉛蒸気供給口よりも下方から反応管の中心軸に沿って上方に向かって吐出させて、反応管内の温度分布を側周面側よりも中心軸側のほうが低くなるようにしてシリコン粉を製造する方法が報告されている(特許文献3)。
【0008】
また、反応容器内に珪素化合物供給配管と亜鉛供給配管を有し、反応容器内の整流部材を通してシリコンを含む反応生成ガスを反応容器外に排出するシリコン製造装置も報告されている(特許文献4)。
【0009】
特許文献3、4はともにシリコンを含む反応生成ガスを反応容器外に排出するもので、得られるシリコンはシリコン粉である。ところが、粉状のシリコンはインゴット製造のために溶融する際、非常に熔解し難いという問題に加え、単位重量当たりの表面積が大きいことから純度が低くなり利用価値が乏しいという問題があった。
【0010】
このため、得られるシリコンの形状としてはある程度の大きさを有するものが好ましい。針状又はフレーク状のシリコンを製造する方法としては、例えば、高純度四塩化珪素及び高純度亜鉛をそれぞれ気化させて、ガス化雰囲気において反応を行うことにより、製品として取り出すシリコンの多くが針状又はフレーク状である太陽電池用多結晶シリコンの製造方法が報告されている(特許文献5)。
【0011】
特許文献5では、反応炉の内部に通電可能なタンタル芯またはシリコン芯を有し、この芯棒(析出棒)の温度を反応温度よりも上げることで反応炉よりも芯棒に針状、フレーク状のシリコンを析出させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−011925号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平11−092130号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2009−107896号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2009−167022号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2004−018370号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献5のように、反応炉内に針状やフレーク状のシリコンの結晶させる多結晶シリコン製造方法の場合、多結晶シリコンは、反応炉の内壁や析出棒に付着しているため、四塩化珪素と亜鉛との反応を終了させた後、一旦、反応炉を冷却し、次いで、反応炉の内壁に付着したシリコンを掻き出し、析出棒に析出した多結晶シリコンを析出棒ごと反応炉から取り出すことにより、反応炉内に生成した多結晶シリコンを反応炉外へ取り出してから、反応炉内の温度を昇温させて、四塩化珪素と亜鉛との反応を再開する必要があった。
【0014】
ところが、このような製造方法では、反応炉の冷却及び昇温に長時間を要することや、反応炉の内壁に付着した多結晶シリコンを剥離するのに時間がかかることから、反応の停止時間が長くなってしまうため、従来の多結晶シリコン製造方法には、多結晶シリコンの製造効率が悪くなるという問題があった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、反応炉内に析出した多結晶シリコンの反応炉内からの取り出しが容易であり、製造効率が高い多結晶シリコンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させて、多結晶シリコンを生成させる工程を行った後に、四塩化珪素のみを、又は多結晶シリコンの生成工程での四塩化珪素に対する亜鉛のモル比より小さいモル比で、四塩化珪素及び亜鉛を、反応炉内に供給することにより、反応炉の内壁及び析出棒に付着した多結晶シリコンを、反応炉の内壁及び析出棒から容易に剥離させることができること、そのため、(2)反応炉内の温度を高く保ったままで、反応炉内から反応炉外へ多結晶シリコンを取り出すことができること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
すなわち、本発明(1)は、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛を反応させて、反応炉内に多結晶シリコンを生成させる第一工程と、
907〜1200℃で、該反応炉内に、四塩化珪素のみを供給するか、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、該第一工程でのモル比よりも小さくなる供給量で、四塩化珪素及び亜鉛を供給する第二工程と、
該反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉内を不活性ガス雰囲気にし、次いで、多結晶シリコンを、800℃以上の反応炉内から、該反応炉に繋がる不活性ガス雰囲気の冷却空間へ移動させることにより、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へ取り出し、冷却する第三工程と、
を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明(2)は、上部に四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管を有し且つ下部に排出ガスの排出管を有し、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉と、該反応炉の底部側に設置され、不活性ガス雰囲気の冷却空間を形成する冷却部と、を有し、
該反応炉と該冷却部との間は、該反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させているときは、該反応炉内の気体が該冷却部に漏れないように閉じられ、且つ、四塩化珪素と亜鉛との反応を行った後は、該反応炉内から該冷却空間への多結晶シリコンの移動ができるように開く構造になっていること、
を特徴とする多結晶シリコンの製造装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、反応炉内に析出した多結晶シリコンの反応炉内からの取り出しが容易であり、製造効率が高い多結晶シリコンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の多結晶シリコンの製造方法で用いられる多結晶シリコンの製造装置の形態例の模式的な端面図である。
【図2】図1中の反応炉の側壁部と炭化珪素棒と四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを示す端面図である。
【図3】反応炉内で生成した多結晶シリコンを反応炉外へ取り出す様子を示す模式的な端面図である。
【図4】反応炉内で生成した多結晶シリコンを反応炉外へ取り出す様子を示す模式的な端面図である。
【図5】反応炉内で生成した多結晶シリコンを反応炉外へ取り出す様子を示す模式的な端面図である。
【図6】反応炉の側壁部と炭化珪素棒の配置を示す模式的な端面図である。
【図7】四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(B)を示す模式図である。
【図8】四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)を示す模式図である。
【図9】本発明の多結晶シリコンの製造方法に用いられる反応炉の形態例の模式的な端面図である。
【図10】図9中の反応炉の側壁部と炭化珪素棒と四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の多結晶シリコンの製造方法について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本発明の多結晶シリコンの製造方法に用いられる多結晶シリコンの製造装置の形態例の模式的な端面図である。図2は、図1中の反応炉の側壁部(反応炉)と炭化珪素棒と四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを示す端面図であり、x−x線で水平方向に切ったときの端面図である。図3〜図5は、反応炉内で生成した多結晶シリコンを反応炉外へ取り出す様子を示す模式的な端面図である。なお、図2では、説明の都合上、図示したもの以外の記載を省略した。また、図1〜図5では、析出棒として炭化珪素棒を用いる場合の形態例を代表例として記載したが、本発明では、析出棒は炭化珪素棒に限定されるものではない。
【0022】
図1中、多結晶シリコンの製造装置50は、反応炉20と、その底部側に設置される冷却部44と、からなる。図1中、反応炉20は、縦長の円筒形状を有する側壁部31と、側壁部31の上を塞ぐ蓋部32と、反応炉20を加熱するためのヒーター5と、からなる。反応炉20の上部には、四塩化珪素蒸気9の供給管7及び亜鉛蒸気10の供給管8が付設されており、反応炉20の下部には、排出ガス11を排出するための排出管6が付設されている。反応炉20内には、固定部材4を介して4本の炭化珪素棒(析出棒)3が設置されている。また、固定部材4には、四塩化珪素蒸気の供給空間を区画するための四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13と、亜鉛蒸気の供給空間を区画するための亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14と、が固定されている。四塩化珪素蒸気の供給管7は、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13に繋がっており、亜鉛蒸気の供給管8は、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14に繋がっている。そして、固定部材4が、側壁部31の内壁に形成されている炉内壁つば部12に引っ掛けられることより、炭化珪素棒3は、反応炉20の内部に下向きに突き出るように設置される。また、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13と、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14とが、反応炉20の上部に設置されている。なお、側壁部31と蓋部32とは、例えば、それぞれのつば部の間にシール材を挟み込み、つば部同士をボルト締めすること等により、密閉されている。
【0023】
四塩化珪素蒸気の供給管7の一端は、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13に繋がっており、他端は、四塩化珪素の蒸発器に繋がっている。また、亜鉛蒸気の供給管8の一端は、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14に繋がっており、他端は、亜鉛の蒸発器に繋がっている。また、排出管6は、排出ガス11、すなわち、四塩化珪素と亜鉛が反応する際に生成する塩化亜鉛ガス及び未反応ガスである四塩化珪蒸気及び亜鉛蒸気を回収するための回収装置に繋がっている。
【0024】
図1及び図2に示すように、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13は、円筒形状の区画壁131と円形の上側部材とからなる。また、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14は、円筒形状の内側の区画壁141と、円筒形状の外側の区画壁142と、ドーナツ形状の上側部材とからなる。そして、区画壁131と、区画壁141と、区画壁142とは、反応炉の中心と同心円状に設置されている。
【0025】
反応炉20は、側壁部31の下端の固定部39が、定盤41に固定されることにより、定盤41の上に設置されている。定盤41は、反応炉20が設置される土台である。定盤41と側壁部の下端の固定部39との間は、反応炉内の空間2内に外気が入らないように、密閉されている。
【0026】
定盤41の下側、すなわち、反応炉20の底部側には、冷却空間45を形成する冷却部44が設けられている。定盤41と冷却部44との間は、冷却空間45内に外気が入らないように、密閉されている。
【0027】
冷却空間45内には、反応炉20内から移動してくる多結晶シリコンを受けるための冷却空間内シリコン受け部43が設置されている。
【0028】
反応炉内の空間2と冷却空間45との境界には、反応炉内の空間2と冷却空間45とを区切るための開閉部42が、開閉可能に設置されている。開閉部42は、反応炉20内で四塩化珪素と亜鉛との反応を行っているときは、反応炉内の気体が冷却部44に漏れないように反応炉内の空間2と冷却空間45との間を閉じ、且つ、四塩化珪素と亜鉛との反応が終わった後は、反応炉20内に生成した多結晶シリコンを、反応炉20内から冷却空間45へ移動させるために、反応炉内の空間2と冷却空間45とを繋げるために開く部材である。また、開閉部42には、反応炉内シリコン受け部46及び断熱材47が取り付けられている。
【0029】
冷却部44には、冷却空間45を不活性ガス雰囲気とするために、冷却部44内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給管(図示せず。)及び冷却部44内の不活性ガスを排出するための不活性ガス排出管(図示せず。)が付設されている。
【0030】
反応炉20の熱が冷却空間45へ伝わらないように、反応炉20と冷却空間45の間を遮熱するための手段が設けられていてもよい。反応炉20と冷却空間45の間を遮熱する手段としては、例えば、反応炉20と冷却空間45との境界に設けられる開閉部42に、断熱材47を設置すること、反応炉20の取り付け部位(図1の形態例では、側壁部の下端の固定部39)と定盤41との間に断熱材を付設すること、定盤41の内部に断熱材層を配置すること等が挙げられる。
【0031】
図1に示す多結晶シリコンの製造装置を用いる本発明の多結晶シリコンの製造方法について、図1〜図5を参照して説明する。本発明の多結晶シリコンの製造方法では、先ず、図1に示す反応炉20内で、四塩化珪素と亜鉛とを反応させて、多結晶シリコンを生成させる工程を行う。先ず、ヒーター5により反応炉20内を加熱しておき、次いで、四塩化珪素及び亜鉛をそれぞれの蒸発器により気化させて、四塩化珪素蒸気9を四塩化珪素蒸気の供給管7から、亜鉛蒸気10を亜鉛蒸気の供給管8から、反応炉20内に供給しつつ、排出ガス11を該排出管6から、反応炉20の外へ排出する。このとき、反応炉20内では、四塩化珪素と亜鉛が反応して、シリコンが生成するが、反応炉20内には、炭化珪素棒(析出棒)3が設置されているので、図3に示すように、生成したシリコン(多結晶シリコン1)が、炭化珪素棒(析出棒)3に析出する。そして、反応炉20の上部から四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給し、反応炉20の下部から排出ガス11を排出しているので、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気は、反応炉20の上部から下向きに移動しており、その流れに沿うように炭化珪素棒(析出棒)3が存在しているので、炭化珪素棒(析出棒)3を覆うように、シリコンの結晶が成長する。また、四塩化珪素と亜鉛の反応により、塩化亜鉛も生成するが、塩化亜鉛ガスは、未反応の四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気と共に、排出ガス11として、排出管6から外へ排出される。
【0032】
四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材13に先ず供給されるので、区画部材13により区画されている四塩化珪素蒸気の供給空間132内に拡散する。四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給空間132に拡散後、四塩化珪素蒸気の供給口133から、反応炉20内に供給される。また、亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材14に先ず供給されるので、区画部材14により区画されている亜鉛蒸気の供給空間143内に拡散する。亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給空間143に拡散後、亜鉛蒸気の供給口144から、反応炉20内に供給される。なお、反応炉20では、四塩化珪素蒸気の供給口131の形状は円形であり、また、亜鉛蒸気の供給口144の形状はドーナツ形状である。
【0033】
そして、所定時間、四塩化珪素と亜鉛との反応を、反応炉20内で行うことにより、炭化珪素棒(析出棒)3に多結晶シリコン1を析出させる。
【0034】
次いで、反応炉20内の温度907〜1200℃で、反応炉20内に、四塩化珪素蒸気9のみを供給するか、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、第一工程でのモル比より小さくなるように、四塩化珪素蒸気9及び亜鉛蒸気10を供給する工程を行う。
【0035】
そして、所定時間、反応炉20内に、四塩化珪素蒸気9のみ、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、第一工程でのモル比より小さくなるように、四塩化珪素蒸気9及び亜鉛蒸気10を供給することで、図4に示すように、多結晶シリコン1が炭化珪素棒(析出棒)3から剥離して、反応炉20の底部の反応炉内シリコン受け部46に落下する。
【0036】
次いで、反応炉20の底部の反応炉内シリコン受け部46に落下した多結晶シリコン1を、反応炉20内から反応炉20外へと取り出す工程を行う。先ず、反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉20内への四塩化珪素蒸気9及び亜鉛蒸気10の供給を止める。次いで、反応炉内の温度が800℃以上で、不活性ガスを、不活性ガスの供給管(図示しない。)から、反応炉20内に供給し、排出管6より排出して、反応炉20内を不活性ガス雰囲気にする。また、並行して、不活性ガスを、不活性ガスの供給管(図示しない。)から、冷却部44内に供給し、不活性ガスの排出管(図示しない。)より排出して、冷却空間45を不活性ガス雰囲気にする。次いで、図5に示すように、開閉部42を開けることにより、反応炉20の底部にあった多結晶シリコン1を、冷却空間内シリコン受け部43に落下させて、多結晶シリコン1を、800℃以上の反応炉20内から冷却空間45へと移動させる。このことにより、多結晶シリコン1を、反応炉20内から反応炉20外へと取り出す。なお、図3〜図5では、作図の都合上、多結晶シリコン1を塊として記載しているが、実際は、棒状、粒状若しくは板状、又は棒状、粒状及び板状のもののうちの少なくとも1種が複数接合した形状である。
【0037】
次いで、開閉部42を閉じて、図1に示す状態に戻し、再び、四塩化珪素蒸気9及び亜鉛蒸気10の供給を開始して、反応炉20内での多結晶シリコンの製造を行う。
【0038】
すなわち、本発明の多結晶シリコンの製造方法は、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛を反応させて、反応炉内に多結晶シリコンを生成させる第一工程と、
907〜1200℃で、該反応炉内に、四塩化珪素のみを供給するか、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、該第一工程でのモル比よりも小さくなる供給量で、四塩化珪素及び亜鉛を供給する第二工程と、
該反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉内を不活性ガス雰囲気にし、次いで、多結晶シリコンを、800℃以上の反応炉内から、該反応炉に繋がる不活性ガス雰囲気の冷却空間へ移動させることにより、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へ取り出し、冷却する第三工程と、
を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法である。
【0039】
本発明の多結晶シリコンの製造方法に係る第一工程は、反応炉内で、四塩化珪素と亜鉛を反応させて、反応炉内で多結晶シリコンを生成させる工程である。
【0040】
第一工程で、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる方法としては、特に制限されず、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンの結晶生成させる方法であればよい。第一工程において、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる方法としては、縦型の反応炉の上部から、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給し、縦型の反応炉の下部から、排出ガスを排出することにより、反応炉内で、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気を接触させて、反応させ、反応炉内に多結晶シリコンを生成させる方法(以下、第一工程の形態Aとも記載する。)が、多結晶シリコンの収率が高く且つ反応炉からの多結晶シリコンの取り出しが容易になる点で、好ましい。なお、縦型の反応炉とは、反応炉の上部から反応炉内に供給された四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、反応炉の上部から下部に向かって下向きに移動しながら反応するような形状の反応炉を指す。言い換えると、縦型の反応炉とは、原料及び排出ガスが、反応炉の上部から下部に向かって流れる反応炉である。
【0041】
本発明の多結晶シリコンの製造方法では、反応炉内は1,000℃程度の温度となるため、反応炉の材質としては、透明石英、不透明石英、焼結石英などの石英、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられ、強度面からは、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、また、温度勾配に起因するひび割れが起き難い点からは、石英、窒化珪素が好ましい。また、反応炉の構造等によっては、反応時の加熱温度に耐えられるのであれば、反応炉の材質としては、特に制限されない。また、反応炉の側壁部と蓋部が、異なる材質であってもよい。
【0042】
反応炉の大きさは、特に限定されないが、四塩化珪素及び亜鉛の供給条件によって、適宜選択される。第一工程の形態Aに係る縦型の反応炉の場合、好ましくは、反応炉の縦方向の長さは、1,000〜6,000mmであり、円筒形状の場合、直径が200〜2,000mmである。
【0043】
反応炉には、四塩化珪素及び亜鉛の供給手段が付設されている。第一工程の形態Aに係る縦型の反応炉では、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段が、反応炉の上部に付設され、排出管が、反応炉の下部に付設される。そして、第一工程の形態Aに係る反応炉では、反応炉内で原料蒸気の下方向の流れが形成され、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛の反応を起こさせることができるような位置(上下方向の位置)に、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段と、排出管とが付設される。
【0044】
反応炉の側壁の周囲には、ヒーターが設置される。ヒーターとしては、電気ヒーターが好ましい。
【0045】
四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応では、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、反応炉内で激しく撹拌されると、直径が3μm以下の細粒状の多結晶シリコンが生成するが、このような細粒状の多結晶シリコンは、充填密度が低く溶融に時間がかかる。一方、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気とが、反応炉内で穏やかに接触すると、好ましくは線速5cm/秒以下の速度で接触すると、径が大きい棒状、粒状若しくは板状の多結晶シリコン、又は径が大きい棒状、粒状若しくは板状の多結晶シリコンが複数付着した形状の多結晶シリコンが生成するが、このような大きさが大きい多結晶シリコンは、細粒状の多結晶シリコンに比べ、溶融し易く、溶融時間が短くなる。そのため、第一工程、特に、第一工程の形態Aでは、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、反応炉内で激しく撹拌されないような条件、すなわち、直径が3μm以下の細粒状の多結晶シリコンが生成し難い条件で、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を、反応炉に供給することが好ましい。つまり、第一工程、特に、第一工程の形態Aでは、径が大きい棒状、粒状若しくは板状の多結晶シリコンが複数付着した形状の多結晶シリコンが生成し易い原料蒸気の供給条件で、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を、反応炉に供給する。このような原料蒸気の供給条件は、反応炉の大きさ、析出棒の設置位置又は設置本数等により、適宜選択される。
【0046】
第一工程、特に、第一工程の形態Aにおいて、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の供給量比率(モル比)は、四塩化珪素蒸気:亜鉛蒸気=0.7:2〜1.3:2であり、好ましくは0.8:2〜1.2:2であり、特に好ましくは0.9:2〜1.1:2である。また、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気は、窒素ガス等の不活性ガスで希釈されていてもよく、その場合、四塩化珪素蒸気の希釈率は、体積割合((四塩化珪素蒸気+不活性ガス)/四塩化珪素蒸気)で、好ましくは1.01〜1.5、特に好ましくは1.02〜1.3であり、亜鉛蒸気の希釈率は、体積割合((亜鉛蒸気+不活性ガス)/亜鉛蒸気)で、好ましくは1.005〜1.3、特に好ましくは1.01〜1.2である。
【0047】
亜鉛の沸点は、「化学便覧」(日本化学会編)によると907℃であるため、第一工程では、反応炉内の温度が、亜鉛の沸点である907℃以上になるように、反応炉を加熱する。反応炉内の温度は、907〜1,200℃、好ましくは930〜1,100℃である。また、反応炉内の圧力は、好ましくは0〜700kPaG、特に好ましくは0〜500kPaGである。上記範囲に反応条件を設定することで、反応炉内に安定的に多結晶シリコンを析出させることが可能となる。
【0048】
第一工程では、特に、第一工程の形態Aでは、反応炉内に析出棒を設置することが好ましい。反応炉内に、析出棒を設置することにより、多結晶シリコンを析出棒に選択的に析出させることができ、反応炉の壁面への多結晶シリコンの付着を低減できる。また、析出棒を設置することにより、第二工程で、多結晶シリコンを、反応炉の下部に集め易くなる。
【0049】
析出棒としては、例えば、炭化珪素棒、窒化珪素棒、タンタル棒、シリコン棒が挙げられる。特に、強度面や、不純物の混入による多結晶シリコンへの影響が少ないという点で、析出棒としては、炭化珪素棒が好ましい。析出棒は、反応炉内に設置される。析出棒の形状としては、角柱状、円柱状が好ましく、特に、円柱状が好ましい。析出棒の形状が円柱状の場合、析出棒の直径は、強度や加工面から、1〜20cmが好ましく、2〜10cmが特に好ましい。また、固定部材4の下側から排出管6の上側の間に存在する該析出棒の長さは、固定部材4の下側から該排出管6の上側までの縦方向の長さに対し5〜120%が好ましく、20〜100%が特に好ましく、40〜90%が更に好ましい。
【0050】
析出棒のうち炭化珪素棒は、炭化珪素の成形体であるが、通常、炭化珪素の成形体は、多数の細孔を有する多孔質体である。そして、炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素にシリコンが含浸されているシリコン含浸炭化珪素棒であることが、含浸されているシリコンが、反応により生成する多結晶シリコンの結晶の種となり、炭化珪素棒への多結晶シリコンの析出を促進できる点で好ましい。シリコン含浸炭化珪素棒では、炭化珪素:含浸シリコンの質量比が、80:20〜95:5であることが好ましく、80:20〜90:10が特に好ましい。シリコン含浸炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素棒を、溶融シリコン中に浸漬し、溶融シリコンを炭化珪素の孔に含浸させることにより得られる。
【0051】
また、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒であっても、反応炉内に設置され、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応が行われた場合、反応の初期の段階では、炭化珪素棒の外側近傍の多孔質構造内で、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気との接触が起こり、そこでシリコンが生成するので、炭化珪素棒の外側近傍は、孔内にシリコンが含浸されているのと同様な状態になる。そのため、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒でもよく、特に、炭化珪素棒が繰り返し使用される場合は、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒は、繰り返し使用により、シリコンが含浸されている多孔質の炭化珪素棒と同様な状態になる。
【0052】
析出棒の設置本数は、1本又は2本以上である。また、析出棒の設置位置は、特に限定されない。例えば、図6に示すように、炭化珪素棒(析出棒)が4本(A)又は3本(B)の場合、炭化珪素棒3(析出棒)は、側壁部(反応炉)31の中心を中心とする円19上に、等間隔に設置されることが好ましい。なお、炭化珪素棒の設置本数及び設置位置は、原料蒸気の供給条件等の反応条件、反応炉の大きさ等により、多結晶シリコンが効率よく析出するように、適宜選択される。
【0053】
析出棒の設置方法であるが、図1では、炭化珪素棒(析出棒)3が固定部材4に固定され、固定部材4が、炉内壁つば部12に引っ掛けられることにより、炭化珪素棒(析出棒)が、反応炉内の上部から下向きに設置される旨を記載したが、これに限定されるものではない。
【0054】
また、炭化珪素棒(析出棒)の温度を、反応炉内の温度よりも高温に設定するために、炭化珪素棒(析出棒)の内部には、加熱用のヒーターが装備されていてもよい。例えば、反応炉内の温度(反応炉の側壁温度)を930℃とした場合、炭化珪素棒(析出棒)を1,000℃とすることで、炭化珪素棒(析出棒)により選択的に多結晶シリコンを析出させることが可能となる。また、炭化珪素は、熱伝導率が高く輻射熱を多く受ける材質であるため、炭化珪素棒の場合、反応炉の側壁からの輻射熱を多く受けることになり、炭化珪素棒を加熱しなくてもある程度選択的に炭化珪素棒に多結晶シリコンを析出させることが可能である。
【0055】
第一工程では、窒素ガス等の不活性ガスの供給管を反応炉に付設して、不活性ガスを反応炉内に供給することができる。不活性ガスを反応炉内への供給することにより、反応炉内に外気が侵入するのを防止することができる。
【0056】
そして、第一工程を行うことにより、反応炉内に、多結晶シリコンを生成させる。
【0057】
本発明の多結晶シリコンの製造方法に係る第二工程は、多結晶シリコンを生成させた反応炉内に、907〜1200℃で、四塩化珪素蒸気のみを供給するか又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、第一工程でのモル比よりも小さくなるように、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給する工程である。
【0058】
第二工程では、反応炉内の温度907〜1200℃で、好ましくは930〜1100℃で、反応炉内に、四塩化珪素蒸気を供給するか、又は第一工程での四塩化珪素に対する亜鉛のモル比より、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比を小さくして、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給する。
【0059】
第二工程における四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、好ましくは0〜1.5、特に好ましくは0〜1であり、更に好ましくは0である。第二工程における四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、上記範囲にあることにより、反応炉の壁面及び析出棒から、多結晶シリコンが剥離し易くなる。
【0060】
第二工程において、反応炉に、四塩化珪素蒸気、又は四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給する時間は、反応炉内の温度、多結晶シリコンの生成量等により、適宜選択されるが、好ましくは10〜120分、特に好ましくは20〜60分である。
【0061】
第二工程において、反応炉への四塩化珪素の供給量は、反応炉の大きさ、多結晶シリコンの生成量等により、適宜選択されるが、好ましくは0.1〜50モル/分、特に好ましくは0.3〜40モル/分である。
【0062】
そして、第二工程を行うことにより、反応炉の壁面に付着した多結晶シリコンが、反応炉の壁面から剥離し、また、反応炉内に析出棒が設置されている場合は、析出棒に析出した多結晶シリコンが、析出棒から剥離する。ただし、多結晶シリコンの全ての剥離を求めるものではなく、四塩化珪素の供給量との見合いにより適宜調整すればよい。
【0063】
第二工程で、上記温度範囲で、反応炉内に、四塩化珪素蒸気、又は四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給することにより、反応炉の壁面及び析出棒から、多結晶シリコンが剥離する理由は、反応炉の壁面又は析出棒との界面に存在している多結晶シリコンが、四塩化珪素と反応することにより、ガス化して消失するためではないかと推測される。
【0064】
第二工程では、窒素ガス等の不活性ガスの供給管を反応炉に付設して、不活性ガスを反応炉内に供給することができる。不活性ガスを反応炉内への供給することにより、反応炉内に外気が侵入するのを防止することができる。
【0065】
本発明の多結晶シリコンの製造方法に係る第三工程は、反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉内を不活性ガス雰囲気にし、次いで、多結晶シリコンを、800℃以上の反応炉内から、反応炉に繋がる不活性ガス雰囲気の冷却空間へ移動させることにより、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へ取り出し、冷却する工程である。
【0066】
第三工程では、先ず、反応炉内に窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスを供給することにより、反応炉内を不活性ガス雰囲気にするが、このときの反応炉内の温度が、800℃未満とならないように、800℃以上、好ましくは850℃以上で行う。
【0067】
また、第三工程では、多結晶シリコンを冷却するための不活性ガス雰囲気の冷却空間を形成させるために、冷却空間に不活性ガスを供給して、冷却空間を不活性ガス雰囲気にしておく。冷却空間の温度は、好ましくは25〜200℃、特に好ましくは25〜100℃である。本発明の多結晶シリコンの製造方法では、第一工程及び第二工程を行っているときは、反応炉内と冷却空間との間は、反応炉内の気体と冷却空間内の気体とが行き来することがないように閉じられ、且つ、第三工程において、多結晶シリコンを反応炉から冷却空間へ移動させるときには、反応炉内と冷却空間が繋がるように、冷却空間を形成させる。
【0068】
第三工程では、次いで、反応炉内の温度を800℃以上、好ましくは850℃以上に保ったまま、反応炉内と冷却空間とを繋げて、多結晶シリコンを、反応炉内から冷却空間へ移動させて、多結晶シリコンを、高温の反応炉内から反応炉外へ取り出す。例えば、図1に示す反応装置50を用いる場合は、開閉部42を開けて、多結晶シリコン1を、冷却空間内シリコン受け部43に落下させることより、多結晶シリコンを、反応炉内から冷却空間へと移して、反応炉内から反応炉外へと多結晶シリコンを取り出す。このとき、反応炉内及び冷却空間を、不活性ガス雰囲気とし、且つ、外気と反応炉内及び冷却空間との間を密閉することにより、多結晶シリコンを外気に接触させることなく、不活性ガス雰囲気中で、反応炉内から冷却空間へと移す。
【0069】
第三工程では、次いで、冷却空間で、多結晶シリコンを冷却する。
【0070】
多結晶シリコンを反応炉内から取り出す工程として、第三工程を行うことにより、高温の多結晶シリコンを、外気に接触させることなく、冷却空間へ移動させて、冷却することができるので、反応炉内から取り出すときに、多結晶シリコンが外気に触れて酸化されるのを防ぐことができる。
【0071】
本発明の多結晶シリコンの製造方法では、第二工程で、907〜1200℃、好ましくは930〜1100℃と、反応炉内の温度が高い状態で、反応炉内で生成し、反応炉の壁面又は析出棒に析出した多結晶シリコンを、反応炉の壁面又は析出棒から、剥離させることができる。特に、縦型の反応炉を用い、反応炉内に析出棒を設置する場合、第二工程を行うことにより、907〜1200℃、好ましくは930〜1100℃と、反応炉内の温度が高い状態で、多結晶シリコンを、析出棒から剥離させて、反応炉の底部に落下させ、反応炉の底部より多結晶シリコンを回収することができる。
【0072】
そのため、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、800℃以上、好ましくは800〜1200℃、特に好ましくは850〜1100℃と、反応炉内の温度を高い状態で、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へと取り出す第三工程を行うことができる。一方、従来の多結晶シリコンの製造方法では、1バッチの多結晶シリコンの製造が終わった後、反応炉の壁面に付着した多結晶シリコンを掻き落とすことや、多結晶シリコンが析出した析出棒を反応炉外へ取り出すことにより、反応炉外へ多結晶シリコンを取り出すことになるためには、一旦、反応炉を室温近くまで冷却してからでないと、取り出し工程を行うことができなかった。このように、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、長時間を要する反応炉の冷却及び再昇温が必要なく、代わりに、四塩化珪素又は四塩化珪素及び亜鉛の供給と、その後の反応炉内への不活性ガス供給という短時間で行える操作しか必要ないので、従来の多結晶シリコンの製造方法に比べ、多結晶シリコンの生成反応の停止時間を短くすることができる。そのため、本発明の多結晶シリコンの製造方法は、従来の多結晶シリコンの製造方法に比べ、多結晶シリコンの製造効率が高い。
【0073】
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、従来の多結晶シリコンの製造方法に比べ、多結晶シリコンの生成反応の停止時間を極めて短くすることができるので、第一工程での多結晶シリコンの生成時間を短くして、第一工程〜第三工程を繰り返しても、従来の多結晶シリコンの製造方法に比べ、多結晶シリコンの生成反応を行う時間を長くすることができる。そのため、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、多結晶シリコンの製造量を下げることなく、反応炉の大きさを小さくすることができるので、建設コストを低くできる。また、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、反応炉の再昇温という最も電力を消費する工程を行わないので、電力の消費量が小さい。これらのことから、本発明の多結晶シリコンの製造方法は、従来の多結晶シリコンの製造方法に比べ、製造コストが低くなる。
【0074】
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、第二工程で、四塩化珪素のみ、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、第一工程でのモル比よりも小さいモル比となるように、四塩化珪素及び亜鉛を供給しているので、第一工程のときに、多結晶シリコンの表面に残存した亜鉛が、第二工程で消費されるので、多結晶シリコン中の亜鉛の含有量を低減することができる。
【0075】
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、第二工程を行うことにより、排出管内に析出した多結晶シリコンの除去を行うことができる。
【0076】
次に、本発明の多結晶シリコンの製造方法で用いられる縦型の反応炉の形態を説明する。縦型の反応炉の第1の形態は、反応炉内に複数の析出棒が設置されており、反応炉の上部に各析出棒に対して反応炉の中心側から四塩化珪素蒸気を供給する四塩化珪素蒸気供給手段及び各析出棒に対して側壁側から亜鉛蒸気を供給する亜鉛蒸気供給手段を有し、反応炉の下部に排出ガスの排出管を有する反応炉である。
【0077】
縦型の反応炉の第1の形態としては、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段として、以下に示す四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(A)、(B)又は(C)を有する反応炉が挙げられる。
【0078】
四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(A)は、例えば、図1及び図2に示すような、四塩化珪素蒸気の供給空間132を区画するための四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁131と、四塩化珪素蒸気の供給空間132を囲む亜鉛蒸気の供給空間143を区画するための亜鉛蒸気の供給空間の内側の区画壁141及び外側の区画壁142とを有し、四塩化珪素蒸気の供給空間132が析出棒3より反応炉の中心側に形成され、亜鉛蒸気の供給空間143が析出棒3より側壁側に形成され、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁131と、亜鉛蒸気の供給空間の区画壁141及び142とが、四塩化珪素蒸気の供給空間132の中心と同心円状に設けられている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段が挙げられる。図1及び図2に示す四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段では、四塩化珪素蒸気の供給管7も四塩化珪素蒸気供給手段の一部であり、また、亜鉛蒸気の供給管8も亜鉛蒸気供給手段の一部である。
【0079】
すなわち、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の(A)は、四塩化珪素蒸気の供給空間を区画するための四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と、亜鉛蒸気の供給空間を区画するための亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを有し、四塩化珪素蒸気の供給空間が析出棒より反応炉の中心側に形成され、亜鉛蒸気の供給空間が析出棒より側壁側に形成され、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と、亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とが、反応炉の中心と同心円状に設けられている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段である。また、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(A)では、四塩化珪素蒸気の供給空間内で、四塩化珪素蒸気が均一に拡散されるように、四塩化珪素蒸気の供給管7の区画部材への接続位置や本数を適宜選択することができ、また、亜鉛蒸気の供給空間内で、亜鉛蒸気が均一に拡散されるように、亜鉛蒸気の供給管8の区画部材への接続位置や本数を適宜選択することができる。
【0080】
四塩化珪素蒸気供給手段及び該亜鉛蒸気供給手段(B)は、例えば、図7に示すように、固定部材4に、炭化珪素棒(析出棒)3と、四塩化珪素蒸気の供給管の分岐管21と、亜鉛蒸気の供給管の分岐管22とが固定されており、炭化珪素棒(析出棒)3より反応炉の中心側に、四塩化珪素蒸気の供給管の分岐管21が設置され、炭化珪素棒(析出棒)3より反応炉の側壁側に、亜鉛蒸気の供給管の分岐管22が設置されている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段である。図7に示す形態例では、四塩化珪素蒸気の供給管の分岐管21の出口の開口213が、四塩化珪素蒸気の供給口であり、また、亜鉛蒸気の供給管の分岐管22の出口の開口214が、亜鉛蒸気の供給口である。なお、図示しないが、四塩化珪素蒸気の供給管の分岐管21は、四塩化珪素蒸気の供給管9に、亜鉛蒸気の供給管の分岐管22は、亜鉛蒸気の供給管10に繋がっている。図7中、(A)は、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(B)を平面方向で切ったときの端面図であり、(B)のx−x線の端面であり、また、(B)は、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(B)の設置部位の近傍を垂直方向に切った端面図である。
【0081】
四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段(C)は、例えば、図8に示すように、四塩化珪素蒸気の供給口232が形成されている四塩化珪素蒸気の供給室23と、亜鉛蒸気の供給口243が形成されている亜鉛蒸気の供給室24と、を有し、炭化珪素棒(析出棒)3より反応炉の中心側に四塩化珪素蒸気の供給口231が形成されており、炭化珪素棒(析出棒)3より反応炉の側壁側に亜鉛蒸気の供給口243が形成されている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段である。四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段(C)では、固定部材4に、炭化珪素棒(析出棒)3と、四塩化珪素蒸気の供給室23と、亜鉛蒸気の供給室24とが固定されている。四塩化珪素蒸気の供給管7は、四塩化珪素蒸気の供給室23に繋がっており、亜鉛蒸気の供給管8は、亜鉛蒸気の供給室24に繋がっている。そして、固定部材4が、側壁部31の内壁に形成されている炉内壁つば部12に引っ掛けられることより、炭化水素棒(析出棒)3は、反応炉20の内部に下向きに突き出るように設置され、また、四塩化珪素蒸気の供給室23と、亜鉛蒸気の供給室24とは、反応炉20の上部に設置される。
【0082】
四塩化珪素蒸気の供給室23は、円筒形状の側壁231と円形の上側部材及び底部材とからなる。また、亜鉛蒸気の供給室24は、円筒形状の内側の側壁241と、円筒形状の外側の側壁242と、ドーナツ形状の上側部材及び底部材とからなる。そして、側壁231と、側壁241と、側壁242とは、反応炉の中心と同心円状に設置されている。
【0083】
四塩化珪素蒸気の供給室23の側壁又は底部材には、四塩化珪素蒸気の供給口232が形成されている。また、亜鉛蒸気の供給室24の側壁又は底部材には、亜鉛蒸気の供給口243が形成されている。なお、図8中、(A)は、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)を平面方向で切ったときの端面図であり、(B)のx−x線の端面であり、また、(B)は、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)の設置部位の近傍を垂直方向に切った端面図である。
【0084】
すなわち、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)は、四塩化珪素蒸気の供給口が形成されている四塩化珪素蒸気の供給室と、四塩化珪素蒸気の供給室を囲むように設置され、亜鉛蒸気の供給口が形成されている亜鉛蒸気の供給室とを有し、四塩化珪素蒸気の供給口が析出棒より反応炉の中心側に形成され、亜鉛蒸気の供給口が析出棒より側壁側に形成されている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段である。
【0085】
四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)では、四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給室23に先ず供給されるので、四塩化珪素蒸気の供給室23内で拡散する。四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給室23に拡散後、四塩化珪素蒸気の供給口232から反応炉20内に供給される。また、同様に、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)では、亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給室24に先ず供給されるので、亜鉛蒸気の供給室24内で拡散する。亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給室24に拡散後、亜鉛蒸気の供給口243から反応炉20内に供給される。
【0086】
四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)では、四塩化珪素蒸気9は、反応炉20への供給前に、予め、四塩化珪素蒸気の供給室23内で均一に拡散されるので、例えば、四塩化珪素蒸気の供給室23に繋がる四塩化珪素蒸気の供給管7の数が1本であったとしても、各四塩化珪素蒸気の供給口233から、均一に四塩化珪素蒸気が供給され、また、亜鉛蒸気9は、反応炉20への供給前に、予め、亜鉛蒸気の供給室24内で均一に拡散されるため、例えば、亜鉛蒸気の供給室24に繋がる亜鉛蒸気の供給管8の数が1本であったとしても、各亜鉛蒸気の供給口243から、均一に亜鉛蒸気が供給される。
【0087】
また、四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段の形態例(C)では、四塩化珪素蒸気の供給口232及び亜鉛蒸気の供給口243の形成位置及び数を適宜選択することにより、四塩化珪素蒸気の供給空間の形成位置及び亜鉛蒸気の形成位置の設計が容易となる。
【0088】
なお、本発明において、析出棒より反応炉の中心側とは、水平方向に反応炉を切ったときに、析出棒の位置よりも反応炉の中心に近い位置を指し、析出棒より側壁側とは、水平方向に反応炉を切ったときに、析出棒の位置よりも側壁に近い位置を指す。
【0089】
縦型の反応炉の第2の形態は、反応炉の中心と同心円状に四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁及び亜鉛蒸気の供給空間の区画壁が設けられており、内側が四塩化珪素蒸気の供給空間であり、外側が亜鉛蒸気の供給空間である四塩化珪素蒸気の供給手段及び亜鉛蒸気供給手段を有する反応炉である。
【0090】
縦型の反応炉の第2の形態としては、例えば、図9及び図10に示す反応炉26が挙げられる。反応炉26内には、固定部材4を介して1本の炭化珪素棒(析出棒)3が設置されている。また、固定部材4には、四塩化珪素蒸気の供給空間332を区画するための四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材33と、亜鉛蒸気の供給空間342を区画するための亜鉛蒸気の供給空間の区画部材34と、が固定されている。四塩化珪素蒸気の供給管7は、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材33に繋がっており、亜鉛蒸気の供給管8は、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材34に繋がっている。そして、固定部材4が、側壁部31の内壁に形成されている炉内壁つば部12に引っ掛けられることより、炭化珪素棒3は、反応炉26の内部に下向きに突き出るように設置され、また、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材33と、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材34とは、反応炉26の上部に設置される。なお、図9は、本発明の多結晶シリコンの製造方法に用いられる反応炉の第2の形態の形態例の模式的な断面図である。また、図10は、図9中の反応炉の側壁部(反応炉)と炭化珪素棒と四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを示す端面図であり、x−x線で水平方向に切ったときの端面図である。なお、図9では、多結晶シリコンの製造装置に設置される反応炉の部分のみを示している。例えば、図9に示す反応炉は、図1に示す反応炉20に代えて、側壁部の下端の固定部39で、定盤41に固定される。
【0091】
反応炉26では、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材33は、円筒形状の区画壁331と円形の上側部材とからなる。また、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材34は、円筒形状の区画壁341と、ドーナツ形状の上側部材とからなる。そして、区画壁331と、区画壁341とは、四塩化珪素蒸気の供給空間332の中心と同心円状に設置されている。なお、反応炉26では、四塩化珪素蒸気の供給空間側の亜鉛蒸気の供給空間は、区画壁331により区画されている。
【0092】
そして、反応炉26では、四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材33に先ず供給されるので、区画部材33により区画されている四塩化珪素蒸気の供給空間332内に拡散する。四塩化珪素蒸気9は、四塩化珪素蒸気の供給空間332に拡散後、四塩化珪素蒸気の供給口333から、反応炉20内に供給される。また、亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給空間の区画部材34に先ず供給されるので、区画部材34により区画されている亜鉛蒸気の供給空間342内に拡散する。亜鉛蒸気10は、亜鉛蒸気の供給空間342に拡散後、亜鉛蒸気の供給口343から、反応炉20内に供給される。このことにより、析出棒3への四塩化珪素蒸気9の供給位置が、亜鉛蒸気10の供給位置より近くなる。また、析出棒3を中心に、析出棒3を囲むように四塩化珪素蒸気が供給され、四塩化珪素蒸気を亜鉛蒸気が囲むように亜鉛蒸気が供給される。なお、反応炉26では、四塩化珪素蒸気の供給口333の形状はドーナツ形状であり、また、亜鉛蒸気の供給口343の形状はドーナツ形状である。
【0093】
すなわち、縦型の反応炉の第2の形態は、反応炉内への四塩化珪素蒸気の供給位置が、亜鉛蒸気の供給位置より、析出棒に近い反応炉である。更に、縦型の反応炉の第2の形態は、好ましくは、反応炉の中心と同心円状に四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁及び亜鉛蒸気の供給空間の区画壁が設けられており、内側が四塩化珪素蒸気の供給空間であり、外側が亜鉛蒸気の供給空間である四塩化珪素蒸気の供給手段及び亜鉛蒸気供給手段を有する反応炉である。
【0094】
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法で用いられる反応炉は、反応炉内に内挿容器が設置されていてもよい。内挿容器の材質としては、透明石英、不透明石英、焼結石英などの石英、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられ、強度面からは、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、また、温度勾配に起因するひび割れが起き難い点からは、石英、窒化珪素が好ましい。
【0095】
本発明の多結晶シリコンの製造方法を行うための製造装置としては、本発明の多結晶シリコンの製造方法を行うことができる製造装置であれば、特に制限されなが、図1に示すような、製造装置が好ましい。
【0096】
すなわち、本発明の多結晶シリコンの製造装置の好ましい形態は、上部に四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管を有し且つ下部に排出ガスの排出管を有し、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉と、該反応炉の底部側に設置され、不活性ガス雰囲気の冷却空間を形成する冷却部と、を有し、
該反応炉と該冷却部との間は、該反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させているときは、該反応炉内の気体が該冷却部に漏れないように閉じられ、且つ、四塩化珪素と亜鉛との反応を行った後は、該反応炉内から該冷却空間への多結晶シリコンの移動ができるように開く構造になっていること、
を特徴とする多結晶シリコンの製造装置である。
【0097】
本発明の多結晶シリコンの製造装置は、縦型の反応炉であり、本発明の多結晶シリコンの製造方法で用いられる縦型の反応炉と同様である。
【0098】
本発明の多結晶シリコンの製造装置では、反応炉の底部側に冷却部が設置されており、冷却部に不活性ガスを供給することにより、反応炉の底部側に、不活性ガス雰囲気の冷却空間を形成することができる。
【0099】
本発明の多結晶シリコンの製造装置では、反応炉内及び冷却部内に、外気が入らないように、反応炉内及び冷却部内と外気との間は密閉されている。そして、本発明の多結晶シリコンの反応炉と冷却部との間は、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させているときは、反応炉内の気体が冷却部に漏れないように閉じられ、且つ、四塩化珪素と亜鉛との反応を行った後は、反応炉内から冷却空間への多結晶シリコンの移動ができるように開く構造になっている。そのため、反応炉内での四塩化珪素と亜鉛との反応を行った後、反応炉内の温度を高く保ったまま、外気に接触させることなく、多結晶シリコンを冷却空間へ移動させることができる。
【0100】
本発明の多結晶シリコンの製造装置では、反応炉内と冷却部との間は、遮熱される構造であることが、反応炉の熱効率が高くなる点で好ましい。例えば、図1に示す形態例では、開閉部42に断熱材47を設置すること、つまり、反応炉内と冷却部との間に断熱材を設置することにより、反応炉内と冷却部との間が、遮熱されている。
【0101】
本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコンは、亜鉛を還元剤に用いて製造されるため、亜鉛を含有する。本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコン中の亜鉛含有量は、0.01〜1質量ppm、好ましくは0.01〜0.8質量ppm、特に好ましくは0.01〜0.5質量ppmである。多結晶シリコン中の亜鉛含有量が、上記範囲内であることにより、6−N以上の高純度の多結晶シリコンインゴットを製造することができる。なお、多結晶シリコンの純度の分析は高周波誘導プラズマ発光分析法(ICP−AES)により求められる。その分析方法は、以下に示す通りである。
得られた多結晶シリコン1.5gに、38%フッ化水素酸16mlと55%硝酸30mlを加えて、完全に溶解させた後、蒸発乾固させる。次いで、1%硝酸5mlで定溶し、ICP−AES(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製IRIS Advantage/RP型)により不純物濃度を測定して、多結晶シリコンの純度を算出する。
【0102】
本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコンの主な形状は、径が大きい棒状、粒状若しくは板状、又は径が大きい棒状、粒状若しくは板状のものが複数付着した形状であり、直径が3μm以下の細粒状ではない。多結晶シリコンの大きさは、好ましくは100μm以上、特に好ましくは500μm以上、更に好ましくは1,000μm以上である。多結晶シリコンとしては、50質量%以上が100μmメッシュサイズのスクリーンを通過しない多結晶シリコンであることが好ましく、50質量%以上が500μmメッシュサイズのスクリーンを通過しない多結晶シリコンであることが特に好ましい。
【0103】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0104】
(実施例1)
以下に示す第一工程から第三工程までを、4回サイクル繰り返した。
(第一工程)
図1に示す多結晶シリコンの製造装置50を用い、下記反応炉において、窒素ガスと共に、亜鉛蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた亜鉛蒸気を、供給速度52g/分で、反応炉内に供給し、四塩化珪素蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた四塩化珪素蒸気を、供給速度74g/分で、反応炉内に供給し、反応炉内を950℃にして、四塩化珪素と亜鉛の反応を、22時間行った。このとき、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、1.82である。
<反応炉(図1に示す形態例で、炭化珪素棒の設置本数が3本の形態例)>
反応炉:内径300mm×長さ2,500mmの石英製反応管を使用
炭化珪素棒:シリコン含浸炭化珪素棒、炭化珪素:含浸シリコンの質量比は85:15、外径16mm×長さ390mm、本数3本(反応炉の中心を中心とする円弧上に、等間隔に設置)
反応炉出口の排出管内径:100mm
四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁部分の径:内径50mm
亜鉛蒸気の供給空間の区画壁部分の径:炭化珪素棒側の外径180mm、側壁側の内径230mm
【0105】
(第二工程)
第一工程を行った後、次いで、反応炉内の温度が950℃の状態で、四塩化珪素蒸気のみを、供給速度74g/分で、反応炉内に、0.5時間供給した。このとき、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、0である。
【0106】
(第三工程)
第二工程を行った後、次いで、反応炉内の温度が950℃の状態で、窒素ガスを、供給速度50L/分で、反応炉内に、0.5時間供給した。並行して、冷却部44内に窒素ガスを供給して、冷却空間45を窒素ガス雰囲気とした。このときの冷却空間45内の温度は、50℃であった。次いで、反応炉内への窒素ガスの供給を止め、排出管6を閉め、反応炉内の温度が950℃の状態で、開閉部42を開けて、反応炉内の多結晶シリコンを、冷却空間45内へと落下させ、冷却空間45内で、多結晶シリコンを冷却して、多結晶シリコンを得た。また、多結晶シリコンを冷却空間45内へ落下させた後、開閉部42を閉めた。
【0107】
(結果)
1サイクルの多結晶シリコンの収量は、平均で10.35kgであり、4サイクル合計で41.4kgの多結晶シリコンを回収した。第一工程の4サイクル合計の時間(合計反応時間)は、88時間であった。多結晶シリコン中の亜鉛含有量は、0.2ppmであった。
【0108】
(比較例1)
実施例1と同じ反応炉において、窒素ガスと共に、亜鉛蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた亜鉛蒸気を、供給速度52g/分で、反応炉内に供給し、四塩化珪素蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた四塩化珪素蒸気を、供給速度74g/分で、反応炉内に供給し、反応炉内を950℃にして、四塩化珪素と亜鉛の反応を、60時間行った。このとき、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、1.82である。
次いで、反応炉内が950℃の状態で、窒素ガスを、供給速度50L/分で、反応炉内に、1時間供給した。
【0109】
次いで、反応炉を25℃まで放冷した。このとき、反応炉内の温度が25℃まで下がるのに、24時間かかった。
【0110】
次いで、反応炉の蓋部を開け、四塩化珪素蒸気の供給管、亜鉛蒸気の供給管等の付設部材を外してから、炭化珪素棒を固定部材ごと、反応炉の外に取り出し、反応炉の内壁に付着したシリコンを掻き落とした。次いで、別に用意しておいた炭化珪素棒を固定部材に固定し、固定部材を反応炉内に設置し、四塩化珪素蒸気の供給管、亜鉛蒸気の供給管等の付設部材を取り付けてから、反応炉の蓋部を閉めた。反応炉の蓋部を開けてから、再び閉めるまでに要した時間は、6時間であった。
【0111】
次いで、反応炉内を加熱して、950℃まで昇温した。このとき、昇温に要した時間は、5時間であった。
【0112】
(結果)
28kgの多結晶シリコンを回収した。多結晶シリコン中の亜鉛含有量は、2.1ppmであった。
【0113】
反応炉内に四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給を開始した時点から、次バッチの反応炉内に四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給が行えるようになる時点までを、1サイクルとすると、実施例1では、4サイクル行われ、4サイクルに要した時間は96時間であり、また、比較例1では、1サイクル行われ、1サイクルに要した時間は96時間であった。
【0114】
(実施例2)
以下に示す第一工程から第三工程までを、4回サイクル繰り返した。
(第一工程)
図1に示す多結晶シリコンの製造装置50を用い、下記反応炉において、窒素ガスと共に、亜鉛蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた亜鉛蒸気を、供給速度52g/分で、反応炉内に供給し、四塩化珪素蒸気の供給管から950℃に加熱して気化させた四塩化珪素蒸気を、供給速度74g/分で、反応炉内に供給し、反応炉内を950℃にして、四塩化珪素と亜鉛の反応を、22時間行った。このとき、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、1.82である。
<反応炉(図1に示す形態例で、炭化珪素棒の設置本数が3本の形態例)>
反応炉:内径300mm×長さ2,500mmの石英製反応管を使用
炭化珪素棒:シリコン含浸炭化珪素棒、炭化珪素:含浸シリコンの質量比は85:15、外径16mm×長さ390mm、本数3本(反応炉の中心を中心とする円弧上に、等間隔に設置)
反応炉出口の排出管内径:100mm
四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁部分の径:内径50mm
亜鉛蒸気の供給空間の区画壁部分の径:炭化珪素棒側の外径180mm、側壁側の内径230mm
【0115】
(第二工程)
第一工程を行った後、次いで、反応炉内の温度が950℃の状態で、四塩化珪素蒸気を、供給速度74g/分で、亜鉛蒸気を、供給速度26g/分で反応炉内に、0.5時間供給した。このとき、四塩化珪素に対する亜鉛のモル比は、0.91である。
【0116】
(第三工程)
第二工程を行った後、次いで、反応炉内の温度が950℃の状態で、窒素ガスを、供給速度50L/分で、反応炉内に、0.5時間供給した。並行して、冷却部44内に窒素ガスを供給して、冷却空間45を窒素ガス雰囲気とした。このときの冷却空間45内の温度は、50℃であった。次いで、反応炉内への窒素ガスの供給を止め、排出管6を閉め、反応炉内の温度が950℃の状態で、開閉部42を開けて、反応炉内の多結晶シリコンを、冷却空間45内へと落下させ、冷却空間45内で、多結晶シリコンを冷却して、多結晶シリコンを得た。また、多結晶シリコンを冷却空間45内へ落下させた後、開閉部42を閉めた。
【0117】
(結果)
1サイクルの多結晶シリコンの収量は、平均で10.52kgであり、4サイクル合計で42.08kgの多結晶シリコンを回収した。第一工程の4サイクル合計の時間(合計反応時間)は、88時間であった。多結晶シリコン中の亜鉛含有量は、0.25ppmであった。
【0118】
よって、多結晶シリコンの製造に要する時間が同じであれば、実施例1及び2の方が、比較例1に比べ、多結晶シリコンの生成量が多いことから、本発明の多結晶シリコンの製造方法によれば、多結晶シリコンを多く製造できることがわかった。また、1サイクル当たりの多結晶シリコンの生成量で比較すると、実施例1及び2の方が、比較例1に比べ少ないので、本発明の多結晶シリコンの製造方法によれば、多結晶シリコンの製造用の反応炉のサイズを小さくできることがわかった。また、実施例1及び2の方が、比較例1に比べ、多結晶シリコンの純度が高いので、本発明の多結晶シリコンの製造方法によれば、高純度の多結晶シリコンが製造できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明によれば、反応炉内に析出した多結晶シリコンを反応炉内から取り出し易く、また、製造効率が高くなり、また、反応炉を小さくできるので、安価に多結晶シリコンを製造することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 多結晶シリコン
2 反応炉内の空間
3 炭化珪素棒
4 固定部材
5 ヒーター
6 排出管
7 四塩化珪素蒸気の供給管
8 亜鉛蒸気の供給管
9 四塩化珪素蒸気
10 亜鉛蒸気
11 排出ガス
12 炉内壁つば部
13、33 四塩化珪素蒸気の供給空間の区画部材
14、34 亜鉛蒸気の供給空間の区画部材
20、26 反応炉
21 四塩化珪素蒸気の供給管の分岐管
22 亜鉛蒸気の供給管の分岐管
23 四塩化珪素蒸気の供給室
24 亜鉛蒸気の供給室
31 反応炉の側壁
32 蓋部
39 側壁部の下端の固定部
41 定盤
42 開閉部
43 冷却空間内シリコン受け部
44 冷却部
45 冷却空間
46 反応炉内シリコン受け部
47 断熱材
50 多結晶シリコンの製造装置
131 四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁
132、332 四塩化珪素蒸気の供給空間
133、213、232、333 四塩化珪素蒸気の供給口
141 内側の亜鉛蒸気の供給空間の区画壁
142 外側の亜鉛蒸気の供給空間の区画壁
143、342 亜鉛蒸気の供給空間
144、214、243、343 亜鉛蒸気の供給口
231 側壁
241 中心側の側壁
242 側壁側の側壁
331 四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁
341 亜鉛蒸気の供給空間の区画壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉内で四塩化珪素と亜鉛を反応させて、反応炉内に多結晶シリコンを生成させる第一工程と、
907〜1200℃で、該反応炉内に、四塩化珪素のみを供給するか、又は四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、該第一工程でのモル比よりも小さくなる供給量で、四塩化珪素及び亜鉛を供給する第二工程と、
該反応炉内の温度が800℃以上で、反応炉内を不活性ガス雰囲気にし、次いで、多結晶シリコンを、800℃以上の反応炉内から、該反応炉に繋がる不活性ガス雰囲気の冷却空間へ移動させることにより、多結晶シリコンを反応炉内から反応炉外へ取り出し、冷却する第三工程と、
を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
【請求項2】
前記第二工程での四塩化珪素に対する亜鉛のモル比が、0〜1.5であることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項3】
前記第一工程において、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給することにより、四塩化珪素と亜鉛を反応させることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項4】
前記反応炉が、上部から四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給し、下部より排出ガスを排出する縦型の反応炉であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項5】
前記反応炉内には、析出棒が設置されていることを特徴とする請求項4記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項6】
前記反応炉が、反応炉内への四塩化珪素蒸気の供給位置が、亜鉛蒸気の供給位置より、前記析出棒に近い反応炉であることを特徴とする請求項5記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項7】
前記反応炉が、反応炉の中心と同心円状に四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁及び亜鉛蒸気の供給空間の区画壁が設けられており、内側が四塩化珪素蒸気の供給空間であり、外側が亜鉛蒸気の供給空間である四塩化珪素蒸気の供給手段及び亜鉛蒸気供給手段を有する反応炉であることを特徴とする請求項6記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項8】
前記反応炉が、反応炉内に複数の析出棒が設置されており、該反応炉の上部に各析出棒に対して反応炉の中心側から四塩化珪素蒸気を供給する四塩化珪素蒸気供給手段及び各析出棒に対して側壁側から亜鉛蒸気を供給する亜鉛蒸気供給手段を有し、該反応炉の下部に排出ガスの排出管を有する反応炉であることを特徴とする請求項5又は6いずれか1項記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項9】
前記四塩化珪素蒸気供給手段及び前記亜鉛蒸気供給手段が、前記析出棒より反応炉の中心側に四塩化珪素蒸気の供給空間を区画するための四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と、前記析出棒より側壁側に亜鉛蒸気の供給空間を区画するための亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とを有し、析出棒側の四塩化珪素蒸気の供給空間の区画壁と、析出棒側の亜鉛蒸気の供給空間の区画壁とが、前記反応炉の中心と同心円状に設けられている四塩化珪素蒸気供給手段及び亜鉛蒸気供給手段であることを特徴とする請求項8記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項10】
前記析出棒が、炭化珪素棒であることを特徴とする5〜9いずれか1項記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項11】
前記炭化珪素棒が、多孔質の炭化珪素にシリコンが含浸されているシリコン含浸炭化珪素棒であり、炭化珪素:含浸シリコンの質量比が80:20〜95:5であることを特徴とする請求項10記載の多結晶シリコンの製造方法。
【請求項12】
上部に四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管を有し且つ下部に排出ガスの排出管を有し、反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉と、該反応炉の底部側に設置され、不活性ガス雰囲気の冷却空間を形成する冷却部と、を有し、
該反応炉と該冷却部との間は、該反応炉内で四塩化珪素と亜鉛とを反応させているときは、該反応炉内の気体が該冷却部に漏れないように閉じられ、且つ、四塩化珪素と亜鉛との反応を行った後は、該反応炉内から該冷却空間への多結晶シリコンの移動ができるように開く構造になっていること、
を特徴とする多結晶シリコンの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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