説明

多結晶シリコンを析出させるための装置及び方法

【課題】粗面の割合が低い、高純度シリコンからの多結晶ロッドを、より経済的に製造する。
【解決手段】反応器壁、少なくとも20本のフィラメントロッド、並びに反応器チャンバー内での反応ガス用のガス取り込み口を有する反応器チャンバーを包含する、多結晶シリコンを析出させるための装置であって、その際、各々のフィラメントロッドには、反応器壁付近のフィラメントロッドを除いて、150〜450mmの間隔で、更に別の3本の隣接するフィラメントロッドと、1つ乃至3つの隣接するガス取り込み口とが存在している、多結晶シリコンを析出させるための装置によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高純度多結晶シリコン(ポリシリコン)は、チョクラルスキー(CZ)法又は帯域溶融(FZ)法に従って半導体用の単結晶シリコンを製造するための出発材料、並びに光起電装置用のソーラーセルを製造するための様々の引き上げ法やキャスティング法に従って単結晶シリコン又は多結晶シリコンを製造するための出発材料として役立てられる。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリシリコンは、ジーメンス法により製造される。その際、直接通電加熱された担体を包含する反応器内に、シリコンを含有する1つ以上の成分と、場合によっては水素とを包含する反応ガスが導入され、その際、該担体上にシリコンが固体の形で析出する。シリコンを含有する成分として、有利にはシラン(SiH4)、モノクロロシラン(SiH3Cl)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、テトラクロロシラン(SiCl4)又は前述の物質の混合物が用いられる。
【0003】
通常、ジーメンス法は、析出反応器(ジーメンス反応器とも呼ばれる)内で実施される。最も一般的な実施形態において、反応器は、金属ベースプレートと、該ベースプレート上に置かれている冷却可能な鐘形ケーシングとを包含しており、その結果、鐘形ケーシングの内部で反応スペースが生じる。ベースプレートには、1つ以上のガス取り入れ口と、排出する反応ガス用の1つ以上の排気口並びにスペーサー(これにより担体が反応スペース内で保持される)が備わっており、かつ電流がかけられる。
【0004】
たいてい各々の担体は、2本の細いフィラメントロッドとブリッジとから成り、該ブリッジは、通常、隣接するロッドの自由端を相互につなぎ合わせている。該フィラメントロッドは単結晶シリコン又は多結晶シリコンから最も頻繁に作製され、金属若しくは合金又は炭素が使用されることはめったにない。フィラメントロッドは、反応器底部に設けられている電極に垂直に差し込まれ、該電極を介して電流供給部との接続が行われる。加熱されたフィラメントロッドと水平方向のブリッジとにおいて高純度のポリシリコンが析出し、このことによって、フィラメントロッドとブリッジの直径が時間の経過とともに増大する。所望の直径に達した後に、この処理は終了させられる。
【0005】
今日の反応器は、100本まで若しくはそれより本数の多いフィラメントロッドを収容することができる。ロッド数が多いと、反応器の高い生産性が可能となり、そして比エネルギー消費量が減少する。なぜなら、エネルギー損失を、低温反応器壁への放熱によって減少させることができるからである。
【0006】
従来技術による反応器中では、反応器中のロッドは、底部プレートの中心の周りで同心円状に配置されている。その際、円周の数は、何本のロッドが反応器を囲むかに依存している。
【0007】
US4681652Aは、5本、6本、10本、12本及び20本のロッドを有する反応器を開示しており、その際、これらのロッドは、そのつど次の構成に従って2つの同心円上に置かれている:1+4、2+4、4+6、4+8、8+12(最初の数は内周のロッド数を示し、2つ目の数は外周のロッドの数を示す)。
【0008】
US2010/0043972A1は、48本のロッドを有する反応器を開示しており、その際、これらのロッドは3つの円周上に分布されている:8+16+24。その際、ブリッジはロッドを、ロッド円周内で対になって、形成されたロッド対若しくは担体が同様に3つの同心円を形成するようにつなぎ合わせている。
【0009】
ブリッジの長さはロッドの長さと比較して短いので、ブリッジの長さは、一般的に本質的な役割を果たさない。
【0010】
たいてい、1つの円周からの2本の隣接するロッドは1つのブリッジによってつなぎ合わされている(上述のUS2010/0043972A1に記載)。
【0011】
ブリッジが部分的に半径方向に取り付けられており、かつ異なる円周からの2本のロッドが互いにつなぎ合わされている実施形態も公知である。
【0012】
US3011877Aには、ロッドが傾けられており、それらの自由端で互いに接触し合うために、ブリッジを全く必要としない反応器が記載されている。そこでは、3本のロッドをつなぎ合わせることが可能であることも記されており、この場合、エネルギーの供給は三相交流により行われる。
【0013】
ロッドの数が上昇するにつれて、一般に、ロッドが配置される円周の数も増える。
【0014】
US2009/0136408A1からは、98本のロッドを有する反応器が公知であり、その際、これらのロッドは5つの円周上に分布されている(6+12+22+26+32)。
【0015】
(新しい反応ガスを噴入するための)ガス取り込み口は、たいていの場合、反応器の中心(つまり、ロッド内周の内側)及び/又はロッド円周間に置かれている。
【0016】
排気口も一般に、同様に反応器の中心(つまり、ロッド内周の内側)及び/又は外側のロッド円周と反応器壁との間に備えられている。
【0017】
排ガスが反応器上部における開口部を介して反応器を抜け出す実施形態も公知である。
【0018】
冷却エレメントが反応スペース内に時として導入される。該冷却エレメントは、ガス室の温度を下げるのに用いられ、そして様々に形成され、かつ位置決めされることができる。
【0019】
一般に、係る冷却エレメントは、冷却された保護シールドとして、ロッド及び/又はブリッジの周りに構成され、それによってロッドはカプセル化される(例えばEP0536394A1を参照されたい)。
【0020】
上から反応器に差し込まれたクーリング・フィンガー(DE19502865A1)又は中央に導入された冷却管(DE102009003368B3)を用いた実施形態も公知であり、これは排気口の延長部として構成されている。
【0021】
多くの場合、反応器スペース内には、固定された加熱エレメントが設けられており、これはフィラメントロッドを点火するためにのみ挿入されている。係る加熱エレメントは、複数のロッド円周を有する反応器の場合には、たいてい反応器の中心に設けられており、つまり、ロッド円周内に置かれている(例えばUS2009/0136408A1又はGB1131462A)。
【0022】
太い多結晶シリコンロッド(>100mmの直径を有する)がジーメンス反応器中で従来技術により製造される場合、該ロッドは非常に粗い表面を有する領域(ポップコーン)を示すことが比較的頻繁に観察される。これらの粗い領域は、残りの材料から切り離されなければならず、残りのシリコンロッドよりずっと安い価格で販売されなければならない。
【0023】
図5には、平滑な表面を有するシリコンロッドの領域(図5A)と、ポップコーン表面を有するシリコンロッドの領域(図5B)とを示している。
【0024】
処理パラメーター(例えばロッドの温度低下)を調整することによって、ポップコーン材料の割合は減らされることができる(US5904981A1を参照されたい)。
【0025】
しかしながら、係る変化により、処理は、より緩慢に進行し、それにより生産量は低下し、経済性が悪化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】US4681652A
【特許文献2】US2010/0043972A1
【特許文献3】US3011877A
【特許文献4】US2009/0136408A1
【特許文献5】EP0536394A1
【特許文献6】DE19502865A1
【特許文献7】DE102009003368B3
【特許文献8】GB1131462A
【特許文献9】US5904981A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
それゆえ、粗面の割合が低い、高純度シリコンからの多結晶ロッドを、より経済的に製造するという課題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この課題は本発明によって解決される。
【0029】
本発明は、反応器中でのフィラメントロッドとガス取り込み口との位置決定を従来技術とは異なって行うことに基づく。
【0030】
こうして、それ以外は同じ処理条件で粗面の割合("ポップコーン")が意想外にも明らかに減少することがわかった。
【0031】
それによって、従来技術と比較して、同じロッド品質で明らかにより迅速な析出処理を行うことができ、これは経済性を改善する。
【0032】
本発明の課題は、反応器壁、少なくとも20本のフィラメントロッド、並びに反応器チャンバー内での反応ガス用のガス取り込み口を有する反応器チャンバーを包含する、多結晶シリコンを析出させるための装置によって解決され、その際、各々のフィラメントロッドには、反応器壁付近のフィラメントロッドを除いて、150〜450mmの間隔で、更に別の3本の隣接するフィラメントロッドと、1つ乃至3つの隣接するガス取り込み口とが存在している。
【0033】
好ましくは、各々のフィラメントロッドには、反応器壁付近のフィラメントロッドを除いて、250〜350mmの間隔で、更に別の3本のフィラメントロッドと、1つ乃至3つのガス取り込み口とが存在している。
【0034】
好ましくは、あるフィラメントロッドと個々の隣接するフィラメントロッド及びガス取り込み口との距離の差は、50%未満、特に有利には25%未満、極めて有利には10%未満である。
【0035】
好ましくは、あるフィラメントロッドとその隣接するフィラメントロッド及びそのガス取り込み口との方向間の角度は、90°〜150°、有利には105°〜135°、極めて有利には115°〜125°である。
【0036】
好ましくは、フィラメントロッドの長さは、隣接するロッド間の間隔の5倍〜15倍、有利には8倍〜12倍である。
【0037】
好ましくは、ガス取り込み口は、反応器チャンバーの底部プレートに対して垂直に上に向かって取り付けられているノズルである。
【0038】
好ましくは、ガス取り込み口は、そのつど1〜10,000mm2の断面積を有する。
【0039】
好ましくは、反応器チャンバーは、円形の断面又は、フィラメントロッドの数と最適な空間利用とに合わせられた、例えば六角形の断面を有する。
【0040】
好ましくは、さらに本発明による装置は、反応器チャンバーの断面に関して中心の少なくとも1つのガス取り込み口が備えられていることを特徴としており、その際、1つ以上の排気口が、中心の少なくとも1つのガス取り込み口の周りに隣接して及び/又は反応器壁と該反応器壁付近に存在するフィラメントロッドとの間に置かれている。
【0041】
好ましくは、そのうえまた本発明による装置は、1つ以上の冷却ボディ及び/又は1つ以上の加熱エレメントが反応器チャンバー内に存在していることを特徴とし、その際、これらはガス取り込み口の上方に配置されるか、又はガス取り込み口の代わりに反応器チャンバー内に置かれている。
【0042】
本発明の課題はまた、前述の装置において多結晶シリコンをフィラメントロッド上に析出させる方法によって解決され、その際、ガス取り込み口によって、シリコンを含有するガスを反応器チャンバー内に導入し、そしてフィラメントロッドを、シリコンが該ロッド上で析出する温度に加熱する。
【0043】
フィラメントロッドは、好ましくは、細いシリコンロッド(微細ロッド(Duennstaebe)とも呼ばれることが多い)であり、以下では簡略化のためにシリコンロッドと記載する。
【0044】
本発明による反応器は、係るシリコンロッド少なくとも20本(該ロッド上に、ジーメンス法の間に多結晶シリコンが析出させられる)、並びにガス取り込み口、例えば、シリコンを含有する反応ガスを反応器中に導入するガス送入ノズル(Zugasduesen)とを包含する。
【0045】
本発明を成し遂げるのに重要なことは、フィラメントロッドとガス送入ノズルとが、以下のように配置されていることである:
各々のシリコンロッド(反応器壁に隣接するロッドは除外して)は、150〜450mmの間隔で、更に別の3本のシリコンロッドと、1つ乃至3つのガス送入ノズルとを有していなければならない。これらの更に別の3本のシリコンロッドは、隣接するロッド又は隣接ロッドと呼ぶ。
【0046】
好ましくは、ノズル及び隣接ロッドからの間隔は200〜350mmである。
【0047】
隣接するシリコンロッド間若しくはノズル間の個々の間隔は異なっていてよいが、しかしながら、好ましくは、150〜450mm、特に有利には200〜350mmである。
【0048】
好ましくは、個々の隣接するシリコンロッドとガス取り込み口とからの距離の差は、50%未満、特に有利には25%未満、極めて有利には10%未満である。
【0049】
反応器壁の側のシリコンロッドは、同一間隔で、1本のみ乃至3本までの更に別のシリコンロッドと、1つ乃至3つのガス取り込み口とを有する。
【0050】
シリコンロッドと隣接ロッドとの方向間の角度及びシリコンロッドと隣接ノズルとの方向間の角度は、好ましくは90°〜150°、特に有利には105°〜135°、極めて有利には115°〜125°である。
【0051】
シリコンロッドの長さは、好ましくは、隣接するロッド間の間隔の5〜15倍、有利には8〜12倍である。
【0052】
好ましくは、ノズルは垂直に上に向かって取り付けられている。
【0053】
好ましくは、ノズルは、そのつど1〜10,000mm2の断面積を有する。
【0054】
特に有利には、ノズルは、円形の断面並びに3〜100mmの直径を有する。
【0055】
上向きのノズルに加えて、付加的に、反応器上部における下向き若しくは横向きのノズルも同様に有利である。
【0056】
反応器自体は、円形の断面又は、シリコンロッドの周囲の長さに合わせられた断面、例えば六角形の断面を有していてもよい。
【0057】
1つ以上の排気口は、有利には、反応器の真ん中で中心ノズルの周りにか又は中心ノズルの側に置かれるか、及び/又は反応器壁と外側のシリコンロッドとの間に置かれる。
【0058】
1つ以上の冷却ボディを反応器中に導入する場合、それらは1つ以上のノズルの上方にか又は1つ以上のノズル代わりに置かれることができる。
【0059】
1つ以上の加熱エレメントを反応器中に導入する場合、それらは1つ以上のノズルの上方にか又は1つ以上のノズルの代わりに置かれることができる。
【0060】
多結晶シリコンロッドを、係る本発明による析出反応器中で製造すると、これらは著しく少なくいポップコーンを有することになる。
【0061】
ロッドの品質は変わらずに、(例えばSiロッドのより高い温度に基づき)明らかにより迅速に、かつ、それによってより経済的に析出処理を行うことができる。
【0062】
本発明による方法を、以下で図1〜4を手がかりにして説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ロッド及びガス取り込み口を有する反応器の断面を概略的に示す図
【図2】ロッド及びガス取り込み口を有する反応器の断面を概略的に示す図
【図3】ロッド及びガス取り込み口を有する反応器の断面を概略的に示す図
【図4】ロッド及びガス取り込み口を有する反応器の断面を概略的に示す図
【図5】平滑な表面を有するシリコンロッドの領域、図5Aと、ポップコーン表面を有するシリコンロッドの領域図5Bとを示す図
【0064】
図1は、24本のシリコンロッド11、ガス取り込み口21及び反応器壁を有する慣用のジーメンス反応器の構造を概略的に示す。
【0065】
破線は、シリコンロッドが配置されている円周を示している。
【0066】
図2は、24本のシリコンロッド、ガス取り込み口22及び反応器壁32を有する本発明による反応器を概略的に示す。
【0067】
破線は、各々のシリコンロッド12を、3つの隣接するロッド12とつなぎ合わせる。
【0068】
この場合、例外として生じるのは、反応器壁32の側にあり、更に別の2本のロッド12のみを隣接領域に有するシリコンロッド12である。
【0069】
図3は、48本のシリコンロッド13、ガス取り込み口23及び反応器壁33を有する従来技術に従ったジーメンス反応器を示す。破線は、シリコンロッド13が分布されている円周を示している。
【0070】
図4は、54本のシリコンロッド14、ガス取り込み口24及び反応器壁34を有する本発明による反応器を概略的に示す。破線は、各々のシリコンロッド14を、3つの隣接するロッド14とつなぎ合わせる。この場合、例外として生じるのは、反応器壁34の側にあり、更に別の2本のロッド14のみを隣接領域に有するシリコンロッド14である。
【0071】
この場合、六角形の断面を有する反応器が表されている。図2でのような円形の断面も同様に可能であり、かつ有利である。
【実施例】
【0072】
例と比較例
ロッドの様々の配置を有するジーメンス反応器中で同じ析出処理を行った:
反応ガスは、そのつどトリクロロシラン(TCS)と水素とから成っており、その際、TCSの割合は常に20モル%であった。
【0073】
析出の間のガス供給は、TCSの流量が、ロッド面積1m2当たりかつ1時間当たり0.5キロモルとなるように、そのつど制御した。
【0074】
ロッドの温度は、ロッドの直径が毎時1mmの均一の速度で成長するように、そのつど制御した。
【0075】
取り出した後、ロッドの粗面部分(ポップコーン)を測定した。その際、Siロッドを透明なフィルムで巻き付け、そしてポップコーン表面を有する範囲(図5において右側)に印を付けた。引き続き、印を付けたフィルム面を測定し、ロッドの全面積を基準としてポップコーン表面積の割合に換算した。平滑な表面とポップコーン表面との間の移行部分は常に非常にはっきりしているわけではないので、得られた数はあまり正確ではない。しかし、それらの数は、テストした種々の反応器タイプ相互の信頼できる定性比較を示す。
【0076】
比較例1
この例では、上述の処理を、24本のロッド(それぞれ2.5mの長さ)を有する慣例のジーメンス反応器(内径1500mm)内で行った。
【0077】
これらは2つの円周内にあった:直径500mmを有する1つ目の円周内には8本のロッド及び直径1000mmを有する2つ目の円周内には16本のロッド(図1を参照されたい)。
【0078】
円周内でロッドは均一に分布されていた。
【0079】
ガス送入ノズルは、反応器の真ん中(1個)とロッドの円周の間(8個)とに設けられていた。
【0080】
150mmのロッド直径になるまで析出を行った。
【0081】
平均して、この場合、粗面の割合は15%であった。
【0082】
例1
第二の例では、同じ析出処理を本発明による反応器(図2を参照されたい)内で行った。
【0083】
反応器(内径1500mm)は、24本のロッド(それぞれ2.5m)と7つのノズルとを有していた。
【0084】
隣接するロッド間の間隔と、ロッドから一番近いノズルまでの距離とは全て同じであり、かつ220mmであった。
【0085】
そのためロッドと隣接ロッドとの方向間でと、ロッドと隣接ノズルとの方向間で120℃の同じ角度が生じた。
【0086】
この場合、150mmに析出させられたロッドの粗面(ポップコーン)は、約5%のみの割合となった。
【0087】
比較例1
この例では、上述の処理を、48本のロッド(それぞれ2.5mの長さ)を有する慣例のジーメンス反応器(内径2000mm)内で行った。
【0088】
これらは3つの円周を形成していた:直径500mmを有する1つ目の円周内には8本のロッド、直径1000mmを有する2つ目の円周内には16本のロッド及び直径1500mmを有する3つ目の円周内には24本のロッド(図3を参照されたい)。
【0089】
これらの円周内にはロッドが均一に分布されていた。ガス送入ノズルは、反応器の真ん中(1個)、内側のロッドの円周と真ん中のロッドの円周との間(8個)、並びに真ん中のロッドの円周と外側のロッドの円周との間(16個)に設けられていた。
【0090】
150mmのロッド直径になるまで析出を行った。
【0091】
この場合、析出させられたロッドのポップコーンの割合は平均して20%であった。
【0092】
例2
この例では、54本のロッド(それぞれ2.5m)、六角形の断面(内辺長 1000mm)及び19のガス取り込み口(ノズル)を有する本発明による反応器を使用した(図4を参照されたい)。
【0093】
隣接するロッド間の間隔と、ロッドから一番近いノズルまでの距離は全て同じであり、かつ220mmであった。
【0094】
そのためロッドと隣接ロッドとの方向間でと、ロッドと隣接ノズルとの方向間で120℃の同じ角度が生じた。
【0095】
この場合、150mmに析出させられたロッドのポップコーン割合は、平均して約5%のみの割合であった。
【符号の説明】
【0096】
11 フィラメントロッド若しくはシリコンロッド、 21 ガス取り込み口、 31 反応器壁、 12 フィラメントロッド若しくはシリコンロッド、 22 ガス取り込み口、 32 反応器壁、 13 フィラメントロッド若しくはシリコンロッド、 23 ガス取り込み口、 33 反応器壁、 14 フィラメントロッド若しくはシリコンロッド、 24 ガス取り込み口、 34 反応器壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器壁、少なくとも20本のフィラメントロッド、並びに反応器チャンバー内での反応ガス用のガス取り込み口を有する反応器チャンバーを包含する、多結晶シリコンを析出させるための装置であって、その際、各々のフィラメントロッドには、反応器壁付近のフィラメントロッドを除いて、150〜450mmの間隔で、更に別の3本の隣接するフィラメントロッドと、1つ乃至3つの隣接するガス取り込み口とが存在している、多結晶シリコンを析出させるための装置。
【請求項2】
各々のフィラメントロッドには、反応器壁付近のフィラメントロッドを除いて、250〜350mmの間隔で、更に別の3本の隣接するフィラメントロッドと、1つ乃至3つのガス取り込み口とが存在している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
フィラメントロッドと、更に別の3つの隣接するフィラメントロッド及び隣接するガス取り込み口との距離の差が、50%未満、特に有利には25%未満、極めて有利には10%未満である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
フィラメントロッドと、その更に別の隣接する3つのフィラメントロッドとの方向間の角度及びその隣接するガス取り込み口との方向間の角度とが、90°〜150°、有利には105°〜135°、極めて有利には115°〜125°である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
フィラメントロッドの長さが、隣接するロッド間の間隔の5〜15倍、有利には8〜12倍である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
ガス取り込み口が、反応器チャンバーの底部プレートに対して垂直に上に向かって取り付けられているノズルである、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
ガス取り込み口が、1〜10,000mm2の断面積を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
反応器チャンバーが、円形の断面又は、フィラメントロッドの数と最適な空間利用とに合わせられた、例えば六角形の断面を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
反応器チャンバーの断面に関して中心の少なくとも1つのガス取り込み口が備えられており、その際、1つ以上の排気口が、中心の少なくとも1つのガス取り込み口の周りに隣接して及び/又は反応器壁と該反応器壁付近に存在するフィラメントロッドとの間に置かれている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
1つ以上の冷却ボディ及び/又は1つ以上の加熱エレメントが反応器チャンバー内に存在しており、その際、これらはガス取り込み口の上方に配置されているか又は反応器チャンバー内にガス取り込み口に代えて置かれている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置において多結晶シリコンをフィラメントロッド上に析出させる方法であって、その際、ガス取り込み口によって、シリコンを含有するガスを反応器チャンバー内に導入し、そしてフィラメントロッドを、シリコンが該フィラメントロッド上で析出する温度に加熱する、多結晶シリコンをフィラメントロッド上に析出させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82614(P2013−82614A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224112(P2012−224112)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】