説明

多結晶ダイヤモンド構造体

残留圧縮応力状態にある第一の領域、および該第一の領域に隣接する残留引張応力状態にある第二の領域を備えるPCD構造体であって、第一および第二の領域がそれぞれ個別のPCDグレードで形成され、ダイヤモンド粒の相互成長によって互いに直接的に結合されてなり、PCDグレードが少なくとも1,200MPaの抗折力(TRS)を有する、PCD構造体。残留圧縮応力状態にある第三の領域も、第二の領域が第一および第三の領域の間に配置されて、第一および第三の領域にダイヤモンド粒の相互成長によって結合されるように提供されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は多結晶ダイヤモンド(PCD)構造体、多結晶ダイヤモンド構造体を含む要素、多結晶ダイヤモンド構造体の製造方法および、特にしかし非制限的に岩石分解もしくはドリル加工に使用するための、または地面を穿孔するための多結晶ダイヤモンド構造体を含むツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PCD材料は、実質的に相互成長したダイヤモンド粒の塊およびダイヤモンド粒間の隙間を含んでなる。PCDは、ダイヤモンド粒の凝集した塊を、コバルトのような、ダイヤモンド粒の相互成長を促進することができる焼結助剤の存在下、極めて高い圧力および温度にさらすことによって製造されることがある。焼結助剤は、ダイヤモンド用の触媒材料と称されることもある。PCD材料間の隙間は、全体的にまたは部分的に剰余触媒材料で満たされていても良い。PCDは、PCDを焼結するためのコバルト触媒材料源を供給し得るコバルト焼結炭化タングステン基材上に、一体的に形成されて結合することがある。本明細書では、「一体的に形成された」領域または部分との用語は、お互いに近接して製造され、他の種類の材料によって分離されていないことを意味する。PCD材料を含む挿入道具は、石油およびガス採掘産業において、地面を穿孔するのに用いられるドリルビットに広く用いられている。PCD材料は極めて耐摩耗性が高いが、PCD挿入道具は改良された破壊抵抗を有する必要がある。
【0003】
PCT特許出願公開番号WO/2004/111284には、コアとは異なるグレードのPCD材料を含むマトリックス中に分散された複数のPCDのコアおよび適切なバインダーを含む複合材料が開示されている。
【発明の概要】
【0004】
第一の側面から見ると、残留圧縮応力状態にある第一の領域、および前記第一の領域に隣接する第二の領域を含むPCD構造体であって、前記第二の領域が残留引張応力状態にあり、前記第一および第二の領域がそれぞれ個別のPCDグレードで形成され、ダイヤモンド粒の相互成長によって互いに直接的に結合されてなり、前記PCDグレードが少なくとも1,200MPaの抗折力(TRS)を有する、PCD構造体が提供される。
【0005】
第二の側面から見ると、それぞれ圧縮残留応力状態にある少なくとも2つの圧縮領域、および引張残留応力状態にある少なくとも1つの引張領域を有し、前記引張領域が前記圧縮領域の間に配置され、それぞれと一体的に形成されているPCD構造体が提供される。圧縮領域は、少なくとも第一および第三のPCDグレードを含んでいてよく、引張領域は第二のPCDグレードを含んでいてもよく、さらに少なくとも前記第二のPCDグレードは少なくとも約1,200MPaの抗折力(TRS)を有していてもよい。第二のPCDグレードは、少なくとも約1,600MPaまたは少なくとも約1,800MPaのTRSを有するように選択されてもよい。
【0006】
第三の側面から見ると、第一の平均径を有するダイヤモンド粒を含む第一の複数の凝集塊、および第二の平均径を有するダイヤモンド粒を含む少なくとも1つの第二の凝集塊を用意すること、前記第一および第二の凝集塊を交互配置に配置して焼結前組立品を形成すること、および前記焼結前組立品をダイヤモンド用の触媒材料存在下で、ダイヤモンドがグラファイトよりも熱力学的に安定な超高圧かつ高温で処理して、前記ダイヤモンド粒を共に焼結し、一体的なPCD構造体を形成すること、を含むPCD構造体を製造する方法が提供される。
【0007】
超硬合金支持体に結合されたPCD構造体を含んでなる、PCD要素が提供される。PCD要素を含んでなるツールも提供される。このツールは、地面を穿孔するドリルビットもしくはドリルビットの構成要素、またはアスファルトもしくは岩のような硬質材料を分解もしくは破壊するためのピックもしくはアンビルであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
PCD構造体の例を、添付図面を参照しつつ説明する。
【図1】地面を穿孔するのに用いられるドリルビット用のPCDカッター要素例の模式斜視図を示す。
【図2】PCD構造体の一部の例の模式断面図を示す。
【図3】PCD要素例の長手方向模式断面図を示す。
【図4】PCD要素例の長手方向模式断面図を示す。
【図5】地面を穿孔するのに用いられるドリルビット例の一部の模式斜視図を示す。
【図6A】PCD要素用焼結前組立品の例の模式長手方向断面図を示す。
【図6B】PCD要素の例の模式長手方向断面図を示す。
【図7A】PCD構造体の例の一部の模式断面図を示す。
【図7B】PCD構造体の例の一部の模式断面図を示す。
【図7C】PCD構造体の例の一部の模式断面図を示す。
【図7D】PCD構造体の例の一部の模式断面図を示す。
【図8】PCD要素の例の模式長手方向部分断面図を示す。 全ての図面において、同一の参照番号は同一の一般的特徴を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で用いられる、多結晶ダイヤモンド(PCD)は、ダイヤモンド粒の塊であって、該塊のかなりの部分がお互いに直接相互結合され、ダイヤモンドの量が材料の少なくとも約80体積パーセントであるダイヤモンドの塊を含んでなる超硬材料である。PCD材料の一態様において、ダイヤモンド粒間の隙間は、ダイヤモンド用の触媒を含んでなるバインダー材料で少なくとも部分的に満たされていてもよい。本明細書で用いられる、「隙間」または「隙間領域」はPCD材料のダイヤモンド粒間の領域である。PCD材料の例において、隙間または隙間領域は、ダイヤモンド以外の材料で実質的にまたは部分的に満たされているか、または実質的に空であってもよい。PCD材料の例は、隙間から触媒材料が取り除かれた少なくとも一領域を含み、ダイヤモンド粒間に隙間空隙を残していてもよい。本明細書で用いられる、ダイヤモンド用の触媒材料は、ダイヤモンド粒の直接相互成長を促進することができる材料である。
【0010】
本明細書で用いられる、PCDグレードは、ダイヤモンド粒の体積含有量および径、ダイヤモンド粒間の隙間領域の体積含有量ならびに隙間領域内に存在し得る材料の組成で特徴付けられるPCD材料である。PCD材料のグレードは、そのグレードに適した径分布を有するダイヤモンド粒の凝集塊を提供すること、任意には触媒材料または添加材料を凝集した塊の中に導入すること、およびダイヤモンド用の触媒材料源の存在下で凝集塊を、ダイヤモンドがグラファイトより熱力学的に安定であり、かつ、触媒材料が融解している圧力および温度に付すること、を含む方法によって製造されてもよい。これらの条件下で、融解した触媒材料は源から凝集した塊の中へと浸透してもよく、焼結プロセス中にダイヤモンド粒間の直接相互成長を促進してPCD構造体を形成するであろう。凝集塊は、ゆるいダイヤモンド粒、またはバインダー材料によって互いに保持されたダイヤモンド粒を含んでいてもよい。
【0011】
異なるPCDグレードは、異なる微細構造および異なる機械的特性、例えば、弾性(またはヤング)率E、弾性係数、抗折力(TRS)、靱性(例えば、いわゆるKC靱性)、硬度、密度および熱膨張率(CTE)を有していてもよい。異なるPCDグレードは、異なる用途に用いられてもよい。例えば、異なるPCDグレードの摩耗率および破壊抵抗は異なっていてもよい。
【0012】
下表に、PCDグレードI、IIおよびIIIと称される、3つのPCDグレードの例のおおよその組成特性および性質を示す。全てのPCDグレードは、ダイヤモンド用の触媒材料の例であるコバルト金属を含んでなる材料で満たされた隙間領域を含む。
【表1】

【0013】
図1を参照すると、PCD要素10の例は、焼結炭化タングステンを含んでいてもよい支持体30に結合されたか、そうでなければ接合されたPCD構造体20を含んでなる。PCD構造体20はPCDグレードを含む。
【0014】
本明細書で用いられる、「応力状態」は圧縮、無応力、または引張応力状態をいう。圧縮および引張応力状態は、互いに反対の応力状態であると理解される。円筒状の幾何学的なシステムにおいて、応力状態は軸方向、半径方向もしくは円周方向、または正味応力状態であってもよい。
【0015】
図2を参照すると、PCD構造体20の例は、少なくとも2つの、隙間を介した圧縮応力状態にある圧縮領域21、および少なくとも1つの引張残留応力状態にある引張領域22を含む。引張領域22は、圧縮領域21の間に位置し、圧縮領域21に接合されている。引張領域22はPCDグレードIを含み、圧縮領域22はPCDグレードIIIを含む。他の異型において、引張領域22はPCDグレードIIを含み、圧縮領域22はPCDグレードIIIを含む。
【0016】
引張領域が2つの圧縮領域の間にある配置を実現するために、PCDグレードが選択されてもよい。例えば、密度、弾性係数、硬度および熱膨張係数(CTE)のような機械的特性における変化が、この目的のために選択されてもよい。そのような変化は、ダイヤモンド粒の含有量、充填剤の含有量および種類、径分布またはPCD粒の平均径における変化によって実現されてもよい。
【0017】
図3を参照すると、PCD要素10の例は超硬合金支持体30に一体的に接合されたPCD構造体20を含む。PCD構造体20は、交互の(もしくは綴じ込まれた)階層または層の形態の複数の圧縮領域21および複数の引張領域22を含む。PCD要素10は、作用端に位置して作用表面24を定義するPCD構造体20を備え、実質的に形状が円筒状でよい。PCD構造体20は、非平面界面25で支持体30に接合されていてもよい。引張領域22は、PCDグレードIIを含み、圧縮領域22はPCDグレードIIIを含む。圧縮領域21および引張領域22は、約50ミクロン〜約200ミクロンの厚さを有し、PCD構造体20の作用表面24に実質的に平行に配置されてもよい。実質的に環状の領域26は、支持体30から突き出る非平面形体31の周りに設置されてもよく、環状領域26はPCDグレードIIを含む。
【0018】
図4を参照すると、PCD要素10の例は、PCD構造体20の作用表面24とは反対側の非平面界面25で超硬合金支持体30に一体的に接合された、PCD構造体20を含む。PCD構造体20は、延長された階層の形態にある、約10〜20の交互の圧縮領域21および引張領域22を含んでいてもよい。階層を含んでいない領域26が界面25に隣接して配置されていてもよい。階層21、26は曲がっているかまたは屈曲していてもよく、さらには一般的に界面25と平行に並べられていてもよく、PCD構造体の側面27と交差していてもよい。階層のいくつかは作用表面24と交差していてもよい。
【0019】
図5を参照すると、岩(図示せず)の穿孔用のドリルビット60の例は、ビット体62上に取り付けられたPCD要素例10を含む。PCD要素10は、それぞれのPCD構造体20が岩を切断するためのビット体62から突き出るように配置される。
【0020】
PCD要素を製造する方法の例をここで説明する。バインダー材料によって共に保持されたダイヤモンド粒を含むシートの形態の凝集塊が提供されてもよい。シートは、所望の個別のPCDグレードを製造するのに適した個別の径分布を有するダイヤモンド粒を含むスラリーおよびバインダー材料が表面上に塗られて乾燥できる、押出しまたはテープキャスト法のような当業界で知られた方法で製造されてもよい。ダイヤモンド含有シートを製造するための他の方法も用いられてよく、例えば米国特許5,766,394号および6,446,740号に記載された方法がある。ダイヤモンドを有する層を堆積する代替方法には、溶射のようなスプレー法が含まれる。バインダー材料は、メチルセルロースまたはポリエチレングリコール(PEG)のような水系の有機バインダーを含んでいてもよく、異なる径分布、ダイヤモンド含有量または添加剤を有するダイヤモンド粒を含む種々のシートが提供されてもよい。例えば、異なる平均径を有するダイヤモンドを含む少なくとも2つのシートが提供されてもよく、第一および第二のセットのディスクがそれぞれの第一および第二のシートから切り出されてもよい。シートは、コバルトのようなダイヤモンド用の触媒材料、および/またはダイヤモンド粒の異常成長を抑制するための添加剤もしくはPCD材料の特性を向上するための添加剤も含んでいてよい。例えば、シートは約0.5重量パーセントから約5重量パーセントの炭化バナジウム、炭化クロムまたは炭化タングステンを含んでいてもよい。一例において、それぞれのセットは約10〜20のディスクを含んでいてもよい。
【0021】
超硬合金を含む支持体であって、セメントまたはバインダー材料がコバルトのようなダイヤモンド用の触媒材料を含む支持体、が提供されてもよい。支持体は、PCD構造体がその上に形成されることになる非平面端または実質的に平面状の隣接端を有していてもよい。端部の非平面形状は、PCD構造体と支持体の間の望ましくない残留応力を減らすように構成されていてもよい。ダイヤモンド含有シートを支持体上に組立てる際に使用するために、カップが提供されてもよい。第一および第二の組のディスクは、交互の順番でカップの底に積み重ねられてもよい。本方法の一態様において、実質的にゆるいダイヤモンド粒の層がディスクの最上部上に押し固められてもよい。支持体は、次いで、隣接端を最初に入れつつ、カップに挿入されてもよく、実質的にゆるいダイヤモンド粒を押しつけて、ダイヤモンド粒をわずかに動かし、支持体の非平面端の形状に合わせてそれらを配置することで、焼結前組立品を形成する。
【0022】
焼結前組立品を超高圧炉用カプセルの中に入れ、少なくとも約5.5GPaの超高圧および摂氏約1,300度の高温に付して、ダイヤモンド粒を焼結し、支持体に一体的に接合されたPCD構造体を含むPCD要素を形成することができる。本方法の一態様において、焼結前組立品が超高圧および高温で処理されているとき、支持体中のバインダー材料が融解し、ダイヤモンド粒の階層に浸透する。支持体からの融解触媒材料の存在は、お互いの相互成長によってダイヤモンド粒の焼結を促進し、一体的な層状のPCD構造体を形成するであろう。
【0023】
本方法のいくつかの態様において、凝集塊は実質的にゆるいダイヤモンド粒、またはバインダー材料によって共に保持されたダイヤモンド粒を含んでいてもよい。凝集した塊は、顆粒状、ディスク状、ウエハ状、またはシート状であってよく、ダイヤモンド用の触媒材料および/または異常なダイヤモンド粒の成長を減らすための添加剤を含んでいてもよく、また、例えば、凝集塊は触媒材料もしくは添加剤を実質的に含んでいなくてもよい。一態様において、第一の平均径は約0.1ミクロンから約15ミクロンの範囲内でよく、第二の平均径は約10ミクロンから約40ミクロンの範囲内でよい。一態様において、凝集塊は超硬合金支持体上に集められてもよい。
【0024】
図6Aを参照すると、PCD要素を製造するための焼結前組立品40の例は、支持体30、該支持体30の非平面端に対して押し固められたダイヤモンド粒を含む領域46、および該領域46上に積み重ねられたディスクまたはウエハの一般的な形状である複数の交互のダイヤモンド含有凝集塊41、42を含んでいてよい。いくつかの態様において、凝集塊は、ゆるいダイヤモンド粒または顆粒の形態であってよい。焼結前組立品は、加熱されて積み重ねられたディスク中のバインダー材料を取り除いてもよい。
【0025】
図6Bを参照すると、PCD要素10の例は、異なる個別のグレードのPCD材料で形成される複数の交互階層21、22、および階層を含まない部分26を含むPCD構造体20を含む。部分26は、超高圧での処理の間に一体的に結合される支持体30の非平面端の形状に応じて共同で形成されてもよい。異なるグレードのPCDの交互階層21、22は直接ダイヤモンド−ダイヤモンド間相互成長によって共に結合され、一体的な、頑丈、かつ層状のPCD構造体20を形成する。PCD階層21、22の形状は、超高圧に付された結果として、ある意味で、曲がっていても、湾曲していても、あるいは歪曲していてもよい。本方法のいくつかの態様において、凝集塊は焼結前組立品中に配置されて、超高圧および高温処理の間に起こり得る配置の歪みを考慮に入れつつ、PCD構造体内で階層の種々の他の構造を実現してもよい。
【0026】
階層21、22は、階層の種々の平均ダイヤモンド粒の結果として、異なる個別のPCDグレードを含んでいてもよい。異なるタイプのディスク41、42は種々の平均径を有するダイヤモンド粒を含み、結果としてダイヤモンド粒間に異なるサイズのスペースを含むため、異なる量の触媒材料が、焼結前組立品の中に含まれるディスク41、42の中に浸透してもよい。したがって、対応する交互PCD階層21、22は、異なる交互の量のダイヤモンド用触媒材料を含んでいてもよい。引張領域内の充填材料の含有量は、体積パーセントの単位で、それぞれの圧縮領域内の含有量よりも大きくてもよい。
【0027】
一例において、圧縮階層は、引張階層のダイヤモンド粒の平均径よりも大きな平均径を有するダイヤモンド粒を含んでいてもよい。例えば、引張階層のダイヤモンド粒の平均径は、多くとも約10ミクロン、多くとも約5ミクロンまたはさらに多くとも約2ミクロンであって、少なくとも約0.1ミクロンまたは少なくとも約1ミクロンであってもよい。いくつかの態様において、それぞれの圧縮階層のダイヤモンド粒の平均径は少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、またはさらに少なくとも約15ミクロンであって、多くとも約30ミクロンまたは多くとも約50ミクロンである。
【0028】
特定の理論によって縛られることを望むものではないが、層状PCD構造体が、該層状PCD構造体が形成された高温から冷却されることができる場合、異なる量の金属触媒材料を含む交互階層が異なる割合で収縮してもよい。これは、高温から冷却されるときに、ダイヤモンドよりも金属の方がずっと大幅に収縮するからであろう。この異なる収縮率は、隣接する階層がお互いに引っ張り合う原因となり、そしてそれらの中で反対する応力を誘導するであろう。
【0029】
図6Bを参照して説明されるPCD構造体10は、切削によって加工されて形状を修正し、実質的に図4を参照して説明したようなPCD要素を形成してもよい。このことは、いくつかの曲線状の階層の一部を除去して、実質的に平面状の作用表面および実質的に円筒状の側面を形成することを含んでいてもよい。触媒材料は、作用表面もしくは側面または作用表面および側面の両方と隣接する、PCD構造体の領域から除去されてもよい。このことは、PCD構造体を酸で処理してダイヤモンド粒間から触媒材料を浸出させることによってか、または電気化学的方法のような他の方法によって行われてもよい。PCD構造体の表面から少なくとも約50ミクロンまたは少なくとも約100ミクロンの深さまで広がり、実質的に多孔性でもよい、熱的に安定な領域が提供されてもよい。一例において、実質的に多孔性の領域は、最大2重量パーセントの触媒材料を含んでいてもよい。
【0030】
図7Aを参照すると、PCD構造体20の異型例は少なくとも3つの実質的に平面状の階層21、22を含み、該階層がPCD構造体20の作用表面24に対して実質的に平行な交互配置に配置され、PCD構造体の側面27に交差する。
【0031】
図7Bを参照すると、PCD構造体20の異型例は交互配置に配置される少なくとも3つの階層21、22を含み、該階層が曲面または湾曲形状を有し、階層の少なくとも一部がPCD構造体の作用表面24および刃先28から離れるように傾斜している。
【0032】
図7Cを参照すると、PCD構造体20の異型例は交互配置に配置された少なくとも3つの階層21、22を含み、該階層の少なくとも一部がPCD構造体の作用表面24から離れるように傾斜し、PCD構造体の刃先28に向かって全般的に伸びている。
【0033】
図7Dを参照すると、PCD構造体20の異型例は交互配置に配置された少なくとも3つの階層21、22を含み、いくつかの階層の少なくとも一部がPCD構造体の作用表面24に並んでおり、いくつかの階層の少なくとも一部は全般的にPCD構造体の側面27に並んでいる。階層は部分的に環状である全般的な環状でよく、PCD構造体20の実質的に円筒状の側面27と実質的に同心であってもよい。
【0034】
図8を参照すると、PCD構造体の例は、引張残留応力状態の引張領域100および圧縮残留応力状態の圧縮領域120を含んでなる。引張領域100は、圧縮領域120に隣接して位置しており、圧縮領域120に接合されている。引張領域100は、第一のPCDグレード、例えば上述のようなPCDグレードI、を含み、さらに圧縮領域120は異なるPCDグレード、例えば上述のようなPCDグレードIII、を含む。
【0035】
PCD構造体は、作用表面に近接の表面領域を有していてもよく、該領域は多くとも約1,050MPaまたは多くとも約1,000MPaのヤング率を有するPCD材料を含む。表面領域は、熱的に安定なPCD材料を含んでいてもよい。
【0036】
PCD構造体のいくつかの例は、引張領域をその間に配置する、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも7、少なくとも10、またはさらに少なくとも15個の圧縮領域を有していてもよい。
【0037】
それぞれの階層または層は少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、または少なくとも約200ミクロンの厚さを有していてもよい。それぞれの階層または層は最大約500ミクロンの厚さを有していてもよい。いくつかの態様例において、それぞれの階層または層は、作用表面の一端のある点から他端のある一点まで測定したPCD構造体の厚さの、少なくとも約0.05パーセント、少なくとも約0.5パーセント、少なくとも約1パーセントまたは少なくとも約2パーセントの厚さを有していてもよい。いくつかの態様において、それぞれの階層または層は、PCD構造体の厚さの多くとも約5パーセントの厚さを有していてもよい。
【0038】
本明細書で用いられる、「残留応力状態」との用語は、外部から適用された負荷の不存在下での、本体または本体の一部の応力状態を言う。層構造を含む、PCD構造体の残留応力状態は、歪みゲージを用いることおよび材料を一層一層漸次取り除くことによって測定されてもよい。いくつかのPCD要素の例において、少なくとも1つの圧縮領域が、少なくとも約50MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約400MPa、またはさらに少なくとも約600MPaの圧縮残留応力を有していてもよい。隣接する階層間の残留応力の大きさの差は、少なくとも約50MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約600MPa、少なくとも約800MPaまたはさらに少なくとも約1,000MPaであってよい。一例において、少なくとも2つの連続する圧縮領域または引張領域が、異なる残留応力を有していてもよい。PCD構造体は、それぞれ異なる圧縮応力を有する少なくとも3つの圧縮領域または引張領域を含んでいてもよく、これらの領域はそれぞれ圧縮応力または引張応力の大きさの大きい順または小さい順で配置される。
【0039】
一例において、それぞれの領域は、最大で16MPa・m1/2の平均靱性を有していてもよい。いくつかの態様において、それぞれの領域は、少なくとも約50GPaまたは少なくとも約60GPaの平均硬度を有していてもよい。それぞれの領域は、少なくとも約900MPa、少なくとも約950MPa、少なくとも約1,000またはさらに少なくとも約1,050MPaの平均ヤング率を有していてもよい。
【0040】
本明細書で用いられる、「抗折力」(TRS)は、幅Wおよび厚さTを有する棒状の試料を三点、つまり二点は試料の片側で一点は試料の反対側、で荷重をかけ、加重Pで試料が破壊されるまである加重速度で加重を増やすことによって測定されてもよい。そして、TRSは加重P、試料の寸法、および片側の2つの荷重位置間の距離である距離Lを基に計算される。このような測定は、三点曲げ試験とも称されてもよく、D.MunzおよびT.Fettによって"Ceramics, mechanical properties, failure behaviour, materials selection"(1999, Springer, Berlin)において説明されている。PCD材料の特定のグレードに対応するTRSは、そのグレードからなるPCDの試料のTRSを測定することで測定される。
【0041】
交互の圧縮および引張応力状態を有するPCD階層を備えるPCD構造体の提供は、PCD構造体の全体の有効靱性を増加する傾向がある一方、階層がほつれる傾向を示す層間剥離の潜在的発生率を増大させる効果を有し得る。特定の理論によって縛られることを望むものではないが、PCD階層が階層間の残留応力に耐えられるほど十分に強固でない場合、層間剥離が生じる傾向を示すことがある。この効果は、PCDグレードおよび特に引張領域を形成するPCDグレードを選択し、十分に高いTRSを有することによって改善するであろう。PCDグレードまたは引張領域を形成するPCDグレードのTRSは、経験するであろう残留張力よりも大きいべきである。ある領域が経験するであろう応力の大きさに影響を与える一つの方法は、隣接する領域の相対厚さを選択することである。例えば、引張領域の厚さが隣接する圧縮領域の厚さより大きくなるように選択することによって、引張領域内の引張応力の大きさを減らすであろう。
【0042】
領域の残留応力状態は、温度と共に変化してもよい。使用に際して、PCD構造体の温度は、刃先に近い点と刃先から離れている点との間で実質的に異なっていてもよい。いくつかの使用に際して、刃先付近の温度は摂氏数百度に達することがある。その温度が摂氏約750度を超える場合、コバルトのような触媒材料存在下でダイヤモンド材料はグラファイト材料に転換する可能性があり、これは望ましくない。したがって、いくつかの使用に際しては、本明細書に記載する隣接する領域での交互の応力状態は、摂氏約750度以下の温度で検討されるべきである。
【0043】
PCDディスクのKC靱性は、ダイアメトラル圧縮試験を用いて測定され、該試験はLammer("Mechanical properties of polycrystalline diamonds", Materials Science and Technology, volume 4, 1988, p. 23.)およびMiess(Miess, D. and Rai, G., "Fracture toughness and thermal resistances of polycrystalline diamond compacts", Materials Science and Engineering, 1996, volume A209, number 1 to 2, pp. 270-276)によって説明されている。
【0044】
ヤング率は弾性率の一種であり、材料が弾性的に振る舞う応力の範囲内で、一軸性応力に応答する一軸性歪みの度合いである。ヤング率Eの測定の好ましい方法は、材料を通過する音の速度の横軸および縦軸成分を、式:
【数1】

(式中、
【数2】

、CおよびCはそれぞれ、測定された材料を通過する音の縦軸速度および横軸速度であり、ρは材料の密度である。)に照らして測定する方法である。音の縦軸速度および横軸速度は、当業界でよく知られているように、超音波を用いて測定されてもよい。材料が種々の材料の複合材料の場合、平均ヤング率が3つの式、すなわち以下の調和、幾何学、および複合則式のうちの1つを用いて推定されてもよく、該式は
【数3】

【数4】

および
【数5】

であり、ここで種々の材料が、それぞれ体積分率fおよびfの2つの部分に分けられ、1つに合計される。
【0045】
本明細書で用いられる、「〜で形成される(formed of)」との表現は、「組成物または微細構造中の潜在的な小さなまたは実質的でない偏差は別として、〜からなる」を意味する。
【0046】
本開示から予測されるいくつかの組合せを、以下の節に提示する。
【0047】
1.第一の領域、第二の領域および第三の領域を含むPCD構造体であって、第二の領域が第一および第三の領域の間に配置されてダイヤモンド粒の相互成長によって結合され、
各領域が、少なくとも1,200MPaまたは少なくとも1,600MPaのTRSを有するそれぞれのPCDグレードで形成され、第二の領域のPCDグレードが、第一および第三の領域のそれぞれのPCDグレードよりも高い熱膨張係数(CTE)を有する、PCD構造体。第二の領域は、少なくとも4×10−6mm/℃のCTEを有するPCDグレードを含んでいてもよい。
【0048】
2.それぞれ個別の残留圧縮応力状態にある第一および第三の領域、および残留引張応力状態にあり、第一および第三の領域の間に配置される第二の領域を含むPCD構造体であって、第一、第二および第三の領域がそれぞれ個別のPCDグレードで形成され、ダイヤモンド粒の相互成長によってお互いに直接結合し、PCDグレードが少なくとも1,200MPaの抗折力(TRS)を有する、PCD構造体。
【0049】
3.第一の領域、第二の領域および第三の領域を含むPCD構造体であって、第二の領域が第一および第三の領域の間に配置されてダイヤモンド粒の相互成長によって結合され、
各領域が、少なくとも0.1ミクロン、かつ、多くとも30ミクロンの平均径を有する少なくとも85体積パーセントのダイヤモンド粒を含むそれぞれのPCDグレードで形成され、第二の領域のPCDグレードが、第一および第三の領域に含まれるそれぞれのPCDグレードに含まれる金属よりも高含有量の金属を含む、PCD構造体。第二の領域に含まれるPCDグレードは、少なくとも9体積パーセントの金属を含んでいてもよい。
【0050】
4.第一の領域、第二の領域および第三の領域を含むPCD構造体であって、第二の領域が第一および第三の領域の間に配置されてダイヤモンド粒の相互成長によって結合され、
各領域が、少なくとも1,200MPaのTRSを有する個別のPCDグレードで形成され、第二の領域に含まれるPCDグレードが、第一および第三の領域に含まれる個別のPCDグレードのそれぞれに含まれる金属よりも多くの金属を含む、PCD構造体。第二の領域に含まれるPCDグレードは、少なくとも9体積パーセントの金属を含んでいてもよい。
【0051】
5.上記1〜4の番号を付けた全ての組合せにおいて、PCD構造体は、PCD構造体の表面から少なくとも50ミクロンの深さに広がる熱的に安定な領域を含んでいてもよく、ここで熱的に安定な領域は多くとも2重量パーセントのダイヤモンド用触媒材料を含む。
【0052】
6.上記1〜5の番号を付けた全ての組合せにおいて、領域は、交互配置に配置される階層の形態であり、一体的な層状のPCD構造体を形成してもよい。階層は、少なくとも約10ミクロン、かつ、多くとも約500ミクロンの厚さを有していてもよく、階層は全般的に平面状、曲面状、湾曲状または半球状であってもよい。
【0053】
7.上記1〜6の番号を付けた全ての組合せにおいて、領域はPCD構造体の作用表面または側面と交差していてもよい。第一および第三の領域に含まれるPCDグレードは、第二のPCDグレードに含まれるダイヤモンド粒とは異なる平均径を有するダイヤモンド粒を含んでいてもよい。
【0054】
8.上記1〜7の番号を付けた全ての組合せにおいて、第二の領域の体積または厚さは、第一の領域の体積または厚さおよび第三の領域の体積または厚さよりも大きくてもよい。
【0055】
超硬合金支持体に結合されたPCD構造体を含むPCD要素が提供されることができる。PCD要素は、実質的に円筒状であってよく、実質的に平面状の作用表面、または全般的に半球状、尖頭状、円形状の円錐または円錐台形の作用表面を有していてもよい。PCD要素は、地面を穿孔するための回転剪断(またはドラッグ)ビット用、ハンマードリルビット用、または砕鉱もしくはアスファルト分解のためのピック用であってもよい。
【0056】
本明細書に記載されるPCD要素は、破壊に対する改良された抵抗の側面を有する。
【0057】
2つの異なるグレードのPCDの交互階層を含むPCD要素の非制限例が、以下に提供される。
【0058】
異なる平均径を有し、有機バインダーで互いに保持されたダイヤモンド粒をそれぞれ含む第一および第二のシートを、テープキャスト法で製造した。この方法は、液体バインダー中に懸濁されたダイヤモンド粒のそれぞれのスラリーを用意すること、スラリーをシート形態に成型すること、およびそれらを乾燥させて自立可能なダイヤモンド含有シート形成することを含む。第一のシート中のダイヤモンド粒の平均径は、約5ミクロンから約14ミクロンの範囲内であり、第二のシート中のダイヤモンド粒の平均径は、約18ミクロンから約25ミクロンの範囲内であった。両方のシートとも、約3重量パーセントの炭化バナジウムおよび約1重量パーセントのコバルトを含んでいた。乾燥後、シートは約0.12mmの厚さであった。約13mmの直径を有する15個の円形ディスクをそれぞれのシートから切り出し、第一および第二のセットのディスク型ウエハを用意した。
【0059】
コバルト焼結炭化タングステンで形成された支持体を用意した。支持体は全般的に円筒形状の形態で、約13mmの直径および中央突出部で形成された非平面端を含んでいた。約13mmの内径を有する金属カップを、焼結前組立品を組立てるために用意した。ダイヤモンド含有ウエハをカップ内に入れ、綴じ込まれた第一および第二セットからのディスクでをお互いの上に交互に積み上げた。約18ミクロンから約25ミクロンの範囲内の平均径を有するゆるいダイヤモンド粒の層をひっくり返したカップの中で、ウエハの最上層上に置き、非平面端を層に対して押しつけつつ支持体をカップ内に挿入した。
【0060】
こうして形成された焼結前組立品を超高圧プレス用のカプセルに組み立て、約6.8GPaの圧力と少なくとも摂氏約1,450度の温度に約10分間曝して、ダイヤモンド粒を焼結し、支持体に結合されたPCD構造体を含むPCD要素を形成した。
【0061】
PCD要素を切削およびラップ仕上げによって加工し、実質的に平面状の作用表面および円筒状の側面、ならびに作用表面と側面との間の45度のチャンファーを有するカッター要素を形成した。カッター要素を、タレットミル(turret milling)試験という、PCD構造体が破壊されるかまたは効果的な切削がこれ以上実現できないくらいまでひどく摩耗するまで花こう岩の塊を切断する試験に付した。色々な間隔で試験を止め、カッター要素を観察し、さらに切断の結果としてPCD構造体中に形成された摩耗傷のサイズを測定した。PCDカッターは、凝集体、非階層化微細構造および構成グレードの特性を有するPCD材料から期待されるであろう、より良好な耐摩耗性および破壊耐性を示した。
【0062】
PCD構造体を通る断面も、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微細構造を観察した。曲線PCD階層が明確に分かり、それぞれの階層が約50ミクロンから約70ミクロンの範囲内の厚さを有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留圧縮応力状態にある第一の領域、および前記第一の領域に隣接する第二の領域を含むPCD構造体であって、前記第二の領域が残留引張応力状態にあり、前記第一および第二の領域がそれぞれ個別のPCDグレードで形成され、ダイヤモンド粒の相互成長によって互いに直接的に結合されてなり、前記PCDグレードが少なくとも1,200MPaの抗折力(TRS)を有する、PCD構造体。
【請求項2】
前記第二の領域の前記PCDグレードが、前記第一の領域の前記PCDグレードよりもより高い熱膨張係数(CTE)を有する、請求項1に記載のPCD構造体。
【請求項3】
前記第二の領域の前記PCDグレードが、前記第一の領域の前記PCDグレードよりも低い弾性係数を有する、請求項1または2に記載のPCD構造体。
【請求項4】
個別の残留圧縮応力状態にある第三の領域をさらに備えるPCD構造体であって、前記第二の領域が前記第一および第三の領域の間に配置され、前記第一、第二および第三の領域がそれぞれ個別のPCDグレードで形成され、ダイヤモンド粒の相互成長によって互いに直接的に結合されてなり、前記PCDグレードが少なくとも1,200MPaの抗折力(TRS)を有する、請求項1に記載のPCD構造体。
【請求項5】
前記第二の領域が、少なくとも4×10−6mm/℃のCTEを有するPCDグレードを含む、請求項4に記載のPCD構造体。
【請求項6】
前記領域が少なくとも10ミクロン、かつ、多くとも500ミクロンの厚さを有する、請求項4または5に記載のPCD構造体。
【請求項7】
前記第二の領域の体積が、前記第一の領域の体積および前記第三の領域の体積よりも大きい、請求項4〜6のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項8】
前記領域が前記PDC構造体の作用表面または側面と交差する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項9】
前記第一および第三の領域内に含まれる前記PCDグレードが、前記第二の領域中に含まれる前記PDCグレードのダイヤモンド粒とは異なる平均径を有するダイヤモンド粒を含む、請求項4〜8のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項10】
前記第二の領域内に含まれる前記PCDグレードが、前記第三の領域の前記PCDグレードに含まれているよりも高い金属体積含有量で含まれる、請求項4〜9のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項11】
前記PCD構造体の表面から少なくとも50ミクロンの深さに広がる熱的に安定な領域を含み、前記熱的に安定な領域が、ダイヤモンド用の触媒材料を多くとも2重量パーセント含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項12】
前記領域が階層状である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のPCD構造体。
【請求項13】
第一グレードのPCD材料を含む1つ以上の階層の第一のセット、および第二グレードのPCD材料を含む階層の第二のセットを含むPCD構造体であって、前記階層の第一のセットが前記階層の第二のセットと交互配置に配置され、前記階層がダイヤモンド粒の直接相互成長によってお互いに結合されて一体的な階層状PCD構造体を形成している、請求項12に記載のPCD構造体。
【請求項14】
第一の平均径を有するダイヤモンド粒を含む第一の複数の凝集塊、および第二の平均径を有するダイヤモンド粒を含む少なくとも1つの第二の凝集塊を用意すること、前記第一および第二の凝集体塊を交互配置に配置して焼結前組立品を形成すること、および前記焼結前組立品をダイヤモンド用の触媒材料存在下で、ダイヤモンドがグラファイトよりも熱力学的に安定な超高圧かつ高温で処理して、前記ダイヤモンド粒を共に焼結し、一体的なPCD構造体を形成すること、を含むPCD構造体を製造する方法。
【請求項15】
前記凝集体塊が、バインダー材料によって共に保持されるダイヤモンド粒を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の平均径が0.1ミクロンから15ミクロンであり、かつ前記第二の平均径が10ミクロンから40ミクロンである、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
地面を穿孔するための回転剪断ビット用、ハンマードリルビット用、または採鉱もしくはアスファルト分解のためのピック用のPCD要素であって、提供され得る超硬合金支持体と結合した請求項1〜13のいずれか一項に記載のPCD構造体を含む、PCD要素。
【請求項18】
請求項17に記載のPCD要素を含む、地面を穿孔するためのドリルビットまたはドリルビットの構成要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−513031(P2013−513031A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542390(P2012−542390)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007425
【国際公開番号】WO2011/069637
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(506231892)エレメント シックス リミテッド (15)
【出願人】(512148551)エレメント、シックス、アブレイシブズ、ソシエテ、アノニム (2)
【氏名又は名称原語表記】ELEMENT SIX ABRASIVES S.A.
【Fターム(参考)】