説明

多軸機械用ツールヘッド、前記ツールヘッドを有する多軸機械、及び前記機械の使用方法

【課題】多軸機械用ツールヘッド、前記ツールヘッドを有する多軸機械、及び前記機械の使用方法を提供する。
【解決手段】多軸機械100用ツールヘッドは、2つの要素101、102を有するスピンドル本体を有している。これらの要素は、対応するカップリング103を用いて相互に回転可能に連結され、第1の要素が第1の長手方向軸WA1を有し、第2の要素が第2の長手方向軸を有し、2つの要素が伸長位置から角度のある位置へ回転位置に応じて移動可能である。第1の駆動装置A1は、スピンドル本体内に又はスピンドル本体上に設置される。第2の要素に位置している受容装置120が設けられる。この受容装置は、スピンドルモータ20と、該スピンドルモータに組み込まれ、第2の要素を用いて動力が供給され得るモータM1と、受容装置の電気的連結手段とを固定するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、多軸機械用ツールヘッド、前記ツールヘッドを有する多軸機械、及び前記機械の使用方法である。
【背景技術】
【0002】
非常に様々な物質及び被加工物の加工のために設計され最適化された専用機械の全体配列が存在する。このような専用機械のコストは比較的高いことが多い。多数の同一又は類似の被加工物が加工される場合に専用機械の能力を確保することができるだけであることは、これら専用機械の欠点と見なされることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
対応機械を追加又は変更によってより柔軟に使えるようにするという点において、対応機械の能力を改良するという要求がますます存在する。追加又は変更が元の専門領域における前記機械の実際の使用を妨げること又は前記機械の信頼性あるいは精度を害することが起こり得る。
【0004】
従って、本発明の目的は、一方では、例えば傘歯車を製造するための歯切り機械として使用可能であるが、また別の加工方法又は加工状態のために使用することができるように加工機械を設計することである。
【0005】
本発明の目的はまた、加工機械の一部として柔軟に且つ一般に使用可能であるツールヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明に係るツールヘッド、特に多軸機械用に設計されるツールヘッドによって達せられる。前記ツールヘッドは、対応カップリングを用いて相互に回転可能に連結される2つの要素又はアセンブリを有するスピンドル本体を備えている。2つの要素のうち第1の要素が第1の長手方向軸を有し、2つの要素のうち第2の要素が第2の長手方向軸を有し、2つの要素は、同心(伸長)位置から角度のある位置へ回転位置に応じて移動可能であるような形態である。第1の(主)駆動装置は、スピンドル本体内に又はスピンドル本体上に設置される。第2の要素に位置している受容装置が設けられている。この受容装置は、スピンドルモータと、該スピンドルモータに組み込まれ、第2の要素を用いてエネルギー(例えば電流の形の電力)が供給可能であるモータと、受容装置の連結手段(例えば電気的連結手段)とを一時的に固定するように設計される。また、受容装置は、第1の駆動装置を使用して駆動可能であるフライス削りツールを一時的に固定するように設計される。
【0007】
本発明に係る前記装置は、歯車の製造及び/又は歯面の加工のために特に設計される。使用される前記ツールは、状況に応じて選択されることとなる。
【0008】
本発明の最も重要な利点は、本発明に係るツールヘッドを備えた対応する専用機械がより柔軟に使用可能であることと理解される。対応機械の構造変更にもかかわらず、精度特性がマイナスに害されることはない。
【0009】
本発明の更なる詳細及び利点を、例示的実施形態に基づいて図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】伸長位置にある本発明に係る第1のツールヘッドの概略側面図である。
【図1B】図1Aから角度のある位置にある本発明に係る第1のツールヘッドの概略側面図である。
【図2】伸長位置にある本発明に係る更なるツールヘッドの概略斜視図である。
【図3A】フライス削りカッタを有するスピンドルモータを支持する伸長位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る機械の概略側面図である。
【図3B】フライス削りカッタを有するスピンドルモータを支持する図3Aから角度のある位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る機械の概略側面図である。
【図3C】フライス削りカッタを有するスピンドルモータの概略側面図である。
【図4A】フライス削りツールを支持する伸長位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る機械の概略側面図である。
【図4B】フライス削りツールを支持する図4Aから角度のある位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る機械の概略側面図である。
【図4C】フライス削りツールの概略側面図である。
【図5】角度のある位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る更なる機械の概略側面図である。
【図6】フライス削りカッタを有するスピンドルモータを支持する伸長位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る更なる機械の概略側面図である。
【図7】フライス削りカッタを有するスピンドルモータを支持する伸長位置にあるツールヘッドを有する本発明に係る更なる機械の概略側面図である。
【図8A】フライス削りツールを支持する角度のある位置にある本発明に係る更なるツールヘッドの断面図である。
【図8B】フライス削りカッタを有するスピンドルモータを支持する図8Aから角度のある位置にあるツールヘッドの断面図である。
【図9】フランジを支持する角度のある位置にある本発明に係る更なるツールヘッドの断面図である。
【図10A】フライス削りツールを支持する本発明に係る更なるツールヘッドの断面図である。
【図10B】スピンドルモータを支持する図10Aからのツールヘッドの断面図である。
【図10C】フランジを支持する図10Aからのツールヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載に関して使用される用語はまた、関連のある公報及び特許において使用される。しかしながら、これらの用語の使用はより良い理解に役立つのみであることに注意すべきである。本発明による考え及び特許請求の範囲の保護範囲は、用語の特定の選択による範囲に制限されるものではない。本発明は、他の用語のシステム及び/又は技術分野に容易に移し変えることができる。従って、用語は、別の技術分野において適用されるものである。
【0012】
本発明は、新しいツールヘッド110に関し、該ツールヘッド110は、図1A及び図1Bに2つの極端位置で示されている。ツールヘッド110は、特に多軸機械100用に設計される。機械100、好ましくは多軸NC制御機械である機械100は、図1Aから図9ではブロック要素として示されるだけである。
【0013】
ツールヘッド110は、スピンドル本体105を有し、該スピンドル本体105は、図1A及び図1Bに概略的に示されるように、2つの要素又はアセンブリ101、102を有している。2つの要素101及び102は、対応カップリング(corresponding coupling)103を用いて相互に回転可能に連結されている。第1の要素101は、第1の長手方向軸(第1のツール軸とも呼ばれる)WA1を有し、第2の要素は、第2の長手方向軸(第2のツール軸とも呼ばれる)WA2を有している。2つの要素101、102は、該2つの要素が同心位置(伸長位置とも呼ばれる)から角度のある位置まで回転位置に応じて移動可能であるような方法で、カップリング103によって相互に機械的に連結されている。長手方向軸WA1及びWA2が互いに同心である伸長位置が図1Aに示されている。長手方向軸WA1が長手方向軸WA2に対してある角度に向けられた角度のある位置が図1Bに示されている。2つの長手方向軸WA1、WA2の間の角度Wは、ここで示される実施例では90度より多少大きい。
【0014】
さらに、ツールヘッド110は、第1の駆動装置(主駆動装置とも呼ばれる)A1を有し、該第1の駆動装置A1は、スピンドル本体105内に又はスピンドル本体105上に設置されている。第1の駆動装置A1は、いわゆる主軸を駆動する。この第1の駆動装置A1は、図1A、図1B、図3A、図3B、図4A、図4B、図8A、図8B及び図9に示されるように、好ましくは第2の要素102内に設置されている。
【0015】
また、(クランプ装置などの)受容装置(receptacle device)120が設けられ、該受容装置120は、第2の要素102に位置している。受容装置120は、図面では単に概略的な形態で示されている。受容装置は、図3A及び図3Bに示されるように、スピンドルモータ20の機械的な固定用に設計されている。モータM1は、(フライス削りカッタ21などの)ツール21をいわゆる補助軸R1の周りに回転移動させるために、このスピンドルモータ20に組み込まれている。スピンドルモータ20のモータM1は、第2の要素102と受容装置120の連結手段(connection means)(例えば、電気的連結手段)とを用いてNC制御装置200によってエネルギー(例えば、電気エネルギー)を供給することができる、及び/又は作動させることができる。駆動装置A1は、本発明によれば2つの運転モードを有している。
【0016】
1.駆動装置A1は、傘歯車フライス削りのための正面カッタヘッド30などのツールの駆動装置として使用される。この場合、高トルク、比較的「低い」速度、及び低い動的応答(速度及び回転方向の変更)を使用して運転される。
【0017】
2.駆動装置A1は、例えばスピンドルモータ20を移動させるために、(「通常の」CNC軸と同様に)位置決め駆動装置として使用される。これは、高い動的応答を使用して行われる。
【0018】
駆動装置A1は、この駆動装置A1が、示される状態でツール(例えば、ツール30)を駆動させるために使用されるのではなく、駆動装置A1が位置決め駆動装置として使用されることを図示するために、図3A及び図3Bでは逆にして(黒色背景に白色文字で)示されている。
【0019】
さらに、受容装置120は、フライス削りツール(好ましくはカッタヘッド)30がまた代わりに機械的に固定することができるように設計されている。このフライス削りツール30は、第1の駆動装置A1を使用して駆動することができる。すなわち、受容装置120は、フライス削りツール30への固定式機械的連結を確保するだけでなく、受容装置120はまた、第1の駆動装置A1へのフライス削りツール30の駆動カップリングを可能にする。
【0020】
新しいツールヘッド110は、図1Aでは同心位置(第1の極端位置)について示され、図1Bでは角度のある位置(第2の極端位置)について示されている。これら2つの位置の間には多数の中間位置が存在し、該中間位置は、要素101に関して要素102をねじる/旋回することによってもたらされる。両方の極端位置では、ツール軸WA1及びWA2は、共通平面にある。この共通平面は、図1A及び図1Bにおける図面の面に一致する。その一方、ツール軸WA2は、中間位置では、前記平面から移動される。
【0021】
ツール軸WA1が機械100の垂直面104において(図1A参照)又は機械100の異なる配向を有する外側面において僅かに下方に傾斜して設置される機械100が、特に好ましい。傾斜角度W1(図1B参照)は、ここでは好ましくは91度と135度の間である。
【0022】
カップリング103は、要素101に関して要素102の(連続的)旋回及び調整を可能にするために、好ましくはユニバーサルジョイントのような連結の形で設計される。
【0023】
カップリング103が互いに関して連続的に旋回可能である2つの傾斜面103.1、103.2を使用して実施されるツールヘッド110が、特に好ましい。このようなカップリング103の基本原理が、図2において斜視図で示されている。第1の要素101は、この例示的実施形態では、(正面断面における)円形断面と傾斜端面(傾斜面)103.1とを有している。この傾斜面103.1は、この例示的実施形態では楕円形である。第2の要素102もまた、(正面断面における)円形断面と傾斜端面(傾斜面)103.2とを有している。この傾斜面103.2もまた楕円形である。2つの要素101、102は、図2では同心(伸長)位置で示され、ツール軸WA2は、ツール軸WA1と一致する(従って、WA1=WA2)。
【0024】
要素102が図2における要素101に関してもう1つの極端位置が達せられるまで旋回された場合、ツール軸WA2は斜め上方へ向くであろう。
【0025】
さらに、図2では、例えば、同心の(円筒形又は円錐テーパ形の)受容開口部の形をしたスピンドル座部が受容装置120として使用され得ることが示されている。受容装置120の開閉は、手動で、電気的に、空気圧で、又は液圧で行うことができる。このような受容装置120の詳細は周知であるので、ここでは更に説明していない。歯切り機械の分野から知られているクランプ装置が特に適している。
【0026】
機械100のNC制御装置200への制御連結を作ることができる又はモータM1の電力供給のために使用される連結手段121がまた、受容装置120上に又は受容装置120の領域内に位置し得る。図2では、2つの接触面が、例えば第2の要素102の前側107に取り付けられ得ることが概略的に示されている。スピンドルモータ20を固定する(fasten)と、スピンドルモータ20の接触ピン又は要素(例えば、図3Cにおける動力端子23)は、これらの接触面121と電気的連結を形成する。実施形態に応じて、空気圧及び/又は液圧連結手段がまた、受容装置120の領域内に設けられ得る。
【0027】
すべての実施形態において、受容装置120は、(例えば、フライス削りカッタ21を備えた)スピンドルモータ20又はフライス削りツール30のいずれかを受容して機械的に固定することができるように設計されている。例えば、受容装置120はまた、図9によるフランジ50を受容することができる。自己駆動可能なスピンドルモータ20が使用される場合、受容装置120はまた、機械100へのモータM1の電気的、及び/又は空気圧式、及び/又は液圧式連結を確保する必要がある。(電気的)連結手段121は、このために設けられている。(電気的)連結手段121は、第2の要素102にスピンドルモータ20を固定すると、例えば電気的連結が手動で又は自動的に作られるように設計される。手動連結は、例えば、プラグ接触(plug contact)をくっつけることにより行うことができる。自動連結は、例えば、接触ピン又は要素とそれに対応する接触面121を使用して行うことができる。
【0028】
フライス削りツール30が使用されるとき、受容装置120は、フライス削りツール30への駆動装置A1の駆動連結を確保する必要がある。該駆動連結は、(例えば、シャフト又は歯車を用いて)機械的に行うことができる。しかしながら、液圧又は空気圧駆動連結を設けることもまた可能である。
【0029】
図3A及び図3Bでは、対応ツールヘッド110が、自己駆動可能なスピンドルモータ20を備えて示されている。自己駆動可能なスピンドルモータ20は、シャフト22を使用して受容装置120の受容開口部の中へ挿入され、そこでクランプ装置を使用してチャックされる。このシャフト22は、チャックされた状態でツール軸WA2に同軸上に延びる。自己駆動可能なスピンドルモータ20の詳細が図3Cに示されている。モータM1の動力端子23が、図3Cでは二点鎖線矢印によって示されている。対応する機械側の動力端子23が、図3Aでは二点鎖線矢印によって示されている。液圧及び/又は空気圧連結がまた、動力端子23に代えて使用することができる。
【0030】
図4A及び図4Bでは、対応ツールヘッド110は、機械側において駆動される(ここではカッタヘッドの形をした)フライス削りツール30を備えて示されている。フライス削りツール30は、スピンドル又はシャフト32を使用して受容装置120の受容開口部の中へ挿入され、そこでクランプ装置を使用してチャックされる。このシャフト32は、チャックされた状態でツール軸WA2に同軸上に延びる。カッタヘッドの形をしたフライス削りツール30の詳細が図4Cに示されている。フライス削りツール30が駆動装置A1によって直接駆動されるので、ここでは動力端子は必要ではない。対応する駆動連結106は、図4A及び図4Bでは駆動装置A1とフライス削りツール30の間に延びる二重線によって示されている。
【0031】
図4Aには伸長形態にある配置が示され、図4Bには角度のある形態にある配置が示されている。ツール側又は加工側が、図4Cでは31によって示されている。例えば、切れ刃又は研削面をここに位置付けることができる、あるいは棒状カッタをフライス削りツール30の前側に使用することができる。
【0032】
NC制御多軸機械は、好ましくは機械100として使用される。機械100の制御装置200及びツール軸の配置は、軸の調整機能及びツール20、30の有用性に必要である柔軟性を大いに持たせるものである。要素101、102は、例えば、1つ若しくは複数のスライド又はキャリッジの調整移動11によって、水平に、及び/又は垂直に、及び/又は横方向に調整することができる。また、軸WA1とWA2の互いに対する角度は、要素101に関して要素102を旋回することによって調整することができる。
【0033】
随意的に、自己駆動可能なスピンドルモータ20は、図6において矢印P1によって示されるように、シャフト22の周りに回転することができる。(図6では示されていない)駆動装置A1は、スピンドルモータ20を移動させるために、この場合は(「通常の」CNC軸と同様に)位置決め駆動装置として使用される。これは、好ましくは高い動的応答を用いて行われる。
【0034】
最後に、(底フライス削りカッタなどの)ツール21は、補助軸R1の周りの回転移動を達成する。それに対して、フライス削りツール30は、ツール軸WA2の周りの回転移動を達成し、該ツール軸WA2は、シャフト32の回転軸R2に同軸上に延びている(図4C参照)。
【0035】
自己駆動可能なスピンドルモータ20を備えたときのツール軸WA2の周りのトルク要求は、フライス削りツール30を直接備えたときより少ない。従って、第2の場合には、第1の場合より少ないトルクで十分である。
【0036】
自己駆動可能なスピンドルモータ20は、柔軟に使用することができ、例えば被加工物を再加工するために使用することができる。自己駆動可能なスピンドルモータ20のツール21の生産性は、フライス削りツール30の生産性より少ない。それに対してフライス削りツール30が使用される場合には、機械100は非常に高い生産性を有する歯切り機械として使用することができる。
【0037】
フライス削りは、ここでは切りくずを取り除く金属加工をいうものとする。本発明によれば、例えば、円筒形フライス削りカッタ21は、特に硬化した(hardened)金属の切りくずを取り除く加工のために設計されるツールとして使用することができる(例えば図3A参照)。フライス削りカッタ21は、研削のために使用されるフライス削りカッタであり得る、あるいは切りくずを取り除くために切れ刃又はブレードを有するフライス削りカッタであり得る。
【0038】
それに対して、フライス削りツール30は、(例えば、正面カッタヘッドとしての)棒状カッタのセットを備えることができる。棒状カッタのセットの個々の棒状カッタは、切りくずを取り除く加工のために使用される切れ刃を有している。
【0039】
切りくずの生成又は除去のために必要である加工移動が、(例えば、予め完成した歯面に関して)補助軸R1の周りのツール21の回転によって、又は回転軸R2(=WA2)の周りのフライス削りツール30の回転によってもたらされる。形削りのために必要である送り移動は、被加工物に関してツール20又は30の相対移動によってもたらされる。それに対応する移動は、多軸機械100のNC制御装置200によって引き起こされ得る。ツールが固定されて被加工物が回転する回転加工もまた考えられ得る。
【0040】
被加工物と同じ方向又は反対方向に走行するツール21及び/又はフライス削りツール30を使用することができる。
【0041】
本発明によれば、回転駆動される円筒形フライス削りカッタ21が、好ましくは自己駆動可能なスピンドルモータ20の一部として使用される。図3A及び図3Bに示されるように、補助軸R1は、ここでは回転軸として使用される。
【0042】
スピンドルモータ20に組み込まれるモータM1が、フライス削りカッタ21のための駆動装置として使用される。従って、それは、スピンドルモータを指定して既に示されたように、自律的、すなわち自己駆動可能なスピンドル20である。
【0043】
それに対して、フライス削りツール30は、駆動装置A1が要素101、102の機械側に又は機械100内に設置されるので機械によって駆動されるツールとして示されている。
【0044】
要約すれば、本発明に係る機械100のツール軸WA2が、高トルク要求と、例えば傘歯車をフライス削りするためのカッタヘッド30を作動させるための回転方向とを有する駆動スピンドルとして一度使用され、また位置決め及び移動軸であるが、(ここではスピンドルモータ20と呼ばれる)補助スピンドルのための可変速度又は方向を備えた位置決め及び移動軸として一度使用されることが記載され得る。このスピンドルモータ20は、ツール21を支持し(carry)、それとともに自律的に駆動可能で且つ柔軟に使用可能であるツールを一体的に形成する。
【0045】
有効に機能するツール軸は、この場合には「多軸」(すなわち、多数の部分的な軸WA1及びWA2から構成される)として実行され、被加工物に関して移動可能又は設定可能である。有効に機能するツール軸は、ここでは2つのツール軸WA1及びWA2から構成され、該2つのツール軸は、特別な形で相互に関して立ち上がり、相互に調整可能である。ツール軸WA1、WA2の調整は、連続的に行うことができる。
【0046】
対応する制御装置(好ましくはNC制御装置200)が、軸移動を連結するために設けられる。これによって、特定のツール20、30がプログラムされた移動経路に沿って案内され得る。
【0047】
更なる好ましい実施形態では、ツールヘッド110全体が、ツールヘッド110と機械100との間の移行領域111において回転可能であるように固定される。すなわち、ツールヘッド100は、機械100に関してツール軸WA1の周りに旋回することができる。これによって、例えば、図5に示されるように、第2要素102が上方へ向く位置もまた設定可能である。
【0048】
図6に示されるように、領域111におけるこのような回転を通じて、フライス削りカッタ21を備えたスピンドルモータ20は、要素101、102の伸長位置においてツール軸WA1=WA2の周りに回転することができる。この回転移動は、矢印P1によって示されている。
【0049】
別の実施形態では、旋回性能が、受容装置120の領域において又はモータスピンドル20のシャフト22において設けられる。
【0050】
特に好ましい実施形態では、位置決め駆動装置S1が、図7に示されるように、ツールヘッド110内に又はツールヘッド110上に設けられる。ツールヘッド110のこの位置決め駆動装置S1は、(図7において、NC制御装置200から始まる2つの矢印201によって示されるように)機械100から作動可能であり、その結果、位置決め移動を使用して、第2の要素102が第1の要素101に関して(回転/傾斜/旋回されて)所定の角度位置に設定可能である。このような位置決め駆動装置S1によって可能となる自動調整機能は、機械100が一連の自動加工に組み込まれることを可能にする。位置決め移動は、被加工物の加工前に行うことができる、あるいは加工中に連続して行うことができる。
【0051】
更なる実施形態の詳細が、図8A及び図8Bに示されている。図8Aでは、ツールヘッド110は、フライス削りツール30を備えており、該ツールのシャフト32は、第2の要素102の内部に延在している。図8Aでは、それに対応する受容装置120の詳細を、ここでは詳細に議論されることなしに見ることができる。エネルギー供給33とフランジをつけられたスピンドルモータ20のためのカップリング機構とが、例えば、シャフト32の内部に含まれる。例えば、駆動装置A1の巻線40は、第2の要素102の領域に位置付けられ得る。駆動装置A1はまた、(シャフト32の領域に直接的に位置付けられない場合)カップリング領域103に、それとも第1の要素101に、あるいは機械100に設置され得る。駆動装置A1の位置に応じて、それは、剛性シャフト(例えば、図4Aのシャフト106)及び/又は歯車を使用して、あるいは可撓シャフト及び/又はプロペラシャフトを使用して、フライス削りツール30を駆動するために連結され得る。
【0052】
機械100の外側面104が傾斜した配置が、図8Aに示されている。これにより、フライス削りツール30は、(図8Aに示されるような)垂下位置において、被加工物、例えばツールヘッド110の下のテーブルに平らに置かれる被加工物を加工することができる。
【0053】
図8Bでは、ツールヘッド110は、フライス削りカッタ21を含むスピンドルモータ20を備えている。スピンドルモータ20のエネルギー供給33は、第2の要素102の内部に延在している。図8Bでは、それに対応する受容装置120の詳細を、ここでは詳細に議論されることなく認識することができる。補助軸R1は、ツール軸WA2に垂直であるが、別の角度に位置付けることもできる。実施形態によれば、既に記載したように、スピンドルモータ20はツール軸WA2の周りに回転することができる、あるいはツールヘッド110はツール軸WA1の周りに回転することができる。スピンドルモータ20が使用される場合、駆動装置A1は被加工物の加工中に使用することができ、そのとき駆動装置A1は位置決め駆動装置として使用される。しかしながら、随意的に、駆動装置A1は、ツール軸WA2の周りにスピンドルモータ20を回転するために使用することができる。
【0054】
更なる実施形態が図9に示されている。その要素は本質的にまた同じものであり、従って再度記載されていない。しかしながら、ここではフランジ50が使用された。このフランジ50は、ツール(例えば、穴あけツール)を受容するための中心穴51を有している。
【0055】
更なる実施形態が図10Aに示されている。その要素は本質的にまた同じものであり、従って再度記載されていない。それは、フォークヘッド(fork head)を有するツールヘッド110であり、該フォークヘッドは、該フォークヘッドの周りに第2の要素102が傾斜又は旋回することができる旋回軸WSを有している。第2の要素102の2つのシャフトスタブ(shaft stub)42は、第1の要素101の穴の中に設置される。例えば、2つの直接駆動装置の(全体として41として示される)巻線及び磁石は、前記穴の領域内に位置し、該穴は、旋回軸WSの周りの第2の要素102の旋回又は傾斜運動を実行可能にする。旋回軸WSは、いわゆるNC位置決め軸であり、該NC位置決め軸は、被加工物の加工前に又は加工中に位置決め移動を実行するように設計される。
【0056】
図10Bは、伸長位置にある図10Aに従ったツールヘッド110の断面図を示しており、ツールヘッド110は、スピンドルモータ20を支持している。スピンドルモータ20は次に、補助軸R1の周りのツール21の回転を可能にするために、図10Bに示されるようにモータM1を有している。図10Cは、図10Aから伸長位置にあるツールヘッド110の断面図を示しており、ツールヘッド110は、フランジ50を支持している。その要素は、本質的にまた同じものであり、従って再度記載されていない。
【0057】
フライス削りツール30とスピンドルモータ20との間の変更は、自動的に行うことができる。この場合、受容装置120は、自動運転用に設計される。
【0058】
第1の駆動装置A1と受容装置120とは、例えば、第1の場合には、傘歯車フライス削りのために、駆動装置30として駆動装置A1を使用することができるように、好ましくは1500Nmより大きいトルク力の大きさにされる。
【0059】
更なる配置を可能にするために、種々の実施形態を互いに容易に組み合わせることができる。
【0060】
ツールヘッド110は、機械100の知的(電気機械、液圧機械、又は空気圧機械)インターフェースとして使用され、多軸機械100をより柔軟に使えるようにすることができる。組み込まれたモータM1を有するスピンドルモータ20を取り付けることによって、機械100は、更なるNC軸によって拡張することができる。従って、最適化された(傘歯車切削機械などの)専用機械100は、広く使用可能な加工センターになり得る。
【符号の説明】
【0061】
11 調整移動
20 スピンドルモータ
21 ツール/フライス削りカッタ
22 シャフト
23 動力端子
24 機械側動力端子
30 フライス削りツール
31 ツール又は加工側
32 スピンドル又はシャフト
33 エネルギー供給
40 巻線
41 直接駆動装置
42 シャフトスタブ
50 フランジ
100 多軸機械
101 第1の要素又は第1のアセンブリ
102 第2の要素又は第2のアセンブリ
103 カップリング
103.1、103.2 傾斜面
104 垂直面又は外側面
105 スピンドル本体
106 駆動連結
107 前側
110 ツールヘッド
111 移行領域
121 連結手段
200 NC制御装置
201 制御ライン
A1 (主)駆動装置(機械側)
P1 矢印
R1 補助軸
R2 回転軸
M1 モータ
S1 位置決め駆動装置
W1 傾斜角度
W 角度
WS 旋回軸
WA1、WA2 ツール軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸機械(100)用ツールヘッド(110)であって、
対応カップリング(103)を用いて相互に回転可能に連結される2つの要素(101、102)を有し、該2つの要素(101、102)のうち第1の要素(101)が第1の長手方向軸(WA1)を有し、該2つの要素(101、102)のうち第2の要素(102)が第2の長手方向軸(WA2)を有し、該2つの要素が同心位置から角度のある位置へ回転位置に応じて移動可能であるスピンドル本体(105)と、
該スピンドル本体(105)内に又は該スピンドル本体(105)上に設置される第1の駆動装置(A1)と、
前記第2の要素(102)に位置している受容装置(120)であって、スピンドルモータ(20)と、該スピンドルモータ(20)に組み込まれ、前記第2の要素(102)を用いてエネルギーが供給可能であるモータ(M1)と、該受容装置(120)の連結手段(121)とを固定するように設計され、前記第1の駆動装置(A1)を使用して駆動可能であるフライス削りツール(30)を固定するように設計される受容装置(120)と、
を有していることを特徴とするツールヘッド(110)。
【請求項2】
前記対応カップリング(103)は、関節式連結の形で設計される、
ことを特徴とする請求項1に記載のツールヘッド(110)。
【請求項3】
前記対応カップリング(103)は、相互に旋回可能である2つの傾斜面(103.1、103.2)を使用して実施される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のツールヘッド(110)。
【請求項4】
前記第1の駆動装置(A1)と前記受容装置(120)は、1500Nmより大きいトルク力の大きさにされる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のツールヘッド(110)。
【請求項5】
前記関節式連結は、旋回軸(WS)の周りの旋回又は傾斜移動を可能にするフォークヘッドを使用して実施される、
ことを特徴とする請求項2に記載のツールヘッド(110)。
【請求項6】
前記機械(100)のNC制御装置(200)への制御連結は、前記連結手段(121)を用いて作られる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のツールヘッド(110)。
【請求項7】
前記受容装置(120)は、動力供給連結(121)を有しており、それにより、前記スピンドルモータ(20)のモータ(M1)が、前記第2の要素(102)を通じて前記機械側における動力を供給されることができる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のツールヘッド(110)。
【請求項8】
前記受容装置(120)は、エネルギー供給連結を有しており、それにより、前記スピンドルモータ(20)のモータ(M1)が、前記第2の要素(102)を通じて前記機械側における前記スピンドルモータ(20)のための駆動装置としての液圧又は空気圧エネルギーを供給されることができる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のツールヘッド(110)。
【請求項9】
被加工物を加工するための機械(100)であって、
多数の数値制御された軸と、
前記軸の制御移動のためのNC制御装置(200)と、
対応カップリング(103)を用いて相互に回転可能に連結される2つの要素(101、102)を有し、該2つの要素(101、102)のうち第1の要素(101)が第1の長手方向軸(WA1)を有し、該2つの要素(101、102)のうち第2の要素(102)が第2の長手方向軸(WA2)を有し、該2つの要素が同心位置から角度のある位置へ回転位置に応じて移動可能である、スピンドル本体(105)を有するツールヘッド(110)と、
該スピンドル本体(105)内に又は該スピンドル本体(105)上に設置される第1の駆動装置(A1)と、
前記第2の要素(102)に位置している受容装置(120)であって、スピンドルモータ(20)と、該スピンドルモータ(20)に組み込まれ、前記第2の要素(102)を用いて前記機械(100)からエネルギーが供給可能であるモータ(M1)と、該受容装置(120)の連結手段(121)とを固定するように設計され、前記第1の駆動装置(A1)を使用して駆動可能であるフライス削りツール(30)を固定するように設計される受容装置(120)と、
を有していることを特徴とする機械(100)。
【請求項10】
前記機械(100)は、被加工物に関して前記ツールヘッド(110)の移動を可能にする少なくとも1つのスライド(11)又はキャリッジを有している、
ことを特徴とする請求項9に記載の機械(100)。
【請求項11】
前記機械(100)は、組み込まれたモータ(M1)を備えた前記スピンドルモータ(20)を有する前記ツールヘッド(110)を取り付けることによる更なる軸によって拡張可能である、
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の機械(100)。
【請求項12】
前記対応カップリング(103)は、旋回軸(WS)の周りの旋回又は傾斜移動を可能にするフォークヘッドを使用して関節式連結として実施される、
ことを特徴とする請求項9から請求項11の何れか1項に記載の機械(100)。
【請求項13】
請求項9から請求項12の何れか1項に記載の機械(100)の使用方法であって、
前記ツールヘッド(110)にフライス削りツール(30)を取り付けるステップと、
位置決め移動を使用して前記第1の要素(101)に関して所定の角度位置(W)に前記第2の要素(102)を設定するために前記ツールヘッド(110)の位置決め駆動装置(S1)を作動させるステップと、
前記第2の長手方向軸(WA2)の周りの回転移動に前記フライス削りツール(30)を設定するために前記機械(100)のNC制御装置(200)を使用して前記第1の駆動装置(A1)を作動させるステップと、
被加工物に関して加工移動を実行するために前記NC制御装置(200)を使用して前記機械(100)の別の軸を作動させるステップと、
が実行されることを特徴とする機械(100)の使用方法。
【請求項14】
前記フライス削りツール(30)を取り除くステップと、
前記ツールヘッド(110)にスピンドルモータ(20)を取り付けて、前記スピンドルモータ(20)に組み込まれた前記モータ(M1)に前記第2の要素(102)を用いてエネルギーを供給することを可能にするために前記機械(100)への連結が作り出されるステップと、
位置決め移動を使用して前記第1の要素(101)に関して所定の角度位置(W)に前記第2の要素(102)を設定するために前記ツールヘッド(110)の前記位置決め駆動装置(S1)を作動させるステップと、
前記スピンドルモータ(20)のフライス削りカッタ(21)を補助軸(R1)の周りの回転移動に設定するために前記モータ(M1)を作動させるステップと、
被加工物に対して加工移動を実行するために前記NC制御装置(200)を使用して前記機械(100)の別の軸を作動させるステップと、
が実行されることを特徴とする請求項13に記載の機械(100)の使用方法。
【請求項15】
前記第2の要素(102)と前記スピンドルモータ(20)との間の回転角度(W)の連続的な変更がまた、前記位置決め駆動装置(S1)を使用して行われる、
ことを特徴とする請求項14に記載の機械(100)の使用方法。
【請求項16】
前記フライス削りツール(30)が、歯車、好ましくは傘歯車の困難な(hard)加工のために使用される、
ことを特徴とする請求項13に記載の機械(100)の使用方法。
【請求項17】
前記スピンドルモータ(20)の前記フライス削りカッタ(21)が、歯車、好ましくは傘歯車の環境に優しい(green)加工のために使用される、
ことを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の機械(100)の使用方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公開番号】特開2011−67937(P2011−67937A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−201601(P2010−201601)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(596043494)クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG