説明

多軸骨固定装置およびモジューラ多軸骨固定システム

【課題】安全な固定を提供すると同時に、拡大された旋回角度を有する多軸骨固定装置を提供する。
【解決手段】多軸骨固定装置は、骨固定要素(1)と、受入部分(4)及び、挿入片(6)を含む。挿入片(6)は、骨固定要素(1)のヘッド(3)のための座部と開口部(17)を有する境界縁部を有し、開口部(17)は、ヘッド(3)の通過を防止するようヘッド(3)よりも小さい。前記境界縁部は、骨固定要素(1)が、境界縁部の第1の位置にて中心軸(C)に対して、境界縁部の別の位置での角度よりもより大きな角度で旋回することを可能にするよう構成され、挿入片(6)は、受入部分(4)に対して回転可能であり、受入部分(4)は、挿入片(6)を支持するための、中心軸(C)に実質的に垂直な第1の平面部分を有し、挿入片(6)は、第1の平面部分に面する対応する第2の平面部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高角度での骨固定要素の旋回を可能にする多軸骨固定装置に関する。この装置は、骨または脊椎に固定するためのシャンクを有する骨固定要素と、ヘッドと、骨固定要素に接続されるロッドを受け入れるための受入部分とを含む。受入部分に挿入片が回転可能に搭載される。挿入片は、骨固定要素のヘッドのための座部を有し、骨固定要素が第1の位置にて、他の位置での角度よりも大きな角度で旋回することを可能にするよう構成される。この挿入片は、挿入片の対応する平面部分に係合する平面部分によって、受入部分内に支持される。
【背景技術】
【0002】
拡大された旋回角度を有する多軸骨固定装置がUS6,736,820に記載される。この骨固定装置は、骨ねじと、骨ねじのヘッドのための座部を有する受入部分とを含む。受入部分の自由端に境界を接する縁部は非対称的な構造であるので、ねじ部材は拡大された角度だけ少なくとも1つの側へ旋回され得る。修正例では、ねじ部材のヘッドのための座部として球状の底部を有する挿入片が設けられる。
【0003】
US2005/0154391A1は、骨を係合するよう構成される遠位シャフトと近位部材とを有する骨固定器を含む骨固定アセンブリを記載している。近位部材は、骨固定部の少なくとも一部に結合される第1のセクションおよび第2のセクションを有してもよい。第2のセクションは、第1のセクションおよび第2のセクションの相対回転を促進するよう第1のセクションに移動可能なように接続されてもよい。
【0004】
US2007/0118123A1は、増加した角度形成を有する多軸骨固定器を記載する。多軸骨固定器は、たとえばねじまたはフックといった固定部材を骨固定部の中心軸の周りを大きな角度で多軸方向に回転させ、その後、固定部材を固定器ヘッド内に圧縮ロックすることを可能にするよう形状決めおよび構成されるロック要素を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US6,736,820B2
【特許文献2】US2005/0154391A1
【特許文献3】US2007/0118123A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安全な固定を提供すると同時に、さらに大きな旋回角度を可能にする、拡大された旋回角度を有する多軸骨固定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1に記載の多軸骨固定装置によって達成される。さらなる発展例が従属項において与えられる。
【0008】
この多軸骨固定装置は、挿入片の支持部の協働面が平坦であるので安全な固定を提供する。したがって、ヘッドへ作用する高圧力が適用され得る。これらの部分は主に旋盤部分であるので、製造は簡素であり、コスト効率が良い。骨固定装置はさらに組み付けが容易である。
【0009】
骨固定装置は、30°より大きく100°までの間の旋回角度(60°より大きく200°までのモーションの全範囲に対応する)を有する高い角度形成を提供する。この高角度により、骨固定装置は仙椎の固定にも用いられ得る。
【0010】
骨固定装置は、広い範囲の高角度形成を提供するよう相互交換可能に用いられ得る異なる挿入片を有するモジューラシステムとして提供され得る。このモジュール性により、必要とされる在庫がより少なくなり、さらにコストが低減される。
【0011】
さらなる特徴および利点は、添付の図面により実施例の記載において明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施例に従った多軸骨固定装置の分解斜視図を示す図である。
【図2】組み付けられた状態にある図1の多軸骨固定装置の斜視図を示す図である。
【図3】ロッド軸を含む面において切断された、第1の実施例に従った多軸骨固定装置の断面図を示す図であって、骨固定要素が一方の側へと第1の旋回角度で旋回されることを示す図である。
【図4】ロッド軸を含む面において切断された、第1の実施例に従った多軸骨固定装置の断面図を示す図であって、骨固定要素が、図3と比較して反対の側へと第2の旋回角度で旋回されることを示す図である。
【図5】第1の実施例に従った多軸骨固定装置の受入部分の斜視図を示す図である。
【図6】図5の受入部分の側面図を示す図である。
【図7】ロッド軸を含む面において切断された、図5の受入部分の断面図を示す図である。
【図8】図5の受入部分の上面図を示す図である。
【図9】第1の実施例に従った多軸骨固定装置の挿入片の斜視図を示す図である。
【図10】図9における線A−Aに沿った、図9の挿入片の断面図を示す図である。
【図11】図9および図10の挿入片の上面図を示す図である。
【図12】第1の実施例に従った多軸骨固定装置の圧力要素の斜視図を示す図である。
【図13】図12の圧力要素の下からの別の斜視図を示す図である。
【図14】ロッド軸を含む面において切断された、第1の実施例に従った多軸骨固定装置の圧力要素の断面図を示す図である。
【図15】図12の圧力要素の側面図を示す図である。
【図16】図12の圧力要素の上面図を示す図である。
【図17】組み付けられた状態にある第2の実施例に従った多軸骨固定装置の斜視図を示す図である。
【図18】第2の実施例に従った多軸骨固定装置の下からの別の斜視図を示す図である。
【図19】第2の実施例に従った多軸骨固定装置の断面図を示す図である。
【図20】多軸骨固定装置の第3の実施例の展開斜視図を示す図である。
【図21a)】第3の実施例に従った多軸骨固定装置を組み付けるステップを示す図である。
【図21b)】第3の実施例に従った多軸骨固定装置を組み付けるステップを示す図である。
【図21c)】第3の実施例に従った多軸骨固定装置を組み付けるステップを示す図である。
【図21d)】第3の実施例に従った多軸骨固定装置を組み付けるステップを示す図である。
【図22】図20から図21d)に示される多軸骨固定装置の修正された第3の実施例の展開斜視図を示す図である。
【図23】組み付けられた状態にある図22に従った多軸骨固定装置の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図4を参照して、第1の実施例に従った多軸骨固定装置は、ねじ山セクションを有するシャンク2とヘッド3とを有する骨ねじの形態にある骨固定要素1を含む。ヘッド3は、球状に形状決めされた外面部分を有し、ドライバとの係合のために自身の自由端に凹部3aを含む。骨固定装置はさらに、骨固定要素1に結合されることになるロッド5を受け入れるための受入部分4を含む。受入部分4には、ヘッド3のための座部を提供する挿入片6と、骨固定要素1のヘッド3へ圧力をかけるための圧力部材7とが配される。さらに、固定ねじまたは止めねじ8の形態にある固定要素が、ロッド5を受入部分4内に固定し、かつさらに骨ねじを受入部分内の適切な位置にロックするために設けられる。
【0014】
図5〜図8においてもっともよく分かるように、受入部分4は、上端部4aおよび底端部4bと、多軸骨固定装置の中心軸Cを規定する中心軸と、底端部4bの方向に上端部4aから延在する同軸の第1の孔9とを有する。上端部4aに隣接して、ロッド5を受け入れるためのチャネルを形成する実質的にU字型の凹部10が設けられる。凹部10により、2つの自由な脚部が形成される。この脚部には、固定ねじ8と協働する雌ねじ11が設けられる。
【0015】
第2の端部4bでは、同軸の第2の孔12が設けられる。第2の孔12は第1の孔9と連通し、その直径は第1の孔9の直径よりも小さい。第2の孔12への第1の孔9の遷移部では、中心軸Cに対して垂直に延在する支持表面13が形成される。支持表面13はそのため、実質的に平坦である。示される実施例では、支持表面13は環状の肩部である。
【0016】
図9から図11において分かり得るように、挿入片6は、第1の端部6aおよび対向する第2の端部6bと、ヘッド3の直径よりも大きい内径を有する中空の円筒部14とを有する実質的に円筒形の部分である。そのため、固定要素1のねじのヘッド3は、そこを通ってガイドされる。中空の円筒部14の外径は、受入部分4の同軸の第1の孔12の内径よりも若干小さい。第1の端部6aに隣接して、環状突出部15が設けられる。環状突出部15は、中心軸Cに垂直に延在するとともに受入部分4において支持表面13と協働する平坦な下側15aを有する。環状突出部15の外径は、同軸の第1の孔9の外径よりも若干小さく、受入部分4の同軸の第2の孔12の直径よりも大きい。
【0017】
挿入片6はさらに、第2の端部6bにて細長い開口部17を有する下部16を有する。下部16は、固定要素のヘッド3のための座部を提供するための中空の球形状セクション18を有する。下部16の外面は、球形セグメントの形状を有する。しかしながら、必ずしも当該外面はこのような形状に限定されない。中空の球形状セクション18は、中空の円筒部14と連通している。開口部17は、図10に示されるように、部分的に球形の第1の部分17aと、下部16から中空の円筒部14の中に延在する細長い第2の部分17bとを有する。この開口部の直径は、ねじ山シャンク2の直径よりも大きく、ヘッド3の直径よりも小さい。そのため、骨固定要素1のねじ山シャンク2は、開口部17を通って延在し得るが、ヘッド3は開口部17を通過し得ない。骨固定要素が挿入され、図3に示されるようにシャンク2が開口部17の細長い第2の部分17bの端部に対して当接するまで旋回される場合に、開口部17により、最大旋回角度αについての軸Pがねじ山シャンク2のシャンク軸によって規定される。開口部17と境界を接する縁部は、開口部17の細長い部分17bへとそのシャフトが延在する場合(図3)、シャンクが他の位置、たとえば細長い部分17bと対向する位置にある場合の旋回角度(図4)と比較して骨固定要素が大きい角度で旋回することを可能にする縁部である。
【0018】
中空の円筒部14および下部16の軸方向長さは、挿入片が図3および図4に示されるように受入部分4に挿入されると、開口部17の細長い部分17bの端部が受入部分4の第2の端部4bと面一となるかまたはそこから若干突出するような軸方向長さである。
【0019】
図12〜図16を参照して、圧力部材を説明する。圧力部材7は、第1の端部7aと、対向する第2の端部7bとを有する。圧力部材7は、第1の端部7aを含む第1の円筒部20と、第2の端部7bを含む第2の円筒部21とを含む。第1の円筒部20の外径は、同軸の第1の孔9の内径よりも若干小さく、第2の円筒部の外径は第1の円筒部20の外径よりも小さい。第1の端部7aに隣接して、ロッド5を内部に収容するよう構成される実質的にU字型の凹部22が設けられる。第2の端部7bに隣接して、球状の凹部23には、骨固定要素1のヘッド3の半径と一致する球体の半径が与えられる。さらに、ドライバによるヘッド3への接近を可能にするよう、同軸の孔24が第1の端部7aと第2の端部7bとの間を延在する。
【0020】
図3および図4において分かり得るように、第1の円筒部20、第2の円筒部21、およびU字型の凹部22の寸法は、挿入片6が骨固定要素1、圧力部材7、およびロッド5とともに受入部分4内に挿入されると、圧力部材7がヘッド3にのみ接触する一方、圧力部材7の第1の円筒部20と挿入片6の第1の端部6aとの間にギャップ25が存在するような寸法である。したがって、圧力部材に加えられる圧力は完全にヘッド3に伝達され、ヘッド3を座部18内へと押圧する。ロッド5は、固定要素8がロッド5に係合するようにU字型の凹部から突出する。
【0021】
骨固定装置の部分は、チタン、ステンレス鋼といった生体適合材料、たとえばニッケルチタンNi−Ti合金といった、特にニチノールのような生体適合合金、またはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような生体適合プラスチック材料から形成される。これらの部分はすべて、同じ材料または異なる材料から形成され得る。
【0022】
骨固定装置は以下のように組み付けられ得る。まず、挿入片6が受入部分4の中に導入される。次いで、シャンク2が挿入片を通って延在するように骨固定要素1が受入部分4に挿入される。骨固定要素1が完全に挿入されると、ヘッド3は挿入片6において座部18に停止する。その後、圧力部材7が挿入され得、受入部分4における圧着孔(示さず)を介して圧着により予備的に固定されてもよい。圧力部材7の予備的な固定は、圧力部材が、受入部分4を予備的な位置に保持するわずかな圧力をヘッド3にかけるような固定であってもよい。
【0023】
挿入片の上部14,15の対称な設計により、当該挿入片は、開口部17の方位がどのようであっても、受入部分内に挿入され得る。
【0024】
使用の際は、骨固定要素は、骨固定要素1および受入部分4の中心軸が実質的に位置合わせされた状態で骨または脊椎内にねじ込められる。次いで、受入部分4は骨固定要素1に対して旋回する。必要ならば、受入部分は、シャンク2が挿入片の開口部17の細長い部分17bの端部に当接するまで、骨固定要素に対して最大旋回角度αまで旋回され得る。受入部分のU字型の凹部12の方位は、受入部分を挿入片6に対して回転させることにより位置合わせされ得る。挿入片の協働面および受入部分の協働面は平面であるので、これらの表面の間の摩擦は増す。したがって、受入部分に対する挿入片の予備的な方位付けは、摩擦によって維持され得る。さらに、対応する表面は、摩擦を増すよう、粗面化構造のような機械的構造を有し得る。次いで挿入片は、摩擦力よりも大きな力の適用により回転される。これにより、受入部分の方位を正確に調整することが可能になる。
【0025】
複数の骨固定要素が骨に固定され、それらの受入部分が位置合わせされ、最終的にロッド5が挿入される。固定要素8を挿入および締めることで、ヘッド3およびロッド5がロックされる。
【0026】
図17〜図19を参照して、骨固定装置の第2の実施例が示される。第2の実施例は、挿入片および圧力部材に関して、第1の実施例と異なる。他のすべての部分は同じであり、同じ参照番号で区別され、その説明は繰り返さない。挿入片6′は、第1の端部6a′と、第2の端部6b′と、軸方向においてより大きい円筒部14′とを有する。したがって、挿入片6′は、第1の実施例に従った挿入片6と比較して、受入部分のさらに外側へ突出する。開口部17′は、挿入片6′の第2の端部6b′に円形の部分17a′を有し、円筒部14′の壁部へと延在する実質的にU字型の部分17b′を有する。円筒部14′および開口部部分17b′が軸方向においてより長いので、これらの図に示されるように、90°以上、たとえば100°の角度まで受入部分に対して骨固定要素を旋回させることが可能である。
【0027】
上記の多軸骨固定装置により、受入部分4と、骨固定要素1と、少なくとも2つの挿入片6,6′とを含むモジューラシステムが提供され得る。上記少なくとも2つの挿入片6,6′は、円筒部14,14′および開口部17b,17b′の長さが異なり、これにより2つの異なる最大旋回角度への骨固定要素の旋回が可能になる。
【0028】
第3の実施例に従った多軸骨固定装置は、受入部分4′がその壁部において実質的に長方形の開口部19を有する点において前述の実施例とは異なる。開口部19は、円周方向に延在する長辺19aと、軸方向に延在する短辺19bとを有する。その内壁では、受入部分4′は、以下に記載される圧力部材7′と協働するよう構成される2つの対向する平坦部分4cを有する。平坦部分は開口部19のいずれかの側に位置する。
【0029】
挿入片6″は円筒形の突出部15″を有する。突出部15″では、対向する側上において、2つの対向する平坦セクション15bが残存するように2つの部分が切り取られる。丸い側15aでの突出部15″の直径は、長辺19aでの開口部19の内径よりも若干小さい。
【0030】
同様に、圧力部材7′は、円筒形の凹部22′のいずれの端部において、外面の対向する側同士の上に2つの平坦部分25′を有する。一方の平坦な側25′から対向する平坦な側25′までの圧力部材7′の直径は、開口部の長辺19aの長さよりも小さい。これにより、挿入片6″と圧力部材7′とを、開口部19を通って受入部分内に挿入することが可能になる。
【0031】
圧力部材7′および挿入片6″上の平坦化部分により、特に受入部分に対する骨固定装置の全体寸法が低減され得る。
【0032】
骨固定装置の組み付けを図21a)〜図21d)に示す。まず、挿入片6″が開口部19を通るよう挿入され、突出部15″の下側の平面15aが受入部分において平面13a上に支持されるまで下方向に動かされる。次いで、図21c)に示されるように、骨固定要素1が、そのヘッド3が挿入片6″の座部18に据えられるまで受入部分4′の第1の端部4aから導入される。その後、圧力部材7′が開口部を通るよう挿入される。このモジューラシステムにより、最大旋回角度のためにさまざまな角度をさまざまな挿入片に提供することが可能になるとともに、好適な挿入片を受入部分と組み合わせることが可能になる。
【0033】
圧力部材7′は受入部分の内壁にて平坦部分4cと協働する2つの対向する平坦部分25′を有するので、圧力部材7′が回転するのが防止される。
【0034】
修正された第3の実施例に従った多軸骨固定装置が図22および図23に示される。受入部分4″がさらに小型にされ得る。底端部4bに方向づけられた、受入部分4′の内側における平坦部分4cの端部と、挿入片6″のための支持表面13aとの間には、切欠部30が両側上に設けられる。当該切欠部30は、受入部分4″の平坦部分4cと平坦部分15bが位置合わせされた状態で、開口部19を通るよう挿入片6″を挿入し、支持表面13a上に載るまで挿入片6″を下方向に動かすことを可能にする。切欠部30は、挿入片の丸い側15aを収容するよう構成されるので、挿入片6″は受入部分内で回転され得る。
【0035】
記載された実施例のさらなる修正例も考えられる。たとえば、骨固定要素について、たとえば、ねじ、カニューレねじ、または釘といったすべての種類の固定要素が用いられ得る。ヘッドおよびシャンクはさらに、互いに接続可能な別個の部分であってもよい。
【0036】
外側ナット、外側キャップ、バヨネットロック装置を含む他の種類のロック装置が可能である。ロック装置はさらに、ヘッドをロックする1つのロック要素と、ロッドをロックする別のロック要素とを有する2部分ロック装置であり得る。
【0037】
挿入片の境界縁部は細長い開口部により非対称であるが、一方の側へのより大きな旋回角度を可能にする非対称も、挿入片における傾斜した下側縁部によって達成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨固定装置であって、
骨または脊椎に固定するためのシャンク(2)と、ヘッド(3)とを有する骨固定要素(1)と、
前記骨固定要素(1)に接続されることになるロッド(5)を受け入れるための受入部分(4,4′)とを含み、前記受入部分は、第1の端部(4a)および対向する第2の端部(4b)と、これら2つの端部を通る中心軸(C)と、前記ロッド(5)を受け入れるためのチャネルと、前記第1の端部(4a)にある同軸の第1の孔(9)と、前記第2の端部にある同軸の第2の孔(12)とを有し、前記第2の孔(12)は前記第1の孔(9)と連通し、前記多軸骨固定装置はさらに、
組み付けられて前記受入部分(4,4′)内に搭載可能な挿入片(6,6′,6″)を含み、
前記挿入片(6,6′,6″)は、前記座部に対する前記ヘッドの旋回を可能にするよう前記骨固定要素(1)の前記ヘッドのための座部(18)を有し、
前記挿入片(6,6′,6″)は、前記第2の孔(12)から突出し、かつ前記第1の孔(9)と対向する端部(6b)に、開口部(17)を有する境界縁部を有し、前記開口部(17)は、前記ヘッドの通過を防止するよう前記ヘッドよりも小さく、
前記境界縁部は、前記骨固定要素(1)が、前記境界縁部の第1の位置にて前記中心軸(C)に対して、前記境界縁部の別の位置での角度よりもより大きな角度で旋回することを可能にするよう構成され、
前記挿入片(6,6′,6″)は、前記受入部分に対して回転可能であり、
前記受入部分(4,4′)は、前記挿入片(6,6′,6″)を支持するための、前記中心軸(C)に実質的に垂直な第1の平面部分(13)を有し、前記挿入片(6,6′,6″)は、前記第1の平面部分(13)に面する対応する第2の平面部分(15a)を有する、多軸骨固定装置。
【請求項2】
前記第1の平面部分(13)は前記中心軸(C)の周りを円周方向に延在する、請求項1に記載の多軸骨固定装置。
【請求項3】
前記第2の平面部分(15a)は前記中心軸(C)の周りを円周方向に延在する、請求項1または2に記載の多軸骨固定装置。
【請求項4】
前記第1の平面部分(13)は前記受入部分の内壁から前記第1の孔(9)内へ突出する環状突出部内に含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項5】
前記第2の平面部分(15a)は、前記挿入片から外方向に突出する環状突出部内に含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項6】
前記挿入片(6,6′,6″)は、回転対称である第1の端部(15,14)と、非対称の境界縁部を規定する第2の端部(16)とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項7】
前記挿入片は、前記骨固定要素の前記シャンクが延在するとともに前記中心軸(C)に対して非対称的である凹部(17)を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項8】
前記受入部分および前記挿入片(6,6′,6″)の協働する前記平面部分(13,15a)は、前記受入部分に対して特定の回転位置に前記挿入片を保持する摩擦力を前記第1の平面部分と前記第2の平面部分との間に生成するよう構成され、前記位置は、前記摩擦力よりも大きな力を適用することにより変更可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項9】
圧力要素(7,7′)をさらに含み、前記圧力要素(7,7′)は、前記受入部分において前記第1の孔の軸の方向に移動するよう構成され、圧力を前記ヘッドにかける、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項10】
前記ロッドの固定のための固定要素(8)をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多軸骨固定装置。
【請求項11】
モジューラ多軸骨固定システムであって、
骨または脊椎に固定するためのシャンク(2)と、ヘッド(3)とを有する骨固定要素(1)と、
前記骨固定要素(1)に接続されることになるロッド(5)を受け入れるための受入部分(4,4′)とを含み、前記受入部分は、第1の端部(4a)および対向する第2の端部(4b)と、これら2つの端部を通る中心軸(C)と、前記ロッド(5)を受け入れるためのチャネルと、前記第1の端部(4a)にある同軸の第1の孔(9)と、前記第2の端部にある同軸の第2の孔(12)とを有し、前記第2の孔(12)は前記第1の孔(9)と連通し、前記モジューラ多軸骨固定システムはさらに、
組み付けられて前記受入部分(4,4′)内に搭載可能な第1の挿入片(6)を含み、
前記第1の挿入片(6)は、前記第2の孔(12)から突出し、かつ前記第1の孔と対向する端部に、開口部(17)を有する境界縁部を有し、前記開口部(17)は、前記ヘッドの通過を防止するよう前記ヘッドよりも小さく、
前記境界縁部は、前記骨固定要素が、前記境界縁部の第1の位置にて前記第1の孔の軸に対して、前記境界縁部の別の位置での角度よりもより大きな第1の角度で旋回することを可能にするよう構成され、前記モジューラ多軸骨固定システムはさらに、
組み付けられて前記受入部分(4,4′)内に搭載可能な第2の挿入片(6′)を含み、
前記第2の挿入片(6′)は、前記第2の孔(12)から突出し、かつ前記第1の孔と対向する端部に、開口部(17′)を有する境界縁部を有し、前記開口部(17′)は、前記ヘッドの通過を防止するよう前記ヘッドよりも小さく、
前記境界縁部は、前記骨固定要素が、前記境界縁部の第1の位置にて前記第1の孔の軸に対して、前記境界縁部の別の位置での角度よりもより大きな第2の角度で旋回することを可能にするよう構成され、
前記第1の挿入片(6)および前記第2の挿入片(6′)は相互に交換可能に搭載可能である、モジューラ多軸骨固定システム。
【請求項12】
前記第2の挿入片(6′)は、前記第2の孔(12)から、前記第1の挿入片(6)よりも遠くに突出する、請求項11に記載のモジューラ多軸骨固定システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21a)】
image rotate

【図21b)】
image rotate

【図21c)】
image rotate

【図21d)】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2013−94675(P2013−94675A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236761(P2012−236761)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】