説明

多重スペクトル高温測定撮像システム

【課題】タービン構成部品の二次元強度マップを示す信号を出力する撮像システムの提供。
【解決手段】動力または推力を提供する作動流体46と流体連通している複数の構成部品52、54、58、60、62、66、70、72を含むタービン18と光学的に連通している撮像システム36で、タービン18の動作中に少なくとも1つの構成部品52、54、58、60、62、66、70、72の広波長域画像を受け取り、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割し、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、多重スペクトル高温測定撮像システムに関する。本発明は、米国防省高等研究計画局によって裁定された契約番号HR00104C002に基づく政府支援を得てなされた。政府は本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
特定のガスタービンエンジンは、タービン内の様々な構成部品の監視を容易にするように構成されたビューイングポートを有するタービンを含む。例えば、高温測定システムは、ビューイングポートを通して放射信号を受け取り、タービンの熱ガス経路内にある特定の構成部品の温度を測定することができる。高温測定システムは、固定の波長範囲内でタービン構成部品によって放射された放射の強度を測定するように構成された光学センサを含むことができる。理解されるように、放射率を推測することによって、特定の波長における放射強度に基づいて、構成部品の温度を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,633,066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことに、構成部品の放射率は、温度、構成部品上の残留物の蓄積、タービン構成部品の酸化、および/またはビューイングポート窓上の汚れの蓄積によって、時間とともに変動することがある。その結果、固定の波長域内での強度を測定する高温測定システムは、不正確な温度測定をもたらすことがある。それに加えて、特定の高温測定システムが提供するのは、視線方向のポイント測定(line-of-sight point measurement)あるいは各構成部品の平均温度のどちらかなので、構成部品全体にわたる温度勾配によって引き起こされる熱応力は検出されないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態では、システムは、タービンおよびタービン内に通じるビューイングポートを含む。システムはまた、ビューイングポートと光学的に連通している波長選択(wavelength-splitting)デバイスを含む。波長選択デバイスは、タービン構成部品の広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割するように構成される。システムはさらに、波長選択デバイスと光学的に連通している少なくとも1つの検出器アレイを含む。少なくとも1つの検出器アレイは、狭波長域画像を受け取り、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、動力または推力を提供する作動流体と流体連通している複数の構成部品を含むタービンを含む。システムはまた、少なくとも1つの構成部品と光学的に連通している撮像システムを含む。撮像システムは、タービンの動作中に少なくとも1つの構成部品の広波長域画像を受け取り、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割し、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。
【0007】
第3の実施形態では、方法は、タービン構成部品の広波長域画像を受け取るステップと、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割するステップとを含む。方法はまた、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するステップを含む。
【0008】
第4の実施形態では、システムは、動力または推力を提供する作動流体と流体連通している複数の構成部品を含むタービンを含む。システムはまた、少なくとも1つの構成部品と光学的に連通している波長選択デバイスを含む。波長選択デバイスは、少なくとも1つの構成部品の広波長域画像を複数の狭波長域画像に順次分割するように構成された複数のダイクロイックミラーを含む。システムはさらに、波長選択デバイスと光学的に連通している少なくとも1つの検出器を含む。少なくとも1つの検出器は、狭波長域画像を受け取り、各狭波長域画像の強度を示す信号を出力するように構成される。
【0009】
本明細書に開示される実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによってさらに理解されるであろう。図面全体を通して類似の符号は類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】開示される特定の実施形態による、タービン構成部品の二次元狭波長域画像を取得するように構成された撮像システムを含むタービンシステムのブロック図である。
【図2】開示される特定の実施形態による、撮像システムによって監視することができる様々なタービン構成部品を示すタービン部分の断面図である。
【図3】開示される特定の実施形態による、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに複数のダイクロイックミラーを用いる波長選択デバイスの一実施形態の概略図である。
【図4】開示される特定の実施形態による、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに画像スプリッタ(image splitter)および複数のフィルタを用いる波長選択デバイスの代替実施形態の概略図である。
【図5】開示される特定の実施形態による、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに多チャネル波長分離プリズムを含む波長選択デバイスのさらなる実施形態の概略図である。
【図6】開示される特定の実施形態による、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに複数の狭波長域フィルタを有するフィルタマスクを含む波長選択デバイスのさらに別の実施形態の概略図である。
【図7】開示される特定の実施形態による、タービン構成部品の二次元温度マップを決定する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つまたは複数の特定の実施形態を以下に記載する。これら実施形態を簡潔に説明するため、実際の実施物のすべての特徴を本明細書にて説明しないことがある。どの工業または設計上の計画の場合とも同様に、かかる実際の実施物の開発において、実施物ごとに変動することがある、システム上またはビジネス上の制約との適合性などの開発者の具体的な目標を達成するため、多数の実施物に特有の決定を行わなければならないことを理解されたい。さらに、かかる開発努力は複雑で時間がかかることがあるが、それでもなお、本開示の利益を有する当業者にとっては、設計、加工、製造の型どおりの業務であることを理解されたい。
【0012】
本明細書に開示される様々な実施形態の要素を紹介する際、冠詞(「a」、「an」、「the」、「said」)は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、および「有する」は、包括的であるとともに、列挙される要素の他にさらに要素が存在してもよいことを意味するものとする。
【0013】
本明細書に開示される実施形態は、タービン構成部品の二次元温度分布を正確に測定することによって、タービン構成部品内の熱応力を精密に決定するのに十分なデータを提供することができる。一実施形態では、高温測定システムは、タービン内に通じるビューイングポートと光学的に連通している波長選択デバイスを含む。波長選択デバイスは、タービン構成部品の広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割するように構成される。高温測定システムはまた、波長選択デバイスと光学的に連通している検出器アレイを含む。検出器アレイは、狭波長域画像を受け取り、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。検出器アレイに通信可能に結合されたコントローラは、信号を受け取り、信号に基づいてタービン構成部品の二次元温度マップを計算するように構成される。信号は複数の狭波長域画像を示すデータを含むので、コントローラは、単一の固定の波長域画像に基づいて温度を計算する高温測定システムに比べてより正確な温度を決定できるように、タービン構成部品の推定実効(apparent-effective)放射率を計算することが可能であってもよい。それに加えて、検出器アレイおよびコントローラは、タービン構成部品の二次元温度マップを提供するように構成されるので、構成部品内の熱応力は、タービン構成部品全体にわたる熱勾配を測定することによって決定されてもよい。
【0014】
次に図面を参照すると、図1は、タービン構成部品の二次元狭波長域画像を取得するように構成された撮像システムを含むタービンシステム10のブロック図である。タービンシステム10は、燃料噴射器12、燃料供給部14、および燃焼器16を含む。図示されるように、燃料供給部14は、液体燃料、および/または天然ガスなどのガス燃料をガスタービンシステム10に送り、燃料噴射器12を通して燃焼器16内へと送る。後述するように、燃料噴射器12は、燃料を噴射し、圧縮空気と混合するように構成される。燃焼器16は、混合気に点火して燃焼させ、次に熱い加圧排気ガスをタービン18へと移行させる。理解されるように、タービン18は、固定のベーンまたはブレードを有する1つもしくは複数のステータと、ステータに対して回転するブレードを有する1つもしくは複数のロータとを含む。排気ガスはタービンロータのブレードを通過し、それによってタービンロータを駆動して回転させる。タービンロータとシャフト19との間の結合によって、図示されるようにガスタービンシステム10全体を通して複数の構成部品にも結合されているシャフト19の回転が起こる。最終的に、燃焼プロセスの排気は、排気出口20を介してガスタービンシステム10を出ることができる。
【0015】
圧縮器22は、シャフト19によって駆動されて回転するロータに堅く取り付けられたブレードを含む。空気が回転しているブレードを通過すると、空気圧が増加し、それによって適切な燃焼のために十分な空気が燃焼器16に供給される。圧縮器22は、吸気口24を介してガスタービンシステム10に空気を取り込むことができる。さらに、シャフト19は負荷26に結合させることができ、負荷26はシャフト19の回転によって駆動することができる。理解されるように、負荷26は、動力装置または外部の機械的負荷など、ガスタービンシステム10の回転出力の動力を使用することができる任意の適切なデバイスであってもよい。例えば、負荷26は、発電機、飛行機のプロペラなどを含んでもよい。吸気口24は、冷気取入口などの適切なメカニズムを介して、空気30をガスタービンシステム10に取り入れる。次に、空気30は圧縮器22のブレードを通って流れ、それによって圧縮空気32が燃焼器16に供給される。特に、燃料噴射器12は、圧縮空気32および燃料14を混合気34として燃焼器16内へと噴射してもよい。あるいは、圧縮空気32および燃料14は、混合および燃焼のため、燃焼器内へと直接噴射されてもよい。
【0016】
図示されるように、タービンシステム10は、タービン18に光学的に結合された撮像システム36を含む。図示される実施形態では、撮像システム36は、タービン18内に通じるビューイングポート39と波長選択デバイス40との間に延在する光学接続部38(例えば、光ファイバケーブル、光導波路など)を含む。詳細に後述するように、波長選択デバイス40は、タービン構成部品の広波長域画像を受け取り、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割するように構成される。波長選択デバイス40に光学的に結合された検出器アレイ42は、狭波長域画像それぞれを受け取り、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。図示される実施形態では、検出器アレイ42は、信号を受け取り、信号に基づいてタービン構成部品の二次元温度マップを計算するように構成されたコントローラ44に通信可能に結合される。詳細に後述するように、撮像システム36は複数の狭波長域画像を取得するので、タービン構成部品の二次元の推定実効放射率マップが生成されてもよく、それによって、単一の波長域の強度を測定する構成よりも正確な温度測定がもたらされる。それに加えて、撮像システム36は二次元温度マップを生成するので、タービン構成部品全体にわたる温度勾配が測定されてもよく、それによって、構成部品の平均温度のみを測定する構造に比べて、構成部品の応力に関する付加的な情報が提供される。
【0017】
図2は、撮像システム36によって監視することができる様々なタービン構成部品を示す、タービン部分の断面図である。図示されるように、燃焼器16からの排気ガス/燃焼生成物46は、軸線方向48および/または円周方向50でタービン18に流れ込む。図示されるタービン18は少なくとも2段を含み、その最初の2段が図2に示される。他のタービン構造は、より多数またはより少数のタービン段を含んでもよい。例えば、タービンは、1段、2段、3段、4段、5段、6段以上のタービン段を含んでもよい。第1のタービン段は、タービン18を中心にして円周方向50でほぼ均等に間隔を空けられたベーン52およびブレード54を含む。第1段のベーン52は、タービン18に堅く取り付けられ、燃焼ガスをブレード54に方向付けるように構成される。第1段のブレード54は、ブレード54を通って流れる排気ガス46によって駆動されて回転するロータ56に取り付けられる。次いで、ロータ56は、圧縮器22および負荷26を駆動するシャフト19に結合される。次に、排気ガス46は、第2段のベーン58および第2段のブレード60を通って流れる。第2段のブレード60もロータ56に結合される。排気ガス46が各段を通って流れると、ガスからのエネルギーがロータ56の回転エネルギーに変換される。各タービン段を通過した後、排気ガス46は軸線方向48でタービン18を出る。
【0018】
図示される実施形態では、第1段のベーン52はそれぞれ放射方向64で端壁62から外向きに延在する。端壁62は、熱排気ガス46がロータ56に入るのを阻止するように構成される。同様の端壁が、第2段のベーン58、および存在する場合はそれに続く下流側のベーンに隣接して存在してもよい。同様に、第1段のブレード54はそれぞれ放射方向64でプラットフォーム66から外向きに延在する。理解されるように、プラットフォーム66はブレード54をロータ56に結合するシャンク68の一部である。シャンク68はまた、熱排気ガス46がロータ56に入るのを阻止するように構成されたシール、すなわちエンジェルウィング70を含む。同様のプラットフォームおよびエンジェルウィングが、第2段のブレード60、および存在する場合はそれに続く下流側のブレードに隣接して存在してもよい。さらに、シュラウド72は、第1段のブレード54から放射方向外向きに配置される。シュラウド72は、ブレード54を迂回する排気ガス46の量を最小限に抑えるように構成される。迂回するガスからのエネルギーはブレード54によって捕捉されず、回転エネルギーに転換されないので、ガスの迂回は望ましくない。ガスタービンエンジン10のタービン18内の構成部品を監視することに関連して、撮像システム36について後述するが、撮像システム36は、蒸気もしくは別の作動流体がタービンブレードを通過して動力や推力を供給するタービンなど、他の回転機械類および/または往復機械類内の構成部品を監視するのに用いられてもよいことを理解されたい。
【0019】
理解されるように、タービン18内の様々な構成部品(例えば、ベーン52および58、ブレード54および60、端壁62、プラットフォーム66、エンジェルウィング70、シュラウド72など)は、燃焼器16からの熱排気ガス46に暴露されることになる。その結果、タービン18の動作中における特定の構成部品の温度を測定して、温度が所望範囲内にとどまっていることを確保し、かつ/または構成部品内の熱応力を監視するのが望ましいことがある。例えば、撮像システム36は、第1段のタービンブレード54の二次元温度マップを決定するように構成されてもよい。理解されるように、二次元温度マップは、各ブレード54全体にわたる温度勾配を決定し、それによってブレード54内の熱応力の計算を容易にするのに利用されてもよい。
【0020】
温度はブレード54の表面全体にわたって変動することがあるので、図示される実施形態は、ブレード54の異なる領域に向けて方向付けられた3つのビューイングポート39を含む。3つの光学接続部38は、ビューイングポート39を波長選択デバイス40に光学的に結合する。図示されるように、第1の光学接続部69は、ブレード54の上流部分の画像を波長選択デバイス40に伝達するように構成され、第2の光学接続部71は、ブレード54の円周側の画像を波長選択デバイス40に伝達するように構成され、第3の光学接続部73は、ブレード54の下流部分の画像を波長選択デバイス40に伝達するように構成される。ビューイングポート39は、ビューイングポート39をブレード54の所望領域に向けて方向付けるため、軸線方向48、円周方向50、および/または放射方向64で角度が付けられてもよい。代替実施形態では、第1段のブレード54の画像を得るのに、より多数またはより少数のビューイングポート39および光学接続部38が用いられてもよい。例えば、特定の実施形態は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ以上のビューイングポート39とそれに対応する数の光学接続部38を用いて、ブレード54の画像を波長選択デバイス40に伝達してもよい。理解されるように、より多数のビューイングポート39および光学接続部38が用いられるほど、監視することができるブレード54の領域がより多数になる。上述したように、光学接続部38は、例えば、光ファイバケーブルまたは光学撮像システム(例えば、剛性の撮像光導波路システム)を含んでもよい。また、特定の実施形態は光学接続部38を省略してもよく、波長選択デバイス40はビューイングポート39に直接光学的に結合されてもよいことを理解されたい。
【0021】
図示される実施形態では、ビューイングポート39は第1段のブレード54に向けて方向付けられるが、代替実施形態では、ビューイングポート39は他のタービン構成部品に向けて方向付けられてもよいことを理解されたい。例えば、1つもしくは複数のビューイングポート39は、第1段のベーン52、第2段のベーン58、第2段のブレード60、端壁62、プラットフォーム66、エンジェルウィング70、シュラウド72、またはタービン18内の他の構成部品に向けて方向付けられてもよい。さらなる実施形態は、タービン18内の複数の構成部品に向けて方向付けられたビューイングポート39を含んでもよい。第1段のブレード54と同様に、撮像システム36は、ビューイングポート39の視野内の各構成部品について、二次元温度マップを決定してもよい。このようにして、様々なタービン構成部品内の熱応力を測定することができ、それによって、タービンシステム10の動作パラメータを調整し、かつ/または保守点検の間隔を決定するのに使用することができるデータが操作者に提供される。
【0022】
上述したように、光学接続部38(例えば、光ファイバケーブル、光導波路など)は、タービン18からの画像を波長選択デバイス40に伝達する。波長選択デバイス40は、タービン構成部品の広波長域画像を受け取り、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割するように構成される。波長選択デバイス40に光学的に結合された検出器アレイ42は、狭波長域画像それぞれを受け取り、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成される。検出器アレイ42は、ある期間にわたって複数の画像を取得するように構成されてもよい。理解されるように、上述した第1段のブレード54などの特定のタービン構成部品は、タービン18の円周方向50に沿って高速で回転することがある。その結果、そのような構成部品の画像を取得するため、検出器アレイ42は、各構成部品のほぼ静止した画像をコントローラ44に提供するのに十分な周波数で動作するように構成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、検出器アレイ42は、約100,000、200,000、400,000、600,000、800,000、または1,000,000Hz以上を超える周波数で、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、検出器アレイ42は、約10、5、3、2、1、または0.5マイクロ秒以下よりも短い積分時間で、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成されてもよい。このようにして、回転しているタービン構成部品それぞれについて二次元温度マップを生成することができる。
【0023】
特定の実施形態では、光学接続部38は、波長選択デバイス40内のマルチプレクサに結合されて、検出器アレイ42に各観察点からの画像を提供してもよい。理解されるように、各光学接続部38からの画像は空間または時間的に多重化されてもよい。例えば、マルチプレクサが画像を空間的に多重化するように構成された場合、各画像は検出器アレイ42の異なる部分上に投射されてもよい。この構成では、第1の光学接続部69からの画像は検出器アレイ42の上側部分に向けて方向付けられてもよく、第2の光学接続部71からの画像は検出器アレイ42の中央部分に向けて方向付けられてもよく、第3の光学接続部73からの画像は検出器アレイ42の下側部分に向けて方向付けられてもよい。その結果、検出器アレイ42は、3分の1の分解能で各画像を取得してもよい。換言すれば、空間分解能は空間的に多重化される信号の数に反比例する。理解されるように、分解能がより低いほど、コントローラ44に提供されるタービン構成部品の空間的範囲は高分解能の場合よりも低くなる。したがって、空間的に多重化される信号の数は、コントローラ44がタービン構成部品の所望の二次元温度マップを確立するために十分な最小分解能によって限定されてもよい。
【0024】
あるいは、光学接続部38によって提供される画像は時間的に多重化されてもよい。例えば、検出器アレイ42は、検出器アレイ42の全分解能を使用して、各光学接続部38からの画像を代替的に取得してもよい。この技術を使用して、検出器アレイ42の全分解能が利用されてもよいが、取得周波数は走査される観察点の数に比例して低減されることがある。例えば、2つの観察点が走査され、検出器アレイ周波数が100,000Hzの場合、検出器アレイ42は50,000Hzで各観察点からの画像を走査することしかできない。したがって、時間的に多重化される信号の数は所望の走査周波数によって限定されてもよい。
【0025】
図3は、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに複数のダイクロイックミラーを用いる波長選択デバイス40の一実施形態の概略図である。図示されるように、撮像システム36は第1段のタービンブレード54に向けて方向付けられる。しかし、代替実施形態では、撮像システム36は、他のタービン構成部品(例えば、ベーン52および58、ブレード60、端壁62、プラットフォーム66、エンジェルウィング70、シュラウド72など)に向けて方向付けられてもよいことを理解されたい。理解されるように、電磁放射がブレード54から放射され、撮像システム36によって広波長域画像74として取得されてもよい。そのような画像74は、電磁スペクトルの赤外領域、可視領域、および/または紫外領域内の波長を有する放射を含んでもよい。
【0026】
燃焼生成物46がビューイングポート39とブレード54との間を流れることがあるので、特定の波長域のみが撮像システム36に送信されてもよい。例えば、水蒸気および二酸化炭素などの特定の燃焼生成物種は、広範囲の波長にわたって放射を吸収し放射する。結果として、波長のうち一部のみがブレード54によって放射された放射は、十分な強度で撮像システム36に達し、燃焼生成物から放射された放射による干渉は、正確な強度測定に対しては無視できる程度である。その結果、撮像システム36は、著しい吸収または干渉を伴わずに燃焼生成物46を通過する傾向がより高い、特定波長の強度を測定するように構成されてもよい。例えば、可視スペクトルの赤色部分内および/または近赤外スペクトル内の波長は、他の周波数範囲よりも少ない吸収で燃焼生成物46を通過してもよい。したがって、特定の実施形態は、そのような周波数範囲を温度決定に利用してもよい。しかし、代替実施形態は、可視、赤外、および/または紫外スペクトルの他の部分内の電磁放射の強度を測定してもよいことを理解されたい。
【0027】
理解されるように、構成部品の温度は、特定の波長で構成部品から放射される電磁放射の強度を測定することによって決定されてもよい。例えば、放射率が1であると仮定すると(黒体を仮定)、測定された放射強度から温度を計算するのにプランクの法則が利用されてもよい。しかし、実際の構成部品は1未満の放射率を有することがあるので、特定の高温測定システムは固定の放射率値を仮定する。放射率は温度および波長を含む多数の因子に基づいて変動することがあるので、そのような仮定は不正確な温度測定をもたらすことがある。例えば、タービン構成部品の放射率は、燃焼生成物46からの残留物が構成部品上に蓄積するにつれて変動することがある。それに加えて、残留物および/または他の残屑がビューイングポート39上に積層し、それによって構成部品から放射される放射強度が低減されることがある。さらに、煤煙などの燃焼生成物はまた、構成部品からの放射信号を汚染することがある。その結果、撮像システム36は、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割し、各狭波長域画像の強度マップを測定するように構成される。そのような構成では、より正確な温度を決定できるように、コントローラ44は、多チャネルアルゴリズムを介して、タービン構成部品の推定実効放射率を計算することが可能であってもよい。それに加えて、検出器アレイ42およびコントローラ44はタービン構成部品(例えば、第1段のタービンブレード54)の二次元温度マップを提供するように構成されるので、構成部品内の熱応力は、タービン構成部品全体にわたる熱勾配を測定することによって決定されてもよい。
【0028】
図示されるように、広波長域画像74は最初に、ブレード54から放射された放射を平行ビーム78に変換する光コリメータ76を通過する。次に、平行ビーム78は一連のダイクロイックミラー80、82、84、および86を通過し、そこで広波長域画像74は一連の狭波長域画像に変換される。理解されるように、ダイクロイックミラーは、所望の波長範囲の放射を反射するとともに残りの放射を通過させるように構成された反射面を含む。具体的には、第1のダイクロイックミラー80は、狭波長域を有する放射を反射するように構成されたコーティング88を含む。例えば、反射された放射は、約50、40、30、20、10、5、3、または1nm以下の波長範囲を有してもよい。第1のダイクロイックミラー80を通過する放射92は、第1のダイクロイックミラー80によって反射された波長を除く平行ビーム78の各波長を含む波長範囲を有してもよい。
【0029】
次に、狭波長域画像90に対応する放射は、放射を検出器アレイ42に向けて方向付けるように構成された、ミラーまたはプリズムなどの光学素子94を通過してもよい。検出器アレイ42に達する前に、放射は、狭波長域画像90を検出器アレイ42上に集光するレンズ96を通過してもよい。特定の実施形態では、光学素子94および/またはレンズ96は、画像90の波長域をさらに狭めるように構成されたフィルタを含んでもよい。例えば、光学素子94および/またはレンズ96は、波長範囲を約50、40、30、20、10、5、3、または1nm以下に狭めてもよい。
【0030】
第1のダイクロイックミラー80によって反射されなかった波長を有する放射92は、第1のミラー80を通過し、第2のダイクロイックミラー82に入射することになる。第1のダイクロイックミラー80と同様に、第2のミラー82は、狭波長域を有する放射を反射するとともに残りの波長の通過を容易にするように構成される。次に、反射された放射は、第1のダイクロイックミラー80に関して上述した反射された放射と同様のやり方で、検出器アレイ42に向けて方向付けられてもよい。ダイクロイックミラー84および86は、同様のやり方で機能して、2つの追加の狭波長域画像に対応する放射を検出器アレイ42に提供してもよい。この構成では、検出器アレイ42は、異なる波長範囲をそれぞれ有する4つの狭波長域画像90を受け取ることになる。図示される実施形態では、4つのダイクロイックミラー80、82、84、および86を用いて広波長域画像74が4つの狭波長域画像90に分割されるが、代替実施形態では、より多数またはより少数のダイクロイックミラーが用いられてもよいことを理解されたい。例えば、特定の実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ以上のダイクロイックミラーを含んで、広波長域画像74を対応する数の狭波長域画像90に分割してもよい。
【0031】
上述したように、レンズ96は、狭波長域画像90を検出器アレイ42上に集光するように構成される。図示される構成では、各狭波長域画像90の二次元強度マップを示す信号を出力するのに単一の検出器アレイ42が用いられる。その結果、各レンズ96は、各狭波長域画像90を検出器アレイ42の重なり合わない各領域上に集光するように構成される。このようにして、検出器アレイ42は各狭波長域画像90の強度マップを監視することができる。しかし、各二次元強度マップの分解能は、検出器アレイ42の分解能をアレイ42に入射される狭波長域画像90の数で割ったものにほぼ等しくてもよいことを理解されたい。したがって、各二次元強度マップの分解能は狭波長域画像90の数に反比例する。
【0032】
特定の実施形態では、各狭波長域画像90に対して高分解能の強度マップを生成するのに複数の検出器アレイ42が用いられてもよい。例えば、各狭波長域画像90は別個の検出器アレイ42上に集光されてもよい。あるいは、狭波長域画像90の第1の部分(例えば、2)は第1の検出器アレイ42上に集光されてもよく、狭波長域画像90の第2の部分(例えば、2)は第2の検出器アレイ42上に集光されてもよい。そのような構成は、各狭波長域画像90に対する二次元強度マップの分解能を増加させ、それによってより詳細な二次元温度マップを提供してもよい。温度マップの分解能がより高いほど、監視されたタービン構成部品(例えば、第1段のタービンブレード54)と関連する熱応力の表示をより正確にすることができる。しかし、理解されるように、複数の検出器アレイ42を用いる撮像システム36のコストは、単一のアレイ42を用いる撮像システム36よりも高くなることがある。
【0033】
図4は、広波長域画像74を複数の狭波長域画像に変換するのに画像スプリッタおよび複数のフィルタを用いる波長選択デバイス40の代替実施形態の概略図である。図示されるように、第1段のタービンブレード54からの放射は、広波長域画像74を画像スプリッタ98上に投射する。画像スプリッタ98は、広波長域画像74を複数の複製画像100に分割する、一連のレンズ、プリズム、ミラー、ならびに/または他の反射および/もしくは屈折光学部品を含んでもよい。理解されるように、各複製画像100は広波長域画像74とほぼ同様のスペクトル内容(例えば、波長範囲)を含む。それに加えて、各複製画像100の分解能および視野は広波長域画像74とほぼ同様であってもよい。しかし、各複製画像100の強度は、画像スプリッタ98によって生成される複製画像100の数に反比例してもよいことを理解されたい。例えば、図示される実施形態の画像スプリッタ98は4つの複製画像100を生成するので、各複製画像100の強度は広波長域画像74の強度の約25%であってもよい。代替実施形態では、より多数またはより少数の複製画像100(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、もしくはそれより多数)が生成されてもよいが、複製画像100の最大数は検出器アレイ42の感度によって限定されてもよいことを理解されたい。例えば、検出器アレイ42上に投射される画像の強度は、コントローラ44がタービンブレード54の二次元温度マップを生成するのに十分であってもよい。
【0034】
各複製画像100に対応する放射は、放射を個々のフィルタ104に向けて方向付けるように構成された、ミラーまたはプリズムなどの光学素子102を通して方向付けられる。各フィルタ104は、狭波長域の通過を容易にするとともに残りの波長の通過を阻止するように構成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、各フィルタ104は、約50、40、30、20、10、5、3、または1nm以下の範囲を有する波長域の通過を容易にするように構成されてもよい。それに加えて、各フィルタ104は、検出器アレイ42に向けて投射される複数の狭波長域画像106を確立するため、異なる波長範囲の通過を容易にしてもよい。図示される実施形態では、4つの狭波長域画像106を確立するのに4つのフィルタ104が用いられるが、代替実施形態では、より多数またはより少数のフィルタ104が用いられてもよいことを理解されたい。例えば、特定の実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ以上のフィルタ104を含んで、対応する数の狭波長域画像106を確立してもよい。
【0035】
フィルタ104を通過した後、各狭波長域画像106に対応する放射は、放射を検出器アレイ42に向けて方向付ける第2の光学素子108を通過する。第2の光学素子108と検出器アレイ42との間に配置されたレンズ110は、狭波長域画像106を検出器アレイ42上に集光する。図示される構成では、各狭波長域画像106の二次元強度マップを示す信号を出力するのに単一の検出器アレイ42が用いられる。上述したように、各狭波長域画像106は単一の検出器アレイ42上に投射されるので、各二次元強度マップの分解能は、検出器アレイ42の分解能をアレイ42上に入射する狭波長域画像90の数で割ったものにほぼ等しくてもよい。その結果、特定の実施形態は、各狭波長域画像106に対するより高分解能の強度マップを生成するのに複数の検出器アレイ42を用いてもよい。そのような実施形態は、各狭波長域画像106に対する二次元強度マップの分解能を増加させ、それによってより詳細な二次元温度マップを提供してもよい。温度マップの分解能がより高いほど、監視されたタービン構成部品(例えば、第1段のタービンブレード54)と関連する熱応力の表示をより正確にすることができる。しかし、理解されるように、複数の検出器アレイ42を用いる撮像システム36のコストは、単一のアレイ42を用いる撮像システム36よりも高くなることがある。
【0036】
図5は、広波長域画像を複数の狭波長域画像に変換するのに多チャネル波長分離プリズム112を含む波長選択デバイス40のさらなる実施形態の概略図である。図示されるように、波長分離プリズム112は、第1の波長を分離するように構成された第1のプリズム114と、第2の波長を分離するように構成された第2のプリズム116と、残りの波長の通過を容易にするように構成された第3のプリズム118とを含む。図示される実施形態では、第1のプリズム114は、狭波長域内の放射を反射するとともに残りの波長の通過を容易にするように構成されたコーティング120を含む。例えば、特定の実施形態では、反射された放射は、約50、40、30、20、10、5、3、または1nm以下の波長範囲を有してもよい。上述したダイクロイックミラー構成と同様に、反射された放射と関連する狭波長域画像122は検出器アレイ124上に投射されるので、検出器アレイ124は、狭波長域画像122の強度マップを示す信号を出力してもよい。図示されるように、反射された放射はさらに、検出器アレイ124上に投射される前に、第1のプリズム114の非コーティング面125に反射される(例えば、全内部反射によって)。
【0037】
次に、コーティング120によって反射されなかった波長を含む放射126は第2のプリズム116に入り、そこで、第2のコーティング128が、狭波長域内の放射を反射するとともに残りの波長の通過を容易にする。第1のコーティング120と同様に、第2のコーティング128は、約50、40、30、20、10、5、3、または1nm以下の波長範囲を有する放射を反射してもよい。図示されるように、反射された放射と関連する狭波長域画像130は検出器アレイ132上に投射されるので、検出器アレイ132は、狭波長域画像130の強度マップを示す信号を出力してもよい。検出器アレイ132上に投射される前に、放射は、第1および第2のプリズム114および116の間の間隙134に隣接した第2のプリズム116の非コーティング面133に反射される(例えば、全内部反射によって)。このようにして、狭波長域画像130を検出器アレイ132上に適切に投射させることができる。
【0038】
特定の実施形態では、第2のコーティング128を通過する放射は狭波長範囲を含んでもよい。そのような実施形態では、狭波長域画像136と関連する放射は、第3のプリズム118を通過し、検出器アレイ138上に直接投射されてもよい。代替実施形態では、第2のコーティング128を通過する放射は広波長範囲を含んでもよい。そのような実施形態では、放射が、図4を参照して上述したフィルタ104と同様のフィルタを通過して、所望の狭波長域画像136を確立してもよい。その結果、多チャネル波長分離プリズム112は、個々の検出器アレイ124、132、および138上に投射されうる複数の狭波長域画像122、130、および136を生成するように機能することができる。
【0039】
図示される実施形態では、広波長域画像74は3つの狭波長域画像に分離されるが、代替実施形態は、広波長域画像74をより多数またはより少数の狭波長域画像に分離するように構成された多チャネル波長分離プリズムを用いてもよいことを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、多チャネル波長分離プリズムは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ以上の狭波長域画像を作成するように構成されてもよい。それに加えて、図示される実施形態は、各狭波長域画像に対して別個の検出器アレイを用いるが、代替実施形態は、画像をすべて受け取るように構成された単一の検出器アレイを含んでもよいことを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、各狭波長域画像と関連する放射を単一の検出器アレイに向けて方向付けるように構成された光学素子が用いられてもよい。さらなる実施形態は、狭波長域画像122、130、および/または136の波長範囲をさらに狭めるため、多チャネル波長分離プリズム112と検出器アレイ124、132、および/または138との間に配置された、図4を参照して上述したフィルタ104などのフィルタを含んでもよい。
【0040】
図6は、広波長域画像74を複数の狭波長域画像に変換するのに複数の狭波長域フィルタを有するフィルタマスクを含む波長選択デバイス40のさらに別の実施形態の概略図である。図示される実施形態では、検出器アレイ42および波長選択デバイス40は、広波長域画像74を受け取り、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力する単一のユニット140の形に組み合わされる。組み合わされたユニット140は、フィルタマスク142およびそれに対応する検出器アレイ144を含む。図示されるように、フィルタマスク142は、狭波長範囲の通過を容易にするとともに残りの波長の通過を阻止するようにそれぞれ構成された複数のフィルタ146を含む。図示される実施形態は4つの異なるフィルタ構成を含む。第1のフィルタ構成148は、λとして指定される第1の波長範囲の通過を容易にするように構成され、第2のフィルタ構成150は、λとして指定される第2の波長範囲の通過を容易にするように構成され、第3のフィルタ構成152は、λとして指定される第3の波長範囲の通過を容易にするように構成され、第4のフィルタ構成154は、λとして指定される第4の波長範囲の通過を容易にするように構成される。図4を参照して上述したフィルタ104と同様に、各フィルタ構成148、150、152、および154は、約50、40、30、20、10、5、3、1nm以下の波長範囲を有する放射の通過を容易にするように構成されてもよい。
【0041】
図示されるフィルタマスク142は、4つの異なるフィルタ構成148、150、152、および154を含むが、代替実施形態はより多数またはより少数のフィルタ構成を含んでもよいことを理解されたい。例えば、特定の実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ以上のフィルタ構成を含んで、対応する数の波長範囲の通過を容易にすることができる。さらなる実施形態では、特定のフィルタ146は、フィルタ上に入射するほぼすべての波長の通過を容易にするように構成されてもよい。このようにして、検出器アレイ144の特定の要素を広波長域画像74に露出させることができる。図示される実施形態では、フィルタ構成148、150、152、および154は、フィルタマスク142内で一連の2×2個の四角として配列される。代替実施形態はフィルタ構成の他のパターンを用いてもよいことを理解されたい。例えば、各フィルタ構成は交互の行または交互の列に沿って配列されてもよい。例えば、フィルタマスク142の第1の列は第1の構成148のフィルタを含んでもよく、第2の列は第2の構成150のフィルタを含んでもよく、第3の列は第3の構成152のフィルタを含んでもよく、第4の列は第4の構成154のフィルタを含んでもよく、そのパターンをフィルタマスク142全体にわたって繰り返してもよい。
【0042】
図示されるように、フィルタマスク142は、各フィルタ146が対応する検出器要素156に隣接して配置されるようにして、検出器アレイ142と位置合わせされる。このようにして、各検出器要素156は、個々のフィルタ146を通過する放射に対応する波長範囲を有する狭波長域信号を受け取る。図示される実施形態では、第1の構成148のフィルタは第1の検出器要素158と位置合わせされ、第2の構成150のフィルタは第2の検出器要素160と位置合わせされ、第3の構成152のフィルタは第3の検出器要素162と位置合わせされ、第4の構成154のフィルタは第4の検出器要素164と位置合わせされる。このようにして、Pとして指定される第1の検出器158はλの波長範囲を有する信号を受け取り、Pとして指定される第2の検出器160はλの波長範囲を有する信号を受け取り、Pとして指定される第3の検出器162はλの波長範囲を有する信号を受け取り、Pとして指定される第4の検出器164はλの波長範囲を有する信号を受け取る。フィルタパターンはフィルタマスク142全体を通して繰り返すので、P、P、P、およびP11として指定される検出器要素は、λの波長範囲を有する信号を受け取ることになり、P、P、P10、およびP12として指定される検出器要素は、λの波長範囲を有する信号を受け取ることになり、P、P、P13、およびP15として指定される検出器要素は、λの波長範囲を有する信号を受け取ることになり、P、P、P14、およびP16として指定される検出器要素は、λの波長範囲を有する信号を受け取ることになる。その結果、各狭波長域画像が検出器アレイ144全体にわたって分布されることになる。
【0043】
図示される実施形態は、4×4のフィルタマスク142および4×4の検出器アレイ144を用いるが、代替実施形態は、それよりも大幅に大きいフィルタマスク142および検出器アレイ144を用いてもよいことを理解されたい。例えば、特定のフィルタマスク142は数千の、またはさらには数百万のフィルタ146を含んでもよく、検出器アレイ144はそれに対応する数の検出器要素156を含んでもよい。理解されるように、二次元強度マップの分解能は、検出器アレイ144内に用いられる検出器要素156の数に少なくとも部分的に依存する。
【0044】
上述したように、各狭波長域画像は検出器アレイ144全体にわたって分布される。その結果、検出器アレイ144は、フィルタマスク142の構成に基づいて画像を再構成することによって各狭波長域画像の二次元強度マップを確立するように構成された、画像プロセッサ168に通信可能に結合される。例えば、図示される実施形態では、画像プロセッサ168は、P、P、P、およびP11として指定される検出器要素156から受け取られる信号を組み合わせることによって、λの波長範囲を有する第1の狭波長域画像170を再構成してもよい。同様に、画像プロセッサ168は、P、P、P10、およびP12として指定される検出器要素156から受け取られる信号を組み合わせることによって、λの波長範囲を有する第2の狭波長域画像172を再構成してもよい。それに加えて、画像プロセッサ168は、P、P、P13、およびP15として指定される検出器要素156から受け取られる信号を組み合わせることによって、λの波長範囲を有する第3の狭波長域画像174を再構成してもよい。さらに、画像プロセッサ168は、P、P、P14、およびP16として指定される検出器要素156から受け取られる信号を組み合わせることによって、λの波長範囲を有する第4の狭波長域画像176を再構成してもよい。このようにして、4つの二次元強度マップがコントローラ44に出力されることになるので、コントローラ44は、第1段のタービンブレード54の二次元温度マップを生成してもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、検出器アレイ144の異なる領域は、様々な時間に狭波長域画像を受け取るように構成されてもよい。例えば、左上の2×2の領域(要素P、P、P、およびP)は第1の時間間隔に画像を受け取ってもよく、右上の2×2の領域(要素P、P、P、およびP)は第2の時間間隔に画像を受け取ってもよく、左下の2×2の領域(要素P、P10、P13、およびP14)は第3の時間間隔に画像を受け取ってもよく、右下の2×2の領域(要素P11、P12、P15、およびP16)は第4の時間間隔に画像を受け取ってもよい。フィルタ146内に組み込まれるか、またはフィルタマスク142と検出器アレイ144との間に配置されるシャッター機構は、所望の時間間隔に達するまで、検出器アレイ144の各領域への放射を選択的に阻止する役割を果たすことができる。理解されるように、シャッター機構は、機械的もしくは電気機械的デバイス、または例えば電子制御の偏光フィルタであってもよい。特に時間間隔を調整することによって、検出器アレイ144は、ブレード54が視野を通して回転するにつれて、タービンブレード54の複数の透視図を取得してもよい。例えば、時間間隔は、約5000、2000、1000、500、または100ナノ秒以下であってもよい。
【0046】
図7は、タービン構成部品の二次元温度マップを決定する方法178のフローチャートである。最初に、ブロック180によって表されるように、タービン構成部品の広波長域画像を受け取る。次に、ブロック182によって表されるように、広波長域画像を複数の狭波長域画像に分割する。上述したように、そのような波長分割動作は、図3に示されるような一連のダイクロイックミラー80、82、84、および86、図4に示されるような画像スプリッタ98および一連のフィルタ104の組み合わせ、図5に示されるような多チャネル波長分離プリズム112、図6に示されるようなフィルタマスク142、または他の任意の適切な波長選択デバイス40によって行われてもよい。次に、ブロック184によって表されるように、各狭波長域画像の二次元強度マップを示す信号を出力する。上述したように、各狭波長域画像を、それを表す信号に変換するプロセスは、1つまたは複数の検出器アレイ42によって行われてもよい。最後に、ブロック186によって表されるように、タービン構成部品の二次元温度マップを決定する。上述したように、コントローラ44は複数の狭波長域画像を受け取るので、コントローラ44は、単一の狭波長域画像に基づいて温度を計算する高温測定システムに比べてより正確な温度を決定できるように、タービン構成部品の推定実効放射率を計算することが可能であってもよい。それに加えて、検出器アレイ42およびコントローラ44はタービン構成部品の二次元温度マップを提供するように構成されるので、タービン構成部品全体にわたる熱勾配を測定することによって、構成部品内の熱応力が決定されてもよい。
【0047】
本書面による説明は、最良の形態を含む本発明を開示するとともに、あらゆるデバイスまたはシステムの作成および使用ならびにあらゆる組み込まれた方法の実施を含む、当業者による本発明の実施を可能にするため、実施例を使用している。本発明の特許性を有する範囲は、請求項によって定義され、当業者には想到される他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、請求項の文言から逸脱しない構造的要素を有する場合、または請求項の文言から実質的に逸脱しない等価の構造的要素を含む場合、請求項の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0048】
10 ガスタービンシステム
12 燃料噴射器
14 燃料供給部
16 燃焼器
18 タービン
19 シャフト
20 排気出口
22 圧縮器
24 吸気口
26 負荷
30 空気
32 圧縮空気
34 混合気
36 撮像システム
38 光学接続部
39 ビューイングポート
40 波長選択デバイス
42 検出器アレイ
44 コントローラ
46 排気ガス
48 軸線方向
50 円周方向
52 第1段のベーン
54 第1段のブレード
56 タービンロータ
58 第2段のベーン
60 第2段のブレード
62 端壁
64 放射方向
66 プラットフォーム
68 シャンク
69 第1の光学接続部
70 エンジェルウィング
71 第2の光学接続部
72 タービンシュラウド
73 第3の光学接続部
74 広波長域画像
76 光コリメータ
78 平行ビーム
80 第1のダイクロイックミラー
82 第2のダイクロイックミラー
84 第3のダイクロイックミラー
86 第4のダイクロイックミラー
88 反射性コーティング
90 狭波長域画像
92 放射
94 光学素子
96 レンズ
98 画像スプリッタ
100 複製画像
102 光学素子
104 フィルタ
106 狭波長域画像
108 光学素子
110 レンズ
112 多チャネル波長分離プリズム
114 第1のプリズム
116 第2のプリズム
118 第3のプリズム
120 反射性コーティング
122 狭波長域画像
124 検出器アレイ
125 非コーティング面
126 放射
128 反射性コーティング
130 狭波長域画像
132 検出器アレイ
133 非コーティング面
134 間隙
136 狭波長域画像
138 検出器アレイ
140 検出器アレイ/波長選択デバイスユニット
142 フィルタマスク
144 検出器アレイ
146 フィルタ
148 第1のフィルタ構成
150 第2のフィルタ構成
152 第3のフィルタ構成
154 第4のフィルタ構成
156 検出器要素
158 第1の検出器要素
160 第2の検出器要素
162 第3の検出器要素
164 第4の検出器要素
168 画像プロセッサ
170 第1の狭波長域画像
172 第2の狭波長域画像
174 第3の狭波長域画像
176 第4の狭波長域画像
178 方法フローチャート
180 フローチャートを参照
182 フローチャートを参照
184 フローチャートを参照
186 フローチャートを参照

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(18)と、
前記タービン(18)内に通じるビューイングポート(39)と、
前記ビューイングポート(39)と光学的に連通している波長選択デバイス(40)であって、タービン構成部品(52、54、58、60、62、66、70、72)の広波長域画像(74)を複数の狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)に分割するように構成された波長選択デバイス(40)と、
前記波長選択デバイス(40)と光学的に連通している少なくとも1つの検出器アレイ(42、124、132、138、144)であって、前記複数の狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)を受け取り、各狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)の二次元強度マップを示す信号を出力するように構成された少なくとも1つの検出器アレイ(42、124、132、138、144)とを備える、システム(10)。
【請求項2】
前記波長選択デバイス(40)が複数のダイクロイックミラー(80、82、84、86)を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記波長選択デバイス(40)が、前記広波長域画像(74)を複数の複製画像(100)に分割するように構成された画像スプリッタ(98)と、個々の複製画像(100)を受け取り、前記個々の複製画像(100)をフィルタ処理して個々の狭波長域画像(106)を得るように構成された複数の狭波長域フィルタ(104)とを含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記波長選択デバイス(40)が多チャネル波長分離プリズム(112)を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記波長選択デバイス(40)が複数の狭波長域フィルタ(146)を有するフィルタマスク(142)を含み、各狭波長域フィルタ(146)が前記少なくとも1つの検出器アレイ(144)の個々の検出器要素(156)と光学的に連通している、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検出器アレイ(42、124、132、138、144)が単一の検出器アレイ(42、144)を含み、前記複数の狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)がそれぞれ前記単一の検出器アレイ(42、144)の重なり合わない領域上に集光される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの検出器アレイ(42、124、132、138、144)が複数の検出器アレイ(124、132、138)を含み、各検出器アレイ(124、132、138)が前記複数の狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)の1つを受け取るように構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記波長選択デバイス(40)が光ファイバケーブルまたは撮像光学系(38)によって前記ビューイングポート(39)に光学的に結合される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの検出器アレイ(42、124、132、138、144)に通信可能に結合され、前記信号に基づいて前記タービン構成部品(52、54、58、60、62、66、70、72)の二次元温度マップを決定するように構成されたコントローラ(44)を備える、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項10】
各狭波長域画像(90、106、122、130、136、170、172、174、176)の波長範囲が約50nm未満である、請求項1記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−209272(P2011−209272A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−15938(P2011−15938)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】