説明

多重ドーパント発光層有機発光デバイス

アノード、カソード、ならびにアノードとカソードとの間に配置され、ホスト化合物、室温でリン光発光可能な第1の化合物、および室温でリン光発光可能な第2の化合物から成る発光層を含む有機発光デバイスを提供する。適切な電圧がアノードとカソードとの間に印加されたとき、デバイスからの発光の少なくとも95パーセントは、第2の化合物から生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
研究契約
特許請求される発明は、大学企業共同研究契約の1つまたは複数の次の関係者、すなわちプリンストン大学(Princeton University)、南カリフォルニア大学(The University of Southern California)、およびユニバーサルディスプレイコーポレーション(Universal Display Corporation)によって、それに代わって、および/またはそれに関連して行われた。その契約は、特許請求される発明が行われた日以前に有効であり、特許請求される発明は、契約の範囲内で引き受けられる活動の結果として行われた。
【0002】
本発明は有機発光デバイス(OLED)に関し、さらに詳細には、少なくとも2つのドーパントを含む発光層を有し、各ドーパントが室温でリン光発光可能であり、デバイスからの発光がリン光化合物のうちのただ1つの発光である、多重ドープOLEDに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を使用する光電子デバイスは、多くの理由のために次第に望ましくなってきている。そのようなデバイスを作るために使用される材料の多くは比較的安価であり、したがって有機光電子デバイスは、無機デバイスを超えるコスト優位性の潜在能力を有する。その上、有機材料の固有の特性、例えばそれらの柔軟性などは、柔軟な基板上への製造などの特定の応用にそれらをよく適合させうる。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機フォトトランジスタ、有機光起電力電池、および有機光検出器を含む。OLEDに対しては、有機材料は、従来の材料を超える性能優位性を有することができる。例えば、有機発光層(EML)が発光するところの波長は一般的に、適切なドーパントで容易に調節されうる。
【0004】
本明細書で使用されるように、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製造するために使用されうる低分子有機材料と同様にポリマー材料も含む。「低分子(small molecule)」は、ポリマーではない任意の有機材料に適用され、「低分子」は、実際はかなり大きいことがありうる。低分子は、状況次第では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を使用することは、「低分子」クラスから分子を排除しない。低分子はまた、例えばポリマー骨格上のペンダント基としてまたは骨格の一部分としてポリマー内に組み込まれてもよい。低分子はまた、デンドリマーの核部分として働いてもよく、これは核部分上に構築される一連の化学殻から成る。デンドリマーの核部分は、蛍光またはリン光低分子発光体であってもよい。デンドリマーは「低分子」でありえ、OLEDの分野で現在使用されるすべてのデンドリマーは低分子であると考えられる。一般に、低分子は、単一の分子量をもつ明確な化学式を有するが、ポリマーは、分子毎に異なりうる化学式および分子量を有する。本明細書で使用されるように、「有機」は、ヒドロカルビルおよびヘテロ原子置換ヒドロカルビル配位子の金属錯体を含む。
【0005】
OLEDは、電圧がデバイスを横切って印加されるときに発光する薄い有機膜を使用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、およびバックライトなどの用途での使用のための次第に関心をひく技術になってきている。いくつかのOLED材料および構成は、参照により本明細書に全体として援用する米国特許第5844363号、第6303238号、および第5707745号に記載されている。
【0006】
OLEDデバイスは一般に(しかし常にではないが)、電極の少なくとも1つを通り抜けて発光することを意図されており、1つまたは複数の透明電極が有機光電子デバイスにおいて有用でありうる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極材料が、底部電極として使用されてもよい。参照により全体として援用する米国特許第5703436号および第5707745号で開示されるような上部透明電極がまた使用されてもよい。底部電極を通り抜けてのみ発光することを意図されるデバイスに対しては、上部電極は透明である必要はなく、高導電率を有する厚くかつ反射性の金属層を含んでもよい。同様に、上部電極を通り抜けてのみ発光することが意図されているデバイスに対しては、底部電極は、不透明および/または反射性であってもよい。電極が透明である必要がない場合には、厚い層を使用するほど良好な導電率をもたらす可能性があり、反射性電極を使用することは、光を透明電極の方へ反射して戻すことによって、もう一方の電極を通り抜けて発光される光量を増加させうる。両方の電極が透明である完全に透明なデバイスもまた製造されうる。側面発光OLEDもまた製造されてもよく、そのようなデバイスでは1つまたは両方の電極が不透明または反射性であってもよい。
【0007】
本明細書で使用されるように、「上部」は、基板から最も遠いことを意味し、一方「底部」は基板に最も近いことを意味する。例えば、2つの電極を有するデバイスに対しては、底部電極は、基板に最も近い電極であり、一般に製造される最初の電極である。底部電極は、2つの表面、すなわち基板に最も近い底部表面および基板からより遠い上部表面を有する。第1の層が、第2の層の「上に配置される」と述べられる場合には、第1の層は、基板からより遠くに配置される。第1の層が、第2の層と「物理的に接触している」と明確に特定されていない限り、第1および第2の層の間に他の層があってもよい。例えば、たとえ、間に様々な有機層があっても、カソードはアノードの「上に配置される」と説明されうる。
【0008】
本明細書で使用されるように、「溶液プロセス可能」とは、溶液又は混濁液の形態のいずれかに、液体媒質中に溶解する、分散する、または輸送する、および/または液体媒質から堆積させることが可能なことを意味する。
【0009】
本明細書で使用されるように、および当業者によって一般的に理解されるであろうように、第1の「最高占有分子軌道」(HOMO)または「最低非占有分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、もし第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位により近いならば、第2のHOMOまたはLUMOエネルギー準位よりも「より大きい」または「より高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位に対する負エネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値を有するIP(より小さい負であるIP)に対応する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値を有する電子親和力(EA)(より小さな負であるEA)に対応する。真空準位が最上部にある従来のエネルギー準位図上では、ある材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位よりもそのような図の最上部により近く現れる。米国特許第6893743号は、基板および基板上のアノードとカソードとの間に挟まれた発光層を含むOLEDを開示している。発光層は少なくとも、電子輸送または正孔輸送特性を有するホスト材料、室温でリン光発光可能な化合物A、および室温で蛍光発光又はリン光発光可能で、化合物Aの最大発光よりも長い最大発光波長を有する化合物Bを含む。OLEDの最大発光は化合物Bに起因し、化合物Bに起因する発光は化合物Aによって強められ、発光効率が高くなる。化合物Bが蛍光化合物である場合には、OLEDの経時劣化は防止可能であると報告されている。しかしながら、その特許は、OLEDの発光のすべてまたは実質的にすべてが化合物Bによって生成されるOLEDを開示していない。
【0010】
米国特許第6515298号は、項間交差剤を含むOLEDを開示している。開示された一実施形態では、蛍光発光体の蛍光効率は、蛍光発光体をリン光増感剤と組み合わせることによって高められ、ここでリン光増感剤は、項間交差剤として作用する。第2の開示された実施形態では、リン光発光体のリン光効率は、リン光発光体をホストおよび項間交差剤と組み合わせることによって高められ、ここでホストおよび項間交差剤の両方は、一重項スピン多重度を有する。第3の開示された実施形態では、項間交差剤の薄い層が、OLEDの正孔輸送層(HTL)と電子輸送層(ETL)との間に置かれ、ここで項間交差剤は、再結合の位置に存在する材料の発光線と強く重なり合う光吸収スペクトルを有する。リン光材料の効率の増強は開示されていない。
【0011】
D’ Andrade他、High Efficiency Yellow Double-Doped Organic Light-Emitting Devices Based on Phosphor-Sensitized Fluorescence、Applied Physics Letters 79 (2001)、1045〜1047頁は、リン光増感剤を用いる高効率蛍光OLEDを開示している。蛍光赤色(DCM)およびリン光緑色(Irppy)の二重ドープは、リン光緑色発光体により蛍光赤色発光を増感し、蛍光赤色OLED効率を高める。
【0012】
Feng他、Proceedings of SPIE-The International Society of Optical Engineering、4105 (2001)、30〜36頁は、白色(色の混合)発光の生成のための二重ドープ蛍光赤色および青色発光体を開示している。
【0013】
Kawamura他、Journal of Applied Physics、92、1、(2002)、87〜93頁は、ポリマーPKKホスト中に3つの青色、黄色、および赤色リン光発光体を用いる白色デバイスを開示している。
【0014】
D’ Andrade他、Electrophosphorescent White-Light Emitting Device with a Triple Doped Emissive Layer、Advanced Material、16、7、(2004)、624〜628頁、およびControlling Exciton Diffusion in Multilayer White Phosphorescent Organic Light Emitting Devices、Advanced Material、14、2、(2002)、147〜151頁は、堆積された発光体のすべてがデバイスの白色発光に寄与する真空堆積OLED中での2種または3種のリン光発光体の混合を開示している。
【特許文献1】米国特許第5844363号
【特許文献2】米国特許第6303238号
【特許文献3】米国特許第5707745号
【特許文献4】米国特許第5703436号
【特許文献5】米国特許第6893743号
【特許文献6】米国特許第6515298号
【特許文献7】米国特許第4769292号
【特許文献8】米国特許第6310360号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002-0034656号
【特許文献10】米国特許出願公開第2002-0182441号
【特許文献11】米国特許出願公開第2003-0072964号
【特許文献12】国際公開WO-02/074015
【特許文献13】米国特許第6602540B2号
【特許文献14】米国特許出願公開第2003-02309890号
【特許文献15】米国特許第6548956B2号
【特許文献16】米国特許第6576134B2号
【特許文献17】米国特許第6097147号
【特許文献18】米国特許出願第09/931948号
【特許文献19】米国特許第5247190号
【特許文献20】米国特許第6091195号
【特許文献21】米国特許第5834893号
【特許文献22】米国特許第6013892号
【特許文献23】米国特許第6087196号
【特許文献24】米国特許第6337102号
【特許文献25】米国特許出願第10/233470号
【特許文献26】米国特許第6294398号
【特許文献27】米国特許第6468819号
【非特許文献1】D’ Andrade他,High Efficiency Yellow Double-Doped Organic Light-Emitting Devices Based on Phosphor-Sensitized Fluorescence,Applied Physics Letters 79 (2001) ,1045〜1047頁
【非特許文献2】Feng他、Proceedings of SPIE-The International Society of Optical Engineering,4105 (2001) ,30〜36頁
【非特許文献3】Kawamura他、Journal of Applied Physics,92,1,(2002) ,87〜93頁
【非特許文献4】D’ Andrade他、Electrophosphorescent White-Light Emitting Device with a Triple Doped Emissive Layer、Advanced Material,16,7,(2004) ,624〜628頁
【非特許文献5】D’ Andrade他、Controlling Exciton Diffusion in Multilayer White Phosphorescent Organic Light Emitting Devices、Advanced Material,14,2,(2002) ,147〜151頁
【非特許文献6】Baldo他,「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」,Nature,vol. 395,151〜154頁,1998年
【非特許文献7】Baldo他,「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electorphosphorescence」,Appl. Phys. Lett., Vol. 75, No. 1,4〜6頁,(1999)
【非特許文献8】Adachi他,「Nearly 100% Internal Phosphorescent Efficiency In An Organic Light Emitting Device」,J. Appl. Phys., 90, 5048頁 (2001)
【非特許文献9】Gary L. MiesslerおよびDonald A. Tarr,「Inorganic Chemistry」(第2版) ,Prentice Hall (1998)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、アノード、カソード、および発光層を含み、その発光層が、アノードとカソードとの間に配置される有機発光デバイスを対象とする。発光層は、ホスト化合物、室温でリン光発光可能な第1の化合物、および室温でリン光発光可能な第2の化合物を含む。本発明によるデバイスでは、少なくとも1つの電圧がアノードとカソードとの間に印加されるとき、デバイスからの発光の少なくとも95%が、少なくとも10cd/m2の輝度で第2の化合物から生成されるところの少なくとも1つの電圧がある。好ましくは、第1の化合物は電荷キャリア化合物(charge carrying compound)であり、電子キャリア化合物かまたは正孔キャリア化合物でありうる。好ましくは、デバイスは、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIE、すなわちCIE座標を有し、ここで第2のデバイスは、第2のデバイスが第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、本発明のデバイスとは異なる。本発明の有機発光デバイスの発光層は、好ましくは気相堆積法または溶液堆積法によって形成される。
【0016】
本デバイスの外部量子効率は、好ましくは第2のデバイスの外部量子効率よりも大きく、ここで第2のデバイスは、第2のデバイスが上記第1の化合物を含まない発光層を有するということにおいてのみ本デバイスとは異なる。第2のデバイスは、本デバイスの第2の化合物のドープ比率と等しい第2の化合物のドープ比率を有することができる。同様に、本デバイスは、好ましくは第2のデバイスの寿命よりも長い寿命を有し、ここで第2のデバイスは、第2のデバイスが第1の化合物を含まない発光層を有するという点でのみ本デバイスとは異なる。さらに好ましくは、本デバイスの寿命は、第2のデバイスの寿命の少なくとも3倍であり、本発明によるある好ましいデバイスに対しては、第2のデバイスの寿命の約3倍から約4倍である。
【0017】
上記第1および第2の化合物は、任意の有用な量で発光層内に存在してもよい。好ましくは、第1の化合物は、発光層に基づき約3.5から約40モルパーセント、さらに好ましくは約15モルパーセントの量で存在する。第2の化合物は、発光層に基づき好ましくは約3から約20モルパーセントの量で、さらに好ましくは約4.5モルパーセントの量で存在する。
【0018】
好ましくは、電圧がアノードとカソードとの間に印加されるとき、デバイスからの発光の少なくとも約99%は、第2の化合物から生成される。さらに好ましくは、電圧がアノードとカソードとの間に印加されるとき、デバイスからの発光の実質的にすべては、第2の化合物から生成される。
【0019】
好ましいデバイスは、第1の化合物が緑色リン光化合物であり、第2の化合物が赤色リン光発光を放射する赤−緑色デバイスを含む。好ましくは、第1および第2の化合物の少なくとも1つは有機金属化合物である。本発明によるOLEDは、第1の化合物がGreen-1、すなわちイリジウム(III)トリス[2-(ビフェニル-3-イル)-4-tert-ブチルピリジン]であり、第2の化合物がRed-1、すなわちビス[5-フェニル-3’-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートであり、さらに好ましくは、発光層が、スピンコーティングなどの溶液プロセスによって堆積されるデバイスを含む。本発明によるOLEDは、第1の化合物が好ましくはGreen-2、すなわちイリジウム(III)トリス(3-メチル-2-フェニルピリジン)であり、第2の化合物が好ましくはRed-2、すなわちビス[3’-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートであるデバイスを含む。本発明によるOLEDは、第1の化合物が好ましくはGreen-2であり、第2の化合物が好ましくはRed-3、すなわちビス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)アセチルアセトネートであるデバイスを含む。赤色および緑色以外の色を発光するその他のリン光化合物が本発明で使用可能である。例えば、第1の化合物として青色リン光化合物を含む二重ドープOLEDもまた、本発明の範囲内にある。
【0020】
本発明によるOLEDは、アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスを含み、ここで発光層はアノードとカソードとの間に配置され、発光層は、ホスト化合物、室温でリン光発光可能な第1の化合物、および室温でリン光発光可能な第2の化合物を含む。少なくとも1つの電圧がアノードとカソードとの間に印加されるとき、本デバイスが、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有するところの少なくとも1つの電圧があり、ここで第2のデバイスは、第2のデバイスが第1の化合物を含まない発光層を有するということにおいてのみデバイスとは異なる。
【0021】
本発明によるOLEDは、アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスを含み、ここで発光層はアノードとカソードとの間に配置される。発光層は、ホスト化合物、室温でリン光発光可能な第1の化合物、および室温でリン光発光可能な第2の化合物を含む。このデバイスからの発光の少なくとも95パーセントが、デバイスの正常輝度範囲にわたって第2の化合物から生成される。
【0022】
本発明によるOLEDは、アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスを含み、ここで発光層はアノードとカソードとの間に配置され、発光層は、ホスト化合物、室温でリン光発光可能な第1の化合物、および室温でリン光発光可能な第2の化合物を含む。このデバイスは、デバイスの正常輝度範囲にわたって、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有し、ここで第2のデバイスは、第2のデバイスが第1の化合物を含まない発光層を有するということにおいてのみデバイスとは異なる。
【0023】
本発明はまた、有機発光デバイスから発光を生成するための方法も対象とする。その方法は、本発明による有機発光デバイスを得るステップと、そのデバイスのアノードとカソードとの間に電圧を印加するステップとを含み、ここで電圧は、そのデバイスから少なくとも10cd/m2の輝度で発光を生じさせるのに十分であり、発光の少なくとも95パーセントは第2の化合物から生成される。
【0024】
本発明による方法は、有機発光デバイスから発光を生じさせるための方法を含む。その方法は、本発明による有機発光デバイスを得るステップと、そのデバイスから発光を生じさせるのに十分な電圧をアノードとカソードとの間に印加するステップとを含み、ここでそのデバイス発光は、第2のデバイスが第1の化合物を含まない発光層を有するということにおいてのみ本デバイスとは異なる第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有する。
【0025】
本発明によるOLEDでは、非発光ドーパントの三重項エネルギーは、発光ドーパントの三重項エネルギー以上である。好ましくは、非発光ドーパントは、ホストのHOMO準位と発光ドーパントのHOMO準位との間にHOMO準位を有し、好ましくは、非発光ドーパントは、ホストのLUMO準位と発光ドーパントのLUMO準位との間にLUMO準位を有する。本明細書で使用されるように、用語「非発光ドーパント」は、デバイスの全発光の5パーセント以下しか生成しない、および好ましくは実質的に発光を生じないドーパントに適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され、アノードとカソードとに電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されたとき、アノードは正孔を、およびカソードは電子を、その有機層(1又は複数)内へ注入する。注入された正孔および電子は各々、反対に帯電した電極の方へ移動する。電子および正孔が同じ分子上に局在するとき、励起エネルギー状態を有する局在化された電子正孔対である「エキシトン」が形成される。エキシトンが光電子放出機構を介して緩和するとき、光が放射される。いくつかの場合には、エキシトンは、エキシマーまたはエキシプレックス上に局在化されうる。熱的緩和などの無放射機構もまた生じうるが、一般に好ましくないと考えられる。
【0027】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体を援用する米国特許第4769292号で開示されるように、それらの一重項状態から光(「蛍光」)を放射する発光分子を使用した。蛍光発光は一般に、10ナノ秒未満の時間枠内で生じる。
【0028】
より最近では、三重項状態から光(「リン光」)を放射する発光材料を有するOLEDが実証された。Baldo他,「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」,Nature,vol. 395,151〜154頁,1998年;(「Baldo-I」)およびBaldo他,「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence」,Appl. Phys. Lett., Vol. 75, No. 1,4〜6頁(1999);(「Baldo-II」)であり、それらを参照により全体として援用する。リン光は「禁制」遷移と呼ばれることもあり、なぜならその遷移はスピン状態の変化を必要とするからである。量子力学は、そのような遷移が好ましくないことを示す。結果として、リン光は一般に、少なくとも10ナノ秒を超える、また、典型的には100ナノ秒より長い時間枠内で生じる。もしリン光の自然放射寿命が長すぎるならば、三重項は、光が放出されないような無放射機構によって緩和しうる。有機リン光はまた、非常に低い温度において、非共有電子対を持つヘテロ原子を含む分子でもしばしば観察される。2,2’-ビピリジンはそのような分子である。無放射緩和機構は、液体窒素温度でリン光を示す有機材料が典型的には室温でリン光を示さないように、典型的には温度依存性である。しかし、Baldoによって実証されたように、この問題は、室温でリン光を放出するリン光化合物を選択することによって解決されうる。代表的な発光層は、米国特許第6303238号および第6310360号;米国特許出願公開第2002-0034656号;第2002-0182441号;第2003-0072964号;およびWO-02/074015で開示されるようなドープされたまたはドープされていないリン光有機金属材料を含む。
【0029】
一般に、OLED内のエキシトンは、約3:1の比、すなわち約75%の三重項と25%の一重項とに形成されると考えられる。参照により全体を援用するAdachi他,「Nearly 100% Internal Phosphorescent Efficiency In An Organic Light Emitting Device」,J. Appl. Phys., 90, 5048頁(2001)を参照されたい。多くの場合、一重項エキシトンは、「項間交差」を介してそれらのエネルギーを三重項励起状態へ容易に移動させうるが、三重項エキシトンは、それらのエネルギーを一重項励起状態へ容易に移動させないであろう。結果として、100%内部量子効率が、リン光OLEDについて理論的に可能である。蛍光デバイスにおいては、三重項エキシトンのエネルギーは一般に、デバイスを加熱する無放射緩和プロセスで失われ、はるかにより低い内部量子効率しかもたらさない。三重項励起状態から発光するリン光材料を用いるOLEDは、例えば、参照により全体を援用する米国特許第6303238号に開示されている。
【0030】
リン光は、三重項励起状態から、発光性緩和がそれから生じるところの中間の非三重項状態への遷移によって進みうる。例えば、ランタニド元素に配位した有機分子はしばしば、ランタニド金属に局在化した励起状態からリン光を発する。しかしながら、そのような材料は、三重項励起状態から直接にはリン光を発しないが、その代わりにランタニド金属イオンを中心とする原子励起状態から発光する。ユーロピウムジケトナート錯体は、これらのタイプの種の1つの群を例示する。
【0031】
三重項からのリン光は、好ましくは結合を通じて、有機分子を高原子番号の原子のすぐ近くに拘束することによって、蛍光よりも大きく増強することができる。重原子効果と呼ばれるこの現象は、スピン-軌道カップリングとして知られる機構によって作り出される。そのようなリン光遷移は、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)などの有機金属分子の励起された金属配位子電荷移動(MLCT)状態から観察されうる。
【0032】
本明細書で用いるように、用語「三重項エネルギー」は、所与の材料のリン光スペクトル内で識別できる最高エネルギー特性部に対応するエネルギーをいう。この最高エネルギー特性部は、必ずしもリン光スペクトル内で最大強度を有するピークである必要はなく、例えば、そのようなピークの高エネルギー側の明らかな肩の局所的最大部ということもありうる。
【0033】
本明細書で使用されるような用語「有機金属」は、当業者によって一般に理解されるとおりであり、例えば、Gary L. MiesslerおよびDonald A. Tarrによる「Inorganic Chemistry」(第2版),Prentice Hall (1998)に示されているようなものである。それ故に、用語「有機金属」は、炭素-金属結合を通じて金属に結合された有機基を有する化合物をいう。このクラスは、それ自体は、ヘテロ原子からの供与結合のみを有する物質である配位化合物、例えば、アミン、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物(CN、その他)等の金属錯体を含まない。実際には、有機金属化合物は一般に、有機種への1つまたは複数の炭素-金属結合に加えて、ヘテロ原子からの1つまたは複数の供与結合を含む。有機種への炭素-金属結合は、金属原子と、フェニル、アルキル、アルケニル等などの有機基の炭素原子との間の直接結合をいうが、CNまたはCOの炭素などの「無機炭素」への金属の結合はいわない。
【0034】
図1は、有機発光デバイス100を示す。その図は必ずしも縮尺どおりには描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含んでもよい。カソード160は、第1の導電層162および第2の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、述べた層を順々に堆積させることによって製造しうる。
【0035】
基板110は、所望の構造特性を提供する任意の適切な基板であってよい。基板110は、柔軟でもよくまたは硬くてもよい。基板110は、透明、半透明、または不透明でもよい。プラスチックおよびガラスは、好ましい硬い基板材料の例である。プラスチックおよび金属箔は、好ましい柔軟な基板材料の例である。基板110は、回路の製造を容易にするために半導体材料であってもよい。例えば、基板110は、基板の上に続いて堆積されるOLEDを制御できる回路がその上に製造されるシリコンウエハーであってもよい。その他の基板が使用されてもよい。基板110の材料および厚さは、所望の構造的および光学的特性を得るように選択できる。
【0036】
アノード115は、正孔を有機層へ輸送するために十分に導電性のある任意の適切なアノードであってよい。アノード115の材料は、好ましくは約4eVより高い仕事関数を有する(「高仕事関数材料」)。好ましいアノード材料には、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、及びアルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO) などの導電性金属酸化物、並びに金属が含まれる。アノード115(および基板110)は、底部発光デバイスを作り出すために十分に透明であってもよい。好ましい透明基板およびアノードの組合せは、ガラスまたはプラスチック(基板)上に堆積された市販のITO(アノード)である。柔軟で透明な基板-アノードの組合せは、参照により全体を援用する米国特許第5844363号および第6602540B2号で開示されている。アノード115は、不透明および/または反射性であってもよい。反射性アノード115は、デバイスの上部から放射される光量を増加するために、いくつかの上部発光デバイスに対しては好ましいかもしれない。アノード115の材料および厚さは、所望の導電性および光学的特性を得るように選択されうる。アノード115が透明である場合には、所望の導電率を提供するためには十分に厚いが、しかし所望の透明度を提供するためには十分に薄い、特定の材料に対する厚さの範囲がありうる。他のアノード材料および構造を使用してもよい。
【0037】
正孔輸送層125は、正孔を輸送できる材料を含んでよい。正孔輸送層125は、真性(ドープされない)でもよくまたはドープされてもよい。ドープは導電率を高めるために使用されてもよい。α-NPDおよびTPDは、真性正孔輸送層の例である。pドープされた正孔輸送層の一例は、参照により全体を援用するForrest他の米国特許出願公開第2003-02309890号で開示されるように、50:1のモル比でF4-TCNQをドープされたm-MTDATAである。他の正孔輸送層を使用してもよい。
【0038】
発光層135は、電流がアノード115とカソード160との間を通されるときに発光できる有機材料を含みうる。蛍光発光材料もまた使用されてもよいが、好ましくは、発光層135は、リン光発光材料を含有する。リン光材料が望ましいのは、そのような材料に関連するより高い発光効率のためである。発光層135はまた、エキシトンが光電子放出機構を介して発光材料から緩和するように、電子、正孔、および/またはエキシトンを捕捉しうる発光材料をドープされた、電子および/または正孔を輸送することができるホスト材料を含んでもよい。発光層135は、輸送および発光特性を組み合わせる単一材料を含んでもよい。発光材料がドーパントであろうと主成分であろうと、発光層135は、発光材料の発光を調整するドーパントなどの他の材料を含んでもよい。発光層135は、光の所望のスペクトルを、組み合わせによって放射できる複数の発光材料を含んでもよい。リン光発光材料の例にはIr(ppy)3が含まれる。蛍光発光材料の例にはDCMおよびDMQAが含まれる。ホスト材料の例にはAlq3、CBP、およびmCPが含まれる。発光およびホスト材料の例は、参照により全体を援用するThompsonらの米国特許第6303238号に開示されている。発光材料は、多くの方法で発光層135内に含まれてよい。例えば、発光低分子がポリマー内に組み込まれてもよい。これは、いくつかの方法によって、すなわち、別個かつ明確な分子種として低分子をポリマー内にドープすることによって;または共重合体を形成するように低分子をポリマーの骨格内に組み込むことによって;または低分子をペンダント基としてポリマー上に結合することによって、実施されてもよい。その他の発光層材料および構造が使用されてもよい。例えば、低分子発光材料がデンドリマーの核として存在してもよい。
【0039】
多くの有用な発光材料は、金属中心に結合された1つまたは複数の配位子を含む。配位子は、もしそれが有機金属発光材料の光活性特性に直接寄与するならば、「光活性」ということができる。「光活性」配位子は、光子が放出されるときに、電子がそれからそれへと移動するエネルギー準位(複数)を、金属と共同して提供する。その他の配位子は「補助」ということができる。補助配位子は、例えば光活性配位子のエネルギー準位を移動させることによって分子の光活性特性を変更しうるが、しかし補助配位子は、発光に関与するエネルギー準位を直接には提供しない。1つの分子内で光活性な配位子は、別の分子内では補助でありうる。光活性および補助のこれらの定義は、限定されない理論として意図したものである。
【0040】
電子輸送層145は、電子を輸送できる材料を含んでよい。電子輸送層145は、真性(ドープされない)でもよくまたはドープされてもよい。ドープは、導電率を高めるために使用されてもよい。Alq3は真性電子輸送層の一例である。nドープされた電子輸送層の一例は、参照により全体を援用するForrestらの米国特許出願公開第2003-02309890号で開示されているように、1:1のモル比でLiをドープされたBPhenである。その他の電子輸送層が使用されてもよい。
【0041】
電子輸送層の電荷キャリア成分は、電子がカソードから電子輸送層のLUMO(最低非占有分子軌道)エネルギー準位へ効率よく注入可能なように選択されてよい。「電荷キャリア成分」は、実際に電子を輸送するLUMOエネルギー準位に関与する材料である。この成分はベース材料でもよく、またはそれはドーパントでもよい。有機材料のLUMOエネルギー準位は一般に、その材料の電子親和力によって特徴づけることができ、カソードの相対的な電子注入効率は一般に、カソード材料の仕事関数の観点から特徴づけられてもよい。このことは、電子輸送層および隣接するカソードの好ましい特性が、ETLの電荷キャリア成分の電子親和力およびカソード材料の仕事関数の観点から特定されてもよいことを意味する。特に、高電子注入効率を達成するために、カソード材料の仕事関数は、好ましくは電子輸送層の電荷キャリア成分の電子親和力よりも約0.75eVを超えて大きくはなく、さらに好ましくは、約0.5eVを超えて大きくはない。同様の考察は、電子が注入される任意の層に当てはまる。
【0042】
カソード160は、カソード160が電子を伝導でき、それらをデバイス100の有機層内へ注入できるような、当技術分野で既知の任意の適切な材料または材料の組合せであってよい。カソード160は、透明または不透明でよく、反射性でもよい。金属および金属酸化物は、適切なカソード材料の例である。カソード160は、単一層でもよく、または複合構造を有してもよい。図1は、薄い金属層162およびより厚い導電性金属酸化物層164を有する複合カソード160を示す。複合カソードでは、より厚い層164のための好ましい材料には、ITO、IZO、および当技術分野に既知のその他の材料が含まれる。参照により全体として組み込まれる米国特許第5703436号、第5707745号、第6548956B2号および第6576134B2号は、上を覆う透明で、導電性の、スパッタ堆積ITO層を持つMg:Agなどの金属の薄い層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。下側にある有機層と接触しているカソード160の部分は、それが単一層カソード160、複合カソードの薄い金属層162、またはいずれかのその他の部分であろうとなかろうと、好ましくは約4eVよりも低い仕事関数を有する材料(「低仕事関数材料」)で作られる。その他のカソード材料および構造が使用されてもよい。
【0043】
阻止層は、発光層から離れる電荷担体(電子または正孔)および/またはエキシトンの数を低減するために使用されてよい。電子阻止層130は、電子が発光層135から正孔輸送層125の方向に離れるのを阻止するために、発光層135と正孔輸送層125との間に配置されてもよい。同様に、正孔阻止層140は、正孔が発光層135から電子輸送層145の方向へ離れるのを阻止するために、発光層135と電子輸送層145との間に配置されてもよい。阻止層はまた、エキシトンが発光層の外へ拡散するのを阻止するために使用されてもよい。阻止層の理論および使用は、参照により全体を援用するForrestらの米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003-02309890号でさらに詳細に述べられている。
【0044】
本明細書で使用され、当業者には理解されるであろうように、用語「阻止層」は、その層が電荷担体および/またはエキシトンのデバイスを通しての輸送を著しく抑制する障壁を提供することを意味し、その層が電荷担体および/またはエキシトンを必ずしも完全に阻止することを示唆しない。そのようなデバイス内での阻止層の存在は、阻止層を欠いた類似のデバイスと比較して実質的により高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、発光をOLEDの所望の領域に限定するために使用されてもよい。
【0045】
一般に、注入層は、電極または有機層などの1つの層から、隣接する有機層内への電荷担体の注入を改善しうる材料を含んでよい。注入層はまた、電荷輸送機能を果たしてもよい。デバイス100では、正孔注入層120は、アノード115から正孔輸送層125内への正孔の注入を改善する任意の層でありうる。CuPcは、ITOアノード115およびその他のアノードからの正孔注入層として使用されてもよい材料の一例である。デバイス100では、電子注入層150は、電子輸送層145内への電子の注入を改善する任意の層であってもよい。Li/Alは、隣接層から電子輸送層内への電子注入層として使用されてもよい材料の一例である。その他の材料または材料の組合せが注入層のために使用されてもよい。特定のデバイスの構成に応じて、注入層は、デバイス100で示される位置と異なる位置に配置されてもよい。注入層の追加の例は、参照により全体を援用するLuらの米国特許出願第09/931948号に提供されている。正孔注入層は、スピンコーティングされたポリマー、例えばPEDOT:PSSなどの溶液堆積材料を含んでもよく、またはそれは、気相堆積低分子材料、例えばCuPcまたはMTDATAでもよい。
【0046】
正孔注入層(HIL)はアノード表面を平坦化または濡らして(wet)、それによりアノードから正孔注入材料内への効率的な正孔注入をもたらしてもよい。正孔注入層はまた、本明細書で述べられるそれらの相対イオン化ポテンシャル(IP)エネルギーによって定義されるように、HILの一方の側における隣接アノード層およびHILの反対側における正孔輸送層と好都合に調和するHOMO(最高占有分子軌道)エネルギー準位を有する電荷キャリア成分を有してもよい。「電荷キャリア成分」は、実際に正孔を輸送するHOMOエネルギー準位に関与する材料である。この成分は、HILのベース材料でもよく、またはそれはドーパントでもよい。ドープされたHILを使用することは、ドーパントがその電気特性に対して選択され、ホストがぬれ性、柔軟性、強靭性などの形態学的特性に対して選択されることを可能とする。HIL材料のための好ましい特性は、正孔がアノードからHIL材料内へ効率よく注入できるようなものである。特に、HILの電荷キャリア成分は、好ましくはアノード材料のIPよりも多くても約0.7eV大きなIPを有する。さらに好ましくは、電荷キャリア成分は、アノード材料よりも多くても約0.5eV大きなIPを有する。同様の考察は、正孔が注入される任意の層に当てはまる。HIL材料はさらに、そのようなHIL材料が従来の正孔輸送材料の正孔導電率よりも実質的に低い正孔導電率を有しうるということにおいて、典型的にOLEDの正孔輸送層で使用される従来の正孔輸送材料から区別される。本発明のHILの厚さは、アノード層の表面を平坦化するまたはぬらす手助けをするのに十分なほど厚くいことができる。例えば、10nm程の薄いHIL厚さは、非常に滑らかなアノード表面に対しては許容可能である。しかしながら、アノード表面は非常に粗くなる傾向があるので、50nmまでのHILの厚さが、いくつかの場合には望ましいことがある。
【0047】
保護層は、後に続く製造プロセスの間、下にある層を保護するために使用されてもよい。例えば、金属または金属酸化物上部電極を製造するために使用されるプロセスは、有機層を損傷することがあり、保護層が、そのような損傷を低減するまたは排除するために使用されてもよい。デバイス100では、保護層155は、カソード160の作成の間、下にある有機層への損傷を低減しうる。好ましくは、保護層は、それがデバイス100の動作電圧を著しくは増加させないように、それが輸送する担体のタイプ(デバイス100での電子)に対して高い担体移動度を有する。CuPc、BCP、および様々な金属フタロシアニンは、保護層に使用されてもよい材料の例である。その他の材料または材料の組合せが使用されてもよい。保護層155の厚さは好ましくは、有機保護層155が堆積された後で行われる製造プロセスに起因する、下にある層への損傷が少ししかまたは全くないほど十分に厚いが、しかしデバイス100の作動電圧を著しく増加させるほどには厚くない。保護層155は、その導電率を増加させるためにドープされてもよい。例えば、CuPcまたはBCP保護層155は、Liでドープされてもよい。保護層のさらに詳細な記述は、参照により全体を援用するLuらの米国特許出願第09/931948号で見ることができる。
【0048】
図2は、倒置型OLED200を示す。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は、述べた層を順番に堆積させることによって製造されうる。最も普通のOLED構成は、アノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200は、アノード230の下に配置されたカソード215を有するので、デバイス200は「倒置型(inverted)」OLEDということができる。デバイス100に関して述べた材料と同様の材料が、デバイス200の対応する層で使用されてもよい。図2は、いくつかの層がどのようにしてデバイス100の構造から省略されうるかの一例を提供する。
【0049】
図1および2に図示した簡単な層構造は、限定されない実施例のために提供され、本発明の実施形態は、多種多様のその他の構造と関連して使用されてもよいことが理解されよう。説明した特定の材料および構造は、実際は例となるものであり、その他の材料および構造が使用されてもよい。機能的なOLEDは、説明した様々な層をさまざまなやり方で組み合わせることによって達成されてもよく、または設計、性能、および原価要因に基づき、層が完全に省略されてもよい。具体的には述べていないその他の層もまた含まれてよい。具体的に述べてもの以外の材料が使用されてもよい。本明細書で提供する実施例の多くは、様々な層が単一材料を含むものとしてと述べているけれども、ホストおよびドーパントの混合物、またはもっと一般的には混合物などの、材料の組合せが使用されてもよいことがわかる。また、層は様々な副層も有してよい。本明細書で様々な層に与えられる名称は、厳密に限定することを意図していない。例えば、デバイス200では、正孔輸送層225は、正孔を輸送し、かつ正孔を発光層220内へ注入することから、正孔輸送層または正孔注入層として説明できる。一実施形態では、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有すると説明できる。この有機層は、単一層を含んでもよく、または、例えば図1および2に関して説明したように、様々な有機材料の多層をさらに含んでもよい。
【0050】
参照により全体を援用するFriendらの米国特許第5247190号に開示されているようなポリマー材料を含むOLED(PLED)などの、具体的に記載していない構造および材料もまた使用されてよい。さらなる実施例のために、単一有機層を有するOLEDが使用されてもよい。例えば、参照により全体を援用するForrestらの米国特許第5707745号に記載されているように、OLEDは積み重ねられてもよい。OLED構造は、図1および2で図示された簡単な層構造から逸脱してもよい。例えば、基板は、Forrestらの米国特許第6091195号に記載されているようなメサ構造および/またはBulovicらの米国特許第5834893号に記載されているようなピット構造などの、アウトカップリング(out-coupling)を向上させるための傾斜反射面を含んでもよく、これらは参照により全体を援用する。
【0051】
他に特別の定めのない限り、様々な実施形態の任意の層が、任意の適切な方法によって堆積されうる。有機層に対しては、好ましい方法は、熱蒸発法、参照により全体を援用する米国特許第6013982号および第6087196号で述べられているようなインクジェット法、参照により全体を援用するForrestらの米国特許第6337102号で述べられているような有機気相堆積法(OVPD)、および参照に全体を援用する米国特許出願第10/233470号で述べられているような有機蒸気ジェット印刷法(OVJP)による堆積を含む。その他の適切な堆積方法には、スピンコーティング法およびその他の溶液ベースのプロセスが含まれる。溶液ベースのプロセスは、好ましくは窒素または不活性雰囲気の中で行われる。その他の層に対しては、好ましい方法には熱蒸着法が含まれる。好ましいパターン形成方法には、マスクを通じての堆積、参照により全体を援用する米国特許第6294398号および第6468819号で述べられているような冷間圧接、ならびにインクジェット法およびOVJPなどの堆積方法のいくつかと関連するパターン形成法が含まれる。その他の方法もまた使用されてよい。堆積されるべき材料は、それらを特定の堆積方法に適合するように変更されてもよい。例えば、分岐したまたは分岐していない、かつ好ましくは少なくとも3つの炭素を有する、アルキルおよびアリール基などの置換基を、溶液プロセスを行うためのそれらの特性を高めるために低分子に用いてもよい。20またはそれ以上の炭素を有する置換基が使用されてもよく、3〜20の炭素が好ましい範囲である。非対称性材料はより低い再結晶化傾向を有しうるので、非対称構造をもつ材料は、対称構造をもつ材料よりもより良い溶液プロセス性を有しうる。デンドリマー置換基は、溶液プロセスを行うための低分子の特性を高めるために使用されてもよい。
【0052】
本明細書で開示される分子は、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる方法で置換されてもよい。例えば、置換基は、3つの二座配位子を有する化合物に加えられてもよく、置換基が加えられた後、1つまたは複数の二座配位子が互いに連結されて、例えば四座または六座配位子を形成するようになる。その他のそのような連鎖が形成されてもよい。一般に当技術分野では「キレート効果」として理解されているものによって、このタイプの連結は、連結のない同様の化合物と比べて安定性を増大させうると考えられる。
【0053】
本発明の実施形態によって製造されるデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータ用モニタ、テレビ受信機、広告板、室内または屋外照明および/または信号の光源、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ファインダー、超小型表示装置、車両、大面積壁、映画館もしくは球技場のスクリーン、または標識を含む、多種多様の消費者製品に組み込まれてもよい。様々な制御機構が本発明により製造されるデバイスを制御するために使用されてもよく、パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスが含まれる。デバイスの多くは、18℃から30℃、さらに好ましくは室温(約20℃〜約25℃)などの人間に快適な温度範囲での使用が意図されている。
【0054】
本明細書に記載した材料および構造は、OLED以外のデバイスでの用途を有しうる。例えば、有機太陽電池および有機光検出器などのその他の光電子デバイスが、その材料および構造を用いてもよい。さらに一般的には、有機トランジスタなどの有機デバイスが、その材料および構造を用いてもよい。
【0055】
好ましくは、本発明によるOLEDは、多重ドープOLEDである。多重ドープOLEDでは、少なくとも1つの追加の電荷輸送ドーパント、好ましくはリン光ドーパントが、リン光OLED(PHOLED)の発光層内に含まれて、少なくとも2つのリン光ドーパントを有する発光層を形成する。本発明は、2つのドーパントに限定されず、3つ以上のドーパントがデバイス発光層内で使用されてもよいことが当業者には理解されるであろう。2つ以上のドーパントの使用は、デバイスの発光効率、安定性、および寿命を含むデバイスの性能を著しく改善する。特に、デバイス寿命は、ただ1つのリン光ドーパントをドープされ、同一または類似の波長で発光する、対応する単一ドープデバイスのそれと比較して典型的には高められて、寿命が、好ましくは単一ドープデバイスの寿命の少なくとも3倍となり、さらに好ましくは寿命が少なくとも約3倍から約4倍長くなる。本明細書で使用するように、「対応する単一ドープデバイス」とは、多重ドープデバイス中の発光ドーパントと同じ単一リン光ドーパントだけを含む発光層を有するOLEDである。
【0056】
本発明によるそのような多重ドープデバイスでは、デバイスの発光のCIE座標は、好ましくは本発明のデバイスで使用されるドーパントのうちの1つだけを含む発光層を有する単一ドープデバイスの発光のCIE座標と実質的に同じである。すなわち、デバイスの発光は、あたかも単一ドープデバイスおよび多重ドープデバイスの両方に存在するドーパントが発光性であり、少なくとも1つの追加のドーパントは好ましくは非発光性であるような場合と実質的に同じである。好ましくは、本発明の多重ドープデバイスの発光は、最低エネルギー発光を有するドーパント、すなわち、最も長い波長をもつ発光を有するドーパントの発光である。
【0057】
本発明による多重ドープデバイスは、気相熱蒸着法(vaper thermal evaporation: VTE)および溶液堆積プロセスによって作ることができる。ドーパントの各々の任意の有用な量が、本発明の多重ドープOLEDで使用されうる。好ましくは、第1の化合物は、発光層に基づき、約3.5から約40モルパーセント、さらに好ましくは約15モルパーセントの量で存在する。好ましくは、第2の化合物は、発光層に基づき、約3から約20モルパーセント、さらに好ましくは約4.5モルパーセントの量で存在する。
【0058】
発光ドーパントの量は、対応する単一ドープデバイスで存在するレベル近傍に維持され、それにより、少なくとも1つの追加のドーパントの添加がデバイスの発光層中のドーパントの全量を増加させてもよい。本発明によるある好ましいデバイスでは、発光ドーパントの量は、対応する単一ドープデバイスのものとほぼ同じである。好ましくは、非発光ドーパントの量と発光ドーパントの量との比は、約1:1から約8:1である。
【0059】
単一ドープデバイスと比較して改善された性能を有する多重ドープリン光OLEDはまた、対応する単一ドープデバイス中の発光ドーパントの量の全体を超えるドーパントの最大総量を用いて製造することもできる。2種のリン光ドーパントを含む、本発明によるある好ましいデバイスでは、各ドーパントの量は、対応する単一ドープデバイス中のドーパント量の約50から500モルパーセントである。
【0060】
典型的なOLEDは、デバイスのCIE特性が大きくは変化しない「正常輝度範囲」を有する。好ましくは、xおよびyCIE座標は、その正常輝度範囲にわたって、0.04CIE単位を超えて、さらに好ましくは0.03CIE単位を超えて、最も好ましくは0.02CIE単位を超えて変化はしない。アクティブマトリックスOLED(AMOLED)に対しては、輝度範囲は好ましくは10から5000cd/m2である。パッシブマトリックスOLED(PMOLED)に対しては、ピーク輝度範囲は好ましくは10から150000cd/m2である。照明用途に対しては、輝度範囲は好ましくは10から10000cd/m2である。デバイスに印加される電圧を変えることは放射される光の強度を変化させ、かつ、任意の与えられたデバイスに対し、デバイスに印加した場合に上記の正常輝度範囲をもたらす電圧範囲がある。与えられたデバイスに対して正常輝度範囲を提供する電圧範囲は、そのデバイスの「正常動作電圧範囲」ということができる。
【0061】
当業者なら理解するように、正常輝度範囲にわたって発光されるCIEとは異なるCIEを有する発光を得ることは可能であろう。理論に束縛されないが、リン光発光分子上のエキシトンは有限の寿命を有するのでこのようなことは起こりうる。結果として、与えられた数のリン光分子が、エキシトンから光子を生成する最大速度がある。もしデバイスの正常輝度範囲内の発光をもたらすために必要とされる電圧よりも大きな電圧がデバイスに印加される場合は、エキシトンが形成される速度は、デバイス中のリン光分子がエキシトンから光子を生成できる速度を超えうる。結果として、過剰なエキシトンは、意図した発光分子の特徴的なCIE座標を有しない、デバイス中のその他の分子からの別の発光経路を見いだしうる。この望ましくない発光がかなりの程度生じるとき、そのデバイスによって放射される光のCIE座標は、輝度および/または電圧の関数として変化しうる。しかしながら、本発明によるデバイスでは、その範囲内の電圧がそのデバイスに印加されたときに、デバイスが正常輝度範囲内の輝度をもつ所望のCIE座標を有する光を放射するような電圧範囲がある。
【0062】
本発明によるデバイスは、室温でリン光発光可能な第1および第2の化合物を含む発光層を有する。本発明のデバイスの正常輝度範囲にわたって、発光の全部でない場合は発光の大部分は、第2の化合物だけから生じる。本発明の範囲を限定するかもしれない理論に束縛されることなしに、第1の化合物は、有意な量の光を放射することなく、電荷輸送、電荷トラップ、エキシトン形成、および/または発光層内でのエキシトンと荷電種との相互作用に影響を与えると考えられる。好ましくは、デバイスからの発光の少なくとも95パーセントは、正常輝度範囲にわたって第2のドーパントから生じる。すなわち、本発明による好ましいデバイスでは、デバイスからの発光の少なくとも95パーセントが、少なくとも10cd/m2の輝度で第2の化合物から生じる少なくとも1つの電圧がある。
【0063】
単一ドープデバイスと比較して改善された性能を有する、本発明による多重ドープリン光OLEDはまた、対応する単一ドープデバイス内の発光ドーパント量よりも多い最大全ドーパント量を用いて製造することもでき、ここで発光ドーパントは、対応する単一ドープデバイス中に存在する量よりも少ない量で存在する。
【0064】
本発明の特に好ましいデバイスには、単一ドープ赤色デバイスよりも著しく長い寿命を有する二重ドープ赤色-緑色デバイスが含まれる。そのようなデバイスは好ましくは対応する単一ドープデバイスの発光スペクトルと実質的に同じ発光スペクトルを有し、二重ドープ赤色-緑色デバイスのCIE座標は、単一ドープ赤色デバイスのCIE座標と実質的に同じである。典型的には、デバイスによって発光される色は、より低いエネルギー発光を有する発光ドーパントの色であり、それ故に、発光スペクトルのピークは非発光ドーパントの波長よりも長い波長を有し、二重ドープ赤色-緑色デバイスの発光は赤色である。さらに好ましくは、二重ドープ赤色-緑色デバイスのスペクトルは、対応する単一ドープデバイスのスペクトルと実質的に同じである。ある場合には、非発光ドーパントの存在に起因する発光層の再結合領域および/または双極子モーメントの相違のために、単一ドープデバイスと比較して二重ドープデバイスの発光にわずかな相違があることに留意されたい。溶液堆積法およびVTEプロセスによって調製された多重ドープデバイスの寿命および安定性は一般に、デバイスの初期性能に何ら影響を与えることなく、単一ドープデバイスと比較して、好ましくは少なくとも約50パーセント改善される。好ましい赤色-緑色デバイスでは、寿命および安定性は好ましくは、デバイスの初期性能に何ら影響を与えることなく、単一ドープ赤色デバイスと比較して、少なくとも約3倍、より好ましくは少なくとも約3から4倍向上させることができる。
【0065】
本明細書に記載した様々な実施形態が、例示のためだけであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことは理解されよう。例えば、本明細書で述べた材料および構造の多くは、本発明の精神から逸脱することなく他の材料および構造で置き換えられてもよい。本発明がなぜ機能するかに関する様々な理論が、限定することを意図していないことは理解されよう。例えば、電荷移動に関する理論は、限定することを意図していない。
【0066】
〔材料定義〕
本明細書で使用されるように、略語は次のとおりの材料をいう。
CBP: 4,4’-N,N-ジカルバゾール-ビフェニル
m-MTDATA: 4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン
Alq3: 8-トリス-ヒドロキシキノリンアルミニウム
Bphen: 4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
n-BPhen: n-ドープBPhen(リチウムをドープ)
F4-TCNQ: テトラフルオロ-テトラシアノ-キノジメタン
p-MTDATA: p-ドープm-MTDATA(F4-TCNQをドープ)
Ir(ppy)3: トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム
Ir(ppz)3: トリス(1-フェニルピラゾロート,N,C(2’)イリジウム(III)
BCP: 2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン
TAZ: 3-フェニル-4-(1’-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール
CuPc: 銅フタロシアニン
ITO: インジウムスズ酸化物
NPD: N,N’-ジフェニル-N-N’-ジ(1-ナフチル)-ベンジジン
TPD: N,N’-ジフェニル-N-N’-ジ(3-トリル)-ベンジジン
BAlq: アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)4-フェニルフェノラート
mCP: 1,3-N,N-ジカルバゾール-ベンゼン
DCM: 4-(ジシアノエチレン)-6-(4-ジメチルアミノスチリル-2-メチル)-4H-ピラン
DMQA: N,N’-ジメチルキナクリドン
PEDOT:PSS: ポリスチレンスルホン酸(PSS)を伴うポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の水分散液
【0067】
(実施例)
次の限定されない実施例は、本発明の好ましい実施形態の単なる例示であり、本発明を限定すると解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。例示するデバイスで使用する化合物の化学構造を、図23、24、および26に示す。本明細書で使用し、図23、24、および26で例示するように、
Red-1は、ビス[5’-フェニル-3-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートであり;
Green-1は、イリジウム(III)トリス[2-(ビフェニル3-イル)-4-tert-ブチルピリジン]であり;
Red-2は、ビス[3-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートであり;
Green-2は、イリジウム(III)トリス(3-メチル-2-フェニルピリジン)であり;
Red-3は、ビス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)アセチルアセトネートであり;
HTL-1は、4,4’-ジ[N-(1-ナフチル-4-スチリルアミノ)]ビフェニルであり;
HIL-1は、イリジウム(III)トリス(3-メチル-2-フェニルピリジン)であり;
Host-1は、3,5-ジ(N-カルバゾール)ビフェニルである。
【0068】
実施例および比較例のすべての気相堆積層は、高真空(<10-7トール)熱蒸着によって堆積させた。すべてのデバイスのアノード電極は、〜1200Åのインジウムスズ酸化物(ITO)であった。カソードは、10ÅのLiFから成り、その後に1000ÅのAlが続く。すべてのデバイスは、製造後すぐに窒素グローブボックス(<1ppmのH2OおよびO2)内で、エポキシ樹脂で密封されたガラスのふたでカプセル化し、パッケージ内に吸湿剤を組み込んだ。動作寿命試験は、室温で一定の直流電流で実施した。
【0069】
〔溶液堆積デバイス〕
赤色発光の溶液堆積多重ドープOLEDは、Host-1のホストとともに、非発光ドーパントとして緑色リン光ドーパントGreen-1を、および赤色リン光ドーパントしてRed-1を使用して調製した。比較のために、対応する単一ドープデバイスは、Host-1中の発光ドーパントとしてRed-1を用いて調製した。デバイスの構造を図3に図示する。二重ドープ発光層を有する実施例1および2のデバイスの具体的なデバイス構造は次のとおりであった。
【0070】
(実施例1)
ITO/CuPc/HTL-1/Host-1:Green-1:Red-1(88:6:6)/BAlq/Alq/LiF:Al
【0071】
(実施例2)
ITO/CuPc/HTL-1/Host-1:Green-1:Red-1(80:10:10)/BAlq/Alq/LiF:Al
【0072】
単一ドープ発光層を有する比較例1のデバイスの具体的なデバイス構造は次のとおりであった。
【0073】
(比較例1)
ITO/CuPc/HTL-1/Host-1:Red-1(88:12)/BAlq/Alq/LiF:Al
【0074】
実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの各々は、以下のようにスピンコーティング法によって調製した:
CuPcの100Å正孔注入層(HIL)は、基板上の1200ÅITOアノード上にVTEによって堆積させ;
HTL-1の正孔輸送層(HTL)は、1パーセントトルエン溶液から2000rpmでスピンコーティングし、次いでホットプレート上で、200℃で30分間焼成し;
発光層は、0.75パーセントトルエン溶液からスピンコーティングし、次いでホットプレート上で、100℃で60分間焼成し;
各部分デバイスは、次いで真空容器内に置き、そこで熱蒸着によりBAlq/Alq/LiF/Alを堆積させ、図3に図示した構造を有するデバイス、すなわち、ITO(1200Å)/CuPc(100Å)/HTL-1(300Å)/Host-1:ドーパント(1種又は複数種) (250Å)/BAlq(150Å)/Alq(400Å)/LiF(10Å)/Al(1000Å)をもたらした。
【0075】
実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの各々の性能を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
本発明による溶液プロセス処理した多重ドープデバイスの改善された性能を図4から7に示す。実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの各々に対して、図4は、輝度の関数として発光効率を示し、図5は、輝度の関数として外部量子効率を例示し、図6は、電圧の関数として電流密度を示し、図7は、電圧の関数として輝度を示す。実施例2のデバイスに対する結果は、全ドーパント量がある値を超えた場合、改善される性能には上限がありうることを示す。しかしながら、図9に示すように、実施例1および実施例2の両方の多重ドープデバイスの寿命は、比較例1の単一ドープデバイスの寿命よりも明らかに優れている。
【0078】
図8は、実施例1および2の両方の多重ドープデバイスのCIE座標、それ故に色が、比較例1の単一ドープデバイスのものと実質的に同じであることを明らかに実証している。
【0079】
〔気相堆積デバイス〕
赤色発光の気相堆積デバイスは、非発光ドーパントとして緑色リン光ドーパントGreen-2を、およびリン光赤色ドーパントとしてRed-2をCBPホスト中で用いて調製した。比較のために、対応する赤色発光の単一ドープデバイスは、Red-2およびCBPホストを用いて調製した。デバイスの構造を図10に示す。二重ドープ発光層を有する実施例3のデバイスの具体的デバイス構造は以下のとおりであった。
【0080】
(実施例3)
ITO/CuPc/NPD/CBP:Green-2(20%):Red-2(12%)/BAlq/Alq/LiF:Al
【0081】
単一ドープ発光層を有する比較例2のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0082】
(比較例2)
ITO/CuPc/NPD/CBP:Red-2(12%)/BAlq/Alq/LiF:Al
【0083】
実施例3および比較例2のデバイスの層のすべてはVTEを使用して堆積させ、図10で示す構造、すなわち、
ITO(1200Å)/CuPc(100Å)/NPD(400Å)/CBP:ドーパント(1種又は複数種) (300Å)/BAlq(150Å)/Alq(400Å)/LiF(10Å)/Al(1000Å)
を有するデバイスを得た。
【0084】
実施例3および比較例2のデバイスの各々の性能を表2に示した。
【0085】
【表2】

【0086】
本発明によるVTE堆積多重ドープデバイスの改善された性能を図11から14に示す。実施例3および比較例2のデバイスの各々に対して、図11は、輝度の関数として発光効率を示し、図12は、輝度の関数として外部量子効率を示し、図13は、電圧の関数として電流密度を示し、図14は、電圧の関数として輝度を示す。実施例2で観察される性能の改善の限界は、実施例3のデバイスでは観察されず、改善される性能に上限を与えうるドーパント量が、実施例3のデバイスでは存在しないことを示している。さらに、図16で例示するように、実施例3の多重ドープデバイスの寿命は、比較例2の単一ドープデバイスの寿命よりも明らかに優れている。
【0087】
図15は、実施例3の多重ドープデバイスのCIE座標、それ故に色が、比較例2の単一ドープデバイスのそれと実質的に同じであることを明らかに実証している。
【0088】
赤色発光の気相堆積デバイスは、CBPホスト中の非発光ドーパントとして緑色リン光ドーパントGreen-2を、およびリン光赤色ドーパントとしてRed-3を用いて調製した。比較のために、対応する赤色発光の単一ドープデバイスを、Red-3およびCBPホストを用いて調製した。デバイスの構造を図17で例示する。二重ドープ発光層を有する実施例4のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0089】
(実施例4)
ITO/HIL-1/NPD/CBP:Green-2(20%):Red-3(12%)/BAlq/Alq
【0090】
単一ドープ発光層を有する比較例3のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0091】
(比較例3)
ITO/HIL-1/NPD/CBP:Red-3(12%)/BAlq/Alq
【0092】
実施例4および比較例3のデバイスの層のすべてはVTEを使用して堆積させ、図17に示した構造、すなわち、
ITO(1200Å)/HIL-1(100Å)/NPD(400Å)/CBP:ドーパント(1種又は複数種) (300Å)/BAlq(150Å)/Alq(400Å)/LiF(10Å)/Al(1000Å)
を有するデバイスを得た。
【0093】
実施例4および比較例3のデバイスの各々の性能を表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
本発明によるVTE堆積多重ドープデバイスの改善された性能を、さらに図18から21に示。実施例4および比較例3のデバイスの各々に対して、図18は、輝度の関数として発光効率を示し、図19は、輝度の関数として外部量子効率を示し、図20は、電圧の関数として電流密度を示し、図21は、電圧の関数として輝度を示す。
【0096】
図22は、実施例4の多重ドープデバイスのCIE座標、それ故に色が、比較例3の単一ドープデバイスのそれと実質的に同じであることを明らかに実証している。
【0097】
赤色発光の気相堆積OLEDは、BAlqホスト中の非発光ドーパントとして緑色リン光ドーパントGreen-2を、およびリン光赤色ドーパントとしてRed-2を用いて調製した。比較のために、対応する赤色発光の単一ドープデバイスは、Red-2およびBAlqホストを用いて調製した。デバイスの構造を図25で示す。二重ドープ発光層を有する実施例5、6、7、8のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0098】
(実施例5、6、7、8)
ITO(1200Å)/HIL-1(100Å)/NPD(400Å)/BAlq:Green-2(x%):Red-2(y%)/BL(もしあれば)/Alq/LiF:Al
【0099】
単一ドープ発光層を有する比較例4のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0100】
(比較例4)
ITO(1200Å)/HIL-1(100Å)/NPD(400Å)/BAlq:Red-2(12%)(300Å)/Alq(550Å)/LiF:Al
【0101】
実施例5、6、7、および8ならびに比較例4のデバイスの層のすべては、VTEを使用して堆積させた。実施例5、6、7、および8ならびに比較例4のデバイスの各々の性能を表4に示した。
【0102】
【表4】

【0103】
実施例5、6、7、および8の本発明によるVTE堆積多重ドープデバイスの改善された性能を、比較例4のデバイスと比較して、表4に示す。このデータは、二重ドープデバイスの発光効率および寿命が、単一ドープデバイスでのそれらの特性よりも顕著に優れていることを実証している。
【0104】
赤色発光の気相堆積OLEDは、BAlqホスト中の非発光ドーパントとして緑色リン光ドーパントGreen-2を、およびリン光赤色ドーパントとしてRed-3を用いて調製した。比較のために、対応する赤色発光の単一ドープデバイスを、Red-3およびBAlqホストを用いて調製した。デバイスの構造を図25に示す。二重ドープ発光層を有する実施例9、10、および11のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりであった。
【0105】
(実施例9、10、11)
ITO(1200Å)/HIL-1(100Å)/NPD(400Å)/BAlq:Green-2(x%):Red-3(y%)/BL(もしあれば)/Alq/LiF:Al
【0106】
単一ドープ発光層を有する比較例5のデバイスの具体的なデバイス構造は以下のとおりだった。
【0107】
(比較例5)
ITO(1200Å)/HIL-1(100Å)/NPD(400Å)/BAlq:Red-3(12%)(300Å)/Alq(550Å)/LiF:Al
【0108】
実施例9、10、および11ならびに比較例5のデバイスの層のすべては、VTEを使用して堆積させた。実施例9、10、および11ならびに比較例5のデバイスの各々の性能を表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
実施例9、10、および11の本発明によるVTE堆積多重ドープデバイスならびに比較例5の改善された性能を表5に示す。データは、二重ドープデバイスの発光効率および寿命の組合せが、単一ドープデバイスでのそれらの特性よりも顕著に優れていることを実証している。
【0111】
本発明を特定の実施例および好ましい実施形態に関して説明しているが、本発明はそれらの実施例および実施形態に限定されないことが理解されよう。したがって、当業者には明らかなように、特許請求されている本発明は、本明細書に記載した特定の実施例および好ましい実施形態からの変形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、別個の電子輸送層、正孔輸送層、および発光層、ならびに他の層も有する有機発光デバイスを示す図である。
【図2】図2は、別個の電子輸送層を有さない倒置型(inverted)有機発光デバイスを示す図である。
【図3】図3は、実施例1および2ならびに比較例1の溶液堆積デバイスの構造を示す図である。
【図4】図4は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの、輝度の関数としての発光効率の比較を示す図である。
【図5】図5は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの、輝度の関数としての外部量子効率の比較を示す図である。
【図6】図6は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの、電圧の関数としての電流密度の比較を示す図である。
【図7】図7は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの、電圧の関数としての輝度の比較を示す図である。
【図8】図8は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの電界発光スペクトルの比較を示す図である。
【図9】図9は、実施例1および2ならびに比較例1のデバイスの寿命の比較を示す図である。
【図10】図10は、実施例3および比較例2の気相堆積デバイスの構造を例示する図である。
【図11】図11は、実施例3および比較例2のデバイスの、輝度の関数としての発光効率の比較を示す図である。
【図12】図12は、実施例3および比較例2のデバイスの、輝度の関数としての外部量子効率の比較を示す図である。
【図13】図13は、実施例3および比較例2のデバイスの、電圧の関数としての電流密度の比較を示す図である。
【図14】図14は、実施例3および比較例2のデバイスの、電圧の関数としての輝度の比較を示す図である。
【図15】図15は、実施例3および比較例2のデバイスの電界発光スペクトルの比較を示す図である。
【図16】図16は、実施例3および比較例2のデバイスの寿命の比較を示す図である。
【図17】図17は、実施例4および比較例3の気相堆積デバイスの構造を例示する図である。
【図18】図18は、実施例4および比較例3のデバイスの、輝度の関数としての発光効率の比較を示す図である。
【図19】図19は、実施例4および比較例3のデバイスの、輝度の関数としての外部量子効率の比較を示す図である。
【図20】図20は、実施例4および比較例3のデバイスの、電圧の関数としての電流密度の比較を示す図である。
【図21】図21は、実施例4および比較例3のデバイスの、電圧の関数としての輝度の比較を例示する図である。
【図22】図22は、実施例4および比較例3のデバイスの電界発光スペクトルの比較を示す図である。
【図23】図23は、実施例1、2、および3ならびに比較例1および2で使用される化合物の構造を示す図である。
【図24】図24は、実施例4および比較例3で使用される化合物の構造を示す図である。
【図25】図25は、実施例5〜11ならびに比較例4および5の気相堆積デバイスの構造を示す図である。
【図26】図26は、実施例5および9のヘキサフェニルトリフェニレン(HPT)阻止層材料の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子阻止層
135 発光層
140 正孔阻止層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第1の導電層
164 第2の導電層
200 反転OLED
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記発光層が、
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物とを含み、
少なくとも1つの電圧が前記アノードと前記カソードとの間に印加されるとき、前記デバイスからの発光の少なくとも95パーセントが、少なくとも10cd/m2の輝度で前記第2の化合物から生成されるところの前記少なくとも1つの電圧がある、有機発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の化合物が電荷キャリア化合物である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の化合物が電子キャリア化合物である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の化合物が正孔キャリア化合物である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
前記デバイスが、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有し、前記第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、前記第2のデバイスが前記デバイスとは異なる、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
前記デバイスが、第2のデバイスの外部量子効率よりも大きな外部量子効率を有し、前記第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、前記第2のデバイスが前記デバイスとは異なる、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
前記第2のデバイスが、前記デバイスの前記第2の化合物のドープ比率と等しい前記第2の化合物のドープ比率を有する、請求項6に記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、第2のデバイスの寿命よりも長い寿命を有し、前記第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、前記第2のデバイスが前記デバイスとは異なる、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記デバイスの前記寿命が、前記第2のデバイスの寿命の少なくとも3倍である、請求項8に記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記デバイスの前記寿命が、前記第2のデバイスの寿命の約3倍から約4倍である、請求項8に記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記第1の化合物が、前記発光層に基づき、約3.5から約40モルパーセントの量で存在する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
前記第1の化合物が、前記発光層に基づき、約15モルパーセントの量で存在する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
前記第2の化合物が、前記発光層に基づき、約3から約20モルパーセントの量で存在する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
前記第2の化合物が、前記発光層に基づき、約4.5モルパーセントの量で存在する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電圧が前記アノードと前記カソードとの間に印加されるとき、前記デバイスからの発光の少なくとも99パーセントが、前記第2の化合物から生じる、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電圧が前記アノードと前記カソードとの間に印加されるとき、前記デバイスからの実質的にすべての発光が、前記第2の化合物から生じる、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
前記第1の化合物が発光するとき、前記発光が緑色リン光発光である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項18】
前記第2の化合物が赤色リン光発光を放出する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の化合物が発光するとき、前記発光が青色リン光発光である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項20】
前記第1および第2の化合物のうちの少なくとも1つが有機金属化合物である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項21】
前記第1の化合物が、イリジウム(III)トリス[2-(ビフェニル-3-イル)-4-tert-ブチルピリジン]であり、前記第2の化合物が、ビス[5-フェニル-3’-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートである、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項22】
前記第1の化合物が、イリジウム(III)トリス(3-メチル-2-フェニルピリジン)であり、前記第2の化合物が、ビス[3’-メチル(2-フェニルキノリン)]イリジウム(III)アセチルアセトネートである、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項23】
前記第1の化合物が、前記ホストのHOMO準位と前記第2の化合物のHOMO準位との間にHOMO準位を有する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項24】
前記第1の化合物が、前記ホストのLUMO準位と前記第2の化合物のLUMO準位との間にLUMO準位を有する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項25】
前記発光層を溶液堆積させるステップを含む、請求項1の有機発光デバイスの製造方法。
【請求項26】
前記発光層を気相堆積させるステップを含む、請求項1の有機発光デバイスの製造方法。
【請求項27】
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が、前記アノードとカソードとの間に配置され、前記発光層が、
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物とを含み、
少なくとも1つの電圧が前記アノードと前記カソードとの間に印加されるとき、前記デバイスが、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有するところの前記少なくとも1つの電圧があり、前記第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、前記第2のデバイスが前記デバイスとは異なる、有機発光デバイス。
【請求項28】
前記第1の化合物が電荷キャリア化合物である、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項29】
前記第1の化合物が電子キャリア化合物である、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項30】
前記第1の化合物が正孔キャリア化合物である、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項31】
前記デバイスが、前記第2のデバイスの外部量子効率よりも大きな外部量子効率を有する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項32】
前記デバイスが、前記第2のデバイスの寿命よりも長い寿命を有する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項33】
前記第1の化合物が、前記発光層に基づき、約3.5から約40モルパーセントの量で存在する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項34】
前記第1の化合物が、前記発光層に基づき、約15モルパーセントの量で存在する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項35】
前記第2の化合物が、前記発光層に基づき、約3から約20モルパーセントの量で存在する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項36】
前記第2の化合物が、前記発光層に基づき、約4.5モルパーセントの量で存在する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項37】
前記第1の化合物が発光するとき、前記発光が緑色リン光発光である、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項38】
前記第2の化合物および前記デバイスが赤色リン光発光を放出する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項39】
前記第1および第2の化合物のうちの少なくとも1つが有機金属化合物である、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項40】
前記第1の化合物が、前記ホストのHOMO準位と前記第2の化合物のHOMO準位との間にHOMO準位を有する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項41】
前記第1の化合物が、前記ホストのLUMO準位と前記第2の化合物のLUMO準位との間にLUMO準位を有する、請求項27に記載の有機発光デバイス。
【請求項42】
有機発光デバイスから発光を生じさせる方法であって、
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスを得るステップであって、前記発光層が前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記発光層が
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物と、
を含むステップと、
前記デバイスから少なくとも10cd/m2の輝度で発光を生じさせるのに十分な電圧を、前記アノードと前記カソードとの間に印加するステップであって、前記発光の少なくとも95パーセントが前記第2の化合物から生じるステップとを含む方法。
【請求項43】
有機発光デバイスから発光を生じさせるための方法であって、
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスを得るステップであって、前記発光層が前記アノードと前記カソードとの間に配置され、前記発光層が
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物と、
を含むステップと、
前記デバイスから発光を生じさせるのに十分な電圧を、前記アノードと前記カソードとの間に印加するステップであって、前記デバイス発光が、第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ前記デバイスとは異なる前記第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有するステップとを含む方法。
【請求項44】
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が、前記アノードとカソードとの間に配置され、前記発光層が、
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物とを含み、
前記デバイスからの発光の少なくとも95パーセントが、前記デバイスの正常輝度範囲にわたって前記第2の化合物から生成される、有機発光デバイス。
【請求項45】
アノード、カソード、および発光層を含む有機発光デバイスであって、前記発光層が、前記アノードとカソードとの間に置かれ、前記発光層が、
ホスト化合物と、
室温でリン光発光可能な第1の化合物と、
室温でリン光発光可能な第2の化合物とを含み、
前記デバイスが、前記デバイスの正常輝度範囲にわたって、第2のデバイスのCIEと実質的に同じCIEを有し、前記第2のデバイスが前記第1の化合物を含まない発光層を有することにおいてのみ、前記第2のデバイスが前記デバイスとは異なる、有機発光デバイス。
【請求項46】
前記有機発光デバイスが阻止層を欠く、請求項44に記載の有機発光デバイス。
【請求項47】
前記有機発光デバイスが阻止層を欠く、請求項45に記載の有機発光デバイス。
【請求項48】
前記有機発光デバイスが阻止層を欠く、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項49】
前記有機発光デバイスが阻止層を欠く、請求項27に記載の有機発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−534846(P2009−534846A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506642(P2009−506642)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/009940
【国際公開番号】WO2007/124172
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【Fターム(参考)】