説明

多重フラップ装置用受動フラップ、そして特にこのような受動フラップを有する多重フラップ装置

【課題】容器または管路を閉鎖するための多重フラップ装置用受動フラップに関する。
【解決手段】受動フラップ(10,30)は受動フラップ(10,30)から凸状に突出する支承管なしに形成されている。さらに、2つの器または2つの管路の間を汚染なしに結合するための多重フラップ装置であって、単一の軸線の周りを回転可能な部分フラップを有するものに関する。互いに実質的に平行に配置されかつ互いに環境密に固定可能な少なくとも3つの部分フラップ(10,20,30)が単一の共通軸線の周りを回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に明示した種類の多重フラップ装置用受動フラップと、請求項5に明示した種類の特にこのような受動フラップを備えた多重フラップ装置とに関する。前提部分に係る多重フラップ装置は、殊に製薬産業における敏感な固体もしくは有毒な固体用の方法および設備のための非汚染ドッキングシステムの分野で応用される。
【背景技術】
【0002】
器をプロセスユニットに、または管路を器に、または管路を他の管路にドッキングしアンドックするための技術として、剛性器で使用するための二重フラップ技術や、さらに軟質器で使用するための軟質半閉鎖具は実証されている。本願において器は容器の概念のもとにもまとめられる。
【0003】
本発明は、見方によって半フラップとも称される二重フラップの分野における最初に指摘した使用のために新たな技術進歩で開拓した従来は可能でなかった応用分野を提供する。
【0004】
公知の二重フラップシステムまたは半フラップシステムは各2つの半フラップから成る。各半フラップは1つの器を密に閉鎖する。第2半フラップとのドッキングおよびそれに伴う統合後、第1器から第2器内への製品移送のため両方の半フラップは共通軸線の周りで回転することができる。
【0005】
一般に公知のシステムはそれぞれ、一般に設備に固定式に取り付けられる能動半フラップと、一般に可動器に取り付けられる受動半フラップとから成る。第2半フラップが連行される一方、能動半フラップは回転のために駆動することができる。
【0006】
公知の二重フラップシステムでは欠点として、可動器をそれらの各受動半フラップで互いに直接ドッキングすることは、この場合回転用の駆動が欠落しているので可能でない。背中合わせに取り付けられた2つの能動フラップから成る複雑なドッキング機構は、現在、しばしば現れるこの応用事例を実現できるようにするために必要である。
【0007】
特許文献1による2つの受動半フラップをドッキングするための選択的装置によれば、受動半フラップの間に配置される駆動リングによって受動半フラップがドッキングされかつ開放される。
【0008】
器のアンドック状態においてゾーン分離を維持しながら器を相互にドッキングすることはこの選択的装置では可能でない。ゾーン分離は例えば絶縁体から運び出すとき、または異なる階層を通して材料を重力によって搬送する工場において必要であろう。階層は異なる空間ゾーンにそれぞれ割り当てられている。
【0009】
この意味におけるゾーン分離は、2つの異なるゾーンの間の隔壁、例えば天井開口部が器もしくはプロセスユニットの未ドッキング時にも完全に閉鎖されており、こうしてゾーン分離が引き続き保証されていることを意味する。
【0010】
特許文献1による駆動リングはゾーンの間で受動フラップ間に空隙を形成しており、非汚染性を考慮すると弱点である。受動フラップが取り外されるとすぐに空隙は汚染され、もしくはそれ自身が周囲を汚染する。さらに、駆動刃を備えたこのような駆動リングに関する公知の力導入技術のゆえに、完全にプラスチックから成る半フラップは実現することができない。駆動刃を介して導入される所要の高トルクが受動フラップの、支承管として必要な半柄部を真に短期間のうちに変形させ、こうして使用不能とするであろう。
【0011】
しかし、各半フラップの重さが重要となる応用もしくはプラスチック容器のプラスチック半フラップが使い捨て用に想定されてさえいる応用では、完全にプラスチックから成る半フラップの需要が常に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1947039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底には公知の多重フラップ装置の上記諸問題があり、それらの欠点を取り除かねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の根底には、単に2つの半フラップから成るドッキング機構を実現するのでなく、単一の共通軸線の周りを回転可能な3つの三分の1フラップまたは複数の部分フラップから成るドッキング機構を実現するとの考えがある。三分の1フラップもしくは部分フラップが互いに面当接するので、空隙が未充填のままとなって汚染されることはなく、またはそれ自身が汚染することはない。
【0015】
支承管なしの受動フラップが提案される。このような受動フラップは、真の能動フラップを有するのでなく、その代わりに受動フラップの間に嵌挿可能な工具を有する実施形態も可能とする。
【0016】
請求項1の前提部分の特徴と合せて特徴部分の特徴を有する受動フラップによって、また請求項5の前提部分の特徴と合せて特徴部分の特徴を有する多重フラップ装置によっても、前記諸問題は少なくとも部分的に解決される。
【0017】
本発明のその他の有利な諸構成は従属請求項の対象である。
【0018】
多重フラップ装置用の受動フラップは容器または管路を閉鎖するのに適している。受動フラップは軸線の周りを回転可能にハウジング内に配置されており、このハウジングはやはり容器または管と密封結合されている。また、容器または管路の当該開口部はハウジングとして形成しておくことができる。閉位置では受動フラップによって容器または管路は全周にわたって密封閉鎖されている。開位置において受動フラップは少なくとも片側で流動媒体を貫流方向で通過させることができる。
【0019】
本発明によれば、受動フラップは受動フラップから凸状に突出する支承管なしに形成されている。
【0020】
本発明に係る受動フラップは、公知多重フラップ装置において不可欠であった部分軸端を有していない。ハウジング内の回転可能な受容部が提案されており、この受容部は受動フラップ用に別の材料、特にプラスチックの使用を可能とする。こうして一層安価な受動フラップが提案されている。受動フラップは通常の二重フラップ装置と、やはり本願の対象である新規な三重フラップ装置において使用することができる。
【0021】
受動フラップの有利な1実施形態によれば、軸線に沿って対向する少なくとも2つの支承溝が軸線の周りの半円曲線として実施されている。支承溝は受動フラップに凹状に削設してある。
【0022】
受動フラップの他の有利な1実施形態によれば、長手溝が軸線に沿って受動フラップの、容器または管路に背を向けることのできる境界面を越えて延設されている。受動フラップの回転運動を伝達する工具は輪郭を適合させて長手溝に挿入可能である。
【0023】
受動フラップの他の有利な1実施形態によれば、容器または管路に背を向けることのできる境界面の中心に、境界面を半径方向外側で密閉する密封面にまで達する沈降領域が配置されており、こうして受動フラップと他のフラップとの間に空洞が形成されている。
【0024】
このような空洞は嵌挿すべき工具のゆえに生じるのでなく、受動フラップの間に生じる。それでもなお受動フラップは少なくとも略完全な周方向密封面で互いに直接密封する。
【0025】
本発明に係る多重フラップ装置では、基本的に従来の半フラップに一致した受動部分フラップまたは受動フラップが器、容器、管路もしくはプロセスユニットに取り付けられている。
【0026】
3つのフラップを有する本発明に係る多重フラップ装置の1つにおいて、それぞれ受動フラップとして形成される部分フラップの、それぞれ器もしくはプロセスユニットとは反対側で外方を向く境界面は、公知の半フラップとは異なり、軸線のある平面にまで達していない。各境界面は、貫流方向に垂直に整列した平面に対して軸線と平行に数ミリメートルだけ後退している。受動部分フラップは以下で第1、第3部分フラップと称する。
【0027】
第1、第3部分フラップは有利にはそれぞれ呼び直径のディスク構造体であり、このディスク構造体はディスク支承部を含み、呼び直径から突出していない。各部分フラップは、閉鎖すべき管の横断面に一致したディスクを有する。ディスク構造体のディスクは、従来の半フラップと比較して、本発明の有利な実施形態によればもはや軸柄部、軸端または栓体を有していない。
【0028】
従って、受動フラップとして形成される部分フラップの作製は公知の受動フラップよりも著しく安価に実現することができる。
【0029】
他の有利な1実施形態によれば、従来は略完全に要求されそれ自体完全に密封して能動フラップとして形成される他の第2部分フラップが多重フラップ全体用の駆動ユニットの一部となる。この第2部分フラップに両側からそれぞれ上記受動部分フラップがドッキング可能である。このドッキング後、すべての部分フラップは共通軸線の周りで回転することができる。
【0030】
軸線の周りを回転する3つ以上の三分の1フラップまたは部分フラップは、共通の回転を可能とするためにごく精確に互いに調整されていなければならないすべてのフラップ用に支承部を必要とする。
【0031】
ところでアンドック状態のときこの第2部分フラップは、器がその都度異なるゾーン内を移動する間、自己の固有密度に基づいて冒頭に述べたゾーン分離を維持することができる。ドッキング位置のとき貫流方向において例えば粒状材料の製品移送はこのゾーン分離を完全に維持しながらまったく汚染なしに実現することができる。なぜならば、部分フラップの閉鎖後に第1および/または第3部分フラップは汚染した面を露出させることなく第2部分フラップからアンドックできるからである。
【0032】
部分フラップを開閉するための力の導入は常にディスク表面全体を介して行われ、そのことから第1、第3部分フラップ用にプラスチックを使用することが問題なく可能となる。
【0033】
受動部分フラップの他の観点は、未制御下に開くことを確実に防止できるように、アンドック状態のときこれらのフラップを確実に鎖錠することである。これは公知のシステムでは金属鎖錠ピンで実現される。
【0034】
この観点も極力簡単に、この金属ピンを使用することなく実現できるようにするために設けられる有利な実施形態では、各受動部分フラップの受動ハウジングが2成分プラスチック射出成形品として実施されており、この射出成形品はコレットチャックと同様に未ドッキング状態のときフラップディスクを所定位置で保持する。
【0035】
固形プラスチックから成る受動ハウジングの伸縮心棒に類似したコアはエラストマーで完全に押出し被覆され、こうして密封ハウジング完成品となる。
【0036】
ドッキング過程のとき、有利に実施された受動ハウジングを能動ハウジングと鎖錠すると各受動ハウジングは第2部分フラップの円錐形相手輪郭によって拡開される。拡開された受動ハウジングは閉位置から開位置に切替えるために受動部分フラップを開放する。
【0037】
これにより、所要の開放トルクは従来のフラップと比較して著しく減らすことができる。
【0038】
伸縮心棒原理は、確実な機能を保証するために、アンドックされた部分フラップに対する鎖錠力とドッキング過程時の解錠力との厳密な調整を必要とする。
【0039】
3フラップシステムは他の興味ある応用を可能とする。
【0040】
単に1つの器またはプロセスユニットを第2部分フラップの片側に問題なくドッキングし開放し空にすることもでき、器またはプロセスユニットに設けられた受動部分フラップの外向き表面が製品で汚染されることはない。
【0041】
同様に、能動第2部分フラップは洗浄フラップとして設計することができ、その際、第2部分フラップはドッキング開放状態で三分の1フラップの清浄を可能とする一体な洗浄ノズルを有する。
【0042】
この洗浄過程のときにも、第3部分フラップの代わりに洗浄アダプタが例えば流出容器としてドッキングされるとき、互いにドッキングされた2つの器またはプロセスユニット、または単に1つのドッキングされた器またはプロセスユニットのいずれかを洗浄することができる。
【0043】
従って、本発明に係る多重フラップ装置の利点は、
‐ゾーン分離を完全に維持しながら器/プロセスユニットを単に各受動部分フラップとドッキングする可能性、
‐最適なトルク導入と伸縮心棒鎖錠原理とによって完全にプラスチックから成る受動部分フラップが利用可能であることにある。
【0044】
これにより、軟質使い捨て器と剛性特殊鋼部品との間の結合が可能となり、もしくは結合要素が創成される。安価に製造することのできる受動フラップを有する多重フラップ装置が可動器または管路の相互ドッキングをはじめて可能とし、フラップ技術の頑丈さが耐久性に関する諸利点を提供する。それにもかかわらず本発明に係る受動フラップは完全にプラスチックから成る単純な構造様式のゆえに使い捨て製品と見做すことさえできる。
【0045】
器/プロセスフラップの非汚染性を維持しながら単に1つのドッキングされた器/プロセスユニットを開放し空にする可能性を有する高度に柔軟な応用可能性が切り拓かれている。
【0046】
以下、図を基に本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】1実施例による多重フラップ装置の閉位置における斜視図である。
【図2】図1の多重フラップ装置の開位置における他の斜視図である。
【図3】図1の多重フラップ装置の斜視分解組立図である。
【図4】部分フラップの周りを一緒に回転可能な図1の多重フラップ装置を軸線に沿って示す軸方向断面図である。
【図5】開位置における図2の多重フラップ装置を軸線に沿って示す軸方向断面図である。
【図6】図1の多重フラップ装置を軸線に対する垂線に沿って示す軸方向断面図である。
【図7】図2の多重フラップ装置の軸方向断面図である。
【図8】図2の多重フラップ装置の受動ハウジングを有する受動部分フラップを、他の部分フラップなしに切り離した図で示す斜視図である。
【図9】本発明に係る受動フラップを有する二重フラップ装置を図3の図と同様に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
2つの器または2つの管路を汚染なしに結合するための本発明に係る多重フラップ装置の1実施例が図1〜図8に示してある。図8は受動ハウジングを備えた受動フラップを示しているだけであり、多重フラップ装置の他の構成要素が図8では省かれている。
【0049】
同じ部品には同じ符号が付けてある。見易くする理由からすべての図にすべての符号が書き込まれているのではない。
【0050】
図1と図2には多重フラップ装置が異なる位置で示してある。図1は閉位置、図2は開位置を示す。閉位置と開位置との間で切り替えるために部分フラップ10、20、30が単一の軸線Aの周りを回転可能である。軸線Aは貫流方向Dに対して垂直であり、部分フラップ10、20、30が開位置に回転されたなら材料は第1器もしくは第1管路から第2器もしくは第2管路へと多重フラップ装置内を貫流方向で送ることができる。
【0051】
部分フラップ10、20、30はそれぞれ1つのハウジング14、24、34内に配置され、ドッキング位置で互いに向き合う境界面15、25、35を重ね合わせて相互に密封されている。図1と図2は、境界面15、25、35が接触させられたドッキング位置を斜視図で示している。これとは異なり図3が示す分解組立図では、部分フラップ10、20、30がそれらの境界面15、25、35を接触させているのでなく、相互に離反し貫流方向Dで整列して上下に配置されている。したがってドッキング位置に達する直前の位置を見ることができる。
【0052】
図示した実施例において多重フラップ装置の3つの部分フラップは互いに当接可能であり、部分フラップは三分の1フラップとも称することができる。部分フラップ10、20、30のうち第1部分フラップ10と第3部分フラップ30は受動フラップとして機能し、第2部分フラップ20は能動フラップとして機能する。なぜならば、第2部分フラップ20は軸線Aの周りを駆動装置によって駆動され、能動ハウジング24内で回転可能に支承されて旋回可能であるからである。ドッキング位置において閉位置から開位置またはその逆へと切り替えると受動フラップの少なくとも1つは能動フラップによって連行される。多重フラップ装置は、例えば清浄過程時に能動フラップのみが単一の受動フラップにドッキングされているとき既に機能する。つまり第2受動フラップは制御動作のとき、それぞれ1つの受動フラップで閉鎖された2つの器または管路が互いに結合されてはじめて必要とされる。
【0053】
能動第2部分フラップ20は軸線Aに沿って見てフラップディスクの外側で対向する栓体22を有し、栓体は能動ハウジング24内で軸線Aの周りを回転可能に支承されている。さらに第2部分フラップ20は軸線Aに沿って対向してフラップディスクの領域に隆起部21を有し、隆起部は第1、第3部分フラップ10、30の境界面15、35と協動するように指定されている。というのも受動部分フラップ10、30が相応する凹部11、31を有するからである。境界面15、25、35のこのような表面トポグラフィにより、部分フラップ10、20、30はドッキング時に互いに心出しされ、それに加えて多重フラップ装置の前記位置のそれぞれにおいて心出し位置を確保する。
【0054】
能動フラップ20は閉位置において能動ハウジングに向き合って密封帯26によって取り囲まれている。従って境界面15、25、35はそれぞれ密封帯26によって取り囲まれている。密封帯26は境界面15、25、35を各位置において材料に対して密封する。それに加えて有利なことに、部分フラップ10、20、30が閉位置に達する間に密封帯26は各受動ハウジング14、24をストリッピング可能である。閉位置のとき密封帯26は第2部分フラップ20と能動ハウジング24との間で圧縮状態にある。
【0055】
能動ハウジング24は軸線Aを基準に対向配置された偏心子を有し、ハウジング14、24、35をドッキング位置で互いに固定するために偏心子はドッキング位置のとき第1、第3部分フラップ10、30の受動ハウジング14、34の方に旋回進出可能である。その際、偏心子は各受動ハウジング14、34の周方向溝内に係合する。
【0056】
受動ハウジング14、34の形状と受動フラップ10、30の1つの形状が図8に示してある。受動ハウジング14、34は能動フラップ20に向き合う片側で拡開可能な外皮141から成り、この外皮は貫流方向Dに沿って見て各器とは反対側で能動フラップ20に向き合う受容区域143を備えている。この受容区域143内で、貫流方向Dに沿って整列して片側で開口した条溝146が外皮141に外側から内側へと刻設して配置されている。
【0057】
受容区域143内に受容されたリング142が貫流方向Dで能動フラップに向き合って外皮141から突出しており、ハウジング14、24、34の間にも外皮141と受動フラップ10、30との間にも密封面が形成されている。第1部分フラップ10もしくは第3部分フラップ30に向き合わせてリング142が内面145を有し、この内面でもって第1部分フラップ10もしくは第3部分フラップ30に対して密封が行われる。
【0058】
リング142は密封に役立つだけでなく、閉位置において受動フラップ10、30を固定するのにも役立つ。部分フラップ10、30が閉位置にあるときリング142は第1部分フラップ10もしくは第3部分フラップ30によって外方に緊張される。部分フラップ10、30が開位置に置かれるとすぐに、リング142はその可撓性によって内方に弛緩する。抵抗の克服によってのみ第1部分フラップ10または第3部分フラップ30が閉位置から旋回できるとき、リング142の表面輪郭は有利なことに部分フラップを固定することができる。リング142に外方で追従して受容区域143も外方に拡開可能である。
【0059】
受動ハウジング14、34がさらに支承シェル144を有し、支承シェルの湾曲は軸線Aと同軸に中空半円筒状に形成されている。支承シェル144は軸線Aに沿って相対向して外皮141内でもリング142内でも受容されている。
【0060】
能動第2部分フラップ20はその栓体22でもって軸線Aの周りを回転可能に配置され、その境界面15が受動部分フラップ10、30と接触しており、こうして受動部分フラップは閉位置から開位置に切り替えるとき能動部分フラップ20によって連行することができる。その際、受動部分フラップ10、30は少なくとも支承シェル144によってその位置に留まり、支承シェル144は受動部分フラップ10、30内に突出し、開位置のとき第2部分フラップ20内にも突出している(図5参照)。能動ハウジング24は、支承シェル144に続いて支承シェル144内での支承を補足して軸線Aに従って栓体22をやはり回転可能に支承する。
【0061】
多重フラップ装置のさまざまな位置において材料と接触するのは専ら受動ハウジング14、34、密封帯26、そして第1、第3部分フラップ10、30の、境界面15、35とは反対側の接触表面17である。
【0062】
本発明に係る受動フラップ300の1実施例が図9に示してある。この受動フラップ300は図1〜図8の第1、第3部分フラップ10、30に対する代案と見做すことができる。第2部分フラップ20の代わりにいまや工具200が軸線Aに沿って配置されており、この工具は受動フラップ300の長手溝315に挿入することができる。長手溝315は軸線Aに沿って延設されている。
【0063】
工具200は互いに剛性結合された2つの操作レバー240の間で縦長部材として延設されており、操作レバーは能動ハウジングの代わりに設けられる円形ソケット242と共に受動フラップ300のハウジング340の周りを把持するように指定されている。操作レバー240と固定機構とによって工具200は軸線Aの周りを回転可能であり、ソケット242が相応に安全条件を設定したとき受動フラップ300を連行する。このため工具200が有する輪郭はその輪郭面が受動フラップ300の長手溝315内の少なくとも部分的に一致した境界面350に当接する。
【0064】
軸線Aの周りで半円形の対向する支承溝320が軸線Aに沿って受動フラップ300に設けられており、ハウジング340の支承シェル344がこの支承溝内に係合する。こうして支承シェル344は受動フラップ300を軸線Aの周りで回転可能にハウジング340内で支承しており、有利な実施形態によればソケット242が装着されるまで回転は遮断されている。
【0065】
受動フラップの境界面350は半径方向内側に沈降領域330を有し、この沈降領域は半径方向外側の周方向密封面360にまで達している。こうして相当接する面は密封作用にとって重要な諸領域に限定されている。取外しを防止するために、これらの領域のみは異物のないままとされねばならない。
【符号の説明】
【0066】
10 第1部分フラップ
11 凹部
14 受動ハウジング
15 境界面
17 接触表面
20 第2部分フラップ
21 隆起部
22 栓体
24 能動ハウジング
25 境界面
26 密封帯
30 第3部分フラップ
31 凹部
34 受動ハウジング
35 境界面
141 外皮
142 リング
143 受容区域
144 支承シェル
145 内面
146 条溝
200 工具
240 レバー
242 ソケット
300 受動フラップ
315 長手溝
320 支承溝
330 沈降領域
340 ハウジング
344 支承シェル
350 境界面
360 密封面
A 軸線
D 貫流方向
N 呼び直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器または管路を閉鎖するための多重フラップ装置用受動フラップであって、前記容器または前記管路を閉位置では全周にわたって密封閉鎖しかつ開位置では少なくとも片側で貫流方向(D)に流動媒体の貫流を通過させるために、前記受動フラップ(10,30,300)が軸線(A)の周りを回転可能にハウジング(34,340)内に配置されているものにおいて、前記受動フラップ(10,30,300)が、前記受動フラップ(10,30,300)から凸状に突出する支承管なしに形成されていることを特徴とする受動フラップ(10,30,300)。
【請求項2】
前記軸線(A)に沿って対向する少なくとも2つの支承溝(320)が前記軸線(A)の周りで回転性に相応して実施され、前記受動フラップ(10,30,300)に凹状に削設されていることを特徴とする請求項1記載の受動フラップ(10,30,300)。
【請求項3】
長手溝(315)が前記軸線(A)に沿って前記受動フラップ(300)の、前記容器または前記管路に背を向けることのできる境界面(350)を越えて延設されており、前記受動フラップ(300)の回転運動を伝達する工具(200)が輪郭を適合させて前記長手溝に挿入可能であることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の受動フラップ(300)。
【請求項4】
前記容器または前記管路に背を向けることのできる境界面(350)の中心に、前記境界面(350)を半径方向外側で密閉する密封面(360)にまで達する沈降領域(330)が形成され、こうして空洞が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の受動フラップ(300)。
【請求項5】
2つの器または2つの管路の間を汚染なしに結合するための多重フラップ装置であって、単一の軸線(A)の周りを回転可能な部分フラップを有し、前記部分フラップはそれぞれハウジング内で支承され、かつドッキング位置でそれらの外面が境界面として相互に密封結合されているように各前記ハウジング内に配置されているものにおいて、互いに実質的に平行に配置されかつ互いに環境密に固定可能な少なくとも3つの前記部分フラップ(10,20,30)が単一の共通軸線(A)の周りを回転可能であることを特徴とする多重フラップ装置。
【請求項6】
前記3つの部分フラップ(10,20,30)のうち第1部分フラップ(10)と第3部分フラップ(30)は、前記部分フラップの非円形横断面用の呼び直径(N)もしくは等価呼び寸法と、貫流方向(D)で前記多重フラップ装置内を誘導可能な材料と接触するための、前記境界面(15,35)とは反対側の各1つの接触表面(17,37)と、前記部分フラップ毎に前記材料に関して各受動ハウジング(14,34)に対して密封するための、前記境界面(15,35)を外側で取り囲む密封面とを有する受動部分フラップとして実施されており、前記第1、第3部分フラップ(10,30)はそれぞれそれらの呼び直径(N)もしくは呼び寸法からどこでも突出していないことを特徴とする請求項5記載の多重フラップ装置。
【請求項7】
前記3つの部分フラップ(10,20,30)のうち第2部分フラップ(20)は前記受動部分フラップ(10,30)とそれぞれ面接触するための2つの対向する境界面(25)と能動ハウジング(24)内で回転可能に支承するための、前記軸線(A)に沿って対向配置される栓体(22)とを有する能動部分フラップとして実施されており、前記受動部分フラップ(10,30)が前記能動部分フラップ(20)によって回転可能であることを特徴とする請求項5または6のいずれか記載の多重フラップ装置。
【請求項8】
前記受動ハウジング(14,34)は実質的に、受容区域(143)を備えて少なくとも部分的に拡開可能な外皮(141)から成り、かつさらにリング(142)を有し、前記リングは外側から前記受容区域(143)によって拡開可能に保持され、かつ前記器もしくは管路とは反対側で前記外皮(141)から突出していることを特徴とする請求項6または7記載の多重フラップ装置。
【請求項9】
前記貫流方向(D)と平行に整列して片側で開口した連続条溝(146)が前記受容区域(143)内で前記外皮(141)に刻設されており、こうして前記外皮が拡開可能であることを特徴とする請求項8記載の多重フラップ装置。
【請求項10】
前記リング(142)が外方に拡張可能に形成されており、当該変形が何回か柔軟に復元可能であることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項記載の多重フラップ装置。
【請求項11】
前記受動ハウジング(14,34)は、前記軸線(A)に沿って対向して前記軸線(A)の方向で整列配置される支承シェル(144)を有し、前記支承シェルは、前記受動フラップ(10,30)内に係合して前記受動フラップを回転可能に支承するために、前記密封面に相応して成形されたその他の内面(145)から握り区域が内方に突出しており、かつ栓体(22)を受容するためのシェル区域を外側に備えて形成されていることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項記載の多重フラップ装置。
【請求項12】
前記第1もしくは第3受動部分フラップ(10,30)はそれらの境界面(15)に、前記軸線(A)に沿って対向する凹部(11)を有することを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項記載の多重フラップ装置。
【請求項13】
前記第2部分フラップ(20)はその境界面(25)に、前記軸線(A)に沿って対向する隆起部(21)を有することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項記載の多重フラップ装置。
【請求項14】
前記第2部分フラップ(20)の前記境界面(25)は前記能動ハウジング(24)に向き合って密封帯(26)によって外側で互いに結合されており、前記境界面(25)は外側を縁取りされ、弛緩状態のとき前記第1、第3部分フラップ(10,30)の呼び直径(N)もしくは最大呼び寸法から外方に突出し、かつ対向する密封区域がそれぞれ前記第1または第3部分フラップ(10,30)の前記境界面(15,35)に向き合っていることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項記載の多重フラップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−72903(P2012−72903A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209793(P2011−209793)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(511232640)アンドックシステム ゲー. ウントホ ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】Andocksysteme G. Untch GmbH
【住所又は居所原語表記】Badstr. 29 79410 Badenweiler, GERMANY
【Fターム(参考)】