説明

多重分岐構造化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び多重分岐構造化合物の製造方法

高い発光効率と長寿命化を実現し、容易に製造することができる、有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料を内包することを特徴とする多重分岐構造化合物、該多重分岐構造化合物を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、それを具備してなる表示装置もしくは照明装置、及び多重分岐構造化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料である多重分岐構造化合物、該多重分岐構造化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということもある)、表示装置および照明装置に関する。
【背景技術】
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子および正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
今後の実用化に向けた有機エレクトロルミネッセンス素子の開発としては、効率よく高輝度に発光し、長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子が望まれている(例えば特許文献1、2、3、4、5、6参照)。
近年、高い発光効率を有する有機エレクトロルミネッセンス素子として、発光性物質同士が接近することによって発生する濃度消光を抑えることにより、発光効率を向上させるという観点から、置換基を有するオリゴフェニレン部分を有するリン光性ドーパントの例が報告された(例えば非特許文献3参照)。このように、リン光性ドーパントにかさ高い置換基を導入することによってリン光性ドーパント同士の接近を防ぎ、リン光性化合物が接近することで発生する濃度消光を抑制しているとも考えられる。
さらに近年、濃度消光の抑制を目的として、置換基が多重に分岐して樹状構造を形成した、いわゆるデンドリマー構造をもつ発光性化合物が提案され始めている(例えば非特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2001−181616号公報
【特許文献2】特開2001−247859号公報
【特許文献3】特開2002−83684号公報
【特許文献4】特開2002−175884号公報
【特許文献5】特開2002−338588号公報
【特許文献6】特開2003−7469号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters、第80巻2645ページ
【非特許文献2】IDW02予稿集(1124ページ)
【非特許文献3】第50回応用物理学関係講演会予稿集
しかしながら、従来のデンドリマー型の発光性化合物は、発光性化合物の置換基を樹状構造としていくことから、形成される発光性化合物の分子構造には制限があり、発光性化合物によっては、樹状構造の置換基を形成することができない化合物もある。
また、フルカラーの有機エレクトロルミネッセンス素子のような場合には各色の発光性化合物ごとに多重に分岐した樹状構造の置換基を有する発光性化合物を専用に合成する必要があり、この様な場合にはそれぞれの発光性化合物の合成に非常に手間がかかり、さらにそれに伴うコストも増大していく。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高い発光効率と長寿命化を実現し、容易に製造することができる有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料である多重分岐構造化合物、該多重分岐構造化合物を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、それを具備してなる表示装置もしくは照明装置、及び多重分岐構造化合物の製造方法を提供することである。
【発明の開示】
本発明の目的は下記構成により達成される。
(1) 有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包することを特徴とする多重分岐構造化合物。
(2) 正孔輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする前記1に記載の多重分岐構造化合物。
(3) 電子輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする前記1又は2に記載の多重分岐構造化合物。
(4) 前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料が蛍光性化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物。
(5) 前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料がリン光性化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物。
(6) 陰極と陽極との間に有機層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層に、前記1〜5のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(7) 白色に発光することを特徴とする前記6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(8) 前記6又は7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
(9) 前記6又は7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
(10) 前記9に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴とする表示装置。
(11) 有機エレクトロルミネッセンス用発光材料と多重分岐構造化合物とを溶媒中で混合させて前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を前記多重分岐構造化合物に内包させることを特徴とする多重分岐構造化合物の製造方法。
(12) 前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料は前記溶媒よりも前記多重分岐構造化合物に親和性が高いことを特徴とする前記11に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
(13) 前記多重分岐構造化合物は正孔輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする前記11又は12に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
(14) 前記多重分岐構造化合物は電子輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする前記11〜13のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
(15) 前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料が蛍光性化合物であることを特徴とする前記11〜14のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
(16) 前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料がリン光性化合物であることを特徴とする前記11〜15のいずれか1項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
第2図は表示部の模式図である。
第3図は画素の模式図である。
第4図はパッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。
第5図は照明装置の概略図である。
第6図は照明装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明者らは鋭意検討の結果、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を多重分岐構造化合物に内包させて有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることで、発光効率が高く長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができることを見出した。
即ち、本発明では、この様に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を多重分岐構造化合物に内包させることによって、発光材料同士の接近を防止して発光材料を実質的に分散させて存在させていることから、濃度消光抑制の効果を得ることができ、発光効率と発光寿命を向上させることができる。
また、多重分岐構造化合物に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させるだけという非常に簡単な方法で上述したような効果を得ることができることから、従来のように多重に分岐した樹状構造の置換基を有する有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を合成しなければならないという手間やコストを省くことが可能となる。特に、フルカラーの表示装置や照明装置のように複数の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を用いるような場合には、本発明のような有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包する多重分岐構造化合物を用いることで、大幅に手間やコストを削減することが可能となる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させる多重分岐構造化合物は、1次元方向に伸びた直鎖型重合体や部分的に分岐構造を有するいわゆるペンダント型(グラフト型)重合体とは異なり、コア連結基を中心核として多重分岐構造体が結合して立体的広がりのある構造を形成している化合物である。
コア連結基は、中心核となる連結基であり、2〜6の結合手を有している。
多重分岐構造体は、3つから4つの結合手を有する分岐構造単位が連結していくことで分岐構造となっている。多重分岐構造体を形成する分岐構造単位は、すべて同じ分岐構造単位で形成されていてもよいし、各世代で異なる分岐構造単位で形成されていてもよい。
また、コア連結基は、分岐構造単位と同じ構造となっていてもよい。
分岐構造体において、コア連結基に結合する分岐構造単位を第1世代とし、さらに第1世代の分岐構造単位に結合する分岐構造単位を第2世代としていくと、本発明の多重分岐構造化合物の多重分岐構造体は、少なくとも第2世代以上まで形成されていることが好ましく、繰り返し単位を第2世代〜第10世代まで形成されていることがより一層好ましい。特に好ましくは、繰り返し単位を第2世代〜第5世代まで形成されていることである。このような多重分岐構造化合物を用いることにより、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させやすくすることができ、さらに、濃度消光抑制効果をより一層高め、発光効率と発光寿命を向上させることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させる多重分岐構造化合物は、正孔輸送性を有する部分構造を有することが好ましい。この様な構造を有する多重分岐構造化合物を用いることで、内包させた有機エレクトロルミネッセンス用発光材料への正孔の輸送が効率的に行われ、より一層発光効率を向上させることができる。
正孔輸送性を有する部分構造とは、正孔を輸送する機能を有する部分構造であり、広い意味で正孔注入性、電子阻止性の部分構造も正孔輸送性の部分構造に含まれる。特に制限はなく、従来、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知の化合物の部分構造を用いることができる。
正孔輸送性を有する部分構造は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体等の部分構造が挙げられる。より好ましくは、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体の部分構造が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体を形成するアリール基として代表的であるのはフェニル基であるが、他にナフチル基、アントリル基、アズリル基、フルオレニル基といった炭化水素芳香環残基や、フリル基、チエニル基、ピリジル基、イミダゾリル基などのヘテロ芳香環残基や、該ヘテロ芳香環が別の芳香環と縮合して形成された縮合芳香環残基であってもよい。トリアリールアミン部分を構成するアリール基として好ましくはフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、チエニル基である。
本発明においては、正孔輸送性を有する部分構造として特にカルバゾール誘導体が好ましく、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される部分構造であることが最も好ましい。これにより、一層高い発光効率を有することができる。
一般式(1)

一般式(2)

前記一般式(1)において、R14〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。また、R14〜R21の隣接する基同士で結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(2)において、R22〜R30は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R31〜R34は、各々独立に、水素原子、結合手、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、R31〜R34のいずれか1つが結合手を表す。また、R22〜R34の隣接する基同士で結合して環を形成していてもよい。
以下に正孔輸送性である部分構造の例を示す(これらの部分構造のいずれかの部分が結合手となる)が、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。

また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させる多重分岐構造化合物は、電子輸送性を有する部分構造を有することが好ましい。この様な構造を有する多重分岐構造化合物を用いることで、内包させた有機エレクトロルミネッセンス用発光材料への電子の輸送が効率的に行われ、より一層発光効率を向上させることができる。
電子輸送性を有する部分構造とは電子を輸送する機能を有する部分構造であり、広い意味で電子注入性、正孔阻止性を有する部分構造も電子輸送性を有する部分構造に含まれる。電子輸送性を有する部分構造は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、従来、電子輸送層に用いられている化合物の部分構造を用いることができる。
この電子輸送性を有する部分構造の例としては、トリアリールボラン誘導体、フッ素置換トリアリールアミン誘導体、シロール誘導体、アザカルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、スチリル誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などの部分構造が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体の部分構造も、電子輸送性を有する部分構造として用いることができる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体の部分構造も、電子輸送性を有する部分構造として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されている部分構造も、電子輸送性を有する部分構造として好ましく用いることができる。
好ましくは、トリアリールボラン誘導体や窒素原子を含む複素芳香環の部分構造が挙げられる。窒素原子を含む芳香環は2つ以上のヘテロ原子を含むものがより好ましく、その例としてはピラジン環、ピリミジン環、フェナントロリン環、ピリドインドール環、ジピリドピロール環、ジアザフルオレン環、フェナチアジン環、チアゾール環もしくはこれらの芳香環がさらに芳香環と縮合して形成された縮合芳香環化合物残基が挙げられるほか、さらには電子吸引性置換基によって置換された炭化水素環残基(例えばペンタフルオロフェニル基、2,4,6−トリシアノフェニル基など)を挙げることもできる。特に好まくは、ペンタフルオロフェニル基、トリアリールボラン類残基、フェナントロリン環、ピリドインドール環、チアゾール環およびこれらの部分構造を有する縮合芳香環化合物残基を挙げることができる。これにより、より一層発光効率を向上させることができる。
トリアリールボラン誘導体を形成するアリール基として代表的であるのはフェニル基であるが、他にナフチル基、アントリル基、アズリル基、フルオレニル基といった炭化水素芳香環残基や、フリル基、チエニル基、ピリジル基、イミダゾリル基などのヘテロ芳香環残基や、該ヘテロ芳香環が別の芳香環と縮合して形成された縮合芳香環残基であってもよい。
トリアリールボラン誘導体はその電子欠乏性のためにしばしば不安定であり、安定化のためにアリール基のホウ素原子と結合した原子に隣接する原子に置換基を導入することが多い。たとえばホウ素原子と結合したベンゼン環にメチル基を導入したトリメシチルボランや、イソプロピル基を導入したトリス(ジイソプロピル)ボランである。配位子にトリアリールボラン構造を含む場合、ホウ素原子と結合したアリール基には、そのホウ素原子と直接結合した原子の隣接位に置換基を導入することが好ましい。好ましい置換基としてはメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基等を挙げることができる。
以下に電子輸送性である部分構造の例を示す(これらの部分構造のいずれかの部分が結合手となる)が、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。








以下にコア連結基の例を示すが、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。

また、以下に、多重分岐構造体の例を示すが、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。































本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させる多重分岐構造化合物について、以下に代表的な例について合成法を示すが、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。
多重分岐構造化合物の合成は、J.M.J.Frechet et al.,J.AM.Chem.Soc.,112巻,7638ページ(1990年)、F.Zeng at al.,Chem.Rev.,97巻,1681ページ(1997年)に記載のデンドリマーの合成方法を使用することができる。また、試薬メーカから市販されているデンドリマー用ビルディングブロック剤を利用して公知の方法で合成することができる。
デンドリマーの合成は分子量の小さなモノマーから出発して、それを順次結合させていくという手法をとる。この合成方法ついては、大別して「ダイバージェント(発散)法」と「コンバージェント(収束)法」の二種類が挙げられる。前者は、コアとなる分子に、世代ごとに分子を結合させて枝分かれさせていく方法である。一方、後者はあらかじめ枝を作成しておき、最後にコアとなる分子に結合させるという方法が一般的であるが、これ以外の方法を用いても構わない。
ここでは、コンバージェント(収束)法によるD−1とD−30の合成法について説明する。
1.内包型多重分岐構造化合物PD−1前駆体(分岐構造体D−1、コア連結基C−2)
4−(2−エチルヘキシル)フェニルボロン酸4.6g(20mmol)、1,3,5−トリブロモベンゼン3.2g(10mmol)をトルエン(200ml)に溶解し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム[Pd(PPh]4.6g(4.0mmol)、2M−炭酸ナトリウム水溶液(50ml)を加え、24時間加熱還流を行った。反応終了後テトラヒドロフラン(THF)で抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=1/1)を用いて分離・精製を行い、前駆体1を収率61%(3.3g)で得た。無水THF150mlに前駆体13.2g(6.0mmol)を溶解し、窒素気流下、−78℃でn−ブチルリチウム4.1ml(1.6Mヘキサン溶液;6.6mmol)を用いてリチオ化し、30分間撹拌した。ここに、ボロン酸トリメチル0.73g(7mmol)のTHF(10ml)をゆっくり滴下し、2時間撹拌し、さらに徐々に室温まで戻しながら5時間撹拌した。蒸留水50mlを加えて反応を停止し、テトラヒドロフラン(THF)で抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:THF)を用いて分離・精製を行い、前駆体2を収率98%(3.1g)で得た。この前駆体2を2.9g(5.5mmol)とを同様にして反応させることにより、目的のD−1を65%(1.8g)で得た。さらに、前述の方法でD−1より調整したボロン酸試薬と1,3,5−トリブロモベンゼンを反応させ、Sephadex−G25(アルドリッチ社製)を充填したカラム(溶離液:HFIP)を用いて分離・精製を行うことにより、内包型多重分岐構造化合物PD−1前駆体を収率60%(1.1g)で得た。
2.内包型多重分岐構造化合物PD−7前駆体(分岐構造体D−17、コア連結基C−10)
ビス(4−(2−エチルヘキシル)フェニル)アミン19.7g(50mmol)とトリ(4−ブロモフェニル)アミンより、前述の方法で調整したボロン酸試薬10.3g(25mmol)、酢酸銅(II)9.1g(50mmol)、および10gの0.4nmのモレキュラーシーブスを1000mlの塩化メチレン中に加え、さらに撹拌しながら、トリエチルアミン10g(0.1mol)を加えた。室温で48h反応を行った後、2N−塩酸100mlを加え、塩化メチレンを用いて抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥を行った。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=1/1)を用いて分離・精製を行い、前駆体3を収率78%(21.6g)で得た。前述の方法で前駆体3より調整したボロン酸試薬11.0g(10mmol)と4−ブロモアニリン0.9g(5mmol)を同様に反応させ、さらにボロン酸試薬とした前駆体4を7.5g(3.4mmol)で得た。一方、4−ブロモアニリンの代わりに1,4−ジアミノベンゼン4.3g(4mmol)とを反応させることにより前駆体5を6.4g(3mmol)で得た。前駆体4 6.7g(3mmol)と前駆体5 3.2g(1.5mmol)を反応させ、Sephadex−G25(アルドリッチ社製)を充填したカラム(溶離液:HFIP)を用いて分離・精製を行うことにより、内包型多重分岐構造化合物PD−7前駆体を収率65%(6.3g)で得た。
3.内包型多重分岐構造化合物PD−2前駆体(分岐構造体D−30、コア連結基C−5)
前述のPD−7前駆体の場合と同様に3,6−ビス(2−エチルヘキシル)カルバゾール7.8g(20mmol)とトリ(4−ブロモフェニル)アミンより、前述の方法で調整したボロン酸試薬10.8g(10mmol)との反応の後、4−ブロモアニリン反応させることにより、前駆体6を収率10.0g(4.5mmol)で得た。前駆体6 6.7g(3.0mmol)をTHF(500ml)に溶解し窒素気流下、−78℃でn−ブチルリチウム2.1ml(1.6Mヘキサン溶液;3.3mmol)を用いてリチオ化し、30分間撹拌した。ここに1,3,5−トリブロモメチルベンゼン0.36g(1.0mmol)のTHF(5ml)をゆっくり滴下した。2h撹拌した後、ゆっくりと室温まで戻した。蒸留水50mlを加えて反応を停止し、THFで抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。Sephadex−G25(アルドリッチ社製)を充填したカラム(溶離液:THF)を用いて分離・精製を行うことにより、内包型多重分岐構造化合物PD−2前駆体を収率81%(5.3g)で得た。
4.内包型多重分岐構造化合物PD−11前駆体(分岐構造体D−28、コア連結基C−8)
3,6−ビス(2−エチルヘキシル)カルバゾール7.8g(20mmol)、4−ヨードトルエン4.4g(20mmol)を無水ジメチルアセトアミド10mlに溶解し、銅紛5mg、炭酸カリウム3.0g(22mmol)を加え、加熱還流を40h行った。室温に戻した後、500mlの蒸留水を加え、トルエンで抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=7/3)を用いて分離・精製を行い、前駆体7を収率58%(5.6g)で得た。前駆体7 4.8g(10mmol)、N−ブロモスクシンイミド3.9g(22mol)を塩化メチレン(50ml)に溶解し、24h撹拌した。100mlの1N−チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=7/3)を用いて分離・精製を行い、前駆体8を収率97%(5.4g)で得た。前駆体8 5.0g(9mmol)と3,5−ジヒドロキシブロモベンゼン0.9g(4.5mmol)をトルエン(20ml)に溶解し、6N−水酸化ナトリウムエタノール溶液5mlを加え、10h加熱還流を行った。所定時間経過後、室温に戻し減圧下溶媒を留去した。反応混合物にトルエン100ml、蒸留水50mlを加え溶解し、トルエンで抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=6/4)を用いて分離・精製を行い、前駆体9を収率78%(4.0g)で得た。前駆体9 3.4g(3mmol)を無水THF(100ml)に溶解し、窒素気流下、−78℃でn−ブチルリチウム2.1ml(1.6Mヘキサン溶液;3.3mmol)を用いてリチオ化し、30分間撹拌した。この溶液を、−78℃に冷却した1,3−ジブロモ−2−ブロモメチルプロパン0.3g(1mmol)のTHF溶液(50ml)中にゆっくりと滴下した。
さらに2h撹拌した後、ゆっくりと室温に戻し、100mlの蒸留水を加え反応を停止した。THFで抽出を行い、有機層を無水流酸マグネシウムで乾燥した。Sephadex−G25(アルドリッチ社製)を充填したカラム(溶離液:THF)を用いて分離・精製を行うことにより、内包型多重分岐構造化合物PD−11前駆体を収率76%(2.5g)で得た。
本発明に係る多重分岐構造化合物の分子量は、1000〜100000であることが好ましく、より好ましくは、2000〜50000である。この範囲とすることで、塗布法で有機EL素子の有機層を形成する場合に、溶媒への溶解性が確保され、溶液の粘度が有機層形成に適するようになり、有機層を容易に形成することができる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス用発光材料は、従来有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として用いられている化合物であればどのような化合物を用いても構わないが、特に蛍光性化合物又はリン光性化合物を用いるのが好ましい。これにより、一層高い発光効率を有することができる。
蛍光性化合物は、溶液状態で蛍光量子収率が高い蛍光性有機分子、または、希土類錯体系蛍光体の部分構造を有する化合物である。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。蛍光量子収率が高い蛍光性有機分子としては、例えばクマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素などが挙げられ、これらの部分構造を有する化合物を用いることができる。
以下に蛍光性化合物の例を示すが、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。



リン光性化合物は励起三重項からの発光が観測される部分構造を有する化合物であり、化合物のリン光量子収率が、25℃において0.001以上である。リン光量子収率は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されれば良い。
リン光性化合物は、有機金属錯体であることが好ましく、これにより、一層発光効率を向上させることができる。
本発明に係る有機金属錯体は、好ましくは元素の周期律表で8族の金属を含有する有機金属錯体であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、ロジウム化合物、パラジウム化合物、ルテニウム化合物、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。これにより、一層高い発光効率を有することができる。
また、以下にリン光性化合物の例を示すが、本発明の態様がこれによって限定されるものではない。



次に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包する多重分岐構造化合物の製造方法について説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包する多重分岐構造化合物は、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料と多重分岐構造化合物とを溶媒中で混合させることで、多重分岐構造化合物に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させている。このような容易な手法で製造した多重分岐構造化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることで、内包させた有機エレクトロルミネッセンス用発光材料が層中で濃度消光してしまうのを抑えることができ、発光効率及び発光寿命を向上させることができる。
このときに、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料は溶媒よりも多重分岐構造化合物に親和性が高いことが好ましく、このようにすることにより、多重分岐構造化合物に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させやすくすることができ製造をより容易にすることができる。
多重分岐構造化合物に有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包させる方法としては、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の特性から本発明の用途に適した製造方法として特に次の二つ方法が挙げられる。
(1)均一溶液中での内包
多重分岐構造化合物と有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を後述する条件に見合う溶媒に溶解し、この溶液を撹拌することにより親和性の差を利用して内包させる方法。
溶媒としては、双方が溶解し、且つ多重分岐構造化合物と有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の親和性が溶媒と有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の親和性よりも高いことが重要であり、溶媒は多重分岐構造化合物、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の双方の溶解度に応じて、単一又は複合して用いて構わない。
(2)2相系での内包
多重分岐構造化合物、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の溶解度の差を利用して内包させる方法で、多重分岐構造化合物を後述する条件に見合う溶媒に溶解し、ここに有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を加える。固−液相間で内包が進行する。
溶媒としては、多重分岐構造化合物のみが溶解し、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料は溶解しないものを選択する必要があり、多重分岐構造化合物、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の溶解度に応じて、単一又は複合して用いて構わない。有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の消失により反応の進行が確認できる利点がある。
どちらの方法を用いるべきかは、多重分岐構造化合物、有機エレクトロルミネッセンス用発光材料の相互の性質によるところが大きく一概に言う事はできないが、操作の簡便さや操作時間等の観点から(1)の方法が適していると考えられる。
本発明の多重分岐構造化合物は、陰極と陽極との間にある有機層のいずれの有機層に含有されていてもよいが、発光層に含有されるのが好ましい。これにより、一層高い発光効率を有することができる。
本明細書において置換基はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、ヘテロ原子を有するものを含むアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、ヘテロ原子を有するものを含むアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、ヘテロ原子を有するものを含むアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基、チエニルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、ヘテロ原子を有するものを含むアリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、チエニルオキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、フッ素原子、塩素原子、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基が挙げられる。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していても、上記置換基によってさらに置換されていてもよい。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
本発明において、有機EL素子の有機層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/陰極バッファー層/陰極
(3)陽極/陽極バッファー層/発光層/陰極バッファー層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(6)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/陰極
(8)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(9)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
《バッファー層:陰極バッファー層、陽極バッファー層》
バッファー層は、必要に応じて設け、陰極バッファー層、陽極バッファー層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。なかでも、ポリジオキシチオフェン類を用いたものが好ましく、これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。
陰極バッファー層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
陰極バッファー層、陽極バッファー層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物により形成される。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、及び正孔を効率的に発光層内に閉じこめるために、発光層のイオン化ポテンシャルより大きいイオン化ポテンシャルの値を有するか、発光層のバンドギャップより大きいバンドギャップを有することが好ましい。正孔阻止材料としては、スチリル化合物、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ボロン誘導体の少なくとも1種を用いることも本発明の効果を得るうえで有効である。
その他の化合物例として、特開2003−31367号、同2003−31368号、特許第2721441号等に記載の例示化合物が挙げられる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
この正孔阻止層、電子阻止層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層等から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層に使用される発光材料として上述した本発明の有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包する多重分岐構造化合物を用いることができる。これにより、発光効率と発光寿命を向上させることができる。
また、発光層に使用される発光材料として、本発明の多重分岐構造化合物に加えて従来公知の蛍光性化合物やリン光性化合物を用いることもできる。
リン光性化合物の発光は、原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
また、他に、リン光性化合物として、元素の周期律表で8族の金属を含有する錯体系化合物を用いるのも好ましく、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、ロジウム化合物、パラジウム化合物、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、錯体系化合物のリン光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。




また、発光層には、他にホスト化合物を含有してもよい。
本発明においてホスト化合物は、発光層に含有される化合物のうちで室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.01未満の化合物である。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を用いることができ、また、公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種もちいることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076、特開2002−308855、特開2001−313179、特開2002−319491、特開2001−357977、特開2002−334786、特開2002−8860、特開2002−334787、特開2002−15871、特開2002−334788、特開2002−43056、特開2002−334789、特開2002−75645、特開2002−338579、特開2002−105445、特開2002−343568、特開2002−141173、特開2002−352957、特開2002−203683、特開2002−363227、特開2002−231453、特開2003−3165、特開2002−234888、特開2003−27048、特開2002−255934、特開2002−260861、特開2002−280183、特開2002−299060、特開2002−302516、特開2002−305083、特開2002−305084、特開2002−308837等。
また、発光層は、ホスト化合物としてさらに蛍光極大波長を有するホスト化合物を含有していてもよい。この場合、他のホスト化合物とリン光性化合物から蛍光性化合物へのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光極大波長を有する他のホスト化合物からの発光も得られる。蛍光極大波長を有するホスト化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光極大波長を有するホスト化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
本明細書の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明においては、発光層の発光材料として、本発明に係る多重分岐構造化合物で内包させる有機エレクトロルミネッセンス用発光材料にリン光性化合物を用いた多重分岐構造化合物を用いるのが特に好ましい。これにより、より一層発光効率を向上させることができる。
また、発光材料に上述した多重分岐構造化合物を用いた場合、リン光性化合物のリン光発光波長が380〜480nmにリン光発光の極大波長を有することが好ましい。このようなリン光発光波長を有するものとしては、青色に発光する有機EL素子や白色に発光する有機EL素子が挙げられる。さらに、発光層に、リン光発光波長の異なるリン光性化合物を内包した多重分岐構造化合物を複数種用いることで、任意の発光色を得ることができる。内包させるリン光性化合物の種類、多重分岐構造化合物の量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
特に有機ELでR(赤)G(緑)B(青)三原色の混合により白色を発光させる場合、単純に色度座標に従ってRGBに各々に対応する発光性化合物を混ぜ合わせても白色は得られない。これは青、緑、赤の順に励起した際のエネルギーレベルが低くなるため、青色に比して、よりエネルギーの低い緑、さらには赤にエネルギーが移動してしまい、結果として一番エネルギーの低い発光色のみが発光するためである。しかしながら、エネルギー移動は分子間の距離つまり濃度に依存することから、全体のドープ濃度を低くすること、さらにエネルギーの高い発光色の濃度をエネルギーの低いものに比べて高くすることで、エネルギー移動が抑制されるため白色発光が可能となることが知られている。この様に、従来の発光性化合物を用いて白色発光を行う際には、発光性化合物の総ドープ濃度、およびRGB各色のドープ濃度に対し厳しい制限が有り、輝度や効率の向上に対する大きな障害となっていた。
しかし、本発明の発光材料を内包する多重分岐構造化合物を用いることにより、RGB各々の発光色素が発光層中で接近が阻害されることから、エネルギー移動を起こし難くなり、従来のように各色のドープ濃度に勾配をつける必要も無くなる。また、濃度消光も抑えられ、各色をより高濃度で添加することができるため、輝度や効率の向上が可能となる。
発光層は、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
発光層は、本発明に係る多重分岐構造化合物を含有させて塗布法により製造されることが好ましい。本発明に係る多重分岐構造化合物は、特に、スピンコート法や、インクジェット法等の塗布法による製造が非常に適しており、これらの方法で製造を行うことにより製造を容易にすることができ、さらに大面積の有機EL素子や白色発光型有機EL素子を作製が容易となり好ましい。
発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層、電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
本発明においては、正孔輸送材料として、前述した一般式(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体で、Xが正孔輸送性基である重合体を正孔輸送層に含有させるのも好ましい。これにより、一層高い発光輝度、発光効率、発光寿命を有し、さらに一層駆動電力が抑えることができる。
他に、正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、本発明においては正孔輸送層の正孔輸送材料は415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、電子輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
本発明においては、電子輸送材料として、前述した一般式(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体で、Xが電子輸送性基である重合体を電子輸送層に含有させるのも好ましい。これにより、一層高い発光輝度、発光効率、発光寿命を有し、さらに一層駆動電力が抑えることができる。
他に、電子輸送材料としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。これらの電子輸送材料を前述した電子輸送性部分としても本発明の効果を得ることができ好ましい。
さらに、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層に用いられる好ましい化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
この電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
本発明の多色表示装置は少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法、スプレー法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法、インクジェット法、スプレー法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
本発明の表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で層を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極バッファー層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を用いており、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を用いており、本発明の有機EL素子のリン光性化合物を調節して白色に発光させ、家庭用照明、車内照明、時計のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。また、液晶表示装置等のバックライトとしても用いることができる。
また、本発明に係る有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。
このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
本発明の有機EL素子は、前述したように照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として便用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を3種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。または、一色の発光色、例えば白色発光をカラーフィルターを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。さらに、有機ELの発光色を色変換フィルターを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
本発明の有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
第1図は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
第2図は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。第2図においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
第3図は、画素の模式図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
第3図において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
第4図は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。第4図において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
[実施例1]
<有機EL素子1−1〜1−13の作製及び評価>
(1)有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包する多重分岐構造化合物の作製
多重分岐構造化合物(多重分岐構造体D−17、コア連結基C−10)0.2mmol(1.3g)と有機エレクトロルミネッセンス用発光材料PL−14 1mmol(0.13g)を1mlのTHFに溶解し析出させないようにゆっくりと50mlのメタノールを加えていく。室温で24h撹拌した後、Sephadex−G25(アルドリッチ社製)を充填したカラム(溶離液:メタノール)を用いて分離・精製を行った。最初の留分から、PL−14を内包する多重分岐構造化合物PD−7(1.41g)を得た。得られたPD−7のリン光およびICP質量分析計による測定の結果から多重分岐構造化合物への発光材料PL−14の内包が確認された。また、PD−1〜PD−6、PD−8〜PD−13の多重分岐構造化合物についても同様の操作により作製した。
【表1】

(2)有機EL素子1−1〜1−13の作製
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板上にポリビニルカルバゾール(PVK)30mgとPL−14を1.0×10−4mmol/1mgPVKをジクロロベンゼン1mlに溶解させ、1000rpm、5secの条件下、スピンコートし(膜厚約100nm)、60度で1時間真空乾燥し、発光層とした。
これを真空蒸着装置に取付け、次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧し、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nm及び陰極としてアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。最後にガラス封止をし、有機EL素子2−1を作製した。
有機EL素子1−1の発光層に用いたPVKとPL−14を表2に示すものに変更した以外は、有機EL素子1−1と同様の方法で有機EL素子1−2〜1−13を作製した。
【表2】

〈有機EL素子1−1〜1−13の評価〉
得られた有機EL素子1−1〜1−13について下記に示す評価を行った。
(外部取りだし量子効率)
作製した有機EL素子について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。なお測定には同様に分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)を用いた。
(発光寿命)
23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。なお測定には分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)を用いた。
有機EL素子1−1、1−3〜1−10の外部取り出し量子効率、発光寿命の測定結果は、有機EL素子1−1を100とした時の相対値で表3に示した。有機EL素子1−2、1−11〜1−13の外部取り出し量子効率、発光寿命の測定結果は、有機EL素子1−2を100とした時の相対値で表4に示した。
【表3】

【表4】

表3、表4より明らかなように、本発明の有機EL素子は、発光効率、発光寿命が非常に向上していることが分かった。
[実施例2]
〈フルカラー表示装置〉
(青色発光有機EL素子)
実施例1で作製した有機EL素子1−6のPD−7をPD−8に変更した以外は有機EL素子1−6と同様の方法で作製した有機EL素子1−6Bを用いた。
(緑色発光有機EL素子)
実施例1で作製した有機EL素子1−6を用いた。
(赤色発光有機EL素子)
実施例1で作製した有機EL素子1−6のPD−7をPD−9に変更した以外は有機EL素子1−6と同様の方法で作製した有機EL素子1−6Rを用いた。
上記の赤色、緑色及び青色発光有機EL素子を、同一基板上に並置し、第1図に記載の形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製し、第2図には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。即ち、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数の画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
該フルカラー表示装置を駆動することにより、発光効率が高い発光寿命の長いフルカラー動画表示が得られることを確認することができた。
[実施例3](照明装置の実施例、白色の有機EL素子使用)
実施例1で作製した有機EL素子1−6において、発光層に用いたPD−7を、PD−7、PD−8、PD−9の混合物に変更した以外は有機EL素子1−6と同様の方法で作製した有機EL素子1−6Wを用いた。有機EL素子1−6Wの非発光面をガラスケースで覆い、照明装置とした。照明装置は、発光効率が高く発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。第5図は照明装置の概略図で、第6図は照明装置の断面図である。有機EL素子101をガラスカバー102で覆い、電源線(陽極)103と、電源線(陰極)104で接続している。105は陰極で106は有機EL層である。なおガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、補水剤109が設けられている。
【産業上の利用可能性】
本発明によって、高い発光効率と長寿命化を実現し、容易に製造することができる有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料である多重分岐構造化合物、該多重分岐構造化合物を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、それを具備してなる表示装置もしくは照明装置、及び多重分岐構造化合物の製造方法を提供することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を内包することを特徴とする多重分岐構造化合物。
【請求項2】
正孔輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の多重分岐構造化合物。
【請求項3】
電子輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の多重分岐構造化合物。
【請求項4】
前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料が蛍光性化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の多重分岐構造化合物。
【請求項5】
前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料がリン光性化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の多重分岐構造化合物。
【請求項6】
陰極と陽極との間に有機層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層に、請求の範囲第1項に記載の多重分岐構造化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
白色に発光することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
請求の範囲第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求の範囲第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求の範囲第9項に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
有機エレクトロルミネッセンス用発光材料と多重分岐構造化合物とを溶媒中で混合させて前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料を前記多重分岐構造化合物に内包させることを特徴とする多重分岐構造化合物の製造方法。
【請求項12】
前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料は前記溶媒よりも前記多重分岐構造化合物に親和性が高いことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
【請求項13】
前記多重分岐構造化合物は正孔輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
【請求項14】
前記多重分岐構造化合物は電子輸送性を有する部分構造を有することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料が蛍光性化合物であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。
【請求項16】
前記有機エレクトロルミネッセンス用発光材料がリン光性化合物であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の多重分岐構造化合物の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/032216
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514182(P2005−514182)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013716
【国際出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】