説明

多重検出システムのための酵素基質

式、A−B−B−B−B[式中、Aは糖成分であり、Bは、成分Aと基質の残存している構造とのコンジュゲート化を可能にするリンカー成分であり、B2は、カルボン酸もしくは検出可能なタグとの反応のために利用できるように遊離反応性アミノ基を備えるリンカー成分であり、Bは、マススペクトロメトリーに対して感受性を増加するように第4級アンモニウム基などの永久的に帯電した構成要素を含有し、そして様々な炭素長のBは、検出方法において個別基質間に特異性を付与する]の基質化合物を含む本発明の基質を提供する。さらに、本発明の基質上に、標的酵素の作用によって生成される酵素反応生成物に対する類似の構造特性を備える、式、B−B−B−Bの分子をも提供する。さらに、酵素活性を検出するための本発明の基質を使用するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参考として本明細書で援用される2008年3月13日に出願された米国特許仮出願第61/036,211号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、マススペクトロメトリー、イムノアッセイ、および高速液体クロマトグラフィーなどの検出方法を使用して酵素活性を検出するための分析用試薬に関する。1つの態様では、本発明は、リソソーム酵素活性を検出するための基質に関する。
【背景技術】
【0003】
リソソーム蓄積症は、結果として身体が代謝物質を分解する能力の欠如を生じさせる、身体内の特異的酵素における欠損症を特徴とする1群の遺伝性疾患である。1つの例として、ファブリー病は、4万人に付き1人に見られるリソソーム蓄積症である。この疾患は、身体がグロボトリアオシルセラミドと称される特異的脂肪性物質を分解する能力の欠如を生じさせる、酵素α−ガラクトシダーゼの欠損によって惹起される。第2の例は、グルコシルセラミドと称される(グルコセレブロシドとも称される)脂肪性物質もしくは脂質を分解する能力の欠如によって惹起されるリソソーム蓄積症であるゴーシェ病である。ゴーシェ病を持つ個人は、これらの脂肪性物質の分解に必要な酵素であるグルコセレブロシダーゼを産生しない。これらの脂肪性物質はその後、肝臓、脾臓、および骨髄の細胞内に蓄積する。第3の例は、グリコーゲンと称される特定の糖類の分解に必要な酵素である酸性α−グルコシダーゼの欠損によって惹起されるリソソーム蓄積症であるポンペ病である。酵素の酸性α−グルコシダーゼが欠如すると、グリコーゲンは身体内の様々な組織および器官内に蓄積する。
【0004】
リソソーム蓄積症は、一部は成人期に発現するが、大部分については小児期の障害である。彼らの大多数において、患者は出生時には正常であり、相当に後の時点になって始まる進行性の神経障害を有する。臨床表現型は、生化学的欠損のタイプおよび重症度に左右される。ポンペ病およびクラッベ病などのこれらのリソソーム障害の一部は、主として幼少期に発現する。治療介入を開始できるように、臨床症状が発現する前にそのような障害を検出する方法の開発に継続的な努力が重ねられてきた。
【0005】
代謝性疾患について検証する研究所は、過去10年間にわたって新生児検診プログラムにタンデムマススペクトロメトリーを導入してきた。タンデムマススペクトロメトリーは、この技術が単一サンプル中の多数の代謝産物のアッセイを許容するために、臨床においてますます好評を博し続けている。例えばこの技術は、乾燥血斑サンプルを用いて、新生児における遺伝性代謝異常を検出するための日常臨床として実施されてきた(非特許文献1)。リソソーム酵素活性はタンデムマススペクトロメトリーを用いて定量化できるが(非特許文献2)、これまでに公表されたアッセイ法は、面倒な手順およびクロロホルムなどの強いアッセイ成分のために臨床場面へ容易に適応させることはできなかった。
【0006】
二番目に一般的に使用されている臨床アッセイプロトコルは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)である。現在は、数種のバイオマーカーがゴーシェ病を検出およびモニターするために使用されている(例えば、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5参照)。活性成分が修飾されたグルコセレブロシダーゼであるアグルセラーゼ(aglucerase)に対する抗体を検出するためのELISAについてもまた報告されてきた(非特許文献6、非特許文献7)。しかしこれらのアッセイは、リソソーム酵素活性を直接的には検出せず、その代りに、疾患の間接的マーカーのレベルを検出する。
【0007】
そこで、リソソーム障害を検出するための方法および組成物の改良が継続的に必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Schulze A他著、Pediatrics、2003年、第111巻、第1399〜406頁
【非特許文献2】Gelb MH他著、Clinical Chemistry、2004年、第50巻、第10号、第1785〜1796頁
【非特許文献3】Aerts JM、及びHollack CD他著、Bailliere’s Clin. Haematol、1997年、第10巻、第691〜709頁
【非特許文献4】Deegan PB他著、Blood Cells MoI Dis、2005年、第35巻、第259〜67頁
【非特許文献5】Beutler E他著、J Exp Med、1976年、第143巻、第975〜80頁
【非特許文献6】Richards SM他著、Blood、1993年、第82巻、第1402頁
【非特許文献7】Rosenberg M他著、Blood、1999年、第93巻、第2081〜2088頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態によると、マススペクトロメトリー、イムノアッセイ、および高速液体クロマトグラフィーなどの検出システムを用いて、酵素反応を検出するための改良された組成物およびプロセスが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプル中のリソソーム酵素活性のレベルを評価するために有用な化合物を提供する。リソソーム酵素活性についての試験は、例えば、新生児における代謝異常をスクリーニングする場合、ならびに酵素活性に影響を及ぼす医学的状態を有する個人、または酵素補充療法、遺伝子療法、もしくは骨髄移植などの医学的処置を受けている個人を評価する場合に有用である。本明細書に記載した化合物には、酵素アッセイにおける対照もしくは標準物質として有用である標的酵素および関連分子のための基質が含まれる。
【0011】
本発明の基質は、一般式、A−(B−B−B−B
〔式中、Aは、単糖又は二糖であり、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化1】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、もしくはSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、もしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損(nullity)、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化2】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。〕を有する。
【0012】
さらに、例えば、酵素アッセイにおける対照もしくは標準物質として有用である一般式、B−B−B−B (I)
〔式中、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、OもしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化3】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、もしくはSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、もしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化4】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。〕をも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リソソーム蓄積症を検出するための例示的な基質構造および例示的な合成方法を示す図である。
【図2】リソソーム蓄積症を検出するための一般組成物の例示的な基質構造および例示的な合成方法を示す図である。
【図3】構造成分を強調している例示的な基質構造を示す図である。
【図4】複数の検出方法に適用できる複数の機能中心を強調している例示的な基質構造を示す図である。
【図5】本発明の基質を使用した一般的酵素反応スキームを示す図である。
【図6】本発明の基質の二重標識を使用した酵素活性を検出する代替方法を示す図である。
【図7】先行技術の参照方法に比較して有益であるマススペクトロメトリーを用いて酵素反応を検出する本発明の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、例えばリソソーム蓄積症に関連するリソソーム酵素活性などの酸性ヒドロラーゼ酵素活性を検出するための分析用試薬組成物としての有用性を有する。マススペクトロメトリー、HPLCおよびイムノアッセイなどの分析方法のために適用できる溶液中に易溶性である酵素基質および実験用対照もしくは標準物質として有用な関連化合物の適用により、リソソーム蓄積症に関連する酵素活性を検出する工程は、より実用的で、煩雑ではない。
【0015】
本発明は、例示的には、酸性α−ガラクトシダーゼA(GLA)、酸性β−グルコセレブロシダーゼ(ABG)、ガラクトセレブロシドα−ガラクトシダーゼ(GALC)および酸性α−グルコシダーゼ(GAA)を含むリソソーム酵素に対して特異的な基質を提供する。本発明の基質に関するこれらの酵素の作用は、サンプル中の対応する酵素活性を測定するために使用されるため、これらの基質はファブリー病(GLA)、ゴーシェ病(ABG)、クラッベ病(GALC)およびポンペ病(GAA)を含むリソソーム蓄積症の検出に使用できる。
【0016】
本発明の基質は、一般式、A−(B−B−B−B
〔式中、Aは、単糖もしくは二糖であり、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化5】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化6】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。〕を有する。
【0017】
特定のリソソーム酵素に対する本発明の基質の特異性は、一部には、単糖もしくは二糖であるAなどの糖成分A内の構造的変化によって提供される。例示的な糖成分には、ポンペ病を検出するためのα−D−グルコース、ゴーシェ病を検出するためのβ−D−グルコース、ファブリー病を検出するためのα−D−ガラクトース、およびクラッベ病を検出するためのβ−D−ガラクトースが含まれる。
【0018】
は、基質の残りの構造への糖成分Aのコンジュゲート化を許容するように機能するリンカー成分である。Bは、さらにまた標的酵素への柔軟なアクセスを提供できるように基質の糖成分Aと残りの構造との間のスペーサーとしても機能する。リンカーアームBは、相対的な親水性の特性を付与できるように設計できる。特に、リンカーアームBは、ヒドロフェノール構造を有することができる。そこで、一般式、A−B−B−B−Bの本発明の基質は、純メタノールまたは純粋エタノールなどの溶媒中では親水性であり得る。B−B−B−B成分は、全体として一般に親水性である。そこで本発明の基質は、水性緩衝液系中では可溶性であり得る。
【0019】
は、固体支持体または蛍光タグなどの検出可能なタグと相互作用するための求核基を提供する。好ましくは、Bは、2,6−ジアミノヘキサン酸などのアルキルジアミノ酸の誘導体である。2,6−ジアミノヘキサン酸の場合、6−アミノ基は、随意に、固体支持体または検出可能なタグへ結合するための求核試薬として貢献する。
【0020】
第4級アンモニウム基は、Bの構成要素である。酵素反応時、B−B−B−Bの開裂生成物は、B上に位置する永久正電荷を一緒に有している。この特性は、タンデムマススペクトロメトリーにおいて強固なシグナルを生じさせる。さらに、永久電荷は、クロロホルムなどの溶媒を使用する必要性を回避できるように本発明の基質を水溶液中でより可溶性にさせる。以前に記述された基質と比較して、本発明の基質は、一般的に、より親水性であり、界面活性剤をほとんど又は全く必要としない。これは単純化されたアッセイ手順を生じさせるが、それはクロロホルムの使用のような界面活性剤の使用は、重労働の液−液抽出および固相抽出を含む煩雑な浄化工程を必要とする可能性があるからである。
【0021】
本発明の基質は、構造的にはB基で終了する。Bは、様々な鎖長を提供するように構造的に調整することができる。そのような様々な鎖長は、様々な基質、ならびにそれらの酵素反応生成物を酵素アッセイにおいて相互に識別するために有用である。例えば、マススペクトロメトリーにおいて、13炭素原子鎖を含有する基質は14炭素原子鎖を含有する基質とは相違する質量対電荷比を有するので、そこで13炭素原子または14炭素原子鎖を含有する基質を識別できる。同様に、イムノアッセイフォーマットでは、相違する鎖長を有する基質は、特定の化学成分に対して選択的な抗体を用いて識別することができる。
【0022】
一実施形態において、本発明は、式、A−B−B−B−B
〔式中、Aは単糖もしくは二糖、好ましくはアルドヘキソースもしくはケトヘキソースであり、Bは、フェノール、ニトロフェノール、もしくは安息香酸フェニルなどのフェニルエステルであり、Bは、アミノ酸リシンなどのアルキル基を含有し、Bは、B単独もしくはさらにBとの凝縮の前に尾部がカルニチンである構造から伸長するペンダント第4級アンモニウムカチオンを含有する〕の試薬を提供する。
【0023】
本発明は、酵素活性を検出するための方法を提供する。特定酵素の活性は、酵素反応生成物を生成するために同族基質上で作用する能力または速度によって評価することができる。本発明の基質の場合、基質A−B−B−B−B上の標的酵素の作用は、2つの生成物であるAおよびB−B−B−Bの生成を生じさせる。サンプル中のB−B−B−Bなどの酵素反応生成物の量を決定することによって、標的酵素の活性を決定できる。B−B−B−B量の定量的評価が所望である用途のためには、以下でより詳細に記載するように、B−B−B−Bに対応する公知量の内部標準物質をサンプル中に含めることができる。そこで、本発明は、一般式、B−B−B−Bを有する化合物を提供する。
【0024】
個人の血液中の所定のリソソーム酵素の活性は、その個人がリソソーム蓄積症を有するかどうかを試験するために使用することができる。このため、本発明は、医学的状態、特に、ポンペ病、ゴーシェ病、ファブリー病およびクラッベ病などのリソソーム蓄積症を検出するための基質を提供する。ポンペ病を検出するためには、例示的な糖成分はα−D−グルコースであり、例示的なB−B−B−B部分は10〜20炭素のBを備える4−アミノフェニル−ジアミノヘキサノイル−カルニチニル(cartnitinyl)−アルキル鎖である。ゴーシェ病を検出するためには、例示的な糖成分はβ−D−グルコースであり、例示的なB−B−B−B部分は長さが10〜20炭素のBを備える4−アミノフェニル−ジアミノヘキサノイル−カルニチニル(carnitinyl)−アルキルである。ファブリー病を検出するためには、例示的な糖成分はα−D−ガラクトースであり、例示的なB−B−B−B部分は長さが10〜20炭素のBを備える4−アミノフェニル−ジアミノヘキサノイル−カルニチニル−アルキルである。クラッベ病を検出するためには、例示的な糖成分はβ−D−ガラクトースであり、例示的なB部分は長さが10〜20炭素のBを備える4−アミノフェニル−ジアミノヘキサノイル−カルニチニル−アルキルである。クラッベ病の検出に特異的な本発明の基質の特定の実施例は、β−D−ガラクトースのA基、メチルのB基、アミジルアミノアシル基のB基、第4級アンモニウムで終了するアミジルのB基、および12〜20の炭素長を備えるアルケニルアルコールのB基を有する。ゴーシェ病を検出するための本発明の基質の特定の実施例は、β−D−グルコ−スのA基、メチルのB基、アミジルアミノアシル基のB基、第4級アンモニウムで終了するアミジルのB基、および12〜20の炭素長を備えるアルケニルアルコールのB基を有する。
【0025】
本発明の基質は、様々な酵素、特に病状又は出生検出に関連する酵素、さもなければ医療目的に有用な酵素をアッセイするために調整することができる。そのような調整は、一般式、A−B−B−B−BのAに様々な単糖基および二糖基が存在しているので可能である。新規に同定された標的酵素についても、単糖および/または二糖基に対する特異性が通常法を用いて決定されると、本発明の基質は本明細書に提供した指針を用いて容易に調製することができる。本明細書に記載した本発明の基質を使用してアッセイできる酵素の非限定例には、酸性α−ガラクトシダーゼA、酸性β−グルコセレブロシダーゼ、酸性ガラクトセレブロシドα−ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、および酸性α−グルコシダーゼが含まれる。
【0026】
本発明において想定されるように、各々が特定のリソソーム酵素に特異的であり、そして各々がサブグループBまたはB内において相違する鎖長を有する様々な糖により基質を合成することができる。本発明のシステムは、構造的に類似であるがまだ酵素特異的な基質を用いて同一サンプルもしくはサンプル容器内で2つ以上のリソソーム酵素が分析される任意の多重アッセイを提供する。
【0027】
本発明は、サンプルもしくはサンプル容器内の酵素反応生成物の量を評価するために有用である実験用対照もしくは標準物質として機能する化合物を提供する。マススペクトロメトリーにおいて使用するために、特定の本発明の基質に対応する内部標準物質は、該内部標準物質が質量対電荷比(m/z)比において相違することを除いて、それらの酵素反応生成物と構造的に同一である。そこで、本発明の内部標準物質には、修飾形態の酵素反応生成物、例えば質量の変化を作り出せるように1以上の原子が対応する原子同位体によって置換される酵素反応生成物の安定性同位体標識アナログが含まれる。内部標準物質および酵素反応生成物がマススペクトロメトリーによって分析される場合、結果として生じるスペクトルは、各々がその固有ピークによって表される内部標準物質および酵素反応生成物の空間的分離を明らかにする。内部標準物質の公知量は、その公知のm/z比でのピーク値(peak magnitude)によって示される。酵素反応生成物量は、内部標準物質のピーク値と比較して、その公知のm/z比でのピーク値の比較によって評価できる。内部標準物質を生成する同位体標識化の例は、Bのアシル基上でのHとDとの置換である。結果として、置換されたDを備えるより「重い」内部標準物質分子は、質量スペクトル上で検出されるように、酵素反応生成物とは相違するm/zを有する。
【0028】
特定の実施形態において、内部標準物質は、対応する開裂生成物から3〜9ダルトンの質量変化を引き起こすためにジュウテリウムを用いて標識される。他の特定の実施形態において、結合B−B−Bサブグループは、正に帯電した第4級アンモニウム成分を備えるリシン−アシルカルニチンであり、アシル尾部は12〜18炭素長である。
【0029】
一実施形態において、本発明の基質は、検出可能なタグを用いて標識される。多数の蛍光プローブは、当技術分野において反応性アミンの標識に有用であると認識されている。生体分子を特異的に標識するための特に感受性のある標的は、リシンの側鎖アミノ基である。本発明の基質の好ましい実施形態は、この活性末端アミノ基を有する位置Bにリシン残基を含む。本発明の基質を標識するために適切な、検出可能なタグの例示的な実施例には、イソチオシアネート、ダンシルおよびその他のスルホニルクロライド、7−ニトロベンズ−2−オキサ−1、3−ジアゾール誘導体、フルオレスカミンなどのフルオロフォアが含まれる。
【0030】
本発明の基質は、例えば、溶液中のならびに固体支持体に結合もしくは固定化された様々な物理フォーマットにおいて使用することができる。固体支持体は、天然もしくは合成材料、有機もしくは無機材料、例えばポリマー、樹脂、金属又はガラス、およびそれらを組み合わせで構成することができる。適切な固体支持体は、例えば、膜、カラム、ビーズ等の中空、固体、半固体、孔もしくは空洞含有粒子、ゲル、光ファイバー材料を含む繊維、マトリックスおよびサンプル容器を含むことのできる様々な物理フォーマットを有することができる。サンプル容器の非限定的な例には、サンプルウエル、チューブ、キャピラリー、バイアルおよび任意のその他の容器、サンプルを保持できる溝もしくはくぼみが含まれる。サンプル容器は、マイクロプレート、スライド、マイクロ流体機器などのマルチサンプルプラットフォーム上に含有することができる。多数の適切な粒子は当技術分野において公知であり、例示的には、Luminex(登録商標)型コード化粒子、コード化光ファイバー粒子、磁気粒子、およびガラス粒子が含まれる。本発明の基質および/またはその酵素的開裂生成物と固体支持体との共有相互作用は、一部のアッセイフォーマットにおいて実施される洗浄手順中に基質および/または生成物を保持するために、したがって、酵素活性の強固かつ正確なシグナルを産生するために有用である。
【0031】
固体支持体の使用がアッセイフォーマットのために所望である場合、例示的なリシン基Bの存在は、例えば高結合固体支持体への共有結合のために使用できる。高結合固体支持体は、化学的に活性であるか、またはさもなければ本発明の基質もしくは内部標準物質への共有結合性もしくは高親和性結合が可能である露出した成分を有する表面である。一例として、Corning Life Sciencesは、ベンゼン環を分解し、露出したカルボン酸を生成するために照射される高結合マイクロウエルプレートを製造している。これらのカルボン酸は、好ましい実施形態の基質のリシン誘導体成分上の末端アミノ基によるなどの求核攻撃を受け易い。この反応は迅速であり、基質/生成物と高結合表面との間の緊密な相互作用を生じさせる。
【0032】
本明細書に記載した方法は、複数のサンプルが同時にアッセイされるように多重化フォーマットで実施できる。例示的な多重化フォーマットは、物理的および/または化学的コード化粒子を用いる工程を含む。多重化フォーマットにおけるコード化粒子の使用については、例えば、米国特許第6,649,414号及び米国特許第6,939,720号に記載されている。コードは粒子が相互から識別されることを可能にするので、単一反応混合物中に複数の異なる粒子が存在していてよく、複数の相違するサンプルまたは相違する酵素を同時にアッセイすることを可能にする。粒子上のコードは、例えばサンプル起源、アッセイ対象の特定酵素、存在する特定基質などに、使用者の実験目標に依存することができる。
【0033】
本発明の方法において有用なサンプルは、1以上の標的酵素を含有する、または含有すると疑われる。標的酵素を、個人から、ならびに例えば細胞系などの実験室材料、および合成タンパク質起源から入手したサンプル中に含有することができる。例示的なサンプル起源として、組織破砕物、細胞培養溶解物、尿を含む生体液、液体もしくは乾燥形態の血液、涙、唾液、および脳脊髄液が含まれる。サンプルは、所望により、特定の細胞タイプを含有する分画へさらに画分することができる。例えば、血液サンプルは血清に、又は赤血球又は白血球などの特定のタイプの血液細胞を含有する分画に画分することができる。所望であれば、サンプルは、組織および流体サンプルなどの組み合わせなど、被験者由来のサンプルの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、サンプルは、例えば全血又はその血液分画であってよい、または乾燥血液サンプルから再構成することのできる血液である。
【0034】
サンプル中の分子の活性もしくは完全性を維持するサンプルを入手するための方法は、当業者に周知である。そのような方法には、適切な緩衝液および/または、ヌクレアーゼ、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む、阻害剤の使用が含まれ、サンプル中の分子内変化を維持する、または最小限に抑える。そのような阻害剤には、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(P−アミノエチルエーテル)N,N,N1,N1−四酢酸(EGTA)などのキレート剤、例えばフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、アプロチニン、ロイペプチン、アンチパインなどのプロテアーゼ阻害剤、ならびに例えばリン酸塩、フッ化ナトリウム、バナジウム酸塩などのホスファターゼ阻害剤が含まれる。分子を単離するために適切な緩衝液および条件は当業者に周知であり、例えば、サンプル中の特性解析される分子のタイプに依存して変動させてよい(例えば、Ausubel他著、Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 47)、John Wiley & Sons著、New York、1999年、Harlow and Lane著、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年、Harlow and Lane著、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、1999年、Burtis and Ashwood編、Tietz Textbook of Clinical Chemistry、第3版、 W.B. Saunders, Philadelphia、1999年、を参照)。干渉物質の存在を排除または最小限に抑えるため、サンプルを処理することもできる。
【0035】
乾燥血斑形態のサンプルは、一般に新生児および小児患者由来の血液をスクリーニングする場合に使用される。これらのサンプルを調製するため、血液を採取し、濾紙上に保持する。分析のため、乾燥血液を濾紙から、通常、リン酸緩衝食塩液などの緩衝液、及びプロテアーゼ阻害剤を含有する水溶液中に溶出させる。プロテアーゼ阻害剤条件の具体例は、例えば、以下のうちの1以上が含まれる。最終濃度が50〜400μg/mlのAEBSF塩酸塩、最終濃度が0.2〜25mg/mLのEDTA二ナトリウム脱水物、最終濃度が0.5〜1μg/mLのロイペプチンヘミ硫酸塩、および最終濃度が0.5〜1μg/mLのペプスタチンA。後に複数アッセイ反応液中に分布させるため、単一乾燥血液サンプル、または他のタイプのサンプルを抽出するための汎用アッセイ溶液の使用は、自動およびハイスループットスクリーニングに使用できる。乾燥サンプルの単一抽出は、同一サンプルから数個のサンプルパンチを得る、または他のサンプル起源のアリコートを採取する必要を回避するので、したがって濾紙上での血液の不均質な分布によって惹起される変動、およびサンプル移動における誤差を減少させる。乾燥サンプルを使用する場合、抽出効率は分析される様々な酵素に伴って変動する可能性がある。これらやその他のタイプのサンプル中では、標的酵素は、相違するアッセイ溶液中に含有される場合は、異なるレベルの活性を有する可能性がある。本発明の汎用アッセイ溶液の組成は、試験対象の各酵素が活性であるように任意に選択される。
【0036】
本発明の基質および生成物は、様々なアッセイフォーマットで使用できる。当該基質は、酵素アッセイ中の基質消費量を観察することを所望するアッセイにおいて検出することができ、当該生成物は、酵素アッセイ中にその形成を観察することを所望するアッセイにおいて検出することができる。基質および生成物はどちらも、例えば生成された生成物の量が消費された基質の量と相関することを確認するために、両方の観点から酵素反応を観察するのが所望である場合に検出することができる。
【0037】
例えば、基質A−B−B−B−Bまたは生成物B−B−B−Bの量は、確立されたタンデムマススペクトロメトリー手順を使用して検出することができる。マススペクトロメトリーを使用する例示的な酵素アッセイは、以下のように実施できる。サンプルは、酵素反応生成物の形成を許容する期間にわたって本発明の基質とインキュベートする。インキュベーション期間中、本基質は、各B−B−B−B生成物を形成するための血液サンプル中に存在する標的酵素によって開裂される。この反応は、次にタンパク質成分を沈降させる試薬を加えることによってクエンチされる。例示的な試薬には、アルコール、アセトニトリルおよび希釈トリフルオロ酢酸が含まれる。インキュベーション混合物の一部分は、次に新規のアッセイ容器へ移される。随意に、メタノール、アセトニトリル、水−メタノール混合物又は水−アセトニトリルなどの希釈試薬は、移された部分を希釈するために加えることができる。このように希釈されたサンプルは、タンデムマススペクトロメトリーの感受性を相対的に増加させるように内因性競合材料の量を減少させる。その他のタイプの試薬は、タンデムマススペクトロメトリーと適合するように当業者によって選択される。
【0038】
希釈サンプルは、手動で、又は、オートサンプラーおよび液体ハンドラーを用いて自動的に、タンデムマススペクトロメトリー内へ直接注入する。所望であれば、サンプルは、分析前に誘導体化することができる。試薬は、MS/MSシステムに反発しないように選択する。例えば、適切な溶媒には界面活性剤およびクロロホルムなどの腐蝕剤が欠如する。純粋エタノールおよび純メタノールは、機械的乾燥プロセスにかけると容易に蒸発するので、簡易に使用されることが多い。
【0039】
タンデムマススペクトロメトリーは、加えられた基質、対応する結果として生じる酵素反応生成物および対応する内部標準物質を同時に検出するように設定できる。そのような検出は、親イオンスキャン、プリカーサーイオンスキャンまたは多重反応モニタリングスキャンによって遂行する。
【0040】
基質A−B−B−B−Bまたは酵素反応アッセイ中に形成された生成物B−B−B−Bの量は、抗体およびその他の標的特異的結合分子を使用して検出することもできる。イムノアッセイのため、抗体は、基質、生成物またはその両方を検出するために使用できる。そのような方法において有用な抗体は、それらが個々の基質を認識するように特異的であってよい、またはそれらが多数もしくは全ての基質を認識するように非特異的であってよい。例示的なサンプルは、B−Bニトロフェノール−リシンの組み合わせに対して生成された抗体である。
【0041】
本抗体は、例示的にはマウス、ラット、ウサギ、ウマ、ラクダ、または抗体産生のために使用される他の適切な動物を含む動物において生成される。ある種の用途においては、蛍光タグなどの検出可能なタグを用いて抗体を標識するのが有用である。未標識抗体を使用する場合、検出は、ローダミンなどの蛍光マーカーで標識された一次抗体のIgG種に対して特異的である、二次抗体を用いて実施することができる。当技術分野では、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体またはアルカリホスファターゼ標識抗体などの他の抗体検出系が、本発明において同様に操作可能であると理解される。
【0042】
複数の酵素特異的基質を提供することによって単一サンプル中の複数の酵素を試験する場合、基質間、またはそれらの生成物間を認識して識別する抗体を使用できる。酵素特異的基質、又はその生成物に結合した抗体の複合体、多数の方法を用いて相互に識別できる。1つのシナリオでは、標的酵素を含有するサンプルを、アッセイ溶液中で粒子に結合した基質と接触させる。この実施例では、各粒子は特定基質と結合させられ、各基質を提示する複数の粒子が存在する。標的酵素は、基質上で作用し、生成物AおよびB−B−B−Bを生成する。B−B−B−B生成物は粒子に結合したままとなるが、生成物Aは溶液中に遊離させられる。特異的B−B−B−B生成物を認識する抗体は、次にアッセイ溶液と接触させられる。抗体は、酵素反応アッセイ中に生成された場合は、結合した抗体を有する粒子を生成するために、生成物に結合する。粒子上に含有される様々な生成物を識別するために、様々な生成物特異性を有する抗体は、様々な蛍光タグなどの様々な検出可能な成分を有していてよい。酵素反応生成物を検出する工程の代替法として、基質A−B−B−B−Bを認識する抗体は、酵素とのインキュベーション後にビーズ上に残存している基質を検出するために使用することができる。この状況では、生成物AまたはB−B−B−Bは、酵素反応が発生すると、ビーズに付着したままとなる。いずれの場合にも、選択された基質特異的抗体は、ビーズに付着した生成物と有意には交差反応しない。
【0043】
また別のシナリオでは、標的酵素を含有するサンプルは、アッセイ溶液中でコード化粒子に結合した基質と接触させられる。コード化粒子は、相互に識別されることを許容する、バーコードまたは光学プロファイルなどの特徴を有している。例えば、コード化粒子は、様々な標的酵素基質に対応する様々なバーコードを有していてよい。本アッセイでは、標的酵素は、生成物AおよびB−B−B−Bを生成するために基質上で作用する。B−B−B−Bは粒子に結合したままとなるが、生成物Aは溶液中に遊離させられる、またはその逆もある。特異的生成物を認識する抗体は、次にアッセイ溶液と接触させられる。粒子のコード化が、どの基質が粒子に付着しているのかを指示するので、抗体は特定の生成物に対して特異的である必要はなく、このため1タイプの抗体を使用して複数の様々な基質に由来する生成物を検出することができる。そのような非特異的抗体は、酵素反応アッセイ中に生成された場合は、結合した抗体を有する粒子を生成するために、生成物に結合する。結合した抗体を有する粒子は次に、例えば、抗体上のタグまたは粒子の物理的挙動を検出することによって、抗体を含まない粒子から識別される。抗体が結合した粒子上に含有された様々な生成物は、各粒子のコード化に基づいて決定することができる。
【0044】
イムノアッセイフォーマットの別の実施例として、特定基質に向けられた抗体が生成される。酵素反応のクエンチ後に、反応溶液は高結合マイクロタイタープレートに移され、それによって反応性B部分は、末端アミノ基を介してプレートへ共有結合的に付着する。酵素およびアッセイ溶液成分は、洗浄によって除去される。この特異的一次抗体は、次に各アッセイウエル内でインキュベートされ、その後に未結合抗体を除去するために洗浄される。二次抗体は、随意に検出および定量のために使用される。初期反応の単位時間当たりに形成される生成物が多いほど、測定される酵素の活性が大きくなる。
【0045】
代替イムノアッセイフォーマットでは、B−Bサブグループに対して特異的な抗体は、随意に、標準サンドイッチELISAアッセイにおいて、マイクロタイタープレートの表面上で捕捉抗体として使用される。B成分に向けられた抗体などの生成物上に固有のエピトープを備える一次抗体(またはB部分は、ビオチンなどの特異的結合対メンバーを用いて修飾されている)が検出に使用される。当技術分野において認識されるように、標識された二次抗体は、上記に記載したように随意に検出に使用される。
【0046】
追加のイムノアッセイフォーマットでは、例示的な抗体は、本発明のヒドロフェノールB成分に結合したα−D−グルコースA基と反応する。この基質は、リシンB成分を用いて固体支持体に付着させられる。あるいは、基質は溶液中に提供され、反応は、反応容器に移され、その中では例示的な酵素反応のクエンチ後に、反応溶液が高結合マイクロタイタープレートに移され、それによって反応性B成分は末端アミノ基を介して前記容器へ共有結合的に付着する。別の代替法として、本発明の生成物/基質上の代替エピトープに対して特異的な捕捉抗体が使用される。未反応酵素および緩衝液の構成成分は、洗浄によって除去される。A−B−B成分に対して特異的な抗体は、次に、残存基質の検出および定量のために各アッセイウエル内でインキュベートされる。初期酵素反応後に残存する基質が多いほど、酵素の活性は低くなる。
【0047】
本抗体は、例示的には未標識であり、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ラクダ、または抗体産生のために使用される他の適切な動物を含む動物において生成される。一次抗体のIgG種に対して特異的である二次抗体は、例示的にはローダミンなどの蛍光マーカーを用いて標識され、引き続き残存基質を検出するために使用される。当技術分野では、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗体またはアルカリホスファターゼ標識抗体などの他の抗体検出系が、本発明において同様に操作可能であると理解されている。
【0048】
適切なイムノアッセイフォーマットの別の実施例では、本発明によるヒドロフェノールB成分およびリシンB成分に結合した、好ましくは、α−D−グルコースA基に対して特異的なモノクローナルマウス抗体は、それ自体が例示的には蛍光マーカーによって標識される。この系では、複数のリソソーム酵素は、随意に様々な特異的基質に対する活性について同時に分析される。例示的な実施例には2つの酵素系が含まれるが、このとき1つはGLAに対して特異的であり、もう1つはGAAに対して特異的である本発明の基質が使用される。各基質は、生物学的サンプルとの反応へ同時に添加される。各基質は、随意に、リシンB基を含有するので、どちらも高結合マイクロタイタープレートへ同様に結合する。各々が本発明の各基質に対して特異的である2つの抗体は、上述の洗浄後にマイクロタイタープレートに添加される。各抗体は、例示的にはローダミンまたはシアニンなどの相違するフルオロフォアを用いて標識される。そこで各抗体の結合は相互の干渉を受けずに検出および定量され、各酵素活性の量は、マイクロタイタープレートの同一ウエル内で同一サンプルから検出可能である。
【0049】
また別の例示的なアッセイフォーマットは、マススペクトロメトリーを用いて実施される。標的酵素に対するアッセイは、まず例示的に、血清、血漿、全血、尿、唾液、他の生体液もしくは組織溶解物、溶液中の組換えもしくは天然精製酵素、または生体液もしくは液体培地中の化学的もしくは機能的に修飾された酵素を含むサンプルを入手することによって実施される。濾紙サンプルの一部は、次にアッセイ溶液が加えられる非結合性アッセイチューブもしくはマイクロタイタープレートウエル内で切り取られ沈着させられる。アッセイ溶液は、水性緩衝液、基質、標準物質、ならびにプロテアーゼ阻害剤を含む。サンプル混合液は、次に30〜41℃の範囲の特定温度で、30分間〜20時間の範囲の所定時間インキュベートされる。インキュベーションが完了すると、酵素反応は、停止溶液の添加によって終了させられる。停止溶液は、例示的には6×反応容量で加えられる0.4Mグリシン/NaOH(pH10.4)である。Leonard R.他著、J.Biol.Chem.、2006年、第281巻、第4867〜75頁、Boot RG他著、J.Biol.Chem.、2006年、第282巻、第1305〜12頁を参照されたい。生成物の形成量は、公知量のサンプルを、高結合アッセイチューブもしくはマイクロタイタープレートへ移すことによって決定され、5分間から2時間にわたってインキュベートされる。未結合物質は、洗浄によって除去される。未変化の基質又は生成物の検出は、例示的には結合ペルオキシダーゼ酵素法を使用して実施される。さらに別のシナリオでは、遊離グルコースもしくはガラクトース生成物のレベルは、結合酵素法によってリアルタイムで測定される。非限定的実施例は、ポンペ病の診断においてα−グルコシダーゼに対して特異的な本発明の基質からのグルコースの遊離を含む。このアッセイ法では、グルコースは、グルコースオキシダーゼと反応させられ、グルコラクトンを産生し、過酸化水素を遊離させる。遊離過酸化水素は、ペルオキシダーゼとの反応によって検出され、標準蛍光光度計上で測定される蛍光分子を生成する。適切なペルオキシダーゼの例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたは当技術分野で公知の任意の他のペルオキシダーゼである。グルコースオキシダーゼによって遊離された過酸化水素は、検出基質分子と相互作用する。ペルオキシダーゼは、この基質の蛍光生成物への変換を触媒する。本発明による基質とともに使用するために適切な検出分子には、蛍光生成物であるレゾルフィンを生成するためにその中で酸化されるAmplex Red(登録商標)が含まれる。Amplex Red(登録商標)および遊離グルコースを検出するためのキットは、Invitrogen Corpから入手できる。赤色蛍光生成物の増加は、5nmに設定した帯域通過とともに、励起波長571nm、発光波長585nmに設定した蛍光光度計上で検出される。グリコシダーゼ活性の量が多いほど、より迅速に赤色蛍光生成物が生成される。
【0050】
好ましい実施形態において、様々なリソソーム酵素のための複数の基質は、固有のB−B構造を備えて生成される。これは、1の本発明の基質に対する1つ酵素の触媒活性が、その対応する本発明の基質に対する他の酵素の触媒活性よりはるかに大きければ特に重要である、1の酵素の生成物阻害を妨害する。これはさらに、単一変異体グリコシダーゼが、6種以上のリソソーム酵素のための1パネルの基質内でスクリーニングされる条件において重要である。他のリソソーム酵素によって形成される生成物は、その活性が正確には測定されないように、より低い活性酵素の機能を阻害する可能性がある。したがって、各酵素に対する基質および生成物の特異性は、随意に異なるものであると理解されている。
【0051】
2以上の酵素が、各酵素に向けられた複数の基質と結合することによって同時に検出される場合、本基質は酵素特異性を付与する糖成分のタイプにおいてだけではなく、B尾部成分の長さにおいても相違する可能性がある。これは、検出ツールとしてMS/MSを使用する場合に特に重要であるが、それは対応する識別された質量指数を有する識別された本発明の基質分子が、試験される様々な酵素に対応するからである。
【0052】
本発明による基質試薬、イムノアッセイ、HPLC、およびマススペクトロメトリーを用いて酵素をアッセイするための記載の方法は広範囲に適用できる。複数の技術は、単一反応において数十種以上の酵素を同時にアッセイするために拡張することができ、希少疾患の診断の確証に役立つ複数のアッセイの必要性を取り除く。本方法は、特異的生化学的経路を通した化学流動速度を評価する場合、または生化学的シグナル伝達経路をモニタリングするために、数種の酵素の同時測定に使用できる。アッセイ毎にマイクログラム未満量の基質試薬しか必要としない、使用されるESI−MS検出の高感受性のために、少ないグラムスケールでの数百種の基質試薬の合成は、実用的かつ経済的になる。
【0053】
好ましい実施形態において、2つのリソソーム酵素は、本発明の基質の使用によって活性について同時に測定される。代替実施形態において、2〜6種のリソソーム酵素が同時に測定される。
【0054】
本発明の基質を使用するための別の好適なフォーマットとして、本基質は同一フルオロフォアで標識され得るが、一方を他方から識別する有意な質量または電荷特性を有している。酵素開裂反応後に生成された生成物の量は、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって検出される。反応は、アルコール、アセトニトリルまたは希トリフルオロ酢酸の添加によってクエンチされる。インキュベーション混合物の一部は、メタノール、アセトニトリル、水−メタノール混合物または水−アセトニトリルなどの純(neat)溶液が加えられる新規のアッセイ容器に移される。反応生成物および未反応基質は、粒径が5μmのC18 HPLCカラム上で分離され、蛍光検出器または検出器セットによって検出される。生成物の量は、増加する関連生成物の量を使用して生成される標準曲線に基づいて計算される。
【0055】
当技術分野では、複数の酵素のための複数の基質は、随意に、HPLC法によって同時に検出されると理解されている。十分に相違する質量又はリテンション特性を備える基質が使用される場合は、各生成物をHPLCカラム内で分離させることができ、単一アッセイで定量できる。あるいは、各基質は、異なるもしくは同一の励起もしくは発光特性を有する異なるフルオロフォアを用いて標識される。検出は、互いにおよびそれらの対応する標識基質から個別生成物を同時に定量できる1ファミリーの蛍光検出器によって行うことができる。他の検出方法も同様に適切であり、当技術分野において公知である。
【0056】
図1は、4−アミノフェニル基で修飾されたα−D−グルコースの、二重保護されたリシン基との反応を示している。リシンを二重保護するための方法は当技術分野において公知であり、例示的実施例は、国際公開第01/27074号に記載されている。その後の合成工程のための適切な反応部位を提供するために、α−アミノ基で特異的に脱保護される中間体A−B−Bが形成される。部位特異的脱保護の方法は、当技術分野において公知である。次にアルキル鎖が天下される。例示的なアルキル鎖は、全長基質分子(A−B−B−B−B)を形成するために、A−B−B中間体に合成的に加えられるドデシル−カルニチン(B−B)によって提供される。この基質分子はGAA特異的基質として活性であり、随意に、マススペクトロメトリーまたはその他の適切なアッセイおよび検出方法を含む分析において使用される。さらに別の好ましい実施形態では、B上の6−アミノ基は、同様に反応性の基質を生成できるように脱保護される。当技術分野では、上記に例示した基質の多数の誘導体の合成は、糖A基またはB基を変化させて、アシルカルニチン上の炭素鎖を変化させることなどによって同様に達成される。さらに、リシン(B)またはその他のアルキル基の多数の誘導体も同様に適切である。
【0057】
当技術分野では、同様の合成経路が、本発明の基質の生成に適切であると理解されている。図2は、保護基およびアシルカルニチンの選択を除いて図1に類似する合成経路を示しており、このとき、nは1〜30の数値である。好ましくは、nは1〜20である。
【0058】
図3は、リソソーム蓄積症を検出するための好適な基質構造を示している。この構造は、グルコースもしくはガラクトースの形態の糖(A)および脂肪族B基から構成される。B基は、さらにニトロフェニルの形態のリンカーアーム(B)、リシンのBサブグループ、カルニチニルのBサブグループ、および10〜30の範囲の炭素長を備えるアルキル形態のBサブグループから構成される。Bサブグループ上に位置する第4級アンモニウムカチオンは、マススペクトロメトリーによる検出に必要とされるさらなるイオン化の必要性を回避する。
【0059】
図4は、酵素活性の多重アッセイフォーマット検出を提供する複数の官能基を示している。B上の末端アミノ基は、固体支持体上でカルボン酸と共有結合を形成することができる。B上の第4級アンモニウムの存在は、リソソーム酵素活性の堅固で容易に検出可能かつ定量可能な検出を提供するMS/MSによる分析において、その後のイオン化が必要とされないように、永久的に帯電した成分を提供する。
【0060】
図5は、本発明の基質を使用した一般的酵素反応を示している。特異的親和性結合および酵素反応の際、基質は糖成分Aおよび脂肪族基Bの2つの基に開裂される。B基は、随意に、ニトロフェニル、リシン、カルニチニル、および長鎖アルキル成分から構成される。どちらの基も、随意に、その後MS/MSによって分析される。内部標準物質もまた、同時にMS/MS分析される。内部標準物質は、メチル基上の水素原子を置換するためにジュウテリウムを用いて同位体標識されたBのアナログである。あるいは、B上の脱保護された末端アミノ基は、生成物の存在または非存在をイムノアッセイ法を使用して随意に検出するように、固体支持体と反応性を有する。脱保護された末端アミンは、HPLC、もしくは他の適切な検出方法のために蛍光試薬を用いて誘導体化することもできる。
【0061】
図6は、先行技術方法と比較して有益である、マススペクトロメトリーを使用した酵素反応の検出を示す好適な本発明の方法を例示している。
【0062】
先行技術では、各リソソーム酵素基質は固有の合成経路を必要とする。対照的に、本発明の基質は、一般的合成経路を用いて合成することができる。2以上の本発明の基質に対して共通の合成経路を有することは、より短時間でより複雑ではない生成工程及び共通原料の使用に起因する製造環境における大幅な節約を意味する。本発明の基質は、また先行技術に比較して迅速に合成することもできる。合成は、3工程という少ない工程で実施される。リソソーム酵素GAA(ポンペ病)に対する特異性を有する好ましい本発明の基質の合成は、図1に示されている。
【0063】
さらに、化合物B−B−B−Bは、アンタゴニスト、分析用対照、又は甲状腺機能低下症、糖尿病、及びHIVなどの疾患の臨床治療のため機能的であると理解される。B−B−B−B分子は、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、OもしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化7】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、もしくはSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、もしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化8】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。
【0064】
別の実施形態において、本発明の基質A−B−B−B−Bは、随意に、AとBとの間の非加水分解性結合を用いて合成される。これは、標的リソソーム酵素に対して高度の特異性を維持し、それによって特異性がAおよびB成分の両方によって付与される自殺基質を生成する。これらの分子は、酵素機能のより特異的かつ強力な阻害剤として貢献する。
【0065】
図1は、4−アミノフェニル基で修飾されたα−D−グルコースの、示差的に保護されたリシン基との反応を示している。リシンを示差的に保護するための方法は当技術分野において公知であり、例示的実施例は、国際公開第01/27074号パンフレットに記載されている。その後の合成工程のために適切な反応部位を提供するために、α−アミノ基で特異的に脱保護される中間体A−B−Bが形成される。部位特異的脱保護の方法は、当技術分野において公知である。続いて、アルキル鎖が加えられる。好適なアルキル鎖は、全長基質分子(A−B−B−B−B)を形成するために、A−B−B中間体に合成的に加えられるドデシル−カルニチン(B−B)によって提供される。この基質分子はGAA特異的基質として活性であり、随意に、マススペクトロメトリーまたはその他の適切なアッセイおよび検出方法を含む分析において使用される。さらに別の好ましい実施形態では、B上の6−アミノ基は、同様に反応性の基質を生成できるように脱保護される。当技術分野では、上記に例示した基質の多数の誘導体の合成は、糖A基またはB基を変化させてアシルカルニチン上の炭素鎖を変化させることなどによって同様に達成される。さらに、リシン(B)またはその他のアルキル基の多数の誘導体も同様に適切である。
【0066】
当技術分野では、同様の合成経路が本発明の基質の生成に適切であると理解されている。図2は、保護基およびアシルカルニチンの選択を除いて図1に類似する合成経路を示しており、このときnは1〜30の数値である。好ましくは、nは、1〜20である。
【0067】
図3は、リソソーム蓄積症を検出するための好適な基質構造を示している。この構造は、グルコースもしくはガラクトースの形態の糖(A)および脂肪族B基から構成される。B基は、さらにニトロフェニルの形態のリンカーアーム(B)、リシンのBサブグループ、カルニチニルのBサブグループ、および10〜30の範囲の炭素長を備えるアルキル形態のBサブグループから構成される。Bサブグループ上に位置する第4級アンモニウムカチオンは、マススペクトロメトリーによる検出に必要とされるさらなるイオン化の必要性を回避する。
【0068】
図4は、酵素活性の多重アッセイフォーマット検出を提供する複数の官能基を示している。B上の末端アミノ基は、固体支持体上でカルボン酸と共有結合を形成することができる。B上の第4級アンモニウムの存在は、リソソーム酵素活性の堅固で容易に検出可能かつ定量可能な検出を提供するMS/MSによる分析において、その後のイオン化が必要とされないように、永久的に帯電した成分を提供する。
【0069】
図5は、本発明の基質を使用した一般的酵素反応を示している。特異的親和性結合および酵素反応の際、基質は糖成分Aおよび脂肪族基Bの2つの基に開裂される。B基は、随意に、ニトロフェニル、リシン、カルニチニル、および長鎖アルキル成分から構成される。どちらの基も、随意に、その後MS/MSによって分析される。内部標準物質もまた、同時にMS/MS分析される。内部標準物質は、メチル基上の水素原子を置換するためにジュウテリウムを用いて同位体標識されたBのアナログである。あるいは、B上の脱保護された末端アミノ基は、生成物の存在または非存在をイムノアッセイ法を使用して随意に検出するように、固体支持体と反応性を有する。脱保護された末端アミンは、HPLC、もしくは他の適切な検出方法のために蛍光試薬を用いて誘導体化することもできる。
【0070】
図6は、先行技術方法と比較して有益である、マススペクトロメトリーを使用した酵素反応の検出を示す好適な本発明の方法を例示している。本発明の方法は、非極性基質およびそれらの関連内部標準物質の使用で、固有の多数の工程を排除する。より詳細には、本発明の方法は、それらの包含がマススペクトロメトリーの機器類にとって有害である非極性溶媒および/または界面活性剤の浄化工程をもはや必要としない。これらの工程には、液−液抽出工程による酵素反応生成物のクロロホルム中への抽出、シリカゲル分離工程による界面活性剤の除去、および固相抽出(SPE)方法の工程が含まれる。先行技術のこれらの余分な工程は、統計的誤差を増加させる。本発明による基質は、先行技術に比較してより極性であるため、例示的に純メタノールまたは純エタノールを含む極性溶媒は本明細書では操作的である。
【0071】
基質、酵素反応生成物、および内部標準物質を含む全試薬は、随意に、逆相HPLCによって精製し、オンラインHPLC−MSアッセイまたは適切な分画の収集によるオフラインのいずれかでESI−MSによって特性解析することができる。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
各サンプルについて、96ウエルマイクロタイタープレートのウエル内に、濾紙上の乾燥血液の領域から直径3mmのディスクが穿孔される。次に、この血液ディスクをファブリー病に対する最終濃度が5μmol/Lの基質および最終濃度が0.1μmol/Lの内部標準物質を含有するアッセイ溶液と直接インキュベートする。このアッセイ溶液に、最終濃度が0.5mol/Lの酢酸ナトリウム緩衝液も添加する。血液ディスクを含有するアッセイ混合物は、恒温エアシェーカー内で軌道振盪(150rpm)しながら37℃で15〜24時間にわたりインキュベートする。インキュベーション期間後、純メタノールのアリコートを各チューブまたはウエルに添加し、酵素反応を終了させる。マススペクトロメトリーに進める前に、インキュベートした反応混合液を純メタノールで希釈する。マススペクトロメトリー分析のためには、エレクトロスプレー源を陽モードで作動させ、親イオンスキャンモードでイオンを検出する。酵素反応生成物の量は、ブランクのイオン存在量を差し引いた生成物対内部標準物質のイオン存在比から産出する。
【0073】
(実施例2)
代替実施形態では、本発明の基質との反応の生成物をイムノアッセイによって定量する。濾紙上の血斑を、緩衝液中で再構成し、活性成分を遊離させる。1または一連の本発明の基質を反応チャンバーに添加し、反応を一晩(〜約14時間)進行させる。この反応は、6倍容量のグリシン/NaOH(pH10.4)を添加してクエンチされる。各反応のサンプルを高結合照射マイクロタイタープレートのウエルに添加し、反応生成物がプレートのウエルに十分に結合できるように一晩インキュベートする。類似の緩衝液/サンプル中での生成物の標準曲線もまた、定量のベースとして貢献するようにプレートに添加する。プレート表面への完全結合後、ウエルは、噴出ボトル、プレート洗浄装置、または任意の他の自動又は非自動プレート洗浄システムを使用して、リン酸緩衝食塩液(PBS)で2回洗浄される。続いて、タンパク質結合のための任意の追加部位は、例示的にPBS中の3%ウシ血清アルブミンを含むブロッキング剤、または任意の他の当技術分野において公知の合成もしくは天然ブロッキング剤の添加によってブロックキングする。ブロックキングは、室温で2時間インキュベートする。これらのウエルを、PBSで3回洗浄する。次に、残存基質、または生成物を認識して結合するように、一次抗体をウエルに加える。これらの抗体を、少なくとも2時間ウエル内でインキュベートする。未結合抗体を除去するために、プレートを4回洗浄する。一次抗体が標識されたら、プレートを検出に使用する。随意に、標識された二次抗体をプレートウエル内に配置し、さらに2時間インキュベートし、次に4回洗浄し、蛍光もしくは光学プレートリーダーなどの適当な方法によって検出する。
【0074】
(実施例3)
代替実施形態では、本発明の基質との反応の生成物をイムノアッセイによって定量する。濾紙上の血斑を、緩衝液中で再構成し、活性成分を遊離させる。コード化粒子に固定化した1または一連の本発明の基質を、反応チャンバー、好ましくはマイクロプレートウエルに加え、反応を一晩(約14時間)進行させる。類似の緩衝液/サンプル中での酵素の標準曲線もまた、定量のベースとして貢献するようにコード化粒子の個別セットに加える。この反応は、6倍容量のグリシン/NaOH(pH10.4)を添加してクエンチする。次に、残存基質、または生成物を認識して結合するように、一次抗体をウエルに加える。これらの抗体を、少なくとも30分間インキュベートする。一次抗体が標識されているなら、本アッセイは検出の準備が整う。随意に、標識された二次抗体をプレートウエル内に配置し、さらに30分間インキュベートさせる。検出は、フローサイトメーターで実施する。
【0075】
(実施例4)
好ましい実施形態のB上の活性アミノ基には、多数の標識方法を適用できる。中でも、蛍光標識は、優れた感受性、標準物質に比較して定量する能力を提供し、複数のリソソーム酵素のためのパネルアッセイにおいて、他のフルオロフォアを用いて他の基質と結合することができるので最も強力な検出方法の1つを提供する。代表的な実施例では、B側鎖アミンは、フルオロイソチオシアネート(FITC)を用いて特異的に標識される。図1の本発明の基質の誘導体化は、B基の末端アミンへのFICT分子の添加によって実施する。精製/凍結乾燥基質は、濃度5mg/mLの0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.0)中に再懸濁させる。基質との反応の直前に、暗所で0.5mlのDMSO中に5mgのFITC色素を溶解させる。緩徐にボルテックス・ミキサーにかけながら、基質溶液の0.1mLの色素溶液を加え、暗所で、室温で1時間インキュベートする。遊離未反応色素は、リン酸緩衝食塩液中で事前に平衡させた10×300mmのSephadex Gカラム上でのゲル濾過によって除去する。最終生成物の濃度はマススペクトロメトリーまたは当技術分野において公知の他の方法によって決定する。標識基質は、随意に濃縮され、その後の使用まで−20℃で貯蔵するために分注する。
【0076】
標識基質は、グルコセレブロシダーゼ活性の検出およびゴーシェ病の検出のための反応において使用する。各患者または対照サンプルについて、マイクロ遠心管または96ウエルマイクロタイタープレートのウエル内に、濾紙上の乾燥血液の領域から直径3mmのディスクが穿孔される。次に、この血液ディスクを最終濃度が5μmol/Lの標識された本発明の基質および最終濃度が0.1μmol/Lの内部標準物質を含有するアッセイ溶液と直接インキュベートする。血液ディスクを含有するアッセイ混合物を、恒温エアシェーカー内で軌道振盪(150rpm)しながら37℃で15〜24時間インキュベートする。インキュベーション期間後、純メタノールのアリコートを各チューブまたはウエルに添加し、酵素反応を終了させる。反応のサンプルを、HPLC移動相(メタノール:水:酢酸、82:18:0.1(vol/vol/vol))を含有する第2のチューブに添加する。クエンチした反応溶液の20μlのアリコートは、移動相として、82:18:0.1(vol/vol/vol)でのメタノール:水:酢酸を使用して、1.3mL/分の速度で、均一濃度的に4.6×250mmのSymmetry C18逆相HPLCカラム(Waters、マサチューセッツ州ミルフォード)上で分離する。蛍光強度は、中程度のゲイン感度で蛍光検出器(L−7480型;Hitachi、イリノイ州ネーパービル)を用いて継続的にモニタリングする。サンプル中の標識生成物の量は、ピーク面積を公知濃度の標識生成物から構成される外部標準物質のピーク面積と比較することによって決定する。反応中の生成物の濃度は、容易に決定され、グルコセレブロシダーゼの活性は、生成物のモル数/単位反応時間当たり、に割ることによって決定する。
【0077】
(実施例5)
代替実施形態では、本発明の基質との反応の生成物はイムノアッセイによって定量するが、このとき開裂した本発明の基質を標的とする特異的抗体を使用する。濾紙上の血斑を、緩衝液中で再可溶化させ、活性成分を遊離させる。1又は一連の本発明の基質を反応チャンバーに添加し、反応を一晩(〜約14時間)進行させる。この反応は、6倍容量のグリシン/NaOH(pH10.4)を添加してクエンチする。マイクロタイタープレートは、ニトロフェニル−アミノアシルB−B部分に対して特異的である、マウス内で生成される抗体でコーティングすることによって事前に調製する。続いて、タンパク質結合のための任意の追加部位は、例示的にPBS中の3%ウシ血清アルブミンを含むブロックキング剤、又は任意の他の当技術分野において公知の合成もしくは天然ブロックキング剤の添加によってブロッキングされる。各反応のサンプルをマイクロタイタープレートのウエルに添加し、反応生成物がプレートのウエルに十分に結合できるように2時間から一晩インキュベートする。類似の緩衝液/サンプル中での対照生成物の標準曲線もまた、定量のベースとして機能するようにプレートに添加する。プレート表面への完全結合後、ウエルを、噴出ボトル、プレート洗浄装置、または任意の他の自動もしくは非自動プレート洗浄システムを使用して、リン酸緩衝食塩液(PBS)を用いて2回洗浄する。次に、代替エピトープにおいて、生成物を認識して結合するように、一次抗体をウエルに加える。これらの抗体は、少なくとも2時間ウエル内でインキュベートされる。未結合抗体を除去するために、プレートを4回洗浄する。一次抗体が標識されている場合には、プレートを検出に使用する。随意に、標識された二次抗体をプレートウエル内に配置し、さらに2時間インキュベートし、次に4回洗浄し、蛍光もしくは光学プレートリーダーなどの適当な方法によって検出する。
【0078】
本明細書で言及したあらゆる特許または刊行物は、本発明が関係する分野の当業者のレベルを示すものである。これらの特許および刊行物は、あたかも各個別刊行物の内容が特別かつ個別に、参考として援用されると指示された場合と同程度まで参考として本明細書で援用される。
【0079】
当業者であれば、本発明が上記目的を実施し、前記結果および利点、ならびに本発明の固有の利点を得るために良好に適合することを容易に理解するであろう。本明細書に記載の方法、手順、処理、分子および特定化合物とともに示した本実施例は、好ましい実施形態を現在表すものであり、典型であり、本発明の範囲を限定するものとは意図されていない。他の実施形態が存在し、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨に含まれることは明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式、A−(B−B−B−B) (I)
〔式中、Aは、単糖もしくは二糖であり、及び、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化1】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、もしくはSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、もしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化2】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。〕を有する酵素の分析のための基質。
【請求項2】
前記酵素の作用によって、A、及び(B−B−B−B)が分離される請求項1に記載の基質。
【請求項3】
Aが、アルドヘキソース、又はケトヘキソースである請求項1に記載の基質。
【請求項4】
Aが、D−グルコース、又はD−ガラクトースである請求項1に記載の基質。
【請求項5】
が、環から伸長する置換基を有するCアリールである請求項1に記載の基質。
【請求項6】
が、リシンである請求項1に記載の基質。
【請求項7】
が、フルオロフォアの添加によって誘導体化される請求項1に記載の基質。
【請求項8】
が、カルニチニルである請求項1に記載の基質。
【請求項9】
が、カルボニルとして存在するOの置換基を有するC−C20アルキルである請求項8に記載の基質。
【請求項10】
(B−B−B−B)が、構成要素の安定な二次的に優勢な同位体を含む請求項1に記載の基質。
【請求項11】
各発生において前記安定な二次的に優勢な同位体が、D、13C、15N、17O、18O、31P、及び34Sからなる群からされる請求項10に記載の基質。
【請求項12】
式、B−B−B−B (I)
〔式中、Bは、C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、OもしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Bは、アミノ酸、2,6−ジアミノヘキサン酸、又は、
【化3】

[式中、R’は、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、もしくはSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、もしくはSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Xは、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、R’は、欠損、又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Yは、炭素、窒素、酸素、又は硫黄求核基であり、及び、nは、1〜30の整数である]であり、
は、
【化4】

[式中、Rは、C−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;ヘテロ原子C−C20アリール;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、Rは、各出現時に独立して、H;C−C20アルキル;C−C20アルキルの置換基を有するC−C20アルキルであり、Xは、各出現時に独立して、欠損、酸素、硫黄、又は窒素であり、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環であり、nは、0〜30の整数であり、さらに、Rは、各出現時に独立して、欠損;C−C20アルキル;置換されたC−C20アリールを有するC−C20;C−C20カルボニル;C−C20アミジル;C−C20エーテル;C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である]であり、及びBは、欠損又はC−C20アルキル;C−C20エーテル;N、O、又はSの置換基を有するC−C20アルキル;C−C20エステル;C−C20アルコール;C−C20アルケニル;ヘテロ原子C−C20アリール;N、O、又はSのヘテロ原子を含有するC−C20複素環である。〕を有する分子。
【請求項13】
が、環から伸長する置換基を有するCアリールである請求項12に記載の分子。
【請求項14】
が、リシンである請求項12に記載の分子。
【請求項15】
が、フルオロフォアの添加によって誘導体化される請求項12に記載の分子。
【請求項16】
が、カルニチニルである請求項12に記載の分子。
【請求項17】
が、カルボニルとして存在するOの置換基を有するC−C20アルキルである請求項12に記載の分子。
【請求項18】
(B−B−B−B)が、構成要素の安定な二次的に優勢な同位体を含む請求項12に記載の分子。
【請求項19】
各発生において前記安定な二次的に優勢な同位体が、D、13C、15N、17O、18O、31P、及び34Sからなる群からされる請求項18に記載の分子。
【請求項20】
酵素活性を検出するための方法であって、
標的酵素を含有するサンプルを請求項1に記載の基質と接触させる工程、ここで、前記基質は、前記標的酵素が前記基質に作用し、酵素反応生成物を生成することのできる条件下で固体支持体に結合させられる、及び、
前記固体支持体上に残存している基質の量を検出する工程とを含む、酵素活性を検出するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−514809(P2011−514809A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550887(P2010−550887)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/037087
【国際公開番号】WO2009/114763
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(508280243)パーキンエルマー ラス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】