説明

多重織物およびその製造方法

【課題】ガーゼ様の風合いを有し、保温性、柔軟性、通気性に優れる多重織物を提供する。
【解決手段】多重織物を、平織組織からなる表布11および裏布12と、前記表裏布間にあって、平織組織からなる対向一対の基布13aをパイル経糸により結合した立体中布13と、から構成し、表裏布11、12と立体中布13とは、所定ピッチで結合部14により結合する。立体中布13により、嵩高になっているため、保温性、柔軟性、通気性、および吸湿性に優れ、かつガーゼ様の表裏布11、12のため涼やかな風合いを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多重織物およびその製造方法に関する。
より詳しくは、ガーゼ様の風合いを持つ表裏布の間に立体構造を有する嵩高の中布を備えた多重織物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種衣料や寝具などの生地となる織物として、ループパイルを有するタオル織物やカットパイルを有するパイル織物が知られているが、これらの織物はその風合い等から冬場に用いるには好適であるが、夏場に用いるにはあまり適していない。
ところが、昨今の地球温暖化や住環境の変化に伴って、年間を通じて用いるのに好適な織物が市場で求められつつある。
【0003】
そのような織物として、特許文献1および2のような、ガーゼ用の平織組織を多重に積層した多重織物が発案されており、このような平織組織の積層により、ガーゼの涼やかな風合いを保ちつつ保温性を高めることに一定の成果をおさめてはいる。
【0004】
しかし、平織組織を積層するだけでは、保温性を高めるにも限度があり、やわらかさ、通気性などにも課題が残る。
また、製造工程においては、一度の筬打ちに一本の緯糸しか打ち込めないため、多重にすればするほど緯糸の打ち込み回数が増し、生産効率が悪い問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2004−107823号公報
【特許文献2】2004−107824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、ガーゼ様の風合いを有し、保温性、柔軟性、通気性に優れ、かつ生産効率の高い多重織物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、この発明の多重織物を、ガーゼ緯糸とガーゼ経糸の平織組織からなる表布および裏布と、前記表裏布間にあって、地緯糸と地経糸の平織組織からなる対向一対の基布間に、パイル経糸を所定の配列で架け渡して前記地緯糸に交絡させてなる立体中布と、を備えるものとしたのである。
ここで、前記表布と立体中布および前記裏布と立体中布とは、ガーゼ経糸を地緯糸に所定ピッチで交絡させることまたは地経糸をガーゼ緯糸に所定ピッチで交絡させてなる結合部により結合されるものとする。
さらに前記パイル経糸の配列を、隣接するパイル経糸同士で対称形とするのが好ましい。
【0008】
このように多重織物を構成すると、多重織物の内部が、一対の基布と、基布間をジグザグに渡って結合するパイル経糸とからなる立体構造の中布であるため、単に平織組織を積層する場合に比べて多重織物を嵩高にすることができる。したがって、多重織物の保温性、柔軟性、通気性が増し、吸湿性に優れる。
また、多重織物の表裏面は平織組織からなるガーゼ様の表裏布のため、単に平織組織を積層する場合に比べても涼やかな風合いは劣らない。
【0009】
また、上記した課題を解決するため、この発明の多重織物の製造方法を、緯糸として、地緯糸およびガーゼ緯糸を、経糸として、地経糸、ガーゼ経糸およびパイル経糸を、それぞれ準備し、地緯糸が1本、ガーゼ緯糸が2本からなる組を繰り返し配列したものを上下一対に配置し、地経糸を1本おきの地緯糸の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸に交絡させ、かつ所定ピッチでガーゼ緯糸にも交絡させ、ガーゼ経糸を地緯糸とガーゼ緯糸の間を内側から外側に向けて通し、かつガーゼ緯糸同士の間を外側から内側に向けて通してガーゼ緯糸に交絡させ、パイル経糸を上下の地緯糸間に架け渡し、地緯糸の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸に交絡させる構成としたのである。
【0010】
あるいは、上記した課題を解決するため、この発明の多重織物の製造方法を、緯糸として、地緯糸およびガーゼ緯糸を、経糸として、地経糸、ガーゼ経糸およびパイル経糸を、それぞれ準備し、地緯糸が1本、ガーゼ緯糸が2本からなる組を繰り返し配列したものを上下一対に配置し、地経糸を1本おきの地緯糸の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸に交絡させ、ガーゼ経糸を地緯糸とガーゼ緯糸の間を内側から外側に向けて通し、かつガーゼ緯糸同士の間を外側から内側に向けて通してガーゼ緯糸に交絡させ、かつ所定ピッチで地緯糸にも交絡させ、パイル経糸を上下の地緯糸間に架け渡し、地緯糸の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸に交絡させる構成としたのである。
【0011】
これらのように多重織物の製造方法を構成すると、筬打の際に一度に上下一対に配置された緯糸を2本ごと打ち込むことができるため、単に平織組織を積層する場合に比べて生産効率が向上する。
【発明の効果】
【0012】
発明にかかる多重織物を以上のように構成したので、ガーゼ様の風合いを有し、保温性、柔軟性、通気性に優れたものとでき、かつ生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の多重織物の一部断面斜視図
【図2】第1実施形態の多重織物織成時の、(a)は奇数筬目における、(b)は偶数筬目における、それぞれ機械的配置を示す縦断面図
【図3】第1実施形態の多重織物の(a)は奇数筬目における、(b)は偶数筬目における、縦断面図
【図4】第2実施形態の多重織物織成時の、(a)は奇数筬目における、(b)は偶数筬目における、それぞれ機械的配置を示す縦断面図
【図5】第2実施形態の多重織物の(a)は奇数筬目における、(b)は偶数筬目における、縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1のように、実施形態にかかる多重織物10は、ガーゼ緯糸とガーゼ経糸の平織組織からなる表布11および裏布12と、地緯糸と地経糸の平織組織からなる対向一対の基布13aをジグザグに渡るパイル経糸により結合した立体中布13と、からなる。
ここで、表布11および裏布12と、立体中布13とは、一方向に所定ピッチで並列する複数の結合部14により結合されている。
【0016】
実施形態の多重織物10は寝具等の生地として用いられ、立体中布13により、嵩高になっているため、保温性、柔軟性、通気性、および吸湿性に優れ、かつガーゼ様の表裏布11、12のため涼やかな風合いを有する。このように、保温性と清涼性を併有しているため、四季を通じて好適に用いられる。
【0017】
第1実施形態の多重織物10の断面を図2および図3に示す。
図2(a)のように、奇数筬目における緯糸の配置は、地緯糸○1本に対しガーゼ緯糸●2本の組の繰返し配列を織物X、織物Yについて全く同じとし、かつ緯糸1から18までを1リピート長さとしている。
すなわち、緯糸の2、5、8、11・・・3n−1(nは自然数、以下同じ)番目は地緯糸○となり、それ以外の3n−2、3n番目はガーゼ緯糸●となっている。
なお、ここで織物X、Yは上下に並列した状態で織成されるため、筬打の際に一度に緯糸を2本ごと打ち込むことができ、生産効率が高いものとなっている。
【0018】
また織物Xにおいて、地経糸V1 は1つ置きの地緯糸○、すなわち5、11、17・・・6n−1番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡しており、かつ地経糸V1はガーゼ緯糸●の18に交絡している。
一方織物Yにおいて、地経糸V1 は1つ置きの地緯糸○、すなわち2、8、14・・・6n−4番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡しており、ガーゼ緯糸●には交絡していない。
【0019】
さらに、図示のように、ガーゼ経糸W1は、織物Xでは1、4、7、10・・・3n−2番目のガーゼ緯糸●に、織物Yでは3、6、9、12・・・3n番目のガーゼ緯糸●にそれぞれ外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡している。
【0020】
さらに、図示のように、パイル経糸P1 は織物Xの緯糸1〜9に対して、1では内側、2では外側、3から7では内側、8では外側、9では内側へ通された後、織物Yへと架け渡されている。
次にパイル経糸P1は織物Yの緯糸10〜18に対して、10では内側、11では外側、12から16では内側、17では外側、18では内側に通された後、織物Xへと架け渡されている。
織物Xの緯糸19〜27におけるパイル経糸P1の配列は上記緯糸1〜9におけるものとまったく同じであり、織物Yの緯糸28〜36におけるパイル経糸P1の配列は上記緯糸10〜18におけるものとまったく同じである。
以下、織物Xの緯糸9n+1〜9n+9におけるパイル経糸P1の配列は、緯糸1〜9におけるものと、織物Yの緯糸9n+10〜9n+18におけるパイル経糸P1の配列は、緯糸10〜18におけるものと、それぞれ一致する。
【0021】
一方、図2(b)のように、偶数筬目における緯糸の配置は、地緯糸○1本に対しガーゼ緯糸●2本の繰返し配列を織物X、織物Yについて全く同じとし、かつ緯糸1から18までを1リピート長さとしている。
すなわち、緯糸の2、5、8、11・・・3n−1(nは自然数、以下同じ)番目は地緯糸○となり、それ以外3n−2、3n番目はガーゼ緯糸●となっている。
【0022】
また織物Xにおいて、地経糸V2 は1つ置きの地緯糸○、すなわち2、8、14・・・6n−4番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡し、かつガーゼ緯糸●には交絡していない。
一方織物Yにおいて、地経糸V2 は1つ置きの地緯糸○、すなわち5、11、17・・・6n−1番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡しており、かつ地経糸V2はガーゼ緯糸●の18に交絡している。
【0023】
さらに、図示のように、ガーゼ経糸W2は、織物Xでは3、6、9、12・・・3n番目のガーゼ緯糸●に、織物Yでは1、4、7、10・・・3n−2番目のガーゼ緯糸●にそれぞれ外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡している。
【0024】
さらに、図示のように、パイル経糸P2 は織物Yの緯糸1〜9に対して、1では内側、2では外側、3から7では内側、8では外側、9では内側へ通された後、織物Xへと掛け渡されている。
次にパイル経糸P2は織物Xの緯糸10〜18に対して、10では内側、11では外側、12から16では内側、17では外側、18では内側に通された後、織物Yへと架け渡されている。
織物Yの緯糸19〜27におけるパイル経糸P2の配列は上記緯糸1〜9におけるものとまったく同じであり、織物Xの緯糸28〜36におけるパイル経糸P2の配列は上記緯糸10〜18におけるものとまったく同じである。
以下、織物Yの緯糸9n+1〜9n+9におけるパイル経糸P2の配列は、緯糸1〜9におけるものと、また織物Xの緯糸9n+10〜9n+18におけるパイル経糸P2の配列は、緯糸10〜18におけるものと、それぞれ一致する。
【0025】
すなわち、偶数筬目における緯糸の配置は奇数筬目におけるものと同じであり、偶数筬目における経糸の配置は奇数筬目におけるものと表裏が逆転した関係(対称形)になっている。
【0026】
第1実施形態における多重織物10の緯糸および経糸の機械的配置は以上のようである。次に織成を終えると、ガーゼ緯糸とガーゼ経糸からなる平織組織と、地緯糸と地経糸からなる平織組織とは、地経糸V1、V2がガーゼ緯糸●の18に交絡しているのを除いて、互いに拘束する関係にはないため、自然と図3のように分離する。
【0027】
ここでガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2からなる平織組織は、ガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2として、地緯糸○や地経糸V1、V2、パイル経糸P1、P2よりも細い(小径)ものが用いられているため、ガーゼ状の風合いを有する通気性の良い表布11および裏布12となる。
また、地緯糸○と地経糸V1、V2からなる平織組織は基布13aとなり、この基布13aと基布間を結合するパイル経糸P1、P2とで立体構造で嵩の高い立体中布13となる。また、地経糸V1、V2がガーゼ緯糸●の18に交絡した部分が図1の結合部14を構成する。
【0028】
また第2実施形態の多重織物10の断面を図4および図5に示す。
図4(a)のように、奇数筬目における緯糸の配置は、地緯糸○1本に対しガーゼ緯糸●2本の組の繰返し配列を織物X、織物Yについて全く同じとし、かつ緯糸1から18までを1リピート長さとしている。
すなわち、緯糸の2、5、8、11・・・3n−1番目は地緯糸○となり、それ以外3n−2、3n番目はガーゼ緯糸●となっている。
【0029】
また織物Xにおいて、地経糸V1 は1つ置きの地緯糸○、すなわち5、11、17・・・6n−1番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡している。
一方織物Yにおいて、地経糸V1 は1つ置きの地緯糸○、すなわち2、8、14・・・6n−4番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡している。
【0030】
さらに、図示のように、ガーゼ経糸W1は、織物Xでは1、4、7、10・・・3n−2番目のガーゼ緯糸●に、外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡しており、かつ17番目の地緯糸○にも交絡している。
一方織物Yにおいて、ガーゼ経糸W1は、3、6、9、12・・・3n番目のガーゼ緯糸●にそれぞれ外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡しており、地緯糸○には交絡していない。
【0031】
さらに、図示のように、パイル経糸P1 は織物Xの緯糸1〜9に対して、1では内側、2では外側、3から7では内側、8では外側、9では内側へ通された後、織物Yへと架け渡されている。
次にパイル経糸P1は織物Yの緯糸10〜18に対して、10では内側、11では外側、12から16では内側、17では外側、18では内側に通された後、織物Xへと架け渡されている。
織物Xの緯糸19〜27におけるパイル経糸P1の配列は上記緯糸1〜9におけるものとまったく同じであり、織物Yの緯糸28〜36におけるパイル経糸P1の配列は上記緯糸10〜18におけるものとまったく同じである。
以下、織物Xの緯糸9n+1〜9n+9におけるパイル経糸P1の配列は、緯糸1〜9におけるものと、また織物Yの緯糸9n+10〜9n+18におけるパイル経糸P1の配列は、緯糸10〜18におけるものと、それぞれ一致する。
【0032】
一方、図4(b)のように、偶数筬目における緯糸の配置は、地緯糸○1本に対しガーゼ緯糸●2本の繰返し配列を織物X、織物Yについて全く同じとし、かつ緯糸1から18までを1リピート長さとしている。
すなわち、緯糸の2、5、8、11・・・3n−1(nは自然数、以下同じ)番目は地緯糸○となり、それ以外3n−2、3n番目はガーゼ緯糸●となっている。
【0033】
また織物Xにおいて、地経糸V2 は1つ置きの地緯糸○、すなわち2、8、14・・・6n−4番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡している。
一方織物Yにおいて、地経糸V2 は1つ置きの地緯糸○、すなわち5、11、17・・・6n−1番目の地緯糸に内側から外側を経て内側に回り込むように交絡している。
【0034】
さらに、図示のように、ガーゼ経糸W2は、織物Xでは3、6、9、12・・・3n番目のガーゼ緯糸●にそれぞれ外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡しており、地緯糸○には交絡していない。
一方織物Yにおいて、ガーゼ経糸W2は、1、4、7、10・・・3n−2番目のガーゼ緯糸●に、外側から内側を経て外側へ廻り込むように交絡しており、かつ17番目の地緯糸○にも交絡している。
【0035】
さらに、図示のように、パイル経糸P2 は織物Yの緯糸1〜9に対して、1では内側、2では外側、3から7では内側、8では外側、9では内側へ通された後、織物Xへと渡されている。
次にパイル経糸P2は織物Xの緯糸10〜18に対して、10では内側、11では外側、12から16では内側、17では外側、18では内側に通された後、織物Yへと渡されている。
織物Yの緯糸19〜27におけるパイル経糸P2の配列は上記緯糸1〜9におけるものとまったく同じであり、織物Xの緯糸28〜36におけるパイル経糸P2の配列は上記緯糸10〜18におけるものとまったく同じである。
以下、織物Yの緯糸9n+1〜9n+9におけるパイル経糸P2の配列は、緯糸1〜9におけるものと、織物Xの緯糸9n+10〜9n+18におけるパイル経糸P2の配列は、緯糸10〜18におけるものと、それぞれ一致する。
【0036】
すなわち、偶数筬目における緯糸の配置は奇数筬目におけるものと同じであり、偶数筬目における経糸の配置は奇数筬目におけるものと表裏が逆転した関係にある。
【0037】
第2実施形態における多重織物10の緯糸および経糸の機械的配置は以上のようである。次に織成を終えると、ガーゼ緯糸とガーゼ経糸からなる平織組織と、地緯糸と地経糸からなる平織組織とは、ガーゼ経糸W1、W2が地緯糸○の17に交絡しているのを除いて、互いに拘束する関係にはないため、自然と図5のように分離する。
【0038】
ここでガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2からなる平織組織は、ガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2として、地緯糸○や地経糸V1、V2、パイル経糸P1、P2よりも細い(小径)ものが用いられているため、ガーゼ状の風合いを有する通気性の良い表布11および裏布12となる。
また、地緯糸○と地経糸V1、V2からなる平織組織は基布13aとなり、この基布と基布間を結合するパイル経糸P1、P2とで立体構造で嵩の高い立体中布13となる。また、ガーゼ経糸W1、W2が、17番目の地緯糸○に交絡した部分が図1の結合部14を構成する。
【0039】
パイル経糸P1、P2を、一対の基布13a間に架け渡して、その地緯糸○にジグザグに交絡させるパターンは、上記実施形態に限られない。
また、表布11および裏布12と基布13aとを結合する結合部14の位置、間隔等は上記実施形態に限定されず、任意に設定可能である。
また、糸の材質も特に限定されないが、ポリエステル、綿が例示できる。このような糸には、適宜抗菌加工、防カビ加工などを施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この多重織物は、ガーゼ様の涼やかな風合いを有し、かつ嵩高で保温性、柔軟性、通気性に優れるため、各種衣料や寝具などの生地として、年間を通じて利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 実施形態の多重織物
11 表布
12 裏布
13 立体中布
13a 基布
14 結合部
X、Y 織物
V1、V2 地経糸
W1、W2 ガーゼ経糸
P1、P2 パイル経糸
○ 地緯糸
● ガーゼ緯糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2の平織組織からなる表布11および裏布12と、
前記表裏布11,12間にあって、地緯糸○と地経糸V1、V2の平織組織からなる対向一対の基布13a間に、パイル経糸P1、P2を所定の配列で架け渡して前記地緯糸○に交絡させてなる立体中布13と、を備え、
前記表布11と立体中布13および前記裏布12と立体中布13とは、ガーゼ経糸W1、W2を地緯糸○に所定ピッチで交絡させてなる並列する結合部14により結合された多重織物。
【請求項2】
ガーゼ緯糸●とガーゼ経糸W1、W2の平織組織からなる表布11および裏布12と、
前記表裏布11,12間にあって、地緯糸○と地経糸V1、V2の平織組織からなる対向一対の基布13a間に、パイル経糸P1、P2を所定の配列で架け渡して前記地緯糸○に交絡させてなる立体中布13と、を備え、
前記表布11と立体中布13および前記裏布12と立体中布13とは、地経糸V1、V2をガーゼ緯糸●に所定ピッチで交絡させてなる並列する結合部14によりにより結合された多重織物。
【請求項3】
前記パイル経糸P1、P2の配列を、隣接するパイル経糸P1、P2同士で対称形とした請求項1または2に記載の多重織物。
【請求項4】
緯糸として、地緯糸○およびガーゼ緯糸●を、経糸として、地経糸V1、V2、ガーゼ経糸W1、W2およびパイル経糸P1、P2を、それぞれ準備し、
地緯糸○が1本、ガーゼ緯糸●が2本からなる組を繰り返し配列したものを上下一対に配置し、
地経糸V1、V2を1本おきの地緯糸○の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸○に交絡させ、かつ所定ピッチでガーゼ緯糸●にも交絡させ、
ガーゼ経糸W1、W2を地緯糸○とガーゼ緯糸●の間を内側から外側に向けて通し、かつガーゼ緯糸●同士の間を外側から内側に向けて通してガーゼ緯糸●に交絡させ、
パイル経糸P1、P2を上下の地緯糸○間に架け渡し、地緯糸○の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸○に交絡させる多重織物10の製造方法。
【請求項5】
緯糸として、地緯糸○およびガーゼ緯糸●を、経糸として、地経糸V1、V2、ガーゼ経糸W1、W2およびパイル経糸P1、P2を、それぞれ準備し、
地緯糸○が1本、ガーゼ緯糸●が2本からなる組を繰り返し配列したものを上下一対に配置し、
地経糸V1、V2を1本おきの地緯糸○の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸○に交絡させ、
ガーゼ経糸W1、W2を地緯糸○とガーゼ緯糸●の間を内側から外側に向けて通し、かつガーゼ緯糸●同士の間を外側から内側に向けて通してガーゼ緯糸●に交絡させ、かつ所定ピッチで地緯糸○にも交絡させ、
パイル経糸P1、P2を上下の地緯糸○間に架け渡し、地緯糸○の内側から外側を経て内側にまわり込むように通して地緯糸○に交絡させる多重織物10の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−32606(P2011−32606A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180563(P2009−180563)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(596077499)米阪パイル織物株式会社 (2)
【Fターム(参考)】