説明

多重部屋照射治療システム

本発明は照射−遮蔽の仕切り部材(71から78)で仕切られた多重治療室(61〜68)が配列された偏心ガントリー(100)を備える照射システム(1)に関する。可動回転ヘッド(120)はガントリー(100)に接続されて移動することができ、照射ビーム(110)を治療室(61〜68)内へ送達する。シミュレーターヘッド(200−1〜200−8)は好ましくは照射システムに併設されていて、各治療室(61〜68)でそれぞれ使用されることができる。この場合、最初の対象(40−1)が第1の部屋(61)で照射される間、治療準備手続が、これには対象(40−2〜40−8)の位置補正や照射シミュレーションを含むが、同時に他の対象(40−2〜40−8)に対して他の治療室(62〜68)で同時に受けさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に照射システムに関し、そして特に、照射ビームを多重治療室に向けることの可能なシステムに関する。
【0002】
背景
過去数十年の間、粒子照射治療と診断の分野には相当な進歩があった。外部粒子照射治療加速器、近接照射治療および他の特定化照射治療装置の性能は急速に改良されつつある。治療用粒子ビームの品質と適合性において生じている発達には、新たな標的とフィルター、改良された加速器、新規応用を通したビーム形成の柔軟性、コリメーター、走査システム、およびビーム補償技術を含む。また改良された線量と幾何治療検定の方法が導入された。さらに、送信されたビームの強度分布を生物的に最適化することが可能な新規な治療計画システムが、いまや入手することが可能である。
【0003】
多重および単一部分照射治療および診断画像形成の分野では、一般的な共通する方法は、診察台の上に患者を位置させることである。照射ヘッドやガントリー(架台)は、患者に診断または治療ビームを指向して、それは照射ビームを特定の標的または治療部位、たとえば腫瘍へ伝送させるためである。従来技術によるこのような典型的な照射装置は図1に図示される。照射装置は一般的にL字型に設計されたイソセントリックな(一点中心で回転可能な)ガントリー80およびガントリー80を支持する装置本体の軸の一端に設けられた回転支持体を具備する。このように、ガントリー80は、支持体に対して回転軸30中心に回転することができ、小h差ヘッド20から患者診察台40上に位置する患者50の標的部位へ、図では10と示される照射ビームを伝送する。
【0004】
図1の装置も含めて、多くの今日の照射治療装置は、イソセントリックなガントリーを備える。このような設計では、照射されるべき組織または標的部位55は、好ましくは、共通点における3軸の交差により形成される、いわゆる共通中心(isocenter)の周りに位置する。これらの軸は、ガントリーの回転軸30、照射ビーム10の中心軸、治療診察台45の主たる回転軸45を含み、それはまた、図の視準器ヘッド20の回転軸でもある。
【0005】
このような従来の照射治療機器の問題は、所定時間間隔で治療することができる患者の合計数についての能力である。実際の照射はむしろ短時間である、すなわち典型的には数分間(1−2.5分)継続するのだが、通常より長い時間の治療準備が照射の前にある。このような準備の間、係りの職員は可能な限り正確に患者の一定めを行い、それは、典型的には治療計画に基づきなされ、診察データや照射ビームデータなどに基づいて早期に展開されるかまたは纏められる。患者を台に載置後だが、実際の照射前に治療準備が、典型的にはビーム方向と治療計画の試験と確認のために行われる。準備手続では、第1の目的は治療計画に基づく装置と患者の準備をすることである。しばしば入り口画像、すなわち、治療ビームそれ自身による画像は治療を確認し、そしてその再現性をモニターするために使用される。さらに、たとえば生体内線量またはその関連技術は、伝送された照射の、標的部位および/または隣接する組織、特に危険とされる器官における線量チェックに使用され得る。もしも測定データが治療計画の計画位置に相当するならば、実際に照射治療が安全に開始されたことになる。
【0006】
患者の準備、位置取りおよびシミュレーションの結果、合計の治療時間は相当時間がかかり、一般的には5-10分、しばしばそれ以上であり、実際の照射時間よりも長い。加えて、準備とシミュレーションの間に測定と計算データの間で逸脱が検出され、そして逸脱の量が許容範囲を超えると、治療準備は調整されなければならない。これはある場合には単純にいくつかの準備パラメーターの是正であるが、しかしまた更新した診断手続からの解剖学的情報で治療計画を更新して大幅な調整が必要になることもある。新たな治療計画が必要となると、治療シミュレーションも更新することになり、治療のための時間が1日または2日分が余計にかかる。
【0007】
照射機が実際に患者の照射に使用される時間は全体の時間のごく一部分であり、その間は機械は占領されている。これはもちろん高価な照射機や装置を不十分に利用していることになり、所定時間にわずかな患者しか治療できないことになる。この問題は、患者が治療室で脱衣する場合、患者が不快を感じて治療助手と色々と治療問題などで話し合いをするとなるとさらに悪化する。
【0008】
可能性ある解決は、専用の照射シミュレーション機を使用して、実際の照射治療機を使用しないで、シミュレーション手続きを行うことであろう。しかし、シミュレーションと治療に使用される患者診察台と二つの機械のデザインは似ているのだが、異なる機械と、たぶん異なる診察台面を使用して正確にシミュレーションすることはより困難であろう。これは診察台が同一の設計であるのだが、二つの異なる診察台上で正確に同様に患者の位置決めをする必要があるという問題のためである。さらに加えて、腫瘍の標的部位をはじめとして組織と器官は変形可能な弾性のある構造をしており、そして治療計画に使用される参照点に相対するそれらの位置は厳格ではなく、たとえば、患者の姿勢、嚢の充填度合い、呼吸動作などに応じて変化しえるのである。それゆえ、シミュレーションの間と相対して治療の間を正確に整合させるとしても、標的部位は配置付けにエラーが出る。
【0009】
アメリカ特許第6,683,318では、軽イオンビームを照射する、がんの処置に適した治療するシステムが開示される。この治療は、シンクロトロンを含む加速器に軽イオンを供給するイオン源を備える。イオンビーム輸送システムは、シンクロトロンから3個の異なる治療室へ高エネルギーの抽出されたのを導入する。はじめの治療室では、静的なガントリーで水平イオンビームの照射がされる。残りの二つの室でそれぞれイソメトリックな照射に配列して照射される。この治療では3個のガントリーに対して単一のイオン源とビーム加速器が使用されるが、患者の処理数が低いことと高価であるという前述の課題は、個々のガントリーについて依然として存在する。
【0010】
さらに、電子、プロトンまたは軽イオン治療の間、一般的にはビー無限と患者面間の固定距離でSSDの固定治療を行い、イソセントリックな治療単位をあまり重要としなくなるという、イソセントリック準備原理を使用して、家電粒子の多くの治療がなされていない。
【0011】
要約
本発明は、先行技術のこれら、上記欠点を克服するものである。
本発明の目的は、偏心する(エクセントリックな)照射システムを提供するにある。
本発明の他の目的は、ガントリー周辺に配置される多重の治療室に照射ビームを伝送する照射システムを提供することである。
本発明特有の目的は、第1の治療室の患者へ臨床治療として照射ビームを伝送し、一方で、同時に照射システムのシミュレーターとビーム準備部分が使用されて、照射準備と照射の準備過程として隣接の治療室の他の患者へなされる治療システムが提供される。
本発明の他の目的は、多重治療室で使用される照射治療とシミュレーション機能が集積されてなる治療システムが提供される。
これらと他の目的は、添付の特許請求の範囲により明確となる。
【0012】
概略的には、本発明は多重照射または治療室の対象を照射するのに使用される偏心ガントリーを有する照射システムまたは装置に関する。このようなガントリーにより第1治療室の第1対象に照射、すなわち、照射治療を受けさせるのを可能にし、一方、同じ照射治療ガントリーを使用して少なくとも第2治療室の第2対象に治療の準備とシミュレーション手続きを受けさせるものである。第1対象の照射と第2対象へのシミュレーション準備が完了すると、ガントリーは第2の対象へ照射治療が送達されるようになり、それと同時に、第1対象に関しての治療準備または第3対象への新規な治療準備が第1治療室でなされる。その結果、本発明の照射システム能力は所定時間内で治療される合計の対象数に関し先行技術の装置と比較するとはるかに大となる。加えて、各治療機会の前後において各治療室で患者に対して可能な治療時間がより多くなる。
【0013】
本発明の照射システムは、多重治療室の接続配列に適したガントリーからなり、それは照射遮蔽または隔離の分離室、たとえば照射遮蔽−仕切り(壁)および/または天井/床により分けられる。照射ヘッドは、ガントリーにより機械的に支持され、そして少なくとも照射ビームを第1治療室に指向する第1の位置と第2治療室に指向する第2の位置間をガントリーに相対して移動可能である。
【0014】
照射システムのガントリーは、好ましくは多重治療室を分ける仕切りまたは天井/床の交差するところに配列される。照射システムは、典型的には球形または円筒形の設計であり、照射ヘッドが仕切りまたは天井/床の専用間隔で回転することが可能となる。その結果、照射線量を送達する照射ヘッドは異なる治療室間を転回し、そしてそれ故これらの異なる部屋で位置取りしている対象を照射する。ガントリーは分離部材に設けられた静的ガントリーを含むことができる。この場合、移動可能なガントリー部分は静的ガントリー部分に移動可能に(回転可能に)支持される。照射ヘッドは、ついで好ましくはこの移動可能なガントリーに設置される。
【0015】
加えて、各治療室は好ましくは、たとえば光学および/または診断X線システムを有するシミュレーション・ヘッドを具備するかまたはそれと接続可能であり、それにより照射ヘッドから治療ビームをシミュレートすることが可能となる。これらのシミュレーション・ヘッドは配列されてガントリーを同心円的に移動可能である。このようにして、各室では照射ヘッドが実際の治療のために治療室へ向けられる前に低コストで照射シミュレーターが患者の準備のために使用される。代わりに、わずかなシミュレーション・ヘッドが部屋間を移動して治療に先立ち患者の準備を助成する。
【0016】
部屋の仕切りや天井および/床における照射システムの基本配列から非常に多くの種々の部屋配列が考えられる。中心の偏心ガントリーの周りに位置する治療室に応じて、典型的には30−60°の斜め横方向の前側、後側、および/または直進して垂直および/または水平なビーム方向が可能である。二つの偏心ガントリーの使用も可能で、それにより多重治療の入り口がひとつに向けられ、同じ対象にたいして斜め横、平行に相対してまたは垂直にビームを組み合わせることができる。
【0017】
本発明の照射システムの偏心ガントリーは、好ましくは、ビーム走査と回折操作を具備し、それは磁気利用のシステムで、狭いペンシル型ビームの形で対象上へ投射線を走査し回折するのに利用される。この走査と回折システム、またはその一部は、照射ヘッドと可能ならば照射システムのガントリーが異なる部屋間を転回する際に、回転される。回折システムの回折磁石は積層されて加速器パルス間の磁場変化を早くできる、しかし磁石の回折半径を最小化するために超伝導化も可能である。
【0018】
回折と走査システムの設計に応じて、偏心ガントリーはプロトンから炭素または酸素イオンまでの軽イオンの使用に良く利用され、それはたとえば、プロトン、重水素、三重水素およびヘリウム、リチュウム、ベリリウム、ホウ素、炭素および酸素イオンが例示される。
【0019】
本発明によると次の特徴を有する:
−異なる治療室のいくつかの対象の照射に有効に使用される;
−実際の照射が同時に他の部屋で行われる間に、治療の準備、シミュレーションおよび/または対象の退出操作をいくつかの部屋で行うことを可能とする;
−所定時間に照射され得る対象の合計数の能力を増加させる;
−簡素なガントリー設計と小さい回折磁気半径と柔軟なビーム指向選択により軽イオン照射に使用を可能とする;
−固定ビーム線配列による多重の高価なイソセントリックな機器の代わりに、ビーム方向が可変である低価格の一つの機器が有利に使用され得るので、設置コストが有利に減額できる;
−治療助成チームを煩わせることなく、個々のケアと正確な患者の準備に関して十分な注意を患者に払うことができる。
本発明の他の特徴は、以下の本発明の実施態様の説明から理解される。
【0020】
図面の簡単な説明
目的と特徴とともに本発明は、以下の説明を参照して最も良く理解されることができ、添付の図面も共に利用され、その内容は以下のとおりである:
図1は、イソセントリックなガントリー設計による従来技術の照射治療を図解する図である;
図2は、多重治療室に囲まれた偏心ガントリーによる本発明の照射システム実施態様を図解する図である;
図3は、図2と比較して他の治療室で患者を照射する図2の照射システムを説明する図である;
図4は、垂直と水平のビーム照射が可能な異なる治療室を有する偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図である。
図5は、斜め、垂直および水平のビーム照射が可能な異なる治療室を有する偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図である。
図6は、二つのビームを同時に治療室へ伝送する二つの偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図である。
図7は、本発明による照射システムの偏心ガントリー態様の断面図である。
図8は、図7とは別な治療室を照射する図7の照射システムを説明する図である;
図9は、本発明による照射システムの他の態様の断面図である;
図10は、本発明による照射システムの別の他の態様の断面図である;そして
図11は、本発明による照射システムのさらに別の他の態様の断面図である。
【0021】
詳細な説明
図面において、対応するまたは類似の要素には、同一の参照番号が付される。
【0022】
本発明は、いわゆる偏心ガントリー設計を有する照射システムまたは装置に関し、それは多重の、少なくとも二つの照射または治療室内へ照射ビームを伝送するのに使用される。ガントリーは、多重治療室に接続される配列が使用されて、それは照射隔離または遮蔽部材により隔離される。ガントリーは機械的に照射ヘッドを支持する。この照射ヘッドはガントリー(および隔離部材)に対して異なる位置を移動可能であり、そして照射ビームを異なる治療室へ指向させる。
【0023】
このようなガントリー設計で、第1の治療室で第1の対象または患者に対して照射線量を照射、たとえば伝送することが可能となり、一方で同時に、治療用意(治療の準備)、シミュレーションが可能となるか、または同じ照射システムやガントリーを使用して他の治療室で少なくとも第2の対象に治療の継続処置を行うものである。
【0024】
その結果、本発明の照射システムの能力は所定時間内に治療すべき患者の合計数について、先行技術としての機器、たとえば図1の照射装置に比較してはるかに大となる。
【0025】
次に、本発明は照射システムに関して説明され、それは治療の目的で患者に照射線量を伝送し、次いで主に治療の照射、すなわち腫瘍の撲滅のために行うものである。この照射治療システムはまた緩和治療にも使用されることができるものであり、そこではその目的は一般には患者の生活の質を向上させるためであり、それは局所的な腫瘍を調整し、症状を改善し、または急性症状を抑制または停止させることによるものだが、必ずしも腫瘍を根絶するものではない。しかし、照射システムは、代わりに、単一の照射治療、照射診断または照射処置などの他の照射目的に使用され得る。さらに、照射システムは組み合わされた照射治療と診断に使用され得る。後者の場合、照射ヘッドは(高エネルギーの)照射治療ビームと(低エネルギーの)照射診断ビームの両方を伝送することができる。実際、本発明による照射システムは、どの照射目的にも適用できるもので、そこでは治療室で対象または患者上に照射ビームを指向することが望まれ、同時に照射のシミュレーション、準備または継続が、他の対象または患者に対して隣接の治療室で行い、そこでは続いて照射されるかまたは既に同じ照射ガントリーを使用して照射されている。
【0026】
図2は、偏心ガントリー100を有する本発明の照射システムまたは装置を図示するもので、それは対象または患者、50−1〜50−4を異なる治療室61〜64で照射が可能である。このようにして、照射ガントリーは4つの治療室61〜64に接続するように配備される。この態様では、ガントリー100は、隔離部材、すなわち壁や仕切り 72,74および天井および/または床 71,73の交点に位置し、これらは4つの部屋 61〜64を仕切っている。このようにして治療室61と64は、治療室62と63の下のフロアに位置することに注意されたい。
【0027】
関連の治療室61〜64を隔離する隔離部材71〜74は照射線遮蔽機能を有する。このようにして、隔離部材71〜74は、好ましくは治療照射ビーム110が、現在照射されている治療室61から他の治療室62〜64へ漏洩するのを防止する。照射線遮蔽の隔離部材71〜74の結果、照射システム1が照射線110で患者50−1を隣接の治療室61で照射をしていても(医療)職員や患者は安全に他の治療室62〜64に在室することができる。換言すれば、隔離部材71〜74は、治療照射線110を停止(吸収)し、それにより隣接の治療室62〜64における漏洩照射線レベルは、許容安全範囲内である。隔離部材71〜74に使用される材料と部材厚みの選択は、使用される治療ビーム線110の性質、たとえば治療ビーム110のエネルギーレベル、使用される照射線のタイプ等に応じて選択され、そして当業者ならば創意工夫をすることなく決定できる。隔離部材71〜74の適当な材料は、例示されるがこれに限定されず、コンクリート、ホウ素充填のポリエチレンおよび鉛が挙げられる。また、照射移送システムを囲みまたは覆い、照射を照射ヘッド120へ導入する材料は、好ましくは照射線遮蔽性能の良好なものである。
【0028】
照射ガントリー100は、典型的には球形または円筒状のデザインであり、それにより照射ヘッド120が壁72,74および天井および/または床71,73において専用の空間の中を回転することができる。
【0029】
図で、ガントリー100は、第1の治療室61の治療台40−1に位置する第1の患者50−1の標的部位55−1を照射線110で照射するように指向される。照射システムは、好ましくはまた、照射の遮蔽部150、好ましくは回転型の照射の遮蔽部と、照射ビームを現在使用する治療室61内へ回折させ、他の治療室62〜64に達するのを防止する回折マグネット部(図7〜11を参照)とを具備する。
【0030】
さらに、治療室61〜64は、好ましくは、健康維持のビーム110をシミュレートすることができる光学および/またはX−線システムを有するシミュレーターヘッド220−2〜220−4を具備するか、これらに接続可能となっている。これらのシミュレーターヘッド220−2〜220−4は、配列されて、遮蔽部150の直ぐ外側のレール上を移動することができる。このようにして、部屋61〜64では、低コストのシミュレーター200−2〜2002−4が、照射ヘッド120が治療操作で治療室へ転回される前に患者の準備のために使用されることができる。本発明によりこれらのシミュレーターヘッド200−2〜200−4は、代わりにまたは代替として治療の追跡目的に利用されることができる。
【0031】
図では、3人の患者50−2〜50−4がそれぞれの診察台40−2〜40−4上に位置し、そして現在シミュレーターヘッド200−2〜200−4とシミュレータービーム210−2〜210−4を使用して治療準備(追跡)とシミュレーション手続きを受診している。患者の準備で最高の正確さを得るために(典型的には0.5〜1mm)、立体的な配置の決められる診察台40−1〜40−4が治療室61〜64に好ましく使用される。このような診察台40−1〜40−4は、ついで自動的に位置きめをして個々に各患者に調整される。本発明ではまったく同一の診察台40−1〜40−4が患者の準備と追跡手続きと治療・診察画像活動の両方に使用され得る。
【0032】
治療室61〜64にはひとつのシミュレーターヘッド200−2〜200−4をそれぞれ備えることができる。代わりに二つまたはそれ以上の部屋61と62がひとつの共通のシミュレーター200−2を有することもできる。このようにしてシミュレーター200−2は、好ましくは、たとえばレールを敷設して、部屋61と62を区分する床および/または天井71(または壁)の専用隙間80を好ましく動くことができる。
【0033】
一旦、初めの患者50−1が治療され、そして他の部屋での準備とシミュレーション手続きが完了すると、ガントリー100が転回して照射ヘッド120は、今や他の治療室62で他の患者50−2に照射量の照射を施すことができる。このシナリオは図3に図解され、そこでは照射ヘッド120(そして、たぶんガントリー100)は回転し、第2の患者50−2の標的部位55−2を照射する。患者50−2が現在は治療ビーム110を使用して照射されている部屋62のシミュレーターヘッド200−2は、照射ヘッド120が患者50−2を照射できるように部屋62の端へ離れるように移動するかまたは治療シミュレーションの使用される、隣接の治療室61へはなれるように移動するかのいずれかである。第1の部屋61では、新たな患者50−1が診察台40−1上に位置し、シミュレーターヘッド200−2を使用する準備手続きとシミュレーターが遂行されることができる。その代わりに、治療追跡とそれに続く患者の退出手続きが、先の照射された患者に関して遂行され得る。
【0034】
一般的には、所定の治療室で起こる一連の作業は次のとおりである。最初に、部屋の装置(診察台、照射および位置決め装置)が治療される次の患者の用意のために再調整される。患者準備がついで行われ、そこでは患者は診察台上で正確に位置が決められ、該台は好ましくは、種々の患者の位置を決められるシステム、たとえば、レーザーベースの位置決めシステムを使用する立体的な位置決め用診察台であり、このようなシステムの例は、国際公開WO 2004/000120号パンフレットに記載される。患者が一旦、(立体的な位置決め可能な)診察台上で正確に位置決めされると、治療のシミュレーションがされる。シミュレーションの間、本発明の照射システムにおけるシミュレーションヘッドによる光学および/または診察用のX線システムが使用される。その後実際の治療がなされ得る。
【0035】
治療準備に通常少なくとも5〜10分を要し、そして実際の患者の治療はされよりも早く、約1〜2.5分であるので、治療室61〜64と患者50−1〜50−4は一般的には約10分毎に治癒ビームを受け得る。図の2と3のガントリーデザインでは、これは6X4=24の患者が(そして、時々、特に単一の治療では、それ以上が)、非常に忙しい治療センターで時間毎に受けられることを意味し、そして依然として各治療室61〜64のぞれぞれで十分な準備時間と患者介護が可能である。これは、先行技術の(イソセントリックな)照射器の対応する能力と比較すると、それは典型的には最大でも4〜6人の患者を1時間で治療する程度である。さらに、本発明の態様では、単一のビーム伝送と走査システムを有する単一の照射ガントリーが治療照射と治療準備およびシミュレーション処理の両方を多重治療室で行うことができる。
【0036】
図2と3に図解される基本の部屋配列から、非常に多種の部屋配列が可能である。治療室が偏心ガントリーの周囲の4象限のどこに位置するかに依存して、典型的には30〜60°の斜め横で前方向(部屋61と64)または後ろ方向(部屋62と63)のビーム方向が可能である。軽イオンでは、一日当たりひとつのビームポータルにより治療計画を立てていて2〜4のビームポータルを必要とする患者の治療には非常に便利であり、このようにしてビーム方向が要求するのに従い図2と3の種々の治療室を逐次に使用する。このようにして、まったく同一の患者は、異なる照射ケースで、異なる治療室で照射され、そうして異なる入射角度と方向から治療の照射ビームを受けるのである。
【0037】
直立して垂直およびまたは水平な治療ビームをいくつかの部屋で、可能ならば斜めの入射ビームを他の部屋で使用される際に同時に使用することも可能である。図4は、この状況を図解するもので、これは、本発明に従う偏心ガントリー設計100を有するひとつの共通の照射システムを使用する異なる治療室61〜64の状況である。部屋61の診察台40−1上にいる患者50−1に対する天井71のガントリー100の位置に応じて、直立して垂直な治療ビーム110が可能である。同様に治療室63の患者50−3には、後ろ(背部)から垂直なビームが可能である。しかし、他の治療室64では患者に対して斜めからビームが入射される。図では、この部屋64の患者支持台は空席であり、これは患者の入退室の手続き原理を図解するものである。
【0038】
対応して、照射システム1とガントリー100が基本的に治療室6と63の間の壁72に配列されていると、患者50−2は垂直に照射され得る。本発明によれば、本発明の偏心ガントリーと照射システムは、水平照射のみ、垂直のみ、斜めのみ、または水平、垂直およびまたは斜めの組み合わせに適合し得るものである。
【0039】
本発明のこの態様では、シミュレーターヘッド200−1〜200−3は、ガントリー100の照射遮蔽150またはガントリー100の専用窪みまたは部分に配列されている。これらの窪みは固定され得るが、しかし好ましくは移動または回転可能であり、それによりシミュレーターヘッド200−1〜200−3が離れて(可能ならば部屋61〜64の間)、照射ヘッド120が患者を照射できる空間が確保される。
【0040】
図2,3または4のソルーションを結合させて垂直、前方および後方ビームを六つの周囲の治療室と組み合わせることも可能である。このようなガントリー設計の結果として、二つの部屋における平行で反対向きの垂直ビーム同様、四つの治療室における横で全ぽいと後方のビームの両方となる。
【0041】
図5は、本発明に従う照射システム1と偏心ガントリー100の図解図であり、(治療)照射110が、3つの異なる床に位置する多重治療室61〜68に供される。このようにして、3つの治療室61、67、68が第1の床にあり、第2の床は、基本的にそれらの間に位置する照射ガントリー100を有する2つの治療室62,66を備える。ついで第3の床は、残りの3つの治療室63〜65を備える。この態様では、ガントリー100には、8つの治療室61〜68を区分する2つの照射遮蔽壁対 73、78と74,77および2つの照射遮蔽の天井−床対 73,78tp74,77が接続されて配列される。その結果、7人の患者50−2〜50−8までが、治療準備、シミュレーションまたは追跡手続きに関連しえて、可能ならば照射シミュレーションまたは診断ヘッド210−2〜210−8を使用し、同時に本発明の照射ビーム110を使用して患者50−1が照射される。
【0042】
図5の部屋61のように所定の治療室の水平面において180°患者を回転させて、一つの治療期間中に対の腫瘍に前方の斜めと横ビームポータルうけさせることもまた可能である。これは、半分の深さにある浅い腫瘍に最も効率の良い治療配列の一つである。深部腫瘍には、図5の部屋64と68で有効に送達されるならば、炭素や酸素のような、特により高いLET(線状エネルギー伝達)イオンでもって、平行で反対の前部―後部ビームが最も有効であり得る。
【0043】
図6を参照すると、多重の、つまり少なくとも二つの、偏心ガントリー100−1と100−2を有する照射システム1を使用することすら可能であり、この配列では、多重治療ポータルが同時にまったく同じ患者50−4に、斜め横に(図のように)、平行対向および/または垂直ビームの組み合わせ110−1と110−2のいずれかに指向され得る。このように、図6の配列では、部屋63と64の患者50−3と50−4は二つの偏心ガントリー100−1と100−2の照射ヘッド120−1と120−2からビーム110−1と110−2を照射され得る。図では、残りの4つの部屋、61,6,65および66はガントリー100−1または100−2の一つのみを使用できる。本発明によると二つを超える数の偏心ガントリーが共通させて配列でき、そうして少なくとも二つまたはそれ以上のガントリーが治療室の一つで一人の患者に照射を受けさせ得る。また、壁と天井/床のガントリーの配列を変えて、図6の配列と図4のガントリー配列を組み合わせることも可能である。
【0044】
本発明の照射システムのこれら少なくとも二つのガントリーへの入射線は異なる線源から生成することが出来る。かわりに、共通の線源、可能ならば、イオン源、加速器システム(シンクロトロンまたはサイクロンを有する)、ビームガイドおよび分割システムを具備するものが、少なくとも二つのガントリーに使用され得る。本発明に従い使用され得る適当なイオン源、加速器およびビームガイドシステムとしては、アメリカ特許公報第6,683,318号明細書に開示される。ビーム分割システムは、隔膜、たとえば、薄い伝導性ホイルの形態で、ビーム経路に配列されて実現され得る。(高)電流を隔膜へ流して、得られる誘導磁場により入射イオンビームを二つのイオンビームに分割する。このように分割された各イオンビームは、ビームガイドシステムを経由して、図6の配列で説明されるように本発明の偏心ガントリーへ伝送される。
【0045】
本発明の照射システムは、設計により、照射ガントリーは静的で、照射ヘッドは可動(回転可能)で、この静的ガントリーに設置され、多重治療室間を移動(回転)することが出来る。本発明の代わりの態様では、ガントリーは静的なガントリー部分また口と可動ガントリー部分または口を含むことが出来る。照射ヘッドはついで、機械的に可動ガントリー部分により支持される。この場合、静的ガントリー部分は治療室の仕切り部材にまたはそれ関連に設けられ得る。この設計では、可動ガントリー部分と照射ヘッドは治療室間で静的ガントリー部分(および仕切り部材)に対して可動である。
【0046】
図2〜6では、本発明に従う照射システムは、照射ガントリーは配列されながら開示され、それは異なる床(レベル)に位置する少なくともいくつかの治療室を仕切る仕切り部材に関連している。しかし、本発明はそれに限らない。たとえば、照射システムのガントリーは、同じ床に位置する二つの治療室を仕切る仕切り(照射−遮蔽)で配列され得る。この場合、照射システムは多くて二つの異なる治療室へ照射ビームを指向させ得る。しかし、大部屋やホールに配備される一般的に円筒状、柱状またはピラー状に設計される独立型のガントリーもまた可能である。この場合、この大部屋は多重の照射ステーションまたは(小さい)部屋に幕で仕切られるか分割されて、照射−遮蔽の仕切り部材(パーティッション)で仕切られる。このようにしてこの態様では、仕切り部材のそれぞれの第1の短い端は円筒状ガントリーの横表面に、またはその近くに接続される。仕切り部材は、ついでガントリーから突き出て(可能ならば放射状に)、異なる照射−遮蔽治療室を画定する。照射ヘッドはガントリーに回転可能に取り付けられるか、または照射ヘッドと可動ガントリー部分は静的ガントリー部分に回転可能に取り付けられて、代わりに床上に配列される。治療室の患者診察台高さと照射ビームの出力角度に応じて、斜めまたは水平の照射が、ついで可能である。
【0047】
図7は、本発明の偏心ガントリー設計100を有する照射システム1の態様の垂直方向断面図を示す。入射ビームは近くに位置する照射源から入射し、それはたとえば、照射源はガントリー100の隣の部屋に配列して、回折磁石を使用してガントリー内への照射を指向する。ガントリー100または相対的に遠隔の照射源、たとえばシンクロトロン(たとえば、アメリカ特許第6,683,318号明細書)またはサイクロトロンに直接配列される照射源を使用することが可能であり、それは必要な照射をいくつかの異なる治療ユニットおよび偏心ガントリー100へ伝送することが出来る。
【0048】
以下では、本発明は、患者50を照射するために(鉛筆型)ビーム走査システム104〜106、122を備える照射治癒システムについて説明される。ここでは、走査システム104〜106、122により付与される磁場は照射ビームの荷電粒子を調整するために使用される。このビームコントロールでは、ビームのスポット径が患者の治療領域にわたって調整されて走査される。走査速度とビーム強度を変えることにより、目標の部位55内に分布する所定の望みの照射線量分布を生じさせて、それは健康な組織へ伝送される余分な照射線量を最小とするものである。しかし、本発明は鉛筆型の治癒システムと走査技術に限られない。
【0049】
本発明の好ましい態様によると(遠隔の)照射源(図示されない)からの入射ビームは初めにビーム焦点合わせに四極磁極102に入射される。その後、ビームは好ましくは、走査磁石104に入射する。この磁石104は、ビームを回折させて、図の面に走査動作を付与する。ビームが有効走査中心、典型的には磁石104の中央付近から出射するかのように、ビームは走査磁石104から現われる。図の面におけるビーム走査は屈折または偏向磁石106でついで屈折または偏向されて照射ヘッド120へ、そして続いて患者40の標的部位55へと入射ビームを指向させる。回折磁石106は積層されて加速器パルス間の場の変化を迅速化させると共に、また屈折半径を最小化するよう超伝導化されている。
【0050】
磁石106のビーム屈折機能に従い、ビームは照射ヘッド120に、そして第2の走査磁石122に入射する。この磁石122は、図の面を横切る面、すなわち、図の面から入って出る方向の面でビームを走査または屈折させる能力がある。ビームはついで、基準器124に入って、意図する走査ビーム以外の照射線が患者50に届くのが継続されないように配列させる。任意の通信モニター125が基準器12の下に備えられ、基準器124を通過する照射線量を記録する。
図7の走査システムはまた、単一の均一ビームを得るために仕切られて、規則的な二重または単一の箔システムを使用することも出来る。
【0051】
照射ビーム110が照射ヘッド120から照射する前に、第2の視準器126を通過するのが好ましい。この視準器126は、多葉型視準器が好ましい。このような多葉型視準器は、複数の対の対向する長い、湾曲かまたは平坦な、断面楔形状の葉からなり、各隣り合う葉は横に並んで扇形状をなして、有効照射源127の先端に向かって収束する。好ましくは単一の光源127を有する本発明とは反対に、二つの連続する双極子走査磁石を有する従来の走査システムは2つの走査面に異なる有効光源位置を有する。視準器126の葉は、(組み合わせの)回転および/または並進運動のために装着される。この動的、多葉型視準器126は、腫瘍、すなわち標的部位55の横方向にある通常の組織を保護するために使用され得るものであり、同時に回折磁石106の磁場は各走査位置で必要とされるエネルギーに迅速に調整される。通常、患者40の一定の深さでビーム110の走査の間エネルギーレベルは固定されたままである。
【0052】
走査ビーム110は、典型的には患者において30cmX30cmの磁場サイズをカバーする。もしも通信モニター125が照射ヘッドに設けられるならば、このモニターは走査ビームの動きを連続的に追跡し、それと連結している。
【0053】
図7に示されるような偏心ガントリー設計の本発明の照射装置1は軽イオン、すなわち、プロトンから、たとえばヘリウム、カーボン、酸素イオンまでの照射ビームの使用に良く適合する。このようなイオンは、癌症例の患者の治療に非常に有効である。それらは、通常のプロトンビームと比較して治療技術を改良して発展させるために開発され得る好ましい物理的、生物学的性質を有しているので、軽イオンビームはいくつかのユニークな組み合わせを提案するもので、それは高い物理的な選択性とブラッグピークで高い生物学的有効性を備える。
【0054】
当業者には良く知られるが、軽イオンは非常に大なる回折半径(数メートルまでの)を要する。軽イオン照射線を供与する従来のガントリーと装置は設置費用が高い。さらに、このような従来の装置ではいくつかの大きな回折磁石とその保持間隔を有しており、それは回折の前に両方の面でビームを操作するのに必要であり、治療室で任意の配向方向でイオンビームを送達するのにガントリーを適合させるものである。しかし、本発明に使用される回折磁石106は、小さい間隔および小さい半径と、その結果先行技術で使用される磁石よりも全体のサイズは小さいものである。これは小さくてかさばらない鉛筆方のビーム走査システムとなり、それは走査と回折磁石104,106,122を備え、これは(30cmX30cm)ビームを、偏心ガントリー100の周囲に位置するいくつかの治療室へ供与することが出来る。
【0055】
ガントリー設計は軽イオン照射の使用に適するものであるが、家電粒子、または中性子や光子のような中性の粒子にすら使用可能であり、それははじめに第1次の偏向プロトンまたは重陽子および電子ビームを走査し、走査された中性ビームを生成させることによるもので、たとえばアメリカ特許第4,442,352号明細書に開示される。
【0056】
図7では、ガントリー100は、床/天井71に設置される静的ガントリー部140を有し、それは二つの隣接治療室61、62を仕切る。設置または集積照射120を有する内部の移動可能なガントリー部130は、移動可能に、ここでは回転可能に静的部140に支持される。この移動可能な支持は、通常のギア装置やベアリングにより実現され得る。ガントリー100の安定性向上のために、照射ヘッド120は、左手側(図示のように)から右手側へ移動可能なガントリー部130により支持され得る。この場合、ガントリー100は典型的には二つの静的部分を含み、それぞれは床/天井71に配列されるが、回転照射ヘッド120のいずれかの側にも配列される。
【0057】
照射装置が他の治療室62で患者の治療に使用されることとなったときは、ガントリー100(移動ガントリー部分130)は、単純に転回または回転され、そうして走査および回折システム102〜106,122と照射ヘッド120が回転することになる。図8は、この原理を説明し、そこでは図7の照射システム1の偏心ガントリー100が初めの治療室61で患者を治療しているところから回転して、第2の治療室62に配備される治療診察台40に横たわる第2の患者50を照射する。図からわかるように、ガントリー100の回転により、回折磁石106は今や、入射ビームをこの第2の治療室へ向けさせている。このようにして、単一の走査、視準、ビーム回折および角度調整のシステムは、いくつかの治療室に使用されることが出来るものであり、それは有意に全体の設置コストを減少させる。
【0058】
図9は、本発明の照射システムの他の実施態様の対応する断面図である。この態様では、ガントリー100は照射−遮蔽壁またはパーティッション71に主に配列され、それは二つの隣り合う治療室61と62を仕切っている。このガントリーの態様100では、特に水平ビーム110を患者50の治療部位55にあてる様な構造となっている。照射ヘッドの付属の124〜126とビーム(ガイドと走査)システム104〜106、122は図7と関連して上で説明した相当部分と類似であり、それで更に説明しない。
【0059】
図2〜8で説明した偏心ガントリーの回転軸は水平または垂直であり、図9でもそうだが、本発明はこれに限られない。回転軸は垂直から水平まで軸に対してどの角度であっても良く、ビームが加速器から取り出される様子や臨床的に必要とされることにいくらか依存している。
【0060】
図10は、斜向ビーム110を備えるガントリー100を有する照射システム1の部分断面図である。図7の照射システムと比較すると、この態様では、治療ビーム110は、屈折磁石106により偏向されるが、角度は90°よりも小さくパワーが節約され、そして多重治療室61と62に斜向ビームを送達する。30°〜相当の60°間での低角度が特別な場合には有用である。ガントリー100と照射システム1の付属は図7に付属のものに対応している。
【0061】
図11は、本発明の偏心ガントリーの走査と屈折システム104〜106,122の他の可能な内部構造デザインを図示するものである。この実施態様は、磁石106と照射ヘッド10を含む回転ガントリー部分130の径を最小限とするものである。図7〜10に図解される態様と同様に、入射線(軽イオン)ビームは、好ましくは四極子102に入射する。ビームはついで、屈折と走査磁石104に入射し、それは図の面でビームを走査する。走査されたビームは、次いで(超伝導)回折磁石106で回折される。回折磁石106は好ましくはビームを第2の走査磁石122へと指向させる。この走査磁石122と視準器124と126は、図7に関連して議論したものである。ガントリーのサイズを最小限としそしてコスト削減を最大化するには、照射遮蔽150がまた設けられて、図11に示すよりも磁石104での偏向がいくらか小さいのが必要である。
【0062】
本発明の範囲から逸脱することなく当業者は種々の変形と変化を本発明に対してなしえることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】イソセントリックなガントリー設計による従来技術の照射治療を図解する図
【図2】多重治療室に囲まれた偏心ガントリーによる本発明の照射システム実施態様を図解する図
【図3】図2に対して他の治療室で患者を照射する図2の照射システムを説明する図
【図4】垂直と水平のビーム照射が可能な異なる治療室を有する偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図
【図5】斜め、垂直および水平のビーム照射が可能な異なる治療室を有する偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図
【図6】二つのビームを同時に治療室へ伝送する二つの偏心ガントリーによる本発明の照射システムの他の態様を説明する図
【図7】本発明による照射システムの偏心ガントリー態様の断面図
【図8】図7とは別な治療室を照射する図7の照射システムを説明する図
【図9】本発明による照射システムの他の態様の断面図
【図10】本発明による照射システムの別の他の態様の断面図
【図11】本発明による照射システムのさらに別の他の態様の断面図
【符号の説明】
【0064】
1 照射システム
40−1〜40−8 照射対象
61〜68 多重治療室
71〜78 照射−遮蔽の仕切り部材
100 偏心ガントリー
110 照射ビーム
120 可動回転ヘッド
200−1〜200−8 シミュレーターヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備する照射システム:
− 照射−遮蔽仕切り部材(71)により仕切られた少なくとも第1の治療室(61)と第2の治療室(62)に関連した配列に適合するガントリー(100);および
− 前記ガントリー(100)により機械的に支持される照射ヘッド(120)であって、前記照射ヘッド(120)は前記第1の治療室(61)内へ照射ビーム(110)を照射する第1の位置と前記第2の治療室(62)内へ照射ビーム(110)を照射する第2の位置の間を前記ガントリー(100)に対して移動可能である。
【請求項2】
ガントリー100が、以下を具備する請求項1の照射システム:
− 前記仕切り部材(71)の配列に適合する静的ガントリー部分(140);
− 前記静的ガントリー部分(140)に可動に支持され、前記照射ヘッド(120)は機械的に前記可動ガントリー部分に支持されるものである。
【請求項3】
前記仕切り部材(71)が次のいずれかから選ばれる請求項1または2の照射システム:
― 前記第1(61)と第2の治療室(62)間を仕切る照射−遮蔽パーティッション;
− 前記第1(61)と第2の治療室(62)間の照射−遮蔽の天井−床の対で、前記第1(61)と第2の治療室(62)は異なる床に位置するものである。
【請求項4】
前記照射ヘッド(120)が、前記第1の位置で、前記第1の治療室(61)に位置する第1の対象(50−1)に照射ビーム(110)を向けており、そして前記第2の位置で、前記第2の治療室(62)に位置する第2の対象(50−2)に照射ビーム(110)を向ける、請求項1〜3のいずれかの照射システム。
【請求項5】
更に少なくとも一つのシミュレーションヘッド(200−1、200−2)を具備し、前記シミュレーションヘッド(200−1、200−2)は、前記照射ヘッド(120)が前記照射ビーム(110)を前記第2の治療室(62)へ指向している際に、同時に照射シミュレーションヘッド(210−1)を第1の治療室(61)へ指向させることができる請求項1〜4のいずれかの照射システム。
【請求項6】
前記シミュレーションヘッド(200−2)が前記第1治療室(61)と第2治療室(62)間のガントリー上を移動可能である請求項5の照射システム。
【請求項7】
前記照射ヘッド(120)は、治療ビーム(110)を送達するのに適合し、前記照射シミュレーションヘッド(200)は、治療シミュレーションビーム(210)を送達するのに適合する請求項5または6の照射システム。
【請求項8】
更に以下を備える請求項1〜7のいずれかに従う照射システム:
− 照射−遮蔽の仕切り部材(71、75、77)により仕切られる少なくとも前記第2治療室(63,64)および第3治療室(65,66)に関連して配列するように適合する第2ガントリー(100−2);および
− 前記第2ガントリー(100−2)により機械的に支持される第2照射ヘッド(120−1)であって、前記第2照射ヘッド(120−2)は、前記第2治療室(63,64)へ照射ビーム(110−2)を指向する第1の位置と前記第3治療室(65,66)へ照射ビーム(110−2)を指向する第2の位置との間で前記第2ガントリー(100−2)に対して移動可能である。
【請求項9】
前記照射ヘッド(120−1)と第2照射ヘッド(120−2)は、前記照射ヘッド(110−1,110−2)を異なる入射角度で前記第2治療室(63,64)内へ指向する請求項8による照射システム。
【請求項10】
共通の照射源から前記第1ガントリー(100−1)と前記第2ガントリー(100−2)へ同時に照射を送達するための照射ビーム分割器を更に備える請求項8または9による照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−512897(P2007−512897A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542529(P2006−542529)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001770
【国際公開番号】WO2005/053794
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506184901)
【氏名又は名称原語表記】RADINOVA AB
【住所又は居所原語表記】Langbackavagen 22,S−182 33Danderyd SWEDEN
【Fターム(参考)】