説明

多重防食ケーブル及びそれを用いたグラウンドアンカーテンドン

【課題】コンクリート構造物の補強用途などに利用されるケーブルの止水の信頼性を高めること、特に、長尺のアンカーテンドンを構成したときにも信頼性の高い止水が行われて腐食因子の内部への浸入が防止されるようにすることを課題としている。
【解決手段】各々が防食加工された複数本の緊張材2を撚り合わせてひとつに束ね、最外周の隣り合う緊張材2間にケーブルの外径を均す整形材3をケーブルの全長に亘って配置し、ケーブルの少なくとも片端において各緊張材間の隙間と整形材3の周囲の隙間を埋める止水材4を300mm以上の長さ範囲に亘って配置し、緊張材の束の外周に合成樹脂のシース6、潤滑剤7、第2シース8を設けた。止水材4に代えて各緊張材間の隙間と整形材の周囲の隙間をケーブルの全長に亘って充填材5で埋めてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地盤や橋梁などのコンクリート構造物の補強に利用する多重防食ケーブルと、それを用いて耐久性の向上や小型化を図ったグラウンドアンカーテンドンに関する。
【背景技術】
【0002】
首記のグラウンドアンカーテンドン(以下では単にテンドンと言う)は、ダム、防波堤、防潮堤などの補強、嵩上げ用などとして使用される。このテンドンは、複数本の緊張材を束ねて構成される。そのテンドンや橋梁用PC緊張材などとして使用可能な複合材ケーブルが、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された複合材ケーブルは、複数本の緊張材を束ねてそれを合成樹脂製のシース(スリーブ)で覆い、シースの両端に止水具を取り付けてシース内全体に充填材を注入している。充填材は、膨張性セメントなどの膨張性のあるものを用いており、その充填材の膨張圧による摩擦でケーブルが定着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4288122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の特許文献1が開示している複合材ケーブルは、緊張材を束ねたマルチケーブルをシースに挿入し、緊張材を緊張後にシース内に充填材を注入する仕様であり、従って、緊張前には、シースとシース内の緊張材間は空隙があるので、例えば、グラウンドアンカーとしての用途において全長が数十m(30m程度)のテンドンに適用する場合には特に問題はないが、全長が相当長く、しかも、ダムの補強などを目的として鉛直方向に配設されるテンドンの場合、次のような問題が生じる。
【0006】
即ち、全長が30mを超えるようなテンドンは、削孔した孔内の水やアンカー体形成のためのテンドン挿入後に注入するグラウトの圧力が高くなる(例えば、全長100mでのグラウトの圧力は2MPaを超える)ことから、止水性に不安が残る。万一、止水性が保たれず、シース内にグラウトが流入すると緊張ができなくなる。その懸念があるのに、グラウトの注入は目視確認ができないためリスクが高い。また、グラウト圧によってシースが変形することも懸念される。
【0007】
止水の信頼性が低いと、ケーブル端より緊張材間の隙間を通って腐食因子(主に水)が内部に浸入し、緊張用ケーブルやそれを用いたテンドンの耐久性が低下する。また、シースが変形すると、シースが破れたり、ケーブルの緊張に支障が出たりする。
【0008】
そこで、この発明は、コンクリート構造物の補強用途などに利用されるケーブルの止水の信頼性を高めること、特に、長尺のアンカーテンドンを構成したときにも信頼性の高い止水が行われて腐食因子の内部への浸入が防止されるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明においては、コンクリート構造物補強用のケーブルを以下の通りの多重防食ケーブルに構成した。即ち、各々が防食加工された複数本の緊張材を撚り合わせてひとつに束ね、最外周の隣り合う緊張材間にケーブルの外径を均す整形材をケーブルの全長に亘って配置した。また、ケーブルの少なくとも片端において各緊張材間の隙間と前記整形材の周囲の隙間を埋める止水材を300mm以上の長さ範囲に亘って配置し、この緊張材の束の外周に合成樹脂の第1シースを設けた。
【0010】
なお、前記整形材は、PP(ポリプロピレン)などの条材などが適し、また、整形に発泡ウレタンや粘土などの材料を用いることも可能である。止水材は、ウレタン系樹脂などの水膨張性樹脂がよく、また、シリコーン樹脂などを用いることも可能である。
【0011】
この多重防食性ケーブルは、各緊張材間の隙間と前記整形材の周囲の隙間を埋めるグリースやワックスなどの充填材を追設し、その充填材を前記水膨張性止水材の設置領域を除く領域に配置しても構わない。
【0012】
また、その充填材を採用するものは、ケーブルの少なくとも片端に水膨張性止水材を配置することに代えてその充填材をケーブルの全長に亘って配置し、各緊張材間の隙間と前記整形材の周囲の隙間を充填材のみで埋める構造にしてもよい。
【0013】
長尺ケーブルの場合、シース施工後にシースの内側に充填材を圧入する方法では、グリースやワックスなどの充填材を止水の信頼性を十分に確保できるだけの長さ範囲に封入することができない。そこで、この発明においては、予め充填材を塗布した緊張材を撚り合せ、さらに、予め充填材を塗布した整形材を配置し、その後にシースを施すようにした。これにより、圧入による封入が不可能な長さ領域に充填材を充填することができる。
【0014】
この多重防食ケーブルは、シースを、前記緊張材の束の中の最外周の緊張材に接触させて緊張材の束と一体化させると好ましい。この構造によれば、緊張材の束とシースが緊張時に一体になって挙動し、内部の止水材や充填材が安定して保持されてその止水材や充填材による腐食因子浸入阻止機能の低下が起こり難い。
【0015】
上記多重ケーブルで用いるシースを第1シースとすると、その第1シースの外周に潤滑剤を塗布し、その潤滑剤を含めて全体の外周を包囲する合成樹脂の第2シースを最外周に設けるのも好ましい。これは、第2シースが固化したグラウトに拘束されても第1シースは固定されず、そのために、緊張材の緊張時の伸びが邪魔されず、補強対象のコンクリート構造物に安定して圧縮荷重を加えることができる。
【0016】
この発明は、アンカー設置孔の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部と、そのアンカー体長部に連続して地表面側がアンカー頭部の定着部に固定される自由長部とを有し、そのアンカー体長部と自由長部を複数本の緊張材をひとつに束ねた一連の緊張材で構成し、そのアンカー体長部と自由長部との境界にテンドンの外周部を覆う保護体を設置したグラウンドアンカーテンドンも併せて提供する。
【0017】
そのテンドンは、前記自由長部のアンカー頭部の定着部に固定される部分を除いた領域(所要箇所)にこの発明の多重防食ケーブルの構造を、水膨張性止水材を有するものについてはその前記水膨張性止水材が自由長部の下側に置かれる配置にして適用しており、そこに特徴を有する。
【0018】
なお、複数本の緊張材を束ねて外周にシースを施したケーブルをさらに複数本束ねて構成するテンドンは、外接円内における緊張材の配置にロスが生じてテンドンの外径が大きくなる上に、ケーブル相互間に摩擦が生じてテンドンを構成する全ケーブルの均一な緊張が難しくなる。
【0019】
これに対し、この発明のテンドンは、複数本の緊張材を撚り合わせてひとつに束ね、その外周をシースで覆う構造にしたので、外接円内における緊張材の配置効率を高めてテンドンの外径を小さくすることができる。また、束ねた緊張材は一体で挙動するために、各緊張材の緊張力の均一化も図れる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の多重防食ケーブルは、各々が防食加工された複数本の緊張材を組み合わせている。また、最外周の隣り合う緊張材間にケーブルの外径を均す整形材をケーブルの全長に亘って配置し、各緊張材間の隙間と前記整形材の周囲の隙間をケーブルの少なくとも片端に設ける止水材や、ケーブルの全長に亘って設ける充填材で埋めており、そのために、ケーブルの内部に加わる圧力が高くなる用途でも安定した止水がなされる。
【0021】
ケーブル端の内部の隙間を水膨張性止水材で埋めたものは、その止水材がケーブル内に浸入しようとする水分を吸収して膨張し、隙間の封止性能を増強させる。また、充填材のみで隙間を埋めるものは、シース施工後に圧入充填する方法では不可能な長さ(例えば30m以上)範囲に充填材を充填しており、そのために、この発明の多重防食ケーブルとそのケーブル構造を自由長部に採用したこの発明のテンドンは、ケーブルの内部に対する腐食因子の浸入が防止されて腐食防止の信頼性が高まる。
【0022】
また、最外周の隣り合う緊張材間の隙間にスペーサとして機能する整形材を配置しているので、グラウト圧などによるシースの変形も抑制されてシース変形に伴う不具合が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の多重防食ケーブルの基本形態を示す断面図
【図2】外周に2重にシースを施した多重防食ケーブルの断面図
【図3】防食加工された緊張材の断面図
【図4】この発明のグラウンドアンカーテンドンの一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面の図1〜図4に基づいて、この発明の多重防食ケーブルとグラウンドアンカーテンドンの実施の形態を説明する。
【0025】
この発明の多重防食ケーブルの一例を図1、図2に示す。図1の多重防食ケーブル1は、各々が防食加工された複数本の緊張材2を撚り合わせてひとつに束ねている。また、緊張材束の外周の窪んだ箇所にケーブルの外径を均す整形材3をケーブルの全長に亘って配置している。
【0026】
そしてさらに、ケーブルの少なくとも片端において各緊張材2,2間の隙間と整形材3の周囲の隙間を埋める止水材4を、300mm以上の長さ範囲に亘って配置し、整形材3と外周の止水材4を含めて全体の外周を合成樹脂のシース6で覆って多重防食ケーブルを完成させている。
【0027】
緊張材2は、図3に示すように、PC鋼より線2aをエポキシ樹脂やポリエチレンなどの合成樹脂2bで被覆して発錆を防止したものを用いている。この防食加工された緊張材2を、真円に極力近似した断面を持つように撚り合わせて一つに束ね、最外周の隣り合う緊張材2,2間にケーブルの外径(緊張材の束の外径)を均す整形材3を縦添えして緊張材2,2間の窪みをその整形材3で埋めている。なお、PC鋼より線2aは合成樹脂で被覆したものに限定されず、亜鉛めっきしたものや防食加工のないものも適用可能である。
【0028】
整形材3は、ここではPPのロープを用いたが、PP以外の樹脂や天然繊維で形成された繊維ロープなどの条材や発泡ウレタンなどの発泡樹脂を使用してもよい。
【0029】
止水材4は、水膨張性のあるウレタン系樹脂を使用し、それを、理想的には全長であるが、経済的な効率を考えてケーブルの少なくとも片端の300mm〜1000mmの長さ範囲に亘る領域に設けている。
【0030】
この止水材4は、緊張材2を撚り合せるときに各緊張材2間の隙間に配置し、さらに、整形材を配置するときにその整形材の周囲に配置し、その後にシース6を押出成形によって被覆している。
【0031】
止水材4を設置した領域以外の領域における各緊張材間の隙間と整形材3の周囲の隙間も、充填材5を追設してその充填材5で埋めることができる。この構造は、より高い止水の信頼性が求められる場合に有効である。
【0032】
充填材5は、適度に粘性のあるグリースやワックスなどでよい。この充填材は、シース施工後の圧入充填では設置範囲が制限されるので、予め充填材を塗布した緊張材を撚り合せ、さらに、撚り合わせた緊張材2の束の外周に予め充填材5を塗布した整形材3を配置し、その後に第1シース6を施す。
【0033】
この方法で充填材5を設けるケーブルは、充填材5をケーブルの全長に亘って配置し、止水材を用いずに各緊張材間の隙間と整形材3の周囲の隙間を充填材5のみで埋める構造にしてもよい。
【0034】
図2の多重防食ケーブル1は、図1の多重防食ケーブル1のシース6を第1シースと考えてその第1シースの外周にグリースなどの潤滑剤7を塗布し、その潤滑剤7を含めて全体の最外周にさらに合成樹脂の第2シース8を設けている。
【0035】
多重防食ケーブルをアンカーテンドンなどとして使用する場合、最外周のシースが硬化したグラウトによって拘束される。シースが2重に施されていれば、第2シース8が拘束されても第1シース6は第2シースに対して摺動可能であるので、安定した緊張が保証され、緊張材の再緊張も支障なく行える。
【0036】
第2シース8は、第1シース6を破れ難くするのにも役立つが、多重防食ケーブルの用途によっては、不要な場合がある。
【0037】
図1、図2の多重防食ケーブル1は、防食加工された複数本の緊張材を、整形材を含ませることで真円に近似した断面を持つように撚り合わせてひとつの束にしており、外径が小さく抑えられる。
【0038】
図4は、図2の多重防食ケーブルの構造を一部に適用して構成したグラウンドアンカーテンドンの具体例である。このグラウンドアンカーテンドン10は、アンカー設置孔20の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部11と、そのアンカー体長部に連続して地表面側がアンカー頭部の定着部13に固定される自由長部12を有する。
【0039】
アンカー体長部11と自由長部12は、各々が防食加工された複数本の緊張材2を、必要箇所(自由長部12の地表側を除く部分)で撚り合わせてひとつに束ねた一連の緊張材を用いて構成している。
【0040】
アンカー体長部11は、緊張材の束をコルゲートシース11aで覆い、そのコルゲートシース11aの外周の長手方向途中にアンカー体長部11をアンカー設置孔20の中心に保持するセンタリング部材11bを設置し、さらに、緊張材の束とコルゲートシース11aとの間にスペーサ11cを適宜間隔で配置し、スペーサ11cで確保された空間にセメントグラウトなどの充填材を注入し、緊張材とコルゲートシース11aを一体化させる。
コルゲートシース11a内にセメントグラウトを注入する方法としては、アンカー設置孔20にグラウンドアンカーテンドンを挿入する前に注入する方法、アンカー設置孔20にグラウンドアンカーテンドンを挿入後に注入する方法がある。グラウンドアンカーテンドンを挿入後の場合では、グラウトホースによりコルゲートシース11aに直接注入する方法と、コルゲートシース11aの下端を開口としておきアンカー設置孔20へのグラウト15を注入する際に併せて注入する方法もある。
【0041】
また、自由長部12は、定着部13に固定される地表面側以外の領域(緊張材が束ねられた領域)に図2の多重防食ケーブルの構造を、水膨張性止水材4の設置部が自由長部12の下側に配置される状態にして適用し、その多重防食ケーブルの上端と下端の外周に第2シース8の口を閉じる潤滑剤封入用Oリング12aを装着している。
【0042】
そして、さらに、そのケーブルの長手途中の外周にセンタリング部材12bを設置し、自由長部12の地表面側に、水密封止のための止水用Oリング12c、トランペットシース12d、及び熱収縮チューブ12eを設けている。
【0043】
さらに、アンカー体長部11の地表側の端部と自由長部12のアンカー設置孔の穴底側端部の境界部に、コルゲートシース11aと自由長部の第2シース8を連結する異種接続管14aと熱収縮チューブ14bを組み合わせた保護体14を設けている。
【0044】
このほか、定着部13は、アンカープレート13a上に止水プレート13bを介してアンカーディスク13cを配置し、そのアンカーディスク13cにウエッジ13dを使用して各緊張材を定着させ、アンカーディスク13cの外周にキャップ13eを被せている。
【0045】
このように構成したテンドンは、アンカー設置孔20内に配置し、そのアンカー設置孔20の入口に漏れ止めプレート(図示せず)と架設台(これも図示せず)を設置し、架設台でアンカーディスク13cをグラウト注入に支障をきたさない位置に仮保持してアンカー設置孔20にグラウト15を注入する。そして、その後にアンカープレート13a、止水プレート13b、アンカーディスク13cを配置し、グラウト15の固化後に各緊張材2を緊張して定着部13で定着させ、定着部にキャップ13eを被せて補強用のアンカーを構成する。
【0046】
自由長部12の下端側は口を閉じているが、グラウト圧が高くなる用途では腐食因子の浸入防止に関する信頼性をより高めることが要求される。この発明のテンドンは、自由長部の下端側のケーブル内隙間が止水材4によって封止され、或いは、自由長部12のアンカーヘッドに固定される地表側を除く部分の全域(従来の防食ケーブルでは不可能な長さ範囲が)が充填材によって封止されているので、印加圧力が高くなっても安定した止水がなされ、これにより、腐食防止の信頼性が高まる。
【0047】
また、テンドンが単一のケーブルで構成されているので、複数本の個々にシースを施した緊張材をさらに複数本束ねて構成されるテンドンで問題になる緊張材とケーブルの摩擦が起こらず、各緊張材の均一緊張も可能になる。
【0048】
さらに、今仮に、エポキシストランド19S15.2(19本のより線をS撚りした外径15.2mmのストランド)を採用したとすると、シース6の外径はφ95mm、第2シース8の外径はφ105mmであり、それを収納するためのアンカー設置孔の穿孔径が小さくて済む。例えば、このケースでのアンカー設置孔20の外径は、φ225mmあればよく、アンカー設置孔の穿孔コストも低減可能となる。
【0049】
なお、この発明の多重防食ケーブルは、ダムアンカーや防潮堤の補強、嵩上げに利用されるグラウンドアンカーテンドン用として好適に利用できるが、用途はそれに限定されない。一般的なグランドアンカー用の緊張材、コンクリート構造物の補強材、橋桁などの吊下材などとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 多重防食ケーブル
2 緊張材
2a PC鋼より線
2b 合成樹脂
3 整形材
4 水膨張性止水材
5 充填材
6 シース
7 潤滑剤
8 第2シース
10 グラウンドアンカーテンドン
11 アンカー体長部
11a コルゲートシース
11b センタリング部材
11c スペーサ
12 自由長部
12a 潤滑剤封入用Oリング
12b センタリング部材
12c 止水用Oリング
12d トランペットシース
12e 熱収縮チューブ
13 定着部
13a アンカープレート
13b 止水プレート
13c アンカーディスク
13d ウエッジ
13e キャップ
14 保護体
14a 異種接続管
14b 熱収縮チューブ
15 グラウト
20 アンカー設置孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が防食加工された複数本の緊張材(2)を撚り合わせてひとつに束ね、最外周の隣り合う緊張材(2,2)間にケーブルの外径を均す整形材(3)をケーブルの全長に亘って配置し、さらに、ケーブルの少なくとも片端において各緊張材(2)間の隙間と前記整形材(3)の周囲の隙間を埋める止水材(4)を300mm以上の長さ範囲に亘って配置し、この緊張材の束の外周に合成樹脂のシース(6)を設けたコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項2】
前記止水材(4)として、水膨張性樹脂を用いた請求項1に記載のコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項3】
各緊張材(2)間の隙間と前記整形材(3)の周囲の隙間を埋める充填材(5)を追設し、その充填材(5)を前記止水材(4)の設置領域を除く領域に配置した請求項1又は2に記載のコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項4】
各々が防食加工された複数本の緊張材(2)を撚り合わせてひとつに束ね、最外周の緊張材(2)間にケーブルの外径を均す整形材(3)をケーブルの全長に亘って配置し、さらに、各緊張材(2)間の隙間と前記整形材(3)の周囲の隙間を埋める充填材(5)をケーブルの全長に亘って配置し、この緊張材の束の外周に合成樹脂のシース(6)を設けたコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項5】
前記シース(6)を、前記緊張材(2)の束と一体化させた請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項6】
前記シース(6)の外周に潤滑剤(7)を塗布し、その潤滑剤を含めて全体の外周を包囲する合成樹脂の第2シース(8)を最外周に設けた請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート構造物補強用多重防食ケーブル。
【請求項7】
アンカー設置孔(20)の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部(11)と、そのアンカー体長部に連続し、地表面側がアンカー頭部の定着部(13)に固定される自由長部(12)を有し、そのアンカー体長部(11)と自由長部(12)を、各々が防食加工された複数本の緊張材(2)をひとつに束ねた一連の緊張材で構成し、そのアンカー体長部(11)と自由長部(12)との境界にテンドンの外周を覆う保護体(14)を設置したグラウンドアンカーテンドンであって、
前記自由長部(12)の前記アンカー頭部の定着部(13)に固定される部分を除いた領域に請求項1〜6のいずれかに記載の多重防食ケーブル(1)の構造を、前記止水材(4)を有するものについてはその前記止水材(4)が自由長部(12)の下側に置かれる配置にして適用したグラウンドアンカーテンドン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113036(P2013−113036A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261660(P2011−261660)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(391019740)三信建設工業株式会社 (59)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【Fターム(参考)】