説明

多面光入力端を有する導光フィルム

【課題】点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムの提供。
【解決手段】前記導光フィルム43が前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面421a、bをその間の平坦面423と共に含む導光フィルム43であり、各組の傾斜面は第1のおよび第2の傾斜をそれぞれさらに含み、前記第1の傾斜が85度以下であり、かつ前記第2の傾斜が少なくとも5度であり、前記第1の傾斜が前記第2の傾斜より少なくとも5度大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)バックライトユニットの導光フィルムに関し、より具体的には、光がある入射角によって導光フィルムを通って伝えられうるその入射角を大きくすることにより、点光源からの光を均一に分布させる導光フィルムの入射面に彫り込まれた複数の多面フィーチャを有するLEDバックライトユニットの導光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるようなTFT−LCDにおいて認められる典型的な平面バックライトは主として、導光板11、反射面12、複数の拡散フィルム13およびプリズムシート14、並びに光源15を含む。この平面光源1の最も重要な部品の一つとしての導光板11は光源15から放射された光を受け取り、伝達し、および方向変換(redirect)する。
【0003】
図2に示されているように、導光板11は通常、矩形形状のものであり、光放射面111、光放射面111と反対側の反射面112、および少なくとも側面に光入射面113を有する。点光源15から放射された光は光入射面113を通って導光板11に入り、その一部分は光放射面111を通って導光板11を直接出て、かつ他の部分は反射面112に当たる。よって、この反射面112はこの表面上の多くの光反射構造1121を有するように構成され、かつこの反射構造1121は、それらが光源15からより離れて位置するにつれて光放射面111に向けてできるだけ多く光を反射するように、次第により高くなる分布密度またはより大きくなる表面積を有する。
【0004】
通常、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)または発光ダイオード(LED)が平面バックライト1のための光源11として使用される。CCFLの適用は、それが線光源なので、より単純である。一方、LEDの適用は、それが点光源なので、より複雑である。
【0005】
図3Aに示されるように、端部鋸歯状フィーチャ(edge serration feature)を有しない光入力面22を通って導光フィルム23に光が入る場合には、光伝播角はsin−1(1/n)(nは屈折率である)に等しい半円錐角を有する円錐内に限定される。複数の点光源21がまとまるのに充分近くない場合には、これはLED21の前の明領域214および導光フィルムの入力端付近でLED間の暗領域215を生じさせるであろう。この現象はホットスポットとしても知られている。より多くのLED21を追加することで暗領域215を除去できるであろうが、この追加のLED21は材料コスト、電力消費、組み立ての複雑さ、および将来的な故障の可能性を増大させるので、これは満足できるアプローチではない。
【0006】
図3Bは、点光源21からの光線が端部鋸歯状フィーチャを有しない導光フィルム23の光入力面22上に入射するレイトレーシング(ray tracing)モデルを示す。ここで、点光源21は導光フィルム23の入力端22から20マイクロメートル離れている。この光線の広がる角度は160度である。この導光フィルム13の屈折率は1.59である。このレイトレーシングは点光源21からの光線が導光フィルム23に入った後で円錐角内に限定されることを明らかに示す。
【0007】
図3Cは、光入力端に端部鋸歯状フィーチャを有しない導光フィルムからのモデル化結果についての照度(illuminance)出力プロファイルを示す。ここで、点光源は6.3ミリメートル(mm)のピッチで間隔を開けられているランバート(Lambertian)出力のLEDである。各プロファイルが入力端から0.5ミリメートルで始まって1ミリメートル間隔(Y位置)で採られたこの出力プロファイルによって示されるように、明領域および暗領域は光入力端から5.5mmで依然として目に見えている。
【0008】
図4Aは単一傾斜プリズムから構成される鋸歯状フィーチャ29を有する導光フィルム23の入力端を示す。光線14aが光入力端の平坦面16または鋸歯状フィーチャ29の丸まった谷17に当たった場合に、屈折した光線が、光入力端の平坦面16に対して垂直な垂線を有する円錐角15a内で伝播する。大きな入射角14bを有するいくつかの光線は鋸歯状フィーチャ29の傾斜面(facet)18に当たるであろうし、次いで、その後の屈折した光線はその傾斜面18に対して垂直な垂線を有する大きな円錐角15bに向かって伝播する。さらにより大きな入射角14cを有するいくつかの光線も傾斜面18に当たるであろうし、そこでは屈折した光線はさらにより大きな円錐角15cで伝播する。次いで、より大きな角度のこれら光線は、それらが隣の傾斜面18に当たる際に再び屈折させられるであろう。全内部反射のせいで、より大きなこれら光線は傾斜面18によって円錐15dに屈折させられる。この第二の屈折は光伝播方向を変え、かつ端部鋸歯状フィーチャの効率を有意に低下させる。ホットスポット問題を克服するために、2つの隣り合うLEDからの光が交差する場合に、感知できる明領域もしくは暗領域がないように、屈折した光は大きな角度で均一に拡げられるべきである。
【0009】
端部鋸歯状フィーチャが単一傾斜プリズムである場合には、光をより大きな角度に拡げるために、傾斜面18は大きな傾斜角を有するべきである。しかし、この傾斜角が大きすぎる場合には、この光は図4Aに屈折した光線15dによって示されるように再び屈折させられる。単一傾斜プリズムを使用する鋸歯状フィーチャについては、平坦面16は第二の光屈折を回避するために充分広い必要がある。しかし、より広い平坦面は端部鋸歯状フィーチャの効率を低下させるであろうが、この理由は、図3Aが示すように、充分に大きな角度を超えてこの平坦面が入射光線を拡げないからである。
【0010】
図4Bは、点光源21からの光線が導光フィルム23の光入力端22上の単一傾斜鋸歯状フィーチャの谷に入射するレイトレーシングモデルを示す。図4Cは、点光源21からの光線が導光フィルム23の光入力端22上の単一傾斜鋸歯状フィーチャの平坦面頂部に入射するレイトレーシングモデルを示す。両方のモデルにおいて、点光源21は導光フィルム23の光入力端22から20マイクロメートルである。点光源21からの光線の拡げられる角度は160度である。この導光フィルム23の材料屈折率は1.59である。このレイトレーシングは全内部反射のせいで光線が傾斜面によって屈折させられることを明らかに示す。
【0011】
図4Dは、光入力端における単一傾斜端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムからのモデル化結果についての照度出力プロファイルを示す。ここで、点光源は6.3mmのピッチで間隔を開けられているランバート(Lambertian)出力のLEDである。各プロファイルが入力端から0.5ミリメートルで始まって1ミリメートル間隔(Y位置)で採られたこの出力プロファイルによって示されるように、明領域および暗領域は光入力端から5.5mmで依然として目に見える。この出力プロファイルによって、ホットスポット問題は最初に入力端から1.5mmまで次第に少なくなる。Y=2.5mm付近で、逆のホットスポットが生じ、そこでは明領域が暗くなり、かつ暗領域が明るくなる。約Y=4.5mmで再びホットスポットが現われる。これは全内部反射による二次光屈折によって引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、バックライトシステムの効率を犠牲にすることなく、より均一な照明の導光フィルムを提供する改良された入力端設計が必要とされる。本発明は、上記先行技術に関連する暗領域および明領域(ホットスポット)の問題を克服し、それによりバックライトシステムの効率を犠牲にすることなく、より均一な照明の導光フィルムを生じさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面(multi−faceted)端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が第1のおよび第2の傾斜をそれぞれさらに含み、前記第1の傾斜が85度以下であり、かつ前記第2の傾斜が少なくとも5度であり、前記第1の傾斜が前記第2の傾斜より少なくとも5度大きい、導光フィルムを提供する。
【0014】
本発明は、点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が前記多面端の一方の側の第1の面面積と前記第1の面面積と反対側の第2の面面積とをさらに有し、前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第1の面面積の傾斜面比率A1/A2、並びに前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第2の面面積の傾斜面比率A3/A4が0.1〜9であり、並びに前記平坦面が0.3未満の面積A5および全フィーチャ表面積比率を有する、導光フィルムをさらに提供する。
【0015】
本発明は、点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が第1のおよび第2の傾斜をそれぞれ含み、各組の傾斜面が前記多面端の一方の側の第1の面面積および前記第1の面面積と反対側の第2の面面積とをさらに有し、前記第1のおよび第2の組の傾斜面の第1の面面積の傾斜面比率A1/A2、並びに前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第2の面面積の傾斜面比率A3/A4が0.1〜9である、導光フィルムをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は従来の平面光源の斜視図である。
【図2】図2は光線の軌道を示す従来の導光板の概略側面図である。
【図3A】図3Aは光入力端に端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムの上面図である。
【図3B】図3Bは光入力端に端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムのための点光源のレイトレーシングモデルである。
【図3C】図3Cは光入力端に端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムについて異なるY位置での照度プロファイルのレイトレーシングモデルである。
【図4A】図4Aは光入力端に単一傾斜端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムの上面図である。
【図4B】図4Bは点光源が谷に近い場合の光入力端に単一傾斜端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムのレイトレーシングモデルである。
【図4C】図4Cは点光源が平坦面頂部に近い場合の光入力端に単一傾斜端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムのレイトレーシングモデルである。
【図4D】図4Dは光入力端に単一傾斜端部鋸歯状フィーチャを有する導光フィルムについて異なるY位置での照度プロファイルのレイトレーシングモデルである。
【図5A】図5Aは光入力端に複数の複数傾斜フィーチャを有する導光フィルムの上面図である。
【図5B】図5Bは光入力端に複数の複数傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図6A】図6Aは光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図6B】図6Bは寸法および角度を示す、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図6C】図6Cは光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大斜位像である。
【図6D】図6Dは各面が矩形形状である、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの側面図である。
【図6E】図6Eは各面形状が変化しうる、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの側面図である。
【図6F】図6Fは、異なる面ごとの光伝播方向の変化を示す、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図6G】図6Gは点光源が平坦面頂部に近い場合の、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムのレイトレーシングモデル化である。
【図6H】図6Hは点光源がフィーチャ谷に近い場合の、光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムのレイトレーシングモデル化である。
【図6J】図6Jは光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの照度出力のレイトレーシングモデル化である。
【図6K】図6Kは多面端部鋸歯状フィーチャを生じさせるミルマシンにおけるツールセットの斜位像である。
【図6L】図6Lは二傾斜端部鋸歯状フィーチャを生じさせるために使用される2つのカッターの斜位像である。
【図6M】図6Mは二傾斜端部鋸歯状フィーチャを生じさせるために使用される2つのカッターの側面図である。
【図7】図7はフィーチャ谷が丸められている光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの上面図である。
【図8A】図8Aは面上に微小散乱構成要素を有する光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図8B】図8Bは面上に微小散乱構成要素を有する光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大斜位像である。
【図8C】図8Cは面上に微小散乱構成要素を有する光入力端に複数の二傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大斜位像である。
【図9A】図9Aは異なる面ごとの寸法、傾斜角、および光伝播方向の変化を示す光入力端に複数の三傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【図9B】図9Bは三傾斜端部鋸歯状フィーチャを生じさせるために使用される3つのカッターの斜位像である。
【図9C】図9Cは三傾斜端部鋸歯状フィーチャを生じさせるために使用される3つのカッターの側面図である。
【図10】図10は異なる面ごとの寸法、傾斜角、および光伝播方向の変化を示す光入力端に複数の四傾斜フィーチャを有する導光フィルムの拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで図面を参照すると、図5Aは本発明の複数の多面フィーチャ32を有する光入力端を有する導光フィルム33の発明を示す。図5Bはその発明の拡大上面図を示す。点光源31からの光は多面フィーチャ32に入射する。それぞれの光源31は少なくとも1つの多面フィーチャを覆う。
【0018】
各多面フィーチャはフィーチャ頂部およびフィーチャ谷を含む。フィーチャ頂部は1つの平坦面を含む。さらに、各多面フィーチャはフィーチャ頂部と隣のフィーチャ谷との間に少なくとも2組の傾斜面を含む。傾斜面の各組は、フィーチャ頂部の対辺で位置する2つの傾斜面を含む。各平坦面および傾斜面は平坦表面積(planar surface area)を有する。各傾斜面の傾斜角はフィーチャ谷からフィーチャ頂部に進むにつれて次第に小さくなる。フィーチャ谷に最も近い傾斜面の組はフィーチャ頂部に最も近い傾斜面の組よりも大きな傾斜角を有する。傾斜面の各組の中では、対応する傾斜面の傾斜角は同じであって良いしまたは異なっていてもよい。光伝播方向が特定の角度に偏らないように、傾斜面の各組の中の対応する傾斜面の傾斜角は同じであるのが好ましい。傾斜面の各組の中では、対応する傾斜面の表面積は同じであっても良いしまたは異なっていてもよい。光伝播方向が特定の角度に偏らないように、傾斜面の各組の中での対応する傾斜面の表面積は同じであるのが好ましい。しかし、製造の際に、製造公差のせいで傾斜面の各組の中での対応する傾斜面の表面積が異なることとなり得る。多面フィーチャの合計面数は2m+1であり、mは2、3、4、5・・・に等しい整数である。複数の面が異なる配向角を有するので、それらは光を異なる角度に方向変換することができる。各面の傾斜角および面表面積が適切に設計される場合には、導光フィルムにおいて目に見える明領域および暗領域がないように光が広角スパンに均一に方向変換されうる。
【0019】
図6Aは、導光フィルムが光入力端に複数の多面フィーチャを含む本発明の第1の実施形態を示す。この多面フィーチャは異なる2組の傾斜面(二傾斜;two−slope)からなる。LED光源31からの光線は導光フィルム43の二傾斜フィーチャ42に入射する。この二傾斜フィーチャは第1の組の傾斜面421aおよび421b、第2の組の傾斜面422aおよび422b、並びに平坦面423を含む。各二傾斜フィーチャの合計面数は5である(22+1=5)。
【0020】
ここで図6Bおよび6Cを参照すると、寸法および傾斜角を含む二傾斜端部フィーチャの上面図が図6Bに示される。図6Cにおいては、この二傾斜端部フィーチャおよび各傾斜面の面面積の直交像がそれぞれ示される。図6Bおよび6Cを参照すると、傾斜面421aは面幅W1および面面積A1を有する。傾斜面422aは面幅W2および面面積A2を有する。傾斜面421bは面幅W3および面面積A3を有する。傾斜面422bは面幅W4および面面積A4を有する。平坦面は面幅Fおよび面面積A5を有する。この二傾斜フィーチャはピッチPおよび高さHを有する。第1の組の傾斜面421aおよび421bは第1の傾斜角アルファ(α)を有する。第2の組の傾斜面422aおよび422bは第2の傾斜角オメガ(ω)を有する。このアルファ角は85度以下である(アルファ≦85度)。このオメガ角は少なくとも5度である(オメガ≧5度)。このアルファ角はオメガ角よりも少なくとも5度大きい(アルファ−オメガ≧5度)。この二傾斜端部フィーチャの各面における傾斜面面積比率A1/A2およびA3/A4は0.1〜9の範囲内にあり(0.1≦A1/A2≦9、0.1≦A3/A4≦9)、平坦面面積A5および合計フィーチャ表面積は0.3未満の比率を有する(A5/(A1+A2+A3+A4+A5)≦0.3)。
【0021】
各面は図6Dに示されるように矩形の形状であることができる。製造の際に、導光フィルムの柔らかさのせいで、この形状が台形形状または三角形形状に変化する場合がある。図6Eに示されるように、面形状が台形、三角形または矩形の形状であっても良い。この多面フィーチャの設計における重要な特徴は、入射光が導光フィルムの内側で大角度スパンに分布させられうるように、各面の傾斜角および各面の表面積を制御することである。
【0022】
図6Fに示されるように、アルファ角はオメガ角よりも大きい。よって、フィーチャ谷に最も近い第1の組の傾斜面421aおよび421bは図4Fにおける円錐431aおよび431bによって示されるようにより大きな角度に光を方向変換するであろう。フィーチャ頂部に最も近い第2の組の傾斜面422aおよび422bは図6Fにおける円錐432aおよび432bによって示されるようにより小さな角度に光を方向変換するであろう。平坦面は典型的には、図6Fにおける円錐433によって示されるように光を前方に向ける。5つの面の全ての傾斜角および面表面積が適切に設計される場合には、この二傾斜フィーチャの5つの面の全ての組み合わせが、導光フィルムにホットスポットが目に見えないように光を均一に広角スパンに方向変換することができる。
【0023】
図6Gは、点光源21からの光線が、導光フィルム43の光入力端における二傾斜端部フィーチャの平坦面頂部42に入射するレイトレーシングモデルを示す。図6Hは、点光源21からの光線が、導光フィルム43の光入力端における二傾斜端部フィーチャの谷44に入射するレイトレーシングモデルを示す。両方のモデルにおいて、点光源21は導光フィルム43の光入力端から20マイクロメートルにある。点光源21からの光線の拡げられる角度は160度である。導光フィルム43の材料屈折率は1.59である。このモデル化は光線が、隣の傾斜面によって屈折させられることなく、非常に大きな角度に拡げられることを示す。
【0024】
図6Jは光入力端に二傾斜端部フィーチャを有する導光フィルムからのモデル化結果についての照度出力プロファイルを示す。ここで点光源はランバート出力のLEDであり、6.3mmのピッチで間隔を開けられている。出力プロファイルによって示されるように、各プロファイルは入力端から0.5ミリメートルで始まって1ミリメートル間隔(Y位置)で採られ、Y=2.5mm付近で明領域および暗領域、またはホットスポットが低減される。
【0025】
この二傾斜端部鋸歯状フィーチャを生じさせるための1つの試みは、2組の傾斜面を生じさせる2つの異なるカッターと平坦面を生じさせるフライカッターとを使用することである。図6Kは平坦面を生じさせるためのフライカッター452、および2組の傾斜面を切り出すためのツーカッターツールホルダー453を含むツールセット451を示す。複数傾斜端部鋸歯状フィーチャを切り出すために、ツールセット451は特定の速度で回転する。同時に、導光フィルムスタック460はこのツールセット451の下を所定の速度で移動する。図6Lは第1のカッター455および第2のカッター456を有するツールホルダー453を示す。この第1のカッター455は第2のカッター456とは異なる刃先角を有する。図6Mはこの2つのカッターの側面図を示す。
【0026】
本発明の別の実施形態は複数の多面端部フィーチャを含み、このフィーチャは2つの傾斜を有しかつこのフィーチャの谷は半径を含む。図7は谷が半径を含むフィーチャを示す。この半径の谷は光屈折力を低下させそして光が大きな角度で伝播できなくなるので、この半径が小さいことが好ましい。
【0027】
図8A、8Bおよび8Cは、光散乱構成要素526をさらに含む二傾斜端部鋸歯状フィーチャを示す。これら光散乱構成要素は微細溝、スクラッチ溝、粒子、凸状微小バンプ、または粗化面でありうる。
【0028】
図9Aは、導光フィルムが光入力端に複数の三傾斜多面フィーチャ72を含む本発明の別の実施形態を示す。各三傾斜端部鋸歯状フィーチャ72は第1の組の第1の傾斜角アルファ(α)を有する傾斜面721aおよび721b、第2の組の第2の傾斜角ベータ(β)を有する傾斜面722aおよび722b、第3の組の第3の傾斜角オメガ(ω)を有する傾斜面723aおよび723b、並びに平坦面724を含む。合計面数は7である(23+1=7)。フィーチャ谷に最も近い傾斜面はフィーチャ頂部に最も近い傾斜面よりも大きな傾斜角を有し、すなわち、アルファ>ベータ>オメガである。このアルファ角は85度以下である(アルファ≦85度)。このオメガ角は少なくとも5度である(オメガ≧5度)。
【0029】
図9Aに示されるように、第1の組の傾斜面は入射光線を円錐731aおよび731bに方向変換し、第2の組の傾斜面は入射光線を円錐732aおよび732bに方向変換し、第3の組の傾斜面は入射光線を円錐733aおよび733bに方向変換し、並びに平坦面は入射光線を円錐734に方向変換する。全ての面の傾斜角および面表面積が適切に設計される場合には、ホットスポット問題が解決されうるように、入射光が大角度スパンに均一に方向変換されうる。
【0030】
図9Bは3組の傾斜面を生じさせるために使用されうるカッターを示す。第1のカッター751、第2のカッター752、および第3のカッター753がツールホルダー754上に取り付けられる。ここで、第1のカッター751、第2のカッター752、および第3のカッター753は全て異なる刃先角を有する。図9Cはこれら3つのカッターの側面図を示す。
【0031】
図10は導光フィルムが光入射端に複数の四傾斜多面フィーチャを含む本発明の別の実施形態を示す。各四傾斜フィーチャ82は、第1の組の第1の傾斜角アルファ(α)を有する傾斜面821aおよび821b、第2の組の第2の傾斜角ベータ(β)を有する傾斜面822aおよび822b、第3の組の第3の傾斜角ガンマ(γ)を有する傾斜面823aおよび823b、第4の組の第4の傾斜角オメガ(ω)を有する傾斜面824aおよび824b、並びに平坦面825を含む。この合計面数は9である(24+1=9)。フィーチャ谷に最も近い傾斜面はフィーチャ頂部に最も近い傾斜面よりも大きな傾斜角を有し、すなわち、アルファ>ベータ>ガンマ>オメガである。このアルファ角は85度以下である(アルファ≦85度)。このオメガ角は少なくとも5度である(オメガ≧5度)。
【0032】
図10に示されるように、第1の組の傾斜面は入射光線を円錐831aおよび831bに方向変換し、第2の組の傾斜面は入射光線を円錐832aおよび832bに方向変換し、第3の組の傾斜面は入射光線を円錐833aおよび833bに方向変換し、第4の組の傾斜面は入射光線を円錐834aおよび834bに方向変換し、並びに平坦面は入射光線を円錐835に方向変換する。全ての面の傾斜角および面表面積が適切に設計される場合には、ホットスポット問題が解決されうるように、入射光が大角度スパンに均一に方向変換されうる。
【符号の説明】
【0033】
1 平面光源
11 導光板
12 反射面
13 拡散膜
14 プリズムシート
15 光源
111 光放射面
112 反射面
1121 反射構造
113 光入射面
21 点光源
214 明領域
215 暗領域
22 光入力面
23 導光フィルム
29 鋸歯状フィーチャ
14a 光線
14b 大きな入射角
14c さらにより大きな入射角
15a 円錐角
15b 大きな円錐角
15c さらにより大きな円錐角
15d 円錐
16 平坦面
17 谷
18 傾斜面
31 点光源
32 多面フィーチャ
33 導光フィルム
42 二傾斜フィーチャ
43 導光フィルム
421a、421b、422a、422b 傾斜面
423 平坦面
431a、431b、433 円錐
44 谷
451 ツールセット
452 フライカッター
453 ツーカッターツールホルダー
455 第1のカッター
456 第2のカッター
460 導光フィルムスタック
526 光散乱構成要素
72 三傾斜多面フィーチャ
721a、721b 第1の傾斜角アルファ(α)を有する傾斜面
722a、722b 第2の傾斜角ベータ(β)を有する傾斜面
723a、723b 第3の傾斜角オメガ(ω)を有する傾斜面
724 平坦面
731a、731b、732a、732b、733a、733b、734 円錐
751 第1のカッター
752 第2のカッター
753 第3のカッター
754 ツールホルダー
82 四傾斜フィーチャ
821a、821b 第1の傾斜角アルファ(α)を有する傾斜面
822a、822b 第2の傾斜角ベータ(β)を有する傾斜面
823a、823b 第3の傾斜角ガンマ(γ)を有する傾斜面
824a、824b 第4の傾斜角オメガ(ω)を有する傾斜面
825 平坦面
831a、831b、832a、832b、833a、833b、834a、834b、835 円錐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、
前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が第1のおよび第2の傾斜をそれぞれさらに含み、前記第1の傾斜が85度以下であり、かつ前記第2の傾斜が少なくとも5度であり、前記第1の傾斜が前記第2の傾斜より少なくとも5度大きい、
導光フィルム。
【請求項2】
前記多面端の谷が半径を含む請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項3】
前記多面端の表面が光散乱構成要素を含む請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項4】
第3の組の傾斜面をその間の前記平坦面と共にさらに含む、請求項1に記載の導光フィルム。
【請求項5】
第4の組の傾斜面をその間の前記平坦面と共にさらに含む、請求項4に記載の導光フィルム。
【請求項6】
点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、
前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が前記多面端の一方の側の第1の面面積と前記第1の面面積と反対側の第2の面面積とをさらに有し、前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第1の面面積の傾斜面比率A1/A2、並びに前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第2の面面積の傾斜面比率A3/A4が0.1〜9であり、並びに前記平坦面が0.3未満の面積A5および全フィーチャ表面積比率を有する、
導光フィルム。
【請求項7】
前記多面端の谷が半径を含む請求項6に記載の導光フィルム。
【請求項8】
前記多面端の表面が光散乱構成要素を含む請求項6に記載の導光フィルム。
【請求項9】
第3の組の傾斜面をその間の前記平坦面と共にさらに含む、請求項6に記載の導光フィルム。
【請求項10】
第4の組の傾斜面をその間の前記平坦面と共にさらに含む、請求項9に記載の導光フィルム。
【請求項11】
点光源からの光を均一に分布させるための導光フィルムであって、
前記導光フィルムが前記点光源からの前記光を受け取るための多面端を含み、前記多面端が少なくとも第1のおよび第2の組の傾斜面をその間の平坦面と共に含み、各組の傾斜面が第1のおよび第2の傾斜をそれぞれ含み、各組の傾斜面が前記多面端の一方の側の第1の面面積および前記第1の面面積と反対側の第2の面面積とをさらに有し、前記第1のおよび第2の組の傾斜面の第1の面面積の傾斜面比率A1/A2、並びに前記第1のおよび第2の組の傾斜面の前記第2の面面積の傾斜面比率A3/A4が0.1〜9である、
導光フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図6F】
image rotate

【図6G】
image rotate

【図6H】
image rotate

【図6J】
image rotate

【図6K】
image rotate

【図6L】
image rotate

【図6M】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−89597(P2013−89597A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−226656(P2012−226656)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【出願人】(508330870)エスケーシー・ハース・ディスプレイ・フィルムズ・カンパニー,リミテッド (31)
【Fターム(参考)】