説明

夜光服

【課題】発光手段を装着することにより夜間に着る衣服のデザイン性を高めること。
【解決手段】衣服本体1と、電源部2と、電源部2から引き出される電源ライン3と、電源ライン3に接続した多数の発光素子4、4…とで構成する。衣服本体1は、ブラウスと称される種類の衣服を採用した。電源部2は、箱体2aと、これに収納する電池2bと、電源スイッチ2cとで構成した。電源スイッチ2cは、箱体2aに構成したスライドタイプのスイッチを用いている。電源ライン3は、電源部2の電池2bの電力を発光素子4、4…に供給する手段であり、銀色の被覆を施した導線を採用した。また各発光素子4、4…相互は電源ライン3に並列に接続した。電源ライン3には電流制限抵抗3aを途中に装入してある。電源ライン3は、衣服本体1の前面、背面及び両袖に配してある。発光素子4、4…はほぼ半数ずつ発光色の異なる発光ダイオードを採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に女性が夜におしゃれのために着る発光手段を衣服に付設した美飾用の夜光服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このように発光手段を備えた美飾用の夜光服は現時点では存在していないと思われる。夜間の交通整理等において警備員や作業員が自分自身の視認性を高めるために使用する発光素子又は反射手段を備えた衣服類が知られている程度である。
【0003】
特許文献1は、発光素子付き衣服に関するもので、複数の発光ダイオード部材を備えた発光機能付き衣服であって、前記複数の発光ダイオード部材は、前記発光機能付き衣服の前面及び背面の少なくとも一方に設置され、衣服表面に対して垂直に光を放出するように構成・設置された縦置き発光ダイオード部材と、衣服表面に平行且つ衣服装着者の側面方向外側に向けて光を放出するように構成・設置された横置き発光ダイオード部材との双方を含んでいる発光機能付き衣服である。
【0004】
前記横置き発光ダイオード部材は、前記衣服装着者の左側面方向外側に向けて光を放出するように構成・設置された第1の横置き発光ダイオード部材と、前記衣服装着者の右側面方向外側に向けて光を放出するように構成・設置された第2の発光ダイオード部材とを含んでいるものである。
【0005】
従ってこの発光素子付き衣服を着用して夜間の交通整理等を行った場合は、交通整理を行う警備員や警察官は、正面からばかりでなく、両側面方向からも十分にその存在が認識され得るため、そのより高い安全性が確保できることは確かであると思われる。
【0006】
特許文献2は、点滅式夜光チョッキに関するもので、チョッキ本体と、このチョッキ本体に設けられた複数の発光ダイオード等の発光体と、チョッキ本体に装着される発光体用の電源装置とを有し、チョッキ本体を着衣して使用する点滅式夜光チョッキにおいて、前記電源装置を、充電式の蓄電池としたものである。また電源装置は、充電式の蓄電池と、ハンドルの回転操作で発電して前記蓄電池を充電するための発電機とを含み、それらの電源装置は、ケースに収められ、更にチョッキ本体には、電源装置を収納する収納部を有するように構成したものである。
【0007】
従ってこの点滅式夜光チョッキを着用して夜間の土木作業等を行った場合には、その作業者の存在は、発光ダイオードの点滅によってドライバー等から明りょうに認識され、安全性を高めることができる。更に、この点滅式夜光チョッキは、電源が蓄電池で構成され、その充電をハンドルの回転で発電する発電機で行うことができるようになっているので、蓄電池が放電してしまった場合には、その発電機で発電して充電することができる利点もある。
【0008】
特許文献3は、救命胴衣に関し、無機ELファイバー又は発光ダイオードが固定され、これらを駆動する電源として太陽光発電による充電電池を備えた救命胴衣である。
【0009】
従ってこれを装着していれば、船舶の遭難の場合に、例え、直ちに発見されず、翌日の晩になったような場合でも、太陽光発電により、更に充電電池に充電可能であり、翌日の晩又は翌々日晩等でも発光ダイオード等を発光させ、その位置を捜索をする者に報知することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−308050号公報
【特許文献2】特開2006−070416号公報
【特許文献3】特開2011−136675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上の従来技術のような夜間作業等における安全性の確保のためではなく、夜間に着る衣服の装飾のために光を用いるものであり、発光手段を衣服に装着することによりデザイン性を高めた夜光服を提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1は、衣服本体と、電源ラインに接続した、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部に配置した発光素子と、前記電源ラインに接続した、前記発光素子への電源の供給をオンオフする電源スイッチを備えた電源部とで構成した夜光服である。
【0013】
本発明の2は、本発明の1の夜光服において、
前記発光素子として、発光色の異なる二種類の発光素子を採用したものである。
【0014】
本発明の3は、本発明の1又は2の夜光服において、
前記発光素子を点滅発光駆動するための点滅駆動手段を前記電源部に付設したものである。
【0015】
本発明の4は、本発明の1、2又は3の夜光服において、
前記電源ラインを、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部に配置した発光素子への電源の供給機能に加えて、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部の外面上を這わせて装飾に用いたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1の夜光服によれば、女性が夜に着用する衣服として複数の発光素子をその外面に配設した衣服を構成したため、他者と明らかに区別のできる従来にない新しいデザインの衣服をとすることが可能になったものである。該衣服を構成する布の色や模様等と配列する発光素子の数や色を適切に調整することで、衣服に関して、様々なデザイン上の新たな工夫を凝らすことが可能になり、今までと全く違った衣服のデザインを創作することも可能になり、女性が夜に着る衣服のバリエーションを豊富にすることも可能になったものである。
【0017】
本発明の2の夜光服によれば、単色の発光素子を用いる場合よりも変化を付けることが可能になり、二色の発光素子の配列を種々に変化させることで、新たな多くの態様のデザインが可能になる。またこのような二種類の発光素子と、衣服本体を構成する布地の種々の色や模様とを組み合わせることにより、更にデザインの幅を広げることが可能になる。
【0018】
本発明の3の夜光服によれば、発光素子を点滅駆動することが可能になるため、更に変化のあるデザインとすることができる。またデザインの多様性を確保することも可能となる。
【0019】
本発明の4の夜光服によれば、複数の発光素子ばかりでなく、これらに電源を供給する電源ラインも衣服本体の装飾手段として用いるものであり、電源ラインが、衣服の表面に存在することは普通には考えられないものであるため、非常に特異性のあるデザインとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例の夜光服の概略正面図。
【図2】実施例の夜光服の概略背面図。
【図3】(a)は、実施例の夜光服の回路図、(b)は点滅装置を組み込んだ回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
この実施例の夜光服は、図1及び図2に示すように、基本的に、衣服本体1と、電源部2と、該電源部2から引き出される電源ライン3と、該電源ライン3に接続した多数の発光素子4、4…とで構成したものである。
【0023】
前記衣服本体1は、図1及び図2に示したように、この実施例では、ブラウスと称される種類の衣服を採用した。もっとも衣服本体1としてはこれに限定されない。自由に種々のタイプの衣服をそれとして採用することができる。またこの衣服本体1では、木綿をその布地として用いているが、これも自由である。なお、この衣服本体1はその前面にポケット1aを備えているものである。
【0024】
前記電源部2は、この実施例では、図1及び図3(a)に示すように、箱体2aと、これに収納する電池2bと、電源スイッチ2cとで構成したものである。箱体2aは、絶縁性で電池を収納するのに適当なサイズのそれを採用する。電池2bは、適切な電圧と電流を確保できれば、種々のそれを採用可能であるが、できるだけ小型であることが携帯のために好ましい。この実施例では、出力電圧が9vの直方体状の電池を用いている。この電池としては、蓄電池を採用しても良い。
【0025】
前記電源スイッチ2cは、この実施例では、箱体2aに構成したスライドタイプのスイッチを用いている。勿論、これ以外の種々の態様のそれを自由に採用することができる。この電源スイッチ2cは、云うまでもなく、電源ライン3と電源部2の電池2bとの間に挿入して、該電池2bから発光素子4、4…に供給する電力を断続すべく操作する手段である。
【0026】
前記電源部2は、以上のような構成であり、この実施例では、衣服本体1の前面に配してある前記ポケット1aに収納して携帯可能なサイズとなっている。
【0027】
前記電源ライン3は、図1〜図3(a)に示すように、云うまでもなく、電源部2の電池2bの電力を発光素子4、4…に供給する手段であり、この実施例では、銀色の被覆を施した導線を採用した。またこの電源ライン3に、前記各発光素子4、4…相互を並列に接続したものである。なお、この電源ライン3には電流制限抵抗3aを途中に挿入してある。
【0028】
この電源ライン3は、図1に示すように、この実施例では、衣服本体1のポケット1aに収納した電源部2から引き出し、該衣服本体1の脇の下から右側の袖部の先端に伸ばし、該右側の袖部の先端で折返し、右肩まで戻った上で、該衣服本体1の前面では、右胸の前で2回ほど少しづらしながら円弧を描くように延長した上で、図1及び図2に示すように、右肩側から背面側に延長し、背面側の右肩側で一回、左肩側で一回円弧を描いた上で、左肩側から前面側に戻し、左胸の前でほぼ二回円弧を描くように延長し、脇の下から左袖部の先端側まで延長し、先端で折返し、左肩まで戻すように配置したものである。この電源ライン3は、適当な間隔で複数箇所で衣服本体1に縫い付け固定してある。
【0029】
前記発光素子4、4…は、この実施例では、発光ダイオードを採用した。小電力で発光駆動可能なので好都合である。勿論豆電球等を採用することも可能である。その他の発光手段を採用することも当然可能である。この実施例ではまたほぼ半数ずつ発光色の異なる発光ダイオードを採用した。一方は赤色に発光する発光ダイオードであり、他方は青色に発光する発光ダイオードである。
【0030】
以上の発光素子4、4…は、図1及び図2に示すように、前記電源ライン3に適宜間隔で配してあり、前記のように電源ライン3を衣服本体1に配することにより、衣服本体1の前面側、背面側及び両袖部に適当に配置されることになるものである。
【0031】
以上の発光ダイオード4、4…における青色と赤色のそれの配置は、この実施例では、交互に配置したが、袖部が赤、胸前が青、背中が赤などと配しても良い。配列は自由である。
【0032】
この実施例の夜光服によれば、夜にこれを着用し、必要に応じて前記電源部2の電源スイッチ2cをオン動作させると、衣服本体1の前面、背面及び両袖部に配した二色の発光ダイオードである発光素子4、4…が発光駆動し、従来と全く異なる新しい美観を示すことができる。従来の衣服とは明りょうに区別されるものとなる。
【0033】
光を発すること自体が新しいが、更に青色と赤色の光が衣服に微妙な雰囲気をもたらすことにもなる。
また衣服本体1の前面、背面及び袖部に配した電源ライン3も普通の服とは全く異なる雰囲気をもたらすことになる。
【0034】
なお、図3(b)は、電源部2に点滅駆動手段を配した他の例である。
これは、同図に示すように、この実施例では、箱体2aの外側で、前記電源ライン3に発振器2dを接続し、その出力で、電源ライン3を断続するスイッチ2eをオンオフ制御するようにしたものである。この実施例では、発振器2dとして非安定マルチバイブレータを採用し、スイッチ2eとしては、二つの入力部を持ったアンド回路を採用したものである。発振器2dの出力をアンド回路の二つの入力部の内の一方に接続し、他方は、電源ライン3の+側に接続し、発振器2dの出力が+の時、該アンド回路の出力側に+の出力が生じるようにしたものである。発振器2dからは、これが発振動作している場合には、設定した周波数で+の出力が生じるので、電源ライン3にその周波数で断続的に電源が供給されることになり、発光素子4、4…を点滅駆動することができることになる。
【0035】
以上のとおりであり、衣服本体1には配設された発光素子4、4…が点滅駆動するので、単に発光するのとは異なる新たな美観が生じることになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の夜光服は服飾の製造及び販売の分野で有効に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 衣服本体
1a ポケット
2 電源部
2a 箱体
2b 電池
2c 電源スイッチ
2d 発振器
2e スイッチ
3 電源ライン
3a 電流制限抵抗
4 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体と、
電源ラインに接続した、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部に配置した発光素子と、
前記電源ラインに接続した、前記発光素子への電源の供給をオンオフする電源スイッチを備えた電源部と、
で構成した夜光服。
【請求項2】
前記発光素子として、発光色の異なる二種類の発光素子を採用した請求項1の夜光服。
【請求項3】
前記発光素子を点滅発光駆動するための点滅駆動手段を前記電源部に付設した請求項1又は2の夜光服。
【請求項4】
前記電源ラインを、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部に配置した発光素子への電源の供給機能に加えて、前記衣服本体の前面側、背面側及び両袖部の外面上を這わせて装飾に用いたものである請求項1、2又は3の夜光服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100611(P2013−100611A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243968(P2011−243968)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(303068822)
【Fターム(参考)】