説明

大便器ユニット

【課題】 下水管内に圧力変動が生じた場合にも、尿量又は尿流率を精度良く測定することができる大便器ユニットを提供する。
【解決手段】 本発明の大便器ユニット(1)は、使用者の尿を受けるボール(6)と、下水管を水封するトラップ部(8)と、ボール内の溜水の水位を、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段(24b)と、使用者の排尿によって変化するボール内の水位を測定する水位測定手段(18)と、下水管内の圧力を測定する下水管圧力センサ(22)と、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段(40)と、この尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を、下水管圧力センサによって測定された圧力に基づいて補正する補正手段(42)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大便器ユニットに係わり、特に、排泄された尿の量、又は尿流率を測定することができる大便器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8−299348号公報(特許文献1)には、尿量測定機能を有する便器が記載されている。この便器では、トラップ部の溢流水位まで、ボールに溜水が溜まった状態において、トラップ部を変形させてトラップ部の容積を拡張し、ボールの水位を低下させる。この水位の低下したボールに使用者が排尿することにより、尿を下水に溢流させることなく、ボール及びトラップ部に尿を溜める。排尿後、トラップ部内の水位を測定し、排尿前の溜水の水位と比較することによって、尿量を測定している。
【0003】
【特許文献1】特開平8−299348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トラップ部は、下水管と連通しているため、下水配管中の他の設備機器等に起因する水の流れに伴って下水管内に負圧又は正圧が発生していると、トラップ部及びボール内の水位が変動して尿量の測定値に誤差が生じるという問題がある。
また、トラップ部又はボール内の水位を時系列で測定し、水位の時間的な変化により尿流率を測定する場合には、下水管内の圧力変動によりトラップ部又はボール内の水位が上下に変動すると、測定値に大きな誤差を生じるか、測定不能になるという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、下水管内に圧力変動が生じた場合にも、尿量又は尿流率を精度良く測定することができる大便器ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の大便器ユニットは、使用者の尿を受けるボールと、このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、使用者の排尿によって変化するボール内の水位を測定する水位測定手段と、下水管内の圧力を測定する下水管圧力センサと、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、この尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を、下水管圧力センサによって測定された圧力に基づいて補正する補正手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、まず、水位設定手段が、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する。次に、水位測定手段は、使用者がボール内に排尿することによって変化するボール内の水位を測定する。尿量算出手段は、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する。さらに、補正手段は、下水管内の圧力を測定する下水管圧力センサによって測定された圧力に基づいて、尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を補正する。
【0008】
このように構成された本発明によれば、補正手段が、下水管圧力センサによって測定された圧力に基づいて尿量又は尿流率を補正するので、下水管内の圧力変動によりボール内の水位が変化したとしても精度良く尿量を測定することができる。
【0009】
また、本発明の大便器ユニットは、使用者の尿を受けるボールと、このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、下水管に連通して設けられ、下水管内の圧力が低下したとき下水管の中に大気を導入する負圧破壊手段と、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、使用者の排尿によって変化するボール内の水位を測定する水位測定手段と、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明においては、まず、水位設定手段が、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する。次に、水位測定手段は、使用者がボール内に排尿することによって変化するボール内の水位を測定する。尿量算出手段は、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する。また、下水管に連通して設けられた負圧破壊手段は、下水管内の圧力が低下したとき下水管の中に大気を導入して、下水管内の負圧によりボール内の水位が変動するのを防止する。
【0011】
このように構成された本発明によれば、負圧破壊手段が下水管内の負圧によりボール内の水位が変動されるのを防止するので、溜水が下水配管側に引かれたり、圧力値によってはトラップ部の溢流水位を越えたりすることがないため、精度良く尿量を測定することができる。
【0012】
また、本発明の大便器ユニットは、使用者の尿を受けるボールと、このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、使用者の排尿によって変化するボール内の水位を測定する水位測定手段と、トラップ部内の水位を測定するトラップ部水位測定手段と、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、この尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を、トラップ部水位測定手段によって測定された水位に基づいて補正する補正手段と、を有することを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明においては、まず、水位設定手段が、ボール内の溜水の水位を、下水管の水封が破れる水位よりも高く、トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する。次に、水位測定手段は、使用者がボール内に排尿することによって変化するボール内の水位を測定する。尿量算出手段は、水位測定手段によって測定されたボール内の水位の測定値に基づいて使用者がボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する。さらに、補正手段は、トラップ部水位測定手段によって測定されたトラップ部内の水位に基づいて、尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を補正する。
【0014】
このように構成された本発明によれば、補正手段が、トラップ部水位測定手段によって測定されたトラップ部内の水位に基づいて尿量又は尿流率を補正するので、下水管内の圧力変動によりボール内の水位が変化したとしても精度良く尿量を測定することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、水位測定手段は、ボール内の溜水の水圧を測定する圧力センサである。
このように構成された本発明によれば、従来の洋風大便器の構造に大きな変更を加えることなく、尿量測定をボール内の溜水水位を測定することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、水位測定手段又はトラップ部水位測定手段は、電極配列式の水位センサである。
このように構成された本発明によれば、ボール内又はトラップ部内の水位を直接測定することができ、簡単な構成で尿量測定を行うことができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、ボール及び/又はトラップ部は陶器製であり、電極配列式の水位センサの電極は焼成によって形成されている。
このように構成された本発明によれば、電極配列式の水位センサを容易に構成することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、電極配列式の水位センサは、尿のpH、温度、又は導電率の測定に利用される。
本発明において、好ましくは、さらに、電解質濃度推定手段を有し、電極配列式の水位センサはボール内の溜水と尿が混合された液体の導電率を測定し、電解質濃度推定手段は、測定された尿量と導電率に基づいて、尿中の電解質濃度を推定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の大便器ユニットによれば、下水管内に圧力変動が生じた場合にも、尿量又は尿流率を精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態による大便器ユニットを説明する。
まず、図1乃至図7を参照して本発明の第1実施形態による大便器ユニットを説明する。
図1は本発明の第1実施形態による大便器ユニットの断面図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態による大便器ユニット1は、洋風大便器2と、大便器ユニット1を作動させる種々の機能部4と、を有する。洋風大便器2は、ボール6と、洗浄水を吐水させるリム吐水ノズル7と、ボール6を水封するトラップ部8と、トラップ部8に向けて洗浄水を噴出するサイホン現象発生手段であるゼット吐水ノズル9と、を有する水道直圧式の洗浄を行う洋風大便器である。さらに、大便器ユニット1は、洋風大便器2のトラップ部8に接続された排水ソケット10と、洋風大便器2に取り付けられ、市水から供給された洗浄水を切替えて供給する給水バルブである水路切替手段16と、を有する。
【0021】
また、機能部4は、ボール6底部の静水圧を測定する水位測定手段である圧力センサ18と、排水ソケット10に接続され、下水管内の空気の圧力を測定する下水管圧力センサ22と、を有する。また、機能部4は、貯水タンク24と、貯水タンク24内の水を圧送して、尿量測定に使用される管路を洗浄するポンプ36と、を有する。さらに、機能部4は、水路を切替え又は開閉する、第1三方弁26、第2三方弁28、第1開閉弁30、第2開閉弁32、及び第3開閉弁34を有する。また、機能部4は、水路切替手段16、各三方弁、及び各開閉弁を制御するコントローラ38を有する。このコントローラ38は、圧力センサ18による測定値に基づいて、尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段40と、この尿量算出手段40によって計算された尿量又は尿流率を、下水管圧力センサ22によって測定された圧力に基づいて補正する補正手段42と、を内蔵している。
【0022】
トラップ部8の出口側端部は、排水ソケット10を介して下水管Dに接続されている。
リム吐水ノズル7は、ボール6の上部から、リムの接線方向に洗浄水を吐出させ、ボール6の壁面を洗浄するように構成されている。ゼット吐水ノズル9は、ボール6の底部からトラップ部8に向けて洗浄水を噴出させ、トラップ部8内にサイホン現象を誘発するように構成されている。
水路切替手段16は、コントローラ38の制御信号に従って、市水から供給された洗浄水を、リム吐水ノズル7及びゼット吐水ノズル9から交互に吐水させるように構成されている。
【0023】
圧力センサ18は、ゼット吐水ノズル9と連通した圧力導管12によって導かれた、ボール6底部の静水圧を測定するように構成されている。図1に示すように、ゼット吐水ノズル9と連通した圧力導管12は、第3開閉弁34を介して圧力センサ18に接続されている。さらに、第3開閉弁34は、コントローラ38によって、圧力センサ18による水位測定を行う際には開放され、水位測定を行わない時には閉鎖されるように構成されている。
【0024】
また、図1に示すように、水路切替手段16とリム吐水ノズル7の間には、第1三方弁26が設けられている。この第1三方弁26の第1の出入口26aと第2の出入口26bが連通されると、水路切替手段16から直接リム吐水ノズル7に吐水されるようになっている。また、第1三方弁26の第3の出入口26cは、貯水タンク24に接続されている。第1三方弁26の第1の出入口26aと第3の出入口26cが連通されると、水路切替手段16から貯水タンク24に水が供給されるようになっている。
【0025】
図1に示すように、貯水タンク24は、洗浄用タンク24aが、水位設定手段である溜水タンク24bを取り囲む二重構造であり、溜水タンク24bから溢れた水が洗浄用タンク24aに流入するようになっている。溜水タンク24bの底部には、流出管24dが接続されており、溜水タンク24b内の水が、流出管24dに接続された第1開閉弁30を介してリム吐水ノズル7から吐水されるようになっている。
【0026】
また、洗浄用タンク24aには、給水管24cから溜水タンク24bの中に給水され、溜水タンク24bから溢れ出た水が流入するように構成されている。給水管24cと溜水タンク24bの間には吐水口間隙が確保されているため、溜水13が逆流しても、市水に連通することがなく、衛生面での問題もない。このため、溜水タンク24bに貯められる水の量は溜水タンク24bの容積によって決まり、溜水タンク24bには一定量の水が貯められることになる。さらに、洗浄用タンク24aには、オーバーフロー管24eが接続されている。このオーバーフロー管24eは、トラップ管25を介して排水ソケット10に接続されている。これにより、万一、溜水タンク24bへの給水が不具合等によって停止されなくなったとき、洗浄用タンク24aの水を排水ソケット10へ排出し、洗浄用タンク24aから水が溢れるのを防止している。オーバーフロー管24eは、トラップ管25を介して排水ソケット10接続されているので、下水管内の臭気が、オーバーフロー管24eを通って大気に漏れることがない。
【0027】
さらに、洗浄用タンク24aの底部には、流出管24fが接続されている。この流出管24fは、ポンプ36、第2開閉弁32を介して圧力導管12に接続されている。従って、第2開閉弁32を開放した状態でポンプ36を作動させると、洗浄用タンク24a内の水が圧力導管12に流入する。
また、下水管圧力センサ22は、第2三方弁28を介して排水ソケット10に連通するように設けられている。第2三方弁28の第1の出入口28aと第2の出入口28bを連通させることにより、下水管圧力センサ22は下水管内に連通した排水ソケット10に接続され、下水管内の圧力を測定することができるように構成されている。本実施形態の大便器ユニット1では、下水管圧力センサ22によって下水管内の圧力を測定し、この圧力に基づいて尿量の測定値を補正している。また、下水管内の圧力の測定前には、第2の出入口28bと大気に開放された第3の出入口28cを連通させることで、下水管圧力センサ22は、大気圧を測定している。下水管圧力センサ22は、この大気圧と下水管内圧力の差を測定する。また、下水管圧力センサ22は、下水管内の圧力測定が必要な時以外は大気に開放されているため、下水配管内の硫化水素ガス等によって動作不良を起こすことも防止される。
【0028】
コントローラ38は、水路切替手段16、各三方弁、及び各開閉弁に制御信号を送って、洋風大便器2の洗浄機能及び尿量測定機能を実行するように構成されている。また、コントローラ38に内蔵された尿量算出手段40は、圧力センサ18によって測定された圧力に基づいて、ボール6内の水位を求め、使用者の排尿量を計算するように構成されている。また、コントローラ38に内蔵された補正手段42は、下水管圧力センサ22によって測定された下水管内の圧力に基づいて、下水管内の圧力変動がボール6内の水位に及ぼす影響を補正する。コントローラ38、尿量算出手段40及び補正手段42は、マイクロプロセッサ(図示せず)、及びこれを作動させるためのプログラムを記憶したメモリ(図示せず)等で構成することができる。
【0029】
次に、図2を参照して、本発明の第1実施形態による大便器ユニット1の作用を説明する。図2は大便器ユニット1の作用を時系列で表すグラフである。
図2に示すように、待機時においては、大便器ユニット1のボール6内の溜水の水位は、図1にYで示すスタート水位になっており、また、操作・表示部(図示せず)には「測定可」と表示されている。本実施形態において、このスタート水位Yは、溢流水位Hの約36mm下方、トラップ部8の封水が破れる破封水位の約25mm上方に設定されている。次に、大便器ユニット1の使用者が、操作・表示部(図示せず)の準備スイッチ又は個人認証のためのIDカード挿入などの所定の起動手段(図示せず)を操作すると、操作・表示部(図示せず)の表示は「準備中」になる。これと同時に、コントローラ38は、第3開閉弁34及び第2三方弁28に制御信号を送る。これにより、圧力導管12と圧力センサ18、及び下水管圧力センサ22と下水管が連通される。また、コントローラ38は、圧力センサ18及び下水管圧力センサ22に制御信号を送り、これらを作動させる。なお、下水管圧力センサ22は、管路が切替えられる前には大気圧を測定しており、この測定により下水管圧力センサ22の絶対較正を行っている。
【0030】
所定時間経過すると、操作・表示部(図示せず)の表示が「測定中」に変化する。表示が「測定中」に変化した後、使用者はボール6に排尿する。使用者が排尿すると、図2に示すように、ボール6内の水位は上昇し、排尿後、水位Zとなる。コントローラ38は、圧力センサ18によって測定される圧力変化がなくなるか、又は使用者が操作・表示部(図示せず)の排尿終了スイッチ(図示せず)を操作すると、使用者の排尿が終了したと判定し、使用者の排尿量の計算を開始する。コントローラ38に内蔵された尿量算出手段40は、圧力センサ18によって測定された圧力に基づいて、使用者の排尿量を計算する。また、コントローラ38に内蔵された補正手段42は、下水管圧力センサ22によって測定された下水管内の圧力に基づいて、尿量算出手段40が計算した尿量を補正する。尿量の計算、及びその補正の詳細については、後述する。
【0031】
また、排尿量の計算開始と同時に、コントローラ38は、圧力センサ18及び下水管圧力センサ22に制御信号を送り、これらをOFFにし、第3開閉弁34に制御信号を送り、これを閉鎖する。さらに、コントローラ38は、第2三方弁28に制御信号を送って、第2三方弁28を第2の出入口28bと第3の出入口28cが連通するように切替える。これにより、下水管圧力センサ22は下水管から切り離され、大気と連通するようになる。また、コントローラ38は、第2開閉弁32を開放して、ポンプ36を作動させる。これにより、洗浄用タンク24a内の水は、ポンプ36、第2開閉弁32、圧力導管12を通ってゼット吐水ノズル9から吐水され、これらの経路が洗浄される。なお、尿に接したこれらの配管経路の洗浄は、毎回の測定毎に行っても良いし、或いは、所定の測定回数毎、又は所定時間毎に行っても良い。このように洗浄を毎回行わない場合には、1回の測定に要する全体の時間を短縮することができる。
【0032】
尿量測定終了後、使用者が、操作・表示部(図示せず)の便器洗浄スイッチ(図示せず)を操作すると、操作・表示部の表示が「準備中」に変化する。これと同時に、コントローラ38は、水路切替手段16に制御信号を送って、リム吐水ノズル7から所定時間吐水させ、図2に示すように、ボール6内の水位が溢流水位Hまで上昇する。この際、水路切替手段16から流出した水は、第1三方弁26の第1の出入口26aから流入して第2の出入口26bから流出し、リム吐水ノズル7を通って吐水される。次いで、コントローラ38は、リム吐水ノズル7からの吐水を停止し、ゼット吐水ノズル9から吐水させる。ゼット吐水ノズル9からの吐水により、サイホン現象が発生し、ボール6内の溜水はトラップ部8に吸引され、ボール6内の溜水量はほぼゼロの空水位Xになる。
【0033】
所定時間ゼット吐水を行った後、コントローラ38は、ゼット吐水を停止させる。これと同時に、コントローラ38は、第1開閉弁30に制御信号を送ってこれを開放し、溜水タンク24b内に貯められた所定量の水を、第1開閉弁30、リム吐水ノズル7を介してボール6内に吐水させる。所定時間第1開閉弁30を開放すると、溜水タンク24b内の水が全てボール6内に流入する。ここで、溜水タンク24bからの給水を行う前のボール6内の溜水量はほぼゼロの空水位Xであるので、所定量の水が貯められた溜水タンク24b内の水を全てボール6内に流入させた後のボール6内の溜水量は常にほぼ一定となり、この時の水位が、所定のスタート水位Yになる。従って、溜水タンク24bは水位設定手段として機能する。
【0034】
溜水タンク24b内の水が全てボール6内に流入すると、コントローラ38は、第1開閉弁30を閉鎖させる。同時に、コントローラ38は、第1三方弁26に制御信号を送り、第1三方弁26の第1の出入口26aと第3の出入口26cを連通させる。これにより、水路切替手段16から流出した水は、第1三方弁26を通って空になっていた溜水タンク24bに流入する。溜水タンク24bに水が流入すると、溜水タンク24b内の水位が上昇する。溜水タンク24bが満杯になると、水は溜水タンク24bから溢れて洗浄用タンク24aに流入する。洗浄用タンク24aの水位が上昇し、所定の水位に達すると、コントローラ38は、水路切替手段16からの給水を停止させる。水路切替手段16からの給水が停止すると、操作・表示部(図示せず)の表示が「測定可」に変化し、大便器ユニット1は待機状態に復帰する。
【0035】
また、万一、洗浄用タンク24aの水位が所定の水位に達しても給水が停止されなかった場合には、洗浄用タンク24a内の水は、トラップ管25を介して排水ソケット10に排水され、水が洗浄用タンク24aから溢れることがないようにしている。
【0036】
図3は、本実施形態の大便器ユニット1を尿量測定ではなく、大便の用途で使用する場合の作用を示す。この場合には、使用者が操作・表示部(図示せず)の大便使用スイッチ(図示せず)を押してから使用する。大便使用スイッチ(図示せず)が押されると、コントローラ38は、リム吐水ノズル7からリム給水を行い、ボール6内の溜水水位を、溢流水位Hまで上昇させる。リム給水は毎分20L程度の流量で行われるため、溢流水位Hにおいて溜水の全体量が2〜3Lの本実施例においては、水位を溢流水位Hまで上昇させるために要する時間は約10秒以内であり、使用者の使い勝手が悪くなることはない。また、水位を溢流水位Hまで上昇させることにより、十分な溜水面積を確保することができ、また、ゼット吐水によるサイホン現象を有効に発生させることができる。また、本実施形態においては、大便使用スイッチ(図示せず)を操作することによって大便器ユニット1の使用モードを切替えているが、使用者が便座に着座したことを検知して使用モードを切替えても良い。
【0037】
次に、図4を参照して、圧力センサ18による尿量の測定を説明する。図4は、ボール6の水位と、ボール6内に溜まっている溜水量の関係の一例を示すグラフである。圧力センサ18は、ボール6の底部に設けられたゼット吐水ノズル9に連通された圧力導管12によって伝達された圧力を測定するように構成されており、圧力センサ18によって測定される圧力は、ボール6の水位に比例する。コントローラ38に内蔵された尿量算出手段40は、図4に一例を示す水位と溜水量の関係を予め記憶している。尿量算出手段40は、使用者が排尿を終えた後の圧力センサ18の測定圧力から使用者の排尿後の溜水水位Zを求める。次に、尿量算出手段40は、記憶している水位と溜水量の関係に基づいて、溜水水位Zにおけるボール6内の溜水量を計算する。この排尿後の溜水量から、予め設定され、既知である排尿前のスタート水位Yにおける溜水量を差し引くことによって、使用者の尿量が計算される。また、尿量算出手段40は、同様にして、使用者の排尿中の水位変化を時々刻々測定することにより、単位時間当たりの排尿量である尿流率を計算する。なお、水位又は圧力測定値と溜水量の関係は、設計値として尿量算出手段40に予め記憶させておいても良いが、陶器で形成される一般的な大便器においては、製品毎に個体差があるので、施工現場で所定の水量をボール6に投入することによって、水位又は圧力測定値と溜水量の関係を尿量算出手段40に学習させ、記憶させるように構成することもできる。
【0038】
次に、図5を参照して、補正手段42による補正を説明する。図5(a)は、下水管内の圧力が大気圧と等しい場合のボール6内及びトラップ部8内の水位を示す図であり、(b)は下水管内の圧力が負圧の場合、(c)は正圧の場合の水位を示す図である。図5(a)に示すように、下水管内の圧力が大気圧と等しい場合には、ボール6内の水位とトラップ部8内の水位は等しいので、圧力センサ18の圧力測定値から水位を求めることによって、精度良く尿量を計算することができる。これに対して、図5(b)のように、下水管内の圧力が負圧になると、トラップ部8内の溜水が下水管の方に吸引されるので、トラップ部8内の水位は上昇し、ボール6内の水位は下降する。逆に、図5(c)のように、下水管内の圧力が正圧になると、トラップ部8内の溜水が押され、トラップ部8内の水位が下降し、ボール6内の水位が上昇する。これら、図5(b)又は(c)の場合には、圧力センサ18の圧力測定値からそのまま水位を求め、溜水量を計算すると、溜水量の計算値に誤差を生じる。
【0039】
補正手段42は、下水管圧力センサ22によって測定された下水管内の圧力に基づいて溜水量の計算値を補正する。図6は、ボール6及びトラップ部8の水位、それらに作用する圧力、圧力センサ18によって測定される圧力をモデル化したモデル図である。図6(a)は、トラップ部8に作用する圧力P1、即ち、下水管内の圧力と、ボール6に作用する圧力P2、即ち、大気圧が等しい場合を示し、(b)は、トラップ部8、即ち、下水管内の圧力が上昇した場合を示す。まず、ボール6及びトラップ部8の水位が変動していない場合には、ボール6、トラップ部8に夫々作用する圧力、及びボール6、トラップ部8夫々の水頭圧の和は釣り合う。従って、圧力センサ18の設けられた高さLからトラップ部8の水面の高さまでの距離をH1、高さLからボール6の水面の高さまでの距離をH2とすると、

の関係が成り立つ。ただし、ρは水の密度、gは重力加速度である。
【0040】
数式1において、圧力P1とP2が等しいとすれば、H1=H2の関係が成り立つ。ここで、図6(b)に示すように、圧力P1が上昇して、トラップ部8の水位がΔh1低下してH1'となり、ボール6の水位がΔh2上昇してH2'となったとすると、圧力P1とP2の差は水頭圧の差と等しくなるので、

の関係が成り立つ。ここで、ボール6及びトラップ部8は連通しているので、トラップ部8の水位変化Δh1とボール6の水位変化Δh2の間には、トラップ部8の水面の面積をS1、ボール6の水面の面積をS2とすると、微小な水位変化Δh2に対して、

の関係が成り立つ。さらに、数式3の関係を数式2に代入してΔh1を消去すると、

の関係が成り立つ。
【0041】
一方、圧力センサ18によって測定される圧力PSは、水面に作用する圧力と、水頭圧との和であるから、

となる。次に、数式4の関係を、数式5に代入して、Δh2を消去すると、

となる。ここで、ボール6は大気に開放されているため、ボール6の水面に作用する圧力P2は常に大気圧であり、圧力をゲージ圧とするとP2=0となる。従って、数式6は、

となる。数式7をボール6の水面の高さH2について解くと、

となる。
【0042】
従って、圧力センサ18による測定圧力PSと、下水管圧力センサ22による測定圧力P1を数式8に代入することにより、下水管内の圧力が変化してボール6内の水位が上昇し、水位がH2'になっている場合においても、下水管内が大気圧であった場合のボール6内の水位H2を計算することができる。また、下水管内の圧力が変化してボール6内の水位が下降している場合においても、同様にして下水管内が大気圧であった場合のボール6内の水位H2を計算することができる。また、尿流率を計算する場合には、補正手段42は、下水管圧力センサ22による圧力測定値に基づいて、時々刻々水位の計算値を補正し、下水管内の圧力変化の影響を除去する。
【0043】
図7は、下水管内の圧力変化の影響の一例を示すグラフである。まず、図7の(2)のように、下水管内の圧力が大気圧で一定の場合には、圧力センサ18による圧力測定値は、図7(1)のように、ボール6内の水位変化と同様に変化する。従って、補正手段42による補正を行わないとしても、図7(3)に示すような正確な溜水水位変化のグラフが得られる。これに対して、測定中において、下水管内の圧力が図7(5)に示すように負圧になった場合には、この負圧の影響によりボール6内の水位も低下するので、圧力センサ18による圧力測定値は、図7(4)のようになる。このような場合にも、補正手段42が、下水管圧力センサ22によって測定された下水管内の圧力に基づいて計算される水位を補正するので、図7(6)に示すような圧力変化がない場合と同様の溜水水位変化を得ることができる。同様に、下水管内の圧力が図7(8)に示すように正圧になった場合にも、補正手段42は、計算された水位を補正して、図7(9)に示すような圧力変化がない場合と同様の溜水水位変化を得ることができる。
【0044】
本発明の第1実施形態による大便器ユニットによれば、補正手段42により水位測定値を補正するので、トラップ部8に接続されている下水管内に圧力変動がある場合にも、その影響を受けることなく正確な尿量測定を行うことができる。
【0045】
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による大便器ユニットを説明する。図8は本発明の第2実施形態による大便器ユニットの断面図である。本発明の第2実施形態による大便器ユニットは、下水管に連通するように通気弁を設け、下水管内に負圧が発生するのを防止している点が第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図8に示すように、本発明の第2実施形態による大便器ユニット200は、下水管内で発生した負圧を逃がすための負圧破壊手段である通気弁202が、排水ソケット10に連通するように設けられている。この通気弁202は、下水管内の圧力が低下すると、外気を下水管内に導入して下水管内に負圧が発生するのを防止するように構成されている。本実施形態においては、通気弁202として株式会社キッツ製「通気番」(商標)又は森永エンジニアリング株式会社製「ドルゴ」(商標)を使用している。この通気弁202として、一般的に下水管経路の圧抜きに使用されている任意の通気弁を使用することができる。
【0047】
下水管内に圧力変動が生じる原因は、主に、エジェクター効果等によって発生する下水管内を流れる下水の影響によるものである。例えば、高層住宅の高層階では、上の階から排出された下水が下水管内を高速で下降するため、下水管内が負圧になる場合が多く、低層階では、下水管内を下降してきた下水によって下水管内の空気が圧縮されて、下水管内に正圧が発生する場合が多い。従って、大便器ユニットを設置する場所によっては、下水管内が負圧になる場合のみを想定しておけば十分である。本実施形態の大便器ユニット200は、下水管内が正圧にならない場所に設置することにより、下水管内の圧力をほぼ大気圧に維持することができる。このように、下水管内の圧力をほぼ大気圧に維持されるので、本実施形態の大便器ユニット200では、図8に示すように、第1実施形態の大便器ユニットに備えられていた下水管圧力センサ22及び補正手段42が省略されている。
【0048】
本発明の第2実施形態による大便器ユニット200の作用は、下水管内の圧力を測定して、水位測定値を補正する点を除き第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本発明の第2実施形態による大便器ユニットによれば、通気弁202により下水管内がほぼ大気圧に維持されるので下水管内の圧力変動の影響を受けることなく正確な尿量測定を行うことができる。
【0049】
変形例として、通気弁を、本発明の第1実施形態の大便器ユニット1と同様の下水管圧力センサ22及び補正手段42を備えた大便器ユニットに取り付けても良い。このように構成された変形例の大便器ユニットにおいては、下水管内の圧力が低下したときには、通気弁によって下水管内が大気圧に維持され、下水管内が正圧になったときには、下水管圧力センサ22及び補正手段42によって、下水管内の圧力変動の影響が除去される。
【0050】
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による大便器ユニットを説明する。本発明の第3実施形態による大便器ユニットは、圧力センサ18及び下水管圧力センサ22の代わりに、ボール面水位センサ及びトラップ部水位センサを備えている点が第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図9は、本発明の第3実施形態による大便器ユニットのボール及びトラップ部の拡大断面図である。図9に示すように、本発明の第3実施形態による大便器ユニット300は、ボール6の内壁面に設けられた水位測定手段であるボール面水位センサ302と、トラップ部8の内壁面に設けられたトラップ部水位測定手段であるトラップ部水位センサ304と、を有する。ボール面水位センサ302及びトラップ部水位センサ304は、電極配列式の水位センサであり、直線状に配列された多数の電極から構成されている。これらの電極が溜水の中に水没すると、水没した電極の間が導通するので、どの電極まで導通があるかを検出することによって、ボール6内及びトラップ部8内の水位を測定することができる。本実施形態においては、ボール6及びトラップ部8は陶器製であり、電極配列式の水位センサの各電極は焼成によって形成されている。また、タングステンや白金等の電極を焼成前の陶器に印刷し、検知部のみをマスキングして釉薬をかけ、釉薬のガラス質に覆われていない部分で溜水13を検知するように構成しても良い。
【0052】
また、本実施形態の大便器ユニット300では、本発明の第1実施形態による大便器ユニット1に備えられていた、圧力導管12、圧力センサ18、下水管圧力センサ22及びこれらに関連した第2三方弁28、第2開閉弁32、第3開閉弁34、ポンプ36等の構成要素は省略されており、他の構成は第1実施形態と同様である。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態における尿量測定方法を説明する。上述した本発明の第1実施形態の大便器ユニットにおいては、ボール6内の水位を圧力センサ18によって求め、下水管内の圧力変動の影響を下水管圧力センサ22の測定値に基づいて補正していたが、本実施形態では、ボール6内及びトラップ部8内の水位を、夫々ボール面水位センサ302及びトラップ部水位センサ304で直接測定している。ここで、ボール面水位センサ302で測定される水位は図6(b)のH2'に相当し、トラップ部水位センサ304で測定される水位はH1'に相当する。さらに、数式2、数式4より、

の関係が成り立つので、下水管内の圧力変動の影響がない場合のボール6内の水位H2は、

と計算することができる。本実施形態においては、補正手段42は、ボール面水位センサ302及びトラップ部水位センサ304によって測定された水位H2'、H1'を数式10に代入することによって、圧力変動の影響がない場合のボール6内の水位H2を計算して求めている。なお、ボールとトラップの各電極毎の水位と溜水量との関係を予め求めた溜水量テーブルから直接溜水量を求めても良い。
本実施形態の大便器ユニットの他の作用は、本発明の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
本発明の第3実施形態による大便器ユニットによれば、ボール及びトラップ部の水位をボール面水位センサ及びトラップ部水位センサによって直接測定しているので、簡単な構成で尿量測定を実現することができる。
また、上述した実施形態においては、ボール面水位センサ及びトラップ部水位センサとして、電極配列式の水位センサを使用していたが、変形例として、超音波センサ、測距センサ、浮子式水位センサ等、任意のセンサを利用して水位を測定することができる。
【0055】
また、センサとして電極配列式の水位センサを使用した場合には、ボール内の溜水と尿が混合した液体の導電率を測定することができるので、変形例として、大便器ユニットを、この導電率に基づいて尿に含まれる電解質濃度を計算するように構成しても良い。排出される尿に含まれる電解質の濃度η1と、排尿される前の溜水13の電解質の濃度η2と、排尿により尿が混ざった後の溜水13の電解質の濃度η3の間には、尿量をR、初期の溜水量をQ0とすると、

の関係が成り立つ。数式11をη1について解くと、

の関係が得られる。電解質濃度推定手段は、数式12を使用して、排尿前後の溜水13の電解質の濃度η2、η3と、尿量R、初期溜水量Q0に基づいて、尿の電解質濃度η1を推定する。一般に、尿中に含まれる主な強電解質物質として塩化ナトリウムがあり、25゜Cにおいて、濃度0.1%の塩化ナトリウム水溶液は2.0mS/cm、濃度1.0%の塩化ナトリウム水溶液は17.6mS/cmの導電率を有する。従って、排尿後の溜水に水没している電極間のインピーダンスを測定することにより、尿中の塩化ナトリウム濃度を推定することができる。実際には、尿には、塩化カリウム等の塩化ナトリウム以外の電解質も含まれているため、推定される塩化ナトリウム濃度には誤差が含まれるが、±20%以内程度の精度で塩化ナトリウム濃度を推定することができる。また、推定された塩化ナトリウム濃度に、尿量算出手段及び補正手段によって計算された尿量を乗じることによって、尿に含まれる塩化ナトリウム量を推定することもできる。また、電極配列式の水位センサを、尿のpHや、尿の温度の推定に利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態による大便器ユニットの断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による大便器ユニットの作用を時系列で表すグラフである。
【図3】本発明の第1実施形態による大便器ユニットを大便の用途で使用する場合の作用を示すグラフである。
【図4】ボールの水位と、ボール内に溜まっている溜水量の関係の一例を示すグラフである。
【図5】(a)下水管内の圧力が大気圧と等しい場合、(b)下水管内の圧力が負圧の場合、(c)下水管内の圧力が正圧の場合におけるボール内及びトラップ部内の水位を示す図である。
【図6】(a)トラップ部に作用する圧力と、ボールに作用する圧力が等しい場合、(b)トラップ部の圧力が上昇した場合におけるボール及びトラップ部の水位、それらに作用する圧力、圧力センサによって測定される圧力をモデル化したモデル図である。
【図7】下水管内の圧力変化の影響の一例を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態による大便器ユニットの断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態による大便器ユニットのボール及びトラップ部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 本発明の第1実施形態による大便器ユニット
2 洋風大便器
4 機能部
6 ボール
7 リム吐水ノズル
8 トラップ部
9 ゼット吐水ノズル
10 排水ソケット
12 圧力導管
13 溜水
16 水路切替手段
18 圧力センサ
22 下水管圧力センサ
24 貯水タンク
24a 洗浄用タンク
24b 溜水タンク
24c 給水管
24d 流出管
24e オーバーフロー管
24f 流出管
25 トラップ管
26 第1三方弁
26a 第1の出入口
26b 第2の出入口
26c 第3の出入口
28 第2三方弁
28a 第1の出入口
28b 第2の出入口
28c 第3の出入口
30 第1開閉弁
32 第2開閉弁
34 第3開閉弁
36 ポンプ
38 コントローラ
40 尿量算出手段
42 補正手段
200 本発明の第2実施形態による大便器ユニット
202 通気弁
300 本実施形態の大便器ユニット
302 ボール面水位センサ
304 トラップ部水位センサ
D 下水配管
H 溢流水位
X 空水位
Y スタート水位
Z 排尿後水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の尿を受けるボールと、
このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、
上記ボール内の溜水の水位を、上記下水管の水封が破れる水位よりも高く、上記トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、
使用者の排尿によって変化する上記ボール内の水位を測定する水位測定手段と、
上記下水管内の圧力を測定する下水管圧力センサと、
上記水位測定手段によって測定された上記ボール内の水位の測定値に基づいて使用者が上記ボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、
この尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を、上記下水管圧力センサによって測定された圧力に基づいて補正する補正手段と、
を有することを特徴とする大便器ユニット。
【請求項2】
使用者の尿を受けるボールと、
このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、
上記下水管に連通して設けられ、上記下水管内の圧力が低下したとき上記下水管の中に大気を導入する負圧破壊手段と、
上記ボール内の溜水の水位を、上記下水管の水封が破れる水位よりも高く、上記トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、
使用者の排尿によって変化する上記ボール内の水位を測定する水位測定手段と、
上記水位測定手段によって測定された上記ボール内の水位の測定値に基づいて使用者が上記ボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、
を有することを特徴とする大便器ユニット。
【請求項3】
使用者の尿を受けるボールと、
このボールとボール内の溜水を排出する下水管とを連通させ、この下水管を水封するトラップ部と、
上記ボール内の溜水の水位を、上記下水管の水封が破れる水位よりも高く、上記トラップ部の溢流水位よりも低い所定の水位に設定する水位設定手段と、
使用者の排尿によって変化する上記ボール内の水位を測定する水位測定手段と、
上記トラップ部内の水位を測定するトラップ部水位測定手段と、
上記水位測定手段によって測定された上記ボール内の水位の測定値に基づいて使用者が上記ボールに排泄した尿量又は尿流率を算出する尿量算出手段と、
この尿量算出手段が算出した尿量又は尿流率を、上記トラップ部水位測定手段によって測定された水位に基づいて補正する補正手段と、
を有することを特徴とする大便器ユニット。
【請求項4】
上記水位測定手段が、上記ボール内の溜水の水圧を測定する圧力センサである請求項1乃至3の何れか1項に記載の大便器ユニット。
【請求項5】
上記水位測定手段又は上記トラップ部水位測定手段が、電極配列式の水位センサである請求項1乃至3の何れか1項に記載の大便器ユニット。
【請求項6】
上記ボール及び/又は上記トラップ部は陶器製であり、上記電極配列式の水位センサの電極が焼成によって形成されている請求項5記載の大便器ユニット。
【請求項7】
上記電極配列式の水位センサが、尿のpH、温度、又は導電率の測定に利用される請求項5記載の大便器ユニット。
【請求項8】
さらに、電解質濃度推定手段を有し、上記電極配列式の水位センサがボール内の溜水と尿が混合された液体の導電率を測定し、上記電解質濃度推定手段が、測定された尿量と導電率に基づいて、尿中の電解質濃度を推定する請求項5記載の大便器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−29791(P2006−29791A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204361(P2004−204361)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】