説明

大便標本自動検査器

本発明は、自動制御装置と、大便標本に定量の希釈液を供給するための希釈装置と、希釈後の大便標本を撹拌し均一に混合するための撹拌・均一混合装置と、大便標本を検査するための検査ユニットと、管路を介して前記検査ユニットに連接され、大便標本を検査ユニットに供給し、且つ検査が完了した後に検査ユニット及び連接管路を洗浄するためのサンプル吸入及び洗浄装置とを含む大便標本自動検査器を開示する。本発明は、標本に対し自動的に定量希釈、物理的な顕微鏡検査、及び一部の化学検査を行うことができ、完全に比較的密閉の管路の中において行われるため、空気と接触するステップを減少させ、環境及び実験室に対する汚染を低減させ、コンピュータのソフトウエアを使用して自動的に制御を行い、仕事の効率を向上させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学検査装置に関し、具体的に大便標本自動検査器に関する。
【背景技術】
【0002】
大便標本の検査、例えば大便のルーチン検査及び大便標本の一部分の化学検査では、現在使用されている方法はすべて比較的に立ち遅れている。1)標本の採集から標本の操作検査まで、及び最後の標本廃液処理も環境及び実験室の汚染を引き起こしており、2)伝染病の流行を予防するために、患者に対し使用される標本採集用綿棒や、標本を載せる物品に対しても特別な処理が必要であり、処理のステップが多ければ多いほど、汚染の発生する確率が高くなり、検査操作過程において不衛生でもあり、3)統一的且つ規範的報告様式がない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の解決しようとする問題点は、大便標本に対し自動的に定量希釈、検査を行うことができ、汚染の発生を避けるように検査が完了した後に洗浄を自動的に行うことができる検査器を提供することである。
【0004】
前記問題点を解決するために、本発明は、大便標本自動検査器であって、自動制御装置と、大便標本に定量の希釈液を供給するための希釈装置と、希釈後の大便標本を撹拌し均一に混合するための撹拌・均一混合装置と、大便標本を検査するための検査ユニットと、管路を介して前記検査ユニットに連接され、大便標本を検査ユニットに供給し、且つ検査が完了した後に検査ユニット及び連接管路を洗浄するためのサンプル吸入及び洗浄装置とを含む大便標本自動検査器を提供する。
【0005】
また、本発明によれば、前記検査ユニットは、物理検査ユニット及び化学検査ユニットを含むことが好ましい。
【0006】
また、本発明によれば、前記物理検査ユニットは、顕微鏡と、顕微鏡に取り付けられる顕微鏡カメラと、顕微鏡ステージに位置する計数盤とを含み、前記計数盤は、管路により前記サンプル吸入及び洗浄装置に連接されることがより好ましい。
【0007】
また、本発明によれば、前記サンプル吸入及び洗浄装置は、サンプル吸入針と、希釈液入口と、サンプル吸入針及び希釈液入口の間に連接されるサンプル吸入蠕動ポンプとを含み、前記計数盤は、サンプル吸入針とサンプル吸入蠕動ポンプとの間に連接されることが好ましい。
【0008】
また、本発明によれば、前記計数盤の両端に1つの電磁ピンチオフバルブがそれぞれ設けられることが好ましい。
【0009】
また、本発明によれば、前記サンプル注入針は第1昇降フレームに固定され、前記第1昇降フレームは、第1モーターにより駆動されることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記希釈装置は、前記希釈液入口に連通されるサンプル添加器を含み、前記サンプル添加器は、チェックバルブを介して前記サンプル吸入針に連通されることが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、前記サンプル添加器は、注射器式サンプル添加器であることが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、前記サンプル添加器は第2昇降フレームに連接され、前記第2昇降フレームは第2モーターにより駆動されることが好ましい。
【0013】
また、本発明によれば、前記化学検査ユニットは、サンプル吸入針とサンプル蠕動ポンプとの間に連接される化学検査室を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明によれば、前記化学検査ユニットは化学検査室を含み、前記化学検査室の片端が計数盤に連接され、他端が廃液針に連接された廃液蠕動ポンプに連接されることが好ましい。
【0015】
また、本発明によれば、前記化学検査室と計数盤との間に電磁ピンチオフバルブが設けられることが好ましい。
【0016】
また、本発明によれば、前記第1昇降フレームの下方に標本箱ホルダーが設けられることが好ましい。
【0017】
また、本発明によれば、前記標本箱ホルダー側面に対向するビデオカメラをさらに含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、前記ビデオカメラの上方に標本箱識別光電スイッチが設けられることが好ましい。
【0019】
また、本発明によれば、前記標本箱ホルダーは、ステップモーターにより駆動されるリニアガイドレールに取り付けられることが好ましい。
【0020】
また、本発明によれば、前記標本箱ホルダー内に標本箱がさらに含まれることが好ましい。
【0021】
また、本発明によれば、前記撹拌・均一混合装置は、撹拌モーターと、回転可能なサンプル採取スクープとを含み、前記サンプル採取スクープは標本箱内に位置し、前記サンプル注入針は、第1昇降フレームが下降する時に、標本箱内に挿入し、前記撹拌モーターは、サンプル採取スクープに同軸に連接されることが好ましい。
【0022】
また、本発明によれば、前記自動制御装置に連接されるディスプレーをさらに含むことが好ましい。
【0023】
本発明の自動制御装置は、希釈装置を制御して大便標本に対し自動的に定量希釈を行い、撹拌・均一混合装置を制御して標本を均一に混合し、サンプル吸入及び洗浄装置を制御して標本を管路を介して検査ユニットに供給し検査を行い、且つ検査が完了した後に検査ユニット及び連接管路を洗浄することができる。全過程が完全に比較的密閉の管路の中において行われるため、外部と接触するステップを減少させ、環境及び実験室に対する汚染を低減させ、コンピュータを使用して自動的制御を行うことにより仕事の効率を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の大便標本自動検査器の機能モジュールの構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例の管路連接を示す説明図である。
【図3】本発明の別の実施例の管路連接を示す説明図である。
【図4】本発明の前から見た構造を示す説明図である。
【図5】本発明の左から見た構造を示す説明図である。
【図6】本発明の一標本箱の構造を示す説明図である。
【0025】
符号の説明
11、サンプル添加器
12、希釈液入口
13、標本箱
14、計数盤
15、化学検査室
16、サンプル吸入針
17、廃液針
18、サンプル吸入蠕動ポンプ
19、廃液蠕動ポンプ
21、第1管路T字管
22、第2管路T字管
23、第3管路T字管
24、T字管路電磁ピンチオフバルブ
32、チェックバルブ
33、電磁ピンチオフバルブ
34、電磁ピンチオフバルブ
35、電磁ピンチオフバルブ
41、第1昇降フレーム
42、第2昇降フレーム
43、リニアガイドレール
44、標準回転ジョイント
51、第1モーター
52、第2モーター
53、ステップモーター
54、撹拌モーター
61、標本箱フレーム
62、標本箱識別用光電スイッチ
63、ビデオカメラ
7、デイスプレー
8、顕微鏡
81、顕微鏡カメラ
82、顕微鏡ステージ
131、箱カバー
132、貫通孔
133、回転軸
134、サンプル採取スクープ
135、ろ過網
136、緩衝室
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0027】
まず図1に示すように、本発明の大便標本自動検査器は、自動制御装置と、希釈装置と、撹拌・均一混合装置と、検査ユニットと、サンプル吸入及び洗浄装置となどの幾つかの部分を含む。前記希釈装置は、大便標本に定量の希釈液を加えることができるよう前記自動制御装置により制御され、前記撹拌・均一混合装置は、希釈後の大便標本を撹拌し、均一に混合することができるよう前記自動制御装置により制御され、前記検査ユニットは、大便標本に対し検査を行うのに用いられる。前記サンプル吸入及び洗浄装置は、管路を介して検査ユニットに連接され、大便標本を検査ユニットに供給し、且つ次回の検査を便利にするために検査が完了した後に検査ユニット及び連接管路を自動的に洗浄できるよう自動制御装置により制御される。前記検査ユニットは、物理検査ユニット及び化学検査ユニットを含んでもよい。前記自動制御装置は、コンピュータによって実現されてもよい。
【0028】
図2に示すように、採集された大便標本は標本箱13に載せされ、サンプル吸入針16は標本箱13に挿入され、サンプル添加器11は管路を介して希釈液入口12に連接され、サンプル添加器11と希釈液入口12との間にT字管路電磁ピンチオフバルブ24及び第1管路T字管21は設置され、サンプル吸入針16は、第2管路T字管22とチェックバルブ32を介してT字管路電磁ピンチオフバルブ24に連接される。T字管路電磁ピンチオフバルブ24は、サンプル添加器11及び希釈液入口12を連通させると同時に、サンプル添加器11とサンプル吸入針16との間の管路を切断することができ、サンプル添加器11は希釈液入口12から定量の希釈液を吸い取ることができ、その後、T字管路電磁ピンチオフバルブ24は、動作が切り替り、サンプル添加器11と希釈液入口12との間の管路を切断すると同時に、サンプル添加器11とサンプル吸入針16の間の管路を連通させ、サンプル添加器11は押圧され、希釈液はチェックバルブ32及びサンプル吸入針16を経て標本箱13内に注入され、大便標本に対する定量希釈を完成させる。希釈装置は、希釈液入口12、T字管路電磁ピンチオフバルブ24、サンプル添加器11、チェックバルブ32、サンプル吸入針16及びそれらを連接する管路により構成される。
【0029】
サンプル吸入蠕動ポンプ18の片端が第1管路T字管21を介して希釈液入口12と連通し、他端が管路及び第2管路T字管22を介してサンプル吸入針16と連接することにより、サンプル吸入及び洗浄装置は構成される。物理検査ユニットの計数盤14及び化学検査ユニットの化学検査室15は、サンプル吸入針16とサンプル吸入蠕動ポンプ18との間に直列に接続される。サンプル吸入蠕動ポンプ18が正転する時、標本液は、物理・化学検査が行われるよう、サンプル吸入針16により標本箱13から吸出され、計数盤14及び化学検査室15に流入する。電磁ピンチオフバルブ33、34は、計数盤14の両端にそれぞれ設けられ、閉められている時に、顕微鏡で観察及び計数が行われるように計数盤内の標本液を可能な限り速やかに安定させることができる。また、計数盤が逆洗される時に、電磁ピンチオフバルブ33、34は、反復して開かれたり閉められたりして、管路内の圧力を増加させ、洗浄の効果を増強させることができる。検査が完了した後、サンプル吸入蠕動ポンプ18は逆転し、希釈液は管路に沿って流入し、計数盤14、化学検査室15、及びサンプル吸入針16は洗浄され、洗浄後の廃液は、集中的に処理されるようにサンプル吸入針16から標本箱13内に流入する。チェックバルブ32の作用により、廃液が希釈管路に流入し汚染をもたらすことを避けることができる。
【0030】
図3は本発明の別の実施例を示す図であり、図2と以下の点で異なっている。化学検査室15は、計数盤14とともにサンプル吸入及び洗浄管路に直列に連接されず、片端が電磁ピンチオフバルブ35及び第3管路T字管23を介して計数盤14に連接され、他端が廃液蠕動ポンプ19に連接される。さらに、廃液蠕動ポンプ19は、廃液針17に連接され、廃液針17も標本箱13に挿入される。電磁ピンチオフバルブ35が閉められている時に、標本液は、計数盤14のみに流入し、物理検査が行われる。もし化学検査が必要である場合、電磁ピンチオフバルブ33が閉められ、且つ電磁ピンチオフバルブ34、35が開かれている状況において、サンプル吸入蠕動ポンプ18及び廃液蠕動ポンプ19を起動させ、化学検査が行われるように標本液をさらに化学検査室15に送ることができる。化学検査室15にケーシングを有する試験ストリップを入れることができ、標本は自動的に試験ストリップに提供される。検査が完了した後、引き続きサンプル吸入蠕動ポンプ18及び廃液蠕動ポンプ19を起動させ、希釈液により計数盤14及び化学検査室15に対し洗浄は行われ、廃液は廃液針17から標本箱13に流入し、さらに電磁ピンチオフバルブ33は開かれ、サンプル吸入針16に対して洗浄も行われる。サンプル吸入蠕動ポンプ18は正転する時に、標本を計数盤14に吸入させ、逆転する時に、計数盤14、化学検査室15及び管路に対する洗浄を行わせ、その動作時間及び回転速度を調節することができる。
【0031】
図6に示すように、サンプル吸入針16及び廃液針17が挿入される貫通孔132と、回転軸133とが設けられた箱カバー131を標本箱13に設けてもよい。回転軸133は、箱カバーに対し回転可能に設けられ、上端がモーターに連接され、下端がサンプル採取スクープ134に連接されてもよい。サンプル採取スクープ134は、大便標本を採集し標本箱に載せることができ、また希釈液が加えられた後、モーターが回転軸133を連動させる時に撹拌し均一に混合するのに用いられる。箱内の空間を上室と緩衝室136である下室とに隔てるろ過網135は標本箱13に設けられる。サンプル吸入針16は、緩衝室136に挿入され、ろ過後の標本液を吸い取ることができる。
【0032】
図4、図5に示すように、本発明は、サンプル吸入針16と、廃液針17と、撹拌モーター54に連接される標準回転ジョイント44とが何れも取り付けられた第1昇降フレーム41をさらに含む。第1昇降フレーム41は、第1モーター51により駆動され、標準回転ジョイント44、サンプル吸入針16及び廃液針17を昇降させ、一方では、サンプル吸入針16及び廃液針17を標本箱13に挿入させ、予め設定された作業位置に到達させ、他方では、撹拌モーター54がサンプル採取スクープ134を連動させ、撹拌・均一混合を行うように標準回転ジョイント44を標本箱の箱カバーにおける回転軸と接合させる。これにより、撹拌モーター54及びサンプル採取スクープ134は撹拌・均一混合装置を構成する。
【0033】
サンプル添加器11として、注射器式サンプル添加器が使用される。サンプル添加器11のピントルは、第2昇降フレーム42に連接され、希釈液が吸入され或いは押し出されるように、第2昇降フレーム42により引出され或いは押付けられる。第2昇降フレーム42は、第2モーター52により駆動される。第2モーター52は、光電スイッチの制御により動作し、位置を限定する。
【0034】
標本箱13は、標本箱フレーム61上に置かれる。標本箱フレーム61は、試験管ホルダーに相当し、第1昇降フレーム41の下方に位置し、複数の標本箱13を載せることができる。標本箱フレーム61は、ステップモーター53により駆動されるリニアガイドレール43上に置かれる。リニアガイドレール43は、標本箱フレーム61を固定させ、標本箱フレーム61を連動させることができ、その動作回数及び毎回の移動距離が厳密に制限され、プログラムの制御により動作し、且つ到着した位置を検証する光電スイッチが設けられる。
【0035】
ビデオカメラ63は、標本箱フレーム61の近くに取付けられ、標本箱フレーム61の側面に対向し、自動制御装置(コンピュータ)と接続され、標本の希釈或いは撹拌作業の状態を観察するのに用いられると同時に、標本の形状及びカラーを観察することができる。標本箱識別用光電スイッチ62は、ビデオカメラ63の上方に設けられ、標本箱の箱カバーに対向し、標本箱を識別するのに用いられる。リニアガイドレール43が標本箱フレーム61を連動させる時に、標本箱識別光電スイッチ62は動作し、標本箱フレーム61上に標本箱の有無、標本箱の数、及び標本箱の標本箱フレーム61における位置を走査する。本機器は、標本箱識別用光電スイッチ62が提供した走査データにより、自動的に操作を行う。もし標本箱識別用光電スイッチ62が標本箱の信号を検出していない場合は、次のステップの検査操作を行う必要がない。
【0036】
ディスプレー7は、自動制御装置(コンピュータ)に接続され、プログラム操作を行うことができ、且つビデオカメラ63が採集したビデオ信号を表示できる。
【0037】
物理検査ユニットは、顕微鏡8、顕微鏡に取付けられる顕微鏡カメラ81及び計数盤14を含む。計数盤14は、観察、計数が顕微鏡により行われるように顕微鏡ステージ82上に位置し、顕微鏡カメラ81が採集した画像もディスプレー7に表示される。
【0038】
本発明が使用される際に、まず総電源が入り、標本箱13は、標本箱フレーム61に載せられ、標本箱フレーム61が標本箱ホルダー窓口から機器内に押し入れられることにより、1つのスイッチがオンにされ、ステップモーター53は直ちに正転し、リニアガイドレール43を正方向に連動させる。正転の終点に到着した後、正方向移動は直ちに停止し、反対方向移動は開始する。この時、標本箱識別用光電スイッチ62は動作し、標本箱フレーム61上に標本箱13の有無を検出する。標本箱13が検出されていない場合、直ちに告知ダイアログボックスが表示され、標本箱13を入れることを提示する。また、標本箱13が検出された後、引き続き次のステップの操作が行われる。リニアガイドレール43は、標本箱フレーム61上の第1個の標本箱がその上方にある第1昇降フレーム41上のサンプル吸入針16、廃液針17及び標準回転ジョイント44と一直線になる位置でストップする。この時に、ビデオカメラ63は、例えば、標準回転ジョイント44が標本箱の箱カバー上の開口部と一直線になっているかのような機器の動作状況を観察するよう接続される。
【0039】
第1モーター51は正転し、第1昇降フレーム41を下方へ連動させ、同時に撹拌モーター54は低速度で回転し、第1昇降フレーム41は、サンプル吸入針16、廃液針17、及び標準回転ジョイント44を標本箱13内の予め設定された位置に挿入させるよう移動する。サンプル吸入針16は、標本箱13内のろ過網を通して緩衝室内に入る。同時に、標準回転ジョイント44は標本箱の回転軸と噛合される。第2モーター52は正転し、第2昇降フレーム42を下方へ連動させ、注射器式であるサンプル添加器11のピントルを引き出せることにより、希釈液が吸入される。この過程は、サンプル添加器11が希釈液を吸入する過程である。
【0040】
以下、図3を参照してさらに説明する。T字管路電磁ピンチオフバルブ24は、内部通路を切替え、第2モーター52は逆転し、第2昇降フレーム42は上方へ移動し、希釈液はチェックバルブ32、第2管路T字管22及びサンプル吸入針16を介して標本箱13内に流入し、管路を充填する。この過程は、標本箱に希釈液を供給させる過程である。
【0041】
その後、撹拌モーター54は、標準回転ジョイント44を予め設定された速度で正方向、反対方向に回転させ、予め設定された回転時間で管内のサンプル採取スクープを回転させるよう回転することにより、標本箱13内の標本は均一に混合される。
【0042】
その後、サンプル吸入蠕動ポンプ18は正転し、希釈され且つ均一に混合された標本は、サンプル吸入針16、第2管路T字管22、第3管路T字管23を介して計数盤14内に注入され、吸入された標本液は、後ろの電磁ピンチオフバルブ34の位置でストップする。サンプルの吸入が完了した後、計数盤14の両側に位置する電磁ピンチオフバルブ33及び電磁ピンチオフバルブ34を閉めさせることにより、シリカゲル管路がピンチオフされ、顕微鏡が便利に検査を行うよう計数盤14内のサンプルを迅速に静止させる。計数盤14とサンプル吸入蠕動ポンプ18との間の連接管路が十分に長いため、標本がサンプル吸入蠕動ポンプ18を経て希釈液に吸入されることはない。この過程は、検査のために、希釈され且つ均一に混合された標本液を計数盤14内に注入させる過程である。
【0043】
この時、撹拌モーター54の動作が停止する。その後、ディスプレーは、顕微鏡検査を開始させることを提示し、操作者は当該ボタンをクリックすれば、機器内の顕微鏡が動作する。顕微鏡カメラは、顕微鏡検査画像をコンピュータのディスプレーに送り、1つの視野の観察及び結果入力が完了した後、操作者はソフトウエアのボタンを押すことにより操作を行い、「手動でサンプルを入れる」というボタンをクリックすることができる。サンプル吸入蠕動ポンプ18は正転し、電磁ピンチオフバルブ33及び電磁ピンチオフバルブ34は開かれ、標本液が少量で吸入され、今回の操作が1秒のみ持続した後、サンプル吸入蠕動ポンプ18の動作は停止し、電磁ピンチオフバルブ33及び電磁ピンチオフバルブ34が再び閉められ、管路がピンチオフされた後、操作者は顕微鏡検査の観察結果を入力する。前記過程は最大限に4回行われることができ、操作者は、視野を転換するために顕微鏡ステージの移動を制御することができる。この過程は、顕微鏡で標本液を検査する過程である。
【0044】
顕微鏡検査が完成された後、患者の標本に対し潜血などの必要な化学検査を行うような要求が化学検査シートに記載されれば、さらに標本液に対し化学検査を行う必要がある。操作者はソフトウエアの「化学検査」というボタンをクリックする。その後、電磁ピンチオフバルブ34は開かれ、電磁ピンチオフバルブ33は閉められ、サンプル吸入蠕動ポンプ18は逆転し、標本液を計数盤14、第3管路T字管23を介して化学検査室15に送る。この時、操作者は、機器の前面パネルにおけいる試験ストリップケーシングの入り口に試験ストリップのケーシングを入れ、再び「化学検査」というボタンをクリックすれば、サンプル吸入蠕動ポンプ18が逆転し、標本液が試験ストリップのケーシングに流入し、ケーシングを取出し、観察結果を待ち、当該操作は4回行われてもよい。
【0045】
顕微鏡検査及び化学検査が完成した後、操作者は「プリント」というボタンを押せば、機器は洗浄ステップを行う。まず化学検査管路は洗浄され、サンプル吸入蠕動ポンプ18は、希釈液が第1管路T字管21、サンプル吸入蠕動ポンプ18、計数盤14、第3管路T字管23、化学検査室15を通して洗浄を行うよう逆転すると同時に、廃液蠕動ポンプ19は、廃液が化学検査室15、廃液蠕動ポンプ19、廃液針17を通して標本箱13内に排出されるよう正転する。
【0046】
洗浄が完了した後、廃液蠕動ポンプ19の動作は停止し、サンプル吸入蠕動ポンプ18は正転し、化学検査室15、第3管路T字管23の中の希釈液を完全に排出させ、その後、電磁ピンチオフバルブ35は閉められ、管路をピンチオフさせ、サンプル吸入蠕動ポンプ18は逆転して、希釈液は第1管路T字管21、サンプル吸入蠕動ポンプ18、計数盤14、第3管路T字管23、第2管路T字管22、サンプル吸入針16を通して標本箱13内に排出されると同時に、計数盤14に対し洗浄を行う。この過程において、もし操作異常が生じれば、機器は自動的にアラームダイアログボックスを表示する。この過程において、電磁ピンチオフバルブ33、34は、作業が1秒する毎に半秒停止し、反復して開かれたり閉められたりし、この方法を用いて洗浄される管路内の圧力を増加させ、洗浄の効果を増強させる。
【0047】
上述した過程は、1つの標本箱に対する検査し、機器に対し洗浄する過程である。
【0048】
洗浄が完成した後、第1昇降フレーム41は上方へ移動し、目的位置に到着した後、注射器式サンプル添加器11は再び希釈液を吸入し、リニアガイドレール43は、標本箱識別用光電スイッチ62が入力した信号に基づいて次の標本箱の位置に位置付けられ、次の標本に対し同一の操作が行われる。1つの標本箱フレーム61上のあらゆる標本に対する操作が完了した後、機器は、標本箱フレーム61を予め設計された位置に移動させ、待機状態になり、検査報告をプリントする。
【0049】
もし化学検査シートに化学検査項目がなければ、操作者は顕微鏡検査の入力が完成した後、直接「プリント」というボタンを押すことができ、機器は計数盤14に対する洗浄ステップに入り、その後の操作は同じである。
【0050】
本発明のモーターの動作や動作時間、回転方向は、何れもソフトウエアにより制御され、用いられた回路原理は公知技術である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便標本自動検査器において、
自動制御装置と、
大便標本に定量の希釈液を供給するための希釈装置と、
希釈後の大便標本を撹拌し均一に混合するための撹拌・均一混合装置と、
大便標本を検査するための検査ユニットと、
管路を介して前記検査ユニットに連接され、大便標本を検査ユニットに供給し、且つ検査が完了した後に検査ユニット及び連接管路を洗浄するためのサンプル吸入及び洗浄装置と、
を含むことを特徴とする大便標本自動検査器。
【請求項2】
前記検査ユニットは物理検査ユニット及び化学検査ユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の大便標本自動検査器。
【請求項3】
前記物理検査ユニットは、顕微鏡と、顕微鏡に取り付けられる顕微鏡カメラと、顕微鏡ステージに位置する計数盤とを含み、前記計数盤は、管路により前記サンプル吸入及び洗浄装置に連接されることを特徴とする請求項2に記載の大便標本自動検査器。
【請求項4】
前記サンプル吸入及び洗浄装置は、サンプル吸入針と、希釈液入口と、サンプル吸入針及び希釈液入口の間に連接されるサンプル吸入蠕動ポンプとを含み、前記計数盤は、サンプル吸入針とサンプル吸入蠕動ポンプとの間に連接されることを特徴とする請求項3に記載の大便標本自動検査器。
【請求項5】
前記計数盤の両端に1つの電磁ピンチオフバルブがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項4に記載の大便標本自動検査器。
【請求項6】
前記サンプル注入針は、第1昇降フレームに固定され、前記第1昇降フレームは、第1モーターにより駆動されることを特徴とする請求項4に記載の大便標本自動検査器。
【請求項7】
前記希釈装置は、前記希釈液入口に連通されるサンプル添加器を含み、前記サンプル添加器は、チェックバルブを介して前記サンプル吸入針に連通されることを特徴とする請求項4に記載の大便標本自動検査器。
【請求項8】
前記サンプル添加器は、注射器式サンプル添加器であることを特徴とする請求項7に記載の大便標本自動検査器。
【請求項9】
前記サンプル添加器は第2昇降フレームに連接され、前記第2昇降フレームは第2モーターにより駆動されることを特徴とする請求項8に記載の大便標本自動検査器。
【請求項10】
前記化学検査ユニットは、サンプル吸入針とサンプル蠕動ポンプとの間に連接される化学検査室を含むことを特徴とする請求項4に記載の大便標本自動検査器。
【請求項11】
前記化学検査ユニットは化学検査室を含み、前記化学検査室の片端が計数盤に連接され、他端が廃液針に連接された廃液蠕動ポンプに連接されることを特徴とする請求項4に記載の大便標本自動検査器。
【請求項12】
前記化学検査室と計数盤との間に電磁ピンチオフバルブが設けられることを特徴とする請求項11に記載の大便標本自動検査器。
【請求項13】
前記第1昇降フレームの下方に標本箱ホルダーが設けられることを特徴とする請求項6に記載の大便標本自動検査器。
【請求項14】
前記標本箱ホルダー側面に対向するビデオカメラをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の大便標本自動検査器。
【請求項15】
前記ビデオカメラの上方に標本箱識別光電スイッチが設けられることを特徴とする請求項14に記載の大便標本自動検査器。
【請求項16】
前記標本箱ホルダーは、ステップモーターにより駆動されるリニアガイドレールに取り付けられることを特徴とする請求項13に記載の大便標本自動検査器。
【請求項17】
前記標本箱ホルダー内に標本箱がさらに含まれることを特徴とする請求項13に記載の大便標本自動検査器。
【請求項18】
前記撹拌・均一混合装置は、撹拌モーターと、回転可能なサンプル採取スクープとを含み、前記サンプル採取スクープは標本箱内に位置し、前記サンプル注入針は、第1昇降フレームが下降する時に、標本箱内に挿入し、前記撹拌モーターは、サンプル採取スクープに同軸に連接されることを特徴とする請求項17に記載の大便標本自動検査器。
【請求項19】
前記自動制御装置に連接されるディスプレーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の大便標本自動検査器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−518175(P2012−518175A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550407(P2011−550407)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070581
【国際公開番号】WO2010/094228
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(512024288)蘇州海路生物技術有限公司 (2)
【Fターム(参考)】