説明

大型アセンブリを接合および充填するための接着剤組成物

熱可塑性ポリマー5〜75重量%、ポリエステル樹脂もしくはビニルエステル樹脂0.5〜35重量%、ならびにアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマー20〜80重量%の混合物を含む、大型アセンブリを結合および充填するための接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な接着、コーティング、充填、補修および関連用途に有用な重合性ビニル系接着または充填用組成物に関する。より詳しくは、本発明は、ラジカル重合性モノマーと重合プロセス中に熱を発して膨張と収縮を受ける添加剤との混合物から構成される、二液型(2包装型)の常温(室温)硬化性重合性ビニル系接着剤組成物に関する。
【0002】
この改善された組成物は、エラストマー、熱可塑性樹脂、アクリレート、メタクリレートおよびスチレンモノマー、ならびにポリエステルもしくはビニルエステル樹脂の混合物から構成され、発熱性硬化反応からのガス発生およびボイド形成を伴わずに大容積または厚い断面の物体に適用または塗布することができる。
【0003】
本発明はまた、上記組成物に基づく接着剤の熱可塑性および熱硬化性材料を接合する能力、および接合領域における「リードスルー(read-through)」を生ずる傾向を低減させながらこのような材料を接合する能力における改善にも関する。本発明はさらに、特に大型の部材またはアセンブリを扱う際のオープンワーキングタイム(open working time、風乾貼り合わせ時間)が長くなる用途に対して処方にした場合に、組成物が指触乾燥性(不粘着性)の表面と低い残留臭気で硬化する能力の改善にも関する。本発明はまたさらに、変性した組成物の物理的性質および接着結合能力の改善にも関する。
【背景技術】
【0004】
多様な接着、コーティング、充填、補修および関連用途に有用な重合性ビニル系接着剤組成物は本技術分野で周知である。従来の組成物としては、アクリレートおよびメタクリレートモノマー、スチレンモノマーおよびスチレン誘導体、さらにはポリエステルおよびビニルエステル樹脂を主剤とする処方が挙げられる。この種の組成物は一般に液状またはペースト状であって、一方が重合開始剤、一般的にはペルオキシド(過酸化物)、を含有し、他方が促進剤、一般的にはアミン、を含有する、2つの別個にパッケージされた成分を使用直前に混合すると重合して硬化する。
【0005】
特に有用な1群の重合性ビニル組成物は、アクリレートまたはメタクリレートモノマー中に溶解または分散させたポリマーの混合物を含有する。このような組成物は、高い接合強度、最小限の表面調整での多様な材料への接着性、および速い硬化を含む、接着結合および関連用途に対する多くの性能上の利点を提供することができる。メチルメタクリレートは、比較的低価格で処方された組成物に高い強度特性を与えることから、このような接着剤に対する好ましいモノマーである。この群の重合性組成物は、特に延性および多様な材料表面への接着性に関して、ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂を主剤とするものに比べて多くの点で優れていると当業者には認められている。
【0006】
ポリエステル樹脂組成物は一般に、メチルメタクリレートより低価格のスチレンを含有している。この組成物は自動車車体の充填剤、ポリエステル船舶パテ、および他の充填、接合および補修材料に広く使用されている。ポリエステル/スチレン組成物は、高い価格で物理的性質および関連性能の属性に主眼をおいた用途ではなく、適度の機能上の性能で大きなボイドやすき間を経済的に充填する能力に主眼をおいた用途に好まれている。したがって、本発明の予期し得ない側面の1つは、ポリエステル樹脂の含有によって本発明の組成物の性能における改善が達成されることである。
【0007】
本発明の組成物により提供される利点の多くが上述した非接着用途にも有用である。しかし、接着用途の要求水準は、このような組成物に期待されるもののうち最も厳しい。この理由から、以下の説明および実施例、ならびにそこでの本発明の改善は、接着用途に主眼をおく。それらが上に述べた他の用途にも容易に拡張できることは理解されよう。
【0008】
メタクリレート系接着剤の評価が高くなるにつれ、その使用はますます大型のアセンブリおよび応用に拡張され、その結果、適用要件がより厳しくなってきた。例えば、大型の組立てアセンブリはオープンタイム(風乾時間)がより長い接着剤を必要とする。
【0009】
接着用途において、オープンタイム、ワーキングタイム(working time、貼り合わせ時間)、およびオープンワーキングタイム、は交換可能な用語であって、別個の接着剤成分を混合してから有効な結合がそれ以上生成しない程度に重合または硬化が達成されるまでの経過時間を意味する。このオープンワーキングタイムが過ぎると、接着剤は非常に高粘度になるか、表面上に皮膜が生成するか、またはその両方であり、良好な結合形成のための有効な濡れが起こらなくなる。他の用途では、この時間間隔は、組成物のゲル化時間または可使時間(ポットライフ)と呼ばれることが多く、これは、混合してから、非常に粘稠になって塗布を続けることができなくなるまでの時間のことである。
【0010】
化学的な重合禁止剤(インヒビター)または重合抑制剤(リターダー)により組成物の硬化開始または硬化速度を遅らせることによる、従来または従来技術による接着剤のオープンワーキングタイムの増大法は、望ましくない負のファクターを導入するか、または組成物の用途または性能特性を犠牲にすることが多い。
【0011】
接着剤を大型アセンブリの接合に使用する場合の別のファクターは、接合部材間のすき間の大きさである。接合すべき部分のサイズが大きくなると、対向部分間のすき間の大きさも一般に大きくなる。これは、ボート、車両用大型アセンブリ、建築構造物、橋梁路面、その他の大型構造物の製作において主流となっている開放金型成形(open molded)グラスファイバー構造物において特に問題となりうる。
【0012】
従来の重合性メタクリレート系接着剤をそのような厚いすき間に適用すると、発熱性の硬化反応およびモノマーの揮発性のため、接着結合部におけるガス発生とボイド生成が一般に起こり、これは結合完全性および部品性能の許容できない結果を生ずる。オープンワーキングタイムを増大させるための上述した添加剤の技法を用いると発熱とガス発生の問題が軽減することがあるが、塗布と性能特性における上記の負の影響が一般に生ずる。後でも述べる別の方法は、この発熱作用を低減する目的で不活性充填剤を使用することである。しかし、このような充填剤は、接着用組成物の強度および耐久性に悪影響を及ぼすことが多い。
【0013】
特にボートおよび車両の組立てにおいて本発明の組成物が取り組むさらに別のファクターは、リードスルーまたはプリントスルー(print-through)と呼ばれる現象である。これは、平滑または光沢仕上げの外面パネルまたは「スキン」に内部補強材、補剛材、ブラケットまたは他の部品を接合するのに接着剤を使用するときに起こりうる外観上の-問題である。輸送用途では、そのような表面は一般に「クラスA」表面と呼ばれる。
【0014】
硬化プロセスの終了後、または後硬化プロセス中に、ある種の接着剤、特に発熱性重合を受けて、硬化プロセスに伴う発熱と冷却中の膨張と収縮のために寸法が変化するものは、接合部の外面、すなわち「見える」面に表面不規則性の形成を生ずることがある。この不規則性は一般に、陥没、アウトライン、ゆがみまたはその他の、目に見え、視覚的に好ましくない表面の乱れである。この問題の発生およびひどさは、接合の厚みや使用する接着剤の全体積と共に一般に増大する。
【0015】
このような外観上の問題の原因は、接合基体の特異的性質に由来するものを含めて複雑である。原因としては、部材の厚み、接合時の熱硬化部材の硬化状態、接合された材料の熱伝導率および膨張係数、部材上に塗布したコーティングの特性、および他のファクターが挙げられる。どのような他のファクターがリードスルーまたはプリントスルーの発生に関与するにせよ、硬化プロセス中の発熱および寸法変化を受ける傾向が小さい接着剤はこの現象にかかわる傾向が低いことが一般に認められる。
【0016】
この問題を克服する研究において多くの技術が使用されてきた。それらの多くは、反応性モノマーによる寸法変化、収縮および発熱への寄与を軽減するため、このモノマーの割合を効果的に低減するような材料を添加するものである。そのような材料としては、希釈剤として作用する不活性液状可塑剤、および体質顔料(エキステンダー)として作用し、重合熱の一部を吸収する充填剤が挙げられる。関連技術として、硬化物の体積を増大させて収縮の相殺を助ける中空発泡性微球(マイクロスフィア)の使用が挙げられる。さらに別の技術は、重合プロセス中に相分離して材料中に収縮を相殺する内部ボイドを形成する熱可塑性ポリマーを使用する。
【0017】
しかし、上述したガス発生の問題と同様に、リードスルーを効果的に軽減するのに十分な量でこれらの不活性成分を単独で添加するのは、一般に接着剤の性能に有害である。ただし、それらは本発明の組成物の改良と組み合わせて有利に使用することは可能である。
【0018】
既に述べたように、どちらも硬化反応の速度に関係するオープンワーキングタイムの問題と発熱によるガス発生の問題に対処する通常の方法は、重合開始剤の使用割合を少なくするか、より反応性の低い開始剤種を選択するか、重合抑制剤もしくは連鎖移動剤を添加するか、またはこれらの方法の組み合わせによって、組成物の反応性を低減することである。
【0019】
しかし、後で言及する米国特許第5,859,160号で指摘されているように、これらの方法は、効果的な重合および結合形成を妨げる酸素阻害といった他の望ましくない競合副反応を許すことがある。やはり後で言及する米国特許第5,932,638号に記載されているように、このような空気阻害の難点として、接着結合の脆弱化、未反応モノマーの逃散により生ずる臭気増大、および接着剤表面の粘着性に関する問題が挙げられる。
【0020】
この問題は触媒種の添加レベルを下げ、重合抑制剤を添加して、メタクリレート系接着剤組成物のオープンワーキングタイムを約45分から1時間以上に延長する場合には特に深刻となる。この問題は、硬化速度がさらに小さくなり、ラジカル硬化プロセスの完了が阻害されるかもしれない低い常温塗布温度によりさらに悪化する。
【0021】
硬化速度を遅延し、それによりメタクリレート系接着剤を含む重合性ビニル組成物の塗布の利用可能時間を延長させるための別の周知の技術は、α−メチルスチレンといったある種の置換スチレンモノマーを添加することである。組成物がメチルメタクリレートを主剤とする場合、米国特許第5,656,345号に開示されているように、スチレンならびに置換スチレンが効果的である。
【0022】
米国特許第5,859,160号は、スチレン系モノマー法を詳細に開示しているが、接着用途または特性、あるいはそれらに及ぼす添加スチレン系モノマーの影響への具体的言及や実施例はない。硬化の完了や硬化後の硬化性組成物の特性に悪影響を及ぼさずに硬化速度の減速が起こることが主張されている。接着剤組成物の処方における該発明の使用も示唆されている。特にオープンタイムを延長し発熱によるガス発生を低減するために低濃度での触媒種と組み合わせた時に、ある種のメタクリレート系組成物にスチレン系モノマーを添加すると接着剤の硬化挙動に負の影響を及ぼすことがあることは当業者には周知である。
【0023】
米国特許第6,291,593号は、オープンタイムの延長および/または硬化時のピーク発熱温度の低下のために重合抑制剤を含有するメタクリレート系接着剤組成物を開示する。塩化亜鉛のような亜鉛化合物が好ましい。
【0024】
米国特許第5,932,638号は、空気阻害により生ずる接着剤組成物の不十分な表面硬化に伴う問題を克服するためにある種のp−ハロゲン化アニリン誘導体を使用することを開示している。約10重量%までの不飽和ポリエステル樹脂を含有する組成物が開示されている。表面硬化における言及された改善は、空気に曝された未硬化表面層の厚みが約0.025インチから約0.002〜約0.003インチに低減することである。しかし、実際の商業的な経験では、言及された未硬化接着剤の量がずっと少なくても、長く残るひどい臭気の問題を生ずるのに十分となることがあることが示されたことがある。
【0025】
この問題は、例えば、接着剤の絞り出されたビード(玉状体)またはフィレット(帯状体)の不完全に硬化した表面が、ボートのストリンガーグリッド(stringer grid)のような制限された領域内に存在する時に起こることがある。この問題は、フィレットまたは他の未硬化の接着結合領域が、ボート船体のような露出した表面に接着剤の薄いフィルムを塗り付けるスパチュラまたは他の器具で仕上げられるか、平らにならされる時にさらに悪化することがある。生じた接着剤の薄いフィルムは特に空気阻害の作用を受けやすい。捕捉された蒸気は最終的にボートの囲われたキャビン領域に移行して、非常に低濃度での存在であるにもかかわらず不快または許容できないレベルの臭いを生ずることがある。これは、メチルメタクリレートモノマーの検出可能な臭気閾値レベルが約0.5ppm以下であるためである。
【特許文献1】米国特許第5,859,160号
【特許文献2】米国特許第5,932,638号
【特許文献3】米国特許第5,656,345号
【特許文献4】米国特許第6,291,593号
【特許文献5】米国特許第4,548,992号
【特許文献6】米国特許第3,321,351号
【特許文献7】米国特許第4,223,115号
【特許文献8】米国特許第4,293,665号
【特許文献9】米国特許第4,467,071号
【発明の開示】
【0026】
オープンワーキングタイムが長く、ガスを発生させずに大型肉厚物体における硬化が可能で、未重合モノマーから生ずる残留臭気を全くもしくはほとんど伴わずに完全に硬化した指触乾燥表面を与えることができ、かつ硬化した接着剤の性能を保持または改善すると同時に、ボート、車両および他の外観が重要なアセンブリの仕上がり外面のリードスルー作用を低減させた硬化が可能な改善された接着剤組成物が明らかに求められている。
【0027】
ポリエステルまたはビニルエステル樹脂とある種のアクリレートまたはメタクリレート系接着剤組成物との組み合わせが、上記の求められている改善を与えることがここに判明した。接着特性への負の影響の危険性を伴う上述した特定の重合抑制剤を添加する方法とは異なり、ポリエステル樹脂の添加は以下の説明で明らかとなる多くの利点を付与することができる。
【0028】
米国特許第5,932,638号は、メタクリレート系組成物中における0〜約10重量%のポリエステル樹脂の任意の含有を開示している。
米国特許第5,859,160号も、メタクリレート系接着剤組成物における0〜約10重量%の不飽和ポリエステル樹脂の任意の含有を開示している。
【0029】
この'638号特許および'160号特許は、メタクリレート系接着剤組成物における不飽和ポリエステル樹脂の混入を開示する米国特許第3,321,351号、第4,223,115号、第4,293,665号および第4,467,071号を引用している。上に引用した文献と同様に、'115号、'665号および'071号特許は、0〜約10重量%の不飽和ポリエステル樹脂の任意の含有を開示している。リン酸エステル類の添加により金属接着結合の耐久性の改善を主張している'115号および'665号特許のそれぞれにおける実施例IVは、3重量%の不飽和ポリエステル樹脂を含んでいる。
【0030】
上に挙げた文献の全てにおいて、メタクリレート系組成物は、硬化した組成物に靱性を付与するためのポリマー種を、少なくとも約10%、一般には15〜20%またはそれ以上の量で含有する。好ましいポリマーとしては、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンと塩化スルホニルとの混合物、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、およびポリアクリレートゴムが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂の存在の有無に関係なく、これらのポリマーからの選択についての特定の優先順位は説明されていない。
【0031】
米国特許第3,321,351号は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルモノマーおよびその重合物(具体的にはメチルメタクリレートおよびそのポリマー、スチレンモノマーおよびそのポリマー)、ポリクロロプレンゴムおよびポリビニルエーテルを含有する組成物を開示している。この明細書は一般に、ビニルモノマー10〜85%、ビニルポリマー0〜50%、不飽和ポリエステル0〜80%、およびポリビニルビニルエーテル0〜40%を開示する。ただし、実施例では、組成物中にメチルメタクリレートが存在し、ネオプレンが存在しない場合には、ポリエステル樹脂の含有量は15%以下である。メチルメタクリレートとネオプレンの両方が存在する場合には、不飽和ポリエステルの含有量は1%以下である。ネオプレンの量が組成物の3%を越えることは決してない。
【0032】
米国特許第4,548,992号は、変性カルボキシル含有ニトリルゴムならびに不飽和ポリエステル樹脂のアルカリ金属もしくはアミン塩を含有するメタクリレート系接着剤組成物を開示している。カルボキシル含有ニトリルゴムは、メタクリレート化リン酸エステルとの反応により変性される。ポリエステル樹脂の遊離カルボキシル基は金属化合物、アンモニアまたはアミンにより中和されてイオン結合を含有する変性ポリエステル樹脂を形成する。このイオン結合含有ポリエステル樹脂は油が付着した金属表面への接着を促進し、メタクリレート系接着剤組成物の貯蔵安定性を改善すると記載されている。
【0033】
本発明の必須の特色は、重合性アクリレートまたはメタクリレート系組成物の硬化挙動、接合性および物理的性質の改善のために不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を使用することである。このアクリレートまたはメタクリレート系組成物は、触媒と混合されると重合するアクリレートまたはメタクリレートモノマー中に熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーまたはエラストマーが溶解した溶液である。
【0034】
好ましいポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂は、ペルオキシドおよび促進剤による触媒作用を受け、積層および注型部材および構造要素、コーティング、接着剤および補修部材を含む多様な用途に使用されている、典型的には液状で供給される市販製品である。
【0035】
好ましいポリマーは、合成エラストマーおよび熱可塑性ポリマーである。好ましいモノマーは低分子量アクリレートおよびメタクリレートモノマーである。最も好ましいモノマーはメチルメタクリレートである。
【0036】
本発明は5〜75%の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーもしくはエラストマー、0.5〜35%の不飽和ポリエステル樹脂もしくはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%のアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマーを含む組成物を提供する。本発明の組成物は、接着および充填用組成物に付随する発熱性硬化および寸法変化のより良いコントロールを示す。その結果、より厚い物体への適用が可能になり、大面積の領域または隙間の接合および充填に使用することが可能となり、その際に、表面または薄い断面部もしくはフィルムの硬化不足による負の影響を伴わずに、ガス化もしくは泡立ち、リードスルーもしくはプリントスルーその他の反応発熱による影響の発生の傾向が著しく低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明で使用するポリエステルおよびビニルエステル樹脂は当業者には周知である。この樹脂およびその用途は、S.T. Peters編「Handbook of Composites (複合材ハンドブック)」第2版、Chapman and Hall発行(ここに援用する)をはじめとする多くの刊行物に詳述されている。
【0038】
不飽和ポリエステル類は、多塩基性酸または無水物と多価アルコールとの縮合反応生成物である。縮合反応の終了後に、一般に固体または半固体の得られた樹脂を不飽和モノマーで希釈して、所望の粘度、反応性および最終用途特性を確保する。
【0039】
好ましい不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼンなど、ならびに前記アルケニル芳香族モノマーの少なくとも1種を含む混合物が挙げられる。好ましいアルケニル芳香族モノマーはさらに、芳香環上に1〜5個のハロゲン置換基を有するスチレン類、および少なくとも1種のこのようなハロゲン化スチレンを含有する混合物を包含する。モノマー混合物はメチルメタクリレートのようなアクリレートまたはメタクリレートモノマーも含有しうる。モノマーは一般に樹脂100部あたり30〜60部の量で存在する。
【0040】
不飽和ポリエステル樹脂の形成に使用しうる不飽和多塩基酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、ナド酸(nadic acid)、テトラヒドロフタル酸、エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサクロロ−エンド−メチレンテトラヒドロフタル酸、および他の不飽和ジおよび多塩基酸およびハロゲン化酸、ならびにそれらの対応するエステル類および無水物が挙げられる。好ましい不飽和酸はマレイン酸およびフマル酸ならびにそれらの対応するエステルおよび無水物を包含する。
【0041】
エチレン性不飽和結合の密度を低減し、特定の用途に対する所望の化学的および機械的特性を与えるために、多官能性飽和および芳香族酸を多塩基不飽和酸と併用する。飽和および芳香族多塩基酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、エイコ酸(eicoic acid)、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)など、テトラブロモフタル酸などのハロゲン化酸、ならびにそれらのエステル類および無水物が挙げられる。好ましい芳香族多塩基酸は、フタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸、ならびにそれらの対応するエステル類および無水物を包含する。それらを用いたポリエステル樹脂は、「オルトフタル酸」および「イソフタル酸」または「オルト」および「イソ」樹脂とそれぞれ呼ばれる。
【0042】
有用な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、テトラブロモビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、などが挙げられる。好ましい多価アルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、およびネオペンチルグリコールを包含する。トリオールを使用する時は、連鎖分岐と分子量および粘度に及ぼすその影響を制御および制限するためにジオールに対して非常に制限された量で使用する。好ましいトリオールとしては、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0043】
より最近になって、ジシクロペンタジエン(DCPD)モノマーが、「低スチレン」樹脂を製造するためにスチレンモノマー中により高い割合で混合することができるポリエステル樹脂の合成に使用されるようになってきた。この種のポリエステル樹脂「DCPD」樹脂と一般に呼ばれている。それらは、それを採用するプロセスおよび設備からのスチレン放出を低下させるために使用される。
【0044】
ビニルエステル樹脂は、下記を含む多くの米国特許に記載されている:米国特許第3,564,074号、第4,151,219号、第4,347,343号、第4,472,544号、第4,483,963号、第4,824,919号、第3,548,030号および第4,197,390号。ビニルエステル樹脂は典型的には、一般にポリエポキシドと少なくとも1種の共重合性モノマー、一般にはスチレン、とから一般に誘導される末端不飽和ビニルエステル樹脂を包含する。この末端不飽和ビニルエステル樹脂は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリン付加物のようなポリエポキシドとアクリル酸またはメタクリル酸のような不飽和モノカルボン酸とをほぼ当量割合で反応させることにより製造される。得られた樹脂は、末端に重合性不飽和基を有する。この樹脂はまたハロゲン化ポリエステルおよびビニルエステル樹脂を包含していてもよい。
【0045】
上で言及したポリエステルまたはビニルエステル樹脂またはそれらの混合物のいずれを本発明の組成物に有利に使用することもできるが、ポリエステルもしくはビニルエステル樹脂、メタクリレートモノマーおよびポリマーの特定の組み合わせを処方すると、従来技術に比べて特異的かつ顕著な性能の利点および改善を与える場合がある。例えば、任意の数の上記ポリエステルまたはビニルエステル樹脂を使用して、接着剤が硬化する時の組成物のガス化および泡立ち傾向が低減した組成物を与えることができる。これは、オープンワーキングタイムが比較的短い場合と長い場合のいずれでも達成可能である。
【0046】
ワーキングタイムが、例えば、10〜30分と比較的短い場合、この接着剤は、ガス化または泡立ちを伴わずに、低減した発熱で、厚い断面部またはボイドを充填する能力を持ちつつ比較的速い硬化を与えるという、ユニークな利点を有する。完全に硬化した無ボイドの結合が、約1.5インチまでの厚みで約15分〜約60分の時間内に得られる。同様な硬化時間の従来技術の接着剤は、0.5インチ以下の厚みでガス化および泡立ち傾向を示す。
【0047】
オープンタイムが、例えば、約45分〜約90分と長い場合、本発明の接着剤は、硬質の指触乾燥表面で硬化する能力、ならびに、硬化遅延に起因する弱い結合や空気阻害を受けた未反応モノマーから生ずる長引く臭気を伴わずに、薄い断面部または薄いフィルムの状態で硬化するというユニークな能力を有する。また、無ボイド結合を3インチまでの厚みで約90分から約3時間の時間内に得ることができる。オープンタイムが長い従来技術の接着剤は、薄い断面または薄いフィルムの状態では一般に十分には硬化せず、約1インチより大きな厚みではガス化および泡立ちを生ずる傾向がある。
【0048】
スチレンモノマーまたは置換スチレンモノマーを別個の添加剤として単独で使用する上記方法とは異なり、ポリエステル樹脂は組成物の硬化に負の影響を及ぼさずに多くの利点を与え、実際、組成物の最終的な硬化状態をも改善する。他の利点としては、接着性ならびに引張強度および引張伸びのような物理的特性の改善を挙げることができる。
【0049】
樹脂の選択は、用途、硬化および性能特性に、関係する具体的処方に応じて異なる程度に影響を及ぼすことがある。例えば、他の変動因子が一定として、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルペルオキシド)を触媒として使用する場合、オルトフタル酸およびイソフタル酸樹脂を含有する組成物はDCPD樹脂を含有するものより一般により良好な最終硬化状態を達成する。しかし、DCPD樹脂はオルトフタル酸またはイソフタル酸樹脂より発熱ならびに収縮もしくは寸法変化が著しく少ない組成物を与える。DCPD樹脂を選択した場合の硬化状態を向上させるため、ペルオキシドおよび促進剤の濃度レベルの選択と重合禁止剤パッケージの選択に注意を払わなければならない。
【0050】
ビニルエステル樹脂もしくはハロゲン化ビニルエステル樹脂またはその混合物を含有する組成物は、ポリエステル樹脂を含有するものより大きな発熱および寸法変化を示す傾向があるが、それらの硬化速度、最終硬化状態および耐熱性(室温強度の高温での保持率として定義)はより優れている。発熱および寸法変化が問題とはならないなら、ガス化および泡立ち傾向が低く、非常に高強度で迅速に硬化する結合をビニルエステル樹脂により得ることができる。
【0051】
使用する樹脂は促進剤を含有していても含有していなくてもよい。多くの市販ポリエステルおよびビニルエステル樹脂は、使用直前にペルオキシド開始剤を添加した場合に所望レベルの反応性を付与するように製造業者により添加されたアミンおよび/若しくは有機金属化合物ならびに重合禁止剤を含有している。このような樹脂は促進剤添加または促進剤前添加樹脂と呼ばれる。
【0052】
本発明で使用する樹脂は特定の触媒要件を有する反応性メタクリレート系組成物における添加剤であるので、場合によってはポリエステルおよびビニルエステル樹脂が触媒種を全く含有しないことが好ましい。そのような促進剤無添加樹脂を利用した本発明の変性メタクリレート系組成物を、その後に所望の用途特性に対して望ましいレベルで好ましい触媒種を用いて処方(組成調整)することができる。
【0053】
本発明の不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂は米国および世界中の多くの供給業者から市販されている。米国の供給業者としては、アルファ・オウエンス・コーニング(AOC、Alpha Owens Corning)、アシュランド(Ashland)ケミカル、クック・コンポジッツ(CCP)、イーストマン・ケミカル、インタープラスチック・コーポレイションおよびライシュホールド(Reichhold)が挙げられる。ビニルエステル樹脂はAOC、アシュランド、イーストマン、インタープラスチック、ライシュホールドおよびダウ・ケミカルの各社から入手可能である。世界の供給業者としては、アジアの大日本化学および欧州のDSMが挙げられる。これらの樹脂は多様な市場において多くの商品名で販売されている。以下に、多様な米国内業者から供給される樹脂とその商品名をまとめて示す。
【0054】
供給業者 樹脂タイプ 商品名
アルファ オルトPE, DCPD AltekTMH300, H500, H800
オウエンス イソフタル酸PE Pultru, Vipel
コーニング テレフタル酸PE Pultru, Vipel
ビニルエステル Hydropel, Vipel
アシュランド PE, DCPD, VE AME, Aropol, Hetron
ダウ ビニルエステル Derakane
イーストマン オルト/イソ/テレPE Verimad
DCPDビニルエステル
インター PE, ビニルエステル CoREZYN
プラスチック
ライシュホールド オルト/イソ/テレ/ DION, Polylite
DCPDポリエステル
ビニルエステル Hydrex, Atlac, DION
PE=ポリエステル、VE=ビニルエステル。
【0055】
本発明の好ましい不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、DCPDハロゲン化ポリエステル樹脂およびそれらの混合物である。好ましいオルトフタル酸およびDCPD樹脂としては、AOC社製のAltek 500および800シリーズ、ライシュホールド社製のPolylite31000、 32000、 33000および44000シリーズ、ならびに他の製造業者の類似の樹脂が挙げられる。好ましいイソフタル酸樹脂としては、AOC社製のVipel F737およびライシュホールド社からDION, ATLACおよびPolyliteなる商品名で販売されている類似の樹脂が挙げられる。好ましいDCPD樹脂としては、AOC社製のAltek H800シリーズおよびライシュホールド社製のPolylite 44383, 44006および44285が挙げられる。
【0056】
樹脂の製造業者は一般に、望ましい組み合わせの特性を得るように他の樹脂とブレンドされる促進剤無添加の「ベース」バージョンの上記ポリエステル樹脂種およびビニルエステル樹脂を製造している。ある1群の樹脂の範囲内で、反応性および可撓性が異なるいくつかのグレードが、一般に約70%までの高固形分レベルで製造されている。
【0057】
最も好ましいオルトフタル酸樹脂は、ライシュホールド社製Polylite 31008およびイーストマン社製Verimac 711-1530のような、促進剤無添加、可撓化、低〜中反応性バージョンのものである。最も好ましいイソフタル酸およびテレフタル酸樹脂は、AOC T750-70、ライシュホールド社製Polylite 31830およびイーストマン社製Verimac 126-0863のような、促進剤無添加、可撓化、低〜中反応性バージョンのものである。最も好ましいDCPD樹脂は、インタープラスチック社製CoREZYN 61AA340およびライシュホールド社製Polylite 44-006のような、促進剤無添加ベース樹脂である。
【0058】
好ましいビニルエステル樹脂、ハロゲン化ビニルエステル樹脂またはその混合物としては、ダウ社製Derakane 411-350、アシュランド社製Hetron 922、インタープラスチック社製CoREZYN VE8300、ライシュホールド社製DIONおよびAtlac 9100、ならびにイーストマン社製Verimac 785-8430が挙げられる。最も好ましいビニルエステル樹脂としては、ダウ社製Derakane 411-350およびライシュホールド社製DION/Atlac 9100が挙げられる。
【0059】
ビニルエステル樹脂またはポリエステル樹脂は、硬化組成物の硬化挙動および物理的性質に関して最適の効果を達成するように、個別的にまたは組み合わせて使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂とメタクリレート系接着剤組成物との実質的に全ての組み合わせを使用することができるが、メタクリレート系接着剤組成物の有益な特性を保持するためには、メタクリレート部分が混合物全体の少なくとも20%を占めるべきである。本発明の組成物は、0.5〜35%、好ましくは1〜25%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、またはその組み合わせという混合物を包含することが好ましい。
【0060】
本発明の好ましいポリマーは、熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーおよびエラストマーであり、1種類の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーもしくはエラストマー、或いは2種以上の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーのブレンド、2種以上のエラストマーのブレンド、ならびに1種もしくは2種以上のエラストマーと1種もしくは2種以上の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーとのブレンドから選択されうる。
【0061】
ここで用いた「部分的熱可塑性」とは、その構造中にある程度の架橋性を有するポリマー、エラストマー、またはエラストマー含有ポリマーを意味する。そのようなポリマーの1例は、コアシェル型耐衝撃性改良剤であり、これは典型的にはブタジエン系もしくはアクリル系ゴムであるコアをある程度架橋させて所望の耐衝撃性改良特性または他の特定の特性を付与したものである。別の例は、デュポン・ダウ・エラストマーから販売されているポリクロロプレンエラストマーであるネオプレン(Neoprene) AGである。このものは、普通には熱可塑性で可溶性のポリクロロプレンが軽度の架橋を付与する成分により特異的に変性されており、それに含まれている溶液またはゴム化合物のレオロジーを有益に変性するユニークなゲル様特性が付与されている。
【0062】
さらに別の例としては、それが処方されたゴム、プラスチックまたは他の樹脂組成物中において耐衝撃性改良剤または他の特性の改良剤として使用するように、架橋により変性されているエラストマー性ポリマーが挙げられる。具体例としては、どちらもエリオケム(Eliokem)から販売されている、架橋ブタジエンアクリロニトリルエラストマーのChemigumおよび架橋アクリレートターポリマーのSunigumが挙げられる。
【0063】
いずれの場合も、ポリマーの特性を改良するために導入された架橋により、そのポリマーは本発明のモノマー中に不溶性または部分的にのみ可溶性となる。これに対し、完全に熱可塑性のポリマーおよびエラストマーは該モノマー中に完全にまたは実質的に可溶性である。
【0064】
好ましい熱可塑性、部分的熱可塑性および実質的に可溶性のポリマーおよびエラストマーならびにその混合物としては、それらに限られないが、ブタジエンもしくはイソプレンを主剤とするものを含むジエン系ポリマー、例えば、アクリロニトリル、スチレン系およびアクリル系モノマーを含有するコポリマーおよびマルチポリマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン−プロピレンおよびエチレン−ブチレンを主剤とし、スチレン、アクリロニトリルおよびアクリル系モノマーと組み合わせた熱可塑性ブロックコポリマー、マルチポリマーおよび耐衝撃性改良剤;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂および耐衝撃性改良剤、メタクリレートブタジエンスチレン(MBS)およびMABS耐衝撃性改良剤およびポリマー、ポリクロロプレン、塩素化ポリオレフィンおよびコポリマーのような塩素化ポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリオレフィンおよびそのコポリマー、ポリエピクロロヒドリンおよびコポリマー、塩化ビニル含有ポリマー、ならびにアクリル系エラストマーおよび耐衝撃性改良剤が挙げられる。
【0065】
好ましいポリマーは、靱性および弾性の特性を付与し、組成物の接合基体への接着性を改善するものである。接着性および他の特性を改善するが靱性は付与しない別のポリマーも本発明の組成物に使用するのが有利である場合がある。例としては、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニルおよびアクリルモノマーのポリマー、コポリマーおよびマルチポリマーが挙げられる。
【0066】
低分子量液状反応性および非反応性エラストマーおよびオリゴマーも本発明の組成物に使用するのが有利である場合がある。例としては、ノベオン(Noveon)およびリコン(Ricon)レジンズから販売されている液状ビニル反応性ブタジエンポリマーならびにアクリロニトリルおよびアクリレートモノマーとのコポリマー;ならびにサートマー(Sartomer)、ラドキュア(Radcure)その他から市販されている他の多くの反応性液状ポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。
【0067】
最も好ましいエラストマーおよびポリマーとしては、デュポン・ダウエラストマーから販売されているNeoprene AD-5, AD-10およびAGのようなポリクロロプレン、Tyrin 3611, 3615および4211のような塩素化ポリエチレン、ならびにHypalon 20, 30, 40および48のようなクロロスルホン化ポリエチレン;ゼオンケミカルから販売されているNipol 401LL, 1201, DN-4555および1401LGのようなニトリルエラストマー;ゼオンから販売されているZealloy 1422およびエリオケムから販売されているChemigum P-83のような架橋ニトリルエラストマー;ノベオンから販売されているHycar 1300X33のような液状ニトリルエラストマー、クラトン(Kraton)ポリマーズから市販されているスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、ゼオンから販売されているHytemp 4051および4054のようなアクリルエラストマー、デュポンから販売されているVamac DおよびGのようなエチレン−アクリルエラストマー、ロームアンドハースから販売されているParaloid BTA 753 (MBS)、GEプラスチックスから販売されているBlendex 338 (ABS)、カネカから販売されているFM-10 (オールアクリル)のようなコアシェル型耐衝撃性改良剤、ならびにクロンプトン(Crompton)ケミカルから販売されているRoyaltuf 372P20のようなエチレン−プロピレン系耐衝撃性改良剤が挙げられる。
【0068】
好ましいモノマーは低分子量C1〜C6アクリレートおよびメタクリレートモノマーである。より好ましいモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、およびこれらの混合物が挙げられる。さらにより好ましいモノマーはメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートである。最も好ましいモノマーはメチルメタクリレートである。
【0069】
他のより高分子量の1官能性または多官能性アクリレートモノマーおよびオリゴマーを、硬化組成物の架橋のため、または臭気の低減、特定の基体に対する濡れ性および接着性の改善、硬化が不完全なポリエステル樹脂表面を含む敏感なプラスチック表面を溶媒和する傾向の低減、および可撓性および他の機械的性質の改善といったある種の望ましい用途および性能特性を付与するために、組成物の約25%までの量で使用してもよい。
【0070】
各種のアクリレートおよびメタクリレート組成物ならびにポリエステルおよびビニルエステル樹脂により得られる具体的利点のより完全な理解は、後述する実施例から明らかとなろう。
【0071】
本発明の組成物は、5〜75%、好ましくは7〜60%、そして最も好ましくは10〜50%の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーもしくはエラストマー、0.5〜35%、好ましくは1〜25%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%、好ましくは30〜80%、そして最も好ましくは40〜70%の少なくとも1種のアクリレートまたはメタクリレートモノマーの組み合わせを包含する。
【0072】
本発明の好ましい組成物は、5〜75%、好ましくは7〜60%、そして最も好ましくは10〜50%の少なくとも2種のポリマーのブレンド、0.5〜35%、好ましくは1〜30%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%、好ましくは30〜80%、そして最も好ましくは40〜70%の少なくとも1種のアクリレートまたはメタクリレートモノマーの組み合わせを包含する。
【0073】
最も好ましい組成物は、重量で、5〜75%、好ましくは7〜60%、そして最も好ましくは10〜50%の少なくとも2種のエラストマー性ポリマーのブレンドもしくは少なくとも1種のエラストマーポリマーと少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとのブレンド、0.5〜35%、好ましくは1〜30%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%、好ましくは30〜80%、そして最も好ましくは40〜70%の少なくとも1種のアクリレートまたはメタクリレートモノマーの組み合わせを包含する。
【0074】
さらに好ましい態様において、本発明の組成物は、重量で、5〜75%、好ましくは7〜60%、そして最も好ましくは10〜50%の少なくとも1種のエラストマーポリマーと少なくとも1種のエラストマー変性熱可塑性ポリマーもしくはエラストマー含有コアシェル型耐衝撃性改良剤とのブレンド、0.5〜35%、好ましくは1〜25%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%、好ましくは30〜80%、そして最も好ましくは40〜70%の少なくとも1種のメタクリレートモノマーの組み合わせを包含する。
【0075】
最も好ましい態様において、本発明の組成物は、重量で、5〜75%、好ましくは7〜60%、そして最も好ましくは10〜50%の少なくとも1種の塩素化ポリマーと少なくとも1種のニトリルエラストマーもしくは熱可塑性アクリロニトリルポリマーとを含有するポリマー類のブレンド(米国特許第6,602,958号に開示のような)0.5〜35%、好ましくは1〜25%、そして最も好ましくは2〜20%の不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80%、好ましくは30〜80%、そして最も好ましくは40〜70%の少なくとも1種のメタクリレートモノマーの組み合わせを包含する。
【0076】
金属基体を包含する各種基体への接着性を改善するため、本組成物に0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%の重合性有機酸モノマーまたはオリゴマーを含有させてもよい。これらは、当業者には周知のビニル反応性カルボン酸モノマーを包含する。好ましい重合性カルボン酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸である。他の好ましい重合性酸モノマーもしくはオリゴマーとしては、先に引用した米国特許第4,223,115号および第4,293,665号に開示されているリン酸のビニル官能性誘導体が挙げられる。好ましい具体例は、日本の共栄社化学株式会社からライトエステルP-1MおよびP-2Mなる商品名で販売されているヒドロキシエチルメタクリレートから誘導された混合モノおよびジ置換リン酸エステルである。
【0077】
酸モノマーもしくはオリゴマーまたはその混合物の選択は、期待される基体接合要件および使用する重合性の酸により付与される他の効果に依存する。例えば、メタクリル酸は、接着剤組成物の硬化速度を増大させ軟鋼への接着性を改善するので多くの場合に好ましい。部分置換リン酸エステル類は、表面調整されていないアルミニウムおよびステンレス鋼基体上で改善された接着性と耐久性が要求される場合に好ましい。しかし、酸官能性リン酸エステル類はある種の処方の硬化速度を遅くすることがある。マレイン酸は、ナイロンのような難接合性基体への接着性を改善することが、米国特許第4,714,730号に示されている。
【0078】
場合によっては、多様な基体への接着性が要求される場合に、2種以上の酸およびオリゴマーの混合物を使用するのが有利となることがある。酸混合物の厳密な選択および効果は、処方組成物中の他の成分および所定用途における許容される性能上の妥協点により影響される。
【0079】
有機粘土(オルガノクレイ)、ヒュームドシリカなどの各種の粘度調節剤を、接着剤の粘度を制御するために系の重量に基づいて0.1〜10%の範囲内の量で添加してもよい。追加の充填剤も、接着剤のコスト低減またはある種の物理的性質の改善のためにかなり多い量で添加することができる。この場合、充填剤または増量剤の量は、上述したベースポリマーおよびモノマー組成物に対する添加剤として別個に考慮されることになろう。
【0080】
粘土、タルク、炭酸カルシウム、シリカおよびアルミナ三水和物のような普通の微粒子状充填剤または増量剤は、特定の経済性、塗布性または結合性の特性を達成するために、組成物の約50重量%までまたはそれ以上の量で添加することができる。無機または有機の微球(マイクロスフィア)またはマイクロバルーンも、接着剤の密度およびコストの低減、ならびに自動車車体補修製品などの補修材料として使用する時のそのサンディング(研磨)または仕上げ特性の改善のために使用することができる。
【0081】
本発明の組成物の重合および硬化を引き起こすのに任意の数の入手可能な周知の触媒混合物を選択しうる。硬化系の各種成分を記述するのに用いられるある種の用語(触媒、開始剤、還元剤、活性化剤、促進剤)は、時に交換可能に使用され、従って下記で用いた用語は本技術分野における他の説明と異なるかもしれない。
【0082】
本発明のビニルモノマーの重合を開始させるための主要な触媒種はペルオキシド(過酸化物)またはヒドロペルオキシド開始剤である。例は、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジクミル、ターシャリーブチルペルオキシアセテート、過安息香酸ターシャリーブチルなどである。過酸化物系開始剤は、接着剤組成物の重量に基づいて0.01〜10重量%の範囲内の量で使用される。好ましくは、開始剤の使用量は0.05〜5重量%である。
【0083】
本発明の組成物を含めて、メタクリレート系接着剤組成物の早期重合を防止するために、1種または2種以上のラジカル重合禁止剤または酸化防止安定剤が処方組成物中に必要となることがある。この種の添加剤の選択および使用は当業者には周知である。組成物中に使用するメタクリレートモノマーは、貯蔵中におけるそれらの安定化のためにモノマーに添加された重合禁止剤、一般にはフェノール化合物、を含有している。この処方組成物中に使用されるポリマー類の多くは、加工および貯蔵中にポリマーを保護する熱安定剤を含んでいる。本発明の組成物中のポリエステル樹脂も重合禁止剤を含有する場合がある。
【0084】
最も一般的な禁止剤および安定剤は、フェノール類、キノン類およびそれらの誘導体であり、上記の原材料中に多くのものが交換可能に使用されうる。場合によっては、これらの原材料中に存在する禁止剤(重合禁止剤)だけで処方された接着剤組成物を安定化するのに十分である。別の場合には、安定性を確保するために追加の材料を添加する必要があるかもしれない。組成物の調製に選択しうる原材料(その場重合禁止剤を含む)が多様であり、選択しうる触媒系も多様であることから、完全な重合禁止剤パッケージの選択は一般に処方プロセスの最終段階で行われる。選択は本発明の範囲を越えて処方ごとに特異的であり、一般に当業者に任される専権事項である。
【0085】
ラジカル重合禁止剤または安定剤に加えて、メタクリレート系組成物をさらに安定化させるためにキレート剤を使用してもよい。キレート剤は反応性メタクリレート系組成物を不安定にすることがある痕跡量の金属不純物の掃去剤として使用される。この種の添加剤の使用と機能は米国特許第4,038,475号および第4,374,940号に開示されている。
【0086】
常温(周囲温度)または室温でのペルオキシドまたはヒドロペルオキシド開始剤の室温分解を誘起させるために還元剤を使用する。この目的のための最も一般的な還元剤は、当業者には周知であって、第三級芳香族アミンおよびアルデヒド−アミン反応生成物が含まれる。有用な第三級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロエチル)トルイジンおよび本技術分野で周知のこの目的に使用される他の類似の芳香族アミンが挙げられる。
【0087】
アルデヒド−アミン反応生成物としては、ブチルアルデヒド−アニリンおよびブチルアルデヒド−ブチルアミン誘導体のような材料が挙げられ、これらの有効成分は3モルのアルデヒドと1モルのアミンとの縮合により生成したジヒドロピリジン(DHP)である。より最近には、この組成物のDHP高濃度化バージョンも入手可能となった。このような材料の1例は、レイリー(Reilly)インダストリーズ社から入手できるReillcat ASY-2である。この触媒または開始剤系は、米国特許第3,890,407号および第4,182,644号に開示されているように、スルホニルクロリド化合物およびヒドロペルオキシドと組み合わせて使用されることが最も多い。還元剤は接着剤の重量に基づいて5重量%までの量で使用される。好ましい量は0.01〜5%である。
【0088】
ナフテン酸のコバルト、ニッケル、マンガンもしくは鉄塩、オクタン酸銅、銅アセチルアセトナート、ヘキサン酸鉄、もしくはプロピオン酸鉄などの有機金属化合物、ならびに他の周知の金属化合物を含む遷移金属塩は、本発明の重合性組成物に対して促進剤として作用する。促進剤の効果は系ごとに大きく違ってくるが、その使用量は1〜2重量%までであり、好ましくは1ppm〜0.5重量%の範囲内である。最も好ましい量は5ppmから0.5重量%である。金属促進剤は、主要な開始剤種としてのある種のペルオキシド開始剤と共に、或いは重合速度を改善するために第三級アミンまたはアミン−アルデヒド還元剤と組み合わせて使用してもよい。
【0089】
最も好ましいラジカル開始剤系は、(1)第三級アミンを過酸化ベンゾイルまたは他のペルオキシドに反応させるもの、(2)DHP誘導体を塩化スルホニル化合物およびヒドロペルオキシドもしくは別のペルオキシドに組み合わせたもの、あるいは(3)ナフテン酸コバルトのような有機金属化合物をヒドロペルオキシドと組み合わせたものを含み、これらの3種類の組み合わせはいずれも室温でラジカル効果プロセスを誘導することができる。アミンまたはアミン−アルデヒドと金属種との組み合わせも上記の系のいずれにも有利に使用することができる。ある特定の組成物に対する開始剤成分および禁止剤成分の厳密な選択と配分はその具体的な適用目的に依存し、当業者に周知の処方原理に従う。
【0090】
本発明の接着剤組成物は、ボイドを生じずに大型物体または厚い断面部において重合できること、ならびに特に大型部品もしくはアセンブリに伴う長いオープンワーキングタイム用途を持つように処方された時に、残留臭気を低く抑えて指触乾燥表面でまたは薄いフィルム状で硬化することができることを特徴とする。本組成物はまた、外部に露出した化粧表面上で好ましくないリードスルーまたはプリントスルーを示さずに、厚い接合部または比較的大きな物体において硬化することができる。
【0091】
それはさらに、改善された物理的性質および接着結合能を示す。このような改善点としては、引張り伸びを犠牲とせずにより高い引張り強度を達成できることと、接合前の表面調整の有無に関係なく、ある種の難接合複合材を含む多様な複合材料ならびに多様な他の材料の単独または組み合わせを接合することができることが挙げられる。
【0092】
本発明の組成物は、主に接着剤の性質を改善するために開発された。しかし、それにより判明した改善点により、これらの製品は、補修材料、コーティング、バルク注型品、および他の任意の接着剤を超えた用途に対しても、従来の同じクラスの製品より有用性が高まる。
【実施例】
【0093】
実施例で使用した材料および成分
商品名/表示名 説明または機能 供給源/業者
Neoprene ポリクロロプレンエラストマー DuPont Dow Elastomers
NipolTM ニトリルエラストマー Zeon Chemicals
MMA メチルメタクリレートモノマー Lucite
PARALOIDTM BTA 753 MBS耐衝撃性改良剤 Rohm & Haas Co.
MAA メタクリル酸モノマー Lucite
DMPT N,N−ジメチル−p−トルイジン First Chemical
HET ヒドロキシエチルトルイジン Bayer AG
55%BPOペースト 特殊可塑剤混合物中の過酸化 Elf Atochem
ベンゾイル(55%) Akzo Nobel
DerakaneTM ビニルエステル(VE)樹脂 Dow Chemical
VamacTM エチレンアクリルエラストマー duPont
LMA ラウリルメタクリレートモノマー Sartomer
TyrinTM 塩素化ポリエチレン duPont Dow Elastomers
HycarTM 反応性液状BD/ANポリマー Noveon, Inc.
KratonTM スチレン/ブタジエンブロックコポリマー Kraton Polymers
HyTempTM ポリアクリレートエラストマー Zeon Chemicals
HypalonTM クロロスルホン化ポリエチレン duPont Dow Elastomers
NOVA NAS-30 スチレンアクリルコポリマー NOVA Chemicals
ChemigumTM 架橋ニトリルゴム E liochem
HycarTM 液状ニトリルポリマー Noveon, Inc.
ReillcatTM ASY-2 ジヒドロピリジン誘導体 Reilly Industries, Inc.
LuperoxTM CU 90 クメンヒドロペルオキシド(CHP) Elf Atochem
MEKP メチルエチルケトンペルオキシド Norac
EDTA溶液 エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム Aldrich (Na4EDTA.H2O)
水和物の50%エタノール水中の5%溶液
ライトエステル 混合メタクリロイルオキシエチルリン酸エステル 共栄社化学
HP 1310 アクリルオリゴマー Hehr International Polymers。
【0094】
特に指示しない限り、実験用接着剤の調製には本技術分野で周知の技法を採用して下記の手順を用いた。
易溶性または易分散性のエラストマーおよび樹脂は、実験室用ロールミル(練りロール機)上でジャーまたは金属缶内のメチルメタクリレート(MMA)モノマー中に溶解させてストック溶液を形成した。ポリマーとモノマーの割合は、引き続いて行う処方用成分の添加と混合が可能な適度の作業粘度となるように選択した。MMA中15〜35重量%のポリマーという典型的な溶液濃度を選択して、約50,000〜500,000cpsの範囲内の最終溶液粘度を付与した。仕上がった接着剤をMMAモノマーで希釈することにより最終粘度を調整できるようにするために、ストック溶液は高めの濃度および粘度範囲内で調製することが一般に好ましい。ポリマーとモノマーは、全てのポリマーが溶解し、未溶解材料の固まりまたは粒子が存在しなくなるまでロール練りした。
【0095】
実験用接着剤は仕上がり接着剤が約100〜600グラムとなる範囲内の量でプラスチックビーカー内にて調製した。仕上がり接着剤中に所望の割合のエラストマーを与えるのに必要な十分な量のストック溶液または2種以上のストック溶液の混合物をビーカーに加えた。
【0096】
処方組成物に粉末状の耐衝撃性改良剤を添加する場合には、それをモノマー中ポリマー溶液に任意の他の非触媒液状成分と一緒に添加し、均一な時にぶつぶつのあるペースト状のコンシステンシー(稠度)が得られるまで、高剪断実験室用ミキサーで混合した。耐衝撃性改良剤は混合物中に溶解せず、むしろ膨潤して接着剤にゲル様のコンシステンシーを付与する。一般に、耐衝撃性改良剤が膨潤して混合物中に完全に分散するのに十分な程度まで軟化するのに2〜4時間かかる。この時点で、高剪断下で接着剤の2回目の混合を行うと、滑らかなペーストが生成する。2回目の混合の後、残りの成分を添加し、十分に混合して接着剤を得る。耐衝撃性改良剤を含有しない処方の接着剤は、ストックエラストマー溶液の混合物に残りの成分を直接添加し、十分に混合して仕上がり接着剤を生成させることにより調製した。
【0097】
最終粘度調整は、必要に応じて、粘度を下げるにはMMAモノマーを添加し、粘度を高めるにはヒュームドシリカまたは追加の耐衝撃性改良剤を添加することにより行った。
[接着剤評価試験および方法]
発熱時間及び温度の測定
ペルオキシド含有接着剤成分とアミン含有接着剤成分を各実施例における指定の割合で混合した。混合したサンプルを減圧デシケータで脱気して閉じ込められた空気を除去し、75oF±1oFに保持された、無通風の透明プラスチック製温度制御試験チャンバーに入れた。発熱記録計に取り付けられた熱電対ワイヤーを接着剤の固まりの中心部に挿入し、到達したピーク温度とこのピーク温度に到達するまでの時間とを記録した。
【0098】
型成形厚肉注型品の硬化特性
厚い接合部の硬化特性を模擬するため、矩形キャビティを生ずるように接着剤により接合した0.25インチ厚みのポリプロピレンシートから試験用のモールドを調製して、8インチ(20cm,長さ)×2インチ(5cn,幅)×1.5インチ(3.8cm,高さ)の寸法の試験用注型品を形成した。接着剤の固まり(比重に応じて約500〜600グラム)を上記のように混合および脱気し、スパチュラを用いて試験用モールドに移して、モールドを充填し、頂部の露出表面をモールドの頂部と同じ高さになるようにならした。接着剤の固まりを放置して硬化させ、硬化した注型品の外観および状態を観察して記録した。
【0099】
ガス発生または泡立ちにより生じたボイドの有無を記録した。1から4までの任意スケールを用いて処方をランク付けした。評点1は、注型品の内部や表面にガス発生または「泡立ち」が本質的にないことを意味し、評点4は、固まりの過大な「泡立ち」および固まりのガスの発泡および表面ボイドの生成を意味する。中間の評点は、硬化中の内部および表面ボイド生成の程度が高くなることを意味する。
【0100】
硬化の有効性を評価するため、注型品の表面および中心部(ビードの中点を通る垂直断面の中心で測定)の硬度を、ショアDデュロメーターを用いて測定した。
接着結合強度
開放金型成形ファイバーグラス強化ポリエステル試験クーポンで接着接合部を調製し、ASTM試験法D5868に従って試験し、結果を報告した。接合部はシム(スペーサ)により0.125インチ(3.2mm)の呼称厚みにした。ASTM D1002に従って0.010インチ(0.25mm)の接合部厚みを用いた金属接合部も試験した。
【0101】
重ね剪断結合強度の結果の報告では、全実施例を通して、下記の略号を対応する破壊モードに対して使用する:
AF:接着剤破損。接着剤が基体界面からきれいに剥がれる。
CF:凝集破壊。接着剤層内で破壊が起こり、各基体表面に接着剤の明確な層が残る。
TLCF:薄層凝集破壊。破壊は本質的に接着剤であるように見えるが、接着剤の大半は一方の表面上にあり、他方の表面には接着剤の薄い残渣が見られる。
FTまたはDL:複合体基体のファイバーの引き裂きまたは層間剥離
SF:複合体基体の接着剤接合腺での破断および分離、接合部の分離はない。
【0102】
バルク接着剤の引張り特性
接着剤のバルク応力−歪み特性をASTM試験法D638に従って測定した。試験片は、直径約6〜7インチ(15〜18cm)、厚さ約0.0625インチ(1.6mm)の均一に平たいフィルムを調製するのに十分な量の接着剤を混合することにより調製した。接着剤成分は指定された比率でビーカー内での単純な手での混合により混合した。接着剤を十分に混合した後、ビーカーを減圧チャンバーに入れ、最後の1〜2回の減圧の適用がそれ以上の起泡または発泡を生じなくなるまで減圧を間欠的に適用して空気を除去した。
【0103】
その後、直径約12インチ(30cm)の2枚のガラスまたはプラスチック板の上に同様のサイズのMylarTM離型フィルムの層を重ねたものの1枚に、接着剤を移した。接着剤を離型フィルムの中心に置き、もう一方のMylarフィルムと板を接着剤の上に乗せて、均一に上から押し付けて接着剤フィルムを広げた。板の周囲には金属製シムを配置して所望のフィルム厚みを確保した。
【0104】
フィルムが硬化した後、板を取り外した。フィルムから試験法に規定されたダンベル状試験片を、フィルムのボイドが最も少ない部分から試験片をとるように注意しながら、切り取った。ダンベル状試験片を切り取る前に、フィルムを室温で一晩硬化させ、その後に82℃で1時間の熱的な後硬化を行った。各試験の数値は5個の異なる試験片の平均値である。
【0105】
[実施例1〜2]
実施例1および2は、それぞれ発明例である実施例3〜7および8〜12に対する比較例である。これらは、ビニルエステル樹脂を添加せずにそれぞれの発明例の実施例を処方した場合には、開放金型成形FRP複合体を、普通の薄い接合断面(0.125インチ=3.2mm)の形態においても、有効に接合しても著しいガス発生および泡立ちを生ずることを例証するものである。
【0106】
【表1】

【0107】
[実施例3〜7]
実施例3〜7は、広範囲のエラストマー性ポリマーを含有するメタクリレート系処方の硬化性能の改善における好ましいビニルエステル樹脂の有効性を例証する。比較例である実施例1と異なり、本発明の組成物は厚い接合断面を模した厚肉注型ビードにおいても泡立ちやガス化による発泡や望ましくないボイドを生ずることがない。
【0108】
【表2】

【0109】
ニトリルエラストマーを含有する実施例3は、本シリーズの残りの実施例ほど有効には硬化しなかったことに注目すべきである。これは、製造業者から供給されたエラストマー中に採用されている酸化防止剤の種類及び/又は含有量の結果であると考えられる。明細書および以下の実施例に示すように、アミン系促進剤の種類または含有量あるいはBPOペーストの含有量の調整を用いて個々の組成物の硬化挙動に影響を及ぼすことができる。
【0110】
[実施例8〜12]
実施例8〜12は、本発明の組成物の硬化挙動の変更に利用するのに別の触媒系を効果的に使用できることを例証する。ビニルエステル樹脂と好ましいDCPD樹脂とを用いてこれらの実施例におけるこの効果を例証する。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例8および9は、他の変動因子が一定である場合に、硬化組成物の硬さにより測定される具体的組成物の完全硬化を促進するのにDMPTよりHETの方がBPOとの併用においてより有効となりうることを例証する。実施例10〜12は、好ましいビニルエステル樹脂と好ましいDCPD樹脂とを用いて、クロロスルホン化ポリエチレン/塩化スルホニル/DHP硬化系を使用した組成物の硬化挙動を非常に効果的かつ有益に変化させることができることを例証する。このような硬化系は非常に反応性が高く、非常に薄い接合部または小さな固まり以外の場合には、泡立ちおよびガス化に関して制御が困難であることは当業者にはよく知られている。
【0113】
[実施例13〜17]
実施例13〜17は、特定の組成的に一定のメタクリレート系組成物の硬化特性に及ぼす4種類の異なる好ましい改良剤樹脂の効果を、改良剤樹脂を含まない比較用の処方と対比して例証する。
【0114】
【表4】

【0115】
実施例14および15は、好ましいオルトフタル酸およびイソフタル酸樹脂が、ピーク発熱到達時間およびピーク発熱温度により測定して類似の反応性を与えることを例証する。実施例16および17は、オルトフタル酸およびイソフタル酸樹脂に対して、ピーク発熱到達時間およびピーク発熱温度により測定して、好ましいDCPD樹脂はずっと低い反応性を与え、そして好ましいビニルエステル樹脂はずっと高い反応性を与えることを例証している。明細書および他の実施例に示されるように、実施例16および17の反応性は開始剤および促進剤の量または種類の適当な変化により容易に調整できる。
【0116】
[実施例18〜19]
実施例18〜19は、組成物中に軟質(可撓性)ポリエステルベース樹脂を配合することによるリードスルーを生じないクラスAファイバーガラスのパネルを接合するための接着剤の処方を実証する。
【0117】
ファイバーガラスパネルへの金属ブラケットの接合を実証するために、1インチ(2.5cm)×4インチ(10cm)×0.062インチ(1.6mm)のアルミニウム帯状板を、20グラムの固まりの接着剤を用いて、クラスA化粧面(見せる面)を有する4インチ×4インチ×0.125インチ(3.2mm)のファイバーガラスパネルの粗面側に接合した。スペーサーを用いて、接合部の厚みを3/8インチ(9.6mm)にそろえた。接着剤をピーク発熱に達するまで放置して硬化サイクルを完了させた後、室温まで放冷した。結果は表5の最後に示す。
【0118】
【表5】

【0119】
比較例のプリントスルーは、当業者が従来より使用している簡便な目視法により観察された。接合したアセンブリ(集成体)を、その化粧面が蛍光灯のような強い光源に対して垂直になるように配置し、斜めから、ほとんど平行に近い角度で眺める。このような条件下で、プリントスルーの有無は容易に明らかとなる。
【0120】
[実施例20〜21]
実施例20は、厚いビード部では泡立ちを生じずにオープンタイムの長い接着剤を与え、薄いフィルム状では未反応モノマーから生ずる軟質化、粘着性、または長引く臭気を生じずに完全な硬化を与える、改善された処方を例示する。実施例20は、軟質ポリエステル樹脂を含有する本発明の組成物である。
【0121】
実施例21は、長いオープンタイムを付与するためにビニルトルエンを利用した比較例である。これらの例は、本発明の組成物が、厚い(1インチ、25mm)のビード状で適用した場合に泡立ちを示さず、しかも薄い(0.10インチ、2.5mm)フィルム状でも硬い状態に硬化することを例証している。比較例(遅い硬化用に処方)は、厚いビード状では泡立ちを示さないが、指触硬さ試験により例証されるように、薄いフィルム状では有効な硬化を生じない。重要な点は、発明例が比較例より著しく長いオープンワーキングタイムを有するにもかかわらず、より低いピーク発熱温度で完全に硬化することである。硬化が速めとなるように処方した場合には、発明例は泡立ちを生じないが、比較例では泡立ちを生ずる。
【0122】
実施例20Bと21Bとの比較は、ポリエステル樹脂を含有する本発明の組成物の引張り強度および伸びの著しい改善を例証する。
【0123】
【表6】

【0124】
20Aおよび21Aと表示した結果は、それぞれ処方組成物20および21を、5.6重量%の過酸化ベンゾイルを含有する別製の硬化用ペーストであるIPS Weld-OnTM SS 218 HVBと43:5の重量比で混合した場合に得られたものである。20Bおよび21Bの結果は、7.7%の過酸化ベンゾイルを含有する実験用の硬化用ペーストにより得られたものである。硬化状態の観察は、ピーク発熱に到達してから4時間後に行った。
【0125】
【表7】

【0126】
[実施例22]
実施例22はビニルエステル樹脂の添加により得られる高温での接着結合強度の改善を例証する。10%の好ましいビニルエステル樹脂を含有する実施例22Bは、追加の樹脂を含有しない比較用の実施例22Aに比べて、250oFでの接合強度が2倍以上高くなる。実施例22Bで示されたファイバー引き裂き結合破壊モードは、硬化した本発明の接着剤処方のより高い高温強度をさらに例証している。
【0127】
【表8】

【0128】
[実施例23]
実施例23は、観察されうるプリントスルーを生じずにファイバーガラスパネルを接合することができ、さらに表面調整していないアルミニウムを接合することができる本発明の組成物を例示する。表面調整されていないアルミニウムへの接着は、リン酸メタクリロイルオキシエチルエステルを添加することにより達成される。
【0129】
接着剤を13.5重量%のBPOを含有する別製ペーストであるWeld-On SS 605B活性化剤と8.3:1の重量比で混合した。プリントスルー試験は実施例18と同様に実施した。
【0130】
【表9】

【0131】
本発明を以上に好適態様に関して説明したが、上記説明は本発明の理解のために行ったものであり、本発明の範囲を逸脱せずに各種の変化および変更をなしうることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜75重量%、好ましくは10〜60重量%、最も好ましくは15〜50重量%の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーもしくはエラストマー、0.5〜35重量%、好ましくは1〜25重量%、最も好ましくは2〜20重量%の不飽和ポリエステル樹脂もしくはビニルエステル樹脂、ならびに20〜80重量%、好ましくは30〜80重量%、最も好ましくは40〜70重量%のアルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマーから構成される、大型アセンブリ用の重合性接着または充填用組成物。
【請求項2】
熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーが、コアシェル型ポリマーもしくは耐衝撃性改良剤、熱可塑性樹脂もしくは樹脂混合物、またはエラストマーもしくはエラストマー混合物とコアシェル型ポリマーもしくは耐衝撃性改良剤を含む、請求項1に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項3】
熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーもしくはエラストマーが、ニトリルエラストマー、液状ニトリルポリマー、クロロプレン、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、エピクロロヒドリン、アクリレートもしくはメタクリレートモノマーのポリマーもしくはコポリマー、塩素化ポリマーもしくはエラストマー、塩素化ポリエチレンもしくはエチレンコポリマー、クロロスルホン化ポリエチレンもしくはエチレンコポリマー、ならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1または2に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項4】
アルキルアクリレートもしくはメタクリレートモノマーが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキサメチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、またはこれらの混合物よりなる群から選ばれたC1〜C6アクリレートまたはメタクリレートモノマーを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項5】
熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーが、2種以上の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーのブレンド、2種以上のエラストマーのブレンド、または少なくとも1種のエラストマーと少なくとも1種の熱可塑性もしくは部分的熱可塑性ポリマーとのブレンド、あるいはこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項6】
コアシェル型ポリマーもしくは耐衝撃性改良剤がABS、MABS、MBSおよび/またはオールアクリルならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項2に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、アクリル、スチレン/アクリル、スチレン/アクリロニトリル、ABS、MABS、およびポリ塩化ビニルならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項8】
エラストマーもしくはエラストマー混合物が、可溶性もしくは軽架橋ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンポリマーもしくはコポリマー、スチレン−ブタジエンおよびスチレン−イソプレンポリマーおよびブロックコポリマー、アクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンの可溶性、軽架橋もしくは液状ポリマー、アクリル、エチレンアクリルエラストマー、ならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項2に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項9】
熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、アクリル、スチレン/アクリル、スチレン/アクリロニトリル、ABS、MABS、塩素化ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項10】
エラストマーもしくはエラストマー混合物が、可溶性もしくは軽架橋ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンポリマーもしくはコポリマー、スチレン−ブタジエンおよびスチレン−イソプレンポリマーおよびブロックコポリマー、アクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンの可溶性、軽架橋もしくは液状ポリマー、アクリル、エチレンアクリルエラストマー、ならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項2に記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項11】
不飽和ポリエステルもしくはビニルエステル樹脂が、不飽和オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ハロゲン化ポリエステル樹脂、ハロゲン化ビニルエステル樹脂、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1〜10のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項12】
0.01〜20重量%の重合性有機酸モノマーまたはオリゴマーをさらに含有し、重合性有機酸モノマーが好ましくはメタクリル酸もしくはアクリル酸もしくはその混合物を含むか、またはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの混合物から選択されるか、またはビニル置換リン酸エステルを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項13】
0.1〜10重量%の粘度調整剤をさらに含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項14】
触媒、開始剤、還元剤、活性化剤、および促進剤ならびにこれらの混合物よりなる群から選ばれた1種または2種以上の材料をさらに含有する、請求項1〜13のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項15】
クロロスルホン化ポリマー、有機スルホニルクロリドおよびジヒドロピリジン化合物から選ばれた成分をさらに含有する、請求項1〜14のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。
【請求項16】
ヒドロペルオキシド、ジケトンもしくは他のキレート化剤、有機金属塩、ならびに芳香族アミンから選ばれた成分をさらに含有する、請求項1〜15のいずれかに記載の重合性接着または充填用組成物。

【公表番号】特表2007−508445(P2007−508445A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535543(P2006−535543)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/032660
【国際公開番号】WO2005/040295
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504009491)アイピーエス・コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】IPS CORPORATION
【Fターム(参考)】