説明

大型映像表示装置

【課題】本発明は、設置後であっても各表示ユニットのアドレスを自動で設定することができる手段を備える大型映像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明では、少なくとも1つの映像表示装置1と、映像表示装置1を制御する制御装置2とを備え、マトリクス状に配置された表示ユニット10と、表示ユニット10の行毎に行アドレスを設定する行アドレス設定手段と、同行に位置し隣接する表示ユニット10の制御装置2間でアドレスデータを送受信することにより表示ユニット10の列アドレスを設定する列アドレス設定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型映像表示装置に係る発明であって、特に、表示ユニットがマトリクス状に配置された大型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外などに大型映像表示装置が設けられる場合がある。この大型映像表示装置は、少なくとも1つの映像表示装置を含む表示ユニットがマトリクス状に配列されることにより構成されている。そして、この大型映像表示装置に映像表示させるためには、表示ユニットのそれぞれに予めアドレスを設定しておき、当該アドレスが付された映像データを個々の表示ユニットが表示する必要があった。
【0003】
例えば、従来の大型映像表示装置として、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−316339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の大型映像表示装置では、個々の表示ユニットに予めアドレスが設定されているため、表示ユニットをマトリクス状に配置する際に、この設定したアドレス通りに配置する必要があり、設置作業の効率が低下する問題があった。また、個々の表示ユニットには行と列とを示すアドレスのみを設定するので、個々の表示ユニットが同じ表示列数を有している必要があった。
【0006】
個々の表示ユニットが同じ表示列数である場合、表示ユニットの大きさを変えることができないため大型映像表示装置のレイアウトに制限が課せられる問題があった。例えば、あるスペースに大型映像表示装置を設置する場合、表示ユニットの大きさが変更できないと、表示ユニットの大きさ以下の部分には表示ユニットを設置できず、映像を表示させることができない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、設置後であっても各表示ユニットのアドレスを自動で設定することができる手段を備える大型映像表示装置を提供することを目的とする。また、個々の表示ユニットの表示列数が異なる構成とすることが可能な大型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る解決手段は、少なくとも1つの映像表示装置と、映像表示装置を制御する制御装置とを備え、マトリクス状に配置された表示ユニットと、表示ユニットの行毎に行アドレスを設定する行アドレス設定手段と、同行に位置し隣接する表示ユニットの制御装置間でアドレスデータを送受信し、隣接する一方の前記表示ユニットの前記制御装置から受信したアドレスデータを当該表示ユニットの列アドレスとして設定し、受信したアドレスデータに”1”を追加して、隣接する他方の表示ユニットの制御装置に送信する列アドレス設定手段と、同行に位置し隣接する表示ユニットの制御装置間で、1つの表示ユニットの総表示ライン数を1つの映像表示装置の表示ライン数で除算した値について現在の表示ユニットまでの総和を取った値であるラインアドレスを送受信し、受信したラインアドレスに1つの映像表示装置の表示ライン数を掛けた値を、当該大型映像表示装置の1画面における表示ユニット各々の先頭に位置する表示ラインのアドレスである表示ユニットのスタートラインアドレスとして設定するスタートラインアドレス設定手段と、を備え、制御装置は、隣接する表示ユニットの制御装置から受信されるアドレスデータ及びラインアドレスの代わりに列アドレス及びスタートラインアドレスの設定に用いられる列アドレス及びラインアドレスを表示ユニットの単位で個別に設定可能な手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に記載の大型映像表示装置は、制御装置間でアドレスデータを送受信することにより表示ユニットの列アドレスを設定するので、大型映像表示装置を設置後に自動で行行のアドレスを設定することができ、設置効率等を大幅に改善することができる。また、制御装置が、アドレスデータ及びラインデータを個別に設定可能な手段を備えているので、障害物等が原因で自動アドレスデータの送受信が分断されている場合であっても、列アドレス及びスタートラインアドレスを自動で設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る大型映像表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る送信データのデータフォーマットを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る映像データのデータフォーマットを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る制御装置のブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る自動アドレスデータのデータフォーマットを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る自動アドレス処理のフローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る大型映像表示装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る自動アドレスデータのデータフォーマットを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る自動アドレス処理のフローを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る大型映像表示装置のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る制御装置のブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る自動アドレスデータのデータフォーマットを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る大型映像表示装置のブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る制御装置のブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る自動アドレスデータのデータフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係る大型映像表示装置のブロック図を示す。図1に示す大型映像表示装置では、少なくとも1台の映像表示装置1と、これらを制御する制御装置2とを備える表示ユニット10がマトリクス状に配置されている。なお、図1では、4行2列の表示ユニット10が図示されているが、本発明に係る大型映像表示装置はこれに制限されない。
【0012】
また、図1に示す表示ユニット10では、最下段に位置する表示ユニット10以外は3台の映像表示装置1が内蔵されており、1台の映像表示装置1が64ライン表示であるため、1つの表示ユニット10には192ライン表示することができる。なお、図1の最下段に位置する表示ユニット10には、2台の映像表示装置1が内蔵されており、当該表示ユニット10は128ライン表示することができる。
【0013】
図1に示す表示ユニット10には、映像表示装置1を制御するための制御装置2がそれぞれ設けられている。この制御装置2は、列毎に中継分配装置3と接続され、中継分配装置3には、メンテナンス装置4と映像信号供給装置5が接続されている。
【0014】
メンテナンス装置4は、図2に示すデータフォーマットの制御データ40を生成して、制御装置2を制御している。ここで、制御データ40には、宛先アドレス41と制御信号42とを含んでいる。そして、宛先アドレス41には、行アドレス43と列アドレス44と含まれ、制御信号42には、コマンド45、パラメータ46、パディング47が含まれている。コマンド45は、制御の種類を識別するための情報であり、パラメータ46は、コマンド45に関連する情報である。パディング47は、制御データ40の長さを調整するためのフィールドである。
【0015】
また、図3に、映像データ50のデータフォーマットを示す。映像データ50は、宛先アドレス51と映像信号52とを含み、宛先アドレス51は、行アドレス53と列アドレス54を含んでいる。映像信号供給装置5は、表示ユニット10の映像表示装置1に表示する映像信号52を生成している。そして、中継分配装置3では、映像信号供給装置5で生成された映像信号52に宛先アドレス51を付加して映像データ50として各表示ユニット10に伝送している。
【0016】
中継分配装置3から伝送される制御データ40及び映像データ50は、データ伝送ケーブル6を介して各表示ユニット10の制御装置2に伝送される。なお、中継分配装置3と映像信号供給装置5との間は、映像データ伝送ケーブル7で接続され、中継分配装置3とメンテナンス装置4との間は、制御データ伝送ケーブル8で接続されている。
【0017】
制御装置2では、伝送された制御データ40及び映像データ50から宛名アドレス412,51を読み出す。ここで、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、表示ユニット10のそれぞれに行アドレスと列アドレスが設定されている。例えば、図1に示す大型映像表示装置では、左側の列に図示されている表示ユニット10のそれぞれには、”2”の列アドレスが設定され、当該表示ユニット10の上段から順に”0”〜”3”の行アドレスが設定されている。
【0018】
そして、制御データ40及び映像データ50の宛名アドレス41,51には、図2及び図3で示すように行アドレス43,53と列アドレス44,54が格納されている。そのため、制御装置2で宛名アドレス41,51を読み出すことにより、どの表示ユニット10に伝送された制御データ40又は映像データ50なのかを判断することができる。つまり、表示ユニット10に設定されている行アドレス及び列アドレスと、伝送されてきた行アドレス43,53及び列アドレス44,54とが一致する場合に、制御データ40の制御信号42に基づき表示ユニット10を制御したり、映像データ50の映像信号52を映像表示装置1に表示したりする。
【0019】
上記で説明したように、個々の表示ユニット10には行アドレス及び列アドレスが設定されているが、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、この行アドレス及び列アドレスを予め設定しておく必要はなく、自動で設定することができる。具体的に説明すると、表示ユニット10の列アドレスは、中継分配装置3の同一ポートに接続される表示ユニット10に対して同じ列アドレスが設定される。つまり、同一のデータ伝送ケーブル6に繋がれた表示ユニット10には、中継分配装置3のポート毎に予め決められた列アドレスが設定される。なお、本実施の形態では、表示ユニット10(制御装置2),中継分配装置3及びデータ伝送ケーブル6が列アドレス設定手段を構成する。
【0020】
そして、表示ユニット10の行アドレスは、同列に位置し隣接する表示ユニット10の制御装置2間で自動アドレスデータを送受信することによりアドレスが設定される。本実施の形態では、表示ユニット10(制御装置2)及び自動アドレスケーブル9が行アドレス設定手段を構成する。そして、当該自動アドレスケーブル9を用いて、同列に位置し隣接する制御装置2の間で、自動アドレスデータの送受信を行っている。なお、本実施の形態では、制御装置2の間を有線の自動アドレスケーブル9で接続しているが、本発明はこれに限られず、赤外線等の無線により行っても良い。
【0021】
図1に示す大型映像表示装置では、左側の列に位置する最上段の表示ユニット10及び制御装置2を表示ユニット10a及び制御装置2aと表記し、下段に行くに従い表示ユニット10b及び制御装置2b,表示ユニット10c及び制御装置2c,表示ユニット10d及び制御装置2dと表記する。そして、制御装置2aと制御装置2bとを繋ぐ自動アドレスケーブル9を自動アドレスケーブル9aと表記し、以下自動アドレスケーブル9b,自動アドレスケーブル9cと表記する。
【0022】
次に、図4に、本実施の形態に係る制御装置2bのブロック図を示す。図4に示す制御装置2bには、マイクロコントローラ11が設けられており、このマイクロコントローラ11が映像表示装置1の制御、制御データ40及び映像データ50の処理等を行っている。さらに、マイクロコントローラ11は、自動アドレスケーブル9aから受信した自動アドレスデータに基づいて、表示ユニット10の行アドレスを設定した後、自動アドレスケーブル9bから更新した自動アドレスデータを送信する。
【0023】
図4に示す抵抗12は、自動アドレスデータを受信するための自動アドレスケーブル9が接続されていない場合に、マイクロコントローラ11への入力電圧レベルを確定するためのプルダウン抵抗である。
【0024】
次に、図5に、制御装置2の間で送受信される自動アドレスデータを示す。図5に示す自動アドレスデータは、スタートビット30(STA),行アドレス31(G0〜G7),パリティビット32(PRT),ストップビット33(STP)を含んでいる。ここで、スタートビット30は、自動アドレスデータの開始を示すスタートフラグであり、ストップビット33は、自動アドレスデータの終了を示すストップフラグである。また、パリティビット32は、行アドレス31のパリティである。以下、行アドレス31は、G[7..0]31とも表記される。なお、G[7..0]の[7..0]は、行アドレスが0ビットから7ビットの計8ビットから構成されていることを示す。また、図5のLSBは、least significant bitを、MSBは、most significant bitをそれぞれ表している。
【0025】
上記で示した自動アドレスデータを用いて、表示ユニット10の行アドレスが設定される動作について以下に説明する。まず、図6に、本実施の形態に係る大型映像表示装置で行われる自動アドレス処理のフロー図を示す。図6に示す自動アドレス処理開始(ステップ61)では、まず、メンテナンス装置4が自動アドレス処理開始のコマンド43を含む制御データ40を全ての制御装置2に伝送する。
【0026】
なお、コマンド45を制御装置2に伝送する場合、制御データ40の行アドレス43のビットを全て”1”に設定することで、同一列内全ての制御装置2に伝送できるブロードキャストを使用しても良い。また、制御データ40の列アドレス44のビットを全て”1”に設定することで、中継分配装置3における全てのポートに制御データ40を伝送できる。さらに、制御データ40の行アドレス43及び列アドレス44のビットを全て”1”に設定することで、全ての制御装置2に制御データ40を伝送することができる。これを利用して、全ての制御装置2に自動アドレス処理開始のコマンド45を伝送することができる。
【0027】
自動アドレス処理開始(ステップ61)では、次に、中継分配装置3のポート毎に設定された列アドレスが制御装置2に伝送され、同一列の表示ユニット10の列アドレスが設定される。なお、表示ユニット10の列アドレスは、制御装置2で保持される。
【0028】
自動アドレス処理開始(ステップ61)後にタイマセット(ステップ62)が行われる。本実施の形態に係る自動アドレス処理は、一定の期間経過後に処理を終了するように設定されているため、処理開始後にタイマをセットする必要がある。次に、タイムアウトの検出処理(ステップ63)では、タイマセット(ステップ62)により開始された処理時間が所定の時間を経過したか否かを判定している。
【0029】
タイムアウトの検出処理(ステップ63)でタイマが所定の時間を経過していない場合、自動アドレス入力値リード(ステップ64)の処理を行う。自動アドレス入力値リード(ステップ64)では、受信した自動アドレスデータから行アドレス31(G[7..0]31)を読み出している。なお、図1に示す制御装置2aのように、受信側に他に制御装置2がない場合は、G[7..0]31が”[00000000]”であるとして処理される。ここで、G[7..0]31は、”[00000000]”と表記されているが、以下、同様の表記については簡易的に”0”と十進数表記する場合もある。
【0030】
具体的には、入力値のレベル判定(ステップ65)で読み出されたG[7..0]31が全てLowレベルの場合、又は自動アドレスデータが受信できずG[7..0]31が読み出されなかった場合、ステップ66の処理が行われG[7..0]31=”0”と設定される。
【0031】
ステップ65で、自動アドレスデータが受信できG[7..0]31が全てLowレベルでないと判断された場合は、ステップ67においてG[7..0]31=G[7..0]31+”1”の処理が行われ、G[7..0]31が更新される。さらに、更新されたG[7..0]31を含む自動アドレスデータを下段に位置する制御装置2に送信する。
【0032】
ステップ64〜ステップ67の処理を繰り返し行った後、タイムアウトの検出処理(ステップ63)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ68で各制御装置2において読み出したG[7..0]31の値を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。ステップ68の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ69)する。
【0033】
上記のステップ61〜ステップ69までの処理により、同一列に位置する表示ユニット10の制御装置2に行アドレスを設定することができる。つまり、ステップ61〜ステップ69までの処理では、受信したG[7..0]31を自制御装置2の行アドレスとして設定し、受信したG[7..0]31に”1”加えて更新したG[7..0]31を下段の制御装置2に送信することで、全ての制御装置2に自動的に行アドレスを設定している。
【0034】
図1に基づいて説明すると、まず、最上段の制御装置2aは、自動アドレスデータが受信されないので、ステップ66の処理によりG[7..0]31は”0”となり、制御装置2aに設定される行アドレスは0となる。なお、制御装置2aの列アドレスは”2”であるため、制御装置2aのアドレスは[行,列]=[0,2]となる。次に、制御装置2aは、G[7..0]31に”1”を加え更新したG[7..0]31=”1”を含む自動アドレスデータを制御装置2bに送信する(ステップ67)。
【0035】
制御装置2bは、受信した自動アドレスデータからG[7..0]31=”1”を読み出し(ステップ64)、制御装置2bの行アドレスを1に設定する(ステップ68)。なお、制御装置2bのアドレスは[行,列]=[1,2]となる。そして、制御装置2bは、G[7..0]31に”1”を加え更新したG[7..0]31=”2”を含む自動アドレスデータを制御装置2cに送信する(ステップ67)。
【0036】
制御装置2c、制御装置2dにおいても同様の処理がなされ、制御装置2cのアドレスは[行,列]=[2,2]、制御装置2dのアドレスは[行,列]=[3,2]と設定される。上記の処理を行うことで、表示ユニット10(制御装置2)のそれぞれに行アドレス及び列アドレスを自動で設定することができる。
【0037】
表示ユニット10のそれぞれに行アドレスが設定されれば、1つの表示ユニット10に表示される表示ライン数が固定されているので、各表示ユニット10のスタートラインアドレスは、行アドレスに表示ライン数を掛けた値とすることができる。ここで、表示ユニット10のスタートラインアドレスとは、大型映像表示装置の1画面とした場合の各表示ユニット10の先頭に位置する表示ラインのアドレスをいう。
【0038】
具体的に、図1では、表示ユニット10aのスタートラインアドレスは”0”、表示ユニット10bのスタートラインアドレスは”192”、表示ユニット10cのスタートラインアドレスは”384”、表示ユニット10dのスタートラインアドレスは”576”に設定されている。例えば、表示ユニット10cは、表示ライン数が”192”で、行アドレスが”3”であるため、スタートラインアドレスが3×192=”384”となる。
【0039】
なお、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、最下段の表示ユニット10dについては、表示ライン数を他の表示ユニット10a,10b,10cと異なるように設定することが可能である。これは、最下段の表示ユニット10dより下段には、スタートラインアドレスを設定する必要がないためである。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、隣接する一方の表示ユニット10の制御装置2から受信した自動アドレスデータを当該表示ユニット10の行アドレスとして設定し、制御装置2において受信した自動アドレスデータに”1”を追加して、隣接する他方の表示ユニット10の制御装置2に送信することで同列に位置し隣接する表示ユニット10の行アドレスを自動で設定しているので、予め行アドレスを設定しておく必要はなく、表示ユニット10の設置の手間を大幅に減らすことが可能となる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態1では、各制御装置2が制御する表示ライン数が固定の場合について述べた(但し、例外的に最下段の表示ユニット10については、表示ライン数は他の表示ユニット10と異なっても良い。)。
【0042】
しかし、設置する場所などの条件によっては、大型映像表示装置の中段に位置する表示ユニット10についても、他の表示ユニット10の表示ライン数と異なるように構成する必要がある。この場合に、各表示ユニット10のスタートラインアドレスは、行アドレスから自動的に導き出すことができなくなる。
【0043】
そこで、本実施の形態では、自動アドレスデータにG[7..0]31とともにラインアドレス34を設け、制御装置2間で送受信することで各表示ユニット10のスタートラインアドレスを設定する。なお、以下、ラインアドレス34は、L[7..0]34とも表記される。自動アドレスデータによって、各表示ユニット10のスタートラインアドレスを設定することで、制限がなくなり各表示ユニット10の表示ライン数を可変にすることが可能となる。
【0044】
図7に、本実施の形態に係る大型映像表示装置のブロック図を示す。図7に示す大型映像表示装置では、少なくとも1台の映像表示装置1とこれらを制御する制御装置2とを備える表示ユニット10がマトリクス状に配置されている。なお、図7でも、4行2列の表示ユニット10が図示されているが、本発明に係る大型映像表示装置はこれに制限されない。
【0045】
図7に示す表示ユニット10では、2段の表示ユニット10bに2台の映像表示装置1が内蔵されている以外は、表示ユニット10a,10c,10dには3台の映像表示装置1がそれぞれ内蔵されている。ここで、1台の映像表示装置1には64ライン表示でき、そのため、表示ユニット10a,10c,10dは192ライン表示、表示ユニット10bは128ライン表示することができる。
【0046】
図7に示す表示ユニット10には、映像表示装置1を制御するための制御装置2がそれぞれ設けられている。なお、実施の形態1と同様に、表示ユニット10aに設けられている制御装置2を制御装置2aと表記し、同様に表示ユニット10bの制御装置2b、表示ユニット10cの制御装置2c、表示ユニット10dの制御装置2dと表記する。
【0047】
これらの制御装置2は、列毎に中継分配装置3と接続され、中継分配装置3には、メンテナンス装置4と映像信号供給装置5が接続されている。メンテナンス装置4は、実施の形態1と同様、図2に示すデータフォーマットの制御データ40を生成して、制御装置2を制御している。また、映像信号供給装置5は、表示ユニット10の映像表示装置1に表示する映像信号52を生成している。中継分配装置3から伝送された制御データ40及び映像データ50は、データ伝送ケーブル6を介して各表示ユニット10の制御装置2に伝送される。
【0048】
上記で説明したように、本実施の形態では、制御装置2間で自動アドレスデータを送受信することで、各表示ユニット10の行アドレス及びスタートラインアドレスを設定している。本実施の形態に係る大型映像表示装置では、同列に位置し隣接する制御装置2の間に自動アドレスケーブル9が設けられ、この自動アドレスケーブル9を用いて自動アドレスデータが送受信される。
【0049】
次に、図8に、制御装置2の間で送受信される自動アドレスデータを示す。図8に示す自動アドレスデータは、スタートビット30(STA),行アドレス31(G0〜G7),ラインアドレス34(L0〜L7),パリティビット32(PRT),ストップビット33(STP)を含んでいる。ここで、スタートビット30,行アドレス31,パリティビット32,ストップビット33は、実施の形態1と同じである。ラインアドレス34は、0ビットから7ビットの計8ビットから構成されている。以下、ラインアドレス34は、L[7..0]34とも表記される。
【0050】
上記で示した自動アドレスデータを用いて、表示ユニット10の行アドレス及びスタートラインアドレスを設定する動作について以下に説明する。まず、図9に、本実施の形態に係る大型映像表示装置で行われる自動アドレス処理のフロー図を示す。図9に示す自動アドレス処理開始(ステップ71)では、まず、メンテナンス装置4が自動アドレス処理開始のコマンド45を含む制御データ40を全ての制御装置2に伝送する。
【0051】
自動アドレス処理開始(ステップ71)では、次に、中継分配装置3の各ポートに設定された列アドレスが制御装置2に伝送され、同一列の表示ユニット10の列アドレスが設定される。なお、表示ユニット10の列アドレスは、制御装置2で保持される。
【0052】
自動アドレス処理開始(ステップ71)後にタイマセット(ステップ72)が行われる。本実施の形態に係る自動アドレス処理は、一定の期間経過後に処理を終了するように設定されているため、処理開始後にタイマをセットする必要がある。次に、タイムアウトの検出処理(ステップ73)では、タイマセット(ステップ72)により開始された処理時間が所定の時間を経過したか否かを判定している。
【0053】
タイムアウトの検出処理(ステップ73)でタイマが所定の時間を経過していない場合、自動アドレス入力値リード(ステップ74)の処理を行う。自動アドレス入力値リード(ステップ74)では、受信した自動アドレスデータから行アドレス31(G[7..0]31)とラインアドレス34(L[7..0]34)を読み出している。本実施の形態では、L[7..0]34として送受信される値は、本来のスタートラインアドレスを映像表示装置1の表示ライン数である64で除算した値である、例えば、本来のスタートラインアドレスが”192”の場合、L[7..0]34は192÷64=”3”と表記される。
【0054】
なお、図7に示す制御装置2aのように、受信側に他に制御装置2がない場合は、G[7..0]31及びL[7..0]34が”[00000000]”であるとして受信処理される。ここで、G[7..0]31及びL[7..0]34は、”[00000000]”と表記されているが、以下、同様の表記については簡易的に”0”と十進数表記する場合もある。
【0055】
具体的には、入力値のレベル判定(ステップ75)で読み出されたG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルの場合、又は自動アドレスデータが受信できずG[7..0]31及びL[7..0]34が読み出されなかった場合、ステップ76の処理が行われG[7..0]31=”0”及びL[7..0]34=”0”と設定される。
【0056】
ステップ75で、自動アドレスデータが受信できG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルでないと判断された場合は、ステップ77においてG[7..0]31=G[7..0]31+”1”の処理とL[7..0]34の更新が行われる。
【0057】
L[7..0]34の更新は、受信したL[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数を64で除算した値が追加される。自表示ユニット10の表示ライン数をLINと表記すると、更新したL[7..0]34は、L[7..0]34=L[7..0]34+LIN/64となる。ここで、自表示ユニット10の表示ライン数LINは、制御装置2内のメモリに予め保持されデータを読み出して使用される。更新されたG[7..0]31及びL[7..0]34を含む自動アドレスデータは、下段に位置する制御装置2に送信される。
【0058】
ステップ74〜ステップ77の処理を繰り返し行った後、タイムアウトの検出処理(ステップ73)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ78で各制御装置2において読み出したG[7..0]31を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。そして、各制御装置2で読み出したL[7..0]34に64を掛けた値を、自表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定する。ステップ78の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ79)する。上記のステップ71〜ステップ79までの処理により、同一列に位置する表示ユニット10の制御装置2に行アドレス及びスタートラインアドレスを設定することができる。
【0059】
図7に基づいて説明すると、まず、最上段の制御装置2aは、自動アドレスデータが受信されないので、G[7..0]31及びL[7..0]34はともに”0”となり、制御装置2aに設定される行アドレス及びスタートラインアドレスは”0”となる(ステップ76)。なお、制御装置2aの列アドレスは”2”であるため、制御装置2aのアドレスは[行,列]=[0,2]となる。次に、制御装置2aは、G[7..0]31に”1”を加えたG[7..0]31=”1”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2bに送信する。
【0060】
そして、制御装置2aは、L[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数LIN=”192”を64で除算した”3”を加えたL[7..0]34=”3”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2bに送信する。なお、自表示ユニット10の表示ライン数LIN=”192”は制御装置2aのメモリに予め保持されている。
【0061】
制御装置2bは、受信した自動アドレスデータからG[7..0]31=”1”を読み出し(ステップ74)、制御装置2bの行アドレスを”1”に設定する(ステップ78)。なお、制御装置2bのアドレスは[行,列]=[1,2]となる。そして、制御装置2bは、受信した自動アドレスデータからL[7..0]34=”3”を読み出し(ステップ74)、L[7..0]34=”3”に64を掛けた”192”を制御装置2bのスタートラインアドレスとして設定する(ステップ78)。
【0062】
制御装置2bは、G[7..0]31に”1”を加えたG[7..0]31=”2”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2cに送信する(ステップ77)。また、制御装置2bは、L[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数LIN=”128”を64で除算した”2”を加えたL[7..0]34=”5”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2cに送信する(ステップ77)。
【0063】
制御装置2c、制御装置2dにおいても同様の処理がなされ、制御装置2cのアドレスは[行,列]=[2,2],スタートラインアドレスは”320”、制御装置2dのアドレスは[行,列]=[3,2],スタートラインアドレスは”512”と設定される。上記の処理を行うことで、表示ユニット10(制御装置2)のそれぞれに行アドレス,列アドレス及びスタートラインアドレスを自動で設定することができる。
【0064】
なお、本実施の形態に係る制御装置2では、メモリ内に表示ユニット10の表示ライン数LINを保持しているが、本発明では、メモリ内に保持するデータは表示ライン数LINに限られず、表示ユニット10に内蔵している映像表示装置1の数であっても良い。但し、制御装置2のメモリ内に映像表示装置1の数を保持する場合は、ステップ77において映像表示装置1の数を64で除算する必要はなく、L[7..0]34に加えるだけで良い。
【0065】
以上のように、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、制御装置2間でラインデータ34を送受信し、上段に隣接する表示ユニット10の制御装置2から受信したラインデータ34を表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定し、受信したラインデータ34に当該表示ユニット10の表示ライン数を追加して、下段に隣接する表示ユニット10の制御装置2に送信するので、行アドレス,列アドレス及びスタートラインアドレスを自動で設定することができ、表示ユニット10の表示ライン数を可変にすることができる。
【0066】
(実施の形態3)
実施の形態1又は実施の形態2では、列方向の表示ユニット10に内蔵される制御装置2の全てが自動アドレスケーブル9で接続されている構成であった。しかし、大型映像表示装置を設置する場所によっては、大型映像表示装置の中央部に大きな障害物があり、当該障害物を挟む表示ユニットに内蔵される制御装置間を自動アドレスケーブルで接続できない場合があった。そこで、本実施の形態では、障害物等により全ての制御装置が自動アドレスケーブルで接続できない場合であっても、行アドレス,列アドレス及びスタートラインアドレスを自動で設定することができる大型映像表示装置を提供する。
【0067】
図10に、本実施の形態に係る大型映像表示装置のブロック図を示す。図10に示す大型映像表示装置は、基本的に実施の形態2で示した図7と同じ構成であるが、表示ユニット10bと表示ユニット10cとの間に障害物56があり、自動アドレスケーブル9bで接続できない点が異なる。さらに、図10に示す大型映像表示装置では、上段の表示ユニット10a,10bと下段の表示ユニット10c,10dとで別々の中央分配装置3に接続される構成である。
【0068】
図10に示す大型映像表示装置では、表示ユニット10bと表示ユニット10cとの間で自動アドレスデータを送受信することができないため、G[7..0]31やL[7..0]34の情報を引き継ぐことができない。そこで、本実施の形態では、制御装置2にG[7..0]31及びL[7..0]34を個別に設定できるスイッチが設けられている。これにより、G[7..0]31やL[7..0]34の情報を引き継ぐことができない制御装置2に、予めG[7..0]31及びL[7..0]34を設定することができる。
【0069】
図11に、本実施の形態に係る制御装置2のブロック図を示す。図11に示す制御装置2は、実施の形態1で示した図4の制御装置2と基本的に同じ構成であるが、G[7..0]31を設定するためのロータリースイッチ21,22とL[7..0]34を設定するためのロータリースイッチ23,24とが設けられている点が異なる。なお、ロータリースイッチ21,23はG[7..0]31及びL[7..0]34のそれぞれの上位4ビットを設定し、ロータリースイッチ22,24はG[7..0]31及びL[7..0]34のそれぞれの下位4ビットを設定する。
【0070】
図11に示す制御装置2では、外部に設定装置27が図示されている。この設定装置27は、ロータリースイッチ21,22,23,24に代えて、G[7..0]31及びL[7..0]34を設定する装置である。この設定装置27が直接マイクロコントローラ11に接続されることにより、G[7..0]31及びL[7..0]34を設定することができる。
【0071】
図11に示す制御装置2を用いて、表示ユニット10の行アドレス及びスタートラインアドレスが設定される動作について以下に説明する。まず、図12に、本実施の形態に係る大型映像表示装置で行われる自動アドレス処理のフロー図を示す。図12に示す自動アドレス処理開始(ステップ81)では、まず、メンテナンス装置4が自動アドレス処理開始のコマンド45を含む制御データ40を全ての制御装置2に伝送する。
【0072】
自動アドレス処理開始(ステップ81)では、次に、それぞれの中継分配装置3の各ポートに予め設定された列アドレスが制御装置2に伝送され、同一列の表示ユニット10の列アドレスが設定される。なお、表示ユニット10の列アドレスは、制御装置2で保持される。
【0073】
自動アドレス処理開始(ステップ81)後にタイマセット(ステップ82)が行われる。本実施の形態に係る自動アドレス処理は、一定の期間経過後に処理を終了するように設定されているため、処理開始後にタイマをセットする必要がある。次に、ステップ90で制御装置2にL[7..0]34が設定されているか否かの判断を行う。図10に示す大型映像表示装置の例では、表示ユニット10aにはL[7..0]34は設定されていないが、障害物56直下の表示ユニット10cにはL[7..0]34が設定されている。
【0074】
そのため、表示ユニット10aの場合は、ステップ83に進み、表示ユニット10cの場合は、ステップ93に進む。ステップ83及びステップ93はともにタイムアウトの検出処理であり、タイマセット(ステップ82)により開始された処理時間が所定の時間を経過したか否かを判定している。
【0075】
L[7..0]34が設定されておらず、タイムアウトの検出処理(ステップ83)でタイマが所定の時間を経過していない場合、自動アドレス入力値リード(ステップ84)の処理を行う。自動アドレス入力値リード(ステップ84)では、受信した自動アドレスデータから行アドレス31(G[7..0]31)とラインアドレス34(L[7..0]34)を読み出している。本実施の形態では、L[7..0]34として送受信される値は、本来のスタートラインアドレスを映像表示装置1の表示ライン数である64で除算した値である。なお、図10に示す制御装置2aのように、受信側に他に制御装置2がない場合は、G[7..0]31及びL[7..0]34が”0”であるとして受信処理される。
【0076】
具体的には、入力値のレベル判定(ステップ85)で読み出されたG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルの場合、又は自動アドレスデータが受信できずG[7..0]31及びL[7..0]34が読み出されなかった場合、ステップ86の処理が行われG[7..0]31=”0”及びL[7..0]34=”0”と設定される。
【0077】
ステップ85で、自動アドレスデータが受信できG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルでないと判断された場合は、ステップ87においてG[7..0]31=G[7..0]31+”1”の処理とL[7..0]34の更新が行われる。
【0078】
L[7..0]34の更新は、受信したL[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数を64で除算した値が追加される。更新したL[7..0]34は、L[7..0]34=L[7..0]34+LIN/64となる。ここで、自表示ユニット10の表示ライン数LINは、制御装置2内のメモリに予め保持されデータを読み出して使用される。更新されたG[7..0]31及びL[7..0]34を含む自動アドレスデータは、下段に位置する制御装置2に送信される。
【0079】
ステップ84〜ステップ87の処理を繰り返し行った後、タイムアウトの検出処理(ステップ83)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ88で各制御装置2において読み出したG[7..0]31を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。そして、各制御装置2で読み出したL[7..0]34に64を掛けた値を、自表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定する。ステップ88の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ89)する。
【0080】
一方、L[7..0]34が設定されており、タイムアウトの検出処理(ステップ93)でタイマが所定の時間を経過していない場合、ステップ97の処理を行う。ステップ97では、制御装置2に設定されているG[7..0]31に”1”を追加する処理とL[7..0]34の更新が行われる。
【0081】
L[7..0]34の更新は、制御装置2に設定されているL[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数LINを64で除算した値が追加される。つまり、更新したL[7..0]34は、L[7..0]34=L[7..0]34+LIN/64となる。更新されたG[7..0]31及びL[7..0]34を含む自動アドレスデータは、下段に位置する制御装置2に送信される。
【0082】
タイムアウトの検出処理(ステップ93)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ98において、制御装置2に設定されたG[7..0]31を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。そして、制御装置2に設定されたL[7..0]34に64を掛けた値を、自表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定する。ステップ98の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ99)する。上記のステップ81〜ステップ99までの処理により、障害物等が原因で自動アドレスデータの送受信が分断されている場合でも、同一列に位置する表示ユニット10の制御装置2に行アドレス及びスタートラインアドレスを設定することができる。
【0083】
図10に示す表示ユニット10cに基づいてステップ90〜ステップ99について説明する。まず、制御装置2cには、予めG[7..0]31=”2”及びL[7..0]34=”5”が設定されているので、制御装置2cのアドレスは[行,列]=[2,2]となり、スタートラインアドレスはL[7..0]34に64掛けた”320”となる。
【0084】
そして、制御装置2cは、G[7..0]31に”1”を加えたG[7..0]31=”3”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2dに送信する。また、制御装置2cは、L[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数LIN=”192”を64で除算した”3”を加えたL[7..0]34=”8”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2dに送信する。
【0085】
以上のように、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、制御装置2が、G[7..0]31(アドレスデータ)及びL[7..0]34(ラインデータ)を個別に設定可能な手段を備えているので、障害物等が原因で自動アドレスデータの送受信が分断されている場合であっても、行アドレス,列アドレス及びスタートラインアドレスを自動で設定することができる。
【0086】
(実施の形態4)
実施の形態1又は実施の形態2では、表示ユニット10を隙間なくタイリングすることで、大型映像表示装置を構成している。しかし、近年、大型映像表示装置を利用した多彩なディスプレイが考えられ、例えば、大型映像表示装置の映像とポスターや壁面の模様とを組み合わせて1つのディスプレイとして構成する場合などがある。この場合、大型映像表示装置には、ポスターや壁面の模様の部分に映像表示装置1を設けない非表示部分を構成する必要がある。
【0087】
但し、大型映像表示装置では、映像表示装置1を設けない非表示部分にも仮想的に表示ラインを割り当てる。これにより、大型映像表示装置に表示する映像を作成する際に、ポスターや壁面の模様を取り込んで作成することが可能となるメリットである。また、当該作成した映像を直接、大型映像表示装置に送信して表示させることができるメリットがあるからである。
【0088】
そこで、本実施の形態では、表示領域中に非表示部分があり、且つ、当該非表示部分に表示ラインを割り当てられている大型映像表示装置を提供する。
【0089】
図13に、本実施の形態に係る大型映像表示装置のブロック図を示す。図13に示す大型映像表示装置は、基本的に実施の形態2で示した図7と同じ構成であるが、表示ユニット10aの構成が異なる。
【0090】
図13に示す表示ユニット10aは、1台の映像表示装置1と、制御装置2aで構成されている。しかし、表示ユニット10aと表示ユニット10bとの間には、映像表示装置1の2台分の非表示部分58が設けられており、この非表示部分58にも表示ラインが割り当てられている。そのため、表示ユニット10bのスタートラインアドレスは、”64”ではなく”192”となる。
【0091】
しかし、制御装置2aが、実施の形態2で説明した方法で自動アドレスデータを送信すると、自動アドレスデータに含まれるL[7..0]34は”1”となり、表示ユニット10bのスタートラインアドレスが”64”と設定されることになる。L[7..0]34=”1”となるのは、L[7..0]34=”0”に、表示ユニット10aの表示ライン数LIN=”64”を64で除算した”1”を加える処理が行われるためである。
【0092】
そこで、本実施の形態では、表示ユニット10に非表示部分58が存在する場合、非表示部分58を含めた表示ライン数を仮想ライン数として、制御装置2に予め設定できるように構成している。つまり、制御装置2aでは、映像表示装置1の表示ライン数”64”と非表示部分58のライン数”128”との計192を仮想ライン数として予め設定されている。なお、本実施の形態に係る制御装置2では、仮想ライン数を64で除算した値が予め設定されることになる。
【0093】
図14に、本実施の形態に係る制御装置2のブロック図を示す。図14に示す制御装置2は、実施の形態3で示した図11の制御装置2と基本的に同じ構成であるが、仮想ライン数を設定するためのロータリースイッチ25,26とが設けられている点が異なる。なお、ロータリースイッチ25は、仮想ライン数の上位4ビットを設定し、ロータリースイッチ26は、仮想ライン数の下位4ビットを設定する。
【0094】
図14に示す制御装置2では、外部に設定装置27が図示されている。この設定装置27は、ロータリースイッチ21〜26に代えて、G[7..0]31,L[7..0]34及び仮想ライン数を設定する装置である。この設定装置27が直接マイクロコントローラ11に接続されることにより、G[7..0]31,L[7..0]34及び仮想ライン数を設定できる。
【0095】
図14に示す制御装置2を用いて、表示ユニット10の行アドレス及びスタートラインアドレスが設定される動作について以下に説明する。まず、図15に、本実施の形態に係る大型映像表示装置で行われる自動アドレス処理のフロー図を示す。図15に示す自動アドレス処理開始(ステップ101)では、まず、メンテナンス装置4が自動アドレス処理開始のコマンド45を含む制御データ40を全ての制御装置2に伝送する。
【0096】
自動アドレス処理開始(ステップ101)では、次に、中継分配装置3の各ポートに予め設定された列アドレスが制御装置2に伝送され、同一列の表示ユニット10の列アドレスが設定される。なお、表示ユニット10の列アドレスは、制御装置2で保持される。
【0097】
自動アドレス処理開始(ステップ101)後にタイマセット(ステップ102)が行われる。本実施の形態に係る自動アドレス処理は、一定の期間経過後に処理を終了するように設定されているため、処理開始後にタイマをセットする必要がある。次に、ステップ110で制御装置2に仮想ライン数が設定されているか否かの判断を行う。図13に示す大型映像表示装置の例では、表示ユニット10aには仮想ライン数が設定されているが、他の表示ユニット10b,10c,10dには仮想ライン数は設定されていない。
【0098】
そのため、表示ユニット10b,10c,10dの場合は、ステップ103に進み、表示ユニット10aの場合は、ステップ113に進む。ステップ103及びステップ113は、ともにタイムアウトの検出処理であり、タイマセット(ステップ102)により開始された処理時間が所定の時間を経過したか否かを判定している。
【0099】
仮想ライン数が設定されておらず、タイムアウトの検出処理(ステップ103)でタイマが所定の時間を経過していない場合、自動アドレス入力値リード(ステップ104)の処理を行う。自動アドレス入力値リード(ステップ104)では、受信した自動アドレスデータから行アドレス31(G[7..0]31)とラインアドレス34(L[7..0]34)を読み出している。本実施の形態では、L[7..0]34として送受信される値は、本来のスタートラインアドレスを映像表示装置1の表示ライン数である64で除算した値である。なお、図13に示す制御装置2aのように、受信側に他に制御装置2がない場合は、G[7..0]31及びL[7..0]34が”0”であるとして受信処理される。
【0100】
具体的には、入力値のレベル判定(ステップ105)で読み出されたG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルの場合、又は自動アドレスデータが受信できずG[7..0]31及びL[7..0]34が読み出されなかった場合、ステップ106の処理が行われG[7..0]31=”0”及びL[7..0]34=”0”と設定される。
【0101】
ステップ105で、自動アドレスデータが受信できG[7..0]31及びL[7..0]34が全てLowレベルでないと判断された場合は、ステップ107においてG[7..0]31=G[7..0]31+”1”の処理とL[7..0]34の更新が行われる。
【0102】
L[7..0]34の更新は、受信したL[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数を64で除算した値が追加される。更新したL[7..0]34は、L[7..0]34=L[7..0]34+LIN/64となる。ここで、自表示ユニット10の表示ライン数LINは、制御装置2内のメモリに予め保持されデータを読み出して使用される。更新されたG[7..0]31及びL[7..0]34を含む自動アドレスデータは、下段に位置する制御装置2に送信される。
【0103】
ステップ104〜ステップ107の処理を繰り返し行った後、タイムアウトの検出処理(ステップ103)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ108で各制御装置2において読み出したG[7..0]31を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。そして、各制御装置2で読み出したL[7..0]34に64を掛けた値を、自表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定する。ステップ108の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ109)する。
【0104】
一方、仮想ライン数が設定されており、タイムアウトの検出処理(ステップ113)でタイマが所定の時間を経過していない場合、ステップ117の処理を行う。ステップ117では、制御装置2に設定されているG[7..0]31に”1”を追加する処理とL[7..0]34の更新が行われる。
【0105】
L[7..0]34の更新は、制御装置2で設定又は受信したL[7..0]34に自表示ユニット10の表示ライン数LINに代えて仮想ライン数を64で除算した値が追加される。つまり、更新したL[7..0]34は、L[7..0]34=L[7..0]34+仮想ライン数/64となる。更新されたG[7..0]31及びL[7..0]34を含む自動アドレスデータは、下段に位置する制御装置2に送信される。
【0106】
タイムアウトの検出処理(ステップ113)で所定の時間経過したと判断された場合、ステップ118に制御装置2設定されたG[7..0]31を表示ユニット10の行アドレスとして設定する。そして、制御装置2で設定又は受信したL[7..0]34に64を掛けた値を、自表示ユニット10のスタートラインアドレスとして設定する。ステップ118の処理により自動アドレス処理は終了(ステップ119)する。上記のステップ101〜ステップ119までの処理により、非表示部分58を有する大型映像表示装置であっても、同一列に位置する表示ユニット10の制御装置2に行アドレス及びスタートラインアドレスを設定することができる。
【0107】
図13に示す表示ユニット10aに基づいてステップ110〜ステップ119について説明する。まず、制御装置2aは、ロータリースイッチ21〜26等により、予めG[7..0]31=”0”、L[7..0]34=”0”及び仮想ライン数=”3”(192÷64)と設定されいる。
【0108】
そして、制御装置2cは、G[7..0]31に”1”を加えたG[7..0]31=”2”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2dに送信する。また、制御装置2cは、L[7..0]34に仮想ライン数”3”を加えたL[7..0]34=”3”を含んだ自動アドレスデータを制御装置2dに送信する。
【0109】
なお、本実施の形態では、映像表示装置1の表示ライン数と非表示部分58のライン数との合計を仮想ライン数として予め設定しているが、本発明はこれに限られず、非表示部分58のライン数のみを予め設定しても良い。但し、この場合、L[7..0]34を更新する際に、映像表示装置1の表示ライン数と非表示部分58のライン数との合計を演算して仮想ライン数を算出する必要がある。
【0110】
以上のように、本実施の形態に係る大型映像表示装置では、受信したL[7..0]34に当該表示ユニット10の表示ライン数LINに代えて仮想ライン数を追加して、下段に隣接する表示ユニット10の制御装置2に送信するので、表示領域に非表示部分58が存在するような不連続な大型映像表示装置を構成することができる。
【0111】
なお、実施の形態1乃至実施の形態4は、列と行とを入れ換えた構成であっても適用することが可能である。これにより、さらに大型映像表示装置の設置の自由度が高まることになる(言うまでもないが、実施の形態1乃至実施の形態4において列と行とが入れ換えられた場合、表示ライン、ラインアドレス及びスタートラインなどにおける「ライン」は、列方向のラインを意味する。)。
【符号の説明】
【0112】
1 映像表示装置、2 制御装置、3 中継分配装置、4 メンテナンス装置、5 映像信号供給装置、6 データ伝送ケーブル、7 映像データ伝送ケーブル、8 制御データ伝送ケーブル、9 自動アドレスケーブル、10 表示ユニット、11 マイクロコントローラ、12 抵抗、21,22,23,24 ロータリースイッチ、30 スタートビット、31 行アドレス、32 パリティビット、33 ストップビット、40 制御データ、41 宛先アドレス、42 制御信号、43 行アドレス、44 列アドレス、45 コマンド、46 パラメータ、47 パディング、50 映像データ、51 宛先アドレス、52 映像信号、53 行アドレス、54 列アドレス、56 障害物、58 非表示部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの映像表示装置と、前記映像表示装置を制御する制御装置とを備え、マトリクス状に配置された表示ユニットと、
前記表示ユニットの行毎に行アドレスを設定する行アドレス設定手段と、
同行に位置し隣接する前記表示ユニットの前記制御装置間でアドレスデータを送受信し、隣接する一方の前記表示ユニットの前記制御装置から受信した前記アドレスデータを当該前記表示ユニットの列アドレスとして設定し、受信した前記アドレスデータに”1”を追加して、隣接する他方の前記表示ユニットの前記制御装置に送信する列アドレス設定手段と、
同行に位置し隣接する前記表示ユニットの前記制御装置間で、1つの前記表示ユニットの総表示ライン数を1つの前記映像表示装置の表示ライン数で除算した値について現在の前記表示ユニットまでの総和を取った値であるラインアドレスを送受信し、受信した前記ラインアドレスに1つの前記映像表示装置の表示ライン数を掛けた値を、当該大型映像表示装置の1画面における前記表示ユニット各々の先頭に位置する表示ラインのアドレスである前記表示ユニットのスタートラインアドレスとして設定するスタートラインアドレス設定手段と、を備え、
前記制御装置は、隣接する前記表示ユニットの前記制御装置から受信される前記アドレスデータ及び前記ラインアドレスの代わりに前記列アドレス及び前記スタートラインアドレスの設定に用いられる前記列アドレス及び前記ラインアドレスを前記表示ユニットの単位で個別に設定可能な手段をさらに備える、大型映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の大型映像表示装置であって、
前記制御装置は、前記映像表示装置の表示ライン数と前記映像表示装置が設けられない非表示部分に仮想的に割り当てられた表示ライン数との合計である仮想ライン数を前記表示ユニットの単位で個別に設定可能な手段をさらに備え、
前記スタートラインアドレス設定手段は、前記制御装置において受信した前記ラインアドレスに、当該前記表示ユニットの表示ライン数に代えて、前記仮想ライン数を前記映像表示装置の表示ライン数で除算した値を追加することで更新した前記ラインアドレスを、隣接する一方の前記表示ユニットの前記制御装置に送信することを特徴とする、大型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−103006(P2011−103006A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4975(P2011−4975)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【分割の表示】特願2004−137056(P2004−137056)の分割
【原出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】