説明

大型生体分子のためのフロースルー精製プロセス

【課題】本発明は、試料中の1つまたは複数の夾雑物から、例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子を分離するための、新規な改良されたフロースルー精製プロセスに少なくとも部分的に関する。
【解決手段】このプロセスは、粒子の単位体積当たりの最小化された外部表面積および(最小化された外部表面積を有さない同様の粒子の集団と比較して25%を超えて減少していない)単位体積当たりの内部表面積を含む固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団の使用を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が参照によりそのまま本明細書に組み込まれる、出願日が2009年12月16日の米国仮特許出願第61/284368号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、試料中の1つまたは複数の夾雑物から、例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子を分離するための、新規な改良されたフロースルー精製プロセスに少なくとも部分的に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、カプセル化ウイルス、感染宿主細胞もしくは卵中のウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子の生成の後に、実質的に純粋な生体分子集団を取得するために、感染宿主細胞または卵の、例えば、DNA、RNAおよび宿主細胞タンパク質などの他の成分から生体分子を分離することが望ましい。さらに、添加剤はしばしば、生体分子と共精製される場合があるため、生成される生体分子は、生体分子の生成を容易にするために典型的に使用されるいくつかの添加剤から分離される必要がある。
【0004】
従来、超遠心分離、クロマトグラフィーおよび膜濾過などの様々な技術が、カプセル化ウイルスおよびウイルス様粒子などの大型生体分子を精製および濃縮するために使用されてきた(例えば、PCT公開番号WO2008/073490およびWO2004/112707を参照されたい)。このような生体分子を精製するために使用されてきた様々なタイプのクロマトグラフィー技術は、例えば、サイズ排除(SEC)、陰イオン交換(AEX)および親和性クロマトグラフィーを含む(例えば、WO2004/112707;Transfiguracuinら、J Virol Methods 142:21−28頁(2007年)およびKaIbfussらBiotech.Bioeng.96:932−944頁(2007年)を参照されたい)。
【0005】
前述の技術は、カプセル化ウイルスおよびウイルス様粒子などの巨大分子の精製にある程度使用されているが、すべてのこれらのクロマトグラフィー技術は一般的に、結合および溶出方式において使用される。特に、このような生体分子の大きなサイズ(例えば、約15−400nM)のため、これらの分子は大抵の市販の媒体の細孔に浸透することができず、したがって、典型的には媒体の外側に結合してその後溶出される。一方、夾雑物および不純物は通常、粒子の内部表面積に結合するが、しかしながら、大型生体分子と一緒に部分的に溶出されることもある。さらに、時にはこれらの技術の1つまたは複数が非連続的に使用されるが、一般に全体収率は不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT公開番号国際公開第2008/073490号
【特許文献2】PCT公開番号国際公開第2004/112707号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Transfiguracuinら、J Virol Methods 142:21−28頁(2007年)
【非特許文献2】KaIbfussら、Biotech.Bioeng.96:932−944頁(2007年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、試料中の1つまたは複数の夾雑物からの、例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子の分離のための、改良されたフロースループロセスを少なくとも部分的に提供する。本発明は、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子、コンジュゲートワクチンおよび細菌の細胞表面多糖などの大型生体分子をフロースルーモードにおいて精製するための、例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)、陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を含む1つまたは複数のクロマトグラフィー技術を採用する。
【0009】
本発明による方法は、当技術分野において現在使用されている従来の方法よりもはるかに優れた、一般には結合および溶出方式であり、非連続的である、単一の連続的フロースループロセスを使用して、ウイルス、ウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子の回収率の向上を典型的にもたらす。本発明による方法は、単位体積当たりの外部表面積が最小化されており、(クロマトグラフィープロセスで典型的に使用されるが、単位体積当たりの外部表面積が最小化されていない)同様のクロマトグラフィー粒子と比較して、単位体積当たりの内部表面積が25%を超えて減少していない、少なくとも1種類のクロマトグラフィー粒子(例えば、固体多孔性ビーズ)の使用に少なくとも部分的に基づく。一般に、本発明は、逆相モードの操作に少なくとも部分的に依存し、すなわち、フロースルーモードにおける1つまたは複数のAEX、CEXおよびHICクロマトグラフィー媒体の使用によるものであり、少なくとも1つのこのような媒体は回収率の向上をもたらす特徴、例えば、単位体積当たりの最小化された外部表面積および(25%を超えて減少していない)単位体積当たりの内部表面積を含む。
【0010】
本発明による方法は、単一段階プロセスにおける大型生体分子の回収を可能にし、加えて、多くの精製前および精製後段階を必要とする従来のクロマトグラフィー法と比較して供給原料流および生成物流の上流処理および下流処理を最小限にする。さらに、本発明の方法は、大型生体分子を含有する試料中の宿主細胞タンパク質の存在下および不在化の両方において大型生体分子の回収率の向上をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様において、大型生体分子および1つまたは複数の夾雑物を含む試料からの大型生体分子の回収率を向上させるためのフロースループロセスが提供される。このようなプロセスは、試料を、回収される大型生体分子より小さい分子量カットオフを有する固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団と接触させるステップを含み、フロースループロセスにおいて使用される固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団の単位体積当たりの外部表面積は最小化されており、単位体積当たりの最小化された外部表面積を含まない固体多孔性粒子の集団と比較して単位体積当たりの内部表面積は25%を超えて減少しておらず、それによって大型生体分子の回収率を向上させる。
【0012】
いくつかの実施形態において、固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団は、クロマトグラフィーカラム中に充填されている。
【0013】
本発明によるフロースループロセスは、単位体積当たりの最小化された外部表面積および(25%を超えて減少していない)単位体積当たりの内部表面積を含む固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団が使用されないフロースループロセスを使用した大型生体分子の回収率と比較して、大型生体分子の回収率の、例えば、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%の向上をもたらす。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明によるフロースループロセスは、大型生体分子の純度の少なくとも20%の向上をもたらす。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明によるフロースループロセスは、1つまたは複数の夾雑物の少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%以上の減少をもたらす。
【0016】
いくつかの実施形態において、固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団は、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーに使用されるビーズの1つまたは複数から選択される。
【0017】
本発明のプロセスを使用して回収することができる大型生体分子は、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンからなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の夾雑物は、核酸、タンパク質、賦形剤および細胞培養添加剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の夾雑物は宿主細胞タンパク質である。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明によるフロースループロセスは、1つまたは複数の夾雑物からウイルス様粒子を分離するために使用される。例示的なウイルス様粒子は、BSAで被覆したスチレン粒子を含むがこれらに限定されない。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明によるフロースループロセスは、1つまたは複数の夾雑物からカプセル化ウイルスを分離するために使用される。例示的なカプセル化ウイルスは、インフルエンザウイルス(例えば、H1N1株)、アデノウイルスおよびバクテリオファージを含むがこれらに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態において、大型生体分子は、細胞培養においてまたは卵中で産生される。いくつかの実施形態において、細胞培養はMDCK細胞を含む。いくつかの実施形態において、大型生体分子および1つまたは複数の夾雑物を含む試料は細胞培養上清であり、これは本発明によるフロースループロセスに供される。
【0022】
本発明によるフロースループロセスの様々な実施形態において、プロセス中に含まれる固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団は、200μmから600μmまでの範囲の平均直径を含む。
【0023】
様々な実施形態において、本発明のフロースループロセスは、試料からの大型生体分子の少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%の回収を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】S4FF(対照)ビーズ;QS4FF(90μm)ビーズ;またはQSBB(200μm)ビーズのうちの1つを含有する0.5mlカラムを通過した、Phi6およびBSAの溶液混合物におけるバクテリオファージPhi6のフロースルー力価を測定するための例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料のカラム体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のPhi6力価を表す。
【図2】QSepharoseHP(30μm)ビーズ;QSepharose4FF(90μm)ビーズ;またはQSepharoseBB(200μm)ビーズのうちの1つを含有する1mlカラムを通過した、B型インフルエンザウイルス、宿主細胞DNA、宿主細胞タンパク質、ウシ胎仔血清および他の細胞培養添加剤を含有する溶液混合物における、B型インフルエンザウイルスのフロースルー力価を測定するための例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料のカラム体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のB型インフルエンザウイルスの力価を表す。
【図3】S4FF(対照)ビーズ、QS4FF(90μm)ビーズ;またはQSBB(200μm)ビーズのうちの1つを含有する0.8mlカラムを通過した、宿主細胞タンパク質およびDNAの混合物におけるA型インフルエンザウイルスのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料の体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のA型インフルエンザウイルスの力価を表す。
【図4】S4FF(対照)ビーズ;QS4FF(90μm)ビーズ;またはQSBB(200μm)ビーズのうちの1つを含有する0.8mlカラムを通過した、A型インフルエンザウイルスおよびDNAの溶液混合物における宿主細胞タンパク質(HCP)のブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料の体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のHCPの力価を表す。
【図5】0.8mlのQS4FF(90μm)ビーズ;0.8mlのQSBB(200μm)ビーズ;連続して0.8mlのQSBBおよび0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AC);連続して0.8mlのQSBBおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AH);連続して0.8mlのQSBB、0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(ACH);またはQSBB、SP SepharoseビッグビーズおよびPhenyl Sepharoseビッグビーズの2.4mlの混合物(MACH)のうちの1つを含有するカラムを通過した、HCPおよび宿主細胞DNAの溶液混合物におけるA型インフルエンザウイルスのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料の体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のB型インフルエンザウイルスの力価を表す。
【図6】0.8mlのQS4FF(90μm)ビーズ;0.8mlのQSBB(200μm)ビーズ;連続して0.8mlのQSBBおよび0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AC);連続して0.8mlのQSBBおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AH);連続して0.8mlのQSBB、0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(ACH);またはQSBB、SP SepharoseビッグビーズおよびPhenyl Sepharoseビッグビーズの2.4mlの混合物(MACH)のうちの1つを含有するカラムを通過した、A型インフルエンザウイルスおよび宿主細胞DNAの溶液混合物におけるHCPのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を表すグラフである。X軸は、各カラムを通って処理された供給原料の体積を表し、Y軸は、各カラムからのフロースルー中のHCPの力価を表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、単位体積当たりの最小化された外部表面積および(単位体積当たりの最小化された外部表面積および単位体積当たりの減少していない内部表面積を含まない同様の種類のクロマトグラフィービーズと比較して25%を超えて減少していない)単位体積当たりの内部表面積を含む少なくとも1種類のクロマトグラフィービーズを使用した、試料中の1つまたは複数の夾雑物から大型生体分子(例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチン)を分離するための改良されたフロースループロセスを提供する。
【0026】
I.定義
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語がまず定義される。さらなる定義は、詳細な説明の全体にわたって説明される。
【0027】
本明細書において相互に交換して使用することができる「フロースループロセス」、「フロースルーモード」、および「フロースルークロマトグラフィー」という用語は、1つまたは複数の夾雑物とともに試料中に含有されている少なくとも1つの生成物(例えば、本明細書に記載のものなどの大型生体分子)はクロマトグラフィー樹脂または媒体を流過することを意図され、一方、少なくとも1つの潜在的な夾雑物または不純物はクロマトグラフィー樹脂または媒体に結合する、生成物分離技術を指す。「フロースルーモード」は一般に、アイソクラティック操作(すなわち、移動相の組成が変化しないクロマトグラフィープロセス)である。このようなフロースルークロマトグラフィープロセスは、単一カラム、連続したマルチカラムまたは並列、直列カラム、擬似移動床式(SMB)およびこれらの組み合わせを使用して操作することができる。
【0028】
本明細書において相互に交換して使用することができる「結合および溶出方式」および「結合および溶出プロセス」という用語は、試料中に含有されている少なくとも1つの生成物(例えば、本明細書に記載のものなどの大型生体分子)がクロマトグラフィー樹脂または媒体に結合し、その後溶出される、生成物分離技術を指す。
【0029】
本明細書において相互に交換して使用することができる「夾雑物」、「不純物」、および「残屑」という用語は、本発明のフロースループロセスを使用して外来または有害分子の1つまたは複数から分離されている対象の大型生体分子を含有する試料中に存在し得る、DNA、RNA、1つまたは複数の宿主細胞タンパク質、エンドトキシン、脂質および1つまたは複数の添加剤などの生物学的マクロ分子を含む任意の外来または有害分子を指す。さらに、このような夾雑物は、分離プロセスの前にあり得る段階において使用される任意の試薬を含んでいてもよい。一般に、大型生体分子を含有する試料中に存在する夾雑物は、大型生体分子よりも大きさが小さい。例えば、大部分の宿主細胞タンパク質は、約3KDから150KDまでの範囲に及び、これは、本明細書に記載の方法を使用して分離される大部分の大型生体分子の大きさよりも小さい。
【0030】
本明細書において使用される「大型生体分子」という用語は、本明細書に記載のフロースループロセスを使用して、生物学的材料を含有する試料中に存在する1つまたは複数の夾雑物から分離される、少なくとも15nm、または少なくとも20nm、または少なくとも25nm、または少なくとも30nm、または少なくとも35nm、または少なくとも40nm、または少なくとも45nm、または少なくとも50nm、または少なくとも55nm、または少なくとも60nm、または少なくとも65nm、または少なくとも70nm、または少なくとも75nm、または少なくとも80nm、または少なくとも90nm、または少なくとも100nm、または少なくとも110nm、または少なくとも120nm、または少なくとも130nm、または少なくとも140nm、または少なくとも150nm、または少なくとも160nm、または少なくとも170nm、または少なくとも180nm、または少なくとも190nm、または少なくとも200nm、または少なくとも210nm、または少なくとも220nm、または少なくとも230nm、または少なくとも240nm、または少なくとも250nm、または少なくとも260nm、または少なくとも270nm、または少なくとも280nm、または少なくとも290nm、または少なくとも300nm、または少なくとも310nm、または少なくとも320nm、または少なくとも330nm、または少なくとも340nm、または少なくとも350 nm、または少なくとも360nm、または少なくとも370nm、または少なくとも380nm、または少なくとも390nm、または少なくとも400nmの平均直径を有する、対象とする生物学的材料を指す。例示的な大型生体分子は、例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法を使用して分離されている大型生体分子は、クロマトグラフィービーズの細孔から排除される、またはビーズの外部表面にのみ結合する。
【0031】
「カプセル化ウイルス」という用語は、本明細書において使用される場合、キャプシドの内側の核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)を含む任意のウイルスを指すことになっており、一般にクロマトグラフィービーズの外部表面に結合するのみである。いくつかの実施形態において、キャプシドは、キャプシド周囲に脂質エンベロープを有する。いくつかの実施形態において、カプセル化ウイルスは、複雑な膜構造の内側に囲まれたRNAまたはDNA分子(例えば、ポックスウイルス(Poxviridae)科の天然痘ウイルス(smallpox virus))を含む。一般に、大部分のカプセル化ウイルスは、15−400nmの範囲の大きさを有する。
【0032】
「ウイルス様粒子」という用語は、本明細書において使用される場合、その大きさおよび/またはその免疫原性に関してウイルスに似ているが、ウイルスのように複製する能力を欠く粒子または物質(例えば、ヒト乳頭腫ウイルス(papillomavirus)(HPV)ワクチン)を指すことになっている。
【0033】
「コンジュゲートワクチン」という用語は、本明細書において使用される場合、細菌の細胞表面多糖をタンパク質または毒素と反応させることによって産生されるワクチンを指すことになっている。例示的なコンジュゲートワクチンは、肺炎球菌ワクチンおよびストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcal pneumoniase)ワクチンを含むがこれらに限定されない。
【0034】
「クロマトグラフィー」という用語は、本明細書において使用される場合、対象とする大型生体分子とともに試料中に存在する1つまたは複数の夾雑物から対象とする大型生体分子(例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチン)を分離する任意の種類の技術を指す。
【0035】
「陰イオン交換クロマトグラフィー」または「AEC」という用語は、本明細書において使用される場合、正に荷電したビーズを使用して、試料中の1つまたは複数の夾雑物から対象とする生体分子(例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子)を分離するクロマトグラフィープロセスを指す。例示的な市販のAEC媒体は、すべてGE Healthcare製のQ SepharoseFF、Q Sepharose XL、Capto Q、Q Sepharose HP、EMD Chemicals Inc製のFractogel EMD TMAE、Fractogel EMD DEAEならびにTOSH Bioscience製のToyopearl DEAE、Toyopearl QAEおよびToyopearl SuperQを含む。
【0036】
従来、AECは、ビーズ、膜およびモノリスを使用したウイルス精製のために使用されてきた。AECは一般に、例えば、インフルエンザおよびアデノウイルスなどのカプセル化ウイルスが、5.5より高いpHで負に荷電しているという原理に基づいている。したがって、これらは、5.5より高いpHでイオン相互作用を介して正に荷電した樹脂を使用して結合および溶出することができる。一般に、大部分のカプセル化ウイルスの大きさのために、これらは大部分の市販のAEC媒体に浸透することができず、媒体の外部表面に結合することができるのみであり、これによってクロマトグラフィーカラムのウイルス容量を制限している。したがって、カラム容量問題を回避するための一般的なアプローチは、AEC媒体の大きさを減少させることであった(例えば、PCT公開番号WO2004112707を参照されたい)。
【0037】
「陽イオン交換クロマトグラフィー」または「CEC」という用語は、本明細書において使用される場合、負に荷電したビーズを使用して、試料中の1つまたは複数の夾雑物から対象とする生体分子(例えば、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子またはコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子)を分離するクロマトグラフィープロセスを指す。例示的な市販のCEC媒体は、すべてGE Healthcare製のSP Sepharose、SP Sepharose HP、EMD Chemicals Inc製のFractogel EMD S0、ならびにTOSH Bioscience製のToyopearl SPおよびToyopearl CMを含む。
【0038】
「疎水性相互作用クロマトグラフィー」または「HIC」という用語は、本明細書において使用される場合、対象とする生体分子を分離するための疎水性基として芳香族または脂肪族炭化水素を固定されたビーズを使用するクロマトグラフィープロセスを指す。一実施形態において、HICは、試料中の1つまたは複数の夾雑物から、例えば、コンジュゲートワクチンなどの大型生体分子を分離するために使用される。例示的な市販のHIC媒体は、GE Healthcare製のPhenyl Sepharose、EMD Chemicals Inc製のFractogel EMD Propyl 650、Fractogel EMD Phenyl 650、ならびにTOSH Bioscience製のToyoperal Phenyl、Toyopearl Butyl、Toyopearl HexylおよびToyopearl Etherを含む。
【0039】
「サイズ排除クロマトグラフィー」または「SEC」という用語は、本明細書において使用される場合、異なる大きさの溶質を含有する溶液が適切な細孔径を有する多孔性媒体を通過するとき、小さい大きさの溶質は媒体から拡散するのに長い時間がかかり、そのため長い保持時間を有するが、一方、大きい大きさの溶質はすぐに拡散し、それによって小さい大きさの溶質からこれらの分離を可能にするという原則に基づくクロマトグラフィープロセスを指す。例示的な市販のSEC媒体は、Toyopearl HW、Sepharose、SephacrylおよびFractogel EMD BioSECを含む。
【0040】
大部分のウイルスはその大きさのために、大部分の市販のSEC媒体を浸透することができず、典型的には、SECクロマトグラフィーカラムの空隙容量中に溶出される。しかしながら、SECは一般にいくつかの不都合を有し、例えば、SECクロマトグラフィーは典型的に長いカラム長を必要とし、最大充填容量は20%を超えることができず、処理時間は非常に長く、しばしば対象とする生成物の希釈をもたらす。
【0041】
本明細書において相互に交換して使用することができる「混合モードクロマトグラフィー」、または「バイモードクロマトグラフィー」もしくは「マルチモードクロマトグラフィー」という用語は、単一ビーズ上に複数の官能基および/または様々な官能基の組み合わせを有するビーズを使用するクロマトグラフィープロセスを指す。このようなビーズは、混合モード樹脂もしくはビーズ、バイモード樹脂もしくはビーズまたはマルチモード樹脂もしくはビーズと称されることもある。例えば、単一ビーズは、同じビーズ上に、正および負の両方に荷電した基または正に荷電しており疎水性でもある基または負に荷電しており疎水性でもある基または正の、負のおよび疎水性の基のそれぞれを有していてもよい。このようなビーズを使用して、試料中の1つまたは複数の不純物から対象とする生体分子を分離することができる。例示的な市販の混合モード媒体は、例えば、GE Healthcare製のCapto adhere、Pall Corporation製のHPAおよびPPA HyperCel(商標)を含む。
【0042】
クロマトグラフィー媒体の「動的結合容量」という用語は、本明細書において使用される場合、結合していない生体分子の顕著なブレークスルーが起こるまでにフロースループロセスにおいて媒体が結合する標的生体分子の量を指す。クロマトグラフィー媒体の動的容量は、流速が増加したときに起こり得る物質移動律速の影響を反映し、これは媒体の飽和または静的結合容量の決定と比較して実際のプロセス性能を予測するのに有用である。一般に、媒体の動的結合容量は静的結合容量よりも低い。
【0043】
本明細書において相互に交換して使用することができるクロマトグラフィー媒体の「静的結合容量」および「飽和結合容量」という用語は、ビーズ上のすべての利用可能な結合部位が利用されている場合に静的平衡条件下で媒体(例えば、カラム中に充填されたビーズ)が結合することができる標的生体分子の量を指す。静的結合容量は、例えば、カラム中のビーズの閉鎖系において非常に遅い流速でまたは長時間のインキュベーション後のいずれかで大過剰の標的生体分子を充填することによって決定することができる。実際には、静的結合容量が充填カラムを使用したプロセス条件下で有効になることはない。
【0044】
「単位体積当たりの外部表面積」という用語は、本明細書において使用される場合、対象とする生体分子を結合するために利用可能なクロマトグラフィー粒子集団(例えば、ビーズ)の外部表面上の総面積を指す。例えば、いくつかの実施形態において、単位体積当たりの外部表面積は、大型生体分子を結合するために利用可能な、カラム中に充填されている固体多孔性粒子集団の外部表面上の総面積と定義されている。
【0045】
ビーズの単位体積当たりの外部表面積の推定値は、数学的にまたは経験的に計算することができる。例えば、数学的には、単位体積当たりの外部表面積は、次の方程式
【0046】
【数1】

(式中、Aes/v=単位体積当たりの外部表面積;d=使用したビーズの直径;およびη=カラム充填密度)を使用して推定することができる。ビーズの六方最密充填(HCP)を仮定すれば、完全に充填されたカラムではこれは0.74に等しい。
【0047】
またη=1−空隙容量。カラムの空隙容量は、ビーズと相互作用せず、ビーズの細孔から排除される分子を使用して実験的に決定することができる(例えば、Gel filtration−Principles and Methods、Amersham Biosciencesを参照されたい)。
【0048】
経験的には、単位体積当たりの外部表面積は次の通り推定される。典型的に、経験的計算は、大型生体分子と同じ大きさおよび電荷の球状ナノ粒子を使用して行われる。入手したナノ粒子の濃度は通常、製造業者によって明記されている、または、動的光散乱またはUV−Vis分光法などのウイルス粒子の測定のために使用される標準的技術を使用して(例えば、Wolfgang Haissら、Determination of Size and Concentration of Gold Nanoparticles from UV−Vis Spectra、2007年、79、4215−4221頁を参照されたい)入手可能である。一定の体積のビーズへのナノ粒子の結合は、例えば、本明細書に記載の静的結合容量実験を使用して検討される。ビーズに結合したナノ粒子の量は、次の式
【0049】
【数2】

(式中、N=飽和時のビーズに結合したナノ粒子の量;Cin=単位体積当たりの粒子として測定した溶液中のナノ粒子の初期濃度;C=単位体積当たりの粒子として測定した溶液中のナノ粒子の最終濃度;およびv=使用した溶液の体積)を使用して推定することができる。
【0050】
ナノ粒子を含有するカラムの単位体積当たりの外部表面積は、次の通り決定することができる
【0051】
【数3】

(式中、d=ナノ粒子の直径;およびV=カラム体積)。
【0052】
クロマトグラフィー粒子(例えば、ビーズ)の集団の「単位体積当たりの内部表面積」という用語は、本明細書において使用される場合、粒子の単位体積当たりの外部表面積を引いた粒子の単位体積当たりの総表面積と定義することができ、次の通り:
【0053】
【数4】

(式中、Ain/V=ビーズの単位体積当たりの内部表面積;A=ビーズの単位体積当たりの総表面積;およびA=A×BD、ここでA=ビーズの単位質量当たりの表面積、これは、Brunauer、Emmett、およびTeller(BET)によって開発された方法を使用して計算することができる(例えば、S.Brunauerら、J Am.Chem.Soc.、1938年、60、309頁を参照されたい);および単位体積当たりの質量の単位を有するBD=かさ密度)推定することができる。一般に、Aes/vは、Aと比較してごくわずかである。したがって、Aは、内部表面積の推定値そのままであるとみなすことができる。
【0054】
供給原料流中の宿主細胞タンパク質および別の不純物の大きさおよび電荷の典型を表す小分子について、単位体積当たりの内部表面積の推定値はまた、ビーズの静的および動的結合容量から取得することもできる。このような典型的な分子の例は、ウシ血清アルブミン(BSA)、リゾチームまたはモノクローナル抗体(Mab、またはIgG)を含んでもよいがこれらに限定されない。すべての実用的な目的のために、この方法は、不純物に結合させるために利用可能な表面積を推定する、より現実的なアプローチである。
【0055】
フロースループロセスにおける対象とする生成物の回収率パーセントは、次の方程式
【0056】
【数5】

(式中、P供給原料=供給原料中の大型生体分子の量およびPフロースルー=生成物中の大型生体分子の量)を使用して計算することができる。
【0057】
本発明による方法を使用した対象とする生成物の回収率パーセントは、次の方程式
【0058】
【数6】

(式中、R=粒子集団の単位体積当たりの外部表面積が最小化されたプロセスの回収率;およびR=粒子集団の単位体積当たりの外部表面積が最小化されていないプロセスの回収率)を使用して計算することができ、ここで回収率パーセントは向上した回収率パーセントである。
【0059】
フロースループロセスを使用して回収した生成物の純度は、回収したフロースループール中の大型生体分子に対する不純物の量の比と定義することができる。例えば、生成物を含有するインフルエンザウイルスの純度は、μg/HAU(HAU=ヘマグルチニン単位)と表すことができ、不純物(例えば、宿主細胞タンパク質)の総量をフロースループール中のウイルスの総量で割ることによって得られる。本発明による方法を使用した、対象とする生成物の純度の向上パーセントは、次の方程式
【0060】
【数7】

(式中、単位体積当たりの最小化された外部表面積を有する粒子(例えば、固体多孔性ビーズ)の集団を用いたプロセスが使用される場合、r=生成物中の大型生体分子の総量に対する生成物中の宿主細胞タンパク質の総量の比)を使用して計算することができる。例えば、インフルエンザ精製について、この比はμg/HAU(式中、μgは宿主細胞タンパク質の単位であり、HAUはインフルエンザウイルスの単位を表す)において表すことができる:および単位体積当たりの最小化された外部表面積を有する粒子(例えば、固体多孔性ビーズ)の集団が使用されないプロセスの場合、r=生成物中の大型生体分子の総量に対する生成物中の宿主細胞タンパク質の総量の比。
【0061】
一般に、特許請求されている方法において使用される単位体積当たりの最小化された外部表面積を有する粒子は、(単位体積当たりの最小化された外部表面積を有さない粒子と比較して25%を超えて減少していない)単位体積当たりの内部表面積を有する。
【0062】
II.フロースループロセスにおいて使用される例示的なクロマトグラフィー媒体
フロースルー精製のために使用することができる例示的なクロマトグラフィー媒体は、陰イオン交換クロマトグラフィー媒体(例えば、Q Sepharoseビッグビーズ、Q SepharoseFF、Q Sepharose XL、Capto Q、Q Sepharose HP、Fractogel EMD TMAE、Fractogel EMD DEAE、Toyopearl DEAE、Toyopearl QAEおよびToyopearl SuperQ)、陽イオン交換クロマトグラフィー媒体(例えば、SP Sepharoseビッグビーズ、SP Sepharose、Fractogel EMD SO、SP Sepharose HP、Toyopearl SPおよびToyopearl CM)、疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体(例えば、Phenyl Sepharose、Toyoperal Phenyl、Toyopearl Butyl、Toyopearl HexylおよびToyopearl Ether)およびサイズ排除クロマトグラフィー媒体(例えば、Toyopearl HW、Sepharose、SephacrylおよびFractogel EMD BioSEC)を含むがこれらに限定されない。単一の種類のクロマトグラフィー媒体または1つもしくは複数の種類のクロマトグラフィー媒体の任意の組み合わせを、本発明の方法において使用することができる。どのクロマトグラフィー媒体を本発明の方法において使用することができるかについて、分離される大型生体分子および除去される必要のある不純物に主として基づいて、当業者には容易にわかるはずである。
【0063】
III.1つまたは複数の夾雑物から生体分子を分離するフロースルー方法
フロースルークロマトグラフィー分離は、モノクローナル抗体調製物から、例えば、エンドトキシン、ウイルスおよびDNAなどの微量の不純物を除去するための重要な最終仕上げ段階となっている。フロースルー分離は、緩衝液交換、勾配およびピーク分離などのクロマトグラフィー分離プロセス中の複雑な段階の必要性をなくすため、従来の結合および溶出クロマトグラフィー方式に対して利点を有する。
【0064】
分離のフロースルークロマトグラフィー方法は一般に、対象とする生体分子および1つまたは複数の不純物を含有する供給原料溶液をビーズまたは膜などの媒体と接触させるステップおよび処理した供給原料を回収するステップを含む。いくつかのフロースループロセスにおいて、媒体は、カラムなどのフロースルーデバイスの内側に充填されている。いくつかのプロセスにおいて、このようなデバイスは、供給原料流中の不純物の大部分を捕捉することができ、対象とする生成物についてはわずかに結合するか全く結合せず、その結果、フロースルーデバイスの生成物下流をより純粋にする媒体(例えば、固体多孔性ビーズ)を含有する。
【0065】
本発明によるいくつかの実施形態において、フロースルーデバイスは、当技術分野において知られているおよび/または本明細書に記載のものなどの1つまたは複数の種類のクロマトグラフィービーズを充填されたカラムからなり、少なくとも1種類のビーズは、ビーズの単位体積当たりの最小化された外部表面積および(最小化された外部表面積を有さないビーズと比較して25%を超えて減少していない)ビーズの単位体積当たりの内部表面積を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、例えば、カプセル化ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ウイルス様粒子(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)で被覆されたスチレン粒子)またはコンジュゲートワクチンなどの大型生体分子を含有する供給原料を、供給原料中の1つまたは複数の夾雑物から大型生体分子を分離するために、生体分子よりも小さい分子量カットオフをそれぞれ有している1つまたは複数の種類のクロマトグラフィービーズと接触させ、少なくとも1種類のビーズは、この1種類のビーズの単位体積当たりの最小化された外部表面積および(ビーズの単位体積当たりの最小化された外部表面積を有さない同じ種類のビーズの単位体積当たりの内部表面積と比較して25%を超えて減少していない)この1種類のビーズの単位体積当たりの内部表面積を有する。
【0067】
例えば、本明細書に記載の例示的な実験において、インフルエンザウイルスはMDCK細胞株を使用して増殖させた。ウイルス含有供給原料は、大きな細胞残屑を除去するために、遠心分離を使用して、その後0.45μm膜濾過を使用して予備浄化した。次いでクロマトグラフィービーズを含有するフロースルーデバイスによる精製の前に所望の緩衝液に緩衝液交換した。一般に、例えば、遠心分離、深層濾過、接線流濾過、透析濾過および緩衝液交換などの1つまたは複数の調製段階は、様々な供給源(例えば、細胞培養、卵など)から得られたウイルスを含有する様々な供給原料のために、本明細書に記載のフロースルークロマトグラフィー方式を使用した精製の前に使用することができる。
【0068】
対象とする生体分子を含有する供給原料の予備浄化に続いて、予備浄化した供給原料をフロースルー分離にかける。フロースルー分離は、1つまたは複数の構成を使用して行ってもよい。例示的な構成において、容積式ポンプ(例えば、Mighty−Mini、Scientificシステム Inc.)およびフロースルーカラムは連続して使用される。例えば、ポンプおよびチューブはまず、20%エタノールを使用して消毒し、次いで水および緩衝液で流す。その後、対象とする大型生体分子を含有する供給原料を、ポンプを使用してカラムを通過させ、画分をカラム下流でエッペンドルフチューブ中に手作業で回収する。
【0069】
別の例示的な構成において、Akta(GE Healthcare)またはBioCad(Applied Bioシステム)などのより自給式の装置を使用することができる。これらのシステムは、自動化されたポンプ輸送ならびに供給原料および緩衝液の制御、フロースルー流のUVおよび伝導度信号のインライン測定ならびに自動画分回収を可能にする。回収された画分は、オフライン測定にさらに使用される。
【0070】
IV.フロースループロセスにおいて回収した生体分子の力価を測定する方法
通例、試料中の1つまたは複数の夾雑物からの大型生体分子の分離の後に、回収した大型生体分子の力価を測定する。
【0071】
ウイルス、タンパク質、核酸、コンジュゲートワクチンなどを含む様々な生体分子の検出のための技術は、一般に、当技術分野においてよく知られており、文献中に記述されている。クロマトグラフィープロセスを使用して回収した生体分子の力価は、インラインまたはオフラインのいずれかで測定することができる。インライン検出技術は、クロマトグラフィーカラムの下流に連続して配置された検出器を含む。一方、分析のオフライン方法は、クロマトグラフィーカラムを流れている溶液の画分を回収すること、および標準的技術を使用してこれらをアッセイすることによって達成される。オフライン検出は一般に、インライン技術において異なる種による阻害がある場合、生体分子が利用可能なインライン技術を使用して検出できない場合、または対象とする生体分子の濃度がインライン技術の検出限界より低いもしくは実際の濃度を表すものではない場合に使用される。
【0072】
ウイルス、タンパク質およびDNA用に一般に使用されるインライン測定技術は、280nmおよび260nmでのUV分光法である(例えば、欧州特許出願番号EP1801697A1を参照されたい)。また、最近、多角度レーザー光散乱(MALS)が使用され、クロマトグラフィープロセスにおいてウイルスをインラインで検出することに成功した(例えば、Opitzら、Biotech Bioengg.、103:1144−1154頁(2009年)を参照されたい)。
【0073】
オフライン測定技術は、UV分光法および動的光散乱(例えば、Opitzら、J.Biotech.、131:309−317頁(2007年)を参照されたい)などの上記の技術に加えて、測定される対象とする生体分子に特有のさらなる技術を含む。例えば、タンパク質に一般に使用されるオフライン測定技術の一部は、ビシンコニン酸アッセイ(BCA)(例えば、米国公開番号20050118140を参照されたい)、Bradfordアッセイ(例えば、Nayakら、J.Chrom.、823:75−81頁(2005年)を参照されたい)および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(例えば、米国公開番号20050118140を参照されたい)を含む。
【0074】
同様に、核酸(例えば、DNA)は、ピコグリーンアッセイ(例えば、Opitzら、Biotech.Bioengg.、103:1144−1154頁(2009年)を参照されたい)または定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR)を使用して測定することができる。
【0075】
大部分のウイルスは、組織培養感染容量アッセイ(TCID50プラークアッセイとも称される)を使用して検出および定量することができる(例えば、Dulbeccoら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.、18:273−279頁(1953年)を参照されたい)。しかしながら、特有のアッセイは一般に、特定のウイルスを特定および定量するために使用され、例えば、インフルエンザウイルスは、赤血球凝集反応(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)および一元放射免疫拡散(SRID)アッセイ(例えば、Methods in Molecular Biology 436、Avian Influenza Virus、Spackman,E.編Humana Press(2007年)を参照されたい)などのアッセイを使用して定量される。
【0076】
V.クロマトグラフィービーズおよびウイルスの大きさを測定する方法
いくつかの実施形態において、本発明のクロマトグラフィー方法は、1つまたは複数の種類の固体多孔性クロマトグラフィービーズを利用し、少なくとも1つのビーズの種類は、他のビーズの種類の平均直径よりも大きい平均直径を有する。このようなビーズを、本発明との関連において「ビッグビーズ」または「大型ビーズ」と称する。いくつかの実施形態において、ビッグビーズは少なくとも200μmの平均直径を有する。
【0077】
本発明の方法を使用して分離される生体分子の種類に基づいて、当業者は、生体分子の分離のために必要とされ得る1つまたは複数の種類のクロマトグラフィービーズを容易に決定することができる(例えば、生体分子の組成、大きさ、電荷などに基づいて)。
【0078】
一般に、本発明の方法において使用される大部分のクロマトグラフィービーズは、市販のものを入手することができる。したがって、クロマトグラフィービーズの大きさは通常、製造業者の仕様書中に記載されている、または、(1)大きさの分布の広いビーズを狭い大きさの範囲に分けるためにも使用することができる湿式篩分け;(2)カメラを内蔵した光学顕微鏡およびマイクロメータースライドまたはビーズの写真を撮影することおよびImageJなどのソフトウェアを使用してこれらを分析すること;ならびに(3)Elzone II(Particle and Surface Sciences Pty.Ltd)、Master Sizer(Malvern)およびFlowCam(Fluid Imaging Technologies)などの標準的な粒径測定器の使用、を含むがこれらに限定されない当技術分野においてよく知られている方法または機器の1つまたは複数を使用して容易に決定することができる。
【0079】
本発明の方法を使用して分離することができる大部分の大型生体分子(例えば、ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチン)の大きさは、一般に、当技術分野においてよく特徴付けられている方法に基づいて決定することができる。例えば、ウイルスの大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、Nermutら、AIDS Res.、9:929−938頁(1993年)を参照されたい)および動的光散乱(Dynopro、Wyatt Technology Corporation)(例えば、Opitzら、J.Biotech.131、309−317頁(2007年)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない、当技術分野においてよく知られている1つまたは複数の技術を使用して決定することができる。大型生体分子の大きさの予測は、大型生体分子との相互作用を有さないがフロースルー精製において使用されているビーズのものと同様の細孔径を有する中性ビーズを使用することによって得ることができる。大型生体分子がビーズの細孔よりも大きければ、大型生体分子はこのようなビーズのカラムの空隙容量中に溶出することになる。これにより、大型生体分子の大きさがビーズの細孔径よりも大きいかどうかの予測を提供する。
【0080】
VI.クロマトグラフィービーズの細孔径を測定する方法
クロマトグラフィービーズの分子量カットオフを示す細孔径は、一般に、製造業者によって定められている。これらはまた、文献において広く論じられている(例えば、Guら、Enzy.Micro.Tech.33:430−437頁(2003年)を参照されたい)。ビーズの細孔径を測定するために使用される一般的な技術は、(1)デキストラン排除クロマトグラフィー(例えば、DePhillipsら、J.Chrom.A.883:39−54頁(2003年)を参照されたい);(2)一般に水銀を使用するポロシメトリー(例えば、Sobischら、Colloid Poly.Sci.133:169−172頁(2006年)を参照されたい);(3)SEM(4)ガス収着(例えば、Brunauerら、J.Am.Chem.Soc.、60:309−319頁(1938年)を参照されたい);および(5)サーモポロメトリー(例えば、Wulffら、Therchimi.Acta、419:291−294頁(2004年)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0081】
本発明を、限定するものと解釈されるべきではない以下の実施例によりさらに説明する。本出願全体にわたって引用されたすべての参考文献、特許、公開特許出願ならびに図面の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
(実施例)
【実施例1】
【0083】
単位体積当たりのビーズの外部表面積の測定
異なる大きさのビーズの、ビーズの単位体積当たりの外部表面積を、本明細書に記載の通り決定することができる。例示的な実験において、以下のビーズの単位体積当たりの外部表面積を、上記の数学的方法、34μmの平均直径を有するQ Sepharose HP、90μmの平均直径を有するQ Sepharose FFおよび200μmの平均直径を有するQ Sepharose BB(GE Healthcare)を使用して推定した。
【0084】
例えば、本明細書において論じられた方程式Iを使用して、34μm平均直径ビーズに関する単位体積当たりの外部表面積は、次の通り、計算することができる:
【0085】
【数8】

【0086】
同様に、他のAECビーズすべてに関して外部表面積を計算し、表Iにまとめている。
【0087】
【表1】

【0088】
表Iから観察できるように、外部表面積はビーズ径の増加とともに減少する。
【0089】
別の例示的な実験において、ビーズの単位体積当たりの外部表面積を計算するために、本明細書に記載の経験的方法を使用した。インフルエンザまたはアデノウイルスなどの大型生体分子を結合するための、Q Sepharose FF(90μm)およびQ Sepharose BB(200μm)上の利用可能な外部表面積の概算を、モデルとしてBSA被覆ラテックスビーズ(Postnova Analytics)を使用して経験的に得た。
【0090】
Sepharose4FF(S4FF、GE Healthcare)、QS4FFまたはQSBBビーズのそれぞれの5mlカラムを、7ml蓋付き試験管に移した。S4FFは中性に荷電されており、対照ビーズとして使用した。PBS中約1.38mlのBSA被覆スチレン粒子溶液(1.4×1013粒子/ml)を、それぞれのビーズに加えた。
【0091】
ビーズ−粒子混合物を回転させながら一晩混合し、ビーズを沈殿させ、上清中の粒子の吸光度を、UV分光法を使用して280nmで測定した。標準検量線をプロットすることによって粒子の濃度を得た。
【0092】
前述のビーズのそれぞれについて上記の方程式IIIを使用して、BSA被覆スチレン粒子を使用して表面積を測定した例示的な実験の結果を、表IIにまとめている。
【0093】
【表2】

【0094】
本明細書において観察されたように、経験的にならびに数学的に計算された単位体積当たりの外部表面積は、ビーズ径の増加とともに減少する。
【0095】
しかしながら、経験による値は、大型生体分子に結合するために利用可能な実際の面積が、数学的に計算された面積よりもはるかに低いことを示唆している。本明細書に記載のフロースルー方法において、増加した平均直径を有し、また最小限の単位体積当たりの外部表面積を有するビーズの少なくとも1つの集団を使用することが望ましい。したがって、ビーズ集団の外部表面積は、単位体積当たりの内部表面積を減少させることなくビーズ径を増加させることによって最小化される。
【実施例2】
【0096】
静的結合容量を使用した単位体積当たりのビーズの内部表面積の推定
実施例1において論じられた、それぞれ、より大きいおよび最小化された外部表面積を有する、QS4FF(90μm)およびQSBB(200μm)ビーズの単位体積当たりの内部表面積を、BSAに関するこれらの静的結合容量を試験することによって推定した。BSAは、クロマトグラフィーにおけるモデルタンパク質として広く使用されてきた。BSAは、およそ66KDの平均分子量および約5のpIを有する。BSAは、大部分の宿主細胞タンパク質の大きさおよび電荷の典型的なものである。
【0097】
1つの例示的な実験において、BSA(Sigma Aldrich Corporation)に関するQS4FFおよびQSBBビーズの静的容量を、2つの異なる種類の緩衝液において2つの異なるpHで測定した。QS4FFまたはQSBB媒体のいずれかを含有する1mlカラムを充填し、4mlの緩衝液中で媒体をスラリーにし、0.5mlのスラリーを2mg/mlの濃度を有する14.5mlのBSA溶液中に加えることによって実験を行った。4時間後、混合物中のビーズを沈殿させ、上清中のBSA濃度をUV−Vis分光法によって測定した。上清濃度の変化を使用して、BSAに関するビーズの静的結合容量を計算した。
【0098】
異なる溶液においてBSAに関するビーズの静的容量を測定した実験の結果を、表IIIにまとめている。
【0099】
【表3】

【0100】
表IIIに示したように、最小化された外部表面積を有する200μmビーズおよび90μmビーズは、pH7.0のTrizmaおよびリン酸ナトリウム緩衝液において同様のBSA容量を有する。Trizma緩衝液においてpH8.0でQSBB(約20%)の容量のわずかな減少が存在するが、pH8.0での容量はpH7.0よりも高い。したがって、より大きいおよびより小さい単位体積当たりの外部表面積を有するQS4FFおよびQSBBビーズは、それぞれ、BSAを結合するための同様の単位体積当たりの内部表面積を有する、と推定することができる。したがって、適当な緩衝液、pHおよびビーズ径を選択することによって、本発明において提案された方法を使用することにより同様な量の不純物を除去することができると結論付けることができる。
【実施例3】
【0101】
2つの異なるビーズ径の陰イオン交換媒体からのウイルス様粒子(すなわち、100nmBSA被覆スチレン粒子)の回収率の比較
例示的な実験において、異なるビーズ径を有する2つの別々の陰イオン交換媒体を、ウイルス様粒子の回収率について試験した。具体的には、陰イオン交換媒体、90μmの平均直径を有するQ セファロース4FFビーズ(QS4FF、GE Healthcare)および200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ(QSBB、GE Healthcare)の静的結合容量を、例示的なウイルス様粒子であり、インフルエンザまたはアデノウイルスと同様の大きさおよび電荷を有する100nmウシ血清アルブミン(BSA)被覆スチレン粒子(Postnova Analytics)の回収率について試験した。QS4FFおよびQSBB媒体は、正に荷電しており、BSA被覆ラテックス粒子に結合することができる第4級アンモニウム基を含有する。一般に、粒子はビーズの外部表面積にのみ結合するため、BSA被覆粒子に関するこれらのビーズの静的結合容量は動的結合容量と等しくあるべきであると考えられていた。
【0102】
Sepharose4FF(S4FF、GE Healthcare)、QS4FFおよびQSBBビーズのそれぞれの5mlカラムを、7ml蓋付き試験管に移した。S4FFは中性に荷電されており、対照ビーズとして使用した。PBS中約1.38mlのBSA被覆スチレン粒子溶液(25mg/ml、1.4×1013粒子/ml)を、それぞれのビーズに加えた。
【0103】
ビーズ/粒子混合物を一晩回転させ、ビーズを沈殿させ、上清中の粒子の吸光度を、UV分光法を使用して280nmで測定した。標準検量線をプロットすることによって粒子の濃度を得た。
【0104】
供給原料および上清中の媒体および粒子の濃度のそれぞれについて、BSA被覆スチレン粒子に関する容量を測定した例示的な実験の結果を、表IVにまとめている。
【0105】
【表4】

【0106】
さらに、それぞれのビーズによって達成されたBSA被覆スチレン粒子の回収率を表Vにまとめている。
【0107】
【表5】

【0108】
表Vに示したように、BSA被覆スチレン粒子の回収率は、ビーズ径の増加とともに約33%増加する。したがって、ビーズ径を増加させることによって単位体積当たりの外部表面積を減少させることは、ウイルス様粒子の回収率の向上と相関する。
【実施例4】
【0109】
2つの異なるビーズ径の陰イオン交換媒体を使用した、Phi6およびBSAの混合物からのバクテリオファージPhi6の回収率の比較
別の例示的な実験において、Phi6およびBSAを含有する溶液混合物からのウイルス粒子(Phi6)の回収率を例証した。Phi6は、約86nmの大きさの、7.0より高いpHで負の電荷を有する脂質エンベロープバクテリオファージである。したがって、Phi6はインフルエンザウイルスを表すモデルとして使用された。さらに、BSAは、約5.0のpIを有する負に荷電したタンパク質であり、宿主細胞タンパク質を表すモデルとして使用された。以下の手順を使用して溶液をビーズの充填カラム中に約1ml/分の流速で流すことによって、動的モードでこれらの試験を行った。
【0110】
バクテリオファージPhi6(約1.1×1012PFU/mlのストック力価)を約600mlのPBSに加えることによって供給原料溶液を調製して、約109PFU/mlの最終Phi6濃度を達成した。ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma Aldrich Corporation)をこの溶液に加えて、UV分光法により測定した0.18mg/mlの最終濃度を達成した。
【0111】
ガラスカラム(Fisher Scientific Corporation製のOmnifit)に、約0.5mlの90μmの平均直径を有する中性セファロース4FF(S4FF、GE Healthcare)、正に荷電した90μmの平均直径を有するQ Sepharose 4FFビーズ(QS4FF、GE Healthcare)または正に荷電した200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ(QSBB、GE Healthcare)を充填した。カラムの品質はアセトンパルス法を使用して確認して、これらが良好な非対称性およびHETP(すなわち、理論段相当高さ)を確実に有するようにし、次いでPBS中で平衡化した(例えば、Ion Exchange Chromatography and Chromatofocusing− Principles and Methods.Amersham Biosciences、11−0004−21、Edition AAにおいて記述されている通り参照されたい)。
【0112】
およそ200mlの供給原料溶液を、1±0.1ml/分の流速でそれぞれのカラムを通過させ、フロースルーを20ml画分ずつ回収した。
【0113】
BSA濃度について、対照として緩衝液中Phi6溶液を使用して、UV分光法を使用して280nmで画分をアッセイした。バクテリオファージPhi6の濃度を、TCID50−プラーク形成単位アッセイを使用して決定した。
【0114】
S4FF(対照)、QS4FF(90μm)またはQSBB(200μm)ビーズのいずれかを含有する0.5mカラムを通過した、Phi6およびBSAの溶液混合物中のバクテリオファージPhi6のブレークスルーを測定した1つのこのような実験の結果を、図1に示している。
【0115】
図1により明示されているように、Phi6は何の相互作用もなく対照ビーズS4FFを通過し、供給原料濃度と等しいフロースルー濃度を与える。QSBBビーズ(200μm)を使用したフロースルーは、Phi6が最初はカラムに結合し、150カラム体積(CV)の範囲内の供給原料濃度に達することを示唆している。しかしながら、QS4FFビーズ(90μm)を使用したフロースルー中のPhi6濃度は、300CVになって初めて供給原料濃度に達する。このことは、200μmビーズが90μmビーズの半分だけのウイルスに結合することを示唆している。
【0116】
実験中の特定の時点の、S4FF、QS4FFまたはQSBBのいずれかを含有する0.5mlカラムを通過した、上記を含有する溶液混合物のフロースルー中のBSAおよびPhi6の量を測定した1つのこのような実験の結果を、表VIにまとめている。
【0117】
【表6】

【0118】
表VIにまとめた結果に基づいて、90μmおよび200μm径ビーズは異なる量のPhi6に結合するものの、これらはBSAに関して同様の結合特性を有すると考えられる。さらに、約80CVの供給原料を各カラム中に通過させた後、QS4FF(90μm)と比較して10倍高いPhi6の回収率を、QSBB(200μm)を使用して得ることができる。
【0119】
したがって、前述の結果に基づいて、一定のカラム体積(CV)について、より小さいビーズ(例えば、90μm)と比較して、より大きいビーズ(例えば、200μm)を使用すると、単位体積当たりの外部表面積が減少するためより多くのウイルスを回収することができると考えられる。さらに、溶液中のタンパク質、例えば、宿主細胞タンパク質の存在は、ウイルス回収率に悪影響を及ぼさないようであり、宿主細胞タンパク質の除去自体はビーズ径とは無関係のようである。
【実施例5】
【0120】
3つの異なるビーズ径の陰イオン交換媒体を使用したB型インフルエンザウイルスおよび宿主細胞タンパク質の混合物からのB型インフルエンザウイルスの回収率の比較
別の例示的な実験において、ウシ胎仔血清(FBS)、フェノールレッドおよび非必須アミノ酸などの増殖培地中の宿主細胞タンパク質、DNAおよび他の成分の混合物からのB型インフルエンザウイルスの回収率を記述している。B型インフルエンザウイルスは、約5.0のpIおよびおよそ80から120nmの大きさを有する脂質エンベロープウイルスである。B型インフルエンザウイルスおよび宿主細胞タンパク質を含有する浄化した細胞培養溶解物上清をビーズの充填カラム中に1ml/分の流速で流すことによって、動的モードでこれらの試験を行った。
【0121】
MDCK細胞中で増殖させたB型インフルエンザウイルスを含有するおよそ200mlの供給原料を、標準的な手順を使用して調製した。初めに、8個のT150フラスコに、10%FBS DMEM中約2.0×10細胞/フラスコを接種した。24時間後、フラスコ中の媒体をDMEM中1%FBSに交換し、MDCK細胞における増殖に適合させた組織培養であるB型インフルエンザウイルス株B/Lee/40(ATCC#VR−1535)に細胞を感染させた。次いでフラスコを37℃、5%CO中で、完全なCPE(細胞変性作用)が観察されるまで5日間インキュベートした。その後上清を2500RPMで遠心分離にかけ、0.45μm膜フィルターによって濾過して細胞残屑を除去し、さらなる使用まで4℃で保存した。
【0122】
ガラスカラム(Fisher Scientific Corporation製のOmnifit)に、約1mlの90μmの平均直径を有する中性セファロース4FF(S4FF、GE Healthcare)、正に荷電した34μmの平均直径を有するQ セファロース HP(QSHP、GE Healthcare)、正に荷電した90μmの平均直径を有するQ Sepharose4FFビーズ(QS4FF、GE Healthcare)または正に荷電した200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ(QSBB、GE Healthcare)を充填した。カラムの品質はアセトンパルス法を使用して確認して、これらが良好な非対称性およびHETPを確実に有するようにし、次いで20mMリン酸塩緩衝液pH7.2中で平衡化した。
【0123】
上記の通り調製したおよそ10mlの浄化したインフルエンザ供給原料を、各カラムを1ml/分の流速で通過させた。カラムを通ったフローを1ml画分ずつ回収し、赤血球凝集反応(HA)アッセイを使用してインフルエンザ含有量について2連でアッセイした。
【0124】
S4FF(対照)、QSHP(34μm)QS4FF(90μm)またはQSBB(200μm)ビーズのいずれかを含有する1mlカラムを通過した、宿主細胞タンパク質、DNA、FBSおよび他の増殖添加剤の溶液混合物中のB型インフルエンザウイルスのブレークスルー力価を測定した例示的な実験の結果を、表VIIおよび図2に示している。
【0125】
【表7】

【0126】
3つの異なる単位体積当たりの外部表面積に対応する3つの異なる大きさのビーズを、この実験において評価した。表VIIおよび図2において観察できるように、QSBB(200μm)ビーズはB型インフルエンザウイルスの即時のブレークスルーを示す(3CV未満でブレークスルー)が、一方、QSHP(34μm)は、9CVのカラムを通過した供給原料まで、実験の全長にわたってブレークスルーしない。9CV後、QSBB(200μm)のフロースルー濃度は供給原料溶液濃度に等しく、QS4FF(90μm)ビーズよりも16倍高い回収率およびQSHP(34μm)ビーズよりも64倍高い回収率を示す。したがって、結果は、ビーズ径を増加させることにより単位体積当たりの外部表面積を減少させることによって、より小さい大きさのビーズと比較してB型インフルエンザウイルスのより高い回収率をもたらすことを例証する。
【0127】
さらに、下記の表VIIIは、実施例3、4および5に記述されている実験において試験した様々な種類のウイルス粒子の回収率をまとめている。バクテリオファージ−Phi6およびB型インフルエンザウイルスのプール回収率を、図1および図2におけるブレークスルー曲線の下の面積を使用して計算した。
【0128】
【表8】

【0129】
表VIIIにまとめたように、90μmから200μmまでビーズ径を増加させることによる外部表面積の最小化は、ウイルス/ウイルス様粒子の収率を30−90%向上させた。
【実施例6】
【0130】
陰イオン交換媒体を使用したインフルエンザウイルスおよび宿主細胞タンパク質およびDNAの混合物からのA型インフルエンザウイルスの回収率および宿主細胞タンパク質の除去の比較
別の例示的な実験において、宿主細胞タンパク質およびDNAの混合物からのA型インフルエンザウイルスの回収率を測定した。A型インフルエンザウイルスは、約5.0のpIおよびおよそ80から120nmの大きさを有する脂質エンベロープウイルスである。A型インフルエンザウイルスおよび宿主細胞タンパク質を含有する浄化および緩衝液交換した供給原料を、ビーズの充填カラム中に1ml/分の流速で流すことによって、動的モードでこれらの実験を行った。
【0131】
MDCK細胞中で増殖させたA型インフルエンザウイルスを含有する供給原料を、標準的な手順を使用して調製した。初めに、50個のT150フラスコに、10%FBS DMEM中、MDCK細胞を10%集密度で接種した。2−3日後、細胞が80−90%集密になれば、フラスコ中の媒体を無血清DMEMに交換し、MDCK細胞における増殖に適合させた組織培養であるA型インフルエンザウイルス/WS(H1N1株)に細胞を感染させた。次いでフラスコを33℃、5%CO中で、完全なCPEが観察されるまで3日間インキュベートした。その後上清を2500RPMで遠心分離にかけ、0.45μm膜フィルターによって濾過して細胞残屑を除去し、さらなる使用まで−80℃で保存した。
【0132】
ガラスカラム(Fisher Scientific Corporation製のOmnifit)に、約0.8mlの90μmの平均直径を有する中性セファロース4FF(S4FF、GE Healthcare)、正に荷電した90μmの平均直径を有するQ Sepharose 4FFビーズ(QS4FF、GE Healthcare)または正に荷電した200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ(QSBB、GE Healthcare)を充填した。カラムの品質はアセトンパルス法を使用して確認して、これらが良好な非対称性およびHETPを確実に有するようにし、次いで50mMリン酸塩緩衝液pH7.1中で平衡化した。
【0133】
実験を行う直前に、およそ200mlの供給原料を4℃で一晩解凍し、次いで、10Kilo−Dalton Centricon遠心フィルターデバイス(Millipore Corporation)を使用して、pH7.1の50mMリン酸塩緩衝液に緩衝液を交換した。上記の通り調製したおよそ90mlのこのインフルエンザ供給原料を、各カラムを0.16ml/分の流速で通過させた。カラムを通ったフローを1ml画分ずつ回収し、HAアッセイ、BCAアッセイおよびPico−greenアッセイをそれぞれ使用してインフルエンザ、宿主細胞タンパク質、および宿主細胞DNA含有量について2連でアッセイした。
【0134】
S4FF(対照)、QS4FF(90μm)またはQSBB(200μm)ビーズを含有する0.8mlカラムを通過した、宿主細胞タンパク質およびDNAの混合物中のA型インフルエンザウイルスのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を図3に示している。
【0135】
S4FF(対照)、QS4FF(90μm)またはQSBB(200μm)ビーズを含有する0.8mlカラムを通過した、A型インフルエンザウイルスおよびDNAの溶液混合物中の宿主細胞タンパク質のブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を図4に示している。
【0136】
表IXは、42mlの供給原料がカラムを通過した後のA型インフルエンザウイルスの回収率および宿主細胞タンパク質の除去に関して、S4FF(対照)、QS4FF(90μm)またはQSBB(200μm)ビーズのいずれかの0.8mlカラムを通過した、上記の溶液混合物中のA型インフルエンザウイルス、HCPおよび宿主細胞DNAのブレークスルー力価を測定した、図3および4に記述した実験の結果をまとめている。
【0137】
【表9】

【0138】
図3および4ならびに表IXにまとめたように、大きい200μmビーズカラムは、90μmビーズよりもはるかに速いA型インフルエンザウイルスのブレークスルーおよび約65%高いウイルスの回収率をもたらすことが明らかである。QS4FFおよびQSBBカラムの宿主細胞タンパク質(HCP)ブレークスルー曲線は似ているようであり、QSBBカラムによる全HCP除去はQS4FFカラムよりも少し低いようである。しかし、200μmビーズは非常に高いウイルスの回収率を有するので、このカラムから得られた生成物の純度は、90μmビーズカラムよりも約60%高い。
【実施例7】
【0139】
ビーズ混合物を使用したインフルエンザウイルスおよび宿主細胞タンパク質およびDNAの混合物からのA型インフルエンザウイルスの回収率および宿主細胞タンパク質の除去の比較
例示的な実験において、(1)陰イオン交換ビーズカラム;(2)連続して陰イオンおよび陽イオン交換ビーズを含有するカラム;(3)連続して陰イオン交換および疎水性ビーズを含有するカラム;(4)連続して陰イオン交換、陽イオン交換および疎水性ビーズを含有するカラム;(5)または陰イオン交換、陽イオン交換および疎水性ビーズの混合物を含有するカラムを使用した、ウイルスおよび宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAを含有する混合物からのA型インフルエンザウイルスのフロースルー精製。
【0140】
ガラスカラム(Fisher Scientific Corporation製のOmnifit)に、約0.8mlの正に荷電した90μmの平均直径を有するQセファロース4FFビーズ(QS4FF)を、または0.8mlの正に荷電した200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ(QSBB)を、または0.8mlのQ セファロースビッグビーズその後に0.8mlの200μmの平均直径を有するSPセファロースビッグビーズを連続して(AC)、または0.8mlのQ セファロースビッグビーズその後に0.8mlの200μmの平均直径を有するPhenyl セファロースビッグビーズを連続して(AH)、または0.8mlのQ セファロースビッグビーズその後に0.8mlのSPセファロースビッグビーズその後に0.8mlの200μmの平均直径を有するPhenyl セファロースビッグビーズを連続して(ACH)、または200μmの平均直径を有するQ セファロースビッグビーズ、SP SepharoseビッグビーズおよびPhenyl セファロースビッグビーズの混合物を充填して、2.4mlカラム(MACH)を構成した。カラムの品質はアセトンパルス法を使用して確認して、これらが良好な非対称性およびHETPを確実に有するようにし、次いで50mMTrizma緩衝液pH8中で平衡化した(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開番号WO2008113011 A2において記述されている通り参照されたい)。
【0141】
A型インフルエンザウイルスを含有する供給原料は、実施例6に記述されているものと同様の方法で作製し、さらなる使用まで−80℃で保存した。実験を行う前に、供給原料を4℃で一晩解凍し、次いで、10Kilo−Dalton Centricon遠心フィルターデバイス(Millipore Corporation)を使用して、pH8.0の50mMTrizma緩衝液に緩衝液を交換した。およそ60mlの緩衝液交換した供給原料を、各カラムを0.16ml/分の流速で通過させた。カラムを通ったフローを1ml画分ずつ回収し、HAアッセイ、BCAアッセイおよびPico−greenアッセイをそれぞれ使用してインフルエンザ、宿主細胞タンパク質、および宿主細胞DNA含有量について2連でアッセイした。
【0142】
0.8mlのQS4FF(90μm)ビーズ;0.8mlのQSBB(200μm)ビーズ;連続して0.8mlのQSBBビーズおよび0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AC);連続して0.8mlのQSBBビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AH);連続して0.8mlのQSBBビーズ、0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(ACH);またはQSBBビーズ、SP SepharoseビッグビーズおよびPhenyl Sepharoseビッグビーズの2.4mlの混合物(MACH)のうちの1つを含有しているカラムを通過した、HCPおよび宿主細胞DNAの溶液混合物におけるA型インフルエンザウイルスのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を、図5に示している。
【0143】
0.8mlのQS4FF(90μm)ビーズ;0.8mlのQSBB(200μm)ビーズ;連続して0.8mlのQSBBビーズおよび0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AC);連続して0.8mlのQSBBビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(200μm)(AH);連続して0.8mlのQSBBビーズ、0.8mlのSP Sepharoseビッグビーズおよび0.8mlのPhenyl Sepharoseビッグビーズ(ACH);またはQSBBビーズ、SP SepharoseビッグビーズおよびPhenyl Sepharoseビッグビーズの2.4mlの混合物(MACH)のうちの1つを含有しているカラムを通過した、A型インフルエンザウイルスおよび宿主細胞DNAの溶液混合物におけるHCPのブレークスルーを測定した例示的な実験の結果を、図6に示している。
【0144】
表Xは、42mlの供給原料が本明細書において論じられた様々なカラムを通過した後の、溶液混合物中のA型インフルエンザウイルス、HCPおよび宿主細胞DNAのブレークスルー力価を測定した、図5および6に示した実験の結果をまとめている。
【0145】
【表10】

【0146】
上記の実験は、カラムにおいて単一のまたは複数の種類のビーズを使用した、A型インフルエンザウイルスの精製を記述している。図5および6ならびに表Xから、複数の種類のビーズの使用はウイルス回収率をわずかに減少させたことが分かる。しかしながら、より大きい体積であっても、これらの小さい単位体積当たりの外部表面積およびウイルスとの相互作用の制限のために、200μmビーズを有するカラムは常に90μmビーズと比較して高いウイルス回収率を有した。複数の種類のビーズの使用は、全HCP除去および生成物の純度を大幅に向上させた。このことは、陽イオンおよび疎水性ビーズのためにカラムに付加された外部表面積はウイルス回収を阻害しなかったが、これらのビーズの内部表面積が宿主細胞タンパク質のクリアランスを可能にし、これによって生成物の純度を増加させたことを示唆している。複数の種類のビーズを用いた試験はまた、陰イオン、陽イオンおよび/または疎水性樹脂の相互作用を組み合わせる200μm混合モードビーズを使用して、同様の精製が達成される潜在的な可能性があることを示唆している。
【0147】
明細書は、参照により本明細書に組み込まれる明細書中で引用された参考文献の教示を踏まえて、最も完全に理解される。明細書中の実施形態は、本発明における実施形態の例示を提供し、その範囲を限定するとは解釈されるべきではない。当業者は、多くの別の実施形態が本発明に包含されることを容易に認識する。すべての出版物および発明は、その全体が参照により組み込まれる。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾するまたは一致しない程度まで、本明細書はすべてのこのような資料に優先するものとする。本明細書中の任意の参考文献の引用は、このような参考文献が本発明の先行技術であると承認するものではない。
【0148】
別途指示のない限り、特許請求の範囲を含む明細書中で使用されている成分、細胞培養、処理条件などの量を表すすべての数は、「約」という用語によってすべての場合において修飾されていると理解されるべきである。したがって、別途反対の指示のない限り、数値パラメーターは近似値であり、本発明によって取得しようとする所望の特性に依存して変動し得る。別途指示のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、その一連におけるあらゆる要素を指すと理解されるべきである。当業者は、日常的作業にすぎない実験を使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を認識する、または確認することができるはずである。このような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されるよう意図される。
【0149】
当業者には明らかであるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの変更形態および変形形態が可能である。本明細書に記載の具体的な実施形態は、例としてのみ提供され、決して限定するものではない。明細書および実施例は単なる例示としてみなされ、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されていることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を、回収される大型生体分子より小さい分子量カットオフを有する固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団と接触させるステップを含み、フロースループロセスにおいて使用される固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団は、固体多孔性粒子の集団の単位体積当たりの最小化された外部表面積および(単位体積当たりの最小化された外部表面積を有さない固体多孔性粒子の集団と比較して、固体多孔性粒子の集団の単位体積当たりで25%を超えて減少していない)内部表面積を含み、それによって大型生体分子の回収率を向上させる、大型生体分子および1つまたは複数の夾雑物を含む試料からの大型生体分子の回収率を向上させるためのフロースループロセス。
【請求項2】
固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団が、クロマトグラフィーカラム中に充填されている、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項3】
粒子集団の単位体積当たりの最小化された外部表面積および粒子集団の単位体積当たりで減少していない内部表面積を含む固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団が使用されないフロースループロセスを使用した大型生体分子の回収率と比較して、大型生体分子の回収率が、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%向上している、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項4】
回収率の向上が、大型生体分子の純度の少なくとも10%の向上を含む、請求項3に記載のフロースループロセス。
【請求項5】
回収率の向上が、1つまたは複数の夾雑物の少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%以上の減少を含む、請求項3に記載のフロースループロセス。
【請求項6】
固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団が、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーに使用されるビーズの1つまたは複数から選択される、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項7】
固体多孔性粒子の1つまたは複数の集団が、混合モードクロマトグラフィービーズを含む、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項8】
大型生体分子が、カプセル化ウイルス、ウイルス様粒子およびコンジュゲートワクチンからなる群から選択される、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項9】
1つまたは複数の夾雑物が、核酸、タンパク質、賦形剤および細胞培養添加剤からなる群から選択される、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項10】
タンパク質が宿主細胞タンパク質である、請求項8に記載のフロースループロセス。
【請求項11】
ウイルス様粒子が、BSAで被覆されたスチレン粒子である、請求項7に記載のフロースループロセス。
【請求項12】
カプセル化ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項7に記載のフロースループロセス。
【請求項13】
カプセル化ウイルスがアデノウイルスである、請求項7に記載のフロースループロセス。
【請求項14】
カプセル化ウイルスがバクテリオファージである、請求項7に記載のフロースループロセス。
【請求項15】
インフルエンザウイルスがH1N1ウイルスである、請求項11に記載のフロースループロセス。
【請求項16】
大型生体分子が、細胞培養においてまたは卵中で産生される、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項17】
試料が細胞培養上清である、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項18】
細胞培養がMDCK細胞を含む、請求項15に記載のフロースループロセス。
【請求項19】
固体多孔性粒子の少なくとも1つの集団が、200μmから600μmまでの範囲の平均直径を有する、請求項1に記載のフロースループロセス。
【請求項20】
プロセスが、試料中の大型生体分子の少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%の回収を可能にする、請求項1に記載のフロースループロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−128147(P2011−128147A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−263504(P2010−263504)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】