説明

大型紙面閲覧システム

【課題】 通常の商取引で配布されているのと同様の紙ベースのチラシやカタログの画像を、携帯電話や携帯情報端末のように画面が小さい機器を持つ利用者に対し、大きな負荷を掛けることなく呈示する方法を提供する。
【解決手段】 利用者の端末に対し、当初よりある程度の拡大に耐えうる解像度を持つチラシやカタログの画像データを提供するとともに、さらに高解像度の画像データを準備し、利用者が表示画面の拡大やスクロール操作を行ったとき、その表示部分について高解像度の画像データが提供できる場合、リクエストに応じ適宜高解像度の画像データを配信するチラシ・カタログデジタル画像サーバ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータ化された大型の紙面を携帯端末に表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の発展に伴い、ネットワークを介して商品やサービスを提供する電子商取引が拡がってきている。近年では、通信回線のインフラの整備が進んできており、高速な通信手段が利用できるようになってきた。これにより、特に電子商店と同時に店頭販売もしている商店やメーカーなどのサイトでは、もともと紙ベースで配布していたチラシやカタログについて、これらの紙面画像をデジタルデータ化して顧客に提示することにより、情報の一元化を図る動きが見られるようになってきている。
【0003】
但し、チラシやカタログの画像データ量は大きいため、これらの画像を円滑に閲覧できるのは高速な通信手段が利用可能な環境に限られており、例えば無線通信によるデータ通信においては高速化が進んできてはいるものの、受信機の地理的な位置や混雑状況などの受信環境上の理由によって、大きい画像データの受信に見合う十分な通信速度を得ることができない場合がある。また、受信側が携帯電話や携帯情報端末のように画面が小さい機器の場合、チラシやカタログのようなサイズの大きい画像を表示する方法についても対応する必要がある。
【0004】
下記特許文献1に開示された画像表示方法によれば、上述のチラシやカタログの画像のように画面のサイズとデータ量が大きい受信対象について、紙面画像を低解像度から高解像度までの何種類かの解像度でデジタルデータ化し、さらにその画像を通信に適切な容量に分割し、必要に応じてそれらの画像データをユーザの携帯電話や携帯情報端末のWebブラウザ上で作動するプログラム(ビューア)が取得し、画像を操作可能な状態で表示する。また、スクロールや拡大縮小などの操作により表示される画像の領域が移動した場合、その都度新たに表示のために必要な画像データが算定され、未取得の画像データがあった場合には該画像データの取得が無条件で自動的に行われてユーザ端末の画面に表示する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−320534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スクロールや拡大縮小などの操作により表示される画像の領域が移動した場合、新たに表示のために必要となる画像データの取得を無条件で自動的に行う方法では、取得対象の画像データが多い場合や回線スピードの制限が加わった場合、画面表示されるまでの速度が遅くなってしまう。また、スクロールした場合など、新たな表示領域についても従前と同じ解像度で表示すべきかどうかといった判断は考慮されていなかった。
【0007】
また、予め元の紙面画像を何種類かの解像度で(先の特許文献1の発明の実施の形態によると8種類)デジタルデータ化し、送信に適した容量のファイルに分割してサーバに保存する方法では、相当数のファイルを管理することとなる上、相応の記憶領域が必要となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本願の第1の発明は、ユーザ端末からネットワークを通じたリクエストを受付けて、対応する情報を返信する送受信手段と、紙面1面分の画像データが1つのファイルで構成される比較的低解像度のベース画像データを検索可能な形態で蓄積したベース画像データベースと、同紙面1面分の画像データが複数のファイルで構成される高解像度の詳細画像データを検索可能な形態で蓄積した詳細画像データベースと、呈示可能な紙面のリストを利用者に提供し選択させる紙面選択手段と、ユーザ端末からのリクエストにより紙面1面分のベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称を提供するベース画像提供手段と、ユーザ端末からリクエストされた詳細画像データをユーザ端末に提供する詳細画像提供手段と、それら紙面のデジタルデータの追加・更新・削除の保守を行う収容データ管理手段と、上記各手段を制御する制御手段を備えた大型紙面画像サーバ装置と、ネットワークを通じて前記大型紙面画像サーバ装置にリクエストを送り、ベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称及び詳細画像データを受信する送受信機能と、上記ベース画像データに上記詳細画像データを重ねてタイリングしてユーザ端末の画面に表示し、変倍、スクロール操作を行うブラウジング機能と、上記変倍操作によって一定の拡大率以上になった場合、詳細画像が存在する旨端末画面に表示する詳細画像通知機能と、詳細画像の存在の通知に応じて詳細画像の取得の要求がなされた場合、大型紙面画像サーバ装置に詳細画像データの送信をリクエストする詳細画像要求機能と、を持つビューアプログラムを備えたユーザ端末とが、ネットワークでされて構成される大型紙面閲覧システムである。
【0009】
また、前記ビューアプログラムの詳細画像通知機能は、スクロール操作が一定時間停止し、かつ変倍操作によって一定の拡大率以上になっている場合、詳細画像が存在する旨端末画面に表示するようにしても良い。
【0010】
また、前記ビューアプログラムの詳細画像通知機能は、スクロール操作が一定時間停止し、かつ変倍操作によって一定の拡大率以上になっている場合、自動的に大型紙面画像サーバ装置に詳細画像データの送信をリクエストする詳細画像要求機能を呼び出すようにしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本願の第1の発明によれば、紙面1面分のベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称とがまずビューアに送信され、このうちのベース画像データがユーザ端末の画面に表示される。このベース画像はある程度の拡大に耐えうる解像度であるため、おおまかな閲覧には十分な画質を持つ。また本装置はこの他に最高解像度の詳細画像データを持っており、このデータをローディングし表示することも利用者が任意に選択できるため、画像の解像度不足に起因するストレスが軽減される。
【0012】
本発明によれば、高解像度の詳細画像をスクロール表示する際、未取得の詳細画像データがあった場合、該画像データの取得は利用者の選択に任されていても良い。このため、従来の画像表示方法につきものだったデータの自動読込みに係る画面表示の体感速度の遅さを感じることが少ない。
【0013】
本発明による、チラシ及びカタログ紙面1面分の画像データは、低解像度のベース画像データと最高解像度の詳細画像データの2種類であり、従来の画像表示方法のように何種類かの解像度の画像データを保持する必要がない。
【0014】
本発明によれば、通常の商取引で用いられているのと同様の、紙ベースで配布していた紙面の画像がそのまま電子商取引等においても呈示することが可能となる。これにより、チラシやカタログ制作の一元化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例における大型紙面閲覧システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の大型紙面画像サーバ機能130の詳細を示すブロック図である。
【図3】大型紙面画像サーバ100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】ユーザ端末の機能を説明する図である。
【図5】ベース画像と詳細画像の例である。
【図6】詳細画像の表示を説明する図である。
【図7】ビューアからの要求とそれに対する本発明の大型紙面画像サーバの応答例を示すブロック図である。
【図8】ビューアからの要求とそれに対する本発明の大型紙面画像サーバの応答の別の例を示すブロック図である。
【図9】ビューアからの要求とそれに対する本発明の大型紙面画像サーバの応答のさらに別の例を示すブロック図である。
【図10】詳細画像の表示における分割された詳細画像データファイルの読込みを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の構成について図面を参照してさらに詳細に説明する。
本発明の実施例として、チラシ・カタログの画像を配信するネットワーク上のサイトを挙げ、該サービスを提供するコンピュータを用いてチラシ・カタログデジタル画像の配信を実施する例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施例における大型紙面画像サーバの構成を示すブロック図である。図1において、100は本発明における大型紙面画像サーバであり、インターネット上でチラシ・カタログなどの大型紙面の閲覧サービスを提供する装置である。本装置は、送受信手段110、制御手段120、大型紙面画像サーバ機能130及び大型紙面のデジタルデータが格納されている複数のデータベース(詳細な説明は後述)を備えている。
【0018】
ネットワーク500は簡略化されて表示しているが、例えばインターネットのようなゲートウェイを介した複数のネットワークの組合せであり、LAN(Local Area Network)、電話回線、移動体通信網等から構成され、ユーザ端末201、202と大型紙面画像サーバ100との間で情報の送受信を可能とするためのものである。
【0019】
チラシ・カタログなど大型紙面画像サーバに格納されている紙面の閲覧を希望する利用者は、自身で保有する携帯電話201や携帯端末・PC等202などのユーザ端末からネットワーク500を介してWWW(World Wide Web)上の上記大型紙面画像サーバ100が提供するサービスにアクセスし、チラシ・カタログなどの大型紙面(以下大型紙面と称す)の閲覧サービスを受けることができる。ユーザ端末はWebブラウザを備えており、このブラウザ上で作動する、大型紙面の画像を受取り操作可能な状態で表示するプログラム(ビューア)によって、選択した画像データの取得の指示、画像データの画面への表示および画面の拡大・縮小やスクロール操作を行うことができる。また、画像データが複数のファイルに分割されている場合や解像度の異なる画像データを表示する場合のタイリング処理及び「詳細あり」ボタン(詳細な説明は後述)をオーバーレイ表示する機能を備えている。
【0020】
図2は、大型紙面画像サーバ機能130の構成を示すブロック図である。大型紙面の閲覧を希望する利用者が該サービスを受けようとした場合、ユーザ端末のビューアからの閲覧希望のリクエストを受け、制御手段120を介し紙面選択手段131に処理を引き継ぐ。紙面選択手段131は、その時点でデータベースに登録されている大型紙面のリストを作成し、その中から閲覧を希望する大型紙面を選択するようビューアに返信する、ここで、利用者より大型紙面の閲覧が要求された場合、ベース画像提供手段132が作動される。また、収容データ管理手段139は、本サーバの管理者により作動され、大型紙面の登録や削除及びデータベース121、122のメンテナンスを行う。
【0021】
ベース画像提供手段132は、利用者からの大型紙面の閲覧のリクエスト(閲覧を希望する大型紙面の選択)により作動され、該当する大型紙面の低解像度のベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称とをユーザ端末のビューアに送信する。詳細画像データの領域分割情報には、それぞれの詳細画像データファイルの画像データがベース画像のどの部分に対応するかが記述されている。
【0022】
詳細画像提供手段133は、ベース画像提供手段132によってユーザ端末の画面に表示されたベース画像の閲覧中における利用者またはビューアからの詳細画像表示の要求に応じて作動され、要求された詳細画像データをユーザ端末のビューアへ送信する。
【0023】
図3は、大型紙面画像サーバ100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。大型紙面画像サーバ100は、制御部101、ローカル記憶部102、周辺機器I/F部103、入力部104、表示部105、通信部106がバス109を介して接続される。制御部101はCPU(中央処理装置)で装置全体を制御する、また、プログラムを実行する。記憶部102は制御部101で処理するデータやプログラムを保持する。周辺機器I/F部103はデータベース121、122やプログラムを記録したハードディスクの記憶媒体との間でデータの授受を行う。入力部104はキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力等を行う。表示部105はディスプレイ等の表示装置である。通信部106はネットワークを介して他のコンピュータ等と通信を行う。
【0024】
図1から図2に示された各手段と図3の関係であるが、大型紙面画像サーバ100の記憶部102には、大型紙面画像サーバ100として使用するコンピュータのOSのプログラムコードおよびHTTPプロトコルにより顧客からの要求を受けそれに対する応答を返すWEBサーバーソフトウェア(送受信手段110の主要部)の他に、処理の遷移を制御するコンピュータプログラムモジュール(制御手段120の主要部)および収容するデジタルデータ化されたチラシ及びカタログの登録・削除及び名称等を管理するコンピュータプログラムモジュール(収容データ管理手段139の主要部)、送受信手段110を介して、表示する大型紙面に関するリクエストに対応する対話画面を作成してビューアに送信するコンピュータプログラムモジュール(紙面選択手段131の主要部)、および利用者の端末操作に応じて送受信手段110を介して大型紙面の画面データを作成してビューアへ送信するコンピュータプログラムモジュール群(ベース画像提供手段132、詳細画像提供手段133の主要部)の実行形式プログラムが格納されており、これらのプログラムコードが制御部101に読み出されて、大型紙面画像サーバ100のハードウェアを駆動制御することにより各手段131〜139として機能する。
【0025】
図4は、ユーザ端末201,202の機能を説明する図である。ユーザ端末は携帯電話やタブレット端末、PCであったりするが、ここでは大型紙面閲覧システムとして機能する部分のみ抜き出して説明する。送受信機能220は、大型紙面画像サーバ100へのアクセスや要求の送信、ベース画像データや詳細画像データなどのデータ受信を行う。受信されたデータは画像データ記憶手段240に蓄積される。ブラウジング機能230はユーザ端末に備えられているWebブラウザに大型紙面の画像を受取り操作可能な状態で表示するプログラム(ビューア)を付加したもので、選択した画像データの取得の指示、画像データの画面への表示および画面の拡大・縮小やスクロール操作を行うことができる。また、解像度の異なる画像データをタイリングして表示する機能を持つ。詳細画像通知機能231は取得した詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称を管理し、詳細画像データの有無を判定し「詳細あり」ボタン(詳細な説明は後述)をオーバーレイ表示する機能持つ。詳細画像要求機能232は、詳細画像通知機能231で通知した詳細画像データについてデータ取得の要求を受付け、大型紙面画像サーバ100へ詳細画像データの配信を要求する機能を備えている。
【0026】
図5はベース画像と詳細画像の例を示す図である。ベース画像はデータベース上では1つのファイルで構成されており、ビューアからのリクエストを受け、ベース画像提供手段132によってビューアにローディングされる画像データである。例えば図のように1000ピクセル×750ピクセル程度のサイズが好適である。この程度のピクセル数があればビューア上で200パーセント程度拡大表示した場合でも視認できるレベルの画質が期待できる。詳細画像は最高解像度の画像データでデータベース上では複数のファイル(例では25個のファイルに分割)で構成されるのが通常であり、ビューアの詳細画像要求機能232によって詳細画像の提供がリクエストされた場合、詳細画像提供手段133により指定された詳細画像データがビューアにローディングされる。データ転送速度を考慮して、図の例のように、分割された一つの詳細画像データは800ピクセル×600ピクセル程度のサイズが好適である。尚、図の例のように1紙面の最高解像度が4000ピクセル×3000ピクセルとすると、200線/インチでほぼ新聞紙面1ページ、133線/インチで新聞紙面見開きの大きさをカバーできる。
【0027】
図6は詳細画像の表示について説明する図である。大型紙面の閲覧をリクエストした当初ではビューアにはベース画像が表示される。その後、ビューアにおいて表示画面の拡大操作が行われた場合、ビューアが詳細画像データの領域分割情報を解析し、図5左側画像に示すように、詳細画像が存在する旨利用者に通知(詳細な説明は後述)され、さらに利用者が詳細画像の表示を要求した場合、図5右側画像に示すように、詳細画像データがローディングされ表示される。
【0028】
図7は、ビューアからの要求とそれに対する本発明の大型紙面画像サーバ100の挙動を示すブロック図である。サービス利用者は、自身で保有するユーザ端末のビューアを用いて、ネットワーク500を経て、本実施例の大型紙面の画像配信サイトの大型紙面画像サーバ100にアクセスする。ここで閲覧可能な大型紙面を問い合わせた場合(S01)、制御手段120は紙面選択手段131を作動させる。紙面選択手段131は閲覧可能な大型紙面のリストを呈示する画面を作成し、ビューアに送信し画面表示させる(S02)、尚、この表示データ中には紙面の名称の他、ベース画像や詳細画像の情報が含まれている。
【0029】
サービス利用者は、ビューアを用いて、呈示された閲覧可能な大型紙面のリストより閲覧したい紙面のファイル名、パス名、URLなどの名称を大型紙面画像サーバ100に送信する(S03)。このとき、制御手段120はベース画像提供手段132を作動させる。ベース画像提供手段132はベース画像データベースよりベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称(図には付随情報と略記)とをビューアに送信する(S04)。
【0030】
サービス利用者は、ビューアを用いてベース画像を閲覧する、このときビューアの機能で表示画面の拡大・縮小やスクロール操作を行うが、閲覧中に拡大操作を行いその結果ベース画像の拡大率が所定の値(例えば200パーセント)を超えた場合、それより拡大すると画質が粗くなる懸念が生じるため、当該画面について詳細画像データが存在するかどうか、ベース画像データとともに取得した詳細画像データの領域分割情報から算定し、詳細画像データが存在する場合、ビューアは「詳細あり」のボタンを現在表示中の画面にオーバーレイさせて表示する(S05)。ここで、利用者の操作によってベース画像の拡大率が所定の値(例えば200パーセント)以下に戻った場合、ビューアは「詳細あり」のボタン表示を取り消す。
【0031】
また、一つめの変形例として図8による別の手続を行ってもよい。これによるとサービス利用者は、ビューアを用いてベース画像を閲覧する、このときビューアの機能で表示画面の拡大・縮小やスクロール操作を行うが、閲覧中にスクロール操作を一定時間中断(2秒程度が好適)し、かつ、画像の拡大率が所定の値を超えている場合、利用者がその部分を注視している確率が高いと予測し、当該画面について詳細画像データが存在するかどうか、ベース画像データとともに取得した詳細画像データの領域分割情報から算定し、詳細画像が存在する場合、ビューアは「詳細あり」のボタンを現在表示中の画面にオーバーレイさせて表示する(S15)。
【0032】
ビューアに「詳細あり」のボタンが表示されているときに、利用者がこのボタンをクリックした場合、ビューアは詳細画像要求機能232を作動させ、大型紙面画像サーバ100に対し該詳細画像データの送信を要求する(S06、S16)。
【0033】
また、二つめの変形例として図9による別の手続を行ってもよい。これによるとサービス利用者は、ビューアを用いてベース画像を閲覧中にスクロール操作を一定時間中断(2秒程度が好適)し、かつ、画像の拡大率が所定の値を超えている場合、利用者がその部分を注視している確率が高いと予測し、当該画面について詳細画像データが存在するかどうか、ベース画像データとともに取得した詳細画像データの領域分割情報から算定し、詳細画像が存在する場合、ビューアは詳細画像要求機能232を作動させ、大型紙面画像サーバ100に対し自動的に詳細画像データの送信を要求する(S25)。
【0034】
大型紙面画像サーバ100は、該詳細画像データの送信の要求を受取ると、詳細画像提供手段133を作動させる。詳細画像提供手段133はこれを受け該詳細画像データをビューアに送信する(S07、S17、S26)。
【0035】
その後、利用者がスクロール操作を行い、その結果、まだ詳細画像のデータがローディングされていない範囲に表示エリアが移動した場合、S05、S15、S25のそれぞれのステップ以降の処理を繰り返す。ただし、送信するデータ量を軽減するため、ビューアは既に受信した詳細画像のデータについては取得の要求はしない。
【0036】
図10は詳細画像の表示における分割された詳細画像データファイルの読込みを説明する図である。既に詳細画像が表示されているエリアが図10左の「表示エリア」である場合、詳細画像データファイル1、2、6、7、11、12番がビューアにローディングされており、この部分については詳細画像が表示可能である。また、この後ビューアのスクロール操作によって表示エリアが変更された場合、まだ詳細画像がローディングされていない部分についてはベース画像が表示され、詳細画像通知機能231によって詳細画像が存在する旨利用者に通知される。このとき新たに詳細画像の読み込みの要求がなされた場合、既にローディング済みの詳細画像データファイル7、12番を除いた8、13、17、18番の詳細画像データファイルがビューアにローディングされる(図10右の「表示エリア」参照)。この場合、新たな表示範囲には含まれなくなった、既にビューアに読込済の分割された詳細画像データファイルは、全て残され消去されない。
【0037】
本発明によれば、電子商取引等においても、通常の商取引で配布されているのと同様の紙ベースのチラシやカタログ、新聞などの大型紙面画像を利用者に対し大きな負荷を掛けることなく呈示することができ、チラシやカタログ、新聞などの大型紙面制作の一元化を図ることができる。
【0038】
本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更、応用が可能である。例えば、本実施例ではビューアが作動するユーザ端末として携帯電話や携帯端末を例示しているが、デスクトップパソコンや電子ブックを対象としても同様に本発明の実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
100 大型紙面画像サーバ
101 制御部
102 記憶部
103 周辺機器I/F部
104 入力部
105 表示部
106 通信部
110 送受信手段
120 制御手段
121 ベース画像データベース
122 詳細画像データベース
130 大型紙面画像サーバ機能
131 紙面選択手段
132 ベース画像提供手段
133 詳細画像提供手段
139 収容データ管理手段
201,202 ユーザ端末
500 ネットワーク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型紙面画像サーバ装置とビューアプログラムを備えたユーザ端末装置とがネットワークで接続されて構成される大型紙面閲覧システムであって、
前記大型紙面サーバ装置は、ユーザ端末からネットワークを通じたリクエストを受付けて、対応する情報を返信する送受信手段と、
紙面1面分の画像データが1つのファイルで構成される比較的低解像度のベース画像データを検索可能な形態で蓄積したベース画像データベースと、
同紙面1面分の画像データが複数のファイルで構成される高解像度の詳細画像データを検索可能な形態で蓄積した詳細画像データベースと、
呈示可能な紙面のリストを利用者に提供し選択させる紙面選択手段と、
ユーザ端末からのリクエストにより紙面1面分のベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報と該詳細画像データの名称を提供するベース画像提供手段と、
ユーザ端末からリクエストされた詳細画像データをユーザ端末に提供する詳細画像提供手段と、
それら紙面のデジタルデータの追加・更新・削除の保守を行う収容データ管理手段と、
上記各手段を制御する制御手段を備えたものであって、また前記ユーザ端末装置は、ネットワークを通じて大型紙面画像サーバ装置にリクエストを送り、ベース画像データ及び該紙面の詳細画像データの領域分割情報とファイル名及び詳細画像データを受信する送受信機能と、
上記ベース画像データに上記詳細画像データを重ねてタイリングしてユーザ端末の画面に表示し、変倍、スクロール操作を行うブラウジング機能と、
上記変倍操作によって一定の拡大率以上になった場合、詳細画像が存在する旨端末画面に表示する詳細画像通知機能と、
詳細画像の存在の通知に応じて詳細画像の取得の要求がなされた場合、大型紙面画像サーバ装置に詳細画像データの送信をリクエストする詳細画像要求機能と、
を持つビューアプログラムを備えたものであることを特徴とする大型紙面閲覧システム。
【請求項2】
前記詳細画像通知機能は、スクロール操作が一定時間停止し、かつ変倍操作によって一定の拡大率以上になっている場合、詳細画像が存在する旨端末画面に表示する、請求項1に記載の大型紙面閲覧システム。
【請求項3】
前記詳細画像通知機能は、スクロール操作が一定時間停止し、かつ変倍操作によって一定の拡大率以上になっている場合、自動的に大型紙面画像サーバ装置に詳細画像データの送信をリクエストする詳細画像要求機能を呼び出す、請求項1に記載の大型紙面閲覧システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−61817(P2013−61817A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200070(P2011−200070)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】