説明

大型置換基を有する非フェノール性アミンオピオイド

一般構造式(I)で表される8−置換−2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類は、鎮痛薬、下痢止め薬、鎮痙薬、鎮咳薬及び抗嗜癖薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
《連邦政府による資金提供を受けた研究》
以下の発明は、米国保健社会福祉省によって授与された契約番号R01DA12180の下で、米国政府支援によりなされたものである。米国政府は、この発明において一定の権利を有する。
【0002】
《発明の分野》
本発明は、カルボキサミドの窒素原子上に大型置換基を有するカルボキサミド基を含有するオピオイド受容体結合化合物に関する。本化合物は、鎮痛薬、下痢止め薬、鎮痙薬、抗肥満薬、鎮咳薬、抗コカイン薬、及び抗嗜癖薬として有用である。
【0003】
《発明の背景》
1805年のモルヒネの単離以来、オピエートは熱心な研究の対象であり、オピエート又はオピエート様活性を有する何千もの化合物が同定されてきた。ヒトの痛覚脱失を引き起こすために使用される化合物(例えばモルヒネ)及びヒトの薬物嗜癖を治療するために使用される化合物(例えばナルトレキソン及びシクラゾシン)を含む多くのオピオイド受容体相互作用性化合物は、経口バイオアベイラビリティーが乏しく、体内からのクリアランス速度が非常に迅速であるため、有用性には限界があった。これが、ベンゾモルファン類[(例えばシクラゾシン及びEKC(エチルケトシクラゾシン)]としても知られている2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類の8位のヒドロキシル基(OH)並びにモルフィナン類(例えばモルヒネ)の対応する3位のOH基の存在によるものであることは多くの実例中で示されてきた。
【化1】

【0004】
これらのヒドロキシル基の高い極性により、親分子の経口吸収が遅延する。更に、8位(又は3位)のOH基は、スルホン化及びグルクロン酸抱合(第II相代謝)を受けやすく、スルホン化及びグルクロン酸抱合の両方とも活性化合物の迅速な排泄を促進し、その結果、活性化合物に対して不都合なほど短い半減期をもたらす。2001年のWentlandの刊行物に至るまでずっと、過去70年の当技術分野における一貫した経験は、8位(又は3位)のOH基の除去又は置換により、薬理学的に不活性な化合物がもたらされたということであった。
【0005】
米国特許第6,784,187号明細書(Wentlandに属する)は、オピオイドのフェノール性OHをCONHにより置き換えることができることを開示した。オピオイドのシクラゾシンシリーズにおいては、8−カルボキサミドシクラゾシン(8−CAC)が、μ及びκオピオイド受容体に対して高い親和性を有することが示された。インビボでの研究においては、8−CACは高い抗侵害受容活性を示し、8−CACとシクラゾシンとの両方をマウスに1mg/kg腹腔内投与したときに、シクラゾシンよりもかなり長い活性持続時間を示した(15時間対2時間)。8−CACに対する予備的な構造活性相関研究では、カルボキサミド基窒素原子のメチル基又はフェニル基での一置換がモルモットのμ受容体に対する結合親和性を、それぞれ75倍及び2313倍減少させ、一方カルボキサミド基のジメチル化が結合親和性を9375倍減少させたことが明らかになった。カルボキサミド基窒素原子の置換がかかる有害効果を有するという発見は、アミド基のNHがオピオイド結合に対して極めて重要であることを示唆した。
【0006】
《発明の要約》
本発明者らは今、カルボキサミド基の窒素原子をかなり大型の比較的非極性の基で置換することができること、及びそのような化合物が優れたオピオイド結合性と、恐らくは、良好な代謝安定性を示すことを見出した。従って、本発明の化合物は、鎮痛薬、かゆみ止め薬、下痢止め薬、鎮痙薬、鎮咳薬、食欲抑制薬として有用であり、並びに痛覚過敏、薬物嗜癖、呼吸抑制、ジスキネジア、痛み(神経障害性の痛みを含む)、過敏性腸症候群及び胃腸運動障害のための治療として有用である。本明細書で使用される薬物嗜癖には、アルコール及びニコチン嗜癖が含まれる。本化合物は免疫抑制薬及び抗炎症薬としても有用であり得、並びに虚血性障害減少(及び心臓保護)のためにも、学習及び記憶の改善のためにも、並びに尿失禁の治療のためにも有用であり得るという証拠が文献に存在する。
【0007】
或る観点においては、本発明は、式I:
【化2】

(式中、
及びRはそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、−COR10、−SO10、−CONR1011、−C(=S)R10、−C(=NOR11)R10、C(=NR10)R11及び−SONR1011から選択されるか;
又は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R及びRは、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
は、水素原子、C〜C炭化水素基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、並びに、ヒドロキシル基又はカルボニル基で置換されたC〜C20アルキル基から選択され;
は、低級アルキル基であり;
は、低級アルキル基であり;
は、水素原子、NR1011及び−OR10から選択されるか;又は、
、R、R及びRが一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
及びR8aは、両方ともに水素原子であるか、又は、R及びR8aが一緒になって、=Oであり;
は、水素原子及び低級アルキル基から選択され;
10及びR11はそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、ヒドロキシル基、アミノ基又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり;
yは、−(C(R10)(R11))p−又は直接結合であり、ここで、pは、0、1、2、3、4、5、6、又は7であり;
は、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり、ここで、qは、0、1、2、3、4又は5であり;
Lは、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり;並びに
Cyは、Ar−B−Arであり、ここで、
Arは、存在しないか、あるいは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができ;
Bは、直接結合、−O−、−NR10、−SO、又は−(C(R10)(R11)s−であり、ここで、sは、0、1、2、3、4又は5であり;及び
【0008】
Arは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができるものとする)
で表される化合物に関する。
【0009】
別の観点においては、本発明は、オピオイド受容体と相互に作用する第1の化合物が知られているときで、前記第1の化合物がフェノール性ヒドロキシル基を含有するときに、オピオイド受容体と相互に作用する第2の化合物を製造する方法に関するものであり、前記方法は、前記フェノール性ヒドロキシル基を、式:
【化3】

で表される残基に変換することを含むものである。
【0010】
いくつかの実施態様においては、残基
【化4】

は、
【化5】

であり、ここで、Zは、CR10又はNであるが、但し、NRy基の末端芳香環への結合点において、及び末端芳香環の近接芳香環への結合点において、Zは、Cでなければならないものとする。
【0011】
別の観点においては、本発明は、式Iで表される化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤に関する。
【0012】
別の観点においては、本発明は、それが必要な患者においてオピオイド受容体の結合に関連する病態又は疾患を予防又は治療する方法であって、式Iで表される化合物の有効量を含む組成物を前記患者に投与する工程を含む、前記方法に関する。いくつかの実施態様においては、治療又は予防されるべき疾患又は病態は、痛み、かゆみ、下痢、過敏性腸症候群、胃腸運動障害、肥満症、呼吸抑制、痙攣、咳、痛覚過敏及び薬物嗜癖である。更なる実施態様においては、薬物嗜癖は、ヘロイン、コカイン、ニコチン又はアルコール嗜癖を包含する。その他の実施態様においては、病態は、痛みであり、組成物は更に、オピオイドの有効量を含む。
【0013】
《発明の詳細な説明》
長年のSAR研究から、モルフィナン類及びベンゾモルファン類のヒドロキシル基は、オピエート受容体の特異的部位と相互に作用することが知られている。本発明者らは今、驚くべきことに、ヒドロキシル基を非常に大型のカルボキサミド残基で置き換えることができることを見出した。かなり広範囲の第二級カルボキサミド類が25ナノモル未満の望ましい範囲で結合性を示す。
【0014】
ベンゾモルファン類及びモルフィナン類のフェノール性ヒドロキシル基は、米国特許第6,784,187号及び第7,057,035号明細書に記載されている単純で柔軟性に富む便利な経路により化学的にカルボキサミド基に変換することができるため、新規な治療薬のファミリー全体に扉が開かれている。前記新規な治療薬の多くは、それらの活性がオピオイド結合性に基づく周知の治療薬に対して本明細書に示す原理を応用することから直接に得られるものである。更に、この受容体は、Qのいくつかの変形形態を許容すると思われるので、人は更に、アリール置換基の特性を変えることにより、受容体特異性、親和性及び組織分布を調節することを意図することができる。
【0015】
或る観点においては、本発明は、式I:
【化6】

(式中、
及びRはそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、−COR10、−SO10、−CONR1011、−C(=S)R10、−C(=NOR11)R10、C(=NR10)R11及び−SONR1011から選択されるか;
又は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R及びRは、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
は、水素原子、C〜C炭化水素基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、並びに、ヒドロキシル基又はカルボニル基で置換されたC〜C20アルキル基から選択され;
は、低級アルキル基であり;
は、低級アルキル基であり;
は、水素原子、NR1011及び−OR10から選択されるか;又は、
、R、R及びRが一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
及びR8aは、両方ともに水素原子であるか、又は、R及びR8aが一緒になって、=Oであり;
は、水素原子及び低級アルキル基から選択され;
10及びR11はそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、ヒドロキシル基、アミノ基又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり;
yは、−(C(R10)(R11))p−又は直接結合であり、ここで、pは、0、1、2、3、4、5、6、又は7であり;
は、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり、ここで、qは、0、1、2、3、4又は5であり;
Lは、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり;並びに
Cyは、Ar−B−Arであり、ここで、
Arは、存在しないか、あるいは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができ;
Bは、直接結合、−O−、−NR10、−SO、又は−(C(R10)(R11)s−であり、ここで、sは、0、1、2、3、4又は5であり;及び
Arは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができるものとする)
で表される化合物に関する。
【0016】
前述の構造の下位分類としては、下記のものが挙げられる:
II.R、R、R及びRが更なる環を形成しない、上に示す構造で表される2,6−メタノ−3−ベンゾアゾシン類:
【化7】

III.R及びRが1環を形成するモルフィナン類:
【化8】

IV.R、R及びRが2環を形成するモルフィナン類:
【化9】

(式中、
19は、水素原子又は低級アルキル基であり;
20は、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択されるか;又は、R19及びR20が一緒になって、炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;又は、
21及びR22が一緒になって、カルボニル基又はビニル置換基を形成し;
13は、水素原子又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり;並びに、
14は、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、アシル基又はフマレート基であるものとする)
V.R及びR21が更に第6の環を形成し、その環が飽和:
【化10】

又は不飽和であることができるモルフィナン類:
【化11】

【0017】
いくつかの実施態様においては、Cyの例としては:
【化12】

(式中、Wは、[C(R、CR8a、O、NR、S及びCR=CRから選択され;そして、nは、1、2、3、4又は5であるものとする)
が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0018】
いくつかの実施態様においては、本発明は、式II:
【化13】

で表される化合物に関する。
【0019】
いくつかの実施態様においては、Zは、Nである。更にその他の実施態様においては、Zは、CR10である。更なる実施態様においては、R10は、水素原子である。その他の実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのある低級アルキル基又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基である。更なる実施態様においては、R10は、メチル基である。
【0020】
いくつかの実施態様においては、R及びRはそれぞれ、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、場合により置換されていることのある低級アルキル基である。更にその他の実施態様においては、R及びRはそれぞれ、場合により置換されていることのある低級アルキル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R及びRはそれぞれ、メチル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−COR10であり、R10は、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、tert−ブトキシ基である。更にその他の実施態様においては、Rは、それが結合している窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である。更なる実施態様においては、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有する。
【0021】
いくつかの実施態様においては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、ヘテロシクリル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、ヒドロキシアルキル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、C〜C炭化水素基である。更なる実施態様においては、Rは、シクロプロピル基又はシクロブチル基である。
【0022】
いくつかの実施態様においては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、ヒドロキシル基又はアミノ基である。更にその他の実施態様においては、Rは、低級アルコキシ基である。更にその他の実施態様においては、Rは、C〜C20アルキル基あるいはヒドロキシル基又はカルボニル基で置換されたC〜C20アルキル基である。更なる実施態様においては、Rは、メチル基又はエチル基である。
【0023】
は、低級アルキル基である。いくつかの実施態様においては、Rは、メチル基である。
【0024】
は、低級アルキル基である。いくつかの実施態様においては、Rは、メチル基である。
【0025】
いくつかの実施態様においては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、−OR10である。更なる実施態様においては、Rは、ヒドロキシル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、NR1011である。更なる実施態様においては、Rは、NH、NHCH又はNH(CHである。
【0026】
いくつかの実施態様においては、R、R、R及びRが一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有する。いくつかの代表例は、上記亜属III、IV及びVにおいて示される。
【0027】
本発明の実施態様においては、R及びR8aは、両方ともに水素原子である。別の実施態様においては、R及びR8aが一緒になって、=Oを形成する。
【0028】
いくつかの実施態様においては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、低級アルキル基である。
【0029】
いくつかの実施態様においては、R10及びR11はそれぞれ、独立して、水素原子である。その他の実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり、R11は、水素原子又はメチル基である。更にその他の実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのある低級アルキル基であり、R11は、水素原子又はメチル基である。更にその他の実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのあるアリール基であり、R11は、水素原子又はメチル基である。更にその他の実施態様においては、R10は、ヒドロキシル基又はアミノ基であり、R11は、水素原子又はメチル基である。
【0030】
本発明の実施態様においては、yは、CHである。別の実施態様においては、yは、直接結合である。
【0031】
いくつかの実施態様においては、Zは、CHである。その他の実施態様においては、Zは、Nである。NRy基の末端芳香環への結合点において、及び末端芳香環の近接芳香環への結合点において、Zは、Cでなければならない。
【0032】
本発明のいくつかの実施態様においては、式IIは下記の配向(orientation)を有する:
【化14】

【0033】
ここに示される残基
【化15】

は、以下において、時にはQということがある。
【0034】
本発明の特定の実施態様においては、Qの芳香環は、パラ配向(orientation)を有する:
【化16】

【0035】
更にその他の実施態様においては、それぞれのZは、炭素原子に等しい:
【化17】

【0036】
式I及び式IIの特定の実施態様においては、R、R8a及びRはそれぞれ、水素原子であり、Rは、メチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、3−オキソ−5−シクロペンチル−1−ペンタニル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、シクロプロピル基である。その他の実施態様においては、Rは、ヒドロキシシクロプロピル基である。その他の実施態様においては、Rは、シクロブチル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、水素原子である。更にその他の実施態様においては、Rは、フェニル基、フラニル基又はテトラヒドロフラニル基である。更なる実施態様においては、Rは、ビニル基又はジメチルビニル基である。
【0037】
本発明のいくつかの実施態様においては、−yNRは、パラ配向(orientation)(4位)に結合している:
【化18】

これらの実施態様のいくつかにおいては、yは、直接結合である。更にその他の実施態様においては、R及びRはそれぞれ、低級アルキル基に等しい。いくつかの実施態様においては、R及びRはそれぞれ、水素原子及びメチル基から選択される。更なる実施態様においては、R及びRは、両方ともにメチル基である。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、置換されたアルキル基である。例えば、Rは、トリフェニルメチル基又はベンジル基であることができるであろう。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−SO10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアリール基、例えば、トルエン基である。更にその他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−COR10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアルコキシ基、例えば、フルオレニルメトキシ基、t−ブトキシ基、又はベンジルオキシ基である。その他のこれらの実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのあるアルキル基、例えば、メチル基又はトリフルオロメチル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、それが結合している窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である。更にその他の実施態様においては、−NRは一緒になって、場合により置換されていることのある1〜3環を形成する。一つの例は、フタルイミド基である。
【0038】
これらの実施態様のいくつかにおいては、yは、−CHである。更にその他の実施態様においては、R及びRはそれぞれ、低級アルキル基に等しい。いくつかの実施態様においては、R及びRはそれぞれ、水素原子及びメチル基から選択される。更なる実施態様においては、R及びRは、両方ともにメチル基である。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、置換されたアルキル基である。例えば、Rは、トリフェニルメチル基又はベンジル基であることができるであろう。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−SO10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアリール基、例えば、トルエン基である。更にその他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−COR10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアルコキシ基、例えば、フルオレニルメトキシ基、t−ブトキシ基、又はベンジルオキシ基である。その他のこれらの実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのあるアルキル基、例えば、メチル基又はトリフルオロメチル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、それが結合している窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である。更にその他の実施態様においては、−NRは一緒になって、場合により置換されていることのある1〜3環を形成する。一つの例は、フタルイミド基である。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様においては、−yNRは、メタ配向(orientation)(3位)に結合している。これらの実施態様のいくつかにおいては、yは、直接結合である。その他の実施態様においては、R及びRはそれぞれ、水素原子及びメチル基から選択される。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、置換されたアルキル基である。例えば、Rは、トリフェニルメチル基又はベンジル基であることができるであろう。その他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−SO10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアリール基、例えば、トルエン基である。更にその他の実施態様においては、Rは、水素原子であり、Rは、−COR10である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R10は、場合により置換されていることのあるアルコキシ基、例えば、フルオレニルメトキシ基、t−ブトキシ基、又はベンジルオキシ基である。その他のこれらの実施態様においては、R10は、場合により置換されていることのあるアルキル基、例えば、メチル基又はトリフルオロメチル基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、それが結合している窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である。更にその他の実施態様においては、−NRは一緒になって、場合により置換されていることのある1〜3環を形成する。一つの例は、フタルイミド基である。
【0040】
いくつかの実施態様においては、R及びRが一緒になって、1環を形成する:
【化19】

これらの実施態様のいくつかにおいては、R、R及びR8aはそれぞれ、水素原子である。その他の実施態様においては、R及びR8aはそれぞれ、水素原子であり、Rは、ヒドロキシル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、アミノ基である。これらの実施態様のいくつかにおいては、Rは、水素原子である。その他の実施態様においては、Rは、シクロプロピル基又はシクロブチル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、ビニル基である。更にその他の実施態様においては、Rは、テトラヒドロフラニル基である。いくつかの実施態様においては、化合物は、式:
【化20】

で表される。
【0041】
いくつかの実施態様においては、R、R及びRが一緒になって、構造:
【化21】

を有する2環を形成する。これらの実施態様においては、R19は、水素原子又は低級アルキル基であり;R21は、水素原子である。これらの実施態様のいくつかにおいては、R20は、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択される。その他の実施態様においては、R19及びR20が一緒になって、炭素原子5〜10のスピロ縮合炭素環を形成する。更にその他の実施態様においては、R22は、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択される。更にその他の実施態様においては、R13は、水素原子又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基である。更にその他の実施態様においては、R14は、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、アシル基又はフマレート基である。
【0042】
更にその他の実施態様においては、R21及びR22が一緒になって、カルボニル基又はビニル置換基を形成する。いくつかの実施態様においては、化合物は、式:
【化22】

で表される。その他の実施態様においては、R及びR21が一緒になって、下に例示される第6の環を形成する:
【化23】

これらの実施態様のいくつかにおいては、化合物は、式:
【化24】

で表される。別の実施態様においては、R及びR21は:
【化25】

により例示される第6の環を形成する。いくつかの実施態様においては、化合物は、式
【化26】

で表される。これらの実施態様のいくつかにおいては、R19は、水素原子であり;R20は、ヒドロキシ(低級アルキル)基であり;R22は、低級アルコキシ基である。
【0043】
別の観点においては、本発明は、オピオイド受容体と相互に作用する第1の化合物が知られているときに、オピオイド受容体と相互に作用する第2の化合物を製造する方法に関する。第1の化合物がフェノール性ヒドロキシル基を含有するとき、前記方法は、フェノール性ヒドロキシル基を構造:
【化27】

で表される残基に変換することを含む。いくつかの実施態様においては、前記残基は、
【化28】

であり、これを時にはQということがある。
【0044】
μ、δ及びκアゴニストである化合物は鎮痛活性を示し;選択的μアゴニストである化合物は下痢止め活性を示し、ジスキネジアの治療に有用であり;μアンタゴニスト及びκアゴニストはヘロイン、コカイン、アルコール及びニコチン嗜癖の治療に有用であり;κアゴニストはまた、かゆみ止め薬でもあり、痛覚過敏の治療に有用であることが当該技術分野において知られている。最近、κアゴニストがレトロウイルス感染症の治療にも有用であることが見出された[Peterson et al.Biochem.Pharmacol.61,1141−1151(2001)]。一般に、上記タイプIIIのモルフィナン類の右旋性異性体は、鎮咳薬及び鎮痙薬として有用である。
【0045】
周知の高い親和性を有するオピオイド受容体リガンドを、以下の諸チャートに示す。これらの化合物において、OHを残基
【化29】

で又はQで置き換えることにより、類似の活性及びよりよいバイオアベイラビリティーを示す化合物が製造される。
【化30】

【化31】

【化32】

【0046】
その他のオピオイド受容体リガンドは、Aldrich,J.V.“Analgesics”in Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,M.E.Wolff ed.,John Wiley & Sons 1996,pages 321−44.に記載されている。この開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。前述の化合物のうち2つを除くすべてにおいて、本発明による残基
【化33】

により又はQにより置き換えられるべき単一のフェノール性OHが存在する。ノルビナルトルフィミン及び361444−66−8においては、2つのフェノール性OHが存在し、そのいずれか又は両方が、残基
【化34】

により又はQにより置き換えられる。
【0047】
化合物をスクリーニングするために使用される結合アッセイは、以前にNeumeyer et al.,Design and Synthesis of Novel Dimeric Morphinan Ligands for κ and μ Opioid Receptors.J.Med.Chem.2003,46,5162.により報告されたアッセイと同様である。ヒトのオピオイド受容体の一つの型を安定して発現するCHO細胞からの膜タンパク質を、異なる12濃度の化合物とともに、1nM[H]U69,59310(κ)、0.25nM[H]DAMGO11(μ)又は0.2nM[H]ナルトリンドール12(δ)のいずれかの存在下に、最終容積1mLの50mMトリス−HCl(pH7.5)中、25℃でインキュベートした。[H]U69,593及び[H]DAMGOについては、60分のインキュベーション時間を用いた。[H]ナルトリンドールの受容体との会合はもっと遅いので、この放射性リガンドについては、3時間のインキュベーションを用いた。[H]ナルトリンドールとともにインキュベートした試料には更に、10mM MgCl及び0.5mMフェニルメチルスルホニルフルオリドを含有させた。非特異的結合は、10μMナロキソンを含めることにより測定した。Brandelの48ウェルセルハーベスターを用いて、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して試料を濾過することにより、結合を停止させた。その後、フィルターを、3mLの冷50mMトリス−HCl(pH7.5)で3回洗浄して、2mLのエコシンチAシンチレーション液中でカウントした。[H]ナルトリンドール及び[H]U69,593の結合については、フィルターを、使用前少なくとも60分間、0.1%ポリエチレンイミン中に浸漬した。IC50値は、対数プロビット解析への最小二乗適合により計算した。非放射性化合物のK値は、方程式K=(IC50)/1+Sから計算した。この式中、S=(放射性リガンド濃度)/(放射性リガンドのK)である13。データは、3回ずつ行なう少なくとも3つの実験からの平均値±SEMである。
【0048】
35S]GTPγS結合アッセイ。最終容積0.5mL中で、異なる12濃度の各試験化合物を、ヒトのκ、δ又はμオピオイド受容体のいずれかを安定して発現するCHO細胞膜15μg(κ)、10μg(δ)又は7.5μg(μ)とともにインキュベートした。アッセイ緩衝液は、50mMトリス−HCl(pH7.4)、3mM MgCl、0.2mM EGTA、3μM GDP、及び100mM NaClからなっていた。[35S]GTPγSの最終濃度は、0.080nMであった。非特異的結合は、10μM GTPγSを含めることにより測定した。結合は、膜の添加により開始した。30℃で60分のインキュベーション後、Schleicher & SchuellのNo.32ガラス繊維フィルターを通して、試料を濾過した。フィルターを冷50mMトリス−HCl(pH7.5)で3回洗浄して、2mLのエコシンチシンチレーション液中でカウントした。データは、3回ずつ行なう少なくとも3つの別個の実験からの平均Emax及びEC50値±S.E.M.である。Emax値の計算については、基礎の[35S]GTPγS結合を0%に設定した。μオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、μオピオイド受容体を発現するCHO膜を、200nMのμアゴニストDAMGO存在下に、異なる12濃度の化合物とともにインキュベートした。κオピオイド受容体における化合物のアンタゴニスト活性を定量するために、κオピオイド受容体を発現するCHO膜を、100nMのκアゴニストU50,488存在下に、化合物とともにインキュベートした。化合物がδ受容体におけるアンタゴニストであるかどうかを決定するために、δ受容体を発現するCHO膜を、10nMのδ選択的アゴニストSNC80存在下に、異なる12濃度の試験化合物とともにインキュベートした。
【化35】

【化36】

【0049】
抗侵害受容活性は、Jiang et al.[J.Pharmacol.Exp.Ther.264,1021−1027(1993),page 1022]に記載されている方法により評価した。本発明の化合物のED50値は、マウスの酢酸ライジング試験で、脳室内投与したとき、100nmol未満であることが期待される。更に、腹腔内投与したとき、本発明の化合物について、その「親」化合物に比べて作用持続時間の増加が期待される。
【0050】
《定義》
この明細書の全体にわたり、用語及び置換基はその定義を保持する。
【0051】
アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状炭化水素構造及びその組み合わせを含むことを意味する。組み合わせは、例えば、シクロプロピルメチル基であろう。低級アルキル基は、炭素原子1〜6個のアルキル基を指す。低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、s−及びt−ブチル基、及びシクロブチル基などが挙げられる。好ましいアルキル基は、C20又はそれ未満のアルキル基である。シクロアルキル基はアルキル基の下位集合であり、シクロアルキル基としては炭素原子3〜8個の環状炭化水素基が挙げられる。シクロアルキル基の例としては、c−プロピル基、c−ブチル基、c−ペンチル基、及びノルボルニル基などが挙げられる。
【0052】
アルコキシ基又はアルコキシル基は、親構造に酸素原子を介して結合している炭素原子1〜8個の直鎖状、分岐状、又は環状構造及びその組み合わせの基を指す。例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。低級アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含有する基を指す。
【0053】
アリール基及びヘテロアリール基は、5若しくは6員の芳香環基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する5若しくは6員の芳香族複素環基;二環式9若しくは10員の芳香環系基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する二環式9若しくは10員の芳香族複素環系基;あるいは、三環式13若しくは14員の芳香環系基又はO、N、若しくはSから選択されるヘテロ原子を0〜3個含有する三環式13若しくは14員の芳香族複素環系基を意味する。芳香族6〜14員の炭素環式環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、及びフルオレンが挙げられ、5〜10員の芳香族複素環式環としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール及びピラゾールが挙げられる。本明細書で使用されるアリール基及びヘテロアリール基は、1以上の環が芳香族であるがすべてが芳香族である必要はない残基を指す。
【0054】
アリールアルキル基は、アリール環に結合しているアルキル残基を意味する。例としては、ベンジル基、及びフェネチル基などを挙げることができる。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール環に結合しているアルキル残基を意味する。例としては、例えば、ピリジニルメチル基、及びピリジニルエチル基などが挙げられる。
【0055】
〜C20炭化水素基は、元素構成としては水素原子及び炭素原子だけからなる直鎖状、分岐状又は環状の残基を意味し、アルキル基、シクロアルキル基、ポリシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びその組み合わせが挙げられる。例としては、ベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシルメチル基、カンホリル基及びナフチルエチル基が挙げられる。
【0056】
複素環基は、1〜2個の炭素原子が、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子などのヘテロ原子により置き換えられているシクロアルキル又はアリール残基を意味する。ヘテロアリール基は、複素環基の下位集合を形成する。本発明の範囲内に入る複素環の例としては、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在するときは、一般にメチレンジオキシフェニル基という)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、ジオキサン、及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0057】
置換されたアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基などは、各残基中の3個以下のH原子が、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、フェニル基、ヘテロアリール基、ベンゼンスルホニル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルボキシ基、カルボアルコキシ基(アルコキシカルボニル基ともいう)、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキサミド基(アルキルアミノカルボニル基ともいう)、シアノ基、カルボニル基、アセトキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミジノ基、アリール基、ベンジル基、ヘテロシクリル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシイミノ基、アルコキシイミノ基、オキサアルキル基、アミノスルホニル基、トリチル基、アミジノ基、グアニジノ基、ウレイド基、及びベンジルオキシ基で置き換えられている、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基を指す。
【0058】
本明細書に記載する事実上すべての化合物は、1以上の不斉中心を含有し、従って、絶対立体化学の観点から(R)−又は(S)−と定義することのできる鏡像異性体、ジアステレオマー、及びその他の立体異性体を生じ得る。本発明は、すべてのそのような可能な異性体、並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意味する。モルフィナン類及びベンゾモルファン類の左旋性異性体はより強力な抗侵害受容薬であり、一方右旋性異性体は鎮咳薬又は鎮痙薬として有用であり得ることが一般に見出されている。光学的に活性な(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を用いて製造することができるし、又は従来技術を用いて分割することができる。本明細書に記載する化合物がオレフィンの二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含む場合で他に特に指定のない限り、化合物はE及びZ幾何異性体を両方とも含むことを意味する。同様に、すべての互変異性型も含まれることを意味する。
【0059】
本発明の化合物のなかのあるものは、第四級塩、すなわちカチオン種である。従って、それらの化合物は、常に塩として提供されるであろう。そして用語「薬学的に許容可能な塩」は、その対イオン(アニオン)が無機酸、有機酸及び水(これが正式には水酸化物アニオンを供給する)を含む薬学的に許容可能な非毒性の酸に由来する塩を指す。本発明の化合物に適した薬学的に許容可能なアニオンとしては、水酸化物、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、臭化物、塩化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、粘液酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アセトアミド安息香酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アミノサリチル酸塩、アンヒドロメチレンクエン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸塩、カンシル酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、シクラミン酸塩、ジクロロ酢酸塩、エデト酸塩(EDTA)、エジシル酸塩、エンボン酸塩、エストレート、エシレート、フッ化物、ギ酸塩、ゲンチシン酸塩、グルセプテート、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、馬尿酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、ラクトビオン酸塩、マロン酸塩、メシレート、ナパジシル酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、オキソグルタル酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、ペクチネートポリマー(pectinate polymer)、フェニルエチルバルビツル酸塩、ピクリン酸塩、ピドレート、プロピオン酸塩、ロダン化物、サリチル酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、タンニン酸塩、テオクレート(theoclate)、及びトシレートなどが挙げられる。望ましい塩は、クォート(quat)の合成において得られるどのような対イオンのイオン交換によっても得ることができる。これらの方法は、当業者によく知られている。医薬製剤の製造には薬学的に許容可能な対イオンが好ましいであろうが、その他のアニオンは、合成中間体としては全く許容可能である。従って、そのような塩が化学中間体であるとき、Xは、ヨウ化物、シュウ酸塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸塩などの薬学的に望ましくないアニオンであることができる。本発明の化合物がビスクォート(bisquats)であるとき、対イオンとして、2つの一価アニオン性化学種(例えば、Cl)又は単一の二価アニオン性化学種(例えば、フマル酸塩)のいずれかを用いることができる。同様に、オリゴアニオン性化学種を用いて、対イオンに対するクォートの適切な比を有する塩、例えばクエン酸三クォート((quat)3 citrates)を作ることができるであろう。これらは、自明の等価物であろう。
【0060】
この発明は多くの異なる形態にある実施態様の影響を受けやすいのであるが、本発明の好ましい実施態様は示される。しかしながら、本開示はこの発明の原理の例示とみなされるべきであり、前記開示により本発明を実施態様の説明に限定することを意図していないことは理解されるべきである。審査の結果、特許請求の範囲に記載した属の特定の構成員がこの出願の発明者に対して特許可能でないことが見出されるかもしれない。この場合において、その結果生じた出願人の特許請求の範囲からからの種の除外は、特許審査手続の人為的結果と見なされるべきであり、本発明者らの発明の概念又は記載の反映によると見なされるべきではない;本発明は、既に公共の所有にあるものでない属(I)の構成員のすべてを包含する。
【0061】
《略語》
以下の略語及び用語は、全体にわたり指示された意味を有する:
Ac = アセチル
BNB = 4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸
Boc = t−ブチルオキシカルボニル
BPE = 2(4−ビフェニリル)エチル =
【化37】

Bu = ブチル
c− = シクロ
DAMGO = Tyr−ala−Gly−NMePhe−NHCHOH
DBU = ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCM = ジクロロメタン=塩化メチレン=CHCl
DEAD = アゾジカルボン酸ジエチル
DIC = ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA = N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP = 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
DOR = δオピオイド受容体
DPPF = 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DVB = 1,4−ジビニルベンゼン
EEDQ = 2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン
Fmoc = 9−フルオレニルメトキシカルボニル
GC = ガスクロマトグラフィー
HATU = ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)
−1,1,3,3−テトラメチルウトニウム
HOAc = 酢酸
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール
KOR = κオピオイド受容体
Me = メチル
mesyl = メタンスルホニル
MOR = μオピオイド受容体
MTBE = メチルt−ブチルエーテル
NMO = N−メチルモルホリンオキシド
PEG = ポリエチレングリコール
Ph = フェニル
PhOH = フェノール
PfP = ペンタフルオロフェノール
PPTS = ピリジニウムp−トルエンスルホネート
PyBroP = ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピリジノ−ホスホニウム
rt = 室温
sat’d = 飽和
s− = 第二級
t− = 第三級
TBDMS = t−ブチルジメチルシリル
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TMOF = オルトギ酸トリメチル
TMS = トリメチルシリル
tosyl = p−トルエンスルホニル
Trt = トリフェニルメチル
U69,593 =
【化38】

【0062】
目的の基質中の残基では、フェノールから所望のQへの変換の間に保護及び脱保護が必要となることが起こり得る。「保護」、「脱保護」及び「保護された」官能基に関する用語は、この出願中至る所に出てくる。そのような用語は当業者によく理解されており、一連の試薬を用いる逐次的処理を含むプロセスの文脈において使用される。その文脈において、保護基は、保護しなければ官能基が反応するであろうがその反応が望ましくないようなプロセスの工程の間、官能基をマスクするために使用される基を指す。保護基は、その工程での反応を妨害するが、その後で除去して元の官能基を露出することができる。その除去、即ち「脱保護」は、官能基が妨害するであろう反応(単数)又は反応(複数)の完結後に行なわれる。従って、一連の試薬が下記のように指定されるとき、当業者は、「保護基」として適しているような基を容易に想定することができる。その目的に適した基は、化学分野の標準的教科書、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis by T.W.Greene[John Wiley & Sons,New York,1991]において論じられている。前記教科書は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明の化合物は、下に記載する経路のうちの一つにより合成される:
【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【0064】
一般に、反応工程式4に示されるフェノール性−OHをトリフレート基で置き換える方法は、米国特許第6,784,187号明細書に記載されている。前記明細書の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0065】
プロトンNMRスペクトル及びある場合において13CNMRは、Varian Unity−300又は500 NMRスペクトロメーターにより、CDClに溶解した試料について内部標準物質としてテトラメチルシランを用いて得た。CDOD及びDMSO−dに溶解した試料は、その溶媒を基準とした。プロトンNMRの多重度データは、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、dd(二重線の二重線)、及びbr(ブロード)で示す。結合定数はヘルツ単位である。直接挿入プローブ化学イオン化質量スペクトルデータは、島津GC−17A GC−MS質量分析計により得た。直接注入エレクトロスプレーイオン化(正電荷イオンモードにおける)質量スペクトルデータは、Agilent 1100シリーズLC/MSDシステム(ドイツ)により得た。融点は、Meltempキャピラリー融点測定装置により測定し、補正しなかった。赤外スペクトルデータは、Perkin−Elmer Paragon 1000FT−IR分光光度計により得た。旋光度データは、Perkin−Elmer 241偏光計から得た。すべての試験化合物及び中間体にアサインした構造は、データと一致した。すべての新規な目的物に対する炭素、水素、及び窒素の元素分析は、Quantitative Technologies Inc.,Whitehouse,NJが実施し、注記した以外は、理論値の±0.4%以内にあった;水又はその他の溶媒の存在は、プロトンNMRにより確認した。反応は、一般にアルゴン又は窒素雰囲気中で行なった。市販品として購入した試薬は、別に断らない限り、精製しないで使用した。次の試薬、即ちN−ヒドロキシスクシンイミド、フェネチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、4−アミノビフェニル、酢酸パラジウム、4−フェニルベンジルアミン及びベンジルアミンは、Aldrich Chemical Companyから購入した。次の試薬、即ち2−(4−ビフェニルエチルアミン)は、Trans World Chemicalsから購入した。次の試薬、即ち1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン(dppf)及びジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物[PdCl(dppf)]は、Strem Chemicals,Incorporatedから購入した。ピリジンは、KOHから蒸留した。DMF及びDMSOは、減圧下にCaH上で蒸留した。すべてのフラッシュクロマトグラフィーについて、シリカゲル(Bodman Industries,ICN SiliTech 2−63D 60A,230〜400メッシュ)を使用した。アミン類は、Aldrich Chemical Companyから購入して、別に示さない限り、受け入れた状態で使用した。トルエン及びEtOは、ナトリウム金属から蒸留した。THFは、ナトリウム/ベンゾフェノンケチルから蒸留した。ピリジンは、KOHから蒸留した。塩化メチレンは、CaHから蒸留した。DMF及びDMSOは、減圧下にCaHから蒸留した。メタノールは、使用する前に、3±モレキュラーシーブス上で乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィーに対しては、シリカゲル(Bodman Industries,ICN SiliTech 2−63D 60A,230〜400メッシュ)を使用した。
【0066】
一般に、上記の化学反応は、周知のコア構造の上に見出される様々な官能基の存在下に正しく機能する。例外があれば、遊離型の6−OHを有するモルヒネ及び同族体であろう。この6−OHはTBDPS(t−ブチルジフェニルシリル)基により保護することができる[Wentland et al.,“Selective Protection and Functionalization of Morphine...”,J.Med.Chem.43,3558−3565(2000)を参照のこと]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
及びRはそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、−COR10、−SO10、−CONR1011、−C(=S)R10、−C(=NOR11)R10、C(=NR10)R11及び−SONR1011から選択されるか;
又は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R及びRは、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
は、水素原子、C〜C炭化水素基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヒドロキシアルキル基から選択され;
は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、低級アルコキシ基、C〜C20アルキル基、並びに、ヒドロキシル基又はカルボニル基で置換されたC〜C20アルキル基から選択され;
は、低級アルキル基であり;
は、低級アルキル基であり;
は、水素原子、NR1011及び−OR10から選択されるか;又は、
、R、R及びRが一緒になって、1〜3環を形成することができ、前記環は、場合により更なる置換基を有し;
及びR8aは、両方ともに水素原子であるか、又は、R及びR8aが一緒になって、=Oであり;
は、水素原子及び低級アルキル基から選択され;
10及びR11はそれぞれ、独立して、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルキル基、場合により置換されていることのあるアルケニル基、場合により置換されていることのあるアルキニル基、場合により置換されていることのあるアリール基、ヒドロキシル基、アミノ基又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり;
yは、−(C(R10)(R11))p−又は直接結合であり、ここで、pは、0、1、2、3、4、5、6、又は7であり;
は、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり、ここで、qは、0、1、2、3、4又は5であり;
Lは、直接結合又は−(C(R10)(R11))q−であり;並びに
Cyは、Ar−B−Arであり、ここで、
Arは、存在しないか、あるいは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、置換されていないか、あるいは、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができ;
Bは、直接結合、−O−、−NR10、−SO、又は−(C(R10)(R11)s−であり、ここで、sは、0、1、2、3、4又は5であり;及び
Arは、アリール基又は1〜4個のN、O及び/又はS原子を有するヘテロアリール基であり、前記の基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、−OR10、−NR1011、−CN、−COR10又は−COOR10により一置換、二置換又は三置換されていることができるものとする)
で表される化合物。
【請求項2】
Cyが、
【化2】

から選択され;Wが、[C(R、CR8a、O、NR、S及びCR=CRから選択され;そして、nが、1、2、3、4又は5である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式II:
【化3】

(式中、
Zは、CR10又はNであるが、但し、NRy基の末端芳香環への結合点において、及び末端芳香環の近接芳香環への結合点において、Zは、Cでなければならないものとする)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化4】

で表される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化5】

で表される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、フェニル基、ビニル基、ジメチルビニル基、ヒドロキシシクロプロピル基、フラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から選択され;
が、水素原子及び3−オキソ−5−シクロペンチル−1−ペンタニル基から選択され;
が、メチル基であり;
が、メチル基又はエチル基であり;
及びR8aが両方ともに水素原子であり;
が、水素原子である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
−yNRが4位で置換される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
yが直接結合である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
及びRがそれぞれ、メチル基及び水素原子から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が水素原子であり、Rが、置換されたアルキル基、−SO10及び−COR10から選択され、R10が、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、場合により置換されていることのある低級アルキル基及び場合により置換されていることのあるアリール基から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
が、それが結合する窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
yがCHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
及びRがそれぞれ、メチル基及び水素原子から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が水素原子であり、Rが、置換されたアルキル基、−SO10及び−COR10から選択され、R10が、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、場合により置換されていることのある低級アルキル基及び場合により置換されていることのあるアリール基から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
が、それが結合する窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である、請求項14に記載の化合物
【請求項16】
−yNRが3位で置換される、請求項6に記載の化合物。
【請求項17】
yが直接結合である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
及びRがそれぞれ、メチル基及び水素原子から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が水素原子であり、Rが、置換されたアルキル基、−SO10及び−COR10から選択され、R10が、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、場合により置換されていることのある低級アルキル基及び場合により置換されていることのあるアリール基から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
が、それが結合する窒素原子と一緒になって、フルオレニルメチルカルバメート基、tert−ブチルカルバメート基、ベンジルカルバメート基、アセトアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンジルアミン基、トリフェニルメチルアミン基又はトルエンスルホンアミド基である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式:
【化6】

(式中、Rは、メチル基又はエチル基であるものとする)
で表される、請求項9に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物であって、R及びRが一緒になって1環を形成し、前記化合物が構造:
【化7】

を有する、前記化合物。
【請求項23】
及びR8aが水素原子であり;
が、水素原子、シクロプロピル基、シクロブチル基、ビニル基及びテトラヒドロフラニル基から選択され;及び
が、水素原子、ヒドロキシル基又はアミノ基である、
請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物であって、R、R及びRが一緒になって、2環を形成し、構造:
【化8】

(式中、
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基又は低級アルコキシ基であり;
19は、水素原子又は低級アルキル基であり;
20は、水素原子、低級アルキル基及びヒドロキシ(低級アルキル)基から選択されるか;又は、
19及びR20が一緒になって、炭素原子5〜10個のスピロ縮合炭素環を形成し;
21は、水素原子であり;
22は、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及び−NR1314から選択されるか;又は、
21及びR22が一緒になって、カルボニル基又はビニル置換基を形成するか;又は、
及びR21が一緒になって、第6の環を形成し;
13は、水素原子又は場合により置換されていることのある低級アルコキシ基であり;並びに、
14は、水素原子、場合により置換されていることのある低級アルコキシ基、アシル基又はフマレート基であるものとする)
を有する、前記化合物。
【請求項25】
請求項24に記載の化合物であって、R及びR21が一緒になって、第6の環を形成し、式:
【化9】

で表される、前記化合物。
【請求項26】
請求項24に記載の化合物であって、R及びR21が第6の環を形成し、式
【化10】

(式中、
19は、水素原子であり;
20は、ヒドロキシ(低級アルキル)基であり;及び、
22は、低級アルコキシ基であるものとする)
で表される、前記化合物。
【請求項27】
【化11】

が、
【化12】

により表される、請求項22〜26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
オピオイド受容体と相互に作用する第1の化合物が知られているときで、前記第1の化合物がフェノール性ヒドロキシル基を含有するときに、オピオイド受容体と相互に作用する第2の化合物を製造する方法であって、前記方法が、前記フェノール性ヒドロキシル基を式:
【化13】

で表される残基に変換することを含む、前記方法。
【請求項29】
残基
【化14】

が、
【化15】

(式中、
Zは、CR10又はNであるが、但し、NRy基の末端芳香環への結合点において、及び末端芳香環の近接芳香環への結合点において、Zは、Cでなければならないものとする)
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤。
【請求項31】
それが必要な患者においてオピオイド受容体の結合に関連する病態又は疾患を予防又は治療する方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の有効量を含む組成物を前記患者に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項32】
前記疾患又は病態が、痛み、かゆみ、下痢、過敏性腸症候群、胃腸運動障害、肥満症、呼吸抑制、痙攣、咳、痛覚過敏及び薬物嗜癖からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記薬物嗜癖が、ヘロイン、コカイン、ニコチン及びアルコール嗜癖から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
病態が痛みであり、組成物が更に、オピオイドの有効量を含む、請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2011−528718(P2011−528718A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520127(P2011−520127)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051200
【国際公開番号】WO2010/011619
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(502263411)レンセラール ポリテクニック インスティチュート (14)
【Fターム(参考)】