説明

大梁小梁の接合装置

【要 約】
【課 題】簡単な構成でH型鋼の大梁に両側から小梁を締結して取付け、小梁の引張り強度を向上した大梁小梁の接合装置を提供することを目的とする。
【解決手段】大梁1と、この大梁1を挟んで対向する小梁5と10のエンドプレート9と14を取付けボルト15で前記大梁1に取付けると共に、一方の小梁5のエンドプレート9とウェーブ2とで形成される隅角と大梁1を挟んで対向する他方の小梁10のエンドプレート14とウェーブ11とで形成される隅角に補強部材17を配設し、この補強部材17を介して補強ボルト18を斜めに締結するようにした構成としたものである。また、補強ボルト18を互い違いに複数個所配設し、さらに補強部材18に曲面座受け22を形成すると共に補強ボルト18に曲面座金21を設けた構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型鋼の大梁に両側から小梁を締結して取付けるようにした大梁小梁の接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設業界においてビルや強度を必要とする建築物にH型鋼を使用することは当然のことであり、H型鋼の大梁に小梁をボルト等で締結したり溶接して取付けるようにした大梁小梁の接合方法や接合構造が多数提案されている。なかでも比較的簡単な接合構造として、H型鋼の大梁の上下フランジ部に継ぎ金物を取付け、この側面に両側の対向する小梁のエンドプレートをボルトで締結して取付けるようにした接合構造が開示されている。さらにこの構造では小梁の引張り強度が弱いのでH型鋼の大梁のウェーブ部に補助金物を取付け、小梁のエンドプレートをこの補助金物にもボルトで締結して強度を向上させるようにした接合構造も開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平8−60739号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の構成では、H型鋼の大梁に小梁を対向して取付ける場合に、大梁の上下フランジ部に継ぎ金物を取付け、さらに大梁のウェーブ部に補助金物を取付けておいて小梁のエンドプレートを継ぎ金物と補助金物にボルトで締結して取付けるため、別途継ぎ金物と補助金物が必要となり接合部構造が大きくなって周辺の構造との関係もあって不都合となる。また接合のための構造物が増加するし、このことによってコストも増加する要因ともなっていた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成でH型鋼の大梁に両側から小梁を締結して取付け、小梁の引張り強度を向上した大梁小梁の接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の大梁小梁の接合装置は、大梁と、この大梁を挟んで対向する小梁のエンドプレートを取付けボルトで前記大梁に取付けると共に、一方の小梁のエンドプレートとウェーブとで形成される隅角と大梁を挟んで対向する他方の小梁のエンドプレートとウェーブとで形成される隅角に補強部材を配設し、この補強部材を介して補強ボルトを斜めに締結するようにした構成としたものである。従って、大梁を挟んで対向する小梁同士の略中央部が締結されるため小梁の引張り強度が向上するという作用を有することとなる。
【0006】
また本発明の第2の大梁小梁の接合装置は、補強ボルトを互い違いに複数個所配設した構成としたものである。従って、上記した小梁の引張り強度がさらに向上するという作用を有することとなる。
【0007】
さらに本発明の第3の大梁小梁の接合装置は、補強部材に曲面座受けを形成すると共に補強ボルトに曲面座金を設けた構成としたものである。従って、補強ボルトを締結すれば補強部材の曲面座受けに合致して取付けられるため締め付けミスが防止されるという作用を有することとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の大梁小梁の接合装置は、上記構成を備えたことにより、大梁を挟んで対向する小梁同士の略中央部も補強ボルトで締結されるため小梁の引張り強度が向上し、コスト高で手間のかかる溶接を使用することなく強固な接合構造が得られることになる。また、補強ボルトを互い違いに複数個所配設することにより上記した小梁の引張り強度がさらに向上することになる。さらには、補強部材に曲面座受けを形成すると共に補強ボルトに曲面座金を設けた構成としたため、補強ボルトを締結すれば補強部材の曲面座受けに合致して取付けられるため締め付けミスが防止できるといったような多くの作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の大梁小梁の接合装置の要部断面平面図で、図2は分解斜視図である。両図において、1はH型鋼の大梁でウェーブ2の上下に上フランジ3と下フランジ4とより構成されている。5は一方の小梁でウェーブ6の上下に上フランジ7と下フランジ8とを有し、端部に取付板としてのエンドプレート9が一体的に構成されており、同様に他方の小梁10もウェーブ11の上下に上フランジ12と下フランジ13とを有し、端部に取付板としてのエンドプレート14が一体的に構成されている。このようなH型鋼の大梁1に対向する小梁5と小梁10とを接合するには、図1に示すように一方の小梁5のエンドプレート9と他方の小梁10のエンドプレート14とを大梁1のウェーブ2を挟んで対抗させ、両端近傍にそれぞれ取付けボルト15とナット16で締結する。
【0010】
さらに本発明では、一方の小梁5のエンドプレート9とウェーブ6とで形成される隅角と大梁1のウェーブ2を挟んで対向する他方の小梁10のエンドプレート14とウェーブ11とで形成される隅角に補強金具17を配設し、この補強金具17を介して補強ボルト18とナット19とで斜めに締結する。このとき大梁1のウェーブ2には予め図2に示すごとくバカ穴20を形成しておけば締結がスムースになる。また、この補強ボルト構成を互い違いに複数個所配設すると、小梁5と10の略中心部分が強固に締結されるため小梁の引張り強度がさらに向上する。また、各々の隅角に設けられる補強金具17はウェーブとエンドプレート側面に当接するようにしてもよいが、溶接して一体化するとより強固になる。このようにボルト締結構造にすることによって、コスト高で手間のかかる溶接を使用することなく強固な接合ができるし建設現場での作業が簡単となることから小資材での運搬が可能となる。
【0011】
つぎに、補強金具17と補強ボルト18の締結構成について図3と共に説明する。図3は補強金具と補強ボルトの要部拡大断面図で、補強ボルト18には曲面座金21が用いられており、この曲面と合致する曲面が補強金具17に曲面座受け22として形成されている。したがって、大梁小梁の接合に際して補強ボルト18をねじ込んでいくと補強ボルト18の曲面座金21は補強金具17の曲面座受け22に合致しながら締結されることになり、ボルト穴を少し大きく形成していてもボルト穴中心で締結固定されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の大梁小梁の接合装置は、H型鋼の大梁に両側から小梁を締結して取付け、小梁の引張り強度を向上するようにしたものでビルや強度を必要とする建築物等の建設業界において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の大梁小梁の接合装置の要部断面平面図
【図2】本発明の大梁小梁の接合装置の分解斜視図
【図3】本発明の補強ボルトの要部拡大断面図
【符号の説明】
【0014】
1 大梁
2 ウェーブ
5 小梁
6 ウェーブ
9 エンドプレート
10 小梁
11 ウェーブ
14 エンドプレート
15 取付けボルト
16 ナット
17 補強金具
18 補強ボルト
19 ナット
20 バカ穴
21 曲面座金
22 曲面座受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大梁と、この大梁を挟んで対向する小梁のエンドプレートを取付けボルトで前記大梁に取付けると共に、一方の小梁のエンドプレートとウェーブとで形成される隅角と大梁を挟んで対向する他方の小梁のエンドプレートとウェーブとで形成される隅角に補強部材を配設し、この補強部材を介して補強ボルトを斜めに締結するようにしたことを特徴とする大梁小梁の接合装置。
【請求項2】
補強ボルトを互い違いに複数個所配設したことを特徴とする請求項1記載の大梁小梁の接合装置。
【請求項3】
補強部材に曲面座受けを形成すると共に補強ボルトに曲面座金を設けたことを特徴とする請求項1記載の大梁小梁の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−1651(P2010−1651A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161440(P2008−161440)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(308021062)
【Fターム(参考)】