大気中二酸化炭素の分離回収処理装置
【課題】バイオマスによる発電に際して、二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収処理し、大気中二酸化炭素の減少或いは削減に寄与することが出来る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置の提供。
【解決手段】バイオマス(1)からバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した城下水をバイオマス希釈水として供給するべき水供給機構(40)と、発電装置の発電電力を用いて酸素を製造する酸素製造装置(35)とを備えている。
【解決手段】バイオマス(1)からバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した城下水をバイオマス希釈水として供給するべき水供給機構(40)と、発電装置の発電電力を用いて酸素を製造する酸素製造装置(35)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の低減技術に関連しており、より詳細には、バイオマスを活用して、高効率且つ低環境負荷で大気中の二酸化炭素を分離回収し、固定化等の処分を行なう技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護のために、近年、二酸化炭素排出量の削減が重要な技術的課題となっている。これまでの化石燃料利用に伴って増加した大気中の二酸化炭素濃度を低減し、今後の化石燃料利用に伴って排出される二酸化炭素の影響を出来る限り抑制することは、非常に重要である。
【0003】
特に、大気中の二酸化炭素を分離回収し、固定化することで二酸化炭素量(或いは二酸化炭素濃度)を減少或いは削減することが出来れば、当該減少或いは削減した分だけ、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来るので、化石燃料を使用しても地球環境を維持させることが出来る。
【0004】
さらに、大気中の二酸化炭素の回収処理による(二酸化炭素の)減少或いは削減量が、化石燃料利用時における二酸化炭素排出量よりも多ければ、正味の大気中二酸化炭素量(或いは二酸化炭素濃度)を減少させる(カーボンネガティブ化)することが出来るので、これまでの化石燃料利用に伴って増加した大気中の二酸化炭素濃度を低減させ、地球環境を改善させることができる。
ここで発明者は、光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収したバイオマスに由来するバイオガスを燃料として発電を行なう際に、その排ガスから二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収して、処理(固定化)することが出来れば、化石燃料を使用せずに発電を行なうことが可能になると共に、バイオマスにより大気中から吸収された二酸化炭素を回収・処理するので、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することに着目した。
しかし、バイオマスの活用においては、発電時の正味の二酸化炭素排出量を増加させない(カーボンニュートラル化)という発想が殆どである。バイオマスによる発電時の二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させること無く分離回収し、処理することによって、正味の大気中二酸化炭素濃度を低減させる技術は、殆ど提案されていない。
【0005】
従来技術として、例えば、マリンバイオマスを用いた大規模CO2削減システムが存在する(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、多数の人工衛星や関連インフラなど、設備投資や運用面での負担と、これに伴う二酸化炭素の排出が大きい。更に、海洋プランテーションや洋上プラント船での運用では、海流や強風等の影響を受けやすく、効率的な運用が困難である。
【0006】
また、発酵ガスや、ガス化ガスを用いたエネルギシステムが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この従来技術(特許文献2)は、発酵ガスや、ガス化ガスを用いたエネルギシステムの提案であって、大気中のCO2濃度の削減が目的ではない。また、燃料がバイオマスと特定されていないため、エネルギシステムからのCO2排出量をゼロにすることが出来ても、大気中のCO2濃度が低減されるわけではない。そして、燃料を酸素燃焼させる際の酸素供給量の制御については開示されていないので、燃焼時の酸素不足や、必要以上に酸素を製造・供給する恐れがあり、システム効率が低下するという問題がある。
さらに、水の電気分解に必要な純水を河川水等から製造する場合には、純水製造設備が大規模になり、負担が大きい。加えて、システムの設備設置場所と水素の需要地が離れている場合、長いパイプラインによる輸送効率の低下や、少量の需要に対しては水素ステーションの稼働率が低下する等の問題を有している。
【0007】
さらに、離島でのガスタービンの利用を前提としたエネルギシステムも提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この従来技術(特許文献3)は、離島でのガスタービンを利用したエネルギシステムであって、大気中のCO2濃度を低減させる方法ではない。
そして、この従来技術では、燃焼時の酸素不足や必要以上の酸素の製造・供給によりシステムの効率が低下すると言う問題がある。
それに加え、発熱量の高い化石燃料を純酸素燃焼させる際の燃焼器高温化によって耐久性が低下してしまう。
【0008】
燃料電池による発電システムも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献4)は発電システムに係る技術であって、大気中のCO2濃度を低減させる技術ではない。
この従来技術に係る発電システムは、除湿装置におけるCO2の固化及びその後の液化により大量のエネルギを必要とするので、効率は低下してしまう。そして、構造が複雑化するという問題を有している。そして構造の複雑化と共に、排ガスから高温のCO、H2が漏洩したり、改質ガスが逆流することによって火災や爆発、一酸化炭素中毒等の恐れが生じ、その安全対策に大掛かりな設備等が必要となってしまう。
【0009】
そして、その他の従来技術として、燃料電池・メタン醗酵リサイクルシステムが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、その様な従来技術(特許文献5)では、回収したCO2の内、メタン醗酵の促進に活用された残りのCO2は大気に放出されるので、大気中のCO2を削減することは出来ない。
また、CO2分離時にオフガス中に含まれる微量の未反応成分処理に関し、酸素で触媒燃焼される旨が記載されているが、その際に用いられる酸素の効率的な供給態様については開示されていない。
さらに、オフガスを完全酸化させるための酸素供給量制御についても開示されておらず、酸素不足或いは必要以上の酸素供給により、効率が低下すると言う問題を有している。
【0010】
その他にも、従来技術において、燃料電池による発電システムが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献6)は発電システムに関するものであり、大気中のCO2濃度を低減させる技術に係るものではない。また、燃料電池の排ガス中の未燃成分を完全に酸化するための酸素供給量の制御については開示されていないので、排ガスを燃焼する際に酸素不足や、過剰の酸素供給を惹起する恐れがあり、システムの効率が低下してしまう。
【特許文献1】特開2006−204264号公報
【特許文献2】特開2007−245017号公報
【特許文献3】特開2004−41967号公報
【特許文献4】特開2007−18907号公報
【特許文献5】特開2004−192824号公報
【特許文献6】特開平11−26004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、バイオマスによる発電に際して、二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収・処分(固定化)し、以って、大気中の二酸化炭素の減少或いは削減に寄与することが出来るような大気中二酸化炭素の分離回収処理装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオマス(1)からバイオガスを生成する装置(2:バイオガス生成装置、発酵槽、ガス化装置及びタール熱分解装置)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(燃料電池3、ガスエンジン又はガスタービン3A)と、発電装置(3、3A)の発電電力を用いて排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(酸素製造装置35、排ガス燃焼触媒4、O2ミキサ12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガスを生成する装置(2)に供給する水供給機構(40)とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
ここで、水供給機構(40)は、バイオガスを生成する装置(2)にバイオマスの希釈水を供給し、或いは、ガス化装置(16、17)に冷却水及び/又は浄化用の水を供給するための機構であり、排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(排ガス熱交換器5)を備えているのが好ましい。
【0013】
ここで、前記酸素を供給する機構は、前記発電装置(3、3A)の発電電力を用いてPSA(Pressure Swing Adsorption)方式で周囲の空気(大気)を用いて酸素を製造する装置(35)を有しているのが好ましい。
そして、排ガスを冷却して分離された前記凝縮水は、特にバイオマス発酵槽に供給してバイオマス希釈のために用いられる場合には、発酵槽内の発酵菌を死滅させないように、(例えば浄化フィルタ42で)浄化してからバイオマス発酵槽へ供給されるのが好ましい(図1)。
【0014】
また本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した純水を電気分解して排ガスに供給するべき酸素を生成する電気分解装置(6)とを備えていることを特徴としている(請求項2)。
【0015】
特に前記発電装置が燃料電池(3)である場合には、燃料極オフガスの排出ライン(L3)に排ガス燃焼触媒(4)を設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給するのが好ましい(図2)。
或いは、前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)である場合には、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)のバイオガス供給ライン(L2)に混合装置(酸素ミキサ12)を設け、該混合装置(12)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給してバイオガスと混合して、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)に供給するのが好ましい(図3)。
ここで、燃料電池(3)と、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)は、バイオガスを燃料とする発電装置である点で、均等物である。
【0016】
また本発明において、前記電気分解装置(水電気分解装置6)で発生した水素を燃料として発電する第2の発電装置(水素発電装置/純水素駆動燃料電池13)を備えるのが好ましい(請求項3:図4、図5)。
そして、第2の発電装置(水素発電装置/純水素駆動燃料電池13)の出力は、本発明に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置の各種補機における駆動電力として用いられ、及び/又は、前記電気分解装置(水電気分解装置6)の駆動電力(直流電力)として用いられるのが好ましい。
【0017】
なお、前記補機としては、例えば、純水を水電解装置(6)へ供給するための純水ポンプ(P1)、発酵槽加熱用の温水(循環水)を排ガス熱交換器(5)と発酵槽(2)との間で循環させる循環水ポンプ(P2)、凝縮水を除去した後の排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガス(CO2が100%)を圧縮するためのCO2圧縮機(コンプレッサ9)、CO2圧縮機(コンプレッサ9)で液化された液化CO2を注入井(20)を介して地中(G)に注入するための液相CO2ポンプ(10)がある。
【0018】
本発明において、前記発電装置が燃料電池(3)であり、燃料極オフガスの排出ライン(L3)にオフガス中の未燃成分(UHC)を測定する測定手段(第1のガスセンサSg1)と排ガス燃焼触媒(4)とを設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L6)を設け、該酸素供給ライン(L6)には開閉弁(V1)が介装されており、制御装置(オフガス・O2再燃焼制御装置14)を設け、該制御装置(オフガス・O2再燃焼制御装置14)は、測定手段(Sg1)の測定結果から排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有しているのが好ましい(請求項4:図6、図7)。
【0019】
或いは本発明において、前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)であり、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)の燃料供給ライン(バイオガス供給ラインL2)に混合装置(O2ミキサ12)を介装し、該混合装置(12)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L7)を設け、該酸素供給ライン(L7)には開閉弁(V2)が介装されており、排ガスライン(L3)に排ガス中の未燃成分(UHC)を測定する測定手段(第1のガスセンサSg1)を設け、制御装置(排ガス・O2再燃焼制御装置14A)を設け、該制御装置(排ガス・O2再燃焼制御装置14A)は、測定手段(Sg1)の測定結果からガスエンジン或いはガスタービン(3A)の排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有しているのが好ましい(請求項5:図8)。
【0020】
それに加えて、本発明において、バイオマスからガス化によりバイオガスを生成する場合には、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行うガス化装置(16)と、ガス化により発生したガスに純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給を行ないつつ)高温(例えば、1100℃)でタールを熱分解して改質するタール熱分解装置(17)で構成されているのが好ましい(請求項6:図12、図13)。
【発明の効果】
【0021】
上述する構成を具備する本発明によれば、光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収したバイオマス(1)に由来するバイオガスを燃料として発電を行なう際に、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素(CO2)と水(H2O)のみになる様に当該排ガスに酸素を供給し、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離して排ガス中に二酸化炭素のみが残存するように構成されているので、二酸化炭素のみが残存する排ガスを圧縮機(CO2圧縮機7)で加圧すれば、二酸化炭素は液化する。液化した二酸化炭素については、従来技術と同様に、注入井(20)から地中(G)に注入したり、海底に注入する等、公知の手法によって、大気中に拡散させることなく、容易に固定することが出来る。
【0022】
この様に、本発明によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収して、処理(固定)することが出来る。すなわち、バイオマス(1)により大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すると、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になる。
そして、本発明により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0023】
また本発明によれば、一般的な化石燃料と比較して体積あたりの発熱量が低いバイオガスを用いて燃焼反応や燃料電池発電反応を行なっている。このように体積あたりの発熱量が低いバイオガスの反応では、化石燃料や水素を燃焼させた場合と比較して、燃焼温度が低温であるため、同じ純酸素燃焼を行なう場合でも、燃焼機やタービンブレードの長寿命化を図ることが出来る。
それと共に、二酸化炭素という不活性成分を多量に含むバイオガスは、化石燃料を用いた場合に比較して、燃焼反応時に早期着火やノッキングが起き難い。すなわち、燃料を純酸素燃焼させる場合に、バイオガスであれば、より好適な燃焼条件を実現し易いという利点がある。
【0024】
さらに、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置では、バイオマスを用いた発電装置(3、3A)による発電出力を用いたPSA方式により、或いは、二酸化炭素回収のため排ガスから分離される凝縮水から純水を得て、係る純水を電気分解することにより、必要な酸素を効率良く、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来る。
特に、酸素を水の電気分解から生成する場合には、電気分解の際に発生した水素を純水素駆動の発電装置(13)の燃料として活用することにより(請求項3)、電気分解に必要な電力を、必要とするその場で(オンサイトで)得ることができる。また、バイオマスを用いた発電や、二酸化炭素の回収処理に必要な各種機器の駆動電流を賄うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示している。
図1の第1実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として、燃料電池3を用いている。
なお、図示の実施形態において、燃料電池3としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が使用されている。
【0026】
図1において、全体を符号100で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオガス生成装置2と、燃料電池3と、排ガス燃焼触媒4と、排ガス熱交換器5と、水供給機構40とを備えている。ここで、水供給機構40は排ガス熱交換器5を有しており、排ガス熱交換器5により排ガスから凝縮水を分離している。そして水供給機構40は、分離された凝縮水を浄化して、当該浄化された水をバイオガス生成装置2に供給している。
排ガス熱交換器5は水供給機構40の一部を構成している。そして水供給機構40は、排ガスから凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガス生成装置2に供給している。
【0027】
図1では明確に示されていないが、バイオガス生成器2は発酵槽を備え、バイオマス搬送ラインL1で搬送されたバイオマス1が水供給機構5から供給された希釈水によって希釈処理され、当該発酵槽に貯留している間に、バイオマスが発酵してメタンガス等のバイオガスが生成される。
バイオガス生成器2と燃料電池3の燃料極31とは、バイオガス供給ラインL2で接続されている。そして、燃料電池3の燃料極31と排ガス熱交換器5とは排ガスラインL3で接続されており、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4が介装されている。
【0028】
また、水処理機構40で排ガスから凝縮水を分離する排ガス熱交換器5と、バイオガス生成装置2とは、温水循環ラインLhを介して連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱をバイオガス生成器2の図示しない発酵槽に投入して発酵槽を加温し、以って、バイオマスを発酵してバイオガスの生成を促進している。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0029】
さらに、排ガス熱交換器5とバイオガス生成装置2とは、凝縮水ラインLdで接続されており、凝縮水回収ラインLdには浄化フィルタ42と、浄化水タンク44と、ポンプP3とが介装されている。排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは排ガス熱交換器5で温水循環ラインLhを流れる温水に熱を投入することにより、降温して、凝縮水を生成する。係る凝縮水が、凝縮水ラインLdを流れて、浄化水タンク44に貯留される。
凝縮水ラインLdにおいて、浄化フィルタ42は浄化水タンク44よりも、排ガス熱交換器5側に配置されている。また、凝縮水ラインLdにおける浄化水タンク44とバイオガス生成装置2との間の領域には、バイオマス希釈用の水を搬送するポンプP3が介装されている。
排ガス熱交換器5はCO2排出ラインL5と連通しており、CO2排出ラインL5は、CO2圧縮機9及び液相CO2ポンプ10を介装したCO2排出ラインL5により、地中Gと連通している。そして、CO2排出ラインL5は、地中の注入井20と連通している。
【0030】
PSA方式による酸素製造装置35における酸素貯溜部37は、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6によって排ガス燃焼触媒4と連通しており、第1の酸素供給ラインL6には開閉弁V1が介装されている。
また、燃料電池3と酸素製造装置35とは電力供給ラインLeによって接続されており、燃料電池3で発電された電力が酸素製造装置35に供給されるように構成されている。
電力供給ラインLeには、整流器11が介装されている。
【0031】
水供給機構40の浄化水タンク44には水量センサSw2が設けられており、排ガス熱交換器5から凝縮水ラインLdを流過する凝縮水が少なく、浄化水タンク44における液位が低い場合には、水供給ラインLw20に介装された開閉弁Vw2に制御信号を送り、水供給ラインLw20から水道水を浄化フィルタ42に供給し、不純物を除去した後、浄化水タンク44に補填する。
【0032】
上述した構成の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101では、バイオマス搬送ラインL1によってバイオマス1がバイオガス発生装置2に投入される。
バイオガス発生装置2に投入されたバイオマスは、浄化水タンク44からの希釈水で発酵槽に投入できるように希釈処理された後、バイオガス発生装置2の図示しない発酵槽に貯留され、該発酵槽でバイオマスが発酵してバイオガスが生成される。
バイオガス発生装置2で生成されたバイオガスは、バイオガス供給ラインL2を介して燃料電池3の燃料極31に供給される。そして、燃料電池3において、燃料極31に供給されたバイオガスと空気極32に供給された空気により、発電される。
【0033】
発電後、燃料極31で発生する高温の排ガス(オフガス)は、排ガスラインL3に介装された排ガス燃焼触媒4に送られ、排ガス燃焼触媒4で酸素(O2)が供給され、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスの組成が二酸化炭素と水のみとなる様な燃焼条件(純酸素燃焼条件)で燃焼される。
本明細書においては、燃焼排ガスの組成が二酸化炭素と水のみとなる様な燃焼(燃焼排ガスの組成において、H2O+CO2が100%)を「純酸素燃焼」と表現している。
排ガス燃焼触媒4による酸素供給のメカニズムについては後述する。
排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼をした後の燃焼排ガスの組成は、全て二酸化炭素と水になる(CO2+H2Oが100%となる)。係る燃焼排ガスは、排ガス熱交換器5に送られる。そして、後述するように排ガス熱交換器5の内部で二酸化炭素の分離回収が実現される。
なお、燃料電池3における燃料極31と酸素極32との境界にある電解質部33は、燃料電池が固体酸化物形である場合には、酸素分離膜として作用する。
【0034】
図1の第1実施形態では、上述したように、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼をした後の燃焼排ガス(CO2+H2Oが100%)を排ガス熱交換器5の内部で降温して、凝縮水を除去することにより、二酸化炭素が水から完全に分離された状態で回収される。
バイオマス自体が、光合成により空気中の二酸化炭素を取り込んで生成されているので、バイオマスから生成されたバイオガスから二酸化炭素を大気中に分散することなく、確実に分離回収することにより、空気中の二酸化炭素を減少させることになる。
【0035】
また、明確には図示されていないが、空気極32で発生したカソードオフガス(主としてN2)は、環境に悪影響を与えないように、排ガス熱交換器5を通じて排熱を回収し、温度を低下させた後に系外へ放出される。
【0036】
排ガス熱交換器5において、高温の排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)は、保有する熱量を温水循環ラインLh内に流れる温水に投与し、以って、当該燃焼排ガス自体は降温し、或いは冷却される。冷却された燃焼排ガス中の水蒸気(H2O)は凝縮して凝縮水となり、排ガス熱交換器5の底部から、凝縮水ラインLd内を流れる。
凝縮水ラインLdを流れる凝縮水は、浄化フィルタ42を経由して不純物が除去され、浄化水として浄化水タンク44に一旦貯留される。そして、ポンプP3によって、バイオマスの希釈処理に必要な量の希釈水がバイオガス発生装置2に供給される。
【0037】
上述した通り、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼された燃焼排ガスは二酸化炭素(CO2)と水(水蒸気:H2O)のみから成るので、当該燃焼排ガスから凝縮水(H2O)を除去すれば、二酸化炭素(CO2)のみが残存する。
窒素或いは窒素化合物を包含する場合と異なり、二酸化炭素のみであれば、コンプレッサ等で圧縮することにより、容易に液化する。液化した二酸化炭素は、注入井により地中深くに埋め、或いは、海底に注入することが容易であり、その結果、二酸化炭素の処理が容易になる。
【0038】
排ガス熱交換器5で降温されて凝縮水が除去された燃焼排ガスは、二酸化炭素のみから構成されており、係る燃焼排ガス(CO2ガス)がCO2排出ラインL5を流れ、排出ラインL5に介装されたCO2圧縮機9で圧縮されて、液相CO2となる。
図1では、係る液相CO2を、排出ラインL5に介装された液相CO2ポンプ10により、注入井20を介して、地表Fからの深度の深い地中Gに埋設して処理している。
【0039】
酸素製造装置35では、燃料電池3からの発電電力を駆動電力とし、PSA方式によって酸素が生成される。酸素製造装置35で生成した酸素は、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。そして供給された酸素により、排ガス燃焼触媒4では燃料極オフガスが純酸素燃焼され、上述した通り、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2が100%)。
すなわち、排ガス燃焼触媒4で燃料極31のオフガスを純酸素燃焼条件で燃焼するのに必要な酸素は、バイオガス発電出力を活用する酸素製造装置35で生成されるのである。
【0040】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスにおける水(水蒸気:H2O)は、上述したように、排ガス熱交換器5で燃焼排ガスが降温して凝縮水となる。この凝縮水を凝縮水ラインLdからバイオガス発生装置2に供給することにより、バイオマスの発酵処理で必要なバイオマスの希釈水が供給される。
ラインLhを循環する循環水は、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスや空気極32で発生した高温のカソードオフガスが保有する熱量が投入されて昇温し、バイオマス生成装置2における発酵槽を加熱して、バイオマスの発酵を促進する。
【0041】
第1の酸素供給ラインL6を介して排ガス燃焼触媒4へ供給される酸素量が不足する場合には、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス中に未燃物質(UHC)が存在してしまい、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスには二酸化炭素以外に当該未燃物質(UHC)が残存することになる。
当該未燃物質(UHC)が残存すると、コンプレッサで圧縮しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは液化せず、二酸化炭素の処理が困難となり、場合によっては大気中に拡散してしまう恐れがある。
一方、酸素供給量が過剰であれば、過剰な分の酸素を発生するためのエネルギ(例えば、電力)を浪費したことになり、省エネルギの観点から好ましくない。
【0042】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)酸素量を求めるには、先ず、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)であるCHn(メタンCH4を含む)に対して、以下の反応式を充足する係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、上式(1)を充足する酸素量を求めれば、それがね排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)となる様な酸素量である。
図6を参照して後述するように、この様にして求められた酸素量に基づいて、バルブV3の開度を制御することが出来る。
【0043】
図1において、純酸素燃焼条件を充足する酸素量を酸素製造装置35で生成するには、酸素製造装置35に供給される電力が充足していることが必要となる。ここで、必要な電力(純酸素燃焼条件を充足する酸素量を、酸素製造装置35で生成するのに必要な電力)を充足している場合には、燃料電池3の発電出力のみを酸素製造装置35へ供給すれば良い。
一方、燃料電池3の発電出力のみでは必要な電力を賄えない場合には、図示しない他の電源、例えば系統電力や、図示しない太陽光発電装置や風力発電装置の様な二酸化炭素の排出を伴わないエネルギ(いわゆる「クリーンエネルギ」)の発生装置から、必要な電力の一部を供給する。大気中の二酸化炭素を削減或いは抑制するという見地からは、上記クリーンエネルギの利用が好ましい。
【0044】
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギ発生装置から供給される電力が、純酸素燃焼条件を充足するのに必要な酸素を生成するための電力に対して過剰である場合には、各種補機の駆動用電力(図4で後述)として、当該補機へ供給することが出来る。
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギの発生装置から供給される電力が、補機へ供給しても過剰な場合には、図示しない蓄電装置(蓄電池等)に蓄電することも出来る。
【0045】
明確には図示されていないが、燃料電池装置は発電装置として利用されるのみならず、熱電併給システム(コジュネレーションシステム)として利用することも可能である。
【0046】
上述した構成の第1実施形態によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収して処理(固定化)することが、容易に行なわれる。すなわち、バイオマス1が大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すれば、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが出来る。
そして、第1実施形態により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、バイオマスを用いて発電を行なっており、化石燃料を使用した場合や、水素を燃焼させた場合に比較して、燃焼温度が低温であり、燃焼機やタービンブレードの長寿命化を図ることが出来る。
それと共に、バイオマス由来のバイオガスによれば、化石燃料を用いた場合に比較して、早期着火やノッキングが起き難い。すなわち、バイオマス由来のバイオガスを燃焼させることにより、好適な燃焼条件を実現し易い。
【0048】
さらに、バイオマスの発酵処理時においては多量のバイオマス希釈水の添加が必要となり、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、第1実施形態では、二酸化炭素回収のため排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスから分離される凝縮水から浄化水を得てバイオマス希釈水にすると共に、バイオマスを用いた発電電力を用いて酸素製造装置35を駆動することにより、必要な酸素を効率良く、生成させている。
すなわち、バイオマスの発酵処理に必要とされるバイオマス希釈水と、純酸素燃焼を行なうために必要な酸素を、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来るのである。
【0049】
図2は本発明の第2実施形態を示している。
図2において、全体を符号101で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオガス生成装置2と、燃料電池3と、排ガス燃焼触媒4と、排ガス熱交換器5と、電気分解装置である水電気分解装置(水電解装置)6とを備えている。
【0050】
図2では明確に示されていないが、バイオガス生成器2は発酵槽を備え、バイオマス搬送ラインL1で搬送されたバイオマス1を当該発酵槽に貯留している間に、バイオマスが発酵してメタンガス等のバイオガスが生成される。
バイオガス生成器2と燃料電池3の燃料極31とは、バイオガス供給ラインL2で接続されている。そして、燃料電池3の燃料極31と排ガス熱交換器5とは排ガスラインL3で接続されており、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4が介装されている。
【0051】
排ガス熱交換器5とバイオガス生成装置2とは、温水循環ラインLhを介して連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱をバイオガス生成器2の図示しない発酵槽に投入して、発酵槽内のバイオマスを加温し、以って、バイオマスを発酵してメタンを主成分とするバイオガスの生成を促進している。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0052】
排ガス熱交換器5と水電解装置6とは凝縮水回収ラインL4で接続されており、凝縮水回収ラインL4はイオン交換樹脂7及び純水タンク8を介装している。排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは排ガス熱交換器5で温水循環ラインLhを流れる温水に熱を投入することにより、降温して、凝縮水を生成する。係る凝縮水が、凝縮水回収ラインL4を流れて、純水タンク8に貯留される。
凝縮水回収ラインL4において、イオン交換樹脂7は純水タンク8よりも、排ガス熱交換器5側に配置されている。また、凝縮水回収ラインL4における純水タンク8と水電解装置6との間の領域には、純水ポンプP1が介装されている。
排ガス熱交換器5はCO2排出ラインL5と連通しており、CO2排出ラインL5は、CO2圧縮機9及び液相CO2ポンプ10を介装したCO2排出ラインL5により、地中Gと連通している。そして、CO2排出ラインL5は、地中の注入井20と連通している。
【0053】
水電解装置6のO2発生部61は、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6によって排ガス燃焼触媒4と連通しており、第1の酸素供給ラインL6には開閉弁V1が介装されている。
また、燃料電池3と水分解装置6とは電力供給ラインLeによって接続されており、燃料電池3で発電された電力が水分解装置6に供給されるように構成されている。
電力供給ラインLeには、整流器11が介装されている。
【0054】
凝縮水回収ラインL4において、イオン交換樹脂7には水供給ラインLw2が接続されており、水供給ラインLw2には開閉弁Vwが介装されており、且つ、水供給ラインLw2は上水に連通している。
純水タンク8には水量センサSwが設けられており、排ガス熱交換器5から凝縮水回収ラインL4を流過する凝縮水が少なく、純水タンク8における液位が低い場合には、水供給ラインLwに介装された開閉弁Vwに制御信号を送り、水供給ラインLwから水道水をイオン交換樹脂7に供給し、不純物を除去した後、純水タンク8に補填する。
【0055】
また排ガス熱交換器5において、高温の排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)は、保有する熱量を温水循環ラインLh内に流れる温水に投与し、以って、当該燃焼排ガス自体は降温し、或いは冷却される。冷却された燃焼排ガス中の水蒸気(H2O)は凝縮して凝縮水となり、排ガス熱交換器5の底部から、凝縮水回収ラインL4内を流れる。
凝縮水回収ラインL4を流れる凝縮水は、イオン交換樹脂7を経由して不純物が除去され、純水として純水タンク8に一旦貯留される。そして、純水ポンプP1の作動によって、水電気分解に必要な量の純水が水電解装置6に供給される。
【0056】
上述した通り、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼された燃焼排ガスは二酸化炭素(CO2)と水(水蒸気:H2O)のみから成るので、当該燃焼排ガスから凝縮水(H2O)を除去すれば、二酸化炭素(CO2)のみが残存する。
窒素或いは窒素化合物を包含する場合と異なり、二酸化炭素のみであれば、コンプレッサ等で圧縮することにより、容易に液化する。液化した二酸化炭素は、注入井により地中深くに埋め、或いは、海底に注入することが容易であり、その結果、二酸化炭素の処理が容易になる。
【0057】
排ガス熱交換器5で降温されて凝縮水が除去された燃焼排ガスは、二酸化炭素のみから構成されており、係る燃焼排ガス(CO2ガス)がCO2排出ラインL5を流れ、排出ラインL5に介装されたCO2圧縮機9で圧縮されて、液相CO2となる。
図1では、係る液相CO2を、排出ラインL5に介装された液相CO2ポンプ10により、注入井20を介して、地表Fからの深度の深い地中Gに埋設して処理している。
【0058】
水電解装置6では、凝縮水回収ラインL4を介して供給された純水が電気分解され、酸素(O2)と水素(H2)が生成される。
水電解装置6で生成した酸素は、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。そして供給された酸素により、排ガス燃焼触媒4では燃料極オフガスが純酸素燃焼され、上述した通り、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2が100%)。
すなわち、排ガス燃焼触媒4で燃料極31のオフガスを純酸素燃焼条件で燃焼するのに必要な酸素は、全て水電解装置6で生成されるのである。
【0059】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスにおける水(水蒸気:H2O)は、上述したように、排ガス熱交換器5で燃焼排ガスが降温して凝縮水となる。この凝縮水を凝縮水回収ラインL4から水電解装置6に供給することにより、水電解装置6で必要な水が供給される。
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが保有する熱量が投入され昇温した循環水は、バイオマス生成装置2における発酵槽の部を加熱して、バイオマスの発酵を促進する。
【0060】
第1の酸素供給ラインL6を介して排ガス燃焼触媒4へ供給される酸素量が不足する場合には、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス中に未燃物質(UHC)が存在してしまい、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスには二酸化炭素以外に当該未燃物質(UHC)が残存することになる。
当該未燃物質(UHC)が残存すると、コンプレッサで圧縮しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは液化せず、二酸化炭素の処理が困難となり、場合によっては大気中に拡散してしまう恐れがある。
一方、酸素供給量が過剰であれば、過剰な分の酸素を発生するためのエネルギ(例えば、電力)を浪費したことになり、省エネルギの観点から好ましくない。
【0061】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)酸素量を求めるには、先ず、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)であるCHn(メタンCH4を含む)に対して、以下の反応式を充足する係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、上式(1)を充足する酸素量を求めれば、それがね排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)となる様な酸素量である。
図7を参照して後述するように、この様にして求められた酸素量に基づいて、バルブV3の開度を制御することが出来る。
【0062】
図2において、純酸素燃焼条件を充足する酸素量を水電解装置6で生成するには、水電解装置6に供給される純水量が不足している場合は、前述したように、排ガス熱交換器5からの凝縮水に加えて、水道水をイオン交換樹脂7に供給して純水とする。そして、当該純水を純水タンク8を介して水電解装置6に供給するのである。
一方、排ガス熱交換器5で除去された凝縮水により必要な水量を賄える場合には、イオン交換樹脂7を通過させた後に純水タンク8に貯蔵するか、或いは、余剰の凝縮水を清浄化した後、系外へ排水する。ここでいう「清浄化」は、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101から排出された凝縮水が周辺環境にダメージを及ぼさない程度の浄化処理を意味している。
【0063】
水電解装置6で消費する電力は、燃料電池3の出力から賄っている。
水電解装置6へ供給される電力が、必要な電力(純酸素燃焼条件を充足する酸素量を、水電解装置6で生成するのに必要な電力)を充足している場合には、燃料電池3の発電出力のみを水電解装置6へ供給すれば良い。
一方、燃料電池3の発電出力のみでは必要な電力を賄えない場合には、図示しない他の電源、例えば系統電力や、図示しない太陽光発電装置や風力発電装置の様なエネルギ(いわゆる「クリーンエネルギ」)の発生装置から、必要な電力の一部を供給する。
二酸化炭素を削減或いは抑制するという見地からは、上記クリーンエネルギの利用が好ましい。
【0064】
燃料電池3の出力電力は直流であり、水電解装置6で用いられるのも直流であるので、燃料電池3の出力ラインLeには整流器(交流/直流変換装置:AC/DCコンバータ)を介装する必要は無い。
但し、燃料電池3の出力が不足して、系統電力を用いて商用電源から水の電気分解に必要な電力の一部を供給する場合には、図示しない商用電源からの交流電流を、整流器(図示せず)を介して直流電流に変換してから、水電解装置6へ供給する。
【0065】
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギ発生装置から供給される電力が、純酸素燃焼条件を充足するのに必要な酸素を生成するための電力に対して過剰である場合には、各種補機の駆動用電力(図3で後述)として、当該補機へ供給することが出来る。
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギの発生装置から供給される電力が、補機へ供給しても過剰な場合には、図示しない蓄電装置(蓄電池等)に蓄電することも出来る。
【0066】
明確には図示されていないが、燃料電池装置は発電装置として利用されるのみならず、熱電併給システム(コジュネレーションシステム)として利用することも可能である。
【0067】
上述した構成の第2実施形態によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収して処理(固定化)することが、容易に行なわれる。すなわち、バイオマス1が大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すれば、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが出来る。
そして、第1実施形態により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0068】
また、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、第2実施形態では、二酸化炭素回収のため排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスから分離される凝縮水から純水を得て、係る純水を電気分解することにより必要な酸素を効率良く、生成させている。
すなわち、純酸素燃焼を行なうために必要な酸素を、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来るのである。
【0069】
図3は、本発明の第3実施形態を示している。
図3において、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号102で示されている。
第1実施形態及び第2実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として燃料電池3を用いているが、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置102では、ガスエンジン或いはガスタービンが発電装置として用いられる。ガスエンジン或いはガスタービンは、バイオガスを燃料とする発電装置として、燃料電池3の均等物である。
図示の実施形態において(図3も含む)、ガスエンジン或いはガスタービンは、符号3Aで包括的に表示されている。
以下、図3を参照して、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置について、主として図2の第2実施形態とは異なる点を説明する。
【0070】
図3において、バイオガス供給ラインL2にはO2ミキサ12が介装され、そのO2ミキサ12は、第2の酸素供給ラインL7を介して水素電解装置6のO2発生部61と接続されている。
第2の酸素供給ラインL7には、開閉弁V2が介装されている。
【0071】
ガスエンジン或いはガスタービン3Aでは、バイオガス供給ラインL2におけるガスエンジン或いはガスタービン3Aの上流側(供給側)に、O2ミキサ12を介装し、該O2ミキサ12に水電解装置6で発生した酸素を供給し、以って、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転せしめている。図3では明示されていないが、図1で示すPSA方式の酸素製造装置35で酸素を製造して、O2ミキサ12に供給しても良い。
O2ミキサ12でバイオガスに酸素を供給して、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転しているので、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスは、二酸化炭素と水のみで構成される(H2O+CO2→100%)。
ガスエンジン或いはガスタービン3Aの電力供給ラインLeには、整流器11A(AC/DCコンバータ)が介装されており、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの出力電力である交流電力を、直流電力に変換している。
【0072】
ここで、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転するのに必要な酸素量については、バイオガスの組成に測定し、係るバイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算することにより、求めることが可能である。空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量の演算については、公知技術を適用すれば良い(例えば、特許第4059342号公報、特開2005−256674号公報参照)。係る演算については周知であるので、詳細は省略する。
空気中の酸素含有量は一定であるため、λ=1.0となる空気量が求まれば、そこに含有される酸素量も直ちに求めることが出来る。その様にして求めた酸素量が、純酸素燃焼を行うために必要な酸素量である。
図3の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1の第1実施形態及び図2の第2実施形態と同様である。
【0073】
図4は本発明の第4実施形態を示している。
図4において、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は全体が符号103で示されている。
図4の第4実施形態は、発電装置として燃料電池3を用いている。
図4において、第4実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103では、各種補機の駆動電力を、水電解装置6で発生した水素(副生水素)を用いた発電により、賄っている。
以下、図4の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103について、主として、図2の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101とは異なる構成を説明する。
【0074】
図4において、第4実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103では、水電解装置6で生成した水素(副生水素)を用いた水素発電装置13が設けられている。
副生水素で発電を行なう水素発電装置13としては、例えば、純水素駆動型の高分子電解質形燃料電池PEFCやリン酸形燃料電池PAFC、水素エンジンと組み合わせた発電装置や、水素タービンと組み合わせた発電装置等が適用できる。
【0075】
水素発電装置13は、水素供給ラインL8によって水電解装置6の水素発生部62と接続されている。そして、水電解装置6で発生した水素(副生水素)は、水素供給ラインL8を経由して水素発電装置13に供給され、水素発電装置13で発電が行なわれる。そして、水素発電装置13の発電出力は、図4で示す各種補機へ供給される。
【0076】
各種補機としては、水電解装置6、純水ポンプP1、循環水ポンプP2、CO2圧縮機(コンプレッサ)9、液相CO2ポンプ10がある。
ここで、純水ポンプP1は、純水を水電解装置6へ供給するために設けられており、循環水ポンプP2は、発酵槽加熱用の温水(循環水)を排ガス熱交換器5と発酵槽2との間で循環させるために設けられている。
また、CO2圧縮機(コンプレッサ)9は、凝縮水を除去した後の排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス(二酸化炭素のみで構成されている燃焼排ガス)を圧縮するために設けられている。
そして、液相CO2ポンプ10は、CO2圧縮機(コンプレッサ)9で液化された液化CO2を注入井20を介して地中に注入するために設けられている。
【0077】
水素発電装置13とこれらの補機類(水電解装置6、純水ポンプP1、循環水ポンプP2、CO2圧縮機(コンプレッサ)9、液相CO2ポンプ10)は、電力供給ラインLesによって接続されている。
なお、水電解装置6には、水素発電装置13から直流電流が供給される。
その他の補機は、水素発電装置13の発電出力が直流であるか交流であるかと、その捕機が交流電流駆動であるか直流電流駆動であるかによって、図示しないDC/ACコンバータ或いはAC/DCコンバータを経由して、又は、水素発電装置13から直接、駆動電流が供給される。
【0078】
第4実施形態では、燃料電池3による発電出力や、或いは電気分解の際に発生した水素を純水素駆動の発電装置13の燃料として活用することにより、電気分解に必要な電力を、必要とするその場で(オンサイトで)得ることができる。
また、電気分解の際に発生した水素を水素発電装置13で活用して発電することにより、バイオマスを用いた発電に必要な各種機器や、二酸化炭素の回収に必要な各種機器の駆動に必要な電流を賄うことが可能であり、これら各種機器の駆動電流を化石燃料由来の発電で賄うことに起因する二酸化炭素の排出を抑制することができる。
図4の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図2の第2実施形態と同様である。
【0079】
図5は本発明の第5実施形態を示している。
図5において、第5実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号104で示している。
第4実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として燃料電池を用いているが、第5実施形態では、ガスエンジン或いはガスタービン3Aが発電装置して用いられる。
以下、図5を参照して、第5実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置104について、主として図4に対して異なる構成を説明する。
【0080】
図4の酸化炭素分離回収装置103では、水電解装置6で発生した酸素を、排ガスラインL3に介装した排ガス燃焼触媒4に供給している。
これに対して、図5の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置104では、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの上流側(供給側)のバイオガス供給ラインL2にO2ミキサ12が介装されており、O2ミキサ12に水電解装置6で発生した酸素を供給している。
【0081】
図5において、バイオガス供給ラインL2に介装したO2ミキサ12は、第2の酸素供給ラインL7を介して、水電解装置6のO2発生部61と接続している。そして第2の酸素供給ラインL7には、開閉弁V2が介装されている。
水電解装置6で発生した酸素は、第2の酸素供給ラインL7を経由してO2ミキサ12に供給され、バイオガス供給ラインL2を流れるバイオガスに供給される。そして、バイオガスに供給される酸素量は、開閉弁V2を開閉制御することにより調節される。
O2ミキサ12において、開閉弁V2で流量制御された酸素をバイオガスに供給することにより、ガスエンジン或いはガスタービン3Aでは純酸素燃焼が行なわれ、その排ガスは、二酸化炭素と水のみで構成される(H2O+CO2→100%)。
【0082】
図3を参照して説明したように、ガスエンジン或いはガスタービン3Aで純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量は、バイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算することにより、求めることが出来る。
図5の第5実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図3、図4の各実施形態と同様である。特に、補機に対する電力供給に係る構成については、図4と同様である。
【0083】
図6、図7は、本発明の第6実施形態を示している。
図6において、第6実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号105で示している。そして図7では、排ガス燃焼触媒4への酸素供給量の制御を示している。
図6において、第6実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置105は、オフガス・O2再燃焼制御装置(再燃焼制御装置)14と、オフガス中の未燃成分を測定する未燃成分測定手段である第1のガスセンサSg1とを有している。
なお、図6と、後述の図8、図10〜図13において、図面を簡略化して明瞭にするため、水素発電装置13から各種補機へ電流を供給するライン(図4及び図5における電力供給ラインLes)の図示を省略している。
【0084】
図6において、排ガスラインL3において、燃料電池3の燃料極31と排ガス燃焼触媒4との間の領域には、燃料極31のオフガスにおける未燃成分(UHC)を測定する未燃成分測定手段(第1のガスセンサ)Sg1が介装されている。
再燃焼制御装置14と第1のガスセンサSg1とは入力信号ラインSiによって接続されており、第1の酸素供給ラインL6に介装された開閉弁V1と再燃焼制御装置14とは制御信号ラインSoによって接続されている。
【0085】
第1のガスセンサSg1の測定結果は再燃焼制御装置14に送られて、排ガス燃焼触媒4において燃料極オフガスが純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量、換言すれば、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素量が求められ、当該酸素量に対応して開閉弁V1の弁開度が決定される。
そして、決定された弁開度だけ、開閉弁V1は開弁される。
【0086】
再燃焼制御装置14で開閉弁V1の開度制御を行なう態様が、図7で示されている。以下、主として図7を参照して、開閉弁V1の開度制御を説明する。
図7において、ステップS1では、第1のガスセンサSg1の測定結果、すなわち燃料極オフガスにおける未燃成分(UHC)の種類及び含有量が、再燃焼制御装置14に入力される。
ステップS2では、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが、二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素供給量、すなわち、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量が演算される。
【0087】
ステップS2において、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが、二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素量は、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)CHnを完全に燃焼するための酸素量である。従って、先ず、下式(1)におけるとなる様な係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、係数a〜dが決定した式(1)を満足する様に、酸素量を演算すれば、することにより、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量を求めることが出来る。
【0088】
ステップS3、ステップS4では、演算した酸素量が供給されるように、開閉弁V1の開度を決定し、開閉弁V1の開度が決定した開度となる様に制御がされる。ステップS4では、開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応した開度となっているのか否かを判断する。
【0089】
開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応する開度になっていれば(ステップS4がYES)、ステップS5に進む。
開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応する開度になっていなければ(ステップS4がNO)、ステップS3、ステップS4を繰り返す。
ステップS5では、図示しないコントロールユニット(再燃焼制御装置14を包含する)により、燃料電池3を停止するか否かを判断する。燃料電池3を停止するのであれば(ステップS5がYES)、必要なシーケンスを実行して停止する。
燃料電池の運転を続行するのであれば(ステップS5がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0090】
図6、図7の第6実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図5の各実施形態(特に燃料電池3と水電解装置6とを有する図2、図4の実施形態)と同様である。
【0091】
図8は本発明の第7実施形態を示している。
図8において、第7実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号106で示されており、バイオマスを用いた発電装置としてガスエンジン或いはガスタービン3Aが用いられる。
以下、図8を参照して、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106について説明する。
【0092】
図8の第7実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106では、排ガス・O2再燃焼制御装置14A(再燃焼制御装置14A)を有しており、また、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスラインL3に排ガス燃焼触媒4を介装している。
図8で示す再燃焼制御装置14Aは、ガスエンジン或いはガスタービン3Aから排出される排ガスを、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼するのに必要な酸素供給量を制御している。そして、供給量が制御されるべき酸素は、図6と同様に、水電解装置6で生成されて、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。
【0093】
図8において、バイオガス供給ラインL2にはミキサ12が介装され、O2ミキサ12と水電解装置6のO2発生部61とは第2の酸素供給ラインL7によって接続されており、第2の酸素供給ラインL7には開閉弁V2が介装されている。
【0094】
図8の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106では、係るO2ミキサ12によってバイオガスに酸素が供給されることにより、図3、図5で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置と同様に、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼することが出来る。それに加えて、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)CHnを完全に燃焼するために、排ガス燃焼触媒4に水電解装置6から酸素を供給して、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスを純酸素燃焼している。
【0095】
排ガス燃焼触媒4においてガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスを純酸素燃焼するのに必要な酸素供給量を決定するべく、再燃焼制御装置14Aで行なわれる制御制御については、図7のステップS12で説明したのと同様である。
図8の第7実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7の各実施形態(特に、オフガスのUHCを完全燃焼する制御については図6、図7の第6実施形態)と同様である。
【0096】
図9、図10は本発明の第8実施形態を示している。
図9において、第8実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号107で示されている。
図9の第8実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107では、図8とは異なり、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4は介装されておらず、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6も設けられていない。
図9の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107では、バイオガス供給ラインL2において、バイオガス生成装置2とO2ミキサ12との間の領域に、バイオガス組成測定手段である第2のガスセンサSg2を介装している。そして、第2のガスセンサSg2は、入力信号ラインSiによって燃焼制御装置14Cと接続されている。
図9において、排ガスラインL3には第1のガスセンサSg1が介装されており、第1のガスセンサSg1は、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの組成か、或いは、ガスエンジンまたはガスタービンFの排ガスにおけるO2濃度を測定する。
【0097】
図9の第8実施形態では、第2のガスセンサSg2によってガスエンジンまたはガスタービン3Aに供給されるバイオガスの組成を測定し、第1のガスセンサSg1によってガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの未燃成分(UHC)を測定し、或いは、ガスエンジンまたはガスタービンFの排ガスにおけるO2濃度を測定している。
【0098】
そして、燃焼制御装置14Cは、第2のガスセンサSg2で測定されたバイオガスの組成と、第1のガスセンサSg1によって測定されるガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの未燃成分(UHC)の種類及び濃度か、或いは、O2濃度に基づいて、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの組成が、H2O+CO2が100%となる様な酸素供給量を求める。
そして燃焼制御装置14Cは、求められた酸素供給量に対応して、開閉弁V2の開度制御を行なう。
【0099】
次に、図10を主として参照しつつ、燃焼制御装置14Cによる開閉弁V2の開度制御について説明する。
図10のステップS11において、第1のガスセンサSg1の測定結果(バイオガスの組成)及び第2のガスセンサSg2の測定結果(ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスにおけるUHCの種類及び濃度か、或いは、O2濃度)が、燃焼制御装置14Cに入力される。
そしてステップS12で、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスが、二酸化炭素と水のみになる(H2O+CO2→100%になる)様な酸素供給量を演算する。
【0100】
ステップS12において、係る酸素供給量(H2O+CO2→100%になる様な酸素供給量)を求めるためには、先ず、ガスセンサSg1で求められたバイオガスの組成から、ガスエンジンまたはガスタービン3Aが空気比λ=1.0で燃焼運転を行なうような空気量を演算する。
そして、係る空気量において含有される酸素の量を求める。空気中の酸素含有量は一定であるため、λ=1.0となる空気量に含有される酸素量も直ちに求めることが出来る。
ここで、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算する手法については公知技術を適用する(例えば、特許第4059342号公報、特開2005−256674号公報参照)。
【0101】
次に、その様にして求めた酸素供給量に対して、第2のガスセンサSg2で測定されたガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)の組成及び濃度に基づいて、或いは、当該排ガス排ガス中のO2濃度に基づいて、必要な較正を行なう。
すなわち、λ=1.0となる空気量に含有される酸素量を、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)或いはO2濃度に基づいて、較正(或いは補正)する。そして、較正(或いは補正)後の酸素量を、O2ミキサ12においてバイオガスに供給するべき酸素量を、ステップS12で決定された酸素供給量とする。
【0102】
次のステップS13では、ステップS12で決定された供給量に係る酸素がバイオガスへ供給されるように、開閉弁V2の開度を制御する。ステップS14では、燃焼制御装置14Cは、開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応しているか否かを判断する。
開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応していれば(ステップS14がYES)、ステップS15に進む。開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応していなければ(ステップS14がNO)、ステップS13に戻り、ステップS13以降を繰り返す。
【0103】
ステップS15では、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107のコントロールユニット(燃焼制御装置14Cを包含する)は、ガスエンジンまたはガスタービン3Aを停止するか否かを判断する。
を停止するのであれば(ステップS15がYES)、必要なシーケンスにしたがって停止する。一方、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの運転を続行するのであれば(ステップS15がNO)、ステップS11まで戻り、ステップS11以降を繰り返す。
【0104】
図9、図10の第8実施形態によれば、ガスエンジンまたはガスタービン3Aでバイオガスを燃焼させた際に、燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる様に酸素供給量を制御することが出来るので、酸素不足による未燃物(UHC)が発生することにより、回収した二酸化炭素(ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスであって、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去した排ガス)が液化しない事態が生じ、CO2回収処理効果の低下することや、酸素不足による燃焼悪化と発電効率の低下が防止できる。そして、酸素供給量が過剰になることによるエネルギ(水電解装置6の消費電力)の増加も防止することが出来る。
図9、図10の第8実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図8の各実施形態と同様である。
【0105】
図11は本発明の第9実施形態を示している。
図11において、第9実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号108で示されている。
図11の第9実施形態は、図8の第7実施形態と、図9、図10の第8実施形態を組み合わせた実施形態である。
【0106】
図11において、排ガス・O2再燃焼制御装置14A(再燃焼制御装置14A)とバイオガス・酸素燃焼制御装置14C(燃焼制御装置14C)とは、コントロールユニット50として一体にまとめられている。
図11の第9実施形態では、先ず、第2のガスセンサSg2でバイオガスの組成を測定し、その測定結果により、燃焼制御装置14Cにおいて、係るバイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算する。
さらに燃焼制御装置14Cでは、第1のガスセンサSg1で測定された未燃物(UHC)の組成及び濃度に基づいて、バイオガスの組成からλ=1.0となる空気量に含有される酸素量を較正する。以って、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(純酸素燃焼を行う)ために必要な酸素量を求め、開閉弁V2を開度制御する。
【0107】
それに加えて、第1のガスセンサSg1で測定された未燃物(UHC)の組成及び濃度は再燃焼制御装置14Aに送られて、排ガス燃焼触媒4において、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスにおける未燃物(UHC)が完全燃焼する酸素供給量が演算される。そして、開閉弁V1が開閉制御される。
図11の第9実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図8〜図10の第7実施形態、第8実施形態と同様である。
【0108】
図12は、本発明の第10実施形態を示している。
図12において、第10実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号109で示されている。
図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109は、発電装置として燃料電池3が用いられる。
【0109】
図2、図4、図6では、バイオガス生成装置2の図示しない発酵槽で生成されたバイオガスが、図示しない設備によって不純物を除去された後に、燃料電池3の燃料極31に送られている。
それに対して、図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109では、無酸素加熱ガス化装置16においてバイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行っている。そして、ガス化により発生したガスに、タール熱分解装置17で純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給)、1100℃でタールを熱分解して改質する。
そして、タール熱分解装置17で改質されたガスを、燃料電池3の燃料極31に供給している。
【0110】
図12において、バイオマス1はバイオマス供給ラインL1によって無酸素加熱ガス化装置16に供給される。そして、無酸素加熱ガス化装置16は、第3のガスセンサSg3を介装したガス化ガスラインL12を介して、タール熱分解装置17に接続されている。
第3のガスセンサSg3は、ガス化ガスラインL12のガス化ガスの組成を検出している。
タール熱分解装置17は、開閉弁V3を介装した第3の酸素供給ラインL9を介して、水電解装置6のO2発生部と接続されている。
タール熱分解装置17の下流側(燃料電池3側)における供給ラインL2には、供給ラインL2を流れて燃料電池3に供給されるガスの組成を計測する第2のガスセンサSg2が介装されている。
【0111】
開閉弁V3は、制御信号ラインSoを介して、制御手段であるタール分解用酸素供給量制御装置18と接続されている。そして第3のガスセンサSg3及び第2のガスセンサSg2は、入力信号ラインSiを介して、タール分解用酸素供給量制御装置18と接続されている。
タール熱分解装置17に供給される酸素量は、第3のガスセンサSg3或いは第2のガスセンサSg2の測定結果に基づいて、燃料電池3に供給されるガスの組成が、メタン、二酸化炭素、水、一酸化炭素となり、タールや窒素や窒素化合物等を包含しない様に、タール分解用酸素供給量制御装置18により決定される。
燃料電池3に供給されるガスの組成が、メタン、二酸化炭素、水、一酸化炭素となれば、オフガス燃焼触媒4の燃焼排ガスに窒素や窒素酸化物が包含されてしまうことが無くなり、二酸化炭素の回収が容易となる。
【0112】
排ガス熱交換器5と無酸素加熱ガス化装置16とは、温水循環ラインLhで閉回路として連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱を無酸素加熱ガス化装置16のバイオマスに与え、バイオマスを予熱するのに用いられる。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0113】
図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109では、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行い、ガス化ガスに純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給)、1100℃でタールを熱分解して改質する。改質されたガスは、その組成の大部分は、CO2、CO、H2、CH4となり、タールや窒素や窒素化合物を含んでいない。
従って、燃料電池3の燃料極オフガスを排ガス燃焼触媒4において酸素を供給して燃焼すれば、その燃焼排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)がCO2とH2Oのみで組成されることになる。
【0114】
図12の第10実施形態によれば、バイオマスのタール熱分解時に必要な酸素が適当な量だけ供給されるので、空気を用いた熱分解ガスとは異なり、オフガス燃焼触媒4の燃焼排ガスに窒素或いは窒素酸化物が包含されず、二酸化炭素の回収が容易且つ効率的に行なわれる。
図12の第10実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図11の第1実施形態〜第9実施形態と同様である。
【0115】
図13は、本発明の第11実施形態を示している。
図13において、第11実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号110で示されている。
図13の第11実施形態では、発電装置としてガスエンジンまたはガスタービン3Aが用いられる。
【0116】
図13の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置110では、図12の第10実施形態の装置109に対して、供給ラインL2における第2のガスセンサSg2とガスエンジンまたはガスタービン3Aとの間の領域に、O2ミキサ12を介装している。O2ミキサ12は、第3の酸素供給ラインL9の分岐ラインL9bを介して、水電解装置6のO2発生部61に接続している。そして、分岐ラインL9bには開閉弁V2が介装されており、分岐ラインL9b及びO2ミキサ12を介して、供給ラインL2を流れるガスに酸素が供給される。
【0117】
そして、図13の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置110では、供給ラインL2を流れるガスに対して、ガスエンジンまたはガスタービン3Aが純酸素燃焼を行なうように、開閉弁V2を開閉制御して、必要な酸素量を供給している。
開閉弁V2を開閉制御してガスエンジンまたはガスタービン3Aが純酸素燃焼を行なうようにする制御態様については、例えば、空気比λ=1.0で燃焼運転を行なうような空気量を演算し、係る空気量に含有される酸素の量を求めることにより行なわれる。
【0118】
図13の第11実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図12で示す各実施形態(特に、図12で示す第10実施形態)と、同様である。
【0119】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
例えば、図6〜図13の各実施形態においては水電解装置6で酸素を発生しているが、純水素駆動燃料電池13による補機電力の供給を行なわないのであれば、図1で示す様に、PSA式の酸素製造装置35で酸素を生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態のブロック図。
【図3】本発明の第3実施形態のブロック図。
【図4】本発明の第4実施形態のブロック図。
【図5】本発明の第5実施形態のブロック図。
【図6】本発明の第6実施形態のブロック図。
【図7】第6実施形態における制御を示すフローチャート。
【図8】本発明の第7実施形態のブロック図。
【図9】本発明の第8実施形態のブロック図。
【図10】第8実施形態における制御を示すフローチャート。
【図11】本発明の第9実施形態のブロック図。
【図12】本発明の第10実施形態のブロック図。
【図13】本発明の第11実施形態のブロック図。
【符号の説明】
【0121】
1・・・バイオマス
2・・・バイオガス生成装置
3・・・発電装置/燃料電池
3A・・・発電装置/ガスエンジン或いはガスタービン
4・・・排ガス燃焼触媒
5・・・排ガス熱交換器
6・・・電気分解装置/水電解装置
7・・・イオン交換樹脂
8・・・純水タンク
9・・・CO2圧縮機
10・・・液相CO2ポンプ
11A・・・整流器
12・・・O2ミキサ
13・・・純水素駆動燃料電池
14・・・オフガス・O2再燃焼制御装置
16・・・無酸素加熱ガス化装置
35・・・PSI式酸素製造装置
40・・・水供給機構
42・・・浄化フィルタ
44・・・浄化水タンク
17・・・タール熱分解装置
L1・・・バイオマス供給ライン
L2・・・バイオガス供給ライン
L3・・・排ガスライン
L4・・・凝縮水回収ライン
L5・・・CO2排出ライン
L6・・・第1の酸素供給ライン
L7・・・第2の酸素供給ライン
L8・・・水素供給ライン
Ld・・・凝縮水ライン
P1・・・純水ポンプ
P2・・・循環水ポンプ
P3・・・バイオマス希釈水ポンプ
Sg1・・・未燃成分測定手段/第1のガスセンサ
Sg2・・・バイオガス組成測定手段/第2のガスセンサ
V1、V2・・・開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の低減技術に関連しており、より詳細には、バイオマスを活用して、高効率且つ低環境負荷で大気中の二酸化炭素を分離回収し、固定化等の処分を行なう技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護のために、近年、二酸化炭素排出量の削減が重要な技術的課題となっている。これまでの化石燃料利用に伴って増加した大気中の二酸化炭素濃度を低減し、今後の化石燃料利用に伴って排出される二酸化炭素の影響を出来る限り抑制することは、非常に重要である。
【0003】
特に、大気中の二酸化炭素を分離回収し、固定化することで二酸化炭素量(或いは二酸化炭素濃度)を減少或いは削減することが出来れば、当該減少或いは削減した分だけ、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来るので、化石燃料を使用しても地球環境を維持させることが出来る。
【0004】
さらに、大気中の二酸化炭素の回収処理による(二酸化炭素の)減少或いは削減量が、化石燃料利用時における二酸化炭素排出量よりも多ければ、正味の大気中二酸化炭素量(或いは二酸化炭素濃度)を減少させる(カーボンネガティブ化)することが出来るので、これまでの化石燃料利用に伴って増加した大気中の二酸化炭素濃度を低減させ、地球環境を改善させることができる。
ここで発明者は、光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収したバイオマスに由来するバイオガスを燃料として発電を行なう際に、その排ガスから二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収して、処理(固定化)することが出来れば、化石燃料を使用せずに発電を行なうことが可能になると共に、バイオマスにより大気中から吸収された二酸化炭素を回収・処理するので、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することに着目した。
しかし、バイオマスの活用においては、発電時の正味の二酸化炭素排出量を増加させない(カーボンニュートラル化)という発想が殆どである。バイオマスによる発電時の二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させること無く分離回収し、処理することによって、正味の大気中二酸化炭素濃度を低減させる技術は、殆ど提案されていない。
【0005】
従来技術として、例えば、マリンバイオマスを用いた大規模CO2削減システムが存在する(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、多数の人工衛星や関連インフラなど、設備投資や運用面での負担と、これに伴う二酸化炭素の排出が大きい。更に、海洋プランテーションや洋上プラント船での運用では、海流や強風等の影響を受けやすく、効率的な運用が困難である。
【0006】
また、発酵ガスや、ガス化ガスを用いたエネルギシステムが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この従来技術(特許文献2)は、発酵ガスや、ガス化ガスを用いたエネルギシステムの提案であって、大気中のCO2濃度の削減が目的ではない。また、燃料がバイオマスと特定されていないため、エネルギシステムからのCO2排出量をゼロにすることが出来ても、大気中のCO2濃度が低減されるわけではない。そして、燃料を酸素燃焼させる際の酸素供給量の制御については開示されていないので、燃焼時の酸素不足や、必要以上に酸素を製造・供給する恐れがあり、システム効率が低下するという問題がある。
さらに、水の電気分解に必要な純水を河川水等から製造する場合には、純水製造設備が大規模になり、負担が大きい。加えて、システムの設備設置場所と水素の需要地が離れている場合、長いパイプラインによる輸送効率の低下や、少量の需要に対しては水素ステーションの稼働率が低下する等の問題を有している。
【0007】
さらに、離島でのガスタービンの利用を前提としたエネルギシステムも提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この従来技術(特許文献3)は、離島でのガスタービンを利用したエネルギシステムであって、大気中のCO2濃度を低減させる方法ではない。
そして、この従来技術では、燃焼時の酸素不足や必要以上の酸素の製造・供給によりシステムの効率が低下すると言う問題がある。
それに加え、発熱量の高い化石燃料を純酸素燃焼させる際の燃焼器高温化によって耐久性が低下してしまう。
【0008】
燃料電池による発電システムも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献4)は発電システムに係る技術であって、大気中のCO2濃度を低減させる技術ではない。
この従来技術に係る発電システムは、除湿装置におけるCO2の固化及びその後の液化により大量のエネルギを必要とするので、効率は低下してしまう。そして、構造が複雑化するという問題を有している。そして構造の複雑化と共に、排ガスから高温のCO、H2が漏洩したり、改質ガスが逆流することによって火災や爆発、一酸化炭素中毒等の恐れが生じ、その安全対策に大掛かりな設備等が必要となってしまう。
【0009】
そして、その他の従来技術として、燃料電池・メタン醗酵リサイクルシステムが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、その様な従来技術(特許文献5)では、回収したCO2の内、メタン醗酵の促進に活用された残りのCO2は大気に放出されるので、大気中のCO2を削減することは出来ない。
また、CO2分離時にオフガス中に含まれる微量の未反応成分処理に関し、酸素で触媒燃焼される旨が記載されているが、その際に用いられる酸素の効率的な供給態様については開示されていない。
さらに、オフガスを完全酸化させるための酸素供給量制御についても開示されておらず、酸素不足或いは必要以上の酸素供給により、効率が低下すると言う問題を有している。
【0010】
その他にも、従来技術において、燃料電池による発電システムが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献6)は発電システムに関するものであり、大気中のCO2濃度を低減させる技術に係るものではない。また、燃料電池の排ガス中の未燃成分を完全に酸化するための酸素供給量の制御については開示されていないので、排ガスを燃焼する際に酸素不足や、過剰の酸素供給を惹起する恐れがあり、システムの効率が低下してしまう。
【特許文献1】特開2006−204264号公報
【特許文献2】特開2007−245017号公報
【特許文献3】特開2004−41967号公報
【特許文献4】特開2007−18907号公報
【特許文献5】特開2004−192824号公報
【特許文献6】特開平11−26004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、バイオマスによる発電に際して、二酸化炭素を効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収・処分(固定化)し、以って、大気中の二酸化炭素の減少或いは削減に寄与することが出来るような大気中二酸化炭素の分離回収処理装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオマス(1)からバイオガスを生成する装置(2:バイオガス生成装置、発酵槽、ガス化装置及びタール熱分解装置)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(燃料電池3、ガスエンジン又はガスタービン3A)と、発電装置(3、3A)の発電電力を用いて排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(酸素製造装置35、排ガス燃焼触媒4、O2ミキサ12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガスを生成する装置(2)に供給する水供給機構(40)とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
ここで、水供給機構(40)は、バイオガスを生成する装置(2)にバイオマスの希釈水を供給し、或いは、ガス化装置(16、17)に冷却水及び/又は浄化用の水を供給するための機構であり、排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(排ガス熱交換器5)を備えているのが好ましい。
【0013】
ここで、前記酸素を供給する機構は、前記発電装置(3、3A)の発電電力を用いてPSA(Pressure Swing Adsorption)方式で周囲の空気(大気)を用いて酸素を製造する装置(35)を有しているのが好ましい。
そして、排ガスを冷却して分離された前記凝縮水は、特にバイオマス発酵槽に供給してバイオマス希釈のために用いられる場合には、発酵槽内の発酵菌を死滅させないように、(例えば浄化フィルタ42で)浄化してからバイオマス発酵槽へ供給されるのが好ましい(図1)。
【0014】
また本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した純水を電気分解して排ガスに供給するべき酸素を生成する電気分解装置(6)とを備えていることを特徴としている(請求項2)。
【0015】
特に前記発電装置が燃料電池(3)である場合には、燃料極オフガスの排出ライン(L3)に排ガス燃焼触媒(4)を設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給するのが好ましい(図2)。
或いは、前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)である場合には、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)のバイオガス供給ライン(L2)に混合装置(酸素ミキサ12)を設け、該混合装置(12)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給してバイオガスと混合して、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)に供給するのが好ましい(図3)。
ここで、燃料電池(3)と、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)は、バイオガスを燃料とする発電装置である点で、均等物である。
【0016】
また本発明において、前記電気分解装置(水電気分解装置6)で発生した水素を燃料として発電する第2の発電装置(水素発電装置/純水素駆動燃料電池13)を備えるのが好ましい(請求項3:図4、図5)。
そして、第2の発電装置(水素発電装置/純水素駆動燃料電池13)の出力は、本発明に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置の各種補機における駆動電力として用いられ、及び/又は、前記電気分解装置(水電気分解装置6)の駆動電力(直流電力)として用いられるのが好ましい。
【0017】
なお、前記補機としては、例えば、純水を水電解装置(6)へ供給するための純水ポンプ(P1)、発酵槽加熱用の温水(循環水)を排ガス熱交換器(5)と発酵槽(2)との間で循環させる循環水ポンプ(P2)、凝縮水を除去した後の排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガス(CO2が100%)を圧縮するためのCO2圧縮機(コンプレッサ9)、CO2圧縮機(コンプレッサ9)で液化された液化CO2を注入井(20)を介して地中(G)に注入するための液相CO2ポンプ(10)がある。
【0018】
本発明において、前記発電装置が燃料電池(3)であり、燃料極オフガスの排出ライン(L3)にオフガス中の未燃成分(UHC)を測定する測定手段(第1のガスセンサSg1)と排ガス燃焼触媒(4)とを設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L6)を設け、該酸素供給ライン(L6)には開閉弁(V1)が介装されており、制御装置(オフガス・O2再燃焼制御装置14)を設け、該制御装置(オフガス・O2再燃焼制御装置14)は、測定手段(Sg1)の測定結果から排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有しているのが好ましい(請求項4:図6、図7)。
【0019】
或いは本発明において、前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)であり、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)の燃料供給ライン(バイオガス供給ラインL2)に混合装置(O2ミキサ12)を介装し、該混合装置(12)に電気分解装置(水電気分解装置6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L7)を設け、該酸素供給ライン(L7)には開閉弁(V2)が介装されており、排ガスライン(L3)に排ガス中の未燃成分(UHC)を測定する測定手段(第1のガスセンサSg1)を設け、制御装置(排ガス・O2再燃焼制御装置14A)を設け、該制御装置(排ガス・O2再燃焼制御装置14A)は、測定手段(Sg1)の測定結果からガスエンジン或いはガスタービン(3A)の排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有しているのが好ましい(請求項5:図8)。
【0020】
それに加えて、本発明において、バイオマスからガス化によりバイオガスを生成する場合には、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行うガス化装置(16)と、ガス化により発生したガスに純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給を行ないつつ)高温(例えば、1100℃)でタールを熱分解して改質するタール熱分解装置(17)で構成されているのが好ましい(請求項6:図12、図13)。
【発明の効果】
【0021】
上述する構成を具備する本発明によれば、光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収したバイオマス(1)に由来するバイオガスを燃料として発電を行なう際に、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素(CO2)と水(H2O)のみになる様に当該排ガスに酸素を供給し、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離して排ガス中に二酸化炭素のみが残存するように構成されているので、二酸化炭素のみが残存する排ガスを圧縮機(CO2圧縮機7)で加圧すれば、二酸化炭素は液化する。液化した二酸化炭素については、従来技術と同様に、注入井(20)から地中(G)に注入したり、海底に注入する等、公知の手法によって、大気中に拡散させることなく、容易に固定することが出来る。
【0022】
この様に、本発明によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、効率的に且つ大気中に拡散させることなく回収して、処理(固定)することが出来る。すなわち、バイオマス(1)により大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すると、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になる。
そして、本発明により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0023】
また本発明によれば、一般的な化石燃料と比較して体積あたりの発熱量が低いバイオガスを用いて燃焼反応や燃料電池発電反応を行なっている。このように体積あたりの発熱量が低いバイオガスの反応では、化石燃料や水素を燃焼させた場合と比較して、燃焼温度が低温であるため、同じ純酸素燃焼を行なう場合でも、燃焼機やタービンブレードの長寿命化を図ることが出来る。
それと共に、二酸化炭素という不活性成分を多量に含むバイオガスは、化石燃料を用いた場合に比較して、燃焼反応時に早期着火やノッキングが起き難い。すなわち、燃料を純酸素燃焼させる場合に、バイオガスであれば、より好適な燃焼条件を実現し易いという利点がある。
【0024】
さらに、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、本発明の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置では、バイオマスを用いた発電装置(3、3A)による発電出力を用いたPSA方式により、或いは、二酸化炭素回収のため排ガスから分離される凝縮水から純水を得て、係る純水を電気分解することにより、必要な酸素を効率良く、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来る。
特に、酸素を水の電気分解から生成する場合には、電気分解の際に発生した水素を純水素駆動の発電装置(13)の燃料として活用することにより(請求項3)、電気分解に必要な電力を、必要とするその場で(オンサイトで)得ることができる。また、バイオマスを用いた発電や、二酸化炭素の回収処理に必要な各種機器の駆動電流を賄うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示している。
図1の第1実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として、燃料電池3を用いている。
なお、図示の実施形態において、燃料電池3としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が使用されている。
【0026】
図1において、全体を符号100で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオガス生成装置2と、燃料電池3と、排ガス燃焼触媒4と、排ガス熱交換器5と、水供給機構40とを備えている。ここで、水供給機構40は排ガス熱交換器5を有しており、排ガス熱交換器5により排ガスから凝縮水を分離している。そして水供給機構40は、分離された凝縮水を浄化して、当該浄化された水をバイオガス生成装置2に供給している。
排ガス熱交換器5は水供給機構40の一部を構成している。そして水供給機構40は、排ガスから凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガス生成装置2に供給している。
【0027】
図1では明確に示されていないが、バイオガス生成器2は発酵槽を備え、バイオマス搬送ラインL1で搬送されたバイオマス1が水供給機構5から供給された希釈水によって希釈処理され、当該発酵槽に貯留している間に、バイオマスが発酵してメタンガス等のバイオガスが生成される。
バイオガス生成器2と燃料電池3の燃料極31とは、バイオガス供給ラインL2で接続されている。そして、燃料電池3の燃料極31と排ガス熱交換器5とは排ガスラインL3で接続されており、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4が介装されている。
【0028】
また、水処理機構40で排ガスから凝縮水を分離する排ガス熱交換器5と、バイオガス生成装置2とは、温水循環ラインLhを介して連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱をバイオガス生成器2の図示しない発酵槽に投入して発酵槽を加温し、以って、バイオマスを発酵してバイオガスの生成を促進している。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0029】
さらに、排ガス熱交換器5とバイオガス生成装置2とは、凝縮水ラインLdで接続されており、凝縮水回収ラインLdには浄化フィルタ42と、浄化水タンク44と、ポンプP3とが介装されている。排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは排ガス熱交換器5で温水循環ラインLhを流れる温水に熱を投入することにより、降温して、凝縮水を生成する。係る凝縮水が、凝縮水ラインLdを流れて、浄化水タンク44に貯留される。
凝縮水ラインLdにおいて、浄化フィルタ42は浄化水タンク44よりも、排ガス熱交換器5側に配置されている。また、凝縮水ラインLdにおける浄化水タンク44とバイオガス生成装置2との間の領域には、バイオマス希釈用の水を搬送するポンプP3が介装されている。
排ガス熱交換器5はCO2排出ラインL5と連通しており、CO2排出ラインL5は、CO2圧縮機9及び液相CO2ポンプ10を介装したCO2排出ラインL5により、地中Gと連通している。そして、CO2排出ラインL5は、地中の注入井20と連通している。
【0030】
PSA方式による酸素製造装置35における酸素貯溜部37は、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6によって排ガス燃焼触媒4と連通しており、第1の酸素供給ラインL6には開閉弁V1が介装されている。
また、燃料電池3と酸素製造装置35とは電力供給ラインLeによって接続されており、燃料電池3で発電された電力が酸素製造装置35に供給されるように構成されている。
電力供給ラインLeには、整流器11が介装されている。
【0031】
水供給機構40の浄化水タンク44には水量センサSw2が設けられており、排ガス熱交換器5から凝縮水ラインLdを流過する凝縮水が少なく、浄化水タンク44における液位が低い場合には、水供給ラインLw20に介装された開閉弁Vw2に制御信号を送り、水供給ラインLw20から水道水を浄化フィルタ42に供給し、不純物を除去した後、浄化水タンク44に補填する。
【0032】
上述した構成の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101では、バイオマス搬送ラインL1によってバイオマス1がバイオガス発生装置2に投入される。
バイオガス発生装置2に投入されたバイオマスは、浄化水タンク44からの希釈水で発酵槽に投入できるように希釈処理された後、バイオガス発生装置2の図示しない発酵槽に貯留され、該発酵槽でバイオマスが発酵してバイオガスが生成される。
バイオガス発生装置2で生成されたバイオガスは、バイオガス供給ラインL2を介して燃料電池3の燃料極31に供給される。そして、燃料電池3において、燃料極31に供給されたバイオガスと空気極32に供給された空気により、発電される。
【0033】
発電後、燃料極31で発生する高温の排ガス(オフガス)は、排ガスラインL3に介装された排ガス燃焼触媒4に送られ、排ガス燃焼触媒4で酸素(O2)が供給され、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスの組成が二酸化炭素と水のみとなる様な燃焼条件(純酸素燃焼条件)で燃焼される。
本明細書においては、燃焼排ガスの組成が二酸化炭素と水のみとなる様な燃焼(燃焼排ガスの組成において、H2O+CO2が100%)を「純酸素燃焼」と表現している。
排ガス燃焼触媒4による酸素供給のメカニズムについては後述する。
排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼をした後の燃焼排ガスの組成は、全て二酸化炭素と水になる(CO2+H2Oが100%となる)。係る燃焼排ガスは、排ガス熱交換器5に送られる。そして、後述するように排ガス熱交換器5の内部で二酸化炭素の分離回収が実現される。
なお、燃料電池3における燃料極31と酸素極32との境界にある電解質部33は、燃料電池が固体酸化物形である場合には、酸素分離膜として作用する。
【0034】
図1の第1実施形態では、上述したように、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼をした後の燃焼排ガス(CO2+H2Oが100%)を排ガス熱交換器5の内部で降温して、凝縮水を除去することにより、二酸化炭素が水から完全に分離された状態で回収される。
バイオマス自体が、光合成により空気中の二酸化炭素を取り込んで生成されているので、バイオマスから生成されたバイオガスから二酸化炭素を大気中に分散することなく、確実に分離回収することにより、空気中の二酸化炭素を減少させることになる。
【0035】
また、明確には図示されていないが、空気極32で発生したカソードオフガス(主としてN2)は、環境に悪影響を与えないように、排ガス熱交換器5を通じて排熱を回収し、温度を低下させた後に系外へ放出される。
【0036】
排ガス熱交換器5において、高温の排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)は、保有する熱量を温水循環ラインLh内に流れる温水に投与し、以って、当該燃焼排ガス自体は降温し、或いは冷却される。冷却された燃焼排ガス中の水蒸気(H2O)は凝縮して凝縮水となり、排ガス熱交換器5の底部から、凝縮水ラインLd内を流れる。
凝縮水ラインLdを流れる凝縮水は、浄化フィルタ42を経由して不純物が除去され、浄化水として浄化水タンク44に一旦貯留される。そして、ポンプP3によって、バイオマスの希釈処理に必要な量の希釈水がバイオガス発生装置2に供給される。
【0037】
上述した通り、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼された燃焼排ガスは二酸化炭素(CO2)と水(水蒸気:H2O)のみから成るので、当該燃焼排ガスから凝縮水(H2O)を除去すれば、二酸化炭素(CO2)のみが残存する。
窒素或いは窒素化合物を包含する場合と異なり、二酸化炭素のみであれば、コンプレッサ等で圧縮することにより、容易に液化する。液化した二酸化炭素は、注入井により地中深くに埋め、或いは、海底に注入することが容易であり、その結果、二酸化炭素の処理が容易になる。
【0038】
排ガス熱交換器5で降温されて凝縮水が除去された燃焼排ガスは、二酸化炭素のみから構成されており、係る燃焼排ガス(CO2ガス)がCO2排出ラインL5を流れ、排出ラインL5に介装されたCO2圧縮機9で圧縮されて、液相CO2となる。
図1では、係る液相CO2を、排出ラインL5に介装された液相CO2ポンプ10により、注入井20を介して、地表Fからの深度の深い地中Gに埋設して処理している。
【0039】
酸素製造装置35では、燃料電池3からの発電電力を駆動電力とし、PSA方式によって酸素が生成される。酸素製造装置35で生成した酸素は、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。そして供給された酸素により、排ガス燃焼触媒4では燃料極オフガスが純酸素燃焼され、上述した通り、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2が100%)。
すなわち、排ガス燃焼触媒4で燃料極31のオフガスを純酸素燃焼条件で燃焼するのに必要な酸素は、バイオガス発電出力を活用する酸素製造装置35で生成されるのである。
【0040】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスにおける水(水蒸気:H2O)は、上述したように、排ガス熱交換器5で燃焼排ガスが降温して凝縮水となる。この凝縮水を凝縮水ラインLdからバイオガス発生装置2に供給することにより、バイオマスの発酵処理で必要なバイオマスの希釈水が供給される。
ラインLhを循環する循環水は、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスや空気極32で発生した高温のカソードオフガスが保有する熱量が投入されて昇温し、バイオマス生成装置2における発酵槽を加熱して、バイオマスの発酵を促進する。
【0041】
第1の酸素供給ラインL6を介して排ガス燃焼触媒4へ供給される酸素量が不足する場合には、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス中に未燃物質(UHC)が存在してしまい、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスには二酸化炭素以外に当該未燃物質(UHC)が残存することになる。
当該未燃物質(UHC)が残存すると、コンプレッサで圧縮しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは液化せず、二酸化炭素の処理が困難となり、場合によっては大気中に拡散してしまう恐れがある。
一方、酸素供給量が過剰であれば、過剰な分の酸素を発生するためのエネルギ(例えば、電力)を浪費したことになり、省エネルギの観点から好ましくない。
【0042】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)酸素量を求めるには、先ず、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)であるCHn(メタンCH4を含む)に対して、以下の反応式を充足する係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、上式(1)を充足する酸素量を求めれば、それがね排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)となる様な酸素量である。
図6を参照して後述するように、この様にして求められた酸素量に基づいて、バルブV3の開度を制御することが出来る。
【0043】
図1において、純酸素燃焼条件を充足する酸素量を酸素製造装置35で生成するには、酸素製造装置35に供給される電力が充足していることが必要となる。ここで、必要な電力(純酸素燃焼条件を充足する酸素量を、酸素製造装置35で生成するのに必要な電力)を充足している場合には、燃料電池3の発電出力のみを酸素製造装置35へ供給すれば良い。
一方、燃料電池3の発電出力のみでは必要な電力を賄えない場合には、図示しない他の電源、例えば系統電力や、図示しない太陽光発電装置や風力発電装置の様な二酸化炭素の排出を伴わないエネルギ(いわゆる「クリーンエネルギ」)の発生装置から、必要な電力の一部を供給する。大気中の二酸化炭素を削減或いは抑制するという見地からは、上記クリーンエネルギの利用が好ましい。
【0044】
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギ発生装置から供給される電力が、純酸素燃焼条件を充足するのに必要な酸素を生成するための電力に対して過剰である場合には、各種補機の駆動用電力(図4で後述)として、当該補機へ供給することが出来る。
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギの発生装置から供給される電力が、補機へ供給しても過剰な場合には、図示しない蓄電装置(蓄電池等)に蓄電することも出来る。
【0045】
明確には図示されていないが、燃料電池装置は発電装置として利用されるのみならず、熱電併給システム(コジュネレーションシステム)として利用することも可能である。
【0046】
上述した構成の第1実施形態によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収して処理(固定化)することが、容易に行なわれる。すなわち、バイオマス1が大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すれば、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが出来る。
そして、第1実施形態により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、バイオマスを用いて発電を行なっており、化石燃料を使用した場合や、水素を燃焼させた場合に比較して、燃焼温度が低温であり、燃焼機やタービンブレードの長寿命化を図ることが出来る。
それと共に、バイオマス由来のバイオガスによれば、化石燃料を用いた場合に比較して、早期着火やノッキングが起き難い。すなわち、バイオマス由来のバイオガスを燃焼させることにより、好適な燃焼条件を実現し易い。
【0048】
さらに、バイオマスの発酵処理時においては多量のバイオマス希釈水の添加が必要となり、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、第1実施形態では、二酸化炭素回収のため排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスから分離される凝縮水から浄化水を得てバイオマス希釈水にすると共に、バイオマスを用いた発電電力を用いて酸素製造装置35を駆動することにより、必要な酸素を効率良く、生成させている。
すなわち、バイオマスの発酵処理に必要とされるバイオマス希釈水と、純酸素燃焼を行なうために必要な酸素を、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来るのである。
【0049】
図2は本発明の第2実施形態を示している。
図2において、全体を符号101で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、バイオガス生成装置2と、燃料電池3と、排ガス燃焼触媒4と、排ガス熱交換器5と、電気分解装置である水電気分解装置(水電解装置)6とを備えている。
【0050】
図2では明確に示されていないが、バイオガス生成器2は発酵槽を備え、バイオマス搬送ラインL1で搬送されたバイオマス1を当該発酵槽に貯留している間に、バイオマスが発酵してメタンガス等のバイオガスが生成される。
バイオガス生成器2と燃料電池3の燃料極31とは、バイオガス供給ラインL2で接続されている。そして、燃料電池3の燃料極31と排ガス熱交換器5とは排ガスラインL3で接続されており、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4が介装されている。
【0051】
排ガス熱交換器5とバイオガス生成装置2とは、温水循環ラインLhを介して連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱をバイオガス生成器2の図示しない発酵槽に投入して、発酵槽内のバイオマスを加温し、以って、バイオマスを発酵してメタンを主成分とするバイオガスの生成を促進している。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0052】
排ガス熱交換器5と水電解装置6とは凝縮水回収ラインL4で接続されており、凝縮水回収ラインL4はイオン交換樹脂7及び純水タンク8を介装している。排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは排ガス熱交換器5で温水循環ラインLhを流れる温水に熱を投入することにより、降温して、凝縮水を生成する。係る凝縮水が、凝縮水回収ラインL4を流れて、純水タンク8に貯留される。
凝縮水回収ラインL4において、イオン交換樹脂7は純水タンク8よりも、排ガス熱交換器5側に配置されている。また、凝縮水回収ラインL4における純水タンク8と水電解装置6との間の領域には、純水ポンプP1が介装されている。
排ガス熱交換器5はCO2排出ラインL5と連通しており、CO2排出ラインL5は、CO2圧縮機9及び液相CO2ポンプ10を介装したCO2排出ラインL5により、地中Gと連通している。そして、CO2排出ラインL5は、地中の注入井20と連通している。
【0053】
水電解装置6のO2発生部61は、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6によって排ガス燃焼触媒4と連通しており、第1の酸素供給ラインL6には開閉弁V1が介装されている。
また、燃料電池3と水分解装置6とは電力供給ラインLeによって接続されており、燃料電池3で発電された電力が水分解装置6に供給されるように構成されている。
電力供給ラインLeには、整流器11が介装されている。
【0054】
凝縮水回収ラインL4において、イオン交換樹脂7には水供給ラインLw2が接続されており、水供給ラインLw2には開閉弁Vwが介装されており、且つ、水供給ラインLw2は上水に連通している。
純水タンク8には水量センサSwが設けられており、排ガス熱交換器5から凝縮水回収ラインL4を流過する凝縮水が少なく、純水タンク8における液位が低い場合には、水供給ラインLwに介装された開閉弁Vwに制御信号を送り、水供給ラインLwから水道水をイオン交換樹脂7に供給し、不純物を除去した後、純水タンク8に補填する。
【0055】
また排ガス熱交換器5において、高温の排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)は、保有する熱量を温水循環ラインLh内に流れる温水に投与し、以って、当該燃焼排ガス自体は降温し、或いは冷却される。冷却された燃焼排ガス中の水蒸気(H2O)は凝縮して凝縮水となり、排ガス熱交換器5の底部から、凝縮水回収ラインL4内を流れる。
凝縮水回収ラインL4を流れる凝縮水は、イオン交換樹脂7を経由して不純物が除去され、純水として純水タンク8に一旦貯留される。そして、純水ポンプP1の作動によって、水電気分解に必要な量の純水が水電解装置6に供給される。
【0056】
上述した通り、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼された燃焼排ガスは二酸化炭素(CO2)と水(水蒸気:H2O)のみから成るので、当該燃焼排ガスから凝縮水(H2O)を除去すれば、二酸化炭素(CO2)のみが残存する。
窒素或いは窒素化合物を包含する場合と異なり、二酸化炭素のみであれば、コンプレッサ等で圧縮することにより、容易に液化する。液化した二酸化炭素は、注入井により地中深くに埋め、或いは、海底に注入することが容易であり、その結果、二酸化炭素の処理が容易になる。
【0057】
排ガス熱交換器5で降温されて凝縮水が除去された燃焼排ガスは、二酸化炭素のみから構成されており、係る燃焼排ガス(CO2ガス)がCO2排出ラインL5を流れ、排出ラインL5に介装されたCO2圧縮機9で圧縮されて、液相CO2となる。
図1では、係る液相CO2を、排出ラインL5に介装された液相CO2ポンプ10により、注入井20を介して、地表Fからの深度の深い地中Gに埋設して処理している。
【0058】
水電解装置6では、凝縮水回収ラインL4を介して供給された純水が電気分解され、酸素(O2)と水素(H2)が生成される。
水電解装置6で生成した酸素は、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。そして供給された酸素により、排ガス燃焼触媒4では燃料極オフガスが純酸素燃焼され、上述した通り、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2が100%)。
すなわち、排ガス燃焼触媒4で燃料極31のオフガスを純酸素燃焼条件で燃焼するのに必要な酸素は、全て水電解装置6で生成されるのである。
【0059】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスにおける水(水蒸気:H2O)は、上述したように、排ガス熱交換器5で燃焼排ガスが降温して凝縮水となる。この凝縮水を凝縮水回収ラインL4から水電解装置6に供給することにより、水電解装置6で必要な水が供給される。
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが保有する熱量が投入され昇温した循環水は、バイオマス生成装置2における発酵槽の部を加熱して、バイオマスの発酵を促進する。
【0060】
第1の酸素供給ラインL6を介して排ガス燃焼触媒4へ供給される酸素量が不足する場合には、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス中に未燃物質(UHC)が存在してしまい、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスには二酸化炭素以外に当該未燃物質(UHC)が残存することになる。
当該未燃物質(UHC)が残存すると、コンプレッサで圧縮しても、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスは液化せず、二酸化炭素の処理が困難となり、場合によっては大気中に拡散してしまう恐れがある。
一方、酸素供給量が過剰であれば、過剰な分の酸素を発生するためのエネルギ(例えば、電力)を浪費したことになり、省エネルギの観点から好ましくない。
【0061】
排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)酸素量を求めるには、先ず、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)であるCHn(メタンCH4を含む)に対して、以下の反応式を充足する係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、上式(1)を充足する酸素量を求めれば、それがね排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)となる様な酸素量である。
図7を参照して後述するように、この様にして求められた酸素量に基づいて、バルブV3の開度を制御することが出来る。
【0062】
図2において、純酸素燃焼条件を充足する酸素量を水電解装置6で生成するには、水電解装置6に供給される純水量が不足している場合は、前述したように、排ガス熱交換器5からの凝縮水に加えて、水道水をイオン交換樹脂7に供給して純水とする。そして、当該純水を純水タンク8を介して水電解装置6に供給するのである。
一方、排ガス熱交換器5で除去された凝縮水により必要な水量を賄える場合には、イオン交換樹脂7を通過させた後に純水タンク8に貯蔵するか、或いは、余剰の凝縮水を清浄化した後、系外へ排水する。ここでいう「清浄化」は、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101から排出された凝縮水が周辺環境にダメージを及ぼさない程度の浄化処理を意味している。
【0063】
水電解装置6で消費する電力は、燃料電池3の出力から賄っている。
水電解装置6へ供給される電力が、必要な電力(純酸素燃焼条件を充足する酸素量を、水電解装置6で生成するのに必要な電力)を充足している場合には、燃料電池3の発電出力のみを水電解装置6へ供給すれば良い。
一方、燃料電池3の発電出力のみでは必要な電力を賄えない場合には、図示しない他の電源、例えば系統電力や、図示しない太陽光発電装置や風力発電装置の様なエネルギ(いわゆる「クリーンエネルギ」)の発生装置から、必要な電力の一部を供給する。
二酸化炭素を削減或いは抑制するという見地からは、上記クリーンエネルギの利用が好ましい。
【0064】
燃料電池3の出力電力は直流であり、水電解装置6で用いられるのも直流であるので、燃料電池3の出力ラインLeには整流器(交流/直流変換装置:AC/DCコンバータ)を介装する必要は無い。
但し、燃料電池3の出力が不足して、系統電力を用いて商用電源から水の電気分解に必要な電力の一部を供給する場合には、図示しない商用電源からの交流電流を、整流器(図示せず)を介して直流電流に変換してから、水電解装置6へ供給する。
【0065】
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギ発生装置から供給される電力が、純酸素燃焼条件を充足するのに必要な酸素を生成するための電力に対して過剰である場合には、各種補機の駆動用電力(図3で後述)として、当該補機へ供給することが出来る。
燃料電池3或いは図示しないクリーンエネルギの発生装置から供給される電力が、補機へ供給しても過剰な場合には、図示しない蓄電装置(蓄電池等)に蓄電することも出来る。
【0066】
明確には図示されていないが、燃料電池装置は発電装置として利用されるのみならず、熱電併給システム(コジュネレーションシステム)として利用することも可能である。
【0067】
上述した構成の第2実施形態によれば、発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収して処理(固定化)することが、容易に行なわれる。すなわち、バイオマス1が大気中から吸収された二酸化炭素を、大気中に拡散させることなく回収・処理するので、バイオマス自体による大気中の二酸化炭素の吸収量を考慮すれば、結果として大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが出来る。
そして、第1実施形態により大気中の二酸化炭素を大幅に低減或いは削減することが可能になれば、上述したとおり、化石燃料利用時に発生する二酸化炭素排出量と相殺(カーボンオフセット)することが出来ると共に、二酸化炭素排出権(オフセット用CO2)を獲得することも可能になる。
【0068】
また、バイオマスを用いた発電の際に発生する排ガスから二酸化炭素を回収するためには酸素の添加が必要となるが、第2実施形態では、二酸化炭素回収のため排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスから分離される凝縮水から純水を得て、係る純水を電気分解することにより必要な酸素を効率良く、生成させている。
すなわち、純酸素燃焼を行なうために必要な酸素を、必要とされるその場で(オンサイトで)得ることが出来るのである。
【0069】
図3は、本発明の第3実施形態を示している。
図3において、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号102で示されている。
第1実施形態及び第2実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として燃料電池3を用いているが、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置102では、ガスエンジン或いはガスタービンが発電装置として用いられる。ガスエンジン或いはガスタービンは、バイオガスを燃料とする発電装置として、燃料電池3の均等物である。
図示の実施形態において(図3も含む)、ガスエンジン或いはガスタービンは、符号3Aで包括的に表示されている。
以下、図3を参照して、第3実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置について、主として図2の第2実施形態とは異なる点を説明する。
【0070】
図3において、バイオガス供給ラインL2にはO2ミキサ12が介装され、そのO2ミキサ12は、第2の酸素供給ラインL7を介して水素電解装置6のO2発生部61と接続されている。
第2の酸素供給ラインL7には、開閉弁V2が介装されている。
【0071】
ガスエンジン或いはガスタービン3Aでは、バイオガス供給ラインL2におけるガスエンジン或いはガスタービン3Aの上流側(供給側)に、O2ミキサ12を介装し、該O2ミキサ12に水電解装置6で発生した酸素を供給し、以って、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転せしめている。図3では明示されていないが、図1で示すPSA方式の酸素製造装置35で酸素を製造して、O2ミキサ12に供給しても良い。
O2ミキサ12でバイオガスに酸素を供給して、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転しているので、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスは、二酸化炭素と水のみで構成される(H2O+CO2→100%)。
ガスエンジン或いはガスタービン3Aの電力供給ラインLeには、整流器11A(AC/DCコンバータ)が介装されており、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの出力電力である交流電力を、直流電力に変換している。
【0072】
ここで、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼条件で運転するのに必要な酸素量については、バイオガスの組成に測定し、係るバイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算することにより、求めることが可能である。空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量の演算については、公知技術を適用すれば良い(例えば、特許第4059342号公報、特開2005−256674号公報参照)。係る演算については周知であるので、詳細は省略する。
空気中の酸素含有量は一定であるため、λ=1.0となる空気量が求まれば、そこに含有される酸素量も直ちに求めることが出来る。その様にして求めた酸素量が、純酸素燃焼を行うために必要な酸素量である。
図3の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1の第1実施形態及び図2の第2実施形態と同様である。
【0073】
図4は本発明の第4実施形態を示している。
図4において、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は全体が符号103で示されている。
図4の第4実施形態は、発電装置として燃料電池3を用いている。
図4において、第4実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103では、各種補機の駆動電力を、水電解装置6で発生した水素(副生水素)を用いた発電により、賄っている。
以下、図4の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103について、主として、図2の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置101とは異なる構成を説明する。
【0074】
図4において、第4実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置103では、水電解装置6で生成した水素(副生水素)を用いた水素発電装置13が設けられている。
副生水素で発電を行なう水素発電装置13としては、例えば、純水素駆動型の高分子電解質形燃料電池PEFCやリン酸形燃料電池PAFC、水素エンジンと組み合わせた発電装置や、水素タービンと組み合わせた発電装置等が適用できる。
【0075】
水素発電装置13は、水素供給ラインL8によって水電解装置6の水素発生部62と接続されている。そして、水電解装置6で発生した水素(副生水素)は、水素供給ラインL8を経由して水素発電装置13に供給され、水素発電装置13で発電が行なわれる。そして、水素発電装置13の発電出力は、図4で示す各種補機へ供給される。
【0076】
各種補機としては、水電解装置6、純水ポンプP1、循環水ポンプP2、CO2圧縮機(コンプレッサ)9、液相CO2ポンプ10がある。
ここで、純水ポンプP1は、純水を水電解装置6へ供給するために設けられており、循環水ポンプP2は、発酵槽加熱用の温水(循環水)を排ガス熱交換器5と発酵槽2との間で循環させるために設けられている。
また、CO2圧縮機(コンプレッサ)9は、凝縮水を除去した後の排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス(二酸化炭素のみで構成されている燃焼排ガス)を圧縮するために設けられている。
そして、液相CO2ポンプ10は、CO2圧縮機(コンプレッサ)9で液化された液化CO2を注入井20を介して地中に注入するために設けられている。
【0077】
水素発電装置13とこれらの補機類(水電解装置6、純水ポンプP1、循環水ポンプP2、CO2圧縮機(コンプレッサ)9、液相CO2ポンプ10)は、電力供給ラインLesによって接続されている。
なお、水電解装置6には、水素発電装置13から直流電流が供給される。
その他の補機は、水素発電装置13の発電出力が直流であるか交流であるかと、その捕機が交流電流駆動であるか直流電流駆動であるかによって、図示しないDC/ACコンバータ或いはAC/DCコンバータを経由して、又は、水素発電装置13から直接、駆動電流が供給される。
【0078】
第4実施形態では、燃料電池3による発電出力や、或いは電気分解の際に発生した水素を純水素駆動の発電装置13の燃料として活用することにより、電気分解に必要な電力を、必要とするその場で(オンサイトで)得ることができる。
また、電気分解の際に発生した水素を水素発電装置13で活用して発電することにより、バイオマスを用いた発電に必要な各種機器や、二酸化炭素の回収に必要な各種機器の駆動に必要な電流を賄うことが可能であり、これら各種機器の駆動電流を化石燃料由来の発電で賄うことに起因する二酸化炭素の排出を抑制することができる。
図4の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図2の第2実施形態と同様である。
【0079】
図5は本発明の第5実施形態を示している。
図5において、第5実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号104で示している。
第4実施形態では、バイオマスを用いた発電装置として燃料電池を用いているが、第5実施形態では、ガスエンジン或いはガスタービン3Aが発電装置して用いられる。
以下、図5を参照して、第5実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置104について、主として図4に対して異なる構成を説明する。
【0080】
図4の酸化炭素分離回収装置103では、水電解装置6で発生した酸素を、排ガスラインL3に介装した排ガス燃焼触媒4に供給している。
これに対して、図5の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置104では、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの上流側(供給側)のバイオガス供給ラインL2にO2ミキサ12が介装されており、O2ミキサ12に水電解装置6で発生した酸素を供給している。
【0081】
図5において、バイオガス供給ラインL2に介装したO2ミキサ12は、第2の酸素供給ラインL7を介して、水電解装置6のO2発生部61と接続している。そして第2の酸素供給ラインL7には、開閉弁V2が介装されている。
水電解装置6で発生した酸素は、第2の酸素供給ラインL7を経由してO2ミキサ12に供給され、バイオガス供給ラインL2を流れるバイオガスに供給される。そして、バイオガスに供給される酸素量は、開閉弁V2を開閉制御することにより調節される。
O2ミキサ12において、開閉弁V2で流量制御された酸素をバイオガスに供給することにより、ガスエンジン或いはガスタービン3Aでは純酸素燃焼が行なわれ、その排ガスは、二酸化炭素と水のみで構成される(H2O+CO2→100%)。
【0082】
図3を参照して説明したように、ガスエンジン或いはガスタービン3Aで純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量は、バイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算することにより、求めることが出来る。
図5の第5実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図3、図4の各実施形態と同様である。特に、補機に対する電力供給に係る構成については、図4と同様である。
【0083】
図6、図7は、本発明の第6実施形態を示している。
図6において、第6実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号105で示している。そして図7では、排ガス燃焼触媒4への酸素供給量の制御を示している。
図6において、第6実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置105は、オフガス・O2再燃焼制御装置(再燃焼制御装置)14と、オフガス中の未燃成分を測定する未燃成分測定手段である第1のガスセンサSg1とを有している。
なお、図6と、後述の図8、図10〜図13において、図面を簡略化して明瞭にするため、水素発電装置13から各種補機へ電流を供給するライン(図4及び図5における電力供給ラインLes)の図示を省略している。
【0084】
図6において、排ガスラインL3において、燃料電池3の燃料極31と排ガス燃焼触媒4との間の領域には、燃料極31のオフガスにおける未燃成分(UHC)を測定する未燃成分測定手段(第1のガスセンサ)Sg1が介装されている。
再燃焼制御装置14と第1のガスセンサSg1とは入力信号ラインSiによって接続されており、第1の酸素供給ラインL6に介装された開閉弁V1と再燃焼制御装置14とは制御信号ラインSoによって接続されている。
【0085】
第1のガスセンサSg1の測定結果は再燃焼制御装置14に送られて、排ガス燃焼触媒4において燃料極オフガスが純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量、換言すれば、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素量が求められ、当該酸素量に対応して開閉弁V1の弁開度が決定される。
そして、決定された弁開度だけ、開閉弁V1は開弁される。
【0086】
再燃焼制御装置14で開閉弁V1の開度制御を行なう態様が、図7で示されている。以下、主として図7を参照して、開閉弁V1の開度制御を説明する。
図7において、ステップS1では、第1のガスセンサSg1の測定結果、すなわち燃料極オフガスにおける未燃成分(UHC)の種類及び含有量が、再燃焼制御装置14に入力される。
ステップS2では、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが、二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素供給量、すなわち、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量が演算される。
【0087】
ステップS2において、排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガスが、二酸化炭素と水のみとなる(H2O+CO2→100%)様な酸素量は、燃料極オフガス中の未燃成分(UHC)CHnを完全に燃焼するための酸素量である。従って、先ず、下式(1)におけるとなる様な係数a〜dを求める。
aCHn+bO2→cH2O+dCO2・・・(1)
そして、係数a〜dが決定した式(1)を満足する様に、酸素量を演算すれば、することにより、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼を行なうのに必要な酸素量を求めることが出来る。
【0088】
ステップS3、ステップS4では、演算した酸素量が供給されるように、開閉弁V1の開度を決定し、開閉弁V1の開度が決定した開度となる様に制御がされる。ステップS4では、開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応した開度となっているのか否かを判断する。
【0089】
開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応する開度になっていれば(ステップS4がYES)、ステップS5に進む。
開閉弁V1の開度がステップS2で演算した酸素供給量に対応する開度になっていなければ(ステップS4がNO)、ステップS3、ステップS4を繰り返す。
ステップS5では、図示しないコントロールユニット(再燃焼制御装置14を包含する)により、燃料電池3を停止するか否かを判断する。燃料電池3を停止するのであれば(ステップS5がYES)、必要なシーケンスを実行して停止する。
燃料電池の運転を続行するのであれば(ステップS5がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0090】
図6、図7の第6実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図5の各実施形態(特に燃料電池3と水電解装置6とを有する図2、図4の実施形態)と同様である。
【0091】
図8は本発明の第7実施形態を示している。
図8において、第7実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号106で示されており、バイオマスを用いた発電装置としてガスエンジン或いはガスタービン3Aが用いられる。
以下、図8を参照して、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106について説明する。
【0092】
図8の第7実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106では、排ガス・O2再燃焼制御装置14A(再燃焼制御装置14A)を有しており、また、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスラインL3に排ガス燃焼触媒4を介装している。
図8で示す再燃焼制御装置14Aは、ガスエンジン或いはガスタービン3Aから排出される排ガスを、排ガス燃焼触媒4で純酸素燃焼するのに必要な酸素供給量を制御している。そして、供給量が制御されるべき酸素は、図6と同様に、水電解装置6で生成されて、第1の酸素供給ラインL6を介して、排ガス燃焼触媒4に供給される。
【0093】
図8において、バイオガス供給ラインL2にはミキサ12が介装され、O2ミキサ12と水電解装置6のO2発生部61とは第2の酸素供給ラインL7によって接続されており、第2の酸素供給ラインL7には開閉弁V2が介装されている。
【0094】
図8の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置106では、係るO2ミキサ12によってバイオガスに酸素が供給されることにより、図3、図5で示す大気中二酸化炭素の分離回収処理装置と同様に、ガスエンジン或いはガスタービン3Aを純酸素燃焼することが出来る。それに加えて、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)CHnを完全に燃焼するために、排ガス燃焼触媒4に水電解装置6から酸素を供給して、ガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスを純酸素燃焼している。
【0095】
排ガス燃焼触媒4においてガスエンジン或いはガスタービン3Aの排ガスを純酸素燃焼するのに必要な酸素供給量を決定するべく、再燃焼制御装置14Aで行なわれる制御制御については、図7のステップS12で説明したのと同様である。
図8の第7実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7の各実施形態(特に、オフガスのUHCを完全燃焼する制御については図6、図7の第6実施形態)と同様である。
【0096】
図9、図10は本発明の第8実施形態を示している。
図9において、第8実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体を符号107で示されている。
図9の第8実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107では、図8とは異なり、排ガスラインL3には排ガス燃焼触媒4は介装されておらず、開閉弁V1を介装した第1の酸素供給ラインL6も設けられていない。
図9の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107では、バイオガス供給ラインL2において、バイオガス生成装置2とO2ミキサ12との間の領域に、バイオガス組成測定手段である第2のガスセンサSg2を介装している。そして、第2のガスセンサSg2は、入力信号ラインSiによって燃焼制御装置14Cと接続されている。
図9において、排ガスラインL3には第1のガスセンサSg1が介装されており、第1のガスセンサSg1は、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの組成か、或いは、ガスエンジンまたはガスタービンFの排ガスにおけるO2濃度を測定する。
【0097】
図9の第8実施形態では、第2のガスセンサSg2によってガスエンジンまたはガスタービン3Aに供給されるバイオガスの組成を測定し、第1のガスセンサSg1によってガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの未燃成分(UHC)を測定し、或いは、ガスエンジンまたはガスタービンFの排ガスにおけるO2濃度を測定している。
【0098】
そして、燃焼制御装置14Cは、第2のガスセンサSg2で測定されたバイオガスの組成と、第1のガスセンサSg1によって測定されるガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの未燃成分(UHC)の種類及び濃度か、或いは、O2濃度に基づいて、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスの組成が、H2O+CO2が100%となる様な酸素供給量を求める。
そして燃焼制御装置14Cは、求められた酸素供給量に対応して、開閉弁V2の開度制御を行なう。
【0099】
次に、図10を主として参照しつつ、燃焼制御装置14Cによる開閉弁V2の開度制御について説明する。
図10のステップS11において、第1のガスセンサSg1の測定結果(バイオガスの組成)及び第2のガスセンサSg2の測定結果(ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスにおけるUHCの種類及び濃度か、或いは、O2濃度)が、燃焼制御装置14Cに入力される。
そしてステップS12で、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスが、二酸化炭素と水のみになる(H2O+CO2→100%になる)様な酸素供給量を演算する。
【0100】
ステップS12において、係る酸素供給量(H2O+CO2→100%になる様な酸素供給量)を求めるためには、先ず、ガスセンサSg1で求められたバイオガスの組成から、ガスエンジンまたはガスタービン3Aが空気比λ=1.0で燃焼運転を行なうような空気量を演算する。
そして、係る空気量において含有される酸素の量を求める。空気中の酸素含有量は一定であるため、λ=1.0となる空気量に含有される酸素量も直ちに求めることが出来る。
ここで、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算する手法については公知技術を適用する(例えば、特許第4059342号公報、特開2005−256674号公報参照)。
【0101】
次に、その様にして求めた酸素供給量に対して、第2のガスセンサSg2で測定されたガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)の組成及び濃度に基づいて、或いは、当該排ガス排ガス中のO2濃度に基づいて、必要な較正を行なう。
すなわち、λ=1.0となる空気量に含有される酸素量を、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガス中の未燃成分(UHC)或いはO2濃度に基づいて、較正(或いは補正)する。そして、較正(或いは補正)後の酸素量を、O2ミキサ12においてバイオガスに供給するべき酸素量を、ステップS12で決定された酸素供給量とする。
【0102】
次のステップS13では、ステップS12で決定された供給量に係る酸素がバイオガスへ供給されるように、開閉弁V2の開度を制御する。ステップS14では、燃焼制御装置14Cは、開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応しているか否かを判断する。
開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応していれば(ステップS14がYES)、ステップS15に進む。開閉弁V2の開度がステップS12で決定した酸素供給量に対応していなければ(ステップS14がNO)、ステップS13に戻り、ステップS13以降を繰り返す。
【0103】
ステップS15では、大気中二酸化炭素の分離回収処理装置107のコントロールユニット(燃焼制御装置14Cを包含する)は、ガスエンジンまたはガスタービン3Aを停止するか否かを判断する。
を停止するのであれば(ステップS15がYES)、必要なシーケンスにしたがって停止する。一方、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの運転を続行するのであれば(ステップS15がNO)、ステップS11まで戻り、ステップS11以降を繰り返す。
【0104】
図9、図10の第8実施形態によれば、ガスエンジンまたはガスタービン3Aでバイオガスを燃焼させた際に、燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみとなる様に酸素供給量を制御することが出来るので、酸素不足による未燃物(UHC)が発生することにより、回収した二酸化炭素(ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスであって、排ガス熱交換器5で凝縮水を除去した排ガス)が液化しない事態が生じ、CO2回収処理効果の低下することや、酸素不足による燃焼悪化と発電効率の低下が防止できる。そして、酸素供給量が過剰になることによるエネルギ(水電解装置6の消費電力)の増加も防止することが出来る。
図9、図10の第8実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図8の各実施形態と同様である。
【0105】
図11は本発明の第9実施形態を示している。
図11において、第9実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号108で示されている。
図11の第9実施形態は、図8の第7実施形態と、図9、図10の第8実施形態を組み合わせた実施形態である。
【0106】
図11において、排ガス・O2再燃焼制御装置14A(再燃焼制御装置14A)とバイオガス・酸素燃焼制御装置14C(燃焼制御装置14C)とは、コントロールユニット50として一体にまとめられている。
図11の第9実施形態では、先ず、第2のガスセンサSg2でバイオガスの組成を測定し、その測定結果により、燃焼制御装置14Cにおいて、係るバイオガスを燃料とするガスエンジンまたはガスタービン3Aにおいて、空気比λが1.0(λ=1.0)となる空気量を演算し、係る空気量において含有される酸素の量を演算する。
さらに燃焼制御装置14Cでは、第1のガスセンサSg1で測定された未燃物(UHC)の組成及び濃度に基づいて、バイオガスの組成からλ=1.0となる空気量に含有される酸素量を較正する。以って、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスが二酸化炭素と水のみとなる(純酸素燃焼を行う)ために必要な酸素量を求め、開閉弁V2を開度制御する。
【0107】
それに加えて、第1のガスセンサSg1で測定された未燃物(UHC)の組成及び濃度は再燃焼制御装置14Aに送られて、排ガス燃焼触媒4において、ガスエンジンまたはガスタービン3Aの排ガスにおける未燃物(UHC)が完全燃焼する酸素供給量が演算される。そして、開閉弁V1が開閉制御される。
図11の第9実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図8〜図10の第7実施形態、第8実施形態と同様である。
【0108】
図12は、本発明の第10実施形態を示している。
図12において、第10実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号109で示されている。
図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109は、発電装置として燃料電池3が用いられる。
【0109】
図2、図4、図6では、バイオガス生成装置2の図示しない発酵槽で生成されたバイオガスが、図示しない設備によって不純物を除去された後に、燃料電池3の燃料極31に送られている。
それに対して、図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109では、無酸素加熱ガス化装置16においてバイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行っている。そして、ガス化により発生したガスに、タール熱分解装置17で純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給)、1100℃でタールを熱分解して改質する。
そして、タール熱分解装置17で改質されたガスを、燃料電池3の燃料極31に供給している。
【0110】
図12において、バイオマス1はバイオマス供給ラインL1によって無酸素加熱ガス化装置16に供給される。そして、無酸素加熱ガス化装置16は、第3のガスセンサSg3を介装したガス化ガスラインL12を介して、タール熱分解装置17に接続されている。
第3のガスセンサSg3は、ガス化ガスラインL12のガス化ガスの組成を検出している。
タール熱分解装置17は、開閉弁V3を介装した第3の酸素供給ラインL9を介して、水電解装置6のO2発生部と接続されている。
タール熱分解装置17の下流側(燃料電池3側)における供給ラインL2には、供給ラインL2を流れて燃料電池3に供給されるガスの組成を計測する第2のガスセンサSg2が介装されている。
【0111】
開閉弁V3は、制御信号ラインSoを介して、制御手段であるタール分解用酸素供給量制御装置18と接続されている。そして第3のガスセンサSg3及び第2のガスセンサSg2は、入力信号ラインSiを介して、タール分解用酸素供給量制御装置18と接続されている。
タール熱分解装置17に供給される酸素量は、第3のガスセンサSg3或いは第2のガスセンサSg2の測定結果に基づいて、燃料電池3に供給されるガスの組成が、メタン、二酸化炭素、水、一酸化炭素となり、タールや窒素や窒素化合物等を包含しない様に、タール分解用酸素供給量制御装置18により決定される。
燃料電池3に供給されるガスの組成が、メタン、二酸化炭素、水、一酸化炭素となれば、オフガス燃焼触媒4の燃焼排ガスに窒素や窒素酸化物が包含されてしまうことが無くなり、二酸化炭素の回収が容易となる。
【0112】
排ガス熱交換器5と無酸素加熱ガス化装置16とは、温水循環ラインLhで閉回路として連通しており、排ガス熱交換器5で温められた温水の熱を無酸素加熱ガス化装置16のバイオマスに与え、バイオマスを予熱するのに用いられる。
温水循環ラインLhにおける排ガス熱交換器5の入口側には、循環水ポンプP2が介装されている。
【0113】
図12の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置109では、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行い、ガス化ガスに純酸素を吹き込みつつ(微量酸素供給)、1100℃でタールを熱分解して改質する。改質されたガスは、その組成の大部分は、CO2、CO、H2、CH4となり、タールや窒素や窒素化合物を含んでいない。
従って、燃料電池3の燃料極オフガスを排ガス燃焼触媒4において酸素を供給して燃焼すれば、その燃焼排ガス(排ガス燃焼触媒4の燃焼排ガス)がCO2とH2Oのみで組成されることになる。
【0114】
図12の第10実施形態によれば、バイオマスのタール熱分解時に必要な酸素が適当な量だけ供給されるので、空気を用いた熱分解ガスとは異なり、オフガス燃焼触媒4の燃焼排ガスに窒素或いは窒素酸化物が包含されず、二酸化炭素の回収が容易且つ効率的に行なわれる。
図12の第10実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図11の第1実施形態〜第9実施形態と同様である。
【0115】
図13は、本発明の第11実施形態を示している。
図13において、第11実施形態に係る大気中二酸化炭素の分離回収処理装置は、全体が符号110で示されている。
図13の第11実施形態では、発電装置としてガスエンジンまたはガスタービン3Aが用いられる。
【0116】
図13の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置110では、図12の第10実施形態の装置109に対して、供給ラインL2における第2のガスセンサSg2とガスエンジンまたはガスタービン3Aとの間の領域に、O2ミキサ12を介装している。O2ミキサ12は、第3の酸素供給ラインL9の分岐ラインL9bを介して、水電解装置6のO2発生部61に接続している。そして、分岐ラインL9bには開閉弁V2が介装されており、分岐ラインL9b及びO2ミキサ12を介して、供給ラインL2を流れるガスに酸素が供給される。
【0117】
そして、図13の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置110では、供給ラインL2を流れるガスに対して、ガスエンジンまたはガスタービン3Aが純酸素燃焼を行なうように、開閉弁V2を開閉制御して、必要な酸素量を供給している。
開閉弁V2を開閉制御してガスエンジンまたはガスタービン3Aが純酸素燃焼を行なうようにする制御態様については、例えば、空気比λ=1.0で燃焼運転を行なうような空気量を演算し、係る空気量に含有される酸素の量を求めることにより行なわれる。
【0118】
図13の第11実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図12で示す各実施形態(特に、図12で示す第10実施形態)と、同様である。
【0119】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
例えば、図6〜図13の各実施形態においては水電解装置6で酸素を発生しているが、純水素駆動燃料電池13による補機電力の供給を行なわないのであれば、図1で示す様に、PSA式の酸素製造装置35で酸素を生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態のブロック図。
【図3】本発明の第3実施形態のブロック図。
【図4】本発明の第4実施形態のブロック図。
【図5】本発明の第5実施形態のブロック図。
【図6】本発明の第6実施形態のブロック図。
【図7】第6実施形態における制御を示すフローチャート。
【図8】本発明の第7実施形態のブロック図。
【図9】本発明の第8実施形態のブロック図。
【図10】第8実施形態における制御を示すフローチャート。
【図11】本発明の第9実施形態のブロック図。
【図12】本発明の第10実施形態のブロック図。
【図13】本発明の第11実施形態のブロック図。
【符号の説明】
【0121】
1・・・バイオマス
2・・・バイオガス生成装置
3・・・発電装置/燃料電池
3A・・・発電装置/ガスエンジン或いはガスタービン
4・・・排ガス燃焼触媒
5・・・排ガス熱交換器
6・・・電気分解装置/水電解装置
7・・・イオン交換樹脂
8・・・純水タンク
9・・・CO2圧縮機
10・・・液相CO2ポンプ
11A・・・整流器
12・・・O2ミキサ
13・・・純水素駆動燃料電池
14・・・オフガス・O2再燃焼制御装置
16・・・無酸素加熱ガス化装置
35・・・PSI式酸素製造装置
40・・・水供給機構
42・・・浄化フィルタ
44・・・浄化水タンク
17・・・タール熱分解装置
L1・・・バイオマス供給ライン
L2・・・バイオガス供給ライン
L3・・・排ガスライン
L4・・・凝縮水回収ライン
L5・・・CO2排出ライン
L6・・・第1の酸素供給ライン
L7・・・第2の酸素供給ライン
L8・・・水素供給ライン
Ld・・・凝縮水ライン
P1・・・純水ポンプ
P2・・・循環水ポンプ
P3・・・バイオマス希釈水ポンプ
Sg1・・・未燃成分測定手段/第1のガスセンサ
Sg2・・・バイオガス組成測定手段/第2のガスセンサ
V1、V2・・・開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガスを生成する装置(2)に供給する水供給機構(40)とを備えていることを特徴とする大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項2】
バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した純水を電気分解して排ガスに供給するべき酸素を生成する電気分解装置(6)とを備えていることを特徴とする大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項3】
前記電気分解装置(6)で発生した水素を燃料として発電する第2の発電装置を(13)備える請求項2の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項4】
前記発電装置が燃料電池(3)であり、燃料極オフガスの排出ライン(L3)にオフガス中の未燃成分を測定する測定手段(Sg1)と排ガス燃焼触媒(4)とを設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L6)を設け、該酸素供給ライン(L6)には開閉弁(V1)が介装されており、制御装置(14)を設け、該制御装置(14)は、測定手段(Sg1)の測定結果から排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有している請求項1〜3の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項5】
前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)であり、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)の燃料供給ライン(L2)に混合装置(12)を介装し、該混合装置(12)に電気分解装置(6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L7)を設け、該酸素供給ライン(L7)には開閉弁(V2)が介装されており、排ガスライン(L3)に排ガス中の未燃成分を測定する測定手段(Sg1)を設け、制御装置(14A)を設け、該制御装置(14A)は、測定手段(Sg1)の測定結果からガスエンジン或いはガスタービン(3A)の排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有している請求項1〜3の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項6】
バイオマスからバイオガスを生成する装置は、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行うガス化装置(16)と、ガス化により発生したガスに純酸素を吹き込みつつ高温でタールを熱分解して改質するタール熱分解装置(17)で構成されている請求項1〜5の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項1】
バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離し、分離された凝縮水を浄化してバイオガスを生成する装置(2)に供給する水供給機構(40)とを備えていることを特徴とする大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項2】
バイオマスからバイオガスを生成する装置(2)と、バイオガスを燃料として発電する発電装置(3、3A)と、発電装置(3、3A)の排ガスの組成が二酸化炭素と水のみになる様に当該排ガスに酸素を供給する機構(4、12)と、二酸化炭素と水のみから組成されている排ガスを冷却して凝縮水を分離する機構(5)と、分離された凝縮水から生成した純水を電気分解して排ガスに供給するべき酸素を生成する電気分解装置(6)とを備えていることを特徴とする大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項3】
前記電気分解装置(6)で発生した水素を燃料として発電する第2の発電装置を(13)備える請求項2の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項4】
前記発電装置が燃料電池(3)であり、燃料極オフガスの排出ライン(L3)にオフガス中の未燃成分を測定する測定手段(Sg1)と排ガス燃焼触媒(4)とを設け、該排ガス燃焼触媒(4)に電気分解装置(6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L6)を設け、該酸素供給ライン(L6)には開閉弁(V1)が介装されており、制御装置(14)を設け、該制御装置(14)は、測定手段(Sg1)の測定結果から排ガス燃焼触媒(4)の燃焼排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有している請求項1〜3の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項5】
前記発電装置がガスエンジン或いはガスタービン(3A)であり、ガスエンジン或いはガスタービン(3A)の燃料供給ライン(L2)に混合装置(12)を介装し、該混合装置(12)に電気分解装置(6)で生成された酸素を供給する酸素供給ライン(L7)を設け、該酸素供給ライン(L7)には開閉弁(V2)が介装されており、排ガスライン(L3)に排ガス中の未燃成分を測定する測定手段(Sg1)を設け、制御装置(14A)を設け、該制御装置(14A)は、測定手段(Sg1)の測定結果からガスエンジン或いはガスタービン(3A)の排ガスが二酸化炭素と水のみから組成される酸素供給量を演算し、演算された酸素供給量に対応して酸素供給ライン(L6)に介装された開閉弁(V1)の開度を制御する機能を有している請求項1〜3の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【請求項6】
バイオマスからバイオガスを生成する装置は、バイオマスを無酸素状態で加熱してガス化を行うガス化装置(16)と、ガス化により発生したガスに純酸素を吹き込みつつ高温でタールを熱分解して改質するタール熱分解装置(17)で構成されている請求項1〜5の何れか1項の大気中二酸化炭素の分離回収処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−13333(P2010−13333A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176907(P2008−176907)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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