大気圧放電表面処理装置

【課題】大気圧下での多湿放電から発生する水酸基ラジカルを積極的に利用することで、高速処理が可能でかつ、環境にやさしい大気圧放電表面処理方法およびその装置を提供する。
【解決手段】大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理方法において、高分子材料基板を接地電極上に載置し、対向電極を有する放電電極部を前記接地電極に対向して設け、高分子材料基板の周囲に湿分含有ガスを供給し、高分子材料基板を取り囲む空間を多湿雰囲気とし、前記多湿雰囲気下で前記対向電極と前記接地電極との間に放電を生じさせ、前記多湿雰囲気中に含まれるH2Oから水酸基ラジカル(・OH)を生成させ、生成した水酸基ラジカル(・OH)を高分子材料基板に作用させて高分子材料基板の表面を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスや高分子プラスチックの表面処理(表面洗浄・表面改質)に係り、主に高分子材料基板の表面に付着する微小な有機物除去ならびに表面へ官能基を形成することによる親水性向上を目的とし、製造工程における環境面への配慮と、製品の歩留まり向上ならびに工業的付加価値を高めるための大気圧放電表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面処理技術は主に酸化性化合物や有機溶剤を利用したウェット処理が主流であった。酸化性化合物や有機溶剤は人体に有害であるが、それら自体のコストは高くなく、技術も確立されているため、多くの表面処理工程で利用されている。しかしながら、ウェット処理は後段に乾燥工程が必要である、乾燥中に揮発性有機物が発生し処理設備が必要である、処理後に酸化性化合物や有機溶剤の処理を行う必要があることなどの問題がある。近年、有害な酸化性化合物や有機溶剤に対する法的規制が強まり、処理に使用した後の規制値以下までの低減、処理中に使用される酸化性化合物や有機溶剤に替わる新たな技術の開発が強く望まれている。
【0003】
酸化性化合物や有機溶剤を使用しないドライ処理に関する研究開発は近年において盛んに行われ、種々の提案がなされている。例えば特許文献1は面状の誘電体バリア放電をSFガスに対して発生させる方法を、また特許文献2ではマイクロ波放電により行う方法を、また特許文献3では真空紫外線ランプにより行う方法をそれぞれ提案している。
【0004】
これらのドライ処理は、従来のウェット処理に比べて環境面で優れていると一般には考えられているが、それぞれに解決しなければならない未解決の問題点がある。特許文献1の方法では、地球温暖化係数が二酸化炭素の23,400倍も高いSFガスを利用すること、および面状の誘電体バリア放電は放電が一箇所に集中しやすいことが問題となる。また、特許文献2の方法では、マイクロ波放電を用いるので高分子材料基板の表面が熱により損傷するおそれがあることが問題となる。また、特許文献3の方法では、真空紫外線発生のためのキセノンガスが非常に高価であること、および酸素雰囲気中では真空紫外線のほとんどが酸素に吸収されてしまうため窒素等のガス空間もしくは真空雰囲気下で処理を行う必要があることが問題となる。
【特許文献1】特開2006−4684号公報
【特許文献2】特開2005−347619号公報
【特許文献3】特開2005−336615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、大気圧下での多湿酸素ガス放電プラズマ中に生成される活性種として特にOHラジカルを積極的に利用することで、高速処理が可能でかつ、環境にやさしい、簡単な装置構成であるがゆえ、低コストで表面処理を行うことが可能な大気圧放電表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る大気圧放電表面処理方法は、大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理方法において、高分子材料基板を接地電極上に載置し、対向電極を有する放電電極部を前記接地電極に対向して設け、高分子材料基板の周囲に湿分含有ガスを供給し、高分子材料基板を取り囲む空間を多湿雰囲気とし、前記多湿雰囲気下で前記対向電極と前記接地電極との間に放電を生じさせ、前記多湿雰囲気中に含まれるH2Oから水酸基ラジカル(・OH)を生成させ、生成した水酸基ラジカル(・OH)を高分子材料基板に作用させて高分子材料基板の表面を処理する。
【0007】
上記目的を達成するために(1)の発明では、高分子材料基板に対して大気圧放電を発生させる。大気圧放電には多湿で酸素を含むガスを流すことにより、放電プラズマ中に活性種を生成させ、生成した活性種を高分子材料基板に吹き付けることにより高分子材料基板の表面を処理する。ここで「大気圧程度または大気圧より少し高い圧力」とは、1気圧前後(悪天候のときは1気圧以下の場合もありうる)から2気圧以下(101.325〜202.650 kPa)程度の範囲の圧力を意味するものと定義する。湿分含有ガスとして純酸素ガス(工業的なレベルでの純粋な酸素ガス)、純窒素ガス(工業的なレベルでの純粋な窒素ガス)、酸素と希ガスとの混合ガス、窒素と希ガスとの混合ガス(含む空気)、酸素と窒素との混合ガス、空気、空気と希ガスとの混合ガス、空気と酸素と希ガスとの混合ガス、空気と窒素と希ガスとの混合ガスなどを用いることができる。また、湿分含有ガスに含ませる湿分は、少なくとも処理温度での相対湿度80%以上とすることが好ましい。また、処理温度は室温又は室温前後の温度域とし、具体的には0〜40℃の範囲で処理することが好ましい。高分子材料基板の材料の変質および変形を生じることなく処理できるからである。
【0008】
本発明では、各種の無機高分子材料や有機高分子材料からなる基板の表面を処理対象とすることができる。高分子材料基板無機高分子材料としてNa2O-CaO-SiO2系ガラス(ソーダガラス等)、Na2O-B23-Al23-SiO2系ガラス(ホウケイ酸ガラス等)、Na2O-CaO-Al23-SiO2,Au,Ag,Cu系ガラス(感光写真ガラス等)、B23-La23-RO(RO;PbO,BaO,CdO)系ガラス(高屈折低分散光学ガラス等)、NaF-TiO2-SiO2系ガラス(低屈折高分散光学ガラス等)、Na2O-CaO--SiO2Ce,Eu系ガラス(透過率可変ガラス等)、V25-BaO-P25系ガラス(半導性ガラス等)、B23-TiO2-BaO系ガラス(強誘電性結晶化ガラス等)、Fe23-MnO(BaO)-Li2O-SiO2系ガラス(強磁性結晶化ガラス等)、MgO-CaO-B23-Al23-SiO2系ガラス(無アルカリガラス等)等を挙げることができる。高分子材料基板有機高分子材料としてポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリイミド(PI)等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を組み合わせた材料からなる高分子材料基板の表面を本発明により処理することができる。
【0009】
高分子材料基板が無機高分子材料である場合は、酸素を含む湿分含有ガスを用いて高効率に処理することができる。また、高分子材料基板が有機高分子材料である場合は、窒素を含む湿分含有ガスを用いて高効率に処理することができる。
【0010】
なお、本発明者らは、上記材料の他にも種々の樹脂やプラスチック材料などの高分子材料の表面を本発明方法により処理することを試みたが、そのうちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は本発明を用いて処理することが難しいことが判明している。PTFEに含まれるC−F結合の結合力が非常に強固であるからである。
【0011】
(2)前記湿分含有ガスは酸素を含み、かつ前記高分子材料基板が無機高分子材料である(1)記載の方法。
【0012】
(2)の発明によれば、放電部の電極に高電圧を印加して無機高分子材料基板の上方に放電を発生させる。散気部を通過した多湿の酸素含有ガスはガスバッファ部にて一時的に滞留した後に、放電電極部で発生する放電プラズマ中を通過し、無機高分子材料基板に吹き付けられる。放電プラズマ内で多湿ガス中の酸素からは下式(1)と(2)に従って酸素原子やオゾンが発生し、また多湿成分である水からは下式(3)に従って水酸基ラジカル、すなわちヒドロキシルラジカル(・OH)が発生する。また、酸素原子と水が反応する下式(4)と(5)に従ってヒドロキシルラジカル(・OH)が発生する。
【0013】
オゾンの生成反応
e + O2 → O(1D) + O(3P) + e …(1)
O(3P) + O2 + M → O3 + M …(2)
ヒドロキシルラジカル(・OH)の生成反応
e + H2O → ・OH + ・H + e …(3)
O(1D) + H2O → ・OH + ・OH …(4)
O(3P) + H2O → ・OH + ・OH …(5)
上式(1)〜(5)のうちオゾンO3、酸素原子で励起状態のO(1D)、基底状態のO(3P)、ヒドロキシルラジカル・OHはそれぞれ活性種であり有機物との酸化反応の反応速度が非常に速い。特に、ヒドロキシルラジカルは上記の活性種の中でも最も反応性に富み、有機物を二酸化炭素にまで反応させることができる。すなわち、ごみなどが付着した物質の表面洗浄をドライ処理で行うことが可能となる。また、活性種は有機物と反応する際、有機物分解の中間性生物であるカルボキシル基を生成する。また、放電ではヒドロキシル基が生成される。これらが無機高分子材料基板の表面に付着することにより、物質表面の濡れ性が大幅に向上するため、接着剤における接着強度を大幅に向上させることが可能となる。また、用途に応じてガス種を適宜選択し、無機高分子材料基板の表面の洗浄や濡れ性の改善(表面改質)を行ってもよい。
【0014】
(3)前記湿分含有ガスは窒素を含み、かつ前記高分子材料基板が有機高分子材料である(1)記載の方法。
【0015】
ヒドロキシルラジカル(・OH)の生成反応
e + H2O → ・OH + ・H + e …(6)
窒素ラジカル(・N)の生成反応
e + N2 → ・N + ・N + e …(7)
励起窒素分子の生成反応
e + N2 → N2* + e …(8)
上式(6)〜(8)式のうち、ヒドロキシラジカル(・OH)は有機物分解反応ならびに水酸基付着による親水性の向上に寄与する。窒素ラジカルは、例えばベンゼン環を有する有機物で炭素と結合する水素の間にヒドロキシラジカル(・OH)が反応した場合、水素が結合から離れる。このとき、水素との反応性の高い窒素ラジカル(・N)が近くにあるとN-H結合を形成することから、水素は再びベンゼン環に戻らずに水素が結合していた場所には例えばヒドロキシラジカル(・OH)が結合できる。このような反応が起こったときに、親水性が向上する。励起窒素分子は酸化力が高いため、有機物分解反応に寄与するだけでなくグロー放電化に寄与するとも言われており、放電の均一化が期待できる。
【0016】
(4)本発明に係る大気圧放電表面処理装置は、大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、高分子材料基板を支持する接地電極(12)と、前記接地電極に対向して配置される放電電極部(7)と、前記放電電極部および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源(5)と、前記放電電極部に接して設けられ、開口部(6a)に連通するガスバッファ部(8)と、前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように前記接地電極とともに高分子材料基板を平行に移動させる移動機構(4)と、前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部(9)を有する曝気部(2)と、前記曝気部に連通し、前記散気部に処理ガスを供給するガス供給部(3)と、を具備する。
【0017】
(5)前記ガス供給部は、前記処理ガスとして酸素含有ガスを供給する(4)記載の装置。
【0018】
(6)前記ガス供給部は、前記処理ガスとして窒素含有ガスを供給する(4)記載の装置。
【0019】
(7)前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように前記接地電極とともに高分子材料基板を平行に移動させる移動機構をさらに有する(4)乃至(6)のいずれか1記載の装置。
【0020】
(8)高分子材料基板の移動方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)に延び出すブレード電極またはワイヤ電極のいずれか一方を放電電極部に設けることにより、高分子材料基板を全面にわたって均一に処理でき、面内均一性に優れた表面処理を実現することができる。
【0021】
(9)金属性のブレード電極またはワイヤ電極(高電圧電極)の少なくとも高分子材料基板側が誘電体で覆われることにより、より安定に均一な放電プラズマを発生させるので、面内均一性に優れた表面処理を実現することができる。なお、電極を誘電体で被覆しているので、必ずしも電極と高分子材料基板との間に誘電体部材(図8、図9参照)を設けなくともよく、この場合は誘電体部材は任意の構成要素である。
【0022】
(10)本発明に係る大気圧放電表面処理装置は、大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、高分子材料基板に対向して配置され、少なくとも一方が誘電体(15)で覆われた、少なくとも一対以上の高電圧電極(16)と接地電極(17)が交互に配列された対向電極を有する放電電極部と、前記高電圧電極および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源と、前記放電電極部に接して設けられたガスバッファ部と、前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように高分子材料基板を平行に移動させる移動機構と、前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部を有する曝気部と、前記曝気部に連通し、前記散気部に処理ガスを供給するガス供給部と、を具備する。なお、電極を誘電体で被覆しているので、必ずしも電極と高分子材料基板との間に誘電体部材(図8、図9参照)を設けなくともよく、この場合は誘電体部材は任意の構成要素である。
【0023】
高分子材料基板側に少なくとも一方が誘電体で覆われた少なくとも一対の高電圧電極と接地電極が交互に並べられた対向電極と、が設けられた放電を発生させる放電電極部と、多湿ガス流路前段に設けられたガスバッファ部と、圧損機構を持つ多孔質または少なくとも1つの開口部が設けられた誘電体と、を備える放電部を設けることにより、放電電極部で発生する活性種のみを高分子材料基板に吹き付けて処理することができる。すなわち、放電プラズマ自体は高分子材料基板に接しないため、放電内の電子もしくはイオン衝突による高分子材料基板表面の損傷を防ぐことができる。
【0024】
(11)本発明に係る大気圧放電表面処理装置は、大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、多孔質または少なくとも1つの開口部を有する誘電体部材(18,19)と、前記誘電体部材の一方側の面に接して設けられた少なくとも1つの高電圧電極(16)と、前記高電圧電極が接する一方側の面と反対側の前記誘電体部材の他方側の面に接して設けられ、少なくとも1つの開口部を有する接地電極(17)と、前記高電圧電極および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源と、前記放電電極部に接して設けられたガスバッファ部と、前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように高分子材料基板を平行に移動させる移動機構と、前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部を有する曝気部と、前記曝気部に連通し、前記散気部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給部と、を具備する。
【0025】
多孔質または少なくとも1つの開口部が設けられた圧損機構を持つ誘電体部材と、誘電体部材の一方側の面に接して配置される少なくとも1つの高電圧電極と、誘電体部材の他方側の面に接して配置される少なくとも1つの開口部が設けられた接地電極と、が設けられた放電電極部を備えることにより、放電プラズマ内で生成される活性種のみを高分子材料基板と反応させて処理することが可能となる。すなわち、放電プラズマ自体は放電電極部に接しないため、放電プラズマ内で生成される電子やイオンの衝突による高分子材料基板の損傷を防ぐことができる。なお、誘電体部材を間に挟んで配置される高電圧電極と接地電極とは、必ずしも対向する位置に配置(図10、図11参照)されなくともよく、高電圧電極を接地電極の開口部に対向する位置に配置するようにしてもよい。さらに、両電極が誘電体部材を間に挟んで近傍に位置してさえいれば、両電極を任意の相対位置に配置することも可能である。
【0026】
また、高分子材料基板側を接地電極とすれば、放電電極部に生じる高電界が高分子材料基板側に届かないため、半導体プロセスや液晶基板洗浄工程などに用いることが可能となる。
【0027】
(12)前記ガス供給部は、前記処理ガスとして酸素含有ガスを供給する(10)または(11)のいずれか1記載の装置。
【0028】
(13)前記ガス供給部は、前記処理ガスとして窒素含有ガスを供給する(10)または(11)のいずれか1記載の装置。
【0029】
(14)ガスバッファ部に断熱機構もしくは加熱機構を設けることにより、散気部で生成される多湿で酸素を含むガスが結露することなく放電内を通過するため、ヒドロキシルラジカルの生成効率を高めることが可能となる。
【0030】
(15)曝気部の内部または外周部に加熱機構を設けることにより、多湿ガス中の飽和水蒸気量を高めることが可能となる。これによりヒドロキシルラジカルの生成効率を高めることが可能となる。
【0031】
(16)曝気部からガスバッファ部までの間のガス流路に断熱機構および加熱機構のうちの少なくとも一方を設けることにより、曝気部で生成された多湿の酸素含有ガスを結露させることなく放電プラズマ中を通過させ、高分子材料基板に吹き付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、放電電極と高分子材料基板との間に湿分含有ガスの放電プラズマを均一に発生させ、生成したヒドロキシルラジカル(・OH)を高分子材料基板の表面に作用させることにより、大気圧下で面内均一性に優れた表面処理を実現することができる。とくに本発明は、液晶表示装置(LCD)に用いられるガラス基板、あるいはポリイミド等の高分子プラスチック基板を表面処理(表面洗浄、表面改質)することができる。ポリイミドは携帯電話用プリント基板やLCD用内部絶縁基板に用いられ、この表面改質処理をおこなうことにより接着性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の形態を説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照して本発明の第1の実施の形態に係る大気圧放電表面処理装置を説明する。大気圧放電表面処理装置1は、放電部10、曝気部2、ガス供給部3、移動機構4、高電圧発生電源5、放電電極部7、接地電極12、制御部30を備えている。表面処理装置1は制御部30によって全体の動作が統括的に制御されるものである。すなわち、制御部30の入力側には図示しない温度センサ、圧力センサ、流量センサなどから各種の検知信号S1,S2,S3が入力され、制御部30のCPUは入力信号とデータベースに格納された処理条件データとに基づき制御量の演算を実行し、出力側からはガス供給部3、電源5、移動機構4の駆動モータ41にそれぞれ制御指令信号が出力されるようになっている。
【0035】
ガス供給部3は、処理ガスとして工業的に純粋な酸素ガスを貯留している。ガス供給部3のガス供給口はラインL1を介して曝気部2の入口に連通している。ラインL1には図示しない流量制御弁および圧力制御弁が設けられ、曝気部2に供給されるガスの流量と圧力が所望値にコントロールされるようになっている。
【0036】
曝気部2は、処理ガスとしての酸素ガスに湿分を与える加湿液体として常温常圧の水を貯留している。曝気部2の下部には散気部9が設けられている。散気部9は、ラインL1を介してガス供給部3に連通し、曝気部2内の水中に浸漬されている。散気部9は有孔の円筒型エレメントまたは多孔質の円柱型エレメントを備えている。散気部9から曝気部2の水中にガスをバブリングすると、細かな気泡となって多量の湿分を含むようになり、ほぼ飽和蒸気量の湿分を含む酸素含有ガスが生成されるようになっている。
【0037】
曝気部2は、ラインL2を介して放電部10のガスバッファ部8に連通している。ガス流路L2はガスバッファ部8の上部中央に開口している。ガスバッファ部8の底部には有孔板6が取り付けられている。ガスバッファ部8内の多湿ガスは有孔板の多数の孔(ガス流路)6aを通過することでほぼ均等に分配されるようになっている。ガスバッファ部8は、所定レベル以上の大きさの容量をもつものであり、多湿の酸素含有ガスが結露しないように図示しないヒータや断熱材を備えるようにしてもよい。
【0038】
放電部10の詳細を図3と図4に示す。放電電極部7と金属性接地電極12との間に高電圧発生電源5により1kV/mm以上の高電圧(例えば5〜20kV/mm)を印加すると、放電電極部7と高分子材料基板Wとの間に放電プラズマが発生するようになっている。放電電極部7には種々の形状や材料を採用することができる。
【0039】
電源5は、高電圧を両電極7,12間に印加するために、高電圧側が放電電極部7に接続され、接地側が接地電極12に接続されている。
【0040】
本実施形態の放電電極部7は、その形状がブレード状である。この放電電極部7は、ガスバッファ部8を形成する筐体11下部の有孔板6の下面に取り付けられている。有孔板6には多数のガス流路6aが開口している。ブレード状の放電電極部7は、有孔板6のガス流路6aを塞がないように幅狭部分が有孔板6の下面に接している。ガスバッファ部8に一時的に貯められた多湿の酸素含有ガスが流路6aを通って高分子材料基板Wの側に出ていくようになっている。本実施形態の装置1では、ガス供給部3から供給される酸素ガスは、曝気部2を通過して多湿の酸素含有ガスとなり、一時的にガスバッファ部8に貯められた後に、有孔板6のガス流路6aを通って放電プラズマに向けて吹出され、さらに放電プラズマ中を通過して高分子材料基板Wの表面に吹き付けられる。
【0041】
高分子材料基板Wは接地電極12の上に載置されている。接地電極12は、高分子材料基板Wとほぼ同じ大きさをもち、電源5の接地側回路に接続されている。また、接地電極12は、移動機構4によりY方向に移動可能に支持されている。本実施形態では高分子材料基板Wとして液晶表示装置(LCD)用ガラス基板を用いた。
【0042】
図2に示すように、移動機構4は、モータ41と、モータの回転駆動軸42に取り付けられた一対の駆動ローラ43と、駆動ローラ43に対して所定ピッチ間隔に配置された複数対のガイドローラ44とを備えている。駆動ローラ43の回転駆動により高分子材料基板Wがガイドローラ44に案内されながらY方向に移動される。なお、ローラ43,44の周面はスリップ防止のためにゴム等の摩擦係数が大きい材料でつくられている。移動機構4による高分子材料基板Wの移動速度は、表面処理条件に応じて様々に変えられる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に、図5を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、放電電極部としてワイヤ電極7Wを用いる。ワイヤ電極7Wは、一端がガスバッファ部筐体底部の有孔板6の下面に取り付けられた状態で片持ち支持され、移動機構4の進行方向(Y方向)に直交するX方向に延び出している。これにより高分子材料基板Wの全域にわたって放電プラズマが拡がり、高分子材料基板Wに対して活性種を実質的に均一に吹きつけることが可能になり、表面処理の面内均一性が向上する。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてスライドガラス基板を処理した。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、図6及び図7を参照して第3の実施の形態について説明する。
【0045】
第3の実施の形態では、放電電極部として誘電体15で覆われたブレード電極7を用いる。図6に示すように、ブレード電極7の高分子材料基板側を誘電体15で覆うことにより誘電体15のバラスト効果が得られ、より均一な放電場の生成とアーク放電の発生を抑制することが可能となる。
【0046】
図7に本実施形態の放電電極部の変形例として誘電体15で覆われたワイヤ電極7Wを示す。ワイヤ電極7W(高電圧電極)の少なくとも高分子材料基板側を誘電体15で覆うことにより、より安定に均一な放電プラズマが生成され、面内均一性に優れた表面処理が実現される。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に、図8及び図9を参照して第4の実施の形態について説明する。
【0048】
第4の実施の形態では、放電電極部として、図8に示すように、高分子材料基板の反対側の多孔質部材18の面上に、少なくとも一方が誘電体15で覆われた複数対の高電圧電極16と接地電極17が交互に配置された組合せタイプの対向電極を用いる。なお、高電圧電極16と接地電極17との組合せ数は一対のみであってもよい。これにより放電プラズマは高電圧電極16と接地電極17との間で発生し、高分子材料基板Wには活性種のみが接することから、放電中の電子やイオンの衝突による高分子材料基板表面の損傷を防ぐことが可能となる。
【0049】
図9に本実施形態の放電電極部の変形例として誘電体で覆われた有孔板部材19を示す。この変形例では、図9に示すように、有孔板部材19を誘電体15で覆い、この一方側の面上に複数対の高電圧電極16と接地電極17を交互に配置して組合せタイプの対向電極としている。このようにすると放電中の電子やイオンの衝突をさらに防止でき、高分子材料基板Wの表面が受けるダメージをさらに低減することができる。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0050】
(第5の実施の形態)
次に、図10及び図11を参照して第5の実施の形態について説明する。
【0051】
第5の実施の形態では、図10に示すように、多孔質部材18の一方面側に高電圧電極16を配置し、多孔質部材18の他方面側に少なくとも1つの開口部を持つ接地電極17を配置することにより、高電圧電極16から多孔質部材18に広がるように放電場を形成することができる。本実施の形態では放電電力が低いときには短い放電場を、放電電力が高くなるにつれ、裾野が広がるように放電場を発生させることが可能になり、活性種の制御がより簡単になる。
【0052】
図11に本実施形態の放電電極部の変形例として誘電体15で覆われた高電圧電極16を示す。半導体基板などの表面処理に用いるようなよりクリーンなガスが要求される場合には、対向電極となる接地電極17の外面を誘電体で覆ってもよい。また、本実施の形態において、接地電極17を高分子材料基板側とすることにより、高分子材料基板側には電界を発生させないようにすることが可能となることから、やはり半導体プロセスや液晶ディスプレイ製造工程などの電場を避けるべき箇所等で用いる場合には適宜、電極17と高分子材料基板Wとの配置を適宜変更してもよい。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0053】
(第6の実施の形態)
次に、図12及び図13を参照して第6の実施の形態について説明する。
【0054】
第6の実施の形態では、図12に示すように、ガスバッファ部8の周囲を断熱機構20で覆うことにより、多湿の酸素含有ガス28を結露させることなく放電電極部7に供給することができる。
【0055】
図13に本実施形態の放電電極部の変形例として加熱機構21を有する放電部を示す。加熱機構21をガスバッファ部8の内部に設けることにより、多湿の酸素含有ガス28を結露させることなく放電電極部7に供給することができる。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0056】
(第7の実施の形態)
次に、図14を参照して第7の実施の形態について説明する。
【0057】
第7の実施の形態では、曝気部2の外周に加熱機構21を設けることにより、散気部9からバブリングさせて酸素含有ガスに含ませる飽和水蒸気量を増加させる。これにより活性種(特にヒドロキシルラジカル)の発生量の増加を図ることが可能となる。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0058】
(第8の実施の形態)
次に、図15を参照して第8の実施の形態について説明する。
【0059】
第8の実施の形態では、曝気部2から放電部10までのガス流路L2の周囲を断熱機構20で覆うことにより、曝気部2で生成された多湿の酸素含有ガスを結露させることなく放電部10に供給させることが可能となる。このことからヒドロキシルラジカルの発生量増加を図ることができる。なお、断熱機構20の代わりに加熱機構21を設けてもよいし、両者の組合せとしてもよい。本実施形態では処理ガスに酸素を用いてLCD用ガラス基板を処理した。
【0060】
(第9の実施の形態)
次に、図1を参照して第9の実施の形態について説明する。
【0061】
大気圧放電表面処理装置1は、放電部10、曝気部2、ガス供給部3、移動機構4、高電圧発生電源5、放電電極部7、接地電極12、制御部30を備えている。
【0062】
ガス供給部3は、処理ガスとして工業的に純粋な窒素ガスを貯留している。ガス供給部3のガス供給口はラインL1を介して曝気部2の入口に連通している。ラインL1には図示しない流量制御弁および圧力制御弁が設けられ、曝気部2に供給されるガスの流量と圧力が所望値にコントロールされるようになっている。
【0063】
曝気部2は、処理ガスとしての窒素ガスに湿分を与える加湿液体として常温常圧の水を貯留している。曝気部2の下部には散気部9が設けられている。散気部9は、ラインL1を介してガス供給部3に連通し、曝気部2内の水中に浸漬されている。散気部9は有孔の円筒型エレメントまたは多孔質の円柱型エレメントを備えている。散気部9から曝気部2の水中にガスをバブリングすると、細かな気泡となって多量の湿分を含むようになり、ほぼ飽和蒸気量の湿分を含む窒素含有ガスが生成されるようになっている。
【0064】
曝気部2は、ラインL2を介して放電部10のガスバッファ部8に連通している。ガス流路L2はガスバッファ部8の上部中央に開口している。ガスバッファ部8の底部には有孔板6が取り付けられている。ガスバッファ部8内の多湿ガスは有孔板の多数の孔(ガス流路)6aを通過することでほぼ均等に分配されるようになっている。ガスバッファ部8は、所定レベル以上の大きさの容量をもつものであり、多湿の窒素含有ガスが結露しないように図示しないヒータや断熱材を備えるようにしてもよい。
【0065】
放電部10の詳細を図3と図4に示す。放電電極部7と金属性接地電極12との間に高電圧発生電源5により1kV/mm以上の高電圧(例えば5〜20kV/mm)を印加すると、放電電極部7と高分子材料基板Wとの間に放電プラズマが発生するようになっている。放電電極部7には種々の形状や材料を採用することができる。
【0066】
電源5は、高電圧を両電極7,12間に印加するために、高電圧側が放電電極部7に接続され、接地側が接地電極12に接続されている。
【0067】
本実施形態の放電電極部7は、その形状がブレード状である。この放電電極部7は、ガスバッファ部8を形成する筐体11下部の有孔板6の下面に取り付けられている。有孔板6には多数のガス流路6aが開口している。ブレード状の放電電極部7は、有孔板6のガス流路6aを塞がないように幅狭部分が有孔板6の下面に接している。ガスバッファ部8に一時的に貯められた多湿の窒素含有ガスが流路6aを通って高分子材料基板Wの側に出ていくようになっている。本実施形態の装置1では、ガス供給部3から供給される酸素ガスは、曝気部2を通過して多湿の窒素含有ガスとなり、一時的にガスバッファ部8に貯められた後に、有孔板6のガス流路6aを通って放電プラズマに向けて吹出され、さらに放電プラズマ中を通過して高分子材料基板Wの表面に吹き付けられる。
【0068】
高分子材料基板Wは接地電極12の上に載置されている。接地電極12は、高分子材料基板Wとほぼ同じ大きさをもち、電源5の接地側回路に接続されている。また、接地電極12は、移動機構4によりY方向に移動可能に支持されている。本実施形態では高分子材料基板Wとしてポリイミド基板を用いた。
【0069】
以上、種々の実施の形態を挙げて説明したが、本発明は上記各実施の形態のみに限定されるものではなく、種々変形および組み合わせることが可能である。
【0070】
次に、図16〜図18を参照して本発明の種々の効果について説明する。
【0071】
図16は、各種のガスを用いて無機高分子材料基板としてLCD用ガラス基板を本発明方法で処理したときの接触角を測定した結果をそれぞれ示す特性グラフ図である。ここで「接触角」とは、液体(この場合は水)を固体(この場合はガラス)に接触させたときの固体表面に対する液体の濡れ角度のことをいう。ガラス基板として厚さ1.1mmのCORNING#1737(米国コーニング社製;ホウケイ酸ガラス)を用いた。処理ガスとして多湿酸素、多湿空気、多湿窒素、酸素、空気、窒素をそれぞれ用いた。各処理ガスの水含有率(相対湿度)は、約60%であった。処理条件は、放電電力:5W、ガス流量:10SLM、初期接触角:41°、処理速度:26mm/秒とした。
【0072】
接触角は純水を処理基板上に一滴たらした時の水平方向からの様子をデジタルカメラにより撮影し、パソコン上で解析することにより測定した。処理後の接触角は、多湿酸素処理が約8°、多湿空気処理が約13°、多湿窒素処理が約15°、(乾燥)酸素処理が約14°、(乾燥)空気処理が約24°、(乾燥)窒素処理が約27°であった。このように多湿酸素含有ガスで改質処理されたガラス表面は、接触角が小さくなり、表面清浄化が促進された。
【0073】
図17は、横軸に結合エネルギ(eV)をとり、縦軸に面積強度比(c/s)をとって、本発明方法を用いて処理されたスライドガラス板の表面X線電子分光法(表面XPS)の結果を示す特性線図である。市販のソーダガラス製スライドガラス板を用い、処理ガスとして多湿酸素を用いた。
【0074】
図中の特性線Aはヒドロキシルラジカル(・OH)で処理されたガラス表面の分析結果を示し、特性線Bは処理前(未処理)のガラス表面の分析結果を示す。図から明らかなように、処理前のガラス表面にはC-C/C-H結合が高密度で存在するのに対して、処理後のガラス表面にはC-C/C-H結合が大幅に減少し、C-O結合およびC=O結合に変換していることが認められた。
【0075】
図18は、各種のガスを用いて有機高分子材料基板としてポリイミドフィルムを本発明方法で処理したときの接触角を測定した結果をそれぞれ示す特性グラフ図である。ポリイミドフィルムとして厚さ0.18mmのPermacel社製ポリイミドフィルムP−222を用いた。処理ガスとして多湿酸素、多湿空気、多湿窒素、酸素、空気、窒素をそれぞれ用いた。各処理ガスの水含有率(相対湿度)は、約60%であった。処理条件は、放電電力:54W、ガス流量:5SLM、初期接触角:54°、処理速度:26mm/秒とした。
【0076】
接触角はガラス基板と同様に測定した。処理前の接触角は54°であった。これに対して処理後の接触角は、多湿酸素処理が約21°、多湿空気処理が約4°、多湿窒素処理が約4°、(乾燥)酸素処理が約41°、(乾燥)空気処理が約27°、(乾燥)窒素処理が約21°であった。このように多湿窒素含有ガスで改質処理されたポリイミド表面は、接触角が小さくなり、接着性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、液晶表示装置(LCD)に用いられるガラス基板、あるいはポリイミド等の高分子材料基板を表面処理(表面洗浄、表面改質)する際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る大気圧放電表面処理装置を示す概略ブロック断面図。
【図2】高分子材料基板を移動させる移動機構を示す平面図。
【図3】第1実施形態の装置の要部を示す拡大断面図。
【図4】第1実施形態の放電電極部を示す拡大断面図。
【図5】第2実施形態の放電電極部を示す拡大断面図。
【図6】第3実施形態の放電電極部を示す拡大断面図。
【図7】第3実施形態の放電電極部の変形例を示す拡大断面図。
【図8】第4実施形態の放電電極部を示す拡大断面図。
【図9】第4実施形態の放電電極部の変形例を示す拡大断面図。
【図10】第5実施形態の放電電極部を示す拡大断面図。
【図11】第5実施形態の放電電極部の変形例を示す拡大断面図。
【図12】第6実施形態のガスバッファ部と放電電極部を示す拡大断面図。
【図13】第6実施形態のガスバッファ部と放電電極部の変形例を示す拡大断面図。
【図14】第7実施形態の曝気部を示す拡大断面図。
【図15】第8実施形態の装置の概要を示す拡大断面図。
【図16】LCDガラス基板に対する各種ガスの放電表面処理効果を示す特性グラフ図。
【図17】スライドガラス基板に対して本発明の処理をしたときの表面XPS分析結果を示す特性線図。
【図18】ポリイミド基板に対する各種ガスの放電表面処理効果を示す特性グラフ図。
【符号の説明】
【0079】
1,1A…大気圧放電表面処理装置、
2…曝気部、
3…ガス供給部、
4…移動機構、41…モータ、42…回転駆動軸、43,44…ローラ、
5…高電圧電源、
6…有孔板、
6a…ガス流路(孔)、
7…放電電極部、
7W…放電ワイヤ、
8…ガスバッファ部、
9…散気部、
10…放電部、
12…接地電極、
13…ブレード電極、
14…ワイヤ電極、
15…誘電体、
16…高電圧電極(対向電極)、
17…接地電極(対向電極)、
18…多孔質の誘電体部材、
19…開口部をもつ誘電体部材、
19a…開口部、
20…断熱機構、
21…加熱機構、
30…制御部、
L1,L2…ガス流路(ライン)、
W…高分子材料基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理方法において、
高分子材料基板を接地電極上に載置し、
対向電極を有する放電電極部を前記接地電極に対向して設け、
高分子材料基板の周囲に湿分含有ガスを供給し、高分子材料基板を取り囲む空間を多湿雰囲気とし、
前記多湿雰囲気下で前記対向電極と前記接地電極との間に放電を生じさせ、前記多湿雰囲気中に含まれるH2Oから水酸基ラジカル(・OH)を生成させ、生成した水酸基ラジカル(・OH)を高分子材料基板に作用させて高分子材料基板の表面を処理することを特徴とする大気圧放電表面処理方法。
【請求項2】
前記湿分含有ガスは酸素を含み、かつ前記高分子材料基板が無機高分子材料であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記湿分含有ガスは窒素を含み、かつ前記高分子材料基板が有機高分子材料であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、
高分子材料基板を支持する接地電極と、
前記接地電極に対向して配置される放電電極部と、
前記放電電極部および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源と、
前記放電電極部に接して設けられ、開口部に連通するガスバッファ部と、
前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部を有する曝気部と、
前記曝気部に連通し、前記散気部に処理ガスを供給するガス供給部と、
を具備することを特徴とする大気圧放電表面処理装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、前記処理ガスとして酸素含有ガスを供給することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記ガス供給部は、前記処理ガスとして窒素含有ガスを供給することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように前記接地電極とともに高分子材料基板を平行に移動させる移動機構をさらに有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記放電電極部は、前記移動機構による高分子材料基板の移動方向に対して直交する方向に延び出すブレード電極またはワイヤ電極のいずれか一方を有することを特徴とする請求項7記載の大気圧放電表面処理装置。
【請求項9】
前記放電電極部は、少なくとも高分子材料基板側が誘電体で覆われた金属性ブレード電極またはワイヤ電極のいずれか一方を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、
高分子材料基板に対向して配置され、少なくとも一方が誘電体で覆われた、少なくとも一対以上の高電圧電極と接地電極が交互に配列された対向電極を有する放電電極部と、
前記高電圧電極および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源と、
前記放電電極部に接して設けられたガスバッファ部と、
前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように高分子材料基板を平行に移動させる移動機構と、
前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部を有する曝気部と、
前記曝気部に連通し、前記散気部に処理ガスを供給するガス供給部と、
を具備することを特徴とする大気圧放電表面処理装置。
【請求項11】
大気圧程度または大気圧より少し高い圧力雰囲気下で放電プラズマを発生させ、高分子材料基板の表面を処理する大気圧放電表面処理装置において、
多孔質または少なくとも1つの開口部を有する誘電体部材と、
前記誘電体部材の一方側の面に接して設けられた少なくとも1つの高電圧電極と、
前記高電圧電極が接する一方側の面と反対側の前記誘電体部材の他方側の面に接して設けられ、少なくとも1つの開口部を有する接地電極と、
前記高電圧電極および前記接地電極にそれぞれ接続された高電圧発生電源と、
前記放電電極部に接して設けられたガスバッファ部と、
前記放電電極部と高分子材料基板との間が所定の間隔に保たれるように高分子材料基板を平行に移動させる移動機構と、
前記ガスバッファ部に連通し、下部に水中に浸漬された散気部を有する曝気部と、
前記曝気部に連通し、前記散気部に処理ガスを供給するガス供給部と、
を具備することを特徴とする大気圧放電表面処理装置。
【請求項12】
前記ガス供給部は、前記処理ガスとして酸素含有ガスを供給することを特徴とする請求項10または11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記ガス供給部は、前記処理ガスとして窒素含有ガスを供給することを特徴とする請求項10または11のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記ガスバッファ部は、断熱機構および加熱機構のうち少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項4、10、11のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記曝気部は、内部または外周部に加熱機構をさらに有することを特徴とする請求項4、10、11のいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記曝気部から前記ガスバッファ部までの間のガス流路に断熱機構および加熱機構のうち少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項4、10,11のいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−84820(P2008−84820A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22250(P2007−22250)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】