説明

大環状グレリン受容体アゴニストの塩、溶媒和物、および薬学的組成物、ならびにその使用方法

本発明は、グレリン(成長ホルモン分泌促進剤)の機能的アゴニストに結合する、および/またはグレリン(成長ホルモン分泌促進剤)の機能的アゴニストである、大環状化合物の新規の塩および溶媒和物を提供する。本発明はまた、これらの塩および溶媒和物の多形、これらの塩または溶媒和物を含有する薬学的組成物、ならびに本薬学的組成物を使用する方法に関する。これらの薬学的組成物は、様々な疾病適応、特に、術後イレウス、糖尿病性および術後胃不全麻痺を含む胃不全麻痺、オピオイド大腸機能障害、慢性腸偽性閉塞症、短腸症候群、機能的胃腸疾患、ならびに救命救急状況において、または薬学的薬剤による治療の結果として、他の病状とともに生じるものといった、胃腸運動障害を含むが、これらに限定されない、胃腸疾患の治療および予防に対する療法として有用である。さらに、本薬学的組成物は、代謝性および/または内分泌疾患、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、骨疾患、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、ならびに遺伝性疾患の治療および予防に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年9月30日に出願された米国仮出願第61/247,362号への優先権を主張するものであり、その開示は、その全体として参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、グレリン(成長ホルモン分泌促進剤)受容体の機能的アゴニストに結合する、グレリン(成長ホルモン分泌促進剤)受容体の機能的アゴニストである、大環状化合物の新規の塩および溶媒和物に関する。本発明はまた、これらの塩および溶媒和物の多形、これらの塩または溶媒和物を含有する薬学的組成物、ならびに本薬学的組成物を使用する方法に関する。これらの薬学的組成物は、様々な疾病適応、特に、術後イレウス、糖尿病性および術後胃不全麻痺を含む胃不全麻痺、オピオイド大腸機能障害、慢性腸偽性閉塞症、短腸症候群、機能的胃腸疾患、ならびに救命救急状況において、または薬学的薬剤による治療の結果として、他の病状とともに生じるものといった、胃腸運動障害を含むが、これらに限定されない、胃腸疾患の治療および予防に対する療法として有用である。さらに、本薬学的組成物は、代謝性および/または内分泌疾患、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、骨疾患、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、ならびに遺伝性疾患の治療および予防に適用される。
【背景技術】
【0003】
グレリンは、相同分子を有するラットの胃から原初に単離され、その後ヒトにおいて同定され、Ser上の異常なn−オクタノイル基修飾によって区別される、近年特徴が明らかにされた28個のアミノ酸のペプチドホルモンである(Kojima,M.;Hosoda,H.et al.Nature 1999,402,656−660;Kojima,M.Regul.Pept.2008,145,2−6)。広範な他の種におけるこのホルモンの存在は、正常な生理学的機能における、保存された、かつ重要な役割を示唆する。グレリンペプチドは、以前はオーファンであったGタンパク質結合受容体(GPCR)、1型成長ホルモン分泌促進(secretatogue)受容体(GHS−R1a)に対する、内因性リガンドであることが実証されている(Howard,A.D.;Feighner,S.D.;et al.Science 1996,273,974−977、米国特許第6,242,199号、国際特許出願第WO 97/21730号、および第WO 97/22004号)。GHS−R1aは、その内因性リガンドの認識において、グレリン受容体(GRLN)として最近再分類されている(Davenport,A.P.;et al.Pharmacol.Rev.2005,57,541−546)。GRLNは、主に脳(特に、視床下部における弓状核および腹内側核、海馬、ならびに黒質)、ならびに下垂体において認められるが、多くの他の組織および臓器においても発現される(Gnanapavan,S.;Kola,B.;Bustin,S.A.;et al.J.Clin.Endocrinol.Metab.2002,87,2988−2991、Cruz,C.R.;Smith,R.G.Vitam.Horm.2008,77,47−88)。
【0004】
グレリンペプチドは、種々の内分泌および非内分泌機能を有することが認められており(Broglio,F.;Gottero,C.;Arvat,E.;Ghigo,E.Horm.Res.2003,59,109−117、Hosoda,H.;Kojima,M.;Kangawa,K.J.Pharmacol.Sci.2006,100,398−410)、この範囲の作用は、多くの治療目的に対する、グレリン受容体のモジュレータの探求につながっている(Kojima,M.;Kangawa,K.Nat.Clin.Pract.Endocrinol.Metab.2006,2,80−88、Akamizu,T.;Kangawa,K.Endocr.J.2006,53,585−591、Leite−Moreira,A.F.;Soares,J.−B.Drug Disc.Today 2007,12,276−288、Katergari,S.A.;Milousis,A.;Pagonopoulou,O.;Asimakopoulos,B.;Nikolettos,N.K.Endocr.J.2008,55,439−453、Constantino,L.;Barlocca,D.Fut.Med.Chem.2009,1,157−177)。例えば、グレリンおよびグレリンアゴニストは、悪液質といった、消耗症候群において陽性効果を有することが実証されている(Kamiji,M.M.;Inui,A.Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 2008,11,443−451、DeBoer,M.D.Nutrition 2008,24,806−814、Ashitani,J.;Matsumoto,N.;Nakazato,M.Peptides 2009,30,1951−1956、Cheung,W.W.;Mak,R.H.Kidney Intl.2009,76,135−137)。臨床試験は、これらの効果を利用するように、これらのアゴニストを確信して、開始されている(Garcia,J.M.;Polvino,W.J.The Oncologist 2007,12,594−600、Strasser,F.;Lutz,T.A.;Maeder,M.T.Br.J.Cancer 2008,98,300−308、Garcia,JM.;Polvino,W.J.Growth Horm.IGF Res.2009,19,267−273)。これらの薬剤はまた、老化における介入薬剤として調査されている(Smith,R.G.;Sun,Y.;Jiang,H.;Albarran−Zeckler,R.;Timchenko,N.Ann.N.Y.Acad.Sci.2007,1119,147−164)。
【0005】
別の例として、胃腸(GI)系におけるグレリンの亢進作用は、グレリンアゴニストを、GI運動障害によって特徴付けられる疾患における治療目的に対して有用なものにする(Peeters,T.L.Curr.Opin.Pharmacol.2006,6,553−558、Sanger,G.J.Drug Disc.Today 2008,13,234−239、Venkova,K.;Greenwood−Van Meerveld,B.Curr.Opin.Invest.Drugs 2008,9,1103−1107、DeSmet,B.;Mitselos,A.;Depoortere,I.Pharmacol.Ther.2009,123,207−223、Camilleri,M.;Papathanasopoulos,A.;Odunsi,S.T.Nat.Rev.Gastroenterol.Hepatol.2009,6,343−352、El−Salhy,M.Int.J.Mol.Med.2009,24,727−732)。かかる疾患としては、術後イレウス、糖尿病性および術後胃不全麻痺を含む胃不全麻痺、オピオイド大腸機能障害、慢性腸偽性閉塞症、短腸症候群、機能的胃腸疾患、ならびに救命救急状況において、または薬学的薬剤による治療の結果として、他の病状とともに生じるものといった、胃腸運動障害が挙げられるが、これらに限定されない。グレリンアゴニストはまた、グレリンが、骨粗鬆症といった骨疾患の治療である、強力な血管拡張剤であることが示されている(Svensson,J.;Lall,S.;Dickson,S.L.et al.Endocrine 2001,14,63−66、van der Velde,M.;Delhanty,P.;et al.Vitamins and Hormones 2007,77,239−258)ため、慢性心不全といった、心臓血管疾病の治療のための療法として(Nagaya,N.;Kangawa,K.Drugs 2006,66,439−448、Garcia,E.A.;Karbonits,M.Curr.Opin.Pharmacol.2006,6,142−147、Isgaard,J.;Barlind,A.;Johansson,I.Cardiovasc.Hematol.Disord.Drug Targets 2008,8,133−137)、癌といった過剰増殖性疾患のための抗血管新生剤として(Baiguera,S.;Conconi,M.T.;Guidolin,D.;et al.Int.J.Mol.Med.2004,14,849−854、Conconi,M.T.;Nico,B.;Guidolin,D.;et al.Peptides 2004,25,2179−2185)、ならびに不安、ストレス、認知強化、および睡眠調節を含む、CNSに関与する状態を予防または緩和するために(Seoane,L.M.;Al−Massadi,O.;Lage,M.;Dieguez,C.;Casanueva,F.F.Pediatr.Endocrinol.Rev.2004,1,432−437;McNay,E.C.Curr.Opin.Pharmacol.2007,7,628−632;Ferrini,F.;Salio,C.;Lossi,L.;Merighi,A.Curr.Neuropharmacol.2009,7,37−49)適用される。グレリンはまた、抗アポトーシス特性を呈し、それは、脊髄損傷後(Lee,J.Y.;Chung,H.;Yoo,Y.S.;Oh,Y.J.;Oh,T.H.;Park,S,Yune,T.Y.Endocrinology.2010,151,3815−3826)、または、例えば、放射線合併障害において、放射線曝露後(Jacob,A.;Shah,K.G.;Wu,R.;Wang,P.Mol.Med.2010,16,137−143)の回復を改善するためのその能力において実証されており、グレリン受容体アゴニストに関する、さらなる追加の治療可能性を広げている。最後に、グレリンは、抗炎症作用を呈し、そのため、グレリンアゴニストは、炎症性疾患の治療および予防に適用することができる(Vixit,V.D.;Taub,D.D.Exp.Gerontol.2005,40,900−910、Taub,D.D.Vitamins and Hormones 2007,77,325−346)。
【0006】
一連の大環状ペプチド模倣薬は、近年、グレリン受容体のモジュレータとして説明され、代謝性および/または内分泌疾患、胃腸疾患、心臓血管疾患、肥満および肥満関連疾患、中枢神経系疾患、遺伝性疾患、過剰増殖性疾患、ならびに炎症性疾患を含む、様々な医学的状態の治療および予防のためのそれらの使用が概略されている(米国特許第7,452,862号、第7,476,653号、および第7,491,695号、国際特許出願公開第WO 2006/009645号、第WO 2006/009674号、第WO 2006/046977号、第WO 2006/137974号、および第WO 2008/130464号、米国特許出願公開第2006/025566号、第2007/021331号、第2008/051383号、および第2008/194672号)。POIのラットモデルにおける、これらの大員環のうちの1つである、化合物298の活性が報告されている(Venkova,K.;Fraser,G.;Hoveyda,H.R.;Greenwood−Van Meerveld,B.Dig.Dis.Sci.2007,52,2241−2248、Fraser,G.L.;Venkova,K.;Hoveyda,H.R.;Thomas,H.;Greenwood−Van Meerveld,B.Eur.J.Pharmacol.2009,604,132−137)。他の種類のグレリンアゴニストとは対照的に、化合物298は、これらの動物モデルにおいて、併用GH分泌を刺激しなかった(Fraser,G.L.;Hoveyda,H.R.;Tannenbaum,G.S.Endocrinology 2008,149,6280−6288)。しかしながら、活性な薬学的成分としての使用に好適であり、かつ薬学的組成物の調製に適切である、追加の形態の化合物298に対する必要性が依然として存在する。
【化1】

【0007】
有機化学化合物の固体状態特性は、薬学的製品としてのその開発の好適性に劇的に影響することが知られている(Berge,S.M.;Bighley,L.D.;Monkhouse,D.C.J.Pharm.Sci.1977,66,1−19、Gould,P.L.Int.J.Pharm.1986,33,201−217、Byrn,S.R.;Pfeiffer,R.R.;Stephenson,G.;Grant,D.J.W.;Gleason,W.B.Chem.Mater.1994,6,1146−1158、Bighley,L.D.;Berge,S.M.;Monkhouse,D.C.Salt Forms of Drugs and Absorption.In Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology;Swarbrick,J.,Boylan,J.C,Eds.;Marcel Dekker,Inc.: New York,1996;Vol.13,pp 453−499、Stahl,P.H.,Wermuth,C.G.,Eds.Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties,Selection and Use;VHCA and Wiley−VCH: Zurich,Switzerland,and Weinheim,Germany,2002;Clas,S.−D.Curr.Opin.Drug Disc.Develop.2003,6,555−560、Huanga,L.−F.;Tong,W.−Q.Adv.Drug Deliv.Rev.2004,56,321−334、Serajuddin,A.T.M.Adv.Drug Deliv.Rev.2007,59,603−616、Paulekuhn,G.S.;Dressman,J.B.;Saal,C.J.Med.Chem.2007,50,6665−6672)。
【0008】
固体状態における化合物は、潜在的に、結晶構造の一部として、溶媒の1つ以上の分子とともに形成することができ、これは、次いで、溶媒和物と称される。これらの溶媒和物はまた、結晶に関連付けられる溶媒の性質および溶媒分子の数に依存して、著しく変化し得る、特定の物理化学的および他の特性を有する。重ねて、これは、同様に、物質の溶解度およびバイオアベイラビリティ、ならびに他の薬学的に関連するパラメータに大幅に影響を与え得る(Vippagunta,S.R.;Brittain,H.G.;Grant,D.J.Adv.Drug Deliv.Rev.2001,48,3−26)。
【0009】
最も適切な塩または溶媒和物形態の同定に加え、物質の固体状態に関する別の考慮事項は、多形性である。多形は、同一の化学物質の異なる結晶形態である(Burger,A.;Ramberger,R.Mikrochim.Acta 1979,2,259−271,273−316、Vippagunta,S.R.;Brittain,H.G.;Grant,D.J.W.Adv.Drug Deliv.Rev.2001,48,3−26、Singhal,D.;Curatolo,W.Adv.Drug Deliv.Rev.2004,56,335−347、Llinas,A.;Goodman,J.M.Drug Disc.Today 2008,13,198−210、Brittain,H.G.,Ed.Polymorphism in Pharmaceutical Solids,2nd edition,Informa Healthcare,London and New York,2009)。 異なる多形は、融点、溶解度、流動特性、圧縮性および密度、溶解速度、ならびに安定性を含むが、これらに限定されない、変化した物理的特性を有することができる。
【0010】
化合物298のような大環状分子に関して、この一般部類の分子で、薬学的製品として調査されているものはほとんどないため、それらの固体状態挙動についてはほとんど知られていない。化合物298の精製プロセスにおいて、中間体として単独で使用される、化合物298の塩酸塩が、報告されている(米国特許第7,476,653号、第7,491,695号、および米国特許出願第12/351,395号)が、具体的な溶媒和物または結晶多形体は説明されなかった。化合物298の不特定の製剤は、ヒトにおいて、適切な安全性および薬物動態特性(Lasseter,K.C.;Shaughnessy,L.;Cummings,D.;et al.J.Clin.Pharmacol.2008,48,193−202)、ならびにPOI(Popescu,I.;Fleshner,P.R.;Pezzullo,J.C.;Charlton,P.A.;Kosutic,G.;Senagore,A.J.Dis Colon Rectum 2010,53,126−134)、ならびに糖尿病性胃不全麻痺(Ejskjaer,N.;Vestergaard,E.T.;Hellstrom,P.M.;et al.Aliment Pharmacol Ther 2009,29,1179−1187、Ejskjaer,N.;Dimcevski,G.;Wo,J.;et al.Neurogastroenterol Motil 2010,1069−1078)の治療に対する有効性を呈している。
【0011】
本発明によって提供される、特定の塩、溶媒和物、および多形体は、先行技術において開示されなかった、医薬開発に適切な、優れた、極めて好ましい特性を有する。さらに、これらの固体状態形態は、改善された性能特性でもって、薬学的組成物の調製を可能にする。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、配座的に定義された大環状化合物の溶媒和物、およびその多形体を提供する。これらの溶媒和物および多形は、グレリン(成長ホルモン分泌促進剤)受容体(GRLN、GHS−R1a)のアゴニスト、ならびにそのサブタイプ、イソフォーム、および変異体として作用することができる。さらに、それらは、薬学的薬剤としての使用のための、適切な組成物に容易に製剤化することができる。より具体的には、これらの溶媒和物および多形は、高い安定性、適切な溶解度、吸湿性の欠如、望ましい溶解速度、および/または良好なバイオアベイラビリティ、ならびに薬学的組成物の取扱および調製における容易性の呈示を伴って、再現可能に作製することができる。
【0013】
本発明の態様によると、本発明は、以下の構造
【化2】

(式中、HXは、HX塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸といったスルホン酸より選択される。)
を有する溶媒和物に関する。
【0014】
本発明の特定の態様は、これらの溶媒和物の非晶質または結晶形態を提供する。他の特定の態様は、水和物またはエタノレートである、溶媒和物を提供する。
【0015】
本発明の別の特定の態様は、一塩酸塩一水和物溶媒和物、一塩酸塩二水和物溶媒和物、および一塩酸塩モノエタノレート溶媒和物を提供する。
【0016】
本発明のなお別の特定の態様は、先で示される構造
【化3】

(式中、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸といったスルホン酸より選択される。)
を有する溶媒和物の多形体を提供する。
【0017】
別の態様において、これらの多形体の調製のためのプロセスが提供される。本発明の実施形態に関して、本プロセスは、
(a)以下の構造
【化4】

を有する大環状化合物を、アルコールの溶液中に溶解して、溶液Aを形成することと、
(b)酸HXを、溶液Aに添加して、酸性化された溶液Aを形成することであって、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸といったスルホン酸より選択される、酸性化された溶液Aを形成することと、
(c)任意に、酸性化された溶液Aを冷却することと、
(d)沈殿した塩を、酸性化された溶液Aから分離することと、
(e)(d)からの沈殿した塩を、アルコールおよび水の熱混合物中に溶解して、溶液Bを形成することと、
(f)溶液Bを冷却することと、
(g)沈殿した塩を溶液Bから分離することと、
(h)(g)からの沈殿した塩を、ケトン溶媒および水の熱混合物中に溶解して、溶液Cを形成することと、
(i)溶液Cを、周囲温度以下に冷却することと、
(j)沈殿した塩を溶液Cから分離することと、を含む。
【0018】
ある他の実施形態において、本プロセス内のアルコールは、エタノールであり、酸、HXは、塩酸であり、または、ケトン溶媒は、メチルエチルケトン(2−ブタノン)である。
【0019】
本発明のさらなる態様は、これらの溶媒和物または多形体と、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、もしくは希釈剤とを含有する、薬学的組成物を提供する。一部の実施形態において、本薬学的組成物は、(a)本明細書において説明される多形体または溶媒和物と、緩衝剤と、等張化剤とを含む。一部の実施形態において、酢酸緩衝剤のpHは、約4.0から6.0であり、酢酸緩衝剤は、酢酸緩衝剤である、および/または等張化剤は、デキストロースである。なお一部の実施形態において、酢酸緩衝剤は、約5から50mMの濃度を有し、デキストロースは、水中約4から6%の濃度で存在する。特定の実施形態において、薬学的組成物は、本明細書において説明される多形体または溶媒和物と、10mMの酢酸と、水中5%のデキストロース(D5W)とを含む。
【0020】
ある実施形態において、溶媒和物または多形体は、組成物の約75重量%から約99.9重量%の範囲内の量で、薬学的組成物に存在する。一部の実施形態において、活性物質の1つの溶媒和物または多形体のみが、薬学的組成物の調製の間、および/または最終薬学的組成物に存在する。
【0021】
さらなる実施形態において、薬学的組成物は、固体用量形態である。なおさらなる実施形態において、薬学的組成物は、水性用量形態である、即ち、溶媒中において提供される。
【0022】
特定の態様において、一塩酸塩一水和物の緩衝化された水性薬学的組成物が提供される。
【0023】
別の特定の態様は、これらの薬学的組成物の調製のためのプロセスを提供する。薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤が、緩衝剤および等張化剤である、本発明の実施形態において、本プロセスは、
(a)等張化剤を溶媒中に溶解して、溶液Dを形成することと、
(b)酸を溶液Dに添加して、酸性溶液Dを形成することと、
(c)以下の構造
【化5】

(式中、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸といったスルホン酸より選択される。)
を有する大環状化合物を、酸性化された溶液D中に溶解して、溶液Eを形成することと、
(d)溶液EのpHを、塩基の添加によって調整して、溶液Fを形成することと、
(e)溶液Fを、溶媒で、有効濃度まで希釈することと、を含む。
【0024】
ある実施形態において、先行プロセスにおけるステップは、逐次実行され、一方で、別の実施形態において、ステップは、ステップ(b)、次いでステップ(d)、次いでステップ(a)、次いでステップ(c)、次いでステップ(e)の順序で実行される。
【0025】
なお他の実施形態において、このプロセスの溶媒は、注射のために水であり、等張化剤は、デキストロースであり、酸は、酢酸であり、塩基は、水酸化ナトリウムであり、pHは、4.0〜5.0の間で調整され、有効濃度は、0.05〜5.0mg/mLである。このプロセスの特定の実施形態において、pHは、4.3〜4.7の間であるか、または有効濃度は、遊離塩基当量として与えられる1.0±0.1mg/mLもしくは2.0±0.2mg/mLである。追加の実施形態において、本プロセスは、0.22μmフィルタといった、1つ以上の滅菌フィルタを通した濾過をさらに含む。
【0026】
本発明の別の態様において、大環状化合物の塩は、以下の構造
【化6】

(式中、HXは、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびメタンスルホン酸またはエタンスルホン酸といったスルホン酸より選択される。)
を有し、塩が提供される。
【0027】
本発明のさらなる態様は、その塩、溶媒和物、および多形、ならびに薬学的組成物を作製する方法に関する。
【0028】
本発明の他の態様は、胃腸疾患、食欲の低減もしくは食物摂取の減少によって特徴付けられる疾患、代謝性もしくは内分泌疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患、骨疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、または過剰増殖性疾患を、溶媒和物または多形体を含有する有効量の薬学的組成物で、治療する方法を提供する。
【0029】
本発明の追加の態様は、胃腸運動を刺激する、および/または胃腸疾患を治療する方法であって、対象に、哺乳類GRLN受容体を刺激する、有効量のこれらの塩、溶媒和物、または多形を投与することを含む、方法をさらに提供する。
【0030】
本発明の態様は、本明細書において説明される疾患、特に、術後イレウス、糖尿病性および術後胃不全麻痺を含む胃不全麻痺、オピオイド誘発性腸管機能障害、慢性腸偽性閉塞症、短腸症候群、機能的胃腸疾患、救命救急状況において、または薬学的薬剤による治療の結果として、感染、神経疾患、神経筋状態、結合組織病、および内分泌もしくは代謝性障害を含む他の病状とともに生じるものといった胃腸運動障害、癌化学療法によって引き起こされるといった嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の運動低下期と関連するといった便秘、消耗状態と関連する胃排出遅延、胃食道逆流症(GERD)、胃潰瘍、クローン病、ならびに胃腸管の他の疾病および疾患を含む、胃腸疾患を予防および/または治療する方法にさらに関する。
【0031】
特定の実施形態において、胃腸疾患は、術後イレウス、胃不全麻痺、糖尿病性胃不全麻痺、術後胃不全麻痺、オピオイド誘発性腸管機能障害、慢性腸偽性閉塞症、急性結腸偽性閉塞症(オギルヴィー症候群)、短腸症候群、嘔吐、便秘優位型過敏性腸症候群(IBS)、慢性便秘、機能性消化不良、癌関連消化不良症候群、移植片対宿主病、胃食道逆流症(GERD)、胃潰瘍、クローン病、胃腸炎、神経性無食欲症および過食症を含む、摂食障害を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、パーキンソン病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、筋強直性筋ジストロフィを有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、自律神経変性を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脳卒中に罹患する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、多発性硬化症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、神経疾患、ならびにアミロイドニューロパシー、原発性自律神経障害、迷走神経損傷、および幽門狭窄症を含む疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、鬱病を含む精神病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、強皮症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、嚢胞性線維症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、およびアミロイド症を含む、結合組織病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、肝硬変を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、肝不全を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、腎不全を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、胆嚢疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、片頭痛を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、敗血症に伴う胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脳幹病変を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脊髄損傷を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、腹部癌、胆嚢癌、食道癌、胃癌、および膵臓癌を含む、癌を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、新生組織形成を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、放射線治療を受けた患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、アカラシアを有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、HIV、帯状疱疹感染、およびシャーガス病を含む、感染症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、手術の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、重症疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、救命救急を必要とする患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、心臓もしくは肺移植を含む、移植後の患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、ターナー症候群を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、オピオイド、抗コリン剤、ベータ遮断薬、カルシウムチャンネルアンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、アミリン受容体アゴニスト、ペプチドYY(PYY)受容体アゴニスト、プロテアソーム阻害剤、三環系抗鬱剤、モノアミン取込遮断薬抗鬱剤、癌化学療法剤、アドレナリンアゴニスト、ドーパミン作動薬、抗マラリア剤、鎮痙剤、カンナビノイドアゴニスト、オクトレオチド、レボドパ、アルコール、およびニコチンを含む、薬学的薬剤による治療の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、アジソン病、およびポルフィリン症を含む、内分泌障害の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、高血糖症、低カリウム血症、および低マグネシウム血症を含む、代謝性障害の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、麻酔の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、人工呼吸器の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、電解質平衡異常の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、重篤な外傷の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、または痛覚の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延である。
【0032】
本発明はまた、本明細書において説明される疾患の予防および/または治療のための薬剤の調製のために使用される、溶媒和物または多形体に関する。
【0033】
本発明のなお他の態様は、その使用のための任意の説明書とともにパッケージ化される、有効量の本発明の1つ以上の化合物を含む、薬学的用量単位を含有する、1つ以上の容器を含む、キットを提供する。
【0034】
本発明の前述および他の態様は、以下に記載される明細書において、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOへの合成経路を示す。
【図2】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOの単結晶X線構造を示す。
【図3】別の本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOの単結晶X線構造を示す。
【図4】別の本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・ΕtΟΗの単結晶X線構造を示す。
【図5】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOのH NMRスペクトルを示す。
【図6】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOの13C NMRスペクトルを示す。
【図7】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOの19F NMRスペクトルを示す。
【図8】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOのFT−IRスペクトルを示す。
【図9】本発明の代表的な多形体のX線粉末回折図(XRPD)を示す。
【図10】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOの示差走査熱量(DSC)サーモグラムを示す。
【図11】本発明の代表的な溶媒和物、化合物298・HCl・HOに関する、動的蒸気収着/脱着(DVS)実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、本発明の前述および他の態様を、本明細書に記載される実施形態に対してより詳細に説明する。当然のことながら、本発明は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態への制限と解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態を、本開示が十分であり、完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供する。
【0037】
本明細書における本発明の説明に使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的とし、本発明の制限を意図するものではない。本発明の説明および添付の請求項で使用される、単数形「1つの」、「ある」、および「その」は、内容が明確に示さない限り、複数形も含むことを意図する。加えて、本明細書において使用される、「および/または」という用語は、関連する記載される項目の1つもしくは複数の任意および全ての組み合わせを含み、「/」として省略され得る。
【0038】
別に定義されない限り、本明細書において使用される、全ての技術的および科学的用語は、本発明が所属する当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0039】
本明細書に挙げられる、全ての出版物、米国特許出願、米国特許および他の参考文献は、それらの全体として参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0040】
「安定した化合物」または「安定した構造」は、有用な純度への単離、および有効な治療薬剤への製剤化を耐えるのに十分堅牢である、化合物を指す。
【0041】
「アミノ酸」という用語は、当業者に既知である、一般的な天然(遺伝的にコード化された)、または合成アミノ酸、およびその誘導体を指す。アミノ酸に適用される時、「標準的」または「タンパク新生」は、それらの天然構成における、遺伝的にコード化された20個のアミノ酸を指す。同様に、アミノ酸に適用される時、「非天然」または「異常」は、Hunt,S.in Chemistry and Biochemistry of the Amino Acids,Barrett,G.C.,Ed.,Chapman and Hall: New York,1985、Kamphuis,J.;Meijer,E.M.;Boesten,W.H.;et al.Ann.Ν.■.Acad.Sci.1992,672,510−527、Kotha,S.Acc.Chem.Res.2003,36,342−351、Cardillo,G.;Gentilucci,L.;Tolomelli,A.Mini−Rev.Med.Chem.2006,6,293−304、Fotheringham,I.;Archer,I.;Carr,R.;Speight,R.;Turner,N.J.Biochem.Soc.Trans.2006,34,287−290による文献において説明されるものといった、幅広い非天然の、希少な、または合成アミノ酸を指す。
【0042】
アミノ酸に関して使用される略語、およびペプチドの指示は、J.Biol.Chem.1972,247,977−983におけるIUPAC−IUB生化学命名法委員会(Commission of Biochemical Nomenclature)の規則に従う。この文書は、更新されている:Biochem.J.1984,219,345−373、Eur.J.Biochem.1984,138,9−37;1985,152,1、Internat.J.Pept.Prot.Res.1984,24,following p 84、J.Biol.Chem.1985,260,14−42、Pure Appl.Chem.1984,56,595−624、Amino Acids and Peptides 1985,16,387−410、およびBiochemical Nomenclature and Related Documents,2nd edition,Portland Press,1992,pp 39−67。本規則の範囲は、JCBN/NC−IUB Newsletter 1985,1986,1989において公開された。Biochemical Nomenclature and Related Documents,2nd edition,Portland Press,1992,pp 68−69を参照されたい。
【0043】
「アゴニスト」という用語は、タンパク質、受容体、酵素等の内因性リガンドの効果のうちの少なくとも一部を複製する、化合物を指す。
【0044】
「有効量」または「有効な」という用語は、臨床試験、および評価、患者観察等を通じて留意される疾病もしくは疾患の症状の軽減を引き起こす用量、ならびに/または生物学的もしくは化学的活性の検出可能な変化を引き起こす用量を指示することが意図される。検出可能な変化は、関連機構またはプロセスに対して、当業者によって検出および/またはさらに定量化されてもよい。当該技術分野において一般的に理解されるように、用量は、投与経路、症状、および患者の体重、さらには投与されている化合物に依存して変動する。
【0045】
2つ以上の化合物の「組み合わせ」投与は、2つの化合物が、一方の存在が、他方の生物学的効果を変化させる、時間内で十分に近く問うよされることを意味する。2つの化合物は、同時に(併用して)、または逐次投与することができる。同時投与は、投与の前に化合物を混合することによって、または時間内の同じ時点であるが、異なる解剖学的部位に化合物を投与すること、もしくは異なる投与経路を使用することによって、実行することができる。「併用投与」、「組み合わせ投与」、「同時投与」、または「同時に投与」という句は、本明細書において使用される時、化合物が、時間内の同じ時点、または相互の直後に投与されることを意味する。後者の場合、2つの化合物は、観察される結果が、化合物が時間内の同じ時点で投与される時に達成されるものとは、区別不能である、十分に近い時間に投与される。
【0046】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、医薬としてのその使用または製剤化を可能にする、および特定された化合物の生物学的有効性を保持する、および生物学的に、もしくは他の面で望ましくないものではない、化合物の塩形態を意味することが意図される。一部のかかる塩は、Stahl,P.H.,Wermuth,C.G.,Eds.Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties,Selection and Use;VHCA and Wiley−VCH: Zurich,Switzerland,and Weinheim,Germany,2002において説明されている。
【0047】
「薬学的に活性な代謝産物」という用語は、特定された化合物の体内での代謝を通じて産生される、薬理学的に活性な生成物を意味することが意図される。
【0048】
「塩」という用語は、酸および塩基を接触させることから産生される、イオン化合物を意味することが意図される。塩は、固体形態である時、非晶質、結晶、または部分的に結晶であることが可能である。
【0049】
「溶媒和物」という用語は、結晶構造の一部として溶媒分子を含有する、特定された化合物の薬学的に許容可能な固体形態を意味することが意図される。溶媒和物は、典型的に、かかる化合物の生物学的有効性のうちの少なくとも一部を保持する。溶媒和物は、異なる溶解度、吸湿性、安定性、および他の特性を有することができる。溶媒和物の例としては、限定することなく、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた化合物が挙げられる。溶媒和物は、「偽多形」と称されることもある。
【0050】
「水和物」という用語は、水を含む溶媒和物を意味することが意図される。
【0051】
「エタノレート」という用語は、エタノールを含む溶媒和物を意味することが意図される。
【0052】
「多形」または「多形体」という用語は、ある材料の単結晶形態を意味することが意図される。結晶材料は、1つ以上の多形体を有してもよい。多形は、同じ化学組成を有するが、結晶格子構造において、分子の異なる配置または配座を有する。異なる多形は、異なる密度、融点、溶解度、および他の特性を含む、異なる物理的および化学的特性を有することができる。
【0053】
1.化合物
本明細書において開示される化合物は、不斉中心を有してもよい。本発明の化合物は、単一立体異性体、ラセミ化合物、ならびに/またはエナンチオマーおよび/もしくはジアステレオマーの混合物として存在してもよい。全てのかかる単一立体異性体、ラセミ化合物、およびその混合物は、本発明の範囲内であることが意図される。しかしながら、特定の実施形態において、本発明の化合物は、光学的に純粋な形態で使用される。「S」および「R」構成という用語は、本明細書において使用される時、IUPAC 1974 Recommendations for Section E,Fundamentals of Stereochemistry(Pure Appl.Chem.1976,45,13−30)によって定義されるとおりである。別途特定の配向に描写されない限り、本発明は、全ての立体異性体形態を説明する。
【0054】
当業者によって一般的に理解されるように、「光学的に純粋な」化合物は、単一のエナンチオマーのみを含有するものである。本明細書において使用される時、「光学的に活性な」という用語は、混合物が平面偏光を回転させるように、他方よりも少なくとも十分に過剰な1つのエナンチオマーを含む化合物を意味することが意図される。光学的に活性な化合物は、偏光面を回転させる能力を有する。他方よりも過剰な1つのエナンチオマーは、典型的に、鏡像体過剰率(e.e.)として表される。光学的に活性な化合物を説明する際、DおよびLまたはRおよびSという接頭語は、そのキラル中心(複数を含む)の周囲の分子の絶対配置を示すために使用される。「d」および「l」または(+)および(−)という接頭語は、化合物の旋光性(即ち、偏光面が、光学的に活性な化合物によって回転される方向)を示すために使用される。「l」または(−)という接頭語は、化合物が、左旋性であること(即ち、偏光面を左、または反時計回りに回転させる)を示し、一方で、「d」または(+)という接頭語は、化合物が、右旋性であること(即ち、偏光面を右、または時計回りに回転させる)を意味する。(−)および(+)という旋光性の記号は、分子の絶対配置、RおよびSに関係しない。
【0055】
所望の薬理学的特性を有する本発明の化合物は、光学的に活性であり、少なくとも90%(80%e.e.)、少なくとも95%(90%e.e.)、少なくとも97.5%(95%e.e.)、または少なくとも99%(98%e.e.)の単一の異性体から成ることができる。
【0056】
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形(polymoiph)は、これまでに知られている化合物と比較して、増加された安定性を示す。特に、種々の環境状態下での安定性は、潜在的に望ましくない副作用を有する分解性生物が形成されないこと、および薬学的組成物における活性物質の量が、時間または保管を経ても、有効量を下回って低減しないことを確実とすることができる。同様に、物質は、その物質を含有する薬学的組成物の調製に含まれる必要な処理の間、安定したままでなければならない。
【0057】
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、活性物質の増加された溶解度を示す。これは、例えば、注射または点滴のためといった、溶液中の薬学的組成物の調製の間、活性物質が、生理的に許容可能な溶媒中に十分に可溶性がなければならず、かつ時間および保管を経ても可溶性のままでなければならない場合、望ましい。同様に、経口製剤に関して、活性物質はまた、投与後の溶解速度が、活性物質の治療レベルが、血漿において達成されることを可能にするように、生理的流体中に十分に可溶性でなければならない。本発明の塩、溶媒和物、および/または多形(polymoiph)は、これらの能力を有することができる。
【0058】
経口投与のための薬学的組成物の調製に関して、活性物質の固体状態特性は、他の理由でも有益である。流動性は、薬学的組成物、典型的には、錠剤またはカプセルの製造および処理の間に、物質を取り扱うことができる、容易性に影響を及ぼすが、これはまた、シロップまたはエリキシルのような液体組成物の調製を可能にする。乏しい流動性は、典型的に、流動特性を改善するために、賦形剤の添加を必要とし、これは、薬学的組成物の複雑性およびコストを増加させる(Aleeva,G.N.;Zhuravleva,M.V.;Khafizyanova,R.K.Pharm.Chem.J.2009,43,230−234)。固体状態形態は、固体用量製剤に関する重要なパラメータである、活性物質の圧縮性にも影響を及ぼす。本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、これらの能力を有することができる。
【0059】
活性物質の吸湿性もまた、関心対象のパラメータである。水分を吸収する薬学的物質は、重量が増加し、それによって、活性な構成成分の相対含有量を低減させる。かかる物質は、かかる水分摂取を予防するように、一般的に特別に保管される。吸湿性はまた、製造の間の水分摂取が、処理および単離手順に技術的問題を引き起こす可能性があるため、活性物質、またはそれを含有する薬学的組成物の調製の間、困難をもたらす可能性がある。本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、低い吸湿性を呈することができる。
【0060】
2.合成方法
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形に使用される一般的な種類の大環状構造のための合成方法は、国際特許出願第WO 01/25257号、第WO 2004/111077号、第WO 2005/012331号、および第WO 2005/012332号において説明されている。化合物298およびその塩酸塩は、図1において概略されるように調製される(米国特許第7,476,653号および第7,491,164号、米国特許出願公開第2009/0198050号、および米国特許出願第12/351,395号)。本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、以降に説明される一般方法、ならびに実施例に提供されるものを使用して、調製することができる。
【0061】
方法2A.本発明の代表的な塩または溶媒和物の調製のための一般方法
以下の一般手順は、本発明の代表的な塩または溶媒和物を調製するために採用した。
(a)1当量(1.0当量)の大環状化合物を、その遊離塩基として、適切な容器に添加する。
(b)遊離塩基に、1.1当量の酸の水溶液を添加する。
(c)得られた混合物を、最長72時間撹拌する。
(d)混合物を加熱し、有機溶媒を添加する(滴下または水性容積に対する固定比率といった技術を使用して)。
(e)熱混合物を、室温までゆっくりと冷却し、任意に、4℃までさらに冷却する。
(f)沈殿した塩を濾過によって収集し、洗浄する。
【0062】
方法2B.本発明の代表的な多形の調製のための一般方法
以下の手順は、本発明の代表的な多形体を調製するために採用することができる。
(a)大環状化合物を、アルコールの溶液中に溶解して、溶液Aを形成する。
(b)酸を溶液Aに添加して、酸性化された溶液Aを形成し、次いで、これを、任意に冷却することができる。
(c)沈殿した塩を、酸性化された溶液Aから分離する。
(d)(c)からの沈殿した塩を、アルコールおよび水の熱混合物中に溶解し、溶液Bを形成する。
(e)溶液Bを冷却する。
(f)沈殿した塩を、溶液Bから分離する。
(g)(f)からの沈殿した塩を、ケトン溶媒および水の熱混合物中に溶解して、溶液Cを形成する。
(h)溶液Cを周囲温度以下まで冷却する。および
(i)沈殿した多形体を、溶液Cから分離する。
【0063】
本発明の塩もまた、遊離塩基の、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸等といった無機酸、またはギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸といったピラノシジル酸、乳酸、リンゴ酸、または酒石酸といったアルファヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸といったアミノ酸、安息香酸または桂皮酸といった芳香族酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシル−アミノスルホン酸等といったスルホン酸を含む、有機酸での処置を含む、当業者に既知の任意の好適な方法によって調製されてもよい。本発明の代表的な塩の調製は、実施例において提供される。
【0064】
本発明の塩は、それらが接触させられる、ある溶媒とともに溶媒和物を形成することができる。これらの溶媒は、典型的に、化合物の反応または精製に含まれるものである。代表的な本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、実施例において説明されるように調製される。
【0065】
3.薬学的組成物
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、種々の用量形態の薬学的組成物に製剤化されてもよい。本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、約75%、80%、85%、90%、95%、99%、または99.9%の量で、種々の用量形態に含まれてもよい。このため、薬学的組成物の特定の用量形態は、制御された、安定した、および/もしくは所望の量の本明細書において説明される化合物の塩形態、溶媒和物形態、または多形体を含んでもよい。一部の実施形態において、活性物質の最も熱力学的に安定した多形体は、用量形態に含まれる。
【0066】
本発明の薬学的組成物を調製するために、活性成分(複数を含む)としての1つ以上の塩、溶媒和物、または多形は、薬学的製剤の当業者に既知の技術に従って、適切な担体、賦形剤、および添加剤と緊密に混合される。
【0067】
かかる薬学的組成物に使用される担体および添加剤は、予想された投与形態に依存して、種々の形態を採ることができる。このため、経口投与のための組成物は、例えば、デンプン、糖、結合剤、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、崩壊剤等である、好適な担体および添加剤を含む、錠剤、糖衣錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒、粉末等といった固体調製物であってもよい。それらの使用の容易性、およびより高い患者コンプライアンスのため、錠剤およびカプセルは、多くの医学的状態に対して、最も有利な経口用量形態を表す。
【0068】
同様に、液体調製物のための組成物としては、水、アルコール、油、グリコール、防腐剤、香味剤、着色剤、懸濁化剤等である、好適な担体および添加剤を含む、溶液、エマルション、分散液、懸濁液、シロップ、エリキシル等が挙げられる。典型的な非経口投与のための調製物は、同様に含まれてもよい、溶解度または保存を補助するための他の添加剤とともに、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油、またはゴマ油を含む、滅菌水または非経口で許容可能な油といった担体とともに、活性成分を含む。溶液の場合、それは、粉末に凍結乾燥され、次いで、使用の直前に再構成することができる。分散液および懸濁液に関して、適切な担体および添加剤としては、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩、または油が挙げられる。
【0069】
本発明の実施形態による薬学的組成物は、経口、直腸、局所、吸入(例えば、エアロゾルを介した)、口腔(例えば、舌下)、膣内、局所(即ち、皮膚、および気道表面を含む粘膜表面の両方)、経皮投与、ならびに非経口投与または点滴(例えば、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜腔内、腹腔内、髄腔内、脳内、頭蓋内、動脈内、もしくは静脈内)に好適なものを含むが、任意の所与の例において、最も好適な経路は、治療されている状態の性質および重篤性、ならびに使用されている、特定の活性薬剤の性質に依存する。
【0070】
注射のための組成物は、プロピレングリコール−アルコール−水、等張水、注射用の滅菌水(WFI、USP)、emulPhor(登録商標)−アルコール−水、cremophor−EL(登録商標)、または当業者に既知の他の好適な担体を含む、好適な担体とともに、活性成分を含む。これらの担体は、単独で、またはエタノール、プロピレングリコール、もしくは当業者に既知の他の薬剤といった、他の従来の可溶化剤と組み合わせて、使用されてもよい。
【0071】
本発明の大環状化合物の溶媒和物、多形、および塩が、溶液、または注射の形態で適用される場合、本化合物は、任意の従来の希釈剤中に溶解または懸濁することによって使用されてもよい。希釈剤としては、例えば、生理的食塩水、リンガー溶液、グルコース水溶液、デキストロース水溶液、アルコール、脂肪酸エステル、グリセロール、グリコール、植物もしくは動物源に由来する油、パラフィン等が挙げられ得る。これらの調製物は、当業者に既知の任意の従来の方法に従って調製されてもよい。
【0072】
さらに、組成物の製剤化に必要な、構成成分との混和物において、活性成分(1つまたは複数)を含む、かかる薬学的組成物の調製において、他の従来の薬理学的に許容可能な添加剤、例えば、賦形剤、安定化剤、消毒剤、湿潤剤、乳化剤、潤滑剤、甘味剤、着色剤、香味剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤等が組み込まれてもよい。添加剤として、例えば、デンプン、スクロース、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、沈降炭酸カルシウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、アカシア、EDTA、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタ重亜硫酸ナトリウム等が挙げられ得る。
【0073】
一部の実施形態において、本組成物は、錠剤またはカプセルといった、単位用量形態において提供される。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、有効量の本発明の1つ以上の塩、溶媒和物、または多形を含む、薬学的用量単位を含む、1つ以上の容器を含む、キットを提供する。
【0075】
特定の実施形態において、本キットは、有効量の本発明の1つ以上の塩、溶媒和物、または多形を含む、薬学的用量単位を含む、バイアルまたは注射器を含有する。
【0076】
本発明は、本発明の溶媒和物、塩、および多形が、代謝性および/もしくは内分泌疾患、胃腸疾患、心臓血管疾患、肥満および肥満関連疾患、中枢神経系疾患、骨疾患、遺伝性疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、ならびに炎症性疾患を予防および/または治療するために使用される治療薬剤と組み合わせて、投与されてもよいということをさらに提供する。例示的な薬剤としては、鎮痛剤(オピオイド鎮痛剤を含む)、麻酔剤、抗真菌剤、抗生物質、抗炎症薬(非ステロイド系抗炎症剤を含む)、駆虫剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、降圧剤、抗精神病薬、抗関節炎薬、鎮咳薬、抗ウイルス剤、心臓作用薬、下剤、化学療法剤(例えば、DNA相互作用剤、代謝拮抗剤、チューブリン相互作用剤、ホルモン剤、およびアスパラギナーゼもしくはヒドロキシウレアといった薬剤)、コルチコイド(ステロイド)、抗鬱剤、抑制剤、利尿剤、催眠剤、ミネラル、栄養補給剤、副交感神経作用剤、ホルモン(例えば、コルチコトロピン放出ホルモン、アドレノコルチコトロピン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン、チロトロピン放出ホルモン、および甲状腺刺激ホルモン)、鎮静剤、スルホンアミド、刺激剤、交感神経様作用薬、精神安定剤、血管収縮剤、血管拡張剤、ビタミン、ならびにキサンチン誘導体が挙げられる。
【0077】
本発明により治療するのに好適な対象としては、鳥類および哺乳類対象が挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、哺乳類である。本発明の哺乳動物としては、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、齧歯類(例えば、ラットおよびマウス)、ウサギ、霊長類、ヒト等、ならびに子宮内哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明による治療を必要とするいかなる哺乳類対象も好適である。ヒト対象が好ましい。両方の性別、およびいかなる発達段階(即ち、新生児、乳児、幼若者、青少年、成人)のヒト対象を、本発明により治療することができる。
【0078】
本発明による例解的な鳥類としては、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、キジ、走鳥類(例えば、ダチョウ)、および家禽(例えば、オウムおよびカナリア)、ならびに卵内鳥類が挙げられる。
【0079】
本発明は、主に、ヒト対象の治療に関連するが、本発明はまた、動物対象、特に、獣医学目的のための、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、およびウマといった、哺乳類対象において実行することができる。
【0080】
グレリン受容体のアゴニストが有効である、哺乳動物(即ち、ヒトまたは動物)における、状態の治療のための治療用途において、本発明の溶媒和物、塩、もしくは多形、またはその適切な薬学的組成物は、有効量において投与されてもよい。材料の活性、および治療効果の程度は変動するため、投与される実際の用量は、年齢、対象の状態、送達経路、および対象の体重といった、一般的に認識される要因に基づいて判断される。用量は、約0.1から約100mg/kgで、1日あたり1〜4回経口投与することができる。加えて、適切な薬学的組成物における、溶媒和物、塩、または多形は、用量あたり約0.01〜20mg/kgで、1日あたり1〜4回の投与で、注射によって投与することができる。治療は、数週、数ヶ月、またはそれ以上継続し得る。このため、治療は、急性または慢性である可能性がある。特定の状況に対する、最適な用量の判定は、当業者の能力内である。
【0081】
方法3A.本発明の代表的な薬学的組成物の調製のための一般方法
以下の手順は、本発明の塩、溶媒和物、または多形を含有する、代表的な製剤を調製するために使用することができる。
(a)等張化剤、例えば、食塩水溶液、または水中の5%デキストロースを、注射のために、水といった溶媒中に溶解して、新しい溶液Dを形成する。
(b)酢酸といった酸を添加して、酸性化された溶液Dを形成する。
(c)塩、溶媒和物、または多形を、酸性化された溶液D中に溶解して、溶液Eを形成する。
(d)溶液EのpHを、塩基、例えば、水酸化ナトリウムの添加によって調整して、溶液Fを形成する。および
(e)溶液Fを、溶媒で、有効濃度まで希釈する。
【0082】
本発明のある代表的な薬学的組成物を、実施例において提示する。
【0083】
4.分析的方法
本発明の溶媒和物、塩、および多形の同一性、ならびに特性化は、一連の十分に確立された分析的および物理化学的技術を利用して行うことができる。場合によっては、これらの技術に関する特定の方法が、本発明の溶媒和物、塩、および多形のために開発された。ある標準的な分析方法は、医薬品、用量形態、薬物物質、賦形剤、医療デバイス、および栄養補助食品に関する基準を含む、公的な薬局方の基準の本である、米国薬局方国民医薬品集(United States Pharmacopeia−National Formulary:USP−NF)において提供される。かかる方法は、USP<#>によって示され、#は、USP−NFにおける該当する章番号を示す。
【0084】
結晶固体形態についての構造情報を提供するための、単結晶X線回折の使用に加え、多くの異なる分析的技術が、非晶質および結晶形態、ならびに結晶および多形体を定量化し、差別化するように開発されている(Bugay,D.E.Adv.Drug Deliv.Rev.2001,48,43−65、Shah,B.;Kakumanu,K.;Bansal,A.K.J.Pharm.Sci.2006,95,1641−1665)。これらには、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析、示差走査熱量(DSC)、溶液マイクロ熱量測定、等温微量熱量測定(IMC)、ラマン分光法、近赤外分光法(NIR)、拡散反射赤外(IR)分光法、減衰反射分光法、固体状態核磁気共鳴(NMR)、動的蒸気収着(DVS)、テラヘルツパルス分光法(TPS)、熱刺激電流分光法(TSC)、動的機械分析(DMA)、および逆ガスクロマトグラフィ(IGC)が含まれる。
【0085】
異なる多形体は、それらの熱挙動によって区別することができ、融点、熱重量分析(TGA)、およびDSCといった、方法を使用して、別個に特性化することができる。特定の多形体は、XRPD、固体状態13C NMR分析測定、およびIR分光法といった、技術を使用して検出することかできる、異なる分光学的特性を有する。
【0086】
活性な薬学的成分(API)、または薬学的組成物の安定性を判定するために、日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use:ICH)Q1Aガイドライン:安定性試験ガイドライン(Stability Testing of New Drug Substances and Products)(2003年2月)において、規制目的で概略される手法に従うことができる。要約すると、これは、少しでも効力の劣化または損失が生じたかどうかを確認するように、3つの代表的な制御された状態で保存される試料における、ある分析的試験の繰り返しを必要とする。採用される典型的な状態は、(1)25℃±2℃、60%±5% 相対湿度(RH)、(2)30℃±2℃、65%±5% RH、(3)40℃±2℃、75%±5% RH(しばしば加速安定性と称される)である。日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use:ICH)Q1Bガイドライン:新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン(Stability Testing: Photostability Testing of New Drug Substances and Products)(1996年11月)において概略される光安定性もまた、典型的に調査される。
【0087】
以下の一般方法は、本発明の塩、溶媒和物、または多形を特性化するために採用することができる。
【0088】
方法4A.外観
試料を視覚的に検査し、物理的状態および色を報告する。
【0089】
方法4B.HPLCアッセイ−純度、不純物、および効力
この手順の目的は、逆相HPLCによって、代表的な本発明の塩、溶媒和物、および/または多形の純度を判定することである。単一または二波長紫外線(UV)検出、蒸発光散乱検出(ELSD)、または化学発光窒素検出(CLND)といった、HPLCと適合性がある、任意の適切な検出方法を利用することができる。ほとんどの場合、UV検出が好ましい。純度は、ピーク面積%によって判定することができる。同じアッセイ条件が、不純物のレベルおよび効力を判断するために使用される。このHPLCアッセイに関するパラメータを、以下に記述する。
移動相A:10mM 水中の水酸化アンモニウム
1.8mLの水酸化アンモニウム(21%)を、2Lの水に添加し、完全に混合させる。HPLCシステムによって必要とされる場合、溶媒は、オンライン脱ガス器またはHe散布といった、適切な方法によって脱ガスすることができる。
移動相B:10mM アセトニトリル中の水酸化アンモニウム
1.8mLの水酸化アンモニウム(21%)を、2Lのアセトニトリルに添加し、完全に混合させる。HPLCシステムによって必要とされる場合、溶媒は、オンライン脱ガス器またはHe散布といった、適切な方法によって脱ガスすることができる。
希釈剤:水/アセトニトリル(1/1、v/v)
500mLのアセトニトリルおよび500mLの水を、適切な容器に添加し、完全に混合させる。この希釈剤はまた、典型的に、ブランク試料調製のために使用される。
典型的なクロマトグラフ条件
【表1】

勾配
【表2】

ブランク調製:
水/アセトニトリル(1/1)をブランクとして使用する。
試料調製
約25mgの試料を計量し、水/アセトニトリル(1/1)(または0.5mg/mLの濃度を提供するように、適切な溶液)で50.0mLに溶解/希釈する。
標準調製物
既知の化合物に関する同一性を確認し、効力を判定するために、適切な量の標準試料を50mL容量フラスコに計量する。水/アセトニトリル(1/1)(または他の適切な溶媒)中に溶解し、容積まで希釈し、完全に混合させる。異なる濃度の試料は、標準試料のうちの特定の容積量の正確な希釈によって調製することができる。かかる試料はまた、系の好適性の確認のために使用することができる。
試料分析手順
・クロマトグラフシステムを平衡化する。
・ブランクを注射し、関心対象のピークの予想された保持時間で、著しい干渉がないことを確認する。
・標準物(または分析に必要とされる際、一連の標準物)を注射する。
・各試料調製物を一度注射する。
・複数の試料の分析の間に、適切な標準試料を挿入する。
・定量限界(0.05%)に等しい、またはそれを上回る、試料注射における全てのピークの面積反応%を測定する。
代替的なクロマトグラフ条件
【表3】

勾配
【表4】

【0090】
方法4C.UV−可視分光法による分析
紫外線スペクトルは、本発明の塩、溶媒和物、または多形の適切な溶液に関して、Ultrospec 2100 Pro UV/Vis分光光度計(もしくは同様のもの)を使用して取得することができる。
【0091】
方法4D.H NMR、13C NMR、および19F NMRによる同一性の分析
H、13C、および19F NMRスペクトルを、Varian Mercury VX−300MHz分光計、Bruker Avance 300MHz分光計、またはBruker Avance 500MHz分光計(もしくは同様のもの)を使用して、USP<761>に従って記録する。スペクトルを、典型的に、構造に関して、標準物と、試料の一貫性に関して分析した。
【0092】
方法4E.フーリエ変換赤外(FT−IR)による分析
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形のフーリエ変換赤外(FT−IR)吸収スペクトルは、適切な溶液において、または臭化カリウム(KBr)ペレットとして、Perkin Elmer 1600 FT−IR分光計(もしくは同様のもの)を使用して取得することができる。
【0093】
方法4F.塩化物イオンの判定
試料を、アセトニトリル:水(1:1)中に溶解し、次いで、水および6N 硝酸で希釈する。次いで、塩化物イオンの定量化を、硝酸銀溶液を使用した電位差滴定によって、判定する。
【0094】
酸素燃焼、続いて電位差滴定を使用した、代替的な方法を採用することができる。
【0095】
方法4G.水分レベルの判定
水分レベルは、USP<921 1a>に従って、直接滴定方法を使用する、カール・フィッシャー滴定法によって判定する。
【0096】
方法4H.強熱残分
強熱残分は、USP<281>に従って、硫酸灰分試験によって判定する。
【0097】
方法4I.内毒素レベルの判定
内毒素レベルは、USP<85>に従って、ゲルクロット法を使用して測定する。
【0098】
方法4J.生物負荷の判定
生物負荷は、USP<61>に従って、総細菌数、ならびに総酵母および菌数によって評価する。
【0099】
方法4K.X線粉末回折(XRPD)分析
本発明の塩および溶媒和物の結晶性および多形体の評価に関して、XRPDを、周囲状態(22℃±3℃)下で動作する、広角粉末X線回折計(Siemens D5005、Shimadzu Model XRD−6000もしくは同様のもの)において実行することができる。これは、典型的に、0.05°2θの増分で、5から40°2θのステップ走査モードにおいて実施され、計数は、各ステップにおいて1秒間蓄積された。粉砕された粉末試料または他の適切に調製された試料は、アルミニウムホルダにトップフィルし、Cu Kα放射線に曝露することができる。
【0100】
方法4L.示差走査熱量測定(DSC)特性化
DSC分析は、TA Instruments Q1000モデル、またはMettler Toledo モデル822e装置(もしくは同様のもの)を使用することによって、実行することができる。DSC装置は、典型的に、融点温度および融解エンタルピーに関する参照として、インジウム金属を使用して、較正される。DSCスペクトルは、密閉されたアルミニウム試料パンを使用して、窒素下で取得される。試料は、典型的に、いかなる粉砕も適用することなく、「現状のままの」形態において使用された。
【0101】
方法4M.吸湿性分析
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形の吸湿性は、静的および動的吸湿性研究の両方によって評価することができる。後者に関して、動的蒸気収着/脱着(DVS)実験は、SGA−100重量吸着分析器(もしくは同様のもの)上で実施することができる。実験プロトコルには、典型的に、0%RHでの全重量平衡を含めた。
【0102】
方法4N:X線結晶学
典型的な実験において、1つの単結晶を、角度計上のガラス繊維を使用して、載置した。データは、別途記載がない限り、293±2Kでのω/2シータ走査を使用して、Enraf−Nonius CAD−4自動回折計(もしくは同様のもの)上で収集した。センタリング、インデキシング、およびデータ収集のために、DIFRACプログラム(Flack,H.D.;Blanc,E.;Schwarzenbach,D.J.Appl.Cryst,1992,25,455−459)を使用した。2つの標準反射を、100反射毎に測定し、いかなる観察可能な強度減衰も、データ収集の間に観察し、個々の構造について記載する。データは、psi走査に基づく、経験的方法によって、吸収に関して収集され、NRCVAXプログラムで低減させた(Gabe,E.J.;Le Page,Y.;Charland,J.−P.;Lee,F.L.;White,P.S.J.Appl.Cryst.1989,22,384−387)。それらを、SHELXL−9を使用して解き、SHELXL−97を用いて、F上で全マトリクス最小二乗法によって精緻化した(Release 97−2;Sheldrick,G.M.Acta Cryst.2008,A64,112−122)。非水素原子を、異方的に精緻化した。水素原子s were placed at 理想化した計算された幾何学的位置に配置し、ライディングモデルを使用して、等方的に精緻化した。最終絶対構造は、別途記載がない限り、異常分散効果によって割り当てた(Flack,H.D.Acta Cryst.A 1983,39,876−881)。
【0103】
表1は、本発明の代表的な溶媒和物を特性化するために、どのようにこれらの方法を使用することができるかに関する例を提供する。
【表5】

【0104】
示された標的結果は、しばしば、典型的に、規制プロセスを通じて、活性成分の進行の間、よりストリンジェントな限界まで修正される。
【0105】
他の分析的方法を、本発明の薬学的組成物の特性化のために最小することができる。
【0106】
方法4O.薬学的組成物の外観
きれいな白色の紙に対して、薬学的組成物の目視検査を実施し、具体的に見えるいかなる粒子状物質も含む、観察を記録する。
【0107】
方法4P.同一性、不純物、および効力に関するHPLC分析
単一のHPLC方法を、3つ全ての判定のために使用することができる。同じアッセイを、種々の保管状態で、経時的な薬学的組成物の安定性を確認するために採用することができる。
手順
クロマトグラフ標準および試料調製物を、試料調製物の4つの注射毎に、標準ブラケティングが、使用される順序で、注射される。各試料調製物を、単回注射で注射する。遊離塩基(%)としての効力を以下に示す。同様に、観察される、任意の既知および不明な不純物/関連物質の面積(%)は、(任意の不明な不純物の相対保持時間とともに)以下に示されるように計算することができる。
クロマトグラフ条件
【表6】

勾配
【表7】

移動相A調製物
各3Lの移動相に関して、2.25mLの25% 水酸化アンモニウムを、3000mLの高純度水にピペットで取り、よく混合させる。
移動相B調製物
各3リットルの移動相に関して、2.25mLの25% 水酸化アンモニウムを、3000mLのアセトニトリルにピペットで取り、よく混合させる。
希釈剤調製物
調製した各リットルに関して、500mLの高純度水と、500mLのアセトニトリルとを合わせ、よく混合させる。
標準調製物
ある量の固体参照標準物を正確に計量し、容量フラスコに移す。希釈剤で容積まで希釈し、よく混合させる。標準調製物は、典型的に、5℃または室温で、光から保護されずに保存される時、少なくとも7日間安定している。
試料調製物
試料を、希釈剤で、0.5mg/mLといった、以前に確立された作用濃度まで希釈する。したがって、2mg/mLの表示値の試料溶液に関して、1.0mLの試料、および3.0mLの希釈剤を、バイアルにピペットで取り、よく混合させる。試料を2通り調製する。各試料を1度注射する。
計算
以下の計算は、2mg/mLで製剤化される、薬学的組成物を指す。
【数1】

・PFは、薬学的組成物に割り当てられる効力係数である。値は、参照標準物における遊離塩基含有量に基づき、十進形態で報告される。
・平均STDピーク面積は、分析全体にわたる、全ての標準物の平均である。
・DFは、試料に適用される希釈係数である。2mg/mL製剤に関して、希釈係数は、試料が、0.5mg/mlの最終濃度に到達するように、1:4で希釈されるため、4である。
・化合物の%は、mg/mLで報告される理論的濃度であり、典型的には、遊離塩基の%である。
不純物(%)(面積(%))=値は、総ピーク面積に対する、各ピークに関して、クロマトグラフシステムによって計算される。面積%>0.05%(LOQ)のピークのみを、積分する。
%総関連物質=同定されていない不純物の合計+同定された不純物の合計
溶媒先端、希釈剤関連ピークは、計算には考慮されないということに留意されたい。
同定試験:試料調製物における化合物の保持時間は、参照標準調製物におけるものと同じである(許容差±5%)。
【0108】
方法4Q.pH判定
試料のpHは、USP<791>pH判定(pH Determination)に従って判定することができる。
【0109】
方法4R.重量モル浸透圧濃度判定
試料の重量モル浸透圧濃度は、USP<785>重量モル浸透圧濃度および容積モル浸透圧濃度(Osmolality and Osmolarity)に従って判定することができる。
【0110】
方法4S.粒子状物質アッセイ
粒子状物質は、光遮蔽粒子計数試験を使用して、USP<788>注射における粒子状物質(Particulate Matter in Injections)において指示されるように特性化することができる。
【0111】
方法4T.内毒素アッセイ
試料は、ゲルクロット方法を使用して、USP<85>細菌内毒素試験(Bacterial Endotoxins Test)において指示されるように分析することができる。
【0112】
方法4U.滅菌性アッセイ
滅菌性に関して、試料は、USP<71>滅菌性試験(Sterility Tests)において指示されるように試験することができる。
【0113】
本発明の代表的な薬学的組成物を特性化するためのこれらの方法の使用は、実施例において提供される。
【0114】
5.生物学的方法
ヒト(GRLN、GHS−R1a)、ブタ、およびラットグレリン受容体(米国特許第6,242,199号、国際特許出願第WO 97/21730号、および第97/22004号)、さらに、イヌグレリン受容体(米国特許第6,645,726号)に関する、特定のアッセイ方法、ならびにそのアゴニストおよびアンタゴニストを一般的に同定する際のそれらの使用は、既知である。
【0115】
ヒトグレリン受容体(GRLN)で相互作用する、本発明の溶媒和物、塩、および多形の機能的および体内活性を判定するための適切な方法もまた、既知である。例えば、拮抗的放射性リガンド結合アッセイ、蛍光アッセイ、またはエクオリン機能的アッセイを採用することができる(米国特許第7,452,862号、第7,476,653号、第7,491,695号、および米国特許出願公開第2008/051383号、第2008/194672号を参照されたい)。加えて、当該技術分野において確立された方法を、薬物動態といった、薬学的薬剤としての好適性を判定するために重要な他のパラメータを判定するために使用することができる。
【0116】
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形、ならびにそれらの薬学的組成物の薬物動態挙動は、当業者に公知の方法によって確認することができ、これらの物質の静脈内、皮下、および経口投与に関する、薬物動態パラメータ(排出半減期、総血漿クリアランス等)を調査するために使用することができる(Wilkinson,G.R.“Pharmacokinetics: The Dynamics of Drug Absorption,Distribution,and Elimination” in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition,Hardman,J.G.;Limbird,L.E.,Eds.,McGraw Hill,Columbus,OH,2001,Chapter 1)。米国特許第7,476,653号、第7,491,695号、および米国特許出願公開第2008/0194672号も参照されたい。本発明の代表的な薬学的組成物に関するこれらのパラメータの判定は、実施例において提示される。
【0117】
6.使用方法
本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、代謝性および/もしくは内分泌疾患、胃腸疾患、心臓血管疾患、肥満および肥満関連疾患、中枢神経系疾患、骨疾患、遺伝性疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、炎症性疾患、ならびに疾患が、複数の基礎疾患の結果である可能性がある場合のそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な医学的状態の予防および治療のために使用することができる。特定の実施形態において、疾病または疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、非潰瘍性消化不良、クローン病、胃食道逆流疾患、他の病状とともに生じる胃腸運動障害、便秘、潰瘍性大腸炎、膵炎、乳児肥厚性幽門狭窄症、カルチノイド症候群、吸収不良症候群、萎縮性大腸炎、胃炎、胃内容鬱滞、胃腸ダンピング症候群、胃切除後症候群、セリアック病、摂食障害、または肥満である。他の実施形態において、疾病または疾患は、鬱血性心不全、虚血性心疾患、または慢性心疾患である。なお他の実施形態において、疾病または疾患は、骨粗鬆症および/もしくは衰弱、骨折修復の加速、代謝性症候群、減衰するタンパク質異化反応、悪液質、タンパク質損失、創傷治癒の低下もしくは低下のリスク、熱傷からの回復の低下もしくは低下のリスク、手術からの回復の低下もしくは低下のリスク、筋力の低下もしくは低下のリスク、運動性の低下もしくは低下のリスク、皮膚の厚みの変化もしくは変化のリスク、代謝性ホメオスタシスの低下もしくは低下のリスク、または腎臓ホメオスタシスの低下もしくは低下のリスクである。他の実施形態において、疾病または疾患は、新生児発育の促進、ヒトにおける成長ホルモン放出の刺激、ヒトにおける筋力および機能の維持、ヒトにおける衰弱の逆転もしくは予防、グルココルチコイドの異化副作用の予防、骨粗鬆症の治療、筋肉量および筋力の刺激および増加、免疫系の刺激、創傷治癒の加速、骨折修復の加速、成長遅延をもたらす腎不全もしくは機能障害の治療、低身長の治療、肥満および成長遅延の治療、熱傷患者の回復の加速および入院期間の低減、子宮内成長遅延の治療、骨異形成症の治療、副腎皮質機能亢進症の治療、クッシング症候群の治療、拍動性成長ホルモン放出の誘発、ストレスを受けた患者における成長ホルモンの補充、骨軟骨異形成症の治療、ヌーナン症候群の治療、統合失調症の治療、鬱病の治療、アルツハイマー病の治療、嘔吐の治療、記憶喪失の治療、生殖疾患の治療、創傷治癒遅延の治療、心理社会的剥奪の治療、肺機能障害の治療、人工呼吸器依存性の治療、タンパク質異化反応の減衰、悪液質およびタンパク質損失の低減、高インスリン血症の治療、排卵誘発のためのアジュバント治療、胸腺発達の刺激、胸腺機能減退の予防、免疫抑制患者の治療、筋肉運動性の改善、皮膚の厚さの維持、代謝性ホメオスタシス、腎臓ホメオスタシス、骨芽細胞の刺激、骨再形成の刺激、軟骨成長の刺激、コンパニオンアニマルにおける免疫系の刺激、コンパニオンアニマルにおける老化疾患の治療、家畜における成長促進、および/またはヒツジにおける羊毛成長の刺激を含む。なお他の実施形態は、脊髄損傷および放射線と組み合わさった損傷といった、アポトーシスによって特徴付けられる疾患のための治療の方法を提供する。他の実施形態は、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、クローン病、膵炎、関節リウマチ、変形性関節炎、喘息、血管炎、乾癬、アレルギー性鼻炎、消化性潰瘍疾病、術後腹腔内敗血症、虚血再灌流障害、膵臓および肝臓障害、敗血症および敗血性ショック、ある薬物によって引き起こされる胃損傷、ストレス誘発性胃損傷、ヘリコバクター・ピロリ菌、炎症性痛覚、慢性腎臓疾病、および腸炎によって引き起こされる胃損傷を含む、炎症性疾患の治療の方法を提供する。
【0118】
本発明のさらなる態様によると、それらに罹患するヒトもしくは動物患者における、術後イレウス、1型もしくは2型糖尿病に起因するものといった胃不全麻痺、他の胃腸疾患、癌、AIDS、心臓疾病、および腎臓病によって引き起こされるものといった悪液質(消耗症候群)、成長ホルモン欠乏、骨減少、ならびに他の老化関連疾患の治療のための方法が提供され、本方法は、前記患者に、グレリン受容体を刺激する能力を有する、本明細書において開示される溶媒和物、塩、および多形より選択される、有効量の少なくとも1つの要員を投与することを含む。本明細書において開示される化合物によって治療される、他の疾病および疾患としては、短腸症候群、胃腸ダンピング症候群、胃切除後症候群、セリアック病、ならびに腫瘍、癌、および腫瘍性疾患といった過剰増殖性疾患、さらに、前癌性および非腫瘍性もしくは非悪性過剰増殖性疾患が挙げられる。具体的に、本発明によって治療することができる腫瘍、癌、および腫瘍性組織としては、乳癌、骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫、および他の肉腫、白血病、リンパ腫、洞腫瘍、卵巣、尿管、膀胱、前立腺、および他の泌尿生殖器癌、結腸、食道、および胃癌、および他の胃腸癌、肺癌、骨髄腫、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、内分泌癌、皮膚癌といった、悪性疾患、ならびに神経膠腫および神経芽腫を含む、悪性もしくは良性の、脳もしくは中枢および末梢神経(CNS)系腫瘍が挙げられるがこれらに限定されない。
【0119】
特定の実施形態において、本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、術後イレウスを治療するために使用することができる。他の実施形態において、本発明の塩、溶媒和物、および/または多形は、胃不全麻痺を治療するために使用することができる。なお他の実施形態において、本発明の溶媒和物、塩、および多形は、糖尿病性胃不全麻痺または術後胃不全麻痺を治療するために使用することができる。別の実施形態において、本発明の溶媒和物、塩、および多形は、オピオイド誘発性腸管機能障害を治療するために使用することができる。
【0120】
特定の実施形態において、本発明の塩、溶媒和物、および多形は、術後イレウス、胃不全麻痺、糖尿病性胃不全麻痺、術後胃不全麻痺、オピオイド誘発性腸管機能障害、慢性腸偽性閉塞症、急性結腸偽性閉塞症(オギルヴィー症候群)、短腸症候群、嘔吐、便秘優位型過敏性腸症候群(IBS)、慢性便秘、機能性消化不良、癌関連消化不良症候群、移植片対宿主病、胃食道逆流症(GERD)、胃潰瘍、クローン病、胃腸炎、神経性無食欲症および過食症を含む、摂食障害を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、パーキンソン病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、筋強直性筋ジストロフィを有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、自律神経変性を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脳卒中に罹患する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、多発性硬化症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、神経疾患、ならびにアミロイドニューロパシー、原発性自律神経障害、迷走神経損傷、および幽門狭窄症を含む疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、鬱病を含む精神病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、強皮症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、嚢胞性線維症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、およびアミロイド症を含む、結合組織病を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、肝硬変を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、肝不全を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、腎不全を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、胆嚢疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、片頭痛を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、敗血症に伴う胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脳幹病変を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、脊髄損傷を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、腹部癌、胆嚢癌、食道癌、胃癌、および膵臓癌を含む、癌を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、新生組織形成を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、放射線治療を受けた患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、アカラシアを有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、HIV、帯状疱疹感染、およびシャーガス病を含む、感染症を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、手術の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、重症疾患を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、救命救急を必要とする患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、心臓もしくは肺移植を含む、移植後の患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、ターナー症候群を有する患者における、胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、オピオイド、抗コリン剤、ベータ遮断薬、カルシウムチャンネルアンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、アミリン受容体アゴニスト、ペプチドYY(PYY)受容体アゴニスト、プロテアソーム阻害剤、三環系抗鬱剤、モノアミン取込遮断薬抗鬱剤、癌化学療法剤、アドレナリンアゴニスト、ドーパミン作動薬、抗マラリア剤、鎮痙剤、カンナビノイドアゴニスト、オクトレオチド、レボドパ、アルコール、およびニコチンを含む、薬学的薬剤による治療の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症(hypethryroidism)、アジソン病、およびポルフィリン症を含む、内分泌障害の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、高血糖症、低カリウム血症、および低マグネシウム血症を含む、代謝性障害の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、麻酔の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、人工呼吸器の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、電解質平衡異常の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、重篤な外傷の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、または痛覚の結果としての胃腸機能障害もしくは胃排出遅延を治療するために使用することができる。
【0121】
本発明は、治療有効量の本発明の塩、溶媒和物、または多形を投与することを含む、胃腸疾患に対して、ウマまたはイヌを治療する方法をさらに提供する。一部の実施形態において、胃腸疾患は、イレウスまたは疝痛である。
【0122】
本明細書において使用される時、「治療」は、必ずしも、それらに関連する疾患もしくは症状の療養または完全な根絶を示唆することを意味しない。
【0123】
本発明の塩、溶媒和物、または塩は、胃腸疾患、代謝性および/または内分泌疾患、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、肥満および肥満関連疾患、遺伝性疾患、骨疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、ならびに炎症性疾患を含むが、これらに限定されない、様々な医学的状態の治療のための、薬学的組成物または薬剤の調製のためにさらに利用することができる。
【0124】
ここで、本発明のさらなる実施形態を、以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、本発明の実施形態を例解する目的のものであり、本発明の範囲を制限しないということを理解されたい。
【実施例】
【0125】
実施例1
結晶化による、化合物298・ΗCl・ΗOの調製
調製物A
非晶質化合物298・HC1(1.0g)を、完全に溶解するまで、滴下添加される高温のHOおよびメチルエチルケトン(MEK)(4:1)中に懸濁した。次いで、4℃で終夜(O/N)静置させる前に、油浴(90℃→25℃)を使用して、溶液をゆっくりと室温まで冷却した。化合物298・ΗCl・ΗOの得られた結晶を、濾過によって収集し、空気中で終夜乾燥させた。収率:82%.
【0126】
調製物B
非晶質化合物298・ΗCl(3.0g)を、40mLの高温のHO/MEK(3:1)中に溶解した。溶液を、油浴(90℃→25℃)を使用してゆっくりと室温まで冷却し、次いで、4℃で終夜静置した。得られた結晶を、濾過し、次いで、空気中で24時間乾燥させた。調製物Aにおいて形成された化合物298・ΗCl・ΗOの結晶について、X線構造に関して同じ単位格子が得られた。
【0127】
40mLの高温のHO/iPrOH(3:1)からの結晶化を実行することによって、同様の結果が得られた。
【0128】
調製物C
O/MEK(8:2、100mL)中の化合物298・ΗCl・EtOH(10g、16.1mmol)の懸濁液を、還流で撹拌し、完全に溶解するまで、MEKをゆっくりと添加した。混合物をゆっくりと室温まで冷却し、次いで、室温で10時間放置した。結晶を、濾過によって収集し、冷水(1×10mL)で洗浄した。固体を、空気中で終夜(16〜18時間)乾燥させて、大きな白色結晶として、化合物298・ΗCl・ΗOを得た(約80%の収率)。
【0129】
調製物D
MEK(0.5mL)中の化合物298遊離塩基(100mg、0.18mmol、1.0当量)の溶液に、8mLのガラスバイアル中の濃縮HCl(23μL、0.27mmol、1.5当量)をゆっくりと添加した。溶液を、室温で10分撹拌し、その間に、沈殿が生じ、次いで、0.5mLの水を添加し、沈殿物の完全な溶解をもたらした。溶液を、窒素雰囲気下で0.5mLまで濃縮し、0.5mLの水を添加した。沈殿が生じた。懸濁液を加熱して還流させ、完全に溶解するまで、MEKを滴下添加した。溶液を、油浴(90℃→室温)において、ゆっくりと室温まで冷却した。冷却すると、結晶化が生じた。バイアルを、約5℃で終夜静置した。結晶を、濾過によって収集し、冷水(1×0.5mL)で洗浄した。結晶を、高真空下で、50℃で乾燥させ、白色結晶として、化合物298・HCl・HOを得た(70mg、70%)。
【0130】
調製物E
115mLの絶対EtOH中の化合物298(38.0g、70.6mmol)の溶液に、EtOH中の1.25M HCl(113mL、141mmol、Fluka)を添加した。混合物を、室温で15分間、次いで、0℃で30分間撹拌した。沈殿した固体を、依然として低温のままで濾過によって収集し、次いで、低温のEtOH(2×100mL)で洗浄した。固体を、終夜真空で乾燥させ、白色固体として、26.1g(64%)の化合物298・HCl・EtOHを得た。これを、210mLのEtOH/HO(85:15)中に溶解し、75℃まで加熱した。溶液を、室温まで冷却し、次いで、−20℃で終夜静置した。形成された結晶を収集し、絶対EtOH(1×100mL)で洗浄し、次いで、真空で乾燥させて、25.7g(99%)の白色結晶固体を得た。これを、同様に調製された3.3gの同一の材料(HPLCおよびMSによる)と合わせ、合わせた固体を、EtOH/HO(3:1、125mL)中に溶解し、75℃まで加熱し、依然として高温のまま濾過し、濾液を、室温まで冷却し、次いで、−20℃で終夜静置した。結晶化された材料を収集し、EtOH(1x)で洗浄し、真空で乾燥させて、24.4gが残った。これに、iPrOH/HO(7:3、180mL)を添加し、溶解するまで、混合物を、85℃まで加熱した。溶液を、室温まで冷却し、次いで、−20℃で静置した。ゴム状固体を分離し、そこから、溶媒を傾瀉し、残渣をアセトンで処理した。形成された固体を収集し、アセトンですすぎ、真空で乾燥させて、19.0gを得た。この材料を同様に、MEK/HO(15:85、147mL)中に溶解し、95℃まで加熱した。溶解すると、加熱を停止し、溶液を、室温まで冷却し、次いで、2℃で終夜静置した。固体を収集し、低温のHO(2x)で洗浄し、真空で乾燥させて、14.5gの結晶材料を得た。この固体のうちのほとんど(13.0g)を、73mLのHO中に懸濁し、95℃まで加熱し(油浴)、次いで、完全に溶解するまで、MEKを滴下添加した(16mL)。溶液をゆっくりと(5℃/時間)室温まで冷却し、終夜放置した。沈殿した固体を収集し、HO(2x)で洗浄して、11.6gの白色結晶が残った。この固体を、95℃(油浴)のMEK/HO(1:4、65mL)中に溶解した。溶液をゆっくりと(5℃/時間)室温まで冷却した。形成された結晶を収集し、MEK/HO(1:4、2×25mL)、HO(1×25mL)で洗浄し、次いで、空気中で終夜乾燥させて、白色結晶固体として、化合物298・HCl・HO(7.6g)を得た。
【0131】
純度
溶媒和物の純度は、方法4Bおよび230nmでのUV検出を使用して、HPLCによって判定した。
【0132】
X線結晶学
方法4Nを使用する、化合物298・HCl・HOの代表的なX線結晶構造を、図2において提示する。これは、一塩酸塩一水和物構造を確認し、他の方法によって形成される、溶媒和物に関するX線構造と一致するものであった。
【0133】
化合物298・HCl・HOに関する結晶データおよび構造精緻化
【表8】

【0134】
溶解度
化合物298・HCl・HOの溶解度は、水性(pH4.0〜7.0)および非水性媒体において判定した。これらの研究からのデータを、表2に要約する。
【表9】

【0135】
UV分析
紫外線スペクトルは、0.1mg/mLのMeOH中の化合物298・HCl・HOの溶液に関する方法4Cを使用して得た。これらの条件下で、溶媒和物は、217、266、272、および278nmで最大値を呈した。
【0136】
NMR分析
化合物298・HCl・HOのH、13C、および19F NMRスペクトルは、Varian Mercury−VX 300MHzを用いて、方法4Dを使用して得た。具体的には、H NMR(1Dおよび2D)スペクトルは、300.080MHzで動作し、25℃で維持される、分光計を用いて得られた。試料は、36.1mgの化合物298・HCl・HOを、3.61mLのCDCN(99.96%D、Aldrich)中に溶解することによって調製した。全てのH NMRスペクトルにおける化学シフト基準は、CHDCNクインテット(δ=1.94ppm)によって提供された。代表的なH NMRスペクトルを、図5において表示する。これらのスペクトルデータは、完全に、化合物298・HCl・HOの構造に一致する。
【0137】
H NMR(CDCN): δ 0.48−0.70(m、3H)、0.77−0.89(m、1H)、1.23(d、m、重複、J=7.5Hz、4H)、1.47(d、J=6.1Hz、3H)、1.70−1.90(m、2H)、2.58−2.78(m、1H)、2.96−3.12(s、m、重複、4H)、3.12−3.26(m、2H)、3.26−3.40(m、2H)、3.40−3.55(m、1H)、3.72−3.88(m、1H)、4.33(d、J=8.3Hz、1H)、4.46−4.60(m、2H)、4.85−4.97(m、1H)、6.93−7.08(m、4H)、7.16−7.30(m、2H)、7.32−7.43(m、2H)、7.51−7.67(br s、br t、重複、2H)、8.38(d、J=9.3Hz、1H)、9.80−10.05(br s、1H).
【0138】
13C NMRスペクトルは、75.46MHzで動作し、25℃で維持される、分光計上で得られた。H NMR実験のために調製された同じ試料を、13C NMR分光法に対して使用した。化学シフト基準は、CDCNセプテット(δ=1.32ppm)によって提供された。図6は、化合物298・HCl・HOの代表的な13C NMRスペクトルを示す。
【0139】
13C NMR(CDCN): δ 1.9、5.6、10.1、15.1、18.1、28.9、30.0、32.8、36.4、41.1、49.5、56.7、57.0、61.5、70.3、115.3、115.6(JC−F=21HZ)、123.0、127.9、130.8、132.0(JC−F=8HZ)、133.1、136.0(J C−F=3Hz)、154.9、162.4(J C−F=242Hz)、171.4、171.8、172.4.
【0140】
最後に、19F NMRスペクトルは、282.33MHzで動作し、25℃で維持される、分光計上で得られた。試料は、参照標準物として使用される、CClFを一滴添加したことを除き、H NMR分光法に対して行われたものと同じように調製された(δ=0ppm)。図7の代表的なスペクトルにおいて示されるように、−117.4ppmでの単一の19F信号が、構造に関して予想されたように得られた。
【0141】
FT−IR分析
化合物298・HCl・HOのフーリエ変換赤外(FT−IR)吸収スペクトルは、方法4Eを使用して、臭化カリウムペレットとして得られた。スペクトルは、4cm−1の分解能で測定された16回の走査を平均することによって得られた。FT−IRスペクトルは、表3において割り当てられるように、最も顕著な帯を伴う構造に一致し、代表的なスペクトルを、図8に提供する。
【0142】
【表10】

【0143】
XRPD分析
化合物298・HCl・HOに対するX線粉末回折(XRPD)分析は、方法4Kに従って実行した。代表的な回折図を、図9に示す。ピーク(2θ)は、7.7、7.9、8.9、9.3、9.5、11.4、11.5、13.3、14.5、15.6、15.9、16.2、16.8、17.2、17.6、17.9、19.7、21.6、22.3、22.6、23.2、23.9、24.8、25.3、26.2、26.6、26.9、28.6、29.1、33.0、33.8で得られた。
【0144】
DSCスペクトル
化合物298・HCl・HOに関するDSCスペクトルは、方法4Lを使用して得られ、代表的な例を、図10に示す。
【0145】
吸湿性分析
化合物298・HCl・HOの吸湿性は、方法4Mに従って、25℃で実施された、静的および動的蒸気収着/脱着(DVS)実験の両方によって評価した。これらのDVS研究を通してこのように評価された代表的な吸湿性プロファイルを、図11に提示する。
【0146】
1%の重量変化(ca.0.3HO)のみが、20%〜90%の相対湿度範囲において観察された。0%RHでの平衡化による格子水損失(2.6%重量損失≡0.9HO)は、初期の10%RH増加内で取り戻され、このため、一水和物形態(3重量%のHO含有量)を再構成した。これらの結果に基づくと、化合物298・HCl・HOは、本質的に非吸湿性である。さらに、この基準によって、バルク結晶材料において、検出可能な残留する非晶質含有量はなかった。
【0147】
静的吸湿性研究は、化合物298・HCl・HOを、3ヶ月間、25℃で80%のRH湿度に曝露することによって実施した。この研究の間、いかなる点においても、潮解は検出されなかった。試料を、以下の方法によって、1週、1ヶ月、2ヶ月、および3ヶ月の時点で分析した:DSC、熱重量分析、およびカール・フィッシャー滴定法。これらの研究はまた、化合物298・HCl・HOが、本質的に非吸湿性であることを確認した。
【0148】
実施例2
化合物298・HCl・HOの合成
ステップ2−1:化合物298・HCl・EtOHの調製
25L反応器において、図1に示されるように調製された化合物298(1.75kg)を、エタノール(10.5kg)中に溶解した。次いで、1.5当量の塩化水素(3.5L、エタノール中1.0M)を添加して、塩酸塩を形成した。混合物を、周囲温度で撹拌し、塩酸を沈殿させ、次いで、0℃で30分間撹拌した。このように得られた固体を、濾過し、エタノールで洗浄し、次いで真空下で40℃で乾燥させた。材料(1.3kg、83%の収率、98.5%のHPLC純度)を次のステップのために直接使用した。
【0149】
ステップ 2−2:化合物298・HCl・EtOHの再結晶化
25L反応器において、化合物298・HCl・EtOH(1.3kg、2.09mol)を、エタノール(8.5L)および水(1.5L)の混合物中に懸濁した。混合物を、溶解するまで還流させ、0.20μm フィルタを通して熱時濾過した。−20℃で冷却して、結晶化合物298・HCl・EtOH(1.1kg、84.6%の収率、99.2%のHPLC純度)を得、これを、次のステップのためにそのまま使用した。
【0150】
ステップ2−3:化合物298・HCl HOの結晶化の形成
25L反応器において、化合物298・HCl・EtOH(1.1kg、1.77mol)を、2−ブタノン(1.1L)および水(4.4L)の混合物中に懸濁した。混合物を、完全な溶解が生じるまで、還流させた。次いで、それを室温まで冷却し、その温度で16時間維持し、完全に結晶化させた。生成物を濾過によって単離し、次いで、冷水で洗浄して、白色結晶として、化合物298・HCl・HO(868.5g、82.7%の収率、99.6%のHPLC純度)を得た。
【0151】
【表11】

【0152】
安定性試験
【表12】

【0153】
実施例3
298・HCl・HOの調製および精製
ステップ3−1:化合物298・HCl・EtOHの合成
窒素下の100Lガラス被覆反応器を、85.8LのTHF、4.2Lのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、および1.6kgのDEPBTで充填した。反応器温度を、20℃に設定し、THF中の化合物298を、6時間にわたって添加した。溶液を、添加後、この温度で、少なくとも36時間撹拌した。完了後(出発材料が、HPLC面積%で≦1%)、反応器温度を、40℃に調整し、THFを、約20Lの溶液が残存するまで、真空下で濃縮した。1M炭酸ナトリウム(20.7L)、続いて、29.7LのEtOAcを、反応器に充填し、次いで、2時間激しく撹拌した。反応器の撹拌を停止し、底部の水層を反応器から排出した。有機相を、30分の間、5.3Lの1M炭酸ナトリウムで、次いで8Lの飽和塩化ナトリウム水溶液で逐次洗浄した。反応器温度を、40℃に調整し、EtOAcを含有する有機溶液を、約22Lの溶液が残存するまで、真空下で濃縮した。EtOH(44L)を反応器に充填し、反応器の内容物を、約33Lの溶液が残存するまで、40℃で蒸発させた。エタノールを添加して、最終容積を44Lにした。反応器温度を15〜20℃に調整し、3.4Lのエタノール中約2.5Mの塩化水素を添加して、pH1.76(標的範囲pH1.5〜2.0)にする。0℃±5℃に冷却した後、終夜、沈殿が生じた。固体を濾過によって収集し、25℃で真空で乾燥させて、98.8%純度(HPLC面積%)の2.2kg(67.6%の収率)の単離された化合物298・HCl・EtOHを得た。
【0154】
ステップ3−2:化合物298・HCl・EtOHの再結晶化
100Lガラス被覆反応器を、19.5Lの水性エタノール(EtOH/HO 85: 15、注射用の水を使用)、および2.2kgの化合物298・HCl・EtOHで充填した。反応器を75℃〜85℃に加熱し、溶液を、0.2μmフィルタ(Whatman #6715−7502)を装着した移送ラインを介して、熱時に移した。反応器をEtOHで浄化し、濾過した溶液を反応器に戻した。次いで、反応器温度を、20℃に調整し、内容物をこの温度で6時間撹拌した。反応器を−15℃±5℃にさらに冷却し、得られたスラリを2時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、エタノール(−13.9℃に冷却)で洗浄し、25℃で真空で乾燥させて、99.7%純度(HPLC面積%)の1.843kg(84%の収率)の結晶化合物298・HCl・EtOHを得た。
【0155】
ステップ3−3:化合物298・HCl・HOの結晶化
22Lガラス被覆反応器を、9.2Lの水性2−ブタノン(注射用のMEK/水、1:4)、および1.843kgの化合物298・HCl・EtOHで充填した。反応器を、75℃〜85℃に加熱した。ゆっくりと冷却し、20±5℃で撹拌した後、固体化合物298・HCl・HOを濾過によって収集し、注射用の水(4℃に事前冷却)で洗浄し、窒素下で25℃で乾燥させた。これにより、1.483kg(84%の収率)の結晶化合物298・HCl・HO(99.9%のHPLC純度)を得た。
【0156】
13C NMR(DMSO−d): δ 1.18、4.55、9.53、14.58、17.50、27.54、28.73、31.69、35.81、48.75、54.18、55.69、59.83、69.38、112.81、114.65(JC−F 50.1Hz)、120.98、126.76、129.44、130.94(JC−F 19.8Hz)、134.46(JC−F 7.2Hz)、154.51、160.88(JC−F 577Hz)、169.66、170.37、171.12.
【0157】
【表13】

【0158】
【表14】

【0159】
安定性試験
【表15】

【0160】
実施例4
化合物298・HCl・2HOの調製
非晶質化合物298・HClを、高温のHO中に懸濁し、メチルエチルケトン(MEK)を、完全な溶解が観察されるまで、Pasteurピペットを使用して滴下添加した。4℃で終夜静置する前に、油浴(90℃→25℃)を使用して、溶液をゆっくりと室温まで冷却した。これらの結晶を、203±2Kの温度で維持しながら収集し、X線構造を迅速に採った。この構造は、化合物298・HCl・2HO塩の同一性を確認し、図3として提供される。室温で静置した後、この溶媒和物は自然に水の1つの分子を喪失して、化合物298・HCl・HOを形成する。
【0161】
化合物298・HCl・2HOに関する結晶データおよび構造精緻化
【表16】

【0162】
実施例5
化合物298・HCl・EtOHの調製
溶媒和物は、100mgの非晶質化合物298・HClを、高温のHO/EtOH(1:1)中に溶解し、次いで、得られた溶液を室温にゆっくりと冷却することによって調製した。溶液を、4℃で終夜静置した。化合物298・HCl・EtOHの結晶を濾過し、終夜室温で真空下で乾燥させた(収率85%)。
【0163】
結晶のX線構造を、図4として示す。最終絶対構造は、異常分散効果によって判定され、実際の、および反転構造の双晶を示す。C24′およびC25′基は、2つの幾何学的部位において不規則であり、最終の精緻化された占有は、この基に関しては54.5%、C24およびC25に関しては45.5%であった。明瞭にするために、主要部位のみを示す。エタノール分子もまた、2つの幾何学的部位において不規則であり、同じ理由で、55.8%の占有の精緻化された主要部位のみを示す。C24、C24′、C25、およびC25′原子は、等しい熱および結合拘束(EADP)でもって精緻化され、エタノール分子は、同様の熱および結合拘束(SIMU、DELU)でもって精緻化された。
【0164】
化合物298が、最初に濃縮HCl/EtOH(1:1)中に溶解された時、同様の結晶が形成された。
【0165】
化合物298・HCl・EtOHに関する結晶データおよび構造精緻化
【表17】

【0166】
実施例6
化合物298の塩の調製、およびそれらの溶解度の判定
20mg(37.2μm、1.0当量)の化合物298に、0.5mLの酸の水溶液(40.9μm、1.1当量)を添加した。得られた混合物を、軌道振盪器上で72時間撹拌した。次いで、溶液のpHを測定し、HPLC−CLND分析によって、溶解した塩の量を判定した。表9は、化合物298の14の塩に関してこのように判定された溶解度結果を要約する。
【0167】
【表18】

【0168】
実施例7
化合物298コハク酸塩の合成
10mLのアセトン中の500mgの化合物298遊離塩基に、2mL(1.1当量)の水中のコハク酸の溶液(301mgのコハク酸を5mLの水に溶解することによって調製)を添加した。溶液を、10分間撹拌し、次いで、アセトンを真空で蒸発させた(回転蒸発器)。得られた水溶液を、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で蒸発させた。このようにして得られた残留固体を、終夜乾燥させた(真空ポンプ)。塩を最小量のEtOAc中に溶解し、次いで、ヘプタンを添加させて、白色固体が沈殿した。固体を、ヘプタンで粉砕し、濾過によって収集し、乾燥させて、455mgの化合物298のコハク酸塩を得た。H NMRは、この塩について予測されたH NMRと一致した(約2.5ppmの一重項を含む)。
【0169】
100mgの化合物298の遊離塩基から開始する上の手順を繰り返して、85mgのコハク酸塩を得た。3.0gの化合物298から開始する手順を繰り返して、本質的に定量的収率の化合物298のコハク酸塩を得た。
【0170】
結晶化合物298のコハク酸塩は、50mgの非晶質材料を、5mLのEtO中に溶解し、次いで、いくらかの混濁が観察されるが、消失するまで、ヘプタンを添加することによって得た。混合物を、室温で密封して保存して、約7日後、長針状の298のコハク酸塩を得た。代替的に、100mgの非晶質材料を、13.5〜15mLのEtO中に溶解し、40℃(油浴)に加熱し、次いで1.5〜2.5mLのヘプタンを滴下添加した。混合物を室温まで冷却し、次いで、室温で保存した。大きな正方形の透明な結晶が得られた。他の実験において、結晶化をもたらすように、−20℃で冷却し、ゆっくりとEtO蒸発させることが必要であった。
mp:80℃〜90℃で可能な遷移、155℃〜158℃で分解
【0171】
実施例8
化合物298・マロン酸塩の合成
2mLのアセトン中の100mgの化合物298・遊離塩基に、(5mLの水中に269mgのマロン酸を溶解することにより調製した)水中のマロン酸の0.4mL(1.1当量)の溶液を添加した。溶液を10分間撹拌し、次いで、アセトンを真空内で蒸発させた(回転蒸発器)。得られた水溶液をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、約2〜3mLのEtOAcが残存するまで、濾液を真空内で蒸発させ、次いで、ヘプタンを添加して白色の固体を沈殿させた。溶媒を真空内で除去し、85mgの化合物298・マロン酸塩を得た。固体が変色した場合、最小量のEtOAc中に溶解し、次いで、ヘプタンを添加して塩を沈殿させ、これをヘプタンで粉末化し、濾過により収集した。H NMRは、この塩それと一致した。H NMRは、この塩について予測されたH NMRと一致した(約3.05ppmの一重項を含む)。塩を終夜乾燥させた(真空ポンプ)。
【0172】
3.0gの化合物298から開始する手順を繰り返して、本質的に定量的な収率の化合物298・マロン酸塩を得た。
mp:90℃〜110℃で遷移、165℃で分解
【0173】
実施例9
化合物298・エタンスルホン酸塩の合成
2mLのアセトン中の100mgの化合物298遊離塩基に、(10mLの水中に0.42mLのエタンスルホン酸を溶解することにより調製した)水中のエチルスルホン酸の0.4mL(1.1当量)の溶液を添加した。溶液を10分間撹拌し、次いで、アセトン真空内(回転蒸発器)で蒸発させた。得られた水溶液をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を、MgSO上で乾燥させ、濾過し、約2〜3mLのEtOAcが残存するまで、濾液を真空内で蒸発させ、その間に白色の固体が沈殿した。塩を終夜乾燥させ(真空ポンプ)、75mgの化合物298・エタンスルホン酸塩を得た。H NMRは、この塩について予測されたH NMRと一致した[以下の特性ピークを含む:1.2ppm(s)、2.1ppm(br s)、8.2ppm(m)]。
【0174】
3.0gの化合物298から開始する手順を繰り返して、3.60g(定量的収率)の化合物298・エタンスルホン酸塩を得た。
mp:190℃〜195℃で分解
【0175】
実施例10
化合物298の塩および溶媒和物の溶解度の安定性の判定
水(D5W)中の5%デキストロースに、5mgおよび20mgの種々の化合物298・塩および溶媒和物を添加し、緩衝液を用いてpHを4、5、または6にした。定期的な観察および溶解度判定(HPLC)を行いながら、試料を室温で3週間維持した。結果を、表10に示す。
【0176】
【表19】

【0177】
実施例11
298・HCl HOの代表的な薬学的組成物の調製
薬剤としての使用に好適な化合物298・HCl HOの製剤を、以下の手順を利用して調製することができる。バッチサイズを変えることができ、30Lのバッチのための手順を説明する。
1.約25.0Lの注射用の滅菌水を、風袋計量された40Lのガラスカーボイ内に混合しながら添加する。
2.1363.68gの無水デキストロースをガラスカーボイ内に添加し、溶解するまで混合する。
3.17.04mLの氷酢酸をステップ2からの溶液に添加し、最低5分間混合する。
4.製剤のpHを記録する。
5.製剤のpHを、1N NaOH水溶液でpH4.5±0.2に調整する。
6.このpHを得た後、それが安定化するまで、定期的な測定により溶液のpHを監視する。
7.pHが安定化した時点で、33.72gの化合物298・HCl・HOをガラスカーボイに添加する。
8.完全な溶解が観察されるまで(約1時間)撹拌する。
9.注射用の滅菌水を添加し、30.41kgの最終バッチ重量(1.0136g/mLの密度)を得る。
10.0.45μmのDurapore Millipak前置フィルタおよび0.22μmのDurapore Millipakフィルタを通して、製剤を滅菌濾過する。
11.製剤の外観およびpHのインプロセス試験を実行する。
12.9.37±0.19g(約9.5mL)の目標重量まで、10mLのガラスバイアルを製剤で無菌充填する。
13.バイアルに栓をして密封し、次いで、各々を検査する。
得られた薬学的組成物は、予想された結果を示す表11に要約されるように分析することができる。
【0178】
【表20】

【0179】
実施例11を用いて調製した化合物298・HCl・HOの代表的な薬学的組成物の分析が、表12に列記される。薬学的組成物の安定性は、表13に示される。
【0180】
【表21】

【0181】
【表22】

【0182】
透明で無色の溶液としての外観(方法4O)は、試験した全ての試料において、全24ヶ月間にわたって不変のままであった。
6、12、18、24ヶ月時点での試験は、試験した全ての試料が滅菌(方法4U)のままであったことを示した。
条件3の試験を6ヶ月間のみ行った。
【0183】
薬物動態分析
健常なヒト志願者への実施例11の薬学的組成物の単回および複数回の静脈内投与後の薬物動態分析が報告されている(Lasseter,K.C.、Shaughnessy,L.、Cummings,D.et al.J.Clin.Pharmacol.2008,48,193−202)。
【0184】
実施例12
298・HCl HΟの代表的な薬学的組成物の調製
医薬品としての使用に好適な298・HCl HOの製剤を、実施例11の手順の変形である以下の手順を利用して調製することができる。バッチサイズを変えることができ、約50Lのバッチのための手順を説明する。
1.約45.0Lの注射用滅菌水(WFI)を、風袋計量された無菌の50Lのガラスカーボイ内に混合しながら添加する。
2.2272.8gの無水デキストロースをガラスカーボイ内に添加し、溶解するまで混合する。
3.28.40mLの氷酢酸をステップ2からの溶液に添加し、最低5分間混合する。
4.製剤のpHを記録する。
5.製剤のpHを、1N NaOH水溶液でpH4.5±0.2に調整する(約210mL必要とする)。
6.このpHを得た後、それが安定化するまで、定期的な測定により溶液のpHを監視する。
7.pHが安定化した時点で、56.20gの化合物298・HCl・HOをガラスカーボイに添加する。
8.完全な溶解が観察されるまで(約1〜2時間)撹拌する。
9.滅菌WFIを添加し、50.68kgの最終バッチ重量(1.0136g/mLの密度)を得る。
10.0.22μmのDurapore Millipakフィルタを通して、製剤を滅菌濾過する。
11.製剤の外観およびpHのインプロセス試験を実行する。
12.9.63±0.19gの目標重量まで、10mLのガラスバイアルを298−HCl一水和物製剤を含有する製剤で無菌充填する。
13.バイアルに栓をして密封し、次いで、各々を検査する。
【0185】
実施例12を用いて調製した化合物298・ΗCl・ΗOの代表的な薬学的組成物の分析を、表14に列記する。薬学的組成物の2つの別個の調製物の安定性は、表15および表16に示する。
【0186】
【表23】

【0187】
【表24】

【0188】
透明で無色の溶液としての外観(方法4O)は、試験した全ての試料において、全24ヶ月間にわたって不変のままであった。
6、12、18、24ヶ月時点での試験は、試験した全ての試料が滅菌(方法4U)のままであったことを示した。3ヶ月時点での条件3は、試料が依然として滅菌のままであったことを示した。条件3の試験を6ヶ月間のみ行った。
【0189】
【表25】

【0190】
透明で無色の溶液としての外観(方法4O)は、試験した全ての試料において、全24ヶ月間にわたって不変のままであった。
6、12、18、24ヶ月時点での試験は、試験した全ての試料が滅菌(方法4U)のままであったことを示した。
【0191】
実施例13
化合物298・HCl・HOの
代表的な薬学的組成物の調製
薬学的使用に好適な化合物298・HCl・HOの組成物の別の調製が、以下で説明される。概説される段階的な操作の前に、ステンレス製のタンク、およびそのタンクの間、および充填機への接続パイプラインを、典型的に適所で滅菌する。
【0192】
1.最終目標重量の約85%に等しい注射用水(WFI)を、磁気撹拌器を具備する200Lのステンレス製配合タンク内に25±5℃の温度で装填した。その後の添加中に連続混合するように、混合器を起動させた。
2.これに酢酸(100%)を添加し、pHを測定した。
3.次いで、1N NaOHを用いて、pHを4.5±0.2に調整した。
4.このpHに達した時に、必要とされた全ての量のデキストロース(無水)を連続混合しながら添加した。
5.デキストロースの溶解が完了した後、化合物298・ΗCl・ΗOを添加し、混合物を1時間撹拌した。必要に応じて、継続する前に大員環の完全な溶解を確実にするために、より長時間の混合を実行する。
6.溶解が完了した時に、WFIの残量を添加した。
7.溶液を、窒素圧を用いて、Pallの0.22μm滅菌カートリッジフィルタ(例えば、製品番号MCY4440DFLPH4)を通して事前濾過した(使用前および使用後、全ての溶液フィルタをWFIで湿潤し、バブルポイント試験またはフォワードフロー試験等の適切な方法を用いて、完全性を試験したことに留意されたい)。
8.溶液は、バイアル等の適切な容器への充填の直前まで窒素下で保存することができる。
9.充填貯蔵所内への充填のために、事前濾過した溶液を、Pallの2つの0.22μmフィルタ(例えば、製品番号KA3DFLP1)を通した加圧濾過により滅菌した。
10.バイアルを薬学的組成物で充填するために、Bosch FLC3080充填機/密栓機(もしくは同様のもの)を採用した。一例として、10mLのガラスバイアルで10.5mLの目標充填量を調製した。
【0193】
より小さいバッチサイズまたはより大きいバッチサイズも本方法を用いて調製することができるが、化合物298・HCl・HO(2mg/mL)の約170Lの薬学的組成物のバッチサイズを、実施例13の手順を用いて調製した。このバッチで用いた構成成分の量を、表17に示す。この代表的な薬学的組成物(2mg/mL)の試験結果は表18に示し、代表的な薬学的組成物の安定性は表19に示す。
【0194】
【表26】

【0195】
【表27】

【0196】
【表28】

【0197】
透明で無色の溶液としての外観(方法4O)は、試験した全ての試料において、全12ヶ月間にわたって不変のままであった。
6、12ヶ月時点での条件1の試験は、試験した全ての試料が滅菌(方法4U)のままであったことを示した。6ヶ月時点での条件2の試験は、試料が依然として滅菌のままであったことを示した。条件2の試験を6ヶ月間のみ行った。
【0198】
実施例14
皮下投与のための化合物298・ΗCl・ΗOの代表的な薬学的組成物の調製および薬物動態(PK)
酢酸緩衝液中の化合物298・HCl・HOおよび水(D5W)中の5%デキストロースの水溶液を、(化合物298遊離塩基と同等である)0.4mg/mLの濃度で調製し、最終pHを4.5とし、製剤Aとして表した。D5W中の10mM酢酸緩衝液中の1mg/mLでの4mLの実施例11の組成物を、6mLのD5Wで希釈することにより、これを調製した。
【0199】
化合物298・HCl・HOをNMP中に約5分間撹拌して溶解することにより、12%N−メチルピロリドン(NMP)中の化合物298・HCl・HOおよびD5W中の0.25%ベンジルアルコールの種々の濃度の溶液を調製し、その後にベンジルアルコール、続いてD5Wを添加した。得られた製剤B−1、B−2、およびB−3は、0.4、1.6、および6.4mg/mLであり、これらは、それぞれ、0.36、1.45、および5.81mg/mLの化合物298遊離塩基(MW=538.65g/mol)に相当する。
【0200】
製剤A、B−1、B−2、およびB−3を、5mL/kgの投与量で雄のSprague−Dawleyラットに皮下(sc)投与した。化合物投与の詳細を、表20に示す。
【0201】
【表29】

【0202】
血液サンプリングプロトコル
血液試料(約300μL)を以下の時間:投与前、sc投与の5、15、30、60、120、240、360、および480分後に収集した。血液を、JVCを介してEDTAナトリウム(NaEDTA)を含有するチューブ内に収集し、遠心分離するまで氷上に留置した。試料を、温度を4℃に維持しながら13,000rpmで5分間遠心分離した。血漿を分離し、分析前にドライアイス上で凍結保存した。
それぞれのサンプリング時点でのラット血漿試料の化合物298の濃度を、LC−MS−MSで決定した。
【0203】
計算
それぞれの動物の薬物動態(PK)パラメータを、非区画モデリング(血管外投与モデル)およびWinNonlinソフトウェア(バージョン5.2、Pharsight)を用いて計算した。半減期(t1/2)、0時間から最後の定量化可能な時点(AUC0−t)までの濃度対時間曲線下面積、ならびに無限(AUC0−∞)までの濃度対時間曲線下面積を計算し、観察されたCmaxおよびTmaxを、それぞれの動物および用量群について表にした。2mg/kgでの化合物298の皮下投与後に観察された平均Cmaxは、製剤Aにおいて約1.6μg/mL(1.2〜1.8μg/mLの範囲)、製剤Bにおいて1.5μg/mL(1.3〜1.7μg/mLの範囲)であった。製剤Bにおいて化合物298・ΗCl・ΗOのより高用量で観察された平均Cmaxは、7mg/kgまたは29mg/kgの投与後、それぞれ、約2.6μg/mL(2.1〜2.9μg/mLの範囲)および3.3μg/mL(2.8〜3.7μg/mLの範囲)であった。Cmaxの増加は、恐らく皮下区画からの速度制限された吸収のため、皮下投与後の用量に比例した増加よりも小さかった。それにもかかわらず、血漿レベルは、薬物投与後、長期間にわたって高く安定したレベルで維持され、化合物の皮下投与後の高く持続した血漿曝露を示唆する。挿入AUC0−∞値を得るために、最終消失速度定数を計算した。AUC0−∞は、本研究において用量と比例的に増加し、試験した用量範囲内の皮下区画からの線吸収を示唆する。これらの代表的な薬学的組成物のために決定されたPKパラメータを、表21に要約する。
【0204】
【表30】

【0205】
前述は、本発明を例証するものであり、その制限と解釈されるものではない。本発明は、以下の請求項によって定義され、請求項の同等物は、本明細書に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】

(式中、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、アルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびスルホン酸から成る群より選択される。)
を有する、大環状化合物の塩の溶媒和物。
【請求項2】
HXが、塩酸、コハク酸、マロン酸、またはエチルスルホン酸である、請求項1に記載の溶媒和物。
【請求項3】
前記溶媒和物が、非晶質形態である、請求項1に記載の溶媒和物。
【請求項4】
前記溶媒和物が、結晶形態である、請求項1に記載の溶媒和物。
【請求項5】
前記溶媒和物が、エタノレート、水和物、または一水和物である、請求項1に記載の溶媒和物。
【請求項6】
前記溶媒和物が、一塩酸塩一水和物、一塩酸塩二水和物、または一塩酸塩モノエタノレートである、請求項1に記載の溶媒和物。
【請求項7】
請求項1に記載の溶媒和物の多形体。
【請求項8】
HXが、塩酸である、請求項7に記載の多形体。
【請求項9】
X線粉末回折パターンが、図9のものに一致する、請求項7に記載の多形体。
【請求項10】
前記X線粉末回折パターンは、2θが約7.9、9.3、15.9、17.9、および23.9°で表される特性ピークを含む、請求項7に記載の多形体。
【請求項11】
前記X線粉末回折パターンは、2θが約7.7、7.9、9.3、11.4、11.5、13.3、14.5、15.9、16.2、16.8、17.2、17.6、17.9、19.7、21.6、22.3、22.6、23.2、23.9、24.8、25.3、26.2、26.6、および26.9°で表される特性ピークを含む、請求項7に記載の多形体。
【請求項12】
請求項7に記載の多形体を調製するためのプロセスであって、
(a)以下の構造
【化2】

を有する大環状化合物を、アルコールの溶液中に溶解して、溶液Aを形成することと、
(b)酸HXを、溶液Aに添加して、酸性化された溶液Aを形成することであって、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、アルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびスルホン酸から成る群より選択される、酸性化された溶液Aを形成することと、
(c)任意に、酸性化された溶液Aを冷却することと、
(d)沈殿した塩を、酸性化された溶液Aから分離することと、
(e)前記(d)からの沈殿した塩を、アルコールおよび水の熱混合物中に溶解して、溶液Bを形成することと、
(f)溶液Bを冷却することと、
(g)沈殿した塩を溶液Bから分離することと、
(h)前記(g)からの沈殿した塩を、ケトン溶媒および水の熱混合物中に溶解して、溶液Cを形成することと、
(i)溶液Cを、周囲温度以下に冷却することと、
(j)沈殿した塩を溶液Cから分離することと
を含むプロセス。
【請求項13】
前記アルコールが、エタノールである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
HXが、塩酸である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ケトン溶媒が、メチルエチルケトン(2−ブタノン)である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ケトン溶媒および水の熱混合物が、1:4の比率のメチルエチルケトンおよび水の混合物である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
(a)請求項1に記載の溶媒和物と、
(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と
を含む薬学的組成物。
【請求項18】
前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤が、緩衝剤である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記緩衝剤が、酢酸緩衝剤である、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤が、等張化剤である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記等張化剤が、食塩水、塩化ナトリウム、またはデキストロースである、請求項20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤が、緩衝剤と、等張化剤とを含む、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記緩衝剤が、酢酸緩衝剤であり、前記等張化剤が、食塩水、塩化ナトリウム、またはデキストロースである、請求項22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
(a)請求項7に記載の多形体と、
(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と
を含む薬学的組成物。
【請求項25】
(a)請求項7に記載の多形体と、
(b)10nMの酢酸と、
(c)水中の5%のデキストロースと
を含む薬学的組成物。
【請求項26】
以下の構造
【化3】

(式中、HXは、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、アルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびスルホン酸から成る群より選択される。)
を有する、大環状化合物の塩。
【請求項27】
前記酸が、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、硫酸、リン酸、メチルスルホン酸、またはエチルスルホン酸である、請求項26に記載の塩。
【請求項28】
前記塩が、非晶質形態である、請求項26に記載の塩。
【請求項29】
前記塩が、結晶形態である、請求項26に記載の塩。
【請求項30】
(a)請求項26に記載の塩と、
(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と
を含む薬学的組成物。
【請求項31】
以下の構造
【化4】

(式中、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、アルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびスルホン酸から成る群より選択される。)
を有する、大環状化合物の塩の多形体。
【請求項32】
(a)請求項31に記載の多形体と、
(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と
を含む薬学的組成物。
【請求項33】
請求項17に記載の薬学的組成物を調製するためのプロセスであって、
(a)等張化剤を溶媒中に溶解して、溶液Dを形成するステップと、
(b)酸を溶液Dに添加して、酸性溶液Dを形成するステップと、
(c)以下の構造
【化5】

(式中、HXは、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、アルファヒドロキシ酸、アミノ酸、芳香族酸、およびスルホン酸から成る群より選択される。)
を有する大環状化合物を、酸性化された溶液D中に溶解して、溶液Eを形成するステップと、
(d)溶液EのpHを、塩基の添加によって調整して、溶液Fを形成するステップと、
(e)溶液Fを、溶媒で、有効濃度まで希釈するステップと
を含むプロセス。
【請求項34】
前記ステップが、ステップ(b)、次いでステップ(d)、次いでステップ(a)、次いでステップ(c)、次いでステップ(e)の順序で実行される、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記等張化剤が、デキストロースである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項36】
前記酸が、酢酸である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項37】
前記塩基が、水酸化ナトリウムである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項38】
1つ以上の滅菌フィルタを通した濾過をさらに含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項39】
対象を請求項17、24、30、または32に記載の薬学的組成物で治療することによって、胃腸運動を刺激する方法。
【請求項40】
前記薬学的組成物が、非経口または静脈内投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記静脈内投与が、点滴を介する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記薬学的組成物が、皮下投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記薬学的組成物が、経口投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、ヒトである、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が、ウマである、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
対象に、請求項17、24、306、または32に記載の薬学的組成物を投与することによって、胃腸疾患を治療する方法。
【請求項47】
前記胃腸疾患が、術後イレウス、胃不全麻痺、オピオイド誘発性腸管機能障害、慢性腸偽性閉塞症、急性結腸偽性閉塞症(オギルヴィー症候群)、腸運動障害、短腸症候群、嘔吐、便秘優位型過敏性腸症候群(IBS)、慢性便秘、機能性消化不良、癌関連消化不良症候群、移植片対宿主病、胃排出遅延、他の病状とともに生じる胃腸機能障害もしくは胃排出遅延、救命救急状況において生じる胃腸運動障害もしくは胃排出遅延、薬学的薬剤での治療の結果としての胃腸機能障害または胃排出遅延、胃食道逆流症(GERD)、胃潰瘍、胃腸炎、およびクローン病から成る群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記胃腸疾患が、術後イレウスである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記胃腸疾患が、胃不全麻痺である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記胃不全麻痺が、糖尿病性胃不全麻痺または術後胃不全麻痺である、請求項50に記載の方法。
【請求項51】
前記胃腸機能障害または胃排出遅延が、パーキンソン病、筋強直性筋ジストロフィ、強皮症(scerloderma)、重症疾患、摂食障害、自律神経変性、脳卒中、多発性硬化症、神経疾患、精神病、嚢胞性線維症、結合組織病、肝硬変、肝不全、腎不全、胆嚢疾患、片頭痛、脳幹病変、脊髄損傷、癌、新生組織形成、アカラシア、感染症、ターナー症候群、内分泌、代謝性もしくは電解質平衡異常、外傷、または痛覚を有する患者において生じる、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記胃腸機能障害または胃排出遅延が、オピオイド、抗コリン剤、ベータ遮断薬、カルシウムチャンネルアンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体アゴニスト、アミリン受容体アゴニスト、ペプチドYY(PYY)受容体アゴニスト、プロテアソーム阻害剤、三環系抗鬱剤、モノアミン取込遮断薬抗鬱剤、癌化学療法剤、アドレナリンアゴニスト、ドーパミン作動薬、抗マラリア剤、鎮痙剤、カンナビノイドアゴニスト、オクトレオチド、レボドパ、アルコール、またはニコチンでの治療の結果として生じる、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記対象が、ヒトである、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、ウマである、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
食欲不振、食欲抑制によって特徴付けられる、または食物摂取の減少をもたらす疾患に罹患する対象を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項17、24、30、または32に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項56】
前記疾患が、悪液質である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記悪液質が、癌、慢性心不全、後天性免疫不全症候群(AIDS)、腎臓病、筋ジストロフィ、または老化によって誘発される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、ヒトである、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
代謝性および/もしくは内分泌疾患、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、骨疾患、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、アポトーシスによって特徴付けられる疾患、または遺伝性疾患に罹患する対象を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項17、24、30、または32に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項60】
請求項17、24、30、または32に記載の薬学的組成物を含有する、キット。
【請求項61】
前記薬学的組成物が、バイアルまたは注射器に含有される、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
前記薬学的組成物が、約75%から約99.9%の範囲内の量の塩、溶媒和物、または多形体を含む、請求項17、24、30、または32のうちのいずれか一項に記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−506676(P2013−506676A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532258(P2012−532258)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/050661
【国際公開番号】WO2011/041369
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506419489)トランザイム・ファーマ,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】