説明

大環状グレリン受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニストならびにその使用方法

本発明は、グレリン受容体(成長ホルモン分泌促進物質受容体、GHS−R1aおよびサブタイプ、そのイソ型および/または変異体)の選択的な調節剤であることが実証された、新規な、配座の定義された大環状化合物を提供する。新規な化合物の合成方法も本明細書に記載される。これらの化合物は、グレリン受容体のアンタゴニストまたはインバースアゴニストとして、さらに、限定されるものではないが、代謝障害および/または内分泌障害、心血管疾患、肥満症および肥満症関連疾患、胃腸障害、遺伝子疾患、過剰増殖性障害および炎症性疾患を含む、一連の医学的状態の治療および予防のための薬剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本出願は、2005年6月13日出願の国際出願番号PCT/US2005/020887の優先権を主張し、その開示は引用により全文を本明細書に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、調節剤、特に、アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、グレリン(成長ホルモン分泌促進物質)受容体(GHS−R1a)として働くことが実証された新規な配座の定義された大環状化合物に関する。また、本発明は、これらの化合物の中間体、これらの化合物を含有する医薬組成物および化合物の使用方法に関する。これらの新規な大環状化合物は、代謝障害および/または内分泌障害、心血管疾患、肥満症および肥満症関連疾患、胃腸障害、遺伝子疾患、過剰増殖性障害および炎症性疾患を含む一連の適応症の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
ゲノミクスおよびプロテオミクスにおける研究努力によって可能となった多様な生理的調節経路の理解向上は、新規な医薬品の発見に影響を与えている。特に、主要な受容体およびそれらの内因性リガンドの同定は、これらの受容体/リガンド対を治療標的として開拓する新規な機会を創出した。例えば、グレリンは、近年特性決定された28−アミノ酸ペプチドホルモンであり、種々の重要な生理的機能を媒介することが示された(Kojima,M.;Hosoda,H.et al.Nature 1999,402,656−660.)。この構造の新規な特徴は、グレリンの活性に関連すると思われるSer3のn−オクタノイル基の存在である。このペプチドは、1型成長ホルモン分泌促進因子受容体(hGHS−R1a)の、これまでオーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)の内因性リガンドであることが実証された。(Howard,A.D.;Feighner,S.D.;Cully,D.F.;Arena,J.P.;Liberator,P.A.;Rosenblum,C.I.;Hamelin,M.;Hreniuk,D.L.;Palyha,O.C.;Anderson,J.;Paress,P.S.;Diaz,C.;Chou,M.;Liu,K.K.;McKee,K.K.;Pong,S.−S.;Chaung,L.Y.;Elbrecht,A.;Dashkevicz,M.;Heavens,R.;Rigby,M.;Sirinathsinghji,D.J.S.;Dean,D.C.;Melillo,D.G.;Patchett,A.A.;Nargund,R.;Griffin,P.R.;DeMartino,J.A.;Gupta,S.K.;Schaeffer,J.M.;Smith,R.G.;Van der Ploeg,L.H.T.A receptor in pituitary and hypothalamus that functions in growth hormone release.Science 1996,273,974−977.)GHS−R1aは、近年、その内因性リガンドが認められてグレリン受容体として分類された(Davenport,A.P.;et al.International Union of Pharmacology.LVI.Ghrelin Receptor Nomenclature,Distribution,and Function.Pharmacol.Rev.2005,57,541−546)。
【0004】
この受容体およびその内因性ペプチドリガンドの単離よりもさらに前に、成長ホルモン(GH)分泌を刺激できる物質の発見に相当な量の研究が捧げられた。ヒトGHの適切な制御は、適切な身体の成長だけでなく、一連の他の重要な生理学的効果にも重要である。GHおよび他のGH刺激ペプチド、例えば成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)および成長ホルモン放出因子(GRF)、ならびにそれらの誘導体および類似体は、注射によって投与される。従って、これらのプラス効果をより利用するため、GH分泌促進薬(GHS)と称する、GH分泌を増加させ得る経口で有効な治療薬の開発に焦点が絞られた。さらに、これらの物質の使用には、GHの生理的パルス放出をよりそっくりに模倣できることが期待された。
【0005】
1970年代後半の成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)の同定を発端に(Bowers,C.Y.Growth hormone−releasing peptides:physiology and clinical applications.Curr.Opin.Endocrinol.Diabetes 2000,7,168−174;Camanni,F.;Ghigo,E.;Arvat,E.Growth hormone−releasing peptides and their analogs.Front.Neurosci.1998,19,47−72;Locatelli,V.;Torsello,A.Growth hormone secretagogues:focus on the growth hormone−releasing peptides.Pharmacol.Res.1997,36,415−423.)、多数の物質がそれらのGHSとして働く可能性について研究されてきた。GH放出の刺激およびその関連で同時に起こるプラス効果に加えて、GHSは、HIV患者および癌誘導性の食欲不振症に見られる消耗性疾病(悪液質)、高齢者の筋骨格の脆弱性、ならびに成長ホルモン欠損症を含む、種々の他の疾患において有用性があると予想された。過去25年間の多くの努力により、多数の有力な、経口利用可能なGHSが生まれた(Isidro,M.L.;Cordido,F.Groth hormone secretagogues.Comb.Chem.High Throughput Screen.2006,9,178−180;Smith,R.G.;Sun,Y.X.;Beatancourt,L.;Asnicar,M.Growth hormone secretagogues:prospects and pitfalls.Best Pract.Res.Clin.Endocrinol.Metab.2004,18,333−347;Fehrentz,J.−A.;Martinez,J.;Boeglin,D.;Guerlavais,V.;Deghenghi,R.Growth hormone secretagogues:Past,present and future.IDrugs 2002,5,804−814;Svensson,J.Exp.Opin.Ther.Patents 2000,10,1071−1080;Nargund,R.P.;Patchett,A.A.;Bach,M.A.;Murphy,M.G.;Smith,R.G.Peptidomimetic growth hormone secretagogues.Design considerations and therapeutic potential.J.Med.Chem.1998,41,3103−3127;Ghigo,E;Arvat,E.;Camanni,F.Orally active growth hormone secretagogues:state of the art and clinical perspective.Ann.Med.1998,30,159−168.)。これらには、ヘキサレリン(Zentaris)およびイパモレリン(Novo Nordisk)などの小型のペプチド、およびアデノシン類似体、ならびにカプロモレリン(capromorelin)(Pfizer)、L−252,564(Merck)、MK−0677(Merck)、NN703(タビモレリン、Novo Nordisk)、G−7203(Genentech)、S−37435(Kaken)およびSM−130868(Sumitomo)などの小分子が挙げられる。しかし、このような物質での臨床試験は、数ある中でも、長期治療での効力の欠乏、またはシトクロムP450酵素の不可逆阻害を含む、望ましくない副作用が原因で期待はずれの結果となっている(Zdravkovic M.;Olse,A.K.;Christiansen,T.;et al.Eur.J.Clin.Pharmacol.2003,58,683−688.)。
【0006】
実際には合成GHSの使用によって可能となったヒト受容体のクローニング、およびそれに続くグレリンの同定は、アゴニストとアンタゴニストの両方の研究のための種々の新規な化学分野を開いた(Carpino,P.A.Exp.Opin.Ther Patents 2002,12,1599−1618)。特に、グレリンペプチドは、GH放出の刺激は別として、食物摂取および食欲の調整、体重増加の促進、エネルギーバランスの制御、および胃腸の(GI)運動性および胃酸分泌の調節を含む、他の複数の生理的機能を有することが見出された。また、このホルモンは、グルコースホメオスタシス、日内周期および記憶の制御に関係している。(Van der Lely,A.J.;Tschop,M.;Heiman,M.L.;Ghigo,E.Biological,physiological,pathophysiological,and pharmacological aspects of ghrelin.Endocrine Rev.2004,25,426−457;Inui,A.;Asakawa,A.;Bowers,C.Y.;Mantovani,G.;Laviano,A.;Meguid,M.M.;Fujimiya,M.Ghrelin,appetite,and gastric motility:the emerging role of the stomach as an endocrine organ.FASEB J.2004,18,439−456;Diano,S.Farr,S.A.;Benoit,S.C.;et al.Ghrelin controls hippocampal spine synapse density and memory performance.Nat.Neuroscience 2006,9,381−388.)これらの無数の生理学的効果によって、GH分泌機能に関連するものとは別の治療指標のための、グレリン受容体の調節の研究が増加してきた(Dodge,J.A.;Heiman,M.L.Ghrelin receptor modulators.Ann.Rep.Med.Chem.2003,38,81−88.)。例えば、国際特許出願WO 2006/009645号およびWO 2006/009674号には、胃腸(GI)障害の治療に用いるグレリン調節剤としての大環状化合物の使用が記載されている。同様に、WO 2006/020930号およびWO 2006/023608号には、そのようなGI障害に用いられる構造上異なるグレリンアゴニスト(成長ホルモン分泌促進物質)が記載されている。その上、国際特許出願WO 2004/09124号およびWO 2005/68639号には、肥満症の治療のためのワクチンとして用いることのできる、グレリンのN末端からの短いペプチド配列に由来する改変されたウイルス粒子が記載されている。肥満症の別のワクチンアプローチは、WO 2004/024183号に記載されている。
【0007】
果たして、実に多数のペプチドホルモンおよびそれらの受容体の調節がそうであったように、食欲および摂食の制御におけるグレリンの役割によって、グレリンアンタゴニストおよびインバースアゴニストの新規な抗肥満薬としての開発にも特別な関心が誘発された。(Spanswick,D.;Lee,K.Emerging antiobesity drugs.Exp.Opin.Emerging Drugs 2003,8,217−237;Horvath,T.L.;Castaneda,T.;Tang−Christensen,M.;Pagotto,U.;Tschop,M.H.Ghrelin as a potential anti−obesity target.Curr.Pharm.Design 2003,9,1383−1395;Crowley,V.E.F.;Yeo,G.S.H.;O−Rahilly,S.Obesity therapy:altering the energy intake−and−expenditure balance sheet.Nat.Rev.Drug Disc.2002,1,276−286.)GHSの研究において優位なグレリンアゴニストと対照的に、グレリンアンタゴニストおよびインバースアゴニストに関する探索の研究の分野は、有意にあまり成熟していない。米国公開特許出願第2003/0211967号およびWO 01/87335号は、肥満症および関連疾患を含む種々の疾病状態の治療としてのグレリンアンタゴニストの使用に取り組んでいる。同様に、WO 01/56592号および米国特許第2001/020012号には、食物摂取の制御のためのアンタゴニストの使用が記載されている。同様に、WO 2004/004772号には、糖尿病、肥満症および食欲制御の治療としてのGHS−Rアンタゴニストの使用が記載されている。腸炎の治療のためのそれらの使用も記載されている(WO 2004/084943号)。しかし、これらの出願には、この目的のための、グレリンペプチドおよびその類似体とは別の具体的な化合物の例は提示されていない。つい最近、これも認知、記憶および他のCNS障害の改善に効果的であると主張されるオキサジアゾールグレリンアンタゴニストが報告された(WO 2005/112903号)。
【0008】
また、グレリンアンタゴニストおよびインバースアゴニストは、糖尿病、網膜症などの糖尿病に起因する合併症、心血管疾患、高血圧症、異脂肪血症、骨関節炎および特定の種類の癌を含む、続く肥満症関連症状の罹患率の減少に役割を果たすと考えられている。実際、動物実験で見られる抗肥満効果に加えて、GHS−R1a受容体を有さない操作されたトランスジェニックラットは、食物摂取の低下、脂肪沈着の縮小、および体重の減少を示した。しかし、心血管機能の制御およびストレス応答ならびに成長ホルモンの放出を含む、多数の生理的プロセスにおけるホルモンの関与は、この戦略の潜在的な欠点を示している可能性がある。故に、グレリンの完全な欠損は望ましくないが、抑制が肥満症の制御に十分であろう。注目すべきは、グレリンノックアウトマウスでの最近の研究から、これらのマウスが、他の生理的特徴の中でも大きさと食物摂取の改変を提示しないことが明らかとなったことである。(Sun,Y.;Ahmed,S.;Smith,R.G.Deletion of ghrelin impairs neither growth nor appetite.Mol.Cell Biol.2003,23,7973−7981;Wortley,K.E.;Anderson,K.D.;Garcia,K.;et al.Genetic deletion of ghrelin does not decrease food intake but influences metabolic fuel preferences.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2004,101,8227−8232.)
【0009】
近年、BIM−28163がGHS−R1a受容体でアンタゴニストとして働き、天然のグレリンによる受容体活性化を阻害すると報告された。しかし、この同じ分子は体重増加および食物摂取を刺激する点に関して完全アゴニストである。これおよび関連するペプチド性グレリン類似体は、グレリンのGH調節活性を、体重増加および食欲に関するペプチドの効果から効果的に分離する。(Halem,H.A.;Taylor,J.E.;Dong,J.Z.;Shen,Y.;Datta,R.;Abizaid,A.;Diano,S.;Horvath,T.;Zizzari,P.;Bluet−Pajot,M.−T.;Epelbaum,J.;Culler,M.D.Novel analogs of ghrelin:physiological and clinical implications.Eur.J.Endocrinol.2004,151,S71−S75.)同じように、WO 2006/009645号およびWO 2006/009674に記載される大環状グレリンアゴニストは動物モデルにおいてGH放出作用からのGI効果の分離を報告する。このような分離は、代謝におけるグレリンおよびその受容体の関与が、当初考えられていたよりも一層複雑である可能性を示す。
【0010】
ヒト症候性肥満の最も一般的な形態であるプラダー・ウィリー症候群は、GH欠乏症および摂食後も低下しない高いグレリンレベルによって逆説的に特性決定された。(Cummings,D.E.;Clement,K.;Purnell,J.Q.;Vaisse,C.;Foster,K.E.;Frayo,R.S.;Schwartz,M.W.;Basdevant,A.;Weigle,D.S.Elevated ghrelin plasma levels in Prader−Willi syndrome.Nat.Med.2002,8,643−644.)アンタゴニストはこの症候群の治療に同様に役割を果たせたであろう。同様に、このような物質は、糖尿病性過食症に可能性があり得る。過食症および改変された燃料代謝は、ヒトにおける制御されていない真性糖尿病に起因する。このことは、NPY/AGRP経路を通して上昇したグレリンレベルと低下したレプチンの組合せによって起こることが示唆されてきた。健康な被検体と糖尿病の被験体においてグレリンのレベルは基本的に同じであるが、糖尿病性過食症における異なるレベルのグレリンが食事療法での残存を困難にし、アンタゴニストが制御の補助に有用であり得る。(Ishii,S.;Kamegai,J.;Tamura,H.;Shimizu,T.;Sugihara,H.;Oikawa,S.Role of ghrelin in streptozotocin−induced diabetic hyperphagia.Endocrinology 2002,143,4934−4937;Sindelar,D.K.,Mystkowski,P.,Marsh,D.J.,Palmiter,R.D.;Schwartz,M.W Attenuation of diabetic hyperphagia in neuropeptide Y−deficient mice.Diabetes 2002,51,778−783.)
【0011】
グレリンレベルは肝硬変において上昇し、慢性肝疾患からの合併症とともに上昇するが、インスリン様成長因子−1(IGF−1)のレベルとは異なり、それらは肝臓機能と関連していない。(Tacke,F.;Brabant,G.;Kruck,E.;Horn,R.;Schoffski,P.;Hecker,H.;Manns,M.P.;Trautwein,C.Ghrelin in chronic liver disease.J.Hepatology 2003,38,447−454.)グレリンアンタゴニストは、これらの肝疾患の制御に有用であり得る。さらに、グレリンおよびその受容体は、多数の癌において過剰発現している。アンタゴニストは、癌の治療に潜在的な用途を有するであろう。国際特許出願公開WO 02/90387号には、生殖器官の癌の治療に対するアプローチとしてGHS−R1aを標的にする干渉戦略の使用が記載されている。
【0012】
グレリンアンタゴニストへの関心にもかかわらず、僅かに限定された数の小分子グレリンアンタゴニストしか特許または科学文献で報告されておらず、それにはジアミノピリミジン、テトラリンカルボキサミド、イソキサゾールカルボキサミド、β−カルボリンおよびオキサジアゾールが挙げられる。(米国特許出願公開第2005/0171131号;米国特許第2005/0171132号;国際特許出願公開WO 2005/030734号;WO 2005/112903号;WO 2005/48916号;Zhao,H.;Xin,Z.;Liu,G.;Schaefer,V.G.;Falls,H.D.;Kaszubska,W.;Colins,C.A.;Sham,H.L.J.Med.Chem.2004,47,6655−6657;Xin,Z.;Zhao,H.;Serby,M.D.;Liu,B.;Schaefer,V.G.;Falls,H.D.;Kaszubska,W.;Colins,C.A.;Sham,H.L.;Liu,G.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1201−1204;Zhao,H.;Xin,Z.;Patel,J.R.,Nelson,T.J.;Liu,B.;Szczepankiewicz,B.G.;Schaefer,V.G.;Falls,H.D.;Kaszubska,W.;Collins,C.A.;Sham,H.L.;Liu,G.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1825−1828;Liu,B.;Liu,G.;Xin,Z.;Serby,M.D.;Zhao,H.;Schaefer,V.G.;Falls,H.D.;Kaszubska,W.;Collins,C.A.;Sham,H.L.Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,5223−5226.)WO 2005/114180号には、ヘテロアリールコア構造、例えばイソアゾール、1,2,4−オキサジアゾールおよび1,2,4−トリアゾールを「機能的グレリンアンタゴニスト」として含有する多数の個別の化合物、およびそれらの肥満症および糖尿病の治療の治療薬としての使用が記載されている。他の複素環構造(その中にはアンタゴニスト活性を示したものもある)は、WO 2005/035498号;WO 2005/097788号および米国特許第2005/0187237号に報告されている。残っている既知のグレリンアンタゴニストは、本来は主にペプチド性であるが(WO 2004/09616号、WO 02/08250号、WO 03/04518号、米国特許第2002/0187938号、Pinilla,L.;Barreiro,M.L.;Tena−Sempere,M.;Aguilar E.Neuroendocrinology 2003,77,83−90)、核酸に基づくアンタゴニストも開示されている(WO 2004/013274号;WO 2005/49828号;Helmling,S.;Maasch,C.;Eulberg,D.;et al.Inhibition of ghrelin action in vitro and in vivo by an RNA−Spiegelmer.Proc.Natl.Acad.Sci USA 2004,101,13174−13179;Shearman,L.P.;Wang,S.P.;Helmling,S.;et al.Ghrelin neutralization by a ribonucleic acid−SPM ameliorates obesity in diet−induced obese mice.Endocrinology 2006,147,1517−1526)。本発明の化合物は、構造上、全てのこれらの既に報告されたグレリンアンタゴニスト構造とは異なる。
【0013】
小さいソマトスタチン模倣物である、14アミノ酸化合物のバプレオチドは、グレリンアンタゴニストであると実証された。(Deghenghi R,Papotti M,Ghigo E,Muccioli G,Locatelli V.Somatostatin octapeptides(lanreotide,octreotide,vapreotide,and their analogs)share the growth hormone−releasing peptide receptor in the human pituitary gland.Endocrine 2001,14,29−33.)環状の神経ペプチドコルチスタチンの類似体の成長ホルモン分泌促進因子受容体との結合活性が開示されている(WO 03/004518)。これらの化合物は、24〜33nMのIC50を示す。特に、これらの類似体のうちの1つであるEP−01492(コルチスタチン8)は、グレリンアンタゴニストとして肥満症の治療の前臨床試験に進んでいる。(Deghenghi R,Broglio F,Papotti M,et al.Targeting the ghrelin receptor−Orally active GHS and cortistatin analogs.Endocrine 2003,22,13−18;Sibilia,V.;Muccioli,G.;Deghenghi,R.;Pagani,F.;DeLuca,V.;Rapetti,D.;Locatelli,V.;Netti,C.Evidence for a role of the GHS−R1a receptor in ghrelin inhbition of gastric acid secretion in the rat.J.Neuroendocrinol.2006,18,122−128.)
【0014】
限定された一連のペプチドが、GHS−R1aとの結合に極めて重要であることが知られている非常に特異的なオクタノイル化された短い配列を含有するグレリンアンタゴニストとして報告されている(米国特許出願第2002/0187938号;国際特許出願WO 02/08250号)。[D−Lys3]−GHRP−6の作用がグレリンアンタゴニストとして記載されている。(Pinilla,L.;Barreiro,M.L.;Tena−Sempere,M.;Aguilar E.Neuroendocrinology 2003,77,83−90)つい最近、弱いグレリンアンタゴニストである、サブスタンスPペプチド誘導体、L−756,867(EP−80317,[DArg1,DPhe5,DTrp7,9,Leu11]−substance P)が、グレリン受容体を標的とする肥満症の治療への別の可能性のあるアプローチ法を開く有力なインバースアゴニスト(Kd/i=45nM)であることが実証された。(Holst,B.;Schwartz,T.W.Constitutive ghrelin receptor activity as a signaling set−point in appetite regulation.Trends Pharmacol.Sci.2004,25,113−117;Holst,B.;Cygankiewicz,A.;Jensen,T.H.;Ankersen,M.;Schwartz,T.W.High constitutive signaling of the ghrelin receptor?identification of a potent inverse agonist.Mol.Endocrinol.2003,17,2201−2210;Cheng,K.;Wei,L.;Chaung,L.−Y.;et al.Inhibition of L−692,429−stimulated rat growth hormone release by a weak substance P antagonist,L−756,867.J.Endocrinol.1997,152,155−158.)しかし、この物質はニューロキニン−1およびボンベシン受容体でも相互作用するため、この特定の物質の使用はその弱い選択性のために限定され得る。
【0015】
インバースアゴニストの使用は、グレリン受容体の高い構成的活性に起因して食欲の制御により一層関連する使用であり得ることが示唆されている。(Holst,B.;Holliday,N.D.;Bach,A.;Elling,C.E.;Cox,H.M.;Schwartz,T.W.Common structural basis for constitutive activity of the ghrelin receptor family.J.Biol.Chem.2004,279,53806−53817.)しかし、L−756,867ペプチドおよび単一のピロール化合物、TM27810、(WO 2004/056869号)以外に、インバースアゴニストは未だ報告されていない。従って、本発明の化合物は、同定された最初の一連のグレリンインバースアゴニスト分子を構成する。
【0016】
実際に、摂食を最もよく制御するため、グレリン受容体アンタゴニストとしてもインバースアゴニストとしても作用する化合物を有することが実際に有益であることが論じられている(Holst,B.Schwartz,T.Ghrelin receptor mutations−too little height and too much hunger.J.Clin.Invest.2006,116,637−641)。構成的活性を損なうグレリン受容体の突然変異を保有するヒトは背が低いという最近の知見は、この受容体の正常なインビボ機能に対する、構成的活性の重要性を説明する。(Pantel,J.;Legendre,M.Cabrol,S.;et al.Loss of constitutive activity of the growth hormone secretagogue receptor in familial short stature.J.Clin.Invest.2006,116,760−768.)実施例において示されるように、本発明のいくつかの化合物はグレリン受容体アンタゴニストとしてもインバースアゴニストとしても作用する。
【0017】
従って、薬理学的介入に適したグレリンアンタゴニストまたはインバースアゴニスト例は極めて少数であるので、グレリン受容体を調節し、グレリン放出を抑制するさらなる化合物に必要性がある。
【発明の開示】
【0018】
本発明は、調節剤、特にグレリン(成長ホルモン分泌促進物質)受容体(GHS−R1a)のアンタゴニストまたはインバースアゴニストとして機能することのできる、新規な配座の定義された大環状化合物を提供する。
【0019】
本発明の態様によれば、本発明は、式(I):
【化1】

(式中:
XはNR13であり、R13は水素またはC1-4アルキルであるか、またはR13およびR2は一緒に3員、4員、5員、6員もしくは7員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換され;
1はNR11であり、R11は水素またはC1-4アルキルであるか、R11およびR3は一緒に4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換され;
2はNHであり;
m、nおよびpは、各々0であり;
1およびR6は、各々独立に水素であり;
2は、−(CH2SCH3、−CH(CH3)(CH2tCH3、−(CH2uCH(CH32、−C(CH33、−(CH2v−R14、−CH(OR15)CH3、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであり、sは1、2、3、4もしくは5であり;tは1、2もしくは3であり;uは0、1、2もしくは3であり;かつ、vは0、1、2、3もしくは4であり;R14はアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルもしくは置換シクロアルキルであり;R15は水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アシル、アミノアシル、スルホニル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールであり;また、あるいは、R2およびR13は一緒に3員、4員、5員、6員もしくは7員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換され;
3およびR4は、各々独立に−CH3、−CH2CH3、−CH(CH32、−CR17a17b(OR16)−を含むアミノ酸側鎖または水素であるか;あるいは、R3およびR4は一緒に、またはR3およびR7は一緒に、それぞれ、所望によりOもしくはS原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換されている3員、4員、5員、6員もしくは7員環を形成し;あるいは、R3およびR11は一緒に、4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換され;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アシル、アミノアシル、スルホニル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールであり;かつ
17aおよびR17bは、各々独立に、水素、−CH3、−CH2CH3−CH(CH32もしくは−C(CH33であり;
5は、−(CH2WCH3、−CH(CH3)(CH2XCH3、−(CH2yCH(CH32、−C(CH33、−(CH2Z1−R18a、−(CR110111z2−R18bを含むアミノ酸側鎖であり、wは、2、3、4もしくは5であり;xは、1、2もしくは3であり;yは0、1、2もしくは3であり;z1は0、1、2、3もしくは4であり;z2は、0、1もしくは2であり;R18aおよびR18bは、各々独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルであり;R110およびR111は、各々独立に、水素、C1−C4アルキル、ヒドロキシル、アミノもしくはフルオロであり(但し、R110およびR111のうちの少なくとも1つは水素でない);
7は、水素またはC1−C4アルキルであり、またはR7およびR3は一緒に、それぞれ、所望によりOもしくはS原子を環中に含みおよび所望により、下に定義されたR8で置換されている3員、4員、5員、6員もしくは7員環を形成し;
8は、3員、4員、5員、6員もしくは7員の環構造の1個以上の水素原子を置換し、独立に、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択されるか、あるいは、R8は、隣接する2個の原子に結合する水素原子を置換された、縮合シクロアルキル、置換縮合シクロアルキル、縮合複素環、置換縮合複素環基、縮合アリール、置換縮合アリール、縮合へテロアリールもしくは置換縮合へテロアリール環であり;かつ
Tは、式IVの2価の基であり:
−U−(CH2d−W−Y−Z−(CH2e− (IV)
(式中、dおよびeは、各々独立に、0、1、2、3、4もしくは5であり;YおよびZは、各々所望により存在し;Uは、−CR2122−、または−C(=O)−であり、式IのXと結合しており;W、YおよびZは、各々、−O−、−NR23−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR2425−、ZもしくはE配置の−CH=CH−、−C≡C−、または下記の環構造:
【化2】

(式中、G1およびG2は、各々独立に、共有結合、または−O−、−NR39−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR4041−、ZもしくはE配置の−CH=CH−、および−C≡C−からなる群から選択される2価の基であり;G1は基Uに最も近くで結合している;環中の任意の炭素原子は、別に定義されていなければ、所望によりNに置き換えられる(但し、この環はN原子を4個より多く含むことはできない);K1、K2、K3、K4およびK5は、各々独立に、O、NR42もしくはSであり、R42は下に定義される);
21およびR22は、各々独立に、水素、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、R21およびR22は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し、前記環は、所望により既に定義されたR8で置換され;
23、R39およびR42は、各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アミジノ、スルホニルもしくはスルホンアミドであり;
24およびR25は、各々独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、RAAであり、RAAは一般的もしくは珍しいアミノ酸の側鎖であるか、または、R24およびR25は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し;または、R24およびR25のうちの一方はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、メルカプト、カルバモイル、アミジノ、ウレイドもしくはグアニジノであり、もう一方は水素、低級アルキルもしくは置換低級アルキルであり(R24およびR25が結合している炭素も別のヘテロ原子と結合している場合は除く);
26は所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;
27は所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;
28、R29、R30、R32、R33、R34、R36およびR37は、各々所望により存在し、環中で結合している炭素原子に二重結合が存在しない場合、所望により2個の基が存在し、存在する場合、環に存在する1個の水素を置換し、または、環中で結合している炭素原子に二重結合が存在しない場合、環に存在する2個の水素原子のうちの1個または両方を置換し、各々は独立にアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミドおよび、結合している炭素原子に二重結合が存在する場合のみハロゲン、からなる群から選択され;
31、R35およびR38は、各々所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;かつ
40およびR41は各々独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、上記定義のRAAであるか、またはR40およびR41は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し、前記環は、所望により既に定義されたR8で置換された、あるいは、R40およびR41のうちの一方はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、メルカプト、カルバモイル、アミジノ、ウレイドもしくはグアニジノ、もう一方は水素、低級アルキルもしくは置換低級アルキルである(R40およびR41が結合している炭素も別のヘテロ原子と結合している場合は除く);
但し、Tは、アミノ酸残基、ジペプチド断片、トリペプチド断片または標準アミノ酸を含む高次ペプチド断片ではない。)
による化合物またはその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物に関する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、(a)本発明の化合物;および(b)製薬上許容される担体、賦形剤または希釈液を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、1種類以上の本発明の化合物の有効量を含む薬剤投与単位を含む1以上の容器を含み、オプションのその使用説明書とともに包装されているキットを提供する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、本発明の化合物の有効なGHS−R1a受容体活性調節量を投与するステップを含む、哺乳類においてGHS−R1a受容体活性を調節する方法を提供する。本発明のいくつかの態様によれば、化合物の有効なGHS−R1a受容体活性調節量は、有意な量の成長ホルモン放出をもたらさない。他の態様によれば、化合物は、グレリン受容体アンタゴニストまたはGHS−R1a受容体アンタゴニストである。さらにもう1つの態様では、化合物はグレリン受容体インバースアゴニストまたはGHS−R1a受容体インバースアゴニストである。本発明の別の態様によれば、化合物はグレリン受容体アンタゴニストでもあり、グレリン受容体インバースアゴニストでもあるか、またはGHS−R1a受容体アンタゴニストでもあり、GHS−R1a受容体インバースアゴニストでもある。
【0023】
本発明の態様は、さらに、代謝障害および/または内分泌障害、心血管疾患、遺伝子疾患、過剰増殖性障害および炎症性疾患などの疾患を予防および/または治療する方法に関する。
【0024】
本発明のさらなる態様は、式Iの化合物を作製する方法に関する。
【0025】
また、本発明は、本明細書に記載される疾患の予防および/または治療のための薬剤の調製に有用な式Iの化合物に関する。
【0026】
本発明の前述の態様および他の態様を下に述べる明細書においてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の前述の態様および他の態様を、これから本明細書に記載される他の実施形態に関してより詳細に説明する。当然のことながら、本発明は異なる形態で具体化することができ、本明細書において述べる実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0028】
本明細書において本発明の説明に用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本発明を限定することを意図としているのではない。本発明および添付の請求項の説明に用いられる単数形の「a」、「an」および「the」は、文中に別に明示されている場合を除いて、同様に複数形態も含むことを意図する。さらに、本明細書において、用語「および/または」には、1以上の関連する列挙項目の任意および全ての組合せが含まれ、「/」と略される。
【0029】
別に定義されていなければ、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0030】
本明細書において言及される全ての刊行物、米国特許出願、米国特許および他の参照文献は、参照によりその全文を本明細書に組み込む。
【0031】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、および場合によっては1〜8個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の飽和または部分的に不飽和の炭化水素基を指す。用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を指す。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、3−ヘキセニル、および2−ブチニルが挙げられる。「不飽和」は、1個、2個または3個の二重結合または三重結合、あるいはその2個の組合せが存在することを意味する。このようなアルキル基も所望により下に記載されるように置換されていてよい。
【0032】
下付文字を、本明細書において定義されるアルキルまたは他の炭化水素基に関して用いる場合、下付文字はその基が含有し得る炭素原子の数を指す。例えば、C2−C4アルキルは、2個、3個または4個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0033】
用語「シクロアルキル」は、環中に3〜15個、および場合によっては、3〜7個の炭素原子を有する飽和または部分的に不飽和の環状の炭化水素基、ならびに、前記環状の炭化水素基を含有するアルキル基を指す。シクロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、2−(シクロヘキシル)エチル、シクロヘプチル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。また、本明細書に定義されるシクロアルキルには、複数個の炭素環を有する基が含まれ、その各々は飽和または部分的に不飽和、例えばデカリニル(decalinyl)、[2.2.1]−ビシクロヘプタニルまたはアダマンタニルであってよい。このようなあらゆるシクロアルキル基は、所望により下に記載されるように置換されていてもよい。
【0034】
用語「芳香族」は、4n+2個(nは1以上の整数)の電子を含む共役π電子系を有する不飽和の環状の炭化水素基を指す。芳香族分子は一般に安定しており、交互二重結合および一重結合からなる共鳴構造を有する平面的な原子環として表され、例えばベンゼンまたはナフタレンである。
【0035】
用語「アリール」は、6〜15個、および場合によっては、6〜10個の環原子を有する単一の炭素環式環系または縮合炭素環式環系の芳香族基、ならびに、前記芳香族基を含有するアルキル基を指す。アリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびベンジルが挙げられる。また、本明細書に定義されるアリールには、複数個のアリール環を有する基が含まれ、その各々ナフチルおよびアントラセニルのように縮合していてもよく、またはビフェニルおよびテルフェニルのように縮合していなくてもよい。また、アリールとは、その環のうちの1つが芳香族であり、他方が飽和、部分的に不飽和または芳香族である二環式または三環式の炭素環、例えば、インダニルまたはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)も指す。このようなあらゆるアリール基は、所望により下に記載されるように置換されていてもよい。
【0036】
用語「複素環」または「複素環式」は、3〜15個、および場合によっては、3〜7個の原子を有する、飽和または部分的に不飽和の単環式、二環式または三環式の基であって、前記環のうちの少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子はO、SまたはNから選択される。複素環基の各環は、各環のヘテロ原子の合計数が4以下であり、各環が少なくとも1個の炭素原子を含むならば、1個または2個のO原子、1個または2個のS原子、1〜4個のN原子を含むことができる。二環式または三環式の複素環基を完成する縮合環は、炭素原子だけを含んでよく、飽和または部分的に不飽和であってよい。N原子およびS原子は所望により酸化されていてもよく、N原子は所望により四級化されていてもよい。複素環式は、前記単環式、二環式または三環式の複素環基を含有するアルキル基も指す。複素環の例としては、限定されるものではないが、2−または3−ピペリジニル、2−または3−ピペラジニル、2−または3−モルホリニルが挙げられる。このようなあらゆる複素環基は、所望により下に記載されるように置換されていてもよい。
【0037】
用語「ヘテロアリール」は、5〜15個、および場合によっては、5〜10個の環原子を有する単一または縮合環系の芳香族基であって、前記環のうちの少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、前記ヘテロ原子はO、SまたはNから選択される。ヘテロアリール基の各環は、各環のヘテロ原子の合計数が4以下であり、各環が少なくとも1個の炭素原子を含むならば、1個または2個のO原子、1個または2個のS原子、1〜4個のN原子を含むことができる。二環式または三環式の基を完成する縮合環は、唯一の炭素原子を含んでよく、飽和または部分的に不飽和または芳香族であってよい。窒素原子の孤立電子対が芳香族π電子系の完成に関与していない構造では、N原子は所望により四級化されるか、または酸化されてN−オキシドとなってよい。ヘテロアリールは、前記環状基を含有するアルキル基も指す。単環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、およびトリアジニルが挙げられる。二環式ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリル、およびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。三環式のヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、カルバゾリル、ベンゾインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、およびキサンテニルが挙げられる。このようなあらゆるヘテロアリール基は、所望により下に記載されるように置換されていてもよい。
【0038】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を指す。
【0039】
用語「アルコキシ」は、Raがアルキル、シクロアルキルまたは複素環である、−ORa基を指す。例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、tert−ブトキシ、シクロヘキシルオキシおよびテトラヒドロピラニルオキシが挙げられる。
【0040】
用語「アリールオキシ」は、Rbがアリールまたはヘテロアリールである、−ORb基を指す。例としては、限定されるものではないが、フェノキシ、ベンジルオキシおよび2−ナフチルオキシが挙げられる。
【0041】
用語「アシル」は、Rcがアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである、−C(=O)−Rc基を指す。例としては、限定されるものではないが、アセチル、ベンゾイルおよびフロイルが挙げられる。
【0042】
用語「アミノアシル」は、アミノ酸に由来するアシル基を表す。
【0043】
用語「アミノ」は、RdおよびReが独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、−NRde基を指す。あるいは、RdおよびReは一緒に、所望により非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0044】
用語「アミド」は、RfおよびRgが、独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、−C(=O)−NRfg基を指す。あるいは、RfおよびRgは一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0045】
用語「アミジノ」は、Rhが水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;かつ、RiおよびRjが独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される−C(=NRh)NRij基を指す。あるいは、RiおよびRjは一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0046】
用語「カルボキシ」は、−CO2H基を指す。
【0047】
用語「カルボキシアルキル」は、Rkがアルキル、シクロアルキルまたは複素環式である、−CO2k基を指す。
【0048】
用語「カルボキシアリール」は、Rmがアリールまたはヘテロアリールである、−CO2m基を指す。
【0049】
用語「シアノ」は、−CN基を指す。
【0050】
用語「ホルミル」は、−C(=O)H基を指し、−CHOとも示される。
【0051】
用語「ハロ」、「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、それぞれ、フルオロ、フッ素またはフッ化物、クロロ、塩素または塩化物、ブロモ、臭素または臭化物、およびヨード、ヨウ素またはヨウ化物を指す。
【0052】
用語「オキソ」は、同じ炭素上の2個の水素原子の代わりに置換されてカルボニル基を形成する、2価の=O基を指す。
【0053】
用語「メルカプト」は、Rnが水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである、−SRn基を指す。
【0054】
用語「ニトロ」は、−NO2基を指す。
【0055】
用語「トリフルオロメチル」は、−CF3基を指す。
【0056】
用語「スルフィニル」は、Rpがアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである、基−S(=O)Rpを指す。
【0057】
用語「スルホニル」は、Rq1がアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである、−S(=O)2−Rq1基を指す。
【0058】
用語「アミノスルホニル」は、Rq2が水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;かつ、Rq3がアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである、−NRq2−S(=O)2−Rq3基を指す。
【0059】
用語「スルホンアミド」は、RrおよびRsが独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される、−S(=O)2−NRrs基を指す。あるいは、RrおよびRsは一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0060】
用語「カルバモイル」は、Rtが水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールから選択され;かつRuがアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールから選択される、式−N(Rt)−C(=O)−ORuの基を指す。
【0061】
用語「グアニジノ」は、Rv、Rw、RxおよびRyが独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールから選択される、式−N(Rv)−C(=NRw)−NRxyの基を指す。あるいは、RxおよびRyは一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0062】
用語「ウレイド」は、Rz、RaaおよびRbbが独立に水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールから選択される、式−N(Rz)−C(=O)−NRaabbの基を指す。あるいは、RaaおよびRbbは、それらが各々結合している窒素原子と一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。
【0063】
用語「所望により置換されている」は、特定の基が、非置換であるか、または1個以上の適した置換基で置換されていることを明示的に示すことを意図するが、但し、任意選択の置換基が明記されている場合は除かれ、その場合にはこの用語は、基が非置換であるか、または指定された置換基で置換されていることを示す。上に定義されるように、本明細書において(例えば、特定の基が非置換であることを示すことにより)別に示した場合を除いて、多様な基が非置換であるか、または置換されていてもよい(すなわち、それらは所望により置換されている)。
【0064】
用語アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールとともに用いられる場合の用語「置換(されている)」とは、独立に、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、ハロ、オキソ、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノ、ウレイドおよび式−NRccC(=O)Rdd、−NReeC(=NRff)Rgg、−OC(=O)NRhhii、−OC(=O)Rjj、−OC(=O)ORkk、−NRmmSO2nn、または−NRppSO2NRqqrrの基(式中、Rcc、Rdd、Ree、Rff、Rgg、Rhh、Rii、Rjj、Rmm、Rpp、RqqおよびRrrは、独立に水素、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリールまたは非置換ヘテロアリールから選択され;かつRkkおよびRnnは、独立に非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリールまたは非置換ヘテロアリールから選択される)から選択される置換基によって1個以上の水素原子を置換されたアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール基を指す。あるいは、RggおよびRhh、RjjおよびRkkまたはRppおよびNRqqは、それらが各々結合している窒素原子と一緒に、所望により、非置換アルキル、非置換シクロアルキル、非置換複素環、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ、アミド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アミジノ、カルバモイル、グアニジノまたはウレイドで置換され、所望により、O、S、またはNから選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、3員〜8員の複素環を形成する。さらに、アリールおよびヘテロアリール基に対して用語「置換されている」とは、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルで水素原子のうちの1個を置換されたことが選択肢として含まれる。
【0065】
置換は、任意の原子の標準的な価数を超えない、置換によって安定な化合物となる、という場合になされる。一般に、基の置換された形態が存在する場合、そのような置換された基はさらに置換されない可能性があり、置換されるならば、その置換基は、置換された基をごく限られた数(例えばそのような置換基を1、2、3または4個)しか含まない。
【0066】
本明細書の任意の構成要素または任意の式の中に任意の変数が1回よりも多く出現する場合、各々の出現におけるその定義は他の全ての出現におけるその定義とは無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せの結果安定な化合物となる場合に限り許容される。
【0067】
「安定な化合物」または「安定な構造」は、有用な程度の純度に単離し、有効な治療薬に処方するのに十分に安定な化合物を意味するものである。
【0068】
用語「アミノ酸」は、当業者に既知の、通常の天然(遺伝子によってコードされた)アミノ酸または合成アミノ酸およびそれらの通常の誘導体を指す。アミノ酸に用いられる場合、「標準」または「タンパク質構成」とは、遺伝子によってコードされた、それらの天然の立体配置の20種類のアミノ酸を指す。同様に、アミノ酸に用いられる場合、「非天然」または「異常」とは、天然でない、稀なアミノ酸または合成アミノ酸、例えば、Hunt,S.in Chemistry and Biochemistry of the Amino Acids,Barrett,G.C.,Ed.,Chapman and Hall:New York,1985に記載されているものなどの広い選択を指す。
【0069】
アミノ酸またはアミノ酸誘導体に関して用語「残基」は、式:
【化3】

(式中、RAAは、アミノ酸側鎖であり、この場合n=0、1または2である)
の基を指す。
【0070】
ジペプチド、トリペプチドまたは高次ペプチド誘導体に関して用語「断片」は、それぞれ2個、3個以上のアミノ酸残基を含む基を示す。
【0071】
用語「アミノ酸側鎖」は、標準または非天然アミノ酸の任意の側鎖を指し、RAA−で示される。例えば、アラニンの側鎖はメチルであり、バリンの側鎖はイソプロピルであり、トリプトファンの側鎖は3−インドリルメチルである。
【0072】
用語「アゴニスト」は、タンパク質、受容体、酵素などの内因性リガンドの効果の少なくともいくらかを再現する化合物を指す。
【0073】
用語「アンタゴニスト」は、タンパク質、受容体、酵素などの内因性リガンドの効果の少なくともいくらかを阻害する化合物を指す。
【0074】
用語「インバースアゴニスト」は、タンパク質、受容体、酵素などのベースラインの機能活性、例えばGタンパク質共役型受容体またはその変異体の構成性シグナル伝達活性を少なくともある程度低下させる化合物を指す。インバースアゴニストはアンタゴニストでもあり得る。
【0075】
用語「ベースライン機能活性」は、タンパク質、受容体、酵素などの活性を指し、内因性リガンドの不在下の構成性シグナル伝達活性が含まれる。
【0076】
用語「成長ホルモン分泌促進物質(GHS)」は、動物、特にヒトにおいて成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、またはソマトスタチンの内因性放出を直接的または間接的に刺激または増加させる、体外から投与される化合物または薬剤を指す。GHSは、事実上ペプチド性であっても非ペプチド性であってもよく、経口的に投与できる薬剤と一緒であるのが好ましい。さらに、拍動性の応答を誘導する薬剤が好ましい。
【0077】
用語「調節剤」は、生物学的または化学的プロセスまたは機構に効果を与える化合物を指す。例えば、調節剤は、生物学的または化学的プロセスまたは機構を増加、促進、上方制御、活性化、阻害、低下、遮断、抑制、遅延、脱感作、不活性化、下方制御などをすることができる。従って、調節剤は「アゴニスト」、「アンタゴニスト」または「インバースアゴニスト」であり得る。調節剤の影響を受ける例示的な生物学的プロセスまたは機構としては、限定されるものではないが、受容体結合およびホルモン放出または分泌が挙げられる。調節剤の影響を受ける例示的な化学的プロセスまたは機構としては、限定されるものではないが、触媒作用および加水分解が挙げられる。
【0078】
受容体に用いられる場合の用語「変異体」は、二量体、三量体、四量体、五量体および、複数成分を含有するその他の生物学的複合体を含むものとする。これらの成分は同一であっても異なっていてもよい。
【0079】
用語「ペプチド」は、ともに共有結合している2種類以上のアミノ酸からなる化合物を指す。
【0080】
用語「ペプチド模倣薬」は、ペプチドを模倣するよう設計された化合物を指すが、活性またはその他の特性、例えば溶解度、代謝安定性、経口バイオアベイラビリティ、親油性、透過性、などを調節するため、ペプチドの1以上の官能基の付加または置換による構造上の差異を含む。これには、ペプチド結合の置換、側鎖修飾、末端切断、官能基の付加などが含まれる。化学構造がペプチドから導かれたものではなく、その活性を模倣する場合、それはしばしば「非ペプチド性ペプチド模倣薬」と呼ばれる。
【0081】
用語「ペプチド結合」は、一般にペプチドにおいて個々のアミノ酸と互いに共有結合しているアミド[−C(=O)−NH−]官能基を指す。
【0082】
用語「保護基」は、分子の他の場所で化学変化が起っている間、アミン、ヒドロキシルまたはカルボキシルなど、潜在的に反応性の官能基が化学反応を受けることを防ぐために用いられ得る任意の化合物を指す。多数のこのような保護基が当業者に既知であり、「Protective Groups in Organic Synthesis,」Theodora W.Greene and Peter G.Wuts,editors,John Wiley & Sons,New York,3rd edition,1999 [ISBN 0471160199]に例を見出すことができる。アミノ保護基の例としては、限定されるものではないが、フタルイミド、トリクロロアセチル、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、およびアダマンチルオキシカルボニルが挙げられる。好ましいアミノ保護基は、アミノ基と結合するとカルバメートを形成するアミノ保護基と定義される、カルバメートアミノ保護基である。好ましいアミノカルバメート保護基は、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)およびα,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル(Ddz)である。最新の窒素保護基の最近の考察は:Theodoridis,G.Tetrahedron 2000,56,2339−2358。ヒドロキシル保護基の例としては、限定されるものではないが、アセチル、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリチル(Trt)、tert−ブチル、およびテトラヒドロピラニル(THP)が挙げられる。カルボキシル保護基の例としては、限定されるものではないが、メチルエステル、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、および2,2,2−トリクロロエチルエステルが挙げられる。
【0083】
用語「固相化学」は、化学反応のうちの1種類の成分が、(下に定義される固相支持体として)高分子材料と共有結合している化学反応の行為を指す。固相で化学を行うための反応方法が広く知られてきており、ペプチドおよびオリゴヌクレオチド化学の伝統的な分野の外で確立されている。
【0084】
用語「固相支持体」「固相」または「樹脂」は、固相化学の実施に利用される、力学的に、かつ化学的に安定な高分子マトリックスを指す。これは、「樹脂」「p−」または次の記号:
【化4】

によって表示される。
【0085】
適切な高分子材料の例としては、限定されるものではないが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンにグラフトまたは共有結合されたポリエチレングリコール(PEG−ポリスチレン、TentaGel(商標)とも呼ばれる、Rapp,W.;Zhang,L.;Bayer,E.In Innovations and Persepctives in Solid Phase Synthesis.Peptides,Polypeptides and Oligonucleotides;Epton,R.,Ed.;SPCC Ltd.:Birmingham,UK;p 205)、ポリアクリレート(CLEAR(商標))、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、PEGA[ポリエチレングリコールポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)共重合体、Meldal,M.Tetrahedron Lett.1992,33,3077−3080]、セルロースなどが挙げられる。これらの材料には、所望により、構造を力学的に安定化させるために、さらなる化合物を含めて架橋結合を形成することができ、例えばジビニルベンゼンと架橋しているポリスチレン(DVB、通常0.1〜5%、または0.5〜2%)である。この固相支持体には、限定されない例として、アミノメチルポリスチレン、ヒドロキシメチルポリスチレン、ベンズヒドリルアミンポリスチレン(BHA)、メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)ポリスチレン、およびその他の遊離化学官能基、最も一般的には、さらなる誘導体化または反応のための−NH2または−OH、を含む高分子骨格が含まれる。この用語は、ポリエチレンイミンおよび架橋分子から調製したものなど、これらの官能基を高い割合で含む(「搭載している」)「超樹脂」を含むものとする(Barth,M.;Rademann,J.J.Comb.Chem.2004,6,340−349)。合成の終わりに、樹脂は一般に廃棄されるが、Frechet,J.M.J.;Haque,K.E.Tetrahedron Lett.1975,16,3055に見られるものなど、再利用できることが示されているものもある。
【0086】
概して、樹脂として用いられる材料は不溶性の高分子であるが、ある種の高分子は溶媒に応じて異なる溶解度を有し、固相化学にも用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールは、化学反応を行うことのできる多くの有機溶媒に可溶性であるが、ジエチルエーテルなどの他の溶媒には不溶性であるため、この方法で利用することができる。故に、反応を溶液中で均一に行うことができ、その後、高分子上の生成物はジエチルエーテルを添加すると沈殿し、固体として処理することができる。これは、「液相」化学と呼ばれている。
【0087】
固相化学に関して用いられる用語「リンカー」は、一般に固相支持体から基質の放出(切断)を可能にするため、固相支持体と共有結合し、支持体と基質との間に付着する化学基を指す。しかし、リンカーは、固相支持体との結合の安定性を付与するために、または稀にスペーサー分子として用いることもできる。多くの固相支持体が、リンカーが既に付着した状態で市販されている。
【0088】
アミノ酸に用いる略語およびペプチドの命名は、J.Biol.Chem.1972,247,977−983のIUPAC−IUB生化学命名法委員会の規則に従う。この文書は改正されている:Biochem.J.,1984,219,345−373;Eur.J.Biochem.,1984,138,9−37;1985,152,1;Int.J.Pept.Prot.Res.,1984,24,以下p 84;J.Biol.Chem.,1985,260,14−42;Pure Appl.Chem.,1984,56,595−624;Amino Acids and Peptides,1985,16,387−410;and in Biochemical Nomenclature and Related Documents,2nd edition,Portland Press,1992,pp 39−67。この規則の拡張が、JCBN/NC−IUBニュースレター1985、1986、1989に発表されていた;Biochemical Nomenclature and Related Documents,2nd edition,Portland Press,1992,pp 68−69参照。
【0089】
用語「有効量」または「効果的」は、臨床試験および評価、患者の観察などから気付く疾病または疾患の症状の軽減をもたらす用量、および/または、関連する機構またはプロセスに関して当業者によって検出される生物学的変化または化学活性をもたらす用量を指定することを意図する。当分野で一般に理解されているように、投薬量は投与経路、症状および患者の体重に応じても変動するが、投与される化合物に応じても変動する。
【0090】
2種類以上の化合物の「併用」投与は、2種類の化合物が、一方の存在が他方の生物学的効果を変えるのに十分近い時間で投与されることを意味する。2種類の化合物は、同時(一斉に)にまたは連続的に投与してよい。同時投与は、投与前に化合物を混合することによって行うか、または化合物を同じ時点で、しかし異なる解剖学的部位に、または異なる投与経路を用いて投与することによって行うことができる。本明細書において用いられる「併用投与」、「組合せ投与」、「同時投与」または「同時に投与される」という語句は、化合物が同じ時点で、または互いに直後に投与されることを意味する。後者の場合、2種類の化合物は、それらの化合物が同じ時点で投与される場合に達成される結果と区別がつかないほど十分に近い時点で投与される。
【0091】
用語「薬学的に活性な代謝物」は、特定の化合物の、身体の代謝を経て作り出された薬理学的に活性のある生成物を意味することを意図する。
【0092】
用語「溶媒和物」は、特定の化合物の、そのような化合物の生物学的有効性を保持する、製薬上許容される溶媒和物形態を意味することを意図する。溶媒和物の制限されない例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。
【0093】
1.化合物
本発明の新規な大環状化合物には、式I:
【化5】

(式中の置換基は上に記載されている)の化合物、またはその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、R3はHであり;R4は、−CR43a43b(OR44)( 式中、R43aおよびR43bが、各々独立に、水素、低級アルキルまたは置換低級アルキルであり、R44が、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはアシルである)であり;R7は、水素または低級アルキルである。
【0095】
他の実施形態では、化合物は次の構造:
【化6A】

【化6B】

【化6C】

【化6D】

【化6E】

【化6F】

【化6G】

【化6H】

【化6I】

【化6J】

【化6K】

【化6L】

【化6M】

【化6N】

のいずれか、またはそれらの光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物であり得る。
【0096】
本発明には、単離された化合物が含まれる。単離された化合物とは、いくつかの実施形態において、混合物の化合物を少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも70%含む化合物を指す。いくつかの実施形態では、該化合物、その製薬上許容される塩または該化合物を含有する医薬組成物は、生物学的検定法においてヒトグレリン受容体で試験した場合に、統計上有意な結合活性および/またはアンタゴニスト活性を示す。
【0097】
化合物、塩、または固体の溶媒和物の場合、本発明の化合物、塩、および溶媒和物が異なる結晶または多形相で存在し得ることが当業者には理解され、それら全てが本発明および明記された式の範囲内にあるものとされる。
【0098】
本明細書において開示される式Iの化合物は、不斉中心を有する。本発明の化合物は、単一の立体異性体、ラセミ化合物、ならびに/またはエナンチオマーおよび/もしくはジアステレオマーの混合物として存在し得る。そのような単一の立体異性体、ラセミ化合物、およびその混合物は全て本発明の範囲内にあるものとされる。しかし、本発明の化合物は、光学的に純粋な形態で用いられる。本明細書において用いられる用語「S」および「R」立体配置は、IUPAC 1974、セクションE、立体化学の基本についての勧告により定義されている(Pure Appl.Chem.1976,45,13−30.)。
【0099】
特定の配向であると別に表現されなければ、本発明は、全ての立体異性形を説明する。化合物は、単一の立体異性体または立体異性体の混合物として調製してよい。合成によるか分割によって非ラセミ体を得てもよい。化合物は、例えば、標準法、例えば塩形成によるジアステレオマー対の形成により、成分エナンチオマーに分割され得る。また、化合物をキラル部分と共有結合させることにより分割してもよい。その後、クロマトグラフ分離および/または結晶学的分離によりジアステレオマーを分割することができる。キラルの補助部分の場合、次にそれを取り除けばよい。別の方法として、キラルクロマトグラフィーを用いて化合物を分割してもよい。特定の場合には酵素による方法の分割を用いてもよい。
【0100】
当業者に一般に理解されるように、「光学的に純粋な」化合物は、単一のエナンチオマーしか含まない化合物である。本明細書において、用語「光学活性」とは、混合物が平面偏光を回転させるのに少なくとも十分に、他のエナンチオマーに対して過剰な1種類のエナンチオマーを含む化合物を意味するものとする。エナンチオマー過剰率(e.e.)は、一方のエナンチオマーの他のエナンチオマーに対する過剰度を示す。光学活性化合物は、偏光面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を説明する際、接頭語のDおよびLまたはRおよびSは、分子のキラル中心に関する絶対配置を示すために用いられる。接頭語 「d」および「l」または(+)および(−)は、化合物の旋光度(すなわち、光学活性化合物により偏光面が回転する方向)を示すために用いられる。「l」または(−)接頭語は化合物が左旋性である(すなわち偏光面を左または反時計回りに回転させる)ことを示し、「d」または(+)接頭語は化合物が右旋性である(すなわち偏光面を右または時計回りに回転させる)ことを示す。旋光度のサインである、(−)および(+)は、分子の絶対配置、RおよびSとは関連しない。
【0101】
所望の薬理学的特性を有する本発明の化合物は、光学的に活性であり、少なくとも90%(e.e.80%)、少なくとも95%(e.e.90%)、少なくとも97.5%(e.e.95%)または少なくとも99%(e.e.98%)の単一の異性体からなる。
【0102】
同様に、二重結合などの多くの幾何異性体も、本明細書に開示される化合物中に存在することができ、そのような全ての安定な異性体は、特に断りのない限り本発明の範囲に含まれる。また、互変異性体および式Iの回転異性体も本発明に含まれる。
【0103】
右の次の記号
【化7】

を使用する場合は、示された環の1以上の水素原子が、定義された置換基Rで置換されていることを示す。
【0104】
次の記号
【化8】

を使用する場合は、一重結合または任意選択の二重結合を示す。
【0105】
本発明の実施形態は、さらに、式Iの化合物を提供するために本明細書に記載される合成法によって生成した中間体化合物を提供する。中間体は、治療薬および/またはさらなる合成法および反応のための試薬として有用性を有し得る。
【0106】
2.合成法
式Iの化合物は、従来の溶液合成技術または固相化学法を用いて合成することができる。いずれの場合でも、構築には4つの局面を伴う。第1は、生物学的標的受容体の認識要素に加えて主として立体構造の制御および定義のための1つのテザー(tether)部分を含むビルディングブロックの合成である。これらのビルディングブロックを、標準的な化学変換を用いる第2の局面で、一般に連続して一堂に構築する。次に、第3の段階で構築の前駆体を環化させて大環状構造を得る。最後に、保護基の除去および任意選択の精製を含む環化後の処理を行う第4段階により所望の最終化合物がもたらされる。この一般的な種類の大環状構造の合成法は、国際特許出願WO 01/25257号、WO 2004/111077号、WO 2005/012331号、WO 2005/012332号、WO 2006/009645号およびWO 2006/009674号に記載され、WO 2004/111077号およびWO 2005/012331号に記載される精製手順も含まれる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態において、式Iの大環状化合物は、既に定義されたように可溶性または不溶性の高分子マトリックスでの固相化学を用いて合成してよい。固相化学のためには、最初のビルディングブロックの樹脂への付着(「搭載」とも称される)を含む準備段階を行わなければならない。本発明に優先的に利用される樹脂はリンカー部分、Lと付着している。これらのリンカーは、エステルまたはアミド結合の形成のために開発された多数の反応条件のうちのいずれかなど、当分野で既知の標準的な反応法によってベース樹脂上の適切な遊離化学官能基、通常アルコールまたはアミンと結合するが、他の官能基も可能である。本発明のためのリンカー部分の中には、一般に「環化−放出」と呼ばれる方法において、大環状高分子の形成とともに樹脂からの同時切断を可能にさせるよう設計されたものもある。(van Maarseveen,J.H.Solid phase synthesis of heterocycles by cyclization/cleavage methodologies.Comb.Chem.High Throughput Screen.1998,1,185−214;Ian W.James,Linkers for solid phase organic synthesis.Tetrahedron 1999,55,4855−4946;Eggenweiler,H.−M.Linkers for solid−phase synthesis of small molecules:coupling and cleavage techniques.Drug Discovery Today 1998,3,552−560;Backes,B.J.;Ellman,J.A.Solid support linker strategies.Curr.Opin.Chem.Biol.1997,1,86−93. Of particular utility in this regard for compounds of the invention is the 3thiopropionic acid linker.Hojo,H.;Aimoto,S.Bull.Chem.Soc.Jpn.1991,64,111−117;Zhang,L.;Tam,J.J.Am.Chem.Soc.1999,121,3311−3320.)
【0108】
このような方法により、溶液相で発生するものと同程度に固相支持体から環状生成物しか放出されず、直鎖前駆体の混入が最小限である高純度の材料がもたらされる。エステルまたはアミド結合の形成のための既知または標準的な反応化学を用いる、全てのビルディングブロックおよびテザーの直鎖前駆体への順次構築の後、テザービルディングブロックの一部である適切な求核性官能基による、このリンカーと結合したカルボニルでの塩基に媒介される分子内攻撃の結果、示されるように、環状構造を完成させるアミドまたはエステル結合が形成される(スキーム1)。より大規模な適用に好ましいと思われる、溶液相に適合した類似の方法論を適用することもできる。
【0109】
スキーム1.環化放出戦略
【化9】

この説明は、本発明の方法の1つ、チオエステル戦略のための経路を的確に表しているが、本発明の別の方法である、閉環メタセシス(RCM)は、テザー成分が環化ステップ中に実際に構築される、改変された経路を進む。しかし、RCMの方法論も同様にビルディングブロックの構築が順次進行し、その後に環化(固相の場合はさらに樹脂からの放出)が続く。RCM反応の特定の副生成物を除去するためにはさらなる環化後の処理ステップが必要であるが、残ったその後の処理はチオエステルまたは類似の塩基に媒介される環化戦略の方法と同じ方法でなされる。
【0110】
さらに、本明細書において提供される方法を含むステップが独立に行われるか、または少なくとも2つのステップが組み合わせられることは、当然理解される。さらに、本明細書において提供される方法を含むステップが独立にまたは組み合わせて実施される場合、本発明の教示から逸脱することなく、同じ温度で行われても、または異なる温度で行われてもよい。
【0111】
従って、本発明は、(a)ビルディングブロック構造を構築するステップ、(b)ビルディングブロック構造を化学的に変換するステップ、(c)テザー成分を含むビルディングブロック構造を環化するステップ、(d)ビルディングブロック構造から保護基を除去するステップ、および(e)所望により、ステップ(d)で得た生成物を精製するステップを含む、本発明の化合物を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ビルディングブロック構造の構築は連続的であり得る。さらなる実施形態では、従来の溶液合成技術または固相化学技術を用いてこの合成法が実施される。
【0112】
A.アミノ酸
アミノ酸、Boc−およびFmoc−保護されたアミノ酸ならびにN−メチルアミノ酸および非天然アミノ酸の側鎖保護誘導体を含む、側鎖保護誘導体は、市販の供給業者[例えば、Advanced ChemTech(Louisville,KY,USA)、Astatech(Princeton,NJ,USA)、Bachem(Bubendorf,Switzerland)、ChemImpex(Wood Dale,IL,USA)、Novabiochem(Merck KGaA,Darmstadt,Germanyの子会社)、PepTech(Burlington,MA,USA)、Synthetech(Albany,OR,USA)]から得るか、または当業者に既知の標準法によって合成した。Ddz−アミノ酸は、Orpegen(Heidelberg,Germany)またはAdvanced ChemTech(Louisville,KY,USA)から商業的に得るか、あるいはDdz−OPhまたはDdz−N3を利用する標準法を用いて合成した。(Birr,C.;Lochinger,W.;Stahnke,G.;Lang,P.The α,α−dimethyl−3,5−dimethoxybenzyloxycarbonyl(Ddz)residue,an N−protecting group labile toward weak acids and irradiation.Justus Liebigs Ann.Chem.1972,763,162−172.)Bts−アミノ酸は既知の方法で合成した。(Vedejs,E.;Lin,S.;Klapara,A.;Wang,J.「Heteroarene−2−sulfonyl Chlorides(BtsCl,ThsCl):Reagents for Nitrogen Protection and >99% Racemization−Free Phenylglycine Activation with SOCl2.」J.Am.Chem.Soc.1996,118,9796−9797;また、WO 01/25257号、WO 2004/111077号)。N−アルキルアミノ酸、特に、N−メチルアミノ酸は、複数のベンダー(Bachem、Novabiochem、Advanced ChemTech、Chemhnpex)から市販されている。さらに、N−アルキルアミノ酸誘導体は、文献記載の方法によって利用した。(Hansen,D.W.,Jr.;Pilipauskas,D.J.Org.Chem.1985,50,945−950.)アロトレオニンおよびβ−ヒドロキシバリンは既知の手順によって合成することができる(Shao,H.;Goodman,M.An Enantiomeric Synthesis of allo−Threonines and β−Hydroxyvalines.J.Org.Chem.1996,61,2582;Blaskovich,M.A.;Evindar,G.;Rose,N.G.W.;Wilkinson,S.;Luo,Y.;Lajoie,G.A.Stereoselective Synthesis of Threo and Erythro β−Hydroxy and β−Disubstituted−β−Hydroxy α−Amino Acids.J.Org.Chem.1998,63,3631;Dettwiler;J.E.Lubell,W.D.Serine as Chiral Educt for the Practical Synthesis of Enantiopure N−Protected β−Hydroxyvaline.J.Org.Chem.2003,68,177−179.)。β−メチルフェニルアラニンおよびβ−メチルチロシンのキラル異性体は、文献記載の方法を用いて利用することができる。(Dharanipragada,R.;Van Hulle,K.;Bannister,A.;Bear,S.;Kennedy,L.;Hruby,V.J.Asymmetric Synthesis of Unusual Amino Acids:An Efficient Synthesis of Optically Pure Isomers of β−Methylphenylalanine.Tetrahedron 1992,48,4733−4748;Nicolas,E.;Russell,K.C.;Knollenberg,J.;Hruby,V.J.Efficient Method for the Total Asymmetric Synthesis of the Isomers of β−Methyltyrosine.J.Org.Chem.1993,59,7565−7571.)L−トレオニン(2S,3S)のアロ異性体の取り込みも、天然物ウスチロキシンDの合成に用いられる同様の形質転換に基づく、化合物509に関して図2に示される合成手順を用いて、syn−L−異性体(2S,3R)から達成され得る。(Wandless,T.J.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,115,6864−6865.)
【0113】
B.テザー
テザーは、既に国際特許出願WO 01/25257号、WO 2004/111077号、WO 2005/012331号、WO 2006/009645号、およびWO 2006/009674号に記載される方法から得た。例示的なテザー(T)としては、限定されるものではないが、次のもの:
【化10】

(式中、(Z2)は、TのZ2に対する共有結合の部位であり、Z2は上に定義され、(X)はTのXに対する共有結合の部位であり、Xは上に定義され、;L7は、−CH2−または−O−であり;U1およびU3は、各々独立に、−CR101102−または−C(=O)−であり;U2は、−CR101102−であり;R100は、低級アルキルであり;R101およびR102は各々独立に、水素、低級アルキルまたは置換低級アルキルであり;xxは2または3であり;yyは1または2であり;zzは1または2であり;さらにaaaは0または1である)およびその製造の際の中間体が挙げられる。
【0114】
C.固相および溶液相技術
本発明の大環状化合物の合成のための具体的な固相技術は、WO 01/25257号、WO 2004/111077号、WO 2005/012331号およびWO 2005/012332号に記載されている。より大規模な製造に従う方法を含む、溶液相合成経路は、国際特許出願公開WO 2006/009645号およびWO 2006/009674号に記載された。
【0115】
特に、本発明の大環状化合物は、図3の代表的な化合物502に関して図解される溶液相手順を用いて作製することができる。本発明の代表的な化合物の合成収量は表1に示される。
【0116】
【表1A】

【表1B】

【0117】
D.分析手法
本発明の大環状化合物の特性決定のための具体的な分析技術はWO 01/25257号、WO 2004/111077号、WO 2005/012331号およびWO 2005/012332号に記載されている。
【0118】
本発明の代表的な化合物のいくつかに関する分析データを表2にまとめる。
【0119】
【表2】

【0120】
3.生物学的方法
本発明の化合物を、下の実施例に記載の競合放射性リガンド結合アッセイ、蛍光アッセイまたはエクオリン機能アッセイを利用してヒトグレリン受容体で相互作用するそれらの能力について評価した。このような方法は、所望であれば、多くの化合物の同時評価を可能にする高処理法で実施することができる。
【0121】
ヒト(GHS−R1a)、ブタおよびラットGHS受容体(米国特許第6,242,199号、国際特許出願第WO 97/21730号および第97/22004号)、およびイヌGHS受容体(米国特許第6,645,726号)のための具体的なアッセイ方法、ならびに一般にアゴニストおよびアンタゴニストを同定する際のそれらの使用が既知である。
【0122】
機能的グレリンアンタゴニストは、WO 2005/114180に記載される方法を利用して同定することができるが、受容体のインバースアゴニストは、WO 2004/056869号の方法を用いてアッセイすることができる。
【0123】
ヒトグレリン受容体で相互作用する本発明の化合物の機能活性を判定する適切な方法も、下の実施例に記載されている。
【0124】
本発明の化合物のインビボ有効性は、例えば、肥満症の動物モデル、例えば文献に記載されているもの(WO 2004/056869号;Nakazato,M.;Murakami,N.;Date,Y.;et al.A role for ghrelin in the central regulation of feeding.Nature 2001,409,194−198;Murakami,N.;Hayashida,T.;Kuroiwa,T.;et al.Role for central ghrelin in food intake and secretion profile of stomach ghrelin in rats.J.Endocrinol.2002,174,283−288;Asakawa,A.;Inui,A.;Kaga,T.;et al.Antagonism of ghrelin receptor reduces food intake and body weight gain in mice.Gut 2003,52,947−952;Sun,Y.;Ahmed,S.;Smith,R.G.Deletion of ghrelin impairs neither growth nor appetite.Mol.Cell Biol.2003,23,7973−7981;Wortley,K.E.;Anderson,K.D.;Garcia,K.;et al.Genetic deletion of ghrelin does not decrease food intake but influences metabolic fuel preferences.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2004,101,8227−8232;Halem,H.A.;Taylor,J.E.;Dong,J.Z.;Shen,Y.;Datta,R.;Abizaid,A.;Diano,S.;Horvath,T.;Zizzari,P.;Bluet−Pajot,M.−T.;Epelbaum,J.;Culler,M.D.Novel analogs of ghrelin:physiological and clinical implications.Eur.J.Endocrinol.2004,151,S71−S75;Helmling,S.;Maasch,C.;Eulberg,D.;et al.Inhibition of ghrelin action in vitro and in vivo by an RNA−Spiegelmer.Proc.Natl.Acad.Sci USA 2004,101,13174−13179;Shearman,L.P.;Wang,S.P.;Helmling,S.;et al.Ghrelin neutralization by a ribonucleic acid−SPM ameliorates obesity in diet−induced obese mice.Endocrinology 2006,147,1517−1526)を用いて説明することができる。
【0125】
4.医薬組成物
本発明の大環状化合物または本発明に従うその薬理学的に許容される塩は、多様な投与形の医薬組成物へ処方することができる。本発明の医薬組成物を調製するため、有効成分として、光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物またはそれらの立体化学混合物を含む1種類以上の化合物、あるいはその製薬上許容される塩を当業者に既知の医薬製剤技術に従って、適切な担体および添加剤と密に混合する。
【0126】
製薬上許容される塩とは、本発明の化合物の医薬品としての使用または処方を可能にするための、本発明の化合物の塩形態を指し、この塩形態は、生物学的にまたは別の点で望ましくないものではない、特定の化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性を保持する。そのような塩の例は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wermuth,C.G.and Stahl,P.H.(eds.),Wiley−Verlag Helvetica Acta,Zuerich,2002 [ISBN 3−906390−26−8]に記載されている。そのような塩の例としては、アルカリ金属塩ならびに遊離酸および塩基の付加塩が挙げられる。製薬上許容される塩の例としては、限定されないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート類、ヘキシン−1,6−ジオエート類、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。
【0127】
本発明の化合物が塩基である場合、望ましい塩は、無機酸、例えば、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸などでの遊離塩基の処理、あるいは、限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸などのピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、クエン酸または酒石酸などのα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸または桂皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸などのスルホン酸、または同種類のものを含む有機酸での処理を含む、当業者に既知の任意の適した方法によって調製してよい。
【0128】
本発明の化合物が酸である場合、望ましい塩は、アミン(第1級、第2級、もしくは第3級)などの無機または有機塩基;アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物などの遊離酸の処理を含む、当分野に既知の任意の適した方法によって調製してよい。適した塩の説明となる例としては、グリシン、リシンおよびアルギニンなどのアミノ酸由来の有機塩;アンモニア;エチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、コリン、およびプロカインなどの第1級、第2級、および第3級アミン、ならびにピペリジン、モルホリン、およびピペラジンなどの環状アミン;ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウム由来の無機塩が挙げられる。
【0129】
このような医薬組成物に用いられる担体および添加剤は、予測される投与様式に応じて種々の形態をとり得る。従って、経口投与用の組成物は、例えば、デンプン、糖、結合剤、希釈液、造粒剤、滑沢剤、崩壊剤などである、適した担体および添加剤を含む、固体製剤、例えば錠剤、糖衣錠、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、粉剤などであってよい。錠剤およびカプセル剤は、それらの使いやすさと患者の服薬率の高さのため、多くの医学的状態に最も有利な経口投与形を代表する。
【0130】
同様に、液体製剤のための組成物としては、水、アルコール、オイル、グリコール、防腐剤、香味剤、着色剤、沈殿防止剤などである、適した担体および添加剤を含む、溶液、エマルジョン、分散液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。一般的な非経口投与用の製剤は、有効成分を、滅菌水またはポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油またはゴマ油を含む、非経口的に許容されるオイルなどの担体とともに含み、溶解度または保存を助けるための他の添加剤を含めてもよい。溶液の場合、それを凍結乾燥して粉末とした後、使用直前に再構成することができる。分散液および懸濁液には、適切な担体および添加剤としては、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩またはオイルが挙げられる。
【0131】
本発明の実施形態に従う医薬組成物としては、経口、直腸、局所、吸入(例えば、エアゾールにより)、口内(例えば、舌下)、膣、局所(すなわち、気道表面を含む、皮膚および粘膜表面の両方)、経皮投与、および非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、関節内の、胸膜内、腹腔内、くも膜下腔内、大脳内、頭蓋内、動脈内、または静脈内)投与に適したものが挙げられるが、いずれの所与の場合にも最も適した経路は治療される状態の性質および重篤度、および用いられる特定の活性物質の性質に依存する。
【0132】
注射用組成物には、有効成分が、プロピレングリコール−アルコール−水、等張水、注射用滅菌水(USP)、emulPhor(商標)−アルコール−水、cremophor−EL(商標)または当業者に既知の他の適した担体を含む適した担体とともに含まれる。これらの担体は単独で用いても、あるいは、他の従来型の可溶化剤、例えばエタノール、プロピレングリコール、または当業者に既知の他の物質などと組み合わせてもよい。
【0133】
本発明の大環状化合物が溶液または注射の形態で適用される場合、化合物は、任意の従来型の希釈液に溶解または懸濁して用いることができる。希釈液としては、例えば、生理食塩水、リンゲル液、グルコース水溶液、デキストロース水溶液、アルコール、脂肪酸エステル、グリセロール、グリコール、植物または動物起源に由来するオイル、パラフィンなどが挙げられる。これらの製剤は、従来の当業者に既知の任意の方法に従って調製してよい。
【0134】
鼻腔投与用の組成物は、エアゾール、液滴、粉末およびゲルとして処方され得る。エアゾール剤形は、一般に、有効成分の生理的に許容される水性もしくは非水性溶媒中の溶液または微細な懸濁液を含む。このような製剤形態は、一般に密封容器中の滅菌形態の単回または複数回用量で提示される。この密封容器は噴霧装置と使用するためのカートリッジまたはレフィルであり得る。あるいは、この密封容器は、単一回使用の鼻腔吸入器、ポンプ噴霧器または中身を完全に使ってしまうと廃棄される、治療上有効量を送達するよう設定された絞り弁のついたエアゾールディスペンサーなどの単位分注器であってよい。投薬形態にエアゾールディスペンサーが含まれる場合、それには圧縮ガスなどの噴射剤、例として空気、またはフルオロクロロ炭化水素またはフルオロ炭化水素を含む有機噴射剤が含まれる。
【0135】
口内または舌下投与に適した組成物としては、有効成分が、糖およびアラビアガム、トラガカントガムまたはゼラチンおよびグリセリンなどの担体と処方されている、錠剤、トローチ剤および香錠が挙げられる。
【0136】
直腸投与用の組成物としては、カカオバターなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤が挙げられる。
【0137】
経皮投与に適した組成物としては、軟膏、ゲルおよびパッチが挙げられる。
【0138】
硬膏剤などの、当業者に既知の他の組成物も経皮投与または皮下に適用することができる。
【0139】
さらに、組成物の処方に必要な成分と混合した有効成分を含む医薬組成物の調製には、その他の従来の薬理学的に許容される添加剤、例えば、賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、香味剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤などを組み込んでもよい。添加剤として、例えば、デンプン、スクロース、フルクトース、ラクトース、グルコース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、沈降炭酸カルシウム、結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、アラビアガム、EDTA、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが言及され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤またはカプセル剤などの単位投与形で提供される。
【0141】
さらなる実施形態では、本発明は、1種類以上の本発明の化合物の有効量を含む薬剤投与単位を含む1つ以上の容器を含むキットを提供する。
【0142】
本発明は、さらに本明細書に記載される化合物を含むプロドラッグを提供する。用語「プロドラッグ」とは、生理的条件下で、または可溶媒分解により、または代謝的に薬剤的に活性のある特定の化合物へと変換される化合物を意味するものである。「プロドラッグ」は、(i)親薬剤化合物の生物活性の一部、全部を保持するかまたは全く保持しない、かつ(ii)被験体において代謝されて親薬剤化合物を生じるように化学的に誘導体化された、本発明の化合物であり得る。また、本発明のプロドラッグは、(i)親薬剤化合物の生物活性の一部、全部を保持するかまたは全く保持しない、かつ(ii)被験体において代謝されて化合物の生物活性誘導体を生じるように化合物が化学的に誘導体化されているという点で「部分的プロドラッグ」でもあり得る。化合物を誘導体化してプロドラッグをもたらすための既知の技術を用いてよい。そのような方法を化合物との加水分解可能な結合の形成に利用してもよい。
【0143】
本発明がさらに提供するのは、本発明の化合物を、代謝障害および/もしくは内分泌障害、心血管疾患、肥満症および肥満症関連疾患、胃腸障害、遺伝子疾患、過剰増殖性疾患および炎症性疾患を予防および/または治療するために用いられる治療薬と組み合わせて投与し得ることである。治療薬の例としては、オピオイド鎮痛薬を含む鎮痛薬、麻酔薬、抗真菌薬、抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬を含む抗炎症薬、駆虫薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗精神病薬、抗関節炎薬、鎮咳薬、抗ウイルス薬、心臓作用薬、下剤、DNA相互作用物質などの化学療法薬、代謝拮抗剤、チューブリン相互作用物質、ホルモン剤、およびアスパラギナーゼまたはヒドロキシ尿素などの物質、コルチコイド(ステロイド)、抗鬱薬、抑制薬、利尿薬、催眠薬、ミネラル、栄養補助剤、副交感神経刺激薬、コルチコトロピン放出ホルモン、アドレノコルチコトロピン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激放出ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンなどのホルモン、鎮静薬、スルホンアミド、興奮剤、交感神経作用薬、トランキライザー、血管収縮薬、血管拡張薬、ビタミンおよびキサンチン誘導体が挙げられる。
【0144】
本発明に従う治療に適した被験体としては、限定されるものではないが、鳥類および哺乳類被験体が挙げられ、好ましくは、哺乳類である。本発明の哺乳類としては、限定されるものではないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類(例えばラットおよびマウス)、ウサギ目、霊長類、ヒトなど、ならびに子宮内の哺乳類が挙げられる。本発明に従って治療される必要のある哺乳類の被験体はいずれも適している。ヒト被験体が好ましい。男女および任意の成長段階(すなわち新生児、乳児、少年期、青年期、成人)のヒト被験体が、本発明に従って治療され得る。
【0145】
実例となる、本発明に従う鳥類としては、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、キジ、走鳥類(例えば、ダチョウ)および飼育されている鳥類(例えば、オウムおよびカナリア)、ならびに卵内の鳥類が挙げられる。
【0146】
本発明は、主にヒト被験体の治療に関するが、本発明はまた、獣医学目的および薬物スクリーニングおよび薬物開発目的のために、動物被験体、特に哺乳類被験体、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜およびウマで実施することもできる。
【0147】
グレリン受容体のアンタゴニストまたはインバースアゴニストが効果的である、哺乳類(すなわちヒトまたは動物)における状態の治療のための治療上の使用において、本発明の化合物またはその適切な医薬組成物を有効量投与することができる。化合物の活性および治療効果の程度が異なるため、実際に投与される投薬量は、被験体の年齢、状態、送達の経路および被験体の体重などの一般に認識されている要因に基づいて決定される。投薬量は、約0.1〜約100mg/kgで、1日に1〜4回経口投与される。さらに、化合物は、1日に1〜4回の投与で1用量あたり約0.01〜20mg/kgで注射によって投与してよい。治療は数週、数ヶ月、またはそれよりも長い間継続できる。特定の状況に最適な投薬量の決定は、当業者の手腕の範囲内である。
【0148】
5.使用方法
本発明の化合物は、限定されるものではないが、代謝障害および/または内分泌障害、心血管疾患、肥満症および肥満症関連疾患、胃腸障害、遺伝子疾患、過剰増殖性障害、炎症性疾患および、その疾患が、根底にある複数の疾患の結果である、それらの組合せを含む、一連の医学的状態の予防および治療に用いることができる。
【0149】
代謝障害および/または内分泌障害としては、限定されるものではないが、肥満症および糖尿病、特に、II型糖尿病が挙げられる。心血管疾患としては、限定されるものではないが、高血圧症および異脂肪血症が挙げられる。過剰増殖性障害としては、限定されるものではないが、腫瘍、癌、および新生物組織が挙げられ、それにはさらに、乳癌、骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫およびその他の肉腫などの疾患、白血病、リンパ腫、洞の(sinus)腫瘍、卵巣癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌および他の尿生殖器癌、結腸癌、食道癌および胃癌ならびに他の胃腸癌、肺癌、骨髄腫、膵癌、肝癌、腎癌、内分泌癌、皮膚癌、ならびに神経膠腫および神経芽腫を含む、悪性または良性の、脳または中枢および末梢神経(CNS)系腫瘍が含まれる。肥満症および肥満症関連疾患としては、限定されるものではないが、代謝障害および/または内分泌障害として特性決定された肥満症に加えて、網膜症、過食症および食物摂取の調整および食欲制御に関連する疾患が挙げられる。胃腸障害としては、限定されるものではないが、過敏性腸症候群、消化不良、オピオイド誘発性腸管機能不全および胃不全麻痺が挙げられる。炎症性疾患としては、限定されるものではないが、一般的な炎症、関節炎、例えば、慢性関節リウマチおよび骨関節炎、ならびに炎症性腸疾患が挙げられる。本発明の化合物は、さらに肝硬変および慢性肝疾患の予防および/または治療に用いることができる。本明細書において、「治療」とは、必ずしも治療に関連する疾患または症状の治癒または完全な消滅という意味を含むものではない。
【0150】
本発明の化合物は、さらに、限定されるものではないが、代謝障害および/または内分泌障害、心血管疾患、肥満症および肥満症関連疾患、胃腸障害、遺伝子疾患、過剰増殖性障害および炎症性疾患を含む、一連の医学的状態の治療のための薬剤の調製に利用することができる。
【0151】
本発明のさらなる実施形態を、これから以下の実施例に関連して説明する。当然のことながら、これらの実施例は本発明の実施形態を説明する目的のためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0152】
競合放射性リガンド結合アッセイ(グレリン受容体)
ヒト成長ホルモン分泌促進物質受容体(hGHS−R1a)での競合結合アッセイを文献に記載されているアッセイと同じように実施した。(Bednarek MA et al.Structure−function studies on the new growth hormone−releasing peptide ghrelin:minimal sequence of ghrelin necessary for activation of growth hormone secretagogue receptor 1a;J.Med.Chem.2000,43,4370−4376;Palucki,B.L.et al.Spiro(indoline−3,4’−piperidine)growth hormone secretagogues as ghrelin mimetics;Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,11,1955−1957)
【0153】
材料
ヒトグレリン受容体(hGHS−R1a)を安定に導入したHEK−293細胞から膜(GHS−R/HEK 293)を調製した。これらの膜はPerkinElmer BioSignal(#RBHGHSM、ロット番号1887)から提供され、0.71μg/アッセイポイントの量で用いた。
1.[125I]−グレリン(PerkinElmer、#NEX−388);終濃度:0.0070〜0.0085nM
2.グレリン(Bachem、#H−4864);終濃度:1μM
3.マルチスクリーンハーベストプレート−GF/C(Millipore、#MAHFC1H60)
4.ディープウェルポリプロピレンタイタープレート(Beckman Coulter、#267006)
5.トップシール−A(PerkinElmer、#6005185)
6.ボトムシール(Millipore、#MATAH0P00)
7.MicroScint−0(PerkinElmer、#6013611)
8.結合バッファー:25mM Hepes(pH7.4)、1mM CaCl2、5mM MgCl2、2.5mM EDTA、0.4% BSA
【0154】
アッセイ量
300μlの濾過分析フォーマットで競合実験を行った。
1.結合バッファーに希釈した膜220μL
2.結合バッファーに希釈した化合物40μL
3.結合バッファーに希釈した放射性リガンド([125I]−グレリン)40μL
本発明の化合物に対する最終の試験濃度(N=1):10、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005、0.002、0.001μM。
【0155】
化合物の取り扱い
100%DMSOに希釈し、試験当日まで−80℃で保存した保存濃度10mMの化合物を、ドライアイス上で凍った状態で準備した。試験当日、化合物を室温で一晩置いて解凍させた後、所望の試験濃度に従うアッセイバッファーに希釈した。これらの条件下での、アッセイにおける最大限の最終DMSO濃度は0.1%であった。
【0156】
アッセイ手順
ディープウェルプレートにて、220μLの希釈細胞膜(終濃度:0.71μg/ウェル)を40μLの、結合バッファー(全結合、N=5)、1μMグレリン(非特異的結合、N=3)か、または適切な濃度の試験化合物(各試験濃度についてN=2)のいずれかと組み合わせた。40μlの[125I]−グレリン(終濃度0.0070〜0.0085nM)の各ウェルの添加により反応を開始した。プレートをTopSeal−Aで密封し、穏やかにボルテックスし、室温にて30分間インキュベートした。Tomtec Harvesterを用いて、試料をマルチスクリーンハーベストプレート(0.5%ポリエチレンイミンに予浸しておいたもの)で濾過することにより反応を停止し、500μLの冷50mM Tris−HCl(pH7.4、4℃)で9回洗浄し、次にプレートをドラフトチャンバー内で30分間風乾した。ボトムシールをプレートに適用してから、25μLのMicroScint−0を各ウェルに添加した。次に、プレートをTopSeal−Aで密封し、トップカウントマイクロプレートシンチレーションおよびルミネッセンスカウンター(PerkinElmer)で、60秒の計数遅延を用いて、ウェルあたり30秒間カウントした。結果を1分あたりのカウント数として表した(cpm)。
【0157】
可変勾配非線形回帰分析を用いるGraphPad Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)によりデータを解析した。[125I]−グレリンに0.01nMのKd値(既に膜の特性決定中に決定)を用いてKi値を計算した。
max値は、次式を用いて計算した。
max=1−最大変位を含む試験濃度−非特異的結合/全結合−非特異的結合×100
式中、全結合および非特異的結合は、それぞれ1μMグレリンの存在下または不在下で得たcpmを表す。
【0158】
本発明の代表的な化合物の試験の結果を下の表3に示す。
【表3A】

【表3B】

【表3C】

【表3D】

【表3E】

【表3F】

【表3G】

【実施例2】
【0159】
蛍光機能アッセイ(グレリン受容体)
装置
1.ImageTrak Epi−Fluorescence system(Perkin−Elmer)
2.MultiDrop TiterTek
3.CO2インキュベーター:5%CO2、加湿、37℃
【0160】
材料
1.フェノールレッドを含まないHanks’BSS(Life Technologies)
2.Hepesバッファー
3.プロベネシド(Sigma)
4.FLIPRカルシウム−3アッセイキット(Molecular Devices #R−8091)
5.ファルコン細胞培養96ウェル黒/透明底プレート
6.0.05%トリプシン−EDTA
7.細胞:GHS−R1a受容体を発現しているHEK293細胞(Perkin−Elmer BioSignal)を10%FBS、1%ピルビン酸ナトリウム、1%NEAAおよび400μg/mLジェネティシンを含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で増殖させた。
8.グレリン(対照アゴニスト;Bachem、#H−4864)
9.[D−Lys3]−GHRP−6(対照アンタゴニスト、Phoenix #031−22)
10.アッセイバッファー:2.5mMプロベネシドおよび0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するHBSS−20mM Hepes;pH7.4
【0161】
化合物の取り扱い
化合物の保存溶液(100%DMSO中10mM)を、ドライアイス上で凍った状態で準備し、使用するまで−80℃で保存した。保存溶液から、26%DMSOに100倍希釈した100μMの濃度の母溶液を作製した。次に、アッセイプレートをアッセイバッファーへ適切に希釈して調製した。
試験化合物(アゴニスト)の最終試験濃度(N=10):1、0.3、0.1、0.03、0.01、0.003、0.001、0.0003、0.0001、0.00003μM。
試験化合物(アンタゴニスト)の最終試験濃度(N=10):10、3、1、0.3、0.1、0.03、0.01、0.003、0.001、0.0003μM。
【0162】
細胞調製
細胞を、上に示したように培養液中で維持した。実験の前日、培養密度70〜90%で細胞を回収した。増殖培地を除去し、Ca+2およびMg+2を含まないPBSで細胞を短時間すすいだ。0.05%トリプシンを添加し、プレートを37℃にて5分間インキュベートして細胞を剥離させた。10%FBSを補給したDMEM培地を添加してトリプシンを不活化し、細胞濃度を測定した。接種材料を終濃度200細胞/μLに調整し、1ウェルに付き200μLを96ウェル黒色プレートに分注した。プレートを37℃にて一晩インキュベートした。実験当日の細胞密集度は70〜95%でなければならない。
【0163】
アッセイ手順
プレートをインキュベーターから取り出し、プレートを反転させて培地を除去した。カルシウム−3色素、50μLを添加した後、37℃にて1時間インキュベートした。プレートを再び反転させ、次に25μLのアッセイバッファーを添加した。次に、プレートを、分析のためImageTrakシステムに移した。アゴニスト試験には、10秒間読み取った後、25μLの2倍の試験化合物または対照をアッセイプレートに注入した。蛍光をさらに50秒間モニターした。読み取りは2秒ごとに行い、1アッセイポイントに付き合計30回読み取った。
【0164】
アンタゴニスト試験には、10秒間読み取った後、12.5μLの3倍の試験化合物または対照をアッセイプレートに注入し、3分間反応させた。その時点で、4nMグレリン(EC80に相当)を注入し、蛍光をさらに60秒間モニターした。読み取りは2秒ごとに行い、1データポイントに付き合計125回読み取った。
【0165】
結果の分析および表示
アゴニストについて、各アッセイポイントで得た値は、Maxが30回の読み取りの最大値を表し、Minが最初の5回の読み取りから化合物の注射までに観察された最小値を表す、Max−Minの蛍光読み取りを反映する。濃度反応曲線を、GraphPad Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて、非線形回帰分析(シグモイド型用量反応)により解析した。EC50値は、GraphPadを用いて計算する。
次式を用いてEmax値を計算した。:
max=最大反応化合物濃度でのカウント数−Basal/Ago(Emax)−Basal×100
式中、BasalおよびAgo(Emax)は、それぞれ1μMグレリンの不在下または存在下で得られた平均カウント数を表す。
【0166】
アンタゴニストについて、各アッセイポイントで得た値は、MaxがEC80のグレリンの注入後に得られた最大値を表し、Minが最初の5回の読み取りから化合物の注射までに観察された最小値を表す、Max−Minの蛍光読み取りを反映する。濃度反応曲線を、GraphPad Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて非線形回帰分析(シグモイド型用量反応)により解析した。IC50値は、GraphPadを用いて計算する。
次式を用いてImax値を計算した。:
max=最大反応化合物濃度でのカウント数−Ago(EC80)/Basal−Ago(EC80)×100
式中、BasalおよびAgo(EC80)は、それぞれ2回目の添加ステップで5nMグレリンの不在下または存在下で得られた平均カウント数を表す。
【実施例3】
【0167】
エクオリン機能アッセイ(グレリン受容体)
GHS−R1a受容体と結合することが見出された本発明の化合物の機能活性は、下に記載される方法を用いて判定することができる。(LePoul,E.;et al.Adaptation of aequorin functional assay to high throughput screening.J.Biomol.Screen.2002,7,57−65;Bednarek,M.A.;et al.Structure−function studies on the new growth hormone−releasing peptide ghrelin:minimal sequence of ghrelin necessary for activation of growth hormone secretagogue receptor 1a.J.Med.Chem.2000,43,4370−4376;Palucki,B.L.;et al.Spiro(indoline−3,4’−piperidine)growth hormone secretagogues as ghrelin mimetics.Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,1955−1957)。
【0168】
材料
ヒトグレリン受容体(ES−410−A細胞系統;受容体受託番号#60179)を発現している細胞系統AequoScreen(商標)(EUROSCREEN,Belgium)を用いて膜を調製した。この細胞系統は、Gα16およびミトコンドリアに標的化されたエクオリン(参照番号ES−WT−A5)を同時発現しているCHO−K1細胞へのヒトグレリン受容体のトランスフェクションにより構築された。
1.グレリン(対照アゴニスト;Bachem、#H−4864)
2.アッセイバッファー:0.1%BSA(ウシ血清アルブミン;pH7.0)を含有するDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)
3.セレンテラジン(Molecular Probes,Leiden,The Netherlands)
化合物の最終試験濃度(N=8):10、1、0.3、0.1、0.03、0.01、0.003、0.001μM。
【0169】
化合物の取り扱い
化合物の保存溶液(100%DMSO中10mM)を、ドライアイス上で凍った状態で準備し、使用するまで−20℃で保存した。保存溶液から、26%DMSOに20倍希釈した500μMの濃度の母溶液を作製した。次に、0.1%BSAを含有するDMEM培地へ適切に希釈してアッセイプレートを調製した。これらの条件下、このアッセイにおける最大最終DMSO濃度は<0.6%であった。
【0170】
細胞調製
AequoScreen(商標)細胞を、5mM EDTAを補給した、Ca2+およびMg2+を含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む培養プレートから回収し、1000Xgにて2分間ペレット化し、0.1%BSAを含有するDMEM−Ham's F12に密度5×106細胞/mlで再懸濁し、5μMセレンテラジンの存在下で室温にて一晩インキュベートした。添加後、細胞をアッセイバッファーで濃度5×105細胞/mlに希釈した。
【0171】
アッセイ手順
アゴニスト試験には、50μlの細胞懸濁液を、50μlの適切な濃度の試験化合物またはグレリン(対照アゴニスト)と96ウェルプレート中で混合した(二つ組試料)。実験を確認するため、グレリン(対照アゴニスト)をいくつかの濃度で試験化合物と同時に試験した。グレリンまたは試験化合物に応答した受容体活性化によってもたらされた発光を、Hamamatsu FDSS 6000読み取り装置(Hamamatsu Photonics K.K.,Japan)を用いて記録した。
【0172】
アンタゴニスト試験には、約EC80濃度のグレリン(すなわち3.7nM;100μL)を、アゴニスト試験の終了から15〜30分後に試験化合物を含有する細胞懸濁液(二つ組試料)に注入し、結果として生じる、受容体活性化によってもたらされた発光を、上の段落に記載のとおり測定した。
【0173】
結果の分析および表示
結果は、相対光単位(RLU)として表される。濃度反応曲線を、GraphPad Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて、非線形回帰分析(シグモイド型用量反応)により、方程式E=Emax/(1+EC50/C)n(式中、Eは所与のアゴニスト濃度で測定されたRLU値(C)であり、Emaxは最大反応であり、EC50は50%刺激を生じる濃度であり、nは勾配指数である)に基づいて解析した。アゴニスト試験には、各濃度の試験化合物の結果を、EC80(すなわち3.7nM)に等しい濃度のグレリンに誘導されたシグナルと比較した活性化パーセントとして表した。EC50、ヒルスロープ(Hill slope)および%Emax値が報告されている。
【0174】
アンタゴニスト試験には、各濃度の試験化合物の結果を、EC80に等しい濃度のグレリンに誘導されたシグナルと比較した阻害パーセントとして表した。
【0175】
実施例3のアッセイにおいて、本発明の代表的な化合物は、表4に示した活性を実証した。化合物152の結果を図1に示す。さらに、化合物152は、既知のグレリンアゴニストと比較して少しも受容体活性化を明示しなかった。実施例2のアッセイにおいて、化合物502はレベルBの機能的Kiを産生した。
【表4】

【実施例4】
【0176】
インバースアゴニストアッセイ
本発明の化合物のグレリン受容体でのインバースアゴニスト活性は、国際特許出願公開第WO 2004/056869号およびHolst,B.;Cygankiewicz,A.;Halkjaer,T.;Ankersen,A.;Schwartz,T.W.High constitutive signaling of the ghrelin receptor−identification of a potent inverse agonist.Mol.Endocrinol.2003,17,2201−2210に記載される方法を用いて判定することができる。本発明の代表的な化合物の結果を表5に示す。
【表5】

【0177】
前述のものは本発明の実例であり、本発明を限定すると解釈されるべきものではない。本発明を請求項で定義するが、請求項中の同等の文言もその中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の例示的な化合物の機能活性を評価する研究の結果を示すグラフである。図1(A)は、hGHS−R1a受容体での例示的な化合物のアゴニスト活性の欠如を表すグラフである。図1(B)は、hGHS−R1a受容体でのアンタゴニスト活性の欠如を表すグラフである。この研究の材料および方法は実施例3により詳細に記載されている。
【図2】本発明の例示的な化合物の化学合成スキームを示す。
【図3】本発明の別の例示的な化合物の化学合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中:
XはNR13であり、R13は水素、またはC1-4アルキルであるか、またはR12およびR2は一緒に3員、4員、5員、6員もしくは7員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望によりR8で置換され、R8は隣接する2個の原子に結合する水素原子が置換された、置換シクロアルキル、置換縮合シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール環である;
1はNR11であり、R11は水素、またはC1-4アルキルであるか、またはR11はR3と一緒に4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により既に定義されたR8で置換され;
2はNHであり;
m、nおよびpは、各々0であり;
1およびR6は、各々独立に水素であり;
2は、−(CH2SCH3、−CH(CH3)(CH2tCH3、−(CH2uCH(CH32、−C(CH33、−(CH2v−R14、−CH(OR15)CH3、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであり、sは1、2、3、4もしくは5であり;tは1、2もしくは3であり;uは0、1、2もしくは3であり;かつ、vは0、1、2、3もしくは4であり;R14はアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルもしくは置換シクロアルキルであり;R15は水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アシル、アミノアシル、スルホニル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールであり;また、あるいは、R2およびR13は一緒に3員、4員、5員、6員もしくは7員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により既に定義されたR8で置換され;
3およびR4は、各々独立に−CH3、−CH2CH3、−CH(CH32、−CR17a17b(OR16)−を含むアミノ酸側鎖であるか、または水素であり;あるいは、R3およびR4は一緒に、またはR3およびR7は一緒に、それぞれ、所望によりOもしくはS原子を環中に含み、所望により既に定義されたR8で置換されている3員、4員、5員、6員もしくは7員環を形成し;また、あるいは、R3およびR11は一緒に、4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環を形成し、前記環は、所望によりO、SもしくはさらなるN原子を環中に含み、所望により既に定義されたR8で置換され;
上式中、
16は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アシル、アミノアシル、スルホニル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールであり;かつ
17aおよびR17bは、各々独立に、水素、−CH3、−CH2CH3、−CH(CH32もしくは−C(CH33であり;
5は、−(CH2WCH3、−CH(CH3)(CH2XCH3、−(CH2yCH(CH32、−C(CH33、−(CH2Z1−R18a、−(CR110111z2−R18bを含むアミノ酸側鎖であり、wは、2、3、4もしくは5であり;xは、1、2もしくは3であり;yは0、1、2もしくは3であり;z1は0、1、2、3もしくは4であり;z2は、0、1もしくは2であり;R18aおよびR18bは、各々独立に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルであり;R110およびR111は、各々独立に、水素、C1−C4アルキル、ヒドロキシル、アミノもしくはフルオロであり(但し、R110およびR111のうちの少なくとも1つは水素でない);
7は、水素、またはC1−C4アルキルであるか、またはR7およびR3は一緒に、それぞれ所望によりOもしくはS原子を環中に含み、所望により下に定義されたR8で置換されている3員、4員、5員、6員もしくは7員環を形成し;
8は、3員、4員、5員、6員もしくは7員の環構造の1個以上の水素原子を置換しており、独立に、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択されるか、あるいは、R8は、2個隣接する原子に結合する水素原子を置換する、縮合シクロアルキル、置換縮合シクロアルキル、縮合複素環、置換縮合複素環基、縮合アリール、置換縮合アリール、縮合へテロアリールもしくは置換縮合へテロアリール環であり;かつ
Tは、式IV:
−U−(CH2d−W−Y−Z−(CH2e− (IV)
の2価の基であり
(式中、dおよびeは、各々独立に、0、1、2、3、4もしくは5であり;YおよびZは、各々所望により存在し;Uは、−CR2122−、または−C(=O)−であり、式IのXと結合しており;W、YおよびZは、各々、−O−、−NR23−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR2425−、ZもしくはE配置の−CH=CH−、−C≡C−、または下記の環構造であり:
【化2】

(式中、G1およびG2は、各々独立に、共有結合、または−O−、−NR39−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR4041−、ZもしくはE配置の−CH=CH−、および−C≡C−からなる群から選択される2価の基であり;G1は基Uに最も近くで結合している;環中の任意の炭素原子は、別に定義されていなければ、所望によりNに置き換えられる(但し、この環はN原子を4個より多く含有することはできない);K1、K2、K3、K4およびK5は、各々独立に、O、NR42もしくはSであり、R42は下に定義される);
21およびR22は、各々独立に、水素、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、R21およびR22は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し、前記環は、所望により既に定義されたR8で置換され;
23、R39およびR42は、各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アミジノ、スルホニルもしくはスルホンアミドであり;
24およびR25は、各々独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、RAAであり(RAAは一般的もしくは珍しいアミノ酸の側鎖である)、または、R24およびR25は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し;または、R24およびR25のうちの一方はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、メルカプト、カルバモイル、アミジノ、ウレイドもしくはグアニジノであり、もう一方は水素、低級アルキルもしくは置換低級アルキルであり(R24およびR25と結合している炭素も別のヘテロ原子と結合している場合は除く);
26は所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;
27は所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;
28、R29、R30、R32、R33、R34、R36およびR37は、各々所望により存在し、環中で結合している炭素原子に二重結合が存在しない場合、所望により2個の基が存在し、存在する場合、環に存在する1個の水素を置換し、または、環中で結合している炭素原子に二重結合が存在しない場合、環に存在する2個の水素原子のうちの1個または両方を置換し、各々は独立にアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミドおよび、結合している炭素原子に二重結合が存在する場合のみハロゲン、からなる群から選択され;
31、R35およびR38は、各々所望により存在し、存在する場合、示された環の1個以上の水素原子を置換し、各々独立に、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され;かつ
40およびR41は各々独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、または上記定義のRAAであるか、またはR40およびR41は一緒に、所望によりO、SおよびNからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜12員の環状環を形成し、前記環は、所望により既に定義されたR8で置換される、あるいは、R40およびR41のうちの一方はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、メルカプト、カルバモイル、アミジノ、ウレイドもしくはグアニジノ、もう一方は水素、低級アルキルもしくは置換低級アルキルである(R40およびR41が結合している炭素も別のヘテロ原子と結合している場合は除く);
但し、Tは、アミノ酸残基、ジペプチド断片、トリペプチド断片または標準アミノ酸を含む高次ペプチド断片ではない。)
の化合物、またはその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物。
【請求項2】
Tが、次の構造:
【化3】

(式中、(Z2)は、TのZ2に対する共有結合の部位であり、Z2は上に定義されており、(X)は、TのXに対する共有結合の部位であり、Xは上に定義されており;
1およびU3は、各々独立に、−CR101102−または−C(=O)−であり;
2は、−CR101102−であり
100は、低級アルキルであり;
101およびR102は、各々独立に、水素、低級アルキルまたは置換低級アルキルであり;
7は−CH2−または−O−であり;
xxは、2または3であり;
yyは、1または2であり;
zzは、1または2であり;かつ
aaaは、0または1である。)
のうちの1つから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3が、Hであり;
4が、−CR43a43b(OR44)(R43aおよびR43bは、各々独立に、水素または低級アルキルであり、R44は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、またはアシルである。)であり;
7が、水素または低級アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
次の構造:
【化4A】

【化4B】

【化4C】

【化4D】

【化4E】

【化4F】

【化4G】

【化4H】

【化4I】

【化4J】

【化4K】

【化4L】

【化4M】

【化4N】

のうちの1種類の化合物、またはその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物。
【請求項5】
(a)請求項1に記載の化合物;および
(b)製薬上許容される担体、賦形剤または希釈液
を含む医薬組成物。
【請求項6】
(a)請求項4に記載の化合物;および
(b)製薬上許容される担体、賦形剤または希釈液
を含む医薬組成物。
【請求項7】
次の構造:
【化5A】

【化5B】

【化5C】

【化5D】

【化5E】

【化5F】

【化5G】

【化5H】

【化5I】

【化5J】

【化5K】

【化5L】

【化5M】

【化5N】

【化5O】

を有する1種類以上の化合物、またはその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物あるいは立体化学混合物の有効量をさらに含む薬剤投与単位を含む1個以上の容器を含み、前記容器がそのオプションの使用説明書とともに包装されている、キット。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物の、GHS−R1a受容体活性調節有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類においてGHS−R1a受容体活性を調節する方法。
【請求項9】
化合物1の、GHS−R1受容体活性調節有効量を投与するステップが、有意な量の成長ホルモン放出をもたらさない請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、グレリン受容体アンタゴニストである請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、GHS−R1a受容体アンタゴニストである請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、グレリン受容体インバースアゴニストである請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、グレリン受容体アンタゴニストおよびグレリン受容体インバースアゴニストである請求項8に記載の方法。
【請求項14】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、代謝障害および/または内分泌障害を治療する方法。
【請求項15】
前記代謝障害および/または内分泌障害が、肥満症または肥満症関連疾患である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記代謝障害および/または内分泌障害が、II型糖尿病である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項4に記載の化合物を投与するステップを含む、代謝障害および/または内分泌障害を治療する方法。
【請求項18】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、炎症性疾患を治療する方法。
【請求項19】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、心血管疾患を治療する方法。
【請求項20】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、過剰増殖性障害を治療する方法。
【請求項21】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、食欲障害または摂食障害を治療する方法。
【請求項22】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、プラダー・ウィリー症候群を治療する方法。
【請求項23】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、胃腸障害を治療する方法。
【請求項24】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、肝疾患を治療する方法。
【請求項25】
前記肝疾患が、肝硬変または慢性肝疾患である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療を必要とする被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、過食症を治療する方法。
【請求項27】
前記過食症が、糖尿病性過食症である請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508805(P2009−508805A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515697(P2008−515697)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/015698
【国際公開番号】WO2006/137974
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506419489)トランザイム・ファーマ,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】