説明

大環状ラクトン化合物およびそれらの使用方法

本発明は、医薬上許容される賦形剤および式(I)[式中、R1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;R4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;R10は、H、−OH、−OP(O)Me2、(II)、(III)、−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;L1およびL4は、各々独立して、(IV)および(V)からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;L2およびL3は、各々独立して、(VI)、(VII)および(VIII)からなる群から選択される]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。








【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当なし
【0002】
連邦政府支援の研究または開発の下でなされた発明の権利に関する記述
該当なし
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、またはコンピュータープログラムリスト付属書の参照
該当なし
【0004】
発明の分野
本発明は、デメチル、ヒドロキシル、デメチルヒドロキシル、エポキシド、N−オキシド、開環型ヘミケタール環およびセコ大環状ラクトンの構造、それらの合成法、医薬組成物、ならびに全身的および部位特異的治療用途のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0005】
ラパマイシン(シロリムス)は、ストレプトマイセス・ヒグロスコピカスによって産生される31員の天然大環状ラクトン[C51H79N1O13;MWt=914.2]であり、1970年代に発見された(特許文献1;特許文献2)。ラパマイシン(構造は下で示される)は1999年に腎臓移植拒絶反応の予防用として食品医薬品局(FDA)によって認可された。
【化1】

【0006】
ラパマイシンはタクロリムスに似ている(FKBP−12として知られる同じ細胞内結合タンパク質またはイムノフィリンに結合する)が、その作用機序が異なる。タクロリムスおよびシクロスポリンはリンホカイン(例えば、IL2)遺伝子の転写を妨げることによってT細胞活性化を阻害するが、一方、シロリムスは哺乳動物のラパマイシン標的(mTOR)に結合することによってT細胞活性化およびTリンパ球増殖を阻害する。ラパマイシンは免疫系の抑制において、シクロスポリンまたはタクロリムスと相乗的に作用することができる。
【0007】
ラパマイシンはまた、全身性エリテマトーデス[特許文献3]、肺炎[特許文献4]、インスリン依存型糖尿病[特許文献5]、皮膚障害、例えば乾癬[特許文献6]、腸障害[特許文献7]、血管損傷に続く平滑筋細胞の増殖および内膜肥厚[特許文献8および特許文献9]、成人T細胞白血病/リンパ腫[特許文献10]、眼の炎症[特許文献11]、悪性癌[特許文献12]、心臓の炎症性疾患[特許文献13]、貧血[特許文献14]および神経突起伸長の増大[非特許文献1]の予防または治療においても有用である。
【0008】
ラパマイシンは様々な病状を治療するために用いることができるが、該化合物の医薬品としての有用性は、その非常に低くかつ可変の生物学的利用能およびその高い免疫抑制能および潜在的な高い毒性によって制限されてきた。また、ラパマイシンは水にごく僅かしか溶解しない。これらの問題を解決するために、該化合物のプロドラッグおよび類縁体が合成されてきた。グリシネート、プロピオネートおよびピロリジノブチレートプロドラッグを形成するよう、ラパマイシン構造の31位および42位(以前は28位および40位)を誘導体化することによって調製される水溶性プロドラッグが記載されている(特許文献15)。当該技術分野において記載された幾つかのラパマイシン類縁体としては、モノアシルおよびジアシル類縁体(特許文献16)、アセタール類縁体(特許文献17)、シリルエーテル(特許文献18)、ヒドロキシエステル(特許文献19)、ならびにアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニル類縁体(特許文献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23)を含む。
【0009】
ラパマイシンのプロドラッグおよび類縁体は化学合成によって合成され、ここで、特定の位置を保護および脱保護するためにさらなる合成工程が必要である。類縁体は生物学的に合成することもでき、ここで、ストレプトマイセス株はラパマイシンのこのような類縁体を産生するよう遺伝子操作される。類縁体はタンパク質結合または他の細胞相互作用のために必要な位置を維持する必要があり、かつ、その活性を保つために立体障害を生じさせない必要がある。これら類縁体の安全性は、一連の前臨床および臨床実験によって幅広く試験することを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,929,992号明細書
【特許文献2】米国特許第3,993,749号明細書
【特許文献3】米国特許第5,078,999号明細書
【特許文献4】米国特許第5,080,899号明細書
【特許文献5】米国特許第5,321,009号明細書
【特許文献6】米国特許第5,286,730号明細書
【特許文献7】米国特許第5,286,731号明細書
【特許文献8】米国特許第5,288,711号明細書
【特許文献9】米国特許第5,516,781号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第525,960号明細書
【特許文献11】米国特許第5,387,589号明細書
【特許文献12】米国特許第5,206,018号明細書
【特許文献13】米国特許第5,496,832号明細書
【特許文献14】米国特許第5,561,138号明細書
【特許文献15】米国特許第4,650,803号明細書
【特許文献16】米国特許第4,316,885号明細書
【特許文献17】米国特許第5,151,413号明細書
【特許文献18】米国特許第5,120,842号明細書
【特許文献19】米国特許第5,362,718号明細書
【特許文献20】米国特許第5,665,772号明細書
【特許文献21】米国特許第5,258,389号明細書
【特許文献22】米国特許第6,384,046号明細書
【特許文献23】国際公開第97/35575号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Parker, E. M. et al, Neuropharmacology 39, 1913-1919, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は新規な大環状ラクトンおよび大環状ラクトンの新規な使用を含み、ここで、組成物は化学的または生物学的に合成することができ、全身的および部位特異的な適用における使用のための、少なくともいくつかの免疫抑制、抗増殖、抗真菌および抗腫瘍特性を保っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一の実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;R4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;R10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化3】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;L1およびL4は、各々独立して、
【化4】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;L2およびL3は、各々独立して、
【化5】

からなる群から選択される]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0014】
第2の実施態様では、本発明は、インプラント、および本発明の化合物の少なくとも1つの供給源を含む、体内用の装置を提供する。
【0015】
第3の実施態様では、本発明は、細胞増殖の阻害を必要とする対象体に本発明の化合物の治療上有効量を投与することによる細胞増殖阻害方法を提供する。
【0016】
第4の実施態様では、本発明は、下記式:
【化6】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は、上記のとおりである;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化7】

である場合、R2はOH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化8】

である場合、R4は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4およびR7がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化9】

である場合、R9は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、M8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化10】

である場合、R10は、OH、−OP(O)Me2
【化11】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3以外のものである]
で示される大環状ラクトン化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを提供する。
【0017】
第5の実施態様では、本発明は、大環状ラクトンを酸と接触させてアルコキシ基を求核試薬と置き換えることにより本発明の化合物を製造することを含む、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0018】
第6の実施態様では、本発明は、大環状ラクトンをエポキシ化剤と接触させてアルケン基をエポキシドに変更することにより本発明の化合物を製造することを含む、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0019】
第7の実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化12】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は、上記のとおりである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
第8の実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化13】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は、上記のとおりである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0021】
第9の実施態様では、本発明は、眼部の症状および疾患の治療を必要とする対象体に本発明の化合物の治療上有効量を投与することによる眼部の症状および疾患の治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の化合物を提供するための化学的修飾が可能ないくつかの部位を有する大環状ラクトンの構造を示す。四角形で印を付けられた領域は、デメチル化のための部位であり、円で印を付けられた領域は、ヒドロキシル化のための部位であり、C=C部位(C17=C18、C19=C20=、C21=C22、C29=C30)は、エポキシ化のための部位である。
【図2】図2A〜2FVは、本発明の化合物を示す。
【図3】図3は、拡張可能な構造を有するステントの形状の一例を示す。
【図4】図4は、化合物ARの分取HPLCクロマトグラムを示す。
【図5】図5は、化合物ARのプロトンNMRスペクトルを示す。
【図6】図6は、化合物ARの液体クロマトグラフィーおよび質量スペクトルの結果を示す。
【図7−a】図7(a)は、化合物ARの分析HPLCクロマトグラムを示す。
【図7−b】図7(b)は、異性体を伴う化合物ARの分析HPLCクロマトグラムを示す。
【図8】図8は、様々な濃度のラパマイシンおよび化合物ARへの暴露後のヒト平滑筋細胞の増殖率を示す。
【図9】図9は、ブタ冠動脈モデルにおける植込みから28日後の定量的冠動脈造影(QCA)によって評価する化合物AR溶出ステントの狭窄をラパマイシン溶出Cypherステントと比較して示す。
【図10】図10は、ブタ冠動脈モデルにおける様々な時点での化合物ARの組織中濃度を示す。
【図11】図11は、ブタ冠動脈モデルにおいてステントからの化合物AR放出率を示す。
【図12−a】図12(a)は、10nMの濃度の大環状ラクトン化合物ARおよびシロリムスに曝露することによる、活性化マクロファージによって放出されるIL−6、MMP−9およびMCP−1の阻害を示す。
【図12−b】図12(b)は、10nMの濃度の大環状ラクトン化合物ARおよびシロリムスに曝露することによる、活性化マクロファージによって放出されるIL−10の阻害を示す。
【図13】図13は、様々な濃度の17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンおよび化合物ARへの曝露後のヒト平滑筋細胞の増殖率を示す。
【図14】図14は、本発明の16−O−デメチル大環状ラクトンの合成を示す。
【図15】図15は、19,20−ビス−ヒドロキシ大環状ラクトンの合成を示す。
【図16】図16は、17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンの合成を示す。
【図17】図17は、31−ヒドロキシル大環状ラクトン、44−ヒドロキシル大環状ラクトンおよび47−ヒドロキシル大環状ラクトンの合成を示す。
【図18】図18は、43−ヒドロキシル大環状ラクトンおよび47−ヒドロキシル大環状ラクトンの合成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I.定義
本明細書において用いる場合、「酸」なる語は、水に溶解した場合に7.0より低いpHを有する溶液をもたらすあらゆる化合物をいう。酸は一般的に水素イオン(H+)を供与する化合物(ブレンステッド−ローリー)として、または電子対受容体(ルイス酸)として説明される。本発明において有用な酸としては、HCl、H2SO4、HNO3および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、他の酸も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0024】
本明細書において用いる場合、「投与」なる語は、対象体への全身および局所投与、またはそれらの組み合わせ、例えば経口投与、坐薬としての投与、局所接触、非経口、血管内、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内、肺、粘膜、経皮、皮下投与、クモ膜下腔内、眼内、硝子体内投与、一時的装置、例えば、カテーテル、多孔質バルーンを介する送達、インプラント、例えば、ポリマーインプラント、浸透圧ポンプ、プロテーゼ、例えば、薬剤溶出ステントを介する送達、またはその他の方法を言う。当業者は、本発明の化合物を投与する他の様式および方法も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0025】
本明細書において用いる場合、「アルコキシ」なる語は、酸素原子を包含するアルキル、例えば、メトキシ、エトキシ等をいう。「ハロ置換アルコキシ」は水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されているアルコキシとして定義される。例えば、ハロ置換アルコキシとしてはトリフルオロメトキシ等が挙げられる。当業者は、他のアルコキシ基も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0026】
本明細書において用いる場合、「アルキル」なる語は、示される数の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和した脂肪族基をいう。例えば、C1〜C6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、他のアルキル基も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0027】
本明細書において用いる場合、「ヒドロキシアルキル」なる語は、水素原子の少なくとも1つがヒドロキシ基で置換されている上記定義のアルキルをいう。例えば、ヒドロキシアルキルとしては、ヒドロキシ−メチル、ヒドロキシ−エチル(1−または2−)、ヒドロキシ−プロピル(1−、2−または3−)、ヒドロキシ−ブチル(1−、2−、3−または4−)、ヒドロキシ−ペンチル(1−、2−、3−、4−または5−)、ヒドロキシ−ヘキシル(1−、2−、3−、4−、5−または6−)、1,2−ジヒドロキシエチルおよび同種のものが挙げられる。当業者は、他のヒドロキシアルキル基も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0028】
本明細書において用いる場合、「体内腔」なる語は、動脈、静脈または器官の内張りまたは空洞をいう。
【0029】
本明細書において用いる場合、「接触」なる語は、少なくとも2つの異なる化学種を、それらが反応できるように接触させる過程をいう。しかしながら、結果として生じる反応生成物は、添加された試薬間の反応から直接に、または添加された1種類以上の試薬から反応混合物中で生成され得る中間体から、生成され得ることが理解されるべきである。
【0030】
本明細書において用いる場合、「水和物」なる語は、少なくとも1つの水分子と複合している化合物をいう。本発明の化合物は、1から100の水分子と複合し得る。
【0031】
本明細書において用いる場合、「インプラント」なる語は、症状を治療するために体内に挿入される医療装置をいう。インプラントとしては、薬剤溶出装置が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において用いる場合、「阻害」、「阻害する」および「阻害剤」なる語は、特定の作用または機能を制止するか、減少させるか、減弱させるか、または軽減する化合物、または、制止するか、減少させるか、減弱させるか、または軽減する方法をいう。
【0033】
本明細書において用いる場合、「体内の」なる語は、哺乳動物の体をいう。
【0034】
本明細書において用いる場合、「異性体」なる語は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する本発明の化合物をいい、ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体、構造異性体および個々の異性体は全て本発明の範囲内に含まれることを意図される。
【0035】
本明細書において用いる場合、「器官」なる語は、哺乳動物のあらゆる器官、例えば、心臓、肺、脳、眼、胃、脾臓、骨、膵臓、腎臓、肝臓、腸管、子宮、結腸、卵巣、血液、皮膚、筋肉、組織、前立腺、乳房および膀胱をいうが、これらに限定されるものではない。当業者は、他の器官も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0036】
本明細書において用いる場合、「過酸」なる語は、酸性の−OH基が−OOH基で置換されている酸をいう。過酸は式R−C(O)−OOHで示されるペルオキシカルボン酸であり得、ここで、R基は、H、アルキル基、アルケン基またはアリール基のような基であり得る。過酸としては、ペルオキシ酢酸およびメタクロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、他の過酸も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0037】
本明細書において用いる場合、「過酸化物」なる語は、酸素−酸素単結合を含有する化合物をいう。過酸化物の例としては、過酸化水素が挙げられるが、これに限定されるものではない。当業者は、他の過酸化物も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0038】
本明細書において用いる場合、「医薬上許容される賦形剤」なる語は、活性物質の対象への投与および対象による吸収を助ける物質をいう。本発明に有用な医薬賦形剤としては、ポリマー、溶媒、抗酸化剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被覆剤、甘味料、香料、安定剤、着色料、金属、セラミックおよび半金属が挙げられるが、これらに限定されるものではない。医薬上許容される賦形剤のさらなる考察については以下を参照されたい。当業者は、他の医薬賦形剤も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0039】
本明細書において用いる場合、「ポリマー」なる語は、共有化学結合によって連結している反復構造単位またはモノマーで構成される分子をいう。本発明に有用なポリマーは以下に記載される。当業者は、他のポリマーも本発明に有用であることを理解するであろう。
【0040】
本明細書において用いる場合、「プロドラッグ」なる語は、哺乳動物対象体に投与された場合に本発明の方法の活性物質を放出することができる化合物をいう。活性成分の放出はインビボで起こる。プロドラッグは当業者に公知の手法によって調製することができる。これらの手法は一般的に所定の化合物において適切な官能基を修飾するものである。しかし、これらの修飾された官能基は、常套の操作により、またはインビボで、元の官能基を再生する。本発明の活性物質のプロドラッグとしては、ヒドロキシ基、アミジノ基、グアニジノ基、アミノ基、カルボキシル基または類似の基が修飾されている活性物質が挙げられる。
【0041】
本明細書において用いる場合、「塩」なる語は、本発明の方法において用いられる化合物の酸性または塩基性塩をいう。医薬上許容される塩の具体例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸および同種のもの)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸および同種のもの)塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルおよび同類のもの)塩である。適当な医薬上許容される塩についてのさらなる情報は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985(出典明示により本明細書の一部を構成する)に見られる。
【0042】
本発明の酸性化合物の医薬上許容される塩は、塩基と共に形成される塩、すなわちカチオン性塩、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ならびにアンモニウム塩、例えば、アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩およびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチル−アンモニウム塩である。
【0043】
塩基性の基、例えばピリジルが構造の一部を構成するならば、同様に酸付加塩、例えば鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸の酸付加塩も可能である。
【0044】
化合物の中性型は、塩を塩基または酸と接触させ、常套の方法で親化合物を単離することによって再生され得る。化合物の親型は、極性溶媒への溶解度のようなある種の物理的性質が様々な塩の型とは異なるが、それ以外の点では、塩は、本発明の目的のための化合物の親型と同等である。
【0045】
本明細書において用いる場合、「供給源」なる語は、本発明の化合物の供給または治療剤の供給を提供する、本発明の装置上の部位をいう。本発明の装置は、2つ以上の供給源、例えば第1および第2の供給源を有し得る。各供給源は、異なる化合物および組成物を有することができ、異なる適応症を治療するために用いられ得る。
【0046】
本明細書において用いる場合、「対象体」なる語は、動物、例えば哺乳動物をいい、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスおよび同類のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の態様において、対象体はヒトである。
【0047】
本明細書において用いる場合、「治療剤」なる語は、該治療剤の投与を受ける患者に治療効果をもたらすあらゆる薬剤、化合物または生物学的分子をいう。
【0048】
本明細書において用いる場合、「治療上有効な量または用量」または「治療上十分な量または用量」または「有効または十分な量または用量」なる語は、投与目的の治療効果を生じる用量をいう。的確な用量は治療目的に依存し、公知の手法を用いて当業者によって確かめられ得る(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols.1-3, 1992);Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Pickar, Dosage Calculations (1999);およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)。感作細胞における治療上有効な用量は、多くの場合、非感作細胞のための通常の治療上有効な用量よりも低くありうる。
【0049】
本明細書において用いる場合、「血管プロテーゼ」なる語は、哺乳動物の循環器系用のプロテーゼをいう。
【0050】
II.本発明の化合物
本発明では大環状ラクトン、それらの塩、プロドラッグ、互変異性体および異性体を包括的に「大環状ラクトン」と称する。
【0051】
本発明の化合物は、下記式:
【化14】

[式中、R1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;R4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;R10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化15】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;L1およびL4は、各々独立して、
【化16】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;L2およびL3は、各々独立して、
【化17】

からなる群から選択される;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化18】

である場合、R2は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化19】

である場合、R4は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4およびR7がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化20】

である場合、R9は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、M8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化21】

である場合、R10は、OH、−OP(O)Me2
【化22】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3以外のものである]
で示される大環状ラクトン化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグである。
【0052】
いくつかの実施態様では、R10は、
【化23】

である。
【0053】
他のいくつかの実施態様では、R10は、
【化24】

である。
【0054】
他の実施態様では、R10は、−OP(O)Me2である。
【0055】
さらに他の実施態様では、R10は、
【化25】

である。
【0056】
別の実施態様では、R10は、
【化26】

である。
【0057】
さらなる実施態様では、当該化合物は、図2に示される化合物である。他の実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9のうち少なくとも1つはOHである。さらに他の実施態様では、R4は、OHである。さらに他の実施態様では、R1、R6およびR8は、各々、メチルであり、R2、R3およびR5は、各々、Hであり、R4およびR10は、各々、OHであり、R7およびR9は、各々、OMeであり、M1、M2、M3、M4およびM5は、各々、Hであり、M6およびM7は、各々、メチルであり、L1およびL4は、各々、
【化27】

であり、L2およびL3は、各々、
【化28】

である。
【0058】
本発明は、詳細には、式IA、IB、ICおよびIDで示される大環状ラクトン化合物を提供する。
【0059】
一の実施態様では、当該組成物は、ヒドロキシ大環状ラクトン、デメチル大環状ラクトン、ヒドロキシデメチル大環状ラクトンおよびエポキシド大環状ラクトンを包含する大環状ラクトンを含有する。
【0060】
本発明の化合物を提供するための化学的修飾が可能ないくつかの部位を有するある種の大環状ラクトンの構造を以下に示す。
【0061】
【化29】

式中、四角形は、デメチル化位置を表し;円は、ヒドロキシル化位置を表し;三角形は、エポキシ化位置を表し;曲線は、N−オキシド化位置を表し;点線は、開環位置を表し;R10は、−OH、
【化30】

−OP(O)Me2、RaOH(ここで、Raは、−(CH2)2から−(CH2)7までのようなアルキルである)および−RbORc(ここで、Rbは、C2-6アルキレンであり、Rcは、C1-5アルキルである)からなる群から選択されるメンバーである。例えば、40−O−(エトキシエチル)ラパマイシンである。
【0062】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式IAで示されるように、個々のまたはお互いに組み合わせた、ある種のデメチル大環状ラクトン、例えば、16−O−デメチル大環状ラクトン、39−O−デメチル大環状ラクトン、27−O−デメチル大環状ラクトン、16,27−ビス−O−デメチル大環状ラクトン、27,39−ビス−O−デメチル大環状ラクトン、16,39−ビス−O−デメチル大環状ラクトンを包含する。
【0063】
式IA
【化31】

式中、
4、R7およびR9は、各々、−OCH3および−OHからなる群から選択される。
4およびR7は、共に、独立して、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。
7およびR9は、共に、独立して、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。
4およびR9は、共に、独立して、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。
4、R7およびR9は、各々独立して、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。
そして、R10は、上記のとおりである。
【0064】
別の実施態様では、本発明の化合物は、式IBで示されるような、個々のまたはお互いに組み合わせた、ヒドロキシル大環状ラクトン、例えば、11−ヒドロキシル大環状ラクトン、12−ヒドロキシル大環状ラクトン、14−ヒドロキシル大環状ラクトン、24−ヒドロキシル大環状ラクトン、25−ヒドロキシル大環状ラクトン、25−メチルアルコール大環状ラクトン、31−メチルアルコール大環状ラクトン、35−メチルアルコール大環状ラクトン、13−メチルアルコール大環状ラクトンの組成物を包含する。
【0065】
式IB
【化32】

式中、
1、R6、R8、M6、M7、M8およびM8aは、−CH3、−CH2OHおよび−OHからなる群から選択される。R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5は、各々、−Hおよび−OHからなる群から選択される。R9は、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。L2は、
【化33】

からなる群から選択される。
そして、R10は、上記のとおりである。
【0066】
別の実施態様では、本発明の化合物は、式ICで示されるような、エポキシド大環状ラクトン、例えば、19,20−21,22−29,30−トリスエポキシド大環状ラクトン、17,18−19,20−21,22−トリスエポキシド大環状ラクトンおよび17,18−29,30−ビスエポキシド大環状ラクトンの組成物を包含する。
【0067】
式IC
【化34】

【化35】

【化36】

式中、R10は、上記のとおりである。
【0068】
式ID
別の実施態様では、本発明の化合物は、式IDで示されるような、N−オキシド化大環状ラクトン、11−ヒドロキシル−10,14開環型大環状ラクトン、セコ大環状ラクトン(1,34開環型)の組成物を包含する。
【化37】

【化38】

【化39】

式中、R1、R6、R8、M6、M7、M8およびM8aは、各々独立して、−CH3、−OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択される。R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5は、各々独立して、−Hおよび−OHからなる群から選択される。R4、R7、R9は、独立して、−OHおよび−OCH3からなる群から選択される。L2は、
【化40】

からなる群から選択される。
【0069】
別の実施態様では、本発明の化合物は、式IAおよび式IBの組み合わせであり、個々のまたはお互いに組み合わせた、14−ヒドロキシ−39−O−デメチル大環状ラクトン、16,39−ビス−O−デメチル−24−ヒドロキシ大環状ラクトン、16,27−ビス−O−デメチル−24−ヒドロキシ大環状ラクトン、27,39−ビス−O−デメチル−24−ヒドロキシ大環状ラクトンのようなデメチルヒドロキシ大環状ラクトンの組成物を包含する。
【0070】
別の実施態様では、本発明の化合物は、式IAおよび式ICの組み合わせであり、個々のまたはお互いに組み合わせた、17,18−19,20−ビス−エポキシド−16−O−デメチル大環状ラクトン、17,18−29,30−ビス−エポキシド−16−O−デメチル大環状ラクトンのようなエポキシドデメチル大環状ラクトンの組成物を包含する。
【0071】
さらに別の実施態様では、本発明の化合物は、式IA、式IBおよび式ICの組み合わせであり、個々のまたはお互いに組み合わせた、17,18−19,20−ビス−エポキシド−16−O−デメチル−24−ヒドロキシ大環状ラクトン、17,18−29,30−ビス−エポキシド−16−O−デメチル−24−ヒドロキシ大環状ラクトンのようなエポキシドデメチルヒドロキシル大環状ラクトンの組成物を包含する。
【0072】
本発明はまた、式IA、IB、ICおよびIDで示される本発明の化合物の塩、水和物、異性体、互変異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを包含する。
【0073】
式IA、IB、ICおよびIDで示される本発明の化合物ならびにそれらの組み合わせのうち好ましい実施態様の構造(A、B、C、・・・AA、AB、AC、・・・FB、FC、FD)を表1に示し、いくつかを図2A〜2FVに示す。
【化41】

【0074】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

*ラパマイシン。全ての−OH置換基は、R異性体およびS異性体の混合物を表す。
【0075】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、下記構造を有する:
【化42】

【0076】
本発明は、16位の立体化学がラセミ(R,S)である化合物、ならびに16位でのR立体異性体およびS立体異性体、および当該化合物の全ての他の異性体を包含する。
【0077】
本発明は、様々な多形体をもつ化合物を包含する。これは、様々な多形体をもつ16−O−デメチル大環状ラクトンを包含する。例えば、16−O−デメチル大環状ラクトンの様々な多形体は、ジクロロメチレンの使用によって、そして、メタノールおよび水の混合物の使用によって得られる。
【0078】
大環状ラクトンについて提案される番号付与方式は様々なものが存在する。混乱を避けるため、本明細書において特定の大環状ラクトンが命名される場合、上記化学式の番号付与方式を用いる大環状ラクトンを基準にして命名される。本発明はまた、化学構造内の同じ位置に同じ官能基が存在するのであれば、異なる番号付与方式によって異なる名称を有する全ての大環状ラクトンを含む。例えば、39−O−デメチル大環状ラクトンは41−O−デメチル大環状ラクトンと同一の化合物であり、16−O−デメチル大環状ラクトンは7−O−デメチル大環状ラクトンと同一の化合物である。
【0079】
本発明の化合物は、様々な方法によって調製することができる。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、本発明の化合物を産生するように生物の株を遺伝的に操作することよって、またはその他の方法によって、生物学的に合成される。
【0080】
別の実施態様において、本発明の化合物は、化学合成を用いて調製される。本発明の化合物の化学合成は、大環状ラクトン内の17−18,19−20,21−22トリエン構造を利用し得、その構造はC16メトキシ基の酸触媒求核置換を促進し、多くの異なる置換の導入を可能にし、大環状ラクトンのエフェクタードメインの選択的操作を可能にする。大環状ラクトン内のC16メトキシ基は酸性試薬に向かって操作され、本発明の化合物を産生する。例えば、様々な求核試薬、例えばアルコール、チオールおよび電子豊富な芳香族基でのC16メトキシ基の置換が達成され得る。この合成方法は、保護および脱保護の工程なしで行うことができる。
【0081】
このトリエン官能基を有する化合物と共に酸性試薬を用いる合成方法は、トリエン官能基を有する他の化合物に適用されて、対応する化合物類縁体を合成することができ、保護および脱保護の工程なしの合成方法を提供する。
【0082】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の化合物を製造する方法であって、大環状ラクトンを酸と接触させてアルコキシ基を求核試薬で置換することによって本発明の化合物を製造することを含む方法を提供する。他のいくつかの実施態様において、大環状ラクトンはラパマイシンである。他の実施態様において、求核試薬は−OH、−SHおよび電子豊富な芳香族基からなる群から選択されるメンバーである。当業者は、他の方法も本発明の化合物を調製するのに有用であることを理解するであろう。
【0083】
デメチル大環状ラクトンの合成は、一例として16−O−デメチル大環状ラクトンを用いて図14に提供される。ヒドロキシ大環状ラクトンの合成は、一例として19,20ビス−ヒドロキシ大環状ラクトンを用いて図15に提供される。エポキシド大環状ラクトンの合成は、一例として17,18−29,30−ビスエポキシド大環状ラクトンを用いて図16に提供される。
【0084】
別の実施態様において、本発明は、大環状ラクトンを適切な剤、例えば過酸または過酸化物と接触させてアルケン基をエポキシドに変えることによって本発明の化合物を製造することを含む本発明の化合物の製造方法を提供する。本発明の方法において有用な過酸としては、式R−C(O)−OOH(ここで、R基は、H、アルキル、アルケンまたはアリールのような基であり得る)で示されるペルオキシカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様において、過酸はペルオキシ酢酸またはメタクロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)であり得る。本発明の方法において有用な過酸化物としては、過酸化水素が挙げられるが、これに限定されるものではない。当業者は、他のエポキシ化試薬も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0085】
本発明の化合物は、所望により重水素化される。
【0086】
いくつかの実施態様において、本発明は、対応する親大環状ラクトンと同様の効力を有する本発明の化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、化合物の安全性プロファイルを改善するために、対応する親大環状ラクトンよりも効力の低い本発明の化合物を提供する。
【0087】
III. 本発明の化合物の送達
本発明の化合物は、あらゆる適切な様式で投与され得る。いくつかの実施態様において、化合物は、経口、筋肉内、腹腔内、皮下、肺内、粘膜、経皮、血管内、眼内または硝子体内(目を介する)、およびその他の様式で投与される。他の実施態様において、化合物は、インプラントのような一時的または永久的薬物送達手段、または全身的および部位特異的手段の組み合わせを介して部位特異的に投与される。例としては、カテーテル、ステント、バスキュラーラップ(vascular wrap)、ポンプ、シャント、または他の一時的もしくは永久的薬物送達手段が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
A.装置
いくつかの実施態様において、本発明は、血管プロテーゼおよび少なくとも1つの本発明の化合物の供給源を含む体内用装置を提供する。
【0089】
他の実施態様において、本発明は、細胞増殖または細胞遊走を阻害するために体内において体内腔または器官に対して化合物を放出するように構成されている装置を提供する。さらなる態様において、該装置は、平滑筋細胞増殖または血管新生を阻害するために体内において体内腔または器官に対して化合物を放出するよう構成されている。
【0090】
本発明の別の実施態様において、薬物送達手段は、グラフトインプラント、血管インプラント、非血管インプラント、植込み型管腔プロテーゼ、創傷閉鎖インプラント、薬物送達インプラント、縫合糸、生物学的送達インプラント、尿路インプラント、子宮内インプラント、器官インプラント、眼部インプラント、骨インプラント、例えば、骨プレート、骨スクリュー、歯科インプラント、脊髄ディスクまたは同類のものを含むインプラントのような装置である。
【0091】
当該装置が眼部の症状および疾患の治療のために構成される場合、本発明のインプラントは、インターベンション法によって眼内または硝子体内に埋め込むことができる。このようなインプラントは、非生分解性、生分解性、着脱式または永久的であり得る。他の実施態様において、インプラントは、眼球本体に隣接して、眼内に、硝子体に隣接して、または硝子体内に、設置することができる。当業者は、他の部位も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0092】
インプラントは通常、下記のことの1つ以上を可能にする:病状、例えば、過剰増殖性疾患、再狭窄、循環器疾患、炎症、創傷治癒、癌、動脈瘤、糖尿病、腹部大動脈瘤、高カルシウム血症などの予防または治療のために、体内腔、器官、血管、導管、筋肉、組織塊または骨に対して、支持したり、含有したり、まとめたり、貼付したり、栓をしたり、閉じたり、維持したり、薬剤を送達したり、生物製剤を送達したりすること。
【0093】
本発明のインプラントは、金属、合金、ポリマー、セラミック、半金属、ナノ複合材料またはそれらの組み合わせで形成され得る。例えば、インプラントは、金属、例えばタンタル、鉄、マグネシウム、モリブデンなど;分解性または非分解性合金、例えば316Lステンレス鋼、炭素鋼、マグネシウム合金、NI−Ti、Co−Cr、例えばL605、MP35など;分解性または非分解性のポリマー、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、コポリマーなど、または複数のポリマーのブレンド;金属と、金属または合金の組み合わせ、例えばステンレス鋼とタンタルの層の組み合わせなどから作成されるインプラント;ナノ複合材料、例えばナノ炭素繊維またはカーボンナノチューブなどから作成することができる。
【0094】
別の実施態様において、本発明は、インプラントが血管プロテーゼである装置を提供する。いくつかの実施態様において、血管プロテーゼは拡張可能な構造を含む。他の実施態様において、血管プロテーゼは、ステント、インプラント、または少なくとも一部が開放格子から形成されるスキャフォールドを含む。さらに他の実施態様において、血管プロテーゼはステントである。
【0095】
別の実施態様において、本発明の化合物はインプラントの表面に隣接して適用され得る。例えば、本発明の化合物はインプラント内に組み込まれ得るか、被覆剤の中に含まれ得るか、またはインプラント上に担持され得る。
【0096】
いくつかの実施態様において、本発明は血管プロテーゼを含む装置を提供し、ここで、血管プロテーゼは管腔面および組織接面を有し、ここで、化合物は管腔面または組織接面の少なくとも一方に付随している。
【0097】
さらなる態様において、本発明の化合物は、全てのインプラント表面上にて適用される。別の実施態様において、本発明の化合物は、反管腔側または管腔側の面に対してのみ適用される。さらに別の実施態様において、本発明の化合物は、高応力または低応力領域に対してのみ適用される。
【0098】
別の実施態様において、本発明の化合物は、インプラントに隣接する腐食性または非腐食性繊維内に含有される。
【0099】
本発明の化合物を担持するためのステントの立体構造の一例は、図3に収縮状態で示される。該ステント本体は、複数のリング110で形成される。該リングは、一般的に拡張可能な波状の立体構造、例えば、ジグザグ、鋸歯状、正弦波などにおいて、頂上部120および支柱130で形成される。該本体は、連結部または接合部140によって結合している。該接合部は、いかなる長さまたは形であっても良く、または頂上部が互いに直接付着している場合には必要とされなくても良い事が理解されている。該ステントは、標準的な収縮状態で直径が0.25〜4mm、またはより好ましくは0.7〜1.5mmであり、長さが5〜100mmである。拡張状態においては、該ステントの直径は、標準的には、収縮状態のステント直径の少なくとも2倍から10倍までまたはそれ以上である。したがって、収縮状態の直径が0.7〜1.5mmであるステントは、2〜10mmまでまたはそれ以上に放射状に拡張し得る。
【0100】
ラパマイシンのような強力な大環状ラクトン化合物を担持する薬剤溶出ステント(CypherTM)は、約4ヶ月〜12ヶ月の血管造影経過観察において、約0.01mm〜0.2mmの範囲の遠隔期内径損失を生じた。同じ期間の間のベアメタルステントの遠隔期内径損失は、約0.70mm〜1.2mmの範囲であった。遠隔期内径損失が低いほど、通常、狭窄率を低下させる。しかしながら、ベアメタルステントと比べて著しく低い遠隔期内径損失を生じる薬剤溶出ステントは、場合によっては、組織によるステント表面の不十分な被覆を生じることがあり、それにより遅発性ステント血栓症の発生率が増大する可能性がある。
【0101】
好ましい態様において、本発明の化合物を担持するステントの、植込みから約4〜12ヶ月後の遠隔期内径損失は、対応する親大環状ラクトンを担持するステントの遠隔期内径損失よりも0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、より好ましくは0.15〜0.3mm大きい。例えば、植込み後の遠隔期内径損失は0.01mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.5mm、最も好ましくは0.2mm〜0.4mmの範囲である。別の実施態様において、本発明は、遠隔期内径損失が、対応する親大環状ラクトンを担持するステントと同様である、本発明の化合物を担持するステントを提供する。別の好ましい態様において、本発明は、遠隔期内径損失が、対応する親大環状ラクトンを保有するステントよりも高い、本発明の化合物を担持するステントを提供する。遠隔期内径損失が高いほど組織によるステントの被覆を増大させることができ、それによりステントの安全性が改善され得る。
【0102】
別の好ましい態様において、植込みから約4〜12ヶ月後の、本発明の化合物を担持するステントの狭窄率は、対応する親大環状ラクトンを保有するステントの狭窄率よりも1〜30パーセント、好ましくは3〜20パーセント、より好ましくは5〜15パーセント高い。さらに別の好ましい態様において、本発明は、狭窄率が、対応する親大環状ラクトンを保有するステントと同様である、本発明の化合物を担持するステントを提供する。別の好ましい態様において、本発明は、狭窄率が、対応する親大環状ラクトンを保有するステントよりも高い、本発明の化合物を担持するステントを提供する。別の好ましい態様において、本発明の化合物を担持するステントの狭窄率は、対応する親大環状ラクトンを保有するステントよりも高いが、ベアメタルステントよりも低い。狭窄が高いほど組織によるステントの被覆を増大させることができ、それによりステントの安全性が改善され得る。
【0103】
いくつかの実施態様において、本発明は、インプラント上の本発明の化合物の量が約1 g/cm2よりも少ない装置を提供する。他の実施態様において、インプラント上の化合物の量は、約1ナノグラム/cm2〜約1000マイクログラム/cm2、好ましくは約1マイクログラム/cm2〜約500マイクログラム/cm2、より好ましくは約10マイクログラム/cm2〜約400マイクログラム/cm2の範囲であり得る。さらに他の実施態様において、インプラント上の化合物の量は、約1mgよりも少ない。さらに角実施態様において、インプラント上の化合物の量は、約1μg〜約50mg、好ましくは約100μg〜約10mg、より好ましくは約200μg〜約500μgである。
【0104】
さらなる実施態様において、本発明は、インプラントに隣接する組織中の本発明の化合物の濃度が、組織1g当たり約0.001ng〜約1000μg、好ましくは組織1g当たり約1ng〜約500μg、より好ましくは組織1g当たり約100ng〜約100μgである装置を提供する。
【0105】
別の実施態様において、本発明の化合物は、5分未満〜2年、好ましくは3日〜6ヶ月、より好ましくは1週間〜3ヶ月の範囲の期間の間、インプラントから放出され得る。別の実施態様において、本発明の化合物は、1日を超える期間、好ましくは2週間を超える期間、より好ましくは1ヶ月を超える期間の間、インプラントから放出され得る。別の実施態様において、本発明の化合物は、ステントから完全に放出されきるのに2年を超える期間を要し得る。いくつかの実施態様において、所与の期間の間に放出される化合物の量は少なくとも25%である。他の実施態様において、放出される化合物の量は、少なくとも50%である。さらに他の実施態様において、放出される化合物の量は少なくとも75%である。さらなる他の実施態様において、放出される化合物の量は少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%であり得る。
【0106】
さらなる態様において、本発明は、約1日〜約2年の期間の間に化合物の少なくとも75%が放出される、装置を提供する。別の実施態様において、約3日〜約6ヶ月の期間の間に化合物の少なくとも90%が装置から放出される。さらに別の実施態様において、約1週間から約3ヶ月の期間の間に化合物の少なくとも90%が装置から放出される。
【0107】
本発明の化合物が注射によって投与されたかまたは点眼剤によって眼球もしくは硝子体を介して投与された場合、化合物単独の濃度、またはポリマーマトリックス、溶媒もしくは担体内の化合物の濃度は、1ug/ml〜5mg/ml、好ましくは5ug/ml〜30ug/mlであり得る。投与後の、投与部位に隣接する組織中の本発明の化合物の濃度は、約0.1nM〜500μM、好ましくは約1nM〜100μM、より好ましくは約10nM〜10μMであり得る。当業者は、本発明の化合物の他の濃度も有用であることを理解するであろう。
【0108】
本発明の化合物は、当該技術分野で知られている如何なる手段を介してもインプラントから放出され得る。いくつかの実施態様において、インプラントは、能動的手段または受動的手段を介して当該化合物を放出する。他の実施態様において、インプラントは、浸透圧ポンプまたは拡散を介して当該化合物を放出する。当業者は、インプラントからの化合物の他の放出手段も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0109】
いくつかの実施態様において、本発明は、以下に記載するような治療剤をさらに包含する装置を提供する。他のいくつかの実施態様において、治療剤は、化合物の放出に先立って、同時に、またはその後に放出される。他の実施態様において、化合物は第1の供給源から放出され、治療剤は第2の供給源から放出される。さらに他の実施態様において、化合物および治療剤は単一の供給源から放出される。
【0110】
B.投与
本発明の化合物は、1日量、間欠投与量または1回限りの投与量に基づいて全身投与され得る。1日全身投与量は、1日あたり0.1mg〜20mg、好ましくは0.5mg〜10mg、最も好ましくは1mg〜5mgの範囲であり得る。当業者は、他の用量も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0111】
本発明の化合物は、約1ナノグラム/cm2/日〜約1000マイクログラム/cm2/日、好ましくは約1マイクログラム/cm2/日〜約200マイクログラム/cm2/日、より好ましくは約5マイクログラム/cm2/日〜約100マイクログラム/cm2/日の範囲の速度でインプラントから放出され得る。
【0112】
本発明の装置が眼部の症状および疾患の治療のために構成されている場合、本発明の化合物は、1日量、間欠投与量または1回限りの投与量に基づいて点眼剤として目を介してまたは注射剤として投与され得る。用量は、1日当たり0.1μg〜3mg、好ましくは10μg〜10mg、最も好ましくは100μg〜1mgの範囲であり得る。当業者は、他の用量も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0113】
C.医薬製剤
いくつかの実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化43】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は上記のとおりである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0114】
他のいくつかの実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化44】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は上記のとおりである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0115】
さらなる他の実施態様では、本発明は、医薬上許容される賦形剤および式:
【化45】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、L1、L2、L3およびL4は上記のとおりである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0116】
別の実施態様では、当該医薬組成物は、図2の化合物を含む。他の実施態様では、R1、R6およびR8は、各々、メチルであり、R2、R3およびR5は、各々、Hであり、R4およびR10は、各々、OHであり、R7およびR9は、各々、OMeであり、M1、M2、M3、M4およびM5は、各々、Hであり、M6およびM7は、各々、メチルであり、L1およびL4は、各々、
【化46】

であり、L2およびL3は、各々、
【化47】

である。
【0117】
いくつかの実施態様において、本発明は、医薬上許容される賦形剤がポリマー、溶媒、抗酸化剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被覆剤、甘味料、香料、安定剤、着色料、金属、セラミックおよび半金属からなる群から選択されるメンバーである、医薬組成物を提供する。他の実施態様において、医薬上許容される賦形剤はポリマーである。
【0118】
本発明の有効成分は、投与様式および剤形の性質に応じて、医薬上許容される担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクル、例えば保存剤、充填剤、ポリマー、崩壊剤、流動促進剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味料、芳香剤、潤滑剤、酸性化剤、および分散化剤と混合され得る。経口剤を製剤するために用いられ得る医薬上許容される担体および賦形剤を包含するそのような成分は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)(出典明示により本明細書の一部を構成する)に記載されている。医薬上許容される担体の例としては、水、エタノール、ポリオール、植物油、脂肪、ワックス、ポリマー(ゲル形成および非ゲル形成ポリマーを包含する)、ならびにそれらの好適な混合物が挙げられる。賦形剤の例としては、デンプン、アルファ化デンプン、アビセル、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、およびレーキ混合物が挙げられる。崩壊剤の例としては、デンプン、アルギン酸、およびある種のケイ酸錯体が挙げられる。潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、および高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。当業者は、他の様々な賦形剤が本発明による製剤に用いられ得ること、および本明細書において提供されるリストが網羅的でないことを理解するであろう。
【0119】
適切な非分解性または遅分解性のポリマー被覆は、他の合成または天然の重合物質を含む、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エチレンビニルアルコールコポリマー、シリコーン、C−flex、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、パリラスト、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)コポリマー、またはポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリカーボネート、ポリアクリルアミドゲルなどとブレンドされたもの;それらの混合物、コポリマー、または組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
適切な生分解性ポリマー被覆は、ポリ(乳酸)、ポリラクテート、ポリ(グリコール酸)、ポリグリコレートおよびコポリマー、ポリジオキサノン、ポリ(グルタミン酸エチル)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリヒドロキシバレレートおよびコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物、ポリ(オルトエステル);ポリ(エーテルエステル)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(トリメチルカーボネート)、ポリエチレンカーボネート、ポリ(エチレンカーボネート)とポリ(トリメチルカーボネート)のコポリマー、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、デンプンに基づくポリマー、酢酸酪酸セルロース、ポリエステルアミド、ポリエステルアミン、ポリシアノアクリル酸、ポリフォスファゼン、ポリN−ビニル−2−ピロリドン、ポリマレイン酸無水物、ヒアルロン酸(ヒアルロネート)、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、カルポキシメチルセルロース、ヘパリン硫酸、ケラタン硫酸、カルボキシメチルヒドロキシプロピルゼルロース、カルポキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸、セルロースリン酸、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルヒドロキシエチルグアー、キサンタンガム、カラゲナン、アニオン型多糖類、アニオン型タンパク質およびポリペプチド、塩化ステアリルアンモニウムおよび塩化ベンジルアンモニウムを含む四級アンモニウム化合物、コポリマー、および他の脂肪族ポリエステル、またはポリ(L−乳酸)およびポリ(e−カプロラクトン)のコポリマーを含むそれらの適切なコポリマー;それらの混合物、コポリマー、イオン型ポリマーまたは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
適切な天然被覆としては、以下のものが挙げられる:フィブリン、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、オリゴ糖類および多糖類、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ハイポキシアパタイト(hypoxyapatite)、リン脂質、フォスフォリルコリン、糖脂質、脂肪酸、タンパク質、セルロース、およびそれらの混合物、コポリマー、または組み合わせ。
【0122】
適切な非ポリマー性被覆としては、金属被覆、例えばタングステン、マグネシウム、コバルト、亜鉛、鉄、ビスマス、タンタル、金、プラチナ、ステンレス鋼、例えば316L、304、チタン合金;セラミック被覆、例えば酸化ケイ素;半金属、例えば炭素、ナノ多孔質被覆;またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施態様において、医薬上許容される賦形剤は、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エチレンビニルアルコールコポリマー、シリコーン、C−flex、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、パリラスト、ポリ(メタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリカーボネート、ポリアクリルアミドゲル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)コポリマー、またはポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールメタクリレート)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリLラクチド−グリコリドコポリマー、ポリLラクチド−トリメチレンカーボネートコポリマーおよびポリL−ラクチドとブレンドされたもの、からなる群から選択されるポリマーである。さらなる態様において、ポリマーはポリ(n−ブチルメタクリレート)である。
【0124】
さらなる実施態様では、本発明は、化合物が該化合物とポリマーとの混合物中に少なくとも10%(w/w)存在する組成物を提供する。別の実施態様では、当該化合物は、少なくとも20、25、30、40、50、55、60、70、75、80および90%(w/w)存在する。他の実施態様において、当該化合は、少なくとも25%(w/w)存在する。他のいくつかの実施態様において、当該化合物は、少なくとも50%(w/w)存在する。さらなる他の実施態様において、当該化合物は、少なくとも75%(w/w)存在する。当業者は、本発明において他の組成物も有用であることを理解するであろう。
【0125】
別の実施態様において、本発明の化合物は、被覆なしでステント上に適用され得る。別の実施態様において、本発明の化合物は、ポリマー被覆と組み合わせて、例えば、本発明の化合物−ポリマーマトリックスを形成して、ステント上に適用され得る。本発明の化合物は、完全にまたは部分的に結晶化されるか、または非晶質形態であり得る。ポリマーは、非分解性、部分分解性または完全分解性であり得る。被覆は、非−ポリマー、例えば金属被覆であっても良い。別の実施態様において、本発明の化合物は、単独で、またはポリマーまたは非ポリマートップコートと共に被覆中に含有されて、ステント上に適用され得る。別の実施態様において、ステントは、ステント表面と本発明の化合物または本発明の化合物−ポリマーマトリックスとの間に配置された下層被覆を包含する。適切な下層被覆は、ポリマー、例えばパラリン(paralyne)C、パリレンN、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリカプロラクトン、エチルヒドロキシ酢酸ビニル(ethylvinyl hydroxylated acetate)(EVA)など、またはそれらの組み合わせ、または非ポリマー、例えば金属またはセラミックなどであり得る。
【0126】
被覆は、スプレー、超音波成膜、浸漬、インクジェット散布、プラズマ成膜、イオン注入、スパッタリング、真空蒸着、蒸気蒸着、熱分解、電気メッキ、グロー放電被覆などまたはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されるものではない様々な方法のいずれによっても適用され得る。
【0127】
被覆の厚さは、1ナノメーター〜100マイクロメーター、好ましくは100ナノメーター〜50マイクロメーター、より好ましくは1マイクロメーター〜20マイクロメーターの範囲であり得る。
【0128】
本発明の化合物は、酸化または他の手段による分解を防ぐため、抗酸化剤または安定剤と併用され得る。抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。安定剤としては、アミレン(amglene)、ハイドロキノン、キニーネ、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。抗酸化剤および安定剤は、製造過程での構造変化または分解を減少させ、化合物または化合物含有インプラントの有効期間または保存寿命を増大させるため、直接化合物と併用され得るか、または化合物製剤、例えば化合物−ポリマーマトリックスと混合され得る。化合物における抗酸化剤、例えばBHTの量は、0.01%〜10%、好ましくは0.05%〜5%そして最も好ましくは0.1%〜1%の範囲であり得る。化合物における安定剤、例えばアミレンの量は、0.001%〜0.1%、好ましくは0.005%〜0.05%、最も好ましくは0.01%〜0.02%の範囲であり得る。当業者は、他の抗酸化剤および安定剤が本発明において有用であることを理解するであろう。
【0129】
本発明の化合物は、治療剤、例えば抗血小板剤、抗血栓剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、免疫抑制剤、抗癌剤または他の剤またはそれらの組み合わせと併用して投与され得る。当業者は、他の治療剤も本発明において有用であることを理解するであろう。
【0130】
該治療剤は、本発明の化合物と共に、および/または本発明の化合物とは別に、ステント上に取り込まれ得る。少なくとも治療剤の一部は、ステントから本発明の化合物が放出される前に、またはそれと同時に、またはその後に、ステントから放出され得る。治療剤は、本発明の化合物が送達される前に、またはその間に、またはその後に、全身的または部位特異的投与を通して別々に与えられ得る。
【0131】
例えば、本発明の化合物は、抗血小板剤または抗血栓症剤、例えばヘパリン、クロピドグレル、クーマディン、アスピリン、チクリッドなどと共に与えられ得る。別の例において、本発明の化合物は、抗炎症剤、例えばアスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロジン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン(レラフェン)、アセトアミノフェン、およびそれらの混合物;COX−2阻害剤、例えばニメスリド、NS−398、フロスリド、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、S−2474、タクロリムス、およびそれらの混合物;糖質コルチコイド、例えばヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、デスオキシコルチコステロンなど、または上記のものの類縁体またはそれらの組み合わせ、と共に与えられ得る。
【0132】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、少なくとも1種類の眼部の症状および疾患治療薬と組み合わせられる。当該技術分野で知られている好適な治療薬を、眼部の症状および疾患治療に用いるための本発明の化合物と組み合わせることができる。本発明の化合物と組み合わせることができる治療薬としては、ルセンティス、アバスチン、マクガン、ボロシキシマブ、オロパタジン、散瞳薬、デキサメタゾン、ピロカルピン、トロピカミド、キノロン、ガレンタミン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、アトロピン、アトロピン硫酸塩、アトロピン塩酸塩、臭化メチルアトロピン、硝酸メチルアトロピン、アトロピンハイパーデュリック、アトロピンN−オキシド、フェニルエフリン、フェニルエフリン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミン、ヒドロキシアンフェタミン臭化水素酸塩、ヒドロキシアンフェタミン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミンヨージド、シクロペントレート、シクロペントレート塩酸塩、ホマトロピン、ホマトロピン臭化水素酸塩、ホマトロピン塩酸塩、ホマトロピンメチルブロマイド、スコポラミン、スコポラミン臭化水素酸塩、スコポラミン塩酸塩、スコポラミンメチルブロマイド、スコポラミンメチルニトレート、スコポラミンN−オキシド、トロピカミド、トロピカミド臭化水素酸塩、トロピカミド塩酸塩、ピロカルピン、イソピロカルピン、フィソスチグミン、および塩化ステアリルアンモニウムおよび塩化ベンジルアンモニウムを含む4級アンモニウム化合物、それらの混合物、イオン型塩および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
本発明の化合物の眼科用製剤は、上記のいずれものポリマーを含むことができる。このような製剤に有用なポリマーは、いずれのサイズのものであってもよい。いくつかの実施態様なおいて、該ポリマーは、約50キロダルトン(kD)〜8,000kDの分子量を有し得る。当業者は、他のサイズのポリマーも本発明に有用であることを理解するであろう。
【0134】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、単独で、または、化合物−ポリマー製剤、化合物−溶媒製剤もしくは化合物−担体製剤の一部として投与され得る。本発明の製剤は、全て、活性成分および不活性成分を含んでよい。活性成分としては、抗炎症剤、免疫抑制剤および抗感染症薬、抗酸化剤、抗体、抗生物質、抗血管新生剤、抗血管内皮細胞増殖因子剤、抗ヒスタミン剤および潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。不活性成分としては、担体、溶媒、無機物質、pH調整剤、放射線不透過体、放射能、蛍光剤、NMR造影剤または他の「レポーターまたは指示薬」が挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物−溶媒製剤における溶媒の例としては、水、生理食塩水、アルコールおよびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物−担体製剤における担体の例としては、グリセリン、パラフィン、蜜蝋、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびマクロゲルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機物質の例としては、ホウ酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、ホウ酸ナトリウム、ポビドン、およびリン酸水素二ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。pH調整剤の例としては、水酸化ナトリウム、塩化水素、バッファー、ならびに他の無機および有機酸/塩基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。保存剤の例としては、塩化ベンザルコニウム、およびポリクウォーターニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。潤滑剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者は、他の活性成分および不活性成分ならびに溶媒および担体も本発明に有用である事を理解するであろう。
【0135】
いくつかの実施態様において、本発明は、約5%未満の化合物がラパマイシンへ代謝される組成物を提供する。他のいくつかの実施態様において、約1%未満の化合物がラパマイシンへ代謝される。さらに他の実施態様において、約0.1%未満の化合物がラパマイシンへ代謝される。
【0136】
他の実施態様において、本発明は、約0.1mg〜約20mgの化合物の1日全身投与量を有する一の剤形の組成物を提供する。他のいくつかの実施態様において、化合物の1日全身投与量は、約0.5mg〜約10mgである。別の実施態様において、化合物の1日全身投与量は、約1mg〜約5mgである。
【0137】
IV.処置
本発明の化合物は、一般に大環状トリエンまたは大環状ラクトンとして知られる化合物のクラスに応答する症状を処置するために用いられ得る。
【0138】
本発明の化合物は、哺乳動物において例えば次の症状を含む疾患を処置するために、単独で、または他の剤と組み合わせて用いられ得る:
a) 急性または慢性の器官または組織の移植拒絶反応の治療および予防、例えば、心臓移植、肺移植、心肺同時移植、肝臓移植、腎臓移植、膵臓移植、皮膚移植または角膜移植のレシピエントの治療。本発明の化合物は、移植片対宿主病(例えば、骨髄移植後)の予防のために用いられ得る。
b) 移植血管障害、例えばアテローム性動脈硬化症の治療および予防。
c) 血管内膜肥厚、血管閉塞、閉塞性血管アテローム性動脈硬化症、再狭窄につながる、細胞の増殖および遊走の治療および予防。
d) 自己免疫疾患、および炎症状態、例えば関節炎(例えば関節リウマチ、アースリティス・クロニカ・プログレディエンテ(arthritis chronica progrediente)および変形性関節症)およびリウマチ性疾患などの自己免疫構成要素を含む病因を有する炎症状態、の治療および予防。
e) 喘息の治療および予防。
f) 多剤耐性状態、例えば多剤耐性癌または多剤耐性AIDSの治療。
g) 増殖性疾患、例えば腫瘍、癌、高増殖性皮膚疾患などの治療。
h) 真菌、細菌およびウイルスなどの感染の治療。
i) 血管シャントにおける細胞増殖の治療または予防。
j) 眼部の症状および疾患の治療または予防。
k) 血管新生の予防。
【0139】
化合物ARおよびラパマイシン(シロリムス)のヒト細胞増殖を阻害する効力は、インビトロモデルで実証される。試験は実施例2に示され、結果は図8に示される。化合物ARは、図8に示される通りの濃度範囲にわたって平滑筋細胞の増殖を阻害した。
【0140】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の化合物の治療上有効な量を、細胞増殖または遊走の阻害を必要としている対象体に対して投与することによって細胞の増殖または遊走を阻害する方法を提供する。
【0141】
他の実施態様において、本発明は、本発明の化合物が全身、局所またはそれらの組み合わせを介して投与される方法を提供する。
【0142】
他のいくつかの実施態様において、本発明の化合物の投与は、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、非経口、血管内、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内、肺、粘膜、経皮、眼部、皮下投与またはクモ膜下腔内投与を介するものである。
【0143】
さらに他の実施態様において、本発明の化合物の投与は、一時的装置またはインプラントを通じた送達を介するものである。別の実施態様において、一時的装置は、カテーテルおよび多孔質バルーンからなる群から選択される。さらに別の実施態様において、インプラントは血管プロテーゼである。さらに他の実施態様において、血管プロテーゼは拡張可能な構造を含む。別の実施態様において、血管プロテーゼは、ステント、インプラント、または少なくとも一部分が開放格子から形成されるスキャフォールドを含む。
【0144】
一つの実施態様において、本発明の化合物の阻害濃度(IC50)は、それに対応する親の(図1における修飾前の)大環状ラクトンのIC50とほぼ等しい。別の実施態様において、IC50は、それに対応する親大環状ラクトンのIC50よりも高い。さらに別の実施態様において、IC50は、それに対応する親大環状ラクトンのIC50よりも低い。例えば、IC50は、それに対応する親大環状ラクトンのIC50の2分の1から1000分の1である。
【0145】
好ましい態様において、本発明の化合物のIC50は、それに対応する親大環状ラクトンよりも1.5〜1,000倍高く、好ましくは対応する親大環状ラクトンよりも2〜100倍高く、より好ましくは対応する親大環状ラクトンよりも5か〜50倍高い。別の実施態様において、本発明の化合物のIC50は、約0.1nM〜約1μM、好ましくは約1nM〜約0.5μM、より好ましくは約5nM〜約100nMである。
【0146】
本発明の化合物の有効性を評価する他の手段としては、有効濃度(EC50)の測定が挙げられる。一つの実施態様において、EC50は、対応する親大環状ラクトンのEC50とほぼ等しい。別の実施態様において、EC50は、対応する親大環状ラクトンのEC50よりも高い。さらに別の実施態様において、EC50は、対応する親大環状ラクトンのEC50よりも低い。
【0147】
いくつかの実施態様において、本発明は、化合物の有効投与量が約0.1mg〜約20mgである方法を提供する。他のいくつかの実施態様において、化合物の有効投与量は約0.5mg〜約10mgである。さらに他の実施態様において、化合物の有効投与量は約1mg〜約5mgである。
【0148】
本発明の化合物、組成物および装置は、サイトカイン阻害に有用である。炎症促進性サイトカインIL−6は、多様な炎症性刺激に応答して合成され、炎症カスケードにおいて鍵となる調節タンパク質として作用する。IL−6は、フィブリノーゲンおよびC反応性タンパク質の放出を含む、損傷後の急性期応答の刺激において中心的な役割を果たす。
【0149】
IL−6はまた、それが血管壁への白血球動員、および血管平滑筋細胞増殖、再狭窄のような高増殖性疾患の発病に必須の因子を刺激することが示されているように、再狭窄にも直接的に関与する可能性がある。
【0150】
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP−9)は、ステント植え込み後の新生内膜増殖および血管リモデリングのような状態を含む、細胞の遊走および増殖において鍵となる役割を果たす。MMPの放出は、血管損傷後の平滑筋細胞の遊走を増大させる、プロテオグリカンに富む細胞外マトリックスの増加を引き起こす。
【0151】
血漿中活性MMP−9レベルは、ベアメタルステント ISR の有用な独立予測因子であり得る。(Elevated Plasma Active Matrix Metalloproteinase-9 Level Is Associated With Coronary Artery In-Stent Restenosis, Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2006;26:e121-e125)
【0152】
単球走化性タンパク質1(MCP−1)は、血管平滑筋および内皮細胞を含む多くの細胞によってインビトロで分泌される、強力な単球化学誘引物質である。MCP−1遺伝子の除去またはMCP−1シグナルの遮断によって高コレステロール血症マウスにおけるアテローム発生が減少することが示されている。MCP−1は、サルにおける新生内膜肥厚の発病において役割を果たすことが示されている(Importance of Monocyte Chemoattractant Protein-1 Pathway in Neointimal Hyperplasia After Periarterial Injury in Mice and Monkeys, Circ Res. 2002;90:1167-1172)。MCP−1はまた、ヒトおよびウサギのアテローム性動脈硬化病変のマクロファージに富む領域における小さな細胞サブセットにおいても強く発現される(Expression of Monocyte Chemoattractant Protein 1 in Macrophage-Rich Areas of Human and Rabbit Atherosclerotic Lesions, PNAS, Vol 88, 5252-5256)。MCP−1の阻害は、炎症性疾患、増殖性疾患および上記で議論された他の病状の治療および予防に対して治療的な影響力を及ぼし得る。
【0153】
インターロイキン−10(IL−10)は、単球に対する強力な阻害効果を有する抗炎症性サイトカインである。IL−10が損傷後内膜肥厚を減少させることが示されている(Interleukin-10 Inhibits Intimal Hyperplasia After Angioplasty or Stent Implantation in Hypercholesterolemic Rabbits Circulation. 2000;101:908-916)。LDL刺激に反応してのヒト単球によるIL−10の内因性産生はIL−12の産生を阻害し、このことは、炎症促進性反応を均衡させることができるIL−10の交差調節作用を示す。
【0154】
A.眼部の症状および疾患
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、医薬組成物および装置は、眼部の症状および疾患の治療に有用である。本発明の化合物、医薬組成物および装置は、いずれかの眼部の症状または疾患の治療に有用である。本発明の化合物および装置によって治療され得る眼部の症状および疾患としては、眼瞼の障害、涙腺系および眼窩の障害、涙管遮断、結膜の障害、強膜、角膜、虹彩および絨毛体の障害、水晶体の障害、脈絡膜および網膜の障害、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、緑内障、硝子体および眼球の障害、視神経および視覚路の障害、眼筋、両眼運動、遠近調節および屈折の障害、視覚障害ならびに失明等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物および装置で治療され得るさらなる眼部の症状および疾患としては、細胞増殖の抑制、炎症の予防、血管新生の予防、神経血管系の保護、および移植後の免疫反応の予防が挙げられる。当業者は、他の眼部の障害および疾患も本発明の化合物および装置を使用して治療され得ることを理解するであろう。
【0155】
現行の治療方法としては、外科手術および薬物療法が挙げられる。外科的治療法としては、網膜移植、高速レーザー眼科手術、内皮移植、白内障手術、緑内障手術、屈折矯正手術、角膜手術、硝子体網膜手術、眼筋手術、眼形成手術、目に移植することができる角膜またはその一部を創製するための幹細胞の使用が挙げられる。
【0156】
眼部の症状および疾患は、上記のとおり本発明の化合物、医薬組成物および装置を用いて治療することができる。本発明の化合物および医薬組成物は、当業者に知られているいずれかの方法によって投与することができる。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、インプラント、注射または点眼剤によって投与される。他のいくかつの実施態様において、投与は、目の眼内または硝子体を介するものである。他の実施態様において、投与は、インプラントによるものである。他の実施態様において、当該化合物は、金属被覆、セラミック被覆またはポリマ被覆を介して化合物を放出するインプラントによるものである。
【0157】
投与がインプラントを介するものである場合、化合物は、当該技術分野で知られているいずれかの手段によって放出され得る。いくつかの実施態様において、化合物のインプラントからの放出は、拡散の浸透圧を介するものであり得る。当業者は、化合物をインプラントから放出する他の手段も本発明に有用であることを理解するであろう。
【0158】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、眼部の症状または疾患の治療のための少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせられる。当業者に知られているいずれかの好適な治療剤を、眼部の症状または疾患の治療に用いるための本発明の化合物と組み合わせることができる。いくつかの.実施態様において、該治療剤としては、抗炎症剤、免疫抑制剤およびおよび抗感染症薬、抗酸化剤、抗体、抗生物質、抗血管新生剤、抗血管内皮細胞増殖因子剤、抗ヒスタミン剤および潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物と組み合わせることができる治療薬としては、ルセンティス、アバスチン、マクガン、ボロシキシマブ、オロパタジン、散瞳薬、デキサメタゾン、ピロカルピン、トロピカミド、キノロン、ガレンタミン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、アトロピン、アトロピン硫酸塩、アトロピン塩酸塩、臭化メチルアトロピン、硝酸メチルアトロピン、アトロピンハイパーデュリック、アトロピンN−オキシド、フェニルエフリン、フェニルエフリン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミン、ヒドロキシアンフェタミン臭化水素酸塩、ヒドロキシアンフェタミン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミンヨージド、シクロペントレート、シクロペントレート塩酸塩、ホマトロピン、ホマトロピン臭化水素酸塩、ホマトロピン塩酸塩、ホマトロピンメチルブロマイド、スコポラミン、スコポラミン臭化水素酸塩、スコポラミン塩酸塩、スコポラミンメチルブロマイド、スコポラミンメチルニトレート、スコポラミンN−オキシド、トロピカミド、トロピカミド臭化水素酸塩、トロピカミド塩酸塩、ピロカルピン、イソピロカルピン、フィソスチグミン、および塩化ステアリルアンモニウムおよび塩化ベンジルアンモニウムを含む4級アンモニウム化合物、それらの混合物、イオン型塩および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
本発明において開示される全ての実施態様が、単独で、または本発明の他の実施態様もしくは実施例と組み合わせて利用され得ることが理解され得る。
【実施例】
【0160】
V.実施例
実施例1: 16−O−デメチル大環状ラクトン(化合物AR)の製造
アセトニトリル500ml中の大環状ラクトンラパマイシン(1000mg、10.75mmol)を0.1N塩酸500mlで処理した。得られた溶液を室温で約28時間撹拌した。次いで、反応混合物を分液漏斗中にてジクロロメタンで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、次いで、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH=7.4)で2回またはpH=7になるまで洗浄し、次いで、蒸留(DI)水で3回洗浄した。最後に、有機層をNa2SO4で乾燥させ、冷蔵庫中に一夜放置した。真空濃縮して、化合物ARのオフホワイト色粉末(約820mg)を得た。
【0161】
移動相として0〜12分はメタノール:水(80:20)、12.01〜20分は100%メタノールを流速15ml/分で使用して、SUPECOからのAscentis C18(21.2×250mm、10μm)カラムにて分取HPLCによって化合物ARを精製した。負荷濃度は、350mg/mlであり、注入量は、100ulであった。254nmでのUV吸光度によって化合物をモニターした。これらの条件下で、化合物ARは9.0〜11.5分の間に溶出され、一方、出発物質および副生成物は、17.0〜20.0分の間に溶出された。
【0162】
分取HPLCは、アセトニトリル:水(70:30から開始)の勾配液を使用して行うこともでき、278nmでのUV吸光度によってモニターすることもできる。この分取方法を使用する分取HPLCクロマトグラムを図4に示す。
【0163】
化合物ARを含有するフラクションを回収し、一緒にプールし、次いで、rotovacおよび凍結乾燥器を使用することによって溶媒を蒸発させて、化合物ARのオフホワイト色粉末を得た。
【0164】
1H NMR(CDCl, 400MHz, トランス:シスアミド回転異性体混合物、括弧内の化学シフトは主要な回転異性体を示す)を図5に示す。δ, ppm 0.532(q,J=12Hz,1H), 0.890(d,J=6.8Hz,3H), 0.921(d,J=6.8Hz,3H), 0.931(d,J=6.4Hz,3H), 0.971(d,J=6.8Hz,3H), 0.991(d,J=6.6Hz,3H), 1.005(d,J=6.4Hz,3H), 1.686(s,3H), 1.772(s,3H), 1.773(s,3H), 1.823(s,3H), 3.330(s,3H), 3.380(s,3H), 3.859(d,J=5.2Hz,1H), 4.001(d,J=3.6Hz,1H), 4.03 4.07(m,1H), 4.22(br,1H), 5.21 5.28(m,3H), 5.336(d,J=11.6Hz,1H), 5.384(dd,J=14.8,9.6Hz,1H), 6.117(dd ,J=14.4,10.8Hz,1H), 6.243(dd ,J=14.4,10.4Hz,1H), 6.376(dd,J=14.8,11.2Hz,1H)。
【0165】
親化合物のプロトンNMRと比較すると、3.14ppmでのピークの消失は、C16位だけでのデメチル化、および反応の完了を示している。(ラパマイシンのNMRスペクトルの割当については、Journal of Antibiotics 1991, 44(6), 688を参照すること。)
【0166】
化合物ARの化学構造は、質量分析実験によっても証明された。フラグメンテーションパターンは、900のm/zの存在を示したが、同一条件下で、ラパマイシンは、914のm/zを提供する。液体クロマトグラフィーおよび質量分析実験の結果を図6に示す。これは、900のm/zをもつ化合物ARの同定を示している。
【0167】
化合物ARの総含有量を、Sigma AldrichからのSupelco C18(4.6×150mm、5μm)カラムを使用し、移動相としてメタノール:水(90:10)を流速1ml/分で使用して、逆相HPLCによって決定した。化合物ARを254nmでのUV吸光度によってモニターした。化合物ARは、7.97分の保持時間を有した。図7は、総含有量>98%の化合物ARの分析HPLCクロマトグラムを示している。化合物ARの純度は、Waters Corporation からのYMC ODS AL C18(4.6×250mm、5μm)カラムを使用し、アセトニトリル:水勾配移動相を流速1.0ml/分で使用して、逆相HPLCによって決定した。図7bは、278nmでのUV吸光度によってモニターした場合、純度>98%の化合物ARの主要な異性体を示した。
【0168】
化合物ARの酸化を最小限にする手段として、分取HPLC後に0.1%w/wの酪酸化ビトロキシトルエン(BHT)を添加した。
【0169】
実施例2: 化合物ARの生物学的活性
インビトロでのヒト平滑筋細胞培養試験によって化合物ARの効力を決定した。1、3および8時間の暴露後、様々な濃度(0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、および1μM)の化合物ARおよび様々な濃度(0.0005、0.001、0.01、および0.1μM)のラパマイシンの試料について取り込まれたチミジンの量を測定した。平滑筋細胞を化合物ARおよびラパマイシンに1および3時間の短時間暴露させた後の化合物ARおよびラパマイシンのIC50は、それぞれ、約0.05および0.01μMであった(表1および図8に示される)。平滑筋細胞を化合物ARおよびラパマイシンに8時間暴露させた後の化合物ARおよびラパマイシンのIC50は、それぞれ、約0.005および0.001μMであった。化合物ARのIC50は、ラパマイシンのものよりも約5倍高かった。
【0170】
【表2】

【0171】
実施例3: 化合物ARを含有するカテントの製造
室温にてポリ(n−ブチルメタクリレート)(PBMA)15mgをジクロロメタン3mLに溶解した。バイアルに化合物AR 10mgを入れ、0.1%(w/w)BHT含有または不含ジクロロメタン2mLに溶解した。これらの溶液を合わせ、ジクロロメタン10mLでさらに希釈した。
【0172】
マイクロプロセッサーで制御した超音波スプレー装置を使用して、18mm金属性ステント(カリフォルニア州サニーベールのElixir Medical Corp.から入手可能)の全表面に薬物含有PBMA溶液約450ugを塗布した。コーティング後、該ステントを真空チャンバーに入れた。次いで、該ステントを3.0×20mm PTCA送達かてーてるのバルーン上に設置した。次いで、該カテーテルをコイル中に挿入し、Tyvek(登録商標)ポーチで包装した。該ポーチを酸化エチレンによって滅菌した。該Tyvek(登録商標)ポーチを脱酸素剤と一緒にさらにホイルポーチで包装し、窒素パージし、真空包装した。
【0173】
実施例4: 化合物ARを溶出するステントのインビボ試験
健常ブタ冠動脈モデルにおいて、実施例3からの化合物溶出ステントシステム(上記で製造した)の効力を、28±2日の血管造影結果をラパマイシン溶出ステントシステムCyperTM Cornary Stent(Cordis Corporation)と比べることによって評価した。
【0174】
結果として血管反応性およびそのヒト血管反応との相関関係についての多量のデータが得られるステントおよび血管形成研究のために非アテローム性動脈硬化症ブタモデルが広く使用されてきたので(Schwartz et al, Circulation. 2002; 106:1867-1873)、このモデルを選択した。動物は、National Research Councilによって確立されたGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って飼育した。
【0175】
介在の少なくとも3日前に動物を全てアスピリン(325mg/経口投与)およびクロピドグレル(75mg/経口投与)で前処理し始め、研究の間、継続した。麻酔誘導後、標準的な技術を使用して左または右の大腿動脈にアクセスし、動脈中に動脈シースを導入し、進めた。
【0176】
蛍光透視ガイド下で血管造影を行い、シースを介して7Fr.ガイドカテーテルを挿入し、ニトログリセリンの冠動脈内投与に適当な位置まで進めた。平均内腔径が2.25〜4.0mmの範囲の冠動脈のセグメントを選択し、0.014''ガイドワイヤーを挿入した。定量的冠動脈造影(QCA)を行って、参照血管径を記録した。
【0177】
適当なサイズのステントを配置位置まで進めた。バルーン対動脈比が1.30:1.0となるのに十分な圧力になるまで、バルーンを一定の速さでふくらませた。圧力を約10秒間維持した。血管造影を行って、処置後の血管開存性および血管径を記録した。
【0178】
各動物について指定されたエンドポイントで追跡血管造影を行った。各血管造影図をステント移動、管腔狭窄、ステント密着、解離または動脈瘤の存在、および流動特性のエビデンスを定性的に評価した。追跡血管造影の完了後、動物を安楽死させた。
【0179】
各動物から心臓を摘出し、100〜120mmHgで10%緩衝ホルマリンを用いて冠動脈を灌流した。心臓を10%緩衝ホルマリン中に浸漬した。全ての心筋病変または異常所見が報告された。
【0180】
測定または算出された血管造影パラメータは、以下のものを含んだ:
・辺縁部血管(近位および遠位)平均内腔径(ステント挿入後および最終のみ)
・標的領域の平均内腔径(全ての血管造影図)
・標的領域の最小内腔径(MLD)(ステント挿入後および最終のみ)
・径狭窄 [1−(MLD/RVD)]×100%、ここで、RVDは閉塞位置における参照径の計算結果(投影された病変のない血管の内挿をもたらすため、ソフトウェアに基づく反復性線形回帰法によって得られた測定値)である。(最終の血管造影図のみ)
・バルーン対動脈の比 [バルーン/ステント挿入前平均内腔径]
・ステント対動脈の比 [ステント挿入後/ステント挿入前平均内腔径]
・遠隔期損失の割合 [最終MLD−ステント挿入後MLD]
【0181】
全ての動物は指定されたエンドポイントまで生存した。ステント移動、ステントの不完全密着、持続性解離または動脈瘤のエビデンスといった出来事は記録されなかった。Cypherステントについての、範囲外の3つのデータポイント(完全な閉塞またはほぼ完全な閉塞)は除外した。Cypherステントについての平均狭窄率が20.21±11.45(n=22)であった本研究および同様のプロトコルを用いた以前の研究からのプールされたCypherステントのデータと比較して、化合物ARステント(長さ1mm当たり約10マイクログラムの薬剤用量)についての平均狭窄率は25.7±17.8(n=15)であった(図9)。
【0182】
ブタのモデルに28日間植え込まれた場合、本実施例における化合物AR溶出ステントは、Cypherステントよりも高い狭窄率をもたらした。
【0183】
実施例5: 化合物AR溶出ステントのインビボ薬物動態
実施例3の化合物ARステントシステムの薬物動態評価を、ブタ冠動脈モデルにおいて6時間、3日、7日、および28日目に行った。用いられた介入の手順は、ステント植え込みまでは実施例4に記載されたインビボ血管造影研究と同様であった。
【0184】
適切なサイズのステントを配置部位まで進めた。バルーン対動脈比が1:1となるのに十分な圧力になるまで、バルーンを一定の速さでふくらませた。圧力を約10秒間維持した。血管造影を行って、処置後の血管開存性および血管径を記録した。全部で9つのステント(時点あたり3つ)を植え込んだ。
【0185】
適切な時点で動物を安楽死させ、心臓を切り取った。ステント挿入部位に対し約10mm近位の血管および10mm遠位の血管を含むステント挿入セグメントを切り取った。近位部分および遠位部分を分離し、別々のバイアルに保管した。ステントの周りの組織をステントから注意深く取り外し、各々を別々のバイアルに入れた。次いで、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)を用いて分析する前に、全てを−70℃に冷凍した。
【0186】
全ての動物は指定されたエンドポイントまで生存した。化合物ARについての平均組織濃度およびステントからの放出率を、図10および11に示す。化合物AR溶出ステントは、本実施例において、7日目に40%を超える薬剤が放出されるという、ステントからの化合物ARの放出を示す。
【0187】
実施例6: 17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトン(AS)の調製
ラパマイシン1gのメタノール40ml中溶液に5%NaOH−MeOH 0.8mLおよび30%H22 2mlを添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。いくらかのラパマイシンが未だ反応していないことをTLCが示した場合には、反応溶液に5%NaOH−MeOH 0.8mLおよび30%H22 2mlのさらなる混合物を添加した。反応が完了したことをTLCが示すまで、室温で撹拌を継続した。該溶液を、ジクロロメタンおよびブラインで3回抽出した。有機層を合わせ、ブラインおよび水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、MgSO4を濾過した後、該溶液を蒸発させて原生成物を得た。該原生成物を、TLCプレートを用いてさらに精製し、淡黄色の粉末0.40gを得た(収率40%)。1H NMR (CDCl3)(配座異性体の約4:1混合物、主要な配座異性体のシグナルのみ記載)ラパマイシンと比べた大きな変化:δ(ppm) 1.75(s,1H), 1.98(s,1H), 6.71(ddd,5H,J1=16Hz,J2=8Hz,J3=2.8Hz)。13C DEPT 135 NMR (CDCl3)(配座異性体の約4:1混合物、主要な配座異性体のシグナルのみ記載):δ(ppm) 152, 140, 133, 128, 127, 126, 84, 83, 76, 74, 67, 59, 56, 44, 43, 41, 40, 36, 35, 34, 33, 31, 29, 28, 22, 21, 20, 17, 16, 15, 13。質量スペクトル:m/z=962;ラパマイシンのm/z=930。
【0188】
実施例7: 17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトン(AS)の生物学的活性
17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンの効力をインビトロヒト平滑筋細胞培養試験によって実証した。様々な濃度(0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、および1μM)の17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンおよび様々な濃度(0.0005、0.001、0.01、および0.1μM)の化合物ARの試料に対して取り込まれたチミジンの量を8時間曝露後に測定した。平滑筋細胞が17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンおよび化合物ARに8時間曝露された後の17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンおよび化合物ARのIC50は、それぞれ、約0.1および0.005μMであった(図13)。17,18−29,30−ビス−エポキシド大環状ラクトンのIC50は、化合物ARのIC50よりも約20倍高かった。
【0189】
実施例8: 17,18−19,20−21,22−トリス−エポキシド大環状ラクトン(AY)の調製
m−クロロペルオキシ安息香酸0.93g(3.22mmol)をラパマイシン0.50g(0.5371mmol)のCHCl3 10ml中溶液に室温で添加した。混合物を室温で24時間、撹拌した。いくらかのラパマイシンが未だ反応していない事をTLCが示した場合には、さらなるm−クロロペルオキシ安息香酸0.50gおよびCHCl3 5mLを添加した。TLCによってラパマイシンが全く示されなくなるまで、室温で撹拌を継続した。反応の完了後、溶液をジクロロメタンで希釈し、洗浄によりヨウ素デンプン紙で陰性の試験結果が得られるまで、亜硫酸ナトリウム水溶液で処理した。これにより、確実に、過剰な過酸が全て破壊された。水層をCH2Cl2で数回抽出した。次いで、有機層を5%炭酸水素ナトリウム20mlで2回洗浄して安息香酸を除去した。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過した後、蒸発させて粗白色固体0.46gを得た。この原生成物を、TLCプレートを用いてさらに精製した。MS m/z 978、ラパマイシンのm/z 930。
【0190】
実施例9: 大環状ラクトンによるサイトカイン阻害
細胞培養研究において、細胞を大腸菌のリポ多糖(LPS)に処理することによって、Il−6、MMP−9、MCP−1およびIL−10のようなサイトカインを分泌するようマクロファージを活性化した。10nMの濃度の化合物ARおよびラパマイシンで活性化マクロファージを処理した後のこれらのサイトカインの阻害を、ELISAアッセイを用いて試験した。大環状ラクトンへの曝露後の炎症促進性ならびに細胞の増殖および遊走誘導サイトカインの阻害を図12(a)に示す。大環状ラクトン化合物ARおよびシロリムスへの曝露後の抗炎症性サイトカインIL−10の阻害を図12(b)に示す。
【0191】
ステント植込みから1、3、7日後のMMP−9レベルは、ステント植込み6ヶ月後の遠隔期損失指標と正の相関があった(Elevated matrix metalloproteinase expression after stent implantation is associated with restenosis. Int J Cardiol. 2006;112(1):85 90)。
【0192】
化合物ARおよびシロリムスはIL−6放出のいかなる有意な阻害も示さなかった。MMP−9の産生を増大させ、MCP−1の産生には影響を与えなかったシロリムスと比較して、化合物ARはサイトカインMMP−9およびMCP−1両者の産生を有意に減少させた。
【0193】
化合物ARおよびシロリムスは、IL−6の放出の阻害において、いかなる差異も示さなかった。他方、シロリムスはサイトカインMMP−9の産生を増大させたが、化合物ARはMMP−9の産生を減少させた。MCP−1の産生に影響を与えなかったシロリムスと比較して、化合物ARはサイトカインMCP−1の産生を減少させた。化合物ARおよびシロリムスは両者ともに抗炎症性サイトカインIL−10の産生を阻害する。
【0194】
化合物ARのような本発明において特許請求の範囲に記載される化合物は、高レベルの抗炎症効果(例えば、炎症促進性サイトカインMCP−1のより大きな阻害)、および高レベルの抗−細胞増殖および抗−細胞遊走効果(例えば、増殖および遊走促進性サイトカイン MMP−9のより大きな阻害)を伴う、より良い治療反応を提供し得る。
【0195】
実施例10: ヒト臨床試験における化合物AR溶出ステントの試験
15人のヒト被験者に対して化合物AR被覆ステントの臨床試験を行った。死亡、心筋梗塞(Q波および非Q波の両方)および標的病変血行再建として定義される主要有害心イベントの評価を通して化合物AR被覆ステントの安全性を臨床的に評価した。4ヶ月目の血管造影および血管内超音波法(IVUS)の結果を通して有効性を評価した。該研究の主要エンドポイントは、血管造影ステント内遠隔期内径損失であった。副次エンドポイントは、主要有害心イベント(MACE)ならびに追加の血管造影およびIVUS評価であった。該臨床研究は地域倫理委員会によって承認され、全ての患者は臨床研究に入る前に、倫理委員会承認のインフォームドコンセントに署名した。
【0196】
指標の手順の少なくとも1日前または当日に全ての患者をアスピリンおよびチクロピジン(500mg/経口投与)で前処理し始めた。アスピリン(>100mg/日)およびクロピドグレル(75mg/日)を少なくとも6ヶ月の間継続した。病院の標準的な経皮的規範に従い、標準技術を用いて左または右の大腿動脈にアクセスし、動脈中に動脈シースを導入し、進めた。
【0197】
指標の手順である血管造影を蛍光透視ガイド下で行い、シースを介して6または7Fr.ガイドカテーテルを挿入し、ニトログリセリンの冠動脈内投与に適当な位置まで進めた。平均内腔径が3.0mm〜3.5mmの範囲の冠動脈のセグメントを選択し、0.014''ガイドワイヤーを挿入した。定量的冠動脈造影(QCA)を行って、参照血管径を記録した。ステント植込みの前に、標準的技術を用いて病変部の前拡張を行った。
【0198】
前拡張に続いて、適切なサイズのステント(3.0×18mmまたは3.5×18mm)を配置部位まで進めた。ステントを完全に展開させる圧力まで、一定の速度でバルーンをふくらませた。圧力を約30秒間維持した。血管壁へのステントの良好な密着を確実にするため、必要に応じてステントの後拡張を行うことができた。血管造影および血管内超音波画像診断(IVUS)を行い、記録した。
【0199】
各々の患者について、4ヶ月の指定されたエンドポイントにおいて追跡血管造影およびIVUSを行った。各々の血管造影図を管腔狭窄、ステント密着および流動特性のエビデンスについて定性的に評価した。
【0200】
測定または算出された血管造影およびIVUSのパラメータは、以下のものを含んだ:
・辺縁部血管(近位および遠位)平均内腔径(ステント挿入後および最終)
・標的領域の平均内腔径(全ての血管造影図)
・標的領域の最小内腔径(MLD)(ステント挿入後および最終のみ)
・径狭窄 [1−(MLD/RVD)]×100%、ここで、RVDは閉塞位置における参照径の計算結果(投影された病変のない血管の内挿をもたらすため、ソフトウェアに基づく反復性線形回帰法によって得られた測定値)である。(最終の血管造影図のみ)
・ステント内遠隔期内径損失[最終MLD−ステント挿入後MLD]
・IVUSによって評価されるステント内新生内膜量の割合
【0201】
全ての患者は、4ヶ月の臨床および血管造影による経過観察を経た。経過観察期間中は、一人の患者も、いかなる主要有害心イベントも経験しなかった。血管造影結果は、血管造影ステント内遠隔期内径損失の主要エンドポイントが0.16±0.32mmであることを示した。IVUS分析を15人中13人の患者について行い、その結果は3.7±2.7%のステント内新生内膜量の割合を示した。
【0202】
比較として、予備研究においてCypherステントが試験され、全く臨床イベントを伴わない同様の臨床上の安全性、および徐放性のグループ(現在の市販の製剤)についての4ヶ月目のステント内遠隔期内径損失が0.09±0.3mmであるという血管造影結果、およびIVUSによる0.3±0.6%であるステント内新生内膜量の割合(Sousa, JE, Circulation 2001; 103; 192-195)が示された。
【0203】
実施例11: 31−ヒドロキシル大環状ラクトン、44−ヒドロキシル大環状ラクトン(化合物BG)および47−ヒドロキシル大環状ラクトン(化合物BJ)の製造
無水エタノール100ml中の大環状ラクトンラパマイシン(1g、1.1mmol)を二酸化セレン(122mg、1.10mmol)の無水エタノール(50ml)中溶液に添加した。TLC分析がラパマイシンの消失を示すまで(約15時間)、該混合物を室温で撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物をエーテルと水との間で分配させ、エーテル80mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。分取HPLCによって、個々の純粋な最終生成物31−ヒドロキシル大環状ラクトン、44−ヒドロキシル大環状ラクトン、47−ヒドロキシル大環状ラクトンを得た。
【0204】
大環状ラクトンラパマイシンと比べた特徴的なスペクトル変化は以下のとおり示される:
【表3】

【0205】
実施例12: 43−ヒドロキシル大環状ラクトン(化合物BF)、47−ヒドロキシル大環状ラクトン(化合物BJ)の製造
大環状ラクトンラパマイシン1g(1.1mmol)の溶液をアセトニトリル100mlに溶解した。20〜30分間撹拌および窒素パージしながら、該溶液に硫化鉄・七水和物0.3g(1.1mmol)を添加した。次いで、氷浴を用いて混合物を−16℃〜−18℃に冷却した。次いで、撹拌および窒素パージしながら、上記混合物に30%H22 1mlのアセトニトリル10ml中溶液を30分間にわたってゆっくり添加した。過酸化水素の添加完了後、TLC分析がラパマイシンの消失を示すまで、撹拌および窒素パージを続けた。該溶液をジクロロメタンおよびブラインで3回抽出した。有機層を合わせ、ブラインおよび水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、MgSO4を濾過し、溶液を蒸発させて原生成物を得た。分取HPLCによって、純粋な生成物43−ヒドロキシル大環状ラクトン、47−ヒドロキシル大環状ラクトンを得た。
【0206】
大環状ラクトンラパマイシンと比べた特徴的なスペクトル変化は以下のとおり示される:
【表4】

【0207】
上記の発明は、理解を明確にするため、説明および実施例の方法によってある程度詳細に記載されたが、当業者は、添付の請求項の範囲内において一定の変更および改変が実施され得ることを理解するであろう。加えて、本明細書において提供された各々の参考文献は引用により、各々の参考文献が引用により個別に包含されたのと同程度に、全体が包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼部の症状または疾患の治療を必要とする対象体に式:
【化1】

[式中、
1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;
10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化2】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;
1およびL4は、各々独立して、
【化3】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
2およびL3は、各々独立して、
【化4】

からなる群から選択される;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化5】

である場合、R2はOH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4およびR7がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化6】

である場合、R9は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、M8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化7】

である場合、R10は、OH、−OP(O)Me2
【化8】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3以外のものである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグの治療上有効量を投与することによって眼部の症状または疾患を治療することによる眼部の症状または疾患の治療方法であって、該化合物が医薬上許容される賦形剤と組み合わせて対象体に投与される、方法。
【請求項2】
眼部の症状または疾患が、眼瞼の障害、涙腺系および眼窩の障害、涙管遮断、結膜の障害、強膜、角膜、虹彩および絨毛体の障害、水晶体の障害、脈絡膜および網膜の障害、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、緑内障、硝子体および眼球の障害、視神経および視覚路の障害、眼筋、両眼運動、遠近調節および屈折の障害、視覚障害ならびに失明からなる群から選択されるメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
治療方法が、細胞増殖の抑制、炎症の予防、血管新生の予防、神経血管系の保護、および移植後の免疫反応の予防からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
化合物が、インプラント、注射または点眼剤によって投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
投与が、目の眼球、目の眼球内部または目の硝子体内部に対して行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
投与がインプラントを介して行われる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
化合物が浸透圧または拡散によってインプラントから放出される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
4がOHである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
1、R6およびR8が、各々、メチルであり;
2、R3およびR5が、各々、Hであり;
4およびR10が、各々、OHであり;
7およびR9が、各々、OMeであり;
1、M2、M3、M4およびM5が、各々、Hであり;
6およびM7が、各々、メチルであり;
1およびL4が、各々、
【化9】

であり;
2およびL3が、各々、
【化10】

である;
請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物が、少なくとも1種類の治療剤と共投与される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
治療剤が、抗血小板剤、抗血栓剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、免疫抑制剤、抗癌剤からなる群から選択されるメンバーである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
治療剤が、ルセンティス、アバスチン、マクガン、ボロシキシマブ、オロパタジン、散瞳薬、デキサメタゾン、ピロカルピン、トロピカミド、キノロン、ガレンタミン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、アトロピン、アトロピン硫酸塩、アトロピン塩酸塩、臭化メチルアトロピン、硝酸メチルアトロピン、アトロピンハイパーデュリック、アトロピンN−オキシド、フェニルエフリン、フェニルエフリン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミン、ヒドロキシアンフェタミン臭化水素酸塩、ヒドロキシアンフェタミン塩酸塩、ヒドロキシアンフェタミンヨージド、シクロペントレート、シクロペントレート塩酸塩、ホマトロピン、ホマトロピン臭化水素酸塩、ホマトロピン塩酸塩、臭化メチルホマトロピン、スコポラミン、スコポラミン臭化水素酸塩、スコポラミン塩酸塩、臭化メチルスコポラミン、硝酸メチルスコポラミン、スコポラミンN−オキシド、トロピカミド、トロピカミド臭化水素酸塩、トロピカミド塩酸塩、ピロカルピン、イソピロカルピン、フィソスチグミン、および塩化ステアリルアンモニウムおよび塩化ベンジルアンモニウムからなる群から選択されるメンバーである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
医薬上許容される賦形剤が、ポリマー、溶媒、抗酸化剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被覆剤、甘味料、香料、安定剤、着色料、金属、セラミックおよび半金属からなる群から選択されるメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
医薬上許容される賦形剤がポリマーを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エチレンビニルアルコールコポリマー、シリコーン、C−flex、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、パリラスト、ポリ(メタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリカーボネート、ポリアクリルアミドゲル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)コポリマー、またはポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールメタクリレート)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリLラクチド−グリコリドコポリマー、ポリLラクチド−トリメチレンカーボネートコポリマーおよびポリL−ラクチドとブレンドされたものからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ポリマーが、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリLラクチド−グリコリドコポリマー、およびポリ(n−ブチルメタクリレート)からなる群から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
医薬上許容される賦形剤および式:
【化11】

[式中、
1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;
10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化12】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;
1およびL4は、各々独立して、
【化13】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
2およびL3は、各々独立して、
【化14】

からなる群から選択される;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化15】

である場合、R2はOH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4およびR7がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化16】

である場合、R9は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、M8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化17】

である場合、R10は、OH、−OP(O)Me2
【化18】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3以外のものである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項19】
化合物が図2の化合物である、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
1、R6およびR8が、各々、メチルであり;
2、R3およびR5が、各々、Hであり;
4およびR10が、各々、OHであり;
7およびR9が、各々、OMeであり;
1、M2、M3、M4およびM5が、各々、Hであり;
6およびM7が、各々、メチルであり;
1およびL4が、各々、
【化19】

であり;
2およびL3が、各々、
【化20】

である;
請求項18記載の組成物。
【請求項21】
医薬上許容される賦形剤が、ポリマー、溶媒、抗酸化剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被覆剤、甘味料、香料、安定剤、着色料、金属、セラミックおよび半金属からなる群から選択されるメンバーである、請求項18記載の組成物。
【請求項22】
医薬上許容される賦形剤がポリマーである、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
ポリマーが、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エチレンビニルアルコールコポリマー、シリコーン、C−flex、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、パリラスト、ポリ(メタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリカーボネート、ポリアクリルアミドゲル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)コポリマー、またはポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールメタクリレート)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリLラクチド−グリコリドコポリマー、ポリLラクチド−トリメチレンカーボネートコポリマーおよびポリL−ラクチドとブレンドされたものからなる群から選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
ポリマーがポリ(エチレンカーボネート)、ポリLラクチド−グリコリドコポリマー、およびポリ(n−ブチルメタクリレート)からなる群から選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
化合物が該化合物とポリマーとの混合物中に少なくとも25%(w/w)存在する、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
化合物が少なくとも50%(w/w)存在する、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
化合物が少なくとも75%(w/w)存在する、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
化合物の約5%未満がラパマイシンに代謝される、請求項18記載の組成物。
【請求項29】
化合物の約1%未満がラパマイシンに代謝される、請求項18記載の組成物。
【請求項30】
化合物の約0.1%未満がラパマイシンに代謝される、請求項18記載の組成物。
【請求項31】
約0.1mg〜約20mgの化合物の1日全身投与量を有する投与剤形の請求項18記載の組成物。
【請求項32】
化合物の1日全身投与量が約0.5mg〜約10mgである、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
化合物の1日全身投与量が約1mg〜約5mgである、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
インプラント;および
請求項18記載の化合物の少なくとも1つの供給源
を含む、体内用装置。
【請求項35】
装置が、細胞増殖を阻害するために体内において体内腔または器官に対して化合物を放出するよう構成されている、請求項34記載の装置。
【請求項36】
装置が、平滑筋細胞増殖および炎症を阻害するために体内において体内腔または器官に対して化合物を放出するよう構成されている、請求項35記載の装置。
【請求項37】
インプラントが血管プロテーゼである、請求項34記載の装置。
【請求項38】
血管プロテーゼが拡張可能な構造を含む、請求項37記載の装置。
【請求項39】
血管プロテーゼが、ステント、グラフト、または少なくとも一部が開放格子から形成されるスキャフォールドを含む、請求項37記載の装置。
【請求項40】
血管プロテーゼがステントである、請求項39記載の装置。
【請求項41】
血管プロテーゼが管腔面および組織接面を有し、ここで、化合物が管腔面または組織接面の少なくとも一方に付随している、請求項38記載の装置。
【請求項42】
装置上の化合物の量が約1ng/cm2〜約1000μg/cm2である、請求項34記載の装置。
【請求項43】
装置上の化合物の量が約1μg/cm2〜約500μg/cm2である、請求項42記載の装置。
【請求項44】
装置上の化合物の量が約10μg/cm2〜約400μg/cm2である、請求項42記載の装置。
【請求項45】
隣接組織中の化合物の濃度が組織1g当たり約0.001ng〜約1000μgである、請求項34記載の装置。
【請求項46】
隣接組織中の化合物の濃度が組織1g当たり約1ng〜約500μgである、請求項45記載の装置。
【請求項47】
隣接組織中の化合物の濃度が組織1g当たり約100ng〜約100μgである、請求項45記載の装置。
【請求項48】
化合物の少なくとも75%が約1日〜約2年の間に装置から放出される、請求項34記載の装置。
【請求項49】
化合物の少なくとも90%が約3日〜約6ヶ月の間に装置から放出される、請求項34記載の装置。
【請求項50】
化合物の少なくとも90%が約1週間〜約3ヶ月の間に装置から放出される、請求項34記載の装置。
【請求項51】
装置が、さらに、治療剤を含む、請求項34記載の装置。
【請求項52】
治療剤が、抗血小板剤、抗血栓剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、免疫抑制剤および抗癌剤からなる群から選択されるメンバーである、請求項51記載の装置。
【請求項53】
治療剤が、化合物の放出の前、それと同時、またはその後に放出される、請求項51記載の装置。
【請求項54】
化合物が第1の供給源から放出され、治療剤が第2の供給源から放出される、請求項53記載の装置。
【請求項55】
化合物および治療剤が単一の供給源から放出される、請求項53記載の装置。
【請求項56】
細胞増殖阻害を必要とする対象体に請求項18記載の化合物の治療上有効量を投与することによる細胞増殖の阻害方法。
【請求項57】
請求項18記載の化合物が全身、局所、またはそれらの組み合わせによって投与される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
請求項18記載の化合物の投与が、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、非経口投与、血管内投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、鼻腔内投与、肺投与、粘膜投与、経皮投与、眼部投与、皮下投与またはクモ膜下腔内投与によるものである、請求項56記載の方法。
【請求項59】
請求項18記載の化合物の投与が、一時的装置またはインプラントを通じた送達を介するものである、請求項56記載の方法。
【請求項60】
一時的装置がカテーテルおよび多孔質バルーンからなる群から選択される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
インプラントが血管プロテーゼである、請求項59記載の方法。
【請求項62】
血管プロテーゼが拡張可能な構造を含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
血管プロテーゼが、ステント、グラフト、または少なくとも一部分が開放格子から形成されるスキャフォールドを含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
化合物のIC50が、約0.1nM〜約1μMである、請求項56記載の方法。
【請求項65】
化合物のIC50が、約1nM〜約0.5μMである、請求項64記載の方法。
【請求項66】
化合物のIC50が、約5nM〜約100nMである、請求項64記載の方法。
【請求項67】
化合物の有効投与量が約0.1mg〜約20mgである、請求項56記載の方法。
【請求項68】
化合物の有効投与量が約0.5mg〜約10mgである、請求項67記載の方法。
【請求項69】
化合物の有効投与量が約1mg〜約5mgである、請求項67記載の方法。
【請求項70】
式:
【化21】

[式中、
1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;
10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化22】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;
1およびL4は、各々独立して、
【化23】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
2およびL3は、各々独立して、
【化24】

からなる群から選択される;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化25】

である場合、R2はOH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R7およびR9がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化26】

である場合、R4は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4およびR7がOMeであり、R10およびM8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化27】

である場合、R9は、OH以外のものであり;
ただし、R1、R6、R8、M6およびM7がMeであり、R2、R3、R5、M1、M2、M3、M4およびM5がHであり、R4、R7およびR9がOMeであり、M8がOHであり、L2およびL3が−CH=CH−であり、L1およびL4
【化28】

である場合、R10は、OH、−OP(O)Me2
【化29】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3以外のものである]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物、N−オキシドおよびプロドラッグ。
【請求項71】
10が、
【化30】

である、請求項70記載の化合物。
【請求項72】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項71記載の化合物。
【請求項73】
4がOHである、請求項72記載の化合物。
【請求項74】
10が、
【化31】

である、請求項70記載の化合物。
【請求項75】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項74記載の化合物。
【請求項76】
4がOHである、請求項75記載の化合物。
【請求項77】
10が−OP(O)Me2である、請求項70記載の化合物。
【請求項78】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項77記載の化合物。
【請求項79】
4がOHである、請求項78記載の化合物。
【請求項80】
10が、
【化32】

である、請求項70記載の化合物。
【請求項81】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項80記載の化合物。
【請求項82】
4がOHである、請求項81記載の化合物。
【請求項83】
10が、
【化33】

である、請求項70記載の化合物。
【請求項84】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項83記載の化合物。
【請求項85】
4がOHである、請求項84記載の化合物。
【請求項86】
化合物が図2の化合物である、請求項70記載の化合物。
【請求項87】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7のうち少なくとも1つがOHである、請求項70記載の化合物。
【請求項88】
4がOHである、請求項87記載の化合物。
【請求項89】
請求項70記載の化合物の製造方法であって、大環状ラクトンを酸と接触させてアルコキシ基を求核試薬で置換することによって請求項70記載の化合物を製造することを含む、方法。
【請求項90】
大環状ラクトンがラパマイシンである、請求項89記載の方法。
【請求項91】
求核試薬が−OH、−SHおよび電子豊富な芳香族基からなる群から選択されるメンバーである、請求項90記載の方法。
【請求項92】
請求項70記載の化合物の製造方法であって、大環状ラクトンをエポキシ化剤と接触させてアルケン基をエポキシドに変えることによって請求項70記載の化合物を製造することを含む、方法。
【請求項93】
大環状ラクトンがラパマイシンである、請求項92記載の方法。
【請求項94】
エポキシ化剤が、過酸および過酸化物からなる群から選択されるメンバーである、請求項92記載の方法。
【請求項95】
エポキシ化剤が、メタクロロペルオキシ安息香酸および過酸化水素からなる群から選択されるメンバーである、請求項94記載の方法。
【請求項96】
医薬上許容される賦形剤および式:
【化34】

[式中、
1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;
10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化35】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;
1およびL4は、各々独立して、
【化36】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
2およびL3は、各々独立して、
【化37】

からなる群から選択される]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物およびプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項97】
医薬上許容される賦形剤および式:
【化38】

[式中、
1、R2、R3、R5、R6、R8、M1、M2、M3、M4、M5、M6およびM7は、各々独立して、H、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
4、R7およびR9は、各々独立して、C1-6アルコキシおよびOHからなる群から選択され;
10は、H、−OH、−OP(O)Me2
【化39】

−O−(CH2)n−OHおよび−O−(CH2)m−O−(CH2)o−CH3からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、下付文字nおよびmは、各々独立して、2〜8であり、下付文字oは、1〜6であり;
1およびL4は、各々独立して、
【化40】

からなる群から選択され、ここで、各M8は、独立して、C1-6アルキル、OHおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
2およびL3は、各々独立して、
【化41】

からなる群から選択される]
で示される化合物ならびにその塩、水和物、異性体、代謝物およびプロドラッグを含む医薬組成物。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図2j】
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【図2k】
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【図2l】
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【図2m】
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【図2n】
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【図2o】
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【図2p】
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【図2q】
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【図2r】
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【図2s】
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【図2t】
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【図2u】
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【図2v】
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【図2w】
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【図2x】
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【図2y】
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【図2z】
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【図2aa】
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【図2ab】
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【図2ac】
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【図2ad】
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【図2ae】
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【図2af】
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【図2ag】
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【図2ah】
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【図2ai】
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【図2aj】
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【図2ak】
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【図2al】
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【図2am】
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【図2aq】
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【図2ar】
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【図2as】
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【図2au】
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【図2av】
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【図2ax】
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【図2ay】
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【図2az】
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【図2ba】
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【図2bb】
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【図2bc】
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【図2bd】
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【図2be】
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【図2bf】
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【図2bg】
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【図2bh】
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【図2bi】
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【図2bj】
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【図2bk】
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【図2bl】
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【図2bm】
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【図2bn】
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【図2bo】
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【図2bp】
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【図2bq】
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【図2br】
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【図2bs】
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【図2bt】
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【図2bu】
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【図2bv】
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【図2bw】
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【図2bx】
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【図2by】
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【図2bz】
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【図2ca】
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【図2cb】
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【図2cc】
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【図2cd】
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【図2ce】
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【図2cf】
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【図2cg】
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【図2ch】
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【図2ci】
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【図2cj】
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【図2ck】
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【図2cl】
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【図2cm】
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【図2cn】
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【図2co】
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【図2cp】
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【図2cq】
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【図2cr】
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【図2cs】
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【図2ct】
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【図2cu】
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【図2cv】
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【図2cw】
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【図2cx】
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【図2cy】
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【図2cz】
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【図2da】
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【図2db】
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【図2dc】
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【図2dd】
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【図2de】
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【図2df】
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【図2dg】
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【図2dh】
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【図2di】
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【図2dk】
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【図2dm】
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【図2dn】
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【図2do】
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【図2dp】
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【図2dr】
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【図2ds】
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【図2dt】
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【図2du】
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【図2dy】
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【図2ea】
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【図2ed】
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【図2ef】
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【図2er】
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【図2fb】
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【図2fg】
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【図2fi】
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【図2fl】
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【図2fm】
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【図2fs】
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【図2ft】
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【図2fu】
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【図2fv】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【公表番号】特表2011−525890(P2011−525890A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550655(P2010−550655)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/056501
【国際公開番号】WO2009/114010
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509073497)エリクサー・メディカル・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】ELIXIR MEDICAL CORPORATION
【Fターム(参考)】