説明

大環状ラクトン薬物送達システム

所望のゼロ次放出プロフィールで大環状ラクトンを放出することができ、薬物送達システムが開示される。当該システムは、熱可塑性ポリマーの使用、特にポリエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)の使用に基づいている。本発明の薬物送達システムは、好ましくは飽和濃度を優に上回る濃度で大環状ラクトンが含有される非多孔質の固体リザーバー、および最初は薬物が充填されていないリザーバーを被覆する非多孔質のスキンを含む。当該システムは、好ましくはロッドの形態にあり、コアおよびスキンが同心であり、ロッドの端面がスキンで被覆されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬物送達システムに関し、特に動物に対する活性成分としての大環状ラクトンの放出制御のためのインプラントに関する。本発明は、また、このような薬物送達システムの使用およびこれらの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
大環状ラクトン、すなわちアベルメクチンおよびミルベマイシン系の化合物は、強力な内部及び外部寄生虫薬である。この系に属する化合物は、天然産物またはこれらの半合成誘導体のどちらかである。これらの2つの系の化合物の構造は、密接に関係しており、両方とも複雑な1,6−員環の大環状ラクトン環を共有し、アベルメクチンは、ラクトン環の1,3位に二糖置換基を含み、ミルベマイシンは含まない。
【0003】
大環状ラクトン、例えばイベルメクチンは、獣医学における抗寄生虫の薬物治療として一般に使用される。これは、最も一般的なカイチュウ属、大部分のダニおよびある種のシラミに対して有効である。
【0004】
この目的を達成するために、活性化合物の放出制御ができる、好ましくは長期間一定放出をもたらすことができる薬物送達システムにおいて、大環状ラクトンを与えることが望ましい。
【0005】
当技術分野で認められるように、一定放出を達成することは困難である。全部ではないが大部分の放出制御システムは、初期に高放出する(バースト放出)。対時間の放出曲線におけるその後の放出は、通常ある程度の下降を示し、急勾配の線形曲線(一次放出)から、より望ましいほぼゼロ次放出の平坦な曲線に変化する。取り組む目的は、ゼロ次放出(すなわち、まさに平坦な対時間の放出曲線)を得ることにある。
【0006】
イベルメクチンのインプラントに関する参考文献は、Maeda Hらの「Design of controlled−release formulation for ivermectin using silicon、」、Int.Journal of Pharmaceutics、261、9−19頁(2003年)である。この参考文献では、側方の不浸透性剤皮(すなわち、端部を除くあらゆるところの剤皮)で被覆された薬物充填シリコーンマトリックスを有する円柱状インプラントが検討されている。この「被覆ロッド」型のインプラント設計により、構造体の非被覆端部においてのみ薬物放出を起こすことができる。当該参考文献は、シリコーンコアマトリックスが不浸透性剤皮で側方に被覆されていない設計とこの設計を比較している。(「マトリックス放出」と表現できる)後者のインプラントからの放出は、一次放出であるとされている。
【0007】
当該論文の要旨は、「被覆ロッド」設計は、ゼロ次放出への取組みが可能であることを示すことである。しかし、十分な放出を獲得するためにはさらなる手段が必要とされている。例えば2−3カ月の期間、ほぼゼロ次放出をもつためには、ポリエチレングリコールを添加することが必要である。そのような添加物がないと、放出が不十分なレベルとなることが当該論文から推論できる。
【0008】
添加物を使用する必要は、概して不利益である。例えば、添加物の安全性の証拠を提供することが必要となる。特に、好ましいPEPPGに対して、安全性の立証には、未知の結果を有する広範囲の毒性学的研究が要求され得る。相当量の添加物についての別の重大な欠点は、これが結果的に活性成分を収容するインプラント中の空隙をより小さくしてしまうという点にある。インプラントでは、許容されるインプラントの寸法を保持するために、薬物の高い充填量を用いることは極めて重要である。組成物のかなりの量が不活性な添加物から成る場合、これはインプラントにより大きな寸法をもたらしてしまう。
【0009】
放出特性がインプラントの担体材料の選択に依存するよりも添加物の含有に依存する場合、当業者にはこれが欠点としてさらに認識できる。添加物の含有は、製造プロセスを複雑にしてしまい、添加物の数を少なく保持したい一般的な要求と相容れない。その上、そのようなシステムにおける組成物の任意の変更は放出特性を劣化させるリスクを伴うので、放出に影響する添加物の必要性は(他の目的で必要であり得る)他の添加物を含める自由度を低いものにしてしまう。
【0010】
薬物充填インプラントの場合、このことは、例えば、放射線造影剤などの有用な添加物を含める自由度がより低いことを意味する。後者、例えば硫酸バリウムは、インプラントの迅速な除去が求められる際に、インプラントの位置を特定する重要なツールである。位置の特定は、長期間の放出を提供する薬物送達システムにとって重要であると認められている。例えば、速効型薬物の単一用量を摂取した結果として動物に有害事象が認められる場合、薬物投与をたやすく中止することができる。しかし、これらの状況が長期間の放出を提供するインプラントのケースで起こった場合、インプラントを除去する必要がでてくる。このため、体内においてインプラントの位置を特定できることが重要である。この目的を達成するには、X線は最も適切な技術である。この技術には、放射線造影剤の包含により得られる薬物送達システムのX線可視性が必要である。
【0011】
さらに、放出特性が細孔またはチャネルの構造に依存し、当該放出が添加物を用いて調整されなければならない、Maedaらによって開示されたシステムなどの薬物送達システムは、プロセスおよび設計の観点から比較的複雑である。Maedaらにおいて開示された被覆ロッドは、本質的に、(1つまたは複数の)水溶性薬物および場合によって水溶性添加剤も含有するマトリックスである。このマトリックスは、水不浸透性のスキンで覆われている。放出のメカニズムは、開口した末端を介する水の進入であり、薬物は、ゼロ次に近い様式で、末端を介するのみでゆっくりと放出される。水の進入および水溶性材料の溶解の結果、開口した多孔質のチャネル構造が形成される。水不浸透性スキンの目的は、側方側を介する放出を阻止することにある。
【0012】
本発明は、リザーバー型の薬物送達システムである。リザーバーは本質的に非多孔質であり、薬物放出はシステム中への水の進入によって駆動はされない。放出メカニズムは、むしろ非多孔質のポリマー媒体を通した薬物分子の拡散に基づく。剤形、例えばインプラントの内部では、被覆ロッド設計に反して水が拡散プロセスで役割を果たさない。したがって、開口端部を介する溶解は、システムの定常状態の放出にわずかに貢献するだけで、放出は、主として側方の速度制御スキンを介して行われる。
【0013】
大きな利点は、放出が側方側の表面積に比例することであり、したがって、選択された直径では、放出はインプラントの長さに比例する。
【0014】
その上、Maedaらにおいては、ゼロ次のインビボ放出動態は観察されていない。
【0015】
大環状ラクトンを長期間放出でき、好ましくは放出が一定レベルである、大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムを提供することが望ましいと考えられる。また、簡単で直接的なプロセスにおいて製造できる、大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムを提供することも望ましいと考えられる。添加物の含有に対する許容性が良好であり、特に放射線造影剤の含有を可能にする、大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムを提供することがさらに望ましいと考えられる。
【0016】
「被覆ロッド」型のインプラントの別の欠点は、過量放出から本質的には保護されないことである。過量放出とは、インプラントが挿入前または挿入時に破損する場合、この中に含有されている多量の用量の時期を失した不要な放出を意味する。したがって、例えば被覆ロッドを2つの断片に切断すると、不可避的に放出の倍増ならびに早期の欠乏をもたらす。後者は特に憂慮すべきことであり、予期せぬ早期の欠乏は、インプラントを保持している動物を保護されないままにしてしまう。本発明によるリザーバー型のインプラントは、過量放出に対して実質的に抵抗性がある。インプラントを半分に切断しても、放出率に実質的に影響しない。他方、放出が水性環境(例えば体液)に曝される表面積に比例することを実現する被覆ロッド設計の場合、スキンへの損傷は、直ちに大幅に増加された放出率をもたらしてしまう。
【0017】
Maedaらの教示に基づくと、当業者は、前述の所望に対処するシステムを発見することが困難である。そのため、著者らは、プロテインのマトリックス放出と比べてイベルメクチンに対しては、放出制御の新規な方法が必要であると教示する。このことは、他の著者らとも一致しており、例えば、放出制御のための薬物送達システムに対するさらなる背景が、Rajan Bawaら、Journal of Controlled Release 1 1985年、259−265頁による論文内に見出すことができる。エチレンビニルアセテートコポリマーなどの生体適合性ポリマーをベースにした放出システムを参照すると、これらのポリマーは、600Da(g/モル)より大きい分子に対して不浸透性であることが示されている。これらの場合において、複雑な相互接続した細孔のネットワークが形成されるならば放出が得られることがさらに記載されている。このことは、当分野における専門家に良く認識されており、別の背景参照、「New methods of Drug Delivery」、Robert Langer、Science、249(4976)1990年、1527−1533頁から明らかである。この著者は、放出されるべき薬物は600より低い分子量をもつ必要があることを確証し、細孔通路の形成を介して巨大分子を放出できることを裏付けている。
【0018】
前述に基づくと、当業者は、分子量が600である決定的な上限を超える大環状ラクトン(例えば、モキシデクチンの分子量は約640g/モルであり、イベルメクチンは875g/モル程の大きさである。)の放出制御に対処する場合、困難に直面する。
【0019】
大環状ラクトンのインプラントを提供する試みに関するさらなる背景として、BR PI0504244に対して参照がなされる。この文書は一般的に、エチレンビニルアセテートおよびポリジメチルシロキサン(シリコーン)の皮下インプラントを記載している。当該インプラントは、本質的に、最初に活性成分をシリカと混合し、次にポリマーまたはシリコーンと混合することにより製造される。当該文書には、記載された技術に基づいてインプラントを実際に製造することを可能にする十分な詳細が提供されていないが、活性成分が連続的なポリマーマトリックス中には取り込まれないが、シリカ相を有するシステム中に取り込まれることは明らかである。典型的には、浸透限界(粒子の相互接続が発生するポイント)は、シリカの材料などの表面積が大きい材料では低いので、シリカが相互接続する粒子のネットワークの生成に役立つことが期待されるべきである。シリカは、マトリックスを通して多孔性の通路を効果的に生成し、この文書もまた、ポリマー自体を通る大環状ラクトンの放出に対する反論を述べている。
【0020】
別の参考資料は、WO03/002102である。この文書は、活性物質の持続放出のためのシラスティックベースの小型インプラントに関している。前述の過量放出の危険を認識して、当該文書は、幾らか機械的な解決法を提供している。当該文書は、過量放出の防止に役立つ製剤技術を探索するのではなく、むしろ小型のインプラントまたはペレットを複数含む持続放出器を記載している。したがって、前述の危険性が、個々のインプラントの極めて小さいサイズにより阻止されている。この器具は実用上煩雑で、長期の作用を有する単一のインプラントという理想からは程遠い。小型インプラントは、非常に多数の活性化合物向けに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】ブラジル特許出願公開第PI0504244号明細書
【特許文献2】国際公開第03/002102号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Maeda Hら、「Design of controlled−release formulation for ivermectin using silicon、」、Int.Journal of Pharmaceutics、261、9−19頁(2003年)
【非特許文献2】Rajan Bawaら、Journal of Controlled Release 1 1985年、259−265頁
【非特許文献3】「New methods of Drug Delivery」、Robert Langer、Science、249(4976)1990年、1527−1533頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
当技術分野で未だに満たされていない別の要望は、大環状ラクトン化合物の1年以上の長期放出、好ましくは少なくとも1.5から3年の長期放出を可能にする薬物送達システム、好ましくはインプラントを提供することにある。特に、前述の使用期間中、ほぼゼロ次放出を示すような長期放出薬物送達システムを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(発明の要旨)
前述の要望の1つ以上にさらに良く対処するために、1つの態様において、本発明は、大環状ラクトンが充填された薬学的に許容し得る非分解性の熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーで作られた非多孔質の固体リザーバーおよびリザーバーを覆う非多孔質のスキンを含み、当該スキンは、その中に大環状ラクトンが存在する熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーを含む、活性成分としての大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムである。
【0025】
別の態様は、大環状ラクトンが充填された薬学的に許容し得るポリエチレンビニルアセテートコポリマーで作られた非多孔質のリザーバーおよびリザーバーを覆う非多孔質のスキンを含み、当該スキンは、ポリエチレンビニルアセテートコポリマーを含み、大環状ラクトンが、薬物送達システムのスキンを通した拡散によって実質的に放出される、活性成分としての大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムである。
【0026】
別の態様は、リザーバーおよびスキン層がロッドの軸と同心である、円柱状ロッドの形態の上記の薬物送達システムである。
【0027】
別の態様において、本発明は、大環状ラクトンが充填された熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーのコアが、大環状ラクトンが充填されていない熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーと共に共押出され、得られた共押出物が切断され、切断方向が押出方向とは実質的に異なり、好ましくは押出方向に対して垂直である方法によって得られる、活性成分としての大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムである。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、抗寄生虫インプラントとしての薬物送達システムの使用および関連する治療方法、すなわち動物における寄生虫病の治療方法に属し、この方法には、大環状ラクトンの寄生虫駆除有効量を含む上記の薬物送達システムを動物に投与することが含まれる。
【0029】
さらに別の態様では、本発明は、放出プロフィールがほぼゼロ次であり、下記に規定する過量放出がなされないようにする、大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】(イベルメクチンが充填された)変形体Aおよび(モキシデクチンが充填された)変形体Eの2層繊維の断面写真である。
【図1B】(イベルメクチンが充填された)変形体Aおよび(モキシデクチンが充填された)変形体Eの2層繊維の断面写真である。
【図2】変形体Aのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図3】変形体Bのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図4】変形体Cのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図5】変形体Dのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図6】変形体Eのインプラント設計の、モキシデクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図7】変形体Fのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図8】変形体Gのインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図9】変形体H(断面切断)のインプラント設計の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図10】変形体Jのインプラント設計(短縮したインプラント)の、イベルメクチンのインビトロ放出を示すグラフである。
【図11】変形体A1、A2およびB1ならびにJ1のインプラント設計の、イベルメクチンの333日間の長期インビトロ放出を示すグラフである。
【図12】変形体E1およびF2のインプラント設計の、モキシデクチンの333日間の長期インビトロ放出を示すグラフである。
【図13】変形体A1、A2およびB1のインプラント設計の、イベルメクチンの609日間の長期インビトロ放出を示すグラフである。
【図14】イヌにおける260日目までのイベルメクチンのインビボ血漿レベルを示すグラフである。
【図15】イヌにおける532日目までのイベルメクチンのインビボ血漿レベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な記述
広義では、本発明は、薬物送達システムに賢明な設計が選択される場合、大環状ラクトンが、分子量が比較的高いにもかかわらず熱可塑性コポリマーを使用する非多孔質のリザーバーシステムから放出され得るという予期せぬ発見に基づいている。特に、本発明は、熱可塑性ポリマー、とりわけエチレンビニルアセテートコポリマーが、非多孔質のポリマー媒体を通して、その分子量が比較的高いにもかかわらず、拡散に限定された大環状ラクトンの放出を提供できるという予期せぬ発見に基づいている。
【0032】
このことは、いくつかの利益をもたらす。それゆえに、スキンの厚みおよび/またはエチレンビニルアセテートコポリマーのグレードを変化させることにより、放出率の簡単で単純明快な調整を行うことができる。本発明の薬物送達システムは、共押出技術を用いる経済的に魅力のある単純明快な製造プロセスにおいて製造することができる。ほぼゼロ次の放出動態が、達成可能である。当該システムは、過量放出(すなわち、多量の薬物の時期を失した不要な放出)に対する良好な強靭さを有し、残留物の含有量が低く(すなわち、多量の活性成分がシステムから放出され、比較的少量(典型的には10−30wt%)だけが放出されないで、残存量として送達システム中に残る)、長期作用システム(例えば、1−3年)を製剤化する可能性を提供する。
【0033】
前述した設計には、好ましくは25℃における飽和濃度を超える濃度で活性成分が存在する固体の非多孔質リザーバーが関係する。より好ましくは、放出された活性化合物量を確実に連続的に補充するように、未溶解活性化合物の十分に大きなリザーバーを確保するために、当該濃度は飽和濃度を優に上回る。
【0034】
当該設計には、速度制御膜として作用すると考えられる非多孔質のスキンがさらに含まれる。薬物送達デバイスの製造の際に、好ましくは、スキンには活性化合物が充填されていない。製造直後に(すなわち、薬物が充填された固体リザーバーと好ましくは充填されていないスキンとの間に接触があるや否や)、薬物化合物はスキン中へ拡散することができ、溶解した化合物が平衡濃度に達するまでスキン中で溶解することが当業者によって理解される。当該濃度が飽和濃度を下回る限り、スキンを最初から活性化合物が充填された材料で作ること(望まれることもないが)は除外されない。
【0035】
リザーバーおよびスキンは、本質的に非多孔質である。用語「非多孔質」とは、有効空隙率がほぼゼロであることを示す。これは、薬物送達システムの形態に当然払うべき注意を払うことで、可能な限り空間率が低くなると理解されるべきである。例えば、スキンに覆われていないロッドの側面端部において、少数の活性物質の小区画が環境へ直接連痛されるので、それによって有効多孔率は厳密にはゼロでなくなる。したがって、また、本質的に非多孔質のシステムでは、低いパーセントの活性物質が曝露される可能性があり、それによってリザーバーが多孔質であるかのように局所的に挙動すると考えられることも除外できない。効果的に非多孔性であるリザーバーでは、充填された薬物物質の開孔を通して到達可能な量は、10wt.%未満であり、好ましくはおそらくこれより低く、5wt.%未満、より好ましくは2wt.%未満である。
【0036】
したがって、大環状ラクトンの放出は、そこから薬物が移動する多孔質のチャネルによって引き起こされるのではなく、熱可塑性材料自体を通した拡散に完全に基づいている。
【0037】
本発明の薬物送達システムでは、スキンが固体リザーバーを覆っている。最も簡単明瞭な形状では、このことは、スキンが薬物送達デバイスの外面全体を形成する、すなわち固体リザーバーのどの部分も曝露した状態のままにしておかないことを意味する。このことは、固体リザーバーの曝露部分がない結果として、いかなるバースト放出も回避するという意味で、有益である。しかし、そのようなシステムは、製造の観点からはより高価なものになってしまう。
【0038】
固体リザーバーおよびスキンを有する薬物送達システムの非常に好ましい製造法には、共押出が含まれる。本明細書では、固体リザーバーの材料とスキンの材料の同心の流れが、同軸ノズルを通って押し出され、内側に固体リザーバーの材料を有する糸状の材料が結果として得られ、こうしてコアを形成し、スキンの材料が当該コアを囲繞する。正常に連続する共押出物の押出量から、共押出物を所望の長さで簡単に切断することにより個々の薬物送達システムを提供することができる。切断は、押出方向とは実質的に異なる方向で(すなわち、押出物をその仮想軸と平行に接合することを避けるように)、好ましくは押出方向に対して垂直に行われる(結果として、コアとスキンが、ロッドの軸と同心である円柱状ロッドが得られる。)。
【0039】
円柱状ロッドが好ましい形状であるが、本発明の薬物送達デバイスは、例えばバー形状、六角ロッドなどの別の形状もまた有し得ることが理解される。
【0040】
上記の共押出した円柱状ロッドでは、両側の切断端部は、コアの表面領域を曝すことになる。使用の開始において、これが、これらの開口端部からの作用の発現(バースト相)をもたらすことになる。しかし、その後薬物放出は、主にスキン(共押出物の場合、インプラントの側壁)を通して起こる。
【0041】
薬物放出のメカニズムは、緻密な非多孔質ポリマーの固体リザーバーおよび速度制御膜を通る拡散駆動型の浸透である。放出はほぼゼロ次である。放出は、例えばスキンの厚み、固体リザーバー中のEVA組成および/または速度制御膜、ならびに薬物充填を調整することにより調節される。薬物放出を促進する開孔チャネル様構造の形成は概して起こらない。
【0042】
用語「固体リザーバー」は、薬物送達システムの内側部分を指し、外側部分はスキンである。本発明の薬物送達システムは、単一の固体リザーバーおよびスキンのほかに多くの部分を含むことが考えられる。例えば、当該システムは、多重の同心層を含んでもよい。これは、固体リザーバーとスキンとの間に中間層を含むことができる。これは、また、薬物が充填された中間層の形態の固体リザーバーおよび薬物が充填されていないコアを含むこともできる。
【0043】
大環状ラクトンは、好ましくは飽和を超える濃度(すなわち、熱可塑性ポリマー中の薬物の溶解性を十分に上回るレベル)で固体リザーバー中に充填されるので、大環状ラクトンは、部分的に固体の状態でおよび部分的に溶解した状態でポリマー中に存在する。固体リザーバー中の大環状ラクトンの初期濃度は、概して、5重量%、好ましくは10重量%から、より好ましくは20重量%から、60重量%まで、好ましくは50重量%までとなる。しかし、この濃度は変動してもよく、さらに好ましい範囲は25重量%から50重量%である。
【0044】
大環状ラクトン(アベルメクチンおよびミルベマイシン)は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する土壌微生物の生成物またはこれらの化学的誘導体である。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、大環状ラクトン、例えばアベルメクチン、ミルベマイシンおよびこれらの誘導体は、これらだけに限定されないが、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチンおよびセラメクチン(アベルメクチンおよびこの誘導体)、ミルベマイシンD、ミルベマイシンオキシム、レピメクチンおよびモキシデクチン(ミルベマイシンおよびこの誘導体)、ならびにこれらの混合物を含む群から選択される。
【0046】
特に企図される大環状ラクトンの寄生虫駆除剤の1つは、イベルメクチンである。イベルメクチンは、アベルメクチンの半合成誘導体であり、一般に、少なくとも80%の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1と20%未満の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1の混合物として製造される。イベルメクチンは、米国特許第4,199,569号に開示されている。イベルメクチンは、1980年代半ばから様々な寄生虫症を治療するための抗寄生虫薬として使用されている。別の特に企図される大環状ラクトンの寄生虫駆除剤は、モキシデクチンである。
【0047】
他の大環状ラクトンの寄生虫駆除剤としては、例えば以下のものが含まれる。
【0048】
アバメクチン この化合物は、例えば、米国特許第4,310,519号にアベルメクチンB1/B1として識別されている。アバメクチンは、少なくとも80%のアベルメクチンB1と20%未満のアベルメクチンB1を含有する。
【0049】
ドラメクチン この化合物は、25−シクロヘキシル−アベルメクチンBとして知られている。この構造および調製は、例えば、米国特許第5,089,480号において検討されている。
【0050】
エマメクチン この化合物は、また、4”−デオキシ−4”−epi−メチルアミノアベルメクチンBとして知られている。この調製は、例えば、米国特許第5,288,710号および米国特許第5,399,717号において検討されている。
【0051】
エプリノメクチン この化合物は、4”−epi−アセチルアミノ−4”−デオキシ−アベルメクチンBとして知られている。これは、ウシの全ての種および年齢群で使用するために開発された。
【0052】
セラメクチン この化合物は、また、25−シクロヘキシル−25−de(1−メチルプロピル)−5−デオキシ−22,23−ジヒドロ−5−(ヒドロキシイミノ)−アベルメクチンB1モノサッカライドとしても知られている。
【0053】
ミルベマイシンおよびミルベマイシンオキシム この化合物は、また、B41としても知られている。これは、ストレプトマイセスのミルベマイシン産生株の発酵ブロスから単離される。微生物、発酵条件および単離手順は、例えば、米国特許第3,950,360号および米国特許第3,984,564号において検討されている。
【0054】
モキシデクチン この化合物は、例えば、米国特許第4,916,154号において検討されている。
【0055】
レピメクチン これは、化学的に修飾されたミルベマイシンマクロライドであり、(6R,13R,25R)−5−O−デメチル−28−デオキシ−6,28−エポキシ−13−[(Z)−[(メトキシイミノ)フェニルアセチル]オキシ]−25−ミルベマイシンBと(6R,13R,25R)−5−O−デメチル−28−デオキシ−6,28−エポキシ−25−エチル−13−[(Z)−[(メトキシイミノ)フェニルアセチル]オキシ]ミルベマイシンBの混合物である。
【0056】
放射線造影剤、好ましくは硫酸バリウムを、インプラントをX線で可視化させるためにインプラント(例えば、コア)に添加してもよい。硫酸バリウムがある場合、コア材料中に4−30wt%、好ましくは6−20wt%、より好ましくは8−15wt%の濃度で存在する。BaSOが連続したポリマー媒体中に分散させられ、その結果インプラント中に保持されることに注意することは重要である。安全性の理由のため、これは、本質的に重要である。例えば、被覆されるロッドはあまり適当ではあり得ない。浸出プロセスがインプラントを多孔質にするので、インプラントはX線を吸収する粒子を容易に失い得る。
【0057】
本発明を実施する際に使用できる、薬学的に許容し得る非生物分解性の熱可塑性ポリマーは、原則として、製薬学的用途に適切な任意の熱可塑性ポリマーまたはエラストマー材料とすることができる。後者は、当初は生体適合性をおよび加工温度を意味し、この温度は、活性物質の劣化または変換などの悪影響を回避するために、あまり高くなってはならない。加工温度、すなわちポリマーを押し出すことができる温度は、好ましくは140℃未満である。適切なポリマーとしては、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンブチルアクリレート、ポリ(エーテル)ウレタンおよびスチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーが挙げられる。
【0058】
好ましい実施形態では、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(ポリ−EVA)が、この優れた機械的および物理的特性(例えば、材料中の活性物質の溶解性およびこの比較的低い加工温度)の理由から使用される。
【0059】
固体リザーバーおよび速度制御スキンは、好ましくは両方とも、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー(「EVA」)から作られる。これらのポリマーのグレードは、通常ビニルアセテートの重量パーセントを基準として特徴付けられる。したがって、「EVA−28」は、ビニルアセテートの含有率が約28重量%である。
【0060】
リザーバー中で使用されるEVAは、好ましくはビニルアセテートを15−40重量%、好ましくは25から35重量%を含み、EVA−28が最も好ましい。速度制御スキン中のビニルアセテートは、約7−35重量%とし、好ましくは15から30重量%とする。スキンもまたEVA−28を含むのが最も好ましい。
【0061】
ポリ−EVAは、商品名、Elvax、Evatane、Lupolen、Movriton、Ultrathene、AtevaおよびVestyparで入手できる製品などの、任意の市販されているエチレン−ビニルアセテートコポリマーとすることができる。
【0062】
本発明の薬物送達システムは、当技術分野で既知のポリマー加工の方法によって製造できる。一般に、これは、例えば混合押出機を用いてアベルメクチン化合物をその中に溶解する前に、リザーバー用のポリマーを加熱することが含まれる。ロッド形状のコアとしてのリザーバーとこれに外接して側方に囲むスキンを有する好ましい同心構造を得る好ましい方法は、単純で簡単明瞭なプロセスである共押出法である。
【0063】
共押出は、例えば、スキンに使用される熱可塑性顆粒を加工するスキン用押出機、およびリザーバーに使用される顆粒を加工するコア用押出機から成る構成を用いて行うことができ、混合押出機によって送り出されながら、そこで大環状ラクトンおよび場合によって放射線造影剤もポリマー中に取り込まれる。溶融流れは、典型的には、同心開口部を有するスピナレット中で混合され、その結果スキン−コアの繊維が得られる。
【0064】
当業者には、(別個の回転ポンプを設定することにより制御できる)流速などの加工パラメーターをどのように設定するかが既知である。別のパラメーターは、押出温度である(EVAの場合、例えば、80℃から140℃、好ましくは90℃−120℃であり、押出速度は、例えば1から5m/分である。)。
【0065】
押出により、繊維の直径に関して大幅な自由度をもつ同心繊維がもたらされる。本発明のインプラントでは、直径は、概して0.5mmから5mmの範囲にある。好ましい範囲は、1mmから4mmであり、より好ましくは1.5mmから3mm、最も好ましくは、1.5mmから2.5mmであり、スキンの厚みは、20から160μmであり、好ましくは、25から165μmである。得られた糸は、(例えば水浴を用いて)室温に冷却され(例えば空気で)乾燥し、(例えばリールに巻き付けて)貯蔵するまたはさらに加工される(例えば、ロッド、例えば2から10cmのロッド、好ましくは4から8cmのロッド、最も好ましくは6cmのロッドに切断する。)。
【0066】
本発明の薬物送達システムは、動物、特に非ヒト動物における抗寄生虫薬として使用できる。抗寄生虫薬とは、動物の寄生虫症を含む寄生虫感染症を治療するための薬を意味する。
【0067】
用語「(寄生虫)感染症」には、1つ以上の(寄生性)病原体に関連するまたはこれによって引き起こされる状態が含まれ、前記状態には、臨床的な状態および感染動物において直接臨床症状につながらないが、経済的損失につながる状態などの非臨床的な状態が含まれる。そのような経済的損失は、例えば幼若動物における成長の抑制による飼料効率の低下、食肉生産動物における体重増加の低下、反すう動物における乳汁産生の低下、産卵鶏における産卵の低下、ヒツジにおける羊毛産生の低下であり得る。感染症の治療とは、概して、動物における経済的損失が発生するレベルを下回る、寄生虫(例えば蠕虫)負荷の抑制を暗に意味する。
【0068】
用語「寄生虫症」としては、例えばヒツジおよびヤギの反すう動物における、例えば寄生性胃腸炎または寄生虫性貧血またはウマにおける疝痛などの、1つ以上の寄生虫に関連した臨床的に顕在する状態または寄生虫が直接原因となる疾患が挙げられる。
【0069】
語句「寄生虫症を含む感染症の治療」とは、感染症もしくは寄生虫症に罹りやすい動物の感染症または寄生虫症の進行を部分的または完全に抑制することを意味し、感染症もしくは寄生虫症に罹っている動物の感染症または寄生虫症の症状を、予防するまたは減少させるもしくは完全に消滅させることを意味しおよび/または感染症もしくは寄生虫症に罹っている動物の感染症または寄生虫症を部分的にもしくは完全に治療することを意味する。
【0070】
好ましい用途は、特にイヌおよびネコにおける、犬糸状虫の幼虫(すなわちミクロフィラリア)の感染症を予防および治療することにある。
【0071】
犬糸状虫感染症は、フィラリア菌、ジロフィラリア・イミチス(Dirofilaria immitis)によって引き起こされる。ジロフィラリア・イミチスは、しばしば犬糸状虫と呼ばれるが、ネコおよびフェレットもまた感染させることができる。少なくとも70種の蚊が、中間宿主としての役割を果たすことができ、アエデス(Aedes)、アノフェレス(Anopheles)およびキュレックス(Culex)は、媒介体として行動する最も一般的な属である。犬糸状虫症は、米国、カナダおよび南ヨーロッパを含む、大多数の温暖、亜熱帯または熱帯の国々で報告されてきた。コンパニオンアニマルでは、感染リスクは、戸外で飼育されるイヌおよびネコにおいて最大である。
【0072】
ほとんどの寄生虫に関して、犬糸状虫症の原因となるジロフィラリア・イミチス、蠕虫の生活環には様々な生態が含まれる。寄生虫の成体形はかなり大きく、動物の心臓および肺動脈に優先的に生息する。雄の虫は、典型的には、長さが約12cm(センチメートル)から約20cm、幅が0.7mmから約0.9mmであり、雌の虫は、長さが約25cmから約31cm、幅が約1.0から約1.3mmである。性的に成熟した成虫は、交配後に、長さが僅か300μm(マイクロメートル)、幅が約7μmのミクロフィラリアを産生する。ミクロフィラリアは、毛細血管床を横切り、血液1ml当たり約10から約10ミクロフィラリアの濃度でイヌの脈管系内を循環する。イヌが虫の無い環境に維持される場合、寄生虫の生活環は進行できない。しかし、感染したイヌで吸血中の雌の蚊によってミクロフィラリアが取り込まれる場合、それに続くミクロフィラリアの幼虫への成長が蚊の中で起こる。ミクロフィラリアは、2つの幼虫期(L1およびL2)を経て、最終的に長さ約1.1mmの第3期(L3)の成熟した幼虫になり、次に蚊の刺傷を通してまたイヌに伝染させることができる。したがって、初感染の理由となるのがこのL3期である。感染後3日程の初期に、L3が第4の幼虫期(L4)に脱け変わり、その後第5期または未成熟な生体へと脱け変わる。未成熟の成体は、心臓および肺動脈へ移動し、そこで成熟し繁殖し、こうして血液中にミクロフィラリアを産生する。
【0073】
大環状ラクトンのイベルメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチンおよびセラメクチンは、現在、犬糸状虫症の予防に使用されている。イベルメクチンは、コンパニオンアニマルにおいて、最も一般に使用される犬糸状虫症の予防薬であり、一般に、推奨される用量レベルにおいて安全であると考えられている。これらの用量を超える場合、振戦、よろめき、瞳孔散大、体重減少または死亡などの副作用が起こり得る。イベルメクチンに対する通常の投与計画の帰結として、治療される動物は、必然的に、長期間にわたり有効性が保持されるための比較的多量の薬物を投与される。その結果として、このことは、処置後直ちに、動物が血流中に非常に高い濃度(この濃度は残りの期間中に漸減する。)のイベルメクチンを有してしまうことを意味する。これは、継続を基準としてイベルメクチンの実質的に一定なレベルが維持されるより好ましい治療プロトコールと対照をなすものである。
【0074】
今日の発明による薬物送達システムは、インプラントとして投与することができる。しかし、例えば膣内装置または反芻動物における第1胃内への急速投与などの代替の投与形態を意図している。
【0075】
反芻動物の噴門洞の独特な解剖学的形態を利用して、すなわち第一胃内投与のために、いくつかの改変された放出送達システムが開発されてきた。第1胃内への急速投与は、反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、ラクダ科の動物、シカなど)に対する特別な処方である。これは、長期間にわたり反芻動物の第1胃−第2胃室に留まる、獣医学の遅延放出の送達システムであり、このシステムでは、治療活性物質は予測可能な遅延放出パターンを有する。そのような第1胃内への急速投与は、通常、投薬銃または別の適切な装置を用いて投与される。
【0076】
好ましくは、インプラントは皮下に投与される。イヌまたは他のイヌ科の動物およびネコまたは他のネコ科の動物の様な小動物における適切な投与部位は、例えば、臍帯部または首である。他の動物においては、例えば、耳または耳の基底部などの異なる埋め込み部位を使用できる。インプラントは、当技術分野で既知の適切な挿入器で挿入される。
【0077】
本発明による薬物送達システムは、寄生性の蠕虫もしくは昆虫などの寄生生物による感染症、または動物のコナダニ感染症の治療において有用である。「寄生虫駆除有効量」は、動物中もしくは動物上における寄生虫の数を軽減するまたは減少させる、および/または動物中もしくは動物上の寄生虫の感染症などの感染症の進行を全体的もしくは部分的に抑制するのに必要な、大環状ラクトン化合物の量または分量である。好ましい用量に影響を与える因子としては、例えば、寄生虫の治療されるべき寄生虫種族の感染症および発育期、感染動物の種別(例えば、種属および品種)、年齢、サイズ、性別、飼料、活動性および状態;投与経路;活性、有効性などの薬理学的検討、投与される特定の組成物の薬物動態学および毒性学プロフィールの因子;ならびに本発明による化合物が活性成分の組合せの一部として投与されるかどうかの因子を挙げることができる。したがって、大環状ラクトン化合物の好ましい量は変化し得るので、下記に設定した典型的な用量から逸脱できる。このような用量調整の決定は、概して当業者の技術範囲にある。
【0078】
好ましい化合物(イベルメクチンおよびモキシデクチン)を参照し、好ましい熱可塑性ポリマー(EVA)を選択し、システムの好ましい形状(共押出ロッド)を選択して、本発明により、有効量(例えば、1日当たり2−3μg/kg動物)において1−3年の間大環状ラクトン(特にイベルメクチン)を送達できるインプラントが提供される。いくつかの実施形態では、本インプラントは、大環状ラクトン(特にイベルメクチン)の高用量(例えば1日当たり10−50μg/動物1kg)を1年間送達するために使用できる。
【0079】
本発明は、また、ほぼゼロ次またはゼロ次の放出とみなされる放出プロフィールを有する、大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システムも提供する。
【0080】
ゼロ次放出またはほぼゼロ次の放出は、当業者に既知の用語である。本発明によると、ゼロ次放出は、下記の方法のどちらかまたは両方によりインビトロ放出率が1で示される。ほぼゼロ次は、1の帰趨から、概して25%未満、好ましくは10%未満だけ外れる。
【0081】
第1の方法では、Peppas(Pharm.Acta HeIv 60、4号(1985年))の半実験式が、インビトロ放出データに適用される。
【0082】
【数1】

Mt/M∞=薬物の放出率、k=定数、t=放出時間である。
【0083】
「n」値が1.0に接近する場合、これは、非Fick型の放出機構(ゼロ次放出動態)を示している。
【0084】
第2の方法では、放出期間の最後の10%間のインビトロ放出を、初期のバースト放出後の放出期間の平均インビトロ放出で割る。この比が1.0である場合、完全なゼロ次放出動態が得られる。
【0085】
インビトロ放出を信頼できるモデルとして採用して、本発明の薬物送達デバイスにより、好ましくは少なくとも100日間、より好ましくは1年間以上、(初期のバースト放出後の)インビボ放出のプロフィールが可能になる。本発明によるインプラントで得られた血清レベルは、インビボレベルの驚くべき平坦な進行を示す。開始レベルは半定常レベルよりも僅か約50%高いだけであり、このインプラントは、実にほぼゼロ次の放出動態を示す。これは、大環状ラクトンの制限される治療濃度域の観点から注目に値する利益をもたらし、特に、好ましい薬物のイベルメクチンの治療濃度域、イヌ科およびネコ科においてはそうである。実際、本発明の薬物送達システムのほぼゼロ次の放出特性により、このシステムがイヌ科およびネコ科における用途に並外れて適切なものとなる。
【0086】
別の実施形態では、(i)薬物が充填された非生分解性熱可塑性ポリマーのコア層、(ii)薬物が充填された非生分解性熱可塑性ポリマーの中間層および(iii)中間層を被覆する非薬物添加の非生分解性熱可塑性ポリマーのスキンを含み、前記コア層は第1の化合物、特に抗寄生虫化合物が充填されており、前記中間層は第2の化合物、特に抗寄生虫化合物が充填されている少なくとも1つの区画を含む、大環状ラクトンの放出のための薬物送達システムが提供される。
【0087】
少なくとも1つの薬学的に活性な化合物は、大環状ラクトンである。第2の薬学的に活性な化合物は、別の大環状ラクトンまたは別の薬物、特に抗寄生虫化合物とすることができる。
【0088】
1つの実施形態では、コア層は薬物送達システムのコアを形成する。代替の実施形態では、薬物送達システムは、当該コア層で覆われた追加の非薬物添加のコアを含む。
【0089】
本発明による薬物送達システムは、上で言及したコア層、中間層およびスキン層以外のさらに多くの層をまた含んでもよい。当該複数層は、送達システムの成形に使用される3軸または多軸繊維を形成する。
【0090】
本発明のこの薬物送達システムは、好ましくは単一区画システムであり、これは、システム全体が、同じタイプの薬物充填リザーバー(例えば繊維)から作られる同じ区分から成ることを意味する。繊維は、3つ、4つまたはさらに多くの層から成ることができ、その内少なくとも2つの層に活性成分が充填される。
【0091】
本発明は、以下の非制限的実施例および非制限的図表を参照して例示される。
【実施例】
【0092】
実施例I
インプラントは、以下に例示した共押出プロセスにより調製される。
A プレミックスの成形
大環状ラクトン;EVA28粉末(ビニルアセテートを28重量%含有するエチレンビニルアセテートコポリマー);および場合により硫酸バリウムを用いて乾燥粉末混合を行う。大環状ラクトンを、Rhonrad(バレル−フープ原理)を用いるステンレス鋼ドラム内で、約47rpmの一定の回転速度で60分間EVA28粉末と混合する。
【0093】
B 薬物添加コアの押出
均質化された粉末プレミックスを、25mmの共回転2軸スクリュー混合押出機を用いて、混合、押出加工する。得られるポリマーストランドを、造粒機を用いて顆粒にカットする。その後、共押出を容易にするために、顆粒を0.1wt%のステアリン酸マグネシウムで潤滑にする。結果として得られるこのような顆粒の実施例の組成は以下のとおりである(全ての組成は、重量パーセントで与えられる)。
【0094】
【表1】

【0095】
C 共押出
Fourne共押出機(18/15mmスクリュー)を、2層繊維の共押出のために用いる。共押出機は3台の押出機を有しているが、2台だけをこのプロセスで用いる。18mmの押出機がコア材料を加工し、他方15mmの押出機がスキン層を加工する。2台の押出機は、2台の別個の回転ポンプを有する2区画の回転ブロックで接続されている。これらのポンプは、ポリマーメルトの体積流量を正確に制御するために用いられる。両層の厚みは、体積流量を制御することにより調整できる。2つのポリマーメルトの流れは、スピナレット内で混ぜ合わされ2層繊維を形成する。目標とする繊維の直径は、2.5mmである。全ての同心繊維は、85−105℃において1.5m/分の速度で押出し加工される。調製した繊維の実施例を、以下の表にまとめる。
【0096】
【表2】

【0097】
(イベルメクチンが充填された)変形体Aおよび(モキシデクチンが充填された)変形体Eの2層断面の典型例の写真を、写真1Aおよび写真1Bにそれぞれ提供する。
【0098】
D 切断
押出後、収集した2層繊維を6cmのインプラントに手作業で切断する。インプラントは、密閉した容器内で2−8℃において保管する。
E 水中0.9%SLSにおける37℃におけるインビトロ放出率
イベルメクチン含有インプラントのインビトロ放出の結果を、表3Aに示す。図2は、インプラント設計の変形体Aのインビトロ放出のプロフィールを示している。図3は、インプラント設計の変形体Bのインビトロ放出のプロフィールを示している。図4は、インプラント設計の変形体Cのインビトロ放出のプロフィールを示している。図5は、インプラント設計の変形体Dのインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0099】
【表3】

【0100】
モキシデクチン含有インプラントのインビトロ放出の結果を、表3Bに示す。図6は、インプラント設計の変形体Eのインビトロ放出のプロフィールを示している。図7は、インプラント設計の変形体Fのインビトロ放出のプロフィールを示している。図8は、インプラント設計の変形体Gのインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0101】
【表4】

【0102】
実施例II
断面に切断を施して異なる設計の3つのインプラントに損傷を与え、2つの新たに付加された繊維の開口端部を生ぜしめた(表4)。これらの損傷は、過量放出に対する強靭さを例示するために採り入れた。
【0103】
【表5】

【0104】
損傷を与えられたイベルメクチン含有インプラントのインビトロ放出の結果を、表5に示す。図9は、インプラント設計の変形体HおよびA1のインビトロ放出のプロフィールを示す。
【0105】
【表6】

【0106】
実施例III
インビトロ放出率に対するインプラントの長さの効果
【0107】
【表7】

【0108】
イヌのインビボ試験ための有用なインプラントのバッチを作製するために、6cmのインプラントのバッチA1の長さを短くして4cmにし、バッチJ1を得た。
【0109】
損傷を与えられたイベルメクチン含有インプラントのインビトロ放出の結果を、表6Bに示す。図10は、インプラント設計の変形体JおよびA1のインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0110】
【表8】

【0111】
実施例IV
3つのイベルメクチンインプラント(A1、A2およびB1)ならびに2つのモキシデクチンインプラント(E1、F2)の5つのバッチについて、最大333日までの長期間のインビトロ放出率を解析した(7Aおよび表7Bを参照されたい。)。
【0112】
【表9】

【0113】
【表10】

【0114】
図11は、インプラント設計の変形体A1、A2、B1の333日目までのインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0115】
図12は、インプラント設計の変形体E1およびF2のインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0116】
放出動態の評価
バッチA1、A2、B1、E1およびF2のインビトロ放出動態を、2つの別個の方法により評価した。
【0117】
第1の方法では、Peppas(Pharm.Acta Helv 60、4号(1985年))の半実験式が、インビトロ放出データに適用された。
【0118】
【数2】

Mt/M∞=薬物の放出率、k=定数、t=放出時間である。
【0119】
「n」値が1.0に接近する場合、これは、非Fick型の放出機構(ゼロ次放出動態)を示している。
【0120】
第2の方法では、放出期間の最後の10%間のインビトロ放出を、モキシデクチンのインプラントに関しては15−323日目の平均インビトロ放出率で割り、イベルメクチンのインプラントに関しては、10−333日目の平均インビトロ放出率で割った。当該率が1.0である場合、完全なゼロ次放出動態が得られる。
【0121】
注記:適用した計算に関しては、放出率の定常状態がそれぞれ放出のおよそ9日後または14日後に達成されたので、(イベルメクチンのインプラントでは)最初の9日分および(モキシデクチンのインプラントでは)最初の14日分の放出曲線を削除した。
【0122】
以下の結果が見出された。
【0123】
【表11】

【0124】
【表12】

【0125】
いくつかのインプラント(A1、B1およびE1)は、ほぼ完全なゼロ次放出動態を示す。インプラントの放出動態は、コア中の活性化合物の濃度を変える(A1をA2と比較されたし。)または別のスキンポリマーを塗布することにより(E1対F2)、よりマトリックス型に変えることができる。
【0126】
当該データにより、インプラントの設計を変えることにより、絶対放出率(表7Aおよび7B)ばかりではなく、放出動態もまた調節できることが明らかになった。
【0127】
実施例V
イベルメクチンインプラントの3つのバッチ(A1、A2およびB1)を、最大609日までの長期間のインビトロ放出率を解析した(表9Aを参照されたし。)。
【0128】
【表13】

【0129】
図13は、インプラント設計の変形体A1、A2、J1、B1およびJ1の609日までのインビトロ放出のプロフィールを示している。
【0130】
バッチA1、A2、B1のインビトロ放出動態を、2つの別個の方法により評価した。
【0131】
第1の方法では、Peppas(Pharm.Acta Helv 60、4号(1985年))の半実験式が、インビトロ放出データに適用された。
【0132】
【数3】

Mt/M∞=薬物の放出率、k=定数、t=放出時間である。
【0133】
「n」値が1.0に接近する場合、これは、非Fick型の放出機構(ゼロ次放出動態)を示している。
【0134】
第2の方法では、放出期間の最後の10%間のインビトロ放出を、10−609日目の平均インビトロ放出率で割った。当該率が1.0である場合、完全なゼロ次放出動態が得られる。
【0135】
注記:適用した計算に関しては、放出率の定常状態が、それぞれ放出のほぼ9日後または14日後に達成されたので、最初の9日分の放出曲線を削除した。
【0136】
以下の結果が見出された。
【0137】
【表14】

【0138】
実施例VI
s.c.埋め込み後のイヌ血漿における、イベルメクチン充填EVAインプラントのインビボ薬物動態プロフィール
イベルメクチン充填EVAインプラント(84mgイベルメクチン/インプラント)の組成:
コア: 46.9%EVA28
50%イベルメクチン
3%BaSO
0.1%ステアリン酸マグネシウム
スキン: EVA28、厚み90μm
インプラントの厚み: 2.5mm
長さ: 約4cm
【0139】
材料および方法:6匹の健康なビーグル犬を計量し、試験に含めた。D0に、イヌ一匹当たり1つのイベルメクチンインプラント(84mgイベルメクチン/インプラント)を、臍部で皮下投与した。埋め込み位置をD1およびD2に毎日2回、その後各血液採取時点に調べた。同じ時点に、獣医により全てのイヌの健康診断を行った。
【0140】
血液試料を、投与前(D−3)およびD2、D3、D4、D7、D14、D28に採取し、引き続いてD532まで4週間ごとに採取した。
【0141】
定量下限値が約0.25ng/mLのHPLCの分析手順を利用して血漿を分析し、イベルメクチン濃度を調べた。
【0142】
イヌ血漿中のイベルメクチン濃度[ng/mL]に関し、以下の薬物動態パラメーターを各動物に対して決定した:実測されたCmax[ng/mL]、実測されたTmax[d]およびAUClast[ng/mLd]。
【0143】
AUClastを、線形台形法を使い、時間0から数量化できる最後のデータ点まで計算した。
【0144】
【数4】

式中、tjは、i番目の時点であり、ciは、i番目の時点における血漿濃度である。
試験終了時に、全インプラントならびに癒着性結合組織を除去し、残存しているイベルメクチンの含有量を分析した。
【0145】
結果:D0においてイベルメクチンインプラントを挿入し、その後埋め込みを全動物において異常なく続行した。D1およびD2において、何匹かのイヌにおける埋め込み部位のわずかな発赤および腫脹以外は、試験期間全体を通して異常な状況は発見されなかった。6匹のうち5匹のイヌでは、インプラントの移動は観察されなかった。1匹のイヌでは、インプラントは左側へ少し変位したが、イベルメクチンの薬物動態またはイヌの生活状態にはなんら影響がなかった。
【0146】
イベルメクチンの平均血漿濃度は、1.53±0.28ng/mL血漿(D1)から最大3.57±0.87ngイベルメクチン/mL血漿(D3)まで上昇し、その後、0.25±0.29ngイベルメクチン/mL血漿(D505)へと減少した。D532において、イベルメクチンの平均血漿濃度は、定量限界(LOQ)を下回った。
【0147】
平均Cmax(3.70±0.83ngイベルメクチン/mL)が、5.0±2.2d(観測された平均Tmax)後に観測され、平均AUClastは、539±168dng/mLであった。
イベルメクチンの平均血漿濃度の経時変化は、図14および15に示されている。
【0148】
結論:イベルメクチンのEVAインプラントは、動物の健康および生活状態に影響を及ぼさず、臨床的な有害作用は見られなかった。定量限界を超えるイベルメクチンの血漿濃度を、全てのイヌにおいては最大1年まで、4匹のイヌのうち3匹は、最大15カ月まで測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大環状ラクトンが充填された薬学的に許容し得るポリエチレンビニルアセテートコポリマーで作られた非多孔質の固体リザーバーおよびリザーバーを覆う非多孔質のスキンを含み、スキンはポリエチレンビニルアセテートコポリマーを含み、大環状ラクトンが薬物送達システムのスキンを通した拡散により実質的に放出される、活性成分としての大環状ラクトンの放出制御のための薬物送達システム。
【請求項2】
リザーバー中で使用されるポリエチレンビニルアセテートコポリマーが、ビニルアセテートを25から35重量%含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
スキン中で使用されるポリエチレンビニルアセテートコポリマーが、ビニルアセテートを7重量%から35重量%、好ましくは15から30重量%含む、請求項1または2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
リザーバーおよびスキンが、同じポリエチレンビニルアセテートコポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
ポリエチレンビニルアセテートコポリマーのビニルアセテート含有量が28重量%である、請求項4に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
リザーバーおよびスキン層がロッドの軸と同心である、円柱状ロッドの形態の、請求項1から5のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
大環状ラクトンが、イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、ドラメクチン、アバメクチンおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
リザーバーが放射線造影剤、好ましくは硫酸バリウムを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
25℃における飽和濃度を超える濃度で大環状ラクトンが充填された熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーの固体リザーバーが、大環状ラクトンが充填されていない熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレンビニルアセテートコポリマーと共に共押出され、および得られた共押出物が切断され、切断方向が押出方向とは実質的に異なり、好ましくは押出方向に対して垂直である方法によって得られる、請求項1から8のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
送達システムがインプラントの形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
動物における抗寄生虫薬の製造のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の薬物送達システムの使用。
【請求項12】
動物が、イヌ科、ネコ科、げっ歯類、ウマおよびウシの群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
イヌ科およびネコ科における犬糸状虫の幼虫による感染症の治療または予防における、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
大環状ラクトンの寄生虫駆除有効量を含む請求項1から10のいずれかに記載の薬物送達システムを動物に投与することを含む、動物における寄生虫症の治療方法。
【請求項15】
寄生虫症が、イヌ科またはネコ科における犬糸状虫感染症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれかに記載の薬物送達システムが、皮下インプラントとして投与される、請求項14に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−520847(P2012−520847A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500218(P2012−500218)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053339
【国際公開番号】WO2010/106046
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】