説明

大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法とそれを使用するシクロヘキサノンオキシムの製造方法

【課題】 チタン−珪素分子篩が5ミクロン以上の平均粒子径を持ち、シクロヘキサノンオキシムの製造に触媒として用いられる場合、高選択率と高転化率を達成でき、さらに濾過回収が容易である利点を兼ね備えるチタン−珪素分子篩の製造方法を提供する。
【解決手段】 1次結晶粒子分子篩の分散液を用意し、前記分散液に凝集剤と凝集助剤を加えることで粒子を凝集させて凝集粒子溶液を形成し、前記凝集粒子溶液とチタン−珪素テンプレート合成ゲルを混合し、水熱工程を行う、ことを含む、大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチタン−珪素分子篩の製造方法に関し、特に、大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶チタン−珪素分子篩は、二酸化珪素のネット構造にチタン分子を導入することでMFI構造の結晶形を有し、TS−1分子篩とも呼ばれる。このような分子篩は、過酸化水素を酸化剤とする酸化反応で触媒として広く使用され、その製造方法が特許文献1に開示されている。この方法で生成された分子篩粒子は約0.2ミクロンである。しかし、0.2ミクロンの触媒は、化学的プロセスの応用(例えば、シクロヘキサノンやアンモニア、過酸化水素などの反応物を利用し、チタン−珪素分子篩を触媒としてシクロヘキサノンオキシムを製造する応用)において、大きな困難に直面している。したがって、多くの発明者が、は粒子径が増加された分子篩の開発に積極的に取り組んでいる。特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、無機粘着剤で小粒子触媒が凝集された後に、スプレー乾燥を経て造粒されたことが開示示されている。この方法では、触媒粒子を大きくすることは可能であるが、触媒の活性基が粘着剤で覆われたり、希釈されたりするために、反応活性が不足し、同じ触媒効果を維持するために触媒使用量を増加する必要があるなどの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4410501号明細書
【特許文献2】米国特許第5500199号明細書
【特許文献3】米国特許第6106803号明細書
【特許文献4】米国特許第6524984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記の問題点をいかにして改善するかが、早急に解決すべき課題となっている。産業上では大粒子径と高活性を有するチタン−珪素分子篩を製造することが可能な方法が求められ、このような方法によれば従来の分子篩における回収の困難性を解決でき、過酸化水素の使用効率を向上させ、産業上応用することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法を提供する。当該方法は、1次結晶粒子分子篩の分散液を用意し、前記分散液に凝集剤と凝集助剤を加えることで粒子を凝集させて凝集粒子溶液を形成し、前記凝集粒子溶液とチタン−珪素テンプレート合成ゲルを混合し、水熱工程を行う、ことを含む。本発明による製造方法で形成されたチタン−珪素分子篩は、5ミクロン以上の平均粒子径を持ち、シクロヘキサノンオキシムの製造に触媒として用いられる場合、高選択率と高転化率を達成できるのみならず、さらに容易に濾過分離する利点をも兼ね備える。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を説明する。当業者は、本明細書の開示内容から容易に本発明のメリットや効果を把握することができる。本発明は他の実施形態により実施されることが可能である。すなわち、本発明の技術思想を逸脱しない範囲において、様々な修正や変更を行うことが可能である。
【0007】
本発明の製造方法は、水熱処理した未仮焼の分子篩粉末(未仮焼のチタン−珪素分子篩粉末(TS−1)、珪素分子篩粉末(S−1)またはその組み合わせ)を1次結晶粒子の分子篩として用い、この1次結晶粒子の分子篩粉末を水に分散させ分散液を形成し、そして凝集剤と凝集助剤を加えることで粒子を凝集させ、凝集粒子の水溶液を形成し、さらに前記凝集粒子を有する水溶液とチタン−珪素テンプレート合成ゲルを混合し、最後にこの混合物をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに密封し水熱工程を行う。通常、この1次結晶粒子の分子篩とこのチタン−珪素テンプレート合成ゲルの混合重量比は1:10から1:800の範囲にあり、1:10から1:600が好ましく、1:10から1:300がより好ましく、1:11.6から1:167がさらに好ましい。
【0008】
本発明の製造方法に用いられる凝集剤は高分子凝集剤である。具体的には、本発明の凝集剤の種類は、カチオン凝集剤と、アニオン凝集剤と、両性凝集剤と、それらの組み合わせよりなる群から選ぶことが可能である。このカチオン凝集剤の具体例は、例えば、4級アンモニウム塩重合体(例えばポリジメチルジアリル塩化アンモニウム、もしくはポリメタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル)や、ポリエチルアンモニウム、ポリエチレンピリジン、またはそれらの組み合わせである。アニオン凝集剤の具体例は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体や、アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、またはそれらの組み合わせである。両性凝集剤の具体例は、例えば、アクリル酸4級アンモニウム塩とアクリル酸ナトリウムとの共重合体である。一般的には、本発明の製造方法に用いられる高分子凝集剤の重量平均分子量は少なくとも100,000以上であり、100,000から20,000,000が好ましい。この凝集剤は水溶液の形で添加されてもよい。通常、この凝集剤水溶液の濃度(重量百分率)は0.1から1重量%の範囲であり、0.2から0.8重量%が好ましく、0.3から0.6重量%がより好ましい。この凝集剤の使用量は、チタン−珪素テンプレート合成ゲル100gに対し0.0001から0.05gの範囲であり、0.0001から0.03gが好ましく、0.001から0.025gがより好ましい。なお、重量平均分子量の測定方法は、当該技術分野において一般的に知られており、当業者であれば理解し実施できるものである。
【0009】
本発明に用いられる凝集助剤は、シリケート、ポリエチルオキシシラン、またはシリカゲルの溶液である。シリケートの具体例は、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラプロピルシリケート、テトラブチルシリケート、またはそれら組み合わせである。そのポリエチルオキシシランの具体例は、例えば、ES−28(n=1から2)、ES−32(n=3から4)、ES−40(n=4から5)、またはそれらの組み合わせである。シリカゲル溶液の具体例は、例えば、デュポン社より購入されたLudox AS−40、Ludox AS−30、Ludox AM−30、Ludox TM−40、Ludox TM−50、Ludox AM−30、Ludox HS−30、Ludox HS−40、またはそれらの組み合わせである。本発明の製造方法において、その凝集助剤の使用量は、チタン−珪素テンプレート合成ゲル100gに対し0.1から6gを使用し、0.1から3gの凝集助剤を使用することが好ましい。
【0010】
具体的実施例の一つにおいて、本発明の製造方法に用いられるチタン−珪素テンプレート合成ゲルは下記の方法で製造される。すなわち、まず、チタン源(例えばテトラアルキルチタネート、三塩化チタン、四塩化チタン、及び硫酸チタンなど)を反応容器に入れる。当該具体的実施例においては、チタン源を窒素で封止された一口フラスコに入れる。そして反応系の温度を5℃まで低下させ、溶媒(例えば無水イソプロピルアルコールまたは水)を上記窒素で封止された一口フラスコに注入し、15分間攪拌する。次に、等圧供給ロートで珪素源(例えばテトラアルキルシリケート、シリカゲル、シリカゾル)を窒素で封止された一口フラスコに滴下し、滴下完了後に1時間攪拌し続ける。攪拌完了後、等圧供給ロートでテンプレート(例えば水酸化テトラプロピルアンモニウム)を窒素で封止された一口フラスコに滴下し、滴下完了後に1時間攪拌し続ける。最後に、反応系が室温に戻った後、溶媒を除去することでチタン−珪素テンプレート合成ゲルを得る(例えば、80℃の条件でアルコール除去を2時間行う)。一般的には、本発明におけるチタン−珪素テンプレート合成ゲルを製造する反応過程では、用いられるチタン源と珪素源とのモル比は0.005:1から0.06:1の範囲にあり、0.015:1から0.05:1が好ましく、0.02:1から0.045:1がより好ましい。用いられるテンプレートと珪素源とのモル比は0.1:1から0.5:1の範囲にあり、0.15:1から0.45:1が好ましく、0.2:1から0.4:1がより好ましい。用いられる無水イソプロピルアルコールと珪素源とのモル比は1:1から4.5:1の範囲にあり、1.8:1から3.5:1が好ましく、2.2:1から3:1がより好ましい。用いられる水と珪素源とのモル比は10:1から80:1にあり、20:1から60:1が好ましく、30:1から50:1がより好ましい。
【0011】
本発明の製造方法において、水熱工程は、水を媒体として使用し、適切な温度でシールされた反応器内に圧力をかけることで反応を行う。具体的実施例の一つにおいて、本発明は水熱法を使用し、テフロンライニングステンレススチールオートクレーブを反応器として利用し、反応器を密閉した後、ヒーター内で反応させて大粒子径チタン−珪素分子篩を製造する。一般的には、本発明の製造方法で行われる水熱工程の温度は100℃から220℃の間にあり、150℃から180℃が好ましい。水熱工程の時間は72時間から240時間の範囲にあり、120時間から192時間が好ましい。
【0012】
本発明の製造方法は、さらに水熱工程が完了した後に固体と液体を分離し、中性になるまで固体部分を純水で洗浄し、さらにベーク及び仮焼を経てシクロヘキサノンオキシムの製造に用いられる大粒子径チタン−珪素分子篩触媒を得る。一般的には、仮焼温度は450℃から650℃の間であり、500℃から550℃が好ましく、仮焼時間は6時間から48時間の間であり、12時間から36時間が好ましい。
【0013】
本発明の製造方法で製造されたチタン−珪素分子篩の平均粒子径は、5ミクロン以上に達し、シクロヘキサノンオキシムを製造するプロセスで触媒として用いられるのに適している。本発明はシクロヘキサノンオキシムの製造方法も提供し、この方法は、本発明の製造方法で得られた大粒子径チタン−珪素分子篩を触媒とし、溶媒の存在下でシクロヘキサノンとアンモニアと過酸化水素とを反応させることで、シクロヘキサノンオキシム生成物を得る。通常、この反応は、1大気圧かそれより高い圧力で、40℃から110℃の温度範囲、好ましくは50℃から90℃の温度範囲で反応を行う。この反応において、用いられる大粒子径チタン−珪素分子篩は反応物の総重量に対して0.1から10重量%であり、1から5重量%が好ましい。アンモニアとシクロヘキサノンとのモル比は1.2:1から2:1であり、1.4:1から1.8:1が好ましく、過酸化水素とシクロヘキサノンとのモル比は0.7:1から2.0:1の範囲にあり、1.0:1から1.5:1が好ましい。用いられる過酸化水素の濃度は30%から50%であってもよい。この過酸化水素の供給は反応時間の経過に従い増加させ段階的に上記の反応系に加えてもよい。本発明におけるシクロヘキサノンオキシムを製造する反応は、溶媒の存在下で行い、一般的には極性溶媒を使用し、その極性溶媒としては例えば、アルコール、ケトン及び水があり、その中、アルコール、例えばtert−ブチルアルコールが好ましい。
【0014】
以下は本発明の方法における複数の実施例の例示的説明であり、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0015】
製造例1
500mlの丸底フラスコを真空系において窒素で封止し、テトラn−ブチルチタネート1.98gを窒素で封止された丸底フラスコに取り入れ、温度を5℃まで冷却した。次に無水イソプロピルアルコール20gをシリンジを用いて前記窒素で封止された丸底フラスコに注入し、攪拌をし始めた。温度のバランスが取れた後、テトラエチルシリケート30gを等圧供給システムを用いて窒素で封止された丸底フラスコに滴下し、滴下完了後に1時間攪拌した。水酸化テトラn−プロピルアンモニウム水溶液28g(40%)を等圧供給システムを用いて窒素で封止された丸底フラスコに滴下し、滴下完了後に1時間攪拌した。反応系が室温に戻った後、さらに1時間攪拌し、最後に、80℃でアルコール除去を2時間行った後、総重量が100gになるまで水を加入し、これによってチタン−珪素テンプレート合成ゲルが完成した。
【0016】
参考例1
製造例1で得られたチタン−珪素テンプレート合成ゲルをテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、参考触媒サンプル1(平均粒子径1.1ミクロン、メジアン径(d50)0.5ミクロンのチタン−珪素分子篩)を得た。
【0017】
実施例1
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を0.8g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液3.5mlを添加し、1時間攪拌した後、テトラメチルシリケート1.5gを添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0018】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル1(平均粒子径24.2ミクロン、メジアン径(d50)15.3ミクロン)を得た。
【0019】
実施例2
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を0.7g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0020】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル2(平均粒子径8.9ミクロン、メジアン径(d50)8.24ミクロン)を得た。
【0021】
実施例3
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を0.7g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液0.2mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0022】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で192時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル3(平均粒子径14.7ミクロン、メジアン径(d50)11.9ミクロン)を得た。
【0023】
実施例4
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を0.7g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を1.068g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0024】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル4(平均粒子径8.4ミクロン、メジアン径(d50)7.8ミクロン)を得た。
【0025】
実施例5
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を8.64g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0026】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、160℃で240時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル5(平均粒子径5.9ミクロン、メジアン径(d50)5.3ミクロン)を得た。
【0027】
実施例6
未仮焼のチタン−珪素分子篩TS−1を0.6g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のカチオン凝集剤(ポリジメチルジアリル塩化アンモニウム、重量平均分子量は8,000,000から12,000,000)水溶液0.2mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0028】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル6(平均粒子径15.3ミクロン、メジアン径(d50)13.1ミクロン)を得た。
【0029】
実施例7
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を0.6g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液0.2mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0030】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル7(平均粒子径12.6ミクロン、メジアン径(d50)9.9ミクロン)を得た。
【0031】
実施例8
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を8.64g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0032】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で168時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル8(平均粒子径10.4ミクロン、メジアン径(d50)8.1ミクロン)を得た。
【0033】
実施例9
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を2.16g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、AS−40を1.06g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0034】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル9(平均粒子径9.3ミクロン、メジアン径(d50)6.9ミクロン)を得た。
【0035】
実施例10
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を2.16g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、テトラメチルシリケート0.4244gを添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0036】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル10(平均粒子径6.5ミクロン、メジアン径(d50)5.7ミクロン)を得た。
【0037】
実施例11
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を2.16g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のアニオン凝集剤(アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体、重量平均分子量は15,000,000から20,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、テトラエチルシリケート0.4180gを添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0038】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル11(平均粒子径8.2ミクロン、メジアン径(d50)6.6ミクロン)を得た。
【0039】
実施例12
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を0.6g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のカチオン凝集剤(ポリジメチルジアリル塩化アンモニウム、重量平均分子量は8,000,000から12,000,000)水溶液0.2mlを添加し、1時間攪拌した後、ES−40を0.43g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0040】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、170℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル12(平均粒子径8.5ミクロン、メジアン径(d50)7.5ミクロン)を得た。
【0041】
実施例13
未仮焼のチタン−珪素分子篩S−1を8.64g取り入れ、攪拌しながら40mlの水に分散させ、0.5重量%のカチオン凝集剤(ポリジメチルジアリル塩化アンモニウム、重量平均分子量は8,000,000から12,000,000)水溶液1.5mlを添加し、1時間攪拌した後、AS−40を1.061g添加し、さらに1時間攪拌することで凝集粒子懸濁液を形成した。
【0042】
上記凝集粒子懸濁液と製造例1のチタン−珪素テンプレート合成ゲル100gとを混合し1時間攪拌し、この混合液をテフロンライニングステンレススチールオートクレーブに封入し、180℃で120時間水熱処理し、固体と液体を分離した後、中性になるまで固体部分を純水で洗浄した。100℃で乾燥し、500℃で24時間の仮焼を行い、チタン−珪素分子篩サンプル13(平均粒子径9.7ミクロン、メジアン径(d50)7.6ミクロン)を得た。
【0043】
実施例14
上記参考例1と実施例1から実施例13で形成されたチタン−珪素分子篩サンプルを触媒としてシクロヘキサノンオキシムの製造を行い、その活性を評価した。
【0044】
まず、各触媒サンプル0.55gをそれぞれ三つ口フラスコに入れ、シクロヘキサノン5gと28%のアンモニア水5.43gを添加し、冷却管と攪拌器を取り付ける。反応温度を60℃に昇温した後、反応時間の経過に従い段階的に35重量%の過酸化水素の水溶液5.43gを加え、シクロヘキサノンオキシムの製造反応を行う。過酸化水素の供給完了後1時間、各触媒をその反応液から分離させ、分離された各反応液に対しシクロヘキサノンオキシムの解析を行った。解析結果は下記の表1のとおりである。
【0045】
【表1】

【0046】
以上のように、本発明における大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法は、産業上の応用に有利な大粒子径分子篩を確実に製造することができ、本願の製造方法により製造された大粒子径分子篩は、高い触媒活性を持ち、シクロヘキサノンオキシムなどの製造過程で触媒として適用され、シクロヘキサノンオキシムが高選択率・高転化率で得られ、過酸化水素の高使用率を実現でき、さらに回収が容易である利点を兼ね備える。
【0047】
上記の明細書及び実施例は、本発明の原理とその効果を例示的に説明するに過ぎず、本発明を制限するわけではない。本発明の権利保護範囲は下記の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次結晶粒子分子篩の分散液を用意し、
前記分散液に凝集剤と凝集助剤を加えることで粒子を凝集させて凝集粒子溶液を形成し、
前記凝集粒子溶液とチタン−珪素テンプレート合成ゲルを混合し、
水熱工程を行う、ことを含む大粒子径チタン−珪素分子篩の製造方法。
【請求項2】
前記1次結晶粒子分子篩が、未仮焼のチタン−珪素分子篩粉末、珪素分子篩粉末、またはそれらの組み合わせから選ばれる請求項1に記載する製造方法。
【請求項3】
前記凝集剤が、カチオン凝集剤と、アニオン凝集剤と、両性凝集剤よりなる群から選ばれる凝集剤の一種または複数種であり、その凝集剤の重量平均分子量が100000以上である請求項1に記載する製造方法。
【請求項4】
前記凝集剤が、ポリジメチルジアリル塩化アンモニウムと、ポリメタクリル酸トリメチルアンモニウムエチルと、ポリエチルアンモニウムと、ポリエチレンピリジンと、ポリアクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体と、アクリル酸ナトリウムとアクリロイルアンモニウムとの共重合体と、アクリル酸4級アンモニウム塩とアクリル酸ナトリウムとの共重合体よりなる群から選ばれる凝集剤の一種または複数種である請求項1に記載する製造方法。
【請求項5】
前記凝集剤の使用量が、チタン−珪素テンプレート合成ゲル100gに対し0.0001から0.05gの範囲にある請求項1に記載する製造方法。
【請求項6】
前記凝集剤が凝集剤水溶液の形で添加され、この凝集剤水溶液の濃度が0.1から1重量%である請求項1に記載する製造方法。
【請求項7】
前記凝集助剤が、シリケート、ポリエチルオキシシラン、またはシリカゲルの溶液よりなる群から選ばれる凝集助剤の一種または複数種である請求項1に記載する製造方法。
【請求項8】
前記凝集助剤の使用量が、チタン−珪素テンプレート合成ゲルの100gに対し0.1から6gの範囲にある請求項1に記載する製造方法。
【請求項9】
前記1次結晶粒子分子篩とチタン−珪素テンプレート合成ゲルとの重量比が、1:10から1:800にある前記請求項1に記載する製造方法。
【請求項10】
前記チタン−珪素テンプレート合成ゲルが、
チタン源を窒素で封止された反応容器に入れ、
前記窒素で封止された反応容器に溶媒を添加し混合し、
前記窒素で封止された反応容器に等圧に珪素源を滴下し混合し、
前記窒素で封止された反応容器に等圧にテンプレートを滴下し混合し、
溶媒を除去する工程を経て形成される請求項1に記載する製造方法。
【請求項11】
前記チタン源がテトラアルキルチタネートであり、前記珪素源がテトラアルキルシリケートであり、前記溶媒が無水イソプロピルアルコールであり、前記テンプレートが水酸化テトラプロピルアンモニウムである請求項10に記載する製造方法。
【請求項12】
前記チタン源と前記珪素源とのモル比が0.005:1から0.06:1にある請求項10に記載する製造方法。
【請求項13】
前記無水イソプロピルアルコールと前記珪素源とのモル比が1:1から4.5:1にある請求項11に記載する製造方法。
【請求項14】
前記テンプレートと前記珪素源とのモル比が0.1:1から0.5:1にある請求項10に記載する製造方法。
【請求項15】
前記水熱工程の温度が100から220℃の範囲にあり、前記水熱工程の時間が72から240時間の範囲にある請求項1に記載する製造方法。
【請求項16】
前記水熱工程の後に水洗い、ベーク、及び仮焼を行う工程をさらに含む請求項1に記載する製造方法。
【請求項17】
形成された大粒子径チタン−珪素分子篩の平均粒子径が、5ミクロンより大きい請求項1に記載する製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載する製造方法を用いて形成された大粒子径チタン−珪素分子篩を触媒とし、溶媒の存在下でシクロヘキサノンとアンモニアと過酸化水素とを反応させることで、シクロヘキサノンオキシムを形成するシクロヘキサノンオキシムの製造方法。
【請求項19】
前記アンモニアと前記シクロヘキサノンとのモル比が1.2:1から2:1にあり、前記過酸化水素と前記シクロヘキサノンとのモル比が0.7:1から2.0:1にある請求項18に記載する方法。
【請求項20】
前記溶媒が極性溶媒である請求項18に記載する方法。
【請求項21】
前記触媒の使用量が、反応物の総重量に対し0.1から10重量%である請求項18に記載する方法。

【公開番号】特開2011−121860(P2011−121860A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274894(P2010−274894)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599004841)中國石油化學工業開發股▲分▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】