説明

大粒径のカラートラベル効果顔料を有する化粧用粉末組成物

カラートラベル効果を有する顔料を含有する、好ましくは粉末形態の化粧用組成物であって、皮膚に塗布した際にカラートラベル効果を保持するのに十分な量の、少なくとも40μmから約150μmまでのD50粒径を有する、大粒径のカラートラベル顔料を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物、好ましくはカラートラベル効果を有する粉末組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい顔料技術の出現により、カラートラベル(color travel)(「色が変化する性質(color variable)」)などの、独特の、素晴らしい効果を有する干渉顔料が開発された。しかし、標準的な粒径(1〜80μm)の、人目を引くカラートラベル顔料は、該顔料が比較的低濃度で使用された場合には、化粧用粉末製品においてまたは皮膚に塗布された際に、容易に人目につくことはない。低濃度とは、一般に、粉末組成物中の約1〜10重量%を意味する。大量の標準的な粒径のカラートラベル顔料が使用される場合は、カラートラベル効果を達成する可能性が高いが、この種の特別な効果を有する顔料に関しては、経済的に実用的でないことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、カラートラベル効果を有する、経済的な化粧用配合物を提供することである。
【0004】
本明細書をさらに調べると、本発明の別の目的および利点が明らかになるはずである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
これらの目的を達成するために、カラートラベル顔料を含む、好ましくは粉末形態の化粧用組成物が提供され、前記組成物は、配合物中でおよび皮膚へ塗布した際にカラートラベル効果を保持するために十分な量の大粒径のカラートラベル顔料を含有している。
【0006】
大粒径のカラートラベル顔料を使用することにより、標準的な粒径の相当品とは異なって、顔料を高濃度で使用することなく、粉末塗布などを利用して、皮膚上でカラートラベル効果を生じさせることが可能である。ここで、「大粒径」顔料は、40μmまたはそれを超える、好ましくは60μmまたはそれを超える、中央粒径(D50)を有するとして定義される。標準的な粒径の顔料は、通常、40μm未満で5μmを超える中央粒径(D50)を有する。
【0007】
大粒径の顔料の最大のD50は、好ましくは150μmであり、より好ましくは約85μmであり、好ましい粒径のD50は75〜95μmである。このような光沢(glitter)顔料の粒径は、約500μmに達しうる。
【0008】
標準的な粒径の顔料の一例は、シリカベースのカラートラベル顔料である。この種の顔料(粒径範囲は10〜50μm、D50は16〜25μm)10%が粉末配合物に添加される場合は、微妙なカラートラベル効果を粉末ケーキから見ることができるが、粉末が皮膚の上に塗布されると、この効果は消失する。他方、大粒径(D50>60μm)のカラートラベル顔料が使用される場合は、カラートラベル効果は、粉末ケーキ上で明瞭に観察できるだけでなく、皮膚に塗布されてもこの効果が保持される。粉末配合物中で大粒径のカラートラベル顔料を使用することおよびこれらを皮膚へ塗布することの意外な利点の説明にこだわることなく、少なくとも2つの要因が重要であると考えられる。
【0009】
光散乱剤の存在:
典型的な粉末配合物においては、タルク、カオリン、澱粉、およびステアリン酸マグネシウムが、(多くの場合、すべてを合わせて60重量%を超える)高濃度で、通常使用される。吸収顔料もまた、色を着けるためによく使用される(例えば、有機染料および類似品、酸化鉄など)。フィラーおよび吸収顔料の粒径は、一般に25μm未満である。これらの機能は、充填、ケーキング防止または着色である。しかし、フィラーはまた、端部の面積に対する比が大きいために光散乱剤としての役割も幾分か果たす。ある場合は、フィラーは、必然的にカラートラベル顔料の表面を装飾することになり、したがって、カラートラベル顔料の表面からの光反射を低減させる。粉末配合物における他の成分からの散乱効果(または形態的な乱れ)は、通常、カラートラベル効果を減少または消失させる。しかし、散乱効果は、大粒径の顔料に対してはより小さな影響を与えることになり、したがって、大粒径のカラートラベル顔料の光沢強度は、小粒径のカラートラベル顔料の場合より、少ししか減少しない。大きなカラートラベル顔料粒子を0.01〜100重量%、好ましくは35重量%未満、より好ましくは約1〜20重量%混和すると、所望のカラートラベル効果をうるのに、一般に十分であるが、この混和量は粉末組成物の成分に依存して変化しうる。大きな粒子の濃度の上限は、美的およびコスト的要因によって決定される。
【0010】
皮膚の特性および顔料の配向:
多くの皮膚トポロジーの研究により、人間の皮膚は完全には滑らかでないことが示された。皮膚には、目に見えない山と谷、すなわち皮膚の粗さが存在している。異なる試験方法によるいくつかの皮膚の粗さのデータが報告された。粗さデータは、試験方法、皮膚の条件および多くのその他の要因に応じて、数μmから数十μmの範囲にある。それにもかかわらず、皮膚の粗さは、皮膚上の顔料の性能を損なうのに十分な大きさでありうる。
【0011】
粉末製品が皮膚上に塗布される場合は、カラートラベル顔料の反射率は、顔料粒子が配向していないことによる皮膚の粗さおよび皮膚からの光散乱によって、さらに減少させられうる。上述のように、皮膚からの光散乱が大粒径の顔料に及ぼす効果は、小粒径の顔料に及ぼす効果より顕著ではない。したがって、我々の目は、大粒径の顔料からより大きな輝度を知覚する。さらに、大粒径のカラートラベル顔料は、これらの顔料の流動特性またはアスペクト比がより大きいせいで、より小粒径の顔料と較べて、一般により良く平行に整列しうる。このことが、再び、乱れのより小さな光反射および、したがって、より大きな光沢強度およびより明瞭な色を、大粒径のカラートラベル顔料からもたらす。
【0012】
カラートラベル顔料の可能な組成物:
本発明に記載のカラートラベル顔料の1つのタイプは、基体をベースとする真珠光沢顔料である。本発明の顔料に適したベース基体は、フレーク状の基体である。好ましい基体は、フィロケイ酸塩である。特に好適な基体は、天然および/または合成雲母、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ホウケイ酸塩フレーク、SiO2フレーク、タルク、カオリン、絹雲母、フレーク状酸化鉄またはTiO2フレーク、黒鉛フレーク、BiOClまたはその他の同等材料である。
【0013】
ベース基体の寸法は、それ自体重要であり、特定の用途に合わせることができる。一般に、フレーク形態の基体は、0.01μmと5μmとの間、特に0.1μmと4.5μmとの間の厚さを有する。その他の2つの方向の寸法は、通常、1μmと550μmとの間、好ましくは2μmと300μmとの間、特に10μmと150μmとの間(少なくとも75%が含まれる範囲)にある。アスペクト比(物体の、表面の寸法の厚さに対する比)は、好ましくは1〜500、特に40〜350である。
【0014】
カラートラベル効果を有する顔料は、いくつかの強い干渉色の間で角度依存性の色変化を示すものとして定義される。
【0015】
本発明によるカラートラベル顔料は、表面の上に、高屈折率層および/または低屈折率層を有する。高屈折率層は、n>1.8の、好ましくはn≧2.0の屈折率を有する。高屈折率層は、好ましくは、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnO、BiOCl、Fe23、Fe34、Cr23、CeO3、酸化モリブデン、CoO、Co34、VO2、V23、NiO、V25、CuO、Cu2O、Ag2O、CeO2、MnO2、Mn23、Mn25、オキシ窒化チタン、擬ブルッカイト、イルメナイト、および窒化チタン、MoS2、WS2あるいはこれらの混合物または組合せたものを含む。ここで、TiO2は、ルチルまたはアナターゼ変態、好ましくはルチル変態でありうる。
【0016】
好適な低屈折率材料(n≦1.8)は、好ましくは金属酸化物または対応する酸化物水和物、例えば、SiO2、Al23、AlO(OH)、B23、MgF2、MgSiO3または前記金属酸化物の混合物などである。
【0017】
高屈折率層の層厚さは、20〜500nm、好ましくは50〜300nmである。低屈折率層の層厚さは、20〜500nm、好ましくは50〜300nmである。好ましいカラートラベル顔料は、3、4または5層を有する。
【0018】
特に好ましいカラートラベル顔料は、以下の層構造:基体+高屈折率層+低屈折率層+高屈折率層、を示す。
【0019】
特に興味のあるカラートラベル顔料は、以下の層順序を有する:
基体+TiO2+SiO2+TiO2
基体+Fe23+SiO2+TiO2
基体+TiO2+SiO2+Fe23
基体+Fe23/TiO2+SiO2+TiO2
基体+Fe23/TiO2+SiO2+Fe23/TiO2
基体+TiO2+SiO2+Fe23/TiO2
基体+Fe34+SiO2+TiO2
基体+TiO2+SiO2+Fe34
基体+TiO2+Al23+TiO2
基体+Fe23+Al23+TiO2
基体+TiO2+Al23+Fe23
基体+Fe23/TiO2+Al23+TiO2
基体+Fe23/TiO2+Al23+Fe23/TiO2
基体+TiO2+Al23+Fe23/TiO2
基体+Fe34+Al23+TiO2
基体+TiO2+Al23+Fe34
【0020】
加えて、外側の(金属酸化物)層の上には、吸収顔料または水不溶性染料(類)/レーキ(類)(例えば、フェロシアン化第2鉄、カルミン、FD&C染料類/レーキ類またはD&C染料類/レーキ類などの有機染料類/レーキ類、など)を塗布することができる。
【0021】
基体がガラスフレークまたはホウケイ酸塩フレークの場合は、該基体を、最初にSiO2層により、第2段階で、層順序を:高屈折率層+低屈折率層+高屈折率層として、コーティングすることができる。ガラスフレークまたはホウケイ酸塩フレークをベースとする、好ましい顔料は、以下の層構造:
ガラスフレーク+SiO2+TiO2+SiO2+TiO2
ホウケイ酸塩フレーク+SiO2+TiO2+SiO2+TiO2
を有する。
【0022】
本発明による顔料は、正確に限定された厚さおよび平滑な表面を有する、高屈折率金属酸化物層および低屈折率金属酸化物層を、細かく分割された、フレーク形態の基体上に析出させることにより、比較的容易に調製することができる。
【0023】
金属酸化物層は、好ましくは、湿式化学法により付着させる。この種の方法は、例えば、DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017、EP1375601A1またはその他の特許文献および当業者に公知のその他の刊行物に記載されている。
【0024】
湿式コーティング法においては、基体粒子は水に懸濁されており、1つまたは複数の加水分解可能な金属塩が、加水分解に適した、金属酸化物または金属酸化物水和物が、二次析出を生じることなく、直接フレーク上に析出されるように選択されたpHで、添加される。このpHは、同時に、定量した塩基または酸を添加することによって、通常一定に維持される。顔料は、続いて、分離され、洗浄され、乾燥され、所望とあらば、仮焼される。その際の仮焼温度は、それぞれの場合に存在しているコーティングを考慮して、最適化される。一般に、仮焼温度は、250℃と1000℃との間、好ましくは350℃と900℃との間である。所望の場合は、顔料は、個々の被覆を塗布した後で分離され、乾燥され、および、所望するなら、仮焼され、次いで、さらなる層を堆積するために再懸濁される。
【0025】
さらにまた、コーティングは、流動層反応器において気相コーティングにより行うことができる。例えば、カラートラベル顔料を調製するための、EP0045851およびEP00106235において提案されている方法を、同様に使用することが可能である。
【0026】
Ti亜酸化物またはFe34層の製造は、例えば、EP−A−0332071、DE19951696A1およびDE19951697A1に記載されているように、例えば、アンモニア、水素およびまた炭化水素および炭化水素/アンモニア混合物を使用してTiO2層を還元することによって、実行することができる。この還元は、好ましくは、フォーミングガス(forming−gas)雰囲気(92%N2/8%H2または96%N2/4%H2)中で実行される。還元は、一般に、250〜1000℃、好ましくは350〜900℃および特に500〜850℃の温度で行われる。
【0027】
顔料の色相は、コーティングの量およびその結果生じる層をさまざまに選択することにより、広い範囲内で変化させることができる。一定の色相への微調整は、視覚による制御または測定技術の制御下に所望の色に近づけることにより、量を単に選択すること以上に、達成することができる。
【0028】
さらに、有機ポストコーティングまたは複合有機/無機ポストコーティングが、例えば、EP0090259、EP0634459、WO99/57204、WO96/32446、WO99/57204、米国特許第5759255号、米国特許第5571851号、WO01/92425において、または、J.J.Ponjee、Philips Technical Review、Vol.44、No.3、81ff.およびP.H.Harding J.C.Berg、J. Adhesion Sci. Technol. Vol.11 No.4、 pp.471〜493において記載されているように、例えば、シランにより可能である。
【0029】
本発明の顔料は、また、有機染料、有機顔料またはその他の顔料、例えば、透明および乳白色、着色および黒色顔料などと、ならびにフレーク状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)および金属酸化物をコーティングした雲母およびSiO2フレークなどをベースとする従来の透明、着色および黒色光沢顔料とブレンドして、有利に使用することができる。カラートラベル顔料は、商業的に入手できる顔料およびフィラーと任意の割合で混合されうる。
【0030】
カラートラベル顔料の性質については、カラートラベル効果を示すすべての種類が、本発明において使用されうる。このような顔料のより多くの例には、これらに限らないが、EP1375601A1に記載のもの、およびそこに引用されている特許および文献、例えば、米国特許第4434010号、特開平7−759、米国特許第3438796号、米国特許第5135812号、DE4405494、DE4437753、DE19516181およびDE19515988、DE19618565、DE19746067および文献、例えば、EURO COSMETICS、1999、No.8、p.284、に記載のものが含まれる。
【0031】
本発明の組成物は、好ましくは、皮膚への塗布に適した化粧用粉末の形態をしている。このような化粧用粉末の例には、これらに限らないが、アイシャドー、ほお紅、粉末化粧品、リップパウダー、フェイスパウダー、ボディーパウダー、ブロンジングパウダーが含まれる。
【0032】
粉末に加えて、粉末は、さまざまな系に取り入れられて、例えば、ファンデーション(リキッドおよびスティック)、例えば、クリームパウダー(cream−to−powder)、アイハイライター(eye highlighter)、アイペンシル、ブロンジングスティックなどの顔化粧品などの配合物を形成することが企図されている。
【0033】
また、本発明の大粒径のカラートラベル顔料は、きらめき効果を示し、例えば、リップグロス、口紅、マニキュア液、アイライナー、マスカラ、整髪用ゲル、シャワーゲル、ボディーローション、スキンクリーム、シャンプーなどの、ワックスベースまたは液体系などに分散させられた場合は、標準的な粒径のカラートラベル顔料よりもより光沢がある。
【0034】
繰り返し述べると、本発明の重要な態様には、これに限らないが、大粒径(D50>60μm)を有し、2層以上の層により、特に高屈折率層および低屈折率層が交互になっている層により、例えばTiO2−SiO2−TiO2により、コーティングされた、カラートラベル顔料が含まれる。好ましいコーティングは、金属酸化物、好ましくはTiO2およびSiO2および/またはFe23によるものであり、TiO2はルチルまたはアナターゼであり、好ましくはルチルである。本発明の大粒径カラートラベル顔料は、例えばこれらだけに限定するものではないがフェロシアン化第2鉄、プルシアンブルー、インジゴ、カルミン、FD&C染料類およびレーキ類、およびD&C染料類およびレーキ類を含む、吸収顔料または水に不溶性の有機染料/レーキ類を表面にコーティングすることにより改質されうる。改質されたまたは改質されていないカラートラベル顔料に、保護層を施すこともできる。カラートラベル顔料の基体は、これらに限らないが、マイカ、SiO2フレーク、Al23フレーク、ガラスフレーク、ホウケイ酸塩フレーク、黒鉛フレーク、およびBiOClが含まれる。
【0035】
顔料の所望の粒径は、従来法、例えば分級または沈降分離によって得られる。
【0036】
さまざまな用途に向けて、カラートラベル顔料は、有機染料、有機顔料またはその他の顔料、例えば、透明および乳白色、着色および黒色顔料との、ならびにフレーク状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)および金属酸化物をコーティングした雲母およびSiO2フレークなどをベースとする従来の透明、着色および黒色光沢顔料との、混合物の形態で有利に使用することもできることは云うまでもない。カラートラベル顔料は、商業的に入手できる顔料およびフィラーと任意の割合で混合されうる。
【0037】
さまざまな用途において、本発明による顔料は、いかなる種類のさらなる着色剤、例えば、有機および/または無機吸収顔料および染料、多層界面干渉顔料(例えば、Timiron(登録商標)(Merck KGaA、Rona)、Sicopearl(登録商標)(BASF AG)、ChromaFlair(登録商標)(Flex Products Inc.)、BiOCl顔料、例えばEckart製のパールエッセンスならびにコーティングされたまたはコーティングされていない金属顔料などとも組み合わせることができる。混合割合および濃度には制限がない。
【0038】
本発明による顔料は、好ましくは、プラスチック、塗料、粉末コーティング、コーティングおよび印刷インキ領域の、および特に好ましくは化粧用配合物領域の、多数の多種多様なカラーシステムに適合する。
【0039】
カラートラベル顔料および顔料混合物は、特に粉末形態の、装飾およびパーソナルケア化粧品の調製において、特別の用途を有する。使用濃度は、シャンプーにおける0.01重量%からルースパウダー(loose powder)の場合における100重量%におよぶ。カラートラベル顔料と球形フィラー、例えばSiO2、との混合物の場合は、配合物における濃度は、0.01〜70重量%でありうる。化粧品、例えば、マニキュア液、コンパクトパウダー、シャンプー、ルースパウダーおよびゲルなどは、特に魅力的な色彩効果および強力な色彩シフトにより目立つ。本発明による顔料を用いることにより、マニキュア液のカラーフロップ効果を、従来のマニキュア液と較べて大幅に上昇させることができる。
【0040】
本発明によるカラートラベル顔料を含有する配合物は、親油性、親水性または疎水性の種類に帰属しうる。不連続の水相および非水相を有する不均一な配合物の場合は、本発明によるカラートラベル顔料は、いずれの場合にも、2相の中の唯1つの相に存在しうるかまたはもう1つの選択肢として両方の相全体に分布されうる。
【0041】
さらに綿密な説明をしなくとも、当業者は、これまでの説明を利用して、本発明を十分に利用できると考えられる。以下の好ましい具体的な実施形態は、したがって、単なる例示であり、本開示のその他の部分を決して限定するものではないと理解されるべきである。
【実施例】
【0042】
上述のことおよび以下の実施例において、特段の記述がない限り、すべての温度は摂氏で無修正のまま記述されており、すべての部および百分率は重量基準である。
【0043】
但し、1つまたは複数の実施例が、実際には実施されていないことを注意しておかなければならない。
【0044】
実施例1:カラートラベル顔料
雲母(粒径10〜150μm、D50=75〜95μm)100gを脱イオン水に懸濁させ、懸濁液を撹拌しながら75℃に加熱する。この温度に到達したときに、SnCl4×5H2O3gおよび水90gに溶解させた塩酸(37%)10mlからなる溶液を、激しく撹拌しながら、雲母の懸濁液に計量してゆっくりと供給する。220mlのTiCl4溶液(TiCl4が400g/l)を、2.0のpHで、計量して供給する。引き続き、このpHを7.0に上昇させ、830mlのナトリウム水ガラス溶液(SiO2は13重量%)を、このpHで、計量してゆっくりと供給し、この間ずっと、10%HClを用いてpHを7.5で一定に維持する。SnCl4×5H2O11.5gおよび脱イオン水350mlに溶解させた塩酸(32%)10mlからなる溶液を、pH=1.8で引き続き計量して供給する。最後に、TiCl4溶液(TiCl4が400g/l)220mlを、pH=2.0で、計量して供給する。SnCl4×5H2O溶液およびTiCl4溶液を添加する間中、このpHを、いずれの場合にも、NaOH溶液(32%)を使用して一定に維持する。
【0045】
検査のために、コーティングされた雲母顔料を濾過し、洗浄し、110℃で16時間乾燥する。最後に、顔料を800℃で0.5時間仮焼する。
【0046】
こうして得られた顔料は、垂直に見る場合は強力な青−緑干渉色を示し、顔料を傾けると、この干渉色は紫から赤に変化する。
【0047】
使用実施例1〜4
【0048】
【表1】

【0049】
手順:相Aを混ぜ合わせる。穏やかに撹拌しながら、相Bを添加する。全体を撹拌しながら、相Cをバッチの上に噴霧する。バッチ全体をジャンプギャップ(jump gap)に通す。
【0050】
特定のカラートラベル顔料を上記配合中に入れ、いくつかの実施例を調製する:
【0051】
【表2】

INCI名:
Xirona(登録商標)Magic Mauve:シリカ、二酸化チタン、酸化スズ
【0052】
実施例5〜8
【0053】
【表3】

【0054】
手順:
相Aの成分を混ぜ合わせる。ハンマーミルにより粉末化し、0.27インチの矢筈模様(herring bone)の篩に2回掛ける。穏やかに撹拌しながら、相Bを添加する。相Cを混ぜ合わせる;70℃に加熱する。溶液は、透明で均一でなければならない。全体を撹拌しながら、相Cをバッチの上に噴霧する。バッチ全体をジャンプギャップに通す。
【0055】
特定のカラートラベル顔料を上記配合中に入れ、いくつかの実施例を調製する:
【0056】
【表4】

INCI名:Xirona(登録商標)Magic Mauve:シリカ、二酸化チタン、酸化スズ
【0057】
上記実施例は、標準的な粒径のカラートラベル顔料(Xirona(登録商標)Magic Mauve:D50=16〜22)を10%使用する場合は、カラートラベル効果は粉末試料中で目に見えるのみであり、皮膚に塗布した際は目に見えないことを明らかにした。しかし、このカラートラベル効果は、実施例1による大粒径のカラートラベル顔料を含有する粉末試料において、およびこの粉末を皮膚に塗布した場合においては、明瞭に見ることができる。
【0058】
実施例9
【0059】
【表5】

【0060】
手順:相Aの成分を均一に混合する。相Bを混ぜ合わせ、混合しながら80℃に加熱する。融解した相Bを、撹拌しながら相Aに添加する。粉末を、40〜50バール(約600〜700lb./sq.in.)でプレスする。
【0061】
適用:瞼および頬に塗布し、指先で穏やかにブレンドする。輪郭ペンシル(contour pencil)で唇の輪郭を描き、色で埋める。爪に関しては、指先で爪に粉末を塗布し、透明なネールラッカーで固定する。爪の付け根のあま皮上の余分な粉末は容易に洗い落とすことができる。
【0062】
以下の非限定的実施例10〜18においては、本発明は、少なくとも40μm、好ましくは少なくとも60μmのD50粒径を有する、例示された大粒径のカラートラベル顔料のどれでも十分な量を、各製品に対して添加または置換することにより、容易に実現することができる。例えば、実施例14のアイハイライターは、約86のD50を有する大粒径のカラートラベル(レッド/ゴールド)を25重量%添加することにより、作製することができる。実施例14の残りの成分は、その時、アイハイライターの75重量%に達する筈である。
【0063】
実施例10
【0064】
【表6】

【0065】
手順:
水相:相Aの成分を混ぜ合わせる。均一になるまで混合する。相Bを撹拌しながら添加し、未分散顔料が残っていなくなるまで混合する。相Cを混ぜ合わせ、添加する。混合を続け、15分間90℃に加熱する。75℃に冷却する。相Dと相Eを混ぜ合わせ、添加し、未分散粒子が残っていなくなるまで撹拌を続ける。相Fを添加する。
【0066】
油相:水相とは別に、相Gの成分を混ぜ合わせる。均一になるまでプロペラで撹拌しながら、75〜80℃に加熱する。
【0067】
乳化:
プロペラで撹拌しながら、75〜80℃で油相を水相に添加する。温度を維持し、15分間均一化する。ほどよく撹拌しながら、45℃に冷却する。相Hを混ぜ合わせ、添加する。30℃に冷却する。
【0068】
実施例11
【0069】
【表7】

【0070】
手順:
粉末成分は、均一に混合し、次いで、63μmの篩を通して篩い分けする。
【0071】
注釈:
インビボSPF4.5(被験者5人)、Colipaタスクフォース法
【0072】
実施例12
【0073】
【表8】

【0074】
手順:相Aの成分を均一に混合する。相Bの成分を加熱し、混合する。混合しながら、相Bを相Aに添加する。この粉末を40〜50バールでプレスする。
【0075】
実施例13
【0076】
【表9】

【0077】
手順:相A中のすべての成分を混ぜ合わせ、均一になるまで、撹拌しながら80〜85℃に加熱する。相Bを添加する。凝集物が残らなくなるまで、高速ミキサで撹拌する。70℃で注ぐ。
【0078】
実施例14
【0079】
【表10】

【0080】
手順:相Aを混ぜ合わせる。ハンマーミルにより粉末化し、0.027インチの矢筈模様の篩に2回通す。穏やかに撹拌しながら、相Bを添加する。相Cを混ぜ合わせる。70℃に加熱する。全体を撹拌しながら、バッチの上に噴霧する。バッチ全体を、ジャンプギャップに2回通す。
【0081】
実施例15
【0082】
【表11】

【0083】
手順:相Aを混ぜ合わせる。ハンマーミルにより粉末化し、0.027インチの矢筈模様の篩に2回通す。穏やかに撹拌しながら、相Bを添加する。相Cを混ぜ合わせる。70℃に加熱し、透明になるまで撹拌する。温度を55〜60℃の間に下げる。(所望する場合は)相Dを添加する。全体を撹拌しながら、バッチの上に噴霧する。バッチ全体を、ジャンプギャップに通す。
【0084】
実施例16
【0085】
【表12】

【0086】
手順:粉末ブレンダに成分を添加する。均一になるまで混合する。微粉末化する。包装する。
【0087】
実施例17
【0088】
【表13】

【0089】
手順:
相Bの成分を、混合しながら85℃に加熱する。相Aをブレンドし、相Bに加える。融液が均一になるまで混合を続ける。80℃に冷却し、金型に注ぎ込む。
【0090】
実施例18
【0091】
【表14】

【0092】
手順:相Aの全成分を混ぜ合わせる。80〜85℃に加熱し、均一になるまで混合する。相Bおよび相Cを、混合しながら添加する。70℃で注ぎ込む。
【0093】
これらの化粧用組成物は、従来の方法で皮膚に塗布することができる。
【0094】
前述の実施例は、本発明の、一般的または具体的に記述された成分および/または操作条件を、前述の実施例において使用された成分および/または条件の代わりに用いることによって、同じく成功裏に繰り返すことができる。
【0095】
本明細書において引用された、すべての出願、特許および刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
これまでの説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、これらの精神および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更および修正を加え、本発明をさまざまな使用法および条件に適合させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラートラベル効果を有する顔料を含有する化粧用組成物であって、皮膚に塗布した際にカラートラベル効果を保持するために、少なくとも40μmから約150μmまでの粒径D50粒径を有する大粒径のカラートラベル顔料を0.01〜100重量%含有する組成物。
【請求項2】
前記カラートラベル顔料が、少なくとも60μmのD50粒径を有する、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
35重量%未満の大粒径のカラートラベル顔料を含有する、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
1〜20重量%の大粒径のカラートラベル顔料を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記大粒径のカラートラベル顔料が、高屈折率コーティング層および低屈折率コーティング層が交互になっている層によってコーティングされている、請求項1から4のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記層が金属酸化物である、請求項5に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
前記金属酸化物が、TiO2およびSiO2またはFe23またはこれらの混合物である、請求項6に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
前記大粒径のカラートラベル顔料が、2層を超える金属酸化物層を含有する、請求項1から7のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項9】
前記金属酸化物層が、TiO2−SiO2−TiO2である、請求項8に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
前記TiO2がルチルである、請求項7から9のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項11】
前記カラートラベル顔料が、天然/合成雲母、SiO2フレーク、Al23フレーク、ガラスフレーク、ホウケイ酸塩フレーク、黒鉛フレークおよびBiOCl、フレーク形態のTiO2、フレーク形態のFe23からなる群から選択される基体を含有する、請求項1から10のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項12】
前記カラートラベル顔料が、最上層として、吸収顔料または水に不溶性の染料(類)/レーキ(類)をさらに含む、請求項1から11のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項13】
前記最上層として、フェロシアン化第2鉄、プルシアンブルー、カルミンレッド、インジゴ、またはカルミン、FD&C染料類/レーキ類、D&C染料類/レーキ類を含む、請求項12に記載の化粧用組成物。
【請求項14】
少なくとも40μmから約150μmまでのD50粒径を有するカラートラベル顔料。
【請求項15】
少なくとも60μmのD50粒径を有する、請求項14に記載のカラートラベル顔料。
【請求項16】
75から95μmの範囲のD50を有する、請求項15に記載のカラートラベル顔料。
【請求項17】
前記顔料が、最上層として、吸収顔料、水不溶性の染料(類)または水不溶性のレーキ(類)を含む、請求項14から16のいずれかに記載のカラートラベル顔料。
【請求項18】
カラートラベル効果を有する顔料を含む化粧用組成物であって、皮膚に塗布した際にカラートラベル効果を保持するのに十分な量の、少なくとも40μmから約150μmまでのD50粒径を有する、大粒径のカラートラベル顔料を含有する組成物。
【請求項19】
アイペンシルまたはアイハイライター、クリームパウダー、リキッドまたはスティックファンデーションまたはブロンザー、リップグロス、口紅、マニキュア液、アイライナー、マスカラ、整髪用ゲル、シャワーゲル、ボディーローション、スキンクリームまたはシャンプーの形態をした、請求項20に記載の化粧用組成物。

【公表番号】特表2008−505959(P2008−505959A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520740(P2007−520740)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007585
【国際公開番号】WO2006/005595
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】