説明

大腸菌(E.coli)による経口感染の治療または予防のための組成物および方法

大腸菌(E.coli)感染を治療または予防するための組成物および方法が提供される。この組成物は、薬学的組成物として、または消毒剤、殺菌剤、界面活性剤、もしくは防腐剤として処方することができ、大腸菌集団を根絶または低減し、それによって、大腸菌による感染を治療または予防するために使用することができる。前記組成物は、1種類または複数の種類の消化酵素、例えば、1種類または複数の種類のプロテアーゼ、リパーゼ、およびアミラーゼを含む。この組成物を使用する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条により、2009年1月6日に出願された米国特許仮出願第61/142,718号;2009年2月17日に出願された同第61/153,279号;および2009年4月20日に出願された同第61/170,856号に係る優先権を主張する。これらの全ての内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本開示は、抗生物質組成物などの薬学的組成物を含む組成物、ならびにヒトおよび他の動物において大腸菌(E.coli)感染を治療または予防するために前記組成物を使用する方法に関する。本開示はまた、消毒剤、殺菌剤、防腐剤、および界面活性剤などの組成物、ならびに大腸菌感染の蔓延を阻止および/または低減する目的で、無生物表面および生物学的表面(例えば、皮膚、創傷)を含む表面上にいる大腸菌の存在を根絶もしくは低減するために、ならびに/または大腸菌の感染性を減弱するために前記組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
大腸菌は、重篤なヒト病気の原因となり得る細菌の一種である。多くのタイプの大腸菌細菌があるが、ある特定のタイプしか、飲食に起因する健康被害の原因とならない。ヒトおよび他の温血動物の腸管を含めて、数百種類の無害な大腸菌株が自然界に広く見出される。しかしながら、疾患原因株は、腸感染および泌尿生殖器感染のよくある原因である。
【0004】
1982年、米国において、科学者らは、最初の有害な食物由来大腸菌株を同定した。米国において最もよく見出される、この疾患の原因となる食物由来大腸菌はO157:H7と呼ばれる。大腸菌O157:H7の主な発生源はウシであるが、これらの細菌は他の家畜および野生の哺乳動物においても発見され得る。大腸菌血清型O157:H7は、腸の内層にひどい損傷を与える1種類または複数の種類の関連する強力な大量の毒素を産生する、まれな種類の大腸菌である。
【0005】
数種類の有害な大腸菌株が下痢性疾患の原因となり得る。大腸菌O157:H7などの特に有害なタイプの大腸菌は、志賀毒素と呼ばれる1種類または複数の種類の毒素(毒)を産生する。志賀毒素は腸および腎臓の内層にひどい損傷を与え得る。これらのタイプの細菌は志賀毒素産生大腸菌(STEC)と呼ばれる。STECは血性下痢を引き起こすことが多く、小児または免疫系が弱っている人においては腎不全につながり得る。STECはまたベロ毒素大腸菌(VTEC)または腸管出血性大腸菌(EHEC)とも呼ばれる。通常、これらは全て同じ細菌群を指している。北米において最もよく同定されるSTECが大腸菌O157:H7である(大腸菌O157または単に「O157」と省略されることが多い)。
【0006】
毒素原性大腸菌(ETEC)は異なる毒素を産生し、下痢の原因となり得る。典型的には、これらの株は、発展途上国において食物および水を汚染することが多いので、いわゆる旅行者下痢の原因となる。腸管病原性大腸菌(EPEC)は持続性の下痢の原因となり(2週間以上続く)、発展途上国においてよく見られる。発展途上国では、EPECは、汚染された水を介して、または感染動物との接触によってヒトに伝染し得る。O26:H11およびO111:H8を含む他のタイプの大腸菌も米国において発見されており、ヒト疾患の原因となり得る。
【0007】
大腸菌感染は、重篤な痙攣(腹痛)、および最初は水様であるが、全体的に血性になる下痢を特徴とする。時々、嘔吐が起こる。発熱は軽度であるか、無い。この病気は、通常、一過性であり、平均8日間続く。個体の中には水様下痢しか示さないものもいる。
【0008】
出血性大腸炎は、下痢便から血清型O157:H7の大腸菌または他のベロ毒素産生大腸菌が単離されることで診断される。または、ベロ毒素が存在するかどうか糞便を直接試験することができる。原因とみなされた食物から同じ血清型の大腸菌が単離されることで確認を得ることができる。
【0009】
大腸菌O157に加えて、STECの他の多くの種(血清群と呼ばれる)が疾患の原因となる。これらの他の種類は時として「非O157 STEC」と呼ばれる。大腸菌血清群O26、O111、およびO103は、米国におけるヒト疾患の最も多い原因である非O157血清群である。
【0010】
全ての年齢の人がSTECに感染し得る。非常に小さな子供および高齢者が重篤な病気および溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する可能性は他の人より高いが、健康な年長の子供および若年成人でも病気が重篤になり得る。STEC感染の症状は一人一人について異なるが、重篤な胃痙攣、下痢(多くの場合、血性下痢)、および嘔吐を伴うことが多い。
【0011】
STECに感染していると診断された人の約5〜10%は、溶血性尿毒症症候群(HUS)として知られる、場合によっては命に関わる合併症を発症する。HUSを発症しているという手がかりには、排尿頻度の減少、強い疲労感、ならびに頬および下眼瞼の中のピンク色の喪失が含まれる。HUSの人は、腎臓が機能しなくなり、他の重篤な問題が発生する可能性があるので入院しなければならない。ほとんどのHUSの人は数週間以内に回復するが、一部は永続的な損傷を受けるか、または死亡する。
【0012】
STECは、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカ、およびエルクを含む反芻動物の消化管内に生息している。ヒト病気の主な発生源はウシである。概して、ヒト病気の原因となるSTECによって動物は病気にならない。ブタおよび鳥を含む他の種類の動物が環境からSTECを獲得する時があり、STECを保有または蔓延することがある。
【発明の概要】
【0013】
概要
本開示は、1種類または複数の種類の消化酵素、例えば、膵臓酵素もしくは他の消化管酵素(例えば、ブタ膵臓酵素)、または食物成分を分解する植物由来酵素、真菌由来酵素、もしくは微生物由来酵素を含む薬学的組成物を用いた、抗生物質耐性大腸菌の感染と、STEC、ETEC、またはEPECなどの病原性大腸菌の感染とを含む大腸菌感染の予防および/または治療に関する。本明細書で使用する薬学的組成物は、ヒト適応症または獣医学的適応症に使用することができる。従って、薬学的組成物は、ヒトもしくは他の哺乳動物集団(例えば、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、サル、ラット、マウス、ネコ、イヌ)または鳥集団(例えば、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、シチメンチョウ)の予防的処置および/もしくは治療的処置に有用であり得る。
【0014】
感染後、大腸菌感染を治療するために、薬学的組成物を単独で、ならびに/あるいは他の抗菌剤療法もしくは抗生物質(例えば、抗大腸菌)療法、および/または他の治療剤もしくは抗生物質薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0015】
例えば、病院、ナーシングホーム、託児所、デイケア、学校、労働環境、食品事業環境、公共交通機関、およびトイレ設備に存在する大腸菌を減らす、減弱する、および/または破壊するために、このような環境において消毒剤、殺菌剤、界面活性剤、および防腐剤として使用するための、または消毒剤、殺菌剤、界面活性剤、および防腐剤の中に使用するための、1種類または複数の種類の消化酵素を含む殺菌性組成物および/または静菌性組成物もまた本明細書において提供される。説明された組成物により処理される表面は広くてもよく(例えば、手術台、ドア、おむつ交換台、換気システム)、狭くてもよく(例えば、医療機器、ドアの取っ手);無生物表面もしくは非生物的表面(台)または生組織(手、例えば、手洗い用の界面活性剤;創傷、例えば、手術創または事故に起因する創傷/外傷)でもよい。従って、組成物は、表面上にいる大腸菌を低減もしくは根絶するか、または大腸菌の感染性を減弱もしくは低減し、それによって、大腸菌の蔓延を阻止するまたは減らすために表面を処理するのに有用であり得る。
【0016】
従って、本開示の目的は、鳥または哺乳動物における大腸菌感染を治療または予防するための方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む治療的有効量の薬学的組成物を鳥または哺乳動物に投与する工程を含む、方法を提供することである。一部の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルロース、スクラーゼ、マルターゼ、パパイン、およびリパーゼからなる群より選択される1種類または複数の種類の酵素を含む。一部の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素は1種類または複数の種類の膵臓酵素を含む。1種類または複数の種類の消化酵素は、独立して、動物供給源、微生物供給源、植物供給源、真菌供給源に由来するか、または合成により調製される。一部の態様において、動物供給源はブタ膵臓である。
【0017】
一部の態様において、薬学的組成物は、少なくとも1種類のアミラーゼと、キモトリプシンおよびトリプシンを含むプロテアーゼの混合物と、少なくとも1種類のリパーゼとを含む。一部の態様において、薬学的組成物は、少なくとも1種類のプロテアーゼおよび少なくとも1種類のリパーゼを含み、全プロテアーゼと全リパーゼとの比(USP単位)は約1:1〜約20:1である。
【0018】
一部の態様において、薬学的組成物は、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、スプリンクル(sprinkle)、クリーム、ローション剤、エアロゾル剤、エマルジョン、散剤、液剤、ゲル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される投与製剤である。
【0019】
一部の態様において、薬学的組成物は、経口投与用、または局部投与用、または鼻腔内投与用、または経粘膜投与用に処方される。
【0020】
大腸菌感染の1つまたは複数の症状を示す哺乳動物または鳥を治療するための方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む治療的有効量の組成物を哺乳動物または鳥に投与する工程を含む、方法も提供される。
【0021】
さらに、下痢を治療するための方法であって、個体に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む薬学的組成物を投与する工程を含む、方法が提供される。
【0022】
本開示はまた、表面上にいる大腸菌の量を減らすために、または表面上にいる大腸菌を根絶するために、表面を衛生化または消毒するための方法であって、表面に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を適用する工程を含む、方法を特徴とする。表面は、生きている表面(例えば、皮膚、創傷)でもよく、無生物表面もしくは非生物的表面(例えば、医療機器、食品)でもよい。
【0023】
哺乳動物または鳥の皮膚領域、皮膚組織、または皮膚創傷に存在する大腸菌の量を減らすための方法であって、皮膚領域、皮膚組織、または皮膚創傷に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を適用する工程を含む、方法も本明細書において提供される。
【0024】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)または大腸菌に対して>1〜約20のフェノール係数を有する、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤も特徴とされる。
【0025】
本開示はまた、大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む抗生物質も提供する。
【0026】
同様に、大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む界面活性剤も提供される。
【0027】
大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む防腐剤も提供される。
【0028】
本開示はまた、大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤も提供する。
【0029】
1つまたは複数の本発明の態様の詳細を添付の図面および以下の説明において示す。特許、特許出願、明細書、本、論文、科学出版物などの本明細書において開示される参考文献は全て、その全体が参照により組み入れられる。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
「投与」または「投与する」という用語は、ある投与量の組成物または薬学的組成物を、哺乳動物、鳥、魚、または両生類を含む脊椎動物または無脊椎動物に与える方法をいう。この方法は、任意の経路、例えば、呼吸器内、鼻、局部、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、経粘膜、頬、直腸、腟、または舌下によるものである。好ましい投与方法は、様々な要因、例えば、薬学的組成物の成分、疾患部位、関与する疾患、および疾患の重篤度に応じて変えることができる。
【0031】
「哺乳動物」という用語は、その普通の生物学的な意味で用いられる。従って、「哺乳動物」は、具体的には、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含むが、他の多くの種も含む。
【0032】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対する、このような媒体および薬剤の使用は当技術分野において周知である。従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性成分、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗菌剤も組成物に組み込まれることがある。さらに、様々な佐剤、例えば、当技術分野において一般的に用いられる佐剤も含まれることがある。これらのおよび他のこのような化合物は、文献、例えば、Merck Index, Merck & Company, Rahway, NJに記載されている。薬学的組成物に様々な成分を含めるための考慮すべき事項は、例えば、Gilman et al.(Eds.)(2006); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Ed., The McGraw-Hill Companiesに記載されている。
【0033】
本明細書で使用する「被験体」または「患者」または「個体」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類、または鳥、例えば、ニワトリ、ならびに他の任意の脊椎動物または無脊椎動物を意味する。
【0034】
「治療的有効量」または「薬学的有効量」とは、典型的には、望ましい効果を達成するのに十分な量であり、疾患状態の内容および重篤度、被験体の内容、ならびに組成物の効力によって変えることができる。活動性疾患の予防には治療とは異なる濃度が用いられる場合があることが理解されるだろう。さらに、この量は、患者の身長、体重、性別、年齢、および病歴に左右されることがある。
【0035】
治療効果は、疾患の症状の1つまたは複数をある程度、軽減し、疾患の治癒を含む。「治癒」とは、活動性疾患の症状が無くなることを意味する。しかしながら、治癒後でも、ある特定の長期のまたは永続的な疾患の影響(例えば、組織損傷)が存在することがある。
【0036】
本明細書で使用する「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、治療目的で薬学的組成物を投与することをいう。「治療的処置」という用語は、既に疾患に罹患している患者に対して治療を投与すること、従って、治療に有益な効果を引き起こすこと、例えば、既存の症状を寛解させること、さらなる症状を予防すること、症状の根底にある代謝原因を寛解もしくは予防すること、障害のさらなる発症を遅延もしくは予防すること、および/または発症するであろう、もしくは発症することが予想される症状の重篤度を減らすことをいう。
【0037】
本開示は、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物、ならびに抗生物質耐性型の大腸菌と、STEC、ETEC、およびEPECなどの病原性大腸菌とを含む大腸菌の感染の治療および/または予防のために前記組成物を使用する方法を提供する。本開示はまた、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物、ならびに大腸菌を根絶もしくは減弱するために、および/またはその感染性を低減するために、防腐剤、界面活性剤、消毒剤、および殺菌剤として、例えば、殺菌性組成物および/または静菌性組成物として前記組成物を使用する方法も提供する。本明細書に記載の組成物は、大腸菌の低減、弱体化、または根絶を助けると想定された、従って、大腸菌感染にかかるのを阻止すると想定された、あるいは大腸菌感染を治療する(例えば、感染の症状を改善もしくは寛解させる、または感染の時間経過を短くする)と想定された、1種類または複数の種類の消化酵素を含む。
【0038】
組成物
本明細書に記載のように使用するための組成物は1種類または複数の種類の消化酵素を含んでもよい。理論に拘束されるものではないが、組成物中の消化酵素は大腸菌の細胞壁、膜、および/またはタンパク質構造を分解し、これが静菌活性および/または殺菌活性につながると考えられている。組成物は、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して種特異的な殺菌活性/静菌活性を証明するが、サルモネラ菌(S.enterica)に対して種特異的な殺菌活性/静菌活性を証明しない。このことは、おそらく、これらの2つの生物の脆弱性が、2つの生物に存在する類似のタンパク質配列のタンパク質分解に由来することを証明している。
【0039】
本明細書に記載の消化酵素は、1種類または複数の食物成分(例えば、タンパク質、脂肪、炭水化物)を分解することができる酵素である。消化酵素は、動物由来でもよく(例えば、膵臓酵素もしくは他の消化管酵素)、植物由来酵素、真菌由来酵素、または微生物由来酵素でもよく、または合成により調製されてもよい。多くの消化酵素は市販されているか、または当業者に周知の方法によって他の供給源から単離および精製することができる。酵素の酵素活性は標準アッセイを用いて評価することもできる。
【0040】
消化酵素は、酵素のタイプを任意に組み合わせて、および酵素供給源を任意に組み合わせて使用することができる。一部の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルロース、スクラーゼ、マルターゼ、パパイン(例えば、パパイヤ由来)、ブロメライン(例えば、パイナップル由来)、加水分解酵素、およびリパーゼからなる群より選択される1種類または複数の種類の酵素を含む。一部の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素は、1種類または複数の種類の膵臓酵素を含む。一部の態様において、組成物は、1種類または複数の種類のプロテアーゼ、1種類または複数の種類のリパーゼ、および1種類または複数の種類のアミラーゼを含む。一部の態様において、1種類または複数の種類のプロテアーゼは、キモトリプシンおよびトリプシンを含む。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、1種類もしくは複数の種類の消化酵素から本質的になるか、または1種類もしくは複数の種類の消化酵素からなる。
【0041】
ある特定の態様において、組成物は、少なくとも1種類のアミラーゼ、少なくとも2種類プロテアーゼ、および少なくとも1種類のリパーゼを含んでもよい。ある特定の態様において、組成物は、1種類または複数の種類の加水分解酵素、パパイン、ブロメライン、パパイヤ、セルロース、パンクレアチン、スクラーゼ、およびマルターゼをさらに含んでもよい。
【0042】
示されたように、1種類または複数の種類の消化酵素は動物供給源に由来してもよい。一部の態様において、動物供給源は、ブタ、例えば、ブタ膵臓である。ブタ膵臓酵素の抽出物および製剤は当業者に公知であり、市販されているか、または公知の方法を用いて調製することができる。例えば、膵臓酵素組成物は、Scientific Protein Laboratories(PECと呼ばれる)から購入することができる。膵臓酵素組成物または本明細書の任意の組成物は、その中に含まれる1種類または複数の種類の消化酵素の量、例えば、リパーゼ、アミラーゼ、またはプロテアーゼの含有量を変更するように、例えば、製造方法および/もしくは加工方法によって、または組成物への外因性酵素、活性化剤、もしくは阻害剤の選択的添加によって調整することができる。
【0043】
ある特定の状況では、リパーゼより比較的高いプロテアーゼ活性を有することが望ましい場合がある。従って、一部の態様において、組成物は、少なくとも1種類のプロテアーゼおよび少なくとも1種類のリパーゼを含み、全プロテアーゼと全リパーゼとの比(USP単位)は、1:1、2:1、3;1、4:1、5;1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11;1、12;1、13;1、14:1、15:1、16;1、17:1、18:1、19:1、および20:1を含む約1:1〜約20:1と、この間の全ての値である。一部の態様において、プロテアーゼとリパーゼとの比は、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、および10:1を含む約4:1〜約10:1と、この間の全ての値である。
【0044】
ある特定の状況において、所定の組成物において特定の酵素活性の量を変更することが有用な場合がある。1種類または複数の種類の消化酵素の活性は、当業者に公知の様々なやり方で、例えば、特定の酵素の量を増やすことによって、または組成物の成分を調節することによって、例えば、安定剤、阻害剤、および活性化剤を用いて組成物の成分を調節することによって調節することができる。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、組成物1mgにつき約0.05〜約400 USP単位、またはこの間の任意の値(例えば、0.1;0.2;0.25;0.5;1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、100、150、200、250、300、350 USP単位/mg)の活性を有する、1種類または複数の種類のプロテアーゼを含む。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、組成物1mgにつき約0.005〜約50単位、またはこの間の任意の値(例えば、0.01、0.02、0.025、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、25、28、30、35、38、40、45 USP単位/mg)の活性を有する、1種類または複数の種類のリパーゼを含む。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、組成物1mgにつき約0.05〜約400 USP単位、またはこの間の任意の値(例えば、0.1;0.2;0.25;0.5;1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、100、150、200、250、300、350 USP単位/mg)の活性を有する、1種類または複数の種類のアミラーゼを含む。一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、前記の活性範囲にある1種類または複数の種類のプロテアーゼ、前記の活性範囲にある1種類または複数の種類のリパーゼ、および前記の活性範囲にある1種類または複数の種類のアミラーゼを含む。例示的な態様の1つは、約150〜250 USP単位/mgの範囲にある活性を有する、1種類または複数の種類のプロテアーゼ;約20〜40 USP単位/mgの範囲にある活性を有する、1種類または複数の種類のリパーゼ;ならびに約200〜300 USP単位/mgの範囲にある活性を有する、1種類または複数の種類のアミラーゼを含む。
【0045】
一部の態様において、組成物は、1種類または複数の種類の消化酵素を安定化するように、例えば、酵素の酵素活性を保存するように処方することができる。安定化法は、組成物中の1種類または複数の種類の酵素の自己分解を限定または阻止することができ、酵素活性の維持に役立ち、貯蔵寿命を延ばし、温度、湿度、および保管条件の変化に対する組成物の活性の耐性を支援する。例えば、一部の態様において、組成物中の1種類または複数の種類の酵素はカプセル化され、例えば、脂質でカプセル化される。他の用途では、賦形剤、pH、酵素阻害剤などの変化を用いて、酵素安定化を支援することができる。適切な安定化法は、組成物の目的の用途(例えば、抗生物質対界面活性剤)、投与経路、組成物の形、または送達/活性の目的部位、および他の要因に左右され、当業者によって決定することができる。
【0046】
ある特定の有用な酵素活性安定剤には、溶液中の遊離カルシウム源、例えばカルシウム塩;アルキルアルコールまたは分枝アルコール、例えば、エタノールおよびイソプロピルアルコール;アルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン;酸、例えば、有機酸;ならびに石油留出物の混合物を供給する化合物が含まれる。
【0047】
ある特定の態様では、酵素活性安定剤は、(1)酵素を安定化する化合物およびシステムを含む、液体水溶液中での酵素の安定化に有効であることが知られている組成物、(2)選択された「ミセル阻害剤」、ならびに(1)および(2)の混合物より選択される組成物でもよい。一部の態様において、活性安定剤は、適切な濃度のホウ素アニオンである。場合によっては、活性安定剤はポリオールに溶媒和され、酵素を安定化する相乗剤または酵素安定化システムを形成する佐剤と組み合わされてもよい。好ましい「ミセル阻害剤」は、ミセル形成を改変ならびに阻害することが知られている種を含み、水混和性溶媒、例えば、C1-C6アルカノール、C1-C6ジオール、C2-C24アルキレングリコールエーテル、アルキレングリコールアルキルエーテル、およびその混合物より選択されてもよい。非常に好ましいミセル阻害剤は、ジ-(プロピレングリコール)メチルエーテル(「DPM」)およびミセル形成を改変するその類似体である。
【0048】
「酵素安定化システム」の一例は、保管中および様々な製品中のタンパク質分解酵素および他の酵素を保護するために単独で、または選択された他の佐剤もしくは相乗剤(例えば、多官能性アミノ化合物、酸化防止剤など)と共に過去に用いられてきたホウ素化合物(例えば、ホウ酸)である。
【0049】
活性安定剤は、製剤中の消化酵素の最小阻止濃度(「MIC」)を実質的に最小限にするように選択することができる。MICは、特定の期間中に、例えば24時間で培養物における細菌増殖の阻止に成功する、殺生物剤の最小濃度の尺度である。MIC試験の詳細は、Bailey & Scott「Diagnostic Microbiology」, 8th edition, 1990 177頁に示されている。
【0050】
一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、例えば、酵素の時限放出のために、着香剤を供給するために、もしくは臭気を遮蔽するために、または酵素を安定化するために様々なまたは天然または合成のコーティングでコーティングすることができる。本明細書に記載の方法および組成物に有用な1種類または複数の種類の消化酵素を含むコーティングされた酵素調製物は、脂質でコーティングされた酵素組成物または脂質でカプセル化された酵素組成物を含めて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2009年4月13日に出願された米国特許出願第12/386,051号に開示されている。このようなコーティングされた調製は、自己安定性の増大、散剤または固体製剤のエアロゾル化の低下、臭気および味の遮蔽、酵素安定化、ならびに酵素の遅延放出または時限放出を含む望ましい特徴を提供することができる。
【0051】
本明細書に記載の組成物に含めるための他の添加物は当業者によって決定することができ、目的の用途、例えば、ヒトへの用途対獣医学的用途;望ましい放出プロファイル;望ましい薬物動態;安全性;安定性;および物理的特徴(臭い、色、味、流動、エアロゾル化)を含む多くの特徴に基づく。当業者に公知の方法によって、適切な製剤成分、賦形剤、結合剤、充填剤、香料、着色剤などを決定および評価することができる。
【0052】
ヒトへの使用または獣医学的使用のための薬学的組成物および抗生物質
本明細書に記載の組成物は薬学的組成物として処方されてもよく、例えば、1種類または複数の種類の薬学的に許容される担体または賦形剤を用いて処方された前記の組成物を含んでもよい。薬学的組成物は、ヒトおよび他の動物、例えば、哺乳動物(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サル、ネコ、イヌ、マウス、ラット)および鳥(ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ)における大腸菌感染を治療または予防するのに有用である。大腸菌感染を治療するための薬学的組成物はまた、本明細書において抗生物質または抗生物質組成物とも呼ばれることもある。
【0053】
本明細書に記載の抗生物質組成物に対する、病原性大腸菌および抗生物質耐性型の大腸菌を含む大腸菌の感受性は、当業者に公知の方法によって決定することができる。迅速な手法の1つは、特定の量の抗生物質組成物が含浸された市販の濾紙ディスクを用いる。試験されている大腸菌の培養物が画線された寒天プレート表面の上に、これらのディスクを置き、プレートの増殖阻止区画を観察する。ブロス希釈感受性試験は、液体培地による組成物の段階希釈液を含有する試験管を調製し、次いで、試験されている生物を試験管に播種する工程を伴う。適切なインキュベーション期間の後に細菌増殖を阻止した最小薬物濃度を、最小阻止濃度(MIC)として報告する。
【0054】
本明細書に記載の抗生物質に対する大腸菌の耐性または感受性は、臨床アウトカムに基づいて、すなわち、その生物が感染している被験体に抗生物質を投与することで被験体が首尾良く治癒するかどうかに基づいて決定することができる。または、インビトロ試験結果を用いた抗生物質耐性または抗生物質感受性の特定を容易にするために、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)は、臨床アウトカムと抗生物質の最小阻止濃度のインビトロ測定を相関付ける抗生物質感受性基準を策定した。
【0055】
本明細書における薬学的組成物の投与は、経口投与、皮下投与、静脈内投与、鼻腔内投与、局部投与、経皮投与、経粘膜投与、腹腔内投与、筋肉内投与、肺内投与、膣投与、直腸投与、または眼内投与を含むが、これに限定されない、同じように役に立つ一般に認められた任意の薬剤投与方法を介するものでよい。大腸菌感染適応症の治療では、例えば、経口投与、経粘膜投与、局部投与、および非経口投与が普通である。
【0056】
薬学的組成物中には、有効濃度の1種類または複数の種類の消化酵素が適切な薬学的な賦形剤または担体と混合される。組成物中の消化酵素の濃度は、投与の際に、大腸菌細菌の低減もしくは根絶において有用な、および/または大腸菌感染に関連する症状の1つもしくは複数の治療もしくは寛解において有用な量を送達するのに有効な濃度である。
【0057】
抗生物質組成物は、単回投与量を投与するように処方することができる。組成物を処方するために、細菌が低減もしくは根絶するような有効濃度で、または治療される状態が軽減するような有効濃度で、または1つもしくは複数の症状が寛解するような有効濃度で、重量分率の消化酵素が、選択された担体に溶解、懸濁、分散、または他の方法で混合される。
【0058】
消化酵素は、望ましくない副作用が存在せず、治療される患者に対して治療に有効な効果を発揮するのに十分な量で、薬学的に許容される担体に含められる。治療に有効な濃度は、インビトロおよびインビボで消化酵素を試験することによって経験的に求められ、ヒトの投与量については、これから外挿することができる。
【0059】
薬学的組成物中の消化酵素の濃度は、酵素の吸収速度、不活性化速度、および排出速度、酵素の物理化学的特徴、投与計画、剤形、ならびに投与量、ならびに当業者に公知の他の要因によって決まる。
【0060】
薬学的組成物は一度に投与されてもよく、時間間隔をあけて投与される、さらに小さな多くの用量に分けられてもよい。正確な投与量および治療期間は、治療されている疾患の関数であり、公知の試験プロトコールを用いて経験的に、またはインビボもしくはインビトロ試験データからの外挿によって求めることができると理解される。濃度および投与量の値はまた、軽減しようとする状態の重篤度によって異なる場合があることに留意すべきである。さらに、特定の被験体については、一人一人のニーズならびに組成物を投与する人または組成物の投与を監督する人の専門的な判断に従って、特定の投与計画を経時的に調節しなければならず、本明細書において示される濃度範囲は例示にすぎず、本発明の組成物の範囲または実施を限定することを目的としないことを理解すべきである。
【0061】
消化酵素を混合または添加した時に、結果として生じる混合物は、溶液、懸濁液、ゲル、散剤、エマルジョンなどでもよい。結果として生じる混合物の形は、目的の投与方法、および選択された担体またはビヒクルの中での消化酵素の溶解度を含む多くの要因によって決まる。
【0062】
薬学的用途を目的とした組成物は、結晶産物または非結晶産物として投与されてもよい。薬学的に許容される組成物には、固体、半固体、液剤、ゲル、散剤、およびエアロゾル剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、スプリンクル、散剤、液剤、懸濁液、エマルジョン、ゲル、坐剤、エアロゾル剤などが含まれる。これらは、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥(evaporative drying)などの方法によってフィルムとして得られてもよい。この目的のために、マイクロ波または高周波による乾燥も使用することができる。組成物はまた、長期投与および/または時限投与、所定の速度でのパルス投与のために、デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経口剤形への特殊コーティング(例えば、腸溶コーティング)、経皮(エレクトロトランスポート(electrotransport)を含む)パッチなどを含む持効性剤形または徐放性剤形で投与されてもよい。一部の態様において、組成物は、正確な用量を単回投与するのに適した単位剤形で提供される。
【0063】
組成物は単独で投与されてもよく、より典型的には、従来の薬学的担体、賦形剤などと組み合わせて投与されてもよい。「賦形剤」という用語は、組成物中に用いられる化合物(酵素)以外の任意の成分について述べるために本明細書において用いられる。薬学的に許容される賦形剤には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達系(SEDDS)、例えば、コハク酸d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000、薬学的剤形において用いられる界面活性剤、例えば、Tween、または他の類似のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ろう、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、および羊毛脂が含まれるが、これに限定されない。本明細書に記載の組成物の送達を増強するために、シクロデキストリン、例えば、α-、β、およびγ-シクロデキストリン、または化学修飾誘導体、例えば、2-および3-ヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、または他の可溶化誘導体も都合よく使用することができる。このような剤形を調製するための実際の方法は公知であるか、または当業者に明らかであろう。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (Lippincott Williams & Wilkins. 2005)を参照されたい。
【0064】
好ましい1つの態様において、組成物は、単位剤形、例えば、丸剤または錠剤の形をとり、従って、組成物は、活性成分と共に、希釈剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど;および結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリジン(polyvinylpyrrolidine)、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などを含有してもよい。別の固体剤形では、散剤、溶液、または懸濁液(例えば、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリドに溶解したもの)がゼラチンカプセルの中に入れられる。2以上の成分が物理的に分けられている単位剤形、例えば、酵素顆粒および他の成分の顆粒を含むカプセル剤;2層錠剤;2つの仕切りのあるゲルキャップなども意図される。
【0065】
薬学的に投与可能な液体組成物は、例えば、1種類または複数の種類の消化酵素および任意の薬学的佐剤を、担体(例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)に溶解、分散などして、溶液または懸濁液を形成することによって調製することができる。所望であれば、薬学的組成物はまた、微量の無毒の補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)を含有してもよい。従来の形で、液体溶液もしくは懸濁液として、エマルジョンとして、または注射前に液体に溶解もしくは懸濁するのに適した固体の形で、注射剤を調製することができる。
【0066】
固体組成物は、酵素の物理化学的特性、望ましい溶解速度、コストの問題点、および他の基準に応じて様々なタイプの剤形で提供することができる。態様の1つにおいて、固体組成物は一単位である。これは、一単位用量の薬物が、1つの物理的に成形された固体型または物品に含まれることを意味する。言い換えると、固体組成物は凝集しており、単位がばらばらの多単位剤形とは対照的である。
【0067】
固体組成物用の剤形として使用することができる一単位の例には、錠剤、例えば、圧縮錠、フィルム様単位、箔様単位、カシェ剤、凍結乾燥マトリックス単位などが含まれる。1つの態様において、固体組成物は、高度に多孔性の凍結乾燥した形である。このような凍結乾燥物は時としてカシェ剤または凍結乾燥錠剤とも呼ばれ、急速崩壊に特に有用である。急速崩壊はまた活性化合物の急速溶解も可能にする。
【0068】
他方で、ある用途のために、固体組成物は多単位剤形として形成することもできる。複数単位の例は、散剤、スプリンクル、顆粒剤、微小粒子、マイクロカプセル剤、ペレット、ビーズ、凍結乾燥散剤などである。1つの態様において、固体組成物は凍結乾燥散剤である。このような分散した凍結乾燥システムは多数の散剤粒子を含み、散剤形成において用いられる凍結乾燥プロセスのために、それぞれの粒子は不規則な多孔性の微細構造を有し、この微細構造を通して、散剤は極めて迅速に水を吸収し、その結果、素速く溶解することができる。別の態様において、固体組成物はスプリンクル製剤である。
【0069】
同様に薬物を急速に溶解することもできる別のタイプの多粒子システムは、酵素が粒子1つ1つの外面にあるように組成物成分(例えば、酵素)でコーティングされた、水溶性賦形剤からの散剤、顆粒剤、またはペレットからなるシステムである。このタイプのシステムでは、水溶性低分子量賦形剤は、このようなコーティングされた粒子のコアを調製するのに有用であり、この後に、酵素と、好ましくは、1種類または複数の種類のさらなる賦形剤、例えば、結合剤、孔形成剤、糖類、糖アルコール、フィルム形成ポリマー、可塑剤、または薬学的コーティング組成物において用いられる他の賦形剤を含むコーティング組成物で、コアをコーティングすることができる。
【0070】
大腸菌感染を治療または予防するための適切な投与量は、患者(種、年齢、体重、健康状態)、疾患の重篤度、存在する大腸菌の株、製剤のタイプ(例えば、液剤または軟膏)、および当業者に公知の他の要因によって決まる。濃度および投与量の値は、軽減しようとする状態の重篤度によって異なる場合があることに留意すべきである。さらに、特定の患者については、一人一人のニーズ、ならびに組成物を投与する人または組成物の投与を監督する人の専門的な判断に従って、特定の投与計画を経時的に調節しなければならないことを理解すべきである。
【0071】
一部の態様において、薬学的組成物は、一用量につき、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、および60,000 U.S.Pを含む約10,000〜約60,000 U.S.Pと、この間の全ての値のアミラーゼ、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、および70,000を含む約10,000〜約70,000 U.S.Pと、この間の全ての値のプロテアーゼ、ならびに4,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、および30,000を含む約4,000〜約30,000 U.S.Pと、この間の全ての値のリパーゼを含む。薬学的組成物は、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、および5.0mgを含む約2〜約5mgと、この間の全ての値のキモトリプシン;50、65、70、75、80、85、90、95、および100mgを含む約60〜約100mgと、この間の全ての値のトリプシン;3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、および10,000 USPを含む約3,000〜約10,000 USP単位と、この間の全ての値のパパイン;ならびに30、35、40、45、50、55、および60mgを含む約30〜約60mgと、この間の全ての値のパパイヤの1つまたは複数を含んでもよい。
【0072】
組成物の特定の剤形に関するさらなる情報を以下に示す。
【0073】
1.経口投与用の組成物
経口薬学的剤形は、固体、ゲル、または液剤である。固体剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、および原末である。経口錠剤のタイプには、腸溶錠、糖衣錠、またはフィルムコーティング錠でもよい、圧縮された咀嚼可能なロゼンジおよび錠剤が含まれる。カプセル剤は硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセルでもよいのに対して、顆粒剤および散剤は、当業者に公知の他の成分の組み合わせと共に非発泡性または発泡性の形で提供されてもよい。
【0074】
a.経口投与用の固体組成物
ある特定の態様において、製剤は、固体剤形、1つの態様では、カプセル剤または錠剤である。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは、以下の成分または同様の性質の化合物:結合剤;潤滑剤;希釈剤;流動化剤;崩壊剤;着色剤;甘味剤;着香剤;湿潤剤;腸溶コーティング(emetic coating);およびフィルムコーティングの1つまたは複数を含有してもよい。結合剤の例には、結晶セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム漿、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロース、およびデンプンのりが含まれる。潤滑剤には、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、セキショウシ、およびステアリン酸が含まれる。希釈剤には、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール、およびリン酸二カルシウムが含まれる。流動化剤には、コロイド状二酸化ケイ素が含まれるが、これに限定されない。崩壊剤には、クロスカルメロース(crosscarmellose)ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天、およびカルボキシメチルセルロースが含まれる。着色剤には、例えば、任意の認可された水溶性FD & C色素、その混合物;および水酸化アルミニウム(alumina hydrate)上で懸濁された水不溶性のFD & C色素が含まれる。甘味剤には、スクロース、ラクトース、マンニトール、および人工甘味剤、例えば、サッカリン、ならびに多数の噴霧乾燥着香剤が含まれる。着香剤には、ペパーミントおよびサリチル酸メチルなどがあるが、これに限定されない、果実などの植物から抽出された天然着香剤、および好ましい感覚を生じる化合物の合成ブレンドが含まれる。湿潤剤には、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウラル(laural)エーテルが含まれる。腸溶コーティングには、脂肪酸、脂肪、ろう、シェラック、アンモニアを含むシェラック、および酢酸フタル酸セルロースが含まれる。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが含まれる。
【0075】
消化酵素は、胃の酸性環境から消化酵素を保護する組成物にして提供することができる。例えば、組成物は、胃の中での組成物の完全性を維持し、腸の中で消化酵素を放出する腸溶コーティングにして処方することができる。組成物はまた、制酸剤または他のこのような成分と組み合わせて処方されてもよい。
【0076】
単位剤形がカプセル剤である場合、前記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。さらに、単位剤形は、単位剤形の物理的形態を改変する様々な他の材料、例えば、糖衣および他の腸用薬剤を含有してもよい。消化酵素はまた、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、カシェ剤、スプリンクル、チューインガムなどの成分として投与することもできる。シロップは、活性消化酵素に加えて、甘味剤としてスクロース、ならびにある特定の防腐剤、色素および着色剤および着香剤を含有してもよい。
【0077】
消化酵素はまた、望ましい作用を付与しない他の活性材料と混合されてもよく、望ましい作用を補う材料、例えば、制酸剤、H2遮断薬、および利尿薬と混合されてもよい。約98重量%までのさらに高い濃度の消化酵素を含めることができる。
【0078】
全ての態様において、消化酵素の溶解を改変または維持するために、当業者に公知のように、錠剤およびカプセル製剤をコーティングすることができる。従って、錠剤およびカプセル製剤は、例えば、腸内で消化可能な従来のコーティング、例えば、サリチル酸フェニル、ろう、および酢酸フタル酸セルロースでコーティングすることができる。
【0079】
b.経口投与用の液体組成物
液剤経口剤形には、非発泡性顆粒剤から再構成された水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、および/もしくは懸濁液、ならびに発泡性顆粒剤から再構成された発泡性調製物が含まれる。水溶液には、例えば、エリキシル剤およびシロップが含まれる。エマルジョンは水中油型または油中水型である。
【0080】
エリキシル剤は、透明な加糖した水アルコール性調製物である。エリキシル剤において用いられる薬学的に許容される担体には溶媒が含まれる。シロップは、糖、例えば、スクロースの高濃度水溶液であり、防腐剤を含有してもよい。エマルジョンは、ある液体が別の液体全体にわたって小球の形で分散している二相系である。エマルジョンにおいて用いられる薬学的に許容される担体は、非水性液剤、乳化剤、および防腐剤である。懸濁液では、薬学的に許容される懸濁剤および防腐剤が用いられる。液剤経口剤形に再構成される非発泡性顆粒剤において用いられる薬学的に許容される物質には、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤が含まれる。液剤経口剤形に再構成される発泡性顆粒剤において用いられる薬学的に許容される物質には、有機酸および二酸化炭素源が含まれる。前記の剤形の全てにおいて着色剤および着香剤が用いられる。
【0081】
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが含まれる。防腐剤の例には、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ならびにアルコールが含まれる。エマルジョン中に用いられる非水性液剤の例には、鉱油および綿実油が含まれる。乳化剤の例には、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ベントナイト、および界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが含まれる。懸濁剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカントゴム、Veegum、およびアラビアゴムが含まれる。甘味剤には、スクロース、シロップ、グリセリン、および人工甘味剤、例えば、サッカリンが含まれる。湿潤剤には、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが含まれる。有機酸にはクエン酸および酒石酸が含まれる。二酸化炭素源には、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。着色剤には、任意の認可された水溶性FD & C色素ならびにその混合物が含まれる。着香剤には、果実などの植物から抽出された天然着香剤、および好ましい味覚を生じる化合物の合成ブレンドが含まれる。
【0082】
固体剤形の場合、溶液または懸濁液、例えば、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリドに溶解した溶液または懸濁液は、1つの態様では、ゼラチンカプセルの中に入れられる。このような溶液ならびにその調製およびカプセル化は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号;および同第4,410,545号に開示される。液剤剤形の場合、溶液、例えば、ポリエチレングリコールに溶解した溶液は、投与のために簡単に測定される十分な量の薬学的に許容される液体担体、例えば、水で希釈されることがある。
【0083】
または、消化酵素を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)、および他のこのような担体に溶解または分散させることによって、ならびにこれらの溶液または懸濁液を硬ゼラチンカプセルシェルまたは軟ゼラチンカプセルシェルに入れることによって、液体または半固体の経口製剤を調製することができる。他の有用な製剤には、米国再発行特許第28,819号および同第4,358,603号に示された製剤が含まれる。簡単に述べると、このような製剤には、本明細書において提供される消化酵素、ならびに1,2-ジメトキシメタン、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)、テトラグリム(tetraglyme)、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル、式中、350、550、および750はポリエチレングリコールの概算平均分子量を指す、を含むが、これに限定されないジアルキル化モノ-アルキレングリコールまたはポリ-アルキレングリコール、ならびに1種類または複数の種類の酸化防止剤、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートを含有する製剤が含まれるが、これに限定されない。
【0084】
他の製剤には、薬学的に許容されるアセタールを含むアルコール水溶液が含まれるが、これに限定されない。これらの製剤において用いられるアルコールは、プロピレングリコールおよびエタノールを含むが、これに限定されない、1つまたは複数のヒドロキシル基を有する薬学的に許容される任意の水混和性溶媒である。アセタールには、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタールが含まれるが、これに限定されない。
【0085】
2.注射剤、溶液、およびエマルジョン
非経口投与もまた本明細書において意図され、1つの態様では、皮下、筋肉内、または静脈内いずれかの注射を特徴とする。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液として従来の形で、注射の前に液体に溶解して溶液もしくは懸濁液するのに適した固体の形で、またはエマルジョンとして調製することができる。注射剤、溶液、およびエマルジョンはまた1種類または複数の種類の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望であれば、投与しようとする薬学的組成物はまた、微量の無毒の補助的な物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解増強剤、ならびに他のこのような薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、およびシクロデキストリンを含有してもよい。
【0086】
一定水準の投与量が維持されるような、徐放システムまたは持効システムの移植(例えば、米国特許第3,710,795号を参照されたい)も本明細書において意図される。簡単に述べると、本明細書において提供される消化酵素は、例えば、体液に溶けないポリマー外膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、およびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーで囲まれた内部個体マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化ポリ塩化ビニルまたは無可塑ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および部分的に加水分解した架橋ポリ酢酸ビニルの中に分散される。放出速度制御段階において、消化酵素はポリマー外膜を通って拡散する。このような非経口組成物に含まれる消化酵素のパーセントは、消化酵素が具体的にどういったものであるか、ならびに消化酵素またはその混合物の活性および被験体のニーズにかなり左右される。
【0087】
組成物の非経口投与には、静脈内投与、皮下投与、および筋肉内投与が含まれる。非経口投与のための調製物には、注射にすぐに使える無菌溶液、皮下注射用錠剤を含む、使用直前にすぐに溶媒と混合できる無菌の乾燥した可溶性産物、例えば、凍結乾燥散剤、使用直前にすぐにビヒクルと混合できる無菌の乾燥した不溶性産物、および無菌エマルジョンが含まれる。溶液は水性でもよく、非水性でもよい。
【0088】
静脈内投与される場合、適切な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを含有する溶液、ならびにその混合物が含まれる。
【0089】
非経口調製物において用いられる薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝液、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質が含まれる。
【0090】
水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射剤、リンガー注射剤、等張デキストロース注射剤、滅菌水注射剤、デキストロース乳酸加リンガー注射剤が含まれる。非水性非経口ビヒクルには、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、およびピーナッツ油が含まれる。多用量容器に入れて包装された非経口調製物には、静菌濃度または静真菌濃度の抗菌剤を添加しなければならない。抗菌剤には、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルおよびp-ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、ならびに塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張剤には塩化ナトリウムおよびデキストロースが含まれる。緩衝液にはリン酸緩衝液およびクエン酸緩衝液が含まれる。酸化防止剤には重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔剤には塩酸プロカインが含まれる。懸濁剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethylcelluose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオン封鎖剤または金属イオンキレート剤にはEDTAが含まれる。薬学的担体には、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール;ならびにpH調節用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も含まれる。
【0091】
単位用量非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針の付いた注射器に入れて包装される。非経口投与用の全ての調製物は、当技術分野において公知であり、かつ実施されるように無菌でなければならない。
【0092】
例示のために、消化酵素を含有する無菌水溶液の静脈内注入または動脈内注入は有効な投与方法である。別の態様は、望ましい薬理学的作用を生じるように必要に応じて注射することができる、消化酵素を含有する無菌の水性のまたは油性の溶液または懸濁液である。
【0093】
注射剤は局所投与用および全身投与用に設計される。1つの態様において、治療的に有効な投与量は、治療される組織に対して、少なくとも約0.1%w/w〜約90%w/w以上までの濃度、ある特定の態様では1%w/w超の濃度の消化酵素を含有するように処方される。
【0094】
消化酵素は、微粒子の形または他の適切な形で懸濁されてもよく、溶解度がさらに高い活性化産物を生じるように誘導体化されてもよい。結果として得られる混合物の形は、意図された投与方法および選択された担体またはビヒクルへの消化酵素の溶解度を含む多くの要因に左右される。有効濃度は状態の症状を寛解させるのに十分な濃度であり、経験的に決定することができる。
【0095】
3.凍結乾燥散剤
本明細書においては凍結乾燥散剤も関心対象である。凍結乾燥散剤は、溶液、エマルジョン、および他の混合物として投与するために再構成することができる。凍結乾燥散剤はまた固体またはゲルとして再構成および処方することもできる。
【0096】
無菌の凍結乾燥散剤は、本明細書において提供される消化酵素を適切な溶媒に溶解することによって調製される。溶媒は、安定性を改善する賦形剤もしくは散剤の他の薬理学的成分、または散剤から調製された再構成された溶液を含有してもよい。使用することができる賦形剤には、デキストロース、ソルビタール(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の適切な薬剤が含まれるが、これに限定されない。溶媒はまた、緩衝液、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液もしくはリン酸カリウム緩衝液、または当業者に公知の他のこのような緩衝液、1つの態様ではpHがほぼ中性の緩衝液を含有してもよい。続いて、当業者に公知の標準的な条件下で溶液を滅菌濾過した後に凍結乾燥を行うことによって、望ましい製剤が得られる。1つの態様において、結果として生じる溶液は、凍結乾燥のためにバイアルに配分される。それぞれのバイアルは、消化酵素の1回投与量または複数回投与量を含有する。凍結乾燥散剤は、適切な条件下で、例えば、約4℃〜室温で保管することができる。
【0097】
注射用水を用いてこの凍結乾燥散剤を再構成すると、非経口投与において使用するための製剤が得られる。再構成のために、凍結乾燥散剤を滅菌水または他の適切な担体に添加する。この正確な量は、選択された消化酵素に左右される。このような量は経験的に決定することができる。
【0098】
4.局部投与
局所投与および全身投与について述べたように局部混合物を調製することができる。結果として生じる混合物は溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、散剤、溶液、エリキシル剤、ローション剤、懸濁液、チンキ剤、パスタ剤、発泡体、エアロゾル剤、灌注剤、スプレー剤、坐剤、包帯、皮膚パッチ、または局部投与に適した他の任意の製剤として処方される。
【0099】
消化酵素は、局部適用、例えば、吸入によって局部適用するためにエアロゾル剤として処方されてもよい(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを送達するためのエアロゾル剤について述べている、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、および同第4,364,923号を参照されたい)。気道に投与するためのこれらの製剤は単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて、ネブライザー用にエアロゾルまたは溶液の形をとってもよく、ガス注入用に超微粒子の形をとってもよい。このような場合、製剤の粒子の直径は、1つの態様では、50ミクロン未満、1つの態様では、10ミクロン未満である。
【0100】
消化酵素は、局所適用または局部適用のために、例えば、皮膚および目などの粘膜への局部適用のために、ゲル、クリーム、およびローション剤の形で、ならびに目への適用または槽内適用もしくは脊髄内適用のために処方されてもよい。経皮送達のために、目もしくは粘膜への投与または吸入療法のためにも局部投与が意図される。消化酵素のみ、または消化酵素と他の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせからなる鼻用溶液も投与することができる。
【0101】
これらの溶液、特に、眼への使用を目的とした溶液は、適切な塩を用いて、0.01%〜10%等張液、pH約5〜7として処方することができる。
【0102】
散剤は、任意の適切な散剤基剤、例えば、タルク、ラクトース、デンプンなどの助けを借りて形成することができる。溶液は、水性基剤または非水性基剤を用いて処方することができ、1種類または複数の種類の分散剤、懸濁剤、可溶化剤なども含んでよい。局部用ゲルは、消化酵素の水性のまたは非水性の溶液または懸濁液からなる粘性溶液またはコロイドゲルを形成するのに有効な分子量および濃度レベルを有するポリマーを用いて調製される。局部用ゲルを調製することができるポリマーには、ポリホスホエステル、ポリエチレングリコール、高分子量ポリ(乳)酸、ヒドロキシプロピルセルロース、キトサン、ポリスチレンスルホネートなどが含まれる。
【0103】
軟膏、クリーム、およびローション剤は、例えば、水性または油性の基剤を用いて、かつ適切な増粘剤、ゲル化剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、または粘稠度を調節する薬剤などを添加して処方される。基剤には、水、アルコール、または油、例えば、流動パラフィン、鉱油、もしくは植物油、例えば、ピーナッツ油またはヒマシ油が含まれる。基剤がどのようなものであるかに従って使用することができる増粘剤には、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリホスホエステル、ポリ(乳酸)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースゴム、アクリレートポリマー、親水性ゲル化剤、キトサン、ポリスチレンスルホネート、ワセリン、羊毛脂、水添ラノリン、蜜ろうなどが含まれる。
【0104】
軟膏、パスタ剤、クリーム、ゲル、およびローション剤はまた、賦形剤、例えば、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ろう、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、およびその混合物を含有してもよい。散剤およびスプレー剤はまた、賦形剤、例えば、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド散剤、またはこれらの物質の混合物も含有してよい。溶液、懸濁液、または分散液は、局部適用のエアロゾル剤を作製するのに日常的に用いられる任意の公知の手段によってエアロゾル剤またはスプレー剤に変換することができる。一般的に、このような方法は、通常、不活性担体ガスを用いて、溶液、懸濁液、もしくは分散液の容器を加圧する工程、または溶液、懸濁液、もしくは分散液の容器を加圧する手段を準備する工程、および加圧された気体を小さな開口部に通す工程を含む。スプレー剤およびエアロゾル剤はまた、従来通りの噴霧剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素、または揮発性非置換炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンを含有してもよい。
【0105】
賦形剤には、皮膚吸収を促進する化合物、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、脂肪酸の部分グリセリドなどが含まれ、これらは、総処方重量の約10wt%までのレベルで存在する。脂肪酸の部分グリセリドの例には、SASOL North America, Inc., Houston, Texから入手可能なIMWITOR 742 およびIMWITOR 308が含まれるが、これに限定されない。局部製剤はまた、任意で、保湿剤、界面活性剤、芳香剤、着色剤、軟化薬、増量剤などを含むが、これに限定されない、化粧品の許容性を改善する不活性成分を含んでもよい。
【0106】
局部組成物はまた他の抗生物質薬剤も含んでよい。抗生物質薬剤の例には、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、ペニシリンを含むβラクタム、メチシリン、モキサラクタムおよびセファロスポリン、例えば、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドールナファート、セファゾリン、セフィキシム、セフィネタゾール、セフォニオイド(cefonioid)、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタンメ(cefotanme)、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアクソン、セフリアキソン(cefriaxone)、セフロキシム、セファレキシン、セファロスポリンC、セパロスポリン(cepahlosporin)Cナトリウム塩、セファロチン、セファロチンナトリウム塩、セファロチン二水和物、セファピリン、セフラジン、セフロキシムアキセチル、ロラカルベフなどが含まれる。局部適用された時に有効な本質的に全ての抗感染症/抗生物質薬剤を使用することができる。従って、活動性感染症を治療し、かつ皮膚病原体集団を除菌するための本発明の方法は、消化酵素が他の抗感染症薬剤と一緒ではなく単独で適用されるか、または少なくとも1種類の他の抗感染症薬剤と一緒に組み合わせて適用される方法を含む。
【0107】
局部組成物は、散剤を散布することによって、エアロゾル剤を噴霧することによって、あるいは患者もしくは医療提供者の指先または綿棒もしくはふき取り布などの他の従来の適用法を用いて軟膏、クリーム、ローション剤、溶液、もしくはゲルの薄膜を皮膚の望ましい領域にのばすことによって直接投与することができる。最初に、製品が皮膚に適用され、指先または塗布具を用いてひろげられてもよく、指先につけ、皮膚の上に広げられてもよい。組成物はまた、任意で、最初に、局部塗布具、例えば、包帯、綿棒、織物または不織の湿ったふき取り布などの表面にコーティングされてもよく、次いで、局部塗布具は、組成物を受け取る皮膚の一部に適用される。
【0108】
本発明の局部組成物は、使用される成分、その品質、および調製方法に関して、本質的に当業者にとって従来よりある基剤製剤を用いて調製することができる。使用される成分、その品質、および調製方法は全てさらなる説明を必要としない。本発明による局部組成物はまた、消化酵素を含む製剤に特に適している良好な皮膚適合性および創傷治癒性に加えて、今まで認められていなかった殺菌活性を有する、エマルジョン製剤に基づくクリームまたはローション剤として調製することもできる。
【0109】
前記のように、本発明は、局部用のクリームまたはローション製剤に限定されない。従来のスプレー剤、ミスト、エアロゾル剤、ローション剤、クリーム、水性および非水性の溶液または液剤、油、ゲル、軟膏、パスタ剤、膏薬、エマルジョン、ならびに懸濁液に基づく局部製剤は、約0.125〜約10重量%以上の総濃度の量の消化酵素、任意で、1種類または複数の種類の他の抗感染症薬剤を含有する。このために、最適投与量は0.05重量%だけしか異ならない場合があり、その結果、代表的なクリームおよびローション剤態様は、この範囲内での、0.05重量%刻みの濃度増加を含むことが再度、認識される。
【0110】
本発明の局部組成物は、皮膚感染および創傷感染、例えば、表面創傷および穿通創を治療するのに用いられる。治療に適した創傷には、表皮剥脱における創傷、皮膚または表面の切断、褥瘡、熱傷、および手術創が含まれる。本発明の局部組成物は、二次感染を予防するために外科手術前またはカテーテル挿入前の領域の前処置を含めて、大腸菌細菌の集団を除菌するのに使用することもできる。
【0111】
粘膜送達製剤は、粘膜送達に適した担体またはビヒクルと組み合わされる、または協調的に投与される本明細書に記載の消化酵素を含んでもよい。本明細書で使用する「担体」という用語は、固体または液体の薬学的に許容される増量剤、希釈剤、またはカプセル化材料を意味する。水を含有する液体担体は、薬学的に許容される添加物、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌性防腐剤、酸化防止剤、緩衝剤、キレート剤、錯化剤、可溶化剤、保湿剤、溶媒、懸濁剤および/もしくは増粘剤、張性薬剤、湿潤剤、または他の生体適合性材料を含有してもよい。前記のカテゴリーによって列挙された成分の表は、U.S. Pharmacopeia National Formulary, pp. 1857-1859, 1990において見られる。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の一部の例は、糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース;トラガカントゴム末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、カカオ脂および坐剤ろう;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性食塩水;リンガー溶液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに薬学的製剤において用いられる他の無毒の適合性物質である。処方者の要望に応じて、湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤もまた組成物に存在してもよい。薬学的に許容される酸化防止剤の例には、水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。担体材料と組み合わせて単一剤形を作製することができる消化酵素の量は特定の投与方法によって異なる。
【0112】
粘膜用製剤は一般的に無菌であり、粒子を含まず、薬学的に使用するために安定している。本明細書で使用する「粒子を含まない」という用語は、少量非経口溶液についての米国薬局方基準の要件を満たす製剤を意味する。「安定した」という用語は、適切な政府規制機関によって示されたような、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則(Good Manufacturing Practice)の指針に従って定められた、同一性、強度、品質、および純度に関する全ての化学的基準および物理的基準を満たす製剤を意味する。
【0113】
粘膜送達組成物の中には、粘膜表面の中への、または粘膜表面を横断する消化酵素の送達を促進する様々な送達促進剤を使用することができる。本明細書で使用する「粘膜送達促進剤」は、(例えば、送達部位で測定された時の、または選択された活性標的部位、例えば、血流もしくは中枢神経系で測定された時の)消化酵素または他の生物学的に活性な化合物の放出または溶解(例えば、製剤送達ビヒクルからの放出または溶解)、拡散速度、浸透能力、およびタイミング、取り込み、滞留時間、安定性、有効半減期、ピーク濃度水準または持続濃度水準、クリアランス、ならびに他の望ましい粘膜送達特性を強化する薬剤を含む。従って、粘膜送達の促進は、任意の様々な機構によって、例えば、消化酵素の拡散、輸送、持続性、または安定性を増大させることによって、膜流動性を増大させることによって、カルシウムおよび細胞内透過または傍細胞透過を調節する他のイオンの利用可能性または作用を調整することによって、粘膜膜成分(例えば、脂質)を可溶化することによって、粘膜組織中の非タンパク質およびタンパク質のスルフヒドリルレベルを変えることによって、粘膜表面を横断する水の流れを増大させることによって、上皮接合部の生理機能を調整することによって、粘膜上皮を覆う粘液の粘度を下げることによって、粘液線毛クリアランス速度を下げることによって、ならびに他の機構によって行うことができる。
【0114】
吸収促進機構は、本発明の様々な鼻腔内送達促進剤によって異なる場合があるが、これに関して有用な試薬は粘膜組織に実質的に悪影響を及ぼさず、特定の消化酵素または他の活性薬剤もしくは送達促進剤の物理化学的特性に従って選択される。これに関して、粘膜組織の浸透性または透過性を高める送達促進剤は、多くの場合、粘膜の透過性保護障壁をある程度、変化させる。このような送達促進剤が本発明の中で価値があるためには、一般的に、望ましい薬物送達期間に適した時間枠内で、粘膜の透過性の大きな変化が可逆的であることが望ましい。さらに、長期使用によって大きな累積毒性が生じてはならず、粘膜の障壁特性に恒久的な有害変化も誘導されてはならない。
【0115】
一部の態様において、本明細書に記載の消化酵素との協調投与または組み合わせ製剤のための吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、エタノール、プロピレングリコール、および2-ピロリドンを含むが、これに限定されない親水性低分子より選択される。または、消化酵素の粘膜浸透を高めるために、長鎖両親媒性分子、例えば、デアシルメチルスルホキシド、アゾン(azone)、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、および胆汁塩を使用することができる。さらなる局面において、消化酵素の鼻腔内送達を促進するために、補助化合物、加工剤、または製剤添加物として界面活性剤(例えば、ポリソルベート)が用いられる。これらの浸透促進剤は、典型的には、鼻粘膜を裏打ちする上皮細胞の脂質二重層を構成する分子の極性頭部基または親水性尾部領域において相互作用する(Barry, Pharmacology of the Skin, Vol. 1, pp. 121-137, Shroot et al, Eds., Karger, Basel, 1987;およびBarry, J. controlled Release 6:85-97, 1987)。これらの部位での相互作用は、脂質分子のパッキングを破壊する作用、二重層の流動性を高める作用、粘膜障壁を横断する消化酵素の輸送を容易にする作用を有することがある。これらの浸透促進剤と極性頭部基とが相互作用すると、隣接する二重層の親水性領域がさらに多くの水を取り込み、離れ、従って、消化酵素を輸送する傍細胞経路が開くか、または可能になることがある。これらの作用に加えて、ある特定の促進剤は、鼻粘膜の水性領域の嵩高性(bulk property)に対して直接的な作用を有することがある。DMSO、ポリエチレングリコール、およびエタノールなどの薬剤が(例えば、前投与によって、または治療用製剤への組み込みによって)送達環境において十分に高い濃度で存在するのであれば、粘膜の水相に進入し、その可溶化特性を変え、それによって、ビヒクルから粘膜への消化酵素の分配を促進することができる。
【0116】
本発明の協調投与および加工方法および組み合わせ製剤の中で有用な、さらなる粘膜送達促進剤には、混合ミセル;エナミン;一酸化窒素ドナー(例えば、S-ニトロソ-N-アセチル-DL-ペニシラミン、NOR1、NOR4。これらは、好ましくは、NOスカベンジャー、例えば、カルボキシ-PITOまたはドクロフェナク(doclofenac)ナトリウムと同時投与される);サリチル酸ナトリウム;アセト酢酸のグリセロールエステル(例えば、グリセリル-1,3-ジアセトアセテートまたは1,2-イソプロピリデングリセリン-3-アセトアセテート);および粘膜送達と生理学的に適合する他の放出-拡散促進剤または上皮内浸透促進剤もしくは上皮間浸透促進剤が含まれるが、これに限定されない。他の吸収促進剤は、消化酵素の粘膜送達、安定性、活性、または上皮間浸透を促進する様々な担体、基剤、および賦形剤より選択される。これらには、とりわけ、とりわけ、クリクロデキストリン(clyclodextrin)およびβ-シクロデキストリン誘導体(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびヘプタキス(heptakis)(2,6-ジ-O-メチル-β-シクロデキストリン)が含まれる。これらの化合物は、任意で、活性成分の1つまたは複数と結合体化され、さらに任意で、本発明の粘膜製剤におけるバイオアベイラビリティを高めるように油性基剤に溶解して処方される。粘膜送達に合わせられた、なおさらなる吸収促進剤には、モノグリセリドおよびジグリセリド(例えば、カプリン酸ナトリウム-ヤシ油抽出物、Capmul)ならびにトリグリセリド(例えば、アミロデキストリン、Estaram299、Miglyol810)を含む中鎖脂肪酸が含まれる。
【0117】
粘膜用の治療組成物および予防組成物には、粘膜障壁を横断する消化酵素の吸収、拡散、または浸透を容易にする任意の適切な浸透促進剤を添加することができる。浸透促進剤は、薬学的に許容される任意の促進剤でよい。従って、本発明のさらに詳細な局面では、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸誘導体(例えば、サリチル酸アセチル、サリチル酸コリン、サリチルアミド);アミノ酸およびその塩(例えば、モノアミノカルボン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン;ヒドロキシアミノ酸、例えば、セリン;酸性アミノ酸、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸;および塩基性アミノ酸、例えば、リジン-そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含む);ならびにN-アセチルアミノ酸(N-アセチルアラニン、N-アセチルフェニルアラニン、N-アセチルセリン、N-アセチルグリシン、N-アセチルリジン、N-アセチルグルタミン酸、N-アセチルプロリン、N-アセチルヒドロキシプロリンなど)およびその塩(アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩)より選択される1種類または複数の種類の浸透促進剤を組み込んだ組成物が提供される。本発明の方法および組成物の中には、乳化剤として一般的に用いられる物質(例えば、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステルなど)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸、ならびにそのアルカリ金属塩、ピロリドンカルボン酸、アルキルピロリドンカルボン酸エステル、N-アルキルピロリドン、プロリンアシルエステルなどもまた浸透促進剤として提供される。
【0118】
5.他の投与経路用の組成物
他の投与経路、例えば、イオン泳動装置および電気泳動装置を含む経皮パッチ、ならびに直腸投与も本明細書において意図される。
【0119】
イオン泳動装置および電気泳動装置を含む経皮パッチは当業者に周知である。例えば、このようなパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、および同第5,860,957号に開示される。
【0120】
例えば、直腸投与用の薬学的剤形は、全身に作用させるための直腸用坐剤、カプセル剤、および錠剤である。本明細書において用いられる直腸用坐剤は、体温で融解するか、または軟らかくなって1種類または複数の種類の薬理学的または治療的に活性な成分を放出する、直腸に挿入するための固体本体を意味する。直腸用坐剤において用いられる薬学的に許容される物質は、基剤またはビヒクルおよび融点を上昇させる薬剤である。基剤の例には、カカオ脂(テオブロマ脂)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、ならびに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの適切な混合物が含まれる。様々な基剤の組み合わせを使用することができる。坐剤の融点を上昇させる薬剤には、鯨ろうおよびろうが含まれる。直腸用坐剤は、圧縮法または成形によって調製することができる。直腸用坐剤の重量は、1つの態様では、約2〜3gmである。
【0121】
経口投与用の製剤と同じ薬学的に許容される物質を用いて、および経口投与用の製剤と同じ方法によって、直腸投与用の錠剤およびカプセル剤が製造される。
【0122】
6.持効性製剤
消化酵素を望ましい標的に送達するために持効性製剤も提供される。消化酵素の水準は、所望に応じて、ある特定の期間にわたって維持され、当業者によって容易に決定できることが理解される。このような持効性製剤および/または時限放出製剤は、当業者に周知の送達装置の持効性手段によって、例えば、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号;同第4,710,384号;同第5,674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556および5,733,566号に記載の持効性手段によって作ることができる。これらの開示はそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。これらの薬学的組成物は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透析膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、マイクロスフェアなどを用いて1種類または複数の種類の消化酵素をゆっくりと放出するために、または持効放出するために使用することができる。本明細書において提供される薬学的組成物と共に使用するために、本明細書に記載の持効性製剤を含む当業者に公知の適切な持効性製剤を容易に選択することができる。従って、持効放出に合わせられた、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ(gelcap)、カプレット、散剤などがあるが、これに限定されない経口投与に適した単一単位剤形が本明細書において意図される。
【0123】
1つの態様において、持効性製剤は、結晶セルロース、マルトデキストリン、エチルセルロース、およびステアリン酸マグネシウムなどがあるが、これに限定されない活性化合物を含有する。前記のように、開示された消化酵素の特性と適合する、公知の全てのカプセル化法が本明細書において意図される。持効性製剤は、様々な厚さのゆっくりと溶けるポリマーで、本明細書において提供される薬学的組成物の粒子もしくは顆粒をコーティングすることによって、またはマイクロカプセル化によってカプセル化される。1つの態様において、持効性製剤は、哺乳動物への投与の約48時間〜約72時間後に薬学的組成物を溶解する、様々な厚さ(例えば、約1ミクロン〜200ミクロン)のコーティング材料を用いてカプセル化される。別の態様において、コーティング材料は、食品用に認可された添加物である。
【0124】
別の態様において、持効性製剤は、ゆっくりと溶けるポリマー担体と共に薬物を錠剤に圧縮することによって調製されたマトリックス溶解装置である。1つの態様において、コーティングされた粒子の大きさの範囲は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,710,384号および同第5,354,556号に開示されるように約0.1〜約300ミクロンである。粒子はそれぞれマイクロマトリックスの形をとり、活性成分はポリマー全体に均一に分散されている。
【0125】
本明細書において提供される消化酵素は、持効性製剤および/または時限放出製剤として処方することができる。全ての持効性薬学的製品には、非持効性対応物が果たす以上に薬物療法を改善するという共通の目標がある。理想的には、医学的処置における最適に設計された持効性調製物の使用には、状態の治癒または管理に用いられる消化酵素が最小限になるという特徴がある。持効性製剤の利点には、1)組成物の長期活性、2)投与頻度の減少、および3)患者の服薬遵守の増大が含まれ得る。さらに、持効性製剤は、作用開始時間または組成物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすように使用することができ、従って、副作用の発生に影響を及ぼすことができる。
【0126】
本明細書において提供される持効性製剤は、最初に、望ましい治療効果を迅速に生じる量の治療組成物を放出し、徐々におよび連続して、この水準の治療効果を長期間にわたって維持する他の量の組成物を放出するように設計されている。この一定水準を体内で維持するために、身体から代謝および排出される組成物を補う速度で、剤形から治療組成物を放出しなければならない。
【0127】
活性成分の持効放出は、様々な誘導要因、例えばpH、温度、酵素、水、または他の生理学的状態もしくは化合物によって刺激することができる。
【0128】
消化酵素が徐放されるように、経口投与用の調製物を適切に処方することができる。1つの態様において、消化酵素は、液剤の形で容易に処方することができる、ばらばらの微小粒子からなる徐放散剤として処方される。持効性散剤は、活性成分、任意で、賦形剤と少なくとも1種類の無毒ポリマーを含有する粒子を含む。
【0129】
散剤は液体ビヒクルに分散または懸濁することができ、有用な期間にわたって、その持効性を維持する。これらの分散液または懸濁液は、化学的安定性および溶解速度の点での安定性を両方とも有する。散剤は、ポリマーを含む賦形剤を含有してもよく、ポリマーは、可溶性、不溶性、透過性、不透過性、または生分解性でもよい。ポリマーはポリマーでもよく、コポリマーでもよい。ポリマーは、天然ポリマーでもよく、合成ポリマーでもよい。天然ポリマーには、ポリペプチド(例えば、ゼイン)、多糖(例えば、セルロース)、およびアルギン酸が含まれる。代表的な合成ポリマーには、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,354,556号の縦列3、33〜45行に記載の合成ポリマーが含まれるが、これに限定されない。特に適切なポリマーには、その全体が参照により組み入れられる米国特許第5,354,556号の縦列3、46行〜縦列4、8行に記載のポリマーが含まれるが、これに限定されない。
【0130】
本明細書において提供される持効性組成物は、非経口投与用に、例えば、筋肉内注射による、または皮下組織用および様々な体腔用の移植片、ならびに経皮装置による非経口投与用に処方することができる。1つの態様において、水性懸濁液または油性懸濁液として筋肉内注射が処方される。水性懸濁液における持効作用は、一部には、複合体形成の際の消化酵素の溶解度の低下または溶解速度の低下によるものである。油性懸濁液および油性溶液と共に同様のアプローチがとられる。この場合、消化酵素の放出速度は、消化酵素を油から周囲の水性媒体に分配することによって求められる。油溶性であり、かつ望ましい分配特性を有する消化酵素のみが適している。筋肉内注射に使用することができる油には、ゴマ油、オリーブ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、アーモンド油、ダイズ油、綿実油、およびヒマシ油が含まれるが、これに限定されない。
【0131】
他の薬学的組成物との同時投与
薬学的組成物は単独で、および/または他の治療剤もしくは抗生物質(例えば、抗大腸菌)療法と組み合わせて使用することができる。例えば、大腸菌感染の他の局面(例えば、疼痛、組織損傷)に対処するために、または患者が直面している可能性のある他の病気に対処するために、患者には、抗炎症薬または麻酔剤などの他の治療剤を投与することができる。他の態様において、患者には、本明細書に記載の薬学的組成物および1種類または複数の種類のさらなる抗生物質を投与することができる。1種類または複数の種類のさらなる抗生物質は、大腸菌もしくは他の細菌またはその両方(例えば、患者が多重感染している場合)に対して有効でもよく、本発明の薬学的組成物と同じ形式または異なる形式でもよい(例えば、液剤でもよく、局部用抗生物質でもよい)。主なクラスの抗生物質は、(1)ペニシリン、セファロスポリン、およびモノバクタムを含む、β-ラクタム;(2)アミノグリコシド、例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン(netilmycin)、およびアミカシン;(3)テトラサイクリン;(4)スルホンアミドおよびトリメトプリム;(5)フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、およびオフロキサシン;(6)バンコマイシン;(7)例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、およびクラリスロマイシンを含む、マクロライド;ならびに(8)他の抗生物質、例えば、ポリミキシン、クロラムフェニコール、およびリンコサミドである。
【0132】
一部の態様において、さらなる抗生物質は、βラクタム系抗生物質(例えば、ペニシリンまたはペニシリン誘導体、セファロスポリン、モノバクタム、ペナム(penam)、ペネム、オキサペナム(oxapenam)、カルバペネムまたはカルバペナム(cabapenam)、セフェム、カルバセフェム(carbacephem)、オキサセフェム、モノバクタム)でもよい。一部の態様において、さらなる抗生物質はβラクタマーゼ阻害剤でもよい。一部の態様において、さらなる抗生物質はアミノグリコシド抗生物質でもよい。一部の態様において、さらなる抗生物質は、ペニシリンまたはペニシリン誘導体、オキサシリン、アモキシシリン、ナフシリン、クロキサシリン、メチシリン、テモシリン、アンピシリン、コアモキシクラブ(co-amoxiclav)、アズロシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セファレキシン、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セフロキシム、セファマンドール、セフォテタン、セフォキシチン、セフトリアクソン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフェピム、セフピロム、バンコマイシン、テイコプラニン(teicoplanin)、テラバンシン(telavancin)、ブレオマイシン、ラモプラニン、デカプラニン(decaplanin)、オリタバンシン(oritavancin)、およびダルババシンより選択される。
【0133】
本明細書に記載の抗生物質組成物およびさらなる抗生物質は別々に投与されてもよく、単一の剤形で投与されてもよい。別々に投与される場合、これらは任意の順序および相対的な頻度で投与することができる。
【0134】
消毒剤および殺菌剤
本明細書に記載の1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物はまた、消毒剤および殺菌剤として、例えば、非限定的に、病院、ヘルスケア、家庭、および共同体の環境にいる大腸菌を根絶する、減弱する、または低減することによって、このような場所における無生物物体および無生物表面を消毒するために使用することもできる。消毒剤は、微生物を破壊するために非生物的物体に適用される抗菌剤である。消毒剤は、一般的に、体内にいる細菌を破壊する抗生物質、および生組織の上にいる微生物を破壊する防腐剤と区別すべきである。殺菌剤は、微生物の数を安全なレベルまで減らす消毒剤である。殺菌剤の定義の1つは、殺菌剤が、5対数減少として知られる、特定の細菌試験集団の99.999%を死滅させ、かつ30秒以内に死滅させることができなければならないと述べている。殺菌剤と消毒剤との主な違いは、指定された使用希釈度において、病原性細菌に対する消毒剤の殺傷能力が殺菌剤と比較して高くなければならないことである。
【0135】
本明細書に記載の消毒剤または殺菌剤は、前記の様々な態様にある1種類または複数の種類の消化酵素を含んでもよく、任意で、安定剤(例えば、酵素安定剤)を含む他の活性成分および不活性成分、当業者に公知の他の消毒剤、製剤賦形剤、着色剤、芳香剤などを含んでもよい。当業者であれば、消毒剤に含めるために、さらなる活性成分または不活性成分を選択することができる。さらなる消毒剤の例には、活性塩素源(すなわち、次亜塩素酸塩、クロラミン、ジクロロイソシアヌル酸塩、およびトリクロロイソシアヌル酸塩、湿潤塩素、二酸化塩素など);活性酸素源(過酸化物、例えば、過酢酸、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、およびウレアパーヒドレート(urea perhydrate));ヨウ素およびヨードフォア溶液(ヨードポビドン(iodpovidone)(ポビドンヨード、Betadine)、ルゴール溶液、ヨウ素チンキ剤、ヨウ化非イオン界面活性剤);濃アルコール(主に、エタノール、1-プロパノール、n-プロパノールとも呼ばれる、および2-プロパノール、イソプロパノールと呼ばれる、ならびにその混合物;さらに、2-フェノキシエタノール、ならびに1-フェノキシプロパノールおよび2-フェノキシプロパノール);フェノール物質(例えば、フェノール(「石炭酸」とも呼ばれる)、クレゾール(液体カリウムセッケンと組み合わせて「Lysole」と呼ばれる)、ハロゲン化(塩素化、臭素化)フェノール、例えば、ヘキサクロロフェン、トリクロサン、トリクロロフェノール、トリブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、Dibromol、およびその塩);陽イオン界面活性剤、例えば、いくつかの四級アンモニウムカチオン(例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムまたは塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム)およびその他;非四級化合物、例えば、クロルヘキシジン、グルコプロタミン、二塩酸オクテニジン;強力な酸化剤、例えば、オゾンおよび過マンガン酸溶液;重金属およびその塩、例えば、コロイド銀、硝酸銀、塩化水銀、フェニル水銀塩、硫酸銅、および酸化銅-塩化銅;濃強酸(リン酸、硝酸、硫酸、アミド硫酸、トルエンスルホン酸)およびアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム)、例えば、特に、高温(60℃以上)で、pH<1の酸またはpH>13のアルカリが含まれる。場合によっては、本明細書に記載の消毒剤は、1種類または複数の種類の消化酵素から本質的になる。場合によっては、消毒剤は、1種類または複数の種類の消化酵素から本質的になり、さらなる消毒剤を含まない。
【0136】
本明細書に記載の1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤組成物を、他の成分と共に組み入れて、ハンドクレンザー、口内洗浄剤、サージカルスクラブ、ボディスプラッシュ(body splash)、手用の殺菌ゲルおよび発泡体、消毒用ふき取り布(disinfectant wipe)、ならびに類似のパーソナルケア製品を含むが、これに限定されない様々な消毒剤製品を形成することができる。さらなるタイプの製品には、消毒用の発泡体、クリーム、ムースなど、ならびに有機および無機の増量材料を含有する組成物、例えば、エマルジョン、ローション剤、クリーム、パスタ剤などが含まれる。組成物はまた、固い表面用の、例えば、病院、食品事業分野、および食肉加工工場にある流し台用および調理台用の抗菌洗剤として使用することもできる。消毒剤組成物はまた、消毒用霧(disinfectant fog)および消毒用ミストとして使用することもできる。本発明の消化酵素組成物は、使いやすい希薄組成物として、または使用前に希釈される濃縮物として製造することができる。消毒剤が用いられる様々な製品はまた、製品の内容に応じて芳香剤を含んでもよい。例えば、台所用の洗浄用ふき取り布に使用するにはパインまたはレモンの芳香剤が、多くの消費者にとって清潔さとの魅力ある関係があるために望ましいことがある。さらに、ゲルまたはエアロゾル剤もまた、類似の理由または他の理由のために芳香を付けることができる。
【0137】
1つの態様において、消毒剤組成物は、消毒用ふき取り布を作製するために使用することができる。消毒用ふき取り布は、例えば、ヒトの手および皮膚、医療機器および医療装置、調理台、床、壁、ならびに窓を含む、様々な固い表面および他の表面を清掃するために使用することができる。ふき取り布は様々な生地から作ることができる。生地は、布および紙ならびに織物材料または不織材料を含むと定義される。織物生地または不織生地は、レーヨン、ナイロン、または綿、およびその組み合わせなどの適切な材料から作ることができる。不織生地の例は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第第3,786,615号;同第4,395,454号;および同第4,199,322号に記載されている。生地または紙には、当技術分野において公知の任意の方法によって消毒剤溶液を含浸することができる。ふき取り布は、個々のブリスター包装、または巻き付けられた、もしくは積み重ねられた詰め合わせを含む当技術分野において公知の任意のやり方で包装されてもよい。
【0138】
別の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤組成物は、ゲルまたはゲル状の衛生化組成物に処方することができる。消毒剤組成物に加えて、ゲル殺菌剤は増粘剤またはゲル化剤を含んでもよい。ここで、「増粘剤」および「ゲル化剤」は同義に用いられる。本明細書で使用する「ゲル」または「ゲル状」の衛生化組成物という用語は、約1,000センチポアズ〜約100,000センチポアズ、または別の態様では2,000センチポアズ〜50,000センチポアズの粘度を有してもよい消毒液体物質をいうが、これらの範囲は限定することが意図されない。例えば、ハンドゲルは、産業用の洗浄または消毒に用いられるゲルより粘度がかなり低くてもよい。ゲル化剤または増粘剤の例には、天然ゴム、例えば、グアーおよびグアー誘導体、合成ポリマー、クレー、油、ろう、アロエベラゲル、アクリレートホモポリマー、アクリレートコポリマー、カルボマー、セルロース、セルロース誘導体、アルギン、アルギン誘導体、水不溶性C8-C20アルコール、カラゲナン、フュームドシリカ、その混合物などが含まれるが、これに限定されない。ゲル化剤は、ゲル状の衛生組成物に、ゲル状組成物の約0.1wt%〜50wt%の量で存在してよい。別の態様において、ゲル化剤は、ゲル状組成物の0.25wt%〜10wt%の量で存在する。ゲル化剤の量は、ゲル化剤のタイプおよび望ましいゲル粘度を含む様々な要因によって左右されることがある。ゲル状殺菌剤は、ヒト皮膚の衛生化を含む様々な用途に、例えば、ゲル手用殺菌剤に、および固い表面の衛生に使用することができる。1つの特定の態様では、消毒剤組成物を天然アロエゲルと混合して、消毒アロエ製剤を形成することができる。このような製剤は、熱傷、皮膚感染、および他の炎症への適用に有用であろう。アロエは増粘剤として作用してもよく、消毒剤ゲルの望ましい粘度に応じて前記の別の増粘剤またはゲル化剤を含んでもよい。
【0139】
別の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤組成物は、消毒用発泡体または発泡性組成物に処方することができる。消毒用発泡体または発泡性組成物は消毒剤組成物および発泡剤を含む。結果として生じる消毒用発泡体の望ましい用途および特徴に応じて、当技術分野において公知の任意の発泡剤を使用することができる。消毒剤組成物と同様に、本発明の消毒用発泡体はヒト(例えば、手洗い)および産業分野において使用することができる。
【0140】
別の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤組成物は消毒用エアロゾル剤または霧の形をとってもよい。霧化(fogging)は熱霧化(thermal fogging)とも呼ばれ、消毒剤をエアロゾル化するプロセスである。空気それ自体および近づきにくい構造部分を含む表面、例えば、空気口を消毒するために、消毒剤のエアロゾル粒子を、ある期間にわたって空気中に浮遊させる。消毒剤のエアロゾル化粒子の粒径は約5μm〜約200μmであり得る。別の態様において、エアロゾル化粒子の粒径は約20μm〜約150μmであり得る。
【0141】
ある特定の組成物の消毒能力を評価する方法は当業者に公知である。典型的には、消毒剤の相対的な有効性は、既知の消毒剤と比較して消毒剤がどの程度消毒するかを比較することによって測定することができる。フェノールは公知の消毒剤標準の1つであり、対応する評価システムは「フェノール係数」と呼ばれる。標準微生物、例えば、大腸菌または黄色ブドウ球菌に対して、試験しようとする消毒剤をフェノールと比較する。フェノールより効果の高い消毒剤の係数は>1である。効果の低い消毒剤の係数は<1である。フェノール係数を計算するために、5分ではなく10分で試験生物を死滅させる試験化合物濃度を、同じ条件下で生物を死滅させるフェノール濃度で割る。フェノール係数は、標準的な量の添加有機物の存在下または有機物の非存在下で求めることができる。特定のフェノール係数アッセイの1つではライディール-ウォーカー法が用いられる。米農務省にも米農務省係数を得る方法がある。他の方法は当業者に公知である。
【0142】
本明細書に記載の消毒剤は、黄色ブドウ球菌に対して>1、例えば、1.05超、1.1超、1.2超、1.3超、1.4超、1.5超、1.75超、2超、2.25超、2.5超、2.75超、3超、3.5超、4超、4.5超、5超、6超、7超、8超、9超、10超、12超、14超、16超、18超、またはこれより高いフェノール係数を有してもよい。場合によっては、フェノール係数は、約2〜約20、例えば、約4〜約10、約2〜約6、約6〜約12、または約10〜約15の範囲内にある。
【0143】
本明細書に記載の消毒剤は、大腸菌に対して>1、例えば、1.05超、1.1超、1.2超、1.3超、1.4超、1.5超、1.75超、2超、2.25超、2.5超、2.75超、3超、3.5超、4超、4.5超、5超、6超、7超、8超、9超、10超、12超、14超、16超、18超のフェノール係数を有してもよい、場合によっては、フェノール係数は、約2〜約20、例えば、約4〜約10、約2〜約6、約6〜約12、または約10〜約15の範囲内にある。
【0144】
本明細書に記載の消毒剤または殺菌剤は、大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性であり得る。一部の態様において、本明細書に記載の消毒剤または殺菌剤は、STEC、ETEC、もしくはEPEC、またはいずれか2つ、または3つ全てに対して殺菌性および/または静菌性であり得る。
【0145】
界面活性剤
本明細書に記載の1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤組成物はまた界面活性剤としても処方することもできる。界面活性剤は、洗浄を助けることを目的とした材料である。界面活性剤は、その消毒能力を維持するのに適した製剤の中に、前記の1種類または複数の種類の消化酵素を含有してもよく、任意の活性成分または不活性成分、例えば、酵素安定剤、さらなる消毒剤、漂白剤、セッケン、界面活性剤、着色剤および芳香剤、研磨剤、pH調節剤、酸、アルカリ、または腐食性化合物、硬水軟化剤、酸化剤、懸濁剤、柔軟仕上げ剤、発泡剤または消泡剤、粘度調節剤、腐食防止剤、ならびに蛍光増白剤を含有してもよい。本明細書に記載の界面活性剤は、大腸菌に対して静菌性および/または殺菌性でもよく、一部の態様では、STEC、ETEC、もしくはEPEC、またはいずれか2つ、または3つ全てに対して静菌性および/または殺菌性でもよい。
【0146】
1種類または複数の種類の消化酵素を含む界面活性剤組成物、特に、水と使用するために作られた界面活性剤組成物は、さらなる成分、例えば、油脂を「切断する」(溶解する)界面活性剤および表面を湿らせるための界面活性剤、こすって磨くための研磨材、pHを調節する物質、または性能もしくは安定性に影響を及ぼす物質、デスケーリングのための酸、あるいは有機化合物を分解するための腐食剤、「硬度(hardness)」イオンの作用を打ち消す硬水軟化剤、漂白、消毒、および有機化合物分解のためのオキシダント (酸化剤)、汚れを懸濁状態に保つ非界面活性剤材料、しみの中にあるタンパク質、脂肪、もしくは炭水化物を消化する酵素、または生地の手触りを改変する酵素、発泡を安定化するように、または発泡を打ち消すように洗浄界面活性剤の発泡性を改変する成分、溶液の粘度を上げるまたは下げる成分、あるいは水溶液またはゲルとして供給される界面活性剤の中にある他の成分を溶解状態に保つ成分、清浄にしようとする物品の審美的特性に影響を及ぼす成分、あるいは使用前または使用中の界面活性剤自体の審美的特性に影響を及ぼす成分、例えば、蛍光増白剤、柔軟仕上げ剤、染料、および芳香剤、界面活性剤と共に用いられる設備に対する損傷を打ち消す成分、例えば、腐食防止剤、無生物物体の上で界面活性剤が素手で用いられる時に、または皮膚をきれいにするのに界面活性剤が用いられる時に、皮膚に対する害を減らす成分または皮膚に利益を与える成分、ならびに他の成分が劣化するのを防ぐ防腐剤を含んでもよい。
【0147】
界面活性剤組成物は、任意の便利な乾燥した形、例えば、棒、錠剤、散剤、顆粒剤、またはパスタ剤にすることができる。界面活性剤組成物はまた液体界面活性剤でもよい。
【0148】
本発明の界面活性剤組成物の消化酵素は、従来の安定化剤、例えば、ポリオール、例えば、プロピレングリコールもしくはグリセロール、糖もしくは糖アルコール、乳酸、ホウ酸、またはホウ酸誘導体、例えば、芳香族ホウ酸エステル、またはフェニルボロン酸誘導体、例えば、4-ホルミルフェニルボロン酸を用いて安定化されてもよく、組成物は、例えば、WO92/19709およびWO92/19708に記載のように処方されてもよい。
【0149】
防腐剤
1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物の様々な態様はまた、防腐剤として、例えば、皮膚または他の生組織の上にいる大腸菌を低減する、根絶する、または減弱するための防腐剤として使用することもできる。防腐剤は、感染、敗血症、または腐敗の可能性を減らすために生きている組織/皮膚に適用される抗菌性物質である。防腐剤は、一般的に、体内にいる細菌を破壊する抗生物質、および非生物物体の上に見られる微生物を破壊する消毒剤と区別すべきである。防腐剤の中には、微生物を破壊することができる(殺菌性の)本当の殺菌薬もあり、静菌性で、微生物増殖の阻止または阻害しかしないものもある。
【0150】
目下、説明されている防腐剤は、特に、病院または医療環境において、例えば、手、顔、または身体を洗浄する製剤の中に;外科手術処置前または外科手術処置後に使用するための防腐剤として;ならびに創傷、例えば、外傷または手術創の清浄および治療において使用するための防腐剤として使用することができる。共同体環境では、防腐剤は、市中感染が懸念されるどの環境でも、例えば、デイケア環境、大きな施設、学校などにおいて有用である。防腐剤はまた、家庭環境において、手、顔、もしくは身体を洗浄する製剤の中に、または創傷治療のために有用な場合がある。
【0151】
防腐剤は、前記の様々な態様にある1種類または複数の種類の消化酵素を含んでもよく、任意で、1種類または複数の種類の活性成分または不活性成分、例えば、当業者に公知の他の防腐剤、安定剤(例えば、酵素安定剤)、着色剤、芳香剤、および他の賦形剤を含んでもよい。1種類または複数の種類の消化酵素と共に含める防腐剤の例には、アルコール(例えば、エタノール、1-プロパノールおよび2-プロパノール、またはその混合物)、四級アンモニウム化合物(塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、および塩化ベンゼトニウム)、ホウ酸、グルコン酸クロルヘキシジン、過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル);ヨウ素およびヨードフォア溶液(例えば、ポビドンヨード)、二塩酸オクテニジン、フェノール化合物(石炭酸)およびフェノール誘導体化合物、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウムが含まれる。
【0152】
本明細書に記載の防腐剤は、大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性でもよく、一部の態様では、STEC、ETEC、もしくはEPEC、またはいずれか2つ、または3つ全てに対して殺菌性および/または静菌性でもよい。
【0153】
1つの態様において、防腐剤組成物は、1種類または複数の種類の消化酵素、任意で、抗炎症剤、鎮痛剤、または麻酔剤の1つまたは複数を含む。
【0154】
抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症化合物および非ステロイド性抗炎症化合物を含んでもよい。1つの態様において、防腐剤組成物は1種類または複数の種類のステロイドを含む。1つの態様において、防腐剤組成物は、非ステロイド性抗炎症薬である抗炎症剤を含んでもよい。適切な非ステロイド性抗炎症薬の非限定的な例には、アスピリン(Anacin、Ascriptin、Bayer、Bufferin、Ecotrin、Excedrin)、コリンおよびサリチル酸マグネシウム(CMT、Tricosal、Trilisate)、サリチル酸コリン(Artliropan)、セレコキシブ(Celebrex)、ジクロフェナクカリウム(Cataflam)、ジクロフェナクナトリウム(Voltaren、Voltaren XR)、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストール(Arthrotec)、ジフィウニザール(Dolobid)、エトドラク(Lodine、Lodine XL)、フェノプロフェンカルシウム(Nalfon)、フルルビプロフェン(Ansaid)、イブプロフェン(Advil、Motrin、Motrin IB、Nuprin)、インドメタシン(Indocin、Indocin SR)、ケトプロフェン(Actron、Orudis、Orudis KT、Oruvail)、サリチル酸マグネシウム(Arthritab、Bayer Select、Doan's Pills、Magan、Mobidin、Mobogesic)、メクロフェナム酸ナトリウム(Meclomen)、メフェナム酸(Ponstel)、メロキシカム(Mobic)、ナブメトン(Relafen)、ナプロキセン(Naprosyn、Naprelan)、ナプロキセンナトリウム(Aleve、Anaprox)、オキサプロジン(Daypro)、ピロキシカム(Feldene)、ロフェコキシブ(Vioxx)、サルサラート(Amigesic、Anaflex 750、Disalcid、Marthritic、Mono-Gesic、Salflex、Salsitab)、サリチル酸ナトリウム、スリンダク(Clinoril)、トルメチンナトリウム(Tolectin)、バルデコキシブ(Bextra)、またはその組み合わせが含まれる。
【0155】
鎮痛薬の非限定的な例には、アセチルサリチル酸、コデイン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、またはチャノキ油が含まれる。麻酔剤の非限定的な例には、キシロカイン、プリロカイン、またはベンゾカインが含まれる。
【0156】
候補防腐剤組成物を試験する例示的な方法を以下に示す。当業者であれば、防腐剤組成物を試験する他の方法が当技術分野において公知であり、候補防腐剤組成物を試験するのにも適していることを理解するだろう。
【0157】
候補防腐剤組成物が、大腸菌などの微生物細胞を死滅させる、または微生物細胞の増殖を阻止する能力を確かめるインビトロ方法は当技術分野において周知である。一般的に、これらの方法は、関心対象の細胞培養物と様々な濃度の候補防腐剤組成物を接触させ、未処理の対照培養物と比べて細胞培養物の増殖をモニタリングする工程を伴う。所望であれば、このような試験には、既知の抗菌剤と接触している細胞を含む第2の対照培養物も含めることができる。
【0158】
例えば、候補防腐剤組成物が微生物細胞の増殖を阻害する能力は、防腐剤組成物の最小阻止濃度(MIC)を測定することによって容易に求めることができる。MICは、生物の増殖を予め決められた程度まで阻止する最小濃度と定義される。例えば、MIC100値は、生物の増殖を完全に阻止する最小濃度と定義されるのに対して、MIC90値は、増殖を90%阻止する最小濃度と定義され、MIC50値は、増殖を50%阻止する最小濃度と定義される。時として、MIC値は範囲として表され、例えば、防腐剤組成物のMIC100は、増殖が観察されない濃度として、または増殖が観察されない濃度と、その直後の希釈濃度との間の範囲として表されることがある。
【0159】
候補防腐剤組成物の抗菌MICは、ブロス大量希釈または微量希釈アッセイを用いて測定することができる(Amsterdam, D.(1996)「Susceptibility testing of antimicrobials in liquid media」, pp.52-111. In Loman, V., ed. Antibiotics in Laboratory Medicine, 4th ed. Williams and Wilkins, Baltimore, MDを参照されたい)。標準化された抗菌性感受性試験は、National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS) as NCCLS, 2000; document M7-A58に示されている。
【0160】
古典的なブロス微量希釈法では、候補防腐剤組成物を、蓋付きの無菌96ウェルマイクロタイタープレートに入れて培地で希釈する。播種後に、マイクロタイタープレートの中の各ウェルが適切な数のコロニー形成単位(CFU)AnI(典型的には、約5x105CFU/ml)を含むように、細菌シングルコロニーの一晩培養物を無菌培地で希釈する。それぞれのプレートについて、負の対照として培地のみ(細菌を含有しない)も含め、多くの場合、正の対照として既知の抗生物質を含める。その後に、播種されたマイクロタイタープレートを適温(例えば、35℃〜37℃で16〜48時間)でインキュベートする。次いで、目視検査によって、および/またはマイクロプレートリーダーを用いて595nmもしくは600nmでの吸光度、すなわち光学密度(OD)を測定することによって、各ウェルの濁度を求め、細菌増殖の程度を示すものとして用いる。
【0161】
抗菌作用はまた、1種類の濃度の候補防腐剤組成物を用いた処理による、予め決められた期間にわたる所定の微生物の増殖阻止パーセント(%)として表されることもある。この方法は、例えば、MIC測定またはインビボ試験などのさらに詳しい試験を行う前に、防腐剤組成物が微生物増殖を阻止する能力を評価する迅速な方法を提供する。
【0162】
本発明の任意の消毒剤、界面活性剤、殺菌剤、および防腐剤組成物が大腸菌細菌を死滅させる能力または大腸菌細菌の増殖を阻止する能力は、前記の様々な方法を含む当技術分野において周知の方法を用いて試験することができる。特定の細菌に抵抗する組成物を試験するための方法およびプロトコールは、例えば、Official Methods of Analysis of the AOAC, 15th Ed., Arlington Virginia 22201, USA (Association of Official Analytical Chemists (AOAC), Inc. 1990), Designation: E1054-91 「Practices for Evaluation Inactivators of Antimicrobial Agents Used in Disinfectant, Sanitizer, Antiseptic, or Preserved Products」(American Society for Testing and Materials (ASTM), 1991)において見つけることができる。インビトロタイム-キル評価は、当技術分野においても公知のように、Draft European Standard, prEN 12054,「Chemical Disinfectants and Antiseptics - Products for Hygienic and Surgical Handrub and Handwash - Bactericidal Activity - Test Method and Requirements(1995)」に記載の方法の改良版を用いて行うことができる。使用することができるさらなる方法には、対数減少試験、増殖試験、AOAC使用希釈試験、または阻止区画試験が含まれる。他の方法を下記の実施例に示した。
【0163】
キット
キットも本明細書において提供される。典型的には、キットは、本明細書に記載の1種類または複数の種類の組成物を含む。ある特定の態様において、キットは、1つもしくは複数の送達システムもしくは投与システム、例えば、前記で提供された組成物を送達もしくは投与するための送達システムもしくは投与システム、および/またはキットの使用説明書(例えば、患者を治療するための説明書;表面を消毒するための説明書)を含んでもよい。別の態様において、キットは、本明細書に記載の組成物、およびラベル、例えば、大腸菌に感染している患者に内容物が投与されることを表示するラベル、または消毒剤、殺菌剤、界面活性剤、もしくは防腐剤としての組成物の使用方法に関するラベルを含んでもよい。
【0164】
使用方法
前記の薬学的組成物(例えば、抗生物質組成物)は、動物、例えば、哺乳動物および鳥における大腸菌感染を治療または予防するために使用することができる。特に、薬学的組成物は、このような感染の1つもしくは複数の症状および副作用を寛解させるために、ならびに/または感染を引き起こす大腸菌細菌を低減もしくは根絶するために使用することができる。薬学的組成物は、前記の任意の適切な剤形をとることができる。ある特定の態様では、本明細書に記載の抗生物質組成物は、感染している創傷または病変、例えば、外傷または外科手術に起因する創傷を治療するために用いられる。このような使用は、感染創のある患者において瘢痕化を低減し、創傷治癒を促進することができる。薬学的使用のために処方された組成物はまた、予防的に、例えば、防腐剤として使用することもできる。このような組成物は、特に、大腸菌感染を予防するための、外科的切開および他の創傷の予防的処置において用いられる。
【0165】
本明細書において提供される消化酵素は、大腸菌細菌による感染に関連する様々な疾患および障害または大腸菌細菌が関与する様々な疾患および障害を治療するために使用することができる。ある特定の態様には、医療機器またはプロテーゼ、例えば、カテーテル、移植片、人工心臓弁、人工関節などに関連する感染が含まれる。一部の態様において、医療機器の製造時に、または医療機器の製造後であるが挿入前に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を医療機器にコーティングすることができる。
【0166】
手術創、特に、外来材料、例えば、縫合糸と結合する手術創もまた、本明細書において提供される組成物で処置することができる。全院内感染のうち71%と高い院内感染が手術患者において発生し、このうち40%が手術部位での感染である。感染を予防する試みにもかかわらず、500,000〜920,000件の手術創感染が、米国における年間約2300万件の外科的処置を複雑にしていると推定されている。
【0167】
消化酵素は単独で、または抗生物質、麻酔剤、もしくは抗炎症剤と共に、軟膏、クリーム、または液剤として創傷部位に適用されてもよく、創傷を縫合する前もしくは創傷を縫合している間に液剤として創傷の中に適用されてもよい。縫合後では、包帯交換時に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を適用することができる。感染している創傷については、組成物を局部および/または全身に適用することができる。
【0168】
骨髄炎の早期急性発症では、周囲組織に拡大する感染によって骨への血管供給が損なわれる。この壊死組織および虚血組織の中では、細菌は、強い宿主反応、外科手術、および/または抗生物質療法の後でも根絶することが難しい場合がある。主な原因生物はSAおよび大腸菌である。
【0169】
消化酵素は単独で、または他の抗生物質と組み合わせて全身投与することができる。治療は2〜6週間続けてもよい。抗生物質は連続注入として、または日中に複数回投与として与えることができる。関節置換術のために、抗生物質が含浸したセメントとして、または抗生物質がコーティングされたビーズとして、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を使用することができる。
【0170】
易感染性宿主における敗血症の治療または予防も提供される。化学療法により誘発される顆粒球減少および臓器移植または骨髄移植に関連する免疫抑制により易感染性になっている患者における感染治療は大きな問題である。好中球減少患者は特に細菌感染を受けやすく、そのために、感染が疑われたら、可能性が高い病原体を隠すために、抗生物質療法を迅速に開始しなければならない。顆粒球減少患者における感染の原因となった可能性が高い生物はSAおよび大腸菌である。
【0171】
消化酵素組成物は単独で、または抗生物質と共に、好ましくは、2〜6週間続けて経口投与または全身投与される。消化酵素は、連続注入として、または日中に複数回投与として与えることができる。
【0172】
非生物的表面にいる大腸菌を低減または根絶するのに適した量およびやり方で、このような表面に、本明細書に記載の消毒剤、殺菌剤、および界面活性剤組成物を適用することができ、従って、大腸菌の伝播および/または感染を低減または阻止することができる。濃度、タイミング、および治療頻度は、当業者により決定することができるパラメータである。
【0173】
病院または医療環境において用いられる様々な医療機器を含む任意の表面を、説明された組成物を用いて消毒することができる。本明細書で使用する「医療機器」は、患者の中で、または患者の表面において使用するための任意の装置、例えば、移植片またはプロテーゼを指す。このような装置には、合成血管移植片、血液モニタリング装置、人工心臓弁、メス、ナイフ、ハサミ、スパチュラ、エキスパンダー、クリップ、ピンセット、鏡、開創器、縫合糸、手術用メッシュ、チゼル、ドリル、水準器、ラスプ、ノコギリ、副子、キャリパー、クランプ、鉗子、フック、ランセット、針、カニューレ、キューレット、圧抵器、拡張器、挺子、咬合器、抽出器、プローブ、ステープル、バルブ、カテーテル、ステント、チューブ、ボウル、トレー、スポンジ、スネア、匙、注射器、ペースメーカー、ねじ、プレート、またはピンが含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0174】
広い表面または狭い表面(床、台、おむつ交換台、ベッド、換気システム、桶、ドアの取っ手、カウンター、食品事業用の表面など)を含む、大腸菌がいると疑われる他の共同体用の表面および病院用または医療用の表面を消毒することができる。組成物はまた、手または身体の洗浄において、例えば、共同体の環境、病室、または浴室に入る場所で使用することもできる。
【0175】
本明細書において提供される組成物は、一般的な消毒剤のやり方で、または微生物が望ましくない任意の状況において使用することができる。例えば、本明細書において提供される組成物は、表面消毒剤として、医療機器用のコーティングの中に、衣類用のコーティングの中に、例えば、細菌増殖の阻止または蚊忌避のための衣類用のコーティングの中に、空気浄化用フィルターの中に、例えば、飛行機または共同体もしくは病院の環境にある空気浄化用フィルターの中に、浄水システムの中に、シャンプーおよびセッケンの構成要素として、食品防腐剤、化粧品防腐剤、および培地防腐剤として、除草剤または殺虫剤の中に、建築材料の構成要素として、例えば、シリコーンシーラントの中にある構成要素として、ならびに動物製品加工において、獣皮のキュアリングにおいて、または屠殺場において使用することができる。
【0176】
これらの目的のために、典型的には、消化酵素は単独で、または他の消毒剤もしくは界面活性剤と共に組成物に含められ、適切な塗布具を用いて適用される。消化酵素はまた、製造中に、例えば、空気フィルターの製造中に材料に組み込まれてもよく、もしくは含浸されてもよく、または他の方法で材料または物体に適用されてもよい。
【0177】
例えば、一部の態様において、本明細書に記載の組成物は、例えば、材料の製造中に材料と混合されてもよく、その後に混合されてもよい。さらに、組成物は、製造中に材料の表面に適用されてもよく、その後に適用されてもよい。本明細書で使用する「適切な材料」という用語は、消化酵素を材料の上に、または材料の中に適用または組み込んで、材料の中に/材料の上に抗菌活性を組み込むことができる任意の材料を意味する。例えば、包帯に接するガーゼパッドは、1種類もしくは複数の種類の消化酵素を含む組成物をガーゼの中に入れて、もしくはガーゼの上に載せて製造することができ、および/または1種類または複数の種類の消化酵素を含む軟膏をガーゼに適用し、それによって、抗菌活性をガーゼに組み込むことができる。消化酵素を使用することができる適切な材料の例には、食品、液体、医療機器(medical deivce)(例えば、外科手術機器)、ビーズ、フィルム、モノフィラメント、不織生地、スポンジ、布、編物、短繊維、チューブ、中空糸、人工器官、カテーテル、縫合糸、膜、包帯、およびガーゼが含まれるが、これに限定されない、消化酵素は、医療、保健、食品安全、または環境清掃活動における使用に適した、他の非常に多くのタイプの材料に適用または混合することができる。
【0178】
獣医学的用途
薬、または消毒剤/殺菌剤、界面活性剤、もしくは防腐剤の形式で本明細書において説明された組成物はまた様々な獣医学分野において使用することもできる。例えば、イヌ、ネコ、およびウシを含む多くの哺乳動物は大腸菌に感染するか、または細菌のキャリアとしてふるまうことがある。従って、感染を治療するために、またはヒトを含む他の動物への伝播を阻止するために、本発明の組成物を用いて、大腸菌に感染している動物または大腸菌を保有していると疑われる動物を治療することができる。消毒剤組成物および界面活性剤組成物は、動物の飼育区域および動物と接する設備を処理するのに使用することができるのに対して、防腐剤および抗生物質製剤は、感染を予防または治療するために動物を処置するのに使用することができる。
【0179】
例えば、本明細書において提供される消化酵素は、乳房炎、特に、乳牛乳房炎の予防および治療のために使用することができるが、本明細書において提供される消化酵素を用いて、どの乳房炎でも治療することができる。乳牛乳房炎は、乳房内細菌感染、機械的外傷、または化学的外傷に応答した乳腺炎症である。接触伝染性乳房炎は、主に、黄色ブドウ球菌およびストレプトコッカル・アガラクチアエ(Streptococcal agalactiae)によって引き起こされる。環境性乳房炎は、肺炎桿菌(K. pneumoniae)、大腸菌、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、ストレプトコッカル・ウベリス(Streptococcal uberis)、ストレプトコッカル・ボビス(Streptococcal bovis)、およびストレプトコッカル・ディスガラクチア(Streptococcal dysgalactia)を含むが、これに限定されない様々な細菌によって引き起こされ得る。
【0180】
一部の態様において、ウシ乳房炎の予防は、1種類または複数の種類の消化酵素を含む溶液を用いて乳頭デイッピングを毎日行う工程を含んでもよい。一部の態様において、1種類または複数の種類の消化酵素を含む溶液は、1種類または複数の種類のさらなる抗生物質をさらに含んでもよい。感染が起こった時に、1種類または複数の種類の消化酵素の乳房内注入が行われてもよい。前記のように、消化酵素と共に、さらなる抗生物質も投与することができる。典型的には、消化酵素は乳房内注射によって投与される。しかしながら、非経口的に、経皮的に、移植片によって、デイッピングでも有効投与量を投与することができる。一部の態様において、ウシ乳房炎は、有効量の1種類または複数の種類の消化酵素をウシに投与することによって治療することができる。投与は、群れにいる全てのウシが消化酵素組成物によって治療される点で予防的投与でもよく、個々のウシに感染が生じた時に行われてもよい。
【0181】
黄色ブドウ球菌(本明細書ではSAとも呼ばれる)細菌および大腸菌細菌の導入は、牛肉製品、鳥肉製品、魚製品、および豚肉製品の処理中に起こることがある。従って、一部の態様では、感染の低減は、1種類または複数の種類の消化酵素を動物(例えば、ウシ、ニワトリ、シチメンチョウ、魚、またはブタ)に投与して、動物の腸内にいる大腸菌またはSA細菌の存在を減らすことことによって行うことができる。投与は、注射を含む任意の利用可能な方法によって、および飼料に1種類または複数の種類の消化酵素を導入することによって行うことができる。
【0182】
一部の態様において、動物から他の動物またはヒトへのSA細菌または大腸菌の伝播を予防または低減するために、動物への1種類または複数の種類の消化酵素の投与を使用することができる。消化酵素の投与は、当技術分野において公知の利用可能な任意の方法によって達成することができる。
【0183】
食品用途
牛肉、鳥肉、魚、および豚肉へのSA感染または大腸菌感染を予防する方法も本明細書において提供される。牛肉加工は一般的な汚染箇所である。すなわち、屠畜工程中に、腸の内容物または獣皮に付いている糞便材料が肉と混ざることがあり、従って、細菌は温かい湿った状態において増殖することが可能になる。次いで、感染部分がひかれれば、細菌は、切断面から、ひかれた塊の内部に移る。さらに、牛ひき肉の製造では、複数のウシの肉が一緒にひかれることが多く、このために、汚染は1匹の動物から牛ひき肉全体に感染する。従って、一部の態様では、感染の低減は、1種類または複数の種類の消化酵素をウシに投与して、ウシの腸内の細菌の存在を減らすことによって行うことができる。投与は、注射を含む任意の利用可能な方法によって、および1種類または複数の種類の消化酵素を飼料に導入することによって行うことができる。別の態様において、屠畜および肉挽きの間の肉汚染の低減は、本明細書において提供される1種類または複数の種類の消化酵素を含有するスプレー剤を使用することによって提供することができる。このようなスプレー剤は、例えば、屠畜および肉挽きの機器の消毒において、または、ひき肉それ自体の消毒において使用することができる。さらに、前記の方法は、屠畜の間に、ならびに(例えば、1種類または複数の種類の消化酵素を、屠畜前の鳥、魚、および/またはブタに投与することによって)鳥肉製品、魚製品、および豚肉製品の処理の間に使用することができる。
【0184】
大腸菌およびSA細菌はまた、洗ってない果実および野菜を介して広がることもある。従って、本明細書において提供される1種類または複数の種類の消化酵素を含む、溶液、洗浄液、エアロゾル剤、霧、ゲル、または散剤を用いて、新鮮な果実および野菜を洗浄する方法もまた本明細書において提供される。農産物洗浄液は、農産物の表面を洗うために用いられる溶液であり、典型的には、農産物と約30秒〜約5分間、接触する。農産物浸漬液は、農産物物品が約30秒〜約30分間、浸漬される溶液である。しかしながら、これらの用語および溶液は特に区別されない限り同義に用いることができる。農産物が洗浄または浸漬される温度は、農産物に付着している細菌を減らす、または不活性化するのに必要な時間の長さに影響を及ぼし、温度が高くなれば処理に必要な時間は短くなることが理解される。
【0185】
本明細書に記載の洗浄液または浸漬液は、消費者レベルでの(家庭における)果実、野菜、生肉片製品、魚、甲殻類の表面にいる細菌の数、特に、細菌病原体の数、商業的食品調理環境における細菌の数、特に、細菌病原体の数、卸売りもしくは小売りの作業者が汁を搾る前の果実および/もしくは野菜の上にいる細菌の数、特に、細菌病原体の数、ならびに/または収穫、食肉加工工場、もしくは屠殺場、漁船などのレベルでの細菌の数、特に、細菌病原体の数を減らすのに使用することができるが、それに限定されるわけではない。本発明の方法は、新鮮な果実および野菜の表面上にいる大腸菌を不活性化するのに特に有用である。
【0186】
活性を評価するための方法
本明細書に記載の組成物の様々な活性は、当業者に公知の方法によって評価することができる。例えば、酵素活性は、標準的な酵素アッセイを用いて評価することができる。前記のように当業者に公知の方法によって、組成物の最小阻止濃度(MIC)も評価することができる。フェノール係数を含む他のアッセイも当業者に周知である。以下の実施例も参照されたい。
【実施例】
【0187】
例示的な液体組成物
約200 USP単位/mgのプロテアーゼ、約40 USP単位/mgのリパーゼ、および約250 USP単位/mgのアミラーゼを含有する乾燥膵臓酵素組成物を、様々な希釈剤(水、食塩水、リン酸緩衝溶液、pH安定化溶液)を用いて、任意で、他の活性添加物または不活性添加物(酵素安定化システム、緩衝液、着色剤、殺菌剤、界面活性剤、消毒剤、防腐剤)を用いて希釈して、本明細書に記載の使用のための例示的な液体組成物を形成することができる。一部の態様において、乾燥酵素組成物は、乾燥酵素組成物mg:全希釈剤mlの比を、1mg酵素組成物:1ml全希釈剤〜1mg酵素組成物:10,000ml全希釈剤の範囲内、またはこの間の任意の値、例えば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:50、1:100、1:200、1:500、1:1000、1:5000、または1:10,000にして希釈することができる。
【0188】
例示的な固体組成物
約200 USP単位/mgのプロテアーゼ、約40 USP単位/mgのリパーゼ、および約250 USP単位/mgのアミラーゼを含有する乾燥膵臓酵素組成物を、様々な活性または不活性の乾燥成分および添加物(例えば、乾燥した界面活性剤、消毒剤、防腐剤、および殺菌剤、例えば、アルキルエトキシレートサルフェース(alkyl ethoxylate sulface)、SDS、ラウレス硫酸ナトリウム(sodium laureth sulfate)、ドデシルベンゼン、4-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、酵素安定化システム、賦形剤、着色剤)と混合して、例示的な固体組成物を形成することができる。一部の態様において、1mg酵素組成物:1mg全添加物〜1mg酵素組成物:10,000mg全添加物の範囲内で、またはこの間の任意の値、例えば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:50、1:100、1:200、1:500、1:1000、1:5000、または1:10,000で、乾燥酵素組成物を全添加物mgと混合することができる。
【0189】
例示的な局部製剤
約200 USP単位/mgのプロテアーゼ、約40 USP単位/mgのリパーゼ、および約250 USP単位/mgのアミラーゼを含有する乾燥膵臓酵素組成物を、局部薬学的製剤に適した様々な担体と共に、約1mg酵素組成物:1mg担体〜約1mg酵素組成物:約200mgの担体、またはこの間の任意の値(例えば、1:2、1:4、1:5、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:75、1:100、1:150)の比で混合することができる。例えば、1つの態様では、1:25の比が用いられ、担体はワセリンである。
【0190】
細菌限度試験-殺菌性および静菌性の評価
驚いたことに、本発明者らは、約200 USP単位/mgのプロテアーゼ活性、約40 USP単位/mgのリパーゼ活性、および250 USP単位/mgのアミラーゼ活性を含む乾燥ブタ膵臓酵素組成物に対して細菌限度試験を行っている間に、この材料の様々な希釈液の存在下では大腸菌細菌が増殖しないことを発見した。大腸菌が「加えられた」正の対照からの大腸菌CFUの回収率は一貫して低い〜全く無かった。非カプセル化型および脂質カプセル化型(組成物に対して20重量%のダイズ油)の乾燥組成物の希釈細菌限度試験から、既知CFU数の大腸菌が添加された正の対照からの細菌の回収率は極めて少ない〜全く無いことが証明された。このような回収法の間に回収がないことは、組成物の静菌性および/または殺菌性を示唆している。
【0191】
方法および材料
試料材料
ブタ(Sus scrofa)から単離した非カプセル化ブタ膵臓酵素濃縮物(uPEC)は、約200U/mgプロテアーゼ活性、40Uリパーゼ活性/mg、および250Uアミラーゼ活性/mgを含有するように商業的供給業者(Scientific Protein Labs)によって製造された。この材料の脂質カプセル化バージョン(ePEC)は、流動層プロセスの改良版を用いて入手し、次いで、高度に精製された全水素化有機油(全水素化ダイズ油)を用いて、酵素粒子を、最終粒子に対して約20%の重量パーセントでコーティングした。
【0192】
方法:
ePECおよびuPECをどちらも微生物検出のための標準的な微生物分析にかけた。USPの方法に従う微生物限度試験を用いて、両組成物とも重大な汚染を示さなかった。さらに、両試料とも、サルモネラ属の種および大腸菌について陰性/10gであった。簡単に述べると、微生物学的適性(すなわち、生存可能な微生物の総数および特定の生物が無いことの評価)について試験組成物を試験するための手順の概略は、USP、第61章、「Microbial Limit Tests」において述べられている。USP61は予備試験の概略について述べている。予備試験の間に、生存可能な生物の増殖を試験組成物それ自体がもはや阻止しない試験パラメータが求められる。USP1227(「Validation」)もまた回収方法を検証する案内となる。好気性微生物の総数、大腸菌、およびサルモネラ属の種を評価するための方法を行った。
【0193】
好気性微生物の総数:試験希釈液の調製
ePECおよびuPECの大量希釈液を、4%ポリソルベート20および0.5%レシチンを含有するトリプティックソイブロスに1:10、1:50、1;100、および1:200で溶解して調製した。次いで、大量試験試料希釈液を別個の10mlアリコートに分け、次いで、10mlアリコートに、少数のコロニー形成単位(CFU<100/mL)の適切な微生物(黄色ブドウ球菌、緑膿菌(P.aeruginosa)、大腸菌、サルモネラ菌)を播種した。1ミリメートル(millimeter)の播種されたアリコートを、適切な固体培地(寒天)を用いて2回繰り返してプレートした。試験試料と同様に、正の対照を調製し、播種し、プレートした。試験試料と同様に、負の対照を調製し、無菌試薬を播種し、プレートした。プレートを30℃〜35℃で2日間インキュベートした。この期間の終わりに、回収率を計算した。試験組成物による増殖阻止が無いことを示すためには、播種された生物の回収率は、正の対照の少なくとも70%でなければならない。塩化トリフェニルテトラゾリウムを用いて、プレートを計数した。
【0194】
サルモネラ属の種についての試験
4%ポリソルベート20および0.5%レシチンを含有するラクトースブロスを用いて調製された希釈液に、<=100CFUのサルモネラ菌を播種した。播種された希釈液を30℃〜35℃で24時間インキュベートした後に、1mlを、セレナイトシスチンおよびテトラチオネートブロスの両方に移した。選択ブロスを30℃〜35℃で18時間インキュベートした後に、ブリリアントグリーン、亜硫酸ビスマス、キシロースリジンデオキシコール酸寒天に画線した。選択寒天プレートを30℃〜35℃で24時間インキュベートした。サルモネラ属の種のコロニー特徴についてプレートを観察した。観察された場合に、代表的なコロニーが、API 20e生化学的同定試験を用いてサルモネラ属の種であると確かめられた。
【0195】
大腸菌についての試験
4%ポリソルベート20および0.5%レシチンを含有するラクトースブロスを用いて調製された希釈液に、<=100CFUの大腸菌を播種した。播種された希釈液を30℃〜35℃で24時間インキュベートした後に、マッコンキー(MacKonkey)寒天に画線した。大腸菌のコロニー特徴についてプレートを観察した。観察された場合に、代表的なコロニーが、API 20e生化学的同定試験を用いて大腸菌であると確かめられた。
【0196】
結果
好気性微生物の総数:
コーティングされていないPEC(uPEC)を用いた試験結果を、以下の表1に示した。示したように、1:50、1:100、および1:200の希釈度については、黄色ブドウ球菌のパーセント回収率は0%であった。このことは、黄色ブドウ球菌に対するuPECの殺菌作用および/または静菌作用を証明している。
【0197】
(表1)uPECとのインキュベーション後の微生物の回収率

【0198】
大腸菌のuPECパーセント回収率も表1に示した。1:50の希釈度については回収率は0%、1:100の希釈度については回収率は2%、1:200の希釈度については回収率は2%であった。
【0199】
サルモネラ菌のuPECパーセント回収率も表1に示した。1:50の希釈度については回収率は73%、1:100の希釈度については回収率は94%、1:200の希釈度については回収率は85%であった。
【0200】
脂質カプセル化PEC(ePEC)を用いた試験結果を、以下の表2に示した。示したように、1:50の希釈度については、黄色ブドウ球菌の回収率は29%、1:100の希釈度については回収率は0%、1:200の希釈度についても黄色ブドウ球菌の回収率は0%であった。
【0201】
(表2)ePECとのインキュベーション後の微生物の回収率

【0202】
大腸菌のePECパーセント回収率も表2に示した。1:50の希釈度については回収率は32%、1:100の希釈度については回収率は17%、1:200の希釈度については回収率は78%であった。
【0203】
サルモネラ菌のePECパーセント回収率も表2に示した。1:50の希釈度については回収率は87%、1:100および1:200の希釈度については、試験は実施しなかった。
【0204】
表1および表2に報告した正の対照は、全ての微生物学的培養の増殖培地が有効に機能していたことをはっきりと証明している。表1では、uPEC組成物は黄色ブドウ球菌および大腸菌の両方に対して極めて有効であったことが分かる。これは、添加された正の対照の回収率が正の回収率のUSP基準(添加された試料CFUが少なくとも70%回収される)を満たさなかったことによって裏付けられる。
【0205】
静菌活性/殺菌活性が種特異性を示したことに留意することも重要である。サルモネラ菌試料は、コーティングされたPECおよびコーティングされていないPECを用いて良好な回収率を示した。細菌は、脂質およびペプチドグリカンなどの共通の細胞壁および膜構造を有するので、これらの結果は、種特異性の高い細胞成分、例えば、タンパク質の感受性を示唆している可能性がある。リパーゼ作用のみまたはアミラーゼ作用のみで細菌死または増殖の抑制の誘導に十分であれば、このような強いレベルでのサルモネラ菌の回収率を見ることはないであろう。黄色ブドウ球菌および大腸菌にある種特異的タンパク質は、PECに存在する1種類または数種類のプロテアーゼによる酵素攻撃後の細菌破壊を可能にする、類似のペプチド配列および適切な局所三次構造を共有している可能性がある。しかしながら、これらの結果は、細菌細胞壁および膜に対するリパーゼおよびアミラーゼによる作用が、最初に、1種類または多くの種類のPECプロテアーゼによる酵素的分解につながる適切な一次構造および三次構造を有する細胞外タンパク質または膜貫通タンパク質を曝露する多段階事象を除外しない。
【0206】
これらの結果は、脂質でコーティングされたPECおよびコーティングされていないPECの両方の、黄色ブドウ球菌および大腸菌における明らかな静菌作用を証明する。この実験は、対象となる細菌がPECの存在下にある間の細菌コロニー増殖の終点測定値に依存するので、これらの結果に基づいて静菌作用の可能性だけを除外するのは不可能である。従って、十分な数の生存可能なコロニー形成単位を回収できないのは、細菌死の誘導とは対照的に、PEC材料が抑制的に連続して存在した結果であるかもしれない。結果として、PECの殺菌能力をさらに決定的に評価するために、追加の実験試験を実施した。
【0207】
材料および方法:
前記のコーティングされていないPEC製剤を用いて、製剤の殺菌活性を評価した。
【0208】
試験希釈液の調製
uPECの大量希釈液を、1:100および1:200で、4%ポリソルベート20および0.5%レシチンを含有するトリプティックソイブロスに溶解して調製した。次いで、大量希釈液を別個の10mlアリコートに分けた。次いで、10mlアリコートに少数のコロニー形成単位(CFU<100)の適切な微生物を播種した。1ミリメートルの播種されたアリコートを、適切な固体培地(寒天)を用いて2回繰り返してプレートした。試験試料と同様に、正の対照を調製し、播種し、プレートした。試験試料と同様に、負の対照を調製し、無菌試薬を播種し、プレートした。プレートを30℃〜35℃で2日間インキュベートした。この初回インキュベーションの後に、PECを除去するために、培養材料を収集し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、濾過した。前記のように、材料をトリプティックソイブロスに希釈して懸濁し、新鮮な固体(寒天)培地に再プレートし、さらに2日間インキュベートした。この期間に終わりに、コロニーを数え上げ、パーセント回収率を計算した。この期間の終わりに、回収率を計算した。増殖阻止を示すためには、播種された生物の回収率は少なくとも70%でなければならない。塩化トリフェニルテトラゾリウムを用いて、プレートを計数した。
【0209】
大腸菌についての試験
4%ポリソルベート20および0.5%レシチンを含有するラクトースブロスを用いて調製された希釈液に、<=100CFUの大腸菌を播種した。播種された希釈液を30℃〜35℃で24時間インキュベートした後に、マッコンキー寒天に画線した。大腸菌のコロニー特徴についてプレートを観察した。観察された場合に、代表的なコロニーが、API 20e生化学的同定試験を用いて大腸菌であると確かめられた。
【0210】
黄色ブドウ球菌および大腸菌の両方についても、1:20、1:40、および1:80の希釈度で試験を繰り返した。
【0211】
試験結果
コーティングされていないuPECを用いた試験結果を、以下の表3および表4に示した。これは、uPECとのインキュベーション後および洗浄後に、細菌のみを再プレートした後の細菌の回収率を示している。表3に示したように、1:100、および1:200の希釈度については、黄色ブドウ球菌のパーセント回収率は、それぞれ、13%および48%であった。このことは、黄色ブドウ球菌に対するuPECの殺菌作用を証明している。表4に示したように、黄色ブドウ球菌のパーセント回収率は、1:20の希釈度については2%、1:40の希釈度については4%、1:80の希釈度については23%である。
【0212】
(表3)洗浄後の殺菌作用/微生物の回収率

【0213】
(表4)洗浄後の殺菌作用/微生物の回収率

【0214】
大腸菌の回収率も表3および表4に示した。表3に示したように、1:100の希釈度については回収率は2%、1:200の希釈度については回収率は28%であった。表4に示したように、大腸菌のパーセント回収率は、1:20の希釈度については0%、1:40の希釈度については0%、1:80の希釈度については12%である。
【0215】
正の対照は、全ての微生物学的培養の増殖培地が有効に機能していたことを証明している。これは、選択された生物がPECに曝露された時に真の殺菌作用があることを立証している。PECの作用が静菌作用のみであれば、試験細菌との同時培養からPECが取り除かれれば、PECによる抑制作用から開放され、活発な増殖が回復するだろう。しかしながら、PECを除去しても、培養物を完全に24時間増殖させても、そのような回復は全く起こらない。このことは、選択された生物がPECに曝露された時にCFUの回収を示さない理由がPECの殺菌作用によるものであるという考えを強く裏付けている。この作用は、酵素的分解によって細胞表面脂質、膜タンパク質、または細菌莢膜に物理的かつ不可逆的な損傷が加わることによって、細胞外イオン電解質および細胞内イオン電解質が不均衡になり、酸性度が変化し、遺伝物質が損傷を受けるなどの機構を含んでいる可能性がある。
【0216】
本発明の多くの態様が説明された。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。従って、他の態様は以下の特許請求の範囲の中にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥または哺乳動物における大腸菌(E.coli)感染を治療または予防するための方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む治療的有効量の薬学的組成物を鳥または哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
1種類または複数の種類の消化酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルロース、スクラーゼ、マルターゼ、パパイン、およびリパーゼからなる群より選択される1種類または複数の種類の酵素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1種類または複数の種類の消化酵素が1種類または複数の種類の膵臓酵素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1種類または複数の種類の消化酵素がブタ酵素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
プロテアーゼがキモトリプシンおよびトリプシンを含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
1種類または複数の種類の消化酵素が、独立して、動物供給源、微生物供給源、植物供給源、真菌供給源に由来するか、または合成により調製される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物が、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、サル、ラット、マウス、ヒツジ、ヤギ、もしくはヒトであるか、または鳥が、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、もしくはガチョウである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
動物供給源がブタ膵臓である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
薬学的組成物が、少なくとも1種類のアミラーゼと、キモトリプシンおよびトリプシンを含むプロテアーゼの混合物と、少なくとも1種類のリパーゼとを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
薬学的組成物が、少なくとも1種類のプロテアーゼおよび少なくとも1種類のリパーゼを含み、全プロテアーゼと全リパーゼとの比(USP単位)が約1:1〜約20:1である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
プロテアーゼとリパーゼとの比が約4:1〜約10:1である、請求項11記載の方法。
【請求項12】
薬学的組成物が、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、スプリンクル、クリーム、ローション剤、エアロゾル剤、エマルジョン、散剤、液剤、ゲル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される投与製剤である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
薬学的組成物が経口投与用に処方される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
薬学的組成物が局部投与用に処方される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
薬学的組成物がSTECに対して有効である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
薬学的組成物がETECまたはEPECに対して有効である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
大腸菌感染の1つまたは複数の症状を示す哺乳動物または鳥を治療する方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む治療的有効量の組成物を哺乳動物または鳥に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
βラクタム抗生物質を哺乳動物または鳥に投与する工程をさらに含む、請求項1または17記載の方法。
【請求項19】
個体における下痢を治療するための方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む薬学的組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
個体が大腸菌に感染していると診断されている、請求項19記載の方法。
【請求項21】
大腸菌がSTECである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
表面上にいる大腸菌の量を減らすために、または表面上にいる大腸菌を根絶するために表面を衛生化または消毒するための方法であって、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を該表面に適用する工程を含む、方法。
【請求項23】
表面が非生物的表面または無生物表面である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
表面が医療機器の表面である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
表面が食品である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物または鳥の皮膚領域、皮膚組織、または皮膚創傷に存在する大腸菌の量を減らすための方法であって、該皮膚領域、該皮膚組織、または該皮膚創傷に、1種類または複数の種類の消化酵素を含む組成物を適用する工程を含む、方法。
【請求項27】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)または大腸菌に対して>1〜約20のフェノール係数を有する、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤。
【請求項28】
大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む抗生物質。
【請求項29】
大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む界面活性剤。
【請求項30】
大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む防腐剤。
【請求項31】
大腸菌に対して殺菌性および/または静菌性である、1種類または複数の種類の消化酵素を含む消毒剤。

【公表番号】特表2012−514604(P2012−514604A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544678(P2011−544678)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/020259
【国際公開番号】WO2010/080835
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(512044781)キュレロン リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】