説明

大豆タンパク質水分散液の製法

本開示において、粘度低下を持つ大豆タンパク質粉末水分散液を提供する製法が提供される。また、本開示において、粘度低下を持つ大豆タンパク質粉末分散液、および粘度低下を持つ大豆タンパク質粉末分散液の使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、粘度低下を持った大豆タンパク質水分散液の製法に関する。さらに、本発明は、概略、本発明の製法により生成された粘度低下を持った大豆タンパク質水分散液およびその使用に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、大豆タンパク質水分散液の製法を発明の名称とする、2009年5月29日付けで出願された米国仮特許出願第61/182,320号の利益を主張し、それをここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。
【背景技術】
【0003】
デンプンおよびタンパク質は長年、種々の接着剤、結合剤およびコーティング剤適用に用いられてきている。例えば、デンプンは、紙コーティング剤の生成に結合剤として用いて、色素粒子を一緒に結合させ、紙表面上で滑らかなコーティング基材を形成し、一方、デンプンデキストリンが、吸湿シーラントの目的およびボックスカートン(box carton)の固着のために、紙接着剤の生成に用いられてきた。また、タンパク質は紙コーティング剤に結合剤として用いられている。もう一つの例において、タンパク質は、合板製造における尿素/ホルムアルデヒド樹脂のごとき樹脂の代替品として防水加工樹脂と組み合わせて用いられてきている。
【0004】
デンプンおよびタンパク質は各々ある種の利点を提供するが、それらの双方は、それぞれの欠点を有する。例えば、デンプンは、使用の経済性および容易さのごとき有益性を送達するが、それらは、結合能力および、印刷光沢のごとき表面コーティング特性に劣る。デンプンデキストリンは、特に他の接着剤と比較して、比較的低い乾燥結合強度に苦しみ、乾燥接着剤にかなりの撥水性を提供しない。タンパク質は、デンプンより良好な結合能力を有するが、それらは高分子量を有し、デンプンと比較して非常に粘性である。これはそれらを用い難くする。例えば、適度なコーティング粘度レベルを得るために使用前にタンパク質を化学的に改変および/または解重合することを必要とする。同様に、タンパク質および防水加工樹脂の組合せは接着剤に対して良好な結合能力ならびに良好な撥水性を提供するが、かかる配合物(formulation)、特に未改変のタンパク質を用いるものは、尿素/ホルムアルデヒドを用いる配合物に比較して高粘度および低固形分に苦しみ、これは乾燥時間および全体的な生成速度にネガティブに影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、概略、粘度低下を持った大豆タンパク質水分散液の製法に関する。さらに、本発明は、概略、本発明の製法により生成された粘度低下を持った大豆タンパク質水分散液およびその使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの具体例において、粘度低下を有する大豆タンパク質水分散液の製法が記載され、この方法は:(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて初期の粘度を有する大豆タンパク質水分散液を形成し、次いで(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃の温度にて、大豆タンパク質水分散液の初期の粘度を低下させるのに十分な期間保持する工程を含む。
【0007】
第2の具体例において、粘度低下を有する大豆タンパク質水分散液の製法が記載され、この製法は、(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、初期粘度を有し、約1重量%未満の添加物を含む大豆タンパク質水分散液を形成し、次いで(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃の温度にて、大豆タンパク質水分散液の初期の粘度を低下させるのに十分な期間保持する工程を含む。
【0008】
第3の具体例において、(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、大豆タンパク質水分散液を形成し、(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃の温度にて、大豆タンパク質水分散液の粘度を低下させるのに十分な期間保持し、工程(b)後に、大豆タンパク質水分散液と添加物とを組み合わせる工程を含む接着剤または結合剤の製法が記載される。さらなる態様において、添加物は、生物致死剤、分散剤、色素、充填剤、不溶化剤、滑沢剤、光学的増白剤、色素、可塑剤、樹脂、レオロジー改質剤、塩、粘着性付与剤、粘度安定剤、保水剤およびその混合物よりなる群から選択される。
【0009】
さらに他の具体例において、(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、初期の粘度を有する大豆タンパク質水分散液を形成し、次いで(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃にて、大豆タンパク質水分散液の初期の粘度を低下させるのに十分な期間保持することにより形成された大豆タンパク質水分散液を含む接着剤、結合剤、食物または食餌が記載される。
【0010】
さらにもう一つの具体例において、(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、初期の粘度を有する大豆タンパク質水分散液を形成し、次いで(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃にて、大豆タンパク質水分散液の初期の粘度を低下させるのに十分な期間保持することにより形成された、粘度低下を有する大豆タンパク質水分散液が記載される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、概略、粘度低下を有する大豆タンパク質水分散液の製法、得られた大豆タンパク質水分散液およびその使用に指向される。
【0012】
典型的には、粘着性配合物を調製し用いる方法は、大豆タンパク質材料と、水および分散剤、色素、可塑剤、樹脂等のごとき1以上の添加物とを組み合わせることにより始まる。次いで、粘着性配合物は、結合される表面に適用され、その表面を一緒に加圧して、最初の結合を得、次いで接着剤は最終冷却前に高い温度および圧力でいくらかの時間設定したままとする。粘度は粘着性配合物での重要な特性である。あまりにも粘性ならば、粘着性配合物は結合される材料の表面上に/表面に貧弱に流れかねなく、加工装置を介して貧弱に流れかねなく、他の粘着性成分と混合した場合本当に均質な組成物を形成し得ない。粘度を低下させる試みは、粘着性配合物の合計固体含量を低下することを含んでいた。これらの粘着性配合物はそれほど粘性ではないが、それらは、余りにもゆっくり硬化し、貧弱に固まり、硬化が完了するまで、表面を一緒にしておくためには余りにも低い粘着性付与を有する。
【0013】
本明細書に記載された発明は、それらの調製方法を変化させることによりこれらの粘着性配合物の粘度問題に対処する。1つの具体例において、大豆タンパク質材料を水と組み合わせて、処理される大豆タンパク質水分散液を形成し、粘度低下を有する大豆タンパク質水分散液を生成し、次いで、これを用いて、種々の結合剤および接着剤ならびに食物および食餌生成物を処方し得る。このプロセスは、大豆タンパク質材料に含有した1以上の酵素を利用する。本発明の態様において、出発大豆種子からの種子プレ生長(pre-growth)酵素は、出発大豆種子から遺伝した大豆タンパク質材料において依然として活性である。水はこれらの酵素を活性化し、熱はこの活性化/反応の動力学を増大させる。種々のアミラーゼ、リパーゼ、オキシダーゼおよびプロテアーゼがすべて生存可能な大豆種子において活性であることが報告されている。しかしながら、プロテアーゼ酵素が大豆タンパク質材料中のタンパク質を解重合し、必然的に、それはさらなるプロテアーゼ酵素を含有する大豆タンパク質材料から調製された接着剤および結合剤組成物の接着力および結合力を低下することが注目されるべきである。
【0014】
酵素は一般的に熱感受性である。大豆タンパク質材料をこれらの酵素を抑制する温度に付し得る従来の製法と異なり、本発明はこれらの酵素の活性化に特に有効な温度を同定する。大豆タンパク質水分散液の粘度低下が添加物および不純物により抑制されることがさらに発見されている。かくして、もう一つの態様において、本発明は大豆タンパク質材料と水とを組み合わせ、添加物のごとき他の材料が大豆タンパク質水分散液と組み合わされる前に、粘度低下プロセスが進むことを可能にする。
【0015】
本発明にはいくつかの利点を有する。例えば、本開示の製法を利用する大豆タンパク質水分散液を用いて、デンプンデキストリンベースの接着剤の乾燥強度および撥水性を増加させることもでき、ならびにタンパク質の結合能力に影響することなくタンパク質ベースの粘着性配合物の粘度を低下させることもでき、かくして、固体配合物の増加を可能とする。さらに、組成物を含む新しいタンパク質の使用が、デンプンベースの結合剤配合物につき、より高い結合の強度および改善された光沢発生を持つ紙コーティング組成物および塗料組成物の調製に有用であり得ることが期待される。
【0016】
大豆タンパク質材料
本発明の1つの態様において、大豆タンパク質材料は、脱脂した油料種子材料に由来した材料を含む。脂肪は、多数の異なる方法により脱皮した油料種子から実質的に除去し得る。例えば、脂肪は、単に脱皮した種子を加圧することにより除去し得る。また、脂肪は、ヘキサンのごとき有機溶媒での抽出により脱皮した種子から除去し得る。溶媒抽出プロセスは、典型的には、フレークに平らたくし脱皮した油料種子で行われる。かかる抽出の生成物は油料種子「白色フレーク」という。例えば、大豆白色フレークは、脱皮した大豆を平面フレークに加圧し、次いで、ヘキサンでの抽出によりフレークから実質的な部分の残油含量を除去することにより一般的に得られる。残留溶媒は、多数の方法により得られた「白色フレーク」から除去し得る。1つの手順において、溶媒は、熱溶媒蒸発を含むチャンバーを介して油料種子白色フレークを加圧することにより抽出される。次いで、残余のヘキサンは、少なくとも約75℃の温度にてヘキサン蒸発を含むチャンバーを介する通過により大豆白色フレークから除去し得る。かかる条件下で、残余のヘキサンの大部分はフレークから揮発し、吸引抽出のごときプロセスを用いて、引き続いて除去し得る。この手順により生成された材料は、「フラッシュ脱溶媒化油料種子白色フレーク」という。次いで、フラッシュ脱溶媒化油料種子白色フレークは典型的に粉砕して、粒状物質を生成する。しかしながら、所望ならば、フラッシュ脱溶媒化油料種子白色フレークは、本発明方法に直接的に用い得る。
【0017】
本発明のプロセスに用いるのに適当なもう一つの大豆タンパク質材料は、「トースティング(toasting)」というプロセスにより、油料種子白色フレークからヘキサンを除去することにより得られた材料に由来する。このプロセスにおいて、ヘキサン抽出した油料種子白色フレークは、少なくとも約105℃の温度で蒸気を含むチャンバーを通過する。これはフレーク中の溶媒が揮発し、蒸気で取り除かれるのを可能にする。得られた生成物は、「トーストされた油料種子フレーク」という。大豆ミールのごときこのタイプの油料種子材料は、種々の他の適用に用い、商用ソースから容易に入手可能である。使用に適当であり得る油料種子材料の他の例は、キャノーラミール、亜麻仁ミール、ヒマワリミール、綿実ミール、落花生ミール、ルピナス(lupin)ミールおよびその混合物を含む。また、小麦グルテンまたはトウモロコシグルテンミールのごとき穀物由来タンパク質は、この使用に適当なタンパク質源であり得る。
【0018】
大豆タンパク質材料の化学的およ物理的特性は、油料種子フレークまたは粉末の熱履歴に基づいて変化できる。油料種子フレークまたは粉末内のタンパク質の熱インパクトの程度または加熱範囲を評価するのを助けるために用い得る1つの測定は、タンパク質分散性指数(PDI)である。PDIは、粉砕の程度の測定であり、脱溶媒化油料種子フレークまたは粉末を粒子沈降なく水中に分散し得る。PDIは、AOCS Ba 10a−05により、標準化条件下水中で分散し得る試料中での窒素の百分率を測定することにより一般的に決定される。
【0019】
PDIをしばしば用いて、油料種子フレークまたは粉末を特定する。例えば、さらなる加熱(未トースト)で調製した典型的な大豆タンパク質フレークは85を超えるPDI値を有し、フレーク中のタンパク質は、天然(変性せず)として特徴付けることができ、ここに、変性とは、タンパク質の天然の配置および立体配置が化学的な(酸、塩基、カオトロピック剤、ヒドロラーゼ等)プロセスまたは物理的(熱、剪断等)プロセスにより失うプロセスをいう。また、大豆タンパク質材料の特性は、フレーク中に存在する天然および変性タンパク質の範囲に依存することが示され得る。したがって、PDIは、大豆タンパク質材料のある種の化学的および物理的特性の指標として用い得る。大豆タンパク質材料のかかる特性の例は、中性pHでのタンパク質溶解度、粘度、色およびリジン改変の範囲を含む。従って、集中的な熱履歴および20PDIを持つ大豆タンパク質フレークは、典型的に、ほとんどない(70PDI)ないし熱履歴(90PDI)を有する大豆タンパク質フレークよりも粘性の分散液を形成する。
【0020】
3つの等級の一般的に入手可能な大豆粉末は、90PDI(未トースト)、70PDI(軽くトースト)および20PDI(極度にトースト)であるが、当業者は、多数の中間等級を調製でき、より広範囲な加熱がより低いPDIを持った粉末を生じさせることを認識するであろう。粉砕したタンパク質粉末の商業販売は、Ground Mesh Size/PDIの点からしばしば表現される。例えば、100/90は、100メッシュスクリーンを通過し、90%のタンパク質分散性指数を有する粉砕した大豆タンパク質粉末である。他方、200/20大豆タンパク質粉末は、その粉末が200メッシュスクリーンを通過するが、20%PDIだけを有することを示す。
【0021】
1つの具体例において、大豆タンパク質材料は、約20〜約90PDI値を有する。別法の具体例において、大豆タンパク質材料は約70〜約90PDI値を有する。
【0022】

本開示の製法において、水質が大豆タンパク質水分散液の粘度低下の率および範囲に影響し得ることが発見された。いくつかの無機化合物は粘度低下プロセスに影響しないようであるが、いくつかの有機材料は粘度低下を抑制するようである。かくして、1つの具体例において、大豆タンパク質材料は、実質的に清浄水と組み合せて、他の化合物が分散混合物に添加される前に、粘度低下プロセスが進むことを可能にする。水の適切な源は、例えば、飲用水、蒸留水およびその混合物を含む。
【0023】
添加物
本発明は、粘度低下および接着剤または結合剤を有する大豆タンパク質水分散液の製法を記載し、この製法は、初期の粘度を有し、約1重量%未満の添加物を含む大豆タンパク質水分散液を形成することを含む。本発明の1つの態様において、その添加物は、生物致死剤、分散剤、色素、充填剤、不溶化剤、滑沢剤、光学的増白剤、色素、可塑剤、樹脂、レオロジー改質剤、塩、粘着性付与剤、粘度安定剤、保水剤およびその混合物よりなる群から選択し得る。
【0024】
製法
水および大豆タンパク質材料は、いずれの方法およびいずれの順序でも組み合わせ得る。1つの態様において、大豆タンパク質材料を水に添加する。もう一つの態様において、水を大豆タンパク質材料に添加して、大豆タンパク質水分散液を創製する。
第2の態様において、水は、大豆タンパク質材料との組合せ前に予め加熱される。さらなる態様において、大豆タンパク質水分散液の温度は約20℃〜約70℃である。別法として、大豆タンパク質水分散液の温度は約30℃〜約60℃である。そして依然としてさらなる態様において、大豆タンパク質水分散液の温度は約40℃〜約50℃である。
【0025】
本発明の製法は、大豆タンパク質水分散液の粘度を低下させるのに十分ないずれの長さの時間でも行うこともでき、当業者ならば大豆タンパク質水分散液の温度、大豆タンパク質材料および所望の粘度に基づいて適切な長さの時間を決定できるであろう。1つの具体例において、約5分〜約20時間の期間は、粘度低下を持った大豆タンパク質水分散液を得るのに十分である。もう一つの具体例において、約30分〜約3時間の期間を利用し得る。
【0026】
本発明の製法は、いずれの固体レベルでも行ない得る。典型的には、大豆タンパク質水分散液は、約1%〜約50%の範囲の重量値による固体%を有し得る。別法として、大豆タンパク質水分散液は、約10%〜約40%の範囲の%固体値を有する。さらなる具体例において、大豆タンパク質水分散液は、約20%〜約40%の範囲の%固体値を有する。もう一つの具体例において、大豆タンパク質水分散液は、約30%〜約40%の範囲の%固体値を有する。
【0027】
大豆タンパク質水分散液の粘度低下は、出発値と比較して粘度におけるいずれの低下でもあり得る。典型的には、粘度低下は、最終の粘度値を初期の粘度値で除し、100を乗することにより決定された、初期値の約95%〜初期値の約1%の範囲にあり得る。1つの具体例において、粘度低下は、初期値の約80%〜初期値の約2%の範囲にあり得る。
【0028】
本発明の製法により生成された大豆タンパク質水分散液を含む組成物は、接着剤および結合剤の生成に利用し得る。粘着性適用の例は、限定されるものではないが、プラスター、接合混合物、シーラント、コルゲーティング(corrugating)ボード、ラミネート接着剤、カートンシーラント、吸湿接着剤、木材用接着剤、合板接着剤、ストランドボード接着剤等を含む。結合剤適用の例は、限定されるものではないが、壁張り用材、パーティクルボード、天井タイル、紙コーティング剤および塗料を含む。本開示の文脈において、接着剤は既存の基材を一緒に固着させるために用いる材料であり、結合剤は新しい基材を形成するために他の材料を一緒に結合するために用いる材料である。しかしながら、接着剤および結合剤の配合物は同様の成分を含み得ると理解される。また、多数の水性の接着剤および結合剤配合物は、種々の純度の水を利用すると理解される。本開示の製法は、実質的に飲用水である水を利用するが、潜在的には、例えばプロセス水のごときいずれの水源も利用し得る。
【0029】
本開示の大豆タンパク質水分散液の製法を用いて、積層操作における付着特性を提供し得る。典型的には、積層配合物は、水懸濁液中にデキストリンのごとき20部の接着剤、粘土または炭酸カルシウムのごとき10部の充填剤、可塑剤としての5部の尿素またはグリセロール、粘着性付与剤としての5部のホウ砂、および40〜50%の全固体含量の粘度安定剤を含む。本開示の製法により生成されたタンパク質組成物を用いて、デキストリン成分を置換し、ラミネートの乾燥付着を改善し、接着剤の撥水性を改善し得る。
【0030】
本開示の大豆タンパク質水分散液の製法は、合板の生成に用い得る。合板製造において、しばしば尿素ホルムアルデヒドのごとき接着剤を用いて、ボードの層を一緒に結合して、多層の合板を形成する。防水加工樹脂と組み合わせた本開示の製法により生成されたタンパク質組成物を用いて、合板製造における尿素ホルムアルデヒド接着剤を置換し得る。典型的な配合物において、50部のタンパク質組成物は、典型的には40〜50℃の92部の温水に添加でき、次いで、約2〜3時間反応させる。次いで、これをKymene樹脂(Hercules, Inc.)のごとき10部の防水加工樹脂、および尿素のごとき20部の可塑剤と組み合わせて、複数ボードを固着させるために41%の全固体の粘着性配合物を提供する。レオロジー改質剤、生物致死剤、塩、保水剤等のごとき他の添加物を所望により用い得る。
【0031】
加えて、本開示の大豆タンパク質水分散液の製法は、紙コーティング剤および塗料のごときコーティング剤の調製に利用し得る。例えば、本開示の製法により生成されたタンパク質組成物は、紙コーティング剤配合物の生成における結合剤として用い得る。好ましくは、本開示の製法により生成されたタンパク質組成物は、紙コーティング剤の調製に利用される場合に、分散形態である。典型的には、紙コーティング配合物は、粘土、硫酸カルシウムまたは炭酸カルシウムのごとき色素;ラテックス、ポリビニルアルコール、デンプンまたはタンパク質およびその混合物のごとき結合剤;ならびに、滑沢剤、不溶化剤、レオロジー改質剤、光学的増白剤、保水補助剤(water retention aid)、分散剤、生物致死剤、色素等のごとき種々の他の添加物を含む。紙コーティング剤における本開示の製法により生成された新規なタンパク質組成物の使用が、コーティングした生成物に対して、改善された疎水性、改善されたインク抵抗および改善された印刷の特性を与えるであろうことが期待される。
【0032】
典型的には、紙コーティング剤の生成において、約100部の量で色素が利用される。紙コーティング剤の結合剤成分は、色素に基づいて、約5〜約20部の量で典型的に利用される。紙コーティング剤において望ましい滑沢剤、レオロジー改質剤、保水剤等のごとき他の成分は、色素に基づいた0.5部のごときよく知られた通常の量で利用し得る。
【0033】
本開示の製法により生成された大豆タンパク質水分散液を組込むコーティング剤は、いずれの通常の方法でセルロースウェブのものごとき表面に適用され得る。典型的には、そのコーティング剤は、ロールコーター、ロッドコーター、ベレードコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレコーター等の使用により表面に適用し得る。
【0034】
加えて、本開示の大豆タンパク質水分散液の製法は、鋳物適用において利用し得る。例えば、タコナイトペレット製造の準備において、本開示の大豆タンパク質水分散液を用いて、焼成前に緑色タコナイト鉱石を結合して、タコナイトペレットを形成し得る。本開示の製法により生成された大豆タンパク質水分散液は、有機材料からの初期の焼取り前の崩壊に抵抗できる緑色タコナイペレットの形成を可能とするのに十分な量で粉砕したタコナイト鉱石に結合でき、鋳物に対する輸送から残存するのに十分な強さの鉱物ペレットを創製し得る。
【0035】
また、本開示の大豆タンパク質水分散液の製法は、種々の食物および食餌製品の生成に利用し得る。植物性タンパク質は、製造された食品に対して、および多数の食餌組成物について有用な栄養補給剤である。本開示の製法により生成された大豆タンパク質水分散液は、粘度低下が食品または食餌製品の組成物につき有益な特性である場合に、有用であり得る。
【0036】
実施例
本発明の態様に従うある種の方法の態様が、以下の実施例において示される。
以下の試験手順は、実施例に提供された生成物の特性の評価、および生成物の適用に利用される。
【0037】
試験手順
接着剤の一般的な調製
大豆タンパク質粉末分散液は、後記した水中の乾燥粉末分散液として調製した。
【0038】
乾燥調製物において、例えば、大豆タンパク質粉末は、0.01gまで正確な重量天秤で秤量し、乾燥粉末は、湯浴中に固定された750mlの金属ビーカー中に含有した、予め熱した水にゆっくり添加した。機械的撹拌は、内破タイプ翼デザインでライトニングミキサーにより提供した。その分散液は5分間撹拌し、500mL密封ガラスジャーに移しキャップした。内容物を示された時間および温度まで連続的に加熱した。
【0039】
粘着性配合物の適用
2インチの線を標準的な6×5/8インチ(15×1.75cm)(舌圧子、Crosstex)上に引いた。舌圧子の端から2インチの線までの計算される面積は、1平方インチに等価である。以下の実施例からの粘着性分散液を舌圧子に加え、その2インチの線で開始し、ほぼ1/8インチの深さまで舌圧子の端までコーティングする。接着剤を含む舌圧子の試料を四角の標準TAPPI吸い取り紙に置き、これを標準TAPPI ハンドシートプレス(Noram, Ponte Clare, Quebec, Canada)の底部プラテンに置いた。第2の舌圧子を2インチの印ラインが丸い舌圧子の端に合致するように接着剤でコーティングした各舌圧子上に置いた。第2の四角吸い取り紙のを試料セットに置き、ハンドシートプレスの頂部プラテンを加え、クイックスクリューボルトで固定した。試料は60psiの圧力にて5.5分間プレスした。これはウェットプレスサイクルと考えられた。このウェットプレスサイクル後に、試料をハンドシートプレスから取り出し、250 °Fの温度のEmerson Speed Dryer (Emerson Apparatus, Portland, Maine)設定に置いた。Speed Dryerの頂部に、蓋を30ポンドの重量で置き、試料を15分間熱プレスした。これはホットプレスサイクルと考えられた。15分後、試料をSpeed Dryerから取り出し、傍らに置いて、周囲の実験室条件下で約20時間冷却して、平衡させた。試験細片の端上の過剰の接着剤を試験前に除去した。次いで、個々の試料を後記した方法により粘着性の強さにつき試験した。
【0040】
粘着性配合物の強度試験
発明者ら自身のデザインの粘着性強度試験を用いて、異なる組成物の結合力を評価した。デジタル表示を持つ電子コントローラー(ElectroCraft(登録商標), Model Motomatic II, Reliance Motion Control, Inc., Eden Prairie, MN)に連結した電気モーターに、1/4インチのシャフト(モータードライブ)で取り付けた。直径3インチのゴム製O−リングは、1.5インチの滑車を持つもう一つの駆動シャフト/ベアリングアセンブリー(静止ドライブ)上にこのシャフトを連結した。このシャフトに、コードの自由末端で固定されたループを持つ15インチのナイロンコードの一端を固定した。1.5インチの滑車が12rpmで回転するように、モーター速度を調節した。接着した舌圧子の試験試料は、水平のU字型プラテンにより端で固定した。ナイロンコードの輪状の端は、接着した領域の中心にて試験細片のまわりに置いた。これは、試験試料の中心が、電気モーターに付けたナイロンコードのループにより自由に引かれることを可能にしたが、試験細片の端は水平のU字型プラテンにより固定した。O−リングの張力は、静止ドライブに対し、モータードライブを上げるかまたは下げることにより調節して、3.0〜3.5オンスインチの作動モーターでブランク読みを与える。各一連の試験の評価前に、無負荷ブランクを行った。この平均ブランク読みは、個々の試験試料につき記録した制動トルクから引いた。試験試料を測定するために、モーターのスイッチを入れ、コードを接着した試験試料の抵抗性により張りつめるようになることを可能とした。デジタル表示は、モーターに置いたトルクの上昇を示した。試験試料が中心で壊れるまで、トルク表示をモニターし、最大トルクの読みを記録した。最低5つの試験試料の最小を生成し、各条件について強度につき測定し、無負荷ブランクの読みを5つの試験の各細片につき引いた。平均値を記録した。
【0041】
粘度測定法
粘度測定は、20rpmに設定した標準スピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計Model RV DV-I+ (Brookfield Engineering Labs, Inc., Middleboro, MA)で決定した。スピンドル番号2〜7を一般的に用いた。測定は個々の例において示した反応温度で得た。試験試料は、示した温度に平衡にし、スピンドルは、スピンドルシャフト上で示したマークまで試料中に浸した。スピンドルおよびRPMは各測定につき記録し、読みは10秒のせん断時間後または安定な読みを観察した後に得た。
【0042】
実施例1−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製
30℃の粘着性分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を33℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、30℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを30℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0043】
実施例2−実施例1の粘度および粘着性強度の評価
実施例1において調製した大豆タンパク質粉末接着剤を粘度および乾燥強度の特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料を強制空気オーブン中で30℃の温度で維持し、粘着性強度試験細片を調製した。粘度測定を行ない、粘着性強度試験細片を相互の1〜2分間以内に調製した。粘度測定は、20rpmの測定速度で、示したスピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0044】
5つの試験細片は、記載されるごとき粘着性方法の適用を利用して、実施例1に示した各時間粘着性の強さ評価のために調製した。粘着性強度測定は記載されるごとき強度試験方法を利用して行った。実施例1−5の結果を以下の表1および2に集計する。
【0045】
【表1】

【0046】
表1のデータから下記が観察される。大豆タンパク質粉末分散液を反応させるので、粘度における急激な低下を測定する。約2時間の反応後、分散液の粘度は実質的に安定化する。
【0047】
表2は、粘着性強度測定の結果を記載する。
【0048】
【表2】

【0049】
表2におけるデータから下記が観察される。大豆タンパク質粉末分散液を反応させるので、乾燥強度付着における測定可能な減少は記載されない。
【0050】
粘度を低下するように反応させた大豆タンパク質粉末水分散液が、結合強度の損失なくしてより低い粘度配合物により、商業的粘着性適用における操作性(runnability)の改善を有したであろうことが予想される。別法として、より高い固体レベルの配合物は、大豆タンパク質粉末組成物のより低い粘度レベルにより達成できた。
【0051】
実施例3−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 40℃の粘着性分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を43℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、40℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを40℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0052】
実施例4−20%固体70PDI大豆タンパク質水分散液の調製 40℃の粘着性分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を43℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、40℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを40℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0053】
実施例5−20%固体20PDI大豆タンパク質水分散液の調製 40℃の粘着性分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を43℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、40℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを40℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0054】
実施例6−実施例3〜5の粘度および粘着性強度の評価
実施例1において調製した大豆タンパク質粉末接着剤を粘度および乾燥強度の特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料を強制空気オーブン中で40℃の温度で維持し、粘着性強度試験細片を調製した。粘度測定を行ない、粘着性強度試験細片を相互の1〜2分間以内に調製した。粘度測定は、20rpmの測定速度で、示したスピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0055】
5つの試験細片は、記載されるごとき粘着性の方法の適用を利用して、実施例3〜5に示した各時間粘着性の強さ評価のために調製した。粘着性強度測定は記載されるごとき強度試験方法を利用して行った。
【0056】
実施例3〜5の結果を以下の表3および4に集計する。
【0057】
【表3】

【0058】
表3におけるデータから下記が観察される。40℃で反応した実施例3におけるPDI 90大豆タンパク質水分散液は、3時間の反応後に粘度においてかなり低下し、読みは出発値の2.0%であった。40℃にて3時間反応させた実施例4におけるPDI 70大豆タンパク質水分散液の結果、読みは出発値の20.6%であった。40℃にて3時間反応させた実施例5における大豆タンパク質水分散液20PDI大豆タンパク質水分散液の結果、粘度の読みは、出発値の80.7%であった。これらの結果は、3つすべてのPDI粘度レベルが3時間にわたり低下したが、より高いPDI生成物がより低いPDI生成物よりもかなり低下することを示している。
【0059】
表4は粘着性強度測定を記載する。
【0060】
【表4】

【0061】
表4におけるデータから下記が観察される。40℃にて反応した実施例3におけるPDI 90大豆タンパク質水分散液は、3時間の反応にわたりわずかに粘着性強度を低下させた。40℃で反応した実施例4におけるPDI 70大豆タンパク質水分散液は、3時間の反応にわたり粘着性強度において変動した。また、40℃で反応した実施例5におけるPDI大豆タンパク質水分散液20大豆タンパク質水分散液が、3時間の反応にわたり粘着性強度において変動した。
【0062】
実施例7−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液分散の調製
50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0063】
実施例8−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液分散の調製
60℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を63℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、60℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを60℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0064】
実施例9−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液分散の調製
70℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を73℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、70℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを70℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を30分間隔にて3時間マークまで調製した。
【0065】
実施例10−実施例3および7〜9の粘度評価
実施例7〜9において調製した大豆タンパク質粉末接着剤を粘度特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料を強制空気オーブン中で示された温度に維持した。粘度測定は、報告した反応温度にて20rpmの測定速度で、示したスピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0066】
実施例3および7〜9の結果を以下の表5に集計する。
【0067】
【表5】

【0068】
表3におけるデータから下記が観察される。40℃、50℃および60℃で反応したPDI 90大豆タンパク質水分散液は、3時間の反応後に粘度においてかなり低下した。しかしながら、70℃で反応したPDI 90大豆タンパク質水分散液は、3時間の反応にわたり粘度において上昇した。これらの結果は、大豆タンパク質水分散液の水分散液の粘度を低下するような反応についての温度限定が存在することを示す。
【0069】
実施例11−25%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。112.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた337.5gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。25%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0070】
実施例12−27.5%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。123.75gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた326.25gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。27.5%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定は30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0071】
実施例13−30%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。135.0gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた315gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。30%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定は30分間隔にて3時間マークまでであった。
【0072】
実施例14−35%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。157.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた292.5gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。35%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定は30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0073】
実施例15−40%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製
50℃の分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。180.0gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた270.0gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。40%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定は30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0074】
実施例16−実施例11〜16の粘度評価
実施例11〜16において調製した大豆タンパク質粉末分散液を粘度特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料を強制空気オーブン中で50℃の温度で維持した。粘度測定は20rpmの計量速度で、示したスピンドルを使用して、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0075】
実施例7および11〜15の結果を以下の表6に集計する。
【0076】
【表6】

【0077】
表6におけるデータから下記が観察される。本発明の製法を用いて、依然として使用可能な粘度範囲(100,000cps)である40%までの固体レベルを持つ大豆タンパク質水分散液接着性分散剤を調製し得る。より高い固体配合物の結果、より低い粘度配合物による商業的粘着性のアプリケータにおけるより良好な操作性、ならびに低い水含量の接着剤によるより高い処理能力を生じることが予想される。
【0078】
実施例17−段階的な33%固体の粘着性分散液の調製
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%の分散液を15分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を継続した。次いで、15分間の混合にて、さらなる87.5gのProlia100/90を30分間にわたり撹拌している分散液に添加して、33.3%に等しい固体レベルを達成した。分散液をさらに15分間撹拌し、次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封したジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0079】
【表7】

【0080】
表7におけるデータから下記が観察される。大豆タンパク質粉末の段階的な添加を特徴とする別法の製法を用いて、粘度低下を持った大豆タンパク質粉末分散液を生成し得る。
【0081】
実施例18−20%固体20PDI大豆タンパク質水分散液の調製
50℃の粘着性分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0082】
実施例19−20%固体大豆タンパク質水分散液分散液の調製
90:10のブレンドのPDI 20およびPDI 90大豆タンパク質水分散液を含む分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90およびProlia200/20大豆タンパク質粉末を用いた。200/20および100/90の乾燥粉末90:10ブレンドは、上皿天秤上で400mLのガラスビーカー中で78.75gのProlia200/20粉末と8.75gのProlia200/20粉末とを組み合わせ、次いで乾燥粉末を組み合わせて、均質な混合物を形成することにより調製した。乾燥混合物を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%の分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0083】
実施例20−実施例7、18、19の粘度評価
実施例7、18、19において調製した大豆タンパク質粉末分散液を粘度特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料は強制空気オーブン中で50℃の温度で維持した。粘度測定は20rpmの測定速度で、示したスピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0084】
実施例7、18、19の結果を以下の表7に集計する。
【0085】
【表8】

【0086】
表7におけるデータから下記が観察される。低比率の0/90大豆タンパク質粉末−対−200/20大豆タンパク質粉末の添加を用いて、単独の200/20 Protein Flour分散液と比較して、より低い粘度の粘着性分散を達成し得る。
【0087】
実施例21−プロテアーゼ酵素で改変した100/90PDI大豆タンパク質水分散液の調製
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を43℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、40℃の試料温度を与えた。20%の分散液を10分間混合した。3分にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を継続した。5分間マークにて、Novozyme, Inc.から入手可能なNeutrase酵素の100μlを添加し、撹拌を10分間マークまで継続した。次いで、酵素生成物を含む、分散したタンパク質を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封したジャーを40℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を行い、粘着性強度測定を60分間マークおよび120分間マークにて調製した。
【0088】
粘度測定および粘着性強度測定の結果を以下の表8および表9に記録する。
【0089】
【表9】

【0090】
表8におけるデータから下記が観察される。対照実施例3における経時的な粘度低下は、さらなるプロテアーゼ酵素を含有する大豆タンパク質粉末分散液に同様である。
【0091】
【表10】

【0092】
表9におけるデータから下記が観察される。本開示の製法により生成した大豆タンパク質粉末接着剤の粘着性強度は、プロテアーゼ酵素が添加された大豆タンパク質粉末と比較して、その粘着性強度を維持した。
【0093】
実施例22−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製、85℃の粘着性分散
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を87℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、85℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を10分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、密封ジャーを30℃に設定した強制空気オーブンに置いた。20rpmの回転速度のスピンドル番号7を利用して試料を30℃まで冷却した後に、粘度測定を行った。測定した粘度が、117,000cpsであることを記録した。
【0094】
実施例23−20%固体90PDI大豆タンパク質水分散液の調製 30℃に続いて85℃に加熱した粘着性分散液
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia100/90大豆タンパク質粉末を用いた。87.5gのProlia100/90を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を33℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、30℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを30℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定は30分間隔にて3時間マークまで行った。3時間後、30℃の温度で、密封したジャーを87℃で設定された湯浴に移し、試料温度が85℃に達するまで加熱したままとした。次いで、密封したジャーを強制空気オーブンに移し、30℃に冷却した。粘度測定法の結果を表10に記録する。
【0095】
【表11】

【0096】
表10におけるデータから下記が観察される。本開示の製法を利用すると、30℃にて3時間の反応に続いて85℃への加熱後の大豆タンパク質粉末分散液の粘度は、変性相変化を示す2,355cpsへの粘度増加を生じる。大豆タンパク質粉末が85℃に直ちに加熱される場合、変性した分散液は高い粘度を生じる(実施例22、117,000cps)。本開示の製法は、低い粘度タンパク質源を必要とするたけではなく、微生物学的コントロールのための加熱工程を必要とする食物および食餌生成物を調製するのに有用であり得る。
【0097】
実施例24−90PDI大豆タンパク質水分散液接着剤分散液の調製 粘着性分散に続いてのKymene添加
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末およびHercules, Inc. から入手可能なCA1100 Kymene防水樹脂を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた350mLの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物を500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて2時間マークまで行った。2時間反応後に、43.75gのCA1100 Kymene樹脂を分散液に添加した。混合液を実験室スパチュラで約2分間撹拌し、再密封し、50℃の強制空気オーブンに戻した。粘度測定は、2時間30分マーク、および3時間マークにて行った。
【0098】
実施例25−Kymene存在下のPDI90粘着性分散液の調製
この実施例において、Cargill, Inc.から入手可能なProlia200/20大豆タンパク質粉末およびHercules, Inc. から入手可能なCA1100 Kymene防水樹脂を用いた。87.5gのProlia200/20を上皿天秤上のプラスチック製秤量ボートで秤量し、乾燥粉末を53℃に設定した温浴に挿入および固定した金属ビーカー中で温めた43.75gのCA1100 Kymene樹脂および306.25gの脱イオン水に撹拌しつつゆっくり添加し、50℃の試料温度を与えた。20%固体分散液を5分間混合した。4分30秒にて、Hydrite, Inc.から入手可能な3滴のMCA 270消泡剤を添加し、撹拌を5分間マークまで継続した。次いで、分散したタンパク質生成物およびKymene生成物を、500mL密封ジャーに移し、粘度測定を行い、密封ジャーを50℃に設定した強制空気オーブンに置いた。粘度測定を30分間隔にて3時間マークまで行った。
【0099】
実施例26−実施例24および25の粘度評価
実施例24および25において調製した大豆タンパク質粉末分散液を粘度特性につき測定した。一般的に、粘度が測定される前に、試料は強制空気オーブン中で50℃の温度に維持した。粘度測定は20rpmの測定速度で、示したスピンドルを用いて、ブルックフィールド粘度計 (DV-I+)で行った。
【0100】
実施例24および25の結果を以下の表11に集計する。
【0101】
【表12】

【0102】
表11におけるデータから下記が観察される。本開示の製法を利用すると、大豆タンパク質粉末分散液の粘度は50℃で2時間反応後に粘度低下分散を生じさせた。
Kymene樹脂の添加に際して、粘度は1時間にわたり増加した。Kymene樹脂の存在下で調製した大豆タンパク質粉末分散液は、本開示の粘度低下プロセスを示さず、実際には、3時間にわたり粘度において増加した。これは、粘度低下大豆タンパク質粉末分散液を達成するために、大豆タンパク質水分散液および水を他の化学生成物の添加に先立って組み合わせるべきであることを示す。
【0103】
実施例27−100/90PDI大豆タンパク質水分散液結合剤組成物を含有する紙コーティング配合物の調製
この実施例において、以下の成分:顔料混合物、合成ラテックス結合剤、天然の生体高分子結合剤、保水剤および滑沢剤よりなる紙コーティング色配合物を調製した。
この実施例において、天然の生体高分子結合剤は、本開示の製法により生成した100/90PDI大豆タンパク質粉末よりなった。
【0104】
紙コーティング色は80部の60%固体脱積層(delaminated)粘土懸濁液および20部の70%固体沈降炭酸カルシウム懸濁液を利用して調製した。撹拌しつつ、2つの色素懸濁液の1リットルの混合物に、10部の65%固体ラテックス懸濁液を添加した。これに続いて、35%固体分散として水中で先に分散し、40℃にて2時間反応させた5部の100/90PDI大豆タンパク質粉末を添加した。次いで、0.5部のカルボキシメチルセルロースの10%固体溶液に続いて、滑沢剤として0.1部のステアリン酸カルシウムを添加した。均質の混合物が達成されるまで、紙コーティング色を撹拌し続けた。
【0105】
紙コーティング色は、均一な水分レベルまで乾燥させた実験室規模のロッドコーターおよびコーティングを利用して標準的な5番の軽量コーティングした原紙に適用した。本発明の紙コーティング色は、天然の結合剤成分としてデンプンを利用した紙コーティング色と比較して、優れた結合特性を有するであろうことが予想される。また、
本発明の紙コーティング色は、天然の結合剤として、従前には水分散液中で反応しなかった大豆タンパク質粉末を利用して調製した紙コーティング色より低粘度を有するであろうことが予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、初期の粘度を有する大豆タンパク質水分散液を形成し;次いで
(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃の温度にて、大豆タンパク質水分散液の初期の粘度を低下させるのに十分な期間保持する
工程を含むことを特徴とする大豆タンパク質水分散液の製法。
【請求項2】
大豆タンパク質水分散液が約1重量%未満の添加物を含むことを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項3】
添加物が、生物致死剤、分散剤、色素、充填剤、不溶化剤、滑沢剤、光学的増白剤、色素、可塑剤、樹脂、レオロジー改質剤、塩、粘着性付与剤、粘度安定剤、保水剤およびその混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項2記載の製法。
【請求項4】
さらに、大豆タンパク質水分散液と消泡剤とを組み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項5】
水が、大豆タンパク質材料と組み合わせる前に約20℃〜約70℃の温度に加熱されることを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項6】
水が飲用水、蒸留水またはその混合物であることを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項7】
大豆タンパク質材料が、約20〜約90のタンパク質分散性指数を持つ大豆タンパク質粉末を含むことを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項8】
大豆タンパク質材料が、約70〜約90のタンパク質分散性指数を持つ大豆タンパク質粉末を含むことを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項9】
大豆タンパク質水分散液が、約40℃〜約50℃の温度に保持されることを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項10】
大豆タンパク質水分散液が、約5分〜約20時間の期間保持されることを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項11】
大豆タンパク質水分散液が、約30分〜約3時間の期間保持されることを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項12】
大豆タンパク質水分散液が、約1%〜約50%の固体含量を有することを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項13】
大豆タンパク質水分散液が、約30%〜約40%の固体含量を有することを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項14】
大豆タンパク質水分散液の初期の粘度が、約1%〜約95%低下することを特徴とする請求項1記載の製法。
【請求項15】
請求項1により生成された大豆タンパク質水分散液。
【請求項16】
大豆タンパク質水分散液が、約70〜約90のタンパク質分散性指数を持つ乾燥大豆タンパク質材料を含み、かつ大豆タンパク質水分散液が約30分〜約3時間の期間約40℃〜約50℃の温度に保持されることを特徴とする請求項15記載の大豆タンパク質水分散液。
【請求項17】
請求項1により生成された大豆タンパク質水分散液を含む接着剤または結合剤。
【請求項18】
接着性組成物が木材用接着剤である請求項17記載の接着性組成物。
【請求項19】
接着性組成物がラミネート接着剤である請求項17記載の接着性組成物。
【請求項20】
木材用結合剤である請求項17記載の結合剤組成物。
【請求項21】
紙コーティング剤である請求項17記載の結合剤組成物。
【請求項22】
塗料である請求項17記載の結合剤組成物。
【請求項23】
(a)大豆タンパク質材料と水とを組み合わせて、大豆タンパク質水分散液を形成し;
(b)大豆タンパク質水分散液を約20℃〜約70℃温度にて、大豆タンパク質水分散液の粘度を低下させるのに十分な期間保持し;次いで
(c)工程(b)の後に、大豆タンパク質水分散液と添加物とを組み合わせる
工程を含むことを特徴とする接着剤または結合剤の製法。
【請求項24】
添加物が、生物致死剤、分散剤、色素、充填剤、不溶化剤、滑沢剤、光学的増白剤、色素、可塑剤、樹脂、レオロジー改質剤、塩、粘着性付与剤、粘度安定剤、保水剤およびその混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項23記載の製法。
【請求項25】
請求項1により生成した大豆タンパク質粉末水分散液を含む食物組成物。
【請求項26】
請求項1により生成した大豆タンパク質粉末水分散液を含む食餌組成物。

【公表番号】特表2012−528159(P2012−528159A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513093(P2012−513093)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/034170
【国際公開番号】WO2010/138292
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(500159680)カーギル・インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】