説明

大豆製品を含有する安定化された抗発汗組成物

本発明は、毛の成長に補助的に影響する、大豆製品、1種もしくはそれ以上の抗発汗剤、例えばアルミニウムクロロハイドレートおよび安定化システムを含んでなる抗発汗組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の簡単な記述
本発明は、毛の成長に補助的に影響を与える、大豆製品、1種もしくはそれ以上の抗発汗剤、例えばアルミニウムクロロハイドレート(aluminium chlorohydrate)および安定化システムを含んでなる抗発汗組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
抗発汗製品は典型的には、汗腺の密度がより高い身体領域、例えば腋の下に適用される。これらは、より有効な冷却を与えるために多かれ少なかれ毛で覆われる領域である。最近では、これらの領域における毛の成長は文化的にあまり望ましくなくなってきておりそしてあまり魅力的でないと考えられる。
【0003】
毛の成長を補助的に遅らせるかまたは停止させる抗発汗製品は消費者にとって魅力的であろう。これらの2種の特質を組み合わせた製品を提供することが本発明の目的である。
【0004】
大豆製品そして特に非−変性大豆製品は特許文献1に記載されているように毛の成長を遅らせることが知られている。後者は、豆乳を包含する豆抽出物を含んでなる組成物を皮膚に局所的に適用することにより毛の成長を遅らせ、毛嚢および毛幹寸法並びに毛幹着色を減ずるための組成物および方法を記載している。
【0005】
特許文献2は、脱着色、夕方に出る皮膚状態および皮膚の肌理、皮膚の硬化並びに皮膚の手入れのための非−変性大豆製品の使用を記載している。
【0006】
特許文献3は、皮膚、毛または爪の硬さを調節するため、皮膚、毛または爪を洗浄するため、毛または爪の成長を減少および/または遅らせるため、並びに多くの他の有用な用途のための豆科製品および特に大豆製品に関連する組成物および方法を開示している。特許文献4は、特に減少された微生物含有量を有する、トリプシン阻害活性を有する豆科植物製品、大豆製品、並びに皮膚、爪および毛への適用のための組成物中でのそれらの使用を記載している。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1074240号明細書
【特許文献2】国際公開第01/34099号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6,555,143号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1236465号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
抗発汗活性物質、例えばアルミニウムクロロハイドレートを大豆製品そして特に非−変性大豆製品と組み合わせることは魅力的であったであろう。しかしながら、後者は抗発汗活性物質の存在下では安定でないため、両方のタイプの活性物質を1つの製品内で組み合わせることは不可能であった。この組み合わせを可能にする安定化システムの発見は達成しようとする魅力的な目標でありそして本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、アルコキシ化された脂肪アルコール、セルロース誘導体および珪酸塩誘導体の組み合わせを含んでなる安定化システムが良好な安定性を有する調合物を生ずることが見出された。
発明の要旨
本発明は、大豆製品および少なくとも1種の局所的に許容可能な抗発汗活性成分を含んでなる抗発汗組成物であって、組成物が
a)アルコキシル化された脂肪アルコール、
b)セルロース誘導体、
c)珪酸塩誘導体
をさらに含んでなる抗発汗組成物に関する。
【0009】
大豆製品は、特に非−変性大豆製品、例えば非−変性豆乳または粉末である。抗発汗剤は特に、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、混合アルミニウム/ジルコニウム塩およびそれらの複合体よりなる群から選択される。
【0010】
特定の面では、本発明の組成物は0.1〜最大10%の量で加えられたアルコキシル化された脂肪アルコール、0.01〜3%の量のセルロース誘導体、および0.01%〜3%の量の珪酸塩誘導体を含有する。
【0011】
別の面では、本発明は発汗を減少または停止させそして皮膚を脱臭するここで定義された組成物の使用、そして特に化粧品使用に関する。
【0012】
或いは、本発明は被害を受けた皮膚領域にある量のここで定義された組成物を適用することを含んでなる発汗を減少または停止させそして皮膚を脱臭するための方法、そして特に化粧品方法に関する。
発明の詳細な記述
本発明の組成物は、流体(例えば、豆乳)または固体(例えば、大豆粉末もしくは豆乳粉末)の形態でありうる大豆製品を含有する。「大豆製品」により意味されるものは、大豆中で天然に見出される成分を豆中で見出されるような相対的濃度で含有する大豆から誘導される物質である。好ましい態様では、大豆製品は非−変性大豆製品である。後者は、例えば温度、抽出媒体の如き工程パラメーターを注意深く調節することにより活性蛋白質を無傷で残す方法により得られた大豆製品である。これは、例えば、無傷の大豆トリプシン阻害剤(STI)蛋白質の存在により測定することができる。
【0013】
別の態様では、大豆製品は豆乳である。豆乳を製造する1つの方法は、大豆を脱イオン水または精製水の中に数時間にわたり浸しそしてそれらを充分に水和した後に少量の水を添加しながら粉砕する。(粉砕工程により豆乳が抽出可能になる)。収集後に、豆乳を濾過して豆莢の残存部分を除去することができる。本発明で使用される豆乳は上記のような新鮮な豆乳であり得、或いは大豆粉末および水から製造することもできる。大豆粉末は大豆から粉砕されそして凍結乾燥(lyophillized)、噴霧乾燥もしくは凍結−乾燥(freeze−dried)することもでき、そして生じた豆乳は濾過してもまたは濾過しなくてもよい。そのようにして製造された豆乳は約1〜約90重量%の乾燥大豆粉末を有することができる。別の例は、水を添加しながらの凍結乾燥、噴霧乾燥または凍結−乾燥された豆乳から製造されそして濾過または均質化を伴いまたは伴わずに仕上げられた豆乳粉末の使用である。
【0014】
大豆抽出の他の方法を使用して本発明で使用される活性成分を作成することもできた。例えば、大豆のプロテアーゼ阻害活性が保持されるような方法で、活性成分を粉砕された大豆からエタノール/水混合物を用いて抽出し、引き続き抽出物からエタノールを除去することもできるであろうが、それに限定されない。
【0015】
本発明の組成物は約1〜約99重量%の大豆製品を含有できる。例えば、液体大豆製品(例えば、豆乳)が使用される時には、組成物は約50〜約99重量%(例えば約70〜
約99重量%)の液体大豆製品を含有できる。例えば、固体大豆製品(例えば、大豆粉末または豆乳粉末)が使用される時には、組成物は約1〜約50重量%(例えば、約2〜約30重量%)の固体大豆製品を含有できる。固体大豆製品を含んでなる組成物は水(例えば、蒸留水または豆乳中に含有された水)も含んでなって、組成物への液体ベースを生成する(例えば、クリーム剤、ローション剤またはゲル剤を生成する)ことができる。そのような組成物は約50〜約98重量%(例えば、約70〜約98重量%)の水を含んでなりうる。
【0016】
本発明において有用な大豆製品は、それらの地理的起源、日光露呈、収穫時期などにかかわらず、全ての大豆種から製造することができる。しかしながら、特定の株、地理的起源または成長条件が好ましいであろう。
【0017】
例えば、それらのトリプシン阻害剤(例えばSTI、LTI、BBI)含有量が特に豊富な大豆株または豆中でトリプシン阻害剤を豊富にさせる成長条件が好ましいはずであるが、それらに限定されない。本発明の組成物において有用な大豆製品はある種の文化では耐えうるが他の文化では望ましくない独特な臭いを有することに注意すべきである。必要なら、リポキシゲナーゼ−2を欠いた豆および改質された糖特徴を有するものなどを包含するがそれらに限定されない減少した臭いを発生することが知られている大豆の特定株から誘導された大豆製品を使用することにより、本発明の組成物の臭いを減ずることができる。調合物内の酸素水準を減ずる方法は臭いも減じうる。種々の遮蔽剤または香料も臭いを遮蔽するために使用できる。
【0018】
非−変性大豆製品が本発明の組成物における使用にとって好ましい。それらは好ましくは欧州特許第1236465号明細書に記載されているように、例えば非−変性豆乳粉末の好ましくは約10kGyの線量におけるガンマ照射により、不純物除去される。
【0019】
本発明の組成物はさらに、抗発汗剤、特に収斂金属塩とも称する抗発汗金属塩、特にアルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛の無機および有機塩類、並びにそれらの混合物も含有する。これらは、例えばハロゲン化アルミニウム、ハロ水素酸アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、オキシハロゲン化ジルコニル、ヒドロキシハロゲン化ジルコニル、およびそれらの混合物の如き塩類を含んでなる。好ましいハロゲン化物は塩化物である。ヒドロキシアルミニウムクロロハイドレートおよびヒドロキシ塩化水素酸ジルコニルの群が特に興味がある。
【0020】
抗発汗乳化液中での使用に好ましいアルミニウム塩類の2つの群は、式:Al(OH)Cl6−a.xHO[式中、aは2〜5であり、xは1〜6であり、そしてaおよびxは非整数値を有しうる]により表すことができるものを包含する。a=5またはa=4であるアルミニウムクロロヒドロキシドが特に興味がある。抗発汗乳化液中での使用に好ましいジルコニウム塩類は、式:ZrO(OH)2−aCla.xHO[式中、aは0〜2の値を有するいずれかの数であり、xは約1〜約7であり、そしてaおよびxは非整数値を有しうる]により表すことができるものを包含する。好ましくは、ジルコニウム塩は組み合わされたアルミニウム/ジルコニウムハライドとしてまたは複合ハロハイドレート塩(complex halohydrate salts)として使用され、それらはアミノ酸、例えばグリシンと一緒でありうる。上記式に従うアルミニウムクロロヒドロキシドおよびジルコニルヒドロキシクロリドを含有する複合物が、特にグリシンと組み合わされると特に興味がある。
【0021】
好ましい抗発汗活性物質はアルミニウムクロロハイドレート、ジルコニウムアルミニウムクロロハイドレート並びに亜鉛塩を含んでなる。他のそのような薬剤はヒドロキシル酢酸アルミニウム並びに酸アルミニウム/ジルコニウム塩を含んでなる。特に適するクロロ
ハイドレートはアルミニウムクロルヒドロールまたはアルミニウムヒドロキシクロリドとも称する式[Al(OH)Cl]・2.5HOの化合物である。別のそのような薬剤はアルミニウム−ジルコニウム−テトラクロロヒドロキシ−グリシン−複合体である。具体的な種は、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムクロロヒドレックスプロピレングリコール複合体、アルミニウムジクロロヒドレックスプロピレングリコール複合体、アルミニウムセスキクロロヒドレックスプロピレングリコール複合体、アルミニウムクロロヒドレックスポリエチレングリコール複合体、アルミニウムジクロロヒドレックスポリエチレングリコール複合体、アルミニウムセスキクロロヒドレックスポリエチレングリコール複合体、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレックスロ複合体、アルミニウムジルコニウムテトラトリクロロヒドレックスグリシン複合体、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレックスグリシン複合体、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドレックスグリシン複合体、塩化アルミニウム、緩衝された硫酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせを包含する。
【0022】
抗発汗活性物質は市販されているかまたは当該技術で既知の方法により製造することができる。
【0023】
本発明に従う組成物は0.01〜90%の脱臭活性物質も含んでなりうる。本発明の化粧品中で使用される脱臭活性物質は当該技術で既知のいずれかの脱臭活性物質、例えばアルコール類、特に脂肪族1価アルコール類、例えばエタノールもしくはプロパノール、抗微生物性活性物質、例えばポリヘキサメチレンビグアニド類もしくは塩素化された芳香族類、例えばトリクロサン、非−抗微生物性脱臭活性物質、例えばクエン酸トリエチル、殺細菌剤および静細菌剤でありうる。さらに別の脱臭活性物質は亜鉛塩類、例えばリシノール酸亜鉛を包含しうる。
【0024】
エステラーゼ阻害剤、すなわち例えばクエン酸トリアルキル類、例えばクエン酸トリメチル類、クエン酸トリプロピル類、クエン酸イソトリプロピル類、クエン酸トリブチル類および特にクエン酸トリエチル類の如き剤を別の脱臭剤として加えることができる。別のエステラーゼ阻害剤は、硫酸または燐酸ステロール類、例えば、硫酸または燐酸ラノステリン、コレステリン、カンペステリン、スチグマステリンおよびシトステリン、二炭酸類およびそれらのエステル類、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸およびマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシ炭酸類およびそれらのエステル類、例えば、クエン酸、マロン酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエステルである。
【0025】
成長条件および根絶性汗分解細菌に影響するかまたはそれらの成長を妨害する抗細菌活性成分も脂質および/または水相の中に存在しうる。そのような成分の例は、トリクロサン、フェノキシエタノールおよびグルコン酸クロロヘキシジンおよび特に5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノールである。
【0026】
本発明に従う組成物は、さらに、乳化剤、より特にアルコキシル化された脂肪アルコール、並びにゲル化剤、より特にセルロース誘導体および珪酸塩誘導体の組み合わせである安定化システムも含有する。このシステムにより、抗発汗剤、例えばアルミニウムクロロハイドレート、および大豆製品、特に非−変性大豆製品の組み合わせが安定化する。
【0027】
エトキシル化されたアルコール、セルロース誘導体および珪酸塩誘導体の特定の組み合
わせが大豆製品および抗発汗剤を安定化させそして大豆製品および抗発汗剤の両者を安定な調合物中に維持する特定の網目構造を作成することが信じられる。
【0028】
アルコキシル化された脂肪アルコール類は、天然脂肪、油またはワックスから誘導される特にC12〜C24−脂肪アルコール類、より特にC16〜C22−脂肪アルコール類、さらにより特にC16〜C20−脂肪アルコール類、好ましくは特にC16〜C18−脂肪アルコール類、例えば、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、カプリニルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、例えばセテアリルアルコールの如き混合物を包含するエルシルアルコール、C12/13脂肪アルコール、並びにグエルベット(Guerbet)アルコール類、を含んでなる脂肪アルコール類から誘導される。飽和された直鎖もしくは分枝鎖状の脂肪アルコール類が本発明における使用にとって好ましい。しかしながら、場合により飽和アルコール類と混合されていてもよい、不飽和の直鎖もしくは分枝鎖状のアルコール類も使用することができる。
【0029】
天然産出油または脂肪、例えば、アーモンド油、大豆油、ヒマワリ油、サフラワー油、トウモロコシ油、カノーラ油、ルリヂサ油、マツヨイグサ油、ブドウ種油、小麦胚油、アボカド油、ホホバ油、ゴマ油、クルミ油、亜麻仁油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、マカダミア油、ナタネ油、ナンキンマメ油、ココナツ油、およびチューリップ種油から誘導される対応する脂肪酸画分の還元から得られる脂肪アルコール画分を包含する脂肪アルコール類の混合物をもちろん使用することもできる。これらの製品が誘導される脂肪アルコール類は飽和された直鎖もしくは分枝鎖状の脂肪アルコール類でありうる。しかしながら、場合により飽和アルコール類と混合されていてもよい、不飽和の直鎖もしくは分枝鎖状のアルコール類も使用することができる。
【0030】
アルコキシル化された脂肪アルコール類は、1〜50個のアルコキシ単位、好ましくは1〜30個のアルコキシ単位、より好ましくは10〜25個のアルコキシ単位、を含有しうる。アルコキシ単位は好ましくはエトキシまたはプロポキシ単位である。特に好ましいアルコキシル化された脂肪アルコール類は、エトキシル化されたまたはプロポキシル化されたC16−18脂肪アルコール類である。C16−18脂肪アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールおよびそれらの混合物、例えばセテアリルアルコール、より特に上記のアルコキシル化度を有するエトキシル化された同族体が特に興味がある。異なるエトキシル化度を有するエトキシル化された脂肪アルコール類、例えば低いエトキシル化度、例えば2〜6個のエトキシ単位、を有するエトキシル化された脂肪アルコール類および相対的に高いエトキシル化度、例えば15〜25個のエトキシ単位を有するエトキシル化された脂肪アルコール類の混合物を使用することが有利でありうる。
【0031】
適するセルロース誘導体は、ヒドロキシアルキルセルロース類、特にヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロースを含んでなる。
【0032】
本発明の組成物に適する珪酸塩類はゲル化/濃稠化性珪酸塩類を包含し、そして珪酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライトおよびそれらの誘導体を包含する。珪酸アルミニウムマグネシウムはコレライナイト、サポー石およびサファイアーの如き緑粘土物質中で天然産出する。ここで有用な精製された珪酸アルミニウムマグネシウムは商品名ビーグム(Veegum)TMで市販されている。改質された珪酸アルミニウムマグネシウム物質、例えば珪酸アルミニウムマグネシウム鉱物CMC、は商品名ビーグム・プラス(Veegum Plus)TMで市販されている。この改質された粘土物質はナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび二酸化チタンを含む緑粘土を含有する。ベントナイトは天然の水和したコロイド状珪酸アルミニウム粘土である。ヘクトライトは、ベントナイト粘土の主成分であるモンモリロナイト鉱物の1種である。
【0033】
ある種の態様では、安定化システムはエトキシル化された脂肪アルコール、ヒドロキシエチルセルロースおよび珪酸マグネシウムの組み合わせである。
【0034】
本発明の組成物は別の安定化成分を含有しうる。後者は例えば1種もしくはそれ以上の酸化防止剤、キレート化剤および防腐剤よりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の成分を含んでなりうる。
【0035】
好ましい態様では、安定化システムは
a)2〜6%のアルコキシル化された脂肪アルコール、好ましくはエトキシル化された脂肪アルコール、
b)0.2〜0.8%のセルロース誘導体、好ましくはヒドロキシアルキルセルロース、c)0.5〜1%の珪酸塩誘導体、好ましくはゲル化可能な珪酸塩誘導体
を含んでなる。
【0036】
さらに好ましい態様では、安定化システムは
a)2〜6%のアルコキシル化された脂肪アルコール、
b)0.2〜0.8%のヒドロキシアルキルセルロース、
c)0.5〜1%の珪酸アルミニウムマグネシウム
を含んでなる。
【0037】
本発明の特別な態様は
a)非−変性大豆製品、
b)アルミニウムクロロハイドレート抗発汗剤、
c)エトキシル化されたC16〜C20−脂肪アルコール、
d)ヒドロキシエチルセルロース、
e)珪酸アルミニウムマグネシウム
を含有する組成物を含んでなる。
【0038】
本発明のさらに特別な態様は
a)0.1%〜5%の非−変性大豆製品、
b)10〜40%のアルミニウムクロロハイドレート抗発汗剤、
c)2〜6%のエトキシル化されたC16−C20−脂肪アルコール、
d)0.2〜0.8%のヒドロキシエチルセルロース、
e)0.5〜1%の珪酸アルミニウムマグネシウム
を含んでなる組成物を含んでなる。
【0039】
本発明に従う特に興味ある組成物は、水中油滴型、油中水滴型または複合乳化液でありうる乳化液をベースとしたものである。特別な態様は、大豆製品、抗発汗活性剤、およびa)アルコキシル化された脂肪アルコール、
b)セルロース誘導体、
c)珪酸塩誘導体
を含有する安定化システムを含有する水中油滴型乳化液を含んでなる組成物であり、ここで成分の量はこの明細書に概略記述された通りでありうる。
【0040】
本発明の組成物は1種もしくはそれ以上の防腐剤を含有しうる。防腐剤は微生物による分解を実質的に防止するために有用である。防腐剤の例は、フェノキシエタノール並びにパラベン類、例えばメチル−パラベン、エチルパラベン、およびプロピルパラベンを包含する。防腐剤の他の例は、以下では「Cosmetic Handbook」と称するInternational Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,eds.Wenninger and McEwen(CTFA,7th ed.,1997)の1654−55頁に挙げられている。組成物は約0.01〜約20重量%(より好ましくは、約0.5〜5重量%)の防腐剤を含んでなりうる。微細物汚染はガンマ照射もしくは微量濾過によりまたはプロテアーゼ阻害活性の排除を生じない短時間熱処理により排除することもできる。
【0041】
酸化防止剤および/またはキレート化剤を使用して組成物の貯蔵寿命および安定性を増加させることもできる。酸化防止剤は調合物安定化および生物学的効果の両方のために加えることができる。酸化防止化合物およびそれらの誘導体は水溶性酸化防止剤、例えばスルフィドリル化合物およびそれらの誘導体(例えば、メタ亜硫酸ナトリウムおよびN−アセチル−システイン)、リポ酸およびジヒドロリポ酸、レスベラトロール、アセチル−システイン(イネフェリン(Ineferine)TM)またはラクトフェリン、並びにアスコルビン酸並びにアスコルビン酸誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビルおよびアスコルビルポリペプチド)を包含するが、それらに限定されない。本発明の組成物における使用に適する油溶性酸化防止剤はブチル化されたヒドロキシトルエン、レチノイド類(例えばレチノールおよびパルミチン酸レチニル)、トコフェロール類(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール類、並びにユビキノンを包含するが、それらに限定されない。発明の組成物における使用に適する酸化防止剤を含有する天然抽出物はフラボノイド類およびイソフラボノイド類並びにそれらの誘導体(例えば、ゲニステインおよびジアドジン)を含有する抽出物、レスベラトロールを含有する抽出物などを包含するが、それらに限定されない。そのような天然抽出物の例はブドウ種、緑茶、松の皮、プロポリス、および豆科植物抽出物を包含する。酸化防止剤の他の例はCosmetic Handbookの1612−13頁に見出すことができる。本発明の組成物は酸化防止剤を組成物の約0.001〜約20重量%(例えば、約0.01〜約10重量%)の量で含んでなる。
【0042】
キレート化剤も本発明の組成物の安定化を助ける際に有用でありうる。キレート化剤の例はEDTA並びにそれらの誘導体(例えば、ジイソジウムEDTAおよびジカリウムEDTA)、イニフェリン(Iniferine)TM、ラクトフェリン、並びにクエン酸を包含する。キレート化剤の他の例はCosmetic Handbookの1626頁に挙げられている。
【0043】
本発明の組成物はキレート化剤を組成物の約0.001〜約20重量%(例えば、約0.01〜約10重量%)の量で含んでなる。
【0044】
濃稠化剤(例えば、シックナーまたは粘度増加剤)を本発明の組成物中でそれらの粘度を変えるために使用することができる。組成物の所望する粘度は(例えば、入浴製品、クリーム剤、ローション剤、またはゲル剤としての)意図する用途に依存するであろう。例えば、入浴または洗浄製品の如き用途では、組成物の粘度は水溶液と同様に相対的に低くすべきである。例えばクリーム剤、ローショ剤、またはゲル剤としての用途はわずかにそれより高い粘度(例えば、100cPs〜100,000cPsの間)を有するであろう。
【0045】
粘度を変えるために本発明の組成物に加えることができる濃稠化剤は、重合体、例えばポリアクリレート類(例えば、ポリアクリルアミド)、を包含する。粘度改変剤の他の例はCosmetic Handbookの1692−97頁に挙げられている。適切な粘
度を得るために、本発明の組成物は約0.01〜約20重量%(例えば、約0.1〜約5重量%)の濃稠化剤を含んでなりうる。
【0046】
本発明の組成物は、塩の水性調合物を大豆成分にまたはその逆に加えることにより、製造される。本発明の組成物は従って主として水性である。
【0047】
本発明の組成物において、抗発汗活性物質対大豆製品のw/w比は変えうるが、特に約50:1〜1:1、さらに特に30:1〜2:1、なおさら特に20:1〜5:1、好ましくは約15:1〜5:1の範囲内にあり、より好ましくはw/w比は約10:1〜5:1の範囲内にある。これらのw/w比は乾燥大豆製品および乾燥塩の合計量に関する。
【0048】
組成物は別の成分または添加剤、例えば活性成分、界面活性剤、乳化剤、コンシステンシー要素、コンディショナー、軟化剤、スキンケア成分、湿潤剤、潤滑剤、充填剤、結合剤、酸化防止剤、防腐剤、香料などを含有しうる。
【0049】
大豆製品は好ましくは本発明の組成物中に0.001%〜10%そして好ましくは0.1%〜5%、より好ましくは0.5%〜3%の濃度で使用される。一緒にされる抗発汗活性物質は組成物中で約1%〜60%そして好ましくは約5〜40%、より好ましくは約10%〜40%の間で使用すべきである。
【0050】
断らない限り、以上および以下の章で全ての百分率はw/w百分率である。
【0051】
本発明に従う調合物は、適切な成分を混合することにより、製造することができる。予備混合物を製造しそして成分または他の予備混合物を加えることも可能である。好ましい製造方法では、本発明の組成物は乳化液をベースにした、特に水中油適型乳化液であり、そして全ての親水性成分を含有する水相、全ての親油性成分を含有する油相を製造しそして引き続き油相を水相に加えて乳化液を製造することにより、製造される。好ましくは、大豆製品の少量の水中予備混合物を乳化液の製造後に加える。
【0052】
本発明の組成物は、毛の成長、毛嚢および毛幹寸法並びに毛幹着色における変化を生ずるために有効である。
【0053】
大豆製品そして特にここに挙げられたような非−変性大豆製品は多くの有利な効果、例えば皮膚の硬さおよび弾性、並びに色調および肌理の増加、を有しており、皮膚老化の影響を克服し且つ処理し、日光が誘発する被害およびざ瘡を予防および処理することが知られている。本発明の組成物は従ってこれらの追加利点を有しうる。
【0054】
本発明に従う組成物は種々の形態をとることができ、それらは使用される最終製品の性質に依存するであろう。組成物は液剤、親水性ローション剤、軟膏剤、クリーム剤またはゲル剤の形態でありうる。調合物は、例えば、水中油滴型、油中水滴型もしくは複合乳化液またはフォーミング製品でもありうる。
【0055】
本発明の抗発汗組成物はエアロゾル剤、ロール−オン剤、ポンプ噴霧剤、クリーム剤調合物を適用するために使用されるスティック剤およびいわゆるマッシュルーム・アプリケーター、ワックスをベースとしたスティック剤、石鹸をベースとしたスティック剤、圧縮粉末スティック剤、ロール−オン懸濁剤または液剤、乳化液、ゲル剤、クリーム剤、圧搾噴霧剤、ポンプ噴霧剤、およびエアロゾル剤を包含する消費者の個別嗜好に依存するある範囲の種々のアプリケーターを用いて適用することができる。各製品形態は、追加成分、ある種の必須およびある種の任意成分の独自の選択物を含有する。上記の製品形態の各々に典型的なタイプの成分を本発明の対応する組成物中に加えることができる。スティック剤、ゲル剤およびクリーム剤または軟質固体が好ましい。用語スティック剤は伝統的に、普通は分散容器内に収容されそして適用時にその構造一体性および形状を保持する堅い外観を有する物質の棒を示す。スティック剤の一部が皮膚表面と接触して引っ張られるときに、スティック組成物の膜が皮膚表面に移される。スティック剤はそれ自体の形状をある期間にわたり保持しうる堅い製品の外観を有するが、組成物の膜が接触時にスティック剤から別の表面に容易に移されるようにその物質は普通は明確な構造をもつ液相を有する。
【0056】
使用のために、スティック剤は使用者の皮膚に直接適用される。これは、容器内にスティック剤として存在する軟質固体組成物と対照的であるが、それにより、使用のために一部分が容器から組成物の本体より小さい断面を有する口を通して押し出されてこれらの口を通って流出する。
【0057】
スティック剤のための組成物はそれらの形状を保持するように構成されるであろう。ロール−オン適用のための組成物は液体または半液体であろうが、噴霧可能な組成物は比較的低い粘度を有する。
【0058】
下記の実施例は本発明を説明するためであるがそれに限定することは意図しない。
【実施例】
【0059】
下記の調合例において全て百分率は重量による(w/w)。
【0060】
調合物は下記の方法で製造された水中油滴型調合物である。最初に、ヒドロキシエチルセルロース、珪酸アルミニウムマグネシウムを必要量の水に加えることにより水相を製造した。引き続き、二ナトリウムEDTA、メチルパラベンおよびプロピルパラベンをこの混合物に加える。別個に、ステアレス−21およびステアレス−2、ラウリン酸グリセリルを炭酸ジカプリルに加えることにより油相を製造した。次に、高められた温度(75−80℃)において撹拌しながら、油相を水相に加えた。全体をそのまま少し撹拌して安定な乳化液を製造した。次に、アルミニウムクロロハイドレートをこのようにして得られた乳化液に加えそして予めガンマ照射により汚染除去された非−変性大豆粉末、PEG−8、フェノキシエタノールおよびメチルクロトン酸シトロネリルよりなる予備混合物を乳化液に撹拌下で加える。
【0061】
%活性物質 %(w/w) %(w/w)活性物質水 38.8875
ヒドロキシエチルセルロース 0.5500
珪酸アルミニウムマグネシウム 0.8000
アルミニウムクロロハイドレート 50 40.0000 20
50%/水性50%(「クロロヒ
ドロール50%」)
炭酸ジカプリル 5.0000
ステアレス−21 3.0000
ステアレス−2 1.0000
ラウリン酸グリセリル 0.6000
二ナトリウムEDTA 0.1000
メチルパラベン 0.3000
プロピルパラベン 0.1000
フェノキシエタノール 0.8000
グリシン大豆 2.5125

メチルジヒドロジャスモネート 1.0000
メチルクロトン酸シトロネリル 0.3500
PEG8 5.0000
合計 100.000

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆製品および少なくとも1種の局所的に許容可能な抗発汗活性成分を含んでなる抗発汗組成物であって、組成物が
a)アルコキシル化された脂肪アルコール、
b)セルロース誘導体、
c)珪酸塩誘導体
をさらに含んでなる抗発汗組成物。
【請求項2】
大豆製品が非−変性大豆製品、例えば非−変性豆乳または粉末である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗発汗剤がアルミニウムおよびジルコニウム塩から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
抗発汗剤がアルミニウムクロロハイドレート(aluminium chlorohydrate)である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
アルコキシル化された脂肪アルコールがエトキシル化されたC16−20脂肪アルコールである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
セルロース誘導体がヒドロキシエチルセルロースである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
珪酸塩誘導体が珪酸アルミニウムマグネシウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が0.1〜最大10%の量で加えられたアルコキシル化された脂肪アルコール、0.01〜3%の量のセルロース誘導体および0.01%〜3%の量の珪酸塩誘導体を含有し、全ての百分率が組成物の合計重量に関するw/wである請求項1−7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が
a)2〜6%のエトキシル化された脂肪アルコール、
b)0.2〜0.8%のヒドロキシエチルセルロース、
c)0.5〜1%の珪酸アルミニウムマグネシウム
を含んでなる請求項1に記載の抗発汗組成物。
【請求項10】
組成物が
a)0.1%〜5%の非−変性大豆製品、
b)10〜40%のアルミニウムクロロハイドレート抗発汗剤、
c)2〜6%のエトキシル化されたC16−20−脂肪アルコール、
d)0.2〜0.8%のヒドロキシエチルセルロース、
e)0.5〜1%の珪酸アルミニウムマグネシウム
を含んでなる請求項1に記載の抗発汗組成物。

【公表番号】特表2007−503412(P2007−503412A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524301(P2006−524301)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009316
【国際公開番号】WO2005/018594
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(504186334)ジヨンソン・アンド・ジヨンソン・コンシユーマー・フランス・エス・エイ・エス (1)
【Fターム(参考)】