説明

天井クレーン

【課題】走行レールを越える外側の位置まで荷物を移動させることができる天井クレーンを提供する。
【解決手段】建家Tに敷設された主、従走行レール1、2と、主走行レールに沿って走行する主走行機構部10と、従走行レールに沿って走行する従走行機構部40と、主、従走行レールと交差し、且つ、従走行レールを越えて延長され、主、従走行機構部に吊り下げられ、荷物移送手段70が移動する横行レール3とで構成された天井クレーンAにおいて、主走行機構部に回転自在に横行レールが吊着されており、従走行機構部に横行レールが回転自在、且つ、相対移動可能に吊着されており、主走行機構部には、主走行レールの上を走行する走行輪と、主走行レールの下面に対して転動する補助輪が装備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や倉庫の荷物の移送に最適でしかも走行レールを越える場所にも搬送可能な搬送範囲の非常に広い天井クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫では荷物の搬送のために天井クレーンを使用してきた。天井クレーンはよく知られているように、建物の対向壁面に沿って一対の走行レールが配設され、この走行レールを走行する走行台車に横行レールを掛け渡し、この横行レールにチェーンブロックを走行可能に取り付け、更にこのチェーンブロックに荷物を吊ったり玉掛けしたりして或る地点から他の地点に移送していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−233888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような天井クレーンでは、荷物を或る場所から他の場所に移動させる場合、チェーンブロックに荷物を吊り下げて走行するため、走行レールをはみ出した外側の位置にチェーンブロックが移動すると、移動側の走行台車を支点に反対側の走行台車が走行レールから浮き上がることになるため、チェーンブロックの横行レール上の移動範囲は走行レール間に限られていた。
【0005】
本発明はこのような従来例の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは走行レールを越える外側の位置まで荷物を移動させることができる天井クレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天井クレーン(A)は、
建家(T)に敷設された主、従走行レール(1)(2)と、
主走行レール(1)に沿って走行する主走行機構部(10)と、
従走行レール(2)に沿って走行する従走行機構部(40)と、
主、従走行レール(1)(2)と交差し、且つ、従走行レール(2)を越えて延長され、主、従走行機構部(10)(40)に吊り下げられ、荷物移送手段(70)が移動する横行レール(3)とで構成された天井クレーン(A)において、
主走行機構部(10)に回転自在に横行レール(3)が吊着されており、従走行機構部(40)に横行レール(3)が回転自在、且つ、相対移動可能に吊着されており、
主走行機構部(10)には、主走行レール(1)の上を走行する走行輪(13)と、主走行レール(1)の下面(1k)に対して転動する補助輪(14)が装備されている事を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、荷物を吊り下げた荷物移送手段(70)を作業者が保持して主、従走行レール(1)(2)間の地点(X)から地点(Y)に移動させることは勿論、主走行機構部(10)には主走行レール(1)の下面(1k)に対して転動する補助輪(14)が装備されているので、地点(Y)から従走行レール(2)を越えた外側の地点(Z)に移動させたとしても補助輪(14)が主走行レール(1)の下面(1k)を転動して下から支えるので、主走行機構部(10)の浮き上がりが防止され、従走行レール(2)外への荷物移送手段(70)の移動が可能となり、荷物移送範囲を大幅に拡大することが出来る。
【0008】
なお、主走行機構部(10)に回転自在に横行レール(3)が吊着されており、従走行機構部(40)に横行レール(3)が回転自在、且つ、相対移動可能に吊着されているので、主、従走行レール(1)(2)が平行でなくても主、従走行レール(1)(2)間の距離に合わせて主、従走行機構部(10)(40)間の距離が変化するため、横行レール(3)は主、従走行機構部(10)(40)に沿って円滑に移動することになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るクレーンの正面図である。
【図2】本発明に使用される主走行機構部の側面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】本発明に使用される従走行機構部の側面図である。
【図5】本発明に係るクレーンの全体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。本発明のクレーン(A)は、工場のような建家(T)の天井部分に敷設された2本の主、従走行レール(1)(2)、横行レール(3)及び主、従走行機構部(10)(40)とで構成されている。主、従走行レール(1)(2)及び横行レール(3)はI形鋼やH形鋼のようなもので構成され、主走行レール(1)では本体部分の上下端部に水平に延びるウェブ(1y)(1w)が、従走行レール(2)ではウェブ(2y)(2w)が、横行レール(3)ではウェブ(3y)(3w)が、全長にわたって延出されている。横行レール(3)の両端にはストッパー(3s)が設けられている。
【0011】
主走行機構部(10)は、図2及び3に示すように、主走行レール(1)に装着されて走行する主走行部(11)、横行レール(3)を吊持ちする主吊持部(21)、主走行部(11)と主吊持部(21)とを連結する主連結部(30)とで構成されている。
【0012】
主走行部(11)は、左右一対の主走行側板(12)、主走行側板(12)の中央に貫通して設けられた補助輪(14)、主走行側板(12)の上端にそれぞれ離間して設けられた前後一対の走行輪(13)、主走行側板(12)の下端部分の間に設けられた主走行軸受ブロック(18)とその付属品、両主走行側板(12)の外側に設けられ、補助輪(14)の高さ調整を行う高さ調整機構部(15)、ウェブガイド部(16)などで構成されている。
【0013】
補助輪(14)は、主走行側板(12)を貫通して設けられた主軸ボルト(14a)及び回転コロ(14c)とで構成され、主軸ボルト(14a)は主走行側板(12)の中央に穿設された上下方向に伸びている縦長孔(12a)に挿通され、その雌ねじ(14b)に主軸用ナット(17)が座金を介して螺着されている。主軸ボルト(14a)の中央にはベアリング(14d)を介して回転コロ(14c)が主軸ボルト(14a)の周りに回転自在に取り付けられている。回転コロ(14c)の両側にはスリーブ(14e)が取り付けられており、主走行側板(12)間の中央に回転コロ(14c)が位置するようになっている。
【0014】
主軸ボルト(14a)の高さ調整を行う高さ調整機構部(15)は、両主走行側板(12)の外面にて縦長孔(12a)の上下に固定された一対の高さ調整ブロック(15a)(15b)と、高さ調整ブロック(15a)(15b)に主軸ボルト(14a)のボルト頭(14h)や主軸用ナット(17)に対して上下方向から当接するように螺着された当接ボルト(15t)(15u)とで構成されている。この当接ボルト(15t)(15u)を螺進螺退させることで主軸ボルト(14a)を縦長孔(12a)に沿って上下させ、補助輪(14)の高さを調整して固定することができるようになっている。高さ調整が終了すれば、ナット(15n)で固定される。
【0015】
走行輪(13)は両主走行側板(12)の上端にそれぞれ水平方向に離間して設けられ、補助輪(14)の斜め上の前後に配置されている。走行輪(13)は主走行側板(12)に取り付けられた走行軸(13a)、走行軸(13a)に装着されたベアリング(13b)、及びこのベアリング(13b)を介して走行軸(13a)に回転自在に取り付けられた走行コロ(13c)とで構成されている。走行コロ(13c)と回転コロ(14c)との間隔は、主走行レール(1)の下側のウェブ(1w)の肉厚にほぼ等しくなるように補助輪(14)の高さが調整されるようになっている。
【0016】
ウェブガイド部(16)は、ガイドコロ(16a)、ガイドコロ取付板(16b)及び締結具(16c)などで構成されている。ガイドコロ(16a)は例えばラジアルベアリングのようなもので、ウェブ(1w)の側縁に接触したときにスムーズに回転するような円形部材である。ガイドコロ取付板(16b)は両主走行側板(12)の前、後側縁の上寄りの部分で、その前後方向且つ外方に突出するように、ねじ止め或いは溶接にて取り付けられている。そして、その先端部分にはボルト、ナット及び座金などで構成される締結具(16c)によりガイドコロ(16a)が回転可能に取り付けられている。ガイドコロ(16a)の設置位置は、主走行レール(1)のウェブ(1w)を上下から挟む走行コロ(13c)と回転コロ(14c)との間の隙間に一致するように配置されている。
【0017】
主走行軸受ブロック(18)は、両主走行側板(12)間の下部において、主走行側板(12)にボルト止めされており、四角形のブロックで中央に段付きの丸孔(18a)が穿設されており、下面側において、その段部(18c)にベアリング(18b)が係合している。そして、上面側から押圧リング(18d)が丸孔(18a)に嵌め込まれて主走行軸受ブロック(18)にボルト止めされ、段部(18c)と押圧リング(18d)とでベアリング(18b)の外輪を挟持固定している。押圧リング(18d)の形状は、リング状の本体部分(18f)、本体部分(18f)から突出した外輪押圧部(18g)とで構成されている。本体部分(18f)に形成された通孔(18h)は後述する連結ボルト(31)の首部(31b)が若干の隙間を持って挿入できる大きさに形成されている。
【0018】
主吊持部(21)は、前後一対の主吊持側側板(22)、主吊持側軸受ブロック(28)、主吊持側ベアリング(28b)、挟持用ブロック(23)、ボルト取付ブロック(24)及び挟持用ボルト(24a)とで構成されている。主吊持側軸受ブロック(28)は、主走行軸受ブロック(18)と同一の形状で、天地を逆にして主吊持側側板(22)間の上端部にボルト止めされている四角形のブロックで中央に段付きの丸孔(28a)が穿設されており、丸孔(28a)に嵌め込まれたベアリング(28b)がその段部(28c)に当接している。そして、下面側から押圧リング(28d)が丸孔(28a)に嵌め込まれて主吊持側軸受ブロック(28)にボルト止めされ、段部(28c)と押圧リング(28d)とでベアリング(28b)の外輪を挟持固定している。押圧リング(28d)の形状は、リング状の本体部分(28f)、本体部分(28f)から突出した外輪押圧部(28g)とで構成されている。本体部分(28f)に形成された通孔(28h)は後述する下側の連結ボルト(32)の首部(32b)が若干の隙間を持って挿入できる大きさに形成されている。
【0019】
挟持用ブロック(23)は単なる四角形のブロックで、両主吊持側側板(22)間の中間部分にボルト止めされている。一対のボルト取付ブロック(24)は主吊持側側板(22)のそれぞれの内側の下端部にボルト止めされており、挟持用ブロック(23)との間に横行レール(3)の上側のウェブ(3Y)が十分挿入されるだけの隙間が設けられている。そして、挟持用ブロック(23)に向けてこれらボルト取付ブロック(24)に挟持用ボルト(24a)が螺進螺退可能に取り付けられている。ボルト取付ブロック(24)の間には横行レール(3)の本体部分が入る。
【0020】
主連結部(30)は、同一形状の上下の連結ボルト(31)(32)、1本の連結ナット(33)及び円筒形のスリーブ(34)とで構成されている。連結ボルト(31)(32)は、押圧リング(18d)(28d)の通孔(18h)(28h)の内径より直径の大きいヘッド部(31a)(32a)、ヘッド部(31a)(32a)と同芯に設けられ、押圧リング(18d)(28d)の通孔(18h)(28h)の内径より若干細い首部(31b)(32b)、首部(31b)(32b)と同芯に設けられ、ベアリング(18b)(28b)に嵌り込む嵌合部(31c)(32c)、嵌合部(31c)(32c)と同芯に設けられた雄螺子部(31d)(32d)とで構成されている。
【0021】
この主連結部(30)の連結ボルト(31)(32)は、前述のように同一形状である主走行部用と主吊持部用の2つが用意されており、図2、3に示すように、主走行部(11)と主吊持部(21)のベアリング(18b)(28b)にそれぞれ装着され、更に1本の連結ナット(33)にその雄螺子部(31d)(32d)が上下から螺入されている。更に連結ナット(33)の上からスリーブ(34)が被せられ、ベアリング(18b)(28b)に外輪にスリーブ(34)が当接して主走行部(11)と主吊持部(21)の間隔が確定され、貫通ボルトのような回り止め(35)で固定されている。
【0022】
従走行機構部(40)は、主走行機構部(10)と同様、従走行部(41)、従吊持部(51)及び従連結部(60)とで構成されている。従走行部(41)と従吊持部(51)とはその構造において、単に天地を違えただけの構造である。
【0023】
従走行部(41)の左右一対の従走行側板(42)の上部両角部には一対の走行輪(43)が所定の間隔をあけて前後にそれぞれ取り付けられている。走行輪(43)の構造は主走行部(11)の走行輪(13)と同一構造で、走行軸(43a)とベアリング(43b)及び走行コロ(43c)とで形成されている。従走行側係止ブロック(44)は四角形のブロックで、中央に段付き丸孔(44a)が形成されており、その段部(44b)に回転支持リング(45)が嵌め込まれている。回転支持リング(45)は、中央に同心の段付き丸孔(45a)が穿設され、段部(45b)が内周面に形成されている。
【0024】
従走行部(41)のウェブガイド部(46)も主走行部(11)のウェブガイド部(16)と同一形状で、ガイドコロ(46a)、ガイドコロ取付板(46b)及び締結具(46c)などで構成されている。ガイドコロ(46a)は例えばラジアルベアリングのようなもので、従走行レール(2)の下側のウェブ(2w)の側縁に接触したときにスムーズに回転するような円形部材である。ガイドコロ取付板(46b)は従走行側板(42)の前、後側縁の下寄りの部分に前後方向且つ外方に突出するように、ねじ止め或いは溶接にて取り付けられている。そして、その先端部分にはボルト、ナット及び座金などで構成される締結具(46c)によりガイドコロ(46a)が回転可能に取り付けられている。ガイドコロ(46a)の設置位置は、従走行レール(2)のウェブ(2w)に一致するように配置されている。
【0025】
従吊持部(51)の両従吊持側板(52)の下部両角部には一対の従吊持輪(53)が所定の間隔をあけて左右に取り付けられている。従吊持輪(53)の構造は前記走行輪(13)や走行輪(43)と同一構造で、吊持軸(53a)とベアリング(53b)及び吊持コロ(53c)とで形成されている。従吊持側係止ブロック(54)は四角形のブロックで、中央に段付き丸孔(54a)が形成されており、丸孔(54a)に嵌め込まれ回転吊持リング(55)がその段部(54b)に係合している。回転吊持リング(55)は、中央に同心の段付き丸孔(55a)が穿設され、段部(55b)が内周面に形成されている。
【0026】
従吊持部(51)のウェブガイド部(56)は、ガイドコロ(56a)、ガイドコロ取付板(56b)及び締結具(56c)などで構成されている。ガイドコロ(56a)は前述同様例えばラジアルベアリングのようなもので、横行レール(3)の上側のウェブ(3y)の側縁に接触したときにスムーズに回転するような円形部材である。ガイドコロ取付板(56b)は従吊持側板(52)の左、右側縁の上寄りの部分に左右方向且つ外方に突出するように、ねじ止め或いは溶接にて取り付けられている。そして、その先端部分にはボルト、ナット及び座金などで構成される締結具(56c)によりガイドコロ(56a)が回転可能に取り付けられている。ガイドコロ(56a)の設置位置は、横行レール(3)のウェブ(3y)に一致するように配置されている。
【0027】
従連結部(60)は、上、下の連結ナット(61)(62)、連結ボルト(63)およびその付属品で構成されている。上、下の連結ナット(61)(62)は、外鍔付きの円筒状のもので、外鍔(61a)(62a)と円筒部分(61b)(62b)の外周側コーナー部分に全周にわたって段付き角部(61c)(62c)が形成されている。そして、円筒部分(61b)(62b)の段付き貫通孔(61d)(62d)の外鍔(61a)(62a)側の孔部は大径に形成されており、その下の細い孔部には左、右雌ネジがそれぞれ刻設されており、この雌ネジ部分(61e)(62e)と大径部分との境界には段部(61f)(62f)が形成されている。
【0028】
連結ボルト(63)は、棒状のもので両端部分に左、右雄ねじがそれぞれ刻設された雄ねじ部(63a)(63b)が設けられており、中央にスパナ掛け(63c)が設けられている。
【0029】
上の連結ナット(61)は、従走行側係止ブロック(44)の回転支持リング(45)の丸孔(45a)に回転可能に嵌め込まれ、丸孔(45a)の段部(45b)に回転自在に係合している。同様に、下の連結ナット(62)は従吊持側係止ブロック(54)の回転吊持リング(55)の丸孔(55a)に回転可能に嵌め込まれ、丸孔(55a)の段部(55b)が下の連結ナット(62)の段付き角部(62c)に回転自在に係合している。
【0030】
そして、上、下の連結ナット(61)(62)の雌ネジ部分(61e)(62e)に連結ボルト(63)の左右ねじにそれぞれ刻設された雄ねじ部(63a)(63b)がそれぞれ螺入され、主走行機構部(10)における主走行レール(1)と横行レール(3)の間隔に合わせて連結ボルト(63)の捩じ込み代を調節した処で上、下の連結ナット(61)(62)の貫通孔(61d)(62d)の段部(61f)(62f)に係合した座(47)(48)を介してボルト止めがなされる。更に、前記雄ねじ部(63a)(63b)には左右ねじにそれぞれ刻設されたナット(65)(66)がダブルナット掛けされ、緩み止めのネジがナット(65)(66)や連結ナット(61)(62)に捩じ込まれている。
【0031】
上記のように構成された主走行機構部(10)の主走行部(11)を主走行レール(1)に走行可能に取り付ける。即ち、走行輪(13)を主走行レール(1)の下側のウェブ(1w)の上面(1j)に係止し、高さ調整機構部(15)を操作して補助輪(14)を前記ウェブ(1w)の下面(1k)に接触または近接させる。ガイドコロ(16a)は前記ウェブ(1w)の両側縁を挟む。走行輪(13)と補助輪(14)との間隔が不適切であれば高さ調整機構部(15)の当接ボルト(15t)(15u)を螺進螺退させることで調節することができる。調節が終われば、ナット(15n)で当接ボルト(15t)(15u)をダブルナット固定する。
【0032】
同様に従走行機構部(40)の従走行部(41)を従走行レール(2)に走行可能に取り付ける。即ち、走行輪(43)を従走行レール(2)の下側のウェブ(2w)の上面に係止する。ガイドコロ(46a)は前記ウェブ(2w)の両側縁を挟む。
【0033】
続いて、主走行機構部(10)の主吊持部(21)の挟持用ボルト(24a)を緩めて挟持用ブロック(23)とボルト取付ブロック(24)との間に横行レール(3)の上側のウェブ(3y)を挿入する。然る後、挟持用ボルト(24a)を螺入してウェブ(3y)を挟持用ブロック(23)に押圧固定する。同様に、従走行機構部(40)の従吊持部(51)の従吊持輪(53)に前記ウェブ(3y)を係止する。最後に荷物移送手段(70)であるチェーンブロックのような装置を横行レール(3)に装着する。荷物移送手段(70)には荷物吊り下げ用のワイヤ(71)が取り付けられている。
【0034】
しかして、地点(X)において、荷物を荷物移送手段(70)にて吊り上げ、地点(Y)または地点(Z)まで移送する。地点(X)、(Y)は主、従走行レール(1)(2)間に位置するので、主、従走行機構部(10)(40)の主、従吊持部(21)(51)には下向きの力のみが加わることになるが、荷物移送手段(70)が従走行レール(2)を越えると、従走行機構部(40)を支点として主走行機構部(10)の主走行部(11)をウェブ(1w)の下面に押圧する上向きの力が加わるが、主走行部(11)には補助輪(14)が装備されているので、主走行レール(1)の下面(1k)を転動することになり、従走行レール(2)を越えた部分でもスムーズに荷物を搬送することができる。
【0035】
また、従走行機構部(40)の従吊持部(51)が横行レール(3)を吊り持ちしつつ移動して主走行機構部(10)との距離を拡縮することが出来、且つ、主走行機構部(10)の主吊持部(21)が主走行部(11)に対して回転するので、地点(X)から地点(Y)への移動において、主、従走行レール(1)(2)が平行でなくとも横行レール(3)をスムーズに移動させることが出来る。
【符号の説明】
【0036】
(A) 天井クレーン
(T) 建家
(1) 主走行レール
(1k) 主走行レールの下面
(2) 従走行レール
(3) 横行レール
(10) 走行機構部
(13) 走行輪
(14) 補助輪
(40) 従走行機構部
(70) 荷物移送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建家に敷設された主、従走行レールと、
主走行レールに沿って走行する主走行機構部と、
従走行レールに沿って走行する従走行機構部と、
主、従走行レールと交差し、且つ、従走行レールを越えて延長され、主、従走行機構部に吊り下げられ、荷物移送手段が移動する横行レールとで構成された天井クレーンにおいて、
主走行機構部に回転自在に横行レールが吊着されており、従走行機構部に横行レールが回転自在、且つ、相対移動可能に吊着されており、
主走行機構部には、主走行レール上を走行する走行輪と、主走行レールの下面に対して転動する補助輪が装備されている事を特徴とする天井クレーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−107772(P2013−107772A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256469(P2011−256469)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000132079)株式会社スーパーツール (11)
【Fターム(参考)】