説明

天井クレーン

【課題】傾斜した屋根の下方に沿う形状のガーダを備えた天井クレーンであっても、ガー
ダ側に配備されるトロリの横行手段の形成に手数を要することがなく、簡易、かつ、低コ
ストで製造することができる天井クレーンを提供すること。
【解決手段】ガーダ3の下端板33をガーダ3の幅方向の両側に延出させて形成した延出
部33aの上面をトロリ4が横行する横行レール30に形成するとともに、下端板33の
下面33bにトロリ4の横行駆動用チェーンスプロケット41が噛合するチェーン31を
敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井クレーンに関し、特に、中央部が周辺部より高くなるように傾斜した屋
根の下方に沿う形状のガーダを備えた天井クレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場等の構造物内に設置される天井クレーンは、構造物内にある吊荷を吊り下
げて搬送するために利用され、ガーダと、ガーダがガーダ走行部を介して走行する、所定
間隔(スパン)を設けて構造物内に配設される走行レールと、ガーダに沿って横行するト
ロリとを備え、トロリに配備されているホイストが巻回するワイヤロープの先端に配設さ
れる吊具によって、吊荷を吊り下げて搬送するようにしている(例えば、特許文献1〜2
参照。)。
【0003】
また、構造物によって、屋根の中央部が周辺部より高くなるように傾斜している場合が
あり、このような場合には、揚程を稼ぎ、構造物内で高さ寸法の大きい吊荷に対応するこ
とができるように、ガーダの形状を傾斜した屋根の下方に沿う傾斜した領域や曲線状に湾
曲した領域を有するガーダを備えた天井クレーンが用いられている(例えば、特許文献3
参照。)。
【0004】
ところで、この天井クレーンのトロリは、傾斜した屋根の下方に沿うように、傾斜した
領域や曲線状に湾曲した領域を有するガーダを横行する必要があるため、横行レール上を
走行する車輪を駆動させるようにしたのでは、吊荷を吊り下げた状態では、吊荷の重量に
よっては横行中に車輪がスリップしてしまうため、横行レールに沿ってラックを刻設し、
このラックに噛み合うピニオンギヤをトロリに配備し、ラックに噛み合った状態のピニオ
ンギヤをモータによって回転させることでトロリを移動させるようにしている。
このため、ガーダには、傾斜した領域や曲線状の領域を含め、トロリが横行する範囲の
全体に亘って、ラックを形成する必要があり、ガーダの製造に手数を要するとともに、コ
ストがかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−109284号公報
【特許文献2】特開2008−030895号公報
【特許文献3】特開2005−132557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の天井クレーンの有する問題点に鑑み、傾斜した屋根の下方に沿う
形状のガーダを備えた天井クレーンであっても、ガーダ側に配備されるトロリの横行手段
の形成に手数を要することがなく、簡易、かつ、低コストで製造することができる天井ク
レーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の天井クレーンは、中央部が周辺部よりも高くなるよ
うに傾斜した屋根の下方に沿う形状に形成されたガーダと、該ガーダに配設されたガーダ
走行部と、該ガーダ走行部を介してガーダが走行する走行レールと、ガーダに沿って横行
するトロリとを備えてなる天井クレーンにおいて、前記ガーダの下端板をガーダの幅方向
の両側に延出させて形成した延出部の上面をトロリが横行する横行レールに形成するとと
もに、下端板の下面にトロリの横行駆動用チェーンスプロケットが噛合するチェーンを敷
設したことを特徴とする。
【0008】
この場合において、ガーダの下端板の曲率半径をR2000以上に設定することができ
る。
【0009】
また、走行レールを屋根の周辺部の基礎から立設した支持構造物上に敷設するとともに
、ガーダに該ガーダの周辺部の傾斜角度より大きな傾斜角度となるように接続したガーダ
脚部を介して走行車輪を備えたガーダ走行部を配設することができる。
【0010】
また、ガーダに屋根から吊り下げて配設した補助レールの膨出部を抱持する補助横転防
止ローラを配設することができる。
【0011】
さらに、走行レールを屋根から吊り下げて配設するとともに、ガーダに走行レールの膨
出部を抱持する走行車輪を備えたガーダ走行部を配設することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の天井クレーンによれば、ガーダの下端板をガーダの幅方向の両側に延出させて
形成した延出部の上面をトロリが横行する横行レールに形成するとともに、下端板の下面
にトロリの横行駆動用チェーンスプロケットが噛合するチェーンを敷設するようにしたか
ら、ガーダ側に配備されるトロリの横行手段として、チェーンを敷設するという簡易な方
法で、トロリをガーダに沿って安定して走行させることができるとともに、低コストで天
井クレーンを製造することができる。
【0013】
また、ガーダの下端板の曲率半径をR2000以上に設定することにより、下端板の下
面に敷設されるチェーンは、R2000以上の曲率半径に沿って配設され、チェーンに、
極端に折れ曲がった部分が形成されることなく、横行駆動用チェーンスプロケットを確実
に噛合させ、トロリを安定して走行させることができる。
【0014】
また、走行レールを屋根の周辺部の基礎から立設した支持構造物上に敷設するとともに
、ガーダに該ガーダの周辺部の傾斜角度より大きな傾斜角度となるように接続したガーダ
脚部を介して走行車輪を備えたガーダ走行部を配設することにより、大きな傾斜角度のガ
ーダ脚部にガーダを接続することで、支持構造物上に敷設された走行レールからの、所謂
、寄り寸法を小さくすることによって、トロリの横行範囲を広く取ることができる。
【0015】
また、ガーダに屋根から吊り下げて配設した補助レールの膨出部を抱持する補助横転防
止ローラを配設することにより、水平に形成されたガーダと比べて不安定なガーダの横転
をさらに効果的に防止することができる。
【0016】
さらに、走行レールを屋根から吊り下げて配設するとともに、ガーダに走行レールの膨
出部を抱持する走行車輪を備えたガーダ走行部を配設することにより、ガーダを走行レー
ルに吊り下げるようにすることができ、ガーダの転倒を確実に防止することができるとと
もに、走行レールを屋根の周辺部の基礎から立設した支持構造物上に敷設する必要がなく
、また、寄り寸法を小さくすることによって、トロリの横行範囲を広く取ることができる

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の天井クレーンの第1実施例を示す正面図である。
【図2】同天井クレーンのガーダとトロリを示す正面図である。
【図3】図2におけるX−X断面図である。
【図4】同天井クレーンのガーダ走行部に配設する横転防止ローラを示す側面図である。
【図5】同横転防止ローラを示す正面図である。
【図6】屋根から吊り下げて配設した補助レールの膨出部を抱持する補助横転防止ローラを示す正面図である。
【図7】本発明の天井クレーンの第2実施例を示す正面図である。
【図8】同天井クレーンのガーダ走行部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の天井クレーンの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1〜図6に、本発明の天井クレーンの第1実施例を示す。
この天井クレーン1Aは、中央部Cが周辺部Sよりも高くなるように傾斜した屋根Rの
下方に沿う形状に形成されたガーダ3と、ガーダ3に配設されたガーダ走行部5と、ガー
ダ走行部5を介してガーダ3が走行する走行レール2と、ガーダ3に沿って横行するトロ
リ4とを備え、ガーダ3の下端板33をガーダ3の幅方向の両側に延出させて形成した延
出部33aの上面をトロリ4が横行する横行レール30に形成するとともに、下端板33
の下面33bにトロリ4の横行駆動用チェーンスプロケット41が噛合するチェーン31
を敷設するようにしている。
このように、ガーダ3側に配備されるトロリ4の横行手段として、チェーン31を下端
板33の下面33bに敷設するという簡易な方法で、トロリ4をガーダ3に沿って安定し
て走行させることができる。
また、チェーン31は、横行駆動用チェーンスプロケット41が噛合可能なものであれ
ば、伝動用・搬送用等、種々のドライブチェーンやローラチェーンを使用することができ
るが、下端板33の下面33bに容易に敷設することができるように、アタッチメント付
きのチェーンを使用するようにしている。
【0020】
ガーダ3には、屋根Rの周辺部Sの基礎から立設した支持構造物T上に、所定間隔(ス
パン)を設けて平行に敷設される対となる走行レール2、2を走行する走行車輪50を備
えたガーダ走行部5を、ガーダ3の周辺部の傾斜角度θ1より大きな傾斜角度θ2となる
ように接続したガーダ脚部32を介して配設するようにしている。
ガーダ脚部32を、ガーダ3の周辺部の傾斜角度θ1より大きな傾斜角度θ2となるよ
うにして、ガーダ脚部32とガーダ3とを接続することで、支持構造物T上に敷設された
走行レール2からの、所謂、寄り(トロリ4が走行レール2に最も近づいたときの走行レ
ール2かトロリ4に配備されるホイスト6の吊具61までの距離(図1に示す寸法N))
寸法を小さくすることができ、トロリ4の横行範囲を広く取ることができる。
【0021】
ガーダ3は、下端板33、上端板34及び側板35、35とからなり、図1に示すよう
に、水平な領域(水平領域A1)、傾斜した領域(傾斜領域A2)、水平な領域と傾斜し
た領域を接続する曲線状に湾曲した領域(曲線領域A3)を有する(この曲線領域A3は
、単独で又は傾斜領域A2同士を接続するときに用いることもできる。)。
そして、ガーダ3の曲線領域A3では、ガーダ3の下端板33の曲率半径rを2000
mm(R2200)以上、好ましくは、2500mm(R2500)以上、さらに好まし
くは、3000mm(R3000)以上に設定するようにする。
これによって、下端板33の下面33bに敷設されるチェーン31は、R2000以上
の曲率半径に沿って配設され、チェーン31に、極端に折れ曲がった部分が形成されるこ
となく、横行駆動用チェーンスプロケット41を確実に噛合させ、トロリ4を安定して走
行させることができる。
また、ガーダ3は、図3に示すように、下端板33、上端板34及び側板35、35と
から構成し、断面方形状に形成しているが、吊り下げる吊荷の重量等の条件によって、I
型鋼やH型鋼をそのまま利用することもできる。
【0022】
トロリ4は、図2〜図3に示すように、チェーン31に噛合し、駆動機構42によって
回動することでトロリ4をガーダ3に沿って横行せしめる横行駆動用チェーンスプロケッ
ト41と、横行レール30上を横行(走行)する車輪40と、吊荷を吊り下げるための吊
具61を備えたホイスト6とを、下端板33の幅寸法より若干大きくなるように離間させ
た位置で固定される対となるトロリ本体板43、43に備えて構成されている。
横行駆動用チェーンスプロケット41は、ガーダ3の下端板33に敷設されるチェーン
31に合わせた形状で、2本のチェーン31に歯群を2つ有する2列スプロケット(2本
掛けスプロケット)を採用しているが、吊り下げる吊荷の重量等の条件によって、チェー
ン31の敷設本数を1本とし、1本掛けの1列のスプロケットを使用することもできる。
【0023】
横行駆動用チェーンスプロケット41を回動する駆動機構42は、例えば、1.5kw
の減速モータを、横行駆動用チェーンスプロケット41を嵌合する駆動軸41aの両端に
配設するようにしているが、これに限られるものではなく、吊り下げる吊荷の重量等の条
件によって、例えば、2.2kwの減速モータを駆動軸41aの一旦側にのみ配設するこ
ともできる。
車輪40は、1本の横行レール30に2つが横行するように、トロリ本体板43に2つ
ずつ配設されている。
【0024】
ホイスト6は、トロリ4のトロリ本体板43、43の間に、横行駆動用チェーンスプロ
ケット41の駆動軸41aと平行に配設された軸部材62に揺動自在に配設され、トロリ
4が傾斜領域A2や曲線領域A3を横行する際に傾いても、常に一定の姿勢を保つように
構成されている。
そして、ホイスト6は、先端にフック等の吊具61を取り付けたワイヤロープを巻回し
、吊具61に係止させた吊荷を昇降させるもので、本実施例においては、定格荷重が2〜
3t、4〜6m/min程度の速度でワイヤロープを巻き上げることのできるインバータ
モータ60、吊具61及びワイヤロープ(図示省略)とから構成されている。
【0025】
また、ガーダ走行部5に走行車輪50を挟んで走行レール2の膨出部20を抱持する横
転防止ローラ51を配設することにより、支持構造物T上に敷設された走行レール2から
、傾斜した屋根Rの下方に沿う形状に形成されることで、水平に形成されたガーダと比べ
て不安定なガーダ3の横転を防止することができる。
この横転防止ローラ51は、図4〜図5に示すように、ローラ本体部51aとローラ突
出部51bとからなり、ガーダ走行部5に配設される走行車輪50の走行方向で、走行車
輪50を挟むように前後の2箇所に、走行レール2の膨出部20を抱持するようにそれぞ
れの箇所で対となるように2つずつ配設されている。
【0026】
対となる横転防止ローラ51、51は、ローラ本体部51a、51aの周面が膨出部2
0の側面と所定の隙間を開けて挟むように、ローラ本体部51a、51aの軸間距離を固
定して台座52に回動自在に配備される。
また、ローラ突出部51bは、ローラ本体部51aの下端面に、ローラ本体部51aの
外径よりも大径で、膨出部20の下面と所定の隙間が設けられるようにして形成されてい
る。
そして、ローラ本体部51a、51aを回動自在に取り付けている台座52は、ガーダ
走行部5に取付フランジ54を介して固定される走行レール2に対して直交する軸部材5
3に、摺動可能に取り付けられ、横転防止ローラ51、51が、走行レール2に対して直
交方向へ移動することを許容するようにしている。
これによって、走行レール2に対して、走行方向に対して直交方向に所定の余裕(遊び
)を有して走行する走行車輪50によって、ガーダ走行部5が走行レール2に対して直交
方向に移動しても、横転防止ローラ51は、追随して移動し、破損することがない。
【0027】
さらに、ガーダ3に屋根Rから吊り下げて配設した補助レール7の膨出部70を抱持す
る補助横転防止ローラ71を配設することにより、水平に形成されたガーダと比べて不安
定なガーダ3の横転をさらに効果的に防止することができる。
補助レール7は、図6に示すように、屋根Rを構成する梁R’に固定され、走行レール
2と平行に配設され、本実施例においては、I型鋼を使用し、下側フランジを膨出部70
として、下側フランジの上面を補助横転防止ローラ71が摺接する摺接面とするように、
摺接面に摺接するローラ部71aと下側フランジの側部を覆う鍔部71bとからなる補助
横転防止ローラ71、71が、膨出部70を抱持するような状態を維持しながら移動(走
行)するようにしている。
補助横転防止ローラ71、71は、本実施例においては、ガーダ3の上端板34に膨出
部70の幅寸法に合わせて立設される取付板72、72に回動自在に配設されている。
なお、補助横転防止ローラ71、71は、ガーダ3の上端板34に固定されるコ字状の
フランジの立設板に配設するようにすることもできる。
【0028】
この場合、上述したガーダ走行部5に横転防止ローラ51を配設したガーダ3の横転防
止手段と併用することで、ガーダ3の横転を有効に防止することができるが、補助レール
7と、補助レール7の膨出部70を抱持する補助横転防止ローラ71を配設するだけでも
ガーダ3の横転を防止することができる。
【0029】
次に、この天井クレーン1Aを用いて、寄り寸法Nが最小の位置(トロリ4が、ガーダ
3の傾斜領域A2の範囲に位置する地点)にある吊荷を吊り下げて、搬送先(例えば、ト
ロリ4が、ガーダ3の水平領域A1の範囲に位置する地点)まで移動させる要領を説明す
る。
【0030】
まず、ガーダ3を走行レール2、2に、トロリ4をガーダ3の横行レール30、30に
沿って移動させて、トロリ4を吊荷の真上に位置させる。
次いで、ホイスト6を操作し、吊具61を下降させ、吊荷の環状フック等の係止部に係
合させた後、所定の高さまで吊荷を上昇させる。
【0031】
所定の高さに吊り下げられた吊荷を、ガーダ3を走行レール2、2に、トロリ4をガー
ダ3の横行レール30、30に沿って搬送先まで移動させる。
このとき、トロリ4の横行は、傾斜領域A2及び曲線領域A3を通過することとなるが
、トロリ4を走行させる横行駆動用チェーンスプロケット41がチェーン31に噛合し、
トロリ4をガーダ3に沿って、安定して走行させることができるとともに、曲線領域A3
の下端板の曲率半径rをR2000以上としているから、下端板33の下面33bに敷設
されるチェーン31には、極端に折れ曲がった部分が形成されることなく、横行駆動用チ
ェーンスプロケット41を確実に噛合させて、トロリ4を安定して走行させることができ
る。
【0032】
そして、搬送先において、吊荷を下降させ、吊荷を搬送先の所定の位置に着床させ吊荷
の移動を完了する。
【実施例2】
【0033】
図7〜図8に、本発明の天井クレーンの第2実施例を示す。
この天井クレーン1Bは、第1実施例と同様に、中央部Cが周辺部Sよりも高くなるよ
うに傾斜した屋根Rの下方に沿う形状に形成されたガーダ3と、ガーダ3に配設されたガ
ーダ走行部5と、ガーダ走行部5を介してガーダ3が走行する走行レール2と、ガーダ3
に沿って横行するトロリ4とを備え、ガーダ3の下端板33をガーダ3の幅方向の両側に
延出させて形成した延出部33aの上面をトロリ4が横行する横行レール30に形成する
とともに、下端板33の下面33bにトロリ4の横行駆動用チェーンスプロケット41が
噛合するチェーン31を敷設するようにしている。
【0034】
そして、この天井クレーン1Bは、走行レール2を屋根Rから吊り下げて配設するとと
もに、ガーダ3に走行レール2の膨出部20を抱持する走行車輪50を備えたガーダ走行
部5を配設するようにしている。
これにより、ガーダ3を走行レール2に吊り下げるようにすることができ、ガーダ3の
転倒を確実に防止することができるとともに、走行レール2を屋根Rの周辺部Sの基礎か
ら立設した支持構造物T上に敷設する必要がなく、また、寄り寸法Nを小さくするための
ガーダ脚部を設ける必要がない。
【0035】
走行レール2は、第1実施例に示す、補助レール7と同様、図8に示すように、屋根R
を構成する梁R’に固定され、本実施例においては、I型鋼を使用し、下側フランジを膨
出部20として、下側フランジの上面がレール面21となるようしている。
走行レール2は、ガーダ3と直交する方向に、本実施例においては、4本配設されてい
るが、配設数は、ガーダ3の重量、吊り下げる吊荷の重量等の条件によって、適宜変更す
ることができる。
【0036】
そして、走行車輪50、50が、レール面21上を、膨出部20を抱持するようにして
走行するようにしている。
走行車輪50、50は、ガーダ3の上端板34に膨出部20の幅寸法に合わせて立設さ
れる取付板56、56に駆動機構55によって駆動するように配設されている。
なお、走行車輪50、50は、第1実施例の補助横転防止ローラ71、71と同様に、
ガーダ3の上端板34に固定されるコ字状のフランジの立設板に配設するようにしても構
わない。
【0037】
この天井クレーン1Bは、第1実施例の天井クレーン1Aと比べて、簡単に寄り寸法N
を小さくすることができるとともに、ガーダ3の横転を確実に防止することができる。
【0038】
なお、本実施例のその他の構成及び作用並びに天井クレーンの操作要領は、上記第1実
施例と同様である。
【0039】
以上、本発明の天井クレーンについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は
上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲におい
て適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の天井クレーンは、傾斜領域又は曲線領域のガーダ側に配備されるトロリの横行
手段の形成に手数を要することがないという特性を有していることから、傾斜した屋根の
下方に沿う形状のガーダを備えた工場内等で使用する天井クレーンの用途に好適に用いる
ことができる。
【符号の説明】
【0041】
1A 天井クレーン
1B 天井クレーン
2 走行レール
20 膨出部
21 レール面
3 ガーダ
30 横行レール
31 チェーン
33 下端板
33a 下端板の延出部
33b 下端板の下面
4 トロリ
40 車輪
41 横行駆動用チェーンスプロケット
5 ガーダ走行部
50 走行車輪
51 横転防止ローラ
6 ホイスト
7 補助レール
70 膨出部
71 補助横転防止ローラ
r 曲率半径
C 中央部
S 周辺部
T 支持構造物
θ1 ガーダの周辺部の傾斜角度
θ2 ガーダ脚部の傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部が周辺部よりも高くなるように傾斜した屋根の下方に沿う形状に形成されたガー
ダと、該ガーダに配設されたガーダ走行部と、該ガーダ走行部を介してガーダが走行する
走行レールと、ガーダに沿って横行するトロリとを備えてなる天井クレーンにおいて、前
記ガーダの下端板をガーダの幅方向の両側に延出させて形成した延出部の上面をトロリが
横行する横行レールに形成するとともに、下端板の下面にトロリの横行駆動用チェーンス
プロケットが噛合するチェーンを敷設したことを特徴とする天井クレーン。
【請求項2】
ガーダの下端板の曲率半径をR2000以上に設定してなることを特徴とする請求項1
記載の天井クレーン。
【請求項3】
走行レールを屋根の周辺部の基礎から立設した支持構造物上に敷設するとともに、ガー
ダに該ガーダの周辺部の傾斜角度より大きな傾斜角度となるように接続したガーダ脚部を
介して走行車輪を備えたガーダ走行部を配設したこと特徴とする請求項1又は2記載の天
井クレーン。
【請求項4】
ガーダに屋根から吊り下げて配設した補助レールの膨出部を抱持する補助横転防止ロー
ラを配設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の天井クレーン。
【請求項5】
走行レールを屋根から吊り下げて配設するとともに、ガーダに走行レールの膨出部を抱
持する走行車輪を備えたガーダ走行部を配設したこと特徴とする請求項1又は2記載の天
井クレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56742(P2013−56742A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195988(P2011−195988)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(392034562)オーエス産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】