説明

天井点検口

【課題】鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面に取り付けることができる共に、簡易な構造でありながら十分な気密性を有し、かつ、耐久性の向上を図ることができる天井点検口を提供すること。
【解決手段】天井開口3に固定される方形状の外枠10と、外枠の対向する二辺の端部側との間に介設される回動機構を介して軸支され、内部に蓋材8が設けられる方形状の内枠20とを具備する天井点検口において、外枠は、垂直片11と、垂直片の上端から内方に向かって延設される上部フランジ部12と、上部フランジ部の先端に形成される下向き傾斜面14と、を設け、内枠は、垂直片21と、垂直片の上端から外方に向かって延設される上部フランジ部22と、上部フランジ部の先端に形成される上向き傾斜面25と、を設け、内枠が閉鎖された状態で、外枠の下向き傾斜面と内枠の上向き傾斜面が対面すると共に、下向き傾斜面と上向き傾斜面との間に気密材50を介在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅などの天井に設けられる天井点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シックハウス症候群の防止等を目的として、住宅の天井裏に設けた換気ユニット及びダクトによって強制的に換気を行うセントラル換気システムを備えた家屋が増加している。
【0003】
換気ユニットは、ファン、モータ、エアフィルタ等から構成されており、エアフィルタの交換、点検等のメンテナンスを換気ユニットの下面側から行えるように、換気ユニットの下方に天井点検口を設けることが多い。この場合、換気ユニットと天井面の間はあまり間隔が開いていないため、気密性を確保すると共になるべく高さを抑えた天井点検口が求められている。
【0004】
これらの問題を解決するために、従来では、天井点検口を構成する外枠と内枠の間に気密材を介在させて、気密性能を持たせる構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この天井点検口は、外枠の立ち上がり壁の上端近傍から内側にほぼ水平に張り出して設けられた板部の先端部下面に気密材が装着されており、内枠の立ち上がり壁の上端近傍から外側にほぼ水平に張り出して設けられた片部が形成され、天井点検口が閉じた状態において、内枠に形成された片部の上面を、外枠に装着された気密材に下方から圧接して気密性能を持たせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−349047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、天井点検口が閉じた状態では、外枠の先端部と内枠の片部と、その間に介在される気密材は、縦に重ねて配置される構造であって、枠材の高さ(外枠,内枠の立ち上がり壁の長さ)を低くすることが難しいため、鉛直方向のスペースが狭いと天井面に取り付けることができない懸念がある。また、天井点検口を開閉する際、上記構造では外枠に装着された気密材と、内枠に形成された片部の上面とを摺り合わせるようにして圧接するため摩耗が生じ、気密材の劣化や破損が生じ易く気密性が低下する懸念がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面に取り付けることができる共に、簡易な構造でありながら確実な気密性を有し、かつ、耐久性の向上を図ることができる天井点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、天井面に開設される天井開口に固定される方形状の外枠と、上記外枠の対向する二辺の端部側との間に介設される回動機構を介して外枠に対して回動可能に軸支され、内部に蓋材が設けられる方形状の内枠とを具備する天井点検口であって、 上記外枠は、垂直片と、上記垂直片の上端から内方に向かって延設されるフランジ部と、上記フランジ部の先端に形成される下向き傾斜面と、を設け、 上記内枠は、垂直片と、上記垂直片の上端から外方に向かって延設されるフランジ部と、上記フランジ部の先端に形成される上向き傾斜面と、を設け、 上記内枠が閉鎖された状態で、上記外枠の下向き傾斜面と上記内枠の上向き傾斜面が対面すると共に、上記下向き傾斜面と上記上向き傾斜面との間に気密材を介在してなる、ことを特徴とする。
【0010】
このように構成することにより、内枠が閉鎖された状態で、外枠の下向き傾斜面と内枠の上向き傾斜面が対面し、その間に気密材を斜めに配置して介在するため、枠材の高さを低く設計することができる。また、内枠を開閉する際、外枠の下向き傾斜面もしくは内枠の上向き傾斜面に装着された気密材は、徐々に押し潰されるようにして圧接されるため、摩耗による気密材の劣化や破損が生じ難い。
【0011】
また、この発明において、上記内枠が閉鎖された状態において上記内枠の開放を規制する一対のロック機構を更に設け、上記ロック機構は、上記外枠を構成する外枠材における回動自由端側同士を接合するアングル状の接合材の下部から内方に向かって延設される係止受け部と、上記内枠の垂直片より側方に出没自在な係止片と、該係止片と一体に形成され、上記内枠の下方に突出する操作片とを有すると共に、上記内枠の垂直片に沿って摺動可能に装着されるスライド部と、を具備してなり、上記スライド部を上記内枠の側方方向に摺動して上記係止片を上記内枠の側方に突出し、上記係止受け部の上面に載置することにより上記内枠の開放を規制してなる方がよい(請求項2)。
【0012】
このように構成することにより、内枠が閉鎖された状態において、内枠の開放を確実に規制することができる。また、外枠の下向き傾斜面及び内枠の上向き傾斜面と、気密材の圧接を強固なものにすることができる。更に、ロック機構が枠の上部から突出しないように枠内のスペースに収めることができる。
【0013】
また、この発明において、上記外枠の天井開口への固定は、上記外枠のフランジ部の上面側を天井開口の天井側に配置される天井下地桁材の下面に当接し、上記外枠のフランジ部の下面側から固定部材により固定してなる方がよい(請求項3)。
【0014】
このように構成することにより、隣り合う天井下地桁材の幅の開口部を確保することができると共に、外枠の垂直片に固定部材を打ち込むための部位を設けなくてよいため、枠材の高さを更に低く設計することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上記のように構成されているので、この発明に係る天井点検口は、鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面に取り付けることができる共に、簡易な構造でありながら十分な気密性を有し、かつ、耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係る天井点検口の開放状態を示す斜視図である。
【図2】この発明に係る天井点検口の断面図である。
【図3】図2のI部拡大断面図である。
【図4】この発明に係る天井点検口の閉鎖状態を示す要部断面図である。
【図5】この発明に係る天井点検口の開放状態を示す要部断面図である。
【図6】この発明におけるロック機構を示す斜視図(a)、要部断面図(b)である。
【図7】この発明における回動機構を示す斜視図である。
【図8】この発明における回動機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明に係る天井点検口の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
天井点検口は、図1ないし図4に示すように、天井面2に開設される方形状の天井開口3に固定される方形状の外枠10と、外枠10の対向する二辺の端部側との間に介設される回動機構30を介して外枠10に対して回動可能に軸支され、内部に蓋材8が設けられる方形状の内枠20と、内枠20の開放を規制するための一対のロック機構40と、で主に構成されている。
【0019】
天井面2は、例えば厚さ12.5mmの石膏ボードからなる天井板4を、等間隔に平行に配置された例えば材木製の天井下地桁材5に固定して形成されている。図2に示すように、底面にメンテナンス用の孔部が形成された断面ハット状の換気ユニットホルダ6aは、平行に配置された2本の天井下地桁材5に両端部が支持されており、その換気ユニットホルダ6aには、ダクト7が接続された換気ユニット6が載置されている。天井開口3は、その換気ユニット6に装着されたフィルタ6bの下方に方形状に開口される。
【0020】
外枠10は、アルミニウム製押出形材にて形成される4つの外枠材10aと、外枠材10aの端部同士を接合するアングル状の接合材17,18とで構成されている。この場合、外枠材10aの両端部は45度にカットしてあり、隣接する外枠材10a同士により形成される角部にアングル状の接合材17,18を内側面側から当接し、リベット19によって接合することで、外枠10が方形状に形成されている。
【0021】
外枠材10aは、図3ないし図7に示すように、天井板4の厚さより若干高い寸法の垂直片11と、この垂直片11の上端から内方に向かって延設され、先端が肉厚に形成された上部フランジ部12と、この垂直片11の下端と中間部で接合される下部フランジ部13と、で形成されている。
【0022】
上部フランジ部12には、図3ないし図5に示すように、その肉厚に形成された先端部には下向き傾斜面14が形成されている。下向き傾斜面14は、先端部の下側角部を落とすように例えば45度に傾斜して面を形成している。なお、下向き傾斜面14には、気密材である帯状のパッキン部材50が、全周に渡って装着されている。
【0023】
側方に配置される外枠材10aには、図3に示すように、その上部フランジ部12に後述する固定部材である固定ねじ51を挿入するための取付孔15が複数例えば3箇所に等間隔で形成されると共に、基端部側の垂直片11には後述する軸棒32bを挿入するための貫通孔16が形成されている(図7,図8参照)。
【0024】
また、外枠10を構成する外枠材10aにおける回動自由端側同士を接合する接合材17は、図6に示すように、角部の垂直片11の内周面側に当接されるアングル状の基部17aと、基部17aの下部から内方に向かって延設される係止受け部17bと、から形成されている。また、外枠10の基端側同士を接合する接合材18は、図7,図8に示すように、後述する軸棒32bが貫通するための貫通孔18aが設けてある。
【0025】
上記のように形成される外枠10は、上部フランジ部12の上面側を天井開口3の天井側に配置される天井下地桁材5の下面に当接し、上部フランジ部12に形成された取付孔15に、下面側から挿入される固定ねじ51によりねじ止めして固定する。図3ないし図5に示すように、外枠10の外方に向かって延設される下部フランジ部13の上面には、帯状のパッキン部材50が全周に渡って装着されており、天井板4との間に気密材であるパッキン部材50を介在させて、気密性能が維持されている。
【0026】
一方、内枠20は、アルミニウム製押出形材にて形成される4つの内枠材20aと、内枠材20aの端部同士を接合するアングル状の接合材26とで構成されている。この場合、内枠材20aの両端部は45度にカットしてあり、隣接する内枠材20a同士により形成される角部にアングル状の接合材26を内側面側から当接し、リベット19及び固定ねじ27によって接合することで、内枠20が方形状に形成されている。
【0027】
内枠材20aは、図3ないし図7に示すように、垂直片21と、この垂直片21の上端から外方に向かって延設される肉厚な上部フランジ部22と、その反対側すなわち内方に向かって水平に延設されると共に、その端部から下方に向かって垂直に屈曲される屈曲部23と、垂直片21の下端と中間部で接合される下部フランジ部24と、で形成されている。
【0028】
図2ないし図5に示すように、その肉厚に形成された上部フランジ部22には上向き傾斜面25が形成されている。上向き傾斜面25は、上部フランジ部22の上側角部を落とすように例えば45度に傾斜して面を形成してある。
【0029】
内枠20には、天井開口3を開設した際に切り取られた石膏ボードを適宜寸法調整して形成される蓋材8が内部に固定される。蓋材8の固定は、内枠20の内方に向かって延設される下部フランジ部24の上に蓋材8を載置した状態で、蓋材8の端部上面に当接するアングル状の押え材28を、内枠材20aの上部フランジ部22の内方側の屈曲部23に形成された切欠部(図示せず)に嵌合すると共に垂直片21にねじ止めして固定する(図4,図5参照)。この場合、押え材28は基端側及び回動自由端側に配置される内枠材20aの両側に2箇所設けられている。なお、内枠20の下部フランジ部24と蓋材8の重なり合う部分には気密材であるパッキン部材50が介在されて、気密性能が維持されている。
【0030】
回動機構30は、図7及び図8に示すように、側方に配置される外枠材10aの垂直片11に設けられた貫通孔16と、接合材18に設けられた貫通孔16と連通する貫通孔18aとから形成され、軸棒32bを回動自在に軸支する軸受け31と、基端側に配置される内枠材20aの垂直片21の両端部の外側面側に固定ねじ27によって当接接合される矩形板状の取付板32aと、取付板32aの下端付近に一端部を接合する軸棒32bとから形成される軸部32と、で主に構成されている。
【0031】
ロック機構40は、回動自由端側の角部に左右一対に設けられており、図6に示すように、外枠10を構成する外枠材10aにおける回動自由端側同士を接合するアングル状の接合材17の下部から内方に向かって延設される係止受け部17bと、内枠20の垂直片21より側方に出没自在な係止片41eと、係止片41eと一体に形成され、内枠20の下方に突出する操作片41cとを有すると共に、内枠20の垂直片21に沿って摺動可能に装着されるスライド部41と、スライド部41を内枠20に摺動可能に装着するクリップ板42及び固定ねじ27と、スライド部41を係止受け部17b側に付勢する係止補助ばね部材43と、で主に構成されている。
【0032】
上述したように、外枠10の回動自由端側を接合する接合材17は、角部の垂直片11の内周面側に当接されるアングル状の基部17aと、基部17aの下部から内方に向かって延設される係止受け部17bと、から形成されており、接合材17の係止受け部17bが設けられた片を、外枠10の側方に配置される外枠材10a側にしてリベット19により接合する(図6参照)。このように接合される接合材17は、外枠10の回動自由端側の両角部に左右一対に接合されている。
【0033】
一方、スライド部41は、図6に示すように、内枠20の下部フランジ部24の上面に載置可能に形成される矩形状の基板41aと、基板41aの内側の辺から上方に直交状に屈曲され、内枠20の垂直片21の外面に摺動可能に当接する取付片41bと、基板41aの外側の辺から下方に直交状に屈曲される垂下片と、垂下片の下端から外方に直交状に屈曲される水平片とを有する操作片41cと、基板41aの外側辺から上方にクランク状に屈曲する係止片41eと、で一体に形成されている。この場合、取付片41bには、2つの横長の長孔41fが並設されている。また、係止片41eは先端付近を上方に傾斜して形成されており、スライド時に係止受け部17bの先端が係止受け部17bに引っ掛かるのを防止している。
【0034】
クリップ板42は、2つの取付ねじ孔42bを有する板状基部42aから形成されている。固定ねじ27は、内枠材20aの端部同士を接合する接合材26に設けられた貫通孔と、内枠材20aの垂直片21に設けられた貫通孔と、スライド部41の長孔41fを貫通してクリップ板42の取付ねじ孔42bに、ねじ結合されている。その際、固定ねじ27は、内枠材20aの垂直片21とクリップ板42の板状基部42aの間にスライド部41が摺動可能な隙間を形成してクリップ板42に結合される。このように構成することにより、スライド部41は、長孔41fの範囲内で内枠20の垂直片21に沿って摺動することができる。
【0035】
係止補助ばね部材43は、図6(b)に示すように、内枠材20aの垂直片21に設けられたばね係止突起43aと、スライド部41の取付片41bに設けられたばね係止突起43bに懸架される引っ張りばねにて形成されており、スライド部41を係止受け部17側に付勢する付勢力により係止片41eを係止受け部17bの上面に載置して係止させている。
【0036】
上記のように構成される天井点検口を天井面2に設置するには、まず、天井面2を形成する天井板4に矩形状の天井開口3を開設する。なお、予め工場において、それぞれ二種類のアルミニウム製押出形材にて形成される外枠材10aと内枠材20aをそれぞれ枠組みして外枠10及び内枠20を形成する。矩形状に枠組みされる外枠材10aの回動自由端側の両角部の内周面に接合される接合材17は、接合材17の係止受け部17bが設けられた片を、側方に配置される外枠材10a側にしてリベット19により接合する。外枠10の上部フランジ部12に形成される下向き傾斜面14及び下部フランジ部13の上面には、帯状のパッキン部材50が全周に渡って装着される。一方、内枠20の回動自由端側の両角部には、内周面側に接合材26を当接すると共に、回動自由端側に配置される内枠材20aの外周面側にスライド部41とクリップ板42を当接した状態で、内側から固定ねじ27及びリベット19により一体接合する。スライド部41の内枠20への装着後、内枠材20aの垂直片21に設けられたばね係止突起43aと、スライド部41の取付片41bに設けられたばね係止突起43bに、係止補助ばね部材43を懸架する(図6参照)。
【0037】
外枠10と内枠20の連結は、側方に配置される外枠材10aの垂直片11と接合材18により形成される軸受け31に軸部32の軸棒32bを挿入し、軸棒32bに予め溶接してある取付板32aを、基端側に配置される内枠材20aの垂直片21の外周面側に当接すると共に、内周面側に接合材26を当接した状態で、内枠20の内側から固定ねじ27により一体接合する(図8参照)。このように構成することにより、内枠20は、外枠10の対向する二辺の端部側との間に介設される回動機構30を介して外枠10に対して回動可能に軸支される。外枠10と内枠20の連結後、内枠20に、天井開口3を開設した際に切り取られた石膏ボードを適宜寸法調整して形成される蓋材8を上述した固定手段により内部に固定する。
【0038】
天井開口3への天井点検口の取り付けは、内枠20を開放した状態で、外枠10の上部フランジ部12の上面側を天井開口3の天井側に配置される天井下地桁材5の露出した下面に当接し、上部フランジ部12に形成された取付孔15に、下面側から固定ねじ51によりねじ止めして固定する。最後に、内枠20の回動自由端側端部を持ち上げると共に、内枠10の下方に突出するスライド部41の操作片41cを操作して、係止補助ばね部材43の付勢力に抗してスライド部41を側方から内方方向に摺動させて、係止片41eと係止受け部17bが干渉しないようにしながら内枠20を閉鎖する。この際、外枠10の下向き傾斜面14に装着されたパッキン部材50は、内枠20の上向き傾斜面25によって、徐々に押し潰されるようにして圧接されるため、摩耗によるパッキン部材50の劣化や破損が生じ難い。
【0039】
上記のように設置される天井点検口の内枠20を開放するには、回動自由端側の角部に左右一対に設けられロック機構40のロックを解除しなければならない。図6(b)に示すように、内枠20が閉鎖された状態では、スライド部41は係止補助ばね部材43により側方に付勢され、スライド部41の係止片41eは内枠20の側方に突出し、外枠10に延設される係止受け部17bの上面に載置されているため、内枠20の開放が規制されている。作業者は、内枠20の下方に突出するスライド部41の操作片41cを操作して、係止補助ばね部材43の付勢力に抗してスライド部41を側方から内方方向に摺動させて、係止片41eと係止受け部17bの係止を解き、内枠20の回動自由端側端部を下方に開放することができる。
【0040】
上記のように構成される天井点検口によれば、内枠20が閉鎖された状態で、外枠10の下向き傾斜面14と内枠20の上向き傾斜面25が対面し、その間にパッキン部材50を斜めに配置して介在し、枠材10,20の高さを低く設計することができるため、鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面2に取り付けることができる。また、内枠20を開閉する際、外枠10の下向き傾斜面14に装着されたパッキン部材50は、内枠20の上向き傾斜面25によって、徐々に押し潰されるようにして圧接され、摩耗によるパッキン部材50の劣化や破損が生じ難いため、耐久性の向上を図ることができる。
【0041】
また、内枠20が閉鎖された状態において内枠20の開放を規制する一対のロック機構40を設けることにより、内枠20が閉鎖された状態において、内枠20の開放を確実に規制することができるため、安全性を向上させることができる。また、外枠10の下向き傾斜面14に装着されたパッキン部材50と、内枠20の上向き傾斜面25の圧接を強固なものにすることができるため、気密性を向上させることができる。更に、ロック機構40が枠10,20の上部から突出しないように枠10,20内のスペースに収めることができるため、鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面2に取り付けることができる。
【0042】
また、外枠10の天井開口3への固定は、外枠10の上部フランジ部12の上面側を天井開口3の天井側に配置される天井下地桁材5の下面に当接し、外枠10の上部フランジ部12の下面側から固定ねじ51により固定することにより、隣り合う天井下地桁材5の幅より大きい幅の開口部を確保することができるため、作業性を向上させることができる。また、外枠10の垂直片11に固定ねじ51を打ち込むための部位を設けなくてよいため、枠材10,20の高さを更に低く設計することができ、鉛直方向のスペースが狭い場合であっても天井面2に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0043】
2 天井面
3 天井開口
5 天井下地桁材
8 蓋材
10 外枠
10a 外枠材
11 垂直片
12 上部フランジ部(フランジ部)
14 下向き傾斜面
17 接合材
17b 係止受け部
20 内枠
21 垂直片
22 上部フランジ部(フランジ部)
25 上向き傾斜面
30 回動機構
40 ロック機構
41 スライド部
41c 操作片
41e 係止片
50 パッキン部材(気密材)
51 固定ねじ(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に開設される天井開口に固定される方形状の外枠と、上記外枠の対向する二辺の端部側との間に介設される回動機構を介して外枠に対して回動可能に軸支され、内部に蓋材が設けられる方形状の内枠とを具備する天井点検口であって、
上記外枠は、垂直片と、上記垂直片の上端から内方に向かって延設されるフランジ部と、上記フランジ部の先端に形成される下向き傾斜面と、を設け、
上記内枠は、垂直片と、上記垂直片の上端から外方に向かって延設されるフランジ部と、上記フランジ部の先端に形成される上向き傾斜面と、を設け、
上記内枠が閉鎖された状態で、上記外枠の下向き傾斜面と上記内枠の上向き傾斜面が対面すると共に、上記下向き傾斜面と上記上向き傾斜面との間に気密材を介在してなる、ことを特徴とする天井点検口。
【請求項2】
請求項1記載の天井点検口において、
上記内枠が閉鎖された状態において上記内枠の開放を規制する一対のロック機構を更に設け、上記ロック機構は、上記外枠を構成する外枠材における回動自由端側同士を接合するアングル状の接合材の下部から内方に向かって延設される係止受け部と、上記内枠の垂直片より側方に出没自在な係止片と、該係止片と一体に形成され、上記内枠の下方に突出する操作片とを有すると共に、上記内枠の垂直片に沿って摺動可能に装着されるスライド部と、を具備してなり、上記スライド部を上記内枠の側方方向に摺動して上記係止片を上記内枠の側方に突出し、上記係止受け部の上面に載置することにより上記内枠の開放を規制してなる、ことを特徴とする天井点検口。
【請求項3】
請求項1又は2記載の天井点検口において、
上記外枠の天井開口への固定は、上記外枠のフランジ部の上面側を天井開口の天井側に配置される天井下地桁材の下面に当接し、上記外枠のフランジ部の下面側から固定部材により固定してなる、ことを特徴とする天井点検口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127124(P2012−127124A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280012(P2010−280012)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)