天板付き家具
【課題】天板の表面材がめくりあがりやすいという問題を解消又は抑制することができる天板付き家具を提供する。
【解決手段】表面に筆記面Hを形成する天板1と、この天板1を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であり、天板1が、芯材11と、この芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの少なくとも上部分11dとを連続して被覆し外側に筆記面Hが形成された薄板材12とを備えてなり、天板支持体が、天板1を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにした。
【解決手段】表面に筆記面Hを形成する天板1と、この天板1を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であり、天板1が、芯材11と、この芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの少なくとも上部分11dとを連続して被覆し外側に筆記面Hが形成された薄板材12とを備えてなり、天板支持体が、天板1を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に直接筆記することができるようにした天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の天板付き家具として、表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する脚とを備えてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のものは、筆記面となる天板の表側に表面材を貼り設けるようにしており、天板の縁部すなわち天板における芯材の小口端面は、表面材とは別個のカバー部材が取着されている。
【0004】
これら同一構造をなす他の天板付き家具を隣接させて用いた場合、一方の天板の表面材と他方の天板の表面材との間に、双方の縁部に配されたカバー部材が介在してしまうこととなり、筆記面の連続性が阻害されるものとなっていた。
【0005】
また、カバー部材を設けずに筆記面の連続性を担保しようとした場合、天板の縁部が壁面に当たったり他の家具等に当たったりすることに伴って、天板の縁部の表面材がめくれやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−17481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、天板の縁部が他の部材に当たることに伴って、天板の表面材がめくれやすくなるという問題を解消又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、次のような構成をなすものである。
【0009】
請求項1にかかる発明は、表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であって、前記天板が、芯材と、この芯材に形成された表面部と小口面部の少なくとも上部分とを連続して被覆し外側に前記筆記面が形成された薄板材とを備えてなり、前記天板支持体が、天板を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにしたものである。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる構成において、前記天板支持体が、天板を上下昇降可能に支持し得るものである。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる構成において、前記芯材の小口面部が、床面に対して略垂直な上部分と、床面に対して傾斜した下部分とを備えているものである。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3にかかる構成において、前記薄板材が、鋼板により形成される鋼板層と、この鋼板層の上に設けられ前記筆記面を形成する筆記面塗膜層とを備えているものである。 請求項5にかかる発明は、請求項1、2又は3にかかる構成において、前記薄板材が、合成樹脂製のフィルム層と、このフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えているものである。
【0013】
請求項6にかかる発明は、請求項1、2、3、4又は5にかかる構成において、前記筆記面が、ホワイトボード仕様のものである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、天板の縁部が他の部材に当たることに伴って、天板の表面材がめくれやすくなるという問題を解消又は抑制するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態である天板付き家具の斜視図。
【図2】同実施形態における天板を起立させた状態の斜視図。
【図3】同実施形態における使用態様を示す側面図。
【図4】同実施形態における他の使用態様を示す側面図。
【図5】同実施形態における天板の縁部の部分拡大断面図。
【図6】同実施形態における芯材の角部を拡大して示す概略斜視図。
【図7】同実施形態における天板付き家具に同一構造をなす他の天板付き家具を隣接配置した状態を示す説明図。
【図8】起立位置における一方の天板の縁部と他方の天板の縁部とを近接させた状態を示す概略平面図。
【図9】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【図10】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【図11】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0017】
本実施形態は、本発明を、テーブルとしての機能を発揮することができるとともに、ホワイトボードとしての機能を発揮することができるようにした天板付き家具Aに適用した場合のものである。換言すれば、この天板付き家具Aはテーブル兼ホワイトボードとも称されるものである。この天板付き家具Aは、オフィスや学校の教室等において好適に用いられるものであるが、特に、新たな発想やアイデアを創出させるためのいわゆるブレーンストーミングを行う場面において、新たな発想やアイデアの創出を促進又は支援するツールとして好適に使用されるものである。
【0018】
天板付き家具Aは、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と、天板1を床面に対して略垂直な起立位置(K)との間で回動可能にしているものである。すなわち、天板1が、床面に対して略水平な水平位置(S)にある場合には、天板1の表面Jすなわち上面が床面に対して水平をなし種々の物品を安定載置できるテーブルとしての機能を発揮するものである。一方で、この天板付き家具Aは、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能なものとしているが、天板1が、水平位置(S)、起立位置(K)、又は、水平位置(S)と起立位置(K)との間の位置、これらの何れの位置にあっても、天板1の表面Jすなわち筆記面Hに、ペン等を使用して文字等を書くことができるホワイトボードとしての機能を発揮するものである。
【0019】
以下、本実施形態における天板付き家具Aについて詳述する。
【0020】
天板付き家具Aは、表面Jに主たる筆記面Hを形成する天板1と、天板1を支持する天板支持体2とを備えてなるものである。
【0021】
天板1は外面を形成する部位として、筆記面Hを有した表面Jと、表面Jと反対の面を構成する裏面Uと、前記表面Jと裏面Uとの間に位置してなる側面Eとを有しているものである。天板1は平面視略方形をなすもの、より具体的にいえば、本実施形態における天板1は、水平位置(S)において平面視略正方形の形状をなしているものである。この天板1の4つの縁部は側面Eが垂直部E1と傾斜部E2を有した形状、換言すれば、船底形状をなしている。
【0022】
天板1は、基礎部分を形成する平面視矩形板状の芯材11と、この芯材11の外面を被覆する薄板材12とを備えてなる。
【0023】
芯材11は、木材等を主体にして製造されたものである。本実施形態においては、芯材11は繊維板により作られた平面視四角形状をなすものであり、上面部分を構成する表面部11aと、側面部分を構成する小口面部11bと、下面部分を構成する裏面部11cとを具備している。表面部11aは、その上に薄板材12が貼り設けられるように略全面を平らかに形成されている。裏面部11cは、表面部11aと略同様の構造であるが、後述する天板支持体2が取り付けられるようにするため、所要箇所に図示しない穴やスリット等の取付部が形成されている。
【0024】
小口面部11bは、水平位置(S)において床面に対して略垂直な上部分たる垂直面11dと、床面に対して傾斜した下部分たる傾斜面11eとを備えている。傾斜面11eは、芯材11の端縁部分から長手方向中央に向かうにつれて漸次その面位置が下に遷移するようにしたもの、すなわち、芯材11の縁部111に形成された傾斜面11eは、表面部11aとの上下方向の離間距離が芯材11の端縁部分から長手方向中央に向かうにつれて漸次大きくなるように設定されている。換言すれば、芯材11の縁部111における傾斜面11eを有する部位は側面視及び横断面視においてテーパー状をなしている。しかして、本実施形態における芯材11の縁部111は、表面部11aと、表面部11aと略垂直をなすとともに表面部11aから連続する小口面部11bの垂直面11dと、垂直面11dから連続してなり表面部11aに対して傾斜してなる小口面部11bの傾斜面11eと、この傾斜面11eから連続して延び表面部11aと略平行をなす裏面部11cとによって構成されており、これらによって船底形状を形成している。
【0025】
薄板材12は、主として芯材11の表面部11aの全域を覆うものであるが、本実施形態においては図5に示すように、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分11dとを連続して被覆してなるものである。換言すれば、本実施形態における薄板材12は、芯材11の表面部11aを被覆する部分である表面形成部121と、芯材11の小口面部11bの上部分11dを被覆する部分である垂直面形成部122とを具備している。薄板材12は、表面形成部121と垂直面形成部122とによって、下側に開放された箱形状をなしている。薄板材12は、外側、すなわち、表面形成部121及び垂直面形成部122の表出面に筆記面Hが形成される。しかして、本実施形態においては、筆記面Hが、ホワイトボード仕様のものとなっている。
【0026】
薄板材12は、鋼板Stにより形成される鋼板層12aと、この鋼板層12aの上に設けられ、塗料Ptにより形成される筆記面塗膜層12bとを備えたものである。
【0027】
鋼板層12aは、本実施形態においては、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分である垂直面11dとを連続して被覆しているものである。鋼板層12aは、例えば、厚み寸法が0.6mm程度の鋼板Stにより形成される断面視において層状をなすものである。鋼板層12aを形成する鋼板Stは、芯材11の表面部11aと小口面部11bの上部分である垂直面11dに接着剤等により接着される。
【0028】
筆記面塗膜層12bは、塗料Ptにより鋼板層12aの上に形成される断面視において層状をなすものである。筆記面塗膜層12bを形成する塗料Ptとしては、例えば、ホワイトボード用の白色塗料が用いられる。筆記面塗膜層12bにおける外部に表出する部分には筆記面Hが形成される。なお、筆記面塗膜層12bを形成する塗料Ptは、鋼板Stが芯材11に貼着された後に芯材11及び鋼板Stの外部に表出する面に塗布される。すなわち、塗料Ptは、鋼板Stの表出面だけでなく、芯材11の表出面に直接塗布されるものであり、換言すれば天板1の外面全体に塗布されるものである。
【0029】
より具体的にいえば、天板1は次のように形成される。まず、鋼板Stが、芯材11の表面部11a及び小口面部11bの垂直面11dに接着されると、図6に示すように、芯材11の角部112に鋼板層12aによって上下方向に延びる隙間SPが形成されることとなるため、次いで、図示しないパテ等の埋込材によって隙間SPを埋め込み、角部分を鋼板Stの外面と滑らかに連続させる処理を行う。しかる後に、筆記面塗膜層12bを形成するホワイトボード用の白色塗料Stは、外面に表出している芯材11、鋼板層12a、及び埋込材により形成された外面部分の略全面に塗布される。ここで、図6に示すものは、芯材11及び薄板材12の部分拡大斜視図であり、芯材11に鋼板Stが接着された状態で、鋼板Stによって上下方向の隙間SPが形成されているもので、且つ、塗料Ptが塗布されていない状態のものを示している。このように、塗料Stにより天板1の全体を塗布することにより、塗料Stによって境界部分の微細な段差等を埋めて滑らかに連続させることができ、天板1の見栄えを向上させるものとなっている。特に、起立時において天板1の裏面Uが視認されやすい場合でも、見栄えに優れたものとすることができる。また、裏面Uや側面Eにも筆記面を形成することができる。
【0030】
なお、薄板材12は、芯材11の表面部11aと芯材11の小口面部11bの少なくとも一部とを連続して被覆するものであるが、芯材11の角部112を被覆しないものも含まれる。
【0031】
天板支持体2は、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持することができるとともに、天板1を上下昇降可能に支持することができるものである。詳述すれば、本実施形態における天板支持体2は、下端にキャスタ211を有した脚21と、脚21の上部に設けられ、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持するための支持機構22と、天板1を上下昇降可能に支持し得る昇降機構23とを備えてなる。
【0032】
脚21は、左右に対をなすもので、上下方向に延びる脚支柱212を備えている。一方の脚21の脚支柱21と他方の脚21の脚支柱21とは横架材213を介して連結されている。脚21の下端にはキャスタ211が配されてあり、天板1を使用者が容易に移動できるとともに、所望の位置では、移動を禁止できるようにしている。
【0033】
支持機構22は、天板1を、水平位置(S)と起立位置(K)との間で回動可能に支持するものである。換言すれば、支持機構22は、天板1を床面に対して自由な角度で支持できるものである。支持機構22の具体的な構成については、通常のものであり説明を省略する。
【0034】
昇降機構23は、天板1を上下昇降可能に支持するものである。昇降機構2は、脚21の脚支柱212を上下伸縮可能に構成したものである。本実施形態においては、昇降機構23は、水平位置(S)における天板1の上面と床面との離間寸法を約700mm〜1050mmの間で設定できるようにしている。なお、昇降機構23の具体的な構成については、通常のものであり、説明を省略する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る天板付き家具Aは、表面に筆記面Hを形成する天板1と、天板1を支持する天板支持体2とを備えてなるものとしている。そして、天板1が、芯材11と、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分11dとを連続して被覆し外側に筆記面Hが形成された薄板材12とを備えているので、天板1の表面材である薄板材12が、芯材11の表面部11aのみならず表面部11aから連続して小口面部11bの上部分dまで被覆するものとなり、天板1の縁部Eが壁面や他の家具等と当接することにより、薄板材12がめくれやすくなるという事態を好適に抑制することができる。
【0036】
詳述すれば次のとおりである。すなわち、薄板材12が、芯材11の表面部11aのみならず、芯材11の表面部11aから連続して少なくとも芯材11の小口面部11bの一部である垂直面11dにまで回り込んで取り付けられているため、薄板材12が芯材11からはがれにくい構造となっている。例えば、従来のこの種の天板では、芯材の小口面部に取着される別個のカバー部材を省略した場合、表面部を覆う部材をめくれやすくしてしまう等の弊害を誘導することがあった。しかしながら、本実施形態に示すものにおいては、薄板材12の小口面部11bを覆う部分が他の部材と当接しても、薄板材12の表面部11aを覆う部分は小口面部11bを覆う部分と連続しているので、一体的な強度を発揮することとなり、薄板材12の表面部11aを覆う部分に影響が及びにくいものとなっている。
【0037】
しかも、本実施形態における天板支持体2は、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持するようにしているので、テーブルとしての機能を発揮することができるとともに、ホワイトボードとしての機能を発揮することができる多機能性を有した家具を提供することができる。
【0038】
天板1の側面Eが、芯材11の小口面部11bを、芯材11の表面部11aを被覆する薄板材12によって連続して被覆して形成されるので、従来のような天板の表面材と別個独立の部材を天板の縁部に配してなるものよりも外観上すっきりした印象を与え、意匠的に優れたものとなる。
【0039】
芯材11の小口面部11bが、表面部11aを被覆する薄板材12によって連続して被覆されるものであるので、図7に示すように、同一構造をなす他の天板付き家具A’を隣接させて用いた場合、一方の天板1の薄板材12と他方の天板1’の薄板材12’との間に他の別部材が介在せず、一方の天板1の筆記面Hと他方の天板1’の筆記面H’との連続性が確保され、使用者の使い勝手が向上するものとなる。
【0040】
なお、図7では、本実施形態である天板付き家具Aに加えて、この天板付き家具Aと同一構造をなす他の天板付き家具A’を示している。また、当該他の天板付き家具A’におけるその他の符号については本実施形態である天板付き家具Aの符号に「’」を付加したものとして表示している。
【0041】
天板1の側面Eが、垂直部E1と傾斜部E2を有した形状、換言すれば、船底形状に形成されているので、外観上、見栄えがよく意匠性に優れたものとなっている。
【0042】
ここで、図8に示すものは、本実施形態に示す天板1と、同一構造をなす他の天板1’をそれぞれ起立位置(K)にした状態の概略平面図である。他の天板1’におけるその他の符号には「’」を付して表示している。本実施形態における天板1の側面Eは、垂直部E1と傾斜部E2とを有した船底形状をなすものであるので、同図に示すように、同一構造をなす他の天板1’の縁部を天板1の縁部に一定角度で隣接させた場合に、天板1の表面Jと他方の天板1’の表面J’との距離を、縁部が角型であるものと比較して、近いものとすることができる。換言すれば、天板1の傾斜部E2の後方領域に、他の天板1’の縁部を位置させることができるので、例えば、一方の天板1の縁部と他方の天板1’縁部とを近づけて一定の角度をつけて横並びさせるような場合であっても、正面視において天板1と天板1’との間に隙間が形成されるのを好適に防ぐものとなるとともに、一方の天板1と他方の天板1’との間に大きな段差ができにくいものとなる。一般に、このような天板1の縁部と他の天板1’の縁部とを近接する作業は、複数のものを有機的に利用可能な本実施形態に係る天板付き家具Aの特性上、頻繁にかつラフに行われることが多いが、前述の通り、天板1の縁部の形状が船底形状のものであれば、ラフな扱いであっても容易に一方の天板1の縁部と他方の天板1’の縁部とを近接する作業を行うことができる。
【0043】
薄板材12を、鋼板により形成される鋼板層12aと、鋼板層12aの上に設けられ筆記面Hを形成する筆記面塗膜層12bとを備えてなるものとしているので、材料の複雑化を好適に回避し得るものとなる。
【0044】
薄板材12は、表面形成部121と垂直面形成部122とによって、下側に開放された箱形状をなしているので、薄板材12を芯材11に被せるようにして装着することができ、芯材11と薄板材12との位置合わせを容易に行うことができるものとなる。
【0045】
筆記面Hが、ホワイトボード仕様のものであるので、ペン等を用いて文字等を自由に筆記することができる。
【0046】
天板支持体2が、天板1を上下昇降可能に支持し得るものであるため、使用者は天板1を任意の高さ位置に設定して利用することができ、利便性が向上するものとなる。例えば、図4に示すように、天板1を比較的高い位置で支持させるとともに、天板1を起立位置(K)に保持すれば、利用者の一覧性に優れた使用形態にすることができる。
【0047】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0048】
天板支持体は、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。天板支持体は、構造体であってもよいし、脚が1つのものでもよいし、複数のものでもよい。すなわち、天板支持体は、天板を床面に対して離間させて支持することができるものであればどのようなものでもよい。
【0049】
塗料は、白色のものに限定されないのはもちろんのことである。
【0050】
小口面部を構成する上部分と下部分との上下寸法の比率は、適宜調整できるものであり、本実施形態に示すものに限定されないのは言うまでもない。
【0051】
小口面部は、本実施形態に示されるように、上部分と下部分を有するものに限られず、例えば、図9に示すようなものであってもよい。
【0052】
なお、以下に説明する他の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には、頭に「A」、「B」、「C」をつけた同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0053】
図9のものは、他の実施形態である天板A1を示したものである。小口面部A11bは、同図に示すように、表面部11aと垂直である垂直面11eのみを有するものであってもよい。同図に示す実施形態における薄板材A12は、芯材A11の表面部A11bと芯材A11の小口面部A11bである垂直面A11dとを被覆しており、換言すれば、芯材A11の表面部A11aを被覆する部分である表面形成部A121と、芯材B11の小口面部B11bである垂直面A11eを被覆する部分である垂直面形成部A122とを具備している。薄板材A12は、外側、すなわち、表面形成部A121及び垂直面形成部A122の表出面に筆記面AHが形成される。このようなものであっても、薄板材A12が、天板A1の側面AEが他の部材に当たる等に伴ってはがれやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0054】
薄板材は、本実施形態に示すような、芯材の表面部と小口面部の上部分のみを連続して被覆するものには限定されるものではない。
【0055】
ここで、図10には他の実施形態である天板B1を示しており、図11には他の実施形態である天板C1を示している。
【0056】
図10に示す天板B1では、薄板材B12は、芯材B11に形成された表面部B11aと、小口面部B11bの上部分である垂直面B11dと、小口面部B11bの下部分である傾斜面B11eと、芯材B11に形成された裏面部B11cの一部分を連続して被覆しているものである。換言すれば、本実施形態の薄板材B12は、芯材B11の表面部B11aから芯材B11の裏面部B11cまで連続して貼り回されているものであり、芯材B11の表面部B11aを被覆する部分である表面形成部B121と、芯材B11の小口面部B11bの上部分である垂直面B11dを被覆する部分である垂直面形成部B122と、芯材B11小口面部B11bの下部分である傾斜面B11eを被覆する部分である傾斜面形成部B123と、芯材B11の裏面部B11cを被覆する部分である裏面形成部B124とを具備している。薄板材B12は、外側、すなわち、表面形成部B121、垂直面形成部B122、傾斜面形成部B123及び裏面形成部B124の表出面に筆記面BHが形成される。このようなものであっても、薄板材B12が、天板B1の側面BEが他の部材に当たる等に伴ってはがやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0057】
図11に示す天板C1では、薄板材C12は、芯材C11に形成された表面部C11aと、小口面部C11bである垂直面C11dと、芯材C11に形成された裏面部C11cの一部分を連続して被覆しているものである。換言すれば、本実施形態の薄板材C12は、芯材C11の表面部C11bから芯材C11の裏面部C11cまで連続して貼り回されているものであり、芯材C11の表面部C11aを被覆する部分である表面形成部C121と、芯材C11の小口面部C11bである垂直面C11dを被覆する部分である垂直面形成部C122と、芯材C11の裏面部C11cを被覆する部分である裏面形成部C124とを具備している。薄板材C12は、外側、すなわち、表面形成部C121、垂直面形成部C122及び裏面形成部C124の表出面に筆記面CHが形成される。このようなものであっても、薄板材C12が、天板C1の側面CEが他の部材に当たる等に伴ってはがれやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0058】
薄板材は、本実施形態に示されるような鋼板を主体に構成されるものに限定されない。例えば、薄板材として、合成樹脂製のフィルム層と、この合成樹脂製のフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えているものを用いてもよい。このような構成のものであっても、所期の目的を達成することができる。
【0059】
表面に筆記面を形成する天板には、ペンにより筆記されるホワイトボード仕様の天板の他、チョークにより筆記される黒板仕様のものなど、種々のものが考えられる。その他、表面に筆記面を形成する天板としては、例えば、筆記用具の先端部分に磁性体や電導体を配したものにより筆記されるもの、より具体的にいえば、筆記用具の先端面を筆記面に当接させることにより筆記面の色が変化して筆記部分が示されるようにしたものなどが考えられる。
【0060】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…天板
2…天板支持体
11…芯材
11a…表面部
11b…小口面部
11d…上部分
12…薄板材
21…天板支持体
A…天板付き家具
H…筆記面
(S)…水平位置
(K)…起立位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に直接筆記することができるようにした天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の天板付き家具として、表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する脚とを備えてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のものは、筆記面となる天板の表側に表面材を貼り設けるようにしており、天板の縁部すなわち天板における芯材の小口端面は、表面材とは別個のカバー部材が取着されている。
【0004】
これら同一構造をなす他の天板付き家具を隣接させて用いた場合、一方の天板の表面材と他方の天板の表面材との間に、双方の縁部に配されたカバー部材が介在してしまうこととなり、筆記面の連続性が阻害されるものとなっていた。
【0005】
また、カバー部材を設けずに筆記面の連続性を担保しようとした場合、天板の縁部が壁面に当たったり他の家具等に当たったりすることに伴って、天板の縁部の表面材がめくれやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−17481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、天板の縁部が他の部材に当たることに伴って、天板の表面材がめくれやすくなるという問題を解消又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、次のような構成をなすものである。
【0009】
請求項1にかかる発明は、表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であって、前記天板が、芯材と、この芯材に形成された表面部と小口面部の少なくとも上部分とを連続して被覆し外側に前記筆記面が形成された薄板材とを備えてなり、前記天板支持体が、天板を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにしたものである。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる構成において、前記天板支持体が、天板を上下昇降可能に支持し得るものである。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2にかかる構成において、前記芯材の小口面部が、床面に対して略垂直な上部分と、床面に対して傾斜した下部分とを備えているものである。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3にかかる構成において、前記薄板材が、鋼板により形成される鋼板層と、この鋼板層の上に設けられ前記筆記面を形成する筆記面塗膜層とを備えているものである。 請求項5にかかる発明は、請求項1、2又は3にかかる構成において、前記薄板材が、合成樹脂製のフィルム層と、このフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えているものである。
【0013】
請求項6にかかる発明は、請求項1、2、3、4又は5にかかる構成において、前記筆記面が、ホワイトボード仕様のものである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、天板の縁部が他の部材に当たることに伴って、天板の表面材がめくれやすくなるという問題を解消又は抑制するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態である天板付き家具の斜視図。
【図2】同実施形態における天板を起立させた状態の斜視図。
【図3】同実施形態における使用態様を示す側面図。
【図4】同実施形態における他の使用態様を示す側面図。
【図5】同実施形態における天板の縁部の部分拡大断面図。
【図6】同実施形態における芯材の角部を拡大して示す概略斜視図。
【図7】同実施形態における天板付き家具に同一構造をなす他の天板付き家具を隣接配置した状態を示す説明図。
【図8】起立位置における一方の天板の縁部と他方の天板の縁部とを近接させた状態を示す概略平面図。
【図9】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【図10】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【図11】他の実施形態を示す天板の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0017】
本実施形態は、本発明を、テーブルとしての機能を発揮することができるとともに、ホワイトボードとしての機能を発揮することができるようにした天板付き家具Aに適用した場合のものである。換言すれば、この天板付き家具Aはテーブル兼ホワイトボードとも称されるものである。この天板付き家具Aは、オフィスや学校の教室等において好適に用いられるものであるが、特に、新たな発想やアイデアを創出させるためのいわゆるブレーンストーミングを行う場面において、新たな発想やアイデアの創出を促進又は支援するツールとして好適に使用されるものである。
【0018】
天板付き家具Aは、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と、天板1を床面に対して略垂直な起立位置(K)との間で回動可能にしているものである。すなわち、天板1が、床面に対して略水平な水平位置(S)にある場合には、天板1の表面Jすなわち上面が床面に対して水平をなし種々の物品を安定載置できるテーブルとしての機能を発揮するものである。一方で、この天板付き家具Aは、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能なものとしているが、天板1が、水平位置(S)、起立位置(K)、又は、水平位置(S)と起立位置(K)との間の位置、これらの何れの位置にあっても、天板1の表面Jすなわち筆記面Hに、ペン等を使用して文字等を書くことができるホワイトボードとしての機能を発揮するものである。
【0019】
以下、本実施形態における天板付き家具Aについて詳述する。
【0020】
天板付き家具Aは、表面Jに主たる筆記面Hを形成する天板1と、天板1を支持する天板支持体2とを備えてなるものである。
【0021】
天板1は外面を形成する部位として、筆記面Hを有した表面Jと、表面Jと反対の面を構成する裏面Uと、前記表面Jと裏面Uとの間に位置してなる側面Eとを有しているものである。天板1は平面視略方形をなすもの、より具体的にいえば、本実施形態における天板1は、水平位置(S)において平面視略正方形の形状をなしているものである。この天板1の4つの縁部は側面Eが垂直部E1と傾斜部E2を有した形状、換言すれば、船底形状をなしている。
【0022】
天板1は、基礎部分を形成する平面視矩形板状の芯材11と、この芯材11の外面を被覆する薄板材12とを備えてなる。
【0023】
芯材11は、木材等を主体にして製造されたものである。本実施形態においては、芯材11は繊維板により作られた平面視四角形状をなすものであり、上面部分を構成する表面部11aと、側面部分を構成する小口面部11bと、下面部分を構成する裏面部11cとを具備している。表面部11aは、その上に薄板材12が貼り設けられるように略全面を平らかに形成されている。裏面部11cは、表面部11aと略同様の構造であるが、後述する天板支持体2が取り付けられるようにするため、所要箇所に図示しない穴やスリット等の取付部が形成されている。
【0024】
小口面部11bは、水平位置(S)において床面に対して略垂直な上部分たる垂直面11dと、床面に対して傾斜した下部分たる傾斜面11eとを備えている。傾斜面11eは、芯材11の端縁部分から長手方向中央に向かうにつれて漸次その面位置が下に遷移するようにしたもの、すなわち、芯材11の縁部111に形成された傾斜面11eは、表面部11aとの上下方向の離間距離が芯材11の端縁部分から長手方向中央に向かうにつれて漸次大きくなるように設定されている。換言すれば、芯材11の縁部111における傾斜面11eを有する部位は側面視及び横断面視においてテーパー状をなしている。しかして、本実施形態における芯材11の縁部111は、表面部11aと、表面部11aと略垂直をなすとともに表面部11aから連続する小口面部11bの垂直面11dと、垂直面11dから連続してなり表面部11aに対して傾斜してなる小口面部11bの傾斜面11eと、この傾斜面11eから連続して延び表面部11aと略平行をなす裏面部11cとによって構成されており、これらによって船底形状を形成している。
【0025】
薄板材12は、主として芯材11の表面部11aの全域を覆うものであるが、本実施形態においては図5に示すように、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分11dとを連続して被覆してなるものである。換言すれば、本実施形態における薄板材12は、芯材11の表面部11aを被覆する部分である表面形成部121と、芯材11の小口面部11bの上部分11dを被覆する部分である垂直面形成部122とを具備している。薄板材12は、表面形成部121と垂直面形成部122とによって、下側に開放された箱形状をなしている。薄板材12は、外側、すなわち、表面形成部121及び垂直面形成部122の表出面に筆記面Hが形成される。しかして、本実施形態においては、筆記面Hが、ホワイトボード仕様のものとなっている。
【0026】
薄板材12は、鋼板Stにより形成される鋼板層12aと、この鋼板層12aの上に設けられ、塗料Ptにより形成される筆記面塗膜層12bとを備えたものである。
【0027】
鋼板層12aは、本実施形態においては、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分である垂直面11dとを連続して被覆しているものである。鋼板層12aは、例えば、厚み寸法が0.6mm程度の鋼板Stにより形成される断面視において層状をなすものである。鋼板層12aを形成する鋼板Stは、芯材11の表面部11aと小口面部11bの上部分である垂直面11dに接着剤等により接着される。
【0028】
筆記面塗膜層12bは、塗料Ptにより鋼板層12aの上に形成される断面視において層状をなすものである。筆記面塗膜層12bを形成する塗料Ptとしては、例えば、ホワイトボード用の白色塗料が用いられる。筆記面塗膜層12bにおける外部に表出する部分には筆記面Hが形成される。なお、筆記面塗膜層12bを形成する塗料Ptは、鋼板Stが芯材11に貼着された後に芯材11及び鋼板Stの外部に表出する面に塗布される。すなわち、塗料Ptは、鋼板Stの表出面だけでなく、芯材11の表出面に直接塗布されるものであり、換言すれば天板1の外面全体に塗布されるものである。
【0029】
より具体的にいえば、天板1は次のように形成される。まず、鋼板Stが、芯材11の表面部11a及び小口面部11bの垂直面11dに接着されると、図6に示すように、芯材11の角部112に鋼板層12aによって上下方向に延びる隙間SPが形成されることとなるため、次いで、図示しないパテ等の埋込材によって隙間SPを埋め込み、角部分を鋼板Stの外面と滑らかに連続させる処理を行う。しかる後に、筆記面塗膜層12bを形成するホワイトボード用の白色塗料Stは、外面に表出している芯材11、鋼板層12a、及び埋込材により形成された外面部分の略全面に塗布される。ここで、図6に示すものは、芯材11及び薄板材12の部分拡大斜視図であり、芯材11に鋼板Stが接着された状態で、鋼板Stによって上下方向の隙間SPが形成されているもので、且つ、塗料Ptが塗布されていない状態のものを示している。このように、塗料Stにより天板1の全体を塗布することにより、塗料Stによって境界部分の微細な段差等を埋めて滑らかに連続させることができ、天板1の見栄えを向上させるものとなっている。特に、起立時において天板1の裏面Uが視認されやすい場合でも、見栄えに優れたものとすることができる。また、裏面Uや側面Eにも筆記面を形成することができる。
【0030】
なお、薄板材12は、芯材11の表面部11aと芯材11の小口面部11bの少なくとも一部とを連続して被覆するものであるが、芯材11の角部112を被覆しないものも含まれる。
【0031】
天板支持体2は、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持することができるとともに、天板1を上下昇降可能に支持することができるものである。詳述すれば、本実施形態における天板支持体2は、下端にキャスタ211を有した脚21と、脚21の上部に設けられ、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持するための支持機構22と、天板1を上下昇降可能に支持し得る昇降機構23とを備えてなる。
【0032】
脚21は、左右に対をなすもので、上下方向に延びる脚支柱212を備えている。一方の脚21の脚支柱21と他方の脚21の脚支柱21とは横架材213を介して連結されている。脚21の下端にはキャスタ211が配されてあり、天板1を使用者が容易に移動できるとともに、所望の位置では、移動を禁止できるようにしている。
【0033】
支持機構22は、天板1を、水平位置(S)と起立位置(K)との間で回動可能に支持するものである。換言すれば、支持機構22は、天板1を床面に対して自由な角度で支持できるものである。支持機構22の具体的な構成については、通常のものであり説明を省略する。
【0034】
昇降機構23は、天板1を上下昇降可能に支持するものである。昇降機構2は、脚21の脚支柱212を上下伸縮可能に構成したものである。本実施形態においては、昇降機構23は、水平位置(S)における天板1の上面と床面との離間寸法を約700mm〜1050mmの間で設定できるようにしている。なお、昇降機構23の具体的な構成については、通常のものであり、説明を省略する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る天板付き家具Aは、表面に筆記面Hを形成する天板1と、天板1を支持する天板支持体2とを備えてなるものとしている。そして、天板1が、芯材11と、芯材11に形成された表面部11aと小口面部11bの上部分11dとを連続して被覆し外側に筆記面Hが形成された薄板材12とを備えているので、天板1の表面材である薄板材12が、芯材11の表面部11aのみならず表面部11aから連続して小口面部11bの上部分dまで被覆するものとなり、天板1の縁部Eが壁面や他の家具等と当接することにより、薄板材12がめくれやすくなるという事態を好適に抑制することができる。
【0036】
詳述すれば次のとおりである。すなわち、薄板材12が、芯材11の表面部11aのみならず、芯材11の表面部11aから連続して少なくとも芯材11の小口面部11bの一部である垂直面11dにまで回り込んで取り付けられているため、薄板材12が芯材11からはがれにくい構造となっている。例えば、従来のこの種の天板では、芯材の小口面部に取着される別個のカバー部材を省略した場合、表面部を覆う部材をめくれやすくしてしまう等の弊害を誘導することがあった。しかしながら、本実施形態に示すものにおいては、薄板材12の小口面部11bを覆う部分が他の部材と当接しても、薄板材12の表面部11aを覆う部分は小口面部11bを覆う部分と連続しているので、一体的な強度を発揮することとなり、薄板材12の表面部11aを覆う部分に影響が及びにくいものとなっている。
【0037】
しかも、本実施形態における天板支持体2は、天板1を床面に対して略水平な水平位置(S)と略垂直な起立位置(K)との間で回動可能に支持するようにしているので、テーブルとしての機能を発揮することができるとともに、ホワイトボードとしての機能を発揮することができる多機能性を有した家具を提供することができる。
【0038】
天板1の側面Eが、芯材11の小口面部11bを、芯材11の表面部11aを被覆する薄板材12によって連続して被覆して形成されるので、従来のような天板の表面材と別個独立の部材を天板の縁部に配してなるものよりも外観上すっきりした印象を与え、意匠的に優れたものとなる。
【0039】
芯材11の小口面部11bが、表面部11aを被覆する薄板材12によって連続して被覆されるものであるので、図7に示すように、同一構造をなす他の天板付き家具A’を隣接させて用いた場合、一方の天板1の薄板材12と他方の天板1’の薄板材12’との間に他の別部材が介在せず、一方の天板1の筆記面Hと他方の天板1’の筆記面H’との連続性が確保され、使用者の使い勝手が向上するものとなる。
【0040】
なお、図7では、本実施形態である天板付き家具Aに加えて、この天板付き家具Aと同一構造をなす他の天板付き家具A’を示している。また、当該他の天板付き家具A’におけるその他の符号については本実施形態である天板付き家具Aの符号に「’」を付加したものとして表示している。
【0041】
天板1の側面Eが、垂直部E1と傾斜部E2を有した形状、換言すれば、船底形状に形成されているので、外観上、見栄えがよく意匠性に優れたものとなっている。
【0042】
ここで、図8に示すものは、本実施形態に示す天板1と、同一構造をなす他の天板1’をそれぞれ起立位置(K)にした状態の概略平面図である。他の天板1’におけるその他の符号には「’」を付して表示している。本実施形態における天板1の側面Eは、垂直部E1と傾斜部E2とを有した船底形状をなすものであるので、同図に示すように、同一構造をなす他の天板1’の縁部を天板1の縁部に一定角度で隣接させた場合に、天板1の表面Jと他方の天板1’の表面J’との距離を、縁部が角型であるものと比較して、近いものとすることができる。換言すれば、天板1の傾斜部E2の後方領域に、他の天板1’の縁部を位置させることができるので、例えば、一方の天板1の縁部と他方の天板1’縁部とを近づけて一定の角度をつけて横並びさせるような場合であっても、正面視において天板1と天板1’との間に隙間が形成されるのを好適に防ぐものとなるとともに、一方の天板1と他方の天板1’との間に大きな段差ができにくいものとなる。一般に、このような天板1の縁部と他の天板1’の縁部とを近接する作業は、複数のものを有機的に利用可能な本実施形態に係る天板付き家具Aの特性上、頻繁にかつラフに行われることが多いが、前述の通り、天板1の縁部の形状が船底形状のものであれば、ラフな扱いであっても容易に一方の天板1の縁部と他方の天板1’の縁部とを近接する作業を行うことができる。
【0043】
薄板材12を、鋼板により形成される鋼板層12aと、鋼板層12aの上に設けられ筆記面Hを形成する筆記面塗膜層12bとを備えてなるものとしているので、材料の複雑化を好適に回避し得るものとなる。
【0044】
薄板材12は、表面形成部121と垂直面形成部122とによって、下側に開放された箱形状をなしているので、薄板材12を芯材11に被せるようにして装着することができ、芯材11と薄板材12との位置合わせを容易に行うことができるものとなる。
【0045】
筆記面Hが、ホワイトボード仕様のものであるので、ペン等を用いて文字等を自由に筆記することができる。
【0046】
天板支持体2が、天板1を上下昇降可能に支持し得るものであるため、使用者は天板1を任意の高さ位置に設定して利用することができ、利便性が向上するものとなる。例えば、図4に示すように、天板1を比較的高い位置で支持させるとともに、天板1を起立位置(K)に保持すれば、利用者の一覧性に優れた使用形態にすることができる。
【0047】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0048】
天板支持体は、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。天板支持体は、構造体であってもよいし、脚が1つのものでもよいし、複数のものでもよい。すなわち、天板支持体は、天板を床面に対して離間させて支持することができるものであればどのようなものでもよい。
【0049】
塗料は、白色のものに限定されないのはもちろんのことである。
【0050】
小口面部を構成する上部分と下部分との上下寸法の比率は、適宜調整できるものであり、本実施形態に示すものに限定されないのは言うまでもない。
【0051】
小口面部は、本実施形態に示されるように、上部分と下部分を有するものに限られず、例えば、図9に示すようなものであってもよい。
【0052】
なお、以下に説明する他の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には、頭に「A」、「B」、「C」をつけた同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0053】
図9のものは、他の実施形態である天板A1を示したものである。小口面部A11bは、同図に示すように、表面部11aと垂直である垂直面11eのみを有するものであってもよい。同図に示す実施形態における薄板材A12は、芯材A11の表面部A11bと芯材A11の小口面部A11bである垂直面A11dとを被覆しており、換言すれば、芯材A11の表面部A11aを被覆する部分である表面形成部A121と、芯材B11の小口面部B11bである垂直面A11eを被覆する部分である垂直面形成部A122とを具備している。薄板材A12は、外側、すなわち、表面形成部A121及び垂直面形成部A122の表出面に筆記面AHが形成される。このようなものであっても、薄板材A12が、天板A1の側面AEが他の部材に当たる等に伴ってはがれやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0054】
薄板材は、本実施形態に示すような、芯材の表面部と小口面部の上部分のみを連続して被覆するものには限定されるものではない。
【0055】
ここで、図10には他の実施形態である天板B1を示しており、図11には他の実施形態である天板C1を示している。
【0056】
図10に示す天板B1では、薄板材B12は、芯材B11に形成された表面部B11aと、小口面部B11bの上部分である垂直面B11dと、小口面部B11bの下部分である傾斜面B11eと、芯材B11に形成された裏面部B11cの一部分を連続して被覆しているものである。換言すれば、本実施形態の薄板材B12は、芯材B11の表面部B11aから芯材B11の裏面部B11cまで連続して貼り回されているものであり、芯材B11の表面部B11aを被覆する部分である表面形成部B121と、芯材B11の小口面部B11bの上部分である垂直面B11dを被覆する部分である垂直面形成部B122と、芯材B11小口面部B11bの下部分である傾斜面B11eを被覆する部分である傾斜面形成部B123と、芯材B11の裏面部B11cを被覆する部分である裏面形成部B124とを具備している。薄板材B12は、外側、すなわち、表面形成部B121、垂直面形成部B122、傾斜面形成部B123及び裏面形成部B124の表出面に筆記面BHが形成される。このようなものであっても、薄板材B12が、天板B1の側面BEが他の部材に当たる等に伴ってはがやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0057】
図11に示す天板C1では、薄板材C12は、芯材C11に形成された表面部C11aと、小口面部C11bである垂直面C11dと、芯材C11に形成された裏面部C11cの一部分を連続して被覆しているものである。換言すれば、本実施形態の薄板材C12は、芯材C11の表面部C11bから芯材C11の裏面部C11cまで連続して貼り回されているものであり、芯材C11の表面部C11aを被覆する部分である表面形成部C121と、芯材C11の小口面部C11bである垂直面C11dを被覆する部分である垂直面形成部C122と、芯材C11の裏面部C11cを被覆する部分である裏面形成部C124とを具備している。薄板材C12は、外側、すなわち、表面形成部C121、垂直面形成部C122及び裏面形成部C124の表出面に筆記面CHが形成される。このようなものであっても、薄板材C12が、天板C1の側面CEが他の部材に当たる等に伴ってはがれやすくなることを好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0058】
薄板材は、本実施形態に示されるような鋼板を主体に構成されるものに限定されない。例えば、薄板材として、合成樹脂製のフィルム層と、この合成樹脂製のフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えているものを用いてもよい。このような構成のものであっても、所期の目的を達成することができる。
【0059】
表面に筆記面を形成する天板には、ペンにより筆記されるホワイトボード仕様の天板の他、チョークにより筆記される黒板仕様のものなど、種々のものが考えられる。その他、表面に筆記面を形成する天板としては、例えば、筆記用具の先端部分に磁性体や電導体を配したものにより筆記されるもの、より具体的にいえば、筆記用具の先端面を筆記面に当接させることにより筆記面の色が変化して筆記部分が示されるようにしたものなどが考えられる。
【0060】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…天板
2…天板支持体
11…芯材
11a…表面部
11b…小口面部
11d…上部分
12…薄板材
21…天板支持体
A…天板付き家具
H…筆記面
(S)…水平位置
(K)…起立位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であって、
前記天板が、芯材と、この芯材に形成された表面部と小口面部の少なくとも上部分とを連続して被覆し外側に前記筆記面が形成された薄板材とを備えてなり、前記天板支持体が、天板を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにしたものであることを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】
前記天板支持体が、天板を上下昇降可能に支持し得るものである請求項1記載の天板付き家具。
【請求項3】
前記芯材の小口面部が、床面に対して略垂直な上部分と、床面に対して傾斜した下部分とを備えている請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記薄板材が、鋼板により形成される鋼板層と、この鋼板層の上に設けられ前記筆記面を形成する筆記面塗膜層とを備えている請求項1、2又は3記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記板材が、合成樹脂製のフィルム層と、このフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えている請求項1、2又は3記載の天板付き家具。
【請求項6】
前記筆記面が、ホワイトボード仕様のものである請求項1、2、3、4又は5記載の天板付き家具。
【請求項1】
表面に筆記面を形成する天板と、この天板を支持する天板支持体とを備えてなる天板付き家具であって、
前記天板が、芯材と、この芯材に形成された表面部と小口面部の少なくとも上部分とを連続して被覆し外側に前記筆記面が形成された薄板材とを備えてなり、前記天板支持体が、天板を床面に対して略水平な水平位置と略垂直な起立位置との間で回動可能に支持するようにしたものであることを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】
前記天板支持体が、天板を上下昇降可能に支持し得るものである請求項1記載の天板付き家具。
【請求項3】
前記芯材の小口面部が、床面に対して略垂直な上部分と、床面に対して傾斜した下部分とを備えている請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記薄板材が、鋼板により形成される鋼板層と、この鋼板層の上に設けられ前記筆記面を形成する筆記面塗膜層とを備えている請求項1、2又は3記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記板材が、合成樹脂製のフィルム層と、このフィルム層の上に形成された筆記面被膜層とを備えている請求項1、2又は3記載の天板付き家具。
【請求項6】
前記筆記面が、ホワイトボード仕様のものである請求項1、2、3、4又は5記載の天板付き家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−100933(P2012−100933A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252998(P2010−252998)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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