説明

天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システム

【課題】 局地的で正確な天気情報を送信し、また、その天気情報を配信することのできる天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムを提供する。
【解決手段】 車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、ワイパ作動信号及びウオッシャ液噴射信号に基づき、現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、現在位置が降雨状態であると判定されたとき、現在位置に係る現在位置情報及びワイパ作動信号を送信する送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムに関するものであり、特に、車両に搭載されたナビゲーション装置により取得した車両情報に従い、走行位置における天気情報を取得して天気情報サーバに送信する天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天気情報については、気象衛星や、地上の複数の観測地点に設置した観測機器から取得したデータに基づき、各地域ごとの天気情報を作成し、その天気情報を放送網やインターネットに送信することにより、広汎な利用が図られている。
【0003】
ところで、これらの情報は、非常にコストのかかる気象衛星や、限られた地点にしか設置することのできない観測機器からのデータに基づいて作成されているため、局地的な地域における正確な気象情報を取得することが困難であった。
そこで、下記の特許文献1(特開2002−99576号公報)では、天気状態情報を携帯電話機から天気サーバに送信し、天気サーバは、多数の携帯電話機から受信した天気状態情報と、携帯電話機の基地局から得た各携帯電話機の位置情報及び時間情報とに基づき、所定区域の天気情報を編集加工し、ユーザからの要求に応じて、所望の地点における天気情報を提供するようにした天気情報提供システムを開示している。また、この特許文献1では、天気状態情報を、例えば、携帯電話機を所持するユーザが操作を行うことで生成し、または、携帯電話機に内蔵された各種センサ、例えば、温度センサ、湿度センサ等により検出している。
【0004】
また、気象状態情報を取得して、天気サーバに提供するものではないが、局地的な地域における気象状況を判定し、その判定結果に基づいて所定の処理を行うことのできる装置として、下記の特許文献(特開2010−269703号公報)に開示された車両用ライト制御装置がある。この装置は、車両のワイパの作動状態を検知して雨判定を行い、ヘッドランプを自動点灯させるようにしたものであり、車両の走行地点における気象状況として、降雨状態であるか否かを把握可能なものと考えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−99576号公報(要約、段落[0015])
【特許文献2】特開2010−269703号公報(段落[0027]、[0028]、[0034]、[0036])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の場合、携帯電話機自体が、自らの現在位置に係る情報を天気サーバに対して送信するものではない。また、携帯電話機に搭載できるセンサとしては、温度センサや湿度センサ等が限度であり、これらのセンサだけでは、周囲の降雨状態を直接的且つ正確に検知することはできない。従って、精度の高い天気状態情報を送信することは極めて困難である。
【0007】
また、特許文献2の場合、ワイパの作動状態から雨判定を行うことはできるものの、例えば、ワイパは、ウオッシャ液をフロントウインドウに噴射させた場合においても作動されるものであり、この情報を天気状態情報として利用しようとすると、間違った判定を行ってしまうおそれがある。
【0008】
さらにまた、特許文献1、2に開示された先行技術は、車両に搭載されたナビゲーション装置ではない。特に、特許文献2は、検知したワイパの作動状態をデータとして外部に送信するものではないため、取得した情報に基づいて天気情報を生成することはできない。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、局地的な正確な天気情報を生成するための情報を送信することのできる天気情報送信端末を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、天気情報送信端末から送信された天気情報に基づき、局地的で正確な天気情報を配信することのできる天気情報配信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る天気情報送信端末において、前記ワイパ作動信号は、ワイパ作動レベルに応じた信号であることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る天気情報送信端末において、前記天気情報送信端末は、前記車両の経路案内を行うナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項4に係る発明は、車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、を備えた天気情報送信端末と、複数の前記天気情報送信端末から送信された前記現在位置情報及び前記ワイパ作動信号に基づき、同一範囲内における天気情報を生成し、前記天気情報を配信する天気情報配信サーバと、
からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明においては、車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、を備える。
【0016】
このような構成とすることにより、車両が現在位置する場所における降雨の有無について、極めて局地的で正確な天気に関する情報を送信することができる。
【0017】
請求項2に係る発明においては、請求項1に記載の発明において、ワイパ作動レベル毎の天気に関する情報を送信することにより、降雨量を含むきめの細かい情報を得ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に記載の発明において、天気情報送信端末をナビゲーション装置とすることにより、ナビゲーション装置が備える現在位置検出手段を流用した安価な天気情報送信端末を提供することができる。
【0019】
請求項4に係る発明においては、車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、を備えた天気情報送信端末と、複数の前記天気情報送信端末から送信された前記現在位置情報及び前記ワイパ作動信号に基づき、同一範囲内における天気情報を生成し、前記天気情報を配信する天気情報配信サーバと、からなる。
【0020】
このような構成とすることにより、車両の場所における降雨の有無について、極めて局地的で正確な天気に関する情報を配信することができる。
【0021】
請求項5に係る発明においては、請求項4に記載の発明において、ワイパ作動レベル毎の天気に関する情報を配信することにより、降雨量を含むきめの細かい情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例である天気情報配信システムの構成ブロック図である。
【図2】図1に示す天気情報配信システムを構成する車載型ナビゲーション装置の処理フローチャートである。
【図3】図1に示す天気情報配信システムを構成する天気情報配信サーバの処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムを例示するものであって、本発明をこの天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の天気情報送信端末及びそれを用いた天気情報配信システムにも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の一実施例である天気情報配信システム10の構成ブロック図である。天気情報配信システム10は、車両に搭載される天気情報送信端末であるナビゲーション装置11と、ナビゲーション装置11から送信された情報に基づき、車両の現在位置周辺の天気情報を生成して配信する天気情報配信サーバ25とから構成されている。
【0025】
ナビゲーション装置11は、移動体である車両の現在位置を検出して、地図画像とともに現在位置をユーザに案内し、また、現在位置から目的地までの車両の経路を探索してユーザに案内するものである。
【0026】
ナビゲーション装置11は、制御部12、現在位置検出部13(現在位置検出手段)、経路探索部14、地図情報記憶部15、操作部16、表示部17及びスピーカ18を備える。また、ナビゲーション装置11は、ワイパ作動信号検知部19(ワイパ作動信号検知手段)、ウオッシャ液噴射信号検知部20(ウオッシャ液噴射信号検知手段)及び通信部21(送信手段)を備える。
【0027】
制御部12は、CPU26、ROM27及びRAM28を備え、ROM27及び/又はRAM28に記憶された制御プログラムをCPU26が実行することにより、ナビゲーション装置11の各部の動作を制御・統括する。なお、CPU26は、車両の現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段として機能する他、車両の現在位置が降雨状態であると判定したとき、現在位置検出部13によって検出された車両の現在位置に係る現在位置情報と、ワイパ作動信号検知部19によって検知されたワイパ作動レベルの情報を含むワイパ作動信号を通信部21からネットワーク24を介して外部の天気情報配信サーバ25へ送信する送信手段としても機能する。
【0028】
現在位置検出部13は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの信号を所定の時間間隔で受信し、この信号に含まれている時刻情報及び衛星位置情報に基づいて車両の現在位置を検出する。
【0029】
経路探索部14は、操作部16を介してユーザが入力した経路探索条件に従い、地図情報記憶部15に記憶されている地図情報を参照して最適な経路(案内経路)を探索するものである。経路探索部14は、出発地又は現在位置に対応する道路のノードから目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路として探索する。なお、経路探索部14は、外部の情報配信サーバ(図示せず)から通信部21を介して地図情報を取得し、経路探索を行うものであってもよい。また、地図情報とともに経路探索部14を外部の情報配信サーバに設置し、ナビゲーション装置11が外部から案内経路を取得するように構成することもできる。
【0030】
地図情報記憶部15は、道路データ、建物データ、背景データ及びテキストデータから構成される地図情報が記憶された記憶媒体である。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、それぞれの道路の本線や連結路、分岐路を区別するための道路種別、距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータ、さらにはリンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが含まれる。建物データは、建物の位置座標、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる位置座標、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標のデータを含んで構成される。
【0031】
操作部16は、ナビゲーション装置11の各種操作、例えば、経路探索のための出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力するために用いられるものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。表示部17は、車両の現在位置、地図画像、案内経路等が表示される他、操作部16を用いた作業に必要な操作画像が表示されるものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。スピーカ18は、経路案内情報に係る音声情報を出力する手段である。
【0032】
ワイパ作動信号検知部19は、車両のワイパを駆動するワイパ駆動部22に接続され、ワイパが作動する際に、ワイパ駆動部22から出力されるワイパ作動信号を検知するものである。この場合、ワイパ作動信号には、ワイパの移動速度や動作間隔が異なる複数のワイパ作動レベルを示す情報が含まれる。
【0033】
ウオッシャ液噴射信号検知部20は、車両のフロントウインドウ等にウオッシャ液を噴射するウオッシャ液噴射部23に接続され、ウオッシャ液が噴射される際に、ウオッシャ液噴射部23から出力されるウオッシャ液噴射信号を検知するものである。
【0034】
通信部21は、ネットワーク24を介して、外部の天気情報配信サーバ25と通信を行うための手段であり、制御部12のCPU26は、現在位置検出部13により検出された車両の現在位置情報と、ワイパ作動信号検知部19により検知されたワイパ作動信号とを通信部21を介して外部の天気情報配信サーバ25へ送信する一方、ユーザからの要求に応じて、天気情報配信サーバ25から天気情報を受信するものである。
【0035】
天気情報配信サーバ25は、複数の車両のナビゲーション装置11から受信した車両の位置情報及びワイパ作動信号に基づき、局地的な地域における天気情報を生成して蓄積し、ユーザからの要求に応じて生成した天気情報を配信するものである。
【0036】
次に、以上のように構成されるナビゲーション装置11の動作について説明する。
【0037】
先ず、ナビゲーション装置11による経路探索の動作について、簡単に説明する。ユーザが、操作部16を用いて出発地、経由地(経由地が設定されている場合)及び目的地を入力すると、経路探索部14は、地図情報記憶部15に記憶されている地図情報に基づき、出発地から経由地を経由して目的地までの最適な案内経路を探索する。制御部12は、探索された案内経路を地図画像とともに表示部17に表示する。また、現在位置検出部13により検出された車両の現在位置が案内経路とともに表示する。ユーザは、表示されたこれらの情報に従い、目的地まで容易に移動することが可能となる。
【0038】
次に、CPU26が、車両の現在位置における天気に関する情報を、ネットワーク24を介して天気情報配信サーバ25に送信し、また、天気情報配信サーバ25から所望の地域の天気情報の配信を受ける動作について説明する。
【0039】
なお、図2は、ナビゲーション装置11の処理フローチャートであり、図3は、天気情報配信サーバ25の処理フローチャートである。
【0040】
車両に搭載されたナビゲーション装置11の電源がONになると、制御部12のCPU26は、ウオッシャ液噴射信号検知部20を制御し、ウオッシャ液噴射信号の有無を検知する処理を行う(ステップS101)。このとき、ユーザによりウオッシャ液噴射部23が駆動されると、ウオッシャ液噴射信号検知部20は、ウオッシャ液噴射部23からウオッシャ液噴射信号を取得し、CPU26に送信する(ステップS101:YES)。CPU26は、受信したウオッシャ液噴射信号をRAM28に一時記憶する(ステップS102)。ステップS101の処理において、ウオッシャ液噴射部23が駆動されない場合には、ウオッシャ液噴射信号は検知せず(ステップS101:NO)、ステップS103の処理へ進む。
【0041】
次に、CPU26は、ワイパ作動信号検知部19を制御し、ワイパ作動信号の有無を検知する処理を行う(ステップS103)。このとき、ユーザによりワイパ駆動部22が駆動されると、ワイパ作動信号検知部19は、ワイパ駆動部22からワイパ作動信号を取得し、CPU26に送信する(ステップS103:YES)。CPU26は、受信したワイパ作動信号に基づき、ワイパの移動速度や動作間隔が異なる複数のワイパ作動レベルのどのレベルであるのかを判定する(ステップS104)。ワイパ駆動部22によりワイパが駆動されない場合には、ワイパ作動信号は検知せず(ステップS103:NO)、ステップS107の処理へ進む。
【0042】
CPU26は、ワイパ作動信号検知部19がワイパ作動信号を検知した場合(ステップS103:YES)、ステップS101の処理において、ウオッシャ液の噴射検知信号が検知されているか否かを判定する。この判定は、RAM28に噴射検知信号が記憶されているか否かで判定することができる。RAM28に噴射検知信号が記憶されていない場合(ステップS105:NO)、CPU26は、ワイパの動作が、ウインドウに噴射されたウオッシャ液を拭き取るための動作ではなく、雨を拭き取るための動作であり、車外が降雨状態であると判定し、現在位置検出部13によって検出された車両の現在位置に係る現在位置情報と、ワイパ作動信号検知部19によって検知されたワイパ作動レベルの情報を含むワイパ作動信号とを通信部21からネットワーク24を介して天気情報配信サーバ25に送信する(ステップS106)。RAM28に噴射検知信号が記憶されている場合には(ステップS105:YES)、ワイパの動作が、ウインドウに噴射されたウオッシャ液を拭き取るための動作と判定し、現在位置情報及びワイパ作動信号を天気情報配信サーバ25には送信しない。
【0043】
ステップS107の処理において、ナビゲーション装置11の電源がOFFにされると、全ての処理が終了する(ステップS107:YES)。
【0044】
一方、ナビゲーション装置11の電源がONのままである場合、CPU26は、ワイパ作動信号検知部19を介して、ワイパの作動が停止状態にあるか否かを判定する。ワイパ作動信号検知部19がワイパ作動信号を検知しないとき、ワイパの作動が停止しており(ステップS108:YES)、CPU26は、車外が雨の降っていない状態であると判定する。そこで、CPU26は、現在位置検出部13によって検出された車両の現在位置に係る現在位置情報と、ワイパが作動していない状態であることを示すワイパ作動信号とを通信部21からネットワーク24を介して天気情報配信サーバ25に送信する(ステップS106)。なお、ワイパの作動が継続しているときには(ステップS108:NO)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0045】
次に、天気情報配信サーバ25における処理ついて説明する。天気情報配信サーバ25は、車両のナビゲーション装置11から現在位置情報及びワイパ作動信号を受信すると(ステップS201:YES)、受信した情報に基づいて、車両の現在位置と、当該車両のワイパ作動レベルを判定する(ステップS202)。なお、ワイパ作動レベルには、ワイパが作動していない場合も含まれるものとする。
【0046】
天気情報配信サーバ25は、受信した車両の現在位置に基づき同一範囲内と見なすことのできる地域を設定し、設定した範囲内に位置する所定数以上の車両から送信された同じ時刻範囲内のワイパ作動信号を集計し、例えば、同じワイパ作動レベルが所定数以上ある場合(ステップS203:YES)、その情報の信頼度が高いものと判断し、当該地域におけるその時刻での天気情報を、ワイパ作動レベルに応じた天気情報として更新する(ステップS204)。また、同じワイパ作動レベルが所定数よりも少なければ、現在取得している情報の信頼度が低いものと判断し、天気情報の更新は行わない(ステップS203:NO)。
【0047】
ここで、車両の現在位置を「同一の範囲内」と見なす地域は、例えば、所定の半径の範囲内としてもよく、また、市町村単位で地図情報を分割して範囲を設定してもよい。また、「同じ時刻範囲内」とするのは、各車両から送信される情報の送信時間が、通信トラフィック等の状況によって異なることがあるため、所定の幅を持たせる必要があるからである。また、ワイパ作動レベルに応じて、例えば、降雨状態の強弱を判定することにより、きめ細かい天気情報を生成して提供することができる。
【0048】
各地域毎に記録された現在の時刻での天気情報は、ユーザからの要求に応じて配信される(ステップS205)。そして、配信処理が終了するまで、ステップS201からの処理が繰り返される(ステップS206)。なお、天気情報の配信は、例えば、インターネット上の天気情報配信業者が提供するサイトで行うことができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0050】
例えば、車両があまり存在していない地域のように、同一の範囲内と見なされる地域から受信するワイパ作動信号の数が少ないと、天気情報が長期間更新されなくなるおそれがある(ステップS203、S204)。そこで、例えば、受信したワイパ作動信号のうち、頻度の高い同一のワイパ作動レベルに基づいて天気情報を更新するようにすれば、精度が低くなる可能はあるものの、可能な限り、現状に応じた天気情報を配信することができるようになる。その他、ワイパ作動信号だけでなく、温度信号、湿度信号等を同時に車両から受信し、これらの情報に基づいて、天気情報を編集加工することにより、より決めの細かい局地的な天気情報を配信することができる。
【符号の説明】
【0051】
10・・・天気情報配信システム
11・・・ナビゲーション装置
12・・・制御部
13・・・現在位置検出部
14・・・経路探索部
15・・・地図情報記憶部
16・・・操作部
17・・・表示部
18・・・スピーカ
19・・・ワイパ作動信号検知部
20・・・ワイパ駆動部
21・・・ウオッシャ液噴射信号検知部
22・・・ウオッシャ液噴射部
23・・・通信部
24・・・ネットワーク
25・・・天気情報配信サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、
前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、
前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする天気情報送信端末。
【請求項2】
請求項1記載の天気情報送信端末において、
前記ワイパ作動信号は、ワイパ作動レベルに応じた信号であることを特徴とする天気情報送信端末。
【請求項3】
請求項1又は2記載の天気情報送信端末において、
前記天気情報送信端末は、前記車両の経路案内を行うナビゲーション装置であることを特徴とする天気情報送信端末。
【請求項4】
車両に搭載され、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記車両のワイパ駆動部に接続され、ワイパ作動信号を検知するワイパ作動信号検知手段と、
前記車両のウオッシャ液噴射部に接続され、ウオッシャ液噴射信号を検知するウオッシャ液噴射信号検知手段と、
前記ワイパ作動信号及び前記ウオッシャ液噴射信号に基づき、前記現在位置が降雨状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記現在位置が降雨状態であると判定されたとき、前記現在位置に係る現在位置情報及び前記ワイパ作動信号を通信部を介して送信する送信手段と、
を備えた天気情報送信端末と、
複数の前記天気情報送信端末から送信された前記現在位置情報及び前記ワイパ作動信号に基づき、同一範囲内における天気情報を生成し、前記天気情報を配信する天気情報配信サーバと、
からなることを特徴とする天気情報配信システム。
【請求項5】
請求項4記載の天気情報配信システムにおいて、
前記天気情報配信サーバは、前記ワイパ作動信号のワイパ作動レベルに応じた前記天気情報を生成することを特徴とする天気情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−177637(P2012−177637A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41187(P2011−41187)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】