説明

天然の可溶化剤としてのジテルペングリコシド

いくつかのジテルペングリコシド(例えば、ルブソシド、レバウジオシド、ステビオールモノシドおよびステビオシド)は、パクリタキセル、カンプトテシン、クルクミン、タンシノンHA、カプサイシン、シクロスポリン、エリスロマイシン、ナイスタチン、イトラコナゾール、およびセレコキシブを包含するがこれらに限定されない多くの医薬的かつ医学的に重要な化合物の溶解度を向上させることが見いだされた。ジテルペングリコシドルブソシドの使用は、試験された化合物全てにおいて溶解度を増加させた。ジテルペングリコシドは、非毒性であり、医薬、農業(例えば、殺虫剤の可溶化)、化粧品ならびに食品産業において新規複合体形成剤もしくは賦形剤として有用な、天然に存在する種類の水溶解度を向上させる化合物である。他の方法では不溶性である薬物の溶解度を増大させるためにルブソシドを使用することによって、水溶液はいくつかの新規投与経路を有するようになるであろう。加えて、ルブソシドを含む治療化合物の水溶液は、この化合物の既知薬理活性を保持することが示された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(米国以外の国において:)2008年4月11日出願の米国特許仮出願第61/044,176号および2008年9月24日出願の米国特許仮出願第61/099,823号の恩恵を適用可能な条約および慣例のもとで主張する。(米国において:)2008年4月11日出願の米国特許仮出願第61/044,176号および2008年9月24日出願の米国特許仮出願第61/099,823号の恩恵を米国において米国特許法第119(e)条のもとで主張する。
【0002】
本発明は、様々な薬物、農薬、化粧品、および食品の水溶液の調製において用いられる、無毒な天然の可溶化剤としてのジテルペングリコシドの新規使用に関する。
【背景技術】
【0003】
水不溶性の重要な化合物
難水溶性は、調合薬または他の生物活性化合物の送達に対する一般的な障害であり、新規製剤処方における大きな課題である。市販の薬物の動的水溶解度の研究において、87%は、65μg/mL以上、そして7%は20μg/mL以下の水溶解度を有することが判明している(非特許文献1)。薬物の最低許容水溶解度は、1mg/kg臨床用量および平均透過性に基づいて約52μg/mLの溶解度である(非特許文献2)。製薬産業では、調合薬処方のために増大する水不溶性医薬に対する様々な取り組みを行ってきた。一般的に用いられる方法は、1つ以上の複合体形成剤(例えば、シクロデキストリン)、共溶媒(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール)、界面活性剤(例えば、クレモフォアEL、Tween80)、乳化剤(例えば、レシチン、グリセロール)、およびリポソーム、ならびにナノサスペンション技術の単独使用または併用である。この群のうちで、水不溶性薬物の溶解度を改善するための複合体形成剤の使用が増大している。複合体形成剤は、調合薬と化学量論的非共有会合を形成することによって、水溶解度を改善する。現在、製薬産業における主な複合体形成剤は、様々な形態のシクロデキストリン(「CD」、分子量約1135ダルトン)であり、これは水不溶性薬物と包接複合体を形成する。シクロデキストリン包接複合体形成の使用は、多くの不溶性薬物、たとえば抗真菌剤であるボリコナゾール、および抗精神病薬であるジプラシドンメシラートの可溶化に成功し、これらはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンを複合体形成剤として使用する。最も重要なシクロデキストリンは、親α−、β−、およびγ−CDならびに2つの修飾ヒドロキシプロピル−β−CDおよびスルホブチルエーテル−β−CDである。しかし、シクロデキストリンの使用にも欠点がある。これらの欠点のいくつかとしては、薬物分子とCDの包接空洞(inclusion cavity)との適合性の欠如、希釈中の、形成されたCD−薬物複合体の析出(例えば、胃中で)、潜在毒性および均一なCDの品質管理、ならびに望ましい溶解効果達成のための低複合体形成効率が挙げられる。したがって、これらの欠点を克服もしくは軽減するための、シクロデキストリンよりも優れた新規複合体形成剤が、調合薬、化粧品、農薬、および食品の配合物のために必要とされる。
【0004】
ジテルペン。タキサンは、イチイ科のタイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)などのTaxus(イチイ)属の植物によって産生されるジテルペンである。タキサンとしては、パクリタキセルおよびドセタキセルが挙げられる。パクリタキセルはTAXOL(登録商標)という薬剤名の抗癌剤であり、ドセタキセルはTAXOTERE(登録商標)の名称で使用される(非特許文献3)。パクリタキセルは、既知抗癌ジテルペノイドアルカロイドであり、水中に溶解しない。パクリタキセルの構造を図1Hに示す。パクリタキセルの治療用溶液は、現在、油および無水アルコールのいずれか一方または両方を含むか、あるいはパクリタキセルはアルブミンと結合する。これらの配合物のいずれも真の水溶液ではない。他のタキサンとしては、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、セファロマンニン、および10−デアセチルセファロマンニンが挙げられる。これらのタキサンは、それらの構造中に4員オキセタン環および複雑なエステル側鎖を有することを特徴とする。すべてのタキサン化合物は難水溶性を有する(特許文献1)。他の医学上重要であるが不溶性もしくは難溶性のジテルペンとしては、レチノイド(ビタミンA、レチノール(ビタミンA1)、デヒドロレチノール(ビタミンA2)、レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸および他のレチノール誘導体、ギンコライド、およびフォルサコリン(緑内障、鬱血性心不全、および気管支喘息の治療に有望な薬物)が挙げられる。
【0005】
キノリンアルカロイド。キノリンアルカロイドは、それらの構造中にキノリンを有するアルカロイドであり、テルペノイドインドールアルカロイド修飾物である。カレンボク(Camptotheca acuminata)樹木(ヌマミズキ科)から単離されるカンプトテシンは、キノリンアルカロイドである。カンプトテシン(CPT)は、細胞毒性アルカロイドであり、おそらくはトポイソメラーゼ1を阻害することによって、抗腫瘍特性を有すると報告されている(例えば、特許文献2参照)。カンプトテシンの構造を図1Fに示す。これは水に難溶性である(非特許文献4)。トポテカンおよびイリノテカンなどのカンプトテシンの半合成類似体は、認可された化学療法薬である。天然のカンプトテシンとしては、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、メトキシカンプトテシン、および9−ニトロカンプトテシンが挙げられる。天然のカンプトテシンはいずれも水溶性でない(例えば、特許文献3参照)。カンプトテシンは、薬効範囲の広い抗癌活性を有するが、難水溶性のために化学療法剤としての直接使用が制限されてきた。他のキノリンアルカロイドとしては、長年認識されてきた抗マラリア剤キニーネ、キニジン、シンコニジン、およびシンコニンが挙げられる。
【0006】
フェニルアラニン由来のアルカロイド。フェニルアラニン由来のアルカロイドは、フェニルアラニン環構造を有するか、またはフェニルアラニン環構造由来の化合物、例えば、カプサイシンおよびジヒドロカプサイシンである。カプサイシン(CAP)は、チリ・ペッパー由来の刺激性フェニルアラニンアルカロイドであり、神経受容体の感受性を低下させることが知られている。カプサイシンの構造を図1Gに示す。これは、冷水に実質的に不溶性である(非特許文献4)。
【0007】
加水分解性タンニン。加水分解性タンニンとしては、没食子酸を含むガロタンニンおよび没食子酸を基本単位として有する化合物、ならびにエラグ酸を含むエラジタンニンおよびエラグ酸を基本単位として有する化合物が挙げられる。没食子酸の構造を図1Aに示す。没食子酸は、抗酸化物質および血管新生阻害剤の両方であることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。没食子酸は室温で水に難溶性であり(約11mg/ml)、溶液は感光性である(非特許文献4)。
【0008】
フラボノイド。フラボノイドはポリフェノール化合物であり、2−フェニルクロメン−4−オン(2−フェニル−1,4−ベンゾピロン)構造由来のフラボノイド、3−フェニルクロメン−4−オン(3−フェニル−1,4−ベンゾピロン)構造由来のイソフラボノイド、および4−フェニルクマリン(4−フェニル−1,2−ベンゾピロン)構造由来のネオフラボノイドを含む。多くのカルコンは、様々なフラボノイドを形成するための前駆体としての働きをする。フラボノイドの最も注目されるサブクラスは、フラボノン(例えば、ナリンゲニンおよびエリオジクチオール)、フラボン(例えば、アピゲニンおよびルテオリン)、ジヒドロフラボノ−ル(例えば、ジヒドロケンフェロールおよびジヒドロケルセチン)、フラボノ−ル(例えば、ケンフェロールおよびケルセチン)、フラバンジオールおよびロイコアントシアニジン(例えば、ロイコペラルゴニジンおよびロイコシアニジン)、水溶性カテキン(例えば、アフザレチンおよびカテキン)、中程度に可溶性のアントシアニジン(例えば、ペラルゴニジンおよびシアニジン)、ならびにフラボノ−ルグリコシド(例えば、ルチン)およびフラボノングリコシド(例えば、ヘスペリジン、ネオヘスペリジンおよびナリンギン)を含む。イソフラボノイドとしては、例えば、化合物ダイゼインおよびゲニステイン(フィトエストロゲン)が挙げられる。ネオフラボノイドとしては、例えば、クメステロール、ロテノン、およびピサチンの化合物が挙げられる。フラボノ−ルグリコシドの具体例は淡黄色化合物のルチンであり、これは一部の癌を阻害し、血友病の症状を軽減する強力な抗酸化物質である。ルチンの構造を図1Bに示す。ルチンは、イヌおよびネコにおける乳糜胸症の管理において獣医学的用途も有する。これらの潜在的使用全てに対する障害は、その難水溶性である(125μg/ml;非特許文献5)。
【0009】
クルクミノイド/フェノール。クルクミノイド/フェノールは、ショウガ科の植物であるターメリック(Curcuma longa)から得られるターメリックスパイス中で見いだされる化合物の1種である。クルクミノイドとしては、例えば、クルクミン、デスメトキシクルクミン、およびビス−デスメトキシクルクミンが挙げられる。他のフェノールとしては、例えば、トコフェロール(ビタミンE)、プロポフォール、およびジンジェロールが挙げられる。クルクミンは、スパイスターメリックの原料であるターメリック(Curcuma longa)の地下茎中で見いだされる黄橙色顔料である。クルクミンの構造を図1Eに示す。クルクミンは、全体的な健康増進、抗炎症性および抗菌性、および消化不良の治療をはじめとするいくつかの有用な特性を有することが報告されている。(例えば、特許文献5参照)クルクミンは水に不溶性である親油性化合物である(非特許文献4)。ビタミンEの最も強力な形態の1つであるアルファ−トコフェロールは、水中に溶解しない脂溶性フェノール化合物である。その構造を図1Nに示す。ジンジェロールは、ショウガ(Zingiber officinale)の根から最初に単離された脂溶性フェノール化合物である。6−ジンジェロールの構造を図1Pに示す。ジンジェロール(例えば、6−ジンジェロール)は、乗り物酔いまたは妊娠により引き起こされる吐き気を軽減することができ、片頭痛も和らげることができる。
【0010】
プロポフォールは、麻酔および催眠用の薬物である。現在、プロポフォールを使用する2つの薬物形態がある。その構造を図1Oに示す。プロポフォールは、水中大豆油/プロポフォール混合物の乳液として処方される。最新のジェネリック製剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはベンジルアルコールを含む。プロポフォール乳液(「記憶喪失のミルク(milk of amnesia)」としても知られる)は、非常に不透明な白色流体である。この薬物は、20mLの乳化剤中200mgのプロポフォール(1%)として販売されている。プロポフォールの他の薬物形態は、薬物フォスプロポフォールの水溶性形態である。
【0011】
キノン。キノンは、完全に共役した環状ジオン構造を有する化合物の一種である。この種としては、例えば、ユビキノン(コエンザイムQ、たとえばコエンザイムQ10)、プラストキノン、アントラキノン(例えば、レイン、エモジン、アリザリン、およびルシジン)、フェナントラキノン(例えば、クリプトタンシノン、タンシノンI、タンシノンIIA、およびジヒドロタンシノン)、ならびにジアントラキノン(例えば、センノシドAおよびB)が挙げられる。例えば、タンシノンIIAは、タンシノンの天然の類似体の1つである。タンシノンIIAの構造を図1Cに示す。タンシノンは、心筋細胞肥大の減衰から肥満の治療の援助まで様々な生理作用を有することが報告されている(例えば、特許文献6参照)。タンシノンIIA(ならびに他のタンシノン、たとえばタンシノンI)はメタノールには可溶であるが、水には不溶である。
【0012】
別のキノンはコエンザイムQ10(しばしばCoQ10と略記される)、ベンゾキノンである。CoQ10の構造を図1Dに示す。この油溶性ビタミン様物質は、好気的細胞呼吸における電子伝達系の構成要素である。CoQ10は抗酸化物質として作用し、しばしば栄養補助食品として用いられる。CoQ10に関する問題は、その水不溶性および低いバイオアベイラビリティである。化合物の粒径を減少させ、表面積を増大させる試み、油懸濁液中にCoQ10を有するソフトゲルカプセル、固体CoQ10とチロキサポールポリマーの水性分散液の使用、様々な可溶化剤、すなわち水素化レシチンに基づく配合物、およびシクロデキストリン、リポソームなどの担体、ナノ粒子、およびデンドリマーとの複合体形成など、いくつかの配合物が開発され、動物またはヒトに対して試験されてきた。CoQ10を水溶液中に可溶化させることは、注射による投与をはじめとする、新規治療法として多くの用途を有し得る。
【0013】
マイクロライド。マイクロライドは、多くは抗生物質活性を有し、典型的には12員、14員、もしくは16員(使用される単位の数を反映する)の大環状ラクトン環により特徴付けられる化合物の大ファミリーであるが、26〜38員の範囲のマイクロライド環サイズを有するさらに大きなポリエンマクロライドでもあり得る。典型的なマクロライドのいくつかの例は、ストレプトマイセス・エリスレウス(Streptomyces erythreus)から得られるエリスロマイシン(14員)、ストレプトマイセス・アンチバイオチカス(Streptomyces antibioticus)から得られるオレアンドマイシン(14員)、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)から得られるスピラマイシンI、II、およびIII(16員)、ストレプトマイセス・フラジエ(Streptomyces fradiae)から得られるタイロシン(16員)ならびにアベルメクチン(長ポリケチド鎖を有する16員)である。ポリエンマクロライドのいくつかの例は、ストレプトマイセス・ノドサス(Streptomyces nodosus)から得られるアムホテリシンB、ストレプトマイセス・ノウルセイ(Streptomyces noursei)から得られるナイスタチン、ストレプトマイセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)から得られるタクロリムス(23員)およびラパマイシン(シロリムス;31員)である。
【0014】
エリスロマイシンは、マクロライド抗生物質(ポリケチド)である。その構造を図1Jに示す。エリスロマイシンは、ペニシリンと類似しているか又はペニシリンよりも若干広い抗菌スペクトルを有し、多くの場合、ペニシリンに対してアレルギーを有する人に用いられる。呼吸器感染症に関しては、マイコプラズマおよびレジオネラをはじめとする不定形生物により良好に適用される。
【0015】
アムホテリシンBは、ストレプトマイセス(Streptomyses)から得られる抗生物質であるポリエン抗真菌剤であり、酵母および他の真菌を対象とする抗菌スペクトルを有する。これは、水に不溶性の黄色がかった粉末である。アムホテリシンBの構造を図1Vに示す。アムホテリシンBの適用例:(1)抗真菌剤:真菌性疾患、例えば、鵞口瘡を治療するためのアムホテリシンBのリポソームもしくは脂質複合体形成剤の静脈内注入の使用;(2)真菌が細胞培養物を汚染するのを防止するための組織培養における使用。これは通常、単独もしくは抗生物質ペニシリンおよびストレプトマイシンと組み合わせた濃縮脂質複合体/リポソーム溶液の状態で販売される;(3)他の方法では治療不可能な寄生性原虫感染症、たとえば内臓リーシュマニア症および原発性アメーバ性髄膜脳炎における抗原虫薬としての使用;ならびに(4)広範囲の抗生物質に対して反応しない、熱があって免疫障害を持つ患者における抗生物質としての使用。アムホテリシンBの水性配合物は、静脈内使用をはじめとする、この重要な薬物を投与するための新規方法をもたらすであろう。
【0016】
ナイスタチンは、ステロールと結合することによって、感受性真菌の細胞膜の透過性を増大させる、ストレプトマイセス・ノウルセイから得られるポリエンマクロライドである。これは、酵母およびカビに対する抗菌スペクトルを有する。これは淡黄色がかった粉末であり、水に比較的不溶性である。ナイスタチンの構造を図1Kに示す。現行の経口もしくは局所投与は、脂質に基づく配合物に依存する。ナイスタチン適用例としては、皮膚、膣、粘膜および食道カンジダ感染症;ならびに真菌感染症の危険性がある患者における予防法、が挙げられる。水溶性配合物は、新規な使用および投与の経路を可能にするであろう。
【0017】
ラパマイシンは、シロリムスとしても知られているが、臓器移植における拒絶を防止するために使用される免疫抑制剤であり、腎臓移植において特に有用である。構造を図1Uに示す。ラパマイシンは、当初は抗真菌剤として開発されたが、後に強力な免疫抑制および抗増殖剤として開発されたマクロライドである。最近、ラパマイシンは、癌(例えば、白血病)の治療のためのラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の阻害剤として、研究および開発の対象になっている。ラパマイシンは水中に溶解しない。phosal50PGおよびTween80中に配合されたシロリムスを含む経口溶液剤は、現在、臓器移植における拒絶を防止するために用いられる。治療量のラパマイシンを含む水溶液は入手可能ではなかった。
【0018】
環状ペプチド。環状ペプチドは、シリンドロカルポン・ルシダム(Cylindrocarpon lucidum)およびトリポクラジウム・インフラタム(Tolypocladium inflatum)などの真菌によって主に産生される環状ペプチドから構成される抗生物質化合物の一種である。水不溶性である環状ペプチド化合物の例は、シクロスポリン、ポリミキシン、チロトリシン、グラミシジン、カプレオマイシン、バンコマイシン、セファロスポリン、およびセファマイシンである。シクロスポリンAは、シクロスポリンとしても知られ、強力な免疫抑制作用を有する菌代謝物である。これは、水に不溶性の白色粉末である。シクロスポリンAの構造を図1Iに示す。シクロスポリンAは、経口および非水性組成物での注射によって投与され、現在の適用は、薬物の懸濁液および乳液に依存する。シクロスポリン適用の例としては、臓器移植において、患者の免疫系の活性を低下させるための免疫抑制剤;乾癬、重度のアトピー性皮膚炎、ならびに関節リウマチおよび関連する疾患をはじめとするいくつかの自己免疫疾患に関する使用;外傷性脳損傷などの状態における神経保護薬としての使用;ならびにいくつかの獣医学における使用、例えば、イヌにおける乾性角結膜炎(「ドライアイ」);会陰瘻;イヌにおけるアトピー性皮膚炎;免疫介在性溶血性貧血;円盤状紅斑性狼瘡(局所使用);ネコ喘息;ジャーマン・シェパード・パンヌス(点眼薬);および腎臓移植が挙げられる。
【0019】
セスキテルペンラクトン。セスキテルペンラクトンは、ラクトンを含むセスキテルペン(15−炭素化合物)の一種である。不溶性セスキテルペンの例は、アルテミシニン(新規で非常に有効な抗マラリア化合物)、ジヒドロアルテミシニン、およびビロバライド(イチョウ(Ginkgo biloba)から単離)である。
【0020】
アルテミシニンは、熱帯性マラリアの多剤耐性株を治療するために用いられるセスキテルペンラクトン剤である。アルテミシニンは、植物クソニンジン(Artemisia annua)から単離されるが、アルテミシン酸から合成することもできる。その構造を図1Lに示す。アルテミシニンは難溶性であり、このことがそのバイオアベイラビリティを制限している。アルテメーテルおよびアルテスナートを包含するアルテミシニンの半合成誘導体が開発されている。しかし、これらの活性は長時間持続せず、1〜2時間後に有効性が著しく減少する。この欠点に対抗するために、アルテミシニンをルメファントリン(ベンフルメトールとしても知られる)とともに投与して、合併症のない熱帯性マラリアを治療する。ルメファントリンは約3〜6日の半減期を有する。このような治療は、ACT(アルテミシニンベースの併用療法)と呼ばれる。他の例は、アルテメーテル−ルメファントリン、アルテスナート−メフロキン、アルテスナート−アモジアキン、およびアルテスナート−スルファドキシン/ピリメタミンである。最近の試みでは、ACTの有効性は90%超であり、クロロキン耐性熱帯熱マラリア原虫に関しても3日後にマラリアから回復することが示されている。アルテミシニンの水溶液は、直接非経口投与のために非常に望ましい。
【0021】
リグナン。リグナンは、2つのフェニルプロパンコニフェリルアルコールモノマー単位が、側鎖の中心炭素(リグナン)または別の位置(ネオリグナン)で結合した化合物の一種である。リグナンの例は、ポドフィロトキシン(アメリカ・メイアップル(American Mayapple)から単離)、4’−デメチルポドフィロトキシン、ベータ−ペルタチン、アルファ−ペルタチン、デスオキシポドフィロトキシン、ポドフィロトキソン、マタイレシノール(matairesinol)、ヤテイン(yatein)、およびピノレジノールである。ポドフィロトキシンは、コジロックス(codylox)またはポドフィロックス(podofilox)としても知られ、リグナン化合物であり、アメリカ・メイアップル(Podophyllum peltatum)の地下茎から単離される非アルカロイド毒素である。その構造を図1Mに示す。ポドフィロトキシンは、2分子のコニフェリルアルコールから生物学的に合成することもできる。ポドフィロトキシンは、重要な抗癌剤であるエトポシドの薬理学的前駆体である。これは、陰部疣贅を治療するためにも投与される。ポドフィロトキシンは水に難溶性であり、医薬的に有効な量を含む水溶液は入手可能ではなかった。
【0022】
フラボノリグナン。フラボノリグナンは、フラボノイドおよびリグナンから構造的に組み合わされた化合物の一種である。これらとしては、シリビン、イソシリビン、およびシリクリスチン(キク(Compositae)科の植物マリアアザミ(milk thistle)(Silybum marianum)において見られる)などの化合物が挙げられる。シリビンはシリビニンとしても知られ、マリアアザミ(Silybum marianum)から抽出されるフラボノリグナンの混合物であるシリマリンの、主な活性構成成分である。シリビンの構造を図1Qに示す。研究から、シリビンは肝臓保護(抗肝毒性)特性およびヒト前立腺腺癌細胞、エストロゲン依存性およびエストロゲン非依存性ヒト乳癌細胞、ヒト子宮膣癌細胞、ヒト結腸癌細胞、ならびにヒト小および非小肺癌細胞の両方に対する抗癌効果を有することが示唆されている。シリマリンの不十分な水溶性およびバイオアベイラビリティのために、向上した配合物が開発された。シリマリンとホスファチジルコリン(レシチン)との複合体であるシリピド(Silipide)(商標名SILIPHOS(登録商標))は、シリマリンよりも約10倍バイオアベイラビリティが高い。シリマリンのβ−シクロデキストリンとの包接複合体は、シリマリン自体よりもはるかに可溶性であることも報告されている。シリビンのグリコシドは、より良好な水溶解度およびさらに強力な肝臓保護効果を示す。しかし、薬学的に許容される量の、その本来の修飾されていない構造のシリビンの水溶液は、非経口投与のために入手可能ではなかった。
【0023】
脂質。他の水不溶性治療化合物または化合物の混合物は、脂質、たとえば魚油中脂肪酸を含む。魚油の有用な成分のいくつか(すなわち、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸をはじめとするオメガ−3脂肪酸)を図1Rに示す。魚油は、神経保護剤として広く使用されてきた。
【0024】
アゾ−ル。アゾ−ルは、少なくとも1個の他の非炭素原子、例えば、窒素、硫黄もしくは酸素を含む5員窒素複素環化合物の一種である(非特許文献6)。イトラコナゾールは、抗真菌活性を有するトリアゾ−ルである。イトラコナゾールの構造を図1Sに示す。他のトリアゾ−ル抗真菌剤としては、フルコナゾール、イサブコナゾール、ボリコナゾール、プラミコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、エポキシコナゾール、トリアジメノール、プロピコナゾール、メトコナゾール、シプロコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾールおよびパクロブトラゾールが挙げられる。これらの化合物は実質的に水に不溶性である(例えば、イトラコナゾール、非特許文献4、p.895)。イトラコナゾールは、経口投与後のバイオアベイラビリティが比較的低い。例えば、SPORANOX(登録商標)において、シクロデキストリン複合体形成およびプロピレングリコールを用いて、静脈内注入による薬物送達にいくつかの改善がなされた。イトラコナゾールの真の水性組成物は、難水溶性によって制限されていた。
【0025】
セレコキシブはピラゾール(希少アルカロイド)であり、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を標的とする化合物である。セレコキシブの構造を図1Tに示す。医学の分野では、ピラゾールは、これらの鎮痛作用、抗炎症作用、解熱作用、抗不整脈作用、鎮静作用、筋肉弛緩作用、精神刺激作用、抗痙攣作用、モノアミンオキシダーゼ阻害作用、抗糖尿病作用および抗菌作用に関して用いられる。セレコキシブはCOX−2阻害剤である。セレコキシブは難水溶性であり、そのためにそのバイオアベイラビリティが低下する。セレコキシブの真の水溶液は報告されていない。
【0026】
前記および多くの他の薬学的に活性な化合物はすべて水に比較的不溶性である。この化合物を水溶液に可溶性にすることができるならば、これらの薬剤の治療における潜在的使用を増大させることができるであろう。
【0027】
ジテルペングリコシド
天然のテルペングリコシドは周知であり、様々な植物源中に存在する。これらは一般的に、少なくとも1つのグルコース又は他の単糖類(例えば、キシロースまたはガラクトース)と結合したテルペンアグリコンであり、最も一般的な形態は、モノテルペングリコシド、ジテルペングルコシド、およびトリテルペングルコシドである。これらの化合物の多くは非毒性であり、天然の甘味料であることが知られている。(特許文献7および特許文献8)。ジテルペングリコシドの例としては、ルブソシド、レバウジオシド、ステビオシド、およびステビオールモノシドが挙げられる。ルブソシドAは、甜茶(Chinese sweet tea)(Rubus suavissimus;Rosaceae)の葉から主に得られるジテルペングリコシドである。ルブソシドAは、分子式C325013および分子量642.73を有する。ルブソシドの構造を図2に示す。(非特許文献7から)。ルブソシドはまた、水、アルコールおよびアセトン酢酸エチル中、良好な溶解度を有する。図2に示す化合物は、2個のグルコース分子が結合したジテルペンアグリコンである。
【0028】
甜茶(Rubus suavissimus;Rosaceae)およびステビアの葉(Stevia rebaudiana;Asteraceae)から単離される別のジテルペングリコシドは、ステビオールモノシドである。ステビオールモノシドの構造は、ルブソシドにおけるように2つではなく(図2)、1つだけグルコース分子を有する(図5)。ステビオールモノシドは、甜茶またはステビアの葉から単離され、あるいはルブソシドの部分的酸もしくはアルカリ加水分解によって1つのグルコース分子を切断することによって得られる。ルブソシドと異なり、ステビオールモノシドは、甜茶またはステビア植物における主要なジテルペングリコシドではない。
【0029】
ステビオシドは、ステビアの葉(Stevia rebaudiana;Asteraceae)から単離されるジテルペングリコシドである。ステビオシドは、分子式C386018および分子量804を有する。構造を図3に示す。この図示される化合物は、3個のグルコース分子を有するジテルペンアグリコンである。純粋な形態で、これは結晶もしくは白色粉末である。ステビアの葉から単離される別のジテルペングリコシドはレバウジオシドであり、これは、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、およびレバウジオシドFを包含するいくつかの形態で存在する。レバウジオシドAの構造を図4に示す。図示される化合物は、4個のグルコース分子を有するジテルペンアグリコンである。純粋な形態で、これは白色粉末である。
【0030】
様々な数のグルコース部分を含む他のジテルペンは当該技術分野で公知である。これらの化合物としては:パニクロシドIV、Ohtani等(非特許文献8)によって同定された、スアビオシド(suavioside)A、B、C、D、D、E、F、G、H、I、およびJ(図5)、ならびにSeto等(非特許文献9)によって同定されたゴショノシドF〜F(図6)が挙げられる。ステビオシド、レバウジオシドA、ルブソシド、ステビオールモノシド、ならびにスアビオシドB、G、I、J、およびHなどの多くのジテルペングリコシドは甘い味がするが、他のジテルペングリコシドは無味もしくは苦い。たとえば、Ohtani等(非特許文献8)によって示されるように、パニクロシドIVは無味であり、スアビオシドCは苦い味がし、スアビオシドDは無味であり、スアビオシドDは苦い味がし、スアビオシドEは無味であり、スアビオシドFは苦い味がする。
【0031】
特許文献9は、調合薬および食品調理における可溶化剤としてのテルペンアルコールエトキシレートを開示する。
特許文献8は、羅漢果(Momordica grosvenoiri)果実から単離されるトリテルペングリコシド(モグロシド)を含む抽出物を、漢方薬の丸薬、顆粒剤、錠剤、カプセルもしくは溶液剤の製造においてスクロースもしくは他の甘味料を置換するために使用したことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0032438号明細書
【特許文献2】米国特許第4943579号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0242691号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/000330号
【特許文献5】米国特許第6673843号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0248698号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/000305053号明細書
【特許文献8】中国特許第1723981号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0076426号明細書
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】Lipinski,C.ら,Adv.Drug Deliv.Rev.(1997)23:3−25
【非特許文献2】C.A.Lipinski,J Pharm Tox Meth(2000)44:235−249
【非特許文献3】Medicinal Natural Products−A Biosynthetic Approach,1997,John Wiley&Sons,Chichester,England;ppl86−188
【非特許文献4】メルクインデックス(The Merck Index)、1996年
【非特許文献5】メルクインデックス、1966年
【非特許文献6】Eicher,T.;Hauptmann,S.(2nd ed.2003).The Chemistry of Heterocycles:Structure,Reactions,Syntheses, and Applications.Wiley−VCH.ISBN 3527307206
【非特許文献7】T.Tanaka et al.,Rubusoside(b−D−glucosyl ester of 13−O−b−D−Glucosyl−steviol),a sweet principle of Rubus chingii Hu(Rosacease),Agricultural and Biological Chemistry,vol.45(9)、pp.2165−6,1981
【非特許文献8】1992,Phytochemistry 31(5):1553−1559
【非特許文献9】1984,Phytochemistry 23(12):2829−2834
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明者は、いくつかの天然のジテルペングリコシド(例えば、ルブソシド、レバウジオシドA、ステビオシド、およびステビオールモノシドを包含する)が、パクリタキセル、カンプトテシン、クルクミン、タンシノンIIA、カプサイシン、シクロスポリン、エリスロマイシン、ナイスタチン、イトラコナゾール、およびセレコキシブの重要な水不溶性薬物を包含するがこれらに限定されないいくつかの構造種の医薬的および医学的に重要な多くの化合物の溶解度を向上させることを見いだした。ジテルペングリコシドルブソシドの使用は、試験した化合物すべての溶解度を化合物に応じて約5倍から1000倍超まで増加させた。加えて、少なくとも1つの化合物の光安定性が向上された。ルブソシド−パクリタキセル水溶液およびルブソシド−カンプトテシン水溶液は、癌細胞に対して細胞毒性を保持することが示された。加えて、ルブソシド−クルクミン水溶液は、その抗生物質活性を保持することが示された。ジテルペングリコシドは、非毒性であり、医薬、農業、化粧品、および食品産業において有用な、天然に存在する種類の水溶解度を向上させる化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えば没食子酸の構造を示す。
【図1B】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばルチンの構造を示す。
【図1C】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばタンシノンIIAの構造を示す。
【図1D】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばCo−Q10の構造を示す。
【図1E】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばクルクミンの構造を示す。
【図1F】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばカンプトテシンの構造を示す。
【図1G】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばカプサイシンの構造を示す。
【図1H】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばパクリタキセルの構造を示す。
【図1I】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばシクロスポリンAの構造を示す。
【図1J】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばエリスロマイシンの構造を示す。
【図1K】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばナイスタチンの構造を示す。
【図1L】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばアルテミシニンの構造を示す。
【図1M】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばポドフィロトキシンの構造を示す。
【図1N】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばアルファ−トコフェロールの構造を示す。
【図1O】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばプロポフォールの構造を示す。
【図1P】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えば6−ジンジェロールの構造を示す。
【図1Q】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばシリビンの構造を示す。
【図1R】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばオメガ−3脂肪酸(エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸)の構造を示す。
【図1S】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばイトラコナゾールの構造を示す。
【図1T】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばセレコキシブの構造を示す。
【図1U】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばラパマイシンの構造を示す。
【図1V】低い水溶解度を有することが知られ、ジテルペングリコシドを用いて可溶化されることが示された数種の化合物の代表的な化合物、例えばアムホテリシンBの構造を示す。
【図2】甜茶から単離されたジテルペングリコシドである、ルブソシドの構造を示す。
【図3】ステビアの葉から単離されたジテルペングリコシドである、ステビオシドの構造を示す。
【図4】ステビアの葉から単離された別のジテルペングリコシドである、レバウジオシドAの構造を示す。
【図5】キイチゴ(Rubus)またはステビア植物から単離された、いくつかのジテルペングリコシドの構造を示す。
【図6】キイチゴまたはステビア植物から単離された、いくつかのジテルペングルコシド単離形態の構造を示す。
【図7】10%ルブソシド水溶液(上)、20%ルブソシド水溶液(中)、およびメタノール(下)中に溶解させたタンシノンIIAを示す、高速液体クロマトグラフィーの結果を表す。
【図8】パクリタキセル(TXL)およびカンプトテシン(CPT)の水溶液(それぞれ、ルブソシドを用いて可溶化)の阻害活性を試験するために、ヒト膵臓癌細胞(PANC−1)を用いた細胞増殖分析の結果を表す。
【図9】パクリタキセル(TXL100)およびカンプトテシン(CPT70)の水溶液(それぞれ、ルブソシドを用いて可溶化)の阻害活性を試験するためにヒト肺(A549)および前立腺(PC3)癌細胞を用いた細胞増殖分析の結果を表す。
【図10】いくつかの可溶化剤(5%レバウジオシド、5%ステビオシド、5%ルブソシド(水とPBSとの両方)、100%メタノール、および5%エタノール中に溶解させたクルクミンの様々な溶液に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図11】様々な溶媒(10%ルブソシド(RUB10)、10%ベータ−シクロデキストリン(BCD10)、10%ポリエチレングリコール(PEG10)、10%エタノール(ETOH10)、および10%ジメチルスルホキシド(DMSO10))中に溶解させたクルクミンを用いて調製した様々な溶液に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図12】クルクミン(CUR)および甜茶の抽出物であって、ルブソシド(RUB)およびステビオールモノシド(SM)を含む抽出物の2種の濃度(1%および5%)の溶液に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図13】クルクミン(5)(さらにデメチオキシクルクミン(4))を含む溶液および5%w/vの、様々なステビオールグリコシド可溶化剤(レバウジオシドA(1)、ステビオシド(2)、ルブソシド(3))を含む混合物に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図14】クルクミンおよび10%w/vルブソシド(RUB10)を含む溶液ならびにクルクミンおよび10%ルブソシドとレバウジオシドAとの混合物(1:1w/w)を含む溶液(CUR−SFA5C5)に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図15】無水エタノール溶液中に溶解させたコエンザイムQ10(CoQ10)(上側のクロマトグラム)および10%w/vルブソシドの水溶液(下側のクロマトグラム)に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図16】3つのプロポフォール溶液、すなわち、水および10%ルブソシドを含むもの;水単独を含むもの;ならびにメタノール中のものに対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図17】2つの魚油溶液、すなわち、水単独を含むもの(FO−SFA0)ならびに水および10%ルブソシドを含むもの(w/v)(FO−SFA10)の高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図18】3つのイトラコナゾール溶液、すなわち、180μg/mlのイトラコナゾールのメタノール溶液(ICZ基準)、水単独中イトラコナゾール(ICZ−可溶化剤)、ならびに水および10%ルブソシドを含むもの(ICZ+可溶化剤)に対する高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【図19】3つのセレコキシブ溶液、すなわち、420μg/mlセレコキシブのメタノール溶液(メタノール中CEL)、水単独中セレコキシブ(水中CEL)、ならびに水および10%ルブソシドを含むもの(CEL+10%可溶化剤)の高速液体クロマトグラフィー分析の結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
いくつかの重要な有機化合物は水に不溶性であるか、または溶解度が非常に低い。本発明者は、数種の化学構造から多くのこれらの治療化合物を試験し、ジテルペングリコシドベースの天然の可溶化剤が、試験した化合物すべての水溶解度を増加させることを見出した。本発明者は、水に不溶性もしくは難溶性である有機化合物の溶解度を向上させる方法であって、前記化合物を水およびジテルペングリコシドと、前記化合物の水溶解度を2倍以上増加させるために十分な濃度で混合する工程を含む方法を見いだした。いくつかの場合において有機化合物の溶解度は5倍以上増加し、他の場合においては10倍以上、他の場合においては、20倍以上、他の場合では50倍以上、他の場合では100倍以上、他の場合では1000倍以上増加した。
【0038】
加えて、低い水溶解度を有する有機化合物の水溶液、およびジテルペングリコシドを含む新規組成物が見いだされ、ここで、前記ジテルペングリコシドの濃度は、前記化合物の水溶解度を、前記化合物の溶解度が、前記ジテルペングリコシドが欠失している以外は同じ組成物におけるよりも2倍以上高くなるように増加させるために十分である。有機化合物の溶解度はいくつかの場合において5倍以上増加し、他の場合においては10倍以上、他の場合においては20倍以上、他の場合においては50倍以上、他の場合においては100倍以上、他の場合においては1000倍以上増加した。可溶化剤は、1%〜100%w/vの濃度で使用可能である。可溶化剤溶液は、約5〜約40%w/vの可溶化剤で特に有効であることが判明した。可溶化剤の濃度は、溶解される薬物の量を決定する。したがって、その濃度は投与される薬物の所望の投与量に依存するであろう。
【0039】
本発明者は、新規医薬、化粧品、農薬および食品処方を調製するために、通常使用されるシクロデキストリンの代わりに、新規可溶化剤としてジテルペングリコシドを見いだした。この理論により拘束されないが、水不溶性薬物の改善された溶解度は、水溶性であるジテルペングリコシド(dTG)−薬物複合体の形成の結果であると考えられる。dTG−薬物複合体形成の推進力としては、ロンドン分散力(誘起双極子−誘起双極子引力)、双極子力(水素結合を包含する)、イオン(静電気)力、及び/又はR.Liu,Water−insoluble drug formulation,Second Edition,pp 133−160,2008,CRC Press,Boca Raton,Floridaに記載されるような疎水性効果を挙げることができる。薬物分子に応じて、dTGの可溶化能力は、各分子間複合体形成における推進力によって変わるであろう。
【0040】
この理論によって拘束されないが、水溶液中のdTG−薬物複合体形成は、包接複合体の形成においてシクロデキストリンについて提案される類似の力によって推進され得ると考えられる。前記推進力に加えて、ファンデアワールス力(分子間もしくは同じ分子の部分間の引力または反発力)が関与し得る。CD−薬物包接複合体とdTG−薬物複合体との違いは、これらの幾何学的構造に起因し得る。CDと同様に疎水性空洞を有する円を形成する代わりに、dTGは、互いに結合して骨格ネットワークを形成する親水性グルコース分子と、そして水不溶性薬物分子を有するスペーサ部位としての疎水性ジテルペンアグリコンと、均一なネットワークを形成し得る。
【0041】
新規複合体形成剤ジテルペングリコシド(dTG)は、複合体形成剤としてCDよりも優れたいくつかの利点を有する。第1に、dTGは、β−CD薬物複合体、特に大分子薬物の形成の限定因子であった空洞サイズの要件に関してそれほど厳密でない。第2に、dTGの親水性−疎水性間隔配列の可能な均一性は、環状親水性−疎水性間隔配列よりも有効であり得、したがって、より多くの薬物分子を可溶化させることができる。第3に、dTGは優れた水溶解度および水溶液中の安定性を有する。dTGの溶解度は、25℃で60g/100mL(水)であり、37℃で80g/100mL(水)である。これは、β−CD(1.85g/100mL(水))、α−CD(15g/100mL(水))、またはγ−CD(23g/100mL(水))よりもはるかに高い。水溶液中で、dTGは数ヶ月間、構造的に安定であった。第4に、複合体形成剤として使用されるジテルペングリコシドのpH安定性は、1.5〜11の範囲であり、CDよりもはるかに広いpH範囲である。第5に、ジテルペングリコシドは内部注射に関して実際的により安全であり得る。一部のジテルペングリコシドはFDAによって甘味料として認可されている(例えば、レバウジオシドA)。アグリコンステビオールに基づいて、8mg(ルブソシド)/kg(体重)のステビオールグリコシドの1日消費量が安全であり、有害な副作用がないと推定され、766mg(ルブソシド)/kg体重まで(ステビオール換算で、1日に383mg/kg(体重)に基づく)が無影響レベルである。50mg/kg(体重)および100mg/kg体重の投与量で高血圧ラットにおいてステビオシド水溶液を腹腔内注射すると、有害な副作用は示されなかった(Y.−H.Hsu et al.,Antihypertensive Effect of Stevioside in Different Strains of Hyperteensive Rats.Chinese Medical Journal(Taipei)2002;vol.65:1−6)。医薬投与パラダイムにおいて、50mg/kg以下のルブソシドが、非経口適用について治療的レベルまで薬物を可溶化させるために十分であり得る。さらに、水不溶性薬物の溶解度を増大させるための複合体形成剤としてのジテルペングリコシドの形状は、急速な吸収のために薬物分子を標的細胞の二重膜に容易に暴露することによって、バイオアベイラビリティを増大させ得る。さらに、水溶液中で形成されたルブソシド−クルクミン複合体は、115℃までの熱および酸性からアルカリ性条件までのpH変化に対して耐性を示した。最後に、250℃までのジテルペングリコシドの熱安定性によって、固体複合体調製における融解および他の加熱法の効果的な使用が可能になる。前述の比較、特性および本発明において示す実験データに基づいて、dTGは水不溶性薬物の可溶化において、複合体形成剤としてCDよりも優れていると考えられる。
【0042】
ジテルペングリコシドを可溶化剤として使用することによって、低溶解度薬物の問題、例えば、薬物の低吸収性および低バイオアベイラビリティを軽減する方法がもたらされる。加えて、可溶化剤および薬物を粉末形態(可溶化剤−薬物複合体を含む)で使用することによって、水中に容易に溶解する固体処方、例えば、錠剤またはさらには発泡錠が可能になるであろう。可溶化剤を用いて、安定な低溶解度薬物の非アルコール性シロップを調製するか、または可溶化剤および薬物を内部に含むゼラチンカプセルを調製することができる。
【0043】
可溶化剤および可溶化薬物を患者に対して、経口、非経口、皮下、肺内、局所(例えば、眼もしくは皮膚)、直腸および鼻内投与をはじめとする任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、または腹腔内投与が挙げられる。溶液またはその乾燥成分(可溶化剤−薬物複合体を含む)を、たとえば徐放性皮下インプラントの形態で皮下投与することもでき、また、カプセル、散剤、もしくは顆粒剤の形態で経口投与することもできる。
【0044】
非経口投与用の薬学的に許容される担体調製物は、滅菌した水性もしくは非水性溶液、懸濁液、および乳液を含む。水性担体としては、水、アルコール性/水性溶液、乳液または懸濁液、たとえば塩溶液および緩衝媒体が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または固定油が挙げられる。可溶化剤および薬物を、薬学的に許容され、かつ薬物中の活性成分と適合性である他の賦形剤と混合することができる。好適な賦形剤としては、水、塩溶液、デキストロース、グリセロールおよびエタノール、またはこれらの組み合わせが挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養補給物質、電解質補給物質、たとえばリンゲルデキストロースに基づくもの等が挙げられる。代表的添加剤および他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化物質、キレート剤、不活性ガスなども存在してよい。
【0045】
形態は、投与経路によって変わり得る。例えば、注射用組成物は、それぞれが単位用量を含むアンプルの形態で提供することができるか、または複数回投与量を含む容器の形態で提供することができる。
【0046】
本出願に関して、水に不溶性である化合物とは、1mLの水中に100μg未満溶解する化合物である。水に難溶性である化合物とは、1mLの水中に20mg未満であるが、100μgを超えて溶解する化合物である。最後に、一般的には、低い水溶解度を有する化合物とは、1mLの水中に20mg未満溶解する化合物である。
【0047】
低溶解度を有する様々な種類の有機化合物の代表的化合物の構造を図1Aから1Vに示す。これらの化合物および天然のジテルペングリコシドであるルブソシドを用いた実験データのいくつかのまとめを表1に示す。対照実験からの結果を含む、これらの実験の詳細を以下に示す。
【0048】
【表1】


(実施例1)
材料および方法
可溶化剤源
ルブソシド:ルブソシドを、Natural Plants Products Factory,Guilin S&T New Tech Company,Sanlidian Campus of Guangxi Normal University(中国広西壮族自治区桂林)から購入した甜茶の葉(Rubus suavissimus;Rosaceae)から抽出した。ルブソシドは分子式C325013および分子量642.73を有する。まず、風乾された葉を、約1:10〜約1:20の範囲の重量対体積比で水を用いて沸騰させた。この抽出から、粗乾燥抽出物(原料葉から20〜30%乾燥重量の収率)を得、これは、約5重量%〜約15重量%のルブソシドを含んでいた。乾燥抽出物を次いで約1:4〜約1:5の範囲の重量対体積比になるように水で復元した。この濃縮抽出物中、エラジタンニンが部分的に析出し、これを濾過によって除去した。ルブソシドは溶液中に残留していた。ルブソシドを含む溶液を、次いでマクロ多孔性樹脂(Dowex Optipore L493ポリマー吸着剤、平均孔径46オングストロームのスチレン−ジビニルベンゼンポリマー;The Dow Chemical Company、ミシガン州ミッドランド)を用いたカラムクロマトグラフィーに供した。カラムをエタノールで溶出して、約60%のルブソシドおよび約1%のステビオールモノシドを含む精製された抽出物を得た。この抽出物の一部を下記実施例16で使用した。続いて、精製された抽出物を第2のカラムにかけて、固定吸着剤としてシリカゲル(シリカゲル、200〜300メッシュ、Natland International Corporation、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル)を用いて抽出物をさらに精製した。カラムを混合溶媒(8:2v/v比のクロロホルム:メタノール)で溶出した。この第2カラムからの抽出物は、少なくとも80%の純度のルブソシドであり、乾燥して粉末にした。最後に、このルブソシドを豊富に含む抽出物(>80%w/w)を、約60℃から約80℃の範囲の温度に加熱することによって無水メタノール中に溶解させた。溶液を次いで冷却して、ルブソシドを再結晶させた。純粋なルブソシド(HPLCで測定して>99%の純度)を得るためには、この再結晶プロセスを繰り返す必要があり得る。ルブソシドの構造を質量分析およびNMRによって確認した。ジテルペングリコシドであるルブソシドは、642ダルトンの分子量を有し、白色結晶もしくは粉末である。結晶性粉末は約−80℃から100℃を超える範囲の温度で安定である。水中で、ルブソシド自体は25℃で約400mg/ml、37℃で800mg/mlの溶解度を有し、これは、多くの一般的な水溶性化合物よりも高い(例えば、塩化ナトリウムは360mg/ml(水)の溶解度を有する)。
【0049】
ステビオシド:ステビオシドは、ステビアの葉(Stevia rebaudiana;Asteraceae)から単離されるジテルペングリコシドである。ステビオシドは、分子式C386018および分子量804を有する。構造を図4に示す。ステビオシドはChromadex Inc.(カリフォルニア州アーバイン)から購入した。
【0050】
レバウジオシドA:レバウジオシドAは、ステビアの葉(Stevia rebaudiana;Asteraceae)から単離されるジテルペングリコシドである。その構造を図5に示す。レバウジオシドAはChromadex Inc.(カリフォルニア州アーバイン)から購入した。
【0051】
ステビオールモノシド:ステビオールモノシドは、ルブソシドと同源である甜茶の葉(Rubus suavissimus;Rosaceae)から単離されるジテルペングリコシドである。ステビオールモノシドの構造は、ルブソシド(図2)におけるように2個ではなく、1個だけグルコース部分を有する(図6)。ステビオールモノシドは、甜茶から単離することができ、または、ルブソシドの酸加水分解により1つのグルコース単位を切断することによって得ることができる。
【0052】
溶解度について試験した化合物:難溶性(11mg/ml)からほぼ不溶性(0.01μg/ml)までの範囲の水溶解度を有する22種類の生物活性化合物および医薬化合物を使用した。すべての化合物は、(特に記載しない限り)HPLCに基づいて98%を超える純度を有することが判明した。没食子酸はSigma−Aldrich Chemicals(ミズーリ州セント・ルイス)から購入し、難水溶性である(11mg/ml)(メルクインデックス、1996年)。タンシノンIIAはShanghai University of Traditional Chinese Medicine(中国、上海)から購入し、ほぼ不溶性である。ルチン、ククルミン、カプサイシン、カンプトテシン、およびパクリタキセルはすべてSigma−Aldrich Chemicalsから購入した。アルテミシニン、ポドフィロトキシン、シリビン(シリビニン)、およびラパマイシン(シロリムス)はLKT Laboratories(ミネソタ州セント・ポール)から購入した。ジンジェロールは、Chromadex Inc.(カリフォルニア州アーバイン)から購入した。メルクインデックス(1996年)によれば、これらの化合物の溶解度は次のとおりである。ルチン(ほぼ不溶性)、クルクミン(不溶性)、カプサイシン(非常に難溶性)、カンプトテシン(不溶性)、およびパクリタキセル(不溶性)。材料安全データシートによれば、アルテミシニン、ポドフィロトキシン、シリビン(シリビニン)、およびラパマイシン(シロリムス)の水溶解性は、それぞれ、不溶性、ほぼ不溶性、難溶性、および不溶性である。ジンジェロールは、水中に溶解しないショウガ油である。
【0053】
3つの抗真菌化合物(アムホテリシンB、シクロスポリン、ナイスタチン)および抗菌化合物(エリスロマイシン)を試験した。これらの4つの抗菌性化合物は、Sigma−Aldrich Chemicals(ミズーリ州セント・ルイス)から購入し、ほぼ不溶性である。さらに、3つの脂溶性化合物を試験した。コエンザイムQ10をMP Biomedicals Inc.(オハイオ州ソロン)から購入した。アルファ−トコフェロール(ビタミンE)およびプロポフォールをSigma−Aldrich Chemicals(ミズーリ州セント・ルイス)から購入した。魚油を地方の栄養食品店(General Nutrition Center、ルイジアナ州バトン・ルージュ)から購入した。水不溶性セレコキシブをLC Laboratories(マサチューセッツ州ウォーバン)から購入し、別の水不溶性化合物イトラコナゾールをLKT Laboratories(ミネソタ州セント・ポール)から購入した。
【0054】
溶解度試験法:低溶解度を有する化合物を選択し、複数の遠心分離管中に量りとった。各試験管に、既知量の試験される可溶化剤を添加した。対照試験管は化合物だけのままであった。特に記載しない限り、同じ体積(1mL)の脱イオン蒸留水を各試験管に添加した。別法として、指定の割合の試験される可溶化剤を含有する水溶液(例えば、5%w/vまたは10%w/v)を別々に調製した。これらの場合には、可溶化剤水溶液を、低溶解度化合物を含む試験管に直接添加した。試験管を次に短時間ボルテックスし、次いで特に記載しない限り、60分間50℃で超音波処理した。超音波処理後、試験管を、25℃に設定されたインキュベータ中、80rpmの速度のオービタルシェーカー上に、少なくとも24時間置いた。試験管を次に4000rpmで10分間遠心分離した。上清溶液を0.2μmまたは0.45μmフィルタに通し、低溶解度化合物、および場合によっては可溶化化合物の濃度について、HPLCまたはUV−Vis分光光度計によって分析した。
【0055】
HPLCおよびUV−Vis分光光度計分析:可溶化剤の非存在下もしくは存在下で様々な化合物を含む溶液を、溶媒送達ポンプユニット、オートサンプラー(Waters 717 plus)、EMD 1000 Mass Detector(Waters)と連結したUV−Visダイオードアレイ検出器(Waters 2996 Photodiode Array Detector、190〜800nm)、および蒸発光散乱検出器(Waters 2420 ELSD)から構成されるHPLCで分析した。システムはコンピュータ制御され、Empowerソフトウェアを用いて結果を分析した。既知濃度の化合物を使用して較正曲線を作製し、溶液中に溶解した化合物の濃度を定量化するために使用した。ジテルペングリコシドのいくつかについてのHPLC法のさらに詳しい説明は、G. Chou et al,“Quantitative and fingerprint analyses of Chinese sweet tea plant(Rubus suavissimus S.Lee),”J.Agric.Food Chem.,vol.57,pp.1076−83(2009)で見いだされる。
【0056】
ルチンをUV−Vis分光光度計(Beckmann Instruments)で、411nmの波長で分析した。ピーク面積の比を用いて、可溶化剤の非存在下もしくは存在下での水溶解度の増加を計算した。
【0057】
(実施例2)
ルチンの水溶解度に対するルブソシドの影響
淡黄色化合物であるルチンは、一部の癌を阻害し、血友病の症状を軽減する強力な抗酸化物質である。これは、難水溶性を有することが知られている(表1;125μg/ml;メルクインデックス、1996年)。100mgのルブソシドの存在下で14倍多いルチンが水溶液中に溶解し、したがって、ルチンの溶解度が約1.75mg/mlまで増加する(表2)。
【0058】
【表2】

(実施例3)
タンシノンIIAの水溶解度に対するルブソシドの影響
タンシノンIIAは、タンシノンの天然の類似体の1つである。タンシノンIIA(ならびにタンシノンI、ジヒドロタンシノン、およびクリプトタンシノンなどの他のタンシノン)はメタノール中に可溶性であるが、水に不溶性である。100mg/ml濃度のルブソシド(10%w/v)の存在下で、タンシノンIIAは溶液中に溶解した。281nmの波長でHPLCを用いて濃度を測定し、タンシノンIIAは約27.50分で溶出された。100mg/mlのルブソシド中のタンシノンIIAの濃度は、約53.28μg/mlであった(図9、中央のクロマトグラム)。200mg/mlの濃度のルブソシド(20%w/v)の存在下で、溶液中のタンシノンIIA濃度は約127.72μg/mlであった。(図9、上側のクロマトグラム)ルブソシドは存在しないが、無水メタノールを溶媒として使用して、標準タンシノンIIA溶液を約170μg/mlにした(図9、下側のクロマトグラム)。
【0059】
(実施例4)
没食子酸の水溶解度に対するルブソシドの影響
没食子酸は、抗酸化物質および血管新生阻害剤の両方であると報告されている(例えば、国際公開第2005/000330号参照)。没食子酸は室温で低い水溶解度(11mg/ml)を有し、溶液は感光性である(メルクインデックス、1996年)。没食子酸水溶液は数時間以内に緑色に変化する。1:1モル比または1:3.77重量比の没食子酸:ルブソシドで、溶液中に溶解する没食子酸の量は、ルブソシドの量が増加するにつれて増加した。例えば、25℃で、106mgの没食子酸が400mgルブソシドの存在下で1mlの水中に溶解し、ただの水中に溶解する没食子酸の量よりも9.6倍増加した。37℃で、212mgの没食子酸が、800mgルブソシドの存在下で水1ml中に溶解し、19.3倍の増加であった。加えて、没食子酸−ルブソシド溶液は、没食子酸−水だけの溶液よりも数日間長く透明なままであり、その後、徐々に緑色に変化し、このことは光安定性が若干増加したことを示す。
【0060】
(実施例5)
クルクミンの水溶解度に対するルブソシドの影響
クルクミンは、スパイスターメリックの原料であるターメリックの地下茎において見いだされる黄橙色顔料である。クルクミンは、水に不溶性の親油性化合物である(表1;メルクインデックス、1996年)。水に添加した場合、溶液は無色透明である。しかし、ルブソシド(100mg/ml)の存在下で、黄橙色クルクミンは溶解し、溶液を橙色(7.0より高いpH)または黄色(7.0より低い酸性pH)に変化させる。HPLC分析は、116μgのクルクミンが100mgルブソシドの存在下で1mlの水中に溶解し(表3)、水溶解度において193倍増加したことを示した。
【0061】
【表3】

別の実験では、10%w/vのルブソシド水溶液をまず調製した。10mlのルブソシド溶液を10mgのクルクミン(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)に添加し、混合し、60分間60℃で超音波処理した。この溶液を次いで、115℃、1気圧で30分間、加圧滅菌処理した。加圧滅菌処理された溶液をインキュベータ中、37℃で72時間置いた。溶液への露光は常に最小限にした。溶液を次いで、0.45μmナイロンフィルタを通して濾過し、すでに記載したようにしてHPLC分析によって分析した。この溶液中のクルクミンは、462μg/mlであった。この高い濃度は、おそらくは追加の加熱ステップに起因するものであった。
【0062】
別の実験では、5%w/vのルブソシド水溶液をまず調製した。10mlのルブソシド溶液を10mgのクルクミン(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)に添加し、混合し、60分間60℃で超音波処理した。この溶液を次いで、115℃、1気圧で30分間、加圧滅菌処理した。加圧滅菌処理された溶液をインキュベータ中、37℃で72時間置いた。溶液への露光は常に最小限にした。溶液を次いで、0.45μmナイロンフィルタを通して濾過し、すでに記載したようにしてHPLC分析によって分析した。この溶液中のクルクミンは、171μg/mlであり、溶解度の増加は285倍であった。
【0063】
(実施例6)
カンプトテシンの水溶解度に対するルブソシドの影響
カンプトテシン(CPT)は、カンレンボク(Camptotheca accuminata)から最初に単離された細胞毒性アルカロイドである。これは難水溶性である(表1;メルクインデックス、1996年)。ルブソシドの存在下で、CPTは水に可溶性であった。水溶液中のCPTの濃度を、HPLCを用いて測定した。70mg(109mM)ルブソシドを用いて、50μg/ml(0.144mM)のCPTを溶液中に溶解させた。(表4)この溶液中のCPT:ルブソシドのモル比は1:757であり、重量比は1:1400であった。この溶液は、室温で少なくとも2週間安定であった。表3に示すように、CPTの高い溶解度(143.7μg/ml)は、200mgのルブソシドを用いた場合に得られた。
【0064】
【表4】

(実施例7)
カプサイシンの水溶解度に対するルブソシドの影響
カプサイシン(CAP)は、チリ・ペッパー由来の刺激性フェニルアラニンアルカロイドであり、冷水に実質的に不溶性である(表1;メルクインデックス、1996年)。しかし、ルブソシドの存在下で、水中に溶解するカプサイシンの量は、ルブソシドの量が増加するにつれて増加した。カプサイシン単独では、水中に57μg/mlの濃度でしか溶解しなかった(表5)。ルブソシドの存在下で、1mlの水中に溶解するカプサイシンの量は、20mgおよび100mgのルブソシドの存在下では、それぞれ589μgおよび4920μgまで増加した。
【0065】
【表5】

(実施例8)
パクリタキセルの水溶解度に対するルブソシドの影響
パクリタキセルは水に不溶性の既知抗癌ジテルペノイドアルカロイドである。(表1;メルクインデックス、1996年)しかし、ルブソシドの存在下で、水中に溶解するパクリタキセルの量は、他の添加剤なしで、ルブソシドの濃度が増加するにつれて増加した。パクリタキセルは、20mgのルブソシドが存在する場合に水溶液中で検出可能であった(0.35μg/ml;表6)。100mg、200mg、および400mgのルブソシドの存在下で、1mlの水中に溶解するパクリタキセルの量は、それぞれ、10μg、232μg、および351μgであった。したがって、パクリタキセルの溶解度は、ルブソシドの存在下で877倍まで増加した。溶液は、室温で少なくとも2週間安定であった。
【0066】
【表6】

(実施例9)
パクリタキセルおよびカンプトテシンによる癌細胞への細胞毒性に対するルブソシドの影響
微小管阻害剤であるパクリタキセル、およびトポイソメラーゼI阻害剤であるカンプトテシン(CPT)は、化学療法剤として広く使用されてきた。しかし、これらの薬剤は、パクリタキセルの場合は難溶性を克服するために複合体形成によるか、またはCPTの場合は修飾された構造においてのいずれかで送達しなければならない。処方成分は、パクリタキセルについては毒性および副作用を生じるので、その治療用量範囲が制限され、一方、CPT自体はその難溶性のために十分に開発されていなかった。現在、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))注射剤は、精製CREMOPHOR(登録商標)EL(ポリオキシエチル化ヒマシ油)および無水アルコール(49.7%)を含有する無色透明から淡黄色の粘稠性溶液である。CPTは、不活性成分マンニトールおよび酒石酸を含むトポテカン(半合成誘導体)塩酸塩溶液の形態で提供される。他の添加剤成分または共溶媒なしで、パクリタキセルおよびCPTの両方の水溶液を調製するための唯一の可溶化剤として、ルブソシドを使用した。2つの薬物それぞれの水溶液は透明であり、非粘稠密性で、水溶液中で安定であった。
【0067】
パクリタキセルおよびカンプトテシンをSigma Chemicals(ミズーリ州セント・ルイス)から購入した。両化合物は、95%以上の純度を有していた。パクリタキセルの水溶液を調製するために、約2mgのパクリタキセルを、100mg/mlのルブソシドを含有する溶液中に量りとった。溶液を60分間69℃で超音波処理し、次いで、25℃の振とうインキュベータ中に48時間入れた。溶液を次いで4,000×gで遠心分離し、0.2μmナイロンフィルタを用いて上清を濾過した。この溶液をHPLCによって分析し、これは100mg/mlのルブソシドの存在下で、17μg/mlのパクリタキセルを含んでいた。試料をTXL100と表示した。カンプトテシンの水溶液を調製するために、約5mgのカンプトテシンを、70mg/mlのルブソシドを含有する溶液中に量りとった。溶液を60分間69℃で超音波処理し、次いで、25℃の振とうインキュベータ中に48時間入れた。溶液を次いで4,000×gで遠心分離し、0.2μmナイロンフィルタを用いて上清を濾過した。この水溶液をHPLCによって分析し、これは70mg/mlのルブソシドの存在下で10μg/mlのカンプトテシンを含んでいた。この試料をCPT70と表示した。
【0068】
細胞増殖の阻害をMTTアッセイによって分析した。96穴プレートの各ウェルは、10細胞/100μlの細胞培養増殖培地を含んでいた。細胞をプレート上に播種し、37℃のインキュベータ中に一晩入れた。翌日、化合物処理を開始した。10%のFBS(ウシ胎仔血清)と、試験化合物またはビヒクルと、細胞培養増殖培地とを含むリン酸緩衝塩溶液(PBS)を用いた一連の希釈を各ウェルについて行い、最終体積を200μlとした。各処理は、1カラム中8ウェルであった。試験化合物の添加前に、ウェルのそれぞれにおいて存在する培地を完全に、かつ細胞を喪失しないように慎重に吸引した。水性試料の一連の希釈を、培地を添加して20μl〜0.078μlの範囲で行い、それぞれのウェルについて最終体積を200μlにした。プレートを37℃のインキュベータ中に72時間置いた。染色当日に、MTT溶液(3mgチアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド/ml(PBS)を調製した。各ウェルに、25μlのMTT溶液を直接添加した。プレートを次いで90〜120分間インキュベートした。その後、ウェルを完全かつ慎重に吸引した。最後に、50μlのDMSO(ジメチルスルホキシド)を各ウェルに添加した。プレートをマイクロプレートリーダーにて650nmで読み取った。対照としてビヒクル処理を用いて、細胞増殖を対照の%として計算した。
【0069】
IC50(モル濃度)の計算は次のとおりであった。TXL:TXLの試料濃度は17μg/ml=17ng/μlであり、パクリタキセルの分子量は854である。したがって、培地中、1μl/mlのTXL溶液は、17ng(TXL)/ml(培地)に等しく、これは分子量854に基づいて19.9nMに等しい。IC50値をμl/mlで表し、パクリタキセルについて1μl/ml=19.9nMの前記変換係数に基づいてモル濃度に変換した。例えば、0.24μl/mlのIC50=4.8nM(PANC−1 TXL100)、0.69μl/mlのIC50=13.7nM(PC3 TXL100)、および3.76μl/mlのIC50=74.8nM(A549 TXL100)。
【0070】
CPT:CPTの試料濃度は10μg/ml=10ng/μlであり、カンプトテシンの分子量は348である。したがって、1μl/mlの培地中CPT溶液は10ng(CPT)/ml(培地)に等しく、これは分子量348に基づいて28.7nMに等しかった。IC50値をμl/mlで表し、カンプトテシンについて1μl/ml=28.7nMの前記変換係数に基づいてモル濃度に変換した。たとえば、1.91μl/mlのIC50=54.9nM(PANC−1 CPT70)、1.03μl/mlのIC50=29.6nM(PC3 CPT70)、および4.93μl/mlのIC50=141.5nM(A549 CTP70)。
【0071】
パクリタキセルの水溶液およびCPTの水溶液を、MTTアッセイを用いて3つのヒト癌細胞系に対して試験した(図10および11)。すべての癌細胞系は、American Type Culture Collection(ATCC)(バージニア州マナッサス)から入手した。パクリタキセルは、4.9nM(0.24μl/ml)、13.7nM(0.69μl/ml)、または74.8nM(3.76μl/ml)の濃度で、PANC−1(ヒト膵臓)、PC3(ヒト前立腺)、またはA549(ヒト肺)癌細胞の増殖をそれぞれ50%阻害することが判明した。CPTはその本来の構造で、PANC−1、PC3またはA549細胞に対して、それぞれ、54.9nM(1.91μl/ml)、29.6nM(1.03μl/ml)、または141.5nM(4.93μl/ml)のIC50値(50%阻害)を示した。
【0072】
これらのIC50値(ほとんどは0.1μM未満)は、有効な化学療法剤にとって重要である。微小管阻害剤として、31.2nMおよび50nMのPC3細胞について報告されているIC50値と比較して、クレモフォアまたはアルコールを含まないこのパクリタキセルの新規処方は、既存の処方の2倍強力であった。R.Danesi,et al.,“Paclitaxel inhibits protein isoprenylation and induces apoptosis in PC−3 human prostate cancer cells.”Mol Pharmacol.1995 Jun;47(6):1106−11;およびE.K.Rowinsky,et al.,“Taxol:A Novel Investigational Antimicrotubule Agent.”Journal of the National Cancer Institute,Vol.82,No.15,1247−1259,1990を参照。その現行の薬物処方中のパクリタキセルは、MDA−M231乳癌細胞の50%を破壊するためには1μMよりも多くなければならず、一方、他の複合処方は、この有効性を改善しないようであった。A.O.Nornoo,et al.,“Cremophor−free intravenous microemulsions for paclitaxel I:formulation,cytotoxicity and hemolysis.”Int J Pharm.2008 Feb 12;349(l−2):108−16を参照。
【0073】
CPT溶液は、試験した3つの癌細胞系全てに対して高度に細胞毒性であり、特にPANC−1に対して強力であることが示された。これらのIC50値は、様々なヒト癌細胞系に対してCPTについて報告されている値(10nM〜3.5μM)の下限であった。K.Kaczirek et al.,“Cytotoxic Activity of Camptothecin and Paclitaxel in Newly Established Continuous Human Medullary Thyroid Carcinoma Cell Lines.”The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol.89,No.5 2397−2401(2004)を参照。
【0074】
(実施例10)
様々な天然の可溶化剤中のクルクミンの濃度
5%(w/v)の様々な可溶化剤を含むクルクミンの一連の飽和水溶液を次のようにして調製した。まず、約2mgのクルクミン(試薬等級、Cayman Chemical Company、ミシガン州アナーバー)を、それぞれ、5%w/vのルブソシド(前述のようにして単離)(SFAと表示);5%ステビオシド(ChromaDex、カリフォルニア州アーバイン)(SFBと表示);または5%レバウジオシドA(ChromaDex、カリフォルニア州アーバイン)(SFCと表示)を含む1mLの水溶液中に量りとった。60℃で60分間超音波処理した後、溶液を4,000×gで遠心分離し、0.2ナイロンフィルタで濾過した後、HPLC分析した。約2mgの同クルクミンを、1×PBS(HyClone Laboratories,Inc.、ユタ州ローガン)中5%w/vのルブソシド溶液中に量りとった。約2mgの同クルクミンを、ブランク対照として、5%v/vの水性エタノール溶液中に量りとった。さらに、216μg/mLのクルクミンの濃度のメタノール溶液(分析等級、ChromaDex)を参考試料として調製した。
【0075】
HPLC条件は、Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)の使用、アセトニトリル(A)および0.2%水中リン酸(B)から構成される移動相ならびに20〜80%のAで0〜45分の勾配溶出、215nm(可溶化剤について)および261nm(クルクミンについて)の二重検出波長、および1.0mL/分の流速での実施を含んでいた。クロマトグラムは、図10において示される215nmおよび261nmの複合波長で作製した。クルクミンの定量化は、外部標準較正法を用いて実施した。
【0076】
5%クルクミンの水性エタノール溶液(対照;可溶化剤を含まない)は、ベースラインしか示さず、HPLC条件下で検出可能な成分は1つも示さなかった(図10)。可溶化剤を含まない100%メタノール溶液は、クルクミンが36分の保持時間を有することを示した。SFA溶液(水およびPBS)は、36分でクルクミン、および20分でルブソシドを示し、一方、いくつかの他の小さなピークは、クルクミン化合物の不純物由来のものであった(試薬等級は90%を超える純度を有するとされ、クルクミノイドなどのクルクミンの天然の類似体として不純成分を含む)。SFB溶液は、36分でクルクミン、および17分でステビオシドを示し、一方、いくつかの他の小さなピークは、クルクミンの不純物由来であった。SFC溶液は36分でクルクミン、および17分より若干前にレバウジオシドAを示し、一方、いくつかの他の小さなピークは、クルクミンの不純物由来であった。
【0077】
溶液のそれぞれにおけるクルクミンの定量化によって、5%v/vの水性エタノール溶液は検出可能なクルクミンを溶液中に溶解させなかったが、無水メタノール溶液は調製された溶液中に216μg/mLのクルクミンを溶解させたことが示された(表7)。5%ルブソシド溶液は136μg/mLのクルクミンを水溶液中に溶解させたが、PBS水溶液中では23.4μg/mLのクルクミンしか検出されなかった。5%ステビオシド水溶液は138μg/mLのクルクミンを水溶液中に溶解させた。5%レバウジオシドA水溶液は122μg/mLのクルクミンを水溶液中に溶解させた。所定の条件下でのクルクミンの可溶化の点で、ルブソシドおよびステビオシドは同様に最も有効であり、レバウジオシドAは若干有効性が低かった。PBS溶液を使用することにより、PBSを含まない水溶液と比較して、クルクミン濃度が減少した。
【0078】
【表7】

(実施例11)
A.可溶化剤としてのステビオールグリコシド
図5に示すような可溶化剤としての様々なステビオールグリコシドを5%(w/v)含むクルクミンの一連の飽和水溶液が同様の方法で調製され、分析される。手順は次のとおりである。まず、約2mgのクルクミン(試薬等級、Cayman Chemical Company、ミシガン州アナーバー)を1mL水溶液(それぞれ、5%w/vの図8中の化合物のうちの1つ、たとえばステビオールモノシド、レバウジオシドB、レバウジオシドC、ズルコシドA、ステビオールビオシド、パニクロシドIV、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドC1、スアビオシドD1、スアビオシドD2、スアビオシドE、スアビオシドF、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、およびスアビオシドJを含む)中に量りとる。60℃で60分間超音波処理した後、溶液を4,000×gで遠心分離し、0.2ナイロンフィルタで濾過した後、HPLC分析する。約2mgの同クルクミンをブランク対照として5%v/vの水性エタノール溶液中に量りとる。さらに、216μg/mLのクルクミンの濃度のメタノール溶液(分析等級、ChromaDex、カリフォルニア州アーバイン)を参考試料として調製する。
【0079】
HPLC条件は、Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)の使用、アセトニトリル(A)および0.2%水中リン酸(B)から構成される移動相ならびに20〜80%Aで0〜45分の勾配溶出、215nm(可溶化剤について)および261nm(クルクミンについて)の二重検出波長、ならびに1.0mL/分の流速での実施を含む。クロマトグラムを215nmおよび261nmの複合波長で作製する。クルクミンの定量化を、外部標準較正法を用いて実施する。
B.可溶化剤としての他のジテルペングリコシド
図6に示すような5%(w/v)の様々なジテルペングリコシドを可溶化剤として含むクルクミンの一連の飽和水溶液を同様の方法で調製し、分析する。手順は次のとおりである。まず、約2mgのクルクミン(試薬等級、Cayman Chemical Company、ミシガン州アナーバー)を、それぞれ5%w/vの図9中の化合物、たとえば、ゴショノシドF、ゴショノシドF、ゴショノシドF、ゴショノシドF、およびゴショノシドFのうちの1つを含む1mL水溶液中に量りとる。60℃で60分間超音波処理した後、溶液を4,000gで遠心分離し、0.2ナイロンフィルタで濾過した後、HPLC分析する。約2mgの同クルクミンをブランク対照として5%v/vの水性エタノール溶液中に量りとる。さらに、216μg/mLのクルクミンの濃度のメタノール溶液(分析等級、ChromaDex、カリフォルニア州アーバイン)を参考試料として調製する。
【0080】
HPLC条件は、Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)の使用、アセトニトリル(A)および0.2%水中リン酸(B)からなる移動相ならびに20〜80%Aで0〜45分の勾配溶出、215nm(可溶化剤について)および261nm(クルクミンについて)の二重検出波長、ならびに1.0mL/分の流速での実施を含む。クロマトグラムを215nmおよび261nmの複合波長で作製した。クルクミンの定量化を、外部標準較正法を用いて実施する。
【0081】
(実施例12)
天然の可溶化因子を含む抗真菌剤水溶液
3つの広く用いられている水不溶性抗真菌剤、アムホテリシンB、シクロスポリンA(シクロスポリンとしても知られる)、およびナイスタチン(Sigma Chemical、ミズーリ州セント・ルイス)を、10%w/vルブソシド水溶液を用いる溶解度試験のために選択した。10%w/vルブソシド(前述のようにして単離)水溶液を調製した。アムホテリシンB(2.0mg)、シクロスポリンA(2.0mg)、およびナイスタチン(2.2mg)をそれぞれ遠心分離管中に量りとった。次いで、10mL、7mL、または2mLのルブソシド可溶化水溶液を別々の試験管中の各化合物に添加した。各溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて暗所にて、シェーカー上、25℃で12時間インキュベーションした。
【0082】
全ての化合物は完全に溶液中に溶解したようであった。アムホテリシンB溶液は、10%の可溶化水溶液中200μg/mlを含み、シクロスポリンA水溶液は、10%の可溶化水溶液中250μg/mlを含み、そしてナイスタチン水溶液は10%の可溶化水溶液中1,100μg/mlを含んでいた。
【0083】
【表8】

前記事項は、アムホテリシンBおよびルブソシドの水溶液が可能であることを示す。この調製物は、実質的に非毒性であり、経口、静脈内、および他の投与方法で使用するための、現行のリポソーム処方を置換もしくは補足するための新規処方を調製できる。同じことは、シクロスポリンおよびナイスタチンについても当てはまるであろう。
【0084】
(実施例13)
エリスロマイシンの可溶化剤としてのルブソシド
エリスロマイシンは難水溶性であり、水溶解度は459μg/mLである。エリスロマイシンを水中に可溶化できるかどうかを試験するために、10%w/vルブソシド(前述のようにして単離)水溶液をまず調製した。エリスロマイシン(16.0mg)を遠心分離管中に量りとった。次いで、3mLのルブソシド可溶化水溶液を化合物に添加した。溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて暗所にて、シェーカー上、25℃で48時間インキュベーションを行った。エリスロマイシンは、10%w/vルブソシドの存在下で水溶液中に完全に溶解した。均一濃度溶離においてアセトニトリル(A)および0.01MのKHPO(B)から構成される移動相を用いるLuna C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)を使用した、410nmの波長でエリスロマイシンを検出する高速液体クロマトグラフィーを用いて、この水溶液をエリスロマイシン濃度について分析した。ルブソシド溶液中のエリスロマイシンの濃度は5.333mg/mLであった。
【0085】
(実施例14)
クルクミン可溶化における、通常使用される医薬溶媒およびルブソシドを含む賦形剤の比較
10%v/v水性エタノール(EtOH10)、10%v/v水性ジメチルスルホキシド(DMSO10)、10%ポリエチレングリコール400(PEG10)、10%w/vベータ−シクロデキストリン(BCD10)、および10%w/vルブソシド(RUB10)の溶液を調製した。クルクミン(約2.0mg)を、様々な可溶化剤を含む各試験管中に量りとった。50℃で60分の超音波処理の後、これらの溶液を25℃で一晩インキュベートした。溶液をクルクミン濃度について分析し、結果を図11に示す。HPLC分析を215nmおよび425nmの波長で実施した。Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)を使用し、移動相は、アセトニトリル(A)および0.2%リン酸(B)から構成されていた。これらの条件下では、クルクミンは約35.50分で溶出した。図13に示すように、検出可能なクルクミンを含む溶液は10%ルブソシド溶液だけであり、これは約232μg/mlのクルクミンを含んでいた。同じ重量/体積比におけるルブソシド−クルクミン複合体とβ−CD−クルクミン複合体(検出可能なクルクミンを含まない)との差は、ルブソシド(約60g/100mL(水))およびβ−CD(1.85g/100mL(水))の水溶解度における差によって説明できる。
【0086】
(実施例15)
ステビオールグリコシドの混合物の存在下でのクルクミンの溶解度
1.ステビオールグリコシドを含む甜茶抽出物
58%w/wルブソシドおよび約1%w/wステビオールモノシド(実施例1において記載したようにして調製)から構成される8.62%v/v水性甜茶抽出物の溶液(5ml)を調製した。最終溶液は、5%v/vルブソシドを含んでいた。クルクミン(約2.0mg)を、5%ルブソシド可溶化溶液を含む試験管中に量りとった。50℃で60分の超音波処理の後、この溶液を25℃で一晩インキュベートした。この5%溶液および1%溶液(4:1 水:5%RUB溶液)をHPLCにてクルクミン濃度について分析し、結果を図12に示す。HPLC分析を215nmおよび425nmの波長で実施した。Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)を使用し、移動相はアセトニトリル(A)および0.2%リン酸(B)から構成されていた。これらの条件下では、クルクミンは約35.50分で溶出した。図14において、ルブソシドピークをRUBによって示し、ステビオールモノシドピークをSMによって示し、クルクミンピークをCURによって示す。5%RUB(ルブソシド)溶液中、クルクミン濃度は約51μg/mlと測定された。一方、1%溶液においては、クルクミンは無視できた。
2.約5%w/vのステビオールグリコシドの混合物を含むステビアの葉の抽出物
ステビアの葉の抽出物を購入し(Smarter Health Corporation、フロリダ州ジャクソンビル)、前述のようにしてHPLCを用いてその組成を測定した。この抽出物から、55.80%w/wレバウジオシドA、43.42%w/wステビオシド、0.75%w/wルブソシド、および0.04%w/wステビオールモノシドを含むステビオールグリコシドの5%w/v混合物を含有するように溶液を調製した。クルクミン(約2.0mg)を、可溶化ステビオールグリコシドの5%混合物を含む試験管中に量りとった。50℃で60分の超音波処理の後、溶液を25℃で一晩インキュベートした。この溶液をHPLCにてクルクミン濃度について分析した。HPLC分析を215nmおよび425nmの波長で実施した。Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)を使用し、移動相はアセトニトリル(A)および0.2%リン酸(B)から構成されていた。図13に示すように、これらの条件下で、以下の化合物が相対時間で溶出した。化合物1:レバウジオシドA(17.212分);化合物2:ステビオシド(17.557分);化合物3:ルブソシド(20.721分);化合物4:デメチオキシクルクミン(34.807分);および化合物5:クルクミン(35.592分)。5%混合ステビオールグリコシド水溶液中、クルクミンは約51μg/mLと検出された。
3.ルブソシド対ルブソシドとレバウジオシドAとの混合物
10%w/vルブソシド水溶液を前述のようにして調製した。別に、ルブソシドとレバウジオシドAとの1:1重量比の混合物の10%w/v水溶液を調製した。10mlのルブソシド溶液および10mlの混合物溶液を、それぞれ10mgクルクミン(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)とともに2つの別々のバイアルに添加し、十分に混合し、60分間60℃で超音波処理した。2つの溶液を次いで115℃および1気圧で30分間加圧滅菌処理した。加圧滅菌処理された溶液を37℃のインキュベータ中に72時間入れた。溶液への露光は常に最小限にした。次いで、溶液を0.45μmナイロンフィルタを通して濾過し、HPLCで分析し、クロマトグラムを図14に示した。10%ルブソシド水溶液中のクルクミンは462μg/mlであり、10%混合物溶液中のクルクミンは531μg/mlであった。このことは、ルブソシドとレバウジオシドAとの混合物は、ルブソシドだけよりも多くの量のクルクミンを可溶化させることを示す。
【0087】
(実施例16)
コエンザイムQ10、魚油、およびプロポフォールの水溶解度に対するルブソシドの影響
10%w/vルブソシド(前述のようにして単離)水溶液を調製した。CoQ10(2.0mg)、魚油(10mg)、およびプロポフォール(10mg)をそれぞれ別の遠心分離管中に量りとった。次に、10mLのルブソシド可溶化水溶液を各試験管に添加した。可溶化剤を含まないさらなる水試料を魚油およびプロポフォールについて調製した。溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて、25℃で72時間インキュベーションした。アルコールCoQ10溶液を標準として用いるHPLCを使用して、CoQ10−ルブソシド溶液を測定した。プロポフォールメタノール基準溶液およびプロポフォール水溶液(ルブソシドを含まない)と比較して、HPLCにてプロポフォール−ルブソシド水溶液を分析した。魚油水溶液(ルブソシドを含まない)と比較して、HPLCにて魚油−ルブソシド水溶液を分析した。図15は、275nmの波長で検出された標準的CoQ10−無水エタノール溶液およびCoQ10−ルブソシド水溶液(10%w/vルブソシド)のクロマトグラムを示す。Prevail C18カラム(4.6mm×250mm、5μm)をこの分析に使用した。移動相は、メタノール(A)および無水エタノール(B)から構成されていた。CoQ10は14.55分で溶出し、ルブソシドは2.75分で溶出した。ルブソシド水溶液試料中のCoQ10の濃度は111.4μg/mLであった。
【0088】
図16は、プロポフォールに関するHPLC分析の結果を示す。10%v/wのルブソシドの存在下での水溶液中のプロポフォールの濃度は11.7mg/mLまたは1.17%w/vであった(図16)。これは、プロポフォールメタノール溶液に匹敵した。対照的に、ルブソシドを含まないプロポフォール水溶液は測定可能なプロポフォールを含んでいなかった。図17は、魚油溶液の結果を示す。可溶化剤として10%w/vのルブソシドの存在下での魚油では、ルブソシドを含まない魚油水試料と比較して、より多くの成分が溶解した(図17)。図17中の囲み部分は、2つの試料の差を示し、魚油を含む純水溶液(FO−SFA0)と比較して、ルブソシドは、さらなる未同定成分を水溶液(FO−SFA10)中に溶解させたことを示す。
【0089】
(実施例17)
アルテミシニン、ポドフィロトキシン、アルファ−トコフェロール、シリビン、ラパマイシン、およびジンジェロールの水溶解度に対するルブソシドの影響
10%w/vのルブソシド(前述のようにして単離)水溶液を調製した。5ミリグラムアルテミシニン、ポドフィロトキシン、シリビン、ラパマイシン、またはジンジェロールを別々の遠心分離管中に量りとった。次いで、5mLのルブソシド可溶化水溶液を各試験管に添加した。溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて、25℃で72時間インキュベーションした。別に、25%w/vのステビアの葉抽出物(実施例15で記載したとおり)水溶液を調製した。500ミリグラムのアルファ−トコフェロールを遠心分離管中に量りとった。次いで、10mLのステビア葉抽出物可溶化水溶液を添加した。溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて、25℃で72時間インキュベーションした。可溶化水溶液中のこれらの化合物をHPLCで分析し、標準溶液と比較した。10%w/vのルブソシドの存在下で、水溶液は著しい量の試験化合物:280μg/mLのアルテミシニン、919μg/mLのポドフィロトキシン、150μg/mLのシリビン、240μg/mLのラパマイシン、および150μg/mLの6−ジンジェロールを含んでいた。25%w/vのステビア葉抽出物の存在下で、13,250μg/mLのアルファ−トコフェロールが溶液中に溶解した。
【0090】
(実施例18)
ルブソシド水溶液中のクルクミンの殺菌活性
クルクミンの殺菌活性を、AOAC殺菌性および洗浄性消毒剤試験(Germicidal and Detergent Sanitizer Test)の改変法によって決定した。以下の攻撃生物(challenge organims)を、トリプチカーゼ大豆ブロス中で24時間、37℃で増殖させた。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(グラム陽性)ATCC29740(Newbould305)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(グラム陽性)ATCC27956(McDonald 44)、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)(グラム陽性)ATCC27957、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)(グラム陽性)ATCC27958、大腸菌(Escherichia coli)(グラム陰性)ATCC25922、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(グラム陰性)ATCC27853、ならびにエンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)(グラム陰性)(216RF)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(グラム陰性)(A37RR)の臨床型乳房炎単離株は、Louisiana State University Hill Farm Research Station乳牛群から入手した。
【0091】
細菌培養。24時間細菌培養のそれぞれのアリコートを標準化して0.5McFarland標準の濁度にし、これは1mlあたり約150×10コロニー形成単位(cfu)に相当する。0.02mlのこの培養物を含むアリコートを、クルクミン−ルブソシド溶液の1.98mlアリコートに添加した。30秒後および10分後に再度、1mlアリコートを微生物/クルクミン混合物から取り出し、9mlの中和剤(Letheenブロス、Difco Laboratories、ミシガン州デトロイト、1%チオ硫酸ナトリウムを含むように変更した)に添加した。この溶液を十分に混合し、塩溶液中1:1000に希釈し、試験される各微生物について2連のLetheenアガー(Becton Dickinson、メリーランド州コッキーズビル)プレート上に0.1mlを播種した。プレートを37℃で24時間インキュベーションした後に、結果として得られたコロニーを計数した。
【0092】
第1の実験。試験化合物は可溶化クルクミン水溶液であった。第1バッチのクルクミン試料(バッチ番号CUR−SFA5−021209)として、100mLの5%w/vのルブソシド水溶液を調製した。この可溶化溶液を24mgのクルクミン(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)に添加し、混合し、60分間60℃で超音波処理した。溶液を暗所で保持した。溶液は6.5のpH値を有し、これを0.45μmナイロンフィルタを通して濾過し、HPLCで分析した。この溶液中のクルクミンは158μg/mlであった。
【0093】
希釈の結果、培地中のクルクミン溶液の実際のpHは6.1であった。この実験において、グラム陰性緑膿菌およびストレプトコッカス・ジスガラクチエの99.99%および43.75%増殖阻害が、クルクミンとの共存培養の30秒以内に起こり、グラム陽性ストレプトコッカス・アガラクチエおよび黄色ブドウ球菌の91.7%および39.33%増殖阻害が、クルクミンとの共存培養内の30秒以内で起こった。しかし、グラム陽性ストレプトコッカス・ウベリスおよび大腸菌、ならびに2つのグラム陰性エンテロバクター・エロゲネスおよび肺炎桿菌において、細菌増殖の阻害は観察されなかった(表9)。10分の共存培養では、次の細菌において増殖の阻害が観察された:緑膿菌、99.99%、ストレプトコッカス・アガラクチエ99.7%、大腸菌98.54%、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ47.92%、および黄色ブドウ球菌26.67%。他の3つの細菌では、増殖阻害はなかった。
【0094】
【表9】

第2の実験。第2の実験に関して、細菌培養は前述のとおりであった。クルクミン試料(バッチ番号CUR−SFA5−031209)を次のようにして作製した。まず、100mLの5%w/vルブソシド水溶液を調製した。この可溶化溶液を24mgのクルクミン(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)に添加し、混合し、60分間60℃で超音波処理した。次いで、この溶液を115℃、1気圧で30分間、加圧滅菌処理した。加圧滅菌処理された溶液をインキュベータ中、37℃で72時間保持し、暗所で保持した。適切な量のリン酸緩衝塩溶液粉末を添加することによって、溶液をpH7.4に調節し、次いで、0.45μmナイロンフィルタを通して濾過し、HPLCで分析した。この溶液中のクルクミン濃度は157μg/mlであった。
【0095】
培養した溶液は、可溶化クルクミン水溶液のPBS調節の結果として7.4のpHを有していた。6.1のpHを有するクルクミン/ルブソシド溶液とは対照的に、この7.4のpHを有するクルクミン/ルブソシド溶液は、30秒以内で、8つの細菌全てに対して阻害活性を保持し、60%〜94%の範囲で10分にわたって持続した。結果を表10に示す。これらの結果は、可溶化クルクミン溶液の殺菌剤としての使用におけるpHの重要性を示す。
【0096】
【表10】

実験3。クルクミンの最小阻止濃度(実験2から)を、標準的液体希釈法によって決定した。2ml試験管分のMueller Hintonブロスを調製し、各生物について9本の試験管を使用した。2mlのストッククルクミン混合物(157μg/ml)を第1の試験管に添加して、クルクミンの1:2希釈を行った。2mlアリコートを試験管1から取り出し、試験管2に添加して、さらなる1:2希釈を行い、その結果、合計して1:4希釈となった。このパターンを8本の試験管全部に関して繰り返し、最後の試験管はクルクミンを添加せず、対照試験管とした。希釈ステップ後、0.01ml体積(約100,000cfu)のインキュベーション管中の標準化濃度の生物を、増殖の阻害を示す濁りがないことについて観察した。目に見える増殖がない試験管を二次培養して、増殖が単に阻害されたに過ぎないのか、それとも生物が実際に破壊されたのかを究明した。
【0097】
MICは細菌(表11)によって19μg/ml(ストレプトコッカス・アガラクチエに対して)から78μg/ml(黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカス・ウベリス、およびエンテロバクター・エロゲネスに対して)まで変化した。
【0098】
【表11】

(実施例19)
イトラコナゾールおよびセレコキシブの水溶解度に対するルブソシドの影響
10%w/vのルブソシド(前述のようにして単離)水溶液を調製した。6ミリグラムおよび2.5mgのイトラコナゾールをそれぞれ2つの別個の試験管中に量りとった。これらの2つの試料中に、5mLのルブソシド水溶液および5mLの蒸留脱イオン水をそれぞれ添加した。約6.7mgおよび3.7mgのセレコキシブを2つの別個の試験管中にそれぞれ量りとった。これらの2つの試料中に、5mLのルブソシド水溶液および5mLの蒸留脱イオン水をそれぞれ添加した。溶液を50℃で60分間超音波処理し、続いて水浴中80℃で30分間インキュベーションし、次いで25℃で24時間インキュベーションした。溶液を、0.45μmフィルタで濾過した後、定量化用標準溶液としてメタノール溶液中の各化合物(イトラコナゾール、180μg/mL;およびセレコキシブ、420μg/mL)を用いて、HPLCにて分析した。
【0099】
3つのイトラコナゾール(ICZ)試料のHPLC−PDAによるクロマトグラムを図18に示す。Luna C18カラムをHPLC分析のために使用した。移動相は、アセトニトリル(A)および水(B)から構成されていた。すべてのクロマトグラムは、260nmで得られた。図18において、「ICZ+可溶化剤」は、10%ルブソシドの存在下でのイトラコナゾールの水溶液である。「ICZ−可溶化剤」は、ルブソシドを含まないイトラコナゾールの水溶液である。「ICZ基準」は、180μg/mlのイトラコナゾールのメタノール溶液である。10%w/vのルブソシドの存在下で、水溶液(pH=4.09)中のイトラコナゾールは21μg/mLであり、一方、ルブソシドを含まない水溶液中のイトラコナゾールは検出されなかった(図18)。
【0100】
3つのセレコキシブ(CEL)試料のHPLC−PDAによるクロマトグラムを図19に示す。Luna C18カラムをHPLC分析に使用し、移動相は、メタノール(A)および水(B)から構成されていた。全てのクロマトグラムは254nmで得られた。図19において、「CEL+10%可溶化剤」は、10%w/vの可溶化剤(ルブソシド)の存在下でのセレコキシブの水試料であり、「水中CEL」は、可溶化剤を含まないセレコキシブの水試料であり、「メタノール中CEL」は、標準として用いられた420μg/mLのセレコキシブメタノール溶液である。10%w/vのルブソシドの存在下で、水溶液中のセレコキシブは488μg/mLであり、一方、ルブソシドを含まない水溶液中のセレコキシブは検出されなかった(図21)。
【0101】
米国特許仮出願第61/044,176号および第61/099,823号をはじめとする、本明細書において言及される全ての文献の全開示は、参考として本明細書で援用される。しかし、矛盾する場合については、本明細書が支配する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に不溶性もしくは難溶性である有機化合物の溶解度を向上させる方法であって、前記化合物を、水および前記化合物の水溶解度を2倍以上増大させるために十分な濃度のジテルペングリコシドと混合する工程を含む方法。
【請求項2】
前記ジテルペングリコシドが、ルブオソシド、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ステビオールモノシド、ズルコシドA、ステビオールビオシド、パニクロシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドC1、スアビオシドD1、スアビオシドD2、スアビオシドE、スアビオシドF、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、ゴショノシドF1、ゴショノシドF2、ゴショノシドF3、ゴショノシドF4、およびゴショノシドF5からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ジテルペングリコシドがレバウジオシドAである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ジテルペングリコシドがステビオシドである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ジテルペングリコシドがステビオールモノシドである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、ジテルペン、キノリンアルカロイド、フェニルアラニン由来のアルカロイド、加水分解性タンニン、フラボノイド、クルクミノイド、フェノール、キノン、マクロライド、環状ペプチド、セスキテルペンラクトン、リグナン、フラボノリグナン、脂質、およびアゾ−ルからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、パクリタキセル、ドセタキセル、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、セファロマンニン、10−デアセチルセファロマンニン、レチノイド、ギンコライド、およびフォルサコリンからなる群より選択されるジテルペンである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記化合物がパクリタキセルである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、メトキシカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、キニーネ、キニジン、シンコニジン、およびシンコニンからなる群より選択されるキノリンアルカロイドである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記化合物がカンプトテシンである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記化合物がカプサイシンおよびジヒドロカプサイシンからなる群より選択されるフェニルアラニン由来のアルカロイドである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記化合物がカプサイシンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、没食子酸およびエラグ酸からなる群より選択される加水分解性タンニンである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が没食子酸である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、フラボノン、フラボン、ジヒドロフラボノール、フラボノール、フラバンジオール、ロイコアントシアニジン、フラボノールグリコシド、フラボノングリコシド、イソフラボノイド、およびネオフラボノイドからなる群より選択されるフラボノイドである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、ナリンゲニン、エリオジクチオール、アピゲニン、ルテオリン、ジヒドロケンフェロール、ジヒドロケルセチン、ケンフェロール、ケルセチン、ロイコペラルゴニジン、ロイコシアニジン、ルチン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン ナリンギン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロール、ロテノン、およびピサチンからなる群より選択されるフラボノイドである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記化合物がルチンである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、クルクミン、デスメトキシクルクミン、およびビス−デスメトキシクルクミンからなる群より選択されるクルクミノイドである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記化合物がクルクミンである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、トコフェロール、プロポフォール、およびジンジェロールからなる群より選択されるフェノールである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記化合物がアルファ−トコフェロールである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記化合物がプロポフォールである、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記化合物がジンジェロールである、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、ユビキノン、プラストキノン、アントラキノン、フェナントラキノン、およびジアントラキノンからなる群より選択されるキノンである、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、コエンザイムQ、コエンザイムQ10、レイン、エモジン、アリザリン、ルシジン、クリプトタンシノン、タンシノンI、タンシノンIIA、ジヒドロタンシノン、センノシドA、およびセンノシドBからなる群より選択されるキノンである、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記化合物がコエンザイムQ10である、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記化合物がタンシノンIIAである、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、スピラマイシンI、スピラマイシンII、スピラマイシンIII、タイロシン、アベルメクチン、アムホテリシンB、ナイスタチン、タクロリムス、およびラパマイシンからなる群より選択されるマクロライドである、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記化合物がエリスロマイシンである、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記化合物がアムホテリシンBである、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記化合物がナイスタチンである、請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記化合物がラパマイシンである、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、シクロスポリン、ポリミキシン、チロトリシン、グラミシジン、カプレオマイシン、バンコマイシン、セファロスポリン、およびセファマイシンからなる群より選択される環状ペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記化合物がシクロスポリンAである、請求項1記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、およびビロバライドからなる群より選択されるセスキテルペンラクトンである、請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記化合物がアルテミシニンである、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が、ポドフィロトキシン、4’−デメチルポドフィロトキシン、ベータ−ペルタチン、アルファ−ペルタチン、デスオキシポドフィロトキシン、ポドフィロトキソン、マタイレシノール(matairesinol)、ヤテイン(yatein)、およびピノレジノールからなる群より選択されるリグナンである、請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記化合物がポドフィロトキシンである、請求項1記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、シリビン、イソシリビン、およびシリクリスチンからなる群より選択されるフラボノリグナンである、請求項1記載の方法。
【請求項41】
前記化合物がシリビンである、請求項1記載の方法。
【請求項42】
前記化合物が魚油の成分である、請求項1記載の方法。
【請求項43】
前記魚油の成分が脂肪酸である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、イトラコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、ボリコナゾール、プラミコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、エポキシコナゾール、トリアジメノール、プロピコナゾール、メトコナゾール、シプロコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、パクロブトラゾール、およびセレコキシブからなる群より選択されるアゾ−ルである、請求項1記載の方法。
【請求項45】
前記化合物がイトラコナゾールである、請求項1記載の方法。
【請求項46】
前記化合物がセレコキシブである、請求項1記載の方法。
【請求項47】
水中低溶解度を有する有機化合物の水溶液、およびジテルペングリコシドを含む組成物であって、前記ジテルペングリコシドの濃度が、前記化合物の水溶解度を、前記ジテルペングリコシドが欠失している以外は同じ組成における前記化合物の溶解度よりも2倍以上増加させるために十分である組成物。
【請求項48】
前記ジテルペングリコシドが、ルブオソシド、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ステビオールモノシド、ズルコシドA、ステビオールビオシド、パニクロシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドC1、スアビオシドD1、スアビオシドD2、スアビオシドE、スアビオシドF、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、ゴショノシドF1、ゴショノシドF2、ゴショノシドF3、ゴショノシドF4、およびゴショノシドF5からなる群より選択される、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項50】
前記ジテルペングリコシドがレバウジオシドAである、請求項47記載の組成物。
【請求項51】
前記ジテルペングリコシドがステビオシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項52】
前記ジテルペングリコシドがステビオールモノシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項53】
前記化合物が、ジテルペン、キノリンアルカロイド、フェニルアラニン由来のアルカロイド、加水分解性タンニン、フラボノイド、クルクミノイド、フェノール、キノン、マクロライド、環状ペプチド、セスキテルペンラクトン、リグナン、フラボノリグナン、脂質、およびアゾ−ルからなる群より選択される、請求項47記載の組成物。
【請求項54】
前記化合物が、パクリタキセル、ドセタキセル、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、セファロマンニン、10−デアセチルセファロマンニン、ギンコライド、およびフォルサコリンからなる群より選択されるジテルペンである、請求項47記載の組成物。
【請求項55】
前記化合物がパクリタキセルである、請求項47記載の組成物。
【請求項56】
前記化合物が、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、メトキシカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、キニーネ、キニジン、シンコニジン、およびシンコニンからなる群より選択されるキノリンアルカロイドである、請求項47記載の組成物。
【請求項57】
前記化合物がカンプトテシンである、請求項47記載の組成物。
【請求項58】
前記化合物が、カプサイシンおよびジヒドロカプサイシンからなる群より選択されるフェニルアラニン由来のアルカロイドである、請求項47記載の組成物。
【請求項59】
前記化合物がカプサイシンである、請求項47記載の組成物。
【請求項60】
前記化合物が、没食子酸およびエラグ酸からなる群より選択される加水分解性タンニンである、請求項47記載の組成物。
【請求項61】
前記化合物が没食子酸である、請求項47記載の組成物。
【請求項62】
前記化合物が、フラボノン、フラボン、ジヒドロフラボノール、フラボノール、フラバンジオール、ロイコアントシアニジン、フラボノールグリコシド、フラボノングリコシド、イソフラボノイド、およびネオフラボノイドからなる群より選択されるフラボノイドである、請求項47記載の組成物。
【請求項63】
前記化合物が、ナリンゲニン、エリオジクチオール、アピゲニン、ルテオリン、ジヒドロケンフェロール、ジヒドロケルセチン、ケンフェロール、ケルセチン、ロイコペラルゴニジン、ロイコシアニジン、ルチン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン ナリンギン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロール、ロテノン、およびピサチンからなる群より選択されるフラボノイドである、請求項47記載の組成物。
【請求項64】
前記化合物がルチンである、請求項47記載の組成物。
【請求項65】
前記化合物が、クルクミン、デスメトキシクルクミン、およびビス−デスメトキシクルクミンからなる群より選択されるクルクミノイドである、請求項47記載の組成物。
【請求項66】
前記化合物がクルクミンである、請求項47記載の組成物。
【請求項67】
前記化合物が、トコフェロール、プロポフォール、およびジンジェロールからなる群より選択されるフェノールである、請求項47記載の組成物。
【請求項68】
前記化合物がアルファ−トコフェロールである、請求項47記載の組成物。
【請求項69】
前記化合物がプロポフォールである、請求項47記載の組成物。
【請求項70】
前記化合物がジンジェロールである、請求項47記載の組成物。
【請求項71】
前記化合物が、ユビキノン、プラストキノン、アントラキノン、フェナントラキノン、およびジアントラキノンからなる群より選択されるキノンである、請求項47記載の組成物。
【請求項72】
前記化合物が、コエンザイムQ、コエンザイムQ10、レイン、エモジン、アリザリン、ルシジン、クリプトタンシノン、タンシノンI、タンシノンIIA、ジヒドロタンシノン、センノシドA、およびセンノシドBからなる群より選択されるキノンである、請求項47記載の組成物。
【請求項73】
前記化合物がコエンザイムQ10である、請求項47記載の組成物。
【請求項74】
前記化合物がタンシノンIIAである、請求項47記載の組成物。
【請求項75】
前記化合物が、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、スピラマイシンI、スピラマイシンII、スピラマイシンIII、タイロシン、アベルメクチン、アムホテリシンB、ナイスタチン、タクロリムス、およびラパマイシンからなる群より選択されるマクロライドである、請求項47記載の組成物。
【請求項76】
前記化合物がエリスロマイシンである、請求項47記載の組成物。
【請求項77】
前記化合物がアムホテリシンBである、請求項47記載の組成物。
【請求項78】
前記化合物がナイスタチンである、請求項47記載の組成物。
【請求項79】
前記化合物がラパマイシンである、請求項47記載の組成物。
【請求項80】
前記化合物が、シクロスポリン、ポリミキシン、チロトリシン、グラミシジン、カプレオマイシン、バンコマイシン、セファロスポリン、およびセファマイシンからなる群より選択される環状ペプチドである、請求項47記載の組成物。
【請求項81】
前記化合物がシクロスポリンAである、請求項47記載の組成物。
【請求項82】
前記化合物が、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、およびビロバライドからなる群より選択されるセスキテルペンラクトンである請求項47記載の組成物。
【請求項83】
前記化合物がアルテミシニンである、請求項47記載の組成物。
【請求項84】
前記化合物が、ポドフィロトキシン、4’−デメチルポドフィロトキシン、ベータ−ペルタチン、アルファ−ペルタチン、デスオキシポドフィロトキシン、ポドフィロトキソン、マタイレシノール、ヤテイン、およびピノレジノールからなる群より選択されるリグナンである、請求項47記載の組成物。
【請求項85】
前記化合物がポドフィロトキシンである、請求項47記載の組成物。
【請求項86】
前記化合物が、シリビン、イソシリビン、およびシリクリスチンからなる群より選択されるフラボノリグナンである、請求項47記載の組成物。
【請求項87】
前記化合物がシリビンである、請求項47記載の組成物。
【請求項88】
前記化合物が魚油の成分である、請求項47記載の組成物。
【請求項89】
前記魚油の成分が脂肪酸である、請求項88記載の組成物。
【請求項90】
前記化合物が、イトラコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、ボリコナゾール、プラミコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、エポキシコナゾール、トリアジメノール、プロピコナゾール、メトコナゾール、シプロコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、パクロブトラゾールおよびセレコキシブからなる群より選択されるアゾ−ルである、請求項47記載の組成物。
【請求項91】
前記化合物がイトラコナゾールである、請求項47記載の組成物。
【請求項92】
前記化合物がセレコキシブである、請求項47記載の組成物。
【請求項93】
前記化合物が没食子酸であり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項94】
前記化合物がクルクミンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項95】
前記化合物がクルクミンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドおよびレバウジオシドAである、請求項47記載の組成物。
【請求項96】
前記化合物がカンプトテシンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項97】
前記化合物がカプサイシンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項98】
前記化合物がパクリタキセルであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項99】
前記化合物がルチンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項100】
前記化合物がタンシノンIIAであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項101】
前記化合物がアムホテリシンBであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項102】
前記化合物がシクロスポリンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項103】
前記化合物がナイスタチンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項104】
前記化合物がエリスロマイシンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項105】
前記化合物がコエンザイムQ10であり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項106】
前記化合物がプロポフォールであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項107】
前記化合物がアルテミシニンであり、前記ジテルペングリコシドルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項108】
前記化合物がポドフィロトキシンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項109】
前記化合物がアルファ−トコフェロールであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項110】
前記化合物がシリビンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項111】
前記化合物がラパマイシンであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項112】
前記化合物がジンジェロールであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項113】
前記化合物がイトラコナゾールであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項114】
前記化合物がセレコキシブであり、前記ジテルペングリコシドがルブソシドである、請求項47記載の組成物。
【請求項115】
複合体形成剤、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、リポソームおよびナノ粒子からなる群より選択される1以上の薬剤をさらに含む、請求項47記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1O】
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【図1P】
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【図1Q】
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【図1R】
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【図1S】
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【図1T】
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【図1U】
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【図1V】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−517686(P2011−517686A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504233(P2011−504233)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/040324
【国際公開番号】WO2009/126950
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(500090028)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティー アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (2)
【氏名又は名称原語表記】Board of Supervisors of Louisiana State University and Agricultural and Mechanical College
【Fターム(参考)】