説明

天然ガスを液化炭化水素に転化する連続的な方法

【課題】研究者達は、天然ガス及び他の炭化水素原料を燃料及び他の製品に転化する更に効率的なCH結合活性化経路の研究をいくらか進歩させたが、連続的な、経済的に実行可能な、及びより効率的な方法について大きな必要性が残っている。
【解決手段】アルカンのハロゲン化、生成物の形成(炭素‐炭素カップリング)、生成物の分離、及びハロゲンの再生の工程を通して連続的に循環させることにより、メタン、天然ガス、又は他の炭化水素の供給原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素又はオレフィンに転化する改良型連続転化法が提供される。臭化水素酸を空気又は酸素と反応させることによりハロゲンを継続的に回収することが好ましい。本発明は、芳香族化合物、脂肪族化合物、芳香族及び脂肪族化合物の混合物、オレフィン、ガソリン用材料、並びに他の有用な製品への効率的経路を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主に本発明は炭素‐炭素カップリング及び、より詳細には、炭化水素原料を有用製品に転化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学者は、メタン及び他の炭化水素をより長鎖の炭化水素、オレフィン、芳香族炭化水素、及び他の生成物に転化する有効手段を探し続けている。CH結合活性化は、様々な結果を伴って10年間激しい研究の焦点になっている。より有効な方法では、より容易に輸送可能な及び有用な燃料と原料への転化によって遠隔設置された炭化水素原料(例えば標準天然ガス)の利用を促進すること、並びに、主に高級炭化水素から製造される最終製品用の安価な原料(例えば、メタン及び他の軽質炭化水素)の使用を可能にすることなどの複数の手段に価値を生み出すことができた。
【0003】
米国特許第6,525,230号明細書には、第一、第二及び第三区間を特徴とする中空の、分離していない内部を持つ「区間反応器」を用いて、アルカンを他の化合物に転化する方法が開示されている。酸素は第一区間で金属臭化物と反応して臭素を提供し、臭素は第二区間でアルカンと反応して臭化アルキル及び臭化水素を形成し、臭化アルキルは第三区間で金属酸化物と反応して相当する生成物を形成する。一の実施形態では、反応器中のガスの流れは逆流し、金属酸化物をもとの金属臭化物に戻し、金属臭化物をもとの金属酸化物に戻す。基本的に反応器は循環モードで稼動する。
【0004】
米国特許第6,452,058号明細書には、希土類ハロゲン化物又はオキシハライド触媒を用いて、アルカン、ハロゲン化水素、及び、好ましくは、酸素からハロゲン化アルキルを製造する酸化的ハロゲン化法が開示されている。代わりにハロゲン分子を使用することも示されている。米国特許第3,172,915号明細書、米国特許第3,657,367号明細書、米国特許第4,769,504号明細書、及び米国特許第4,795,843号明細書のような他の特許には、アルカンの酸化的ハロゲン化用ハロゲン化金属触媒の使用が開示されている。しかしながら、酸化的ハロゲン化には過ハロゲン化生成物及び許容できない量の完全酸化生成物(CO及びCO2)の生成などの幾つかの欠点がある。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0234276号明細書、米国特許出願公開第2005/0234277号明細書、及び米国特許出願公開第2006/0100469号明細書の(それぞれWaycuilisの)3報の米国特許出願公開公報には、ガス状アルカンを液化炭化水素に転化する臭素系処理が開示されている。(1)臭素をアルカンと反応させて臭化アルキル及び臭化水素酸を提供する工程(臭素化)、(2)臭化アルキル及び臭化水素酸生成物を結晶性アルミノシリケート触媒と反応させて、より高分子量の炭化水素及び臭化水素酸を形成する工程(カップリング)、(3)部分的に酸化した(金属酸化物/酸臭化物/臭化物のような)臭化金属塩の水溶液との反応により、又は金属臭化物触媒の上で臭化水素酸を空気と反応させることにより、臭化水素酸を中和して臭化金属塩及び水の水溶液を製造する工程、並びに(4)臭素及び酸化塩を得るために臭化金属塩を酸素と反応させることにより臭素を再生する工程などの幾つかの基本的な工程が開示されている。本方法の潜在的な不利点としては、低いメタン転化率、短い空間時間及び結果として生じる潜在的な100%未満の臭素転化率、エタン、プロパン、及び高級アルカンの無駄に過剰な臭素化による(開示された反応条件下でコークを形成するであろう)ジブロモメタン及び他の多臭素化アルカンの形成、比較的低い臭化アルキル転化率、ハロゲン化水素酸水流から炭化水素生成物の流体を分離させる必要性、ハロゲン含有コークを除去するための触媒再生中のハロゲンの不十分な捕集が挙げられる。さらに、この臭素含有流体を排出する提案は、経済面及び環境面の双方で許容できないものである。
【0006】
メタンへの顕著な選択性を阻止するために、明らかに比較的低い温度での操作が、Waycuilis法にも必要である。臭化アルキル種の不完全な転化は起こりそうな結果であったろうし、また、説明された方法は生成物を回収するための流体の分割に依存するので、おそらく大量の未反応臭化アルキルが生成物と共に本工程から出るであろう。これは、許容できない臭素(例えば、未反応臭化メチル)及び減少した炭素効率性を示す。
【0007】
部分的に酸化した臭化金属塩水溶液との反応による臭化水素酸の中和並びにそれに続く臭素及び酸化塩を得るために形成された臭化金属塩の酸素との反応にも、Waycuilisによって開示されたように、複数の不利点がある。第一に、存在する二酸化炭素がスラリー中で、再生できない炭素塩を形成するであろう。第二に、約200℃以上では耐えられない圧力増加のために最大温度が制限されるので、ハロゲンの完全な回収が阻まれる。第三に、レドックス活性金属酸化物(例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、及びCuの酸化物)の使用が、臭化水素酸の中和中の臭素分子の形成に寄与しても、固形の臭化物塩の使用による不完全なHBr転化が、入れ替わりに(水相中の)系からの臭素の重大な損失を起こすであろう。過剰な空気を使用すれば、最終的に臭化物塩は酸化物に転化されて、水中でのHBrのいかなる追加の損失も阻止されるであろう。
【0008】
臭素から水を分離するために、Waycuilisは、半乾燥液化臭素及び水/臭素混合物を製造するための凝縮及び相分離の使用を開示している。不活性ガスを用いて水相から臭素をストリッピングする又は吸着系の方法を用いるような臭素から水を分離する他の手段も他者によって提供されたが、それらの方法はさほど効果的ではなく、ハロゲンの著しい全損失を起こした。
【0009】
従来技術の酸化的塩素化法では、最初にHClから水を取り除き(高価な工程)、次に直接的にHClを酸素及び炭化水素と反応させる。酸化的塩素化法は、吸水を用いて未反応アルカン及び高級炭化水素生成物からHCl分離し、次に塩酸水から無水HClを回収することに依存する。米国特許第2,220,570号明細書には、HClガスを大気と接触させることにより、また水の蒸発により吸熱が消失する場所である水中でHClを吸収する方法及び装置が開示されている。水にガス状HClを吸収させることにより少なくとも35.5wt%の濃度を有する塩酸水を製造する方法が米国特許第4,488,884号明細書に開示されている。米国特許第3,779,870号明細書には、塩化物塩を用いた抽出蒸留により無水HClガスを回収する方法が示されている。米国特許第4,259,309号明細書には、不活性な水非混和性溶媒と共にアミンを用いてHCl希釈水からHClガスを製造する方法が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
研究者達は、天然ガス及び他の炭化水素原料を燃料及び他の製品に転化する更に効率的なCH結合活性化経路の研究をいくらか進歩させたが、連続的な、経済的に実行可能な、及びより効率的な方法について大きな必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、メタン、天然ガス、及び他の炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素又はオレフィンに転化する連続的な方法が提供される。本発明の一実施形態では、本方法はアルカンのハロゲン化、形成されるモノハロゲン化物の量を増やすためのポリハロゲン化された化合物の「再分配化」、より炭素数の多い生成物を形成するためのハロゲン化アルキル(及び所望によりオレフィン)のオリゴマー化(C‐Cカップリング)、ハロゲン化水素からの生成物の分離、ハロゲンの連続的な再生、並びに水からのハロゲン分子の分離及び回収の工程を含む。
【0012】
本発明では、アルカンをハロゲン化する反応器内で実質的に全てのハロゲン分子を消費した後に、形成されたポリハロゲン化炭化水素を未ハロゲン化アルカンと反応させて、ポリハロゲン化種よりも効率的に後の工程で反応する(及びより好ましい生成物を形成する)モノハロゲン化物の全収率を高められることを発見した。実質的に全てのハロゲン分子を消費する最初のアルカンのハロゲン化反応後に、ポリハロゲン化アルカンから未ハロゲン化アルカンへハロゲンを移すことにより追加のハロゲン化を行なうので、炭素損失及びコーク形成が減少する。例えば、メタンとジブロモメタンを再分配化して臭化メチルを形成できるし、エタン又はプロパンと共にジブロモメタンを再分配化して臭化エチル及びエチレン並びに/又は臭化プロピル及びプロピレンを形成できる。理論に束縛されることなく、幾つかの実施形態では、オレフィン形成後のポリハロゲン化アルカンとの反応によってモノハロゲン化物の濃縮も進むことが解っている。幾つかの実施形態では、触媒によって再分配化を促進する。
【0013】
本発明は、ポリハロゲン化物の再分配化、必要とされるコークの燃焼中に放出されるハロゲンの回収、触媒上のハロゲン化水素及び酸素の反応によるハロゲン分子の連続的な再生(全工程を連続的に作動させる)、及びハロゲン系処理の本質的に腐食性の性質を解決するために慎重に選択した耐食性材料の使用(工業的に実施可能な処理)、及び長期間のハロゲン発生に適切な、信頼性のある触媒の使用などの複数の独特な下位工程、改良点及び利点を提供する。臭素化反応器は断熱的に及び幅広い温度範囲に亘って稼動させることができる。二酸化炭素及び水には容易に耐えられるし、微量な炭化水素の不純物も同様である。ゼオライト又は他の反応性金属‐酸素材料のようなカップリング触媒上でモノハロゲン化物を好ましく反応させる方法により、コーク形成による炭素損失を最小にする。再使用するハロゲンの完全な回収も本発明の重要な利点である。
【0014】
これらの発見は、全工程と一体化し、本発明の基礎となり、天然ガスを液体燃料(ガソリン及びガソリン添加剤など)及び化学物質(ベンゼン、キシレン、及びトルエンのような芳香族、並びにエチレン及びプロピレンのような軽質オレフィンなど)へ転化するような用途に真の利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によって、メタン又は天然ガスを炭化水素系化学物質に転化する連続法の一実施形態の概略図である。
【図2】本発明によって、メタン又は天然ガスを炭化水素燃料に転化する連続法の一実施形態の概略図である。
【図3】本発明の代替的な実施形態によってポリハロゲン化物を再分配化する下位工程の概略図である。
【図4】本発明の実施に使われる一臭化物の分離カラムの一実施形態の概略図である。
【図5】本発明の実施に使われる抽出蒸留システムの一実施形態の概略図である。
【図6】本発明によってアルカンを炭化水素生成物に転化し、炭化水素生成物から水を分離する連続法の一実施形態の簡易化ブロック図である。
【図7】アルカンを本発明の炭化水素生成物に転化し、アルカン臭素化工程後に水を分離する連続法の一実施形態の簡易化ブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態によって行なわれた実験における時間の関数としてのブロモベンゼン転化率及びベンゼン収率のグラフである。
【図9】本発明の一実施形態によって行なわれた実験における時間の関数としての触媒の効果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、原料のC‐H結合を活性化するハロゲン分子を用いて、天然ガス及び他の炭化水素原料がより高分子量の炭化水素生成物に転化できるようにする化学的方法を提供する。本発明の一態様では、炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素に転化する連続的な方法は、(a)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化水素を形成するのに十分な(実質的に全てのハロゲン分子が消費される)処理条件下で、ハロゲン分子を炭化水素原料(好ましくはメタン含有原料)と反応させることによりハロゲン化アルキルを形成する工程、(b)一部の又は全てのハロゲン化アルキルをアルカン供給物と反応させることにより再分配化されたハロゲン化アルキルを形成し、モノハロゲン化炭化水素の存在する割合を増加させる工程、(c)高級炭化水素及び付加的なハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、再分配化されたハロゲン化アルキルを第一の触媒と接触させる工程、(d)ハロゲン化水素から高級炭化水素を分離する工程、(e)ハロゲン分子及び水を形成するのに十分な処理条件下、酸素源の存在下でハロゲン化水素を第二の触媒と接触させることによりハロゲン分子を再生する工程、(f)水からハロゲン分子を分離して、ハロゲンの再利用を可能にする工程、及び(g)工程(a)〜(f)を所望の回数繰り返すことを含む。これらの工程は、提示した順序で又は、代わりに、異なる順序で実行できる。
【0017】
本発明の第二の態様では、炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素に転化する連続的な方法は、(a)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、ハロゲン化反応器内でハロゲン分子をメタン含有炭化水素原料と反応させることによりハロゲン化アルキルを形成し、実質的に全てのハロゲン分子を消費する工程、(b)ハロゲン化アルキルから未反応メタンを分離してハロゲン化反応器の中に戻す工程、(c)一部の又は全てのハロゲン化アルキルを、1つ又は2つ以上のC2‐C5炭化水素を少なくとも1容量%含むアルカン供給物と反応させることにより再分配化されたハロゲン化アルキルを形成し、モノハロゲン化炭化水素の存在する割合を増加させる工程、(d)高級炭化水素及び付加的なハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、再分配化されたハロゲン化アルキルを第一の触媒と接触させる工程、(e)ハロゲン化水素から高級炭化水素を分離する工程、(f)ハロゲン分子及び水を形成するのに十分な処理条件下、酸素源の存在下でハロゲン化水素を第二の触媒と接触させることによりハロゲン分子を再生する工程、(g)水からハロゲン分子を分離してハロゲンの再利用を可能にする工程、及び(h)工程(a)〜(g)を所望の回数繰り返すことを含む。
【0018】
本発明のそれぞれの態様及び実施形態では、工程(a)で形成されたハロゲン化アルキルが全て同一(例えばブロモメタン100%)であるか、より典型的には異なる(例えばブロモメタン、ジブロモメタン、ジブロモエタンなどの混合物)場合があることを予期している。同様に、工程(c)で形成された「高級炭化水素」が全て同一(例えば、イソオクタン100%)であるか、より典型的には異なる(例えば、脂肪族及び/又は芳香族化合物の混合物)場合があることを予期している。ここで用語「高級炭化水素」とは、炭化水素原料の1つ又は2つ以上の成分よりも多数の炭素原子を有する炭化水素、及び炭化水素原料の1つ又は2つ以上の成分と同数又は更に多数の炭素原子を有するオレフィン系炭化水素をいう。例えば、原料が天然ガス(典型的には軽質炭化水素の混合物、主として、より少量のエタン、プロパン、及びブタン、さらに少量のペンタン、ヘキサンなどのような長鎖の炭化水素を伴うメタン)ならば、本発明によって製造された「高級炭化水素」は、エタン、プロパン、ブタン、C5+炭化水素、芳香族炭化水素など、及び所望により、エチレン、プロピレン、及び/又はより長鎖のオレフィンのようなC2又は高級炭化水素を含み得る。用語「軽質炭化水素(「LHC」と略す場合がある)」とは、例えば、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、ブタン、及びブテン(全て通常は室温及び大気圧でガス状である)C1‐C4炭化水素をいう。
【0019】
本発明に使用するのに適切な炭化水素原料の非限定的な例としては、例えばメタン、エタン、プロパン、さらに長鎖のアルカンのようなアルカン、オレフィン、天然ガス及び他の炭化水素の混合物が挙げられる。ほとんどの場合には、原料は主に天然物由来の脂肪族であろう。特定の石油精製方法は、本発明の一実施形態では炭化水素原料として加えられたメタンを用いても用いなくても使用できる軽質炭化水素流体(いわゆる「軽質最終生成物(light-ends)」、典型的にはC1−C3炭化水素の混合物)を産出する。
【0020】
代表的なハロゲンとしては、臭素(Br2)及び塩素(Cl2)が挙げられる。必ずしも同等の結果にはならないが、フッ素及びヨウ素を使用できることも考慮している。フッ素に関する幾つかの問題は、恐らくフッ素の希釈蒸気(例えば、ヘリウム、窒素、又は他の希釈体で運ばれるフッ素ガス)を用いることにより対処できる。しかし、より強い反応条件では、フッ素‐炭素結合の強度のために、フッ化アルキルをカップリングして高級炭化水素を形成する必要があり得ると予想される。同様に、ヨウ素に関する問題(例えば、特定のヨウ素反応の吸熱特性)は、恐らくより高い温度及び/又は圧力でハロゲン化及び/又はカップリング反応を行なうことにより対処できる。臭素又は塩素の使用が好ましく、臭素が最も好ましい。
【0021】
炭化水素化学物質(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、他の芳香族化合物など)の製造方法を現している図1と、例えば顕著な量のC5及びより高級な脂肪族炭化水素並びに(所望により)芳香族炭化水素を含む炭化水素のような燃料用炭化水素の製造方法を表している図2によって、本発明の方法の2つの非限定的な実施形態が図示されている。図2で表した方法には第一の分離ユニット(SEP I)がないこと及び多臭素化種を「再分配化」用臭素化反応器に戻さないことが、2つの実施形態の主な相違点である。図2で示した概略図では、軽質ガスを臭素化反応器の中に導入することにより多臭化物の製造量が著しく減少する。(メタン臭素化由来の)多臭化物は軽質ガスと反応してモノブロモアルカンを形成する。便宜上、図には臭素系の方法を示している。しかし、本発明の代替的な実施形態では、塩素又は他のハロゲンが使われる。
【0022】
図1で示したように、天然ガス(又は別の炭化水素原料)及び臭素分子は、別々の管路1、2によって加熱された臭素化反応器3の中に運ばれ、反応させられる。生成物(HBr、臭化アルキル、所望によりオレフィン)、及び場合により未反応炭化水素は反応器を出て、管路4によって、多臭素化炭化水素から一臭素化炭化水素及びHBrを分離する第一の分離ユニット5(SEP I)の中に運ばれる。管路6によって多臭化物を臭素化反応器(多臭化物に、天然ガスに存在する及び/又は下記の臭素化反応器に導入されるメタン及び/又は他の軽質炭化水素との「再分配化」を受けさせる)に戻す。
【0023】
臭素化反応中に形成された多臭化物の再分配化は、排出流に一臭化物及びオレフィン種を混ぜて、カップリング反応器に入る多臭素化炭化水素の量を減少させる。言い換えれば、これは炭素‐炭素カップリング反応中に形成されるコークの量を減らす。芳香族炭化水素の大規模な製造では、さらに、多臭化物を分離して再利用することでコークの量及び全体的な臭素の必要性を減らすことにより、カップリング反応器への供給流を精製できる追加の分離ユニットを用いることが可能である。
【0024】
臭素化反応器内で形成された未反応炭化水素原料、HBr、一臭化物、及び(所望により)オレフィンは管路7により熱交換器8の中へ運ばれ、一臭化物(及び、所望により、存在する任意のオレフィン)がカップリング触媒の存在下で反応して高級炭化水素を形成する熱カップリング反応器9に入る。HBr、高級炭化水素、並びに(場合により)未反応炭化水素及び臭化アルキルはカップリング反応器を出て、管路10により別の熱交換器11の中へ運ばれて、HBr吸収ユニット12に入る。別々の管路13によってそのユニットの中に水を導く。HBrはこのユニット(充填カラム又は他の気‐液接触デバイスでもよい)内で吸収される。液化炭化水素及びHBr水を含む廃液を、管路14によってHBr水流から液化炭化水素を相分離させる液‐液分離器15へ運ぶ。次に、管路16によって液化炭化水素生成物を生成物洗浄ユニット17に運び、最終的な炭化水素生成物を産出する。
【0025】
HBr吸収ユニット内の炭化水素生成物及び未反応メタン(並びに、任意の他の軽質炭化水素が存在してもよい)からHBrを分離した後、管路18によりメタン(及び、もしあれば他の軽質炭化水素)を圧力‐若しくは温度‐スウィング吸着、膜系分離、(大規模の製造に好ましい)低温蒸留、又は別の適切な分離技術を利用する第二の分離ユニット19(SEP II)の中に運ぶ。1つ又は2つ以上の管路20、21によってメタン、及び場合により他の軽質炭化水素を臭素化反応器に戻す。この実施形態では、他の軽質炭化水素が反応器の中流又は下流の区間(多臭化物の再分配化を促進する後半の部分)に向かうが、メタンは臭素化反応器の上流の領域又は「区間」に向かう。
【0026】
液‐液分離器から生まれたHBr水流を管路22により臭素発生ユニット23に運ぶ。酸素、空気、又は酸素の豊富なガスも各々の管路24によって、そのユニットの中に供給する。適切な触媒の存在下でHBrを酸素と反応させることにより臭素を再生する。生成流は、水、臭素分子、酸素、(酸素源として空気を使用したならば)窒素、及び場合により他のガスを含む。この生成物流を管路25により熱交換器26を通して、存在する水、酸素、窒素、及び(もしあれば)他のガスから大部分の臭素分子を分離するフラッシュ蒸発ユニット27の中に運ぶ。液状又は蒸気状(及び微量のH2Oを含む)のいずれかの臭素分子を管路28により熱交換器29に運び、次に臭素化反応器に戻す。
【0027】
フラッシュ蒸発ユニットからの水(3質量%以下の臭素分子を含む)を管路30によって、底流としての水及び留出物としての臭素又は臭素‐水共沸混合物を産出する蒸留ユニット31に送る。管路32を通じて留出物をフラッシュ蒸発ユニットに戻す。
【0028】
管路33によってフラッシュ蒸発ユニットのガス生成物(例えば、酸素、窒素、所望により他のガス、及び少量又は微量の臭素)を、他のガスから臭素分子を分離する臭素掃去ユニット34に運ぶ。次に回収した臭素を管路35によって熱交換器29の中へ運び、臭素化反応器の中へ再導入する。さらに、0℃以下の温度を利用できるようにするブライン溶液及び直接接触冷却(direct contact cooling)を用いてフラッシュ工程で回収される臭素の量を増加させることにより、掃去器に入る臭素の量を減らすことができる。他のガス(例えば、窒素、酸素)を大気に排出することもできる。
【0029】
個々の下位工程の様々な実施形態及び特徴並びに本発明を行なうための他の改良点を詳細に説明する。
【0030】
臭素化
【0031】
炭化水素原料の臭素化は、臭素化生成物及び反応物がガスであるような温度及び圧力(例えば1〜50atmで、150〜600℃、より好ましくは400〜600℃、さらに好ましくは450〜515℃で、1〜60秒、より好ましくは1〜15秒の滞留時間で)で、固定床、流動床、又は他の適切な反応器内において行なう。低温ではより大きな反応器を必要とするが、より高温ではコークを形成しやすい傾向がある。流動床の使用は、改良された熱伝導という利点を提供する。
【0032】
熱又は光を用いて、好ましくは熱的手段を用いてアルカンの臭素化を開始できる。一の実施形態では、反応器もゼオライト、非晶質アルミノシリケート、酸性ジルコニア、タングステン酸塩、固体リン酸、金属酸化物、混合金属酸化物、ハロゲン化金属、混合ハロゲン化金属(本件では、例えばニッケル、銅、セリウム、コバルトなどのような金属)、及び/又は例えば米国特許第3,935,289号明細書及び米国特許第4,971,664号明細書に説明されている他の触媒のようなハロゲン化触媒を含む。代替的な実施形態では、反応器は、その反応器内で形成されたコークを保持して、それが漏れるのを妨げるのに十分な表面積を提供する多孔性又は非多孔性の不活性材料を含む。不活性材料はトリブロモプロパンのようなポリハロゲン化炭化水素の形成を促進することもできる。さらに別の実施形態では、反応器内に触媒及び不活性材料の双方を準備する。所望により、反応器は臭素分子を完全に転化させて臭化アルキル及び臭化水素を製造できる異なった領域又は区間、或いはより多くの区間を含む。
【0033】
所望の臭素化異性体を生み出し易くする金属臭化物(例えばNaBr、KBr、CuBr、NiBr2、MgBr2、CaBr2)、金属酸化物(例えば、SiO2、ZrO2、Al23)、又は金属(Pt、Pd、Ru、Ir、Rh)のような異性化触媒の存在下で、臭素化反応を行なうこともできる。異性化及び臭素化の条件は類似するから、臭素化及び異性化を同一の反応容器内で行なうことができる。また、別々の異性化反応器を利用してよく、臭素化反応器の下流及びカップリング反応器の上流に設置してよい。
【0034】
再分配化
【0035】
幾つかの実施形態では、本発明の重要な特徴は、ポリハロゲン化炭化水素(ポリハロゲン化物)、つまり分子毎に2つ以上のハロゲン原子を含むハロゲン化炭化水素の「再分配化」である。ハロゲン化反応中に製造されたモノハロゲン化アルカン(モノハロゲン化物)は、次にカップリング反応して更に高分子量の炭化水素を形成する主な反応種として好ましい。特定の生成物選択性については、ポリハロゲン化アルカンが好ましいであろう。再分配化は、一般にはハロゲン分子が実質的に存在しない場合に、ポリハロゲン化アルキルと非ハロゲン化アルカンを反応させて、ポリハロゲン化種に対するモノハロゲン化種の比を制御することにより得られるモノハロゲン化物を、所望の濃度に濃縮することを可能にする。例えば、ジブロモメタンをメタンと反応させて臭化メチルを製造し、ジブロモメタンをプロパンと反応させて臭化メチル及び臭化プロピル並びに/又はプロピレンなどを製造する。
【0036】
好ましくはハロゲン分子が実質的に存在しない場合に、炭化水素原料及び/又は再利用したアルカンをハロゲン化反応器からのポリハロゲン化種と反応させることにより、再分配化反応を行なう。実際問題として、ハロゲン化反応器に入っていく実質的に全てのハロゲン分子は直ぐに消費され、モノ及びポリハロゲン化物を形成する。したがって、多臭化物をハロゲン化反応器の中流又は下流の領域又は「区間」(所望により反応器の残部の温度とは異なる温度に加熱した)の中に導入することにより、より高級な臭化物の再分配化を簡単に行なうことができる。
【0037】
また、好ましくはハロゲン分子が実質的に存在しない場合にポリハロゲン化物及び未ハロゲン化アルカンを反応させる別々の「再分配化反応器」内で、再分配化を行なうことができる。図3は、明確にするために、重要なシステム要素のみが示されているような一実施形態を示す。図1で示したように、別々の管路1、2によって天然ガス又は別の炭化水素原料及び臭素分子を加熱された臭素化反応器3に運んで反応させる。生成物(HBr、臭化アルキル)及び場合により未反応炭化水素は反応器を出ると、管路4によって多臭素化炭化水素から一臭素化炭化水素及びHBrを分離する第一の分離ユニット5(SEP I)の中に運ばれる。図1で示したように、一臭化物、HBr、及び場合により未反応炭化水素を管路7により熱交換器8を通してカップリング反応器9の中に運び、反応させる。管路6によって多臭化物を再分配化反応器36に運ぶ。追加の天然ガス又は他のアルカン原料も管路37によって再分配化反応器の中に導入する。再分配化反応器内で多臭化物を未臭素化アルカンと反応させて一臭化物を形成し、最初の熱交換器を通過した後に、管路38によって一臭化物をカップリング反応器9に運ぶ。
【0038】
炭化水素原料がかなりの量のC2及び高級炭化水素を含む天然ガスを含む本発明の別の実施形態(図示しない)では、「フレッシュ(fresh)」天然ガス原料を再分配化反応器の中に直接導入し、(未転化で再分配化反応器を通過する)再利用したメタンをハロゲン化反応器の中に戻す。
【0039】
再分配化は熱駆的に進む及び/又は触媒を用いることにより促進する。適切な触媒の非限定的な例としては金属酸化物、ハロゲン化金属、及びゼオライトが挙げられる。米国特許第4,654,449号明細書には、酸性ゼオライト触媒を用いるポリハロゲン化アルカンとアルカンの再分配化が開示されている。米国特許第2,979,541号明細書及び米国特許第3,026,361号明細書には、メタン、エタン、プロパン及びこれらの塩素化類似体用の臭素化剤として四塩化炭素の使用が開示されている。3つの特許の全ては参照によりそれら全体がここに含まれる。我々の知る限り、高級炭化水素製造用の反応性原料を濃縮する連続的な方法としての再分配化の使用は全く開示されていない。
【0040】
1‐C5アルカンとジブロモメタン及び/又は他の多臭化物の再分配化は、存在する多臭化物及び臭素化されているアルカンによって決まる最適温度、350〜550℃の範囲の温度で起きる。さらに再分配化は、高圧(例えば、2〜30bar)ではより速く進む。ハロゲン化反応器内で高い初期メタン転化を行うことにより、相当な量のジブロモメタン及びトリブロモメタンを製造し、次に再分配化工程においてそれらの化学種を臭素化試薬として使用できる。ジブロモメタン及びトリブロモメタンを使用すると、C1‐C5アルカンから一臭素化C1‐C5ブロモアルカン及びC2‐C5オレフィンへの制御された臭素化を可能にする効果がある。ジブロモメタン及びトリブロモメタンの再分配化は、メタン再生流量を減らし、ゼオライトなどの様々な触媒上で液体生成物と結合するC2‐C5モノブロモアルカン及びオレフィンで反応ガス流を濃縮するであろう臭素化の間に高い初期メタン転化を促進する。これは重要で進歩的な新しい方法である。
【0041】
本発明の別の実施形態では、分離ユニット内でのポリハロゲン化物の最初の分離なしで再分配化を行なう。低温で反応を起こさせるゼオライトのような触媒で「再分配化区間」を充填することにより、これを促進する。例えば、プロパンはジブロモメタンと反応してブロモメタン及びブロモプロパンを形成する(「再分配化」の例)が、約500℃以下の温度では明らかな程度の反応は起きない。ゼオライトの使用は低温で再分配化を起こさせることができるし、メタン及びエタンのような化学種が反応器の一区間で臭素化されるようにする、並びにジ、トリ、及び他の多臭化物が反応器の別の区間で再分配化されるようにする。
【0042】
デコーキング中の臭素の回収
【0043】
必然的に、ハロゲン化及び再分配化工程ではコーク形成が起きるであろう。反応器又は反応区間に触媒を使用すれば、触媒はコークにより失活するであろう。したがって、炭素堆積物の定期的な除去が必要である。さらに形成されるコーク内では、臭素も発見されることがあり、また経済的及び環境的理由の双方について重要である全工程での臭素の損失を最小にするためにこの臭素を回収することは非常に望ましいということが分かった。
【0044】
臭化物には幾つかの形態(HBr、臭化メチル及びジブロモメタンのような有機臭化物、並びに臭素分子)が存在する。本発明はデコーキング工程からこの臭素を回収する手段を提供する。好ましい実施形態では、特定の反応器を非直結式に切り替え、空気又は酸素を導入して炭素堆積物を燃やし、残りの臭素残留物からHBrを製造する。臭素発生器に供給される空気(又は酸素)反応物流に排出ガスを加えることによって、完全な臭素の回収を促進する。この工程を定期的に繰り返す。
【0045】
特定の反応器が非直結式であっても、それにかかわらず、予備の反応器(対を成すもう一方の反応器と平行に配置されている)を用いることにより全工程を引き続いて運転できる。例えば、デコーキング操作を望む場合には、一方の、ただし双方ではない、臭素化反応器(又はカップリング反応器)を迂回しているプロセスガスを用いて、対の臭素化反応器及び対のカップリング反応器を利用できる。流動床の使用はコーク形成を減らし、熱除去及び触媒の再生を促進させることができる。
【0046】
デコーキング工程の別の実施形態は、吸着生成物の損失及び工程上の酸素の必要性の双方を減らし得るアルカン又はアルカンの混合物を用いる非酸化型デコーキングに関連する。デコーキング工程の別の実施形態では、酸素、空気、又は濃縮空気のような酸化剤を臭素化区画の中にまとめて供給して臭素化反応中にコークを二酸化炭素及び/又は一酸化炭素に転化することによって、非直結式デコーキングの必要性を除く又は減らす。
【0047】
ハロゲン化アルキルの分離
【0048】
カップリング反応器への供給物中の高濃度のポリハロゲン化種の存在はコーク形成の増加をもたらすことがある。芳香族及び軽質オレフィンの製造のような多くの用途では、モノハロゲン化物のみをカップリング反応器の中に供給して生成物への転化を向上させることが望ましい。本発明の一実施形態では、ハロゲン化/再分配化反応器及びカップリング反応器の間に具体的な分離工程を加える。
【0049】
例えば、蒸留塔及び連結した熱交換器(図1及び2の「SEP I」)を使用すると、化合物の沸点が大きく異なることを利用して多臭化種から一臭化物を分離できる。臭素化反応器内又は別々の再分配化反応器内のいずれかで、底流として回収された多臭化種をアルカンで再分配化し、一臭化物種及びオレフィンを形成できる。1〜50barの任意の圧力で蒸留塔を操作できる。より高い圧力によって、より高いコンデンサー温度を使用できるので冷却の必要性が減る。
【0050】
図4は多臭化種から一臭化物を分離する分離ユニットの一実施形態を示す。熱交換器50を通過させることにより臭素化反応器からの臭化アルキルを冷却して、次に2つの熱交換器52及び53付きの蒸留塔51に入れる。カラムの上部では熱交換器53が部分的なコンデンサーとして働く一方で、カラムの底部では熱交換器52が再沸騰器として働く。この配置が、多臭化物の豊富な(及び微量の一臭化物を含む)液化「残液(bottoms)」を蒸留塔から離脱させる。未臭素化アルカンで再分配化する臭素化反応器に多臭化物を戻す(又は別々の再分配化反応器に送る)前に、それらを別の熱交換器54に通してガスへと戻す。カラムの上部では、メタン及びHBr並びに一臭化物及びHBrからなる(及び微量の多臭化物を含む)液体流を含むより軽質な成分の豊富な蒸気を産出している熱交換器53により、還流ドラムからの液体の部分的な還流を促進させる。
【0051】
代替的な蒸留配置は、側流の整流器又はストリッパーを有する及び有していない側流カラムを含む。臭素化反応器からの供給物が水を含むならば、蒸留塔の底流も水を含むであろうし、底流における液‐液相分離を使用して多臭化種から水を分離できる。水流中のHBrの存在のために、それをHBr吸収カラム又は臭素発生器のいずれかへ送ることができる。
【0052】
ハロゲン化アルキルからより高い分子量の生成物への触媒的カップリング
【0053】
ハロゲン化/再分配化工程で製造されたハロゲン化アルキルを触媒上で反応させて高級炭化水素及びハロゲン化水素を製造する。反応供給物は、臭素化反応器からのハロゲン化水素及び未ハロゲン化アルカンを含むこともできる。本発明によれば、複数の触媒のいずれかを使用してハロゲン化炭化水素からの高級炭化水素生成物の形成を促進する。非限定的な例としては、非結晶性アルミノシリケート(非晶質固体酸)、タングステン/ジルコニア超酸、硫酸ジルコニア、SAPO‐34及びその骨格が置換された類似体(例えばNi又はMnで置換されている)のようなアルミノホスフェート、ZSM‐5及びそのイオン交換された類似体、及び骨格が置換されたZSM‐5(Ti、Fe、Ti+Fe、B、又はGaで置換されている)のようなゼオライトが挙げられる。室温で液体の炭化水素を製造するのに好ましい触媒としては、SiO2/Al23比が300以下、好ましくは100以下、最も好ましくは30以下のイオン交換型ZSM‐5が挙げられる。好ましく交換されるイオンの非限定的な例としては、Ag、Ba、Bi、Ca、Fe、Li、Mg、Sr、K、Na、Rb、Mn、Co、Ni、Cu、Ru、Pb、Pd、Pt、及びCeのイオンが挙げられる。純粋な塩又は塩の混合物としてこれらのイオンを交換できる。米国特許出願公開第2005/0171393号明細書(参照によりその全体がここに含まれる)の4〜5頁には、ドープ型ゼオライトの調製及びそれらの炭素‐炭素カップリング触媒としての使用が開示されている。
【0054】
本発明の一実施形態では、SiO2/Al23比が30のMnに交換したZSM‐5ゼオライトをカップリング触媒として使用する。特定の処理条件下では、液化炭化水素生成物の所望の選択性を生み出せる。
【0055】
好ましくは、ハロアルカンのカップリングは、適切な温度(例えば、150〜600℃、好ましくは、275〜425℃)及び圧力(例えば、0.1〜35atm)及び1〜45秒の滞留時間(τ)で、固定床、流動床、又は他の適切な反応器内で行なう。一般には、短い滞留時間がより高い処理量及び(場合により)向上した経済性を意味する一方で、比較的長い滞留時間は反応物から生成物への転化、並びに生成物の選択性に有利に働く。反応器内の触媒を変える、反応温度を変える、及び/又は滞留時間を変えることにより生成物の選択性を導き出すことも可能である。例えば適度な滞留時間が10秒であり、適度な温度が350℃であるとき、キシレン及びメシチレンは、メタン臭素化反応の生成物を金属イオンを含浸したZSM‐5触媒で充填したカップリング反応器(含浸金属がAg、Ba、Bi、Ca、Co、Cu、Fe、La、Li、Mg、Mn、Ni、Pb、Pd、又はSrであり、ZSM‐5触媒が(Zeolyst International社(Valley Forge、ペンシルバニア州)から入手できる)Zeolyst CBV58、2314、3024、5524、又は8014である)の中に供給するときに製造される芳香族残留物(ベンゼン+トルエン+キシレン+メシチレン、略して「BTXM」)の主な成分である。425℃の反応温度及び40秒の滞留時間では、トルエン及びベンゼンがBTXM残留物の主な生成物である。製造される又はカップリング反応器の中に供給されるジブロモメタンの濃度を制御することにより、生成物の選択性を変えることもできる。幾つかの設備では、反応熱の除去並びに連続的なデコーキング及びカップリング反応器のために流動床反応器を配置する触媒再生が期待される。
【0056】
ある実施形態では、平行に設置された一対のカップリング反応器内でカップリング反応を行なう。これが、たとえデコーキングのために又は他の理由のために一方のカップリング反応器から管路を外すとしても、引き続き全工程を連続的に稼動させる。臭素化、生成物の分離、ハロゲンの発生、及び全工程に使用する他の部分にも同様の重複を利用できる。
【0057】
炭化水素生成物の分離及びハロゲンの回収
【0058】
カップリング生成物は高級炭化水素及びHBrを含む。図1及び2で示した実施形態では、カップリング反応器から出た生成物を最初に熱交換器で冷却し、次に吸収カラムに送る。充填カラム又は他の接触デバイスを用いて水にHBrを吸収させる。その効率性の改善に相応しい向流を用いて、並流内又は向流内のいずれかで投入水及び生成物流を接触させることができる。HBr吸収は実質的に断熱又は実質的に等温のいずれかで実行できる。一の実施形態では、吸収後の臭化水素酸の濃度は5〜70質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲である。操作圧力は1〜50bar、より好ましくは1〜30barである。実験室では、セラミック又はガラスを充填したガラス製カラム又はガラスライニングカラムを使用できる。パイロット用又は工業用プラントでは、1つ又は2つ以上の耐久性のある耐食性材料(後述)を利用する。
【0059】
本発明の一実施形態では、HBr吸収カラムから炭化水素生成物を液体として回収する。液‐液分離器を用いてこの液化炭化水素流をHBr水流から相分離し、生成物の洗浄ユニットに送る。別の実施形態では、HBrカラムから炭化水素生成物をガス流として、未転化メタン及び他の軽質ガスと共に回収する。次に複数の技術のいずれかを用いて、メタン及び軽質ガスから生成物を分離及び回収する。非限定的な例としては蒸留、圧力スウィング吸着、及び膜分離技術が挙げられる。
【0060】
幾つかの実施形態では、生成物の洗浄ユニットは、生成物流に存在するハロゲン化炭化水素を未ハロゲン化炭化水素に転化する反応器を含む(comprise)又は含む(include)。例えば特定条件下で、少量のC1‐C4ブロモアルカン、ブロモベンゼン、及び/又は他の臭素化種を形成し、カップリング反応器から液‐液分離器16へ、次に生成物洗浄ユニット17へ移す。適切な反応器内でこれらの臭素化種を「水素化脱ハロゲン化」できる。一の実施形態では、そのような反応器は連続固定床、つまり担持金属又は金属酸化物触媒で充填された触媒的転化器を含み、活性成分の非限定的な例としては銅、酸化銅、パラジウム、及び白金が挙げられ、パラジウムが好ましい。担持材料の非限定的な例としては活性炭素、アルミナ、シリカ、及びゼオライトが挙げられ、アルミナが好ましい。1200〜60hr-1、好ましくは約240hr-1のGHSVを用いて、0〜150psi、好ましくは0〜5psiの圧力、及び250〜400℃、好ましくは300〜350℃の温度で、反応器を運転できる。(例えば)ブロモベンゼンがその反応器を通り過ぎると、容易に、副生成物として生まれる幾つかの軽質炭化水素(例えばC3‐C7)を伴うベンゼン及びHBrに転化される。炭素の堆積(コーキング)が触媒を失活させることがあっても、触媒を酸素に、次に水素に(例えば、それぞれに500℃及び400℃で)曝すことにより再生できる。
【0061】
炭化水素生成物からHBrを分離した後、未転化メタンは軽質ガスとともにHBr吸収ユニットの蒸気排出口から出る。本発明の一実施形態では、圧力若しくは温度スウィング吸着、膜系分離、低温蒸留(大規模製造に適する)、又は他の適切な分離工程を用いて稼動する分離ユニット(図の「SEP II」)内で、軽質ガスから未転化メタンを分離する。臭素化反応器内の低いメタン転化率によって、軽質ガスで運ばれているカップリング生成物(順々に軽質ガスからこれらの化学種を回収することが必要になるであろう)を得ることができる。本方法に使用できる分離技術としては、限定されるものではないが、蒸留、圧力又は温度スウィング吸着、及び膜系技術が挙げられる。
【0062】
本発明の別の態様では、HBr水溶液から無水HBrを分離する方法が提供される。HBrは水と高沸点の共沸混合物を形成する。したがって、水溶液からのHBrの分離は、抽出剤を用いて共沸混合物を分割するか、圧力スウィング蒸留によって共沸混合物を回避する必要がある。図5は、水からHBrを分離するための抽出蒸留ユニットの一実施形態を示す。蒸留塔200内で水を抽出し、留出物流201としてHBrを得る。留出物流は少量の水を含んでもよい。一の実施形態では、蒸留塔200は棚型塔又は充填カラムである。従来のセラミック充填物が規則充填物より好ましい。CaBr2のような水溶性臭化物塩を蒸留塔の上部に加え、HBr水から水を抽出する。このカラムに凝縮器は必要ないであろう。再沸騰器203を使用して蒸留塔内の蒸気流を保持する。CaBr2希釈水流202を、所望により棚型又は充填区画を有する蒸発区画206に送る。カラムの底流を蒸発区画に入る前に加熱する。主に水(及び微量のHBr)を含む流体207が蒸発区画から出る。
【0063】
一の実施形態では、共通イオン(Br-若しくはH+)を共有する電解質又はHBrより高い水和エネルギーを有するイオン(例えばCa2+若しくはSO42-)の存在下で、HBrは、その水溶液からガスへ変えられる。電解質の存在は、HBr水溶液←→HBrガスの平衡をガス発生(さらに溶液を加熱することにより促進される)の方に傾ける。
【0064】
CaBr2、MgBr2同様にKBr、NaBr、LiBr、RbBr、CsBr、SrBr2、BaBr2、MnBr2、FeBr2、FeBr3、CoBr2、NiBr2、CuBr2、ZnBr2、CdBr2、AlBr3、LaBr3、YBr3、及びBiBr3のような金属臭化物の水溶液を抽出剤として使用でき、CaBr2、MgBr2、KBr、NaBr、LiBr又はこれらの混合物の水溶液が好ましい。蒸留塔の底流は抽出剤の希釈溶液を含む。この流体は、それを抽出蒸留カラムへ戻す前に水を蒸発させる及び抽出剤を濃縮する別の蒸留塔又は気化器へ送られる。臭素及び二酸化硫黄を形成するHBrと硫酸の反応を最小にできるならば、抽出剤として硫酸を使用してよい。HBr水溶液から無水HBrを分離することを示すために行なう実験は、実施例1及び2で説明されている。
【0065】
本発明の別の態様では、生成物の洗浄(分離及び/又は精製)の様々な手法が提供される。複数の臭化物種が、未精製の生成物流(HBr、臭化メチル及びジブロモメタンのような有機臭化物、並びにブロモ芳香族)に存在してよい。本発明の一実施形態では、銅金属、NiO、CaO、ZnO、MgO、BaO、又はこれらの組み合わせ上に生成物流を通過させることにより、臭素化種から炭化水素生成物を分離する。生成物は25〜600℃、より好ましくは400〜500℃の温度で、1つ又は2つ以上の上記で列挙した材料の上を通過することが好ましい。本方法は、存在する可能性のあるCO2に耐性がある。
【0066】
別の実施形態では、特に炭化水素の大規模な製造については、蒸留を用いて他の軽質炭化水素及びより重質な生成物(例えば、ベンゼン、トルエンなど)から未転化メタンを分離する。例えば、図1及び2では、メタン及び他の軽質炭化水素が吸収カラムからガス排出口を通って出て、分離ユニット(SEP II)へ向かう。任意の未転化の臭化メチルは軽質ガスで除去されるであろう。また臭素化/再分配化反応器に戻して再利用できる。より重質な炭化水素は留出物として除去される。
【0067】
ハロゲン分子の発生
【0068】
本発明の一実施形態では、適切な触媒上でハロゲン化水素酸及び酸素分子を反応させることにより、触媒的なハロゲンの発生を行なう。一般的な反応は化学反応式(1)によって示すことができる。
【0069】
【化1】

【0070】
本工程は、一連の温度並びにハロゲン化水素酸(HX)及び酸素分子(O2)のモル比、すなわち4〜0.001、好ましくは4(反応化学量論に適する)、より好ましくは3.5(最終的なHBrの漏出を防ぐ)のHX/O2で起こる。純酸素、空気、又は酸素の豊富なガスを用いてハロゲンを発生させ、また窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、及び存在している水蒸気のような様々な不活性の非反応性ガスで本反応を行なうことができる。工程の必要性に応じて、これらのガスを任意の割合で、純ガス又は選択されたそれらの混合物として混合できる。
【0071】
複数の材料がハロゲン発生触媒として示された。一種類の触媒又は任意の数、形状、若しくは割合の触媒の組み合わせを使用することが可能である。Cu、Ag、Au、Fe、Co、Ni、Mn、Ce、V、Nb、Mo、Pd、Ta、又はWのような1つ又は2つ以上の金属の酸化物、ハロゲン化物、及び/又は酸化ハロゲン化物が代表的であり、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、又はCeがより好ましい。最も好ましい触媒は、Cuの酸化物、ハロゲン化物、及び/又は酸化ハロゲン化物である。
【0072】
理論に束縛されることはないが、下記の化学反応式は、それらの材料を使用してハロゲン形成に触媒的作用を及ぼすときに起こることが分かっている化学反応の代表例と考えられている。
【0073】
金属が酸化状態を変化させない金属酸化物に関しては
【0074】
【化2】

【0075】
及び、金属が酸化状態を変化させる金属酸化物用に関しては
【0076】
【化3】

【0077】
である。(2)+(3)及び(4)+(5)の最終的な反応は(7)である。
【0078】
【化4】

【0079】
この反応は(1)と等しい。
【0080】
本発明の一実施形態では、ハロゲン化剤として塩素を使用し、また塩酸からの塩素の発生に触媒的作用を及ぼすためにセリア(CeO2)を使用する。下記の化学反応式が代表的であると考えられている。
【0081】
【化5】

【0082】
全反応に関しては、
【0083】
【化6】

【0084】
であり、この反応も(1)と等しい。
【0085】
このセリアの使用は、それが基本的にHClの完全な消費を可能にするから、極めて新規である。対照的に、典型的には金属酸化物、HCl、及び酸素の従来の反応は、HCl/Cl2混合物を産出した。したがって、特に、塩素に付随する更に低いコストで及び産業に適応して、アルカンのハロゲン化に塩素を使用するときのハロゲン再生触媒として有利にセリアを利用できる。
【0086】
本発明の一実施形態では、ハロゲン発生触媒は多孔性又は無孔性のアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア若しくはこれらの組み合わせ、又は別の適切な担体上に担持されている。例えば、200〜600℃、より好ましくは350〜450℃の一連の温度を用いてプロセス効率を最大化できる。
【0087】
ハロゲン分子の回収及び再利用
【0088】
ハロゲンの発生によって水及びハロゲン分子の双方を製造する。ハロゲンが炭化水素原料と反応する前に、ハロゲンから水を分離して除去できる。ハロゲンが臭素、臭素‐水である場合には、これらの化学種の混合物の凝縮物上で液‐液相分離が起こる。例えば、本発明の一の実施形態では、容易に及び安価に、液‐液フラッシュユニットを使用して大部分の臭素を水から分離する。典型的には、臭素相は非常に少量の水を含み、臭素化反応器に直接送ることができる。しかし、水相は1〜3質量%の臭素を含む。しかし、臭素の発生工程に空気を使用するならば、窒素及び未転化酸素は臭素及びフラッシュ部に入る水流とともに存在する。
【0089】
フラッシュユニットから出ているガスは、主として窒素及び未転化酸素からなるが、臭素及び水が付いてくる。蒸気相として出てくる臭素の量はフラッシュの温度及び圧力によって決まる。フラッシュは0〜50℃の範囲の温度で行なえる。しかし、蒸気流中に残っている臭素を減らすには、より低い温度(約2〜10℃)が好ましい。蒸気流は、臭素の回収のために臭素掃去区画へ送る。一の実施形態では、操作圧力は1〜50bar、より好ましくは1〜30barである。水は0℃で凍結するから、実質的にフラッシュ部19の温度を下げることは不可能である。しかし、−30〜10℃の温度で、フラッシュ部からの蒸気流を冷却されたブライン溶液と接触させることができる。冷却されたブラインの温度をフラッシュ部の温度より低くすることで、実質的に掃去ユニットの臭素掃去の必要性を減らすことができる。次に、ブラインを加熱することによる臭素の気化が起こり得るが、さらなる加熱を行なうと再利用のためのブラインの凝縮が促進される。臭素を回収する本手法は、連続的に又は回分法で行なうことができる。
【0090】
液‐液フラッシュ部から出ている水リッチ相に含まれる臭素は、蒸留によって効率的に回収できる。不活性ガスを用いて水相から臭素をストリッピングする方法(Waycuilisにより説明された)及び吸着系の方法のような他の手段は、全く効率的ではなく、また潜在的には臭素のかなりの損失を起こす可能性がある。ここで説明している蒸留の下位工程によって、フラッシュユニットに戻して再利用する留出物として臭素又は臭素‐水の共沸混合物が製造される。水は底流に含まれる。臭素を水と可逆反応させて少量のHBr及びHOBrを形成できる。したがって蒸留スキームでは、ppmレベルのHBr(及び/又はHOBr)が底流に存在し得る。側流の整流器又はストリッパーを利用して底流の臭素含有量を減らし、純水流を作ることができる。水の臭素含有量を約10ppm以下に下げられる他の代替手段としては、限定されるものではないが、水流のpHを下げる非常に少量の硫酸、塩酸、及びリン酸のような酸の追加が挙げられる。pHの低下がHBr流及びHOBr流を臭素及び水に戻すので、実質的に水流中の臭素の損失が減る。イオン交換樹脂又は電気化学的手段を用いて、水流に存在するHBrも回収できる。
【0091】
再利用する全ハロゲンの回収
経済的及び環境的理由の双方に関して、全工程で使用されるハロゲンの損失を、完全に無くせなくても、最小にすることが好ましい。臭素分子には、Br2発生後に捕集されなくても、放出された窒素及び未転化酸素とともに出る可能性がある。担体に充填された又は粉末状で使用した固体のCuBr又はMnBr2を含有する床で臭素の掃去を行なって、H2O、CO2、O2、メタン及び/又はN2を含むこともあるガス流からBr2を捕集できる。本発明の一実施形態では、一連の温度内で、つまり、−10〜200℃で臭素の掃去を行なう。臭素の掃去が完全なときには、床温度を220℃以上、好ましくは、275℃より高温に上げることにより、その床から臭素分子を放出させることができる。O2が金属を酸化し、やがて、床の臭素掃去容量を減らすであろうから、臭素の放出中の床にはO2がほとんどないことが重要である。
【0092】
独特な耐食性材料を有する重大な工程要素の構造
【0093】
濃縮相か蒸気相の任意のハロゲン含有工程により誘発された腐食によって、反応器、パイプ、及び付属機器の構造用の耐久性材料区画に重大な課題が生じる。アルミナ、ジルコニア、及びシリコンカーバイドのようなセラミックは、ここで説明した工程で見られるほとんどの症状に例外的な耐食性を提供する。しかしセラミックは、引っ張りひずみ下の構造強度の欠如、気相反応を完全に含んでいることの困難性(表面接着部に沿った拡散又は質量輸送のため)、及び場合により、ほとんどのセラミック材料に固有の好ましくない熱輸送特性などの複数の不利点に苦しむ。高温及び高圧での、並びに長時間に亘る運転に関する耐久性、気密性、及び耐食性のプロセス制御機器(すなわち、外鉄及び管型熱交換器、バルブ、ポンプなど)の構築には、Au、Co、Cr、Fe、Nb、Ni、Pt、Ta、Ti、及び/若しくはZrのような形成可能な金属、又はAl、B、C、Co、Cr、Cu、Fe、H、Ha、La、Mn、Mo、N、Nb、Ni、O、P、Pd、S、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、及び/若しくはZrのような元素を含むこれらのベースメタルの合金の使用が必要となることもあり得る。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、ここで説明した工程及び下位工程は、長期間継続される運転を可能にするくらい強くて十分に耐食性のある反応器、パイプ、及び付属機器内で行なわれる。適切な構造材料の選択は、プロセス制御要素部品ごとの暴露の温度及び環境に強く依存する。
【0095】
循環条件(例えば、酸化及び還元)にさらされる部品の適切な材料は、単一条件(酸化及び還元)のものと比べて、非常に異なるであろう。循環条件(150〜550℃の温度範囲で稼動している)にさらされるのに適するとされる材料の非限定的な例としては、Au並びにTi及びNiの合金が挙げられ、Al/V合金Ti(より具体的にはTi Grd‐5)並びに高Cr含有量、低Fe含有量、及び低C含有量のNi‐Cr‐Mo合金(より具体的にはALLCORR(登録商標)、Alloy59、C‐22,625、及びHX)が最適である。150〜550℃の温度範囲での、空気に対する酸ハロゲン化物か、空気に対するハロゲン分子のいずれかの循環条件にさらされるのに適するとされている材料の非限定的な例としては、Fe及びNiの合金が挙げられ、Ni‐Cr‐Mo、及びNi-Mo類似体の合金が最適である。100℃〜550℃の温度範囲の単一環境条件に適するとされている材料の非限定的な例としては、Ta、Au、並びにFe、Co、及びNiの合金が挙げられる。より低い温度条件(<280℃)については、PTFE、FEP、及びより適切にはPVDFのような適切なポリマーライニングを利用できる。独立して又は、例えば、低合金鋼のような適切な低コスト材料上の塗膜、クラッド、若しくは化学/物理堆積物などの担体材料とともに、全ての材料を使用してよい。
【0096】
図6は、メタン、天然ガス、又は他のアルカン原料を高級炭化水素に転化する連続的な方法を行なう代替的な態様を図示する。臭素の発生中に形成された回収水などの水の存在下、臭素化区画内でアルカンを臭素化する。臭素化生成物は、再分配化反応器又は、臭素化剤として多臭化物を用いることにより軽質ガスを再分配化してオレフィン及び臭化アルキルを形成する臭素化反応器の再分配化区画のいずれかを通過する。次に、任意の未反応アルカンとともにオレフィン、一臭化アルキル、多臭化物、及びHBrを含む再分配化生成物をカップリング反応器に送る。カップリング生成物を気‐液‐液フラッシュ部に送る。HBr水をより重質な相として除去する一方で、高級炭化水素生成物を気‐液‐液フラッシュ部からの有機相として除去する。フラッシュ部からのガス流を分離システムに送り、メタン及び軽質ガス(それぞれ臭素化及び再分配化区画に戻して再利用される)を回収する。
【0097】
臭素発生の酸化剤として空気を使用するならば、再利用ガス流から窒素を除去できることがある。気‐液‐液フラッシュ部から来たHBr水流は、水を回収するHBr/水分離システムに送る。純水が留出物として分けられるだけでなく、底流がHBr水溶液(蒸留塔への供給物よりも高濃度のHBrを有する)である蒸留塔内で分離を行なうことができる。空気又は酸素の存在下でHBr水から臭素が発生する臭素発生区画にそのHBr水流を戻す。
【0098】
また、抽出蒸留を使用してHBrを水から分離する。分離されたHBrを臭素発生器に送ると、空気又は酸素の存在下でHBr水から臭素が発生する。臭素発生器内では、HBrの完全な転化は必要ない。臭素化、再分配化、及び/又はカップリング反応器の定期的なデコーキングを行なって、臭素含有デコーキング生成物流を臭素発生器に向かわせることができる。
【0099】
連続的な方法の代替案を図7に示す。臭素の発生中に形成された回収水などの水の存在下、臭素化区画内でアルカンを臭素化する。臭素化生成物(一臭化物及び多臭化物を含む)は、再分配化反応器又は、臭素化剤として多臭化物を用いて軽質ガスを再分配化して臭化アルキルを形成する臭素化反応器の再分配化区画のいずれかを通過する。次に、再分配化生成物(一臭化アルキル、オレフィン、少量の多臭化物、及びHBr)及び任意の未反応アルカンは、HBr水を臭化アルキルから分離する分離ユニットに送る。臭化アルキル流中の一臭化物を多臭化物から分離する。多臭化物は、多臭化物が再利用ガスと反応してオレフィン及び一臭化物を形成する再分配化区画によって再利用される。
【0100】
液‐液フラッシュ部と結合した蒸留塔内で、臭化アルキルからのHBr水の分離を行なうことができる。臭化アルキル流はHBrを含み得る。一臭化物をカップリング区画の中に供給し、カップリング反応器内で作ったHBrを生成物及び未反応ガスから分離する水吸収カラムに生成物を送る。吸収カラムからの液体排出物は、高級炭化水素生成物を有機相として除去する及びHBr水をより重質な相として除去する気‐液‐液フラッシュ分離ユニットに供給する。吸収カラムからのガス排出物を分離システムに送り、メタンを軽質ガスから分離する。再分配化区画によって軽質ガスを再利用する一方で、回収したメタンを臭素化区画に戻して再利用する。
【0101】
臭素発生の酸化剤として空気を使用するならば、ガスを再利用する前に窒素を分離しなければならない。気‐液‐液フラッシュ部からのHBr水流を臭化アルキル分離区画からのHBr水流と合流させて、HBr/水分離システムに送る。純水が留出物として分けられる及び底流が蒸留塔への供給物より高いHBr濃度を有するHBr水溶液である蒸留塔内で、この分離を行なうことができる。空気、酸素又は濃縮空気の存在下でHBr水から臭素が発生する臭素発生区画にHBr水流を戻す。
【0102】
また、抽出蒸留を使用してHBrを水から分離する。空気、酸素、又は濃縮空気の存在下でHBr水から臭素が発生する臭素発生器に分離したHBrを送る。臭素の発生中には、HBrから臭素への完全な転化は必要ない。臭素化、再分配化及びカップリング反応器の定期的なデコーキングを行なって、臭素含有デコーキング生成物流を臭素発生器に向かわせることができる。
【実施例】
【0103】
下記は、本発明の非限定的な実施例及び本発明を実施するための様々な下位工程である。
【0104】
実施例1 ジブロモメタンとプロパンの再分配化
【0105】
T字型合流配管(mixing tee)を通して室温でメタン(11sccm、1atm)を窒素(15sccm、1atm)と混合して、臭素が満ちた室温のバブラーの中に入れた。CH4/N2/Br2混合物を500℃で予熱したガラス管の中に入れ、60秒の滞留時間(「tres」)でメタンの臭素化を行ない、主としてブロモメタン、ジブロモメタン、及びHBrを製造した。T字型合流配管内で窒素、HBr、及び部分的に臭素化された炭化水素の流体をプロパン(0.75sccm、1atm)と合流させ、60秒の滞留時間(「tres」)で525℃の第二のガラス反応管の中に入れた。第二の反応管では、多臭素化炭化水素(すなわちCH2Br2、CHBr3)をプロパンと反応させてブロモプロパンを製造する。下記反応が理想的な再分配化である。
【0106】
【化7】

【0107】
生成物が第二の反応器から出たら、できる限り多くの炭化水素生成物を溶解させるために(HBrを中和する)4MのNaOH及び(内部標準としてオクタデカンを含む)ヘキサデカンを含む一連のトラップによってそれらを捕集した。HBr/炭化水素トラップ後に、メタン及びプロパンのような揮発成分をガスバッグ内に捕集した。ガス・クロマトグラフィーによって全ての生成物を定量した。表1に結果(「実施例1」)をまとめた。
比較のために、2つの反応器による反応も行なったが、再分配化は無しでプロパンは有り(「対照A」)、並びに第一の反応器のみでプロパンは無し(「対照B」)とした。
【0108】
【表1】

【0109】
実施例2 無水HBrの分離
【0110】
20mLのHBr貯蔵水溶液を20gのCaBr2‐H2Oに加えた後70℃に加熱した。著しいHBrガスの発生を観測した(AgNO3沈殿及びNH3発煙テストによって決定した)。開放容器で反応を行なったので、放出されたHBrは定量しなかった。
【0111】
実施例3 無水HBrの分離
【0112】
2SO4濃縮溶液をHBrに加えることによりH2SO4を用いる脱水を試みた。HBrの酸化がもう起きない限界濃度を決定するために異なる濃度のH2SO4をHBrに加える定性試験を行なった。
【0113】
【化8】

【0114】
酸化が視認できないようなH2SO4濃度が、約70質量%であると分かった。30mLの70%H2SO4を30mLのHBr貯蔵共沸混合物(48質量%)に加え、混合物を沸騰するまで加熱した。沸騰から15分後及び30分後、混合時の一定分量の溶液のAgNO3沈殿及びAgBrの重量測定によって、HBr含有量を定量的に決定した。
【0115】
実施例4 選択された触媒上での臭素化メタンのメタセシス(複分解)
【0116】
実施例1で説明したものと実質的に同一又は類似の態様でメタンを臭素化する一連の実験を行ない(室温の臭素によって10sccmのメタンをバブリングし、続いて500℃に加熱した反応管中に混合物を入れた)、次に40秒の滞留時間、350〜450℃の温度、大気圧(全圧)で、臭素化生成物を様々な金属イオン交換又は含浸ゼオライト触媒に通した。表2にメタセシス(複分解)生成物の分布をまとめた。触媒は金属イオン(例えば、Ba、Co、Mnなど)及びゼオリスト・インターナショナル(Zeolyst Int'l.)製ゼオライトの型番(例えば5524、58、8014など)で示した。生成物ごとの質量(mg)、及び生成物の合計質量を実験ごとに示した。略語B、PHBr、T、X、及びMとは、それぞれベンゼン、臭化フェニル、トルエン、キシレン、及びメシチレンをいう。
【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
実施例5 ブロモベンゼンの水素化脱ハロゲン化及び触媒の再生
【0121】
ドデカンに溶解した1.9質量%ブロモベンゼン(PHBr)を含み、N2(1.1mL/分)で希釈した試験溶液(1.5mL/時間)を、3.6gの高度に分散した貴金属触媒(Pd/Al23、0.5質量%)を入れた管状の石英製反応器の中に注いだ。反応は15秒の滞留時間によって325℃で行なった。事前に加えた4MのNaOH溶液8mLを有するバブラーに反応廃液をトラップした。キャリアーガス及びガス状生成物をガスバッグに捕集した。気相中の全ての炭素系生成物及び液体生成物の油相をGC分析した。もとのトラップ溶液については、イオン選択性電極を用いてHBr濃度を測定した。これら全ての測定に基づいて、炭素及び臭素の収支を計算した。
【0122】
実験は、PHBrの転化率が最初の70時間の100%から30%以下に落ちるまで、300時間以上続けた(図8)。触媒床上でPHBrの水素化脱臭素化を行なって主生成物のベンゼン(「BZ」)及びHBrを形成したが、(溶媒分解による)副生成物として幾つかの軽質炭化水素(C3‐C7)も同時に生じた。炭素の堆積は、触媒の失活の主原因であると認識された。触媒は、500℃での10時間のO2酸化(5mL/分)と、次の400℃での3時間のH2還元(20mL/分)によるデコーキングで再生可能であることが分かった。再生した触媒はフレッシュ触媒と同程度に効果的であることが判明し、その能力によって最初の70時間は活性喪失を起こさずに同様の水素化脱臭素化反応に触媒的効果を与えることを確認した(図9)。
【0123】
様々な実施例及び好ましい実施形態に関して本発明を説明したが、それらに限定されるものではない。他の改良及び均等的処理も、本開示を検討した当業者には明らかであるが、本発明の範囲内に含まれる。例えば、本発明の代替的な実施形態では、臭素発生器からの生成物25を臭素化反応器3に直接入れる。この配置の利点は、フラッシュユニット27に必要な臭素ホールドアップを省き、それによって液体臭素の取り扱いを減らすことにある。また、ユニット26、27、31及び34を含む臭素掃去区画を省くことにより、本方法の資本コストを著しく減らすことができる。エネルギー効率については、臭素発生の出口を臭素化温度と同等にすることが好ましい。臭素の発生については、臭化セリウムの融点(722℃)が臭化銅(I)のもの(504℃)より高いので、この実施形態ではセリウム系触媒が銅系触媒より好ましい。臭素化及びカップリング時の酸素の存在は、所望の生成物への選択性を減少させるので、臭素発生器に供給された全ての酸素を消費する必要がある。この実施形態では、蒸留塔51の底流での液‐液分解を用いて水を除去するために、一臭化物を分離する部品5を改良する必要がある。液‐液分解で除去された水は、HBr(抽出蒸留(例えば図5を参照)を用いて水から除去して、次に臭素発生区画に戻して再利用できる)を含む。
【0124】
さらに他の改良は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物(均等方法)にのみ限定される本発明の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、ハロゲン分子をメタン含有炭化水素原料と反応させることによりハロゲン化アルキルを形成し、実質的に全てのハロゲン分子を消費する工程、
(b)一部の又は全てのハロゲン化アルキルをアルカン供給物と反応させることにより再分配化されたハロゲン化アルキルを形成し、モノハロゲン化炭化水素の存在する割合を増加させる工程、
(c)高級炭化水素及び付加的なハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、再分配化されたハロゲン化アルキルを第一の触媒と接触させる工程、
(d)ハロゲン化水素から高級炭化水素を分離する工程、
(e)ハロゲン分子及び水を形成するのに十分な処理条件下、酸素源の存在下でハロゲン化水素を第二の触媒と接触させることによりハロゲン分子を再生する工程、
(f)水からハロゲン分子を分離してハロゲンの再利用を可能にする工程、及び
(g)工程(a)〜(f)を所望の回数繰り返すこと
を含む炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素に転化する連続的な方法。
【請求項2】
さらに工程(a)及び/又は(b)の後に、ポリハロゲン化アルキルからモノハロゲン化アルキルを分離する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭化水素原料が1つ又は2つ以上のC1‐C4炭化水素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
炭化水素原料が天然ガスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ハロゲンが臭素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ハロゲンが塩素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルカン供給物が少なくとも1容量%の1つ又は2つ以上のC2‐C5炭化水素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
再分配化触媒の存在下でモノハロゲン化アルキルの存在する量が増加する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
再分配化触媒が金属、金属‐酸素材料、又はハロゲン化金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第一の触媒がゼオライトを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ゼオライトが金属ドープ型ゼオライト又はイオン交換型ゼオライトを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ゼオライトがマンガンでドープされている請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第二の触媒が、CaO、CeO2、Co34、CuO、NiO、MgO、カーバイド、窒化物、炭素、及びクレーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第二の触媒がCuO又はCeO2を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第二の触媒が、Ag、Au、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pb、Pd、Pt、Sr、Ta、V、W、Mg、V、又はZnのハロゲン化物、酸化物、及びオキシハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
圧力スウィング蒸留又は抽出蒸留を用いて臭化水素酸水からHBrを分離する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
抽出剤としてCaBr2、MgBr2、KBr、NaBr、LiBr又はこれらの混合物の水溶液を使用して抽出蒸留を行なう請求項16に記載の方法。
【請求項18】
抽出剤として硫酸を使用して抽出蒸留を行なう請求項16に記載の方法。
【請求項19】
再分配化に使用するアルカン供給物が、大量のC2‐C5炭化水素を含む炭化水素供給ガスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
炭化水素原料のハロゲン化及び再分配化されたハロゲン化アルキルの形成を別々の反応器で行なう請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(a)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、ハロゲン化反応器内でハロゲン分子をメタン含有炭化水素原料と反応させることによりハロゲン化アルキルを形成し、実質的に全てのハロゲン分子を消費する工程、
(b)ハロゲン化アルキルから未反応メタンを分離してハロゲン化反応器の中に戻す工程、
(c)一部の又は全てのハロゲン化アルキルを少なくとも1容量%のC2‐C5炭化水素を含むアルカン供給物と反応させることにより再分配化されたハロゲン化アルキルを形成し、モノハロゲン化炭化水素の存在する割合を増加させる工程、
(d)高級炭化水素及び付加的なハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下で、再分配化されたハロゲン化アルキルを第一の触媒と接触させる工程、
(e)ハロゲン化水素から高級炭化水素を分離する工程、
(f)ハロゲン分子及び水を形成するのに十分な処理条件下、酸素源の存在下でハロゲン化水素を第二の触媒と接触させることによりハロゲン分子を再生する工程、
(g)水からハロゲン分子を分離してハロゲンの再利用を可能にする工程、及び
(h)工程(a)〜(g)を所望の回数繰り返すこと
を含む炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素に転化する連続的な方法。
【請求項22】
炭化水素原料のハロゲン化及び再分配化されたハロゲン化アルキルの形成を別々の反応器で行なう請求項20に記載の方法。
【請求項23】
(a)ハロゲン化アルキルを形成するのに十分な処理条件下で、炭化水素原料をハロゲン分子と反応させることにより1つ又は2つ以上のハロゲン化アルキルを形成する工程、
(b)高級炭化水素及びハロゲン化水素を形成するのに十分な処理条件下でハロゲン化アルキルを第一の触媒と接触させることにより1つ又は2つ以上の高級炭化水素及びハロゲン化水素を形成する工程、
(c)ハロゲン化水素から高級炭化水素を分離する工程、
(d)ハロゲンを形成するのに十分な処理条件下、酸素源の存在下でハロゲン化水素を第二の触媒と接触させることによりハロゲンを再生する工程、及び
(e)工程(a)〜(d)を所望の回数繰り返す工程
を含む炭化水素原料を1つ又は2つ以上の高級炭化水素に転化する連続的な方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−121906(P2012−121906A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−38663(P2012−38663)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2008−553405(P2008−553405)の分割
【原出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(506058598)ジーアールティー,インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】