説明

天然成分を含む溶解可能なフィルムストリップ

本発明は、天然産物製剤を含み、口腔粘膜から吸収され得るフィルムストリップに関する。このフィルムストリップは天然成分を含み、公知の剤型よりも低用量で口腔粘膜から適用されたとき、急速に吸収されることによって、短時間で強力な抗酸化効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然産物製剤を含み、口腔粘膜から吸収され得るフィルムストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物は病気の治療に用いられ、その構成に提供されるいくつかの成分は体内などに取り込まれる。病気の治療は、これらの活性物質により可能である。例えば、メラトニンは、最も強力な天然の細胞保護性および抗ガン効果を有することが知られている化合物である。メラトニン化合物は、フリーラジカルを除去できるようにするという点で、その効果を示す。メラトニンは、人の体内で夜に分泌されるホルモンである。メラトニンレベルは夜に死亡した人において高いことが死後調査により分かった。大人の平均血漿中メラトニンレベルは約60から70pg/mlである。さらに、乳ガンはメラトニン欠乏で発症する病気であると1978年に提唱された後、多くの臨床学的研究が、ガン患者におけるメラトニン分泌を定量するために、行われてきた。いくつかのヒト細胞型において、松果体およびメラトニンの抗腫瘍効果が報告された。
【0003】
強力な抗酸化効果を有するもうひとつの成分はリスベラトロールである。天然産物である赤ワインの構成中にリスベラトロールがある。しかしながら、どの赤ワインの組成にもリスベラトロールがあるわけではない。赤ワインを作るときに用いる土壌産物は、土壌状態、生育や気候条件、年月さえによっても変化するであろう。赤ワインに赤みと渋みを与えるプロアントシアニジンがある。これらの物質も強力な抗酸化特性を有する。これらとは別に、緑茶は強力な抗酸化特性を有する天然産物である。緑茶中のカテキンのようなアルカロイド、それにカテキンおよびEGCG (epigallocatechin gallate; 没食子酸エピガロカテキン)、ならびにフラボノイド類がある。特に減量の目的での緑茶エキスの使用は、近年科学的に決定されたその脂肪分解特性のため、このところ広がっている。
【0004】
薬理学分野で病気の治療で用いられる薬物は、錠剤、シロップ剤、粉剤などのさまざまな剤型に調製できる。これらの薬物の適用にはいくつかの問題がある。薬物と食物との相互作用に依存して、胃でのそれらの吸収が減少し、かくして体内での薬物のバイオアベイラビリティーは十分に発生しない。薬物のバイオアベイラビリティーが有効であるためには、栄養素または薬物は最適な量で体に与えられるべきである。例えば、使用者に推奨されるリスベラトロールの日用量を天然で摂取するためには、人は毎日500から1000mlの赤ワインを消費する必要がある。この場合、肝臓アルコール摂取に依存して、肝臓損傷などの深刻な健康問題が発生する。一方、どの赤ワインにもリスベラトロールがあるわけではない。それゆえ、消費されたワインがリスベラトロールを含むか含まないかはわからない。同様に、天然で緑茶を消費することによって体内にEGCGを取り込むことは可能である。しかしながら、大量の緑茶を消費する必要はない。大量に緑茶を消費することは、肝臓および腎臓の機能に重大な問題を引き起こすかもしれない。大量に緑茶を消費することは、便秘の問題も引き起こすかもしれない。薬物の使用の際に発生するもうひとつの問題は、経口で体内に摂取される丸薬が水で飲みこめないとき、潰瘍効果を示す。薬物の製剤に依存して、損傷効果も増大するであろう。しかしながら、薬物特性におけるこれらとは別に、薬理学的効果を有さず、マルトトリオース分子からなるポリマーである多糖類構造にプルラン構造がある。それらは、口腔粘膜から吸収され得るフィルムストリップとして市場にある。例えば、リステリン(登録商標)は、プルラン構造の製品であり、口腔衛生に用いられ、口腔粘膜から吸収され得る。その製品は毎日使用して、口にいい香りを与える。
【0005】
米国特許出願公開US2009-004254 A1号、技術水準の出願は、口腔内で溶解可能かつ食用のフィルムの形態の活性薬物を開示する。そのフィルムは水溶性ポリマーで成型される。その薬物は、患者の口の中で溶解可能な結着剤およびこの剤中に分散する活性薬物を含み、かくして、薬理学上有効用量の薬物が、患者の口の中で溶けることによって体内に摂取される。
【0006】
日本国特許出願公開第JP63-093717 A号、技術水準の出願は、ポリマルトトリオースを含み、口腔粘膜に高い接着特性を示す剤を開示する。この剤を用いて、口腔における粘膜に薬物を固定することができる。この接着性剤は治療用の薬物に添加することによって適用できる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、公知の剤型よりも低用量で口腔粘膜から適用されたとき、急速に吸収されることによって、短時間で強力な抗酸化効果を示し、かつ、天然成分を含むフィルムストリップを実現することにある。
【0008】
もうひとつの本発明の目的は、胃腸での消化プロセスを経ることなく急速効果を示し、天然成分を含むフィルムストリップを実現することにある。なおもうひとつの本発明の目的は、容易に持ち運べ、天然成分を含むフィルムストリップを実現することにある。
【0009】
さらなる本発明の目的は、水を必要とせずに経口で摂取され得、天然成分を含むフィル
【0010】
なおさらなる本発明の目的は、強力な抗酸化効果を有し、天然成分を含むフィルムストリップを実現することにある。そのうえさらなる本発明の目的は、充填剤も添加剤も用いない天然フィルムストリップを実現することにある。
【0011】
付随する本発明の目的は、容易に製造できるフィルムストリップを実現することにある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の口腔内で吸収可能なフィルムストリップの調製において、凍結乾燥法でフリーズドライされた天然成分とメラトニンとして知られるマルトトリオースポリマーの粉末の混合物を、0.001〜0.5g/mlの間の量の蒸留水と混合する。得られた混合物を薄いフィルムの形態の滑らかで平坦な非接着層上に注ぐ。注がれたフィルムを、乾燥庫中、50%の相対湿度および室温にて一晩フリーズドライする。得られたフィルムを薄く切り分ける。最終的に、天然成分−マルトトリオース複合体を、薄いフィルムの形態で得る。得られたフィルムストリップは、弾力性、接着性かつ容易に口腔内で溶解可能である。
【0013】
本発明の口腔内で吸収可能なフィルムストリップの具体例において、天然成分は赤ワインである。赤ワインを凍結乾燥法でフリーズドライし、赤ワイン粉末をマルトトリオース ポリマーと混合し、人が摂取すべき量のリスベラトロールを供するようにする。その結果、赤ワイン-マルトトリオース複合体を得る。すべてのワインにリスベラトロールはないが、トルコ産のボアズケレ (Bogazkere)およびオキュズギョズ (Okuzgozu)ブドウで造られたワインに高い割合のリスベラトロール物質があることが分かった。全てのワインにはリスベラトロールがないので、凍結乾燥されるワインは、原産のブドウ種類のボアズケレおよびオキュズギョズから選択される。リスベラトロールの消化管系からの吸収は、小腸でのたったの20%の割合である。粉末形態のリスベラトールの経口バイオアベイラビリティーは低いが、その口からの吸収は、製剤になされる変更(例えば、リポソームリスベラトロール)によって増大することが知られている。赤ワインの中のリスベラトロールがフィルムストリップの形態で経口適用されると、消化器系からの吸収と比較して、より高いレベルの吸収が得られる。赤ワインの組成に入れられるプロシアニジン類はリスベラトロールの吸収を増大し、その抗酸化特性などのために効果に寄与する。さらに、フィルムストリップ中の成分は口から吸収されて直接血液と混ざるので、消化器系代謝(初回通過代謝)を受けない。かくして、肝臓は疲労せず、体内における代謝物により生じるかもしれない潜在的な毒性リスクを排除し得る。
【0014】
赤ワイン-マルトトリオース複合体の構成におけるフィルムストリップは、以下の効果を有する:循環器系疾患において、血液(抗血小板)を希釈し、抗酸化効果に依存する心臓発作のリスクを低減し、善玉コレステロール(HDL)を増大し、かつ、悪玉コレステロール(LDL)の参加を防止する。さらに、科学的研究によって、その抗酸化効果に依存して、特別の喫煙関連ガンおよび前立腺ならびに抗加齢効果に予防的および治療的効果を有することが提唱されている。
【0015】
本発明のもう一つの具体例において、EGCG (没食子酸エピガロカテキン)剤を含む緑茶を用いる。したがって、緑茶エキスは凍結乾燥法でフリーズドライされ、緑茶粉末はマルトトリオースポリマーと混合し、人が摂取すべき量のEGCG (没食子酸エピガロカテキン)を供するようにする。薄いフィルムとして得られた生成物は緑茶-マルトトリオース複合体の構成にある。
【0016】
EGCGは、単経口用量として1600mgまで適用しても安全であることが報告される。
【0017】
緑茶を含む薄いフィルムストリップは、その脂肪分解特性のため、減量の目的で用いられる。しかしながら、カフェインの使用は、心臓病患者(血圧を上昇させるから)または腸疾患を患う患者(胃酸を増加させるから)において、普通、問題を生じる。そのため、本発明の具体例において、薄いフィルムストリップは、カフェインを含まない純粋なEGCGを直接用いるEGCG-マルトトリオース複合体の構成で得る。
【0018】
本発明の口腔内で吸収可能なフィルムストリップのもう一つの具体例において、メラトニンは天然成分として選択される。経口でのメラトニンのバイオアベイラビリティーは15%である。その吸収は速い。なぜならば、フィルムおよび血液との混合物の形態で直接口から摂取され、効率が高いからである。メラトニンは、人の体内で分泌される天然の細胞保護ホルモンである。科学的研究は、それは強力な抗酸化特性および抗ガン効果を有すると提唱する。メラトニンを含む薄いフィルムストリップはメラトニンにとって適当な剤型であり、その使用は近年除々に増加し、それは、特に国際旅行の時差ボケの不満を軽減するために迅速、有効かつ簡便な使用を提供する製品形状である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
しなやかで、接着性の口腔内で溶解可能な天然成分を含み、凍結乾燥法でフリーズドライされた天然成分およびマルトトリオースポリマーと水とを混合し、混合物を薄いフィルムの形態に流し出し、流し出したフィルムを乾燥する方法を実行することによって得られるフィルムストリップ。
【請求項2】
天然成分-マルトトリオースポリマーの混合比が、0.001〜0.5g/mlの範囲にあることを特徴とする、請求項1による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項3】
凍結乾燥された天然成分がリスベラトロールであることを特徴とする、請求項2による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項4】
天然成分がリスベラトロールを含む赤ワインであることを特徴とする、請求項3による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項5】
凍結乾燥された天然成分がEGCG (没食子酸エピガロカテキン)であることを特徴とする、請求項2による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項6】
天然成分がEGCGを含む緑茶であることを特徴とする、請求項5による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項7】
凍結乾燥された天然成分がメラトニンであることを特徴とする、請求項2による天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項8】
心臓発作のリスクを低減し、善玉コレステロール(HDL)を増加し、悪玉コレステロール(LDL)の酸化予防を増大し、循環器系疾患(抗血小板)における血液を希釈するために用いられることを特徴とする、請求項4による赤ワイン含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項9】
予防薬および補助剤として用いてガン、前立腺疾患の治療に用いることを特徴とする、請求項4による赤ワイン含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項10】
その抗酸化効果に依存して抗加齢として用いることを特徴とする請求項4による赤ワイン含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項11】
その脂肪分解特性で減量プログラムに用いることを特徴とする、請求項5または6によるEGCG含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項12】
天然細胞−プロテクターおよび抗発ガン物質として使用することを特徴とする、請求項7によるメラトニン含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。
【請求項13】
フリーラジカルを除去されるようにすることによって時差ボケ不満を軽減することを特徴とする、請求項7によるメラトニン含量を有する天然成分を含むフィルムストリップ。

【公表番号】特表2013−505981(P2013−505981A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531521(P2012−531521)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054121
【国際公開番号】WO2011/036599
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512081166)イェディテペ・ウニヴェルシテシ (1)
【氏名又は名称原語表記】YEDITEPE UNIVERSITESI
【Fターム(参考)】