説明

天然成分を含有する局所用組成物及び使用方法

【課題】皮膚刺激症状または皮膚刺激状態を軽減するための局所用組成物の提供。
【解決手段】COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質活性を阻害するために有効である、少なくとも1種の植物抽出物を含有する、局所用組成物。前記植物抽出物は、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
関連出願
本出願は、共に係属中の、2002年12月26日に出願された、米国特許出願第10/330,040号についての優先権及び利益を主張する一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
1 発明の分野
本発明は、植物または植物物質に由来する活性成分を含有する局所用組成物に関する。より詳しくは、本発明は、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質活性を阻害する少なくとも1種の天然植物抽出物を含有する局所用組成物を用いて、特に皮膚刺激を軽減することにより、皮膚の外観を改善する局所用組成物に関する。さらにより詳しくは、本発明は、本発明の局所用組成物の使用方法に関する。
【0003】
2 関連技術の説明
植物に由来する活性成分は、広く様々な医薬、治療及び美容目的のために、局所用組成物中においてこれまで用いられてきた。このような活性成分を、種子、葉、根、樹皮、花、球果、茎、根茎、カルス細胞、プロトプラスト、器官及び器官系、並びに分裂組織等の植物の種々の部位から得ることができる。活性成分は、かかる組成物中に種々の形態で含められる。そのような形態には、純粋または半純粋成分、固体若しくは液体抽出物若しくは誘導体、または固体植物物質が含まれる。植物物質は、組成物中に含めるために、刻まれ、すり砕かれ、押し砕かれ、またはその他物理的に変化させることができる。
【0004】
植物または植物の部分に由来する活性成分を用いる際に一般的に直面する問題は、これらが自然に存在している状態では比較的低濃度であることである。このような低濃度では、活性成分の所望するまたは有用な量を得るために、比較的大量の植物の葉/組織または種子を処理することが必要とされる。珍しい植物または植物の部分については、このように大量に入手することが不可能であるか困難であり得る。
【0005】
現在、広く様々な局所的に塗布される医薬品または化粧製品が商業的に用いられている。例えば、抗老化、水分供給、及び/または皮膚のテキスチャリング(texturing)の利益を提供する、皮膚に局所的に塗布され得る製品を開発することが、化粧品産業においての活発な現在の関心事である。皮膚の外観を向上させる化粧製品は、ますます需要がある。消費者は、微細な筋、しわ、皮膚の乾燥、及び皮膚のたるみ等の経年的な、ホルモン的な、及び/または光老化した皮膚の兆候を緩和するまたは遅らせることに関心をもっている。老化過程の間に、皮膚の様相、すなわち皮膚の色及び外観が、内因的な老化及び/または直射日光への曝露により、徐々に悪化する。老化した皮膚の治療として美容手術を用いることができるが、このような手術は高価であり、また麻酔及び手術に通常付随する危険を伴う。代わりに、抗老化または他のスキンケアの利益を提供することが可能な化粧製品が、消費者により大いに所望されている。しかしながら、局所的に塗布される医薬品及び化粧製品について生じる一つの問題は、活性成分または複数の活性成分が、しばしば皮膚を刺激することである。この副作用により、ある種の化粧的または薬学的活性成分の使用または濃度が制限され得る。
【0006】
化粧用スキンケア製品の数は、着実に増加している。一般に前記製品は、活性成分として有機酸または他の物質を含有している。前記活性成分には、例えばオメガ−ヒドロキシ酸(すなわちウンデカン酸)、α−ヒドロキシ酸(すなわち乳酸、グリコール酸、クエン酸)、β−ヒドロキシ酸(すなわちサリチル酸、5−n−オクタノイルサリチル酸)のようなヒドロキシ酸及びその誘導体及びレチノイド(すなわちレチノイン酸、レチノール)が含まれる。これら活性成分は、焼けるような痛み(burning)、ひりひりした痛み、そう痒または塗布後の引きつった感覚を特徴とする、使用者の皮膚刺激または不快感にしばしば関連するために、著しい不利益を有することが知られている。化粧品産業及び医薬品産業の両方において、望ましくない副作用の皮膚刺激を生じることなく効果的である種々の活性成分を含有する、局所的に塗布される製品に対する一般的な要求がなお存在する。かなりの数の使用者が、敏感な皮膚を有するか、局所的に塗布される製品を使用した際のアレルギー性の皮膚反応に敏感であることが知られている。例えば、活性成分と共にある種の界面活性剤、防腐剤、芳香剤等を含有する製品は、皮膚刺激特性を有する。
【0007】
より詳しくは、化粧品産業における要求と制限についての前述の考察を考慮すると、活性成分として天然成分を用いることにより副作用としての皮膚刺激を伴わず、皮膚に対する利益を有する、局所的に塗布される化粧料組成物に対する要求がなお存在する。
【0008】
刺激性皮膚または皮膚炎症の治療方法が知られている。例えば、米国特許第5,993,833号は、拮抗物質を含有する組成物を投与することから成る敏感な皮膚の治療方法に関する。米国特許第6,143,303号は、植物のドドナエアペティオラーリス(Dodonaea petiolaris)、及びドドナエアビスコーサ(dodonaea viscosa)の抽出物を含有する、抗炎症性、鎮痛性の組成物に関する。
【0009】
皮膚に局所的に塗布される種々の薬学及び化粧製品が市場に出ているのにも関わらず、改善された美的概観を皮膚、特に炎症性皮膚に与えるために、または活性成分の使用により誘引される刺激性の副作用の緩和または除去を伴って、組成物中に含有される活性成分の利益をもたらすために、天然植物抽出物または合成形態の天然植物抽出物を含む、効果的な局所的に塗布される組成物に対する要求がなお存在する。
【0010】
発明の概要
本発明の目的は、老化の影響の改善を含む、皮膚の外観を改善する化粧料組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、薬学的にまたは化粧的に許容され得るベヒクル中に、植物由来の皮膚に対する抗刺激活性成分、または植物由来の皮膚に対する抗刺激活性成分の配合物を含有する局所用の化粧または薬学組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる他の目的は、有効な濃度の化粧的、皮膚科的、または薬学的活性成分と共に、植物抽出物に由来する皮膚に対する抗刺激活性成分を供給する局所用組成物を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる他の目的は、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質に対して阻害性の植物抽出物を含有する局所用組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる他の目的は、前記組成物を局所的に塗布するための方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる他の目的は、本発明の組成物を皮膚に局所的に塗布することにより、老化の影響の改善を含む皮膚の外観の改善の方法と、皮膚の刺激症状または状態の治療の方法を提供することである。
【0016】
本発明及びその均等物のこれらの及び他の目的並びに利点は、植物抽出物または植物抽出物の配合物を含有する、抗刺激性の化粧料及び薬学組成物により、及び局所塗布のための前記組成物の使用により達成される。
【0017】
皮膚の美的外観の改善をするために、及び/または皮膚に対して抗老化の利益を提供するために、皮膚を治療するための局所用組成物が提供される。また、皮膚を治療するための局所用組成物であって、前記治療は皮膚に減弱された刺激を生じさせ、好ましくは目に見える刺激を全く生じさせない組成物を提供する。
【0018】
皮膚刺激の症状を治療するための、または皮膚から刺激応答を誘発する皮膚状態を治療するための局所用組成物がさらに提供される。これら組成物は、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質を阻害するために十分である、化粧的、皮膚科学的、または薬学的に有効な量の少なくとも1種の植物抽出物と、化粧的、皮膚科学的、または薬学的に許容され得るベヒクルを含有する。
【0019】
本発明の組成物は、少なくとも1種の植物抽出物を含有する。少なくとも1種の植物抽出物は、次のイーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、またはミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)のいずれかである。好ましくは、少なくとも1種の植物抽出物は、次のイーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、またはリグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)のいずれかである。
【0020】
本組成物は、紅斑、乾癬、浮腫、にきび、いぼ、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、ウィーリング(wheeling)、しみ、肌の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、及び化学刺激を含むが、これらに限定されるものではない刺激症状または状態を軽減する。
【0021】
発明の詳細な記述
本発明は、唇も含む皮膚への刺激、特に化粧、皮膚科学または薬学製品中の活性成分に起因する刺激を軽減する、1種の植物抽出物または植物抽出物の配合物であって、好ましくは天然植物抽出物を含有する局所用組成物を提供する。本発明の組成物は、種々の皮膚の刺激症状又は刺激状態に対して利益を提供する。
【0022】
また本発明は、老化の影響の改善を含む、皮膚の美的外観を改善するための組成物を提供する。これらの利益は、以下述べるものの1つ以上:毛穴の大きさの縮小;肌の色合い、輝き、透明感、及び/または張りの改善;抗酸化剤活性の促進;皮膚の硬さ、ふくよかさ、しなやかさ、及び/またはやわらかさの改善;プロコラーゲン及び/またはコラーゲン生成の改善;皮膚のきめの改善及び/または再組織化(retexturization)の促進;皮膚バリア修復及び/または機能の改善;皮膚輪郭の外観の改善;皮膚のつや及び/または明るさの回復;老化及び/または閉経により減少する、皮膚の必須栄養素及び/または必須成分の補充;皮膚細胞間の情報交換の改善;細胞の増殖及び/または繁殖の増進;老化及び/または閉経により低下する皮膚細胞の代謝の改善;皮膚の保湿改善;細胞の代謝回転の促進及び/または加速;皮膚の厚さの増加;皮膚の過敏性の軽減;皮膚の弾性及び/または弾力性の増大;アルファ若しくはベータヒドロキシ酸、ケト酸またはその他の皮膚剥脱剤を使用する、あるいは使用しない剥脱の強化により明らかである。従って、本発明の方法は、本組成物の重量の約0.0001重量%〜約20重量%である有効量を提供し、次に示す1以上の治療:コラーゲン減少の軽減又は防止;皮膚の硬さ/ふくよかさの改善;皮膚のきめの改善;筋及びしわの減少/防止;皮膚の色合いの改善;皮膚の厚さの増加;毛穴の大きさの縮小;皮膚の変色の減少;にきびの減少;乾癬の減少;皮膚の過敏性の軽減;及びいぼの減少に有効である。
【0023】
本発明は、抗老化の利益を与える組成物も提供する。本組成物は、人間の皮膚に塗布された際に、塗布された範囲又は部分において、老化の種々の兆候の予防、治療及び/または改善する1以上の成分の有効量を含有する。特に本発明は、例えば経時老化、ホルモン老化及び/または光老化等による皮膚科学的な老化の兆候の予防、抑制、軽減及び/または改善するための、皮膚の治療に適した組成物と方法を提供する。前記老化の兆候には、皮膚脆弱;コラーゲン及び/またはエラスチンの低下;皮膚のエストロゲン平衡失調;皮膚萎縮症;微細な筋を含む筋及び/またはしわの出現及び/または深さ;黒ずんだ目のくまを含む皮膚変色;皮膚のたるみ;汚染及び/または温度変化等の環境ストレスによる、例えば皮膚発疹等の皮膚疲労及び/またはストレス;皮膚乾燥;皮膚薄片剥離(skin flakiness);細胞老化;皮膚の色合い、弾力及び/またはつやの喪失;皮膚の硬さの低下;粗い皮膚のきめ;皮膚の弾性及び/または弾力性の低下;及び薄い皮膚が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
皮膚の美的外観を改善するために、これらの組成物は、本発明の少なくとも1種の天然植物抽出物または合成形態の天然植物抽出物を含有する;すなわち、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、またはミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)である。好ましくは、少なくとも1種の植物抽出物は、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、またはリグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)の何れかである。また好ましくは、これらの組成物は、1以上の上述した皮膚外観上の利益を提供する、化粧品分野において既知である、限定されないが本明細書中に挙げた化粧用剤、を含む1種以上の化粧的活性剤も含有する。
【0025】
皮膚刺激は、風、暑さまたは寒さ、大気汚染物質、およびタバコの煙にさらされる等の環境因子を含む、種々の物理的または化学的要因により生じ得る。化粧及び薬学製品は、副作用として目に見える皮膚刺激を生じる成分または成分の配合物を含有し得る。皮膚刺激に対する敏感性は各個人によって異なり、ある種の製品の使用、または副作用としての皮膚刺激の発生を除けば、より高い濃度でより有利な結果を生じ得る活性成分の濃度の使用は、しばしば制限される。皮膚刺激の症状または状態には、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、肌の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒またはそう痒症、張り(tightness)、焼けるような痛み(burning)、刺痛、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、化学刺激、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
化粧、皮膚科学および薬学製品は、皮膚刺激を生じる1種の活性剤または複数の活性剤を通常含有する。皮膚刺激を副作用として有する活性剤の例には、ヒドロキシ酸およびそれらの誘導体、α−ヒドロキシ酸(すなわち、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、メチル乳酸、フェニル乳酸、アトロ乳酸、グリセリン酸、ベンジル酸、z−ヒドロキシヘプタン酸、z−ヒドロキシオクタン酸、及びこれらの組み合わせ)、β−ヒドロキシ酸(すなわち、サリチル酸、5−n−オクタノイルサリチル酸、及び他のサリチル酸誘導体)、レチノイド(レチノイン酸およびその誘導体;レチノール及びそのエステル)、アントラリン(すなわち、ジオキシアントラノール)、アントラノイド、過酸化物(すなわち、過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩、代謝拮抗剤、ビタミンDおよびその誘導体、毛髪染料または着色剤(すなわち、パラ−フェニレンジアミンおよびその誘導体;アミノフェノール)、アルコール性芳香溶液(すなわち、香水;化粧水;アフターシェーブローション;防臭剤)、制汗剤(すなわち、いくつかのアルミニウム塩)、脱毛または髪の毛のパーマネント活性剤(すなわち、チオール)、脱色剤(すなわち、ヒドロキノン)、およびいくつかの殺虫活性剤が含まれるが、これらの限定されるものではない。局所用製品が抗刺激保護作用を有しているならば、不快な皮膚刺激または刺激副作用を生じることなく、製品中の通常の刺激性活性剤(すなわち、AHAまたはBHA)の含量を増加することが可能であり得る。本発明の組成物の使用は、化粧的、皮膚科学的、薬学的活性剤の濃度または含量を、通常用いられるこれら薬剤の含量または濃度と比較して増加させることにより、化粧、皮膚科学または薬学製品の効力の改善を可能にするものである。
【0027】
腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)タンパク質、神経成長因子(NGF)タンパク質、及び/またはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素に拮抗性の植物抽出物を、局所用の化粧料、皮膚科学、または薬学組成物、好ましくは皮膚刺激性成分を有する組成物に添加することで、皮膚刺激を軽減するか、または除去しさえすることが見出された。
【0028】
2つの異なるイソ型のシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素、すなわちCOX−1およびCOX−2が存在することが知られている。COX−1は、一定の濃度で身体のほぼ全ての部位に存在し、胃内プロスタグランジンの生成、正常な腎臓機能の維持、及び血小板凝集の予防に関与している。対照的に、COX−2は通常身体には存在せず、炎症に付随してその部分に誘発される。誘発に次いで、COX−2は、痛み、発熱、および局所的な赤みおよび浮腫の形成に影響する末梢血管拡張を特徴的に引き起こす大量のプロスタグランジンを生じる。COX−2の選択的阻害は、身体の正常な機能を妨げることなく、炎症および付随した痛みを軽減するために有効であり得る。
【0029】
TNF−アルファは、例えばヒスタミンまたはインターロイキン等の他の物質と共に、炎症を起こす媒介物質である。局所用の化粧、皮膚科学または薬学製品中における、TNF−アルファに対する1以上の阻害剤または拮抗剤の使用は、皮膚炎症を軽減し得る。
【0030】
NGFは、神経系、さらに皮膚中に分泌されるニューロトロフィン群の非常に特徴的な構成要素である。炎症性の痛覚過敏を引き起こすことが一般に知られており、またアトピー性皮膚炎を含む種々の皮膚状態中で増加する。また、NGFは肥満細胞を活性化すること、及びP物質等の炎症誘発性のニューロペプチドを調節することが知られている。NGFの阻害は、皮膚炎症および炎症に付随する痛覚過敏を軽減し得る。
【0031】
本発明は、TNF−アルファタンパク質、NGFタンパク質及び/またはCOX−2酵素を阻害するために有効な量の、少なくとも1種以上の植物抽出物を含有する組成物を提供する。
【0032】
本発明の最も広い範囲において、任意の局所用の化粧料、皮膚科学または薬学組成物中の、TNF−アルファタンパク質、NGFタンパク質及び/またはCOX−2酵素に対して阻害的であるいずれもの好便な植物抽出物または植物成分の、目に見える、あるいは自覚的な皮膚刺激のいずれもを軽減または治療するための使用を包含する。「皮膚刺激」という語には、限定されないが、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、皮膚の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、及び/または化学刺激を含む、目に見える、及び/または自覚的な皮膚の刺激を包含するが、これらに限定されるものではない。また、本発明の組成物は、不顕性刺激、すなわち、赤みは現れてはいないが細胞レベルではすでに皮膚に障害が生じている刺激の治療においても有効である。
【0033】
皮膚刺激の治療のために、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質を阻害するために本発明の組成物中に用いられる、1種以上の植物成分、好ましくは天然抽出物には、1種以上の抽出物または天然成分が含まれる。これら抽出物または天然成分は、好ましくは、次のイーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、またはミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)のいずれか1種またはそれ以上である。さらに好ましくは、これら植物成分、好ましくは抽出物は、次のイーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、またはリグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)の1種以上である。上述した抽出物は、前記植物またはその一部の親水的または疎水的な抽出のいずれかにより、典型的に得られる。リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)とブテアフロンドサ(Butea frondosa)の組み合わせが特に好ましい。
【0034】
本組成物中の植物抽出物の量は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%(wt%)〜約99重量%、好ましくは約0.001重量%〜約20重量%である。植物抽出物の量は、さらに好ましくは、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%〜約5重量%、なおさらに好ましくは約0.1重量%〜約3重量%である。
【0035】
本発明は、一つの態様として、皮膚刺激を治療するために、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質を阻害するために十分である、上記の植物原料に由来する少なくとも1種の抽出物の化粧的、皮膚科学的または薬学的に有効量を含有する組成物を提供する。好ましくは、前記組成物は化粧的、皮膚科学的または薬学的に許容され得るベヒクルも含有する。さらに、前記抽出物の配合物が好便に用いられ得る。本発明の態様は、種々の皮膚刺激症状または状態(すなわち、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、皮膚の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激及び化学刺激)を治療するために好便に用いられ得る。
【0036】
本発明の他の態様において、組成物は、COX−2酵素、NGFタンパク質及び/またはTNF−アルファタンパク質を阻害するために十分な化粧的、皮膚科学的または薬学的に有効な量の上記植物原料に由来する1種以上の抽出物が組成物に含まれていなければ通常皮膚刺激症状または状態を引き起こし得る量の活性成分または活性成分の組み合わせを有し得る。前記抽出物または抽出物の配合物と、皮膚刺激症状または状態を通常引き起こし得る量の1種以上の活性成分または活性成分の組み合わせは、局所用塗布に適した形態で、薬学的または化粧的に許容され得るベヒクル中に好便に含められる。
【0037】
本局所用組成物中で用いられる化粧的、皮膚科学的または薬学的に許容され得るベヒクルには、1以上の水系、グリセリン、C1−4アルコール、脂肪アルコール、脂肪エーテル、脂肪酸エステル、ポリオール、グリコール、植物油、鉱油、リポソーム、層状脂質性物質、シリコーン油、水またはこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
さらに、本組成物のベヒクルは、均質相調合物の形態またはエマルジョンの形態にあり得る。前記エマルジョンには、水中油型、油中水型、シリコーン中水型、および三相を含む多相エマルジョンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
前記エマルジョンは、薄いローション(噴霧またはエアゾル送給にも適し得る)、クリーム状ローション、軽いクリーム及び濃厚なクリームを含む広い範囲の粘稠度に渡り得る。他の適切な局所用担体は、油及びアルコール等の無水液体溶媒;水がベースの単一相液体溶媒(例えばヒドロ−アルコール溶媒系);無水固体及び半固体(ゲル及びスティック等);及び水がベースのゲル系及びムース系等を含む。本発明中で用いられ得るベヒクル及びベヒクル系の例には、全てを本明細書の一部として本願に援用する、以下に挙げる4つの文献に記述されている:“Sun Products Formulary”, Cosmetics & Toiletries, vol. 105, pp. 122-139 (December 1990) ; “Sun Products Formulary”, Cosmetics & Toiletries, vol. 102, pp.117-136 (March 1997) ;米国特許第4,960,764号、Figueroa等、1990年10月2日発行;米国特許第4,254,105、Fukuda等、1981年3月3日発行。
【0040】
本発明の局所用組成物は、どのような適切な製品形態にも配合され得る。前記製品形態には、エアゾルスプレー、クリーム、エマルジョン、固体、液体、分散体、泡、ゲル、ローション、ムース、軟膏、粉、パッチ、ポマード、溶液、ポンプスプレー、スティック、及びタオレットを含むが、これらに限定されるものではない。製品の用途には、全ての局所用スキンケア製品製剤、カラー化粧品、パーソナルケア製品(すなわち、制汗剤、防臭剤等)、ヘアケア製品、及び局所用薬学製品が含まれる。局所施用の化粧、皮膚科学または薬学製品中にまたは製品として使用するための本発明の組成物は、当該分野においてよく知られた種々の方法により好便に調製され得る。
【0041】
本局所用組成物には、以下:麻酔剤、抗アレルギー物質、抗真菌剤、抗菌剤、他の抗炎症剤、抗酸化剤、防腐剤、キレート化剤、着色剤、脱色剤、皮膚軟化剤、乳化剤、剥脱剤(exfollient)、皮膜形成剤、芳香剤、湿潤剤、昆虫駆除剤、潤滑剤、モイスチャライザー、医薬品、光安定化剤、保存剤、皮膚保護剤、皮膚浸透促進剤、日焼け止め剤、安定剤、界面活性剤、増粘剤、粘性調節剤、ビタミン、またはこれらの任意の組み合わせの1以上を含有し得る。
【0042】
本組成物は、皮膚刺激を緩和する製品、特に化粧製品を提供する。本発明は、COX−2酵素、NGFタンパク質及び/またはTNF−アルファタンパク質を阻害することにより皮膚刺激を軽減する活性成分の治療上特異的で、標準化された供給を含有する組成物を提供する。本組成物は、所望される皮膚刺激軽減効果が達成されるように、一定レベルの活性成分または成分の配合物を供給すべく好便に配合することができる。
【0043】
本発明は、以下の例により、さらに説明される。
【0044】
例1
本発明の種々の天然植物抽出物を、COX−1酵素、NGF及びTNF−アルファの阻害について、以下に記述したインビトロ研究において評価した。
【0045】
シクロオキシゲナーゼ阻害プロトコル
商標COX Inhibitor Screening Assayの下でカイマンケミカル(Cayman Chemical)から市販されているCOX酵素イムノアッセイ(EIA)を用いる、シクロオキシゲナーゼ阻害についての植物抽出物リグスティクムキアングシオング Hort.(Ligusticum chiangxiong Hort.)、アスムンダジャポニカ Thunb.(Asumnda japonica Thunb.)、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、及びブテアフロンドサ Roxb.(Butea frondosa Roxb.)の効力。
【0046】
試験された各材料についてのCOX反応を、バックグラウンド反応(不活性COX酵素を含む)及び初期活性反応(スクリーニングする材料を用いた、及び用いない活性酵素を含む)と伴に調製した。37℃で10分間のインキュベーションに続き、COX酵素の基質としてアラキドン酸を加えた。2分間のインキュベーション後、反応を止めるために1MのHClを加えた。反応中のプロスタグランジンを安定化させるために、飽和塩化第一スズ溶液を加えた。
【0047】
COX反応を希釈することにより、EIA反応を調製した。非特異的な結合ウエルを発生させるために、EIA緩衝剤をいくつかのウエルに加え、続いてCox反応を添加した。プロスタグランジン(PG)をスクリーニングするアセチルコリンエステラーゼトレーサーをウエルに加え、続いて全てのウエルにPG抗血清を加えた。このプレートと全てのウエルを、18時間室温でインキュベートした。総活性を、405nmで分光光度的に測定した。試験の結果を、下記の表1に与える。
【0048】
TNF−アルファ阻害プロトコル
イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、アスムンダジャポニカ Thunb.(Asumnda japonica Thunb.)、ブテアフロンドサ Roxb.(Butea frondosa Roxb.)、及びリグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)の効力を試験するために、R&Dシステムから市販されている酵素結合イムノアッセイ(ELISA)を用いた。
【0049】
本アッセイでは、TNF−アルファに特異的な単クローン抗体をマイクロタイタープレート上に予め塗布しておく、定量的サンドイッチ酵素イムノアッセイ法を用いた。活性材料に接触させた細胞からの培養の上澄みを、分離ウエル中にピペットで移した。上澄み中のTNF−アルファを、固定化された抗体を介しプレートに結合させた。非結合抗体を除去するために数回洗浄した後、TNF−アルファに特異的な、酵素結合された多クローン性抗体を各ウエルに加えた。非結合の抗体−酵素試剤を除去するために洗浄した後に、基質溶液をウエルに加えた。初期工程において、TNF−アルファ結合の量に比例して光が発現する。試験の結果を表1に与える。
【0050】
NGF阻害プロトコル
イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、アスムンダジャポニカ(Asumnda japonica)の効力を試験するために用いた。神経成長因子イムノアッセイは、NGFの鋭敏で特異的な検出用に設計されている。平底マイクロタイタープレートには、可溶性のNGFと結合する抗−NGF多クローン性抗体を塗布する。捕獲されたNGFは、第2の特異的な単クローン抗体と結合する。洗浄後、特異的に結合したmAbの量を、第3の反応物としてのセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と複合化させた種特異的抗体を用いて、検出した。非結合複合体は、洗浄により除去する。色素生産性の基質とのインキュベーションに続いて、色変化を測定する。試験溶液中のNGF量は、酸化−還元反応において発生した色に比例する。結果を表1に与える。
【表1】

【0051】
これらのインビトロ試験は、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)またはブテアフロンドサ(Butea frondosa)の抽出物を含有する本発明の組成物は、COX−2酵素、NGFタンパク質、及び/またはTNF−アルファタンパク質活性を阻害することにより、皮膚への利益を提供し、よって、化粧、薬学または皮膚科学製品により引き起こされる自覚的な不快感及び/または刺激の兆候を減少し得ることで皮膚外観における改善を与えることを示している。本発明のこれら抽出物または活性成分は、試験された量においては無毒である。
【0052】
例2
リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)及びブテアフロンドサ(Butea frondosa)を、種々の生検研究において評価し、この中で、以下に説明した通りの天然植物抽出物は、化粧的に適したベヒクル中に含まれ、研究の関係者の掌側前腕に、1回の用量が2mg/cmで塗布された。その後、抽出調剤を塗布した前腕の部分を、半閉塞性のパッチを用いて覆った。この方法を、1週につき5日、3週間繰り返した。該部位の処置の終わりに、リドカインを用いて麻酔をし、2mmのパンチ生検を処置及び未処置の制御部分から採取した。生検材料は、ホルマリン中に固定し、パラフィンで包埋し、薄片に切り分け、適切な指標のために染色した。
【0053】
リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)について、8人中7人のパネリストが、表皮及び真皮神経繊維の数の増加を示した(マーカーPGP9.5を用いて視覚化した)。
【0054】
ブテアフロンドサ(Butea frondosa)について、8人中5人のパネリストが、ケラチン生成細胞の増殖における増大を示し(KI67に対する抗体により視覚化した)、8人中5人のパネリストが、生存可能な表皮の厚さの増加を示した。
【0055】
例3
ブテアフロンドサ(Butea frondosa)についての炎症誘発研究を以下のように行った:パネリストのグループの、UV及びSLSに対する最小紅斑線量(MED)を最初に測定した。2割のプロピレングリコール、1割のエチルアルコール、及び1割の水を包含するベヒクル中のブテアフロンドサ(Butea frondosa)抽出物を含有する組成物を調製した。本組成物を、試験パネリストの背中の皮膚に塗布し、浸透するまで放置した。この手法を5日間継続して繰り返し、その後、UV(背中の半分の片側)及びSLS(もう一方の片側)(両者とも紅斑を標準的に誘発するに十分である)を、背中にあてた。紅斑読み取りの視覚的グレード評価により、これら前処理試験におけるブテアフロンドサ(Butea frondosa)抽出物の抗炎症活性の利益が確認された。リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)についての同様の炎症誘発研究は、確証的ではなかった。
【0056】
以上の記述は、本発明の例示にすぎないことを理解されなくてはならない。種々の代替及び改良が、当業者によって、本発明を逸脱することなく案出され得る。従って、本発明は、特許請求の範囲に入る全ての上記代替、改良、及び変形を包含するように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
COX−2酵素、TNF−アルファタンパク質、NGFタンパク質、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるタンパク質の活性を阻害するために十分な、化粧的、皮膚科学的、薬学的有効量の少なくとも1種の植物抽出物、並びに
化粧的、皮膚科学的、薬学的に許容され得るベヒクル
を含有する局所用組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)とリグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)の配合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)とリグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)の配合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約99重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約20重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、エアゾルスプレー、クリーム、エマルジョン、固体、液体、分散体、泡、ゲル、ローション、ムース、軟膏、粉、パッチ、ポマード、溶液、ポンプスプレー、スティック、及びタオレットから成る群から選択される製品形態にある請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
意図された化粧的、皮膚科学的、または薬学的応答を提供するために有効な量の、少なくとも1種の化粧的、皮膚科学的、または薬学的活性成分であって、皮膚刺激症状または皮膚刺激状態を誘発することが知られている前記少なくとも1種の活性成分、
前記少なくとも1種の活性成分による前記皮膚刺激症状または皮膚刺激状態を軽減するための、化粧的、皮膚科学的、または薬学的に有効な量の少なくとも1種の植物抽出物、及び
化粧的、皮膚科学的、または薬学的に許容され得るベヒクル
を含有する局所用組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、COX−2酵素、TNF−アルファタンパク質、NGFタンパク質、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるタンパク質の活性を阻害する請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記皮膚刺激症状または皮膚刺激状態が、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、皮膚の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、化学刺激、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1種の症状または状態である請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)とリグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)の配合物である請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約20重量%の量で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記活性成分が、皮膚治療成分である請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
前記皮膚治療成分が、ヒドロキシ酸及びその誘導体、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、レチノイド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の成分である請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記皮膚治療成分が、レチノイド酸及びレチノールから成る群から選択される少なくとも1種のレチノイドである請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のレチノイドが、レチノールである請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記皮膚治療成分が、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、アトロ乳酸、グルコン酸、メチル乳酸、フェニル乳酸、グリセリン酸、ベンジル酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種のα−ヒドロキシ酸である請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記皮膚治療成分が、サリチル酸及び5−n−オクタノイルサリチル酸から成る群から選択される少なくとも1種のβ−ヒドロキシ酸である請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
化粧的、皮膚科学的、または薬学的有効量の請求項1に記載の組成物を、皮膚に局所的に塗布することを包含する皮膚刺激症状または皮膚刺激状態の治療方法。
【請求項25】
前記皮膚刺激症状または皮膚刺激状態が、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、肌の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、化学刺激、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の症状または状態である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)とリグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)の配合物である請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約99重量%の量で存在する請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約20重量%の量で存在する請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、エアゾルスプレー、クリーム、エマルジョン、固体、液体、分散体、泡、ゲル、ローション、ムース、軟膏、粉、パッチ、ポマード、溶液、ポンプスプレー、スティック、及びタオレットから成る群から選択される製品形態にある請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する請求項24に記載の方法。
【請求項33】
化粧的、皮膚科学的、または薬学的有効量の請求項10に記載の組成物を、皮膚に局所的に塗布することを包含する皮膚刺激症状または皮膚刺激状態の治療方法。
【請求項34】
前記組成物の少なくとも1種の植物抽出物が、COX−2酵素、TNF−アルファタンパク質、NGFタンパク質、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるタンパク質の活性を阻害する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記皮膚刺激症状または皮膚刺激状態が、紅斑、乾癬、浮腫、色素過剰、色素欠乏(hypo-pigmentation)、にきび、いぼ、ウィーリング(wheeling)、しみ、肌の色合いのむら、剥落(scaling)、鱗屑、そう痒、焼けるような痛み(burning)、しみるような痛み(stinging)、ひりひりした痛み(tingling)、麻痺、風刺激、温度刺激、煙刺激、化学刺激、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の症状または状態である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)とリグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)の配合物である請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約99重量%の量で存在する請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約20重量%の量で存在する請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1種の植物抽出物が、前記組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する請求項33に記載の方法。
【請求項42】
局所用組成物であって、
イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の植物抽出物であって、前記組成物中に、皮膚の美的外観を化粧的、皮膚科学的または薬学的に改善するために有効な量で存在する少なくとも1種の抽出物、及び
化粧的、皮膚科学的、または薬学的に許容され得るベヒクル
を含有する局所用組成物。
【請求項43】
前記有効量が、皮膚に抗老化の利益を与えるのに有効である請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記有効量が、皮膚に抗炎症の利益を与えるのに有効である請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
前記有効量が、前記組成物の重量の約0.0001重量%〜約20重量%である請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
イーレックスプルプレアハースク(Ilex purpurea Hassk)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、ブテアフロンドサ(Butea frondosa)、ミムソップスエレンギ(Mimusops elengi)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の植物抽出物であって、皮膚の美的外観を化粧的、皮膚科学的、または薬学的に改善するために有効な量で存在する少なくとも1種の抽出物、並びに
化粧的、皮膚科学的、または薬学的に許容され得るベヒクル
を含有する局所用組成物を皮膚に塗布すること
を包含する皮膚の美的外観を改善するための方法。
【請求項47】
前記有効量が、皮膚に抗老化の利益を与えるのに有効である請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記有効量が、皮膚に抗炎症の利益を与えるのに有効である請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記有効量が、前記組成物の重量の約0.0001重量%〜約20重量%であり、以下
a)コラーゲンの減少の軽減または防止、
b)皮膚の硬さ/ふくよかさの改善、
c)皮膚のきめの改善、
d)筋及びしわの減少/防止、
e)皮膚の色合いの改善、
f)皮膚の厚さの増加、
g)毛穴の大きさの縮小、
h)皮膚の変色の減少、
i)にきびの減少、
j)乾癬の減少
k)皮膚の敏感性の軽減、及び
l)いぼの減少
の1以上の治療に有効である請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、a)〜l)の少なくとも1種の前記症状の治療において、意図した化粧的、皮膚科学的、または薬学的応答を提供するために有効な量の少なくとも1種の化粧的、皮膚科学的、または薬学的活性成分をさらに含有する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1種の活性成分が、皮膚刺激症状または皮膚刺激状態を誘発することが知られている請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記有効量が、前記組成物の約0.0001重量%〜約20重量%であり、及び以下:
a)筋及びしわの減少/防止、
b)皮膚の厚さの増加、及び
c)皮膚の変色の減少
の1以上の治療に有効である請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、a)〜c)の少なくとも1種の前記症状の治療において、意図した化粧的、皮膚科学的、または薬学的応答を提供するために有効な量の少なくとも1種の化粧的、皮膚科学的、または薬学的活性成分をさらに含有する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1種の活性成分が、皮膚刺激症状または皮膚刺激状態を誘発することが知られている請求項53に記載の方法。

【公開番号】特開2009−137984(P2009−137984A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−330(P2009−330)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2004−565537(P2004−565537)の分割
【原出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】