説明

天然紙力剤、及びこれを用いた板紙の製造方法

【課題】製紙業界においては資源の有効利用や環境保護の必要性から、古紙再利用が推進されている。しかし、古紙のリサイクルによりパルプ繊維が微細化し、十分な紙力が得られ難いといった問題が浮上してきている。そこで、環境に配慮するために合成紙力剤の使用量を必要最小限に抑え、その代替として天然物である澱粉を紙力剤として使用しながらも、高いろ水性及び澱粉歩留を発現させることで操業性を落とすことなく高い紙力を発現させ、しかも簡便な設備で実施可能な環境配慮型の製紙方法を提供する。
【解決手段】パルプスラリーに必要最小限のカチオン性合成紙力剤を添加し、次いでアニオン性微粒子を混合した澱粉粒子からなる天然物由来の紙力剤をスラリーの状態で添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成紙力剤の使用量を必要最小限に抑え、天然物である澱粉を紙力剤として使用し、高い強度を有する紙を製造するための環境に配慮した製紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製紙業界においては資源の有効利用や環境保護の必要性から、古紙再利用が推進されている。しかし、古紙のリサイクルによりパルプ繊維が微細化し、十分な紙力が得られ難いといった問題が浮上してきている。
【0003】
このような状況下、紙力を向上させるために様々な方法が採られている。
【0004】
紙力向上効果を得る方法として各種紙力剤を紙料に添加することが一般的に行われている。例えば、カチオン変性ポリアクリルアミド(PAM)、カチオン変性ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)といった合成紙力剤の使用が挙げられる。これらは少量の添加で優れた紙力向上効果を発揮することから特に古紙を多用し、高い強度が要求される板紙の製造に多量に使用されている。しかし、古紙リサイクルの推進により原料となる古紙パルプの品質低下が顕著となっていること、古紙中に含まれる製紙薬品、抄紙時に添加する薬品を起源として発生するアニオントラッシュが合成紙力剤の効果を阻害することなどを理由に、その効果が低い添加量で頭打ちになることが問題となっている。またこれらの合成紙力剤は石油を原料としているため、これらを多量に使用することは環境的に好ましい方法とは言い難い。
【0005】
それに代わる紙力剤としてカチオン性あるいは両性の各種澱粉糊液を添加する方法がある。この方法は天然高分子である澱粉を使用する点で環境的に優れるものの、合成紙力剤と比較して紙力向上効果が低いこと、また多量添加によりろ水性、地合の悪化などを引き起こし、操業性を著しく低下させることなどの問題があり、古紙を多用し、かつ高い強度が要求される板紙の紙力剤としては不適と言える。更に澱粉を糊液にするための糊化装置が必要であるという設備的な問題もある。
【0006】
これらの問題に対し、高い強度が要求される板紙の紙力剤として、アニオン澱粉の表面に高分子量カチオンポリマーを吸着させた、自己定着性澱粉の水性スラリーを添加する方法(特許文献1)が開示されている。この方法は未糊化澱粉の水性スラリーを製紙工程に添加し、乾燥工程の熱を利用して澱粉を糊化させ、紙力を発現させる方法であるため、操業性を悪化させること無く多量添加が可能となり、結果として比較的高い強度の紙を得ることができる。また澱粉糊化装置を必要としないことから簡便な設備で実施可能な紙力剤と言える。しかし、水性スラリーの状態で添加するという特性上、パルプの凝集作用がなく、操業性が重視される場合にはろ水性向上剤や他の紙力剤との併用が必要となる。この他に紙力剤として澱粉粒子を内添する方法として、カチオンポリマー系凝集剤の一部もしくは全部又はアニオン性微粒子の一部または全部に澱粉の不溶性粒子をスラリーとして混合し、カチオンポリマー系凝集剤で紙料を凝集させ、これをファンポンプなどの意図的剪断工程にて分散させた後、ベントナイトのようなアニオン性微粒子の水性懸濁液を添加することで再凝集させる方法(特許文献2)や、澱粉粒子と一種以上の歩留向上剤を混合した紙力剤を内添する方法(特許文献3)が開示されている。しかし、これらの技術においても合成紙力剤に匹敵する強度を得るには澱粉を多量に添加する必要があり排水負荷が増大する恐れがあること、適度な添加率で高い強度を得るには合成紙力剤との併用が不可欠となり設備的に煩雑となること、高分子量の凝集剤を使用することから地合の調節に添加率の厳密なコントロールが必要となり汎用性に欠けること、などの問題点があり課題の解決には至っていない。
【0007】
合成紙力剤を使用せず紙力を向上させるその他の方法として、未糊化の澱粉スラリーを湿紙にスプレーする方法がある。この方法は、澱粉を比較的多く紙に付与することができ、結果として高い強度の紙を得ることができるが、スプレーを間断無く行うためにスプレーノズルやスラリーストレーナーの保守管理を厳密に行なう必要があること、スプレー装置の設置が必要なこと、スプレーされた澱粉スラリーの霧滴が抄紙機を汚しやすいことなどの問題がある。
【0008】
合成紙力剤を使用せず紙力を向上させるその他の方法として、サイズプレスやゲートロールなどの塗布装置により澱粉糊液を紙表面に塗布する方法が挙げられる。しかし、この方法では澱粉を糊化する必要があること、塗布量を増やすために澱粉の粘度を低下させる必要があり、結果として圧縮強度を除いた紙力が得られ難くなること、サイズプレスなどの大掛かりな塗布装置が必要なことなどの難点を有する。
【特許文献1】特許第3578932号公報
【特許文献2】特許第3801629号公報
【特許文献3】特開2004−131851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、合成紙力剤の使用量を必要最小限に抑え、その代替として天然物である澱粉を紙力剤として使用し、高いろ水性及び澱粉歩留を発現させることで操業性を落とすことなく高い紙力を発現させ、しかも簡便な設備で実施可能な環境配慮型の製紙方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究した結果、少量の合成紙力剤を含んだ紙料にアニオン性微粒子を混合した未糊化澱粉をスラリーの状態で添加することで、高いろ水性と澱粉歩留が発現し、更に湿紙中に定着した澱粉粒子が乾燥工程で糊化、分散し、これが合成紙力剤と相乗的な紙力向上効果を発現するため、操業性を悪化させることなく高い強度の紙が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下のとおりである。
[手段1]
本発明の一実施形態に係る製紙方法は、パルプスラリーにカチオン性合成紙力剤を添加し、次いでアニオン性微粒子を混合した澱粉粒子からなる天然紙力剤をスラリーの状態で添加することを特徴としている。
[手段2]
前記手段1に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤の組成は、澱粉/アニオン性微粒子の混合比率として99.95/0.05〜80/20としてもよい。
[手段3]
前記手段1から2に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤は、原料パルプ固形分当たり澱粉分として0.2〜15質量%添加するようにしてもよい。
[手段4]
前記手段1から3に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤を構成する澱粉は、0.001meq/g以上のネットカチオン電荷密度を示すようにしてもよい。[手段5]
前記手段1から4に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤を構成する澱粉は、固形分8%濃度の糊液で、50℃、60rpmにおいて5〜5000mPa・sのB型粘度を有するようにしてもよい。
[手段6]
前記手段1から5に記載のの製紙方法に使用する天然紙力剤を構成するアニオン性微粒子は、ベントナイトを使用してもよい。
[手段7]
前記手段1から6に記載の製紙方法に使用する合成紙力剤の含有量は、原料パルプ固形分当たり0.05〜1.0質量%としてもよい。
[手段8]
前記手段1から7に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤は、混合チェストからファンポンプまでの間の少なくとも1箇所で添加されるようにしてもよい。
[手段9]
前記手段1から7に記載の製紙方法に使用する天然紙力剤は、ファンポンプからヘッドボックスまでの間の少なくとも1箇所で添加されるようにしてもよい。
[手段10]
また、本発明の一実施形態に係る天然紙力剤は、アニオン性微粒子を澱粉粒子に混合した天然紙力剤であって、それらの混合比率が99.95/0.05〜80/20であることを特徴としている。
[手段11]
前記手段10に記載の天然紙力剤を組成する澱粉は、0.001meq/g以上のネットカチオン電荷密度を示すようにしてもよい。
[手段12]
前記手段10から11に記載の天然紙力剤を組成する澱粉は、固形分8%濃度の糊液で、50℃、60rpmにおいて10〜5000mPa・sのB型粘度となるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係る天然紙力剤及びこれを用いた製紙方法によれば、合成紙力剤の使用量を必要最小限に抑え、その代替として天然物である澱粉を紙力剤として使用し、高いろ水性及び澱粉歩留を発現させることで操業性を落とすことなく高い紙力を発現させ、しかも簡潔な設備で実施可能な環境配慮型の紙を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明の製紙方法が、合成紙力剤の使用を最小限に抑えつつ、天然紙力剤を比較的簡単な設備で利用することで高いろ水性と澱粉歩留を発現し、紙力を向上させることができる機構は、以下のとおりであると考えられる。
【0013】
本発明の製紙方法は汎用的に使用される合成紙力剤と、アニオン性微粒子を混合した未糊化澱粉の水性スラリーからなる天然紙力剤との相互作用、及び合成紙力剤と天然紙力剤の紙力向上効果の相乗効果を狙ったものである。紙料中のパルプ繊維にカチオン性の合成紙力剤がイオン的に吸着した紙料に、アニオン性微粒子を混合又は吸着させた澱粉からなる天然紙力剤を添加することで、これらの2つの紙力剤がイオン的な相互作用を発現する。これによりパルプ繊維、合成紙力剤、及び天然紙力剤が凝集を起こし、ろ水性、澱粉歩留、微細繊維の歩留の向上効果を示す。更に、低添加量で紙力増強効果を発現する合成紙力剤の作用と、上記凝集作用により合成紙力剤を介してパルプ繊維に定着した多量の澱粉の作用により高い紙力向上効果が発現し、結果として高い強度の板紙を製造することが可能となる。
【0014】
本発明に使用されるカチオン性合成紙力剤の具体例として、カチオン変性ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリ(メタ)アクリレート、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でも、経済性から見て、カチオン変性ポリアクリルアミド系、例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン性モノマーを共重合せしめた共重合PAM、マンニッヒ変性PAM、ホフマン分解PAMなどが好適である。また、カチオンに加えて、ノニオン、アニオンの置換基を有していても良い。ただし、高分子量になる程、パルプとの凝集性及び後述する天然紙力剤との相互作用による凝集性が強くなり、地合が悪化しやすくなる傾向がある。従って、本発明に使用される合成紙力剤は歩留向上剤として使用されているような高分子量のものではなく、内添用紙力剤として汎用的に使用されている低分子量のもの(25℃、1N NaCl中での固有粘度が3.5dl/g以下のもの)が好ましい。低分子量の合成紙力剤であれば紙料中へ添加しても過剰な凝集を起こさず、安定的な操業を継続することが可能となる。本発明に使用される合成紙力剤は、上記理由により分子量200万以下が好ましい。
【0015】
本発明における合成紙力剤の添加率は原料パルプ固形分当たり0.1から1.0質量%程度が好ましい。添加率が0.1%未満の場合は、天然紙力剤との相互作用が十分でなく、その効果を最大限に発揮できない。また過剰であれば操業性の悪化を引き起こすだけでなく、合成紙力剤の使用量削減につながらない。従って、環境への配慮という目的を重視する場合には0.1〜0.5%がより好ましい。
【0016】
本発明に使用される天然紙力剤とは、澱粉粒子とアニオン性微粒子を混合したものであり、その混合比率はその添加場所を考慮して適宜設定する必要があるが、重量比率として99.95/0.05〜80/20であることが好ましい。澱粉とアニオン性微粒子の混合比率が99.95/0.05以上であれば事前に添加され、パルプ繊維に吸着した合成紙力剤との相互作用を効率的に起こすことが可能である。また、その混合比率が80/20以上になると合成紙力剤との相互作用が過剰に起こり、操業性を悪化させる可能性があること、天然紙力剤中の澱粉分が少なくなることで十分な紙力向上効果が得られ難くなることなどの問題がある。
【0017】
澱粉粒子にアニオン性微粒子を混合した天然紙力剤を得る方法としては澱粉粒子を水に懸濁して水性スラリーとし、アニオン性微粒子のスラリーを接触させ、アニオン性微粒子を澱粉粒子と十分に混合する方法を用いることができ、その具体的手法は格別限定されない。最も簡便な方法は、澱粉の水性スラリーにアニオン性微粒子のスラリーまたは粉末状アニオン性微粒子を添加し、十分攪拌を行なう方法である。また粉末の状態でこれらを事前に混合することも可能である。
【0018】
本発明中の天然紙力剤は、水性スラリーの状態で原料に添加される。天然紙力剤の水性スラリーは、特殊な分散装置を使用する必要はなく、汎用的な攪拌機で調製することができる。また、天然紙力剤の水性スラリーは、その効果を損ねない程度に、糊化澱粉、合成高分子、塩類、消泡剤、防腐剤などを含むこともできる。水性スラリーの澱粉濃度は、特に限定されないが、作業性を考慮すると、澱粉分として1〜40%、好ましくは5〜30%の範囲とすることができる。
【0019】
本発明において、水溶性アルミニウム化合物、サイズ剤、填料、歩留向上剤、ろ水性向上剤など市販の薬品を併用することはなんら差し支えない。
【0020】
本発明における天然紙力剤の添加率は原料パルプ固形分当たり0.2〜15質量%であることが好ましい。添加率が0.2%以下であれば、パルプ繊維に吸着した合成紙力剤との相互作用を十分起こすことができず、澱粉歩留が不十分となり、その結果、目的とする紙力を得ることができない。また、添加率が15%以上となると、紙力向上効果は十分に期待されるが、合成紙力剤との相互作用が必要以上に起こり、地合の悪化を招く恐れがある。このような理由から天然紙力剤の添加率は原料パルプ固形分当たり0.2〜15重量%の範囲内であることが好ましい。
【0021】
本発明中の天然紙力剤に使用される澱粉は、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、ワキシーコーンスターチなどの未加工澱粉、またこれらを原料とした、カチオン化澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉などの処理が施された市販のいずれの澱粉も使用できる。特に、アニオン性微粒子と混合した際に澱粉表面にこれらを吸着でき、また乾燥工程において紙中での糊化・分散性が良好であるよう加工された澱粉を用いることが好ましい。
【0022】
そのような澱粉としてはその粒子表面にカチオン電荷を有する澱粉が好ましく、そのネットカチオン電荷密度は、吸着させるアニオン性微粒子のカチオン要求量も考慮して適宜設定することが好ましいが、一般的には0.001meq/g以上であることが好ましい。ネットカチオン電荷密度が0.001meq/g以上であれば、アニオン性微粒子が良好に吸着し、水性スラリーの状態で紙料に添加された際に、パルプ繊維に吸着した合成紙力剤との相互作用を効率良く起こすことができ、その結果高いろ水性と高い澱粉歩留を得ることができる。カチオン電荷を有する澱粉を得る方法は各種カチオン化剤またはカチオン性高分子により処理するなどがあり、格別限定されない。本発明で言う澱粉のネットカチオン電荷密度とは、25℃で澱粉スラリーをpH6.0に調整し、Sodium Polyethensulphonate(PES−Na)でコロイド滴定を行ない、その滴定量から算出される電荷密度を示す。
【0023】
本発明中の天然紙力剤に使用される澱粉は、固形分濃度8%の糊液で50℃、60rpmにおいて5000mPa・s以下のB型粘度であることが好ましい。糊液粘度が5000mPa・s以上の場合、紙中での澱粉糊液が均一に分散しないため、十分な紙力向上効果が得られない。また、糊液粘度が5mPa・sを下回る場合には高い澱粉歩留を発現しないため、均一に分散はするものの、十分な紙力向上効果は得られない。このように紙中での澱粉の糊化・分散性や澱粉歩留を考慮した場合、本発明中の天然紙力剤に使用する澱粉は、固形分濃度8%の糊液で50℃、60rpmにおいて5〜1000mPa・sのB型粘度であることがより好ましい。
【0024】
本発明中の天然紙力剤に使用される澱粉の最良の形態は、上述の理由から低粘度化処理を施したカチオン性澱粉である。低粘度化の方法としては、酸加水分解、酸化分解、酵素分解など公知の低粘度化方法を採用することができる。
【0025】
本発明中の天然紙力剤に使用されるアニオン性微粒子は、カチオン性合成紙力剤と相互作用可能なものであれば格別限定されない。そのようなアニオン性微粒子の具体例としてはベントナイト、コロイダルシリカ、ポリケイ酸塩ミクロゲル、またはこれらのいずれかのアルミニウム変性物などが挙げられ、市販のいずれのアニオン性微粒子も使用できる。しかし、環境面を配慮した場合、天然物のベントナイトを使用することが好ましい。
【0026】
本発明の天然紙力剤は、合成紙力剤が添加された紙料が抄紙機のワイヤー上を進む間に脱水されシートを形成する抄紙工程の前、すなわちヘッドボックスまでの紙料調成工程において添加することで、その効果を発揮することができる。本発明中の天然紙力剤が効果を発現するための添加場所は、合成紙力剤が添加された後であれば特に限定されない。ファンポンプでの剪断工程の前に添加する場合、特殊な添加装置を必要としないため、設備面でのメリットがあり、また天然紙力剤の効果により過凝集したパルプ繊維がせん断力によって分散されるため、地合を乱すことなく、高い強度の紙を得ることができる。また、ファンポンプでの剪断工程の後に添加する場合、合成紙力剤と天然紙力剤との相互作用の効果が比較的顕著に現れるため、天然紙力剤に混合するアニオン性微粒子の配合量を最小限に抑えることが可能となり、経済的なメリットが期待できる。
【0027】
本発明による製紙方法では、前述の方法で紙料が調成された後、抄紙工程においてろ過、脱水されることでウェットシートが形成され、その後プレス工程、乾燥工程を経て紙が製造される。乾燥工程は、シート中に含有された澱粉粒子が、効果的に糊化・分散するような条件で行なうことが好ましく、例えば、シート内部の温度が50℃以上、より好ましくはシート内部の水分が50%以上の状態でシート内部の温度が70℃以上に達するような乾燥条件で行なうことが望ましい。
【実施例】
【0028】
以下に示す実施形態は、あくまでも本発明の天然紙力剤及びこれを使用した製紙方法の望ましい実施形態の一例を示したものである。本発明は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。尚、以下に示した添加割合を示す「%」は特記しない限り、パルプ固形分に対しての質量基準である。また、以下に記載の「ブランク」は、表1、2に示した内添用紙力剤として示した成分を添加しない以外は、実施例または比較例と同様の処方で調製したサンプルを示す。実施例および比較例において得られた紙料及び紙は、下記の方法により分析した。
ろ水度
JIS P 8121に準じ、カナダ標準ろ水度試験方法により測定した。
比圧縮
JIS P 8126に準じて測定した。
裂断長
JIS P 8113に準じて測定した。
澱粉歩留(動的ろ水歩留試験)
動的ろ水歩留試験により採取したろ液を酵素処理後、アンスロン−硫酸法にてろ液中の澱粉含量を測定し、添加した澱粉量から定着した澱粉量の割合を算出して澱粉歩留とした。
澱粉歩留(抄紙試験)
紙料の一部を採取し離解、酵素処理後、アンスロン−硫酸法にて紙中澱粉含量を測定し、添加した澱粉量から定着した澱粉量の割合を算出して澱粉歩留とした。
想定される添加設備
天然紙力剤等を1つの添加設備のみで添加できる場合は○、2つ以上の添加設備、もしくはそれ以上の設備(澱粉糊化装置等)を必要とする場合は△で表示した。
【0029】
[実施例1]
≪動的ろ水歩留試験≫動的ろ水歩留試験器(ブリットジャー)に60メッシュのワイヤーを取り付け、白水を用いて1.5%濃度に調整した段ボール古紙を分散させ、1200rpmで攪拌しながら硫酸バンド(住友化学工業(株)製)を1.75%添加した。次いで、30秒後にカチオン性合成紙力剤(ポリストロン1224;荒川化学工業(株)製)を0.3%添加し、30秒間攪拌した後、澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)/ベントナイト混合物(混合率92/8)である天然紙力剤を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、さらに30秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。これをさらに10秒間攪拌した後、脱水を開始してその5秒後より30秒間ろ液を採取した。採取したろ液の重量とそのろ液中の澱粉含量より、澱粉歩留を算出した。また、同様の方法で調成した紙料のろ水度を測定した。結果を表1に示した。
【0030】
[実施例2]
天然紙力剤として使用する澱粉をカチオン澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)にした以外はすべて実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0031】
[実施例3]
カチオン性合成紙力剤を星光PMC(株)製DS477にした以外はすべて実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0032】
[実施例4]
合成紙力剤を星光PMC(株)製DS477に、天然紙力剤として使用する澱粉をカチオン澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)にした以外はすべて実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0033】
[実施例5]
実施例1と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンド及び合成紙力剤を添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、さらに30秒後に実施例1と同様の天然紙力剤を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。これをさらに10秒間攪拌した後、脱水を開始してその5秒後より30秒間ろ液を採取した。採取したろ液の重量とそのろ液中の澱粉含量より、澱粉歩留を算出した。また、同様の方法で調成した紙料を用いてろ水度を測定した。その結果を表1に示した。
【0034】
[実施例6]
天然紙力剤として使用する澱粉をカチオン澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)にした以外はすべて実施例5と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0035】
[実施例7]
合成紙力剤を星光PMC(株)製DS477にした以外はすべて実施例5と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0036】
[実施例8]
合成紙力剤を星光PMC(株)製DS477に、天然紙力剤として使用する澱粉をカチオン澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)にした以外はすべて実施例5と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0037】
[比較例1]
実施例1と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンド及び合成紙力剤を添加し、30秒間攪拌した後、澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。これをさらに10秒間攪拌した後、ろ過を開始してその5秒後より30秒間ろ液を採取した。採取したろ液の重量とそのろ液中の澱粉含量より、澱粉歩留を算出した。また、同様の方法で調成した紙料を用いてろ水度を測定した。その結果を表1に示した。
【0038】
[比較例2]
澱粉をカチオン澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)にした以外はすべて比較例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0039】
[比較例3]
澱粉を尿素燐酸化澱粉(スプレット#250;日本食品化工(株)製)のスラリーにカチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を澱粉固形分あたり固形分で0.5%となるように添加して調製した自己定着性澱粉にした以外はすべて比較例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示した。
【0040】
[比較例4]
合成紙力剤を星光PMC(株)製DS477に、澱粉を比較例2と同様のものを用いた以外はすべて比較例1と同様の方法で作った。その結果を表1に示した。
【0041】
[比較例5]
実施例1と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)スラリー中にカチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を澱粉固形分当たり固形分で0.5%となるように添加した澱粉/カチオン性ポリマー混合物を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、30秒間攪拌を続けた後、ベントナイトを0.07%添加し、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。これをさらに10秒間攪拌した後、ろ過を開始してその5秒後より30秒間ろ液を採取した。採取したろ液の重量とそのろ液中の澱粉含量より、澱粉歩留を算出した。また、同様の方法で調成した紙料を用いてろ水度を測定した。その結果を表1に示した。
【0042】
[比較例6]
実施例1と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、カチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を0.01%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、30秒間攪拌を続けた後、澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)/ベントナイト混合物(混合率98.2/1.8)を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として4%添加し、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。これをさらに10秒間攪拌した後、ろ過を開始してその5秒後より30秒間ろ液を採取した。採取したろ液の重量とそのろ液中の澱粉含量より、澱粉歩留を算出した。また、同様の方法で調成した紙料を用いてろ水度を測定した。その結果を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1の結果から、本発明の製紙方法による実施例1〜8は、他の澱粉系紙力剤を用いる比較例1〜6と比較して簡便な方法でかつ高いろ水性及び澱粉歩留が達成されたことがわかる。
【0045】
[実施例9]
≪抄紙試験≫動的ろ水歩留試験器(ブリットジャー)に60メッシュのワイヤーを取り付け、白水を用いて1.5%濃度に調製した段ボール古紙を分散させ、1200rpmで攪拌しながら硫酸バンド(住友化学工業(株)製)を1.75%添加した。次いで、30秒後にカチオン性合成紙力剤(DS477;星光PMC(株)製)を0.3%添加し、30秒間攪拌した後、澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)/ベントナイト混合物(混合率92/8)である天然紙力剤を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、さらに30秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、さらに40秒間攪拌した後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0046】
[実施例10]
澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)を3級カチオン化剤にてカチオン電荷密度が0.01meq/gとなるようにカチオン化し、次いでHClによる酸加水分解処理を行い、50℃、60rpmにおけるB型粘度が500mPa・sとなるようなカチオン化澱粉を試作した。これを原料として調製した天然紙力剤(澱粉/ベントナイト混合物、混合比92/8)を用いて、実施例9と同様の方法で0.7%の紙料を調成した。
【0047】
[実施例11]
澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)を3級カチオン化剤にてカチオン電荷密度が0.01meq/gとなるようにカチオン化し、次いでHClによる酸加水分解処理を行い、50℃、60rpmにおけるB型粘度が100mPa・sとなるようなカチオン化澱粉を試作した。これを原料として調製した天然紙力剤(澱粉/ベントナイト混合物、混合比92/8)を用いて、実施例9と同様の方法で0.7%の紙料を調成した。
【0048】
[実施例12]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンド及び合成紙力剤を添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、さらに30秒後に澱粉(ネオタック#130;日本食品化工(株)製)/ベントナイト混合物(混合率99/1)である天然紙力剤を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、さらに10秒間攪拌した後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0049】
[実施例13]
天然紙力剤として使用する澱粉を実施例10で調製した低粘度カチオン化澱粉に変更した以外はすべて実施例12と同様の方法で行った。
【0050】
[実施例14]
天然紙力剤として使用する澱粉を実施例11で調製した低粘度カチオン化澱粉に変更した以外はすべて実施例12と同様の方法で行った。
【0051】
[実施例15]
天然紙力剤の添加率を3%とした以外はすべて実施例9と同様の方法で行った。
【0052】
[実施例16]
天然紙力剤の添加率を5%とした以外はすべて実施例9と同様の方法で行った。
【0053】
[比較例7]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンド及び合成紙力剤を添加し、30秒間攪拌し、次いで尿素燐酸化澱粉(スターコート#14;日本食品化工(株)製)のスラリーにカチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を澱粉固形分あたり固形分で0.5%となるように添加し、調製した自己定着性澱粉を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、30秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、さらに40秒間攪拌した後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0054】
[比較例8]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、澱粉スラリー中にカチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を澱粉固形分当たり固形分で0.5%となるように添加した澱粉/カチオン性凝集剤混合物を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として2%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、30秒間攪拌を続けた後、ベントナイトを0.07%添加し、さらに10秒間攪拌した後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0055】
[比較例9]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、澱粉スラリー中にカチオン性凝集剤溶液(Percol 292;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)を0.01%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、30秒間攪拌を続けた後、澱粉(コーンスターチY;日本食品化工(株)製)/ベントナイト混合物(混合率98.2/1.8)を5%濃度のスラリーの状態で澱粉分として4%添加し、さらに10秒間攪拌した後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0056】
[比較例10]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、カチオン性合成紙力剤(DS477;星光PMC(株)製)を0.9%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、40秒間攪拌を続けた後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0057】
[比較例11]
実施例9と同様の原料を用い、同様の方法で硫酸バンドを添加し、30秒間攪拌した後、カチオン澱粉糊液(ネオタック#30T;日本食品化工(株)製)を2.0%添加し、60秒間攪拌した後、白水を加えて、700rpmに攪拌力を落とし、40秒間攪拌を続けた後、パルプ濃度0.7%の紙料を調成した。
【0058】
上記実施例、比較例にて得られた紙料を用いて、実験用角型シートマシン(250mm×250mm、熊谷理機工業(株)製)を用い、紙料濃度0.1%にて坪量90g/m2を目標として手抄きシートを作製した。次いで3kg/cm2で1分間のプレスを行なった後、表面温度120℃の回転乾燥機で2分間乾燥し、ライナー原紙を得た。これを23℃、相対湿度50%中で一晩調湿した後、分析を実施した。その結果を表2に示した。
【0059】
【表2】

【0060】
表2から、本発明の製紙方法において製造されたライナー原紙は、その他のものと比較し高い紙力を示していることがわかる。また澱粉歩留やろ水性においても高い数値を示しており、さらに添加設備も簡便なもので済むことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、合成紙力剤と天然紙力剤を併用することで高い紙力増強効果が得られ、最終的に高い強度の紙が得られ、特に、高い紙力が要求される板紙において有用である。さらに合成紙力剤の使用量を必要最小限に抑えられることから、石油を原料とする合成紙力剤の使用量を削減でき、環境循環型社会の構築に大きく寄与することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプスラリーにカチオン性合成紙力剤を添加し、次いでアニオン性微粒子を混合した澱粉粒子からなる天然紙力剤をスラリーの状態で添加することを特徴とする製紙方法。
【請求項2】
天然紙力剤の組成が、澱粉/アニオン性微粒子の混合比率として99.95/0.05〜80/20であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項3】
天然紙力剤を原料パルプ固形分当たり澱粉分として0.2〜15質量%添加することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項4】
天然紙力剤を構成する澱粉が0.001meq/g以上のネットカチオン電荷密度を示すものである請求項1から4のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項5】
天然紙力剤を構成する澱粉が、固形分8%濃度の糊液で、50℃、60rpmにおいて5〜5000mPa・sのB型粘度を有するものである請求項1から5のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項6】
天然紙力剤を構成するアニオン性微粒子がベントナイトであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項7】
合成紙力剤の添加量が原料パルプ固形分当たり0.05〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項8】
天然紙力剤が混合チェストからファンポンプまでの間の少なくとも1箇所で添加されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項9】
天然紙力剤がファンポンプからヘッドボックスまでの間の少なくとも1箇所で添加されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の製紙方法。
【請求項10】
アニオン性微粒子を澱粉粒子に混合した天然紙力剤であって、それらの混合比率が99.95/0.05〜80/20であることを特徴とする天然紙力剤。
【請求項11】
澱粉が0.001meq/g以上のネットカチオン電荷密度を示す請求項10に記載の天然紙力剤。
【請求項12】
澱粉が固形分8%濃度の糊液で、50℃、60rpmにおいて10〜5000mPa・sのB型粘度を有する請求項10、11のいずれか1項に記載の天然紙力剤。

【公開番号】特開2009−120967(P2009−120967A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292684(P2007−292684)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000231453)日本食品化工株式会社 (68)
【Fターム(参考)】