説明

太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機及び太陽光熱利用システム

【課題】吸収器で希釈された稀溶液を、太陽光熱と燃焼による加熱源の何れによっても濃縮できるようにする共に、効率の良い運転を可能にする。
【解決手段】太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機は、太陽光熱を利用して生成された蒸気を熱源とする再生器1と、吸収器6、蒸発器5及び凝縮器4を備え、前記吸収器から前記再生器に流れる稀溶液と前記再生器から前記吸収器に流れる濃溶液とを熱交換させるための熱交換器10を有する。また、燃焼による加熱源により蒸気を生成する手段を備え、この燃焼による加熱源で生成された蒸気と、太陽光熱を利用して生成された蒸気の何れをも前記再生器の熱源として投入可能に構成する。更に、吸収器から再生器に流れる稀溶液の少なくとも一部を、再生器から排出される蒸気ドレンと熱交換させるための蒸気ドレン熱回収器105を設け、蒸気ドレンから熱回収できるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光熱を利用して蒸気を発生させると共に、この蒸気を熱源とする再生器を備える太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機及び太陽光熱利用システムに関し、単効用、二重効用または三重効用の吸収式冷凍機、特に三重効用の蒸気吸収式冷凍機に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
各種熱源を利用して冷熱を得るものとして吸収式冷凍機は広く普及しており、またこの吸収式冷凍機と太陽光熱集熱器とを組み合わせたシステムも実用化されている。
この種従来技術としては、例えば特開2010−190460号公報(特許文献1)に記載のものがある。上記特許文献1のものには、太陽光熱を利用して蒸気を発生させ、この発生蒸気を吸収式冷凍機の作動熱源として利用し、この吸収式冷凍機からの冷熱は空調設備に供給されて空調を行うことが記載されている。
【0003】
また、特開2001−82823号公報(特許文献2)のものにも吸収式冷凍機と太陽光熱集熱器とを組み合わせたシステムが記載されており、この特許文献2のものでは、晴天時には、吸収器で希釈された稀溶液を太陽光熱により加熱してフラッシング再生器で濃縮させ、雨天時等では、吸収器で希釈された稀溶液を高温再生器に送り、バーナ等の燃焼による加熱源で加熱して水分を蒸発させて濃縮することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−190460号公報
【特許文献2】特開2001−082823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のものでは、太陽光熱を利用して吸収式冷凍機を作動させることが開示されているが、夜間や雨天時に吸収式冷凍機を作動させることに関しての配慮はない。
【0006】
また、上記特許文献2のものでは、太陽光熱を利用できない雨天時等ではバーナなどの燃焼による熱源を利用して吸収式冷凍機を作動させることが記載されているものの、太陽光熱とバーナ等の燃焼による加熱源を使用することができるようにするために、高温再生器と、フラッシング再生器の両方を設ける必要があり、コストアップする課題がある。
【0007】
なお、上記特許文献2のものでは、太陽光熱とバーナ等の燃焼による加熱源の何れを用いても、吸収器で希釈された稀溶液を濃縮できるようにすることは開示されているものの、太陽光熱と燃焼による加熱源の両方を使用できるようにした場合に、より効率の良い運転を行うことに関しての配慮は為されていない。
【0008】
本発明の目的は、吸収器で希釈された稀溶液を、フラッシング再生器を設けることなく、太陽光熱と燃焼による加熱源の何れによっても濃縮できるようにする共に、効率の良い運転が可能な太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機及び太陽光熱利用システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、太陽光熱を利用して生成された蒸気を熱源とする再生器と、吸収器、蒸発器及び凝縮器を備え、前記吸収器から前記再生器に流れる稀溶液と前記再生器から前記吸収器に流れる濃溶液とを熱交換させるための熱交換器を有する太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、燃焼による加熱源により蒸気を生成する手段を備え、この燃焼による加熱源で生成された蒸気と、前記太陽光熱を利用して生成された蒸気の何れをも前記再生器の熱源として投入可能に構成していることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記吸収器から前記再生器に流れる稀溶液の少なくとも一部を、前記再生器から排出される蒸気ドレンと熱交換させるための蒸気ドレン熱回収器を設け、前記蒸気ドレンから熱回収できるように構成すると良い。
【0011】
本発明の他の特徴は、太陽光熱を利用して高温の熱媒体を生成する太陽光熱集熱器と、該太陽光熱集熱器で生成された高温の熱媒体から蒸気を発生させる蒸気発生手段とを備える蒸気発生装置を備え、この蒸気発生装置で生成された高温の蒸気を、上記太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機に導くように構成した太陽光熱利用システムにある。
【0012】
ここで、前記太陽光熱集熱器は、太陽光集光部と、該太陽光集光部で集光された太陽光を受光して内部を流通する熱媒体を加熱する太陽光受熱部と、前記太陽光受熱部の周囲を断熱すると共に太陽光は通過するように構成された断熱部とを有するように構成すると良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸収器で希釈された稀溶液を、フラッシング再生器を設けることなく、太陽光熱と燃焼による加熱源の何れによっても濃縮することができ、しかも効率の良い運転も可能な太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機及び太陽光熱利用システムを得ることができる。また、本発明により冷凍機の効率が向上した分、冷凍機を駆動する蒸気量を削減でき、再生可能なエネルギーである太陽光熱から蒸気を発生させる高価な太陽光熱集熱器の集熱面積を削減することも可能になり、太陽光熱集熱器による蒸気発生部と吸収式冷凍機部とを統合した太陽光熱利用システム全体の設備費と運転費を最小にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の太陽光熱利用システムの一例を示す系統図で、昼の運転モードを説明する図。
【図2】図1に示す太陽光熱利用システムの系統図で、夜の運転モードを説明する図。
【図3】本発明の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の実施例1を示す系統図。
【図4】図3に示す高温再生器付近の詳細構成を説明する要部の系統図。
【図5】図3の要部系統図である図4に相当する図で、図4とは異なる例を説明する図。
【図6】太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の具体例を説明する系統図。
【図7】本発明の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の実施例2を示す系統図。
【図8】本発明の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の実施例2を示す系統図で、図7とは異なる例を示す図。
【図9】夜の運転モードと昼の運転モードにおいて、蒸気ドレン熱回収器から流出する蒸気ドレン温度に対するボイラ効率、吸収式冷凍機効率及び太陽光集熱器効率をそれぞれ指数で表し、またそのときの冷熱出力値を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機及び太陽光熱利用システムの具体的実施例を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【実施例1】
【0016】
図1、図2により、本発明の太陽光熱利用システムの一例を説明する。図1において、11は太陽光熱を集熱する太陽光熱集熱器である。前記太陽光熱集熱器11は、例えば集光機構としての断面が放物線形状をなすトラフ型の反射鏡によって太陽光を集熱管に向けて集光する太陽光集光部と、前記集熱管の内部を流通する熱媒体にエネルギーを伝達するようにした太陽光受熱部と、前記集熱管の外周を、断熱空間を形成して覆う透明の断熱管(断熱部)とから構成されている。前記太陽光熱集熱器11に温水タンク12からの温水或いは水などの熱媒体を循環ポンプ13により導入し、この太陽光熱集熱器11では太陽光熱により例えば220〜250℃程度の高温水(圧力は例えば2MPa以上)、または高温水と高温蒸気の混合流体が生成され、この高温水、または高温水と高温蒸気の混合流体(熱媒体)は蒸気発生手段(セパレータ)14に送られる。蒸気発生手段14に流入した高温水、または高温水と高温蒸気の混合流体は若干、例えば1.9MPa程度に減圧されることで、例えば212℃の蒸気と温水に分離され、この蒸気は吸収式冷凍機15に供給されて、その作動熱源となる。一方、前記蒸気発生手段14の下部に溜まった温水は循環ポンプ16によって前記太陽光熱集熱器11に送られ、太陽光熱により再び加熱される。
【0017】
前記吸収式冷凍機15で、稀溶液の濃縮に使用された蒸気は、例えば195℃の蒸気ドレンとなり、前記温水タンク12に、また場合によっては直接太陽光熱集熱器11に送られる。
前記吸収式冷凍機15には空調機18が冷水配管で接続されており、空調機18から例えば15℃で流入する水を吸収式冷凍機15の蒸発器5で約7℃まで冷却し、その後この冷水は再び前記空調機18に供給されて、室内などを冷房する。
【0018】
また、前記吸収式冷凍機15にはクーリングタワーなどから例えば34℃の冷却水が供給され、吸収式冷凍機15を構成する吸収器6や凝縮器4と熱交換して例えば39℃まで加熱されて再び前記クーリングタワーなどに戻される。なお、1は再生器である。
【0019】
19は高温水又は高温蒸気を生成するためのボイラであり、夜間や雨天などの天候不順のために、前記太陽光熱集熱器11で太陽光熱により高温水等を生成できない場合のバックアップとして設けられている。このボイラは、バーナ等の燃焼による加熱源を使用して高温の蒸気を生成し、前記蒸気発生手段14に供給するように構成されている。
なお、20a〜20d、21、22a、22bはそれぞれの配管に設けられた開閉弁である。
【0020】
上述した図1に示す太陽光熱利用システムは、太陽光熱を利用可能な昼の運転モードを示しており、図1に示す例では温水配管に設けられている前記開閉弁20a,20b,20dは開状態に制御され、開閉弁20cは閉状態とされて、ボイラ19へは温水が流れないようにし、ボイラは停止された状態となっている。
【0021】
また、前記吸収式冷凍機15からの蒸気ドレンの出口側に設けられている前記開閉弁21は、前記吸収式冷凍機15を作動させる場合には開とされ、吸収式冷凍機15を停止させる場合には閉とされる弁である。更に、前記吸収式冷凍機15と前記空調機18とを接続している冷水配管に設けられている前記開閉弁22a,22bは、空調機を使用する場合には開とされ、停止させる場合には閉とされる。
【0022】
上記太陽光熱利用システムにおいて、夜間など太陽光熱により高温水等を生成できない場合の運転モード(以下、夜の運転モードという)を図2により説明する。
夜の運転モードでは、図2に示すように、温水を太陽光熱集熱器11に送るための温水配管に設けられた開閉弁20a,20b,20dは閉状態に制御され、ボイラ19に温水を送る温水配管に設けられている開閉弁20cは開状態に制御される。また、前記ボイラ19には燃料が投入されて該ボイラは駆動され、温水タンク12から循環ポンプ13によりボイラ19に供給された温水を加熱して高温の蒸気、例えば1.9MPaの蒸気を生成する。この蒸気は蒸気発生手段14を通って前記吸収式冷凍機15に供給されて、その作動熱源となる。前記吸収式冷凍機15で、稀溶液の濃縮に使用された蒸気は、蒸気ドレンとなり、再び前記温水タンク12に戻される。
【0023】
なお、図1及び図2に示す例では、太陽光熱集熱器11で高温水、または高温水と高温蒸気の混合流体、即ち高温の熱媒体を生成し、蒸気発生手段(セパレータ)14で蒸気と温水に分離して、この蒸気を吸収式冷凍機15に供給する構成としているが、本発明はこのような方式に限られるものではない。例えば、蒸気発生手段14内に伝熱管を配置し、この伝熱管に前記太陽光熱集熱器11で生成された高温の熱媒体(水や水以外の流体)を流し、一方前記蒸気発生手段14には前記吸収式冷凍機15で利用された蒸気ドレン(温水)を導き、この蒸気ドレンと前記伝熱管内を流れる高温の熱媒体とを熱交換させる。伝熱管内を流れる高温の熱媒体により蒸気発生手段14内の蒸気ドレンを加熱することで高温の蒸気を発生させ、この高温蒸気を前記吸収式冷凍機15に再び供給する、という構成にしても良い。
【0024】
次に、図3及び図4により、図1及び図2に示した吸収式冷凍機15の構成を説明する。図3は本発明の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の実施例1を示す系統図、図4は図3に示す高温再生器付近の詳細構成を説明する要部の系統図である。
【0025】
図3に示す本実施例の吸収式冷凍機15は、高温再生器1、中温再生器2、低温再生器3を備え、前記高温再生器1には、前述したように、例えば1.9MPaの圧力で温度が212℃の蒸気が投入される蒸気三重効用吸収式冷凍機で構成されている。また、吸収器6からの稀溶液は稀溶液ポンプ(溶液循環ポンプ)70により、前記高温再生器1、中温再生器2及び低温再生器3のそれぞれに並列的に供給される、いわゆるパラレルフローサイクルに構成されている。更に、前記高温再生器1、中温再生器2及び低温再生器3で濃縮された溶液(濃溶液)は濃溶液ポンプ(溶液散布ポンプ)81により前記吸収器6に戻され散布される。
【0026】
前記高温再生器1で稀溶液から分離された冷媒蒸気は中温再生器2に送られて中温再生器2内の稀溶液を加熱した後、中温ドレン熱交換器95及び低温ドレン熱交換器85を通ることで、中温再生器2に供給される稀溶液の一部及び低温再生器3に供給される稀溶液の一部を加熱し、その後凝縮器4に送られて冷却水により凝縮される。
【0027】
前記中温再生器2で稀溶液から分離された冷媒蒸気は低温再生器3に送られて低温再生器3内の稀溶液を加熱した後、低温ドレン熱交換器85を通ることで、低温再生器3に供給される稀溶液の一部を加熱し、その後前記凝縮器4に送られて冷却水により凝縮される。
【0028】
また、8は前記吸収器6から出た稀溶液と前記吸収器6へ供給される濃溶液とを熱交換させる低温熱交換器、9は前記低温熱交換器8で加熱された稀溶液と前記中温再生器2からの濃溶液とを熱交換させる中温熱交換器、10は前記低温熱交換器8で加熱された稀溶液と前記高温再生器1からの濃溶液とを熱交換させる高温熱交換器である。
【0029】
前記凝縮器4で凝縮された液冷媒は蒸発器5に送られ、冷媒ポンプ55で散布されて蒸発器5内を流れる冷水から熱を奪って蒸発し、前記吸収器6に流れて溶液に吸収される。前記蒸発器5を流れる冷水は、例えば15℃で蒸発器5に流入して7℃まで冷却され、その後前記空調機18(図1参照)などに供給される。
【0030】
前記吸収器6には、クーリングタワーなどから、この例では34℃の冷却水が供給されて吸収器を冷却し、その後前記冷却水は前記凝縮器4に流れて冷媒蒸気を冷却し、自らは39℃程度まで加熱されて再び前記クーリングタワーなどに戻されるように構成されている。
【0031】
前述したように、前記高温再生器1には、1.9MPaで温度が212℃の蒸気が投入され、この熱により高温再生器1内の溶液を濃縮した後、前記蒸気は高温再生器1から蒸気ドレンとなって流出する。しかし、その蒸気ドレンの温度は200℃近い高温状態にあるため、本実施例では更に蒸気ドレン熱回収器105を設けており、前記高温熱交換器10の上流側からバイパス配管P13により稀溶液を導き、該稀溶液を前記蒸気ドレン熱回収器105で加熱して熱回収した後、この稀溶液を前記高温再生器1に導入するように構成している。その結果、前記蒸気ドレン熱回収器105から流出する蒸気ドレンの温度を90℃以下となるまで熱回収できる。
【0032】
前記蒸気ドレン熱回収器105による熱回収の効果は、特に上記図2に示す夜の運転モードの場合に効果が大きい。夜の運転モードでは、供給される燃料を燃焼させてボイラ19により蒸気を生成するが、200℃近い温水を加熱するよりも、前記蒸気ドレン熱回収器105で冷却されて90℃以下になった温水を加熱した方がボイラの熱効率は大幅に向上する。また、蒸気ドレン熱回収器105でも十分に熱回収ができるため、システム全体の効率を向上できる。
【0033】
しかし、図1に示す昼の運転モードでは太陽光熱で高温水を生成するため燃料の消費はない。このため前記蒸気ドレン熱回収器105で熱回収するメリットは小さい。しかも、吸収式冷凍機15単独で見た場合には、前記高温熱交換器10で、前記高温再生器1に供給される稀溶液の全てを、高温再生器1からの高温の濃溶液で加熱した方が、濃溶液の温度をより低下させることができるので、吸収式冷凍機15の効率を向上させることができる。
【0034】
図9は、夜の運転モードと昼の運転モードにおいて、前記蒸気ドレン熱回収器105から流出する蒸気ドレン温度に対するボイラ効率、吸収式冷凍機効率及び太陽光熱集熱器効率をそれぞれ指数で表し、またそのときの冷熱出力値を示す線図である。夜の運転モードでは、蒸気ドレン温度が120℃近辺のとき最高の冷熱出力が得られ、一方昼の運転モードでは、蒸気ドレン温度が200℃近辺となるときに最高の冷熱出力が得られることがわかる。
【0035】
そこで、本実施例では、図4に示すように、前記高温熱交換器10をバイパスして蒸気ドレン熱回収器105に流れる稀溶液のバイパス配管P13の前記蒸気ドレン熱回収器入口側に電磁弁または流量調整可能な電動弁26を設ける。また、前記蒸気ドレン熱回収器105が設けられている蒸気ドレンが流れる配管P12には、前記蒸気ドレン熱回収器105をバイパスするようにバイパス配管P14を設け、このバイパス配管P14にも電磁弁または流量調整可能な電動弁27を設ける。更に、前記配管P12のバイパス配管P14分岐部と蒸気ドレン熱回収器105との間にも電磁弁または流量調整可能な電動弁28を設ける。
【0036】
これらの弁(電磁弁または電動弁)26〜28は、制御装置29により開閉制御、或いは開度制御ができるように構成されている。また、前記バイパス配管P14が合流する前記蒸気ドレン熱回収器105下流側の配管P12には、そこを流れる蒸気ドレンの温度を検出するための温度検出器30が設けられている。
【0037】
前記制御装置29には、前記温度検出器30からの温度情報と、図1に示す太陽光熱利用システム(ボイラ含む)からの運転情報が入力され、この制御装置29は、例えば次のように前記弁26〜28を制御する。
図1に示す太陽光熱を利用して蒸気を生成する昼の運転モードの場合には、制御装置29により、前記弁26と28は閉じられ、弁27は開となるように制御される。これにより、高温再生器1から出た蒸気ドレンは例えば195℃で温水タンク12に戻され、該温水タンク12の温水は循環ポンプ13により太陽光熱集熱器11に供給されて、太陽光熱により例えば220〜250℃の高温水となるように加熱される。これにより、吸収式冷凍機15の前記高温再生器1には例えば212℃の蒸気が供給されるという循環を繰り返す。
【0038】
図2に示す夜の運転モードの場合には、太陽光熱は利用されず、燃焼による加熱源により、ボイラで蒸気が生成されるので、この場合にはボイラ効率が向上するように制御装置29は制御を行う。即ち、前記弁26〜28が電磁弁(開閉弁)で構成されている場合には、前記弁26と28を開き、弁27を閉じるように制御する。これによって高温の蒸気ドレンから蒸気ドレン熱回収器105により熱回収して高温再生器1に供給される稀溶液の温度を上昇させることができる。また、蒸気ドレンの温度も例えば90℃以下になるまで熱回収でき、前記ボイラ19には低い温度の温水を供給できるからボイラ効率を向上できる。
【0039】
前記弁26〜28を流量調整可能な電動弁とした場合には、ボイラ効率と吸収式冷凍機の効率を合わせた効率がより向上するように制御することもできる。即ち、前記蒸気ドレン熱回収器105での熱回収量を多くするほどボイラ効率は向上するが、前記高温熱交換器10での熱交換量は減少するから、高温再生器1からの濃溶液を前記高温熱交換器10で十分に冷却することができなくなり、吸収式冷凍機15の効率は低下する。
【0040】
そこで、ボイラ効率と吸収式冷凍機の効率を合わせた全体の効率と前記温度検出器30で検出される温度との関係を予め実験や解析で求めておき、温度検出器30で検出される温度が、ボイラ効率(燃焼による加熱源の効率)と吸収式冷凍機の効率を合わせた全体の効率がより向上する所定の温度範囲となるように、制御装置29により前記弁26〜28を制御する。このように構成することにより、ボイラ効率と吸収式冷凍機の効率を合わせた効率がより向上するように制御することが可能となる。
【0041】
図5は、図3に示す高温再生器1付近の詳細構成を説明する要部の系統図である図4に相当する図で、図4とは異なる例を説明する図である。この例では、図4に示すバイパス配管P13は設けず、前記高温熱交換器10通過後の稀溶液を、前記蒸気ドレン熱回収器105に経由させて蒸気ドレンから熱回収した後、前記高温再生器1に流入させるように稀溶液が流れる配管P2を構成したものである。
【0042】
この図5に示す例とすることにより、高温再生器1に送られる稀溶液を、高温熱交換器10で高温再生器1からの濃溶液と熱交換した後、更に蒸気ドレン熱回収器105で蒸気ドレンからも熱回収することができる。従って、高温再生器1からの濃溶液及び蒸気ドレンの両方から熱回収できるので、吸収式冷凍機の効率を低下させることなく、蒸気ドレンからも熱回収できる。また、この例では前記弁26〜28や前記制御装置29も不要であり、簡単な構成で、特に図2に示す夜の運転モードにおける効率向上を図ることができる。
【0043】
次に、図6により太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機の好ましい具体例を説明する。図6に示す本実施例の三重効用吸収式冷凍機は、高温再生器1、中温再生器2、低温再生器3、凝縮器4、蒸発器5、冷媒ポンプ55、吸収器6、稀溶液ポンプ70、濃溶液ポンプ81、低温熱交換器8、中温熱交換器9、高温熱交換器10、低温ドレン熱交換器85、中温ドレン熱交換器95、蒸気ドレン熱回収器105、及びこれらの機器を結ぶ溶液配管及び冷媒配管などから構成されている。本実施例においては、冷凍機の冷媒には水、吸収剤には臭化リチウムが用いられている。
【0044】
次に、この冷凍機の詳細構成を運転中の動作と共に説明する。
冷房に供される冷水は、蒸発器5で冷媒の蒸発熱によって冷却されて配管59から冷房負荷系に送られる。このとき発生した冷媒蒸気は、吸収器6の溶液によって吸収される。この吸収によって蒸発器内の圧力と蒸発温度とが低圧、低温に維持される。なお、本実施例では、蒸発器5及び吸収器6は、2段蒸発吸収型の構成となっている。即ち、上段側の蒸発部5aで蒸発した冷媒蒸気は、上段側の吸収部6a、下段側の蒸発部5bで蒸発した冷媒蒸気は下段側の吸収部6bでそれぞれ吸収される。この構成により、冷凍機の運転効率を一層向上している。
【0045】
吸収器6では、高温再生器1、中温再生器2、低温再生器3の各再生器で過熱濃縮された溶液、即ち濃溶液が配管P3により供給され伝熱管群63上に滴下される。滴下された濃溶液は、吸収器6内の伝熱管群63内を流れる冷却水によって冷却されると共に冷媒蒸気を吸収し、濃度のより薄い溶液、即ち稀溶液となって吸収器6の下部に滞留する。
この稀溶液は、稀溶液ポンプ70によって配管P2により分岐され、低温熱交換器8及び低温ドレン熱交換器85に送られる。
【0046】
低温熱交換器8に送られた稀溶液は、吸収器6に流入する濃溶液と熱交換して温度上昇する。一方、低温ドレン熱交換器85に送られた稀溶液は、低温再生器3内で凝縮した冷媒液及び中温再生器2から中温ドレン熱交換器95を通過した冷媒液と熱交換して温度上昇する。その後、これらの稀溶液は一旦合流し、再び分岐して、一部は配管P6により低温再生器3に、他の一部は中温熱交換器9に、残りは中温ドレン熱交換器95に送られる。前記低温ドレン熱交換器85で稀溶液と熱交換して温度低下した冷媒液は、配管P7により凝縮器4に導かれる。
【0047】
中温再生器2で発生した冷媒蒸気は配管P4を経由して伝熱管群33に送られる。低温再生器3に送られた稀溶液は、前記伝熱管群33で過熱濃縮されて濃度の濃い溶液、即ち濃溶液となる。この濃溶液は、配管P8により高温再生器1及び中温再生器2からの配管P3’,P10を流れる濃溶液と合流し、濃溶液ポンプ81によって、低温熱交換器8を経由して配管P3により吸収器6へ送られる。低温再生器3で発生した冷媒蒸気は、凝縮器4に送られ、そこで凝縮伝熱管43内を流れる冷却水によって冷却されて凝縮し、低温ドレン熱交換器85で稀溶液と熱交換した冷媒液と共に配管P9により蒸発器5へ送られる。
【0048】
一方、中温熱交換器9に送られた稀溶液は、高温再生器1、中温再生器2からの濃溶液と熱交換して更に温度上昇する。また、中温ドレン熱交換器95に送られた稀溶液は、中温再生器2内で凝縮した冷媒液と熱交換して温度上昇する。そして、これらの稀溶液は一旦合流し、再び分岐して、一部は配管P11により中温再生器2に、残りは高温熱交換器10及び蒸気ドレン熱回収器105に送られる。前記蒸気ドレン熱回収器105に稀溶液を送るバイパス配管P13には弁(電磁弁または電動弁)26が設けられている。
中温ドレン熱交換器95で稀溶液と熱交換して温度を下げた冷媒液は、低温再生器3内で凝縮した液冷媒と合流して低温ドレン熱交換器85に送られる。
【0049】
高温再生器1で発生した冷媒蒸気は配管P5を経由して伝熱管群53に送られる。そして、そのとき配管P11により中温再生器2に送られた稀溶液は、冷媒蒸気の凝縮熱によって過熱濃縮されて濃溶液となり、フロートボックス24にオーバーフローする。フロートボックス24内にはフロートバルブ25が設置されている。このフロートバルブ25は、フロートボックス24内の濃溶液の液位によって、中温再生器2に送られる稀溶液量を調節する流量調整手段となっている。フロートボックス24内の濃溶液は、配管P10により高温再生器1で過熱濃縮された濃溶液の配管P3’と合流して、中温熱交換器9の高温側流路に導かれる。
【0050】
中温再生器2の加熱に用いられて管内で凝縮した冷媒は、配管P5’により中温ドレン熱交換器95に送られて、稀溶液を顕熱で加熱した後に、低温再生器3で凝縮した冷媒液と合流し、低温ドレン熱交換器85を経て凝縮器4に送られる。また、中温再生器2で発生した冷媒蒸気は低温再生器3に送られ、ここで低温再生器3に流入した稀溶液を過熱濃縮する。
【0051】
一方、前記高温熱交換器10に送られた稀溶液は、高温再生器1からの濃溶液と熱交換して更に温度上昇する。また、蒸気ドレン熱回収器105に送られた稀溶液は、高温再生器1の加熱に用いられた後の蒸気ドレンと熱交換して温度上昇する。そして、これらの稀溶液は合流してフロートボックス24a内に設置されたフロートバルブ25aを介して高温再生器1に流入する。このフロートバルブ25aは、フロートボックス24a内の濃溶液の液位によって高温再生器1に送られる稀溶液量を調節する流量調整手段となっている。
【0052】
本実施例では、前記高温再生器1には配管P12より供給された蒸気を熱源とし溶液を過熱濃縮する構成としている。そして、前記配管P12から前記高温再生器1に供給される蒸気は、図1に示すボイラを含む太陽光熱利用システムから供給されるものである。また、前記配管P12から分岐して前記蒸気ドレン熱回収器105をバイパスするバイパス配管P14には弁(電磁弁または電動弁)27が、更に前記バイパス配管P14分岐後の配管P12の前記熱回収器105入口側には弁(電磁弁または電動弁)28が設けられている。これらの弁26〜28は、上記図4で説明したように、昼の運転モード或いは夜の運転モードに応じて制御される。
【0053】
高温再生器1に流入した稀溶液は、前記熱源蒸気との熱交換によって過熱濃縮されて濃溶液となった後、フロートボックス24aに送られ、そこから、前記高温熱交換器10に送られる。高温熱交換器10では、濃溶液は高温再生器1に流入する稀溶液と熱交換して温度低下した後、中温再生器2で過熱濃縮された濃溶液と合流し、更に中温熱交換器9に送られる。高温再生器1で発生した冷媒蒸気は、配管P5により中温再生器2に送られて、中温再生器2の稀溶液を過熱濃縮して管内で凝縮した後、配管P5’により中温ドレン熱交換器95に導かれる。
【0054】
以上説明したように、本実施例の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機では、太陽光熱を利用するため200℃以上の高温蒸気を得ることができるので、三重効用の蒸気吸収式冷凍機と組み合わせることにより、効率の高い太陽光熱利用システムを得ることができる。また、従来のように、フラッシング再生器を設ける必要がなく、太陽光熱と燃焼による加熱源の何れによっても、吸収器で希釈された稀溶液を濃縮することができる。しかも、高温再生器で熱交換した後の蒸気ドレンからも蒸気ドレン熱回収器により熱回収するようにしているので、特に燃焼による加熱源により蒸気を生成して吸収式冷凍機を運転する場合の効率を大幅に向上できる。
【0055】
更に、上述した弁26〜28を設けることにより、太陽光熱を利用して生成された蒸気を使用して吸収式冷凍機を運転する場合には、前記蒸気ドレン熱回収器105での熱回収を行わないようにし、前記高温熱交換器10で高温の濃溶液から熱回収することにより、太陽光熱利用時でも吸収式冷凍機の効率を向上できる。
【0056】
また、前記弁26〜28を開度調整可能な電動弁とし、蒸気ドレン熱回収器下流の蒸気ドレン温度を検出して前記弁を制御することで、ボイラ(燃焼による加熱源)の運転効率と吸収式冷凍機の運転効率とを合わせた総合効率がより高くなるように制御することも可能になる。
【0057】
なお、上述した実施例では、蒸気ドレン熱回収器105での熱回収を制御するのに3つの弁26〜28を設けているが、上記弁27は必ずしも必要ではない。また、上記弁28を設けることにより、蒸気ドレン熱回収器105に稀溶液を流さない場合に、高温の蒸気ドレンも前記熱回収器105に流さないようにすることができる。これにより、前記熱回収器105に残存している溶液が結晶化するのを防止できる効果がある。
【0058】
なお、図6に示した実施例では、前記中温熱交換器9から出た稀溶液の一部を前記中温再生器2へ分岐し、残りの稀溶液を前記高温熱交換器10に流入させ、また高温熱交換器10から出た濃溶液は、中温再生器2から出た濃溶液と合流して中温熱交換器9に流入する構成としている。これに対し、図3に示したものでは、前記低温熱交換器8から出た稀溶液は、前記低温再生器3、前記中温熱交換器9及び前記高温熱交換器10のそれぞれに分岐して流入する構成としている。また、高温熱交換器10から出た濃溶液、中温熱交換器9から出た濃溶液、及び低温再生器3から出た濃溶液を合流させた後前記低温熱交換器8に流入させる構成としている。このような図3に示す配管構成とした場合でも図6に示したものと同様な効果を得ることができる。
【実施例2】
【0059】
実施例1では、本発明を三重効用の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機に適用した場合について説明したが、本発明は、三重効用のものに限定されるものではなく、二重効用、或いは単効用(一重効用)の吸収式冷凍機にも同様に適用できるものである。
単効用の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機に適用した場合の実施例を図7により説明する。図7において、図3と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示しているので、重複する説明は省略する。
【0060】
図7において、図3と異なるところは、再生器1が一つだけであり、このため、図3に示す三重効用の場合の中温再生器2や低温再生器3はなく、更に、高温熱交換器10、中温熱交換器9、中温ドレン熱交換器95、低温ドレン熱交換器85なども備えられていない。
【0061】
前記再生器1には、実施例1と同様に、ボイラを含む太陽光熱利用システムからの蒸気が投入される。この場合の蒸気は、例えば圧力が0.1MPaで120℃の蒸気が使用される。
【0062】
吸収器6からの稀溶液は稀溶液ポンプ(溶液循環ポンプ)70により、前記再生器1に供給される。また、再生器1で前記蒸気により濃縮された溶液(濃溶液)は濃溶液ポンプ(溶液散布ポンプ)81により前記吸収器6に戻され散布される。
【0063】
前記再生器1で稀溶液から分離された冷媒蒸気は凝縮器4に送られて冷却水により凝縮される。8は前記吸収器6から出た稀溶液と前記吸収器6へ供給される濃溶液とを熱交換させる低温熱交換器である。前記凝縮器4で凝縮された液冷媒は蒸発器5に送られ、冷媒ポンプ55で散布されて蒸発器5内を流れる冷水から熱を奪って蒸発し、前記吸収器6に流れて溶液に吸収される。前記蒸発器5を流れる冷水は、例えば15℃で蒸発器5に流入して7℃まで冷却され、その後前記空調機18(図1参照)などに供給される。
【0064】
前記吸収器6には、クーリングタワーなどから、この例では34℃の冷却水が供給されて吸収器6を冷却し、その後前記冷却水は前記凝縮器4に流れて冷媒蒸気を冷却し、自らは39℃程度まで加熱されて再び前記クーリングタワーなどに戻されるように構成されている。
【0065】
前述したように、前記再生器1には、0.1MPaで温度が120℃の蒸気が投入され、この熱により再生器1内の溶液を濃縮した後、前記蒸気は再生器1から蒸気ドレンとなって流出する。しかし、その蒸気ドレンの温度は100℃前後の高温状態にあるため、この実施例2でも実施例1と同様に蒸気ドレン熱回収器105を設けており、前記熱交換器8の上流側からバイパス配管P13により稀溶液を導き、該稀溶液を前記蒸気ドレン熱回収器105で加熱して熱回収した後、この稀溶液を前記再生器1に導入するように構成している。その結果、前記蒸気ドレン熱回収器105から流出する蒸気ドレンの温度を90℃以下となるまで熱回収できる。
【0066】
前記蒸気ドレン熱回収器105周辺の構成は、実施例1で説明した上記図4や図5と同じように構成し、或いは制御することで、同様の効果を得ることができる。
このように、本発明は単効用の吸収式冷凍機にも同様に適用でき、更に図8に示すような二重効用の吸収式冷凍機にも同様に適用できるものであり、三重効用の場合と比較すると吸収式冷凍機の効率は低下するものの、ほぼ同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、図8において、前述した図7や図3に示すものと同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示しており、構成も類似しているので、詳しい説明は省略する。
また、上述した各実施例では、吸収式冷凍機のサイクル構成がパラレルフロー方式となっているもので説明したが、本発明はパラレルフロー方式に限定されるものではなく、シリーズフロー方式やリバースフロー方式を採用した多重効用サイクル(三重効用サイクルや二重効用サイクルなど)の吸収式冷凍機にも同様に適用可能である。更に、本発明における吸収式冷凍機は、冷水を製造する冷凍機に限定されるものでもなく、冷水のみならず温水も製造する吸収式冷温水機にも同様に適用できるものであり、吸収式冷凍機には吸収式冷温水機も含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1…高温再生器(再生器)、2…中温再生器、3…低温再生器、4…凝縮器、5…蒸発器、6…吸収器、8…低温熱交換器、9…中温熱交換器、10…高温熱交換器、11…太陽光熱集熱器、12…温水タンク、13,16…循環ポンプ、14…蒸気発生手段(セパレータ)、15…吸収式冷凍機、18…空調機、19…ボイラ、20a〜20d,21,22a,22b…開閉弁、24、24a…フロートボックス、25、25a…フロートバルブ、26〜28…弁(電磁弁または電動弁)、29…制御装置、30…温度検出器、33、34、43、53、63…伝熱管、55…冷媒ポンプ、59…冷水配管、5a…上段側蒸発器、5b…下段側蒸発器、6a…上段側吸収器、6b…下段側吸収器、70…稀溶液ポンプ(溶液循環ポンプ)、81…濃溶液ポンプ(溶液散布ポンプ)、85…低温ドレン熱交換器、95…中温ドレン熱交換器、105…蒸気ドレン熱回収器、P1〜P12…配管、P13,P14…バイパス配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光熱を利用して生成された蒸気を熱源とする再生器と、吸収器、蒸発器及び凝縮器を備え、前記吸収器から前記再生器に流れる稀溶液と前記再生器から前記吸収器に流れる濃溶液とを熱交換させるための熱交換器を有する太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、
燃焼による加熱源により蒸気を生成する手段を備え、この燃焼による加熱源で生成された蒸気と、前記太陽光熱を利用して生成された蒸気の何れをも前記再生器の熱源として投入可能に構成していることを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記吸収器から前記再生器に流れる稀溶液の少なくとも一部を、前記再生器から排出される蒸気ドレンと熱交換させるための蒸気ドレン熱回収器を設け、前記蒸気ドレンから熱回収できるように構成していることを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、稀溶液と濃溶液とを熱交換させる前記熱交換器の上流側から稀溶液の少なくとも一部を分岐させて前記蒸気ドレン熱回収器を経由させて熱回収した後、前記稀溶液を前記熱交換器の下流側に戻すバイパス配管を設けたことを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項4】
請求項3に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記熱交換器の上流側から稀溶液の少なくとも一部を分岐させて前記蒸気ドレン熱回収器に導く前記バイパス配管に弁を設け、更に前記蒸気ドレンが流れる配管には前記蒸気ドレン熱回収器をバイパスするようにバイパス配管を設け、このバイパス配管の分岐部と前記蒸気ドレン熱回収器入口との間の前記配管にも弁を設けたことを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記バイパス配管に設けた弁と、前記蒸気ドレンが流れる配管に設けた弁とは、太陽光熱により生成された蒸気が前記再生器に投入される場合には閉じられ、燃焼による加熱源により生成された蒸気が前記再生器に投入される場合には開かれるように制御されることを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記バイパス配管に設けた弁と、前記蒸気ドレンが流れる配管に設けた弁を流量調整可能な電動弁で構成し、前記蒸気ドレン熱回収器下流側の蒸気ドレンが流れる前記配管には蒸気ドレンの温度を検出する温度検出器を設け、この温度検出器で検出される温度が予め決められた所定の温度範囲となるように前記電動弁を制御する制御装置を備えていることを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項7】
請求項6に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記制御装置は、燃焼による加熱源の効率と、吸収式冷凍機の効率を合わせた全体の効率がより向上する所定の温度範囲になるように前記電動弁を制御することを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項8】
請求項2に記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、稀溶液と濃溶液とを熱交換させる前記熱交換器の下流側の稀溶液が流れる配管を、前記蒸気ドレン熱回収器を経由させた後前記再生器に導く構成としたことを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記吸収式冷凍機は、高温再生器、中温再生器及び低温再生器を備える三重効用の吸収式冷凍機であることを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項10】
請求項3〜7の何れかに記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機において、前記吸収式冷凍機は、高温再生器、中温再生器及び低温再生器を備える三重効用の吸収式冷凍機であり、前記吸収器から高温再生器に流れる稀溶液と前記高温再生器から吸収器に流れる濃溶液とを熱交換させる高温熱交換器を備えており、この高温熱交換器の上流側から稀溶液の少なくとも一部を分岐させて前記蒸気ドレン熱回収器を経由させて熱回収した後、前記稀溶液を前記高温熱交換器の下流側に戻すバイパス配管を設けたことを特徴とする太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機。
【請求項11】
太陽光熱を利用して高温の熱媒体を生成する太陽光熱集熱器と、該太陽光熱集熱器で生成された高温の熱媒体から蒸気を発生させる蒸気発生手段とを備える蒸気発生装置を備え、この蒸気発生装置で生成された高温の蒸気を、請求項1〜10の何れかに記載の太陽光熱利用蒸気吸収式冷凍機に導くように構成したことを特徴とする太陽光熱利用システム。
【請求項12】
請求項11に記載の太陽光熱利用システムおいて、前記太陽光熱集熱器は、太陽光集光部と、該太陽光集光部で集光された太陽光を受光して内部を流通する熱媒体を加熱する太陽光受熱部と、前記太陽光受熱部の周囲を断熱すると共に太陽光は通過するように構成された断熱部とを有することを特徴とする太陽光熱利用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−237534(P2012−237534A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108402(P2011−108402)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)