説明

太陽光発電装置およびその設置方法

【課題】屋根面の傾斜方向に風を通すことができると共に、パネル体を容易に取外し可能な太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電パネル1を保持してなるパネル体10と、パネル体10を支持する架台2とを設け、架台2は、パネル体10の縁部のうち屋根面3の傾斜方向に沿う縦辺を支持固定する縦レール部材20と、縦レール部材20間に設けられパネル体10の縁部のうち屋根面3の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を支持固定する中間ブラケット21とからなり、縦レール部材20は、屋根体3に配置されるパネル体10の傾斜方向に沿う長尺状に形成され、中間ブラケット21は、縦レール部材20間の距離よりも短く形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根に設置される太陽光発電パネルを支持してなる太陽光発電装置およびその設置方法に関し、特に複数の太陽光発電パネルを支持すると共に、太陽光発電パネルを1枚ずつ取外し自在な太陽光発電装置およびその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根面に太陽光発電パネルを設置するには、それを支持、固定する支持構造を設け、太陽光発電装置を構成する必要がある。太陽光発電装置のうち、屋根一体型の構造では、まず、木材からなる野地板に防水加工を施した上で、その表面に鋼板を敷設する。この鋼板の上、または鋼板の下に潜り込ませるようにして、太陽光発電パネルを支持する架台を設置する。太陽光発電パネルは、これを四周に渡って保持する枠体に囲まれてパネル体を構成しており、パネル体は枠体の周縁部が架台に載置され、固定がなされる。
【0003】
パネル体を支持する架台は、屋根面の傾斜方向に沿う縦レール部材と、傾斜方向と直交する左右方向に沿う横レール部材とを組んで構成されている。かかる構成を有する太陽光発電装置としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−262800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縦レール部材と横レール部材で架台を構成した場合、横レール部材が障害となって屋根の軒側から棟側に風が抜ける妨げとなる。特に横レール部材により太陽光発電パネル裏面に風が当たることが妨げられる。太陽光発電パネルは温度が上昇することにより発電効率が低下するため、適宜冷却を行う必要があるが、太陽光発電パネル裏面の直下を風が抜けにくいため、冷却効率が低くなるという問題があった。一方で、風を通すために横レール部材を設けないと、横方向においてパネル体が撓んで十分に支持できなかった。また、縦レール部材と横レール部材で架台を構成した場合、全体高さが高くなり、瓦と太陽電池パネルを同時に敷設した場合、太陽電池パネル部分のみ高くなってしまい、周囲とのバランスがとれなかった。
【0006】
また、パネル体は傾斜方向及び左右方向に複数枚が配置されるが、パネル体の固定構造が複雑であったため、太陽光発電パネルを交換するためパネル体を取り外す作業が面倒なものとなっていた。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、屋根面の傾斜方向に風を通すことができると共に、パネル体を容易に取外し可能な太陽光発電装置およびその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る太陽光発電装置は、建物の屋根面に太陽光発電パネルが固定される太陽光発電装置において、
前記太陽光発電パネルを保持してなるパネル体と、該パネル体を支持する架台とが設けられ、
前記架台は、前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向に沿う縦辺を支持固定する縦レール部材と、該縦レール部材間に設けられ前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を支持固定する中間ブラケットとからなり、
前記縦レール部材は、前記屋根体に配置されるパネル体の傾斜方向に沿う長尺状に形成され、前記中間ブラケットは、前記縦レール部材間の距離よりも短く形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係る太陽光発電装置は、前記パネル体は、前記太陽光発電パネルの縦辺を保持する縦枠と、前記太陽光発電パネルの上下辺をそれぞれ保持する上枠及び下枠とを有し、前記上枠は係合部を有し、前記中間ブラケットは前記上枠の係合部を係合させて前記パネル体の厚み方向への移動を規制する被係合部を有し、該被係合部は前記係合部との係合位置の側部に、前記係合部の幅以上の幅を有する切欠部を有してなることを特徴として構成されている。
【0010】
さらに、本発明に係る太陽光発電装置は、前記下枠は差込係合部を有し、前記中間ブラケットは前記下枠の差込係合部を係合させて前記パネル体の厚み方向への移動を規制する差込被係合部を有することを特徴として構成されている。
【0011】
さらにまた、本発明に係る太陽光発電装置は、前記縦レール部材は、前記屋根面に対して固着される底面部と、該底面部から立ち上がり左右方向に隣接する2枚のパネル体の縦枠をそれぞれ固定自在な2つのパネル固定部を有し、該2つのパネル固定部は離隔して配置されていることを特徴として構成されている。
【0012】
そして、本発明に係る太陽光発電装置の設置方法は、建物の屋根面に太陽光発電パネルを固定する太陽光発電装置の設置方法において、
前記太陽光発電パネルを保持してなるパネル体と、該パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向に沿う縦辺を長手方向に沿って支持固定する長尺状の縦レール部材と、前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を支持固定する中間ブラケットとを有する架台とを用意し、
前記縦レール部材は、前記屋根体に配置されるパネル体の傾斜方向に長手方向が沿うと共に、該長手方向と直交する方向に沿う所定間隔で複数が配置固定され、前記中間ブラケットは、前記縦レール部材間の距離よりも短く形成されると共に、前記縦レール部材間に配置固定され、前記縦レール部材および中間ブラケットに対して前記パネル体が固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る太陽光発電装置によれば、縦レール部材は屋根体に配置されるパネル体の傾斜方向に沿う長尺状に形成され、中間ブラケットは縦レール部材間の距離よりも短い短尺状に形成されることにより、パネル体を確実に支持しつつ、屋根面の傾斜方向に風を通すことができるので、太陽光発電パネルの下面側に風を通して効率よく冷却をなすことができる。
【0014】
また、本発明に係る太陽光発電装置によれば、中間ブラケットは上枠の係合部を係合させてパネル体の厚み方向への移動を規制する被係合部を有し、被係合部は係合部との係合位置の側部に係合部の幅以上の幅を有する切欠部を有してなることにより、パネル体のスライド移動により、中間ブラケットに対してパネル体を係脱させることができるので、パネル体の取付け、取外し作業を容易にすることができる。
【0015】
さらに、本発明に係る太陽光発電装置によれば、中間ブラケットは下枠の差込係合部を係合させてパネル体の厚み方向への移動を規制する差込被係合部を有することにより、パネル体のスライド移動により係合部の係合を解除した状態で、差込係合部と差込被係合部の係合状態を容易に解除してパネル体を取外すことができる。
【0016】
さらにまた、本発明に係る太陽光発電装置によれば、縦レール部材に形成される2つのパネル固定部は離隔して配置されていることにより、パネル体のスライド移動のためのスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態における太陽光発電装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図2のうち縦レール部材付近の拡大図である。
【図5】図4の分解図である。
【図6】図3のうち中間ブラケット付近の拡大図である。
【図7】中間ブラケット付近の拡大断面図であって係合部と被係合部の係合解除前後の状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の太陽光発電装置は、傾斜面状に構成されてなる建物の屋根に取付けられるものである。すなわち、太陽光発電装置は、屋根面の傾斜に沿って設けられている。また、本実施形態の太陽光発電装置は、建物の施工時に屋根と一体的に形成されるものであり、建物の屋根を兼ねた屋根一体型の支持構造を有してなるものである。
【0019】
図1には、本実施形態における太陽光発電装置の平面図を示している。本実施形態では、屋根面の傾斜方向に沿って2枚、屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿って3枚の太陽光発電パネル1を並設しており、合計で6枚の太陽光発電パネル1を支持固定している。太陽光発電パネル1は、方形状に枠組みされた枠体11によって周縁部を保持されてパネル体10を構成しており、このパネル体10が屋根面に設置される架台2によって支持されている。
【0020】
枠体11は、太陽光発電パネル1の縁部のうち屋根面の傾斜方向に沿う縦辺を保持する縦枠13と、太陽光発電パネル1の縁部のうち屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を保持する横枠12とからなっている。横枠12は、パネル体10の上辺を構成する上枠50と、パネル体10の下辺を構成する下枠55とからなっている。縦枠13は、架台2を構成する縦レール部材20によって支持固定されており、横枠12は、架台2を構成する中間ブラケット21によって支持されている。
【0021】
架台2を構成する縦レール部材20は、左右方向に隣接するパネル体10の縦辺をそれぞれ支持固定できるように、長尺状に形成され、左右方向に一定間隔で配置される。本実施形態では、パネル体10は左右方向に3枚配置されるので、図1に示すように、左右方向両端に配置されて一方側のみパネル体10を支持固定する縦レール部材20と、左右方向中間位置に配置されて両側でパネル体10を支持固定する縦レール部材20が、それぞれ設けられる。
【0022】
パネル体10の横辺については、短尺状に形成された中間ブラケット21によって支持される。その詳細な構成については後述する。また、太陽光発電装置の下端部には、左右方向に沿って軒側端部材22が、太陽光発電装置の上端部には、左右方向に沿って棟側端部材23が、それぞれ設けられる。
【0023】
太陽光発電装置につきより詳細に説明する。図2には図1のA−A断面図を、図3には図1のB−B断面図を、それぞれ示している。なお、図2はA−A断面のうち左半分を省略すると共に、中間の一部を省略し、また、図3ではB−B断面のうち中間の一部を省略している。図2に示すように、建物の屋根面3は、左右方向に一定間隔で配置される垂木32によって野地板30が支持されて構成されている。野地板30は木材からなり、その表面には防水シート31が張られている。
【0024】
屋根面3の表面には、鋼板4が敷設され、鋼板4の上に架台2が設置されてパネル体10を支持固定している。架台2は、前述のようにパネル体10の縦辺を支持固定する縦レール部材20を有している。縦レール部材20は、垂木32の間隔に合わせてその直上に配置され、屋根面3及び垂木32に対してビス止め固定される。これにより、架台2の固定強度を大きくすることができる。
【0025】
架台2は、縦レール部材20と、縦レール部材20間に設けられる中間ブラケット21とによって構成されている。縦レール部材20は、パネル体10の縦枠13を長手方向に沿って支持し、中間ブラケット21は、パネル体10の横枠12を一定間隔毎に支持している。中間ブラケット21の左右方向の長さは、縦レール部材20間の距離よりも小さいため、架台2にはパネル体10の下方に屋根面の傾斜方向に沿って貫通する空間領域が形成され、この空間領域を空気が抜けることができるようになっている。
【0026】
図3に示すように、中間ブラケット21は、屋根面の傾斜方向に沿って隣接する2枚のパネル体10を構成する各横枠12、12を支持し、棟側端部と軒側端部では、それぞれ1つの横枠12を支持しており、各パネル体10の左右方向における中間部において、パネル体10の厚み方向への移動を規制している。これにより、風圧等によるパネル体10の撓みを防止することができる。
【0027】
次に、縦レール部材20の固定構造につき詳細に説明する。図4には図2のうち縦レール部材20付近の拡大図を、図5には図4の分解図を、それぞれ示している。縦レール部材20は、屋根面3に敷設される鋼板4に載置され、鋼板4を介して屋根面3に対して固定される底面部40と、底面部40から立ち上がる内側レール部41及び外側レール部42と、内側レール部41のさらに内側に形成されるアタッチメント固定部43を有している。
【0028】
底面部40は、前述のように鋼板4の突き合わせ部5よりも幅広となるように形成されていて、突き合わせ部5を外部に直接露出させないようにしている。また、底面部40の中央位置において、縦レール部材20はビス48によって屋根面3に対し固定されている。
【0029】
内側レール部41と外側レール部42は、それぞれアタッチメント固定部43を挟んだ一組の立ち上がり片からなっている。内側レール部41は、底面部40から垂直方向に立ち上がっており、その上端部にはそれぞれ縦レール部材20の中央側に向かって伸びる面状のパネル固定部44を有していて、内側レール部41とパネル固定部44とで断面略L字状をなすように形成されている。
【0030】
縦レール部材20は、外側レール部42と内側レール部41を備えているから、底面部40とで内側レール部41と外側レール部42と底面部40とからなる外側の大きな凹部と内側レール41とアタッチメント固定部43と底面部40とからなる内側の小さな凹部をそれぞれ形成している。したがって、太陽光発電パネル1間より水が浸入したとしても、これらの凹部が水通路となり屋根下方に水が流れるので、ビス48による固定位置に水が浸入しないようにすることができる。さらに、パネル固定部44は、縦レール部材20の中央側端部がアタッチメント固定部43よりも外側位置にあるため、仮にパネル固定部44の上面側に水が浸入したとしても、浸入した水はアタッチメント固定部43よりも外側の内側レール部41間の領域に落ちるから、アタッチメント固定部43の内側、すなわちビス48の固定位置側には水が浸入しないようにすることができる。
【0031】
また、底面部40のビス48を固定する部分は、厚肉状とされた凸部40aが形成されており、凸部40aが形成されていることで、アタッチメント固定部43で囲まれたビス48の固定位置に仮に水が浸入したとしても、アタッチメント固定部43と凸部40aにより凹部による水通路が形成され、該通路を通り屋根下方に水が流れるので、屋根面3に挿通されるネジ面に水が浸入しないようにすることができ、防水性をさらに高くすることができる。
【0032】
縦レール部材20のパネル固定部44に対しては、パネル体10の縦枠13が載置され、締結具であるボルトにより固着されている。縦枠13は、太陽光発電パネル1の周面と対向する周面部13aと、周面部13aからパネル体10の外周側に突出する平面状の固定面部13bと、周面部13aからパネル体10の内周側に突出し太陽光発電パネル1の周縁部を保持するパネル保持部13cとを備えている。このうち縦枠13の固定面部13bが、縦レール部材20のパネル固定部44に載置され、固着される。また、縦枠13にはフランジ13gが長手方向に沿って形成されており、該フランジ13g上には横枠12が載置される。詳細には、図6に示すようにフランジ13g上には横枠12である、パネル体10の上辺を構成する上枠50と、パネル体10の下辺を構成する下枠55が載置されている。
【0033】
縦レール部材20は、中央部のアタッチメント固定部43を挟んで両側にそれぞれパネル固定部44が形成されるので、隣接する左右のパネル体10の縦枠13を、それぞれ支持固定することができる。左右のパネル固定部44は、先端部間が離隔しているため、縦レール部材20においてはアタッチメント固定部43及びビス48の上方が開放状となっている。これに伴い、隣接する両縦枠13も離隔した状態で支持固定されている。このため、パネル体10の取付けや取外しの際には、縦枠13を左右方向にスライド移動させることが可能となっている。
【0034】
また、左右のパネル固定部44が離隔しており、アタッチメント固定部43及びビス48の上方が開放状となっているため、縦レール部材20を屋根面3に対し容易に固定することができると共に、取外しも容易にすることができる。さらには、縦枠13を縦レール部材20に固定する際には、縦枠13の固定面部13bを縦レール部材20のパネル固定部44に載置して固定すればよいので、位置合わせも容易にすることができる。
【0035】
縦レール部材20のアタッチメント固定部43は、ビス48による固定位置を挟んで断面略L字状の一組の突出部からなっている。このアタッチメント固定部43には、カバー用アタッチメント46が係合固定され、カバー用アタッチメント46には縦レールカバー45が固定される。
【0036】
カバー用アタッチメント46は、下端部にアタッチメント固定部43に対し係合自在な係合部46aを備えている。カバー用アタッチメント46はアタッチメント固定部43からパネル体10の上面近傍位置までの高さを有しており、上端部には縦レールカバー45を固定自在なカバー固定部46bを備えている。
【0037】
縦レールカバー45は、カバー固定部46bに対してビス止め固定されるカバー側固着部45aと、カバー側固着部45aから左右に伸びるカバー部45bと、カバー両端面に下方へ突出する突起部45cとからなっている。カバー部45bは、左右方向に隣接する縦枠13の周面部13a間に形成される空間部分を覆うと共に、パネル体10を構成する縦枠13のパネル保持部13cの周縁部にかかる位置まで伸びるように形成されており、また突起部45cにより確実にパネル体10と接触することで、縦レール部材20への水の浸入を防止している。また縦枠13には、上方向に突出する突起部13hが設けられており、突起部13hは、縦レールカバー45に確実に接触することで、水の浸入を突起部45cとともに二重で防止している。
【0038】
次に、中間ブラケット21の構成につき詳細に説明する。図6には図3のうち中間ブラケット付近の拡大図を示している。この図に示すように、中間ブラケット21は、屋根面3に載置されて固定される底面部60と、底面部60の上部に形成される断面中空状の中空部61とを有して形成されている。中空部61の上面には、屋根面3の傾斜方向に沿って被係合部62と差込被係合部63とが形成されている。被係合部62は、上側に開口しており、開口側が幅狭で、奥側が幅広となるように形成されている。差込被係合部63は、棟側に向かって開口する凹状に形成されている。
【0039】
パネル体10を構成する上枠50は、中空部51の内周側に太陽光発電パネル1を保持するパネル保持部52が形成され、下面には中間ブラケット21の被係合部62に対して係合される係合部53が形成されている。係合部53は、中空部から下方に向かって突出し、先端部が幅広に形成されていて、中間ブラケット21の被係合部62に係合されることで、パネル体10の厚み方向への上枠50の移動が規制される。
【0040】
パネル体10を構成する下枠55は、中空部56の内周側に太陽光発電パネル1を保持するパネル保持部57が形成され、下面には中間ブラケット21の差込被係合部63に対して係合される差込係合部58が形成されている。差込係合部58は、中空部56から下方に向かって突出し、先端部はさらに軒側に向かって突出するように形成されていて、中間ブラケット21の差込被係合部63に対して差込状に係合されることで、パネル体10の厚み方向への下枠55の移動が規制される。
【0041】
これら係合部53と被係合部62の係合及び差込係合部58と差込被係合部63の係合により、上枠50と下枠55はそれぞれ中間ブラケット21に支持されると共に、パネル体10の下面側から風により吹き上げられた際には、パネル体10の撓みを抑えることができる。本実施形態の太陽光発電装置では、屋根面3の傾斜方向については、縦レール部材20により長手方向に沿ってパネル体10が支持されている一方、屋根面3の傾斜方向と直交する左右方向については、長手方向に沿う支持部材は設けられていないが、中間ブラケット21が設けられていることにより、パネル体10を十分に支持固定することができる。
【0042】
そして、中間ブラケット21は縦レール部材20間の距離よりも短い短尺状に形成されているから、パネル体10の下面側には、屋根面3の傾斜方向に沿う空間が形成され、太陽光発電パネル1の下面に風を通すことができる。空間が屋根面の傾斜方向に沿って形成されるから、自然対流により効率的に太陽光発電パネル1の冷却をなすことができる。
【0043】
また、本実施形態では、パネル体10を1枚ずつ取付けたり取外すことができるように構成されている。パネル体10は、前述のように、縦枠13と縦レール部材20とを固定する締結具を外すことで、左右方向にスライド移動させることが可能となっており、このスライド移動に伴い、上枠50の係合部53と中間ブラケット21の被係合部62との係合状態が解除自在とされている。
【0044】
図7には、中間ブラケット21付近の拡大断面図であって係合部53と被係合部62の係合解除前後の状態を表した図を示している。図7(a)は係合部53と被係合部62とが係合した状態であり、この図に示すように、上枠50の係合部53は、中間ブラケット21の固定位置の左右が、それぞれ切り欠かれており、切欠部54を形成している。切欠部54は、係合部53の左右方向幅、すなわち中間ブラケット21の左右方向幅よりも幅広となるように形成されている。
【0045】
図7(b)に示すように、パネル体10を左右方向にスライド移動させることにより、中間ブラケット21は切欠部54内に配置されて、係合部53と被係合部62との係合状態が解除される。この状態とすることにより、パネル体10の上辺を持ち上げることができるようになる。パネル体10の下辺は、差込状に係合がなされているから、パネル体10の上辺側の固定が解除されれば、容易に係合状態を解除することができ、パネル体10を取外すことができる。
【0046】
図6に示すように、下枠55には、上面から傾斜方向下方に向かって突出する覆い部59が形成されており、覆い部59は隣接するパネル体10の上枠50の上面を覆うように当接している。上枠50の上面は、下枠55と対向する側が、覆い部59の厚み分、凹むように形成されており、覆い部59が当接することにより、隣接するパネル体10の上枠50と下枠55とが略面一状となるように形成されている。
【0047】
このように、隣接するパネル体10の上枠50が下枠55の上面を覆うように当接しているので、パネル体10の上面を伝わって流れる雨水が、円滑に流れるようにすることができると共に、水がパネル体10の下面側に浸入することを防止することができる。また、隣接するパネル体10の上枠50と下枠55は、覆い部59のみで連係し、それ以外の部分は直接接していないから、前述のようにパネル体10を取外すためパネル体10の上辺を持ち上げた際に、上枠50と下枠55とが干渉することなく、覆い部59を中心としてパネル体10を回転移動させることができ、パネル体10の取外し作業を容易に行うことができる。また、パネル体10の取付作業の際にも、回転及びスライド移動によって容易に作業を行うことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、太陽光発電パネル1の枚数は、本実施形態のものには限られない。
【符号の説明】
【0049】
1 太陽光発電パネル
2 架台
3 屋根面
4 鋼板
5 突き合わせ部
6 重ね合わせ部
10 パネル体
11 枠体
12 横枠
13 縦枠
20 縦レール部材
21 中間ブラケット
40 底面部
44 パネル固定部
45 縦レールカバー
50 上枠
51 中空部
52 パネル保持部
53 係合部
54 切欠部
55 下枠
56 中空部
57 パネル保持部
58 差込係合部
59 覆い部
60 底面部
61 中空部
62 被係合部
63 差込被係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根面に太陽光発電パネルが固定される太陽光発電装置において、
前記太陽光発電パネルを保持してなるパネル体と、該パネル体を支持する架台とが設けられ、
前記架台は、前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向に沿う縦辺を支持固定する縦レール部材と、該縦レール部材間に設けられ前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を支持固定する中間ブラケットとからなり、
前記縦レール部材は、前記屋根体に配置されるパネル体の傾斜方向に沿う長尺状に形成され、前記中間ブラケットは、前記縦レール部材間の距離よりも短く形成されることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記パネル体は、前記太陽光発電パネルの縦辺を保持する縦枠と、前記太陽光発電パネルの上下辺をそれぞれ保持する上枠及び下枠とを有し、前記上枠は係合部を有し、前記中間ブラケットは前記上枠の係合部を係合させて前記パネル体の厚み方向への移動を規制する被係合部を有し、該被係合部は前記係合部との係合位置の側部に、前記係合部の幅以上の幅を有する切欠部を有してなることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記下枠は差込係合部を有し、前記中間ブラケットは前記下枠の差込係合部を係合させて前記パネル体の厚み方向への移動を規制する差込被係合部を有することを特徴とする請求項2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記縦レール部材は、前記屋根面に対して固着される底面部と、該底面部から立ち上がり左右方向に隣接する2枚のパネル体の縦枠をそれぞれ固定自在な2つのパネル固定部を有し、該2つのパネル固定部は離隔して配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
建物の屋根面に太陽光発電パネルを固定する太陽光発電装置の設置方法において、
前記太陽光発電パネルを保持してなるパネル体と、該パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向に沿う縦辺を長手方向に沿って支持固定する長尺状の縦レール部材と、前記パネル体の縁部のうち前記屋根面の傾斜方向と直交する左右方向に沿う横辺を支持固定する中間ブラケットとを有する架台とを用意し、
前記縦レール部材は、前記屋根体に配置されるパネル体の傾斜方向に長手方向が沿うと共に、該長手方向と直交する方向に沿う所定間隔で複数が配置固定され、前記中間ブラケットは、前記縦レール部材間の距離よりも短く形成されると共に、前記縦レール部材間に配置固定され、前記縦レール部材および中間ブラケットに対して前記パネル体が固定されることを特徴とする太陽光発電装置の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76304(P2013−76304A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218191(P2011−218191)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】