太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法
【課題】杭基礎や、地盤改良等の沈下対策を採用することなく、基礎の大型化や、コンクリート量及び鉄筋量の増大を招くこともなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置する。
【解決手段】太陽光発電パネル(2)又はアレイ(3)を地盤(G)上に支持するための太陽光発電装置(1)の基礎構造は、パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するベースプレート(5)と、ベースプレートを固定可能な頂面(13)を備えた単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎(10)と、基礎の外側面を被覆する管体又は筒体(15)と、ベースプレートを基礎頂面に係留する係留手段(11)とを有する。全体的に平板状の輪郭を有するパネル又はアレイ支持用のフレーム(4)が基礎上に設置される。パネル、アレイ及びフレームの荷重は、ベースプレートを介して基礎に直に伝達する。
【解決手段】太陽光発電パネル(2)又はアレイ(3)を地盤(G)上に支持するための太陽光発電装置(1)の基礎構造は、パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するベースプレート(5)と、ベースプレートを固定可能な頂面(13)を備えた単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎(10)と、基礎の外側面を被覆する管体又は筒体(15)と、ベースプレートを基礎頂面に係留する係留手段(11)とを有する。全体的に平板状の輪郭を有するパネル又はアレイ支持用のフレーム(4)が基礎上に設置される。パネル、アレイ及びフレームの荷重は、ベースプレートを介して基礎に直に伝達する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に関するものであり、より詳細には、太陽光発電パネル(太陽光発電モジュール)又は太陽光発電アレイを地盤上に支持する太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の太陽光発電パネル(太陽光発電モジュール)又は太陽光発電アレイを地盤上に配列し、メガワット単位の発電出力を有するメガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設が近年殊に注目されている。このような大規模太陽光発電施設の建設においては、太陽光発電装置を施工するための土工事及び基礎工事の工期及び施工コストが全工期及び全建設費に対して比較的大きな比率を占める。
【0003】
一般に、太陽光発電パネル、或いは、複数の太陽光発電パネルを配列してなる太陽光発電アレイは、鉄骨構造の架台によって支持され、架台は、鉄筋コンクリート構造の基礎によって地盤に支持される。架台は、通常は、太陽光発電パネル又はアレイを支持する鋼製フレームと、フレームと基礎とを連結する複数又は単数のアーム又は支柱とから構成される。架台を支持する基礎は、各アーム又は支柱を夫々支持するように地盤上に配設され、或いは、複数のアーム又は支柱を支持する共用の基礎として地盤上に配設される。この種の太陽光発電装置の架台及び基礎は、例えば、特開2011−91166号公報、特開2011−77194号公報、特開2004−47756号公報等に記載されている。
【0004】
このような太陽光発電パネル又はアレイの架台及び基礎は、長期荷重(固定荷重)、風荷重、地震荷重、積雪荷重等の設計荷重に基づいて構造設計されるが、架台及び基礎に作用する荷重は、地盤によって支持されるので、基礎の滑動及び転倒に対する検討や、鉛直荷重に対する地盤の支持力等の検討が、架台及び基礎を設計する上で重要な要素となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−91166号公報
【特許文献2】特開2011−77194号公報
【特許文献3】特開2004−47756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設は、多数の太陽光発電パネル又はアレイを設置可能な大規模な敷地を要するので、埋立て地等の軟弱地盤や、不安定又は不規則な傾斜地等に建設される傾向がある。太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置する場合、地盤又は基礎の沈下を抑制する対策として、杭基礎工法、地盤改良工法、置換工法、沈下促進工法等の各種工法が一般に採用されるが、いずれの工法を採用した場合においても、工期の長期化、施工コストの高額化等の問題が発生する。また、汚染土壌を含む工場跡地や、産業廃棄物処分場の跡地等に大規模太陽光発電施設を建設する場合、このような沈下対策を容易に実施し難い状況も生じる。
【0007】
他方、このような沈下抑制の対策を採用せず、基礎の大型化や、基礎の接地面積の拡大等に依存して基礎の安定化を図ることも可能であるが、このような場合には、地盤の不均質性、太陽光発電装置の偏荷重等に起因して基礎が局部的に沈下する現象、即ち、不同沈下が発生し易く、このため、不同沈下に耐える基礎の強度及び耐力を確保する必要が生じる。一般に、不同沈下に対する対策においては、基礎の一部が局所的に沈下した状態を想定し、不同沈下時に基礎に作用する曲げ応力を許容可能な基礎の構造強度及び耐力を確保する構造設計が実施され、基礎の一体性及び安定性が担保される。しかしながら、このような構造設計によれば、基礎の大型化に伴ってコンクリート量、型枠量及び鉄筋量等が増大するので、基礎又は地盤の沈下を抑制するための上記対策と同じく、工期の長期化、施工コストの高額化等の問題が発生する。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
該基礎の外側面を被覆する管体又は筒体と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0010】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、基礎は、引張応力に抗しない無筋コンクリート構造の短柱状基礎であり、鉄筋の配筋を要しない。また、基礎は、外側面を被覆する管体又は筒体を捨て型枠としてコンクリートを打設することができるので、型枠の設置・解体作業を省略し又は簡素化することができる。更には、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。加えて、太陽光発電パネル又はアレイ、或いは、そのフレームをブラケット又はベースプレートによって短柱状基礎の頂面に直に固定することにより、太陽光発電パネル又はアレイや、フレームの荷重を基礎に直に伝達することができるので、アーム又は支柱の設置を省略することが可能となる。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。
【0011】
好ましくは、中央部又は中央領域が上記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結されたパネル又はアレイ支持用フレームが設けられ、フレームは、パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を有する金属製又は鋼製の枠体からなり、上記パネル又はアレイは、フレーム上に載置され、フレームに作用する荷重は、ブラケット又はベースプレートを介して基礎に直に(即ち、アーム又は支柱を介することなく)伝達する。
【0012】
更に好ましくは、管体又は筒体は、コンクリート打設時に捨て型枠として用いられた管状又は筒状の金属製型枠又は樹脂製型枠からなる。
【0013】
好適には、基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備える。
【0014】
更に好適には、基礎の外形寸法、重心位置及び重量は、太陽光発電装置に作用する短期水平荷重によって基礎に作用する引張応力を長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すとともに、短期水平荷重によって基礎に作用する転倒モーメントを長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すことができる外形寸法、重心位置及び重量に設定される。
【0015】
所望により、水平面に対するフレームの傾斜角度は、5〜30度の範囲内の値に設定される。このような傾斜角度は、ブラケット又はベースプレートの形状及び寸法によって得られ、或いは、基礎の頂面を(水平面に対して)5〜30度の範囲内の傾斜面に形成することにより、確保される。
【0016】
本発明の好適な実施形態によれば、本発明の基礎構造を有する多数の基礎を配列することにより、大規模太陽光発電施設が建設される。このような大規模太陽光発電施設の建設においては、土工事及び基礎工事の工期及び施工コストを短縮又は削減することができる。所望により、複数の基礎が、金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結される。
【0017】
本発明は又、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を備えたパネル又はアレイ支持用フレームを下側から支持するブラケット又はベースプレートと、
該ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つコンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有し、
前記ブラケット又はベースプレートは、前記フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、前記フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0018】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、ブラケット又はベースプレートは、フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、フレームに作用する荷重は、ブラケット又はベースプレートを介して基礎に直に伝達する。このような構造の基礎に作用する引張応力は、従来の大型基礎に比べて軽減し、或いは、全く生じないので、基礎のコンクリート内に配筋すべき鉄筋量を低減し、或いは、鉄筋を配筋しない無筋コンクリート構造に基礎として上記基礎を設計することができる。また、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。
【0019】
本発明は更に、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートが固定される頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを備え、
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0020】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、基礎は、引張応力に抗しない無筋コンクリート構造の短柱状基礎であり、鉄筋の配筋を要しない。また、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。加えて、太陽光発電パネル又はアレイ、或いは、そのフレームをブラケット又はベースプレートによって短柱状基礎の頂面に固定することにより、太陽光発電パネル又はアレイや、フレームの荷重は基礎に直に伝達するので、アーム又は支柱の設置を省略することができる。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。更に、上記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備える。このような断面の短柱状基礎は、弱軸及び強軸の方向性をもたないので、引張応力を生じさせない形状及び寸法を設定し易く、従って、コンクリートを無筋化し易い。
【0021】
好ましくは、基礎の高さHと基礎の直径D(基礎直径又は外接円直径)との比(H/D)は、0.5以上の値に設定される。更に好ましくは、基礎の高さH(mm)は、基礎の直径D(mm)に対し、H=D×2−600mmの値を超えない値に設定される。望ましくは、基礎の高さHは、少なくとも250mm、好ましくは、300mm以上の値に設定される。
【0022】
更に他の観点より、本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎を施工する施工方法において、
軸心が上下方向に配向され、全高に亘って均一又は均等な直径の円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する多角形断面を備えた管状又は筒状の単一捨て型枠を地盤面に配置するとともに、アンカーボルトを該型枠内に配置し、
流動状態の未硬化コンクリートを前記型枠の頂部開口に流し込んで該コンクリートを該型枠内に打設し、
前記パネル又はアレイを下側から支持するためのブラケット又はベースプレートを前記コンクリートの硬化後に該コンクリートの頂面に配置するとともに、前記ブラケット又はベースプレートを前記アンカーボルトによって前記コンクリートの頂面に係留することを特徴とする太陽光発電装置の基礎の施工方法を提供する。
【0023】
本発明の上記構成によれば、円形断面又は多角形断面を有する捨て型枠が地盤面に配置される。このような捨て型枠の形態によれば、コンクリート打設時に作用するコンクリートの流動体の流体圧力は、捨て型枠に対して周方向に均一に作用するので、支保工を省略し、或いは、支保工を簡素化することができる。捨て型枠は、基礎の外側面を被覆する管体又は筒体として用いられるので、型枠の設置・解体作業を省略し又は簡素化することができる。また、管状又は筒状の捨て型枠は、軟弱地盤、傾斜地盤、不陸地盤等に比較的簡単に設置することができるので、工期短縮及び建設費削減を図る上で極めて有利である。しかも、上記施工方法によれば、本発明に係る前述の基礎構造の基礎を容易に施工することができる。
【0024】
好ましくは、上記型枠の中空部は、真円形断面又は正多角形断面を有する。更に好ましくは、硬化後のコンクリートは、無筋コンクリートである。上記地盤面は、必要に応じて、流動性固化材料の流し延べ、土壌の締固め、或いは、固形材料の敷設によって型枠及びアンカーボルトの施工前に予め整地される。所望により、上記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有する傾斜面に仕上げられる。複数の上記捨て型枠を地盤上に配列し、捨て型枠同士を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結しても良い。好適には、全体的に平板状の輪郭を有する枠体がパネル又はアレイ支持用フレームとして予め用意され、フレームの中央部又は中央領域が上記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結される。このようなフレームは、一点吊りによる運搬又は搬送や、基礎上への設置作業が可能であるので、架台の設置作業を簡素化することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の上記構成によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係る無筋コンクリート構造の短柱状基礎を備えた太陽光発電装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すフレーム及び基礎の平面図である。
【図3】図3は、図1に示すフレーム及び基礎の側面図である。
【図4】図4は、図3のI−I線における断面図である。
【図5】図5は、図2のII−II線における断面図である。
【図6】図6(A)は、基礎に作用する力の力学的バランスを概念的に示す断面図であり、図6(B)は、真円形断面の短柱形基礎に関する設計寸法の推奨範囲を示す線図である。
【図7】図7は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、アンカーボルト及び捨て型枠を地盤上に設置する過程が示されている。
【図8】図8は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、アンカーボルト及び捨て型枠を地盤上に設置した状態が示されている。
【図9】図9は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、未硬化コンクリートの流動体を捨て型枠内に打設した状態が示されている
【図10】図10は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、フレームを基礎上に設置する工程が示されている。
【図11】図11は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、太陽光発電パネルをフレーム上に載置する工程が示されている。
【図12】図12は、複数の太陽光発電装置を敷地に配列してなる太陽光発電システムを概略的に示す斜視図である。
【図13】図13は、複数の基礎を杆材によって相互連結した状態を示す平面図である。
【図14】図14は、高低差を有する段差地盤に太陽光発電装置を配置した施工例を示す側面図である。
【図15】図15は、太陽光発電装置を傾斜地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【図16】図16は、太陽光発電装置を傾斜地盤に設置した他の施工例を示す断面図である。
【図17】図17は、太陽光発電装置を不陸地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【図18】図18は、基礎の頂面を傾斜面として施工した施工例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る無筋コンクリート構造の短柱状基礎を備えた太陽光発電装置の全体構成を示す斜視図であり、図2及び図3は、図1に示すフレーム及び基礎の構造を示す平面図及び側面図である。また、図4は、図3のI−I線における断面図であり、図5は、図2のII−II線における断面図である。なお、図1、図3、図5及び図6において、太陽光発電パネルは一点鎖線で示されており、また、図4において、フレームは破線で示されている。
【0029】
図1に示すように、太陽光発電装置1は、複数の太陽光発電パネル(モジュール)2を前後方向(X方向)に配列してなる太陽光発電アレイ3と、太陽光発電パネル2を支持する金属製又は鋼製のフレーム4と、左右一対の金属製又は鋼製ベースプレート(又はブラケット)5を介してフレーム4を支持する無筋コンクリート構造の基礎10とから構成される。各太陽光発電パネル2は、例えば、各種接続端子、配線ケーブル等(図示せず)を介してDC/AC変換装置等(図示せず)に接続される。多数の太陽光発電装置1を地上に配列してなる太陽光発電システムは、メガソーラー発電プラント等の大規模太陽光発電施設を構成する。
【0030】
基礎10を配置すべき地盤G上には、図3及び図5に示すように捨てコンクリートFが厚さ50mm程度に流し延べられる。捨てコンクリートFの上面は、地盤面又は接地面を形成し、基礎10は、硬化後の捨てコンクリートF上に施工又は載置される。基礎10は、高さH及び直径Dを有する真円形断面(水平断面)の円柱形輪郭を有し、鉛直な中心軸線Cを有する。基礎10の外周面は、全高に亘って均一又は均等な真円形断面を有する金属製又は樹脂製の円筒体(又は円管)15によって被覆される。敷き砂利Kが、基礎10の接地領域を除き、捨てコンクリートF上の全域に厚さt(=約50mm)に敷き詰められる。なお、捨てコンクリートF及び敷き砂利Kの施工は任意である。
【0031】
敷き砂利Kの上面から基礎10の真円形頂面13までの高さh(=H−t)は、例えば、250〜700mmの範囲内の値に設定される。基礎10の直径D及び高さHは、例えば、300〜750mmの範囲内の値に設定される。直径D/高さHの寸法比は、例えば、0.5〜2.0の範囲内の値に設定される。本例において、基礎10は、直径D=550mm、高さH=450mmの寸法を有する置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎である。
【0032】
図3及び図5に示すように、複数(本例では、4本)の金属製又は鋼製アンカーボルト11と、複数(本例では上下一対)の金属製又は鋼製プレート12とが基礎10内に埋設される。プレート12は、平面視正方形の外形輪郭を有し、基礎10内に水平に配置される。図5に示すように、アンカーボルト11は上下のプレート12を垂直に貫通する。プレート12は、金属製又は鋼製ナット等(図示せず)によってアンカーボルト11に固着される。アンカーボルト11の外螺子付き頂部は、基礎10の頂面13から垂直上方に突出し、ベースプレート5の水平フランジ部5aに穿設されたボルト孔(図示せず)を貫通する。グラウトモルタル6がフランジ部5aと頂面13との間に注入されるとともに、金属製又は鋼製ナット7がアンカーボルト11の頂部に螺着する。ブラケット5は、ナット7の締付けにより、硬化後のグラウトモルタル6を介して頂面13上に堅固に固定される。
【0033】
各ベースプレート5は、前後一対の垂直フランジ部5bを有する。フランジ部5b及びその上縁は、フレーム4の傾斜角θに相応した高さ及び傾斜を有する。本例において、フレーム4の傾斜角θは角度10°に設定される。図2に示すように、フレーム4は、前後方向(X方向)に延びる左右一対の金属製又は鋼製骨組部材41と、骨組部材41の外側に平行に配置された左右一対の金属製又は鋼製骨組部材42と、幅方向(Y方向)に延びる前後一対の金属製又は鋼製骨組部材43とから構成される。骨組部材41、42の各端部は溶接又はボルト・ナット組立体等の固着手段によって骨組部材43に固着され、かくして、骨組部材41、42、43は一体的な長方形又は矩形フレーム4を構成する。フレーム4の骨組部材41は、ボルト・ナット組立体8(図5)によって垂直フランジ部5bに堅固に固定される。好ましくは、ボルト・ナット組立体8のためにフランジ部5b及び骨組部材41に穿設される貫通孔(図示せず)は、スロット又は長孔として形成される。フレーム4の上面には、図1に示すように、複数の太陽光発電パネル2が前後方向(X方向)に整列配置される。なお、本例において、各骨組部材41、42、43は等辺山形鋼L−50×50×6である。
【0034】
図3及び図5に示すように、ベースプレート5を含む基礎10の重心Bは、中心軸線C上に位置し、太陽光発電アレイ3及びフレーム4の集合体(以下、「パネル等の上部構造体」という。)の重心Aも又、中心軸線C上に位置する。即ち、パネル等の上部構造体の重心Aは、平面視において、基礎10の重心Bと一致する。
【0035】
図6(A)は、基礎10に作用する力の力学的バランスを概念的に示す断面図である。
【0036】
太陽光発電装置1は、パネル等の上部構造体及び基礎10の自重を長期鉛直荷重として有する。太陽光発電装置1には、風荷重(正負)及び地震荷重が短期水平荷重として作用する。また、積雪地域においては、積雪荷重が短期又は長期鉛直荷重として更に作用するが、本例においては、説明を簡略化するために、積雪荷重に関する説明を省略する。
【0037】
太陽光発電装置1の設計において、フレーム4は、FEM解析等によって応力解析され、骨組部材41、42、43に生じる曲げ応力度及び撓み量等が求められ、骨組部材41、42、43の断面及び各部寸法が定められる。また、ベースプレート5に作用する応力に基づいてアンカーボルト11の断面及び各部寸法が定められる。
【0038】
図6(A)において、A点は、前述のとおり、パネル等の上部構造体の重心位置を示し、基礎接地面(捨てコンクリートFの上面)に対するA点の高さhaは、600mmである。B点は、前述のとおり、ベースプレート5を含む基礎10の重心を示し、基礎接地面に対するB点の高さhbは、225mmである。なお、以下に説明する荷重バランスは、太陽光発電パネル2の寸法を幅(Y方向)約1600mm、奥行(X方向)約900mmに条件設定するとともに、図1に示す如くY方向に配列した2体の太陽光発電パネル2をフレーム4及び基礎10によって支持することを前提としたものである。
【0039】
A点には、パネル等の上部構造体に関し、概ね以下の長期荷重及び短期荷重が作用する。
・長期水平荷重P1=0kN
・長期鉛直荷重W1=約0.8kN
・風荷重P1’(水平)=約0.4kN(正負)
・風荷重W1’(鉛直)=約2kN(正負)
・地震荷重P1”(X・Y方向)=約0.4kN
・地震荷重W1”(鉛直)=0kN
【0040】
B点には、ベースプレート5を含む基礎10に関し、概ね以下の長期荷重及び短期荷重が作用する。
・長期水平荷重P2=0kN
・長期鉛直荷重W2=約2.5kN
・風荷重P2’(水平)=約0.25kN(正負)
・風荷重W2’(鉛直)=0
・地震荷重P2”(X・Y方向)=約1.2kN
・地震荷重W2”(鉛直)=0kN
【0041】
基礎下端面には、以下の圧縮力N及び曲げモーメントMが作用する。
・長期圧縮力N=W1+W2=約3.3kN
・長期曲げモーメントM=0kN
・短期(正負の風荷重)圧縮力N’=約2kN
・短期(正負の風荷重)曲げモーメントM’=P1’×ha+P2’×hb=約30kN
・短期(地震荷重)圧縮力N”=0kN
・短期(地震荷重)曲げモーメントM”=P1”×ha+P2”×hb=約51kN
【0042】
基礎10(直径D=550mm、高さH=450mm)は、断面積=約2400cm2、断面係数=約1600cm3の円柱であるので、長期荷重及び短期荷重(風荷重、地震荷重)に応答して基礎10に働く引張応力は、極めて小さく、無視し得る程度の値(コンクリートの許容引張強度の範囲内の値)であり、従って、基礎10には、引張応力が実質的に作用しない。また、長期鉛直荷重によって基礎10に作用する長期圧縮力Nは、約3.3kNであるのに対し、風荷重によって基礎10に作用する短期圧縮力N’は約2kN(負圧)であるので、基礎10の浮き上がりは、発生しない。更に、このような荷重により生じる基礎底面の接地圧は、長期許容支持応力度=30kN/m2、短期許容支持応力度=60kN/m2程度の地耐力を有する一般的な地盤により支持し得る程度の接地圧である。また、短期荷重(風荷重又は地震荷重)による曲げモーメントM’又はM”と、長期圧縮力Nとの比率(即ち、M’/N及びM”/N)より求められた偏心距離e(図示せず)は、基礎下端面の中心から直径D×2/3の範囲内の値であり、基礎10の転倒は生じない。
【0043】
このような太陽光発電装置1の力学的バランスは、単一短柱且つ置き基礎形式の無筋コンクリート構造基礎として前述の基礎10を設計・施工することが可能であることを意味する。即ち、太陽光発電パネル又はアレイを支持する基礎構造体の設計においては、風荷重に対しては、基礎重量を増大することが望ましいが、地震荷重に対しては、基礎重量を軽減することが望ましいという相反する条件があり、従来の設計においては、このような相反する条件を基礎の重心位置の低下と基礎の平面寸法の拡大(大型化)により充足していたことから、基礎の高重量化及び大型化に伴って基礎の不同沈下等が生じ易く、このため、これに起因した引張応力が基礎に作用するので、鉄筋を配筋したコンクリート基礎、即ち、鉄筋コンクリート構造の基礎を採用せざるを得ない事情が存在したが、本実施例の如く、基礎10を上部構造体(パネル等)の中央部(又は中央領域)の直下に配置し、単一の短柱状且つ置き基礎形式の基礎として設計した場合、引張応力が基礎10に作用せず、基礎10の転倒も発生しないように設計することができ、従って、前述のとおり、鉄筋を配筋しないコンクリート基礎、即ち、無筋コンクリート構造の基礎10を合理的に設計し且つ施工することが可能となる。なお、パネル等の上部構造体の中央部(又は中央領域)は、重心Aを中心として半径D/3程度の平面視円形領域(好ましくは、半径D/4の平面視円形領域)を意味する。
【0044】
図6(B)は、真円形断面を有する短柱形態の基礎10に関し、設計寸法の推奨範囲を示す線図である。
【0045】
基礎10を短柱として設計するための基準として、高さH=直径D×1/2の直線が図6(A)に破線で示されている。H<D×1/2の場合、柱の軸力の影響範囲を超える領域が基礎10の底面に含まれ、従って、水平方向(横方向)の鉄筋を基礎10に配筋する必要が生じ得るので、基礎10の高さH及び直径Dは、H≧D×1/2の範囲内で設計することが望ましい。図6(B)には、直径D=400、450、500、550、600、650、700、750mmおけるH=D×1/2の値がプロットされている。
【0046】
図6(B)には、直径D=400、450、500、550、600、650、700、750mmに対応する基礎10の高さHの適合値(H=230、350、450、560、650、740、820、900mm)がプロットされている。これらの高さHの値は、引張応力が基礎10に実質的に作用せず、しかも、短期荷重(風荷重、地震荷重)により基礎10の転倒が生じないことが構造計算上確認された値であり、高さHが適合値を超えた場合、無視し得ない引張応力が基礎10に作用する可能性が生じ(従って、鉄筋の配筋の必要が生じる可能性があり)、或いは、基礎10の転倒に対する考慮が必要となる可能性が高い。従って、図6(B)にプロットされた高さHの適合値は、このような意味において高さHの上限値として把握し得る。なお、基礎10の転倒の可能性は、前述のとおり、偏心距離e(図示せず)が基礎下端面の中心から直径D×2/3の範囲内の値であるか否か、という一般的な基準によって評価された。
【0047】
図6(B)には、直径D及び高さHの関数としてH=D×2−600mmの直線が破線で示されている。図6(B)にプロットされた高さHの適合値は、H=D×2−600mmの線上に概ね位置しており、従って、円柱形基礎の適合範囲の上限として、H=D×2−600mmを規定することができる。
【0048】
かくして、真円形断面を有する短柱形態の基礎10に関する設計寸法の推奨範囲として、図6(B)に斜線で示す範囲を設定することができる。なお、現実には、雑草や風雨、湿気等による太陽光発電パネル2及びフレーム4の汚れ、腐食等を考慮し、高さHは、少なくとも250mm、好ましくは、300mm以上の値に設定することが望ましい。また、図6(B)に示す推奨範囲は、前述の太陽光発電パネル2の寸法及び配列を基準としたものであり、パネル寸法及びパネル枚数等の相違に相応して、上記推奨範囲が変化することはいうまでもない。
【0049】
図7〜図11は、太陽光発電装置1の施工方法を段階的に示す斜視図である。
【0050】
図7及び図8には、捨てコンクリートFを地盤G上に施工した後、アンカーボルト11及び捨て型枠15’を捨てコンクリートFの上面に設置する工程が示されている。アンカーボルト11として、例えば、直径12mmの鋼製アンカーボルトが使用され、プレート12として、例えば、板厚約3mmの鋼板が使用される。プレート12は、正方形の外形輪郭を有し、プレート12の内側には、正方形開口12aが形成される。各アンカーボルト11は、鋼製ナット等(図示せず)によって上下のプレート12の角部に予め固着される。仮設支持ボルト17が、後施工アンカー等(図示せず)によって捨てコンクリートF上に垂直に植設される。仮設支持ボルト17の外螺子付き頂部は、下側のプレート12の帯状部分を貫通する。下側のプレート12は、鋼製ナット等(図示せず)によって仮設支持ボルト17の頂部に固定される。かくして、アンカーボルト11及びプレート12の組立体が捨てコンクリートF上に設置される。
【0051】
次いで、捨て型枠15’が、図8に示すように、捨てコンクリートF上に配置される。捨て型枠15’は、コンクリート硬化後に前述の円筒体(円管)15を構成する。アンカーボルト11及びプレート12は、アンカーボルト11の外螺子付き頂部を捨て型枠15’の頂部円形開口から上方に突出した状態で捨て型枠15’内に収容される。捨て型枠15’として、金属製又は樹脂製の管状部材、例えば、ワインディングパイプ(栗本商事株式会社製品)、カナパイプ(登録商標、カナフレックスコーポレーション製品)等を好適に使用し得る。所望により、捨て型枠15’は、鋼材及び後施工アンカー等の仮止め具(図示せず)によって捨てコンクリートF上に仮留めされる。
【0052】
図9には、未硬化コンクリートの流動体10’を捨て型枠15’内に流し込んでコンクリート打設を行った状態が示されている。流動体10’は、捨て型枠15’内に密実に充填され、所要の養生期間の経過により硬化し、かくして、短柱状の無筋コンクリート硬化体を円筒体(円管)15によって被覆してなる短柱状の基礎10が、図10に示すように捨てコンクリートF上に形成される。なお、真円形断面の捨て型枠15’には、流動体10’の流体圧力がコンクリート打設時に周方向に均一に作用するので、支保工を省略し、或いは、支保工を簡素化することができる。
【0053】
図10には、ベースプレート5をボルト・ナット組立体8によって予め組付けたフレーム4を基礎10上に設置する工程が示されている。基礎10上に載置されたフレーム4は、ナット7(図2〜図5)をアンカーボルト11の頂部に螺着し且つベースプレート5に対して締付けることにより、基礎10の頂面13上に堅固に固定される。なお、図10に示すように、敷き砂利Kが捨てコンクリートF上に敷き詰められる。
【0054】
かくして基礎10上に設置したフレーム4には、図11に示すように太陽光発電パネル2が載置され、図1に示す太陽光発電装置1が完成する。
【0055】
図12は、複数の太陽光発電装置1を敷地に配列してなる太陽光発電システムを概略的に示す斜視図であり、図13は、複数の基礎10を杆材によって相互連結した状態を示す平面図である。
【0056】
図12に示すように、太陽光発電装置1は、所要の間隔を隔てて敷地内に配列され、太陽光発電施設を構成する。所望により、複数の基礎10が図13に示すようにアングル型鋼材等の杆材20によって相互連結される。杆材20は、コンクリート打設前の状態(図8)でアンカーボルト11の頂部に固定又は係留され、捨て型枠15’の位置決め治具又は仮固定治具として使用される。杆材20は又、過大な外力がいずれかの太陽光発電装置1に局所的に作用したときに他の太陽光発電装置1に外力を分散するので、システム全体としての構造的安定性に寄与する。
【0057】
図14は、高低差を有する段差地盤に太陽光発電装置1を配置した施工例を示す側面図であり、図15、図16及び図17は、太陽光発電装置1を傾斜地盤又は不陸地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【0058】
基礎10の上記構成によれば、図14に示すような段差地盤に太陽光発電装置1を配置する場合、基礎10を配置するための地盤部分のみが局所的に平坦であれば良く、或いは、基礎10を配置するための地盤部分のみを局所的に整地すれば良い。また、傾斜地盤に太陽光発電装置1を設置する場合、図15に示すように、地盤Gを局部的に掘削して平坦な底面の基礎10を施工し、或いは、図16に示すように、地盤Gの傾斜に応じて底面が傾斜した基礎10を施工することができる。後者の場合(図16)、捨て型枠15' (円筒体15)の下端部を地盤Gに部分的に埋め込んでも良く、或いは、地盤Gの傾斜に相応して捨て型枠15' (円筒体15)の下部を部分的にカットしても良い。更には、図17に示すように不陸又は凹凸を表面に有する地盤Gに太陽光発電装置1を設置する場合、地盤表面の不陸を整地することなくコンクリートを打設し、地盤の不陸又は凹凸に相応した底面の不陸又は凹凸を有する基礎10を施工しても良い。なお、図17に示すような基礎底面の不陸又は凹凸は、基礎10の転倒及び滑動を防止する上で有利である。
【0059】
図18は、基礎10の頂面13を傾斜面として施工した施工例を示す基礎10の断面図である。
【0060】
基礎10の上記構成によれば、図18に示すように、コンクリート打設直後に未硬化のコンクリート表面を鏝作業等により傾斜させることにより、頂面13を角度θ’の傾斜面に形成又は賦形することができる。このような施工を行う場合、捨て型枠15’の上縁を予め角度θ’に傾斜させても良い。このように頂面13を傾斜させた場合、太陽光発電パネル2の傾斜角を頂面13の傾斜角によって設定し又は調整することができるので、傾斜角が異なる太陽光発電パネル2を共通のベースプレート5によって支持することができ、従って、ベースプレート5を共通化又は標準化することが可能となる。なお、頂面13の一部のみを傾斜面として施工することも可能である。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において種々の変更又は変形が可能であり、かかる変更又は変形例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、短柱状基礎は、現場打ちコンクリートによって施工されるが、短柱状基礎をPC(プレキャストコンクリート)成形体として予め工場製作しても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、短柱状基礎は真円形断面を有するが、8以上の頂点を有する正多角形断面(水平断面)に短柱状基礎を成形しても良い。なお、真円形断面又は正多角形断面は、応力分布等に大きく影響しない限り、凹凸等の不規則部分又は不整形部分を部分的に備えても良い。
【0064】
更に、上記実施形態においては、無筋コンクリートを用いているが、無筋コンクリートは、配筋工事を要する鉄筋を含まないコンクリートを意味しており、配筋工事を実質的に要しないような極めて少量の補助鉄筋又は鋼材や、短繊維補強材、混和材、混和剤等を含むコンクリートを除外するものではない。
【0065】
また、フレーム及びベースプレートは、異なる仕様又は製造者の太陽光発電パネルを支持し得るように共用化又は標準化しても、或いは、特定の仕様又は製造者の太陽光発電パネルのみに適応可能に設計しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持する太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に適用される。本発明の基礎構造及び施工方法は、多数の太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に配列したメガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設において、施設を構成する各太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法として好適に使用し得る。本発明によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することが可能となるので、その実用的価値は、顕著である。
【符号の説明】
【0067】
1 太陽光発電装置
2 太陽光発電パネル(モジュール)
3 太陽光発電アレイ
4 フレーム
5 ベースプレート又はブラケット
5a 水平フランジ部
5b 垂直フランジ部
6 グラウトモルタル
7 ナット
8 ボルト・ナット組立体
10 基礎
11 アンカーボルト
12 プレート
13 頂面
15 円筒体又は円管
15’ 捨て型枠
A、B 重心
C 中心軸線
D 基礎の直径
H 基礎の高さ
F 捨てコンクリート
G 地盤
K 砂利
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に関するものであり、より詳細には、太陽光発電パネル(太陽光発電モジュール)又は太陽光発電アレイを地盤上に支持する太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の太陽光発電パネル(太陽光発電モジュール)又は太陽光発電アレイを地盤上に配列し、メガワット単位の発電出力を有するメガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設が近年殊に注目されている。このような大規模太陽光発電施設の建設においては、太陽光発電装置を施工するための土工事及び基礎工事の工期及び施工コストが全工期及び全建設費に対して比較的大きな比率を占める。
【0003】
一般に、太陽光発電パネル、或いは、複数の太陽光発電パネルを配列してなる太陽光発電アレイは、鉄骨構造の架台によって支持され、架台は、鉄筋コンクリート構造の基礎によって地盤に支持される。架台は、通常は、太陽光発電パネル又はアレイを支持する鋼製フレームと、フレームと基礎とを連結する複数又は単数のアーム又は支柱とから構成される。架台を支持する基礎は、各アーム又は支柱を夫々支持するように地盤上に配設され、或いは、複数のアーム又は支柱を支持する共用の基礎として地盤上に配設される。この種の太陽光発電装置の架台及び基礎は、例えば、特開2011−91166号公報、特開2011−77194号公報、特開2004−47756号公報等に記載されている。
【0004】
このような太陽光発電パネル又はアレイの架台及び基礎は、長期荷重(固定荷重)、風荷重、地震荷重、積雪荷重等の設計荷重に基づいて構造設計されるが、架台及び基礎に作用する荷重は、地盤によって支持されるので、基礎の滑動及び転倒に対する検討や、鉛直荷重に対する地盤の支持力等の検討が、架台及び基礎を設計する上で重要な要素となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−91166号公報
【特許文献2】特開2011−77194号公報
【特許文献3】特開2004−47756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設は、多数の太陽光発電パネル又はアレイを設置可能な大規模な敷地を要するので、埋立て地等の軟弱地盤や、不安定又は不規則な傾斜地等に建設される傾向がある。太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置する場合、地盤又は基礎の沈下を抑制する対策として、杭基礎工法、地盤改良工法、置換工法、沈下促進工法等の各種工法が一般に採用されるが、いずれの工法を採用した場合においても、工期の長期化、施工コストの高額化等の問題が発生する。また、汚染土壌を含む工場跡地や、産業廃棄物処分場の跡地等に大規模太陽光発電施設を建設する場合、このような沈下対策を容易に実施し難い状況も生じる。
【0007】
他方、このような沈下抑制の対策を採用せず、基礎の大型化や、基礎の接地面積の拡大等に依存して基礎の安定化を図ることも可能であるが、このような場合には、地盤の不均質性、太陽光発電装置の偏荷重等に起因して基礎が局部的に沈下する現象、即ち、不同沈下が発生し易く、このため、不同沈下に耐える基礎の強度及び耐力を確保する必要が生じる。一般に、不同沈下に対する対策においては、基礎の一部が局所的に沈下した状態を想定し、不同沈下時に基礎に作用する曲げ応力を許容可能な基礎の構造強度及び耐力を確保する構造設計が実施され、基礎の一体性及び安定性が担保される。しかしながら、このような構造設計によれば、基礎の大型化に伴ってコンクリート量、型枠量及び鉄筋量等が増大するので、基礎又は地盤の沈下を抑制するための上記対策と同じく、工期の長期化、施工コストの高額化等の問題が発生する。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
該基礎の外側面を被覆する管体又は筒体と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0010】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、基礎は、引張応力に抗しない無筋コンクリート構造の短柱状基礎であり、鉄筋の配筋を要しない。また、基礎は、外側面を被覆する管体又は筒体を捨て型枠としてコンクリートを打設することができるので、型枠の設置・解体作業を省略し又は簡素化することができる。更には、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。加えて、太陽光発電パネル又はアレイ、或いは、そのフレームをブラケット又はベースプレートによって短柱状基礎の頂面に直に固定することにより、太陽光発電パネル又はアレイや、フレームの荷重を基礎に直に伝達することができるので、アーム又は支柱の設置を省略することが可能となる。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。
【0011】
好ましくは、中央部又は中央領域が上記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結されたパネル又はアレイ支持用フレームが設けられ、フレームは、パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を有する金属製又は鋼製の枠体からなり、上記パネル又はアレイは、フレーム上に載置され、フレームに作用する荷重は、ブラケット又はベースプレートを介して基礎に直に(即ち、アーム又は支柱を介することなく)伝達する。
【0012】
更に好ましくは、管体又は筒体は、コンクリート打設時に捨て型枠として用いられた管状又は筒状の金属製型枠又は樹脂製型枠からなる。
【0013】
好適には、基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備える。
【0014】
更に好適には、基礎の外形寸法、重心位置及び重量は、太陽光発電装置に作用する短期水平荷重によって基礎に作用する引張応力を長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すとともに、短期水平荷重によって基礎に作用する転倒モーメントを長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すことができる外形寸法、重心位置及び重量に設定される。
【0015】
所望により、水平面に対するフレームの傾斜角度は、5〜30度の範囲内の値に設定される。このような傾斜角度は、ブラケット又はベースプレートの形状及び寸法によって得られ、或いは、基礎の頂面を(水平面に対して)5〜30度の範囲内の傾斜面に形成することにより、確保される。
【0016】
本発明の好適な実施形態によれば、本発明の基礎構造を有する多数の基礎を配列することにより、大規模太陽光発電施設が建設される。このような大規模太陽光発電施設の建設においては、土工事及び基礎工事の工期及び施工コストを短縮又は削減することができる。所望により、複数の基礎が、金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結される。
【0017】
本発明は又、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を備えたパネル又はアレイ支持用フレームを下側から支持するブラケット又はベースプレートと、
該ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つコンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有し、
前記ブラケット又はベースプレートは、前記フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、前記フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0018】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、ブラケット又はベースプレートは、フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、フレームに作用する荷重は、ブラケット又はベースプレートを介して基礎に直に伝達する。このような構造の基礎に作用する引張応力は、従来の大型基礎に比べて軽減し、或いは、全く生じないので、基礎のコンクリート内に配筋すべき鉄筋量を低減し、或いは、鉄筋を配筋しない無筋コンクリート構造に基礎として上記基礎を設計することができる。また、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。
【0019】
本発明は更に、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートが固定される頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを備え、
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造を提供する。
【0020】
本発明の上記構成によれば、太陽光発電装置の基礎は、単一の置き基礎形式の基礎であり、土工事を簡素化することができる。また、基礎は、短柱状のコンパクトな形態を有するので、コンクリート量の増大を抑制することができる。更に、基礎は、引張応力に抗しない無筋コンクリート構造の短柱状基礎であり、鉄筋の配筋を要しない。また、置き基礎形式且つ短柱形状のコンクリート基礎は、接地面が小さいことから、接地面の範囲内で不同沈下が発生する確率が低く、仮に不同沈下が発生したとしても、基礎が全体的に傾斜するにすぎず、基礎の破壊・損壊が生じ難い。加えて、太陽光発電パネル又はアレイ、或いは、そのフレームをブラケット又はベースプレートによって短柱状基礎の頂面に固定することにより、太陽光発電パネル又はアレイや、フレームの荷重は基礎に直に伝達するので、アーム又は支柱の設置を省略することができる。従って、上記構成の基礎構造によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる。更に、上記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備える。このような断面の短柱状基礎は、弱軸及び強軸の方向性をもたないので、引張応力を生じさせない形状及び寸法を設定し易く、従って、コンクリートを無筋化し易い。
【0021】
好ましくは、基礎の高さHと基礎の直径D(基礎直径又は外接円直径)との比(H/D)は、0.5以上の値に設定される。更に好ましくは、基礎の高さH(mm)は、基礎の直径D(mm)に対し、H=D×2−600mmの値を超えない値に設定される。望ましくは、基礎の高さHは、少なくとも250mm、好ましくは、300mm以上の値に設定される。
【0022】
更に他の観点より、本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎を施工する施工方法において、
軸心が上下方向に配向され、全高に亘って均一又は均等な直径の円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する多角形断面を備えた管状又は筒状の単一捨て型枠を地盤面に配置するとともに、アンカーボルトを該型枠内に配置し、
流動状態の未硬化コンクリートを前記型枠の頂部開口に流し込んで該コンクリートを該型枠内に打設し、
前記パネル又はアレイを下側から支持するためのブラケット又はベースプレートを前記コンクリートの硬化後に該コンクリートの頂面に配置するとともに、前記ブラケット又はベースプレートを前記アンカーボルトによって前記コンクリートの頂面に係留することを特徴とする太陽光発電装置の基礎の施工方法を提供する。
【0023】
本発明の上記構成によれば、円形断面又は多角形断面を有する捨て型枠が地盤面に配置される。このような捨て型枠の形態によれば、コンクリート打設時に作用するコンクリートの流動体の流体圧力は、捨て型枠に対して周方向に均一に作用するので、支保工を省略し、或いは、支保工を簡素化することができる。捨て型枠は、基礎の外側面を被覆する管体又は筒体として用いられるので、型枠の設置・解体作業を省略し又は簡素化することができる。また、管状又は筒状の捨て型枠は、軟弱地盤、傾斜地盤、不陸地盤等に比較的簡単に設置することができるので、工期短縮及び建設費削減を図る上で極めて有利である。しかも、上記施工方法によれば、本発明に係る前述の基礎構造の基礎を容易に施工することができる。
【0024】
好ましくは、上記型枠の中空部は、真円形断面又は正多角形断面を有する。更に好ましくは、硬化後のコンクリートは、無筋コンクリートである。上記地盤面は、必要に応じて、流動性固化材料の流し延べ、土壌の締固め、或いは、固形材料の敷設によって型枠及びアンカーボルトの施工前に予め整地される。所望により、上記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有する傾斜面に仕上げられる。複数の上記捨て型枠を地盤上に配列し、捨て型枠同士を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結しても良い。好適には、全体的に平板状の輪郭を有する枠体がパネル又はアレイ支持用フレームとして予め用意され、フレームの中央部又は中央領域が上記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結される。このようなフレームは、一点吊りによる運搬又は搬送や、基礎上への設置作業が可能であるので、架台の設置作業を簡素化することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の上記構成によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することができる太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係る無筋コンクリート構造の短柱状基礎を備えた太陽光発電装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すフレーム及び基礎の平面図である。
【図3】図3は、図1に示すフレーム及び基礎の側面図である。
【図4】図4は、図3のI−I線における断面図である。
【図5】図5は、図2のII−II線における断面図である。
【図6】図6(A)は、基礎に作用する力の力学的バランスを概念的に示す断面図であり、図6(B)は、真円形断面の短柱形基礎に関する設計寸法の推奨範囲を示す線図である。
【図7】図7は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、アンカーボルト及び捨て型枠を地盤上に設置する過程が示されている。
【図8】図8は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、アンカーボルト及び捨て型枠を地盤上に設置した状態が示されている。
【図9】図9は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、未硬化コンクリートの流動体を捨て型枠内に打設した状態が示されている
【図10】図10は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、フレームを基礎上に設置する工程が示されている。
【図11】図11は、太陽光発電装置の施工方法を示す斜視図であり、太陽光発電パネルをフレーム上に載置する工程が示されている。
【図12】図12は、複数の太陽光発電装置を敷地に配列してなる太陽光発電システムを概略的に示す斜視図である。
【図13】図13は、複数の基礎を杆材によって相互連結した状態を示す平面図である。
【図14】図14は、高低差を有する段差地盤に太陽光発電装置を配置した施工例を示す側面図である。
【図15】図15は、太陽光発電装置を傾斜地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【図16】図16は、太陽光発電装置を傾斜地盤に設置した他の施工例を示す断面図である。
【図17】図17は、太陽光発電装置を不陸地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【図18】図18は、基礎の頂面を傾斜面として施工した施工例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る無筋コンクリート構造の短柱状基礎を備えた太陽光発電装置の全体構成を示す斜視図であり、図2及び図3は、図1に示すフレーム及び基礎の構造を示す平面図及び側面図である。また、図4は、図3のI−I線における断面図であり、図5は、図2のII−II線における断面図である。なお、図1、図3、図5及び図6において、太陽光発電パネルは一点鎖線で示されており、また、図4において、フレームは破線で示されている。
【0029】
図1に示すように、太陽光発電装置1は、複数の太陽光発電パネル(モジュール)2を前後方向(X方向)に配列してなる太陽光発電アレイ3と、太陽光発電パネル2を支持する金属製又は鋼製のフレーム4と、左右一対の金属製又は鋼製ベースプレート(又はブラケット)5を介してフレーム4を支持する無筋コンクリート構造の基礎10とから構成される。各太陽光発電パネル2は、例えば、各種接続端子、配線ケーブル等(図示せず)を介してDC/AC変換装置等(図示せず)に接続される。多数の太陽光発電装置1を地上に配列してなる太陽光発電システムは、メガソーラー発電プラント等の大規模太陽光発電施設を構成する。
【0030】
基礎10を配置すべき地盤G上には、図3及び図5に示すように捨てコンクリートFが厚さ50mm程度に流し延べられる。捨てコンクリートFの上面は、地盤面又は接地面を形成し、基礎10は、硬化後の捨てコンクリートF上に施工又は載置される。基礎10は、高さH及び直径Dを有する真円形断面(水平断面)の円柱形輪郭を有し、鉛直な中心軸線Cを有する。基礎10の外周面は、全高に亘って均一又は均等な真円形断面を有する金属製又は樹脂製の円筒体(又は円管)15によって被覆される。敷き砂利Kが、基礎10の接地領域を除き、捨てコンクリートF上の全域に厚さt(=約50mm)に敷き詰められる。なお、捨てコンクリートF及び敷き砂利Kの施工は任意である。
【0031】
敷き砂利Kの上面から基礎10の真円形頂面13までの高さh(=H−t)は、例えば、250〜700mmの範囲内の値に設定される。基礎10の直径D及び高さHは、例えば、300〜750mmの範囲内の値に設定される。直径D/高さHの寸法比は、例えば、0.5〜2.0の範囲内の値に設定される。本例において、基礎10は、直径D=550mm、高さH=450mmの寸法を有する置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎である。
【0032】
図3及び図5に示すように、複数(本例では、4本)の金属製又は鋼製アンカーボルト11と、複数(本例では上下一対)の金属製又は鋼製プレート12とが基礎10内に埋設される。プレート12は、平面視正方形の外形輪郭を有し、基礎10内に水平に配置される。図5に示すように、アンカーボルト11は上下のプレート12を垂直に貫通する。プレート12は、金属製又は鋼製ナット等(図示せず)によってアンカーボルト11に固着される。アンカーボルト11の外螺子付き頂部は、基礎10の頂面13から垂直上方に突出し、ベースプレート5の水平フランジ部5aに穿設されたボルト孔(図示せず)を貫通する。グラウトモルタル6がフランジ部5aと頂面13との間に注入されるとともに、金属製又は鋼製ナット7がアンカーボルト11の頂部に螺着する。ブラケット5は、ナット7の締付けにより、硬化後のグラウトモルタル6を介して頂面13上に堅固に固定される。
【0033】
各ベースプレート5は、前後一対の垂直フランジ部5bを有する。フランジ部5b及びその上縁は、フレーム4の傾斜角θに相応した高さ及び傾斜を有する。本例において、フレーム4の傾斜角θは角度10°に設定される。図2に示すように、フレーム4は、前後方向(X方向)に延びる左右一対の金属製又は鋼製骨組部材41と、骨組部材41の外側に平行に配置された左右一対の金属製又は鋼製骨組部材42と、幅方向(Y方向)に延びる前後一対の金属製又は鋼製骨組部材43とから構成される。骨組部材41、42の各端部は溶接又はボルト・ナット組立体等の固着手段によって骨組部材43に固着され、かくして、骨組部材41、42、43は一体的な長方形又は矩形フレーム4を構成する。フレーム4の骨組部材41は、ボルト・ナット組立体8(図5)によって垂直フランジ部5bに堅固に固定される。好ましくは、ボルト・ナット組立体8のためにフランジ部5b及び骨組部材41に穿設される貫通孔(図示せず)は、スロット又は長孔として形成される。フレーム4の上面には、図1に示すように、複数の太陽光発電パネル2が前後方向(X方向)に整列配置される。なお、本例において、各骨組部材41、42、43は等辺山形鋼L−50×50×6である。
【0034】
図3及び図5に示すように、ベースプレート5を含む基礎10の重心Bは、中心軸線C上に位置し、太陽光発電アレイ3及びフレーム4の集合体(以下、「パネル等の上部構造体」という。)の重心Aも又、中心軸線C上に位置する。即ち、パネル等の上部構造体の重心Aは、平面視において、基礎10の重心Bと一致する。
【0035】
図6(A)は、基礎10に作用する力の力学的バランスを概念的に示す断面図である。
【0036】
太陽光発電装置1は、パネル等の上部構造体及び基礎10の自重を長期鉛直荷重として有する。太陽光発電装置1には、風荷重(正負)及び地震荷重が短期水平荷重として作用する。また、積雪地域においては、積雪荷重が短期又は長期鉛直荷重として更に作用するが、本例においては、説明を簡略化するために、積雪荷重に関する説明を省略する。
【0037】
太陽光発電装置1の設計において、フレーム4は、FEM解析等によって応力解析され、骨組部材41、42、43に生じる曲げ応力度及び撓み量等が求められ、骨組部材41、42、43の断面及び各部寸法が定められる。また、ベースプレート5に作用する応力に基づいてアンカーボルト11の断面及び各部寸法が定められる。
【0038】
図6(A)において、A点は、前述のとおり、パネル等の上部構造体の重心位置を示し、基礎接地面(捨てコンクリートFの上面)に対するA点の高さhaは、600mmである。B点は、前述のとおり、ベースプレート5を含む基礎10の重心を示し、基礎接地面に対するB点の高さhbは、225mmである。なお、以下に説明する荷重バランスは、太陽光発電パネル2の寸法を幅(Y方向)約1600mm、奥行(X方向)約900mmに条件設定するとともに、図1に示す如くY方向に配列した2体の太陽光発電パネル2をフレーム4及び基礎10によって支持することを前提としたものである。
【0039】
A点には、パネル等の上部構造体に関し、概ね以下の長期荷重及び短期荷重が作用する。
・長期水平荷重P1=0kN
・長期鉛直荷重W1=約0.8kN
・風荷重P1’(水平)=約0.4kN(正負)
・風荷重W1’(鉛直)=約2kN(正負)
・地震荷重P1”(X・Y方向)=約0.4kN
・地震荷重W1”(鉛直)=0kN
【0040】
B点には、ベースプレート5を含む基礎10に関し、概ね以下の長期荷重及び短期荷重が作用する。
・長期水平荷重P2=0kN
・長期鉛直荷重W2=約2.5kN
・風荷重P2’(水平)=約0.25kN(正負)
・風荷重W2’(鉛直)=0
・地震荷重P2”(X・Y方向)=約1.2kN
・地震荷重W2”(鉛直)=0kN
【0041】
基礎下端面には、以下の圧縮力N及び曲げモーメントMが作用する。
・長期圧縮力N=W1+W2=約3.3kN
・長期曲げモーメントM=0kN
・短期(正負の風荷重)圧縮力N’=約2kN
・短期(正負の風荷重)曲げモーメントM’=P1’×ha+P2’×hb=約30kN
・短期(地震荷重)圧縮力N”=0kN
・短期(地震荷重)曲げモーメントM”=P1”×ha+P2”×hb=約51kN
【0042】
基礎10(直径D=550mm、高さH=450mm)は、断面積=約2400cm2、断面係数=約1600cm3の円柱であるので、長期荷重及び短期荷重(風荷重、地震荷重)に応答して基礎10に働く引張応力は、極めて小さく、無視し得る程度の値(コンクリートの許容引張強度の範囲内の値)であり、従って、基礎10には、引張応力が実質的に作用しない。また、長期鉛直荷重によって基礎10に作用する長期圧縮力Nは、約3.3kNであるのに対し、風荷重によって基礎10に作用する短期圧縮力N’は約2kN(負圧)であるので、基礎10の浮き上がりは、発生しない。更に、このような荷重により生じる基礎底面の接地圧は、長期許容支持応力度=30kN/m2、短期許容支持応力度=60kN/m2程度の地耐力を有する一般的な地盤により支持し得る程度の接地圧である。また、短期荷重(風荷重又は地震荷重)による曲げモーメントM’又はM”と、長期圧縮力Nとの比率(即ち、M’/N及びM”/N)より求められた偏心距離e(図示せず)は、基礎下端面の中心から直径D×2/3の範囲内の値であり、基礎10の転倒は生じない。
【0043】
このような太陽光発電装置1の力学的バランスは、単一短柱且つ置き基礎形式の無筋コンクリート構造基礎として前述の基礎10を設計・施工することが可能であることを意味する。即ち、太陽光発電パネル又はアレイを支持する基礎構造体の設計においては、風荷重に対しては、基礎重量を増大することが望ましいが、地震荷重に対しては、基礎重量を軽減することが望ましいという相反する条件があり、従来の設計においては、このような相反する条件を基礎の重心位置の低下と基礎の平面寸法の拡大(大型化)により充足していたことから、基礎の高重量化及び大型化に伴って基礎の不同沈下等が生じ易く、このため、これに起因した引張応力が基礎に作用するので、鉄筋を配筋したコンクリート基礎、即ち、鉄筋コンクリート構造の基礎を採用せざるを得ない事情が存在したが、本実施例の如く、基礎10を上部構造体(パネル等)の中央部(又は中央領域)の直下に配置し、単一の短柱状且つ置き基礎形式の基礎として設計した場合、引張応力が基礎10に作用せず、基礎10の転倒も発生しないように設計することができ、従って、前述のとおり、鉄筋を配筋しないコンクリート基礎、即ち、無筋コンクリート構造の基礎10を合理的に設計し且つ施工することが可能となる。なお、パネル等の上部構造体の中央部(又は中央領域)は、重心Aを中心として半径D/3程度の平面視円形領域(好ましくは、半径D/4の平面視円形領域)を意味する。
【0044】
図6(B)は、真円形断面を有する短柱形態の基礎10に関し、設計寸法の推奨範囲を示す線図である。
【0045】
基礎10を短柱として設計するための基準として、高さH=直径D×1/2の直線が図6(A)に破線で示されている。H<D×1/2の場合、柱の軸力の影響範囲を超える領域が基礎10の底面に含まれ、従って、水平方向(横方向)の鉄筋を基礎10に配筋する必要が生じ得るので、基礎10の高さH及び直径Dは、H≧D×1/2の範囲内で設計することが望ましい。図6(B)には、直径D=400、450、500、550、600、650、700、750mmおけるH=D×1/2の値がプロットされている。
【0046】
図6(B)には、直径D=400、450、500、550、600、650、700、750mmに対応する基礎10の高さHの適合値(H=230、350、450、560、650、740、820、900mm)がプロットされている。これらの高さHの値は、引張応力が基礎10に実質的に作用せず、しかも、短期荷重(風荷重、地震荷重)により基礎10の転倒が生じないことが構造計算上確認された値であり、高さHが適合値を超えた場合、無視し得ない引張応力が基礎10に作用する可能性が生じ(従って、鉄筋の配筋の必要が生じる可能性があり)、或いは、基礎10の転倒に対する考慮が必要となる可能性が高い。従って、図6(B)にプロットされた高さHの適合値は、このような意味において高さHの上限値として把握し得る。なお、基礎10の転倒の可能性は、前述のとおり、偏心距離e(図示せず)が基礎下端面の中心から直径D×2/3の範囲内の値であるか否か、という一般的な基準によって評価された。
【0047】
図6(B)には、直径D及び高さHの関数としてH=D×2−600mmの直線が破線で示されている。図6(B)にプロットされた高さHの適合値は、H=D×2−600mmの線上に概ね位置しており、従って、円柱形基礎の適合範囲の上限として、H=D×2−600mmを規定することができる。
【0048】
かくして、真円形断面を有する短柱形態の基礎10に関する設計寸法の推奨範囲として、図6(B)に斜線で示す範囲を設定することができる。なお、現実には、雑草や風雨、湿気等による太陽光発電パネル2及びフレーム4の汚れ、腐食等を考慮し、高さHは、少なくとも250mm、好ましくは、300mm以上の値に設定することが望ましい。また、図6(B)に示す推奨範囲は、前述の太陽光発電パネル2の寸法及び配列を基準としたものであり、パネル寸法及びパネル枚数等の相違に相応して、上記推奨範囲が変化することはいうまでもない。
【0049】
図7〜図11は、太陽光発電装置1の施工方法を段階的に示す斜視図である。
【0050】
図7及び図8には、捨てコンクリートFを地盤G上に施工した後、アンカーボルト11及び捨て型枠15’を捨てコンクリートFの上面に設置する工程が示されている。アンカーボルト11として、例えば、直径12mmの鋼製アンカーボルトが使用され、プレート12として、例えば、板厚約3mmの鋼板が使用される。プレート12は、正方形の外形輪郭を有し、プレート12の内側には、正方形開口12aが形成される。各アンカーボルト11は、鋼製ナット等(図示せず)によって上下のプレート12の角部に予め固着される。仮設支持ボルト17が、後施工アンカー等(図示せず)によって捨てコンクリートF上に垂直に植設される。仮設支持ボルト17の外螺子付き頂部は、下側のプレート12の帯状部分を貫通する。下側のプレート12は、鋼製ナット等(図示せず)によって仮設支持ボルト17の頂部に固定される。かくして、アンカーボルト11及びプレート12の組立体が捨てコンクリートF上に設置される。
【0051】
次いで、捨て型枠15’が、図8に示すように、捨てコンクリートF上に配置される。捨て型枠15’は、コンクリート硬化後に前述の円筒体(円管)15を構成する。アンカーボルト11及びプレート12は、アンカーボルト11の外螺子付き頂部を捨て型枠15’の頂部円形開口から上方に突出した状態で捨て型枠15’内に収容される。捨て型枠15’として、金属製又は樹脂製の管状部材、例えば、ワインディングパイプ(栗本商事株式会社製品)、カナパイプ(登録商標、カナフレックスコーポレーション製品)等を好適に使用し得る。所望により、捨て型枠15’は、鋼材及び後施工アンカー等の仮止め具(図示せず)によって捨てコンクリートF上に仮留めされる。
【0052】
図9には、未硬化コンクリートの流動体10’を捨て型枠15’内に流し込んでコンクリート打設を行った状態が示されている。流動体10’は、捨て型枠15’内に密実に充填され、所要の養生期間の経過により硬化し、かくして、短柱状の無筋コンクリート硬化体を円筒体(円管)15によって被覆してなる短柱状の基礎10が、図10に示すように捨てコンクリートF上に形成される。なお、真円形断面の捨て型枠15’には、流動体10’の流体圧力がコンクリート打設時に周方向に均一に作用するので、支保工を省略し、或いは、支保工を簡素化することができる。
【0053】
図10には、ベースプレート5をボルト・ナット組立体8によって予め組付けたフレーム4を基礎10上に設置する工程が示されている。基礎10上に載置されたフレーム4は、ナット7(図2〜図5)をアンカーボルト11の頂部に螺着し且つベースプレート5に対して締付けることにより、基礎10の頂面13上に堅固に固定される。なお、図10に示すように、敷き砂利Kが捨てコンクリートF上に敷き詰められる。
【0054】
かくして基礎10上に設置したフレーム4には、図11に示すように太陽光発電パネル2が載置され、図1に示す太陽光発電装置1が完成する。
【0055】
図12は、複数の太陽光発電装置1を敷地に配列してなる太陽光発電システムを概略的に示す斜視図であり、図13は、複数の基礎10を杆材によって相互連結した状態を示す平面図である。
【0056】
図12に示すように、太陽光発電装置1は、所要の間隔を隔てて敷地内に配列され、太陽光発電施設を構成する。所望により、複数の基礎10が図13に示すようにアングル型鋼材等の杆材20によって相互連結される。杆材20は、コンクリート打設前の状態(図8)でアンカーボルト11の頂部に固定又は係留され、捨て型枠15’の位置決め治具又は仮固定治具として使用される。杆材20は又、過大な外力がいずれかの太陽光発電装置1に局所的に作用したときに他の太陽光発電装置1に外力を分散するので、システム全体としての構造的安定性に寄与する。
【0057】
図14は、高低差を有する段差地盤に太陽光発電装置1を配置した施工例を示す側面図であり、図15、図16及び図17は、太陽光発電装置1を傾斜地盤又は不陸地盤に設置した施工例を示す断面図である。
【0058】
基礎10の上記構成によれば、図14に示すような段差地盤に太陽光発電装置1を配置する場合、基礎10を配置するための地盤部分のみが局所的に平坦であれば良く、或いは、基礎10を配置するための地盤部分のみを局所的に整地すれば良い。また、傾斜地盤に太陽光発電装置1を設置する場合、図15に示すように、地盤Gを局部的に掘削して平坦な底面の基礎10を施工し、或いは、図16に示すように、地盤Gの傾斜に応じて底面が傾斜した基礎10を施工することができる。後者の場合(図16)、捨て型枠15' (円筒体15)の下端部を地盤Gに部分的に埋め込んでも良く、或いは、地盤Gの傾斜に相応して捨て型枠15' (円筒体15)の下部を部分的にカットしても良い。更には、図17に示すように不陸又は凹凸を表面に有する地盤Gに太陽光発電装置1を設置する場合、地盤表面の不陸を整地することなくコンクリートを打設し、地盤の不陸又は凹凸に相応した底面の不陸又は凹凸を有する基礎10を施工しても良い。なお、図17に示すような基礎底面の不陸又は凹凸は、基礎10の転倒及び滑動を防止する上で有利である。
【0059】
図18は、基礎10の頂面13を傾斜面として施工した施工例を示す基礎10の断面図である。
【0060】
基礎10の上記構成によれば、図18に示すように、コンクリート打設直後に未硬化のコンクリート表面を鏝作業等により傾斜させることにより、頂面13を角度θ’の傾斜面に形成又は賦形することができる。このような施工を行う場合、捨て型枠15’の上縁を予め角度θ’に傾斜させても良い。このように頂面13を傾斜させた場合、太陽光発電パネル2の傾斜角を頂面13の傾斜角によって設定し又は調整することができるので、傾斜角が異なる太陽光発電パネル2を共通のベースプレート5によって支持することができ、従って、ベースプレート5を共通化又は標準化することが可能となる。なお、頂面13の一部のみを傾斜面として施工することも可能である。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において種々の変更又は変形が可能であり、かかる変更又は変形例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、短柱状基礎は、現場打ちコンクリートによって施工されるが、短柱状基礎をPC(プレキャストコンクリート)成形体として予め工場製作しても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、短柱状基礎は真円形断面を有するが、8以上の頂点を有する正多角形断面(水平断面)に短柱状基礎を成形しても良い。なお、真円形断面又は正多角形断面は、応力分布等に大きく影響しない限り、凹凸等の不規則部分又は不整形部分を部分的に備えても良い。
【0064】
更に、上記実施形態においては、無筋コンクリートを用いているが、無筋コンクリートは、配筋工事を要する鉄筋を含まないコンクリートを意味しており、配筋工事を実質的に要しないような極めて少量の補助鉄筋又は鋼材や、短繊維補強材、混和材、混和剤等を含むコンクリートを除外するものではない。
【0065】
また、フレーム及びベースプレートは、異なる仕様又は製造者の太陽光発電パネルを支持し得るように共用化又は標準化しても、或いは、特定の仕様又は製造者の太陽光発電パネルのみに適応可能に設計しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持する太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法に適用される。本発明の基礎構造及び施工方法は、多数の太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に配列したメガソーラー発電プラント、メガソーラー発電所等の大規模太陽光発電施設において、施設を構成する各太陽光発電装置の基礎構造及びその施工方法として好適に使用し得る。本発明によれば、杭基礎、地盤改良等のような地盤又は基礎の沈下対策を格別に採用することなく、しかも、工期の長期化及び施工のコスト増大につながる基礎の大型化や、コンクリート量、型枠量及び鉄筋量等の増大をもたらすことなく、太陽光発電パネル又はアレイを軟弱地盤等に設置することが可能となるので、その実用的価値は、顕著である。
【符号の説明】
【0067】
1 太陽光発電装置
2 太陽光発電パネル(モジュール)
3 太陽光発電アレイ
4 フレーム
5 ベースプレート又はブラケット
5a 水平フランジ部
5b 垂直フランジ部
6 グラウトモルタル
7 ナット
8 ボルト・ナット組立体
10 基礎
11 アンカーボルト
12 プレート
13 頂面
15 円筒体又は円管
15’ 捨て型枠
A、B 重心
C 中心軸線
D 基礎の直径
H 基礎の高さ
F 捨てコンクリート
G 地盤
K 砂利
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
該基礎の外側面を被覆する管体又は筒体と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項2】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を備えたパネル又はアレイ支持用フレームを下側から支持するブラケット又はベースプレートと、
該ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つコンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有し、
前記ブラケット又はベースプレートは、前記フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、前記フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項3】
中央部又は中央領域が前記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結されたパネル又はアレイ支持用フレームを有し、
該フレームは、前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を有する金属製又は鋼製の枠体からなり、
前記パネル又はアレイは、前記フレーム上に載置され、該フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
【請求項4】
前記管体又は筒体は、コンクリート打設時に捨て型枠として用いられた管状又は筒状の金属製型枠又は樹脂製型枠からなることを特徴とする請求項1又は3に記載の基礎構造。
【請求項5】
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項6】
前記基礎の外形寸法、重心位置及び重量は、太陽光発電装置に作用する短期水平荷重によって前記基礎に作用する引張応力を長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すとともに、短期水平荷重によって前記基礎に作用する転倒モーメントを長期鉛直荷重によって 実質的に打ち消すことができる外形寸法、重心位置及び重量に設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項7】
水平面に対する前記フレームの傾斜角度を5〜30度の範囲内の値に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載の基礎構造。
【請求項8】
前記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項9】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを備え、
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項10】
前記基礎の高さHと該基礎の直径Dとの比(H/D)を0.5以上の値に設定したことを特徴とする請求項9に記載の基礎構造。
【請求項11】
前記基礎の高さH(mm)が、前記基礎の直径D(mm)に対し、H=D×2−600mmの値を超えない値に設定されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の基礎構造。
【請求項12】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎を施工する施工方法において、
軸心が上下方向に配向され、全高に亘って均一又は均等な直径の円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する多角形断面を備えた管状又は筒状の単一捨て型枠を地盤面に配置するとともに、アンカーボルトを該型枠内に配置し、
流動状態の未硬化コンクリートを前記型枠の頂部開口に流し込んで該コンクリートを該型枠内に打設し、
前記パネル又はアレイを下側から支持するためのブラケット又はベースプレートを前記コンクリートの硬化後に該コンクリートの頂面に配置するとともに、前記ブラケット又はベースプレートを前記アンカーボルトによって前記コンクリートの頂面に係留することを特徴とする太陽光発電装置の基礎の施工方法。
【請求項13】
前記型枠の中空部は、真円形断面又は正多角形断面を有することを特徴とする請求項12に記載の施工方法。
【請求項14】
硬化後の前記コンクリートは、無筋コンクリートであることを特徴とする請求項12又は13に記載の施工方法。
【請求項15】
前記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有する傾斜面に仕上げられることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項16】
前記地盤面は、流動性固化材料の流し延べ、土壌の締固め、或いは、固形材料の敷設によって前記型枠及びアンカーボルトの施工前に予め整地されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項17】
複数の前記捨て型枠を地盤上に配列し、該捨て型枠同士を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項18】
全体的に平板状の輪郭を有する枠体をパネル又はアレイ支持用フレームとして用意し、該フレームの中央部又は中央領域を前記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結することを特徴とする請求項12乃至17のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項19】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載された基礎構造を有する多数の基礎を配列したことを特徴とする大規模太陽光発電施設。
【請求項20】
複数の前記基礎を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結したことを特徴とする請求項19に記載の大規模太陽光発電施設。
【請求項1】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
該基礎の外側面を被覆する管体又は筒体と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項2】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を備えたパネル又はアレイ支持用フレームを下側から支持するブラケット又はベースプレートと、
該ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つコンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを有し、
前記ブラケット又はベースプレートは、前記フレームの中央部又は中央領域に一体的に連結され、前記フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項3】
中央部又は中央領域が前記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結されたパネル又はアレイ支持用フレームを有し、
該フレームは、前記パネル又はアレイの傾斜角に相応して傾斜し且つ全体的に平板状の輪郭を有する金属製又は鋼製の枠体からなり、
前記パネル又はアレイは、前記フレーム上に載置され、該フレームに作用する荷重は、前記ブラケット又はベースプレートを介して前記基礎に直に伝達することを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
【請求項4】
前記管体又は筒体は、コンクリート打設時に捨て型枠として用いられた管状又は筒状の金属製型枠又は樹脂製型枠からなることを特徴とする請求項1又は3に記載の基礎構造。
【請求項5】
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項6】
前記基礎の外形寸法、重心位置及び重量は、太陽光発電装置に作用する短期水平荷重によって前記基礎に作用する引張応力を長期鉛直荷重によって実質的に打ち消すとともに、短期水平荷重によって前記基礎に作用する転倒モーメントを長期鉛直荷重によって 実質的に打ち消すことができる外形寸法、重心位置及び重量に設定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項7】
水平面に対する前記フレームの傾斜角度を5〜30度の範囲内の値に設定したことを特徴とする請求項2又は3に記載の基礎構造。
【請求項8】
前記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項9】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎構造において、
前記パネル又はアレイの中央部又は中央領域を下側から支持するためのブラケット又はベースプレートと、
前記ブラケット又はベースプレートを固定可能な頂面を有する単一置き基礎形式且つ無筋コンクリート構造の短柱状基礎と、
前記ブラケット又はベースプレートを前記頂面に係留する係留手段とを備え、
前記基礎は、全高に亘って均一又は均等な直径の真円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する正多角形断面を備えることを特徴とする太陽光発電装置の基礎構造。
【請求項10】
前記基礎の高さHと該基礎の直径Dとの比(H/D)を0.5以上の値に設定したことを特徴とする請求項9に記載の基礎構造。
【請求項11】
前記基礎の高さH(mm)が、前記基礎の直径D(mm)に対し、H=D×2−600mmの値を超えない値に設定されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の基礎構造。
【請求項12】
太陽光発電パネル又はアレイを地盤上に支持するための太陽光発電装置の基礎を施工する施工方法において、
軸心が上下方向に配向され、全高に亘って均一又は均等な直径の円形断面、或いは、全高に亘って均一又は均等な外接円直径を有し且つ8以上の頂点を有する多角形断面を備えた管状又は筒状の単一捨て型枠を地盤面に配置するとともに、アンカーボルトを該型枠内に配置し、
流動状態の未硬化コンクリートを前記型枠の頂部開口に流し込んで該コンクリートを該型枠内に打設し、
前記パネル又はアレイを下側から支持するためのブラケット又はベースプレートを前記コンクリートの硬化後に該コンクリートの頂面に配置するとともに、前記ブラケット又はベースプレートを前記アンカーボルトによって前記コンクリートの頂面に係留することを特徴とする太陽光発電装置の基礎の施工方法。
【請求項13】
前記型枠の中空部は、真円形断面又は正多角形断面を有することを特徴とする請求項12に記載の施工方法。
【請求項14】
硬化後の前記コンクリートは、無筋コンクリートであることを特徴とする請求項12又は13に記載の施工方法。
【請求項15】
前記頂面は、水平面に対して5〜30度の範囲内の傾斜角度を有する傾斜面に仕上げられることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項16】
前記地盤面は、流動性固化材料の流し延べ、土壌の締固め、或いは、固形材料の敷設によって前記型枠及びアンカーボルトの施工前に予め整地されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項17】
複数の前記捨て型枠を地盤上に配列し、該捨て型枠同士を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項18】
全体的に平板状の輪郭を有する枠体をパネル又はアレイ支持用フレームとして用意し、該フレームの中央部又は中央領域を前記ブラケット又はベースプレートに一体的に連結することを特徴とする請求項12乃至17のいずれか1項に記載の施工方法。
【請求項19】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載された基礎構造を有する多数の基礎を配列したことを特徴とする大規模太陽光発電施設。
【請求項20】
複数の前記基礎を金属製又は鋼製の杆材又は管材によって相互連結したことを特徴とする請求項19に記載の大規模太陽光発電施設。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−112926(P2013−112926A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256770(P2011−256770)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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