説明

太陽光発電装置

【課題】大気中の二酸化炭素を捕集して反応させ、生じた水を太陽光で光分解して発電し、酸素を大気中に放出させる太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】大気中の二酸化炭素を捕集して化学的に反応させて、生じた水を選択的透過膜に透過させて、太陽光と光分解色素によって水を光分解し、生じた電荷によって発電し、酸素を大気中に放出させる太陽光発電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の二酸化炭素を捕集してアルカリ溶液と反応させて水を生成し、太陽光によって水を分解し酸素を大気に放出し、得られた電荷によって太陽光発電する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽光発電は、太陽電池を利用して、太陽光のエネルギを直接的に電力に変化するソーラ発電である。太陽電池は、太陽電池素子中の電子に光りエネルギを吸収させ、光起電力効果によって直接的に電気エネルギに変換していた。太陽光を利用する再生可能エネルギであり、化石燃料と関係なく、温室効果ガスを排出しないが直接的削減には関与していない。本発明では、水の太陽光分解による発電システムが、大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を大気中に放出する発電装置を発明した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の太陽光発電では、電気的発電素子を使い発電するため、再生可能エネルギであるものの、温室効果ガスを排出しないだけで、直接的な削減効果は乏しい。本発明では植物の光合成に着目し、二酸化炭素を補集しつつ、明反応を利用して水から酸素と水素を生成し、水の分解によって放出された電荷を利用して発電する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、大気中の二酸化炭素を選択的透過膜(二酸化炭素透過膜)によって透過吸収して、二酸化炭素吸収槽の水酸化ナトリウム水溶液と反応させて炭酸ナトリウムと水を生成し、生成して出来た水を、別槽の水光分解反応水槽側端部の選択的透過膜(水素イオン透過膜)を挟んだ電極を通して、負極で吸収した電子を、正極でイオン透過膜を透過した水素イオンに与えて水素を生成して、電極間に電子を移動させて電流を流す。発生した酸素は、水光分解反応水槽壁上端部の酸素放出口より放出する。
【発明の効果】
【0005】
現在の太陽光発電は、化石燃料に頼らない再生可能エネルギではあるものの、温室効果ガスを排出しないだけで直接的な削減には関与していない。本発明では、植物の光合成に着目し、温室効果ガスを削減し、酸素を放出することで大気の浄化も促し、再生可能エネルギである太陽光により発電を行え、地球温暖化防止と、エネルギ問題の両方の解決に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
〔図1〕は、本発明の太陽光発電装置の概略断面図である。以下本発明のプロセスフローを図に従って詳細に説明する。初めに2a二酸化炭素吸収槽に2bの水酸化ナトリウム注入口から水酸化ナトリウムを液面が2c選択的透過膜(二酸化炭素透過膜)に接触するまで注入する。続いて4a水光分解反応水槽に、4c酸素放出口からクロロフィル水溶液を液面が放出口を超えない程度まで注入する。
【0007】
2a二酸化炭素吸収槽では、空気の平均重量より重い二酸化炭素が、槽上面に取り付けてある2c選択的透過膜(二酸化炭素透過膜)に大気に押されることにより透過し、2a二酸化炭素吸収槽内の水酸化ナトリウムと反応して水溶液に吸収される。
2NaOH+CO→NaCO+H
この時、上式の様に水が生成され、水酸化ナトリウム水溶液中の水と混和して、3選択的透過膜(水分子透過膜)を透過して、4a水光分解反応水槽に補給される。
【0008】
4a水光分解反応水槽の上部には4b集光板が置いてあり、太陽光を集光し、水溶液中のクロロフィルと光反応して、水を酸素と水素イオンに分解し、4a水光分解反応水槽側端部の5a選択的透過膜(水素イオン透過膜)を透過した水素イオンに与えて水素生成して、5b、5cの電極間に電子を移動させて電流を流す。発生した酸素は、4a水光分解反応水槽壁上端部の4c酸素放出口より放出される。
【0009】
4a水光分解反応水槽内の水光分解反応と、5a選択的透過膜(水素イオン透過膜)、5b(負極)、5c(正極)電極間の電子のやり取りの収支は以下の反応式による。
水の光分解反応と5b電極(負極)での反応 2HO→O+4H+4e
5a水素イオン透過膜と5c電極(正極)での反応 2H+2e→2H
【0010】
2a二酸化炭素吸収槽の上部に2c選択的透過膜(二酸化炭素透過膜)が取り付けてあり、その中心部に2d集光板付き2e水溶液対流発生用レンズが取り付けてある。2d集光板が、太陽光を集光して2e水溶液対流発生用レンズによって集光照射された太陽光は、焦点が2a二酸化炭素吸収槽の水溶液下部を温めるように調整されていて、この光エネルギで温まった水溶液は、2a二酸化炭素吸収槽の槽内の上部と下部で温度勾配ができ対流が起きる。
【0011】
2c選択的透過膜(二酸化炭素透過膜)には大気で押された二酸化炭素が、温度上昇した2a二酸化炭素吸収槽内の反応で起きた炭酸ナトリウムと反応して、炭酸水素ナトリウムを生成する。対流により、2a二酸化炭素吸収槽内を循環する炭酸水素ナトリウムの結晶は、2e水溶液対流発生用レンズ照射用と対流循環用に真中に穴を設けた、2f炭酸副生成物回収膜に堆積する。この装置は脱着可能なので、2a二酸化炭素吸収槽の水溶液中の水が消費されて水位が2f炭酸副生成物回収膜より下がったら、膜を取り外し、炭酸水素ナトリウムを回収する。このことにより大気中の二酸化炭素は、炭酸水素ナトリウムに固定されて回収され、温室効果ガスを削減できる。
【実施例】
【0012】
クロロフィル色素を卓上リバーシブル燃料電池セットに注入し、680nm付近の波長の光を吸光させて、水を酸素と水素に光分解する。この卓上燃料電池は発生した酸素と水素を貯留タンクに蓄えられ、これらの燃料を使って負荷のつないだ燃料電池を発電させる。これによりクロロフィル色素による水の光分解の基礎実験ができる。
【0013】
実際に〔図1〕太陽光発電装置で、発電を行い起電力を測定して水の消費量を求める。
【0014】
二酸化炭素吸収槽の対流により回収膜に採取された炭酸水素ナトリウム量から、二酸化炭素の捕集量を求める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は、本発明の主要部である太陽光発電装置の概略断面図を示す。
【符号の説明】
【0016】
1 太陽光発電装置本体
2a 二酸化炭素吸収槽
2b 水酸化ナトリウム注入口
2c 選択的透過膜
2d 集光板
2e 水溶液対流発生用レンズ
2f 炭酸副生成物回収膜
3 選択的透過膜
4a 水光分解反応水槽
4b 集光板
4c 酸素放出口
5a 選択的透過膜
5b 電極(負極)
5c 電極(正極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中の二酸化炭素を捕集して化学的に反応させて、生じた水を選択的透過膜に透過させ、太陽光と光分解色素によって水を光分解し、生じた電荷によって発電し、酸素を大気中に放出させる太陽光発電装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−56053(P2010−56053A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249064(P2008−249064)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(507237495)
【Fターム(参考)】