説明

太陽光発電装置

【課題】 立体トラス構造物に太陽光パネルを設置して太陽光発電装置とする。
【解決手段】 立体トラス構造物1に、その弦材3aと斜材4aの交点から、更に斜材4bを傾斜起立して、各4方向からの斜材4bによって四角錐の寄棟状フレーム2を突出配置する。二等辺三角形をなすその面の頂点と弦材3a及び斜材4aの交点に設置した支持金具12によって母屋材13を平行に配置し、この母屋材13に傾斜設置して、立体トラス構造物1のXY方向一方に直列に、他方に並列の太陽光パネル11を配置して太陽光発電装置Aとする。支柱14によって支持してデッドスペースのない上屋とし、壁面に添設する等、多様な設置形態を採用でき、人口密集地を含めて太陽光発電装置Aの普及を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体トラス構造体に太陽光パネルを設置した太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の太陽光発電装置は、下記特許文献1に記載される如くに、架台を用い、該架台に太陽光パネルを配置することによって、地上や屋上の設置ベースや住宅の屋根平側面に据置き設置するのが一般であり、このとき架台は、前後異長又は同長の多数本、例えば4本の固定脚の上面に、地表に対して30°乃至60°の傾斜角度とするように傾斜平板状をなすパネル受光面を形成したものとされ、該パネル受光面に太陽光パネルを載置固定して、その配置を行うことによって、該太陽光パネルに太陽光を受光し、その太陽光によって発電を行なうように使用するものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−340491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、太陽光発電装置として、太陽光をエネルギー源として発電し、その電力を電力系統に連係することによって、それぞれ設置用途に応じた電力利用や売電を行なうことができるが、架台は、上記のように前後異長乃至同長の固定脚を備えたものとされることによって、その設置形態が据置き用のものに限定され、その設置場所が、上記の地上や屋上又は屋根に限られるとともに、設置によってその設置場所がデッドスペース化するという問題点を残している。
【0005】
即ち、太陽光発電装置は架台を用いて設置するために、架台の固定脚を設置ベースに固定し、上記固定脚によってその傾斜角度を定めるから、その設置に際しては平坦にして広い面積を必要とすることになり、この設置形態によって設置場所が制約されて、この条件を満たし得るのは、上記の地上や屋上又は屋根といった特定の場所に限られる上、地上といっても、山野や僻地のような場所や多数ある屋上のうちの極く一部に限られる。
【0006】
また、太陽光発電装置を、上記固定脚を設置ベースに固定する設置形態を採ることによって、該装置の太陽光パネルを載置固定した架台が設置場所を占有するため、該設置場所がデッドスペースとなって、他の用途の使用が犠牲になるから、同様に設置場所が制約されるに至る。住宅の屋根の場合、他の用途は余りないために特段の問題はないとしても、屋上は太陽光発電装置の設置に好適な場所であるが、一度これを設置すると、他の用途の屋上利用をなし得なくなるために、その設置を断念するというケースも多い。
【0007】
太陽光発電装置の設置が求められていながら、架台を用いる設置形態を採用すると、同時にその設置場所を制約することになるとともに該設置場所がデッドスペース化することになるために、その普及が大きく妨げられている現状がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、多様な設置形態を採用し得ることによって、設置場所の制約を解消し、人口密集の都市部を含めた設置をなし得るようにして、太陽光の可及的高度な活用を可能とした太陽光発電装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に沿って本発明は、立体トラス構造体を用いて、これに該立体トラス構造体の構成用に用いる斜材によって立体トラス構造体から突出するように多数の寄棟状フレームを形成し、該寄棟状フレームを設置架台とし、該立体トラス構造体の面内XY方向の一方に向けて直列に、他方に向けて並列に太陽光パネルを配置するようにして、立体トラス構造体を用いることによって、据置き設置、支柱支持設置、架設設置、壁面添設の設置等、多様な設置形態を可能とするとともに該設置形態の如何に拘らず、構造強度を可及的高度に確保して安定した設置状態を確保し得るものとし、また、太陽光パネルを上記XY方向一方に直列、他方に並列に配置したこと、これによって寄棟状フレームの残余の3面を開放したものとすることによって、設置形態の如何に拘らず、通風性を確保して、太陽光パネルに対する風圧の負荷を可及的に回避し得るようにしたものであって、即ち請求項1に記載の発明を、立体トラス構造体に太陽光パネルを設置した太陽光発電装置であって、上記立体トラス構造体にそれぞれ長手方向一端を接合した4方向の斜材を長手方向他端で接合して該トラス構造体に多数の寄棟状フレームを突出配置し、該寄棟状フレームの任意の傾斜面をパネル受光面として該パネル受光面を一連に覆うように太陽光パネルを傾斜設置することによって、立体トラス構造体に太陽光パネルをXY方向一方に直列にして他方に並列に配置してなることを特徴するする太陽光発電装置としたものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記寄棟状フレームに対する太陽光パネルの設置を、可及的簡易且つ確実に行うとともに立体トラス構造体との高度な一体化を確保したものとするように、これを、上記太陽光パネルの傾斜設置を、上記斜材の接合位置における各4方向の斜材の接合手段を共通に用いることによって寄棟状フレームのパネル受光面に一体的に固定して行なってなることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置としたものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記寄棟状フレームに対して太陽光パネルの固定の安定化を図り、該太陽光パネルの固定を、長期に亘って安定したものとするように、これを、上記斜材の接合手段を共通に用いた太陽光パネルの一体的固定を、上記パネル受光面における斜材の各接合部に該斜材とともに支持金具を接合し、該支持金具に上記パネル受光面をXY一方向に向けて一連に連続する平行一対の母屋材を配置し、該母屋材に太陽光パネルの対向2辺を固定して行なってなることを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電装置としたものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、寄棟状フレームの突出配置を安定且つ強度に優れるとともに該寄棟状フレームに設置した太陽光パネルの発電効率を可及的高度に確保し且つ外観を良好なものとするように、これを、上記寄棟状フレームの突出配置を、立体トラス構造体における平面正方形配置の弦材を底辺として、該平面正方形配置の弦材毎に突出配置することによって、立体トラス構造体の面内XY方向に相互に隣接するように行ってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽光発電装置としたものである。
【0013】
請求項5乃至8に記載の発明は、それぞれ太陽光発電装置を、好ましい設置態様のものとするように、請求項5に記載の発明を、上記立体トラス構造体を、地上乃至屋上等の設置ベースに対する据置き設置用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置とし、請求項6に記載の発明を、上記立体トラス構造体を、建造物の開口から外側に突出配置し又は建造物の開口間に架設配置した建造物付設用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置とし、請求項7に記載の発明を、上記立体トラス構造体を、支柱によって支持した独立構築物用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置とし、請求項8に記載の発明を、上記立体トラス構造体を、建造物の壁面に添設配置した建造物壁面付設用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置としたものである。
【0014】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、立体トラス構造体を用いて、これに該立体トラス構造体の構成用に用いる斜材によって立体トラス構造体から突出するように多数の寄棟状フレームを形成し、該寄棟状フレームを設置架台とし、該立体トラス構造体の面内XY方向の一方に向けて直列に、他方に向けて並列に太陽光パネルを配置するようにして、立体トラス構造体を用いることによって、据置き設置、支柱支持設置、架設設置、壁面添設の設置等、多様な設置形態を可能とするとともに該設置形態の如何に拘らず、構造強度を可及的高度に確保して安定した設置状態を確保し得るものとし、また、太陽光パネルを上記XY方向一方に直列、他方に並列に配置したこと、これによって寄棟状フレームの残余の3面を開放したものとすることによって、設置形態の如何に拘らず、通風性を確保して、太陽光パネルに対する風圧の負荷を可及的に回避し得るようにして、多様な設置形態を採用し得ることによって、設置場所の制約を解消し、都市部を含めた設置をなし得るようにして、太陽光の可及的高度な活用を可能とした太陽光発電装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記寄棟状フレームに対する太陽光パネルの設置を、可及的簡易且つ確実に行うとともに立体トラス構造体との高度な一体化を確保したものとすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記寄棟状フレームに対して太陽光パネルの固定の安定化を図り、該太陽光パネルの固定を、長期に亘って安定したものとすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、寄棟状フレームの突出配置を安定且つ強度に優れるとともに該寄棟状フレームに設置した太陽光パネルの発電効率を可及的高度に確保し且つ外観を良好なものとすることができる。
【0019】
請求項5乃至8に記載の発明は、それぞれ太陽光発電装置を、好ましい設置態様のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】太陽光パネルを設置した立体トラス構造体の縦断面図である。
【図2】図1の交差方向の立体トラス構造体の縦断面図である。
【図3】立体トラス構造体の平面図である。
【図4】太陽光パネル上方の固定状態を示す図1の部分拡大縦断面図である。
【図5】太陽光パネル下方の固定状態を示す図1の部分拡大縦断面図である。
【図6】立体トラス構造体の下位弦材と斜材の関係を示す図1の部分拡大縦断面図である。
【図7】太陽光パネル上方の固定状態を示す図2の部分拡大縦断面図である。
【図8】太陽光パネル下方の寄棟状フレームと弦材との関係を示す図2の部分拡大縦断面図である。
【図9】図3の弦材位置の接合部分の拡大平面図である。
【図10】図3の斜材位置の接合部分の拡大平面図である。
【図11】一方の弦材の平面図及び側面図である。
【図12】他方の弦材の平面図及び側面図である。
【図13】斜材の平面図及び側面図である。
【図14】フレーム形成用斜材の平面図及び側面図である。
【図15】太陽光発電装置を屋上設置の独立構築物としたモデル図である。
【図16】太陽光発電装置を建物付設の庇としたモデル図である。
【図17】太陽光発電装置を建物間に架設配置して通路上屋の建物付設物としたモデル図である。
【図18】太陽光発電装置を建造物付設の壁面としたモデル図である。
【図19】太陽光発電装置を公園の独立構築物としたモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図3に、支柱14によって支持することによって、例えば屋外プールの上屋を形成するように設置使用するようにした、立体トラス構造体1に太陽光パネル11を設置した太陽光発電装置Aのコーナー近傍付近の構造を示し、図4乃至図10に、該立体トラス構造体1における接合部分の構造を示し、図11及び図12に、該立体トラス構造体1の部材を示す。
【0022】
太陽光発電装置Aは、上記立体トラス構造体1にそれぞれ長手方向一端を接合した4方向の斜材4bを長手方向他端で接合して該トラス構造体1に多数の寄棟状フレーム2を突出配置し、該寄棟状フレーム2の任意の傾斜面をパネル受光面として該パネル受光面を一連に覆うように太陽光パネル11を傾斜設置することによって、立体トラス構造体1に太陽光パネル11をXY方向一方に直列にして他方に並列に配置して形成したものであり、該太陽光発電装置Aは、上記屋外プールの上屋形成用の支柱14支持による独立構築物をして設置使用する以外にも、後述の図15乃至図19に示すように、多様な設置形態を採用するものとして、人口密集地の都市部を含めて、その設置場所を問わずに設置して、太陽光の可及的高度な活用を可能としたものとしてある。
【0023】
本例にあって上記立体トラス構造体1は、弦材3aと斜材4aを用いて、それぞれ長手方向両端に配置した接合片5a〜5cを、各接合交点において集合配置し、中間のスペーサー6a及び上下の座板7aとともに接合交点毎に2本のボルト9を用いてボルト接合するようにした基本の接合構造を採用してあり、これによって普通ボルトを用いて2面の剪断接合を、また高力ボルトを用いて2面の摩擦接合を可能とし、立体トラス構造体1としての構造強度を可及的高度に確保したものとしてある。
【0024】
即ち、本例の弦材3a及び斜材4aは、それぞれ接合交点間の1〜2m程度の長さにしてその各長手方向両端に接合片5a〜5cを水平突出して具備し、鋼製パイプの加工を施すことによって形成した、例えば、図11及び図12に例示したものを用いてあり、このとき、弦材3aの上記接合片5a、5bは弦材3a毎に異なる2種類を用い、斜材4aの接合片5cは共通の1種類を用いることによって、上記2本のボルト9による接合構造を施すものとしてある。
【0025】
即ち、弦材3aにおける2種のうち一方の接合片5aは、これを、面内に2ヶ所のボルト挿通孔8を透設して突出幅をスペーサー6a乃至座板7aと同等面積として全突出した平面方形の重合用の接合片とし、他方の接合片5bは、これを、面内に1ヶ所のボルト挿通孔8を透設して突出幅を平面方形の座板7a乃至スペーサー6aの1/2として半突出した矩形の重合突合せ用の接合片としてある。また、斜材3aの接合片5cは、これを、面内に1ヶ所のボルト挿通孔8を透設して、突出幅を全突出するとともに半突出位置から三角形をなすように先端を切り落とした平面5角形の重合突合せ用の接合片としてある。このとき、上記スペーサー6a及び座板7aは、それぞれ上記平面方形のものとするとともにその面内にそれぞれ同様に2ヶ所のボルト挿通孔(図示省略)を透設したものとしてある。
【0026】
弦材3a及び斜材4aの接合片5a〜5cは、各4方向からの弦材3a及び斜材4aの合計4枚の接合片5a〜5cを、弦材3aと斜材4a毎に、弦材3aにあっては、上記半突出突合せ用の接合片5bを、その先端を相互に突合せて1層配置とし、全突出重合用の接合片5aを2層配置とするように合計3層の群とする一方、斜材4aにあっては、その接合片5cを、隣接する一対の斜材4aの接合片5cを重合し、該重合した一対の接合片5cの先端の傾斜辺を相互に突合せて2層の群としてある。
【0027】
上記3層の群をなす4方向からの弦材3aの接合片5a、5bと、該2層の群をなす同じく4方向からの斜材4aの接合片5cは、これらを、その中間に複数、例えば、2枚のスペーサー6aを介して集合配置するとともに集合配置した接合片5a〜5bの上下にそれぞれ座板7aを配置して、これらをボルト9とナット10の締着によって一体に接合してある。弦材3aと斜材4aにおける接合片5a〜5cのボルト挿通孔8、スペーサー6a及び座板7aのボルト挿通孔(図示省略)は、該集合配置した状態で同心円上に位置するように、その透設を行ってあるから、該集合配置した状態で、上面又は下面の座板7a側から斜材3a、スペーサー6a、弦材4a及び下面又は上面の座板7aの各ボルト挿通孔8に2本のボルト9を挿通し、その突出したボルト軸にナット10を締着することによって、そのボルト接合を行なうことが可能となるとともにそのボルト接合を強固になし得るものとしてある。
【0028】
図6に、弦材3aの接合片5a、5bの上位に斜材4aの接合片5cを接合した箇所、即ち、弦材3aを下位、斜材4aを上位に位置するようにした、立体トラス構造体1における下面側の接合箇所を示すところ、弦材3aを上位、斜材4aを下位とする立体トラス構造体1の上面側の接合箇所の構造は、該図6を上下に反転した形態のものとして、そのボルト接合を行ってある。
【0029】
このとき、弦材3aと斜材4aの接合箇所には、後述の寄棟状フレーム2を形成する斜材4bの接合片5cを更に重合して、接合手段を共通にしてその接合を行うところ、この点については、寄棟状フレーム2の形成との関係で後述する。
【0030】
該立体トラス構造体1は、これによって、図1乃至図3に示すように、平面正方形配置をなす桝目状の弦材3aによる表裏2面をなすフレームと、配置角度を45度ずらした同じく平面正方形配置をなす桝目状の斜材4aによる中間介設のフレームを備えて、弦材3aによる表裏2面を平坦な面とした平面桝目状にして内部に斜材を配置したボックス状を呈するトラス構造体をなすものとしてある。このとき、接合交点の接合を、それぞれ2本のボルト9を用いて行うことによって、そのボルト接合をそれぞれ上記強固な2面の剪断接合乃至摩擦接合とすることができ、これによって該構造体1としてその構造強度を高度に確保したものとしてある。
【0031】
立体トラス構造体1には、更にこれを構造基体として、その片面、即ち、立体トラス構造体1の上面に、4方向の斜材4bを接合し、各4方向の斜材4bよりなる上記寄棟状フレーム2を突出配置してあり、本例にあって、該寄棟状フレーム2の突出配置は、これを、立体トラス構造体1における平面正方形配置の弦材3aを底辺として、該平面正方形配置の弦材3a毎に突出配置することによって、立体トラス構造体1の面内XY方向に相互に隣接するように行ったものとしてある。
【0032】
本例にあって、寄棟状フレーム2は、立体トラス構造体1に、上記長手方向一端を接合した4方向の斜材4bを長手方向他端、即ち、寄棟状フレーム2の頂点をなす位置で接合することによって、該頂点を接合した各2方向からの斜材4bと上記平面正方形の底辺との間でそれぞれ二等辺三角形をなすフレーム面を形成するように、その突出配置を行なってある。
【0033】
該寄棟状フレーム2の斜材4bは、上記立体トラス構造体1の斜材4aの長さを短尺化して、その配置角度を、上記立体トラス構造体1における、本例にあって上記45度程度とした角度より緩傾斜にして、太陽光パネル11の設置に適した、水平位置から30〜60度の角度のうち、例えば30度程度の角度とするようにしてあり、このとき、該短尺化した斜材4bの長手方向両端に水平突出した接合片5cは、上記立体トラス構造体1のものと比較してその鋼製パイプ部分からの突出角度を幾分異にするも、該接合片5cを同じく重合突合せ接合用とし、その突出幅、平面形状、ボルト挿通孔8を含めて、上記立体トラス構造体1を構成した上記斜材4aと同様に構成したものとしてある。
【0034】
寄棟状フレーム2の斜材4bは、その設置の構造基体をなす立体トラス構造体1の弦材3a及び斜材4aの4ヶ所の接合箇所に、長手方向一端を接合して、上記長手方向他端の上記頂点に向けて傾斜起立するように配置してあり、該頂点にあっては、立体トラス構造体1における斜材4aの接合と同様に行なうものとしてあり、図4に示すように、該斜材4bの接合片5cを隣接相互に重合するとともに該重合した先端の傾斜辺を相互に突合せて、4方向からの接合片5cを2層の重合突合せ配置として、下面から座板7a、斜材4bの接合片5c、スペーサー6a、座板7aを重合して、下面の座板7a側から2本のボルト9を各接合片5cのボルト挿通孔8、スペーサー6a及び上面の座板7aの各2ヶ所のボルト挿通孔8に挿通して、上面の座板7a側でナット10を締着して、該頂点を接合交点としてその接合を行ってある。このとき、該頂点の接合に際しては、その上記パネル受光面の頂点を連結するように、太陽光パネル11の上方下面に位置して該寄棟状フレーム2を補強連結する、立体トラス構造体1の弦材3aと同様な頂点間架設用の弦材3bを追加的に配置してあり、該弦材3bは接合片、本例にあっては半突出の接合片5bを単層とするように上記座板7a上に同様に突合せ配置し、太陽光パネル11設置用の後述の支持金具12を該弦材3bの座板とするように載置し、上記2本のボルト9によって該斜材4bと同時にその接合を行なってある。
【0035】
一方、寄棟状フレーム2の斜材4bと上記立体トラス構造体1との接合は、本例にあって、立体トラス構造体1の上面における弦材3aと斜材4aの接合交点において、これら弦材3a及び斜材4aの接合と同時に一体的に行なってある。即ち、該接合に際しては、上記立体トラス構造体1の弦材3a及び斜材4aの上記接合構造に準じて、更にスペーサー6aと寄棟状フレーム2の斜材4bにおける接合片5cを重合して、これらのボルト挿通孔に挿通する、例えば上向き2本のボルト9による接合を行なうことを妨げない。
【0036】
然るに、本例にあっては、該寄棟状フレーム2の斜材4bと上記立体トラス構造体1との接合には、上記立体トラス構造体1に用いたスペーサー6aに加えて、更に、4本ボルト用のスペーサー6bを2枚追加的に用いたものとしてある。本例において該追加的なスペーサー6bを用いることによって、立体トラス構造体1のこれら接合交点にあって、接合交点が厚くなることによって、これを接合するに用いるボルトが長寸化するのを防止するように、例えば、接合交点を上下に2分割するように各2本、合計4本のボルト9を用いてその一体的な接合を行うようにしてあり、本例にあっては更に太陽光パネル11設置用の後述の支持金具12の同時的な接合を行なうようにして、ボルトの長寸化を回避して、他に用いると同様な比較的短寸のボルト9を用いてその可及的に強固にして確実なボルト接合をなし得るようにしてある。
【0037】
本例にあって該追加的に用いたスペーサー6bは、同心円上に4つの透孔、即ち、立体トラス構造体1の2つのボルト挿通孔9に加えて2つのボルト頭収容孔をそれぞれ透設した弦材用及び斜材用の2種類のものとしてあり、該2種類のスペーサー6bはそれぞれ1枚づつの合計2枚を用いてその接合を行なってある。即ち、図5に例示するように、接合交点において、弦材3bと寄棟状フレーム2の斜材4bの接合、本例にあっては更に上記支持金具12を重合した、上記2分割の一方と、弦材3aと立体トラス構造体1形成の斜材4aの接合を2分割の他方とするように、前者を上向き2本のボルト9によって、後者を下向き2本のボルト9によってそれぞれ接合するとともに該下向き2本のボルト9を、これら2分割双方の接合を同時に一体的に接合するように用いて、その一体的なボルト接合を行なってある。
【0038】
該立体トラス構造体1の弦材3aと斜材4aの接合交点における寄棟状フレーム2の斜材4bの同時的な一体的なボルト接合は、上記2分割一方の弦材3bと斜材4bを、立体トラス構造体1におけると同様に隣接一対で重合し且つ該一対間で突合せ配置した接合片5a〜5cに、下面の座板7a、上面に2枚のスペーサー6bを重合して、その上位のスペーサー6bのボルト頭収容孔に下向き2本のボルト9のボルト頭を収容し、下位のスペーサー6b、斜材4a及び下面の座板7aの各ボルト挿通孔8を挿通してナット10を締着することによって下向き2本ボルト接合を行なう一方、下位のスペーサー6bのボルト頭収容孔に上向き2本のボルト9のボルト頭を収容して、該上向き2本のボルト9を、その上位の弦材3bの接合片5a、5b、その上位の2枚のスペーサー6b、上記立体トラス構造体1におけると同様に重合と突合せによって配置した寄棟状フレーム2における斜材4bの接合片5c、その上位の座板7aの各ボルト挿通孔8を挿通して同じくナット10を締着することによって上向き2本のボルトによる接合を行なってある。
【0039】
このように立体トラス構造体1に、各4方向からの斜材4bによって該寄棟状フレーム2を形成することによって、立体トラス構造体1の表面、本例にあってはその上面に、平面正方形の弦材3aを底辺とする四角錐をなして面内縦横、即ち、XY方向に緻密にマトリックス状に配置したフレーム面を形成したものとなり、また、該寄棟状フレーム2の該4面に形成されるそれぞれ二等辺三角形をなす面は、隣接するXY双方向にそれぞれ上記30〜60度、本例にあっては30度の角度で連続するように配置したものとなる。
【0040】
該寄棟状フレーム2の4面の二等辺三角形をなす面は、これを、太陽光パネル11に太陽光を受光するパネル受光面として、該パネル受光面に太陽光パネル11を傾斜設置してあり、このとき、該太陽光パネル11の傾斜設置は、これを、上記斜材4bの接合位置における各4方向の斜材4bの接合手段を共通に用いることによって寄棟状フレーム2のパネル受光面に一体的に固定して行なってあり、また、該斜材4bの接合手段を共通に用いた太陽光パネル11の一体的固定は、これを、上記パネル受光面における斜材4bの各接合部に該斜材4bとともに支持金具12を接合し、該支持金具12に上記パネル受光面をXY一方向に向けて一連に連続する平行一対の母屋材13を配置し、該母屋材13に太陽光パネル11の対向する上下2辺を固定して行なったものとしてある。
【0041】
即ち、太陽光パネル11は、上記パネル受光面に多数枚を並置するように傾斜設置して、XY一方向に直列し、他方向に並列配置したものとしてあるところ、該太陽光パネル11は、その矩形の各対向2辺の寸法の一方、即ち、その高さを斜材4bの長さと略同等とし得るも、必ずしも幅は、上記二等辺三角形の底辺、即ち立体トラス構造体1の弦材3aの接合間隔と同等とはなし得ないから、該母屋材13を用いることによって、太陽光パネル11間に空隙を生じることなく、その隣接相互に近接乃至対接した傾斜設置をなし得るようにしてある。
【0042】
支持金具12は、例えば、2本のボルト9を挿通する2ヶ所のボルト挿通孔(図示省略)を透設した固定片と、該固定片に母屋材13を支持可能に起立配置した母屋材支持片とを備えて鋼板を加工して形成した適宜断面のものとしてあり、本例にあって該支持金具12は、母屋材支持片を固定片の両側に配置して断面C字状とした寄棟状フレーム2における頂点接合用のものと、母屋材支持片を固定片の片側に配置して断面V字状とした立体トラス構造物1における弦材3aと斜材4aの交点接合用の2種類を用いるものとしてある。
【0043】
該支持金具12の上記パネル受光面における斜材4bの各接合部に対する接合は、上記寄棟状フレーム2の頂点にあっては、図4及び図7に示すように、その上面の座板7a、本例にあっては更にその上位の上記頂点間架設用の弦材3bにおける接合片上に支持金具12の固定片を載置し、下面の座板7a側からの2本の上向きボルト9を該固定片のボルト挿通孔に挿通し、固定片上でナット10を締着してその接合を行ってあり、これによって支持金具12の上記固定片両側の各母屋材支持片が上向き傾斜して寄棟状フレーム2の頂点上方に上記パネル受光面に直角に起立するようにしてある。
【0044】
また、立体トラス構造体1の弦材3a及び斜材4aの接合交点にあっては、図5及び図8に示すように、同じくその上面の座板7a上に支持金具12の固定片を載置し、スペーサー6bからの上向きボルト9を固定片のボルト挿通孔に挿通し、同様に固定片上でナット10を締着してその接合を行ってあり、これによって支持金具12の上記固定片片側の母屋材支持片が前傾するように傾斜して該弦材3aと斜材4aの接合交点の上方に同様にパネル受光面に直角に起立するようにしてある。
【0045】
母屋材13は、図4、図5に示すように、例えば、太陽光パネル11の底面及び上記支持金具12の母屋材支持片にそれぞれ対接して固定する固定片を備えて、同じく鋼板を加工して形成した適宜断面にして長尺のものとしてあり、本例にあって該支持金具は、これら固定片を直交配置した断面L字状とした、上記2種類の支持金具12に共通使用するようにした1種類のものとしてある。
【0046】
該母屋材13は、固定片を上記太陽光パネル11の底面及び支持金具12の母屋材支持片に対接し、それぞれボルトナット等の固定金具によって、各接合交点においてその固定を行ってある。上記寄棟状フレーム2の頂点に配置した支持金具12に対する該母屋材13の固定は、太陽光パネル11に対して母屋材13を平行にして、その上方裏面に近接2本、下方裏面に1本の合計3本を固定し、母屋材13をそれぞれ母屋材支持片に対接して、固定金具を用いてこれを行ってあり、これによって該母屋材13は、本例にあって、寄棟状フレーム2の頂点側にあって、該頂点に配置した上記頂点間架設用の弦材3bと平行に該弦材3bの上位に位置するようにし、立体トラス構造体1側にあって、その弦材3aと直交して交差して同じくその上位に位置するようにしてある。
【0047】
このように形成した本例の太陽光発電装置Aは、立体トラス構造体1に配置した寄棟状フレーム2のXY方向一方に直列に、他方に並列に配列したものとなるから、寄棟状フレーム2の配置数に応じて設置した多数の太陽光パネル11による太陽光発電が可能となるとともに寄棟状フレーム2の残余の3面が開放したものとなることによって、通風性を確保し、太陽光パネル11に風圧が作用するのを回避することができる。このとき、降雨に対しては、その防雨をなし得ないが、防雨機能を必要としない、上記屋外プールの上屋の如き箇所に使用するとともに次のような用途に用いることができる。
【0048】
即ち、上記立体トラス構造体1を、地上乃至屋上等の設置ベースに対する据置き設置用として、これを利用すれば、立体トラス構造体を、従前の架台とした太陽光発電装置とすることが可能であり、また、上記立体トラス構造体を、建造物の開口から外側に突出配置し又は建造物の開口間に架設配置した建造物付設用とした太陽光発電装置とすることが可能であるが、その使用形態を例示すると、図15は、上記立体トラス構造体1を、支柱14によって支持した独立構築物用とした太陽光発電装置Aの例であり、本例にあっては、上記例と同様に立体トラス構造物1を多数の支柱14によって支持して、その設置場所を、例えば、百貨店、スーパー、企業、公共施設等適宜の建造物15の屋上に上屋として設置した例であり、該設置形態とすることによって、屋上のスペースをデッドスペースとすることなく、その用途に応じて有効活用することができる。
【0049】
図16及び図17は、上記立体トラス構造体1を、上記建造物付設用とするも、更に上記例と同様に必要に応じて支柱14を用いてその支持の確実性を確保した太陽光発電装置Aの例であり、図16は、建造物15の出入り開口乃至窓開口に日除け乃至庇として付設した例、図17は、病院、学校、公共施設等の建造物15の出入り開口間を結ぶ屋外通路の上屋として架設状に付設した例である。図18は、上記立体トラス構造体1を、建造物の壁面に添設配置した建造物15壁面付設用とした太陽光発電装置Aの例であり、このとき上記据置き式や上屋としての横面形成の場合とは別に、立体トラス構造体1によって縦面を形成するように配置して、太陽光発電を行うものとしてある。また、図19は、例えば、駐車場や公園のような他の用途に供する施設に、支柱を用いて上屋を形成するように設置した太陽光発電装置Aの例である。
【0050】
図中7bは、支柱14乃至その起立部材を中央の透孔に挿通して、支柱14位置で弦材又は斜材を固定するに用いたリング状の座板である。
【0051】
以上のように本例の立体トラス構造体に太陽光パネルを設置して形成した太陽光発電装置は、強度にすぐれるとともに多様な設置形態を採用し得ることによって、設置場所の制約を解消し、都市部を含めた設置をなし得るようにして、太陽光の可及的高度な活用を可能としたものとすることができる。
【0052】
図示した例は以上のとおりとしたが、立体トラス構造体を、上記弦材間に斜材を配置した単層のものに代えて複層のものとすること、寄棟状フレームの突出配置を、平面正方形配置の複数の弦材を底辺とする長方形乃至方形の底辺のものとすること、上記例に用いた寄棟状フレームの頂点間を連結補強する頂点間架設用の弦材配置を省略すること、支持金具及び母屋材を相互に接続可能な適宜な断面形状のものとすること、上記鋼製の弦材、斜材に代えて、木製の弦材、斜材を用いること、この場合、接合片を鋼製として長手方向両端に一体的に固定したものとすること、立体トラス構造体に照明用のLED光源を追加的に設置すること等を含めて、本発明の実施に当って、太陽光発電装置、立体トラス構造体、寄棟状フレーム、斜材、接合手段、必要に応じて用いる支持金具、母屋材等の各具体的材質、形状、構造、用途、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0053】
A 太陽光発電装置
1 立体トラス構造体
2 寄棟状フレーム
3a、3b 弦材
4a、4b 斜材
5a〜5c 接合片
6a、6b スペーサー
7a、7b 座板
8 ボルト挿通孔
9 ボルト
10 ナット
11 太陽光パネル
12 支持金具
13 母屋材
14 支柱
15 建造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体トラス構造体に太陽光パネルを設置した太陽光発電装置であって、上記立体トラス構造体にそれぞれ長手方向一端を接合した4方向の斜材を長手方向他端で接合して該トラス構造体に多数の寄棟状フレームを突出配置し、該寄棟状フレームの任意の傾斜面をパネル受光面として該パネル受光面を一連に覆うように太陽光パネルを傾斜設置することによって、立体トラス構造体に太陽光パネルをXY方向一方に直列にして他方に並列に配置してなることを特徴するする太陽光発電装置。
【請求項2】
上記太陽光パネルの傾斜設置を、上記斜材の接合位置における各4方向の斜材の接合手段を共通に用いることによって寄棟状フレームのパネル受光面に一体的に固定して行なってなることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
上記斜材の接合手段を共通に用いた太陽光パネルの一体的固定を、上記パネル受光面における斜材の各接合部に該斜材とともに支持金具を接合し、該支持金具に上記パネル受光面をXY一方向に向けて一連に連続する平行一対の母屋材を配置し、該母屋材に太陽光パネルの対向2辺を固定して行なってなることを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
上記寄棟状フレームの突出配置を、立体トラス構造体における平面正方形配置の弦材を底辺として、該平面正方形配置の弦材毎に突出配置することによって、立体トラス構造体の面内XY方向に相互に隣接するように行ってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
上記立体トラス構造体を、地上乃至屋上等の設置ベースに対する据置き設置用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
上記立体トラス構造体を、建造物の開口から外側に突出配置し又は建造物の開口間に架設配置した建造物付設用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
上記立体トラス構造体を、支柱によって支持した独立構築物用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
上記立体トラス構造体を、建造物の壁面に添設配置した建造物壁面付設用としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−96888(P2011−96888A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250225(P2009−250225)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年6月24日から6月26日(3日間) 太陽光発電協会主催の「PVJapan 2009」に出品
【出願人】(501249353)グリーンテック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】